芳香族化触媒の強化方法
窒素供給物質、酸素供給物質、またはその両方を炭化水素流に添加し、強化された炭化水素流を生成し、次いでこの強化された炭化水素流を芳香族化触媒と接触させ、これにより芳香族炭化水素化合物を含有する芳香族化反応塔流出液を生成することを含み、ここで当該触媒は非酸性ゼオライト支持体、第VIII族金属および1種または2種以上のハロゲン化物を含有する触媒である炭化水素芳香族化方法。本発明はまた、炭化水素芳香族化方法であって、芳香族化反応塔中の酸素供給物質、窒素供給物質、またはその両方の存在を監視し、芳香族化触媒の活性を示す少なくとも1種のプロセスパラメータを監視し、次いで芳香族化反応塔内の酸素供給物質、窒素供給物質、またはその両方の量を監視し、これによりパラメータに影響を与えることを含む方法にある。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(背景)
本発明は一般に、芳香族化触媒を用いる炭化水素の芳香族化に関する。特に、本発明は酸素供給物質、窒素供給物質、またはその両方の添加によって芳香族化触媒を活性化および/または強化する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
炭化水素の芳香族化合物への接触変換は芳香族化または改質と称され、重要な工業的方法である。芳香族化反応は炭化水素の脱水素、異性化および水素添加分解を包含することができ、これらの反応はそれぞれ特定の芳香族化合物を生成する。これらの反応は一般に、芳香族化触媒を含有する1個または2個以上の芳香族化反応塔で行われる。触媒は反応速度、所望の芳香族化合物の生成、および/または所望の芳香族化合物にかかわる生成比率を増加することができる。それらの商業的重要性に加え、芳香族化方法および触媒に関連する改善された方法およびシステムについて、前進的要求が存在している。
【0003】
(要旨)
一態様において、本発明は炭化水素流に窒素供給物質、酸素供給物質またはその両方を添加し、強化された炭化水素流を生成させ、この強化された炭化水素流を芳香族化触媒と接触させることを含み、これにより芳香族炭化水素を含有する芳香族化反応塔流出液を生成させる。この場合、触媒は非酸性ゼオライト支持体、第VIII族金属および1種または2種以上のハロゲン化物を含む。
【0004】
もう一つの態様において、本発明は炭化水素芳香族化方法を含み、この方法は強化された炭化水素流を生成させるために炭化水素流に、または強化された水素循環流を生成させるために水素再循環流に、またはその両方に、窒素供給物質、酸素供給物質またはその両方を添加し、次いでこの強化された炭化水素流、強化された再循環流、またはその両方を芳香族化反応塔内で芳香族化触媒と接触させ、芳香族炭化水素を含有する芳香族化反応塔流出液を生成し、次いで強化された炭化水素流、強化された再循環流、またはその両方に対する窒素供給物質、酸素供給物質またはその両方の添加を制御し、これにより1種または2種以上のプロセスパラメータを所望の範囲に維持することを包含する。
【0005】
さらにもう一つの態様において、本発明は芳香族化反応塔内の酸素供給物質、窒素供給物質またはその両方の存在を監視し、芳香族化触媒の活性を含む少なくとも1種のプロセスパラメータを監視し、反応塔内の窒素供給物質、酸素供給物質またはその両方の量を修正し、これにより当該パラメータに影響を与えることを含む炭化水素の芳香族化方法を含む。
【図面の簡単な説明】
【0006】
(図面の詳細な説明)
【図1】図1は芳香族化システムの一態様を示す工程フローチャートである。
【図2A】図2Aは芳香族化触媒に対し酸素供給物質および/または窒素供給物質を添加するための手段の一例を例示する。
【図2B】図2Bは芳香族化触媒に対し酸素供給物質および/または窒素供給物質を添加するためのもう一つの手段を例示する。
【図2C】図2Cは芳香族化触媒に対し酸素供給物質および/または窒素供給物質を添加するためのもう一つの手段を例示する。
【図2D】図2Dは芳香族化触媒に対し酸素供給物質および/または窒素供給物質を添加するためのもう一つの手段を例示する。
【図3A】図3Aは芳香族化触媒にかかわる水含有量とオンストリーム時間との間の関係を示す図面である。
【図3B】図3Bは芳香族化触媒にかかわるTeqとオンストリーム時間との間の関係を例示する図面である。
【図4】図4は芳香族化触媒にかかわる生産調整温度とオンストリーム時間との間の関係を例示する図面である。
【図5】図5は芳香族化触媒にかかわる生産調整温度とオンストリーム時間との間の関係を例示するもう一つの図面である
【図6】図6は芳香族化触媒にかかわる生産調整温度(Tyld)とオンストリーム時間との間の関係を例示する図面である。
【図7】図7は芳香族化触媒にかかわる生産調整温度(Tyld)とオンストリーム時間との間の関係を例示するもう一つの図面である。
【図8A】図8Aは芳香族化触媒にかかわる供給速度とオンストリーム時間との間の関係を例示する図面である。
【図8B】図8Bは芳香族化触媒にかかわるベンゼン生成とオンストリーム時間との間の関係を例示する図面である。
【図8C】図8Cは芳香族化触媒にかかわるベンゼン生成率、吸熱活性およびオンストリーム時間との間の関係を例示する図面である。
【図8D】図8Dは芳香族化触媒にかかわるTeqとオンストリーム時間との間の関係を例示する図面である。
【図9】図9は芳香族化触媒にかかわる生産調整温度とオンストリーム時間との間の関係を例示する図面である。
【図10】図10は芳香族化触媒にかかわる芳香族生成とオンストリーム時間との間の関係を例示する図面である。
【図11】図11は芳香族化触媒にかかわるウェル温度とオンストリーム時間との間の関係を例示する図面である。
【0007】
(詳細な説明)
炭化水素の芳香族化にかかわる新規方法およびシステムおよび/または芳香族化触媒の活性化、保護、および/または生産性の増強にかかわる新規方法およびシステムが本明細書に記載されている。一般に、水および水に変換可能な夾雑物は白金の焼結により触媒を損傷させることから芳香族化触媒にとって有害であると考えられていた。したがって、通常、水、酸素供給物質、または窒素供給物質は芳香族化システムから厳格に排除されるべきものと考えられていた。例えば、本明細書に記載の触媒を使用する場合、芳香族化システムおよび/または芳香族化システム内の炭化水素供給材料および/または水素再循環流中の水および酸素の存在は実質的に減少させるか、または排除することが有利であると考えられていた。特に、供給材料および水素再循環中の水レベルは百万容量あたり半部(0.5ppmv)程度に低いことが望まれていた。このような一般的に受け入れられていた知見は供給材料流中における水処理剤および乾燥剤の存在および慣用の芳香族化プロセスの水素再循環流中における乾燥剤の存在によって証明される。このような通常受け入れられていた知見に反して、本発明者等は若干の水分が或る種の芳香族化触媒の活性化、保護、および/または生産性向上に有益であることを見出した。特に、酸素供給物質、窒素供給物質またはその混合物は種々の時点、種々の場所および種々の手段で芳香族化システムに挿入することができ、これにより芳香族化プロセス期間中、1個または2個以上の芳香族化反応塔に特定量の水および/またはアンモニアを存在させることができる。一態様において、芳香族化反応塔内における特定量の水および/またはアンモニアの存在は、芳香族化触媒を活性化するか、または強化する。
【0008】
図1は本明細書に記載の芳香族化システムおよびプロセスで使用するのに適する接触反応塔システム100の一態様を例示している。図1に示されている態様において、接触反応塔システム100は一連4個の芳香族化反応塔を含む:反応塔10、20、30、および40。しかしながら、この接触反応塔システム100はいずれか適当な数および配置、例えば1個、2個、3個、5個、6個、または7個以上の一列配置または平行配置の芳香族化反応塔を有することができる。芳香族化反応は高度に吸熱性であることから、反応塔10、20、30、および40を横切って大きい温度低下が生じる。したがって、一列配置の各反応塔10、20、30、および40は、所望の反応速度を維持するために所望の温度に戻す再加熱部品である対応する炉11、21、31、および41をそれぞれ有することができる。別法として、1個または2個以上の反応塔は、実用的である場合、共通の炉を共有することもできる。反応塔10、20、30、および40、炉11、21、31、および41、および連結配管の全部をここで反応帯域と称することができる。
【0009】
図1において、炭化水素供給材料101は再循環流119と集合され、集合された供給材料流102を形成し、これは精製プロセス80に供給される。この精製プロセス80は炭化水素供給材料を精製するための公知方法を用い、この方法は炭化水素供給材料の分別および/または処理を包含することができる。本明細書で使用されているものとして、「分別」の用語は重質(例えば、C9+)炭化水素および/または軽質(例えば、C5−)炭化水素の除去を包含する。本明細書で使用されているものとして、「処理する」および「除去する」の用語は夾雑物、例えば酸素供給物質、イオウおよび/または金属の炭化水素供給材料からの除去を相互代替的に表す。生成する精製された供給材料103は乾燥水素再循環116と集合することができ、これにより水素に富む精製された供給材料104を生成することができる。この水素に富む精製された供給材料104は次いで、酸素供給物質および/または窒素供給物質105と集合し、反応塔供給材料流106を生成することができる。酸素供給物質および/または窒素供給物質は、流105に加えて、または別の流105として、反応塔システム100に1ヶ所または2ヶ所以上の場所で供給することができ、この点に関しては、本明細書でさらに詳細に説明する。
【0010】
反応塔供給材料流106は第一炉11において予備加熱する。この炉は炭化水素を所望の温度に加熱し、これにより第一反応塔供給材料107を生成する。第一反応塔供給材料107を反応塔10に供給し、ここで供給材料中の1種または2種以上の成分を芳香族化するのに適する反応条件(例えば、温度および圧力)下に炭化水素を芳香族化触媒と接触させる。これにより、その芳香族化合物含有量は増加される。芳香族化合物、未反応供給材料およびその他の炭化水素化合物または副生成物を含有する第一反応塔流出液108は第一反応塔10から回収する。
【0011】
第一反応塔流出液108を次いで、第二炉21で予備加熱し、ここで炭化水素を所望の温度に加熱し、これにより第二反応塔供給材料109を生成する。第二反応塔供給材料109を次いで、反応塔20に供給し、ここで供給材料中の1種または2種以上の成分を芳香族化するのに適する反応条件下に炭化水素を芳香族化触媒と接触させる。これにより、その芳香族化合物含有量は増加される。芳香族化合物、未反応供給材料およびその他の炭化水素化合物または副生成物を含有する第二反応塔流出液110は第二反応塔20から回収する。
【0012】
第二反応塔流出液110を次いで、第三炉31で予備加熱し、ここで炭化水素を所望の温度に加熱し、これにより第三反応塔供給材料111を生成する。第三反応塔供給材料111を次いで、反応塔30に供給し、ここで炭化水素を供給材料中の1種または2種以上の成分を芳香族化するのに適する反応条件下に芳香族化触媒と接触させる。これにより、その芳香族化合物含有量は増加される。芳香族化合物、未反応供給材料およびその他の炭化水素化合物または副生成物を含有する第三反応塔流出液112は第三反応塔30から回収する。
【0013】
第三反応塔流出液112を次いで、第四炉41で予備加熱し、ここで炭化水素を所望の温度に加熱し、これにより第四反応塔供給材料113を生成する。第四反応塔供給材料113を次いで、反応塔40に供給し、ここで炭化水素を供給材料中の1種または2種以上の成分を芳香族化するのに適する反応条件下に芳香族化触媒と接触させる。これにより、その芳香族化合物含有量は増加される。芳香族化合物、未反応供給材料およびその他の炭化水素化合物または副生成物を含有する第四反応塔流出液114は第四反応塔40から回収する。
【0014】
第四反応塔流出液114を次いで、改質生成物117から水素再循環115を分離するための多くの公知方法を用いる水素分離プロセス50に供給する。この改質生成物117はいずれか未反応の供給材料および別種の炭化水素化合物または副生成物に加えて、反応塔10、20、30、および40からの芳香族化反応生成物(例えば、芳香族化合物および非芳香族化合物)を含有する。水素再循環115は乾燥器60で乾燥させることができ、これにより乾燥水素再循環116が生成され、この乾燥水素再循環116は次いで、精製供給材料103中に再循環させることができる。改質生成物117は精製−抽出プロセス70に送り、ここで芳香族化合物118からラフィネート再循環119および反応塔副生成物(図示されていない)が分離される。水素分離プロセス50および精製−抽出プロセス70は当技術で周知であり、「高純度ベンゼンを生成するための改質方法」と題するMorrison等に対する米国特許第5,401,386号明細書、「下流ジメチルベンゼン回収を伴う脱水素環化方法」と題するWitteに対する米国特許第5,877,367号明細書、および「炭化水素供給材料を高純度ベンゼンおよび高純度パラキシレンに変換する方法」と題するAsh等に対する米国特許第6,004,452号明細書を包含する多くの特許文献に記載されており、その全体が再現可能なものとして、これらの記載をそれぞれ引用して、ここに組み入れる。ラフィネート再循環119を次いで、供給材料101に再循環し、また芳香族化合物118は販売するか、または所望により別段で使用する。簡潔にするために、図1には当該システム全体の種々の地点で接触反応塔システム100から採取される副生成物流は例示されていない。しかしながら、このような副生成物流の組成および場所は当業者にとって明白である。また、図1には酸素供給物質および/または窒素供給物質105が水素に富む精製供給材料104に添加される場合が示されているが、酸素供給物質および/または窒素供給物質はプロセス流101、102、103、104、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、119、またはその各種組合わせのいずれかに添加することができることは当業者にとって明白である。
【0015】
種々の態様において、本明細書に記載されている接触反応塔システムは固定触媒床システム、移動性触媒床システム、流動化触媒床システム、またはその組合わせを含むことができる。これらの反応塔システムはバッチ式であっても、または連続式であってもよい。一態様において、接触反応塔システムは1個または2個以上の固定床反応塔を含む固定床システムである。固定床システムにおいて、供給材料は炉管で予備加熱され、次いで触媒の固定床を含有する少なくとも1個の反応塔中に通される。この供給材料の流動方向は反応塔に対し上向き、下向き、または無作為であることができる。各種態様において、本明細書に記載の接触反応塔システムは断熱性接触反応塔システムとして、または等温性接触反応塔システムとして操作することができる。本明細書で使用されているものとして、「接触反応塔」および「反応塔」の用語は反応容器、反応塔内部、および付属処理装置を相互代替的に表し、これらに限定されないものとして、触媒、不活性パッキング材料、スキャロップ、フローディストリビューター、センター管、反応塔ポート、触媒トランスファーおよびディストリビューションシステム、炉、およびその他の加熱装置、熱移送装置、ならびに配管を包含する。
【0016】
一態様において、接触反応塔システムは少なくとも1個の芳香族化反応塔およびその対応する処理装置を含む芳香族化反応塔システムである。本明細書で使用されているものとして、「芳香族化」、「芳香族化する」および「改質」の用語は、芳香族化合物に富む生成物、すなわち一態様において、芳香族化合物含有量が供給材料の芳香族化合物含有量よりも多い生成物を提供するための炭化水素供給材料の処理を表す。代表的に、供給材料中の1種または2種以上の成分が1種または2種以上の改質反応を受け芳香族化合物が生成される。芳香族化操作期間中に生じる或る種の炭化水素反応はシクロヘキサン類の芳香族化合物への脱水素、アルキルシクロペンタン類の芳香族化合物への脱水素異性化、非環状炭化水素類の芳香族化合物への脱水素環化、またはその組合わせを包含する。その他多くの反応がまた生じ、これらの反応にはアルキルベンゼン類の脱アルキル化、パラフィン類の異性化、軽質気体状炭化水素、例えばメタン、エタン、プロパンおよびブタンを生成する水素添加分解反応、またはこれらの組合わせが包含される。
【0017】
芳香族化反応は、脱水素環形成反応を熱力学的に好み、また望ましくない水素添加分解反応を制限する処理条件下に生じる。圧力は約0ポンド/平方インチゲージ(psig)〜約500psig、別様には、約25psig〜約300psigであることができる。水素対炭化水素のモル比は約0.1:1〜約20:1、別様には、約1:1〜約6:1であることができる。操作温度は約700華氏度〜約1050華氏度、別様には、約900華氏度〜約1000華氏度の反応塔入口温度を包含する。さらにまた、芳香族化触媒上における炭化水素供給材料の一時間当たりの液体空間速度(liquid hourly space velocity)(LHSV)は約0.1〜約10/時間、別様には、約0.5〜約2.5/時間であることができる。
【0018】
供給材料の組成は接触芳香族化システムを計画する場合に考慮されるべきことである。一態様において、炭化水素供給材料は少なくとも6個の炭素原子を含有する非芳香族炭化水素を含有する。芳香族化システムへの供給材料は約10重量%まで、別様には、約15重量%の量のC5およびさらに軽質の炭化水素(C5−)を含有し、および約10重量%までの量のC9およびさらに重質の炭化水素(C9+)を含有するC6〜C8炭化水素を含む炭化水素の混合物である。このようなC9+およびC5−炭化水素の低レベルは高い価値を有する芳香族化合物の生成を最大にする。いくつかの例では、最適炭化水素供給材料はC6炭化水素のパーセンテージが最大である。このような供給材料は全範囲ナフサなどの炭化水素原料を軽質炭化水素供給材料フラクションと重質炭化水素供給材料フラクションとに分離することによって得ることができる軽質フラクションを使用する。
【0019】
もう一つの態様において、供給材料はナフサ供給材料である。ナフサ供給材料は約70華氏度〜約450華氏度の沸点範囲を有する軽質炭化水素であることができる。ナフサ供給材料は脂肪族、ナフテン族、またはパラフィン族炭化水素を含有することができる。これらの脂肪族およびナフテン族炭化水素は、芳香族化反応塔システムにおいて少なくとも部分的に、芳香族化合物に変換される。接触芳香族化は代表的に、ナフサの変換を表すが、その他の供給原料を処理し、芳香族化合物に富む生成物を同様に得ることができる。したがって、ナフサの変換は一態様であって、本発明はパラフィン炭化水素、オレフィン炭化水素、アセチレン炭化水素、環状パラフィン炭化水素、環状オレフィン炭化水素、およびその混合物、ならびに特に飽和炭化水素などの各種供給原料の変換または芳香族化に有用であることができる。
【0020】
一態様において、供給原料は実質的にイオウ、金属およびその他の芳香族化触媒に対する公知有毒物質を含有しておらず、また初期には酸素供給物質および窒素供給物質を実質的に含有していない。存在する場合、このような有毒物質は当業者に周知の方法を使用して除去することができる。数種の態様において、このような供給材料は、慣用のハイドロファイニング技術を先ず使用し、次いで吸着剤を用いて残留する有毒物質を除去することによって精製することができる。このようなハイドロファイニング技術および吸着剤は以下で説明する精製方法に包含される。
【0021】
一態様において、酸素供給物質、窒素供給物質またはその両方は、接触反応塔システム100における1種または2種以上のプロセス流および/または成分に添加することができる。本明細書で使用されているものとして、「酸素供給物質」(oxygenate)の用語は、水または接触芳香族化条件下に水を形成するいずれかの化学化合物、例えば酸素、酸素含有化合物、過酸化水素、アルコール類、ケトン類、エステル類、エーテル類、二酸化炭素、アルデヒド類、カルボン酸類、ラクトン類、オゾン、一酸化炭素またはその組合わせを表す。一態様において、水および/または水蒸気を酸素供給物質として使用する。もう一つの態様において、酸素を酸素供給物質として使用することができ、この場合、このような酸素は代表的芳香族化条件下に1個または2個以上の反応塔内で、または標準的ハイドロファイニング条件下に1種または2種以上のハイドロファイニング触媒または吸着剤床内で、その場で水に変換される。さらにまた、酸素供給物質はアルコール含有化合物であることができる。適当なアルコール含有化合物の特定的例には、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、t−ブタノール、ペンタノール、アミルアルコール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、フェノール、またはその組合わせがある。
【0022】
本明細書で使用されているものとして、「窒素供給物質」(nitrogenate)の用語は、アンモニアまたは接触芳香族化条件下にアンモニアを形成するいずれかの化学化合物、例えば窒素、窒素含有化合物、アルキルアミン類、芳香族アミン類、ピリジン類、ピリダジン類、ピリミジン類、ピラジン類、トリアジン類、複素環状N−オキシド類、ピロール類、ピラゾール類、イミダゾール類、トリアゾール類、ニトリル類、アミド類、尿素類、イミド類、ニトロ化合物、ニトロソ化合物、またはその組合せを表す。理論に制限されることは望まないが、このアンモニアは水とほとんど同一の様相で触媒活性を改善するものと信じられる。さらに、本明細書に記載されている酸素供給物質にかかわる添加および制御方法の全部はまた、窒素供給物質にかかわる添加および制御方法に追加的に、または別法として、全体的に適用することができる。
【0023】
本明細書に記載の酸素供給物質、窒素供給物質またはその両方はいずれも、単独で、組合わせとして、または別の適当な酸素供給物質または窒素供給物質を生成する組合わせとして使用することができることは当業者にとって明白である。いくつかの態様において、酸素供給物質および窒素供給物質は同一二官能性化合物内に含有させることもできる。酸素供給物質および/または窒素供給物質はいずれか適当な物理的相、例えば気体、液体またはその組合わせとして添加することができる。酸素供給物質および/または窒素供給物質はいずれか適当なそれらの添加手段、例えばポンプ、注入器、多孔分散器(スパージャー)、バブラーなどを経て1種または2種以上のプロセス流および/または成分に添加することができる。酸素供給物質および/または窒素供給物質は担体との集合体として導入することもできる。いくつかの例において、この担体は水素、炭化水素、窒素、希ガスまたはその混合物である。好適態様において、この担体は水素である。
【0024】
酸素供給物質および/または窒素供給物質は本明細書に記載の芳香族化システム内の種々の場所で添加することができる。一例として、酸素供給物質および/または窒素供給物質は接触反応塔システム100の1種または2種以上のプロセス流に、接触反応塔システム100の1種または2種以上の装置部品または容器に、あるいはその組合わせに添加することができる。一態様において、酸素供給物質および/または窒素供給物質は反応塔システム100により定められている反応帯域内の1ヶ所または2ヶ所以上の場所で添加することができる。ここで、この反応帯域は、プロセス流動ライン、装置、および/または反応物質が芳香族化反応を受ける容器を含む。一態様において、酸素供給物質および/または窒素供給物質は、図1に示されているように、乾燥水素再循環116の添加前、または乾燥水素再循環116の添加後のどちらかの時点で、精製プロセス80と第一炉11との間の場所で添加する。別法として、酸素供給物質および/または窒素供給物質は精製プロセス80内に添加することができる。しかしながら、酸素供給物質および/または窒素供給物質は接触反応塔システム100内の種々の別の場所で添加することができることも考えられる。一例として、酸素供給物質および/または窒素供給物質は供給材料101、集合された供給材料102、第一反応塔供給材料107、第一反応塔流出液108、第二反応塔供給材料109、第二反応塔流出液110、第三反応塔供給材料111、第三反応塔流出液112、第四反応塔供給材料113、またはその組合わせに添加することができる。さらに、酸素供給物質および/または窒素供給物質は第四反応塔流出液114、水素再循環115、乾燥水素再循環116、改質生成物117、ラフィネート再循環119またはその組合わせに添加することができる。さらにまた、酸素供給物質および/または窒素供給物質は前記流のいずれかの組合わせに、反応塔10、20、30または40のいずれかに直接に、炉11、21、31、41に直接に、またはその組合わせに添加することができる。同様に、酸素供給物質および/または窒素供給物質は接触反応塔システム100のいずれか他の処理装置または部品に、例えばポンプ、バルブ、ポート、ティー、マニホルドなどに直接に添加することができる。さらにまた、酸素供給物質および/または窒素供給物質は接触反応塔システム100の上流のいずれか他の処理装置または部品に、例えば接触反応塔システムに供給材料を供給するタンク、ポンプ、バルブ、ポート、ティー、マニホルド、などに添加することができる。
【0025】
酸素供給物質および/または窒素供給物質は芳香族化触媒の作動寿命期間中のいずれかの時点で芳香族化プロセスに添加することができる。本明細書で使用されているものとして、「時点」の用語は、芳香族化触媒の作動寿命期間中の酸素供給物質および/または窒素供給物質が触媒に添加される時点を表すことができる。一例として、酸素供給物質および/または窒素供給物質は芳香族化触媒の寿命の開始時点で、例えば触媒の新しいバッチがオンラインに参加する時点または直後に添加することができる。別法として、酸素供給物質および/または窒素供給物質は触媒ランの終末点または終末点付近で添加することができる。触媒ランの終点は本明細書に記載の方法および当業者に公知の方法のいずれかを使用し、例えば1,000日間オンラインなどの時間−基礎寿命時間、または規定値、例えば1000華氏度を超える温度−基礎寿命(これはしばしば、反応塔冶金学などのプロセス限界に基づく)を使用し、決定することができる。さらに、酸素供給物質および/または窒素供給物質は触媒の寿命期間中、例えば触媒がオンラインに参加した時点から触媒がオフラインに持ち込まれるまでの期間中、連続的に添加することもできる。さらにまた、酸素供給物質および/または窒素供給物質はこれらの時点のいずれかの組合わせ時点で、例えば連続的ではなく、触媒寿命の初期時点および触媒寿命の終末時点において、芳香族化触媒に添加することができる。
【0026】
さらに、酸素供給物質および/または窒素供給物質はいずれか適当な手段で芳香族化プロセスに添加することができる。本明細書で使用されているものとして、「手段」の用語は酸素供給物質および/または窒素供給物質の添加様相を表すことができ、例えば経時変化する触媒に対し酸素供給物質および/または窒素供給物質をどのように添加することができるかを表す。図2A、2B、2Cおよび2Dは、酸素供給物質および/または窒素供給物質を芳香族化触媒に添加することができる4種の手段を例示している。詳細に言えば、図2Aは酸素供給物質および/または窒素供給物質を一定レベルで段階的に増量して添加する場合を例示している。このような場合には、触媒寿命期間中、酸素供給物質および/または窒素供給物質を約2ppmv〜約10ppmv増加する場合がある。この段階は酸素供給物質レベルおよび/または窒素供給物質レベルの増加または減少であることができる。図2Bは、酸素供給物質および/または窒素供給物質を段階的変化により増量し、次いで経過時間にわたり一定割合(一定の傾斜)で増加する場合を例示している。このような場合には、酸素供給物質および/または窒素供給物質を出発時点で0から2ppmvに増加し、その後、0.2ppmv/日の割合で増加する場合がある。このような態様において、酸素供給物質および/または窒素供給物質の一定割合での増量は、図2Bに示されているように初期段階に先行させるか、または初期段階では欠落していることもある(すなわち、0ppmvで出発する)。図2Cは酸素供給物質および/または窒素供給物質を経過時間にわたり一定の割合で減量する場合を例示している。このような場合には、酸素供給物質および/または窒素供給物質を0.2ppmv/日の割合で減量する場合がある。このような態様において、酸素供給物質および/または窒素供給物質の増量は、図2Cに示されているように、初期段階により先行させるか、または酸素供給物質および/または窒素供給物質レベルを減少させることが望まれる場合のような場合、初期段階では酸素供給物質および/または窒素供給物質が欠落していることもある。図2Dは酸素供給物質および/または窒素供給物質をパルスとして添加する場合を例示している。このような場合には、酸素供給物質および/または窒素供給物質を2日間で約2ppmvから約10ppmvに増加し、次いで2ppmvに戻す場合がある。所望により、酸素供給物質および/または窒素供給物質は多種パルスで添加することもできる。
【0027】
図2A、2B、2Cおよび2Dに例示されている添加様相は触媒寿命の終末時点近くで示されているが、これらの添加様相は触媒寿命期間中のいずれの時点でも実施することができる。詳細に言えば、図2A、2B、2Cおよび2Dに例示されている添加様相は触媒寿命の出発時点で、触媒寿命の出発時点の短時間後に、触媒寿命期間中のいずれかの時点で、または触媒寿命の終末時点で、実施することができる。さらに、酸素供給物質および/または窒素供給物質は、上記手段のいずれかを組合わせて添加することもでき、例えば酸素供給物質および/または窒素供給物質を2種のパルスで添加し、次いで一定割合で増量することができる。
【0028】
芳香族化プロセスへの酸素供給物質および/または窒素供給物質の添加は、前記場所、時点および/または手段のいずれかの関数であることができる。一例として、芳香族化プロセスへの酸素供給物質および/または窒素供給物質の添加について考慮すべき唯一のことは、酸素供給物質および/または窒素供給物質が芳香族化プロセスに添加される時点、酸素供給物質および/または窒素供給物質が芳香族化プロセスに添加される場所、または酸素供給物質および/または窒素供給物質が芳香族化プロセスに添加される手段であることができる。しかしながら、酸素供給物質および/または窒素供給物質は代表的に、これらの考慮要件を組合わせて使用することによって芳香族化プロセスに添加される。一例として、酸素供給物質および/または窒素供給物質は、手段に関係なく時点と場所とを組合わせて、場所に関係なく時点と手段とを組合わせて、または時点に関係なく場所と手段とを組合わせで添加することができる。別法として、この時点、場所および手段は全部が、芳香族化システムに酸素供給物質および/または窒素供給物質を添加する場合の考慮要件であることができる。
【0029】
一態様において、本明細書に記載の接触反応塔システム100への酸素供給物質および/または窒素供給物質の添加は芳香族化触媒を活性化する機能を果たす。このような触媒は別段では、酸素供給物質が添加されないと、不活性であるか、または不十分の活性を示すことがある。一例として、ある種の芳香族化触媒、例えば1種または2種以上のハロゲン、例えばFおよび/またはClを含有するL−ゼオライト支持白金は、反応塔、例えば10、20、30、40への供給材料が酸素供給物質を実質的に含有していない場合、例えば全部で約1ppmvより少ない量の酸素供給物質および/または窒素供給物質を含有する場合、別様には、水素再循環流115中の酸素供給物質および/または窒素供給物質の総量が約0.5ppmvよりも少ない場合、活性ではないことがあり、または不適当な活性を有することがある。したがって、いくつかの態様において、本明細書に記載の酸素供給物質および/または窒素供給物質の添加は、このような触媒を活性化し、また維持する機能を果たすことができ、これにより本明細書に記載されているような反応材料の芳香族化合物への望ましい変換率、ならびに触媒作動寿命および堆積特性の改善などの利益をもたらすことができる。すなわち、触媒活性または活性化を酸素供給物質および/または窒素供給物質の添加または除去により制御することができる。別の態様において、窒素供給物質は同様に、接触反応塔システム100に添加することができ、芳香族化触媒を活性化する機能を果たす。このような触媒は別段では、窒素供給物質が添加されないと、不活性であるか、または不十分の活性を示す。
【0030】
一態様において、酸素供給物質および/または窒素供給物質の添加は、芳香族化触媒の有効寿命を増加させる。本明細書で使用されているものとして、「有効寿命」の用語は、芳香族化触媒が作動状態に置かれた時点と1種または2種以上のパラメータが芳香族化触媒の作動状態からの逸脱を示す時点(例えば、Teq最大または限界に達する時点)との間の時間を表す。酸素供給物質および/または窒素供給物質の添加の時点、場所および手段は芳香族化触媒の有効寿命に影響を及ぼすことができ、一例では、酸素供給物質および/または窒素供給物質の添加は触媒の有効寿命を少なくとも約5パーセント、少なくとも約15パーセント、または少なくとも約25パーセント増加させることができる。別の態様において、酸素供給物質および/または窒素供給物質の添加は触媒の有効寿命を少なくとも約50日、少なくとも約150日、または少なくとも約250日まで増加させることができる。
【0031】
一態様において、酸素供給物質および/または窒素供給物質の添加は芳香族化触媒の選択性および/または生産性を増加する。本明細書で使用されているものとして、「選択性」の用語は、指定の反応材料設定について芳香族化触媒により生成される芳香族生成物の比率を表すことができる。本明細書で使用されているものとして、「生産性」の用語は、単位供給材料および単位時間当たりで芳香族化触媒により生成される芳香族生成物の量を表すことができる。酸素供給物質および/または窒素供給物質が芳香族触媒に添加された場合、増加された量の1種または2種以上の芳香族化合物を生成させることができる。詳細に言えば、芳香族化触媒への酸素供給物質および/または窒素供給物質の添加は流出液中の芳香族化合物の量を、添加前のレベルの少なくとも約20パーセント、少なくとも約10パーセント、少なくとも約5パーセントまたは少なくとも約1パーセント増加させることができる。また、芳香族化触媒への酸素供給物質および/または窒素供給物質の添加は所望の芳香族化合物、例えばベンゼンに対する触媒選択性を増大させることができる。一態様において、芳香族化触媒への酸素供給物質および/または窒素供給物質の添加は、所望の芳香族化合物に対する触媒選択性を添加前レベルよりも少なくとも20パーセント、少なくとも10パーセント、少なくとも5パーセント、または少なくとも1パーセント増加することができる。特定の例において、ベンゼン生成は、別種の芳香族化合物のいずれかの生成を減少することなく、流出液の約40重量パーセント〜約48重量パーセント増加させることができる。これは触媒生産性および選択性の増加を示している。いくつかの態様において、このような効果はそれぞれ独立しており、例えばこれは総芳香族化合物生産は増加されないが、ベンゼン生成は増加される場合が相当する。
【0032】
一態様において、本明細書に記載の方法は別の利益をもたらすことができる。例えば、芳香族化合物生産レベルを特定レベルに維持した場合、反応塔はさらに低温で操作することができ、これはより長い触媒寿命をもたらす。別様には、反応塔温度を特定のレベルに維持した場合、反応塔内の空間速度を増加させることができ、これは追加の量の芳香族化合物生成をもたらす。さらにまた、本明細書に記載の方法は、本明細書では詳細に説明されていない追加の利益をもたらすことができる。
【0033】
一態様において、酸素供給物質および/または窒素供給物質の添加効果は、迅速であり、また可逆性である。一例として、酸素供給物質および/または窒素供給物質を芳香族化触媒に添加した場合、この酸素供給物質および/または窒素供給物質は約100時間以内、約50時間以内、約10時間以内または約1時間以内に芳香族化触媒に対し影響を及ぼし始める。同様に、酸素供給物質および/または窒素供給物質が一度除去されると、この芳香族化触媒は、約500時間以内、約100時間以内、約50時間以内または約10時間以内に、酸素供給物質および/または窒素供給物質の添加前に見られたその触媒活性、芳香族化合物収率、または芳香族化合物選択性に戻すことができる。
【0034】
一態様において、酸素供給物質および/または窒素供給物質を添加しようとする流中に存在する酸素供給物質および/または窒素供給物質の含有量は、酸素供給物質および/または窒素供給物質の添加前に測定するか、および/または調節する。実施例および図1を参照すると、1種または2種以上の供給材料流、例えば炭化水素供給材料101、再循環流119、集合された供給材料流116、水素再循環116またはその組合わせについて、その酸素供給物質および/または窒素供給物質の含有量を測定することができ、および/または酸素供給物質および/または窒素供給物質の添加に先立ちその酸素供給物質および/または窒素供給物質の含有量を調整することができる。同様に、これらと同じ流について、それらの窒素供給物質の含有量を測定することができ、および/または、窒素供給物質の添加に先立ち、その窒素供給物質の含有量を調整することができる。一般に、炭化水素供給材料流101などの原料または未処理供給材料流は、本明細書に記載の接触反応システムに導入される時点で若干量の酸素供給物質または窒素供給物質を含有することがある。さらに、プラント形態、供給材料貯蔵持続時間および気象条件に応じて、供給材料は空気から酸素供給物質または窒素供給物質を吸収することもある。1個または2個以上の芳香族化反応塔(例えば、反応塔10、20、30、40)に入る酸素供給物質または窒素供給物質の量を正確に制御するために、反応塔への1種または2種以上の供給材料流中の酸素供給物質および/または窒素供給物質の量を測定するか、調整するか、またはその両方を行うことができる。
【0035】
一態様において、指定の流、例えば供給材料流の酸素供給物質および/または窒素供給物質の含有量は、例えばリアルタイム、インラインアナライザー(real−time,in−line analyzer)を用いて測定することができる。このような測定値に応じて、流中の酸素供給物質および/または窒素供給物質の含有量は、これらの流を処理するか、および/またはこれらの流に酸素供給物質および/または窒素供給物質を添加することによって調整し、そこに所望量の酸素供給物質および/または窒素供給物質を得ることができる。一態様において、制御ループ(control loop)が処理器および酸素供給物質および/または窒素供給物質注入器にアナライザーを連結し、これにより1種または2種以上の流中の酸素供給物質および/または窒素供給物質の量がこれらの流の酸素供給物質および/または窒素供給物質の設定点に応じて制御される。一態様において、酸素供給物質および/または窒素供給物質含有量の測定および/または調整装置、ならびに付属装置、例えば処理器および/または化学物質注入器などは精製プロセス80の一部分として包含される。酸素供給物質および/または窒素供給物質の処理器は酸素供給物質および/または窒素供給物質の種類および量に基づいて変える。酸素供給物質が水を含有する態様においては、吸着材料床を使用することができる。これらの吸着剤床は乾燥器として一般に知られている。酸素供給物質が酸素を含有する態様においては、酸素を水に変換する処理器を乾燥器と組合わせて使用することができる。もう一つの態様において、窒素供給物質が塩基性化学物質を含有する場合、吸着材料床を使用することができる。
【0036】
一態様において、1種または2種以上の流、例えば炭化水素供給材料101、再循環流119、集合された供給材料流102、水素再循環116、またはその組合わせは、そこに酸素供給物質および/または窒素供給物質を添加する前に処理する。このような態様において、このような処理前の流の酸素供給物質および/または窒素供給物質含有量の測定は、場合により省略することができる。供給材料中の酸素供給物質および/または窒素供給物質含有量を容易に測定するための装置がない場合、芳香族化反応塔内で所望のレベルを信頼できる様相で維持することは困難である。
【0037】
酸素供給物質および/または窒素供給物質を添加する前の1種または2種以上の流の処理は、このような流中の酸素供給物質および/または窒素供給物質含有量にかかわる不定要素を取り除くことによって、芳香族化反応塔に入る1種または2種以上の流中の水および/またはアンモニアの量の総合的制御に役立つことができる。このような流の処理は、酸素供給物質および/または窒素供給物質を添加して酸素添加されている流、例えば反応塔供給材料流106を形成するためのこのような流中の酸素供給物質および/または窒素供給物質の一定の基礎量を提供する。反応塔供給材料が酸素供給物質および/または窒素供給物質を充分に含有していない場合、正確な量の酸素供給物質および/または窒素供給物質を反応塔供給材料に添加することができ、これにより反応塔内の酸素供給物質および/または窒素供給物質の量を確実に維持することができる。一態様において、精製プロセス80は炭化水素供給材料(例えば、流101、119および/または102)を適当な水レベルに乾燥させる炭化水素乾燥器を包含することができる。別の態様において、精製プロセス80は酸素供給物質の除去に使用されるシリカ上トリエチルアルミニウムの床または還元銅床(例えば、BASFから入手できるR3−15触媒)を包含することができる。さらに別の態様では、この還元銅床(例えば、BASFR3−15触媒)またはシリカ上トリエチルアルミニウム床を炭化水素乾燥器と組合わせて使用する。同様に、乾燥器60は水素再循環流および/またはその他のプロセス流、例えば流101、119および/または102を適当な水レベルに乾燥させるために使用することができる。一態様において、1種または2種以上の流、例えば炭化水素供給材料101、再循環流119、集合された供給材料流102、水素再循環116中の適当な酸素供給物質レベルは、その組合せが未処理水素再循環流115中の水の約1ppmv以下、別様では、約0.5ppmv以下、または別様では約0.1ppmv以下を生成するレベルである。一態様において、芳香族化反応塔に供給される1種または2種以上の流、例えば炭化水素供給材料101、再循環流119、集合された供給材料流102、水素再循環116、またはその組合わせは、その乾燥後に、水を実質的に含有していない。一態様において、正確な量の酸素供給物質および/または窒素供給物質は、このような処理プロセスを部分的に、または充分に迂回して、添加することができる。別法では、水素再循環流を湿った分子篩床、例えば使用済みの分子篩床に部分的または充分に通すことによって正確な量の酸素供給物質および/または窒素供給物質を添加することができる。
【0038】
一態様において、芳香族化プロセスに添加される酸素供給物質の量を規制し、水素再循環流115中の水含有量を制御することができる。特に、反応塔10、20、30および40の1個または2個以上中に存在する酸素供給物質の量は、上記のとおりに酸素供給物質を添加し、次いで最後の反応塔に存在する水の量、例えば流出流114、水素再循環115(乾燥器60の上流)またはその両方中の水の量を監視することによって制御することができる。水素再循環115中に充分の水レベルが存在するということは、本明細書に記載のとおりに触媒が活性化されるのに充分の酸素供給物質が反応塔10、20、30および40に存在することを示している。しかしながら、水素再循環流115中の水レベルはまた、過剰の水が触媒の有効寿命を減少させることができることから、制限されなければならない。詳細に言えば、水添加の上限は長期間触媒活性に基づき決定されなければならない。種々の態様において、接触反応塔システム100に添加される酸素供給物質の量は水素再循環流115が水を約1ppmv〜約100ppmv、別様には約1.5ppmv〜約10ppmv、または別様には約2ppmv〜約4ppmvの量で含有するように制御する。関連態様において、芳香族化プロセスに添加される窒素供給物質の量を規制し、酸素供給物質に使用される方法と同一のかなり多くの方法で水素再循環流115中のアンモニア含有量を制御することができる。
【0039】
もう一つの態様において、芳香族化プロセスに添加される酸素供給物質および/または窒素供給物質の量を規制し、触媒活性を制御することができ、または芳香族化触媒の有効寿命を保持することができる。この触媒活性は、1個または2個以上の反応塔を横切る吸熱、または△T、または別様にTeqを包含する多くの方法によって測定することができる。活性の測定要素、例えば反応塔温度、入口温度、生産調整温度、汚れ速度などを反応帯域の反応材料の指定変換率における活性と比較する。本明細書で使用されているものとして、「生産調整温度」(yield−adjusted temperature)または「Tyld」の用語は、特定の生産(変換)レベルに調整されている実験室規模反応塔システムにおける平均触媒床温度を表す。本明細書で使用されているものとして、「Teq」の用語は、標準設定の反応塔操作条件、例えば炭化水素供給速度、再循環水素対炭化水素モル比、平均反応塔圧力および供給材料−変換可能成分の濃度などにおいて、特定の変換率で接触芳香族化反応を行わせるのに要する相当反応塔重量平均入口温度(equivalent reactor weighted average inlet temperature)(WAIT)を表す。Teqは標準条件における操作によって、または反応塔変化要素の測定値に基づきTeqを推定するのに適する対比を用いることによって確立することができる。本明細書で使用されているものとして、Teqパラメータは、入口圧力から最後の反応塔まで約50psigの圧力を有する6個の断熱性反応塔列において、90重量%よりも多いか、または90重量%に等しい量のC6フラクション、5重量%よりも少ないか、または5重量%に等しい量のC5フラクション、および5重量%よりも少ないか、または5重量%に等しい量のC7+フラクションを含有する供給材料組成を用い、約4.0の水素対炭化水素比、約1.2/時間の空間速度で変換可能なC6の約88重量%変換まで接触芳香族化反応を行うことを包含する。本明細書で使用されているものとして、変換可能なC6の変換の用語は、1個または数個の分枝鎖を有するC6分子の芳香族化合物への変換を表す。種々の態様において、接触反応塔システム100に添加される酸素供給物質および/または窒素供給物質の量を、このTeqが約900華氏度〜約1000華氏度、約910華氏度〜約960華氏度、または約920華氏度〜約940華氏度であるように調整する。さらにまた、触媒活性のいずれかの増加はTeqの減少によって証明されることから、触媒活性の増加はまた、相当する乾燥炭化水素供給材料を処理する相当する反応塔システムのTeqの減少パーセントとして測定することができる。種々の態様において、接触反応塔システム100に添加される酸素供給物質の量は、相当する実質的に乾燥している炭化水素供給材料を操作する相当する反応塔システムのTeqに比較し、Teqが約0パーセント〜約2.5パーセントであるか、別様には約0.1パーセント〜約10パーセントであるか、または約1パーセント〜約5パーセントであるように制御する。これは例えば、水素循環流115中で約1ppmvより少ない水を、別様には約0.5ppmvより少ない総水量をもたらす。関連態様において、芳香族化プロセスに添加される窒素供給物質の量は酸素供給物質の場合に用いられる方法と同一の多くの方法で規制し、触媒活性を調整することができる。
【0040】
さらにまた、接触反応塔システムにおける酸素供給物質および/または窒素供給物質の使用は、触媒の汚れ速度に対し有益な効果を有することができる。触媒は、それらの触媒の使用が経済的にもはや有利ではない以上の有効寿命を有することができる。商業的に有用な触媒は比較的低度で、安定した汚れ速度を示す。本明細書に記載のとおりの酸素供給物質および/または窒素供給物質の使用は、これらの化学物質が実質的に存在していない条件下に、例えば流107が約1ppmvよりも少ない総酸素供給物質を含有するか、別様には流107中が約0.5ppmvよりも少ない総酸素供給物質を含有する条件下に操作される場合に、触媒の潜在的寿命を増加させ、また維持させる。
【0041】
本明細書に記載の接触反応塔システムとともに、種々の種類の触媒を使用することができる。一態様において、触媒は非酸性ゼオライト支持体、第VIII族金属、および1種または2種以上のハロゲン化物を含有する非酸性触媒である。適当なハロゲン化物は、塩化物、フッ化物、臭化物、ヨウ化物またはその組合わせを含む。適当な第VIII族金属は、鉄、コバルト、ニッケル、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、および白金を包含する。本明細書に記載の接触反応塔システムとともに使用するのに適する触媒の例には、The Woodlands、TexasのChevron Phillips Chemical Companyから入手できる触媒であるAROMAX(登録商品名)、ならびに「触媒の製造方法」と題するFukunagaに対する米国特許第6,812,180号明細書および「芳香族化触媒ならびにその製造方法および使用」と題するWuに対する米国特許第7,153,801号明細書に記載の触媒がある。これらの文献の記載を、それらが全体的に再現されるものとして、ここに引用して組み入れる。
【0042】
芳香族化触媒用支持体は一般に、あらゆる無機酸化物を包含する。これらの無機酸化物は、結合大型孔アルミノシリケート(ゼオライト)、無定形無機酸化物およびその混合物を包含する。大型孔アルミノシリケートは、これらに制限されないものとして、L−ゼオライト、Y−ゼオライト、モルデナイト、オメガゼオライト、ベータゼオライトなどを包含する。無定形無機酸化物は、これらに制限されないものとして、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、およびチタニアを包含する。無機酸化物に適する結合剤は、これらに制限されないものとして、シリカ、アルミナ、クレイ、チタニア、および酸化マグネシウムを包含する。
【0043】
天然および合成の両方のゼオライト物質は多くの炭化水素プロセスに対し触媒性を有することが知られている。ゼオライトは代表的に、チャンネルおよびチャンネルにより相互連絡されている空隙を有する構造を有する秩序だった有孔結晶アルミノシリケートである。結晶物質全体にわたり孔およびチャンネルは一般に、炭化水素の選択的分離を可能にする大きさを有することができる。
【0044】
「ゼオライト」の用語は一般に、特定群の水和結晶金属アルミノシリケートを表す。これらのゼオライトはアルミニウムとケイ素原子とが酸素原子を分け合うことによって三次元構造で交差結合しているSiO4およびAlO4テトラヒドロのネットワークを示す。この構造において、総アルミニウムおよびケイ素原子に対する酸素原子の比は2に等しいことができる。この構造は金属、アルカリ金属、アルカリ土類金属または水素のような結晶内にカチオンを包入することによって典型的に平衡化されている負の電子価を示す。
【0045】
L−型ゼオライト触媒はゼオライト触媒の付属群である。代表的L−型ゼオライトは下記式に従うモル比の酸化物を含有する:
M2/n・Al2O3・SiO2・yH2O
式中、「M」は少なくとも1個の交換可能なカチオン、例えばバリウム、カルシウム、セリウム、リチウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウム、ストロンチウム、およびアエン、ならびにL−型ゼオライトの基本結晶構造に実質的な変化をもたらすことなく、別種の交換可能なカチオンにより置き換えることができるヒドロニウムイオンおよびアンモニウムイオンのような非金属カチオンを表す。この式において、「n」は「M」の原子価を表し、「x」は2またはそれ以上であり、および「y」はチャンネル中に、またはゼオライトと相互連絡している空隙中に含有されている水分子の数である。
【0046】
結合カリウムL−型ゼオライトまたはKLゼオライトは特に望ましいことが見出されている。本明細書で使用されているものとして、「KLゼオライト」の用語はゼオライト中に配合されている最重要カチオンMがカリウムであるL−型ゼオライトを表す。KLゼオライトはもう1種の金属および1種または2種以上のハロゲン化物とカチオン交換することができるか、またはこれらを含浸することができ、これにより白金含浸ハロゲン化ゼオライトまたはKL支持Pt−ハロゲン化物ゼオライト触媒が形成される。
【0047】
一態様において、第VIII族金属は白金である。白金および任意に存在する1種または2種以上のハロゲン化物は適当な方法、例えば白金含有化合物および1種または2種以上のハロゲン化物含有化合物の溶液を含浸することによりゼオライト支持体に付加することができる。一例として、白金含有化合物はいずれかの分解可能な白金含有化合物であることができる。このような化合物の例は、これらに制限されないものとして、アンモニウムテトラクロロプラチネート、塩化白金酸、ジアミン白金(II)ニトレート、塩化ビス−(エチレンジアミン)白金(II)、白金(II)アセチルアセトネート、ジクロロジアミン白金、塩化白金(II)、水酸化テトラアミン白金(II)、塩化テトラアミン白金、およびテトラアミン白金ニトレートを包含する。
【0048】
一態様において、触媒は白金含有化合物および少なくとも1種の有機ハロゲン化アンモニウム化合物を含有する大型孔ゼオライト支持体である。この有機ハロゲン化アンモニウム化合物は式N(R)4X(式中、Xはハロゲン化物であり、およびRは水素または炭素1〜20個を有する置換または未置換の炭素鎖分子を表し、ここで各Rは同一または相違していてもよい)により表される1種または2種以上の化合物を含むことができる。一態様において、Rはメチル、エチル、プロピル、ブチル、およびその組合わせからなる群から選択され、特にメチルである。適当な有機アンモニウム化合物は式N(R)4Xで表され、塩化アンモニウム、フッ化アンモニウム、およびハロゲン化テトラアルキルアンモニウム、例えば塩化テトラメチルアンモニウム、フッ化テトラメチルアンモニウム、塩化テトラエチルアンモニウム、フッ化テトラエチルアンモニウム、塩化テトラプロピルアンモニウム、フッ化テトラプロピルアンモニウム、塩化テトラブチルアンモニウム、フッ化テトラブチルアンモニウム、塩化メチルトリエチルアンモニウム、フッ化メチルトリエチルアンモニウム、およびその組合わせを包含する。
【0049】
一態様において、有機ハロゲン化アンモニウム化合物は少なくとも1種の酸ハロゲン化物および少なくとも1種の水酸化アンモニウムを含有し、式N(R’)4OH(式中、R’は水素または炭素原子1〜20個を有する置換または未置換の炭素鎖分子を表し、ここで各R’は同一または相違していてもよい)で表される。一態様において、R’はメチル、エチル、プロピル、ブチル、およびその組合わせから選択され、さらに特にメチルである。式N(R’)4OHで表される適当な水酸化アンモニウム化合物の例は、水酸化アンモニウム、水酸化テトラアルキルアンモニウム、例えば水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラプロピルアンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウム、およびその組合わせを包含する。適当な酸ハロゲン化物はHCl、HF、HBr、HI、またはその組合わせを包含する。
【0050】
一態様において、有機ハロゲン化アンモニウム化合物は、(a)式N(R)4X(式中、Xはハロゲン化物であり、およびRは水素または炭素1〜20個を有する置換または未置換の炭素鎖分子を表し、ここで各Rは同一または相違していてもよい)で表される化合物および(b)式N(R’)4OH(式中、R’は水素または炭素原子1〜20個を有する置換または未置換の炭素鎖分子を表し、ここで各R’は同一または相違していてもよい)で表される少なくとも1種の水酸化アンモニウム化合物および少なくとも1種の酸ハロゲン化物を包含する。
【0051】
ハロゲン化物含有化合物はまた、前記有機ハロゲン化アンモニウム化合物との各種組合わせで用いられるハロゲン化アンモニウム化合物、例えば塩化アンモニウム、フッ化アンモニウムまたはその両方を包含する。さらに詳細には、塩化アンモニウム、フッ化アンモニウムまたはその両方は、(a)前記したとおりの式N(R)4X(式中、Xはハロゲン化物であり、およびRは水素または炭素1〜20個を有する置換または未置換の炭素鎖分子を表し、ここで各Rは同一または相違していてもよい)で表される化合物および/または(b)式N(R’)4OH(式中、R’は炭素原子1〜20個を有する置換または未置換の炭素鎖分子を表し、ここで各R’は同一または相違していてもよい)で表される少なくとも1種の水酸化アンモニウム化合物および少なくとも1種の酸ハロゲン化物とともに使用することができる。一例として、ハロゲン化テトラアルキルアンモニウム化合物としての第一のフッ化物−または塩化物−含有化合物を、ハロゲン化アンモニウム化合物として導入される第二のフッ化アンモニウム−または塩化アンモニウム−含有化合物とともに導入することができる。一例では、塩化テトラアルキルアンモニウム化合物をフッ化アンモニウムとともに使用する。
【0052】
(実施例)
酸素供給物質および/または窒素供給物質を用いる芳香族化触媒の活性化および強化方法およびプロセスパラメータを監視することによるそれらの量の制御方法が開示されており、下記の例は、開示されている方法の特定の態様として、およびその実施および利点を証明するために示すものである。下記例において、水または酸素は、例中に別段の記載がないかぎり、図1および本明細書に示されているような第一反応塔に先立ち、芳香族化供給材料中に注入した。これらの例は説明のために示されているものであって、いかなる様相でも明細書および特許請求の範囲を制限しようとするものではないものと理解する。
【実施例1】
【0053】
第一の実施例において、再循環水素中の水は約1ppmv以下に維持した。この実験は一連6個の断熱性反応塔で行い、これらの反応塔は約0.8〜約1.2/時間の一時間当たり液体空間速度、約3〜約6の水素対炭化水素比、および約50psigの6番目の反応塔入口圧力で操作した。各反応塔はそれぞれ、約3〜約10フィートの内径を有する半径流反応塔であった。供給材料は約1.0ppmvよりも少ない量の酸素供給物質が存在するように使用前に処理した。すなわち、この構造体はいずれの添加酸素供給物質および/または窒素供給物質も含有しておらず、対照として使用することができる。
【実施例2】
【0054】
実施例1のプロセスを反復するが、図1の流107または109に水を添加することによって再循環水素中の水を約2ppmv〜約9ppmvに変化させた。図3Aおよび図3Bは実施例1および2の触媒活性について酸素供給物質の存在がTeqに対して有する効果を例示している。詳細には、図3Aには、実施例1および実施例2の水素再循環気体流115中に存在する水の量が100万あたりの部数で示されている。一方、図3Bには、同じ2つの実施例の場合のTeqが華氏度で示されている。図3Aおよび3Bの中空菱形は、実質的に乾燥した状態で、すなわち当該流にいずれの水も添加することなく行った実施例1からのデータである。図3Aおよび3Bの黒色四角形は、実施例2、すなわち第一芳香族化反応塔に先立ち当該システムに酸素供給物質を添加した実験からのデータである。図3Aおよび3Bから見ることができるように、システムを実質的に乾燥した条件下に操作した場合、触媒活性は連続的に減少した。このことは当該芳香族化反応塔についてTeqが連続的に増加することにより示されている。これに対し、同一プロセスで同一触媒を使用するが、第一芳香族化反応塔に先立ち酸素供給物質を添加した場合、触媒はその高い初期活性を維持した。このことは図3Bの底部に示されている低く、かつ比較的一定のTeqにより示されている。
【0055】
水素再循環流の水含有量と触媒活性との間の関係はまた、可逆性であることができる。酸素添加操作(実施例2)の約6日目に、図3Aにおける水素循環中の減少された水により示されるように、当該システムへの水添加を停止した。6日目から始まり、その触媒活性は減少した。このことは図3Bに示されている増加したTeqにより証明されている。約10日の時点で、水素再循環中の水の量は約2ppmvであった。このレベルは実質的に乾燥した操作の開始時点に見られるレベル、約1.5ppmvに接近している。酸素供給物質の添加を10日目に再開した場合、触媒活性はその最初のレベルに戻った。このことは図3Bに示されている減少したTeqにより証明されている。このTeqの増加および減少は実施例2にかかわるグラフである図3Bの底部の6日〜12日間における僅かな盛り上がりを形成する。
【実施例3】
【0056】
水素再循環流の水含有量と触媒活性との間の関係はまた、本実施例に示されているように触媒固有であることができる。2種の相違する触媒組成に対する芳香族化触媒活性に対する酸素供給物質添加の短期間影響を証明する実験を行った。第一の触媒は白金が含浸されているL−ゼオライトからなり、ハロゲン化物、塩化物およびフッ化物ではさらに含浸されていなかった(Pt/L−ゼオライト)。第二の触媒は白金が含浸されており、ハロゲン化物、塩化物およびフッ化物がさらに含浸されているL−ゼオライトであった(Pt/Cl/F/L−ゼオライト)。この実施例において、これら2種の触媒は先ず、酸素供給物質を添加することなく、時間当たり液体空間速度(LHSV)約3.0;約140psig;H2/炭化水素供給材料比約3.0;有意の芳香族生成を達成する温度の安定操作状態においた。安定操作が確立された時点で、プロセスを次いで、約24時間にわたり水素供給材料に等量の酸素供給物質を添加することによって、詳細には痕跡量のO2を添加することによって撹乱させた。この酸素供給物質添加は反応塔からの排気中の水として測定した。これらの短時間撹乱試験期間中、触媒床温度は一定に保持した。酸素供給物質添加に対する触媒活性の応答、および引続く酸素供給物質添加の中止に対する触媒活性の応答をTyldを用いて測定した。
【0057】
図4にTyldについて一様のグラフで示されているように、酸素供給物質の存在はPt/L−ゼオライト触媒の活性に対しては影響を有していなかった。同様に、酸素供給物質の除去はPt/L−ゼオライト触媒の活性に対し影響を有していなかった。すなわち、図4のTyldグラフは酸素供給物質の注入前、注入中、および注入後に一定に留まった。これに対し、図5は酸素供給物質の添加がPt/Cl/F/L−ゼオライト触媒の活性を増加することを示しており、このことは酸素供給物質注入の間隙期間中の芳香族化反応塔のTyldの減少によって証明されている。さらにまた、酸素供給物質の添加を中断した場合、Tyldはその以前のより高いレベルに戻った。前記したように、これらの実施例で行われている吸熱性芳香族化反応の場合、Tyldが高いほど触媒活性は低く、その逆も真である。
【実施例4】
【0058】
この実施例では、触媒活性を改善および制御にするために酸素供給物質を使用する場合を示す追加の例である。この実施例において、約63重量%より少ないか、またはこの量に等しいC6濃度;約5重量%より少ないか、またはこの量に等しいC5濃度;約27重量%より少ないか、またはこの量に等しいC7濃度;および約10重量%より少ないか、またはこの量に等しいC8+濃度を有する供給材料を単一の反応塔に供給した。この単一の反応塔は約65psigの圧力において、約2.0の水素対炭化水素モル比および約1.6/時間の時間当たり液体空間速度を用いて操作した。この落下流動式反応塔は約1.0インチの内径を有する充填床型反応塔であった。供給材料はタイプ4A分子篩と還元BASF−R3−15(銅40重量%)との組合わせを用い、酸素供給物質が約1.0ppmvより少なくなるように予備処理した。この実施例の操作期間中、反応塔供給材料中の酸素供給物質の量は、供給材料流中に注入される水素のキャリヤガス中のO2の流動速度を調節することによって変化させた。この実施例の結果は図6に示されている。図示されているように、Tyldの実質的変化は再循環水素流中で測定された水の変化に対応する。
【実施例5】
【0059】
この実験は、水が芳香族化触媒の寿命に対して有する効果を例示する。この実施例において、2個の並列型実験室規模等温改質反応塔システムを使用し、両反応塔に同一ハロゲン化Pt/K−L−ゼオライト触媒を使用し、同一プロセス条件下に開始した。両反応塔は、操作の最初の4〜6時間にわたり水中で典型的スパイク(spike)を示した(反応塔生成物気体で測定した)。引続いて残りの50時間の低シビアリティ「ブレークイン」(low severity break−in)期間中、両反応塔は衰退した。低シビアリティ条件は、3.0LHSV、3.0H2/炭化水素、140psig、液状生成物中60%芳香族化合物であった。50時間オンストリーム(HOS)時点で、両反応塔を高シビアリティに設定した。高シビアリティ条件は3.0LHSV、0.5H2/炭化水素、140psig、液状生成物中76%芳香族化合物であった。両反応塔は高シビアリティへの移行おいて水中で典型的スパイクを示し、次いで衰退した。最初の100HOSについて、両反応塔は同一実験条件に付し、両反応塔は類似の性能を有していた。
【0060】
ラン1は水を添加することなく、例えば、実質的に乾燥条件下に、約50〜約1600HOS継続した。ラン1は約500HOSまでオフ−ガス(off−gas)中水約2ppmvで水平状態であった。ラン1における水レベルは約1600HOSをとおして約2ppmvに留まった。これに対し、ラン2では水を添加した。すなわち実質的に湿式操作した。詳細には、100HOS時点で、第二反応塔、例えばラン2に関連する反応塔に水素供給材料に痕跡量の酸素を制御添加することにより水レベルを増加した。ラン2の湿潤レベルは500HOSで水約8ppmvに到達し、約1600HOSをとおしてそのままであった。
【0061】
この実施例において、ラン1およびラン2の両方について、ラン開始(Start of Run)(SOR)生産調整反応塔温度は約940華氏度であった。この例におけるラン終了(End of Run)(EOR)温度は1000華氏度に制限した。約1600HOS時点で、両ランの生産調整反応塔温度は約985〜990華氏度であり、したがって、両ランはEOR温度に接近する。その結果として、約1600HOSにおいて、ラン1およびラン2の両方の水レベルは水約5〜6ppmvまで増加し、ラン1反応塔オフガスは水約8ppmvに増加し、またラン2反応塔オフガスは水約13.5ppmvに増加した。ラン2反応塔は同一速度で脱活性化を続けた。すなわち、8ppmvから13.5ppmvへの水の増加は汚れ速度または触媒活性を変えなかった。これに対し、ラン1反応塔の触媒活性は、オフガス中の水が2ppmvから8ppmvに変化すると、実質的に増加した。これは1600〜1750HOSからの反応塔生産調整温度の減少により示される。約1750HOSにおいて、ラン1反応塔活性は再び衰退を開始するが、水増加以前に比較すれば衰退速度は遅い。
【0062】
図7はこの実施例の結果を示している。反応塔が非標準操作条件下に操作される出発時点を示す図7の最初の約50HOS期間中のデータは記入されていない。ラン1はA点を予測するためにおよびC点を測定するために使用し、他方、ラン2はB点を測定するために使用した。実質的に乾燥操作であるラン1はA点でEORに到達するものと予測される。当該ランの大部分で水約8ppmvを有する実質的に湿潤操作であるラン2はほぼB点にEORを有していた。しかしながら、最良のランレングス(run length)は、サイクルの大部分をとおして中程度に低い水(例えば、2ppmv)で操作し、次いで供給材料に水を添加し、EOR温度に到達する直前のオフガス中の水を8ppmvに到達させることによって達成される。この試みは前の2つのランよりも良好であり、終末点Cをもたらす。A点とB点との間の差は約200時間であり、これはA点よりも約10%の増加である。B点とC点との差は約200時間である。したがって、触媒システムへの水の遅れた添加は、約400時間以上の有効触媒寿命をもたらすことができる、これは乾燥操作よりも約20%の増加に相当する。
【実施例6】
【0063】
図1に記載の反応塔システムに類似する実物大反応塔システムで実験を行った。詳細には、この芳香族化プロセスは実験の基礎を発展させるために正常条件下に操作した。図8A〜8Dは反応塔履歴および性能を例示している。
【0064】
623日目に、図1の流107に12ml/分の速度で水注入を開始し、再循環ガスに5ppmvの推定水含有量を生じさせた。この再循環ガス流(図1の流115)中の水含有量は1.2ppmvから4ppmvに増加した。624日目に、触媒活性の増加が見出され、WAITは1.5℃〜530℃減少し、反応塔空間速度(時間あたり)は0.75%増加した。625日目に、水注入速度を12ml/分から6ml/分に減少し、触媒活性の増加を制御し、またH2生産純度を改善した。WAITは529℃から528.5℃に減少され、この反応塔はより高い空間速度に維持された。626日目以降、触媒活性は以前の触媒充填物の活性衰退に従うものと予測され、したがって、当該流において約150日の推定追加時間が創出された。表1はこれらの結果を示している:
【表1】
【実施例7】
【0065】
実施例7および8に報告されている結果は、「結合ハロゲン化ゼオライト触媒を用いる改質」と題するHoltermannに対する米国特許第6,190,539号明細書の例5および6に記載の装置のような実験装置を使用して得られた結果である。この実施例および引続く実施例において、実験装置は再循環水素中、1ppmvよりも少ないH2Oで常習的に操作した。この実験装置は、酸素を再循環水素流に添加できるように改修した。この酸素を次いで水に変換し、水がハイドロファイニング区域内で触媒に通されるようにした。酸素添加を次いで、再循環水素中の水レベルを測定することによって制御した。この実施例において、酸素は再循環流中に注入し、生じる生産調整触媒平均温度を図9に描き入れた。炉温度は一定に保持し、生産調整触媒平均温度の変化を測定することによって触媒活性の変化を監視した。詳細には、約400ppmvのH2中O2を、ほぼ14,100時間の時点で開始し、0.08立法センチメータ/分/触媒グラム(cc/min・gcatalyst)の速度で添加した。酸素添加速度をほぼ14,300時間の時点で約0.17cc/分/触媒グラムに増加し、次いで酸素添加をほぼ14,800時間の時点で終了した。注入前、注入中および注入後の温度の線型回帰を温度数値に対して行った。図示されているように、傾斜は、O2注入前およびO2注入後に比較し、O2注入期間中小さく、これはO2注入期間中のさらに遅い不活性化速度を示している。詳細には、水添加前の触媒汚れ速度は0.13華氏度/日であった。水添加中の触媒汚れ速度は0.05華氏度/日であった。さらに、水添加後の触媒汚れ速度は0.28華氏度/日であった。
【実施例8】
【0066】
この実施例では、反応塔吸熱が時間および水含有量により正確に監視できるように、炉温度を一定に保持した。このランは、65psig、1.6LHSV、2.0H2/炭化水素モル比で操作した。
【0067】
初端から、再循環水素流中の水濃度を低くし(時々<1ppmvに達するレベルで<2ppmv)、その結果として約500HOSにおける延長された反応塔アイドリング時間のほとんど直後に触媒活性は減少された。図10に示されているように、1,600HOS時点で再循環ガスに酸素を添加することにより反応塔システムに水を添加した場合、活性は回復された。芳香族化反応塔への水添加を停止した場合、その活性は2,000〜3,100HOSの期間で再度、衰退した。引続いて、酸素添加により水レベルを増加すると、水約4または5ppmvまで触媒活性の増加が得られた。水をさらに増加しても、活性がさらに増加されることはなかった。3,900HOS時点で水添加を停止すると、触媒活性は再び、直ちに低下を開始した。
【0068】
3,900HOS時点で酸素(O2)添加をハイドロファイニングシステムの上流で開始した。この芳香族化反応塔内の反応速度は、1,650HOS時点における芳香族化反応塔からの流出水素中の水の増加が検出される前の約11時間、反応塔をとおして波型(上昇下降)で増加を始めた。この増加した反応速度は、反応塔吸熱の増加(サーモウェル温度が10華氏度程度に大きく低下する)によって示される。図11には、最初の酸素添加期間中の1,600〜1,700HOSの期間について操作期間中の内部サーモウェル温度が描かれている。反応塔内部温度は、反応塔出口で水が検出される前の約11時間、動き始めたことを見ることができる(温度は低下した、これは反応塔の吸熱および触媒活性の増加を示している)(図11)。
【0069】
低水分操作期間中、ベンゼンへの変換のみが有害な影響を受けた。トルエンおよびキシレンへの変換は無変化のままであった。この様相は図10に示されている。水分レベルを約1,600HOS時点で酸素を添加することによって増加させると、流出液中のベンゼン濃度は約40%から約48%に約8%増加する。
【0070】
本発明の好適態様を示し、説明したが、本発明の精神および教示から逸脱することなく、当業者はその修飾をなすことができる。本明細書に記載されている態様は単に例示するものであって、制限しようとするものではない。本明細書に記載の本発明の多くの変更および修飾が可能であり、これらは本発明の範囲内にある。数的範囲または限界が明記されている場合、このような記載範囲または限界は明記されている範囲内に入る同程度の反復範囲または限界を包含するものと理解されるべきである(例えば、約1〜約10は2,3,4などを包含し、0.10よりも大きいの用語は0.11、0.12、0.13などを包含する)。特許請求の範囲の全ての要素に関係する「場合により」の用語の使用は、当該要素が必要であるか、別様では不必要であることを意味するものとする。これら両方の別法は特許請求の範囲内にあるものとする。含む、包含する、有するなどの広い範囲を有する用語の使用は、より狭い範囲を有する用語、例えばからなる、基本的にからなる、実質的に構成されるなどの用語を支持するために示されているものと理解されるべきである。
【0071】
したがって、保護範囲は上記記載により制限されるものではなく、下記特許請求の範囲により制限されるのみであり、この範囲は特許請求の範囲の主題と同等の事項の全部を包含する。各特許請求の範囲はそれぞれ、本発明の態様として明細書に組み入れられる。したがって、特許請求の範囲は本発明の好適態様をさらに説明し、本発明の好適態様に追加されるものである。本明細書の引用刊行物、特に本出願の優先権主張日後に発行日を有することがある引用刊行物にかかわる検討は、本発明に対する先行技術であることを承認するものではない。本明細書で引用されている全部の特許、特許出願書、および刊行物の記載は、本明細書に記載されている事項の例示、処置またはその他の詳細の補助を提供する程度まで、引用してここに組み入れる。
【技術分野】
【0001】
(背景)
本発明は一般に、芳香族化触媒を用いる炭化水素の芳香族化に関する。特に、本発明は酸素供給物質、窒素供給物質、またはその両方の添加によって芳香族化触媒を活性化および/または強化する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
炭化水素の芳香族化合物への接触変換は芳香族化または改質と称され、重要な工業的方法である。芳香族化反応は炭化水素の脱水素、異性化および水素添加分解を包含することができ、これらの反応はそれぞれ特定の芳香族化合物を生成する。これらの反応は一般に、芳香族化触媒を含有する1個または2個以上の芳香族化反応塔で行われる。触媒は反応速度、所望の芳香族化合物の生成、および/または所望の芳香族化合物にかかわる生成比率を増加することができる。それらの商業的重要性に加え、芳香族化方法および触媒に関連する改善された方法およびシステムについて、前進的要求が存在している。
【0003】
(要旨)
一態様において、本発明は炭化水素流に窒素供給物質、酸素供給物質またはその両方を添加し、強化された炭化水素流を生成させ、この強化された炭化水素流を芳香族化触媒と接触させることを含み、これにより芳香族炭化水素を含有する芳香族化反応塔流出液を生成させる。この場合、触媒は非酸性ゼオライト支持体、第VIII族金属および1種または2種以上のハロゲン化物を含む。
【0004】
もう一つの態様において、本発明は炭化水素芳香族化方法を含み、この方法は強化された炭化水素流を生成させるために炭化水素流に、または強化された水素循環流を生成させるために水素再循環流に、またはその両方に、窒素供給物質、酸素供給物質またはその両方を添加し、次いでこの強化された炭化水素流、強化された再循環流、またはその両方を芳香族化反応塔内で芳香族化触媒と接触させ、芳香族炭化水素を含有する芳香族化反応塔流出液を生成し、次いで強化された炭化水素流、強化された再循環流、またはその両方に対する窒素供給物質、酸素供給物質またはその両方の添加を制御し、これにより1種または2種以上のプロセスパラメータを所望の範囲に維持することを包含する。
【0005】
さらにもう一つの態様において、本発明は芳香族化反応塔内の酸素供給物質、窒素供給物質またはその両方の存在を監視し、芳香族化触媒の活性を含む少なくとも1種のプロセスパラメータを監視し、反応塔内の窒素供給物質、酸素供給物質またはその両方の量を修正し、これにより当該パラメータに影響を与えることを含む炭化水素の芳香族化方法を含む。
【図面の簡単な説明】
【0006】
(図面の詳細な説明)
【図1】図1は芳香族化システムの一態様を示す工程フローチャートである。
【図2A】図2Aは芳香族化触媒に対し酸素供給物質および/または窒素供給物質を添加するための手段の一例を例示する。
【図2B】図2Bは芳香族化触媒に対し酸素供給物質および/または窒素供給物質を添加するためのもう一つの手段を例示する。
【図2C】図2Cは芳香族化触媒に対し酸素供給物質および/または窒素供給物質を添加するためのもう一つの手段を例示する。
【図2D】図2Dは芳香族化触媒に対し酸素供給物質および/または窒素供給物質を添加するためのもう一つの手段を例示する。
【図3A】図3Aは芳香族化触媒にかかわる水含有量とオンストリーム時間との間の関係を示す図面である。
【図3B】図3Bは芳香族化触媒にかかわるTeqとオンストリーム時間との間の関係を例示する図面である。
【図4】図4は芳香族化触媒にかかわる生産調整温度とオンストリーム時間との間の関係を例示する図面である。
【図5】図5は芳香族化触媒にかかわる生産調整温度とオンストリーム時間との間の関係を例示するもう一つの図面である
【図6】図6は芳香族化触媒にかかわる生産調整温度(Tyld)とオンストリーム時間との間の関係を例示する図面である。
【図7】図7は芳香族化触媒にかかわる生産調整温度(Tyld)とオンストリーム時間との間の関係を例示するもう一つの図面である。
【図8A】図8Aは芳香族化触媒にかかわる供給速度とオンストリーム時間との間の関係を例示する図面である。
【図8B】図8Bは芳香族化触媒にかかわるベンゼン生成とオンストリーム時間との間の関係を例示する図面である。
【図8C】図8Cは芳香族化触媒にかかわるベンゼン生成率、吸熱活性およびオンストリーム時間との間の関係を例示する図面である。
【図8D】図8Dは芳香族化触媒にかかわるTeqとオンストリーム時間との間の関係を例示する図面である。
【図9】図9は芳香族化触媒にかかわる生産調整温度とオンストリーム時間との間の関係を例示する図面である。
【図10】図10は芳香族化触媒にかかわる芳香族生成とオンストリーム時間との間の関係を例示する図面である。
【図11】図11は芳香族化触媒にかかわるウェル温度とオンストリーム時間との間の関係を例示する図面である。
【0007】
(詳細な説明)
炭化水素の芳香族化にかかわる新規方法およびシステムおよび/または芳香族化触媒の活性化、保護、および/または生産性の増強にかかわる新規方法およびシステムが本明細書に記載されている。一般に、水および水に変換可能な夾雑物は白金の焼結により触媒を損傷させることから芳香族化触媒にとって有害であると考えられていた。したがって、通常、水、酸素供給物質、または窒素供給物質は芳香族化システムから厳格に排除されるべきものと考えられていた。例えば、本明細書に記載の触媒を使用する場合、芳香族化システムおよび/または芳香族化システム内の炭化水素供給材料および/または水素再循環流中の水および酸素の存在は実質的に減少させるか、または排除することが有利であると考えられていた。特に、供給材料および水素再循環中の水レベルは百万容量あたり半部(0.5ppmv)程度に低いことが望まれていた。このような一般的に受け入れられていた知見は供給材料流中における水処理剤および乾燥剤の存在および慣用の芳香族化プロセスの水素再循環流中における乾燥剤の存在によって証明される。このような通常受け入れられていた知見に反して、本発明者等は若干の水分が或る種の芳香族化触媒の活性化、保護、および/または生産性向上に有益であることを見出した。特に、酸素供給物質、窒素供給物質またはその混合物は種々の時点、種々の場所および種々の手段で芳香族化システムに挿入することができ、これにより芳香族化プロセス期間中、1個または2個以上の芳香族化反応塔に特定量の水および/またはアンモニアを存在させることができる。一態様において、芳香族化反応塔内における特定量の水および/またはアンモニアの存在は、芳香族化触媒を活性化するか、または強化する。
【0008】
図1は本明細書に記載の芳香族化システムおよびプロセスで使用するのに適する接触反応塔システム100の一態様を例示している。図1に示されている態様において、接触反応塔システム100は一連4個の芳香族化反応塔を含む:反応塔10、20、30、および40。しかしながら、この接触反応塔システム100はいずれか適当な数および配置、例えば1個、2個、3個、5個、6個、または7個以上の一列配置または平行配置の芳香族化反応塔を有することができる。芳香族化反応は高度に吸熱性であることから、反応塔10、20、30、および40を横切って大きい温度低下が生じる。したがって、一列配置の各反応塔10、20、30、および40は、所望の反応速度を維持するために所望の温度に戻す再加熱部品である対応する炉11、21、31、および41をそれぞれ有することができる。別法として、1個または2個以上の反応塔は、実用的である場合、共通の炉を共有することもできる。反応塔10、20、30、および40、炉11、21、31、および41、および連結配管の全部をここで反応帯域と称することができる。
【0009】
図1において、炭化水素供給材料101は再循環流119と集合され、集合された供給材料流102を形成し、これは精製プロセス80に供給される。この精製プロセス80は炭化水素供給材料を精製するための公知方法を用い、この方法は炭化水素供給材料の分別および/または処理を包含することができる。本明細書で使用されているものとして、「分別」の用語は重質(例えば、C9+)炭化水素および/または軽質(例えば、C5−)炭化水素の除去を包含する。本明細書で使用されているものとして、「処理する」および「除去する」の用語は夾雑物、例えば酸素供給物質、イオウおよび/または金属の炭化水素供給材料からの除去を相互代替的に表す。生成する精製された供給材料103は乾燥水素再循環116と集合することができ、これにより水素に富む精製された供給材料104を生成することができる。この水素に富む精製された供給材料104は次いで、酸素供給物質および/または窒素供給物質105と集合し、反応塔供給材料流106を生成することができる。酸素供給物質および/または窒素供給物質は、流105に加えて、または別の流105として、反応塔システム100に1ヶ所または2ヶ所以上の場所で供給することができ、この点に関しては、本明細書でさらに詳細に説明する。
【0010】
反応塔供給材料流106は第一炉11において予備加熱する。この炉は炭化水素を所望の温度に加熱し、これにより第一反応塔供給材料107を生成する。第一反応塔供給材料107を反応塔10に供給し、ここで供給材料中の1種または2種以上の成分を芳香族化するのに適する反応条件(例えば、温度および圧力)下に炭化水素を芳香族化触媒と接触させる。これにより、その芳香族化合物含有量は増加される。芳香族化合物、未反応供給材料およびその他の炭化水素化合物または副生成物を含有する第一反応塔流出液108は第一反応塔10から回収する。
【0011】
第一反応塔流出液108を次いで、第二炉21で予備加熱し、ここで炭化水素を所望の温度に加熱し、これにより第二反応塔供給材料109を生成する。第二反応塔供給材料109を次いで、反応塔20に供給し、ここで供給材料中の1種または2種以上の成分を芳香族化するのに適する反応条件下に炭化水素を芳香族化触媒と接触させる。これにより、その芳香族化合物含有量は増加される。芳香族化合物、未反応供給材料およびその他の炭化水素化合物または副生成物を含有する第二反応塔流出液110は第二反応塔20から回収する。
【0012】
第二反応塔流出液110を次いで、第三炉31で予備加熱し、ここで炭化水素を所望の温度に加熱し、これにより第三反応塔供給材料111を生成する。第三反応塔供給材料111を次いで、反応塔30に供給し、ここで炭化水素を供給材料中の1種または2種以上の成分を芳香族化するのに適する反応条件下に芳香族化触媒と接触させる。これにより、その芳香族化合物含有量は増加される。芳香族化合物、未反応供給材料およびその他の炭化水素化合物または副生成物を含有する第三反応塔流出液112は第三反応塔30から回収する。
【0013】
第三反応塔流出液112を次いで、第四炉41で予備加熱し、ここで炭化水素を所望の温度に加熱し、これにより第四反応塔供給材料113を生成する。第四反応塔供給材料113を次いで、反応塔40に供給し、ここで炭化水素を供給材料中の1種または2種以上の成分を芳香族化するのに適する反応条件下に芳香族化触媒と接触させる。これにより、その芳香族化合物含有量は増加される。芳香族化合物、未反応供給材料およびその他の炭化水素化合物または副生成物を含有する第四反応塔流出液114は第四反応塔40から回収する。
【0014】
第四反応塔流出液114を次いで、改質生成物117から水素再循環115を分離するための多くの公知方法を用いる水素分離プロセス50に供給する。この改質生成物117はいずれか未反応の供給材料および別種の炭化水素化合物または副生成物に加えて、反応塔10、20、30、および40からの芳香族化反応生成物(例えば、芳香族化合物および非芳香族化合物)を含有する。水素再循環115は乾燥器60で乾燥させることができ、これにより乾燥水素再循環116が生成され、この乾燥水素再循環116は次いで、精製供給材料103中に再循環させることができる。改質生成物117は精製−抽出プロセス70に送り、ここで芳香族化合物118からラフィネート再循環119および反応塔副生成物(図示されていない)が分離される。水素分離プロセス50および精製−抽出プロセス70は当技術で周知であり、「高純度ベンゼンを生成するための改質方法」と題するMorrison等に対する米国特許第5,401,386号明細書、「下流ジメチルベンゼン回収を伴う脱水素環化方法」と題するWitteに対する米国特許第5,877,367号明細書、および「炭化水素供給材料を高純度ベンゼンおよび高純度パラキシレンに変換する方法」と題するAsh等に対する米国特許第6,004,452号明細書を包含する多くの特許文献に記載されており、その全体が再現可能なものとして、これらの記載をそれぞれ引用して、ここに組み入れる。ラフィネート再循環119を次いで、供給材料101に再循環し、また芳香族化合物118は販売するか、または所望により別段で使用する。簡潔にするために、図1には当該システム全体の種々の地点で接触反応塔システム100から採取される副生成物流は例示されていない。しかしながら、このような副生成物流の組成および場所は当業者にとって明白である。また、図1には酸素供給物質および/または窒素供給物質105が水素に富む精製供給材料104に添加される場合が示されているが、酸素供給物質および/または窒素供給物質はプロセス流101、102、103、104、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、119、またはその各種組合わせのいずれかに添加することができることは当業者にとって明白である。
【0015】
種々の態様において、本明細書に記載されている接触反応塔システムは固定触媒床システム、移動性触媒床システム、流動化触媒床システム、またはその組合わせを含むことができる。これらの反応塔システムはバッチ式であっても、または連続式であってもよい。一態様において、接触反応塔システムは1個または2個以上の固定床反応塔を含む固定床システムである。固定床システムにおいて、供給材料は炉管で予備加熱され、次いで触媒の固定床を含有する少なくとも1個の反応塔中に通される。この供給材料の流動方向は反応塔に対し上向き、下向き、または無作為であることができる。各種態様において、本明細書に記載の接触反応塔システムは断熱性接触反応塔システムとして、または等温性接触反応塔システムとして操作することができる。本明細書で使用されているものとして、「接触反応塔」および「反応塔」の用語は反応容器、反応塔内部、および付属処理装置を相互代替的に表し、これらに限定されないものとして、触媒、不活性パッキング材料、スキャロップ、フローディストリビューター、センター管、反応塔ポート、触媒トランスファーおよびディストリビューションシステム、炉、およびその他の加熱装置、熱移送装置、ならびに配管を包含する。
【0016】
一態様において、接触反応塔システムは少なくとも1個の芳香族化反応塔およびその対応する処理装置を含む芳香族化反応塔システムである。本明細書で使用されているものとして、「芳香族化」、「芳香族化する」および「改質」の用語は、芳香族化合物に富む生成物、すなわち一態様において、芳香族化合物含有量が供給材料の芳香族化合物含有量よりも多い生成物を提供するための炭化水素供給材料の処理を表す。代表的に、供給材料中の1種または2種以上の成分が1種または2種以上の改質反応を受け芳香族化合物が生成される。芳香族化操作期間中に生じる或る種の炭化水素反応はシクロヘキサン類の芳香族化合物への脱水素、アルキルシクロペンタン類の芳香族化合物への脱水素異性化、非環状炭化水素類の芳香族化合物への脱水素環化、またはその組合わせを包含する。その他多くの反応がまた生じ、これらの反応にはアルキルベンゼン類の脱アルキル化、パラフィン類の異性化、軽質気体状炭化水素、例えばメタン、エタン、プロパンおよびブタンを生成する水素添加分解反応、またはこれらの組合わせが包含される。
【0017】
芳香族化反応は、脱水素環形成反応を熱力学的に好み、また望ましくない水素添加分解反応を制限する処理条件下に生じる。圧力は約0ポンド/平方インチゲージ(psig)〜約500psig、別様には、約25psig〜約300psigであることができる。水素対炭化水素のモル比は約0.1:1〜約20:1、別様には、約1:1〜約6:1であることができる。操作温度は約700華氏度〜約1050華氏度、別様には、約900華氏度〜約1000華氏度の反応塔入口温度を包含する。さらにまた、芳香族化触媒上における炭化水素供給材料の一時間当たりの液体空間速度(liquid hourly space velocity)(LHSV)は約0.1〜約10/時間、別様には、約0.5〜約2.5/時間であることができる。
【0018】
供給材料の組成は接触芳香族化システムを計画する場合に考慮されるべきことである。一態様において、炭化水素供給材料は少なくとも6個の炭素原子を含有する非芳香族炭化水素を含有する。芳香族化システムへの供給材料は約10重量%まで、別様には、約15重量%の量のC5およびさらに軽質の炭化水素(C5−)を含有し、および約10重量%までの量のC9およびさらに重質の炭化水素(C9+)を含有するC6〜C8炭化水素を含む炭化水素の混合物である。このようなC9+およびC5−炭化水素の低レベルは高い価値を有する芳香族化合物の生成を最大にする。いくつかの例では、最適炭化水素供給材料はC6炭化水素のパーセンテージが最大である。このような供給材料は全範囲ナフサなどの炭化水素原料を軽質炭化水素供給材料フラクションと重質炭化水素供給材料フラクションとに分離することによって得ることができる軽質フラクションを使用する。
【0019】
もう一つの態様において、供給材料はナフサ供給材料である。ナフサ供給材料は約70華氏度〜約450華氏度の沸点範囲を有する軽質炭化水素であることができる。ナフサ供給材料は脂肪族、ナフテン族、またはパラフィン族炭化水素を含有することができる。これらの脂肪族およびナフテン族炭化水素は、芳香族化反応塔システムにおいて少なくとも部分的に、芳香族化合物に変換される。接触芳香族化は代表的に、ナフサの変換を表すが、その他の供給原料を処理し、芳香族化合物に富む生成物を同様に得ることができる。したがって、ナフサの変換は一態様であって、本発明はパラフィン炭化水素、オレフィン炭化水素、アセチレン炭化水素、環状パラフィン炭化水素、環状オレフィン炭化水素、およびその混合物、ならびに特に飽和炭化水素などの各種供給原料の変換または芳香族化に有用であることができる。
【0020】
一態様において、供給原料は実質的にイオウ、金属およびその他の芳香族化触媒に対する公知有毒物質を含有しておらず、また初期には酸素供給物質および窒素供給物質を実質的に含有していない。存在する場合、このような有毒物質は当業者に周知の方法を使用して除去することができる。数種の態様において、このような供給材料は、慣用のハイドロファイニング技術を先ず使用し、次いで吸着剤を用いて残留する有毒物質を除去することによって精製することができる。このようなハイドロファイニング技術および吸着剤は以下で説明する精製方法に包含される。
【0021】
一態様において、酸素供給物質、窒素供給物質またはその両方は、接触反応塔システム100における1種または2種以上のプロセス流および/または成分に添加することができる。本明細書で使用されているものとして、「酸素供給物質」(oxygenate)の用語は、水または接触芳香族化条件下に水を形成するいずれかの化学化合物、例えば酸素、酸素含有化合物、過酸化水素、アルコール類、ケトン類、エステル類、エーテル類、二酸化炭素、アルデヒド類、カルボン酸類、ラクトン類、オゾン、一酸化炭素またはその組合わせを表す。一態様において、水および/または水蒸気を酸素供給物質として使用する。もう一つの態様において、酸素を酸素供給物質として使用することができ、この場合、このような酸素は代表的芳香族化条件下に1個または2個以上の反応塔内で、または標準的ハイドロファイニング条件下に1種または2種以上のハイドロファイニング触媒または吸着剤床内で、その場で水に変換される。さらにまた、酸素供給物質はアルコール含有化合物であることができる。適当なアルコール含有化合物の特定的例には、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、t−ブタノール、ペンタノール、アミルアルコール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、フェノール、またはその組合わせがある。
【0022】
本明細書で使用されているものとして、「窒素供給物質」(nitrogenate)の用語は、アンモニアまたは接触芳香族化条件下にアンモニアを形成するいずれかの化学化合物、例えば窒素、窒素含有化合物、アルキルアミン類、芳香族アミン類、ピリジン類、ピリダジン類、ピリミジン類、ピラジン類、トリアジン類、複素環状N−オキシド類、ピロール類、ピラゾール類、イミダゾール類、トリアゾール類、ニトリル類、アミド類、尿素類、イミド類、ニトロ化合物、ニトロソ化合物、またはその組合せを表す。理論に制限されることは望まないが、このアンモニアは水とほとんど同一の様相で触媒活性を改善するものと信じられる。さらに、本明細書に記載されている酸素供給物質にかかわる添加および制御方法の全部はまた、窒素供給物質にかかわる添加および制御方法に追加的に、または別法として、全体的に適用することができる。
【0023】
本明細書に記載の酸素供給物質、窒素供給物質またはその両方はいずれも、単独で、組合わせとして、または別の適当な酸素供給物質または窒素供給物質を生成する組合わせとして使用することができることは当業者にとって明白である。いくつかの態様において、酸素供給物質および窒素供給物質は同一二官能性化合物内に含有させることもできる。酸素供給物質および/または窒素供給物質はいずれか適当な物理的相、例えば気体、液体またはその組合わせとして添加することができる。酸素供給物質および/または窒素供給物質はいずれか適当なそれらの添加手段、例えばポンプ、注入器、多孔分散器(スパージャー)、バブラーなどを経て1種または2種以上のプロセス流および/または成分に添加することができる。酸素供給物質および/または窒素供給物質は担体との集合体として導入することもできる。いくつかの例において、この担体は水素、炭化水素、窒素、希ガスまたはその混合物である。好適態様において、この担体は水素である。
【0024】
酸素供給物質および/または窒素供給物質は本明細書に記載の芳香族化システム内の種々の場所で添加することができる。一例として、酸素供給物質および/または窒素供給物質は接触反応塔システム100の1種または2種以上のプロセス流に、接触反応塔システム100の1種または2種以上の装置部品または容器に、あるいはその組合わせに添加することができる。一態様において、酸素供給物質および/または窒素供給物質は反応塔システム100により定められている反応帯域内の1ヶ所または2ヶ所以上の場所で添加することができる。ここで、この反応帯域は、プロセス流動ライン、装置、および/または反応物質が芳香族化反応を受ける容器を含む。一態様において、酸素供給物質および/または窒素供給物質は、図1に示されているように、乾燥水素再循環116の添加前、または乾燥水素再循環116の添加後のどちらかの時点で、精製プロセス80と第一炉11との間の場所で添加する。別法として、酸素供給物質および/または窒素供給物質は精製プロセス80内に添加することができる。しかしながら、酸素供給物質および/または窒素供給物質は接触反応塔システム100内の種々の別の場所で添加することができることも考えられる。一例として、酸素供給物質および/または窒素供給物質は供給材料101、集合された供給材料102、第一反応塔供給材料107、第一反応塔流出液108、第二反応塔供給材料109、第二反応塔流出液110、第三反応塔供給材料111、第三反応塔流出液112、第四反応塔供給材料113、またはその組合わせに添加することができる。さらに、酸素供給物質および/または窒素供給物質は第四反応塔流出液114、水素再循環115、乾燥水素再循環116、改質生成物117、ラフィネート再循環119またはその組合わせに添加することができる。さらにまた、酸素供給物質および/または窒素供給物質は前記流のいずれかの組合わせに、反応塔10、20、30または40のいずれかに直接に、炉11、21、31、41に直接に、またはその組合わせに添加することができる。同様に、酸素供給物質および/または窒素供給物質は接触反応塔システム100のいずれか他の処理装置または部品に、例えばポンプ、バルブ、ポート、ティー、マニホルドなどに直接に添加することができる。さらにまた、酸素供給物質および/または窒素供給物質は接触反応塔システム100の上流のいずれか他の処理装置または部品に、例えば接触反応塔システムに供給材料を供給するタンク、ポンプ、バルブ、ポート、ティー、マニホルド、などに添加することができる。
【0025】
酸素供給物質および/または窒素供給物質は芳香族化触媒の作動寿命期間中のいずれかの時点で芳香族化プロセスに添加することができる。本明細書で使用されているものとして、「時点」の用語は、芳香族化触媒の作動寿命期間中の酸素供給物質および/または窒素供給物質が触媒に添加される時点を表すことができる。一例として、酸素供給物質および/または窒素供給物質は芳香族化触媒の寿命の開始時点で、例えば触媒の新しいバッチがオンラインに参加する時点または直後に添加することができる。別法として、酸素供給物質および/または窒素供給物質は触媒ランの終末点または終末点付近で添加することができる。触媒ランの終点は本明細書に記載の方法および当業者に公知の方法のいずれかを使用し、例えば1,000日間オンラインなどの時間−基礎寿命時間、または規定値、例えば1000華氏度を超える温度−基礎寿命(これはしばしば、反応塔冶金学などのプロセス限界に基づく)を使用し、決定することができる。さらに、酸素供給物質および/または窒素供給物質は触媒の寿命期間中、例えば触媒がオンラインに参加した時点から触媒がオフラインに持ち込まれるまでの期間中、連続的に添加することもできる。さらにまた、酸素供給物質および/または窒素供給物質はこれらの時点のいずれかの組合わせ時点で、例えば連続的ではなく、触媒寿命の初期時点および触媒寿命の終末時点において、芳香族化触媒に添加することができる。
【0026】
さらに、酸素供給物質および/または窒素供給物質はいずれか適当な手段で芳香族化プロセスに添加することができる。本明細書で使用されているものとして、「手段」の用語は酸素供給物質および/または窒素供給物質の添加様相を表すことができ、例えば経時変化する触媒に対し酸素供給物質および/または窒素供給物質をどのように添加することができるかを表す。図2A、2B、2Cおよび2Dは、酸素供給物質および/または窒素供給物質を芳香族化触媒に添加することができる4種の手段を例示している。詳細に言えば、図2Aは酸素供給物質および/または窒素供給物質を一定レベルで段階的に増量して添加する場合を例示している。このような場合には、触媒寿命期間中、酸素供給物質および/または窒素供給物質を約2ppmv〜約10ppmv増加する場合がある。この段階は酸素供給物質レベルおよび/または窒素供給物質レベルの増加または減少であることができる。図2Bは、酸素供給物質および/または窒素供給物質を段階的変化により増量し、次いで経過時間にわたり一定割合(一定の傾斜)で増加する場合を例示している。このような場合には、酸素供給物質および/または窒素供給物質を出発時点で0から2ppmvに増加し、その後、0.2ppmv/日の割合で増加する場合がある。このような態様において、酸素供給物質および/または窒素供給物質の一定割合での増量は、図2Bに示されているように初期段階に先行させるか、または初期段階では欠落していることもある(すなわち、0ppmvで出発する)。図2Cは酸素供給物質および/または窒素供給物質を経過時間にわたり一定の割合で減量する場合を例示している。このような場合には、酸素供給物質および/または窒素供給物質を0.2ppmv/日の割合で減量する場合がある。このような態様において、酸素供給物質および/または窒素供給物質の増量は、図2Cに示されているように、初期段階により先行させるか、または酸素供給物質および/または窒素供給物質レベルを減少させることが望まれる場合のような場合、初期段階では酸素供給物質および/または窒素供給物質が欠落していることもある。図2Dは酸素供給物質および/または窒素供給物質をパルスとして添加する場合を例示している。このような場合には、酸素供給物質および/または窒素供給物質を2日間で約2ppmvから約10ppmvに増加し、次いで2ppmvに戻す場合がある。所望により、酸素供給物質および/または窒素供給物質は多種パルスで添加することもできる。
【0027】
図2A、2B、2Cおよび2Dに例示されている添加様相は触媒寿命の終末時点近くで示されているが、これらの添加様相は触媒寿命期間中のいずれの時点でも実施することができる。詳細に言えば、図2A、2B、2Cおよび2Dに例示されている添加様相は触媒寿命の出発時点で、触媒寿命の出発時点の短時間後に、触媒寿命期間中のいずれかの時点で、または触媒寿命の終末時点で、実施することができる。さらに、酸素供給物質および/または窒素供給物質は、上記手段のいずれかを組合わせて添加することもでき、例えば酸素供給物質および/または窒素供給物質を2種のパルスで添加し、次いで一定割合で増量することができる。
【0028】
芳香族化プロセスへの酸素供給物質および/または窒素供給物質の添加は、前記場所、時点および/または手段のいずれかの関数であることができる。一例として、芳香族化プロセスへの酸素供給物質および/または窒素供給物質の添加について考慮すべき唯一のことは、酸素供給物質および/または窒素供給物質が芳香族化プロセスに添加される時点、酸素供給物質および/または窒素供給物質が芳香族化プロセスに添加される場所、または酸素供給物質および/または窒素供給物質が芳香族化プロセスに添加される手段であることができる。しかしながら、酸素供給物質および/または窒素供給物質は代表的に、これらの考慮要件を組合わせて使用することによって芳香族化プロセスに添加される。一例として、酸素供給物質および/または窒素供給物質は、手段に関係なく時点と場所とを組合わせて、場所に関係なく時点と手段とを組合わせて、または時点に関係なく場所と手段とを組合わせで添加することができる。別法として、この時点、場所および手段は全部が、芳香族化システムに酸素供給物質および/または窒素供給物質を添加する場合の考慮要件であることができる。
【0029】
一態様において、本明細書に記載の接触反応塔システム100への酸素供給物質および/または窒素供給物質の添加は芳香族化触媒を活性化する機能を果たす。このような触媒は別段では、酸素供給物質が添加されないと、不活性であるか、または不十分の活性を示すことがある。一例として、ある種の芳香族化触媒、例えば1種または2種以上のハロゲン、例えばFおよび/またはClを含有するL−ゼオライト支持白金は、反応塔、例えば10、20、30、40への供給材料が酸素供給物質を実質的に含有していない場合、例えば全部で約1ppmvより少ない量の酸素供給物質および/または窒素供給物質を含有する場合、別様には、水素再循環流115中の酸素供給物質および/または窒素供給物質の総量が約0.5ppmvよりも少ない場合、活性ではないことがあり、または不適当な活性を有することがある。したがって、いくつかの態様において、本明細書に記載の酸素供給物質および/または窒素供給物質の添加は、このような触媒を活性化し、また維持する機能を果たすことができ、これにより本明細書に記載されているような反応材料の芳香族化合物への望ましい変換率、ならびに触媒作動寿命および堆積特性の改善などの利益をもたらすことができる。すなわち、触媒活性または活性化を酸素供給物質および/または窒素供給物質の添加または除去により制御することができる。別の態様において、窒素供給物質は同様に、接触反応塔システム100に添加することができ、芳香族化触媒を活性化する機能を果たす。このような触媒は別段では、窒素供給物質が添加されないと、不活性であるか、または不十分の活性を示す。
【0030】
一態様において、酸素供給物質および/または窒素供給物質の添加は、芳香族化触媒の有効寿命を増加させる。本明細書で使用されているものとして、「有効寿命」の用語は、芳香族化触媒が作動状態に置かれた時点と1種または2種以上のパラメータが芳香族化触媒の作動状態からの逸脱を示す時点(例えば、Teq最大または限界に達する時点)との間の時間を表す。酸素供給物質および/または窒素供給物質の添加の時点、場所および手段は芳香族化触媒の有効寿命に影響を及ぼすことができ、一例では、酸素供給物質および/または窒素供給物質の添加は触媒の有効寿命を少なくとも約5パーセント、少なくとも約15パーセント、または少なくとも約25パーセント増加させることができる。別の態様において、酸素供給物質および/または窒素供給物質の添加は触媒の有効寿命を少なくとも約50日、少なくとも約150日、または少なくとも約250日まで増加させることができる。
【0031】
一態様において、酸素供給物質および/または窒素供給物質の添加は芳香族化触媒の選択性および/または生産性を増加する。本明細書で使用されているものとして、「選択性」の用語は、指定の反応材料設定について芳香族化触媒により生成される芳香族生成物の比率を表すことができる。本明細書で使用されているものとして、「生産性」の用語は、単位供給材料および単位時間当たりで芳香族化触媒により生成される芳香族生成物の量を表すことができる。酸素供給物質および/または窒素供給物質が芳香族触媒に添加された場合、増加された量の1種または2種以上の芳香族化合物を生成させることができる。詳細に言えば、芳香族化触媒への酸素供給物質および/または窒素供給物質の添加は流出液中の芳香族化合物の量を、添加前のレベルの少なくとも約20パーセント、少なくとも約10パーセント、少なくとも約5パーセントまたは少なくとも約1パーセント増加させることができる。また、芳香族化触媒への酸素供給物質および/または窒素供給物質の添加は所望の芳香族化合物、例えばベンゼンに対する触媒選択性を増大させることができる。一態様において、芳香族化触媒への酸素供給物質および/または窒素供給物質の添加は、所望の芳香族化合物に対する触媒選択性を添加前レベルよりも少なくとも20パーセント、少なくとも10パーセント、少なくとも5パーセント、または少なくとも1パーセント増加することができる。特定の例において、ベンゼン生成は、別種の芳香族化合物のいずれかの生成を減少することなく、流出液の約40重量パーセント〜約48重量パーセント増加させることができる。これは触媒生産性および選択性の増加を示している。いくつかの態様において、このような効果はそれぞれ独立しており、例えばこれは総芳香族化合物生産は増加されないが、ベンゼン生成は増加される場合が相当する。
【0032】
一態様において、本明細書に記載の方法は別の利益をもたらすことができる。例えば、芳香族化合物生産レベルを特定レベルに維持した場合、反応塔はさらに低温で操作することができ、これはより長い触媒寿命をもたらす。別様には、反応塔温度を特定のレベルに維持した場合、反応塔内の空間速度を増加させることができ、これは追加の量の芳香族化合物生成をもたらす。さらにまた、本明細書に記載の方法は、本明細書では詳細に説明されていない追加の利益をもたらすことができる。
【0033】
一態様において、酸素供給物質および/または窒素供給物質の添加効果は、迅速であり、また可逆性である。一例として、酸素供給物質および/または窒素供給物質を芳香族化触媒に添加した場合、この酸素供給物質および/または窒素供給物質は約100時間以内、約50時間以内、約10時間以内または約1時間以内に芳香族化触媒に対し影響を及ぼし始める。同様に、酸素供給物質および/または窒素供給物質が一度除去されると、この芳香族化触媒は、約500時間以内、約100時間以内、約50時間以内または約10時間以内に、酸素供給物質および/または窒素供給物質の添加前に見られたその触媒活性、芳香族化合物収率、または芳香族化合物選択性に戻すことができる。
【0034】
一態様において、酸素供給物質および/または窒素供給物質を添加しようとする流中に存在する酸素供給物質および/または窒素供給物質の含有量は、酸素供給物質および/または窒素供給物質の添加前に測定するか、および/または調節する。実施例および図1を参照すると、1種または2種以上の供給材料流、例えば炭化水素供給材料101、再循環流119、集合された供給材料流116、水素再循環116またはその組合わせについて、その酸素供給物質および/または窒素供給物質の含有量を測定することができ、および/または酸素供給物質および/または窒素供給物質の添加に先立ちその酸素供給物質および/または窒素供給物質の含有量を調整することができる。同様に、これらと同じ流について、それらの窒素供給物質の含有量を測定することができ、および/または、窒素供給物質の添加に先立ち、その窒素供給物質の含有量を調整することができる。一般に、炭化水素供給材料流101などの原料または未処理供給材料流は、本明細書に記載の接触反応システムに導入される時点で若干量の酸素供給物質または窒素供給物質を含有することがある。さらに、プラント形態、供給材料貯蔵持続時間および気象条件に応じて、供給材料は空気から酸素供給物質または窒素供給物質を吸収することもある。1個または2個以上の芳香族化反応塔(例えば、反応塔10、20、30、40)に入る酸素供給物質または窒素供給物質の量を正確に制御するために、反応塔への1種または2種以上の供給材料流中の酸素供給物質および/または窒素供給物質の量を測定するか、調整するか、またはその両方を行うことができる。
【0035】
一態様において、指定の流、例えば供給材料流の酸素供給物質および/または窒素供給物質の含有量は、例えばリアルタイム、インラインアナライザー(real−time,in−line analyzer)を用いて測定することができる。このような測定値に応じて、流中の酸素供給物質および/または窒素供給物質の含有量は、これらの流を処理するか、および/またはこれらの流に酸素供給物質および/または窒素供給物質を添加することによって調整し、そこに所望量の酸素供給物質および/または窒素供給物質を得ることができる。一態様において、制御ループ(control loop)が処理器および酸素供給物質および/または窒素供給物質注入器にアナライザーを連結し、これにより1種または2種以上の流中の酸素供給物質および/または窒素供給物質の量がこれらの流の酸素供給物質および/または窒素供給物質の設定点に応じて制御される。一態様において、酸素供給物質および/または窒素供給物質含有量の測定および/または調整装置、ならびに付属装置、例えば処理器および/または化学物質注入器などは精製プロセス80の一部分として包含される。酸素供給物質および/または窒素供給物質の処理器は酸素供給物質および/または窒素供給物質の種類および量に基づいて変える。酸素供給物質が水を含有する態様においては、吸着材料床を使用することができる。これらの吸着剤床は乾燥器として一般に知られている。酸素供給物質が酸素を含有する態様においては、酸素を水に変換する処理器を乾燥器と組合わせて使用することができる。もう一つの態様において、窒素供給物質が塩基性化学物質を含有する場合、吸着材料床を使用することができる。
【0036】
一態様において、1種または2種以上の流、例えば炭化水素供給材料101、再循環流119、集合された供給材料流102、水素再循環116、またはその組合わせは、そこに酸素供給物質および/または窒素供給物質を添加する前に処理する。このような態様において、このような処理前の流の酸素供給物質および/または窒素供給物質含有量の測定は、場合により省略することができる。供給材料中の酸素供給物質および/または窒素供給物質含有量を容易に測定するための装置がない場合、芳香族化反応塔内で所望のレベルを信頼できる様相で維持することは困難である。
【0037】
酸素供給物質および/または窒素供給物質を添加する前の1種または2種以上の流の処理は、このような流中の酸素供給物質および/または窒素供給物質含有量にかかわる不定要素を取り除くことによって、芳香族化反応塔に入る1種または2種以上の流中の水および/またはアンモニアの量の総合的制御に役立つことができる。このような流の処理は、酸素供給物質および/または窒素供給物質を添加して酸素添加されている流、例えば反応塔供給材料流106を形成するためのこのような流中の酸素供給物質および/または窒素供給物質の一定の基礎量を提供する。反応塔供給材料が酸素供給物質および/または窒素供給物質を充分に含有していない場合、正確な量の酸素供給物質および/または窒素供給物質を反応塔供給材料に添加することができ、これにより反応塔内の酸素供給物質および/または窒素供給物質の量を確実に維持することができる。一態様において、精製プロセス80は炭化水素供給材料(例えば、流101、119および/または102)を適当な水レベルに乾燥させる炭化水素乾燥器を包含することができる。別の態様において、精製プロセス80は酸素供給物質の除去に使用されるシリカ上トリエチルアルミニウムの床または還元銅床(例えば、BASFから入手できるR3−15触媒)を包含することができる。さらに別の態様では、この還元銅床(例えば、BASFR3−15触媒)またはシリカ上トリエチルアルミニウム床を炭化水素乾燥器と組合わせて使用する。同様に、乾燥器60は水素再循環流および/またはその他のプロセス流、例えば流101、119および/または102を適当な水レベルに乾燥させるために使用することができる。一態様において、1種または2種以上の流、例えば炭化水素供給材料101、再循環流119、集合された供給材料流102、水素再循環116中の適当な酸素供給物質レベルは、その組合せが未処理水素再循環流115中の水の約1ppmv以下、別様では、約0.5ppmv以下、または別様では約0.1ppmv以下を生成するレベルである。一態様において、芳香族化反応塔に供給される1種または2種以上の流、例えば炭化水素供給材料101、再循環流119、集合された供給材料流102、水素再循環116、またはその組合わせは、その乾燥後に、水を実質的に含有していない。一態様において、正確な量の酸素供給物質および/または窒素供給物質は、このような処理プロセスを部分的に、または充分に迂回して、添加することができる。別法では、水素再循環流を湿った分子篩床、例えば使用済みの分子篩床に部分的または充分に通すことによって正確な量の酸素供給物質および/または窒素供給物質を添加することができる。
【0038】
一態様において、芳香族化プロセスに添加される酸素供給物質の量を規制し、水素再循環流115中の水含有量を制御することができる。特に、反応塔10、20、30および40の1個または2個以上中に存在する酸素供給物質の量は、上記のとおりに酸素供給物質を添加し、次いで最後の反応塔に存在する水の量、例えば流出流114、水素再循環115(乾燥器60の上流)またはその両方中の水の量を監視することによって制御することができる。水素再循環115中に充分の水レベルが存在するということは、本明細書に記載のとおりに触媒が活性化されるのに充分の酸素供給物質が反応塔10、20、30および40に存在することを示している。しかしながら、水素再循環流115中の水レベルはまた、過剰の水が触媒の有効寿命を減少させることができることから、制限されなければならない。詳細に言えば、水添加の上限は長期間触媒活性に基づき決定されなければならない。種々の態様において、接触反応塔システム100に添加される酸素供給物質の量は水素再循環流115が水を約1ppmv〜約100ppmv、別様には約1.5ppmv〜約10ppmv、または別様には約2ppmv〜約4ppmvの量で含有するように制御する。関連態様において、芳香族化プロセスに添加される窒素供給物質の量を規制し、酸素供給物質に使用される方法と同一のかなり多くの方法で水素再循環流115中のアンモニア含有量を制御することができる。
【0039】
もう一つの態様において、芳香族化プロセスに添加される酸素供給物質および/または窒素供給物質の量を規制し、触媒活性を制御することができ、または芳香族化触媒の有効寿命を保持することができる。この触媒活性は、1個または2個以上の反応塔を横切る吸熱、または△T、または別様にTeqを包含する多くの方法によって測定することができる。活性の測定要素、例えば反応塔温度、入口温度、生産調整温度、汚れ速度などを反応帯域の反応材料の指定変換率における活性と比較する。本明細書で使用されているものとして、「生産調整温度」(yield−adjusted temperature)または「Tyld」の用語は、特定の生産(変換)レベルに調整されている実験室規模反応塔システムにおける平均触媒床温度を表す。本明細書で使用されているものとして、「Teq」の用語は、標準設定の反応塔操作条件、例えば炭化水素供給速度、再循環水素対炭化水素モル比、平均反応塔圧力および供給材料−変換可能成分の濃度などにおいて、特定の変換率で接触芳香族化反応を行わせるのに要する相当反応塔重量平均入口温度(equivalent reactor weighted average inlet temperature)(WAIT)を表す。Teqは標準条件における操作によって、または反応塔変化要素の測定値に基づきTeqを推定するのに適する対比を用いることによって確立することができる。本明細書で使用されているものとして、Teqパラメータは、入口圧力から最後の反応塔まで約50psigの圧力を有する6個の断熱性反応塔列において、90重量%よりも多いか、または90重量%に等しい量のC6フラクション、5重量%よりも少ないか、または5重量%に等しい量のC5フラクション、および5重量%よりも少ないか、または5重量%に等しい量のC7+フラクションを含有する供給材料組成を用い、約4.0の水素対炭化水素比、約1.2/時間の空間速度で変換可能なC6の約88重量%変換まで接触芳香族化反応を行うことを包含する。本明細書で使用されているものとして、変換可能なC6の変換の用語は、1個または数個の分枝鎖を有するC6分子の芳香族化合物への変換を表す。種々の態様において、接触反応塔システム100に添加される酸素供給物質および/または窒素供給物質の量を、このTeqが約900華氏度〜約1000華氏度、約910華氏度〜約960華氏度、または約920華氏度〜約940華氏度であるように調整する。さらにまた、触媒活性のいずれかの増加はTeqの減少によって証明されることから、触媒活性の増加はまた、相当する乾燥炭化水素供給材料を処理する相当する反応塔システムのTeqの減少パーセントとして測定することができる。種々の態様において、接触反応塔システム100に添加される酸素供給物質の量は、相当する実質的に乾燥している炭化水素供給材料を操作する相当する反応塔システムのTeqに比較し、Teqが約0パーセント〜約2.5パーセントであるか、別様には約0.1パーセント〜約10パーセントであるか、または約1パーセント〜約5パーセントであるように制御する。これは例えば、水素循環流115中で約1ppmvより少ない水を、別様には約0.5ppmvより少ない総水量をもたらす。関連態様において、芳香族化プロセスに添加される窒素供給物質の量は酸素供給物質の場合に用いられる方法と同一の多くの方法で規制し、触媒活性を調整することができる。
【0040】
さらにまた、接触反応塔システムにおける酸素供給物質および/または窒素供給物質の使用は、触媒の汚れ速度に対し有益な効果を有することができる。触媒は、それらの触媒の使用が経済的にもはや有利ではない以上の有効寿命を有することができる。商業的に有用な触媒は比較的低度で、安定した汚れ速度を示す。本明細書に記載のとおりの酸素供給物質および/または窒素供給物質の使用は、これらの化学物質が実質的に存在していない条件下に、例えば流107が約1ppmvよりも少ない総酸素供給物質を含有するか、別様には流107中が約0.5ppmvよりも少ない総酸素供給物質を含有する条件下に操作される場合に、触媒の潜在的寿命を増加させ、また維持させる。
【0041】
本明細書に記載の接触反応塔システムとともに、種々の種類の触媒を使用することができる。一態様において、触媒は非酸性ゼオライト支持体、第VIII族金属、および1種または2種以上のハロゲン化物を含有する非酸性触媒である。適当なハロゲン化物は、塩化物、フッ化物、臭化物、ヨウ化物またはその組合わせを含む。適当な第VIII族金属は、鉄、コバルト、ニッケル、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、および白金を包含する。本明細書に記載の接触反応塔システムとともに使用するのに適する触媒の例には、The Woodlands、TexasのChevron Phillips Chemical Companyから入手できる触媒であるAROMAX(登録商品名)、ならびに「触媒の製造方法」と題するFukunagaに対する米国特許第6,812,180号明細書および「芳香族化触媒ならびにその製造方法および使用」と題するWuに対する米国特許第7,153,801号明細書に記載の触媒がある。これらの文献の記載を、それらが全体的に再現されるものとして、ここに引用して組み入れる。
【0042】
芳香族化触媒用支持体は一般に、あらゆる無機酸化物を包含する。これらの無機酸化物は、結合大型孔アルミノシリケート(ゼオライト)、無定形無機酸化物およびその混合物を包含する。大型孔アルミノシリケートは、これらに制限されないものとして、L−ゼオライト、Y−ゼオライト、モルデナイト、オメガゼオライト、ベータゼオライトなどを包含する。無定形無機酸化物は、これらに制限されないものとして、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、およびチタニアを包含する。無機酸化物に適する結合剤は、これらに制限されないものとして、シリカ、アルミナ、クレイ、チタニア、および酸化マグネシウムを包含する。
【0043】
天然および合成の両方のゼオライト物質は多くの炭化水素プロセスに対し触媒性を有することが知られている。ゼオライトは代表的に、チャンネルおよびチャンネルにより相互連絡されている空隙を有する構造を有する秩序だった有孔結晶アルミノシリケートである。結晶物質全体にわたり孔およびチャンネルは一般に、炭化水素の選択的分離を可能にする大きさを有することができる。
【0044】
「ゼオライト」の用語は一般に、特定群の水和結晶金属アルミノシリケートを表す。これらのゼオライトはアルミニウムとケイ素原子とが酸素原子を分け合うことによって三次元構造で交差結合しているSiO4およびAlO4テトラヒドロのネットワークを示す。この構造において、総アルミニウムおよびケイ素原子に対する酸素原子の比は2に等しいことができる。この構造は金属、アルカリ金属、アルカリ土類金属または水素のような結晶内にカチオンを包入することによって典型的に平衡化されている負の電子価を示す。
【0045】
L−型ゼオライト触媒はゼオライト触媒の付属群である。代表的L−型ゼオライトは下記式に従うモル比の酸化物を含有する:
M2/n・Al2O3・SiO2・yH2O
式中、「M」は少なくとも1個の交換可能なカチオン、例えばバリウム、カルシウム、セリウム、リチウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウム、ストロンチウム、およびアエン、ならびにL−型ゼオライトの基本結晶構造に実質的な変化をもたらすことなく、別種の交換可能なカチオンにより置き換えることができるヒドロニウムイオンおよびアンモニウムイオンのような非金属カチオンを表す。この式において、「n」は「M」の原子価を表し、「x」は2またはそれ以上であり、および「y」はチャンネル中に、またはゼオライトと相互連絡している空隙中に含有されている水分子の数である。
【0046】
結合カリウムL−型ゼオライトまたはKLゼオライトは特に望ましいことが見出されている。本明細書で使用されているものとして、「KLゼオライト」の用語はゼオライト中に配合されている最重要カチオンMがカリウムであるL−型ゼオライトを表す。KLゼオライトはもう1種の金属および1種または2種以上のハロゲン化物とカチオン交換することができるか、またはこれらを含浸することができ、これにより白金含浸ハロゲン化ゼオライトまたはKL支持Pt−ハロゲン化物ゼオライト触媒が形成される。
【0047】
一態様において、第VIII族金属は白金である。白金および任意に存在する1種または2種以上のハロゲン化物は適当な方法、例えば白金含有化合物および1種または2種以上のハロゲン化物含有化合物の溶液を含浸することによりゼオライト支持体に付加することができる。一例として、白金含有化合物はいずれかの分解可能な白金含有化合物であることができる。このような化合物の例は、これらに制限されないものとして、アンモニウムテトラクロロプラチネート、塩化白金酸、ジアミン白金(II)ニトレート、塩化ビス−(エチレンジアミン)白金(II)、白金(II)アセチルアセトネート、ジクロロジアミン白金、塩化白金(II)、水酸化テトラアミン白金(II)、塩化テトラアミン白金、およびテトラアミン白金ニトレートを包含する。
【0048】
一態様において、触媒は白金含有化合物および少なくとも1種の有機ハロゲン化アンモニウム化合物を含有する大型孔ゼオライト支持体である。この有機ハロゲン化アンモニウム化合物は式N(R)4X(式中、Xはハロゲン化物であり、およびRは水素または炭素1〜20個を有する置換または未置換の炭素鎖分子を表し、ここで各Rは同一または相違していてもよい)により表される1種または2種以上の化合物を含むことができる。一態様において、Rはメチル、エチル、プロピル、ブチル、およびその組合わせからなる群から選択され、特にメチルである。適当な有機アンモニウム化合物は式N(R)4Xで表され、塩化アンモニウム、フッ化アンモニウム、およびハロゲン化テトラアルキルアンモニウム、例えば塩化テトラメチルアンモニウム、フッ化テトラメチルアンモニウム、塩化テトラエチルアンモニウム、フッ化テトラエチルアンモニウム、塩化テトラプロピルアンモニウム、フッ化テトラプロピルアンモニウム、塩化テトラブチルアンモニウム、フッ化テトラブチルアンモニウム、塩化メチルトリエチルアンモニウム、フッ化メチルトリエチルアンモニウム、およびその組合わせを包含する。
【0049】
一態様において、有機ハロゲン化アンモニウム化合物は少なくとも1種の酸ハロゲン化物および少なくとも1種の水酸化アンモニウムを含有し、式N(R’)4OH(式中、R’は水素または炭素原子1〜20個を有する置換または未置換の炭素鎖分子を表し、ここで各R’は同一または相違していてもよい)で表される。一態様において、R’はメチル、エチル、プロピル、ブチル、およびその組合わせから選択され、さらに特にメチルである。式N(R’)4OHで表される適当な水酸化アンモニウム化合物の例は、水酸化アンモニウム、水酸化テトラアルキルアンモニウム、例えば水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラプロピルアンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウム、およびその組合わせを包含する。適当な酸ハロゲン化物はHCl、HF、HBr、HI、またはその組合わせを包含する。
【0050】
一態様において、有機ハロゲン化アンモニウム化合物は、(a)式N(R)4X(式中、Xはハロゲン化物であり、およびRは水素または炭素1〜20個を有する置換または未置換の炭素鎖分子を表し、ここで各Rは同一または相違していてもよい)で表される化合物および(b)式N(R’)4OH(式中、R’は水素または炭素原子1〜20個を有する置換または未置換の炭素鎖分子を表し、ここで各R’は同一または相違していてもよい)で表される少なくとも1種の水酸化アンモニウム化合物および少なくとも1種の酸ハロゲン化物を包含する。
【0051】
ハロゲン化物含有化合物はまた、前記有機ハロゲン化アンモニウム化合物との各種組合わせで用いられるハロゲン化アンモニウム化合物、例えば塩化アンモニウム、フッ化アンモニウムまたはその両方を包含する。さらに詳細には、塩化アンモニウム、フッ化アンモニウムまたはその両方は、(a)前記したとおりの式N(R)4X(式中、Xはハロゲン化物であり、およびRは水素または炭素1〜20個を有する置換または未置換の炭素鎖分子を表し、ここで各Rは同一または相違していてもよい)で表される化合物および/または(b)式N(R’)4OH(式中、R’は炭素原子1〜20個を有する置換または未置換の炭素鎖分子を表し、ここで各R’は同一または相違していてもよい)で表される少なくとも1種の水酸化アンモニウム化合物および少なくとも1種の酸ハロゲン化物とともに使用することができる。一例として、ハロゲン化テトラアルキルアンモニウム化合物としての第一のフッ化物−または塩化物−含有化合物を、ハロゲン化アンモニウム化合物として導入される第二のフッ化アンモニウム−または塩化アンモニウム−含有化合物とともに導入することができる。一例では、塩化テトラアルキルアンモニウム化合物をフッ化アンモニウムとともに使用する。
【0052】
(実施例)
酸素供給物質および/または窒素供給物質を用いる芳香族化触媒の活性化および強化方法およびプロセスパラメータを監視することによるそれらの量の制御方法が開示されており、下記の例は、開示されている方法の特定の態様として、およびその実施および利点を証明するために示すものである。下記例において、水または酸素は、例中に別段の記載がないかぎり、図1および本明細書に示されているような第一反応塔に先立ち、芳香族化供給材料中に注入した。これらの例は説明のために示されているものであって、いかなる様相でも明細書および特許請求の範囲を制限しようとするものではないものと理解する。
【実施例1】
【0053】
第一の実施例において、再循環水素中の水は約1ppmv以下に維持した。この実験は一連6個の断熱性反応塔で行い、これらの反応塔は約0.8〜約1.2/時間の一時間当たり液体空間速度、約3〜約6の水素対炭化水素比、および約50psigの6番目の反応塔入口圧力で操作した。各反応塔はそれぞれ、約3〜約10フィートの内径を有する半径流反応塔であった。供給材料は約1.0ppmvよりも少ない量の酸素供給物質が存在するように使用前に処理した。すなわち、この構造体はいずれの添加酸素供給物質および/または窒素供給物質も含有しておらず、対照として使用することができる。
【実施例2】
【0054】
実施例1のプロセスを反復するが、図1の流107または109に水を添加することによって再循環水素中の水を約2ppmv〜約9ppmvに変化させた。図3Aおよび図3Bは実施例1および2の触媒活性について酸素供給物質の存在がTeqに対して有する効果を例示している。詳細には、図3Aには、実施例1および実施例2の水素再循環気体流115中に存在する水の量が100万あたりの部数で示されている。一方、図3Bには、同じ2つの実施例の場合のTeqが華氏度で示されている。図3Aおよび3Bの中空菱形は、実質的に乾燥した状態で、すなわち当該流にいずれの水も添加することなく行った実施例1からのデータである。図3Aおよび3Bの黒色四角形は、実施例2、すなわち第一芳香族化反応塔に先立ち当該システムに酸素供給物質を添加した実験からのデータである。図3Aおよび3Bから見ることができるように、システムを実質的に乾燥した条件下に操作した場合、触媒活性は連続的に減少した。このことは当該芳香族化反応塔についてTeqが連続的に増加することにより示されている。これに対し、同一プロセスで同一触媒を使用するが、第一芳香族化反応塔に先立ち酸素供給物質を添加した場合、触媒はその高い初期活性を維持した。このことは図3Bの底部に示されている低く、かつ比較的一定のTeqにより示されている。
【0055】
水素再循環流の水含有量と触媒活性との間の関係はまた、可逆性であることができる。酸素添加操作(実施例2)の約6日目に、図3Aにおける水素循環中の減少された水により示されるように、当該システムへの水添加を停止した。6日目から始まり、その触媒活性は減少した。このことは図3Bに示されている増加したTeqにより証明されている。約10日の時点で、水素再循環中の水の量は約2ppmvであった。このレベルは実質的に乾燥した操作の開始時点に見られるレベル、約1.5ppmvに接近している。酸素供給物質の添加を10日目に再開した場合、触媒活性はその最初のレベルに戻った。このことは図3Bに示されている減少したTeqにより証明されている。このTeqの増加および減少は実施例2にかかわるグラフである図3Bの底部の6日〜12日間における僅かな盛り上がりを形成する。
【実施例3】
【0056】
水素再循環流の水含有量と触媒活性との間の関係はまた、本実施例に示されているように触媒固有であることができる。2種の相違する触媒組成に対する芳香族化触媒活性に対する酸素供給物質添加の短期間影響を証明する実験を行った。第一の触媒は白金が含浸されているL−ゼオライトからなり、ハロゲン化物、塩化物およびフッ化物ではさらに含浸されていなかった(Pt/L−ゼオライト)。第二の触媒は白金が含浸されており、ハロゲン化物、塩化物およびフッ化物がさらに含浸されているL−ゼオライトであった(Pt/Cl/F/L−ゼオライト)。この実施例において、これら2種の触媒は先ず、酸素供給物質を添加することなく、時間当たり液体空間速度(LHSV)約3.0;約140psig;H2/炭化水素供給材料比約3.0;有意の芳香族生成を達成する温度の安定操作状態においた。安定操作が確立された時点で、プロセスを次いで、約24時間にわたり水素供給材料に等量の酸素供給物質を添加することによって、詳細には痕跡量のO2を添加することによって撹乱させた。この酸素供給物質添加は反応塔からの排気中の水として測定した。これらの短時間撹乱試験期間中、触媒床温度は一定に保持した。酸素供給物質添加に対する触媒活性の応答、および引続く酸素供給物質添加の中止に対する触媒活性の応答をTyldを用いて測定した。
【0057】
図4にTyldについて一様のグラフで示されているように、酸素供給物質の存在はPt/L−ゼオライト触媒の活性に対しては影響を有していなかった。同様に、酸素供給物質の除去はPt/L−ゼオライト触媒の活性に対し影響を有していなかった。すなわち、図4のTyldグラフは酸素供給物質の注入前、注入中、および注入後に一定に留まった。これに対し、図5は酸素供給物質の添加がPt/Cl/F/L−ゼオライト触媒の活性を増加することを示しており、このことは酸素供給物質注入の間隙期間中の芳香族化反応塔のTyldの減少によって証明されている。さらにまた、酸素供給物質の添加を中断した場合、Tyldはその以前のより高いレベルに戻った。前記したように、これらの実施例で行われている吸熱性芳香族化反応の場合、Tyldが高いほど触媒活性は低く、その逆も真である。
【実施例4】
【0058】
この実施例では、触媒活性を改善および制御にするために酸素供給物質を使用する場合を示す追加の例である。この実施例において、約63重量%より少ないか、またはこの量に等しいC6濃度;約5重量%より少ないか、またはこの量に等しいC5濃度;約27重量%より少ないか、またはこの量に等しいC7濃度;および約10重量%より少ないか、またはこの量に等しいC8+濃度を有する供給材料を単一の反応塔に供給した。この単一の反応塔は約65psigの圧力において、約2.0の水素対炭化水素モル比および約1.6/時間の時間当たり液体空間速度を用いて操作した。この落下流動式反応塔は約1.0インチの内径を有する充填床型反応塔であった。供給材料はタイプ4A分子篩と還元BASF−R3−15(銅40重量%)との組合わせを用い、酸素供給物質が約1.0ppmvより少なくなるように予備処理した。この実施例の操作期間中、反応塔供給材料中の酸素供給物質の量は、供給材料流中に注入される水素のキャリヤガス中のO2の流動速度を調節することによって変化させた。この実施例の結果は図6に示されている。図示されているように、Tyldの実質的変化は再循環水素流中で測定された水の変化に対応する。
【実施例5】
【0059】
この実験は、水が芳香族化触媒の寿命に対して有する効果を例示する。この実施例において、2個の並列型実験室規模等温改質反応塔システムを使用し、両反応塔に同一ハロゲン化Pt/K−L−ゼオライト触媒を使用し、同一プロセス条件下に開始した。両反応塔は、操作の最初の4〜6時間にわたり水中で典型的スパイク(spike)を示した(反応塔生成物気体で測定した)。引続いて残りの50時間の低シビアリティ「ブレークイン」(low severity break−in)期間中、両反応塔は衰退した。低シビアリティ条件は、3.0LHSV、3.0H2/炭化水素、140psig、液状生成物中60%芳香族化合物であった。50時間オンストリーム(HOS)時点で、両反応塔を高シビアリティに設定した。高シビアリティ条件は3.0LHSV、0.5H2/炭化水素、140psig、液状生成物中76%芳香族化合物であった。両反応塔は高シビアリティへの移行おいて水中で典型的スパイクを示し、次いで衰退した。最初の100HOSについて、両反応塔は同一実験条件に付し、両反応塔は類似の性能を有していた。
【0060】
ラン1は水を添加することなく、例えば、実質的に乾燥条件下に、約50〜約1600HOS継続した。ラン1は約500HOSまでオフ−ガス(off−gas)中水約2ppmvで水平状態であった。ラン1における水レベルは約1600HOSをとおして約2ppmvに留まった。これに対し、ラン2では水を添加した。すなわち実質的に湿式操作した。詳細には、100HOS時点で、第二反応塔、例えばラン2に関連する反応塔に水素供給材料に痕跡量の酸素を制御添加することにより水レベルを増加した。ラン2の湿潤レベルは500HOSで水約8ppmvに到達し、約1600HOSをとおしてそのままであった。
【0061】
この実施例において、ラン1およびラン2の両方について、ラン開始(Start of Run)(SOR)生産調整反応塔温度は約940華氏度であった。この例におけるラン終了(End of Run)(EOR)温度は1000華氏度に制限した。約1600HOS時点で、両ランの生産調整反応塔温度は約985〜990華氏度であり、したがって、両ランはEOR温度に接近する。その結果として、約1600HOSにおいて、ラン1およびラン2の両方の水レベルは水約5〜6ppmvまで増加し、ラン1反応塔オフガスは水約8ppmvに増加し、またラン2反応塔オフガスは水約13.5ppmvに増加した。ラン2反応塔は同一速度で脱活性化を続けた。すなわち、8ppmvから13.5ppmvへの水の増加は汚れ速度または触媒活性を変えなかった。これに対し、ラン1反応塔の触媒活性は、オフガス中の水が2ppmvから8ppmvに変化すると、実質的に増加した。これは1600〜1750HOSからの反応塔生産調整温度の減少により示される。約1750HOSにおいて、ラン1反応塔活性は再び衰退を開始するが、水増加以前に比較すれば衰退速度は遅い。
【0062】
図7はこの実施例の結果を示している。反応塔が非標準操作条件下に操作される出発時点を示す図7の最初の約50HOS期間中のデータは記入されていない。ラン1はA点を予測するためにおよびC点を測定するために使用し、他方、ラン2はB点を測定するために使用した。実質的に乾燥操作であるラン1はA点でEORに到達するものと予測される。当該ランの大部分で水約8ppmvを有する実質的に湿潤操作であるラン2はほぼB点にEORを有していた。しかしながら、最良のランレングス(run length)は、サイクルの大部分をとおして中程度に低い水(例えば、2ppmv)で操作し、次いで供給材料に水を添加し、EOR温度に到達する直前のオフガス中の水を8ppmvに到達させることによって達成される。この試みは前の2つのランよりも良好であり、終末点Cをもたらす。A点とB点との間の差は約200時間であり、これはA点よりも約10%の増加である。B点とC点との差は約200時間である。したがって、触媒システムへの水の遅れた添加は、約400時間以上の有効触媒寿命をもたらすことができる、これは乾燥操作よりも約20%の増加に相当する。
【実施例6】
【0063】
図1に記載の反応塔システムに類似する実物大反応塔システムで実験を行った。詳細には、この芳香族化プロセスは実験の基礎を発展させるために正常条件下に操作した。図8A〜8Dは反応塔履歴および性能を例示している。
【0064】
623日目に、図1の流107に12ml/分の速度で水注入を開始し、再循環ガスに5ppmvの推定水含有量を生じさせた。この再循環ガス流(図1の流115)中の水含有量は1.2ppmvから4ppmvに増加した。624日目に、触媒活性の増加が見出され、WAITは1.5℃〜530℃減少し、反応塔空間速度(時間あたり)は0.75%増加した。625日目に、水注入速度を12ml/分から6ml/分に減少し、触媒活性の増加を制御し、またH2生産純度を改善した。WAITは529℃から528.5℃に減少され、この反応塔はより高い空間速度に維持された。626日目以降、触媒活性は以前の触媒充填物の活性衰退に従うものと予測され、したがって、当該流において約150日の推定追加時間が創出された。表1はこれらの結果を示している:
【表1】
【実施例7】
【0065】
実施例7および8に報告されている結果は、「結合ハロゲン化ゼオライト触媒を用いる改質」と題するHoltermannに対する米国特許第6,190,539号明細書の例5および6に記載の装置のような実験装置を使用して得られた結果である。この実施例および引続く実施例において、実験装置は再循環水素中、1ppmvよりも少ないH2Oで常習的に操作した。この実験装置は、酸素を再循環水素流に添加できるように改修した。この酸素を次いで水に変換し、水がハイドロファイニング区域内で触媒に通されるようにした。酸素添加を次いで、再循環水素中の水レベルを測定することによって制御した。この実施例において、酸素は再循環流中に注入し、生じる生産調整触媒平均温度を図9に描き入れた。炉温度は一定に保持し、生産調整触媒平均温度の変化を測定することによって触媒活性の変化を監視した。詳細には、約400ppmvのH2中O2を、ほぼ14,100時間の時点で開始し、0.08立法センチメータ/分/触媒グラム(cc/min・gcatalyst)の速度で添加した。酸素添加速度をほぼ14,300時間の時点で約0.17cc/分/触媒グラムに増加し、次いで酸素添加をほぼ14,800時間の時点で終了した。注入前、注入中および注入後の温度の線型回帰を温度数値に対して行った。図示されているように、傾斜は、O2注入前およびO2注入後に比較し、O2注入期間中小さく、これはO2注入期間中のさらに遅い不活性化速度を示している。詳細には、水添加前の触媒汚れ速度は0.13華氏度/日であった。水添加中の触媒汚れ速度は0.05華氏度/日であった。さらに、水添加後の触媒汚れ速度は0.28華氏度/日であった。
【実施例8】
【0066】
この実施例では、反応塔吸熱が時間および水含有量により正確に監視できるように、炉温度を一定に保持した。このランは、65psig、1.6LHSV、2.0H2/炭化水素モル比で操作した。
【0067】
初端から、再循環水素流中の水濃度を低くし(時々<1ppmvに達するレベルで<2ppmv)、その結果として約500HOSにおける延長された反応塔アイドリング時間のほとんど直後に触媒活性は減少された。図10に示されているように、1,600HOS時点で再循環ガスに酸素を添加することにより反応塔システムに水を添加した場合、活性は回復された。芳香族化反応塔への水添加を停止した場合、その活性は2,000〜3,100HOSの期間で再度、衰退した。引続いて、酸素添加により水レベルを増加すると、水約4または5ppmvまで触媒活性の増加が得られた。水をさらに増加しても、活性がさらに増加されることはなかった。3,900HOS時点で水添加を停止すると、触媒活性は再び、直ちに低下を開始した。
【0068】
3,900HOS時点で酸素(O2)添加をハイドロファイニングシステムの上流で開始した。この芳香族化反応塔内の反応速度は、1,650HOS時点における芳香族化反応塔からの流出水素中の水の増加が検出される前の約11時間、反応塔をとおして波型(上昇下降)で増加を始めた。この増加した反応速度は、反応塔吸熱の増加(サーモウェル温度が10華氏度程度に大きく低下する)によって示される。図11には、最初の酸素添加期間中の1,600〜1,700HOSの期間について操作期間中の内部サーモウェル温度が描かれている。反応塔内部温度は、反応塔出口で水が検出される前の約11時間、動き始めたことを見ることができる(温度は低下した、これは反応塔の吸熱および触媒活性の増加を示している)(図11)。
【0069】
低水分操作期間中、ベンゼンへの変換のみが有害な影響を受けた。トルエンおよびキシレンへの変換は無変化のままであった。この様相は図10に示されている。水分レベルを約1,600HOS時点で酸素を添加することによって増加させると、流出液中のベンゼン濃度は約40%から約48%に約8%増加する。
【0070】
本発明の好適態様を示し、説明したが、本発明の精神および教示から逸脱することなく、当業者はその修飾をなすことができる。本明細書に記載されている態様は単に例示するものであって、制限しようとするものではない。本明細書に記載の本発明の多くの変更および修飾が可能であり、これらは本発明の範囲内にある。数的範囲または限界が明記されている場合、このような記載範囲または限界は明記されている範囲内に入る同程度の反復範囲または限界を包含するものと理解されるべきである(例えば、約1〜約10は2,3,4などを包含し、0.10よりも大きいの用語は0.11、0.12、0.13などを包含する)。特許請求の範囲の全ての要素に関係する「場合により」の用語の使用は、当該要素が必要であるか、別様では不必要であることを意味するものとする。これら両方の別法は特許請求の範囲内にあるものとする。含む、包含する、有するなどの広い範囲を有する用語の使用は、より狭い範囲を有する用語、例えばからなる、基本的にからなる、実質的に構成されるなどの用語を支持するために示されているものと理解されるべきである。
【0071】
したがって、保護範囲は上記記載により制限されるものではなく、下記特許請求の範囲により制限されるのみであり、この範囲は特許請求の範囲の主題と同等の事項の全部を包含する。各特許請求の範囲はそれぞれ、本発明の態様として明細書に組み入れられる。したがって、特許請求の範囲は本発明の好適態様をさらに説明し、本発明の好適態様に追加されるものである。本明細書の引用刊行物、特に本出願の優先権主張日後に発行日を有することがある引用刊行物にかかわる検討は、本発明に対する先行技術であることを承認するものではない。本明細書で引用されている全部の特許、特許出願書、および刊行物の記載は、本明細書に記載されている事項の例示、処置またはその他の詳細の補助を提供する程度まで、引用してここに組み入れる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭化水素芳香族化方法であって、
窒素供給物質、酸素供給物質、またはその両方を炭化水素流に添加し、強化された炭化水素流を生成し;
この強化された炭化水素流を反応帯域で芳香族化触媒と接触させ、ここで当該触媒は非酸性ゼオライト支持体、第VIII族金属および1種または2種以上のハロゲン化物を含有する触媒であり;次いで
芳香族炭化水素を含有する流出液を採取する;
ことを含む方法。
【請求項2】
水素再循環流を流出液から分離することをさらに含み、ここで水素再循環流は約1ppmv〜約100ppmvの水含有量を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
水素再循環流を乾燥させ、約1ppmvよりも少ない水含有量を有する乾燥水素再循環流を生成し、次いでこの乾燥水素再循環流を炭化水素流または強化された炭化水素流に供給することをさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
炭化水素流への窒素供給物質、酸素供給物質、またはその両方の添加を制御し、1種または2種以上のプロセスパラメータを所望の範囲内に維持することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
炭化水素流への窒素供給物質、酸素供給物質、またはその両方の添加を制御し、反応帯域流出液中の1種または2種以上の芳香族化合物の生成を添加前レベルよりも少なくとも約1パーセント増加させることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
炭化水素流への窒素供給物質、酸素供給物質、またはその両方の添加を制御し、反応帯域流出液中のベンゼンに対する触媒選択性を添加前レベルよりも少なくとも約1パーセント増加させることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
窒素供給物質、酸素供給物質、またはその両方を添加する前に、炭化水素流を処理し、その中の窒素供給物質、酸素供給物質、またはその両方のいずれかの全部または一部分を除去し、処理された炭化水素流を生成することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
炭化水素流から分離された酸素供給物質が水を含み、ここで処理された炭化水素流は約1ppmvよりも少ない水含有量を有する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
芳香族化プロセスが複数の反応塔を含み、および窒素供給物質、酸素供給物質、またはその両方をこれらの反応塔の1個または2個以上に添加する、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
酸素供給物質が酸素、酸素含有化合物、水、二酸化炭素、過酸化水素、アルコール、オゾン、一酸化炭素、ケトン類、エステル類、アルデヒド類、カルボン酸類、ラクトン類、またはその組合わせを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
酸素供給物質がメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、t−ブタノール、ペンタノール、アミルアルコール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、フェノール、またはその組合わせを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
窒素供給物質がアンモニアまたは反応帯域でアンモニアを形成する1種または2種以上のアンモニア先駆化合物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
非酸性ゼオライト支持体がゼオライトL、ゼオライトX、ゼオライトY、ゼオライトオメガ、ベータ、モルデナイトまたはその組合わせであり、第VIII族金属が白金であり、および1種または2種以上のハロゲン化物がフッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物、またはその組合わせである、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
炭化水素芳香族化方法であって、
炭化水素流に窒素供給物質、酸素供給物質、またはその両方を添加し、強化された炭化水素流を生成するか、または水素再循環流に窒素供給物質、酸素供給物質、またはその両方を添加し、強化された再循環流を生成するか、またはこれらの流の両方に窒素供給物質、酸素供給物質、またはその両方を添加し;
強化された炭化水素流、強化された再循環流、またはこれら両方を芳香族化触媒と接触させ;
芳香族炭化水素を含有する流出液を回収し;次いで
強化された炭化水素流、強化された再循環流、またはこれらの流の両方に対する窒素供給物質、酸素供給物質、またはその両方の添加を制御し、1種または2種以上のプロセスパラメータを所望の範囲内に維持する;
ことを含む方法。
【請求項15】
窒素供給物質、酸素供給物質、またはその両方を制御し、プロセス内の1個または2個以上の反応塔を横切るTeqを維持する、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
1個または2個以上の反応塔のTeqを、窒素供給物質、酸素供給物質、またはその両方の非存在下に生じるTeqに比較して減少させる、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
Teqを約0.1パーセント〜約25パーセント減少させる、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
炭化水素芳香族化方法であって、
芳香族化プロセスにおける酸素供給物質、窒素供給物質、またはその両方の存在を監視し;
芳香族化触媒の活性を示す芳香族化プロセスにおける少なくとも1種のパラメータを監視し;次いで
芳香族化プロセスにおける酸素供給物質、窒素供給物質、またはその両方の量を修正し、これにより該当パラメータに影響を与える;
ことを含む方法。
【請求項19】
当該パラメータがベンゼン生成であり、および芳香族化プロセスにおける酸素供給物質、窒素供給物質、またはその両方の量の修正に際し、そのベンゼン生成を、酸素供給物質、窒素供給物質、またはその両方の量の修正以前におけるベンゼン生成に比較し、少なくとも約1パーセント増加させる、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
当該パラメータが芳香族化触媒の有効寿命であり、および当該芳香族化触媒の有効寿命を、酸素供給物質、窒素供給物質、またはその両方の量の修正以前における類似触媒に比較し、少なくとも約5パーセント増加させる、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
当該修正が芳香族化プロセスにおける酸素供給物質、窒素供給物質、またはその両方の量を第一のレベルに増加し、次いで芳香族化プロセスにおける酸素供給物質、窒素供給物質、またはその両方の量を第二のレベルに減少させることを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
当該パラメータが芳香族化触媒の有効寿命であり、および当該修正が酸素供給物質、窒素供給物質、またはその両方の量が第一レベルに維持されている第一の類似芳香族触媒または酸素供給物質、窒素供給物質、またはその両方の量が第二レベルに維持されている第二の類似芳香族触媒のどちらに比較しても、当該芳香族化触媒の有効寿命を増加させるものである、請求項21に記載の方法。
【請求項1】
炭化水素芳香族化方法であって、
窒素供給物質、酸素供給物質、またはその両方を炭化水素流に添加し、強化された炭化水素流を生成し;
この強化された炭化水素流を反応帯域で芳香族化触媒と接触させ、ここで当該触媒は非酸性ゼオライト支持体、第VIII族金属および1種または2種以上のハロゲン化物を含有する触媒であり;次いで
芳香族炭化水素を含有する流出液を採取する;
ことを含む方法。
【請求項2】
水素再循環流を流出液から分離することをさらに含み、ここで水素再循環流は約1ppmv〜約100ppmvの水含有量を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
水素再循環流を乾燥させ、約1ppmvよりも少ない水含有量を有する乾燥水素再循環流を生成し、次いでこの乾燥水素再循環流を炭化水素流または強化された炭化水素流に供給することをさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
炭化水素流への窒素供給物質、酸素供給物質、またはその両方の添加を制御し、1種または2種以上のプロセスパラメータを所望の範囲内に維持することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
炭化水素流への窒素供給物質、酸素供給物質、またはその両方の添加を制御し、反応帯域流出液中の1種または2種以上の芳香族化合物の生成を添加前レベルよりも少なくとも約1パーセント増加させることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
炭化水素流への窒素供給物質、酸素供給物質、またはその両方の添加を制御し、反応帯域流出液中のベンゼンに対する触媒選択性を添加前レベルよりも少なくとも約1パーセント増加させることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
窒素供給物質、酸素供給物質、またはその両方を添加する前に、炭化水素流を処理し、その中の窒素供給物質、酸素供給物質、またはその両方のいずれかの全部または一部分を除去し、処理された炭化水素流を生成することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
炭化水素流から分離された酸素供給物質が水を含み、ここで処理された炭化水素流は約1ppmvよりも少ない水含有量を有する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
芳香族化プロセスが複数の反応塔を含み、および窒素供給物質、酸素供給物質、またはその両方をこれらの反応塔の1個または2個以上に添加する、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
酸素供給物質が酸素、酸素含有化合物、水、二酸化炭素、過酸化水素、アルコール、オゾン、一酸化炭素、ケトン類、エステル類、アルデヒド類、カルボン酸類、ラクトン類、またはその組合わせを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
酸素供給物質がメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、t−ブタノール、ペンタノール、アミルアルコール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、フェノール、またはその組合わせを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
窒素供給物質がアンモニアまたは反応帯域でアンモニアを形成する1種または2種以上のアンモニア先駆化合物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
非酸性ゼオライト支持体がゼオライトL、ゼオライトX、ゼオライトY、ゼオライトオメガ、ベータ、モルデナイトまたはその組合わせであり、第VIII族金属が白金であり、および1種または2種以上のハロゲン化物がフッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物、またはその組合わせである、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
炭化水素芳香族化方法であって、
炭化水素流に窒素供給物質、酸素供給物質、またはその両方を添加し、強化された炭化水素流を生成するか、または水素再循環流に窒素供給物質、酸素供給物質、またはその両方を添加し、強化された再循環流を生成するか、またはこれらの流の両方に窒素供給物質、酸素供給物質、またはその両方を添加し;
強化された炭化水素流、強化された再循環流、またはこれら両方を芳香族化触媒と接触させ;
芳香族炭化水素を含有する流出液を回収し;次いで
強化された炭化水素流、強化された再循環流、またはこれらの流の両方に対する窒素供給物質、酸素供給物質、またはその両方の添加を制御し、1種または2種以上のプロセスパラメータを所望の範囲内に維持する;
ことを含む方法。
【請求項15】
窒素供給物質、酸素供給物質、またはその両方を制御し、プロセス内の1個または2個以上の反応塔を横切るTeqを維持する、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
1個または2個以上の反応塔のTeqを、窒素供給物質、酸素供給物質、またはその両方の非存在下に生じるTeqに比較して減少させる、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
Teqを約0.1パーセント〜約25パーセント減少させる、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
炭化水素芳香族化方法であって、
芳香族化プロセスにおける酸素供給物質、窒素供給物質、またはその両方の存在を監視し;
芳香族化触媒の活性を示す芳香族化プロセスにおける少なくとも1種のパラメータを監視し;次いで
芳香族化プロセスにおける酸素供給物質、窒素供給物質、またはその両方の量を修正し、これにより該当パラメータに影響を与える;
ことを含む方法。
【請求項19】
当該パラメータがベンゼン生成であり、および芳香族化プロセスにおける酸素供給物質、窒素供給物質、またはその両方の量の修正に際し、そのベンゼン生成を、酸素供給物質、窒素供給物質、またはその両方の量の修正以前におけるベンゼン生成に比較し、少なくとも約1パーセント増加させる、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
当該パラメータが芳香族化触媒の有効寿命であり、および当該芳香族化触媒の有効寿命を、酸素供給物質、窒素供給物質、またはその両方の量の修正以前における類似触媒に比較し、少なくとも約5パーセント増加させる、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
当該修正が芳香族化プロセスにおける酸素供給物質、窒素供給物質、またはその両方の量を第一のレベルに増加し、次いで芳香族化プロセスにおける酸素供給物質、窒素供給物質、またはその両方の量を第二のレベルに減少させることを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
当該パラメータが芳香族化触媒の有効寿命であり、および当該修正が酸素供給物質、窒素供給物質、またはその両方の量が第一レベルに維持されている第一の類似芳香族触媒または酸素供給物質、窒素供給物質、またはその両方の量が第二レベルに維持されている第二の類似芳香族触媒のどちらに比較しても、当該芳香族化触媒の有効寿命を増加させるものである、請求項21に記載の方法。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図8D】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図8D】
【図9】
【図10】
【図11】
【公表番号】特表2009−544739(P2009−544739A)
【公表日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−522013(P2009−522013)
【出願日】平成19年7月27日(2007.7.27)
【国際出願番号】PCT/US2007/074531
【国際公開番号】WO2008/014428
【国際公開日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【出願人】(502303175)シェブロン フィリップス ケミカル カンパニー エルピー (42)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年7月27日(2007.7.27)
【国際出願番号】PCT/US2007/074531
【国際公開番号】WO2008/014428
【国際公開日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【出願人】(502303175)シェブロン フィリップス ケミカル カンパニー エルピー (42)
【Fターム(参考)】
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