説明

苺等青果用トレー

【課題】十字状或いはT字状他、各種形状の支持片によってパックを懸架し、パックの底をトレーの底面から浮かし、このことによってパックに詰めた苺等青果が自重で押し潰されることなく、苺等青果に高級志向、ブランド志向、或いは差別感をもたらすようにしたトレーを提供する。
【解決手段】1枚の段ボール(100)に底面(1)、一対の前後側壁(3)及び一対の左右側壁(2、2)を備え、これらの側壁が前記底面(1)を四方から囲むように直立し、この囲みにパック(700)が装着されるトレー(600)であって、前記左右側壁(2、2)から十字状、或いは逆T字状の支持片がトレーの内側へ突設されることを特徴とするトレーである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1枚の段ボールから折り上げられたトレーであって、仕切り区画毎に青果等用のパック受けを形成させた苺等青果用トレーに関する。詳しくは、複数の仕切り区画毎に、青果用のパック受け台を形成してパックを懸架し、パックの底面をトレーの底面から浮かすことにより、苺等青果が自重で潰されて傷むことが無いようにしたトレーであって、高級志向、ブランド志向、或いは差別感をもたらすようにした苺等青果用のトレーに関する。
【背景技術】
【0002】
本件出願人は、苺パック用トレーについて、パックの底を浮かせることなく、トレーの底面にパックを直置きするトレーを、先に提案している(特許文献1、2)。その他、以下に述べるような直置き型のトレーが使用されている。図15(a)にトレーの一区画に、パックを載置した状態を示し、図(b)にパックの上に載せるマットを示す。ここで、パックは例えば薄いPET樹脂を凹み状に成形した青果物等を入れる容器であり、マットは例えばフイルム状のポリエチレン樹脂をパックの凹みに合わせて成形した敷物である。この場合、トレー600Cの左右の側壁から突き出た左右の分割片10、10によって、トレー600Cは上下に仕切られ、例えばこの一区画にパック700を載置する。ここで、パック700をトレー600Cの底面1の上に直かに置くので、パックの底701がトレー600Cの底面1に面で接触する。そして、図(a)には示さないが、図(b)に示すマット800をパック700の底701の上に置き、この上に例えば苺を入れる。このように、苺が傷まないようにマットを敷いてその上に苺を入れるが、パックの底がトレーの底に直接接触しているので、苺等青果の自重によって苺が潰れて傷む。
【0003】
【特許文献1】特開平9−309524号公報
【特許文献2】特開平10−329823号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
以上の通りであって、特許文献に代表されるように、従来の苺パック用のトレーには次のような問題点がある。
【0005】
前述したトレーの底面にパックを直か置きする例では、苺等青果の重みが、直接青果自体にかかるので、パックの中で青果が押し潰されて傷む等の問題を抱えていた。そして、このことにより店頭に並ぶ苺等青果の高級感が欠如するものとなった。また、パックの他に傷み防止のためにマットを必要としコスト高になった。
【0006】
本発明の中仕切りを備えたトレーは、このような従来の抱える問題点を解決するためになされたもので、十字或いはT字状他の各種形状の支持片によってパックを懸架してパックの底をトレーの底面から浮かし、このことによってパックに詰めた苺等青果が自重で押し潰される恐れが無く、苺等青果に高級志向、ブランド志向、或いは差別感をもたらすようにしたトレーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで、本発明者等は、トレーの底面に対し、直接、青果等の重みが掛かるのを避けるためにパックの底を浮かせることに着目し、この着想に基づき試作したところ、下段の苺が傷まないといいう知見を得た。本発明の中仕切りを備えたトレーかかる知見を基に具現化したもので、請求項1の発明は、1枚の段ボール(100)に底面(1)、一対の前後側壁(3)及び一対の左右側壁(2、2)を備え、これらの側壁が前記底面(1)を四方から囲むように直立し、この囲みにパック(700)が装着されるトレー(600)であって、前記左右側壁(2、2)から十字状、或いは逆T字状の支持片がトレーの内側へ突設されることを特徴とするである。請求項2の発明は、請求項1の発明の上記特徴に加えて、ことを特徴とするトレーである。前記前後側壁(3)の端部に補助片(4)を備え、この補助片(4)は前記前後側壁(3)の端部から内側へ折れた状態で前記左右側壁(2、2)の中に挟着され、前記パック(700)の周縁を支える支持片の一つは前記補助片(4)に固着され、かつ、前記左右側壁(2、2)に備える折り目(J、J)を介してトレーの内側へ十字状に突設されることを特徴とするトレーである。請求項3の発明は、請求項2の発明の上記特徴に加えて、前記支持片の一つは支持片(5)であり、この支持片(5)は第一片(51)と第二片(52)とが十字状に交差し、前記第一片(51)はトレーの内側へ向くとともに前記第二片(52)はこれと直交し、前記第一片(51)には内側の先端辺(511)と反対側の先端辺(512)を備え、かつ、前記第一片(51)と第二片(52)とが交差する角部に湾曲部(53)、(53)を備えることを特徴とするトレーである。請求項4の発明は、請求項2叉は3の上記特徴に加えて、前記補助片(4)の先端部に溝(42)を備え、この溝(42)に前記先端辺(512)が嵌着されることを特徴とするトレーである。請求項5の発明は、請求項1又は3の上記特徴に加えて、ことを特徴とするトレーである。前記パック(700)は、前記先端辺(511)及び前記湾曲部(53)によって支持されることを特徴とするトレーである。請求項6の発明は、請求項1の上記特徴に加えて、前記パック(700)の周縁を支える支持片の一つは、
前記左右側壁(2、2)に備える折り目(R、Q)を介してトレーの内側へ逆T字状に突設されることを特徴とするトレーである。請求項7の発明は、請求項6の上記特徴に加えて、前記支持片の一つは支持片(7)であり、この支持片(7)は第一片(71)と第二片(72)とが交差し、前記第一片(71)は内側へ向くとともに前記第二片(72)はこれと直交し、かつ、前記第一片(71)と前記第二片(72)とが交差する両側に先端辺(721、721)を備えることを特徴とするトレーである。請求項8の発明は、請求項6叉は7の上記特徴に加えて、前記第一片(71)は、前記左右側壁(2、2)に備える折り目(N)の部位から折れて前記底面(1)側へ傾斜し、かつ、他端は折り目(R)を備え、この折り目(R)を介して前記第二片(72)と連接し、この前記第二片(72)の他端は前記左右側壁(2、2)に備える折り目(Q)を備え、連接する前記第一片(71)と前記第二片(72)は、前記折り目(R)をトレーの内側へ向けて断面くの字に折れ曲がることを特徴とするトレーである。請求項9の発明は、請求項1又は7の上記特徴に加えて、前記パック(700)は、前記先端辺(721)によって支持されることを特徴とする請求項1又は7記載のトレーである。
【発明の効果】
【0008】
本発明にかかわる青果等パック用のトレーによれば、箱が1体形、分割形にかかわらず、複数の仕切り区画毎に、パックを受ける各種形状の支持片を形成させることができる。そして、それらの支持片によってパックの周縁を懸架支持し、パックの底を浮かせるようにしたので、トレーの底面に対して直接青果等の重みがかかるのを避けることができ、青果等が押し潰されて傷まないようにする効果を奏するものである。その結果、苺等青果に高級志向、ブランド志向、或いは、差別感をもたらすトレーを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の実施の形態を、添付図面に例示した本発明の実施例に基づいて以下に具体的に説明する。
【実施例1】
【0010】
先ず、本実施例1ついて、図1〜図8を参照しながら説明する。図1は、本実施例のトレー600Aの展開図で、段ボール100Aである。図2は、トレー600A折り上げる途中の状態を示す斜視図である。図3は、トレー600Aの十字状の支持片を側壁に係止する直前の状態を示す斜視図である。図4は、折り上がったトレー600Aを示す斜視図である。図5は、パック700の斜視図である。図6は、トレー600Aの十字状の支持片部を拡大した斜視図である。図7は、折り上がったトレー600Aの1区画に、パック700を載置した状態を示す平面図である。図8は、パック700をトレー600Aの支持片に載置した状態を拡大した斜視図である。
【0011】
図1に示す、略矩形状をした段ボール100Aにおける一対の前後側壁3、3の方向を上下方向、一対の左右側壁2A、2Aの方向を左右方向とする。本図はトレー600Aの展開図であって、上下および左右対称であり、図の輪郭内の点線は折り目を示し、直線は切れ目を示す。これらのことは実施例2についても同様である。
【0012】
段ボール100Aには、所定の箇所に折り目や切れ目を設けてあり、それらの設け方について以下に説明する。図1(a)に示すように、段ボール100Aは、中央を占める方形域を底面1とし、その左方は、主折り目Mを介して左右側壁2A、2Aが連接する。これらの中央に、折り上げて二重壁にするための二重折り目N、Nを設け、これらによって挟まれる部位は頂面23を形成する。そして、この頂面23上に切れ目wと折り目Dをセットにして設ける。左方の左右側壁2Aの折り目Nに沿って上下中央部に支持片5を折り目J、Jを介して設ける。また、左方の左右側壁2Aの上隅に折り目Hを介して支持片6を設け、左方の先端辺に係止片25を設ける。一方、底面1の上方は、主折り目Pを介して前後側壁3が連接し、上方辺中央に係止片31を設ける。底面1の中央に折り目Eを上方に向けて台形状の突上げ片11を設ける。また、上方の前後側壁3は、左方端部の折り目Fを介して補助片4Aと連接し、この補助片4Aの上端には折り目Gを介して、当接片41、41を設けている。なお、補助片4Aには左方先端下部に切欠き状の溝42を備える。その他、底面1には、主折り目Mに沿って孔12を上下に設ける。次に、図1(b)に支持片5を拡大して示す。支持片5は、第一片51と第二片52とが交差して十字状に形成され、第一片51は左右へ向くとともに第二片52はこれと直交し上下に向く。第一片51には折り目N側の先端辺511と反対側の先端辺512を備え、かつ、前記第一片51と第二片52とが交差する角部に湾曲部53、53を備える。そして、第二片52の左方に折り目J、Jを備える。なお、この支持片5は、図1(a)に示す切れ目に沿って切り抜くことによって形成される。即ち、左方の左右側壁2Aの上下中央部において、支持片5の輪郭は右回りに切れ目a、c、b、c、a、f、折り目J、切れ目d、e、d、折り目J、切れ目fによって構成され、支持片5は左右側片2Aの二重折り目N寄りの切れ目g、h、g、a、c、b、c、aに沿って切り抜くかれることによって十字状に形成される。
【0013】
以下にトレーへと折り上げる手順について説明する。底面1を囲むように、一対の左右側壁2A、2A及び一対の前後側壁3を夫々折り目の部位から直立させるようにして折り上げ、途中の状態を図2に示す。底面1から側壁2A、2Aを直立させる過程で、補助片4は前後側壁3の端部から内側へ直角に折れた状態で左右側壁2A、2Aの中に挟着される。図2(a)では、前後側壁3を底面1から直立させ、一方の左右側壁2A、2Aの中に補助片4Aを挟着する前の状態であり、他方の左右側壁2A、2Aは底面1から直立して中に補助片4A、4Aを挟んだ三重側壁として形成されている。この状態を反対側からみた斜視図として図2(b)に示す。このように三重に折上げられることによって、左右側壁における上下方向の座屈強度が向上するので、苺等果物が一杯詰まったトレーの多段積み荷重を受けることができる。また、左方の左右側壁2Aを底面1に向けて二重折り目N、Nの部位から直角に折り曲げる際、四隅の支持片6を折り目Hの部位から折り曲げながら、その先端辺61を前後側壁3に当接させると、本図に示すように支持片6が内側角隅に形成される。そして、内側の左右側壁2Aの係止片25が底面1の孔12に嵌着されることによって左右側壁2A、2Aが底面1に確実に直立し、次いで、左右側壁2Aの内側中央部に支持片5が形成される。図2(b)に示すように、内側の左右側壁2Aの中央部に備える折り目J、Jの部位から内側へ略直角に折り曲げて先端辺511を内側へ、奥の先端辺512を反対側へ向ける。その拡大した状態を図3に示し、支持片5を折り目J、Jの部位から内側へ折り曲げると、先端辺511がトレーの内側へ向き、一方奥の先端辺512が三重の左右側壁2Aの補助片4A、4A側へ向く。内外の左右側壁2A、2Aの中では挟まれた両側から補助片4A、4Aが観音扉のように閉じる。このようにして、図4に示すようにトレー600Aが完成し、四隅に支持片6、6、6、6及び一対の左右側壁2A、2Aの内側中央に支持片5、5が突設され、これらの支持片にパックを懸架する。前述したように、左右側壁2A、2Aの中では補助片4A、4Aが観音扉が閉じるように両側から閉まり、その合わせ部に溝42、42が形成され、ここに支持片5の奥の先端辺512が固着され、溝42の隙間に嵌着される。ここで、トレー600Aの一対の前後側壁3方向を前後方向と呼び、一対の左右側壁2A、2Aの方向を左右方向と呼び、トレー600Aは前後左右対称である。そしてトレー600Aの底面1と開口方向を上下方向と呼ぶ。これらのことは実施例2についても同様である。
【0014】
ところで前記したパックとは、図5にパック700として示すように、底701、横縁702、隅縁703、縦縁704および周壁705から構成され、苺等青果を詰めするための容器となる。
【0015】
次に、本実施例の特徴的な構成である十字状の支持片について形成及びその作用を説明する。図4で前述したように、支持片5が左右側壁2A、2Aに突き刺さるように形成され、その拡大した状態を図6に示す。図ではトレーの内側から見た状態を示し、内側の左右側壁2Aに備える折り目J、Jの部位から支持片5がトレーの内側へ略直角に折れ曲がり、その先端辺511がトレーの内側へ向く。一方、反対側の奥の先端辺512が左右側壁2A、2Aの中の溝42、42に突き刺さるようにして嵌着し、十字状に交差する部位のトレーの内側に湾曲部53、53が形成される。このように、支持片5は折り目J、Jを梃子の支点として形成される。従って、支持片5の奥の先端辺512が溝42、42に嵌着されているので、支持片5は折り目J、Jを梃子の支点として手前の先端辺511にかかる荷重を支えることができる。
【0016】
次に、図7にトレー600Aの半区画の1つに、パック700を装着した状態を示す。ここで、パック700を装着する半区画側をトレー600Aの内側と称し、実施例2についても同様である。図5で示したように、パック700は、底701、横縁702、隅縁703、縦縁704等から構成され、図7に示すように、トレーの四隅に形成される支持片6、6、6、6及び一対の左右側壁2A、2Aの内側へ突き出るように設けられる十字状の支持片5、5によってパック700を受ける。即ち、トレー600Aの後方側において、後方の前後側壁3の内側角隅の支持片6、6によってパック700の隅縁703、703を受ける。一方、トレー600Aの中央側において、左右の十字状の支持片5、5によってパック700の隅縁703、703を受ける。ここで、各支持片における底面1からの高さ寸法は、パックの深さ寸法より大きい。そのため、パックの四箇所の隅縁703は、支持片5、5及び支持片6、6の四箇所で支えられながら、パックの底面701は、トレー600Aの底面1に接触することなく、浮いた状態を保つことができる。なお、底面1の手前側に突き片11と折れ目Eを示し、後側のパック700の裏側にも図示しないが突き片11と折れ目Eを備える。この突き片11によって底面1の裏側から折れ目Eを支点としてパック700を指で突き上げ、パックをトレーから取り出す。
【0017】
パック700の隅縁部が十字状の支持片5によって支持される状態について、更に詳細を拡大した図8を参照して説明する。十字状の支持片5は折り目J、Jの部位から略直角に折れ曲がって先端辺511がトレーの内側へ向き、一方、反対側の奥の先端辺512が三重の左右側壁2A、2A内の溝42、42に突き刺さるように嵌着され、かつ、十字状に交差する部位に湾曲部53、53が形成される。パック700の隅縁703は、支持片5の湾曲部53によって支持される。パックの四箇所の隅縁703は、支持片5、5及び支持片6、6の四箇所で支持されながら、一パックに詰め込まれた苺等青果の重量の例えば250グラムをトレーの面から浮いた懸架状態に保つ。また、パック700の隅縁部において側壁705の外周壁が支持片5の湾曲部53の部位に当接するのでパックの前後の位置が決まる。この結果、トレーの前後を区分けする分割壁が無くてもパックは手前の隣の区画に飛び越え、或いは移動する恐れがない。なお、前述したようにトレーの左上隅では、支持片6は、内側の左右側壁2Aに備える折り目Hの部位から折れ、その先端辺61が前後側壁3の内側に当接した状態で形成される。パック700の隅縁703は、支持片6によって支持される。
【実施例2】
【0018】
次に、本実施例2ついて、図9〜図14を参照しながら説明する。図9は、本実施例のトレー600Bの展開図で、段ボール100Bである。図10は、トレー600Bを折り上げる途中の状態を示す斜視図である。図11は、折り上がったトレー600Bを示す斜視図である。図12は、トレー600BのT字状の支持片部を拡大した斜視図である。図13は、折り上がったトレー600Bの1区画に、パック700を載置した状態を示す平面図である。図14は、パック700をトレー600Bの支持片に載置した状態を拡大した斜視図である。
【0019】
段ボール100Bには、所定の箇所に折り目や切れ目を設けてあり、それらの設け方について以下に説明する。図9(a)に示すように、段ボール100Bは、中央を占める方形域を底面1とし、その左方は、主折り目Mを介して左右側壁2B、2Bが連接する。これらの左右側壁の真中に、折り上げて二重壁にするための二重折り目N、Nを設け、これらによって挟まれる部位は頂面23を形成する。そして、この頂面23上に切れ目wと折り目Dをセットで設ける。折り目Nの左方の上下中央部に支持片7を設け、左方の左右側壁2Bに折り目Qを備える。更に、左方の左右側壁2Bの上隅に支持片6を折り目Hを介して設け、左方の先端辺に係止片25を設ける。一方、底面1の上方は、主折り目Pを介して前後側壁3が連接し、上方中央に係止片31を設ける。底面1の中央に折り目Eを上方に向けて台形状の突上げ片11を設ける。また、上方の前後側壁3は、左方端部の折り目Fを介して補助片4Bと連接し、この補助片4Bの上端には折り目Gを介して、当接片41、41を設けている。その他、底面1には、主折り目Mに沿って孔12を設ける。次に、図1(b)に支持片7を拡大して示す。支持片7は、第一片71が第二片72の中央部に直角に交わってT字状に形成され、第一片71は左右へ向くとともに第二片72はこれと直交し上下に向く。第一片71には折り目Nと反対側に折り目Rを備える。そして、第二片72の左方に折り目Qを備える。なお、この支持片7は、図9(a)に示す切れ目に沿って切り抜くことによって形成される。即ち、左方の左右側片2Bの上下中央部において、支持片7の輪郭は右回りに切れ目r、u、v、折り目N、切れ目v、u、折り目Rによって構成され、支持片7は左右側片2Bの二重折り目N寄りの切れ目r、t、uに沿って三角状に上下同様に切り抜くことによってT字状に形成される。
【0020】
以下にトレーへと折り上げる手順について説明する。底面1を囲むように、一対の左右側壁2B、2B及び一対の前後側壁3、3を夫々折り目の部位から直立させるようにして折り上げる途中の状態を図10に示す。底面1から側壁2B、2Bを直立させる過程で、補助片4Bは前後側壁3の端部から内側へ直角に折れた状態で前記左右側壁2B、2Bの中に挟着される。本図は、前後側壁3、3を底面1から直立させ、一方の左右側壁2B、2Bは中の補助片4Bを挟む途中の状態であり、他方の左右側壁2B、2Bは底面1から直立して補助片4B、4Bを挟む三重側壁として形成されている。このように三重に折上げられることによって、左右側壁における上下方向の座屈強度が向上するので苺等果物が一杯詰まったトレーの多段積み荷重を受けることができる。また、二重折り目N、Nの部位から左方の左右側壁2Bを底面1に向けて直角に折り曲げる際、四隅の支持片6を折り目Hの部位から折り曲げ、先端辺61を前後側壁3に当接させる。そして、内側の左右側壁2Bの係止片25が底面1の孔12に嵌着されることによって左右側壁2B、2Bが底面1に直立し、同時に、内側の左右側壁2Bの中央部に位置する支持片7が折り目N、Q、Rの部位から折れて断面くの字にトレーの内側へ逆T字状に突き出るように形成される。このようにして、図11に示すようにトレー600Bが完成し、四隅に支持片6、6、6、6及び内側の左右側壁2B、2Bの中央に支持片7、7が突設され、これらの支持片にパックを懸架する。
【0021】
次に、本実施例の特徴的な構成であるT字状の支持片についてその形成及び作用を説明する。図11で前述したように、内側の左右側壁2Bに支持片7がトレーの内側へ突き出るように形成され、その拡大した状態を図12に示す。図ではトレーの内側から見た状態を示し、支持片7の第一片71が左右側壁2Bに備える折り目Nの部位からトレーの内側へ折れ曲がり、次いで第一片71の先端の折り目Rの部位から第二片72が反対側へ折れ曲がり、その奥は内側の左右側壁2Bに備える折り目Qにつながる。まとめると、支持片7は第一片71と第二片72が折り目N、R、Qを介して折れ、断面がくの字に形成されてトレーの内側へ逆T字状に突き出る。第一片71が交わる第二片72の両側に折り目Rを挟むように先端辺721、721が形成され、また、第一片71と第二片72との屈曲部に曲点722、722が両側に形成される。ここで、折り目Qは左右側壁2Bを段ボール厚みの半切りにすると、折れ曲がり易いので好ましいが通常の折り目でも構わない。このように、支持片7は、上方で折り目Nに支持され、下方は折り目R、Qによって支持される。従って、この段ボールが折れ曲がるリンク機構によって、第二片72の先端辺721にかかる荷重を支えることができる。また、段ボールからトレーへと折り上げる際に、左右側壁2B、2Bを底面1に直立させると同時に、自動的に折れて内側の左右側壁2BにT字状の支持片7が形成されるのでトレーへと折り上げる作業の能率が向上する。
【0022】
次に、図13にトレー600Bの半区画の1つに、パック700を装着した状態を示す。図5で示したように、パック700は、底701、横縁702、隅縁703、縦縁704等から構成され、図13に示すように、トレーの四隅に形成される支持片6、6、6、6及び一対の左右側壁2B、2Bの内側に形成される支持片7、7によってパック700を受ける。即ち、トレー600Bの後方側において、前後側壁3の左右角隅の支持片6、6によってパック700の隅縁703、703を受ける。一方、トレー600Bの中央側において、内側の左右側壁2Bに形成されたT字状の支持片7、7によってパック700の隅縁703、703を受ける。ここで、各支持片における底面1からの高さ寸法は、パックの深さ寸法より大きい。そのため、パックの四箇所の隅縁703は、支持片7、7及び支持片6、6の四箇所で支えられながら、パックの底面701は、トレー600Bの底面1に接触することなく、浮いた状態を保つことができる。
【0023】
パック700の隅縁部がT字状の支持片7によって支持される状態について、更に詳細を拡大した図14を参照して説明する。T字状の支持片7は折り目Rの部位からトレーの内側へ断面がくの字状に突き出る。折り目Rを挟むように先端辺721、721が形成され、また、折り目Rを挟むように第一片71と第二片72の屈曲部に曲点722、722が形成される。パック700の隅縁703は、支持片7の先端辺721によって支持され、トレーの面から浮いた懸架状態に保たれる。この他、パック700は、隅縁703の外周壁が支持片7の曲点722の部位に当接するので位置決めされる。この結果、トレーの前後を区画する分割壁が無くてもパックは手前の隣の区画へ飛び越え、或いは移動するようなことが生じない。
【産業上の利用可能性】
【0024】
本発明の使途は、苺、葡萄、杏子、サクランボ、無花果、枇杷等の青果をパック詰めするトレーに限らず、卵、菓子等の用途に使っても勿論よい。段ボールを使っているが、段ボール以外の各種型紙や、必要に応じてプラスチック等を用いても勿論よい。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本実施例1のトレー600Aの展開図で、段ボール100Aである。
【図2】同上、トレー600Aを折り上げる途中の状態を示す斜視図である。
【図3】同上、トレー600Aの十字状の支持片を側壁に係止する直前の状態を示す斜視図である。
【図4】同上、折り上がったトレー600Aを示す斜視図である。
【図5】同上、パック700の斜視図である。
【図6】同上、トレー600Aの十字状の支持片部を拡大した斜視図である。
【図7】同上、折り上がったトレー600Aの1区画に、パック700を載置した状態を示す平面図である。
【図8】同上、パック700をトレー600Aの支持片に載置した状態を拡大した斜視図である。
【図9】本実施例2のトレー600Bの展開図で、段ボール100Bである。
【図10】同上、トレー600Bを折り上げる途中の状態を示す斜視図である。
【図11】同上、折り上がったトレー600Bを示す斜視図である。
【図12】同上、トレー600BのT字状の支持片部を拡大した斜視図である。
【図13】同上、折り上がったトレー600Bの1区画に、パック700を載置した状態を示す平面図である。
【図14】同上、パック700をトレー600Bの支持片に載置した状態を拡大した斜視図である。
【図15】従来のトレー600Cに、パック700を載置した状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0026】
100A、100B(100) 段ボール
600A、600B、600C(600) トレー
700 パック
701 底、702 横縁、703 隅縁、704 縦縁、705 周壁
800 マット
1 底面、11突き片、12 孔
2A、2B(2) 左右側壁
23 頂面、24 突起、25 係止片
3 前後側壁
31 係止片
4A、4B 補助片
41 当接片、42 溝
5 支持片
51 第一片、511 先端辺、512 先端辺
52 第二片
53 湾曲部
6 支持片
61 先端辺
7 支持片
71 第一片
72 第二片、721 先端辺、722 曲点
10 分割片
M、P 主折り目
N 二重折り目
D、E、F、G、H、J、N、Q、R 折り目
a、b、c、d、e、f、g、h、k、m、n、p、q、r、s、t、u、v、w 切れ目

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1枚の段ボール(100)に底面(1)、一対の前後側壁(3)及び一対の左右側壁(2、2)を備え、
これらの側壁が前記底面(1)を四方から囲むように直立し、
この囲みにパック(700)が装着されるトレー(600)であって、
前記左右側壁(2、2)から十字状、或いは逆T字状の支持片がトレーの内側へ突設されることを特徴とするトレー。
【請求項2】
前記前後側壁(3)の端部に補助片(4)を備え、
この補助片(4)は前記前後側壁(3)の端部から内側へ折れた状態で前記左右側壁(2、2)の中に挟着され、
前記パック(700)の周縁を支える支持片の一つは前記補助片(4)に固着され、
かつ、前記左右側壁(2、2)に備える折り目(J、J)を介してトレーの内側へ十字状に突設されることを特徴とする請求項1記載のトレー。
【請求項3】
前記支持片の一つは支持片(5)であり、
この支持片(5)は第一片(51)と第二片(52)とが十字状に交差し、
前記第一片(51)はトレーの内側へ向くとともに前記第二片(52)はこれと直交し、
前記第一片(51)には内側の先端辺(511)と反対側の先端辺(512)を備え、
かつ、前記第一片(51)と第二片(52)とが交差する角部に湾曲部(53)、(53)を備えることを特徴とする請求項2記載のトレー。
【請求項4】
前記補助片(4)の先端部に溝(42)を備え、
この溝(42)に前記先端辺(512)が嵌着されることを特徴とする請求項2叉は3記載のトレー。
【請求項5】
前記パック(700)は、前記先端辺(511)及び前記湾曲部(53)によって支持されることを特徴とする請求項1又は3記載のトレー。
【請求項6】
前記パック(700)の周縁を支える支持片の一つは、
前記左右側壁(2、2)に備える折り目(R、Q)を介してトレーの内側へ逆T字状に突設されることを特徴とする請求項1記載のトレー。
【請求項7】
前記支持片の一つは支持片(7)であり、
この支持片(7)は第一片(71)と第二片(72)とが交差し、
前記第一片(71)は内側へ向くとともに前記第二片(72)はこれと直交し、
かつ、前記第一片(71)と前記第二片(72)とが交差する両側に先端辺(721、721)を備えることを特徴とする請求項6記載のトレー。
【請求項8】
前記第一片(71)は、
前記左右側壁(2、2)に備える折り目(N)の部位から折れて前記底面(1)側へ傾斜し、
かつ、他端は折り目(R)を備え、この折り目(R)を介して前記第二片(72)と連接し、
この前記第二片(72)の他端は前記左右側壁(2、2)に備える折り目(Q)を備え、
連接する前記第一片(71)と前記第二片(72)は、
前記折り目(R)をトレーの内側へ向けて断面くの字に折れ曲がることを特徴とする請求項6叉は7記載のトレー。
【請求項9】
前記パック(700)は、前記先端辺(721)によって支持されることを特徴とする請求項1又は7記載のトレー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2011−131925(P2011−131925A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−294705(P2009−294705)
【出願日】平成21年12月25日(2009.12.25)
【出願人】(390019493)中央紙器工業株式会社 (26)
【Fターム(参考)】