説明

茶抽出物含有口腔洗浄剤

【課題】 茶ポリフェノールは抗う蝕効果、抗歯周病効果、抗ウイルス効果、消臭効果等様々な生理効果を有する事が知られている。そのため、従来から茶ポリフェノールを含有した口腔用洗浄剤が提案されている。本発明は、茶ポリフェノールを高濃度に含有するにもかかわらず保存安定性に優れた口腔洗浄剤を提供する事を目的とする。
【解決手段】 カフェイン/総カテキンが0.015以下であり、シュウ酸/総カテキンが0.002以下である茶抽出物を含有する事により上記課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、茶ポリフェノールを高濃度に含有するにもかかわらず保存安定性に優れた口腔洗浄剤を提供するものである。
【背景技術】
【0002】
茶ポリフェノールは抗う蝕効果、抗歯周病効果、抗ウイルス効果、消臭効果等様々な生理効果を有する事が知られている(例えば、特許文献1、2及び3参照。)。そのため、従来から茶ポリフェノールを含有した口腔用洗浄剤が提案されている。しかし、茶ポリフェノールは化学的に変質しやすい特質を有しているため、保存中に茶ポリフェノールの酸化・重合が進んでしまい、茶ポリフェノールに起因する生理効果が減少し、また、濁りや沈殿を生じやすいという問題があった。そのため、口腔洗浄剤中のポリフェノールを安定化させる方法として、pHを3〜4に調整した歯垢除去剤及び歯石沈殿防止剤、界面活性剤と有機酸とを添加する茶エキス配合洗口液等が提案されている(例えば、特許文献4及び5参照。)。しかし、pHを4以下にした場合、酸による刺激が強すぎるという問題があり、また、界面活性剤と有機酸を添加して茶ポリフェノールを安定化させるためには界面活性剤を茶ポリフェノールの1〜5倍程度と多量に使用する必要があり、高濃度の茶ポリフェノールを含有する口腔洗浄剤の場合には、界面活性剤と有機酸の添加量に限界があり、また、界面活性剤自体が有している味や匂いが口腔洗浄剤に悪影響を与えるという問題があった。
【0003】
【特許文献1】特許第1738909号(第1頁〜第5頁)
【特許文献2】特許第2727471号(第1頁〜第5頁)
【特許文献3】特許第3501815号(第1頁〜第7頁)
【特許文献4】特公平8−13738(第1頁)
【特許文献5】特開平7−258054(第2頁)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、茶ポリフェノールを高濃度に含有するにもかかわらず保存安定性に優れた口腔洗浄剤を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者が検討した結果、茶抽出物中のカフェイン/総カテキンが0.015以下であり、シュウ酸/総カテキンが0.002以下である茶抽出物を使用し、口腔洗浄剤中の茶ポリフェノールが20重量%以上であり、茶ポリフェノール100重量部に対し水を100重量部以下、あるいは口腔洗浄剤中の茶ポリフェノールが20重量%以上であり、口腔洗浄剤中の水分含量を20重量%以下に抑える事と茶抽出物を一定量の湿潤剤に分散あるいは溶解させた事で茶ポリフェノールを高濃度に含有した口腔洗浄剤であっても長期保存時において安定である事を見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち、本件における茶抽出物は、カフェイン/総カテキンが、0.015以下であり、好ましくは0.01以下であり、さらに好ましくは0.005以下である。また、茶抽出物中のシュウ酸/総カテキンが0.002以下であり、好ましくは0.0015以下であり、さらに好ましくは0.001以下である。そして、茶抽出物中の茶ポリフェノール含量は、20重量%以上であり、より好ましくは20重量%〜80重量%、さらに好ましくは20重量%以上〜50重量%であり、茶ポリフェノール100重量部に対し、湿潤剤80〜390重量部及び水0〜100重量部、好ましくは口腔洗浄剤中の茶ポリフェノール含量が20重量%以上であり、茶ポリフェノール100重量部に対し、湿潤剤80〜390重量部及び水0〜25重量部、さらに好ましくは口腔洗浄剤中の茶ポリフェノール含量が20重量%以上であり、茶ポリフェノール100重量部に対し湿潤剤80〜390重量部及び水0重量部である茶ポリフェノール含有口腔洗浄剤を提供するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明により製造された口腔洗浄剤は、特定の茶抽出物を高濃度に含有し、茶ポリフェノールに起因する生理効果を有し、かつ長期保存安定性に優れるものである。また、界面活性剤や、有機酸を添加する場合でも、これら添加剤の味や匂いに影響を受けない少量添加で済むものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の茶抽出物含有口腔用洗浄剤は、そのまま使用するタイプだけでなく、使用時に希釈するタイプのものでもよい。使用時に希釈する場合、その希釈倍率は茶抽出物含有口腔洗浄剤中の茶ポリフェノール含量によって適宜希釈できる。希釈するための容器としては、滴下容器、ポンプ容器、スプレー容器等が挙げられる。
本発明の茶抽出物含有口腔用洗浄剤は、マウスウォッシュ、口腔リンス、口腔スプレー等の形態で提供できる。
【0009】
本発明において用いる茶抽出物としては、茶ポリフェノールを含有する茶葉や、茶葉から水、熱水、有機溶媒、含水有機溶媒等により抽出して得た抽出物、あるいはこれらの混合物であってもよい。また、茶葉から水、熱水、有機溶媒、含水有機溶媒等により抽出して得た抽出物を、有機溶媒分画や吸着樹脂等を用いてさらに所望の程度に精製する事もできる。茶ポリフェノールの精製物として太陽化学(株)製の「サンフェノンBG‐3」又は「サンフェノンEGCg」等を使用してもよい。なお、茶ポリフェノール含量の測定方法は酒石酸鉄法を用いた。
【0010】
本発明における茶ポリフェノールとしては、総カテキンとその他ポリフェノールの総和の事である。また、総カテキンとして(+)−カテキン、(−)−エピカテキン、(−)−ガロカテキン、(−)−カテキンガレート、(−)−エピカテキンガレート、(−)−ガロカテキンガレート、(−)−エピガロカテキンガレート、(−)−エピガロカテキンとそれらの誘導体、立体異性体等の非重合カテキン及びそれらの重合体、その他ポリフェノールとしてテアフラビンモノガレートA、テアフラビンモノガレートB、テアフラビンジガレート、遊離型テアフラビンを挙げる事ができる。本発明においてこれら茶ポリフェノールは単独でも、二種以上の混合物でも使用する事ができる。なお、緑茶由来の茶ポリフェノールの主成分は(−)−エピガロカテキンガレートである。また、茶抽出物中の総カテキンを測定するには、特に限定するものではないが、高速液体クロマトグラフィー法等、公知の方法を使用する事ができる。
【0011】
なお、本願発明における総カテキンの測定は次の方法で行った。
試料(茶抽出物)約30mgを秤量し(秤量をWsamとする)、0.1%リン酸水溶液で溶解させ、100mLにメスアップ後、0.45μmの親水性PTFEフィルターでろ過し調整した溶液を得た(濃度:約0.3mg/mL)。内部標準溶液として、没食子酸エチル10mgを秤量し、100mlにメスアップ後、0.45μmの親水性PTFEフィルターでろ過し調整した溶液を得た。得られたろ過液と内部標準溶液を等量ずつ混合し、試料溶液として、高速液体クロマトグラフィーにて測定を行う。検出器は紫外吸収(測定波長280nm)、カラム温度は40℃、移動相はメタノール/水/リン酸:17/83/0.5(v/v/v)、流速0.8ml/minが例示できる。
【0012】
本発明において用いる茶抽出物中のシュウ酸の測定方法は特に限定されないが、測定感度の観点より高速液体クロマトグラフィーが好ましい。検出器は紫外吸収(測定波長220nm)、カラム温度は40℃、移動相は0.5%リン酸溶液であり、移動相の流速は0.7ml/minで例示できる。
【0013】
茶抽出物中のカフェインを測定するには、特に限定するものではないが、高速液体クロマトグラフィー法等、公知の方法を使用する事ができる。
【0014】
なお、本願発明におけるカフェインの測定は次の方法で行った。
試料(茶抽出物)約30mgを秤量し(秤量をWsamとする)、0.1%リン酸水溶液で溶解させ、100mLにメスアップ後、0.45μmの親水性PTFEフィルターでろ過し調整した溶液を得た(濃度:約0.3mg/mL)。内部標準溶液として、没食子酸エチル10mgを秤量し、100mlにメスアップ後、0.45μmの親水性PTFEフィルターでろ過し調整した溶液を得た。得られたろ過液と内部標準溶液を等量ずつ混合し、試料溶液として、高速液体クロマトグラフィーにて測定を行う。検出器は紫外吸収(測定波長280nm)、カラム温度は40℃、移動相はメタノール/水/リン酸:17/83/0.5(v/v/v)、流速0.8ml/minが例示できる。
【0015】
本発明における湿潤剤としては、茶抽出物が分散あるいは溶解できるものであれば特に限定されるものではない。例えば、グリセリン、澱粉還元糖化物、ソルビット、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、キシリット、マルチット、ラクチット等を単独又は2種以上を組み合わせて配合する事ができる。好ましくは、味への影響が少ないグリセリンである。
【0016】
本発明の茶抽出物含有口腔洗浄剤はその使用目的に応じ前記の成分に加えて、さらに以下のような適当な成分を本発明の効果を損なわない範囲で配合する事ができる。例えば、界面活性剤として、ノニオン界面活性剤又は両性界面活性剤から選べられる。例えば、ノニオン界面活性剤としてはポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ショ糖脂肪酸エステル、マルトース脂肪酸エステル、ラクトース脂肪酸エステル等の糖脂肪酸エステル、脂肪酸アルカノールアミド類、ソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸モノグリセライド、ポリオキシエチレン付加係数が8〜10、アルキル基の炭素数が13〜15であるポリオキシエチレンアルキルエーテル系又はポリオキシエチレン付加係数が10〜18、アルキル基の炭素数が9であるポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル系ノニオン界面活性剤等が挙げられる。両性イオン界面活性剤としては、N−ラウリルジアミノエチルグリシン、N−ミリスチルジエチルグリシン等のN−アルキルジアミノエチルグリシン、N−アルキル−N−カルボキシメチルアンモニウムベタイン、2−アルキル−1ヒドロキシエチルイミダゾリンベタインナトリウムがあげられる。これらの界面活性剤は、単独又は2種以上を組み合わせて配合する事ができる。その配合量は、茶ポリフェノールに対して0.001〜0.5倍量、好ましくは0.01〜0.1倍量である。茶ポリフェノールに対して0.5倍量より多い場合は界面活性剤自体が有している味や匂いが口腔洗浄剤に悪影響を与えるという問題がある。
【0017】
粘度低下剤として、エタノールを茶抽出物含有口腔洗浄剤全量に対して0.01〜20重量%程度の割合で配合する事ができる。
【0018】
香味剤として、メントール、アネトール、オイゲノール、サリチル酸メチル、リモネン、オシメン、n−デシルアルコール、シトロネール、α−テルピネオール、メチルアセタート、シトロネニルアセタート、メチルオイゲノール、シネオール、リナロール、エチルリナロール、チモール、スペアミント油、ペパーミント油、レモン油、オレンジ油、セージ油、ローズマリー油、珪皮油、シソ油、冬緑油、丁子油、ユーカリ油、ピメント油等の香料を単独又は2種以上を組み合わせて茶抽出物含有口腔洗浄剤全量に対して0.01〜5重量%好ましくは0.05〜1重量%程度の割合で配合する事ができる。
【0019】
甘味量として、キシリトール、エリスリトール、ソルビトール、マルチトール、マンニトール等の糖アルコールや、スクラロース、サッカリンナトリウム、アセスルファームカリウム、ステビオサイド、ネオヘスペリジルジヒドロカルコン、グリチルリチン、ペリラルチン、タウマチン、アスパラチルフェニルアラニルメチルエステル、ρ−メトキシシンナミックアルデヒド等の甘味剤を、茶抽出物含有口腔洗浄剤全量に対して0.01〜1重量%、好ましくは0.05〜0.5重量%の割合で配合する事ができる。
【0020】
なお、本発明の茶抽出物含有口腔洗浄剤には、薬効成分として、酢酸dl−α−トコフェロール、コハク酸トコフェロール、又はニコチン酸トコフェロール等のビタミンE類、塩化セチルピリジニウム、塩酸クロルヘキシジン、塩化ベンゼトニウム等のカチオン性殺菌剤、ドデシルジアミノエチルグリシン等の両性殺菌剤、トリクロサン、イソプロピルメチルフェノール等の非イオン性殺菌剤、デキストラナーゼ、アミラーゼ、プロテアーゼ、ムタナーゼ、リゾチーム、溶菌酵素(リテックエンザイム)等の酵素、トラネキサム酸やイプシロンアミノカプロン酸、アルミニウムクロルヒドロキシルアラントイン、ジヒドロコレステロール、グリチルリチン塩類、グリチルレチン酸、グリセロフォスフェート、クロロフィル、塩化ナトリウム、カロペプタイド等を、単独又は2種以上を組み合わせて配合する事ができる。
【実施例】
【0021】
以下の実施例により本発明をさらに詳細するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0022】
以下に評価方法を示す。
(安定性評価試験−1)
表2に示す組成の試験サンプルを常法により調製した。茶抽出物はサンフェノンBG−3(茶ポリフェノール含量90.6重量% 太陽化学株式会社製)を使用した。サンフェノンBG−3の組成を表1に示した。各試験サンプルについて製造時、40℃3ヶ月、6ヶ月放置後の状態を下記基準により評価した。
結果を表2に示した。
【0023】
【表1】

【0024】
【表2】

【0025】
製造時評価
<濁りについて>
○:濁りなし、△:わずかに濁りあり、×:濁りあり
<沈殿について>
◎:沈殿なし、○:微量の沈殿あり、△:わずかに沈殿あり、×:沈殿あり
3ヶ月放置後評価
<濁りについて>
○:濁りなし、△:わずかに濁りあり、×:濁りあり
<沈殿について>
◎:沈殿なし、○:微量の沈殿あり、△:わずかに沈殿あり、×:沈殿あり
6ヶ月放置後評価
<濁りについて>
○:濁りなし、△:わずかに濁りあり、×:濁りあり
<沈殿について>
◎:沈殿なし、○:微量の沈殿あり、△:わずかに沈殿あり、×:沈殿あり
総合評価
◎:優良、○:良、△:可、×:不可
【0026】
表2より明らかなように、茶ポリフェノール20.02g〜50.01gに対し、湿潤剤を加えて100gにした実施例1〜4の試験サンプルは、茶ポリフェノール60.07g〜80.00gに対し、湿潤剤を加えて100gにした実施例5〜7の試験サンプルに比べて、製造時、3ヶ月放置後及び6ヶ月放置後の安定性が極めて優れている。
【0027】
(安定性評価試験−2)
表4に示す組成の試験サンプルを常法により調製した。比較試験使用の茶抽出物は、カメリアエキス30S(茶ポリフェノール含量35.7重量% 太陽化学株式会社製)を使用した。カメリアエキス30Sの成分を表3に示す。各試験区を40℃1ヶ月ないしは3ヶ月放置後の状態を下記基準により評価した。
結果を表4に示した。
【0028】
【表3】

【0029】
【表4】

【0030】
製造時評価
<濁りについて>
○ :濁りなし、△:わずかに濁りあり、×:濁りあり
<沈殿について>
◎:沈殿なし、○:微量の沈殿あり、△:わずかに沈殿あり、×:沈殿あり
1ヶ月放置後評価
<濁りについて>
○:濁りなし、△:わずかに濁りあり、×:濁りあり
<沈殿について>
◎:沈殿なし、○:微量の沈殿あり、△:わずかに沈殿あり、×:沈殿あり
3ヶ月放置後評価
<濁りについて>
○:濁りなし、△:わずかに濁りあり、×:濁りあり
<沈殿について>
◎:沈殿なし、○:微量の沈殿あり、△:わずかに沈殿あり、×:沈殿あり
総合評価
◎:優良、○:良、△:可、×:不可
【0031】
表4に示すように、茶抽出物のカフェイン/総カテキンが0.015以上で、シュウ酸/総カテキンが0.002以上であると沈殿や濁りの発生がしやすくなる事が明らかである。
【0032】
(安定性評価試験−3)
表6に示す組成の試験サンプルを常法により調製した。比較試験使用の茶抽出物は、サンフェノン90S(茶ポリフェノール含量92.3重量% 太陽化学株式会社製)を使用した。サンフェノン90Sの成分を表5に示す。各試験区を40℃1ヶ月ないしは3ヶ月放置後の状態を下記基準により評価した。
結果を表6に示した。
【0033】
【表5】

【0034】
【表6】

【0035】
製造時評価
<濁りについて>
○:濁りなし、△:わずかに濁りあり、×:濁りあり
<沈殿について>
◎:沈殿なし、○:微量の沈殿あり、△:わずかに沈殿あり、×:沈殿あり
1ヶ月放置後評価
<濁りについて>
○:濁りなし、△:わずかに濁りあり、×:濁りあり
<沈殿について>
◎:沈殿なし、○:微量の沈殿あり、△:わずかに沈殿あり、×:沈殿あり
3ヶ月放置後評価
<濁りについて>
○:濁りなし、△:わずかに濁りあり、×:濁りあり
<沈殿について>
◎:沈殿なし、○:微量の沈殿あり、△:わずかに沈殿あり、×:沈殿あり
総合評価
◎:優良、○:良、△:可、×:不可
【0036】
表6に示すように、茶抽出物中のカフェイン/総カテキンが0.015以上であると沈殿や濁りの発生がしやすくなる事が明らかである。
【0037】
(安定性評価試験−4)
表8に示す組成の試験サンプルを常法により調製した。比較試験使用の茶抽出物は、カメリアエキスDCF(茶ポリフェノール含量28.0重量% 太陽化学株式会社製)を使用した。カメリアエキスDCFの成分を表7に示す。各試験区を40℃1ヶ月ないしは3ヶ月放置後の状態を下記基準により評価した。
結果を表8に示した。
【0038】
【表7】

【0039】
【表8】

【0040】
製造時評価
<濁りについて>
○:濁りなし、△:わずかに濁りあり、×:濁りあり
<沈殿について>
◎:沈殿なし、○:微量の沈殿あり、△:わずかに沈殿あり、×:沈殿あり
1ヶ月放置後評価
<濁りについて>
○:濁りなし、△:わずかに濁りあり、×:濁りあり
<沈殿について>
◎:沈殿なし、○:微量の沈殿あり、△:わずかに沈殿あり、×:沈殿あり
3ヶ月放置後評価
<濁りについて>
○ :濁りなし、△:わずかに濁りあり、×:濁りあり
<沈殿について>
◎:沈殿なし、○:微量の沈殿あり、△:わずかに沈殿あり、×:沈殿あり
総合評価
◎:優良、○:良、△:可、×:不可
【0041】
表8に示すように、シュウ酸/総カテキンが0.002以上であると沈殿や濁りの発生がしやすくなる事が明らかである。
【0042】
(安定性評価試験−5)
表9に示す組成の試験サンプルを常法により調製した。各試験サンプルについて製造時、40℃3ヶ月、6ヶ月放置後の状態を下記基準により評価した。
結果を表9に示した。
【0043】
【表9】

【0044】
製造時評価
<濁りについて>
○:濁りなし、△:わずかに濁りあり、×:濁りあり
<沈殿について>
◎:沈殿なし、○:微量の沈殿あり、△:わずかに沈殿あり、×:沈殿あり
3ヶ月放置後評価
<濁りについて>
○:濁りなし、△:わずかに濁りあり、×:濁りあり
<沈殿について>
◎:沈殿なし、○:微量の沈殿あり、△:わずかに沈殿あり、×:沈殿あり
6ヶ月放置後評価
<濁りについて>
○ :濁りなし、△:わずかに濁りあり、×:濁りあり
<沈殿について>
◎:沈殿なし、○:微量の沈殿あり、△:わずかに沈殿あり、×:沈殿あり
総合評価
◎優良、○:良、△:可、×:不可
【0045】
表9より明らかなように、茶ポリフェノール100重量部に対し、水が100重量部以下の実施例8〜11の試験サンプルは、茶ポリフェノール100重量部に対し、水が100重量部より多い比較例7〜10の試験サンプルに比べて、製造時、3ヶ月放置後及び6ヶ月放置後の安定性が極めて優れている。
【0046】
(安定性及び官能評価試験−6)
表10に示す組成の試験サンプルを常法により調製した。各試験サンプルについて製造時の状態を下記基準により評価した。澱粉還元糖化物にはアマミール(東和化成工業株式会社製)を使用した。
結果を表10に示した。
【0047】
【表10】

【0048】
<濁りについて>
○:濁りなし、△:わずかに濁りあり、×:濁りあり
<界面活性剤の味>
それぞれ500mgを水50mlに溶解して評価した。
○:感じない、△:少し感じる、×:非常に感じる
総合評価
○:良、△:可、×:不可
【0049】
表10より明らかなように、茶ポリフェノール含量が低濃度の場合(比較例11濃度の茶ポリフェノールを含む場合(比較例12、13)、界面活性剤を茶ポリフェノールと同程度使用すると製造時の製品の濁りは抑えられたが、界面活性剤の味を感じた。また、比較例14場合は界面活性剤の味はさほど感じなかったが、濁りの発生が見られた。実施例12では製造時の濁りの発生は無く、また、界面活性剤の味は感じられなかった。
【0050】
実施例11
以下の処方により、定法に従い、希釈タイプの洗口液を製造し、滴下容器に充填した。このマウスウォッシュ約500mgを50mlの水に溶解して使用する。
成分名 配合量(g)
サンフェノンBG−3 25
(茶ポリフェノール含量90重量%)
グリセリン 73.5
スクラロース 1
ミントフレーバー 0.5
得られた洗口液については、上記の安定性評価を行ったところ、優れた安定性を示した。また、使用後に若干残る茶ポリフェノール由来の渋みも、口中のさっぱり感があり使用感は良好であった。
【0051】
実施例12
以下の処方により、定法に従い、希釈タイプの洗口液を製造し、滴下容器に充填した。このマウスウォッシュ約500mgを100mlの水に溶解して使用する。
成分名 配合量(g)
サンフェノンEGCg 40
(茶ポリフェノール含量99重量%、成分を表11に示す。)
グリセリン 58.5
スクラロース 1
ミントフレーバー 0.5
得られた洗口液については、上記の安定性評価を行ったところ、優れた安定性を示した。また、口中のさっぱり感があり使用感は良好であった。
【0052】
【表11】

【産業上の利用可能性】
【0053】
以上、本発明は茶ポリフェノールを高濃度に含有するにもかかわらず保存安定性に優れた口腔洗浄剤を提供することができるものであり、産業上貢献大である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カフェイン/総カテキンが0.015以下であり、シュウ酸/総カテキンが0.002以下である茶抽出物を含有する口腔洗浄剤
【請求項2】
茶ポリフェノール20重量%以上含有する口腔洗浄剤であり、茶ポリフェノール100重量部に対し、湿潤剤80〜390重量部及び水0〜100重量部を含有する請求項1記載の茶抽出物含有口腔洗浄剤。
【請求項3】
湿潤剤がグリセリン及び/又は糖アルコールである請求項1又は2記載の茶抽出物含有口腔洗浄剤。
【請求項4】
使用時に希釈する事を特徴とする請求項1〜3いずれか記載の茶抽出物含有口腔洗浄剤。

【公開番号】特開2009−215183(P2009−215183A)
【公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−57977(P2008−57977)
【出願日】平成20年3月7日(2008.3.7)
【出願人】(000204181)太陽化学株式会社 (244)
【Fターム(参考)】