説明

芳香剤容器

【課題】ビーズ状芳香剤から効率良く揮散成分を揮散させると共に、揮散成分の揮散を抑制して香りの持続時間を十分に確保できる芳香剤容器を提供する。
【解決手段】多数のビーズ状芳香剤12を収容した容器本体11と、容器本体11の開口面11aを覆う正面板20を備えるカバー体14とからなる。容器本体11の開口面11aにシート側空気孔15が形成された開口面被覆シート19が取り付けられており、容器本体11の主側面部17aに箱側空気孔16が形成されている。主側面部17aの両側に隣接する側面部17bのフランジ18を、カバー体14の間隔保持プレート部24に後方から押し付けると共に、主側面部17aと反対側の側面部17cのフランジ18を、底辺部22bの張出し壁部23bの内側に当接させ、且つ係着凹部21に板状張出し部26の係着凸部25を係着させた状態で、容器本体11がカバー体14に着脱交換可能に装着される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、芳香剤容器に関し、特に、揮散成分を揮散する多数のビーズ状芳香剤を収容した容器本体の内部に空気を通過させて使用する芳香剤容器に関する。
【背景技術】
【0002】
芳香剤、消臭剤等の薬剤を吸収したビーズ状(粒状)のゲルを収容して、揮散成分を揮散させる容器が種々開発されている(例えば、特許文献1参照)。ビーズ状のゲルによる芳香剤、消臭剤等の薬剤(以下「ビーズ状芳香剤」とする)は、一般に揮散成分を揮散しつつ界面活性剤や溶剤等の水分を分離させるものであり、分離した水分が容器の外に漏れ出ないようにする必要がある。このため、ビーズ状芳香剤を収容した容器では、揮散開口を容器の上部(天面部)に設けて揮散成分を揮散させるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−175310号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ビーズ状芳香剤は、多数積み上げて容器に収容された場合でも、内部の粒子間に間隙が保持された状態となるので、これらの間隙を空気が通過するようにすれば、粒子間の間隙に面したビーズ状芳香剤の揮散面を効率良く利用して、さらに効果的に揮散成分を揮散させることができるものと考えられるが、上記従来のビーズ状芳香剤を用いた芳香剤容器では、容器の天面部にしか揮散開口が形成されていないため、粒子間の間隙を通過する空気の通り道を形成することが難しく、ビーズ状芳香剤の特性を利用してさらに効果的に揮散成分を揮散させることが困難である。
【0005】
一方、ビーズ状芳香剤の粒子間の間隙を通過する空気の通り道を形成するには、例えば容器の少なくとも2面に空気流通用の開口部を設けて、一方の開口部から容器内に空気を導入すると共に、他方の開口部から空気を導出させるようにすることが考えられるが、単に、空気導入用の開口部と、空気導出用の開口部を設けただけでは、揮散成分の揮散が進みすぎて、例えばビーズ状芳香剤による香りが強くなりすぎたり、香りの持続時間を十分に確保することが困難になる。また、容器内に空気の通り道を形成した場合でも、揮散成分を揮散させる空気導出用の開口部は、容器の上部に配置されるほうが揮散成分を効果的に揮散させる上で望ましい。
【0006】
本発明は、容器に収容されたビーズ状芳香剤の粒子間の間隙を通過する空気の通り道を形成して、ビーズ状芳香剤から効率良く揮散成分を揮散させることができると共に、揮散成分の揮散を効果的に抑制して、例えば香りの持続時間を十分に確保することができ、また空気導出用の開口部が、容器の上部に配置されるように誘導することのできる芳香剤容器を提供することを目的とする。
【0007】
なお本明細書中では、芳香剤には、消臭剤及び消臭芳香剤も含むものとする。また、カバー体には、容器本体の全体を収容する箱状の外容器を含まないものとする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、揮散成分を揮散する多数のビーズ状芳香剤を収容した容器本体の内部に空気の通り道を確保して、ビーズ状芳香剤の粒子間の間隙に空気を通過させながら揮散成分を揮散させる芳香剤容器であって、前記容器本体と、前記容器本体の略4角形の開口面を覆って当該開口面との間に間隔を保持した状態で配置される、略4角形の正面形状を有する正面板を備えるカバー体とからなり、前記容器本体は、前記開口面の開口周縁部にフランジを備える、略4角形の中空断面形状を有する凹箱部と、該凹箱部に収容される前記多数のビーズ状芳香剤と、前記フランジに接着されて前記開口面を覆って取り付けられる、シート側空気孔が形成された開口面被覆シートとを含んで構成され、前記容器本体には、前記凹箱部の4方の側面部のうちの一つを主側面部として、当該主側面部に、前記開口面の前記シート側空気孔を介して導入又は導出される空気を導出又は導入する箱側空気孔が形成されていると共に、前記開口面と反対側の前記凹箱部の底面部と、前記主側面部と隣接する一方の側面部との接合角部分に、係着凹部が形成されており、前記カバー体は、前記正面板と、前記正面板の周縁部に沿った、隣接する一対の角部を含む略U字形状部分から、後方に向けて斜め内側に張り出して設けられた張出し壁部と、前記略U字形状部分の両側の立上り部における前記張出し壁部の内側に隣接して各々設けられた、前記正面板と平行又は略平行に延設する当接面を有する間隔保持面部と、前記略U字形状部分の一方の立上り部に沿った前記正面板の辺部から後方に張り出して設けられた、先端部に係着凸部を備える板状張出し部とを含んで構成される芳香剤容器を提供することにより、上記目的を達成したものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の芳香剤容器によれば、容器に収容されたビーズ状芳香剤の粒子間の間隙を通過する空気の通り道を形成して、ビーズ状芳香剤から効率良く揮散成分を揮散させることができると共に、揮散成分の揮散を効果的に抑制して、例えば香りの持続時間を十分に確保することができ、また空気導出用の開口部が、容器の上部に配置されるように誘導することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の好ましい一実施形態に係る芳香剤容器の、(a)は斜め前方から見た斜視図、(b)は斜め後方から見た斜視図である。
【図2】本発明の好ましい一実施形態に係る芳香剤容器の、カバー体を透視した状態で示す側面図である。
【図3】(a)は容器本体の構成を説明する分解斜視図、(b)は容器本体の斜視図である。
【図4】カバー体を斜め後方から見た斜視図である。
【図5】容器本体を他の形態のカバー体に装着した芳香剤容器の、(a)は斜め前方から見た斜視図、(b)は斜め後方から見た斜視図である。
【図6】容器本体を他の形態のカバー体に装着した芳香剤容器の、カバー体を透視した状態で示す側面図である。
【図7】他の形態のカバー体を斜め後方から見た斜視図である。
【図8】カバー体のさらに他の形態を例示する斜め後方から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の好ましい一実施形態に係る芳香剤容器10は、図1(a),(b)及び図2に示すように、例えば球形粒状のゲルからなるビーズ状芳香剤12(図3(a)参照)を凹箱部13に多数収容した容器本体11と、容器本体11の開口面11aを覆って着脱可能に装着されるカバー体14とを含んで構成される。本実施形態の芳香剤容器10は、ビーズ状芳香剤12から揮散される揮散成分を、容器本体11の開口面11aに形成されたシート側空気孔15(図3(b)参照)と、容器本体11の凹箱部13の主側面部17aに形成された箱側空気孔16とを介して容器本体11の内部を通過する空気によって、外部に揮散させて芳香作用を発揮させる。また、本実施形態の芳香剤容器10は、カバー体14の正面板20を側方に向けると共に、容器本体11の凹箱部13の箱側空気孔16が形成された主側面部17aを上部に配置して、縦置きにした状態で使用されるように使用者を誘導することで、ビーズ状芳香剤12から揮散される揮散成分を効率良く揮散させる機能を備える。さらに、本実施形態の芳香剤容器10は、ビーズ状芳香剤12からの揮散成分の揮散を効果的に抑制して、例えばビーズ状芳香剤12による香りが強くなりすぎたり、香りの持続時間を十分に確保できなくなるのを回避する機能を備える。
【0012】
そして、本実施形態の芳香剤容器10は、揮散成分を揮散する多数のビーズ状芳香剤12を収容した容器本体11の内部に空気の通り道を確保して、ビーズ状芳香剤12の粒子間の間隙に空気を通過させながら揮散成分を揮散させる容器であって、容器本体11と、容器本体11の略4角形の開口面11a(凹箱部13の天面開口部13a)の全体を覆って当該開口面11aとの間に間隔を保持した状態で配置される、略4角形の正面形状を有する正面板20を備えるカバー体14とからなる。
【0013】
容器本体11は、図3(a)、(b)にも示すように、開口面11aの開口周縁部から開口面11aと平行又は略平行に外側に突出して設けられた帯状のフランジ18を備える、略4角形の中空断面形状を有する凹箱部13と、凹箱部13に収容される多数のビーズ状芳香剤12と、フランジ18に接着されて開口面11aを覆って取り付けられる、シート側空気孔15が形成された開口面被覆シート19とを含んで構成される。容器本体11には、凹箱部13の4方の側面部17a,17b,17cのうちの一つを主側面部17aとして、当該主側面部17aに、開口面11aのシート側空気孔15を介して導入又は導出される空気を導出又は導入する箱側空気孔16が形成されていると共に、開口面11aと反対側の凹箱部13の底面部13bと、主側面部17aと隣接する一方の側面部17bとの接合角部分に、係着凹部21が形成されている。
【0014】
カバー体14は、図4にも示すように、正面板20と、正面板20の周縁部に沿った、隣接する一対の角部20aを含む略U字形状部分22から、後方に向けて斜め内側に張り出して設けられた張出し壁部23と、略U字形状部分22の両側の立上り部22aにおける張出し壁部23aの内側に隣接して各々設けられた、正面板20と平行又は略平行に延設する当接面24aを有する間隔保持面部としての間隔保持プレート部24と、略U字形状部分22の一方の立上り部22aに沿った正面板20の辺部20bから後方に張り出して設けられた、先端部に係着凸部25を備える板状張出し部26とを含んで構成される。
【0015】
図1(a)、(b)及び図2に示すように、主側面部17aの両側に隣接する側面部17bのフランジ18を、カバー体14の間隔保持プレート部24に後方から押し付けると共に(図2参照)、主側面部17aと対向するこれと反対側の側面部17cのフランジ18の端部(下端部)18aを、略U字形状部分22の底辺部22bの張出し壁部23bの内側に当接させ、且つ係着凹部21に板状張出し部26の係着凸部25を係着させた状態で、容器本体11がカバー体14に着脱交換可能に装着される。
【0016】
また、本実施形態では、図2及び図4に示すように、カバー体14の少なくとも一方の間隔保持プレート部24の、正面板20の略U字形状部分22の底辺部22bとは反対側の端部から連続して、正面板20の裏面に向けて斜めに延設するスロープ部27が設けられている。
【0017】
さらに、本実施形態では、図4に示すように、正面板20の略U字形状部分22の底辺部22bの張出し壁部23bには、容器本体11の主側面部17aと対向する反対側の側面部17cのフランジ18の端部18aを、当該略U字形状部分22の底辺部22bの張出し壁部23bの内側に当接させる際に、フランジ18を正面板20に向けてスライド移動させる傾斜先端部28aを備えるガイドリブ28が設けられている。
【0018】
本実施形態では、容器本体11の凹箱部13は、好ましくは合成樹脂製の成形品であって、図3(a)、(b)に示すように、略4角形の中空断面形状として、角部が弧状に面取りされた略正方形の中空断面形状を備える箱形状に形成される。また凹箱部13は、略正方形の底面部13bと、底面部13bの周縁部から上方に連続して立設する4方の側面部17a,17b,17cとからなる。これらの側面部17a,17b,17cは、底面部13bの弧状に面取りされた角部に沿って立設する湾曲接続部17dを介して一体として接続している。またこれらの側面部17a,17b,17cは、湾曲接続部17dと共に上方に向けて外側にやや傾いた状態で立設している。これらの側面部17a,17b,17c及び湾曲接続部17dの上端の、フランジ18によって縁取りされた凹箱部13の天面開口部13aが、容器本体11の開口面11aを形成するようになっている。この天面開口部13aによる容器本体11の開口面11aは、凹箱部13にビーズ状芳香剤12を収容した後に、フランジ18に、多数のシート側空気孔15が形成された開口面被覆シート19が貼着されることによって覆われることになる。
【0019】
また、本実施形態では、容器本体11の凹箱部13の4方の側面部17a,17b,17cのうちの一つを主側面部17aとして、この主側面部17aに例えば細長い長円形状の箱側空気孔16が、長軸方向を平行に配置して複数開口形成されている。箱側空気孔16は、複数設ける必要は必ずしも無く、1箇所にのみ設けることもできる。箱側空気孔16は、芳香剤容器10が使用される前は、例えば当該箱側空気孔16を覆って合成樹脂製の貼着シート(図示せず)を剥離可能に主側面部17aに貼り付けておくことで、容易に閉塞しておくことができる。この貼着シートを芳香剤容器10の使用時に主側面部17aから引き剥がすことによって、箱側空気孔16を開放することができる。
【0020】
さらに、本実施形態では、容器本体11の凹箱部13の主側面部17aとは反対側の、使用時に下部に配置される側面部17cと、底面部13bとの接合角部分は、載置底辺部13c(図1(b)、図2参照)として用いられて、カバー体14の略U字形状部分22の底辺部22bの張出し壁部23bと共に、芳香剤容器10を被載置面40に安定した状態で載置させるための載置部として機能するようになっている。
【0021】
さらにまた、本実施形態では、容器本体11の凹箱部13の底面部13bと、主側面部17aと隣接する一方の側面部17bとの接合角部分には、図1(b)及び図2に示すように、係着凹部21が形成されている。本実施形態では、係着凹部21は、底面部13bと一方の側面部17bとの接合角部分に沿って延設すると共に、一方の端部を主側面部17aに開放させ、他方の端部を当該接合角部分の略中央部分で終端させた、略矩形断面形状を備える切り欠き溝として形成されている。この係着凹部21には、容器本体11をカバー体14に装着する際に、カバー体14の板状張出し部26の係着凸部25が係着される。
【0022】
容器本体11の開口面11aを覆って取り付けられる開口面被覆シート19は、図3(a),(b)に示すように、例えば合成樹脂製の透明なシート材料からなり、ビーズ状芳香剤12の外形よりも相当程度小さな開口幅を有するシート側空気孔15が、開口面11aを覆う領域に分散配置されて多数開口形成されている。開口面被覆シート19は、接着剤等を介して、又はヒートシールを施すことによって、周縁部が容器本体11のフランジ18に強固に接着固定される。開口面被覆シート19は、芳香剤容器10が使用される前は、例えば当該開口面被覆シート19を覆って合成樹脂製の貼着シート(図示せず)を剥離可能に貼り付けておくことで、容易にシート側空気孔15を閉塞しておくことができる。この貼着シートを芳香剤容器10の使用時に引き剥がすことによって、シート側空気孔15を開放することができる。
【0023】
本実施形態では、カバー体14は、好ましくは合成樹脂製の成形品であって、図1(a)、(b)、図2、及び図4に示すように、略4角形の正面形状を備える正面板17と、正面板20の周縁部から後方に向けて斜め内側に張り出して設けられた張出し壁部23と、略U字形状部分22の立上り部22aの張出し壁部23aの内側に隣接して設けられた間隔保持プレート部24と、正面板20の一方の辺部20bから後方に張り出して設けられた板状張出し部26とを含んで構成される。カバー体14は、金属、木、紙、パルプ、ガラス、陶器等を用いて形成することもできる。
【0024】
正面板17は、本実施形態では、略4角形の正面形状として、略正方形の環状に配置された容器本体11のフランジ18よりも一回り大きな、平面視して角部が弧状に面取りされた略正方形の正面形状を備える。また、正面板17は、芳香剤容器10を縦置きに載置した使用時における縦方向の断面が、外側に向けて緩やかな弧状の凸に湾曲する湾曲板となっている。
【0025】
張出し壁部23は、本実施形態では、正面板20の周縁部の隣接する一対の角部を含む略U字形状部分22として、芳香剤容器10の使用時に下部に配置される一対の角部20aを含む、略正方形の正面板20の略下半部分の周縁部の略全体から、後方に張り出して設けられている。本実施形態では、張出し壁部23は、外側に向けて凸の緩やかな弧状に湾曲しながら、後方に向けて、容器本体11の凹箱部13の側面部17a,17b,17cの高さの略半分程度の張出し長さで設けられている。また張出し壁部23は、その全周に亘って、後方に向けて例えば0〜20°、好ましくは5〜12°程度の傾斜角度で斜め内側に傾斜して設けられている。張出し壁部23が斜め内側に張り出して設けられていることにより、張出し壁部23が後方に張し出していないカバー体14の上部側から、カバー体14に容器本体11がスムースに装着されるように誘導することが可能になると共に、装着された容器本体11が、開口面11aをカバー体14の正面板20と近接させた装着状態から、後方に向けて引き出され難くすることが可能になる。
【0026】
間隔保持プレート部24は、本実施形態では、正面板20の略下半部分の周縁部に沿った略U字形状部分22の、両側の立上り部22aの張出し壁部23aの内側面から、容器本体11の凹箱部13のフランジ18の幅よりも僅かに広い突出幅で内側に各々突出すると共に、当該内側面に沿って、正面板20と平行又は略平行に配設されて相当の長さで縦方向に延設して設けられている。また、本実施形態では、間隔保持プレート部24は、その一方の端部(下端部)を、略U字形状部分22の立上り部22aと底辺部22bとの間の、フランジ18の弧状に面取りされた角部と同様の曲率を備える弧状接合部の張出し壁部23cの内側面に接合させると共に、その他方の端部(上端部)に、スロープ部27を連設させた状態で設けられている。間隔保持プレート部24は、これの後方から容器本体11のフランジ18を当接面24aに当接させることで、開口面被覆シート19によって覆われた容器本体11の開口面11aと、カバー体14の正面板20との間に空気流通用の間隔部分30を保持させる(図2参照)。
【0027】
スロープ部27は、間隔保持プレート部24の上端部である、正面板20の周縁部の略下半部分に沿った略U字形状部分22の底辺部22bとは反対側の端部から、当該間隔保持プレート部24と連続して設けられる。スロープ部27は、間隔保持プレート部24と同様の幅で、両側の立上り部22aの張出し壁部23aの内側面から各々内側に突出すると共に、正面板20の裏面に向けて緩い勾配で斜めに延設して、その上端部が折れ曲がるようにして正面板20の内側面に接合された状態で設けられている。間隔保持プレート部24の上端部に連続してスロープ部27が設けられていることにより、カバー体14に容器本体11を上方から装着する際に、容器本体11のフランジ18が、正面板20と間隔保持プレート部24との間に誤って差し込まれるのを効果的に回避できると共に、正面板20と間隔保持プレート部24との間に差し込まれようとしたフランジ18を、傾斜面に沿って間隔保持プレート部24の後方に移動させるようにガイドすることが可能になる。
【0028】
また、本実施形態では、図4に示すように、正面板20の略U字形状部分22の底辺部22bの張出し壁部23bには、これの内側面から上方に突出して、補強リブ29とガイドリブ28とが設けられている。補強リブ29は、正面板20と平行に延設すると共に、底辺部22bの張出し壁部23bを横断して設けられている。ガイドリブ28は、補強リブ29の中央部分を挟んだ両側に、補強リブ29と直角に交差する方向に延設して、補強リブ29と同様の高さで一対設けられている。ガイドリブ28は、正面板20と近接する側の先端部を、両側の間隔保持プレート部24の下端部後面を結ぶ線分から、容器本体11のフランジ18の肉厚分離れた位置に配置した状態で設けられている。また、ガイドリブ28の正面板20と近接する側の先端部分には、外側に向けて凸に湾曲しながら傾斜する傾斜先端部28aが設けられている。
【0029】
正面板20の略U字形状部分22の底辺部22bの張出し壁部23bに補強リブ29が設けられていることにより、当該張出し壁部23bを効果的に補強して、これの剛性を高めることが可能になる。また、傾斜先端部28aを備えるガイドリブ28が設けられていることにより、容器本体11をカバー体14に上方から装着して、主側面部17aと反対側の側面部17cのフランジ18の端部18aを、底辺部22bの張出し壁部23bの内側に当接させる際に、ガイドリブ28の傾斜先端部28aに沿わせるようにして、当該フランジ18の端部18aを正面板20に向けて前方に僅かにスライド移動させることが可能になる。これによって、当該フランジ18の端部18aを、両側の間隔保持プレート部24の後面とガイドリブ28の先端部との間に挟み込むようにして位置め決して、より安定した状態で容器本体11をカバー体14に装着することが可能になる。
【0030】
さらに、本実施形態では、正面板20の略U字形状部分22の底辺部22bの張出し壁部23bから、弧状接合部の張出し壁部23cにかけて、間隔保持プレート部24の前方側の部分に、通気用の開口窓31が切欠き形成されている。間隔保持プレート部24の前方側の部分の張出し壁部23に通気用の開口窓31が形成されていることにより、開口面被覆シート19によって覆われた容器本体11の開口面11aと、カバー体14の正面板20との間の空気流通用の間隔部分30の全体に、さらに効率良く空気を流通させることが可能になる。
【0031】
板状張出し部26は、本実施形態では、図1(b)、図2、及び図4に示すように、正面板20の周縁部の略U字形状部分22の、一方の立上り部22aに沿った正面板20の辺部20bから後方に板バネ状に張り出して設けられている。板状張出し部26は、その基部26aを、一方の立上り部22aの張出し壁部23aの上端部に一体接合すると共に、その張出し本体部16bを、基部26aから片持ち梁形状にさらに後方に張り出した状態で設けられている。板状張出し部26の特に張出し本体部26bは、弾性変形可能な板として機能することができ、例えば外側に押し拡げるように曲折させることで、容器本体11をカバー体14に上方から装着する際に、先端の係着凸部25が邪魔にならないようにすることができる。また外側に押し拡げた状態を解除することで、その弾性復元力により元の状態に戻ろうとして、装着された容器本体11の係着凹部21に先端の係着凸部25を係着させることができるようになっている。
【0032】
板状張出し部26の先端部に設けられた係着凸部25は、張出し本体部26bの先端部から直角内側に折れ曲がって、係着凹部21の幅よりも僅かに短い突出長さで突出すると共に、斜辺部分25aが外側に向けて凸に湾曲する略直三角形状の突出片として設けられている。係着凸部25は、間隔保持プレート部24に後方からフランジ18を密着当接させた状態で、カバー体14に容器本体11が装着された際に、当該係着凸部25の内側面が係着凹部21の段差係着面21aに係着又は近接して配置されるような位置に設けられている。
【0033】
係着凸部25が斜辺部分25aを斜め上方に向けた略直角台形状の突出片となっていることにより、主側面部17aを上部に配設して、容器本体11をカバー体14に上方から装着する際に、係着凸部25は、例えば板状張出し部26を手の指で外側に押し拡げなくても、主側面部17aと隣接する係着凹部21が形成された一方の側面部17bの、当該係着凹部21よりも下方の部分に、板状張出し部26を外側に押し拡げるようにしながら斜辺部分25aを介してスムーズに乗り上がることが可能になる。一方の側面部17bに乗り上がった係着凸部25は、略直三角形状の底辺部25bが、押し拡げられた板バネの板状張出し部26の弾性復元力によって係着凹部21に落ち込むまで、当該一方の側面部17bに沿ってスライド移動する。係着凹部21に落ち込んで当該係着凹部21に係着された係着凸部25は、略直三角形状の底辺部25bが係着凹部21の終端部21bに係止されることで、ストッパーとして機能する。これによって、装着された容器本体11がカバー体14から脱落するのを効果的に回避することが可能になる。
【0034】
板状張出し部26の係着凸部25よりもさらに先端側には、指掛けつば部32が設けられている。指掛けつば部32に指を係止することで、容器本体11をカバー体14から取り外す際に、板状張出し部26の張出し本体部26bを外側に押し拡げて係着凸部25の係着状態を解除する操作を、スムーズに行うことが可能になる。
【0035】
上述の構成を備える本実施形態の芳香剤容器10によれば、主側面部17aを上部に配設して、容器本体11を、カバー体14の略下半部分に設けられた張出し壁部23に向けて、上方から着脱交換可能に装着することで、容器本体11とカバー体14とを容易に一体化することができる。しかる後に、容器本体11の下部に配置される側面部17cと底面部13bとの接合角部分による載置底辺部13cと、カバー体14の略U字形状部分22の底辺部22bの張出し壁部23bとを載置部として、カバー体14の正面板20を側方に向け、且つ容器本体11の主側面部17aを上部に配置することで縦置きにした状態で、芳香剤容器10を被載置面40に載置する。これによって、芳香剤容器10を、例えば、棚、テーブル、床、等の被載置面40に安定した状態で載置して使用することができる。
【0036】
そして、本実施形態の芳香剤容器10によれば、容器本体11に収容されたビーズ状芳香剤12の粒子間の間隙を通過する空気の通り道を形成して、ビーズ状芳香剤12から効率良く揮散成分を揮散させることが可能になると共に、揮散成分の揮散を効果的に抑制して、例えば香りの持続時間を十分に確保することが可能になり、また空気導出用の開口部としての箱側空気孔16が、芳香剤容器10の使用時に上部に配置されるように容易に誘導することが可能になる。
【0037】
すなわち、本実施形態によれば、芳香剤容器10は、縦置きされた状態で横方向を向いた容器本体11の開口面11aのシート側空気孔15と、上部に配置された容器本体11の主側面部17aの箱側空気孔16とを介して、容器本体11の内部に空気を容易に通過させることが可能になるので、容器本体11に収容されたビーズ状芳香剤12の粒子間の間隙を通過する空気の通り道を容易に形成して、ビーズ状芳香剤12から効率良く揮散成分を揮散させることが可能になる。
【0038】
また、本実施形態の芳香剤容器10によれば、容器本体11の開口面11aの全体を覆って当該開口面11aとの間に間隔部分30を保持した状態で、カバー体14の正面板20が配置されている。正面板20は、開口面11aの全体を覆って配置されることで、開口面11aに向かう気流を遮蔽したり、制限したりして揮散成分の揮散を制御できるものと考えられる。これによって、例えば容器本体11の開口面11aに向う空気の流れを正面板20によって遮断して、シート側空気孔15から直接的に勢い良く空気が容器本体11の内部に導入されるのを回避できると共に、正面板20の裏側の間隔部分30に回り込むようにして、間接的に流入した勢いの衰えた空気のみを、開口面11aのシート側空気孔15から容器本体11の内部に導入できるようになっているので、例えばビーズ状芳香剤12による香りが強くなりすぎたり、香りの持続時間を十分に確保できなくなるのを効果的に回避することが可能になる。
【0039】
さらに、本実施形態の芳香剤容器10によれば、容器本体11の主側面部17aと隣接する、一方の側面部17bと底面部13bとの接合角部分に形成された係着凹部21に、カバー体14の正面板20の略U字形状部分22の、一方の立上り部22aに沿った辺部20bに設けられた板状張出し部26の係着凸部25を係着させることで、容器本体11がカバー体14に装着されるようになっている。したがって、箱側空気孔16が形成された主側面部17aを上部に配設した状態で、容器本体11を、カバー体14の略下半部分に設けられた張出し壁部23に向けて上方から装着することができるようになっている。また、容器本体11がカバー体14に装着された状態では、容器本体11の主側面部17aとは反対側の、正面板20の略U字形状部分22の底辺部22bの張出し壁部23bを載置部として下部に配置することで、芳香剤容器10を縦置きして安定した状態で被載置面40に載置することができるようになっている。
【0040】
これらによって、本実施形態の芳香剤容器10によれば、正面板20を側方に向け、且つ主側面部17aを上部に配置して縦置きにした状態で使用されるように、使用者を容易に誘導することが可能になると共に、ビーズ状芳香剤12から揮散される揮散成分を、容器10の上部に配置された箱側空気孔16等から効果的に且つ効率良く揮散させることが可能になる。
【0041】
さらにまた、本実施形態によれば、容器本体11の開口面11aを覆う開口面被覆シート19に形成されたシート側空気孔15のうち、縦置きした状態で最も下側に配置されるシート側空気孔15よりも下方の部分が、ビーズ状芳香剤12から分離した水分を液溜めする液溜り部として機能するので、ビーズ状芳香剤12から分離した水分が容器本体11の外に漏れ出るのを効果的に回避することも可能になる。
【0042】
また、本実施形態によれば、カバー体14の正面板20の大きな表面を、デザイン画、広告及び説明書き等を施すための装飾面として有効に利用して、芳香剤容器10の意匠性をさらに向上させることも可能になる。
【0043】
図5(a)、(b)及び図6は、容器本体11を他の形態のカバー体14’に装着した芳香剤容器10’を示すものである。図5(a)、(b)及び図6に示す芳香剤容器10’では、カバー体14’は、好ましくは合成樹脂製の成形品であって、図5(a)、(b)、図6、及び図7に示すように、略4角形の正面形状を備える正面板20と、正面板20の周縁部に沿った、隣接する一対の角部20aを含む略U字形状部分22から、後方に向けて斜め内側に張り出して設けられた張出し壁部23と、略U字形状部分22の両側の立上り部22aにおける張出し壁部23aの内側に隣接して各々設けられた、正面板20と平行又は略平行に延設する当接面24aを有する間隔保持面部24と、略U字形状部分22の一方の立上り部22aに沿った正面板20の辺部から後方に張り出して設けられた、先端部に係着凸部25を備える板状張出し部26とを含んで構成される。
【0044】
正面板20は、本実施形態では、1枚のプレート部材からなり、略4角形の正面形状として、略正方形の環状に配置された容器本体11のフランジ18よりも一回り大きな、平面視して角部が弧状に面取りされた略正方形の正面形状を備える。これによって、正面板20は、その表面に、着色、デザイン画、写真画、広告、説明書き等の装飾を施すのに適した、適度な大きさ及び形状の装飾面20bを形成することができる。
【0045】
張出し壁部23は、正面板20の略U字形状部分22から後方に向けて張り出すように延設すると共に、略U字形状部分22の周方向に連続して、例えば容器本体11の凹箱部13の側面部17a,17b,17cの高さよりも若干小さな張出し長さで設けられている。張出し壁部23は、その全周に亘って、後方に向けて例えば0〜20°程度、好ましくは5〜12°程度の傾斜角度で斜め内側に傾斜して設けられている。張出し壁部23が斜め内側に傾斜して設けられていることにより、張出し壁部23が後方に張し出していないカバー体14’の上部側から装着された容器本体11が、開口面11aをカバー体14’の正面板20と近接させた装着状態から、後方に向けて引き出されないようにすることが可能になる。また、略U字形状部分22の底辺部22bの張出し壁部23bを載置部として、例えば、棚、テーブル、床、等の被載置面40に芳香剤容器10’を載置した際に(図6参照)、側方に向けたカバー体14の正面板20の装飾面となっている表面を、斜め上方に傾けさせて、人の視覚に入りやすいようにすることが可能になる。
【0046】
また、略U字形状部分22の両側の立上り部22bにおける張出し壁部23aの内側に隣接して、図6に示すように、間隔保持面部24が各々設けられている。
【0047】
間隔保持面部24は、略U字形状部分22の両側の立上り部22aにおける張出し壁部23aの内側面から、容器本体11の凹箱部13のフランジ18の幅と略同様の突出幅で内側に各々突出すると共に、当該内側面に沿って、正面板20と平行又は略平行に配設されて相当の長さで縦方向に延設して設けられている。間隔保持面部24は、その一方の端部(下端部)を、略U字形状部分22の立上り部22aと底辺部22bとの間の弧状接合部22cの張出し壁部23cの内側面に接合させると共に、その他方の端部(上端部)に、スロープ部27を連設させた状態で設けられている。間隔保持面部24は、これの後側の面を当接面24aとして、後方から容器本体11のフランジ18を押し当てさせることで、開口面被覆シート19によって覆われた容器本体11の開口面11aと、カバー体14’の正面板20との間に空気流通用の間隔部分30を保持させることが可能になる(図6参照)。
【0048】
スロープ部27は、間隔保持面部24の上端部に連設すると共に、正面板20の裏面に向けて緩い勾配で斜めに延設して、その上端部を、正面板20の裏面に接合させた状態で設けられている。間隔保持面部24の上端部に連続してスロープ部27が設けられていることにより、カバー体14に容器本体11を上方から装着する際に、容器本体11のフランジ18が、正面板20と間隔保持面部24との間に誤って差し込まれるのを効果的に回避することができる。またスロープ部27が設けられていることにより、正面板20と間隔保持面部24との間の部分に向けて差し込まれたフランジ18を、スロープ部27に沿って間隔保持面部24の後方にスライド移動させるようにガイドすることが可能になる。
【0049】
カバー体14’には、さらに、略U字形状部分22の底辺部22bの張出し壁部23bに、これの内側面から上方に突出して、一対のガイドリブ28が設けられている。ガイドリブ28は、底辺部22bの張出し壁部23bの中央部分を挟んだ両側に、正面板20と直角に交差する方向に延設して設けられている。ガイドリブ28は、正面板20と近接する側の先端部を、両側の間隔保持面部24の下端部後面を結ぶ線分から、容器本体11のフランジ18の肉厚相当分離れた位置に配置した状態で設けられている。また、ガイドリブ28の正面板20と近接する側の部分には、正面板20側に向けて下方に傾斜する、傾斜面部28aが設けられている。
【0050】
略U字形状部分22の底辺部22bの張出し壁部23bに、傾斜面部28aを備えるガイドリブ28が設けられていることにより、容器本体11をカバー体14’に上方から装着して、容器本体11の主側面部17aとは反対側の側面部17cのフランジ18の端部(下端部)18aを、底辺部22bの張出し壁部23bの内側に当接させる際に、ガイドリブ28の傾斜面部28aに沿わせるようにして、当該フランジ18の端部18aを、正面板20に向けて前方に僅かにスライド移動させることが可能になる。これによって、当該フランジ18の端部18aを、両側の間隔保持面部24の後面とガイドリブ28の先端部との間に挟み込むように位置め決して、より安定した状態で容器本体11をカバー体14’に装着することが可能になる(図6参照)。
【0051】
また、図5(a)、(b)、図6、及び図7に示すカバー体14’では、略U字形状部分22の両側の立上り部22aの張出し壁部23aにおける、間隔保持面部24よりも正面板20側の部分は、立上り部22aと底辺部22bとの間の弧状の角部20aの張出し壁部23cの部分を含めて、正面板20の側縁部に沿って形成された切欠き部33となっている。立上り部22bの張出し壁部23aに切欠き部33が形成されていることにより、当該切欠き部33によって、立上り部22aの張出し壁部23aに通気用の開口窓31が切り欠き形成されることになる。立上り部22aの張出し壁部23aに通気用の開口窓31が形成されることにより、開口面被覆シート19によって覆われた容器本体11の開口面11aと、カバー体14’の正面板20との間の空気流通用の間隔部分30の全体に、さらに効率良く空気を流通させることが可能になる。
【0052】
さらに、図5(a)、(b)、図6、及び図7に示すカバー体14’では、略U字形状部分22の一方の立上り部22aにおける張出し壁部23aから後方に張り出して、先端部に係着凸部25を備える板状張出し部26が設けられている。
【0053】
板状張出し部26は、その基部を、一方の立上り部22aの張出し壁部23aの上部に一体接合して、基部から後方に片持ち梁形状に張り出した状態で設けられている。板状張出し部26は、基部が一体接合された部分の張出し壁部23aと共に、弾性変形可能な板バネとして機能することができる。板状張出し部26は、例えば張出し壁部23aと共に外側に押し拡げることで、容器本体11をカバー体14’に上方から装着する際に、先端の係着凸部25が邪魔にならないようにすることができる。また外側に押し拡げた状態を解除することで、その弾性復元力により元の状態に戻ろうとして、装着された容器本体11の係着凹部21に先端の係着凸部25を係着させることが可能になる。
【0054】
板状張出し部26の先端部に設けられた係着凸部25は、板状張出し部26から略直角に内側に折れ曲がって、容器本体11の係着凹部21の幅よりも僅かに短い突出長さで突出すると共に、斜辺部分25aを備える縦長の略直角台形状の突出片として設けられている。係着凸部25は、間隔保持面部24に後方からフランジ18を押し当てた状態で、カバー体14’に容器本体11が装着された際に、当該係着凸部25の内側面が係着凹部21の段差係着面21aに係着又は近接して配置されるような位置に設けられている。
【0055】
また、係着凸部25は、斜辺部分25aを斜め上方に向けた略直角台形状の突出片となっていることにより、主側面部17aを上部に配設して、容器本体11をカバー体14’に上方から装着する際に、主側面部17aと隣接する、係着凹部21が形成された一方の側面部17bの当該係着凹部21よりも下方の部分に、係着凸部25を斜辺部分25aを介してスムーズに乗り上げさせて、係着凸部25が係着凹部21に落ち込むまで、係着凸部25を一方の側面部17bに沿って容易にスライド移動させることが可能になる。さらに、係着凸部25は、係着凹部21に落ち込んで係着された後は、略直角台形状の底辺部25bが係着凹部21の終端面に係止されることでストッパーとして機能して、容器本体11がカバー体14’から脱落するのを効果的に回避することが可能になる。
【0056】
なお、板状張出し部26の係着凸部25よりもさらに先端側には、指掛けつば部32が設けられている。指掛けつば部32に指を係止することで、容器本体11をカバー体14’から取り外す際に、板状張出し部26の張出し本体部26bを外側に押し拡げて係着凸部25の係着状態を解除する操作を、スムーズに行うことが可能になる。
【0057】
さらに、図5(a)、(b)、図6、及び図7に示すカバー体14’では、張出し壁部23の後端縁部から略U字形状部分22の内側に折れ曲がるように立設して、縁取りフランジ部34が、板状張出し部26が張り出す部分を除いた、張出し壁部23の略全周に亘って設けられている。縁取りフランジ部34は、容器本体11の略正方形の中空断面形状を有する凹箱部13の外周面に沿った形状の内側縁部を備えるように設けられる。張出し壁部23の後端縁部に縁取りフランジ部34が設けられていることにより、カバー体14’に容器本体11が装着された際に、凹箱部13の主側面部17aを除く側面部17b,17cと、張出し壁部23との間の隙間を埋めて、容器本体11をカバー体14’に、ガタツキ等が生じないようにさらに安定した状態で装着することが可能になる。
【0058】
容器本体11を他の形態のカバー体14’に装着した図5(a)、(b)に示す芳香剤容器10’によっても、上述の図1(a)、(b)に示す芳香剤容器10と同様の作用効果が奏される。
【0059】
なお、本発明は上記実施形態に限定されることなく種々の変更が可能である。例えば、カバー体の正面板や凹箱部は、略正方形の正面形状や中空断面形状を備えている必要は必ずしも無く、略矩形や略台形等、その他の種々の略4角形の正面形状や中空断面形状を備えていても良い。また、正面板は、外側に向けて凸に湾曲する湾曲板となっている必要は必ずしもなく、容器本体の開口面との間に間隔を保持できれば、平坦な正面板であっても良い。さらに、本発明の芳香剤容器は、容器本体の箱側空気孔が形成された主側面部を上部に配置して、縦置きにして用いることが通常であるが、例えば容器本体の底面部を被載置面に載置して、横置きして用いることもでできる。さらにまた、容器本体の主側面部の箱側空気孔を空気導入用の孔とし、容器本体の開口面のシート側空気孔を空気導出用の孔として、容器本体の内部に、箱側空気孔からシート側空気孔に向う空気の流れを生じさせながら揮散成分を揮散させることもできる。
【0060】
また、正面板の周縁部に沿った略U字形状部分から後方に張り出して設けられた張出し壁部は、当該略U字形状部分の全長に亘って連続して設けられている必要は必ずしも無く、板状張出し部は、その基部を、略U字形状部分の一方の立上り部の張出し壁部の上端部に一体接合して設けられている必要は必ずしも無い。例えば、図8に示すように、張出し壁部23’は、角部を除いた部分でその一部を切り欠いて、略U字形状部分に沿って断続的に設けることもでき、板状張出し部26’は、その全体を張出し壁部23’から離間させて設けることもできる。さらに、カバー体の板状張出し部の係着凸部は、略直三角形状や略直角台形状のものである必要は必ずしもなく、容器本体の係着凹部は、一方の端部を主側面部に開放させたものである必要は必ずしもない。さらにまた、カバー体の正面板は、容器本体の開口面の全体を覆っている必要は必ずしもなく、本発明の効果を奏する範囲で、正面板に孔が設けられていたり、開口面の一部分が露出していても良い。また、間隔保持面部は、立上り部の張出し壁部の内側面から内側に突出させて設ける必要は必ずしもなく、例えば正面板から後方(裏面側)に突出させて設けることもできる。
【符号の説明】
【0061】
10,10’ 芳香剤容器
11 容器本体
11a 開口面
12 ビーズ状芳香剤
13 凹箱部
13a 天面開口部
13b 底面部
14,14’ カバー体
15 シート側空気孔
16 箱側空気孔
17a 主側面部
17b 主側面部と隣接する側面部
17c 主側面部と反対側の側面部
18 フランジ
19 開口面被覆シート
20 正面板
20a 隣接する一対の角部
20b 略U字形状部分の一方の立上り部に沿った辺部
21 係着凹部
22 略U字形状部分
22a 立上り部
22b 底辺部
23 張出し壁部
23a 略U字形状部分の立上り部の張出し壁部
23b 略U字形状部分の底辺部の張出し壁部
23c 弧状接合部の張出し壁部
24 間隔保持プレート部(間隔保持面部)
25 係着凸部
26 板状張出し部
27 スロープ部
28 ガイドリブ
28a 傾斜先端部
29 補強リブ
30 空気流通用の間隔部分
31 開口窓
40 被載置面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
揮散成分を揮散する多数のビーズ状芳香剤を収容した容器本体の内部に空気の通り道を確保して、ビーズ状芳香剤の粒子間の間隙に空気を通過させながら揮散成分を揮散させる芳香剤容器であって、
前記容器本体と、前記容器本体の略4角形の開口面を覆って当該開口面との間に間隔を保持した状態で配置される、略4角形の正面形状を有する正面板を備えるカバー体とからなり、
前記容器本体は、前記開口面の開口周縁部にフランジを備える、略4角形の中空断面形状を有する凹箱部と、該凹箱部に収容される前記多数のビーズ状芳香剤と、前記フランジに接着されて前記開口面を覆って取り付けられる、シート側空気孔が形成された開口面被覆シートとを含んで構成され、
前記容器本体には、前記凹箱部の4方の側面部のうちの一つを主側面部として、当該主側面部に、前記開口面の前記シート側空気孔を介して導入又は導出される空気を導出又は導入する箱側空気孔が形成されていると共に、前記開口面と反対側の前記凹箱部の底面部と、前記主側面部と隣接する一方の側面部との接合角部分に、係着凹部が形成されており、
前記カバー体は、前記正面板と、前記正面板の周縁部に沿った、隣接する一対の角部を含む略U字形状部分から、後方に向けて斜め内側に張り出して設けられた張出し壁部と、前記略U字形状部分の両側の立上り部における前記張出し壁部の内側に隣接して各々設けられた、前記正面板と平行又は略平行に延設する当接面を有する間隔保持面部と、前記略U字形状部分の一方の立上り部に沿った前記正面板の辺部から後方に張り出して設けられた、先端部に係着凸部を備える板状張出し部とを含んで構成される芳香剤容器。
【請求項2】
前記主側面部の両側に隣接する側面部の前記フランジを、前記カバー体の前記間隔保持面部の当接面に後方から押し付けると共に、前記主側面部と反対側の側面部の前記フランジの端部を、前記略U字形状部分の底辺部の前記張出し壁部の内側に当接させ、且つ前記係着凹部に前記板バ状張出し部の係着凸部を係着させた状態で、前記容器本体が前記カバー体に着脱交換可能に装着される請求項1記載の芳香剤容器。
【請求項3】
少なくとも一方の前記間隔保持面部の前記略U字形状部分の底辺部とは反対側の端部から連続して、前記正面板の裏面に向けて斜めに延設するスロープ部が設けられている請求項1又は2に記載の芳香剤容器。
【請求項4】
前記略U字形状部分の底辺部の前記張出し壁部には、前記主側面部と対向する側面部の前記フランジの端部を、当該略U字形状部分の底辺部の前記張出し壁部の内側に当接させる際に、前記フランジを前記正面板に向けてスライド移動させる傾斜先端部を備えるガイドリブが設けられている請求項1〜3の何れか1項に記載の芳香剤容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−157685(P2012−157685A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−242225(P2011−242225)
【出願日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】