説明

芝刈り機

【課題】機体下部に取付けたモーアデッキから機体後部の集草容器まで連通するシュータについて、雨露等によって刈草が湿っている場合に刈草がシュータ内に詰まる事態を回避して、効率のよい芝刈り作業を可能とする芝刈り機を提供する。
【解決手段】芝刈り機は、草地走行可能な機体と、この機体の下部に設けられて草刈用の回転ブレード(17)を内装したモーアデッキ(1)と、このモーアデッキ(1)から送出される刈草を受けて機体後部に案内する流路をなすシュータ(S)と、このシュータ(S)の後端に連通して刈草を収容する集草容器(4)とから構成され、上記シュータ(S)には、流路形状の変更によって断面積を調節する断面積調節機構(T)を設けたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機体下部に支持したモーアデッキから機体後部の集草容器まで刈草を送風案内するシュータを備えて芝刈走行する芝刈り機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の芝刈り機の例にように、草地走行可能な機体下部に芝刈用のモーアデッキを支持し、このモーアデッキから機体後部の集草容器まで刈草を送風案内するシュータを備えて芝刈走行する芝刈り機が知られている。詳細には、シュータは、矩形断面のダクトを後ろ上がりに構成し、運転台フロア下方の低位置に配置したローターブレード型モーアデッキから後輪の駆動軸を跨ぐようにして機体後部の展開開放可能な集草容器までを連通する。
【0003】
上記シュータの横断面形状は、刈草の送風移送のために、その断面積をある程度まで小さく構成することにより、モーアデッキで刈取った刈草の移送速度を確保して大型の集草容器の後端部の高位置まで刈草を充填収容して効率よく芝刈走行することができる。また、シュータの中間部にはメンテナンス口を備え、雨露等によって湿っている刈草がシュータ内に詰まっても、メンテナンス口を開いて中から刈草を掻き出すことにより、芝刈り作業を継続することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4389044号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、シュータ内に詰まった刈草を掻き出しても、湿った刈草等の残留付着があると再び詰まりを生じることから、モーアデッキから集草容器までの全範囲の付着物を残らず掻き出す必要があるので芝刈り作業の能率低下を招くこととなり、その一方で、このような詰まりを避けるためにシュータのダクト断面を大きく構成した場合は、刈草の移送速度の低下によって大型集草容器に対応する十分な充填が確保できず、その利点を生かせないという問題があった。
【0006】
本発明の目的は、機体下部のモーアデッキから機体後部の大型の集草容器まで刈草をシュータによって送風移送するとともに、雨露等によって刈草が湿っている場合に刈草がシュータ内に詰まる事態を回避して、効率のよい芝刈り作業を可能とする芝刈り機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明は、草地走行可能な機体と、この機体の下部に設けられて草刈用の回転ブレードを内装したモーアデッキと、このモーアデッキから送出される刈草を受けて機体後部に案内する流路をなすシュータと、このシュータの後端に連通して刈草を収容する集草容器とからなる芝刈り機において、上記シュータには、流路形状の変更によって断面積を調節する断面積調節機構を設けたことを特徴とする。
上記シュータは、断面積調節機構による流路形状の変更に応じて断面積が変更される。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1の構成において、前記モーアデッキを昇降可能に支持した上で、前記シュータを前後に連接可能な矩形断面の前部シュータと後部シュータとによって構成し、前部シュータは回転ブレードによって刈取った刈草を後方排出可能にモーアデッキに支持し、後部シュータは前部シュータの下降位置に合わせて機体に支持し、かつ、前部シュータおよび後部シュータの上面板の連接側部分を可動板によって傾斜可能にそれぞれの内端位置で軸支することにより前記断面積調節機構を構成したことを特徴とする。
【0009】
昇降動作可能なモーアデッキに対して前後に連接可能な前部シュータと後部シュータからなる連接構成のシュータにより刈草移送が可能となり、断面積調節機構を構成する上面板の可動板の傾斜に応じて、それぞれの内端位置からの連接側部分の流路形状が変化することによってシュータの断面積が変更される。
【0010】
請求項3の発明は、請求項2の構成において、前記後部シュータの底板には、その連接端から傾斜可能に移送高さを調節する投出板を軸支したことを特徴とする。
後部シュータの底板から傾斜する投出板に沿って刈草が集草容器に投出される。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に係る発明により、上記シュータは、断面積調節機構により流路形状の変更に応じて断面積が変更されるので、小断面による乾草の移送速度の確保と大断面による湿草の円滑移送のいずれにも対応が可能となり、草詰まりを招くことなく、効率的に芝刈り作業を進めることができる。
【0012】
請求項2の発明は、請求項1の効果に加え、昇降動作可能なモーアデッキに対して前後に連接可能な前部シュータと後部シュータからなる連接構成のシュータにより刈草移送が可能となり、断面積調節機構を構成する上面板の可動板の傾斜に応じて、それぞれの内端位置からの連接側部分の流路形状が変化することによってシュータの断面積が変更される。
【0013】
請求項3の発明は、請求項2の効果に加え、後部シュータの底板から傾斜する投出板の設定角度に沿って刈草が集草容器に投出されるので、刈草の移送収容について刈草の状況に合わせた対応が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】芝刈り機の側面図
【図2】図1の芝刈り機の平面図
【図3】芝刈り機のシュータの側面図
【図4】モーアデッキの要部拡大平面図
【図5】モーアデッキの平面図
【図6】図5のモーアデッキの側面図
【図7】デッキの要部平面図(a)と側面図(b)
【図8】ミッションケース周りの要部側面図(a)および背面図(b)
【発明を実施するための形態】
【0015】
上記技術思想に基づいて具体的に構成された実施の形態について以下に図面を参照しつつ説明する。
本発明の芝刈り機は、その側面図および平面図を図1、図2にそれぞれ示すように、草地走行可能な機体3と、この機体3の下部に設けられて刈草用の回転ブレード17を内装したモーアデッキ1と、このモーアデッキ1から送出される刈草を受けて機体後部に案内するシュータSと、このシュータSの後端に連通して刈草を収容する集草容器4とから構成される。
【0016】
シュータSは、別途詳述するように、矩形断面のダクトである前部シュータ2と後部シュータ6を前後に連接可能に構成し、前部シュータ2は昇降動作可能に支持したモーアデッキの上面部に設け、その下降位置に合わせて機体に支持した後部シュータ6を連接可能に構成し、その連接位置に断面形状の変更によって断面積を調節する断面積調節機構Tを設けたものである。
【0017】
断面積調節機構Tは、シュータSの拡大縦断面図を図3に示すように、シュータSは、前後に連接可能な矩形断面のダクト状に形成した前部シュータ2と後部シュータ6とによって構成し、前部シュータ2は回転ブレードによって刈取った刈草を後方排出可能にモーアデッキ1に支持し、後部シュータ6は前部シュータ2の下降位置に合わせて機体に支持し、かつ、前部シュータ2および後部シュータ6のそれぞれの上面板2a,6aの連接側部分を前後の可動板52,53によって傾斜可能にそれぞれの内端位置52a,53aを軸支することにより断面積調節機構Tを構成する。
【0018】
前部可動板52は、トルクスプリング等により上方向に回動付勢して後部可動板53の連接端に当接させ、また、後部可動板53は、後部シュータ6の側面板の長穴と固定ツマミ等による位置調節機構53bを設けることにより、傾斜角を調節して固定可能に構成する。
【0019】
上記構成のシュータSは、昇降動作可能なモーアデッキ1に対して連接可能な前部シュータ2と後部シュータ6により刈草移送が可能となり、両シュータ2,6それぞれの上面板2a,6aの連接側部分を傾斜可能に軸支する両可動板52,53による断面積調節機構Tを構成したことから、可動板52,53の傾斜によって連接部分の流路形状が変化してシュータSの断面積を変更調節することがでる。
【0020】
このように、シュータSは、断面積調節機構Tにより流路形状を変更して断面積を調節することができるので、小断面による乾草の高速移送と大断面による湿草の円滑移送との切替えが可能となり、草詰まりを招くことなく、効率的な芝刈り作業を確保することができる。
【0021】
また、後部シュータ6の底板28には、その連接側部分に別途詳述する切替板10を開閉可能に設け、この切替板10の前端位置に支軸61aを設けて刈草の投出角度Eを規定する投出板61を軸支し、後ろ上がりの傾斜角を調節ボルト62によって調節可能に構成する。
上記投出板61により、後部シュータ6の底板から後ろ上がりの傾斜に応じて刈草が集草容器に投出されるので、刈草の状況に合わせて傾斜角を調節することにより、集草容器4への収容効率を確保することができる。
【0022】
(ミッドモーアの構成例)
ここで、芝刈り機の芝刈装置について詳細に説明すると、図1に示すミッドモーアの例では、前輪15及び後輪16を配置の四輪走行形態のトラクタ車体3腹部にモーアデッキ1を装着し、この車体3の後部にコレクタ4をダンプ操作可能に装着し、前部シュータであるモーアデッキ1の排出シュート2と、コレクタ4の収容口5との間を、運転席11の下側に配置の後部シュータである供給シュート6によって連通して、このモーアデッキ1のブレード17の回転によって刈取れる芝草を、排出シュート2、及び供給シュート6を経てコレクタ4へ収容することができる。前記モーアデッキ1は、複数のブレード軸18を軸装し、車体3後部のPTO軸から連動して回転することができる。このモーアデッキ1は、車体3に対して平行リンク19,20を介して昇降自在に吊り下げて、リフトアームにリンクロッドを介して昇降制御することができる。車体3の前部上には、エンジン23を搭載し、このエンジン23によって後輪16、又は前輪15等を伝動機構して走行するとともに、前記PTO軸を伝動起動して、モーアデッキ1の各ブレード軸18を伝動回転する。
【0023】
前記排出シュート2は、モーアデッキ1の後側中央部に設け、後側へ適宜上向傾斜に設定し、前記運転席11と前側のステアリングハンドル24との間のフロア25の直下に位置させている。この排出シュート2の後端に連設する供給シュート6は、前記後輪16のアクスルハウジングの上側部で、運転席11下側のシートフロアとの間を前後方向にわたって構成され、前端の入口7よりも後端の収容口5部を高位置に形成するように傾斜して構成し、正面視口形断面形態に形成し、アクスルハウジングよりも後側部の後部底板28は略前後水平状に設定して、この後部底板28部における供給シュート6の開口断面積を後端の収容口5に至るに従って順次広くするように設定し、芝草搬送の抵抗を順次軽減するように構成している。
【0024】
この供給シュート6の後端に連通させて装着のコレクタ4は、車体3後端部のリヤブラケット29に取付けられて、ダンプレバー30の前後回動操作によって、ダンプ軸31の周りに後上部ヘダンプ回動して、この通気性網材から構成されるコレクタバッグ32の前面側のバッグロを下方へ向けて開放して、収容芝草を土壌面へ排出させることができる。前記リヤブラケット29には前記供給シュート6の出口を形成し、この出口を中心とするリヤブラケット29の後面にコレクタバッグ32の前側面のバッグ口を接重させて、供給シュート6と連通し、芝草を搬入収容させることができ、このリヤブラケット29の上部のダンプアーム34にダンプ軸31を支持させて、ダンプレバー30の操作でこのコレクタバッグ32を後上部ヘダンプ回動することによって、このコレクタバッグ32のバッグ口をリヤブラケット29から離間させて下向きに開口して、収容芝草をダンプ排出の状態とすることができる。コレクタバッグ32の上側部はバッグカバー35で覆っている。
【0025】
ここにおいて、前記シュータは、モーアデッキ1後側の刈取芝草を排出する排出シュート2と、車体3後部に装着のコレクタ4の収容口5との間に、この排出シュート2から排出される芝草を受けて前記収容口5へ案内する供給シュート6を設け、この供給シュート6の入口7底部に、横方向の切替軸8の周りに上下回動して前記入口7と、この前側底部の放出口9を交互に切替開閉する切替板10を設け、この切替板10を切替軸8の周りに上側へ回動して前記入口7を閉鎖したときは、前記放出口9を開いて、排出シュー卜2から排出され芝草をこの切替板10でこの放出口9側へ案内して刈取跡地面へ放出し、又、この切替板10を下側へ回動して前記入口7側へ開いたときは、前記放出口9を閉鎖して、排出シュート2から排出される芝草をこの切替板10で入口7側へ案内してコレクタ4へ供給収容させる構成とする。
【0026】
刈取芝草をコレクタ4に収容するときは、切替板10を下側の放出口9側へ回動させて、この放出口9を閉鎖し、供給シュート6の入口7を開いた状態とする。モーアデッキ1から刈取られた芝草が排出シュート2を経て後方上部へ排出されると、この排出シュート2から供給シュート6の入口7を経て、収容口5側へ搬送案内される。この排出シュート2から供給シュート6の入口7へ搬送される芝草は、放出口9部においては底部に切替板10が閉鎖状態に位置して、この切替板10の上面で芝草の搬送を案内するため、排出シュート2から供給シュート6への芝草の送込搬送を円滑に行わせる。又、刈取芝草をコレクタ4へ収容させないで、刈取跡の地面に直接排出させるときは、前記切替板10を切替軸8周りに上方へ回動して、放出口9を開くと共に、供給シュート6の入口7を闕鎖する。この状態で排出シュート2から後方へ排出される刈取芝草は、一部が入口7を閉鎖している切替板10の下面に案内されて、供給シュート6へ搬送されることなく、直接下側の放出口9からモーアデッキ1の通過跡の地面に排出される。
【0027】
又、前記切替板10を有する供給シュート6の上方部に設ける運転席11の横側部に、横方向のレバー軸12周りに回動操作する操作レバー13を設け、この操作レバー13と前記切替板10の切替軸8との間をリンク機構14で連動する。運転席11は、車体3後部の供給シュート6上方に配置されるが、この運転席11の横側に位置する操作レバー13を杷持して、レバー軸12周りに上下回動して、前記供給シュート6の入口7部の切替板10を回動し、供給シュート6の入口7と、この前側下部の放出口9とを交互に開閉することができる。
【0028】
これら操作レバー13による切替板10の切替操作は、レバー軸12と切替軸8との間のリンク機構14による連動によって行われるため、これらレバー軸12と切替軸8が供給シュート6を介在させて上下に配置して、軸方向を平行形態に構成するため、これらの間を連動するリンク機構14を簡単にして、操作を正確に円滑に行わせることができる。
【0029】
前記モーアデッキ1の後側中央部に構成される排出シュート2は、左右両側部めプレード17の回転によって刈取られた芝草を案内して、後方上部へ放出させる。後端の開口部36は門形状に形成されて、下端部を刈取跡の地面に向けて開放しているが、この下端部に案内板を設けて、排出シュート2の底面に形成し、放出芝草を供給シュート6側へ案内するように構成するもよい。この排出シュート2の後側に連設する供給シュート6は、この前端入口7部を前記排出シュート2の後端開口部36よりも適宜後方位置に設定して、この間の底部には地面に向けて開放する放出口9を構成すると共に、前記切替板10がこの入口7の下端部の切替軸8周りに回動して、この入口7を閉鎖する状態では、この切替板10の下面Aが先端部から基部の切替軸8側へ向けて後下りの傾斜面を形成するように設定して、この切替板10の下面Aによって放出芝草を受けて前側下方の放出口9へ排出案内させ易く構成としている。又、この切替板10を下方へ切替回動して放出口9を闘鎖する状態では、この切替板10は基部の切替軸8から先端部側へ向けて前下りの傾斜面を形成するように設定して、この切替板10の上面Bによって排出シュート2側からの放出芝草を受けて後方上側の供給シュート6へ送込ませるように案内する。
【0030】
前記切替板10を操作するリンク機構14は、前記車体3の運転席11の右側のリヤブラケット29部に、レバー軸12によって上下回動可能の操作レバー13を設け、前記供給シュート6の前端入口7の下端縁部に切替軸8を設け、これらレバー軸12上のアーム37にリンクロッド38を連結し、切替軸8上のアーム39にリンクロット40を連結して、各リンクロット38、40の先端部を、前記供給シュート6の後部底板28に突設したブラケット41のアーム軸42周りに回動自在に支持するベルクランク43、44に連結して構成する。この操作レバー13を下側Cへ回動すると、リンク機構14を介して切替板10を上側Dへ回動して、放出口9を關いて入口7を閉鎖し、又、これとは逆に、操作レバー13を上側へ回動することによって、切替板10を下側へ回動して、入口7を開いて放出口9を閉鎖する。このよう操作レバー13や、リンク機構14、及び切替板10等は、リヤブラケット29や、供給シュート6等と一体的に構成して、供給シュート構成の単一ブロック形態として着脱することによって、構成をより簡単化することができる。
【0031】
モーアデッキ1部で刈取る芝草を、刈取跡の地面に直接排出するときは、前記操作レバー13を下動Cして、切替板10を上動Dさせて、入口7を閉鎖させて放出口9を開く。
このとき排出シュート2から放出される芝草は、この入口7の閉鎖切替板10の下面Aに案内されて、供給シュート6への投入を阻止すると共に、この下面Aに案内されて下方の放出口9から地面上へ排出案内する。又、芝草を後方のコレクタ4に収容するときは、操作レバー13を操作して切替板10を下側の放出口9側へ回動する。排出シュート2から後方へ放出される芝草は、入口7から供給シュート6を案内されて、収容口5からコレクタ4へ収容される。このとき放出口9に位置する切替板10は上面Bが上り傾斜面に形成されているために、芝草の受継搬送を円滑に行わせる。コレクタバッグ32内の芝草が満杯にならない限りにおいては、一旦水平状の後部底板28上にまで搬送された芝草は、この入口7から前側の放出口9側へ逆流されるようなことが少くなる。
【0032】
このようにして、コレクタ4内の芝草収容が満杯になると、ダンプレバー30を前側へ回動して、コレクタバッグ32をダンプ軸31周りに後上方へ回動させて、前側のバッグロを下方へ向けて、収容芝草を排出させる。
【0033】
(吸気調節部)
また、モーアデッキ1の2つのブレード軸18,18の軸支部18a,18aには、その要部拡大平面図を図4に示すように、複数の長円形の空気取入口71…を形成するとともに、開口調整用のスライドシャッター72を設ける。このスライドシャッター72は、空気取入口71…と対応する貫通孔72a…を形成した円板であり、その回動角度位置に応じて全開位置Jから全閉位置Kまでの範囲で両者の開口重複部を調節可能に構成する。
【0034】
また、上記スライドシャッター72は、2つのブレード軸18,18の伝動部を覆う伝動カバー73から外れた位置に調節部74…を配置することにより、伝動カバー73を付けたまま、効率よく調節操作することができる。
【0035】
(フロントゲージホイール)
モーアデッキ1には、その平面図および側面図を図5、図6にそれぞれ示すように、草刈り高さを定めるフロントゲージホイール81を設ける。このフロントゲージホイール81は、左右のブレード17,17に近接する従来の位置Lより前方、すなわち、左右のフロントリンク19,19の間でデッキ前端部のインプットカバー82の下方の先端位置に配置することにより、ゲージホイール81が踏みつけてから左右のブレード17,17が草刈りするまでの時間を最大限に確保してその間の倒伏からの回復により刈り残しなしに草刈りすることができる。
【0036】
(指標部材)
デッキ前部の左右端位置には、図7の要部平面図(a)と側面図(b)に示すように、左右位置確認用のプレートまたはパイプによってハンドル状に構成した指標部材83,83を溶接固定する。この指標部材83,83は、幅広の本機フロアによって作業中のモーアデッキが見えにくい場合でも草刈範囲を確認することができ、また、モーアデッキ着脱の際の操作用ハンドルとして利用することができる。
【0037】
(プロテクタ)
本機のミッションケース84には、図8の要部側面図(a)および背面図(b)に示すように、下方を覆うプロテクタ85を設ける。このプロテクタ85は、モーアデッキ1がセンター排出の場合に、排出した刈草がたまっていかないように、後ろ下がりに組付けることにより、排出した刈草や石などによるミッションケース84の損傷を防止することができる。
【符号の説明】
【0038】
1 モーアデッキ
2 排出シュート(前部シュータ)
3 機体
4 コレクタ(集草容器)
5 収容口
6 供給シュート(後部シュータ)
7 前端入口
8 切替軸
9 放出口
10 閉鎖切替板
17 回転ブレード
28 後部底板
52 前部可動板
53b 位置調節機構
53 後部可動板
61 投出板
61a 支軸
62 調節ボルト
E 投出角度
S シュータ
T 断面積調節機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
草地走行可能な機体(3)と、この機体の下部に設けられて草刈用の回転ブレード(17)を内装したモーアデッキ(1)と、このモーアデッキ(1)から送出される刈草を受けて機体後部に案内する流路をなすシュータ(S)と、このシュータ(S)の後端に連通して刈草を収容する集草容器(4)とからなる芝刈り機において、
上記シュータ(S)には、流路形状の変更によって断面積を調節する断面積調節機構(T)を設けたことを特徴とする芝刈り機。
【請求項2】
前記モーアデッキ(1)を昇降可能に支持した上で、前記シュータ(S)を前後に連接可能な矩形断面の前部シュータ(2)と後部シュータ(6)とによって構成し、前部シュータ(2)は回転ブレード(17)によって刈取った刈草を後方排出可能にモーアデッキ(1)に支持し、後部シュータ(6)は前部シュータ(2)の下降位置に合わせて機体に支持し、かつ、前部シュータ(2)および後部シュータ(6)の上面板の連接側部分を可動板(52,53)によって傾斜可能にそれぞれの内端位置で軸支することにより前記断面積調節機構(T)を構成したことを特徴とする請求項1記載の芝刈り機。
【請求項3】
前記後部シュータ(6)の底板には、その連接端から傾斜可能に移送高さを調節する投出板(61)を軸支したことを特徴とする請求項2記載の芝刈り機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−65569(P2012−65569A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−211875(P2010−211875)
【出願日】平成22年9月22日(2010.9.22)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】