草刈り用作業機械
【課題】本発明の草刈り用作業機械は、電気その他のエネルギを用いずに、フィルタに付着した異物を定期的に除去する。
【解決手段】ハンマーナイフモア1の側面には、クローラ3の上部位置して、フィルタ機構40が設けられている。フィルタ51の外面には、ワイパ52が揺動可能に取り付けられている。ワイパ52は、慣性力や振動によって左右に回動する。ワイパ52が回動することにより、フィルタ51に付着した異物は掻き落とされ、クローラ3上に落下する。異物は、クローラ3により運ばれて廃棄される。
【解決手段】ハンマーナイフモア1の側面には、クローラ3の上部位置して、フィルタ機構40が設けられている。フィルタ51の外面には、ワイパ52が揺動可能に取り付けられている。ワイパ52は、慣性力や振動によって左右に回動する。ワイパ52が回動することにより、フィルタ51に付着した異物は掻き落とされ、クローラ3上に落下する。異物は、クローラ3により運ばれて廃棄される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、ハンマーナイフモア等のような自走式または乗用式の草刈り用作業機械に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、堤防等の傾斜地や荒れ地等の不整地に生い茂る雑草や樹木を刈り取るために、ハンマーナイフモアのような草刈り用作業機械が用いられる(特許文献1)。草刈り用作業機械は、内蔵エンジンから生じる力を用いて、草や茎を刈取り、破砕する。草刈り用作業機械はフィルタを備えており、このフィルタによって、草や茎その他の破片がエンジン等に供給される空気中に混入するのを防止している。
【0003】
草や茎の破片がフィルタに付着して、フィルタが目詰まりすると、エンジンへの吸気が妨げられたり、車体内部の温度が上昇する。そこで、オペレータは、定期的または不定期に、フィルタを手作業で清掃する。
【0004】
なお、刈り取られた草によって、草刈り用作業機械内部の通路が目詰まりするのを防止するようにした技術は知られている(特許文献2,特許文献3)。
【特許文献1】特開平11−225530号公報
【特許文献2】特開平10−248351号公報
【特許文献3】特開平11−275924号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の通り、ハンマーナイフモアのような草刈り用作業機械では、走行しながら多量の雑草等を高速回転で刈り取るため、刈り取った草や茎の破片その他が巻き上げられる。この巻き上げられる草や茎の破片その他によって、フィルタが目詰まりし易い。このため、従来技術では、オペレータは、時々、手作業でフィルタを清掃する必要があり、使い勝手の点で改善の余地がある。また、手作業によるフィルタ清掃作業の頻度が多くなると、草刈り作業の効率が低下する。手作業でフィルタを清掃するためには、草刈り作業を一時中断する必要があるためである。しかし、草刈り作業を行っている間は、雑草等の異物が絶え間なくフィルタに付着するため、草刈り作業を中断させる回数が増大し、この結果、草刈り作業の効率が低下する。
【0006】
なお、前記特許文献2,3には、刈り取った草を集めるための通路が、刈り取られた草によって詰まるのを防止する技術について開示されているが、フィルタの目詰まりに関する言及は全く含まれていない。
【0007】
本発明は、上述の問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、フィルタの清掃作業を軽減できるようにした草刈り用作業機械を提供することにある。本発明の他の目的は、特別な動力を用いずに、通常の使用で生じる振動や操作力を利用して、フィルタに付着した異物の少なくとも一部を自動的に除去することができるようにした草刈り用作業機械を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に従う、走行しながら草を刈る草刈り用作業機械(1)であって、作業車両本体と、作業車両本体の下側に設けられる走行体と、作業車両本体の前側に設けられる草刈り部と、作業車両本体に設けられ、内部に少なくともラジエータを収容する機械室と、走行体及び草刈り部の作動をそれぞれ制御可能な走行レバー装置と、走行体の上部に位置して機械室の側面部に設けられるフィルタ機構であって、機械室内に流入する空気中から異物を除去するためのフィルタと、一端側が回動支点となり他端側が自由端となるようにして、フィルタの両面のうち機械室とは反対側に位置する一方の表面に近接して回転可能に設けられる少なくとも一つ以上のワイパ部材と、を備えるフィルタ機構と、を含む。
【0009】
前記フィルタ機構は、ラジエータに対向するようにして機械室の側面部に設け、かつ、機械室内には、フィルタを通過した空気をラジエータに導くためのダクト部材を設けてもよい。
【0010】
前記フィルタの有する空気流通孔の径寸法を、ラジエータのフィンピッチよりも小さく設定してもよい。
【0011】
前記ワイパ部材は、フィルタの前記一方の表面に接触して異物を除去するための、可撓性を有する異物除去部を備え、かつ、異物除去部をフィルタの前記一方の表面に押しつけるようにして取り付けられてもよい。
【0012】
前記ワイパ部材の回動支点と走行レバー装置とを、操作力伝達部材を介して機械的に接続し、走行レバー装置の操作に応じてワイパ部材を回動させてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、雑草等の刈取り作業に伴って振動や慣性力が発生し、これらの振動や慣性力によって、ワイパ部材が駆動される。これにより、ワイパ部材は、電気その他の動力エネルギを消費することなく、フィルタに付着した草や茎またはこれらの破片を、自動的に除去することができる。従って、フィルタ清掃作業の頻度を低減して使い勝手を向上することができ、草刈り作業の効率を高めることができる。さらに、フィルタから取り除かれた異物(草や茎またはこれらの破片)を、走行体に運搬させて廃棄でき、清掃作業をより低減することができる。
【0014】
また、フィルタとラジエータとの間にダクト部材を設ければ、フィルタを通過した空気を効率よくラジエータに供給することができ、かつ、ラジエータを通過した温かい空気が上流側(フィルタとラジエータとの間)に回り込むのを抑制できる。
【0015】
さらに、ワイパ部材に設けられる異物除去部をフィルタの外面に押しつけるようにして、ワイパ部材を取り付ければ、振動等でフィルタが撓んだ場合でも、異物除去部とフィルタとを接触させて異物を除去することができる。
【0016】
また、走行レバー装置とワイパ部材とを操作力伝達部材で接続すれば、刈取り作業に応じてワイパ部材を回動させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面に基づいて、本発明の実施形態を説明する。本実施形態では、草刈り用作業機械として、ハンマーナイフモアを例に挙げて説明する。以下に詳述するように、本実施形態では、ハンマーナイフモア1の側面に設けられるフィルタ41の表面に、ワイパ42を回動可能に設けている。ハンマーナイフモア1が走行しながら草刈り作業を行うと、この作業に伴って発生する慣性力や振動により、ワイパ42は回動し、フィルタ41に付着した異物を掻き落とす。掻き落とされた異物は、クローラ3に落下し、クローラ3によって運ばれて捨てられる。本発明の理解及び実施のために、まず最初に、ハンマーナイフモアの全体構造について説明し、次に、フィルタ機構について説明する。
【実施例1】
【0018】
図1は、ハンマーナイフモア1の斜視図である。ハンマーナイフモア1は、後述のように、ハンマーのようなカッター16(図2参照)を高速回転させながら走行することにより、雑草や小型の樹木等を破砕する装置である。ハンマーナイフモア1は、例えば、車両本体2と、クローラ3と、作業機4とを備えて構成される。
【0019】
「作業車両本体」としての車両本体2の下側には、「走行体」としてのクローラ3が設けられている。車両本体2には、後述のように、エンジン22(図4参照)や油圧装置(図示せず)を収容するための機械室20,30(図3参照)が設けられている。車両本体2の外側は、外装5によって覆われている。
【0020】
車両本体2の上側には、カバー6が開閉可能に取り付けられている。カバー6の基端側は、車両本体2の前側に回動可能に取り付けられている。カバー6の先端側は、操縦装置8側に向けて延びるようにして設けられている。これにより、カバー6は、車両本体2の上側を覆うようにして、開閉可能に設けられる。カバー6を開くことにより、オペレータは、機械室20,30の整備等を行うことができる。車両本体2の後側下部には、ステップ7が設けられている。オペレータは、ステップ7に立って、ハンマーナイフモア1を操作する。車両本体2の後側には、後述の操縦装置8が設けられており、操縦装置8を操作するオペレータを取り囲むようにして保護バー8Aが設けられている。
【0021】
車両本体2の前側には、「草刈り部」としての作業機4が上下に揺動可能に設けられている。作業機4は、例えば、カッターケース10と、カッターカバー11と、左右両側のリンク12と、左右両側のバネ13と、左右両側のソリ14と、回転軸15及び複数のカッター16とを備えて構成される。
【0022】
カッターケース10は、回転軸15及びカッター16を収容するものである。カッターケース10の前側の下部には、カッターカバー11がリンク12及びバネ13を介して、開閉可能に取り付けられている。この構成により、刈取り対象物である雑草等の背丈に応じて、カッターカバー11の開口量が変化する。雑草の背丈が低い場合、カッターカバー11の開く量は小さくなる。これにより、小石等がカッターケース10内から前方に飛散するのを防止する。雑草の背丈が高い場合、カッターカバー11には開方向(上方向)への力が加わり、カッターカバー11の開く量は大きくなる。これにより、背丈の高い雑草を大量にカッターケース10内に取り込んで、破砕することができる。カッターケース10の両側面の下側には、ソリ14が設けられている。
【0023】
図2は、カッターカバー11を開いた状態で示す正面図である。カッターケース10内に設けられた回転軸15は、例えば、油圧モータ等によって回転される。回転軸15には、その軸方向に離間して、ハンマナイフ型のカッター16が複数設けられている。
【0024】
図3は、ハンマーナイフモア1の側面図である。車両本体2は、機械室20,30を備える。機械室20は車両本体2の後側に、機械室30は車両本体2の前側に、それぞれ位置する。一方の機械室20は、例えば、エンジン22やラジエータ23等(図3参照)を収容する。他方の機械室30は、例えば、燃料タンク31及び作動油タンク32を収容する。機械室20と機械室30との間には、開口部を有する隔壁9が設けられる。
【0025】
機械室20の側面には、フィルタ機構40が設けられる。フィルタ機構40は、機械室20内に正常な空気を供給するためのものである。フィルタ機構40の詳細は後述するが、先に簡単に説明すると、フィルタ機構40は、例えば、少なくとも一つのフィルタ41と少なくとも一つのワイパ42とを備えて構成される。ワイパ42の基端側は、フィルタ41の上側に設けられたピン43に回動可能に取り付けられている。ワイパ42の先端側は、自由端となっている。ワイパ42は、ハンマーナイフモア1の走行や作業によって生じる慣性力や振動を利用して、ハンマーナイフモア1の前後方向に回動する。ワイパ42の回動により、フィルタ41に付着した異物はクローラ3上に落下する。
【0026】
操縦装置8は、車両本体2の後側に設けられている。操縦装置8は、例えば、走行レバー8B、駐車ブレーキレバー、カッタークラッチレバー、刈取り高さ調節用ノブ、エンジン回転数調整レバー、エンジン始動スイッチ、モニタパネル等を備えて構成される。なお、図中では、走行レバー8Bに符号を付し、他のレバーやスイッチ類は適宜省略することとする。
【0027】
図4は、フィルタ機構40とエンジン22等との関係を示す説明図である。図4は、機械室20の横断面を模式的に示している。図4中の上側は、ハンマーナイフモア1の後部側であり、図4中の下側は、ハンマーナイフモア1の前部側である。この例では、フィルタ機構40は、ハンマーナイフモア1の左側面に設けられている。
【0028】
エンジン22の駆動軸22Aには、冷却ファン24が設けられている。冷却ファン24の前側には、ラジエータ23が設けられている。ラジエータ23の前側には、フィルタ機構40が設けられている。即ち、機械室20内には、外側から順番に、フィルタ機構40,ラジエータ23,冷却ファン24,エンジン22が配置されている。
【0029】
ラジエータ23は、エンジン22から奪った熱を冷却するための熱交換装置である。ラジエータ23は、多数のフィン23Aを備えている。ラジエータ23は、各フィン23Aの表面から空気中に熱を放出させることにより、水等の媒体を冷却する。
【0030】
ここで、本実施例では、フィンピッチP2よりも、フィルタ41の空気流通孔41A(図7参照)の径寸法P1の方が小さくなるように設定されている(P2>P1)。これにより、フィルタ41を通過した微少な異物が、フィン23A間に詰まって冷却効率が低下するのを抑制することができる。
【0031】
冷却ファン24が回転すると、ハンマーナイフモア1の外側にある空気は、矢示A1に示すように、フィルタ41を通過して機械室20内に流入する。フィルタ41を通過した空気は、矢示A2に示すように、ラジエータ23の各フィン23A間を通過し、ラジエータ23から熱を奪う。ラジエータ23からの熱を吸収した温かい空気は、冷却ファン24の後方に流れ、図示せぬ排気口から外部に排出される。
【0032】
ここで、本実施例では、ラジエータ23及び冷却ファン24の外側を取り囲むようにして、「ダクト部材」としてのダクト25が設けられている。ダクト25は、例えば、円筒状または角筒状に形成されており、フィルタ41の背面側(機械室20に面する側)から冷却ファン24の後方に至るまでの範囲を覆うようにして設けられる。このダクト25によって、冷却ファン24による送風量を増加させることができる。また、ダクト25によって、ラジエータ23を通過した温かい空気が再びラジエータ23を通過するのを防止することができる。これにより、冷却効率の低下を防止できる。なお、図4中では、ダクト25が、エンジン22に近接する位置まで覆うかのように示しているが、ダクト25の長さは、例えば、ファン送風量を増大させるという観点から適宜設定される。
【0033】
図3,図4と共に述べたように、フィルタ機構40は、クローラ3の上側に位置して機械室20の側面に設けられている。フィルタ機構40は、例えば、フィルタ41と、ワイパ42とを含んで構成される。
【0034】
フィルタ41は、例えば、略平板状の金属製フィルタとして構成される。いわゆるパンチングボードのように、金属板に多数の小孔を穿設することにより、フィルタ41を製造することができる。但し、フィルタ41は、金属製フィルタである必要は無く、その材質や形状は特に問わない。フィルタ41は、ラジエータ23に対面するようにして、機械室20の側面部に設けられている。既に述べた通り、フィルタ41の空気流通孔の径寸法P1は、ラジエータ23のフィンピッチP2よりも小さくなるように設定される。
【0035】
図5は、フィルタ機構40を正面から見た場合の模式図である。フィルタ41の外面側には、ワイパ42が回動可能に設けられている。図6は、ワイパ42を拡大して示す斜視図である。ワイパ42は、例えば、長い板状のワイパブレード42Aと、ワイパブレード42Aの基端側(図6中の上側)に設けられる取付部42Bと、ワイパブレード42Aの背面側(フィルタ41側)に設けられるワイパゴム42Dとを備えて構成される。
【0036】
取付部42Bには取付穴42Cが設けられており、この取付穴42Cにピン43が挿入して取り付けられる。ピン43は、例えば、フィルタ41の上側に位置して車両本体2に取り付けられている。ワイパゴム42Dについては、別図と共に後述する。
【0037】
図5に戻る。ワイパ42は、フィルタ41の外面側を矢示R1方向または矢示R2方向に揺動する。R1方向は、ハンマーナイフモア1の後進方向であり、R2方向は、ハンマーナイフモア1の前進方向である。例えば、ハンマーナイフモア1が停車状態から前進する場合、ハンマーナイフモア1が前進状態または後進状態のいずれかから停車する場合、ハンマーナイフモア1が停車状態から後進する場合のそれぞれの場合において、ワイパ42は、慣性力によりR1,R2方向に回動する。走行中または草刈り作業中の振動によっても、ワイパ42は、R1,R2方向に回動する。ワイパ42がR1,R2方向に揺動することにより、フィルタ41の外面は、範囲S1の面積だけ清掃される。
【0038】
ワイパ42が範囲S1を回動することにより、フィルタ41の外面に付着した異物は、掻き落とされ、クローラ3上に落下する。異物は、クローラ3によって運搬され、地面に落下する。クローラ3は、地面に落下した異物の上を通過し、踏み固める。従って、フィルタ41から掻き落とされた異物が再び舞い上がって、フィルタ41に再付着するのを抑制することができる。
【0039】
図7は、図6中の矢示VII-VII方向の断面図である。ワイパゴム42Dは、例えば、合成樹脂または合成ゴム等のような、可撓性を有する平板状に形成される。即ち、ワイパゴム42Dは、弾力性を備えており、外部から加えられた荷重に応じてたわむようになっている。
【0040】
図7は、ワイパゴム42Dの初期状態を示す。初期状態において、ワイパゴム42Dには、初期荷重がかけられており、たわんだ状態でフィルタ41の外面に接触している。例えば、ワイパブレード42A自体にバネ性を与えて、ワイパゴム42Dをフィルタ41に押し当てるように構成してもよいし、または、ワイパブレード42Aをフィルタ41側に押しつけるためのバネ部材を別に設ける構成としてもよい。ワイパゴム42Dは、フィルタ41に押しつけられた状態で、フィルタ41の外面をR1,R2方向に移動する。
【0041】
図8は、ワイパゴム42Dが、フィルタ41の変位に追従する様子を模式的に示す説明図である。ハンマーナイフモア1の作業時に生じる振動によって、フィルタ41は、図8中の上下方向に変位する。図8(a)に示すように、フィルタ41が上側に変位すると、ワイパブレード42Aとフィルタ41との距離が縮まり、ワイパゴム42Dは、上側に向けて付勢される。これにより、ワイパゴム42Dは、そのたわみ量を増大させた状態で、フィルタ41に接触する。
【0042】
逆に、図8(b)に示すように、フィルタ41が下側に変位すると、ワイパブレード42Aとフィルタ41との距離が広がり、ワイパゴム42Dは、伸長する。これにより、ワイパゴム42Dは、そのたわみ量を減少させた状態で、フィルタ41に接触する。
【0043】
このように、可撓性を有するワイパゴム42Dをフィルタ41に押しつけるようにして取り付けることにより、フィルタ41の変位に応じてワイパゴム42Dの姿勢(形状)を変化させることができる。従って、フィルタ41が変位した場合でも、ワイパゴム42Dの先端側(図8中の下端側)がフィルタ41の外面から離れることがなく、フィルタ41に付着した異物を除去することができる。
【0044】
なお、ワイパゴム42Dをフィルタ41の外面に押しつけることにより、ワイパゴム42Dとフィルタ41との間の摩擦力が増加する。この摩擦力は、ワイパ42の円滑な揺動を阻害する可能性がある。従って、好ましくは、ワイパゴム42Dをフィルタ41に押しつける際の初期荷重は、ワイパゴム42Dとフィルタ41との間の摩擦力がワイパ42の揺動を阻害しない程度の値に設定する。
【0045】
図9は、ハンマーナイフモア1による除草作業の一例を示す説明図である。ハンマーナイフモア1は、例えば、堤防のような傾斜地1000に生い茂る雑草1002を効率的に除去するために使用される。なお、傾斜地1000の雑草1002に限らず、平坦地1001に生えている雑草も、ハンマーナイフモア1により刈り取ることができる。ハンマーナイフモア1の一つの利点は、主に雑草の地上部分を粉砕し、雑草の根は残すことができる点である。従って、ハンマーナイフモア1を用いることにより、堤防や畦等の構造物の強度を低下させることなく、雑草を刈り取ることができる。
【0046】
ハンマーナイフモア1によって傾斜地1000の雑草1002を除去する場合、ハンマーナイフモア1は、走行路W1〜W4に示すように、進行方向を反転させながら傾斜地1000を走行する。ハンマーナイフモア1は、走行路W1〜W4を走行中に、一時的に停止し、再発進することがある。発進時やカーブ走行時等に生じる慣性力によって、ワイパ42は、フィルタ41の外面を清掃する。
【0047】
さらに、平坦地1001及び傾斜地1000には、多数の凹凸があり、さらに、空き瓶や空き缶、小石、様々な異物が散在している。従って、例えば、カッター16が小石等の異物を叩いたり、クローラ3が凹凸のある地面を走行すると、ハンマーナイフモア1には振動が加わる。ハンマーナイフモア1の作業中に生じる振動によって、ワイパ42は、フィルタ41の外面を清掃する。
【0048】
このように構成される本実施例によれば、ハンマーナイフモア1の通常の使用によって自然に得られる慣性力や振動を利用して、ワイパ42を動作させることができ、フィルタ41に付着した雑草等の異物を除去することができる。従って、本実施例では、電気モータ等の特別な動力源を用いることなく、フィルタ41を自動的に清掃できる。
【0049】
これにより、オペレータは、手作業でフィルタ41を清掃する必要がなく、草刈り作業の効率が向上する。また、少なくともワイパ42により清掃される範囲S1だけの流入面積を確保できるため、エンジン温度等の上昇を抑制し、オーバーヒートの発生を防止することができ、ハンマーナイフモア1の使い勝手が向上する。
【0050】
本実施例では、クローラ3の上部にフィルタ機構40を設け、ワイパ42により除去された異物をクローラ3上に落下させる構成のため、フィルタ41から取り除かれた異物をクローラ3によって運搬し、地面に埋め込むようにして廃棄することができる。従って、フィルタ51から掻き落とされた異物がフィルタ51の下側に溜まったままの状態になるのを防止することができる。つまり、フィルタ51から掻き落とされた異物を、クローラ3によって自動的に清掃することができ、使い勝手が向上する。さらに、フィルタ41から取り除かれた異物が舞い上がって、再びフィルタ41に付着するのを抑制することができる。
【0051】
本実施例では、ダクト25を、フィルタ41の裏面側から冷却ファン24の後方まで覆うように設けるため、フィルタ41によって異物の除去された空気をラジエータ23に効率よく導くことができ、ファン送風量を増大させることができる。また、ダクト25は、少なくともフィルタ41の裏面側からラジエータ23の全体を覆うようにして設けられるため、ラジエータ23を通過した温かい空気が再びラジエータ23に導かれるのを防止することができ、ラジエータ23の冷却効率を高めることができる。
【0052】
本実施例では、フィルタ41の空気流通孔の径寸法P1をラジエータ23のフィンピッチP2よりも小さくなるように設定するため、微少な異物がフィルタ41を通過した場合でも、この微少な異物によってフィン23A間の隙間が詰まるのを抑制することができ、ラジエータ23の冷却性能の低下を抑制することができる。
【0053】
本実施例では、ワイパブレード42Aの裏面側のワイパゴム42Dを、フィルタ41の外面に押し当てて、たわませた状態で使用するため、フィルタ41がフィルタ41の平面に垂直な方向に変位した場合でも、ワイパゴム42Dをフィルタ41に接触させたままにすることができる。これにより、ハンマーナイフモア1の作業中の振動によってフィルタ41が変位した場合でも、フィルタ41に付着した異物をワイパ42によって除去することができる。
【実施例2】
【0054】
図10〜図12に基づいて第2実施例を説明する。本実施例では、走行レバー装置8の操作時に得られる力によってワイパ52を駆動する。図10は、本実施例のハンマーナイフモア1に使用されるフィルタ機構50を模式的に示す説明図である。
【0055】
フィルタ機構50は、前記フィルタ機構40と同様に、クローラ3の上部に位置して、ラジエータ23と対面するように機械室20の側面部に設けられている。フィルタ機構50は、前記フィルタ機構40と同様に、フィルタ51と、ワイパ52とを備えて構成されている。フィルタ51の空気流通孔の径寸法P1は、フィンピッチP2よりも小さくなるように設定されており、かつ、フィルタ51の裏面側から冷却ファン24までの範囲は、ダクト25によって覆われている。
【0056】
本実施例と前記実施例とは、ワイパ52の駆動方式の点で相違する。前記実施例では、ワイパ42を慣性力や振動を利用して駆動させるのに対し、本実施例では、オペレータが走行レバー装置8を操作するときの力を利用してワイパ52を駆動させる。
【0057】
そこで、ワイパ52の構成を説明する。ワイパ52は、前記ワイパ42と同様に、ワイパブレード52Aと、取付部52Bと、ワイパゴム(不図示)とを備えて構成される。本実施例のワイパゴムは、前記ワイパゴム42Dと同様に構成可能である。
【0058】
ワイパ52は、例えば、フィルタ51の上側にある左右の隅のうち、いずれか一方の隅で回動可能に取り付けられる。例えば、図10に示すように、フィルタ51の右上に設けられるピン53に取付部52Bが回動可能に取り付けられる。
【0059】
さらに、取付部52Bは、「操作力伝達部材」としてのリンク機構54を介して、走行レバー装置8の走行レバー8Bに接続されている。走行レバー8Bは、ハンマーナイフモア1を前進または後進させるためのレバーである。リンク機構54は、図11,図12にも示すように、例えば、ケーブルまたはワイヤを含んで構成することができる。
【0060】
オペレータが矢示R3方向に走行レバー8Bを倒すと、ハンマーナイフモア1は前進し、オペレータが矢示R4方向に走行レバー8Bを引き戻すと、ハンマーナイフモア1は後進する。リンク機構54は、走行レバー8Bが前進方向(R3方向)または後進方向(R4方向)に操作された場合に、この操作力をワイパ52に伝達する。
【0061】
ワイパ52は、リンク機構54から伝達される操作力によって、矢示R2方向に回動し、フィルタ51の外面に付着した異物をクローラ3上に掻き落とす。同様に、オペレータが走行レバー8Bを手前側(R4方向)に引き戻した場合、ワイパ52は、矢示R1方向に回動し、フィルタ51の外面を清掃する。
【0062】
図11は、フィルタ51,ワイパ52及びリンク機構54に着目した、機械室20等を示す斜視図である。図12は、フィルタ機構50の正面図である。図12に示すように、ワイパ52の長さ寸法L及び回動角θは、例えば、ワイパ52がクローラ3に干渉しない範囲で、できるだけ清掃範囲S2の面積が最大となるように、それぞれ設定される。例えば、回動角θは80度程度に設定可能であるが、本発明は80度に限定されない。
【0063】
このように構成される本実施例も前記第1実施例と同様の効果を奏する。即ち、本実施例でも、電気モータ等の特別な駆動源を使用せずに、ハンマーナイフモア1の作業中に生じる通常の力(オペレータによる手動の力)を利用して、ワイパ52を駆動させることができ、フィルタ51を清掃することができる。
【0064】
図9で述べたように、ハンマーナイフモア1は、走行路を変えながら草刈り作業を行うため、オペレータは、比較的頻繁に走行レバー8Bを操作する。従って、ハンマーナイフモア1の作業中に、走行レバー8BはR3方向またはR4方向に傾動操作され、この操作によってワイパ52が回動する。これにより、フィルタ51に付着した異物は、草刈り作業の進行状況に応じて、周期的または非周期的に除去される。
【0065】
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されない。当業者であれば、本発明の範囲内で、種々の追加や変更等を行うことができる。例えば、草刈り用作業機械として、車両の後方にオペレータが立って操作する形式のハンマーナイフモアを例に挙げて説明したが、本発明はこれに限らず、例えば、乗用車型の草刈り作業機械や手押し式の草刈り作業機械、または各種農業機械にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】ハンマーナイフモアの斜視図。
【図2】作業機の正面図。
【図3】ハンマーナイフモアの側面図。
【図4】フィルタ及びエンジン等の関係を模式的に示す、説明用の上面図。
【図5】フィルタ機構とクローラの関係を模式的に示す、説明用の側面図。
【図6】ワイパを拡大して示す斜視図。
【図7】図6中の矢示VII-VII方向断面図。
【図8】ワイパゴムがフィルタの変位に追従して変形する様子を示す説明図。
【図9】ハンマーナイフモアによる草刈り作業の様子を示す説明図。
【図10】第2実施例のハンマーナイフモアに使用されるフィルタ機構を模式的に示す説明図。
【図11】フィルタ機構に着目して機械室を拡大して示す斜視図。
【図12】フィルタ機構の正面図。
【符号の説明】
【0067】
1…ハンマーナイフモア、2…車両本体、3…クローラ、4…作業機、5…外装、6…カバー、7…ステップ、8…操縦装置、8A…保護バー、8B…走行レバー、10…カッターケース、11…カッターカバー、12…リンク、13…バネ、14…ソリ、15…回転軸、16…カッター、20,30…機械室、22…エンジン、22A…駆動軸、23…ラジエータ、24…冷却ファン、25…ダクト、31…燃料タンク、32…作動油タンク、40,50…フィルタ機構、41,51…フィルタ、41A…空気流通孔、42,52…ワイパ、42A,52A…ワイパブレード、42B,52B…取付部、42C…取付穴、42D…ワイパゴム、43,53…ピン、A1,A2:空気の流れ、S1,S2:ワイパによる清掃範囲
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、ハンマーナイフモア等のような自走式または乗用式の草刈り用作業機械に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、堤防等の傾斜地や荒れ地等の不整地に生い茂る雑草や樹木を刈り取るために、ハンマーナイフモアのような草刈り用作業機械が用いられる(特許文献1)。草刈り用作業機械は、内蔵エンジンから生じる力を用いて、草や茎を刈取り、破砕する。草刈り用作業機械はフィルタを備えており、このフィルタによって、草や茎その他の破片がエンジン等に供給される空気中に混入するのを防止している。
【0003】
草や茎の破片がフィルタに付着して、フィルタが目詰まりすると、エンジンへの吸気が妨げられたり、車体内部の温度が上昇する。そこで、オペレータは、定期的または不定期に、フィルタを手作業で清掃する。
【0004】
なお、刈り取られた草によって、草刈り用作業機械内部の通路が目詰まりするのを防止するようにした技術は知られている(特許文献2,特許文献3)。
【特許文献1】特開平11−225530号公報
【特許文献2】特開平10−248351号公報
【特許文献3】特開平11−275924号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の通り、ハンマーナイフモアのような草刈り用作業機械では、走行しながら多量の雑草等を高速回転で刈り取るため、刈り取った草や茎の破片その他が巻き上げられる。この巻き上げられる草や茎の破片その他によって、フィルタが目詰まりし易い。このため、従来技術では、オペレータは、時々、手作業でフィルタを清掃する必要があり、使い勝手の点で改善の余地がある。また、手作業によるフィルタ清掃作業の頻度が多くなると、草刈り作業の効率が低下する。手作業でフィルタを清掃するためには、草刈り作業を一時中断する必要があるためである。しかし、草刈り作業を行っている間は、雑草等の異物が絶え間なくフィルタに付着するため、草刈り作業を中断させる回数が増大し、この結果、草刈り作業の効率が低下する。
【0006】
なお、前記特許文献2,3には、刈り取った草を集めるための通路が、刈り取られた草によって詰まるのを防止する技術について開示されているが、フィルタの目詰まりに関する言及は全く含まれていない。
【0007】
本発明は、上述の問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、フィルタの清掃作業を軽減できるようにした草刈り用作業機械を提供することにある。本発明の他の目的は、特別な動力を用いずに、通常の使用で生じる振動や操作力を利用して、フィルタに付着した異物の少なくとも一部を自動的に除去することができるようにした草刈り用作業機械を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に従う、走行しながら草を刈る草刈り用作業機械(1)であって、作業車両本体と、作業車両本体の下側に設けられる走行体と、作業車両本体の前側に設けられる草刈り部と、作業車両本体に設けられ、内部に少なくともラジエータを収容する機械室と、走行体及び草刈り部の作動をそれぞれ制御可能な走行レバー装置と、走行体の上部に位置して機械室の側面部に設けられるフィルタ機構であって、機械室内に流入する空気中から異物を除去するためのフィルタと、一端側が回動支点となり他端側が自由端となるようにして、フィルタの両面のうち機械室とは反対側に位置する一方の表面に近接して回転可能に設けられる少なくとも一つ以上のワイパ部材と、を備えるフィルタ機構と、を含む。
【0009】
前記フィルタ機構は、ラジエータに対向するようにして機械室の側面部に設け、かつ、機械室内には、フィルタを通過した空気をラジエータに導くためのダクト部材を設けてもよい。
【0010】
前記フィルタの有する空気流通孔の径寸法を、ラジエータのフィンピッチよりも小さく設定してもよい。
【0011】
前記ワイパ部材は、フィルタの前記一方の表面に接触して異物を除去するための、可撓性を有する異物除去部を備え、かつ、異物除去部をフィルタの前記一方の表面に押しつけるようにして取り付けられてもよい。
【0012】
前記ワイパ部材の回動支点と走行レバー装置とを、操作力伝達部材を介して機械的に接続し、走行レバー装置の操作に応じてワイパ部材を回動させてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、雑草等の刈取り作業に伴って振動や慣性力が発生し、これらの振動や慣性力によって、ワイパ部材が駆動される。これにより、ワイパ部材は、電気その他の動力エネルギを消費することなく、フィルタに付着した草や茎またはこれらの破片を、自動的に除去することができる。従って、フィルタ清掃作業の頻度を低減して使い勝手を向上することができ、草刈り作業の効率を高めることができる。さらに、フィルタから取り除かれた異物(草や茎またはこれらの破片)を、走行体に運搬させて廃棄でき、清掃作業をより低減することができる。
【0014】
また、フィルタとラジエータとの間にダクト部材を設ければ、フィルタを通過した空気を効率よくラジエータに供給することができ、かつ、ラジエータを通過した温かい空気が上流側(フィルタとラジエータとの間)に回り込むのを抑制できる。
【0015】
さらに、ワイパ部材に設けられる異物除去部をフィルタの外面に押しつけるようにして、ワイパ部材を取り付ければ、振動等でフィルタが撓んだ場合でも、異物除去部とフィルタとを接触させて異物を除去することができる。
【0016】
また、走行レバー装置とワイパ部材とを操作力伝達部材で接続すれば、刈取り作業に応じてワイパ部材を回動させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面に基づいて、本発明の実施形態を説明する。本実施形態では、草刈り用作業機械として、ハンマーナイフモアを例に挙げて説明する。以下に詳述するように、本実施形態では、ハンマーナイフモア1の側面に設けられるフィルタ41の表面に、ワイパ42を回動可能に設けている。ハンマーナイフモア1が走行しながら草刈り作業を行うと、この作業に伴って発生する慣性力や振動により、ワイパ42は回動し、フィルタ41に付着した異物を掻き落とす。掻き落とされた異物は、クローラ3に落下し、クローラ3によって運ばれて捨てられる。本発明の理解及び実施のために、まず最初に、ハンマーナイフモアの全体構造について説明し、次に、フィルタ機構について説明する。
【実施例1】
【0018】
図1は、ハンマーナイフモア1の斜視図である。ハンマーナイフモア1は、後述のように、ハンマーのようなカッター16(図2参照)を高速回転させながら走行することにより、雑草や小型の樹木等を破砕する装置である。ハンマーナイフモア1は、例えば、車両本体2と、クローラ3と、作業機4とを備えて構成される。
【0019】
「作業車両本体」としての車両本体2の下側には、「走行体」としてのクローラ3が設けられている。車両本体2には、後述のように、エンジン22(図4参照)や油圧装置(図示せず)を収容するための機械室20,30(図3参照)が設けられている。車両本体2の外側は、外装5によって覆われている。
【0020】
車両本体2の上側には、カバー6が開閉可能に取り付けられている。カバー6の基端側は、車両本体2の前側に回動可能に取り付けられている。カバー6の先端側は、操縦装置8側に向けて延びるようにして設けられている。これにより、カバー6は、車両本体2の上側を覆うようにして、開閉可能に設けられる。カバー6を開くことにより、オペレータは、機械室20,30の整備等を行うことができる。車両本体2の後側下部には、ステップ7が設けられている。オペレータは、ステップ7に立って、ハンマーナイフモア1を操作する。車両本体2の後側には、後述の操縦装置8が設けられており、操縦装置8を操作するオペレータを取り囲むようにして保護バー8Aが設けられている。
【0021】
車両本体2の前側には、「草刈り部」としての作業機4が上下に揺動可能に設けられている。作業機4は、例えば、カッターケース10と、カッターカバー11と、左右両側のリンク12と、左右両側のバネ13と、左右両側のソリ14と、回転軸15及び複数のカッター16とを備えて構成される。
【0022】
カッターケース10は、回転軸15及びカッター16を収容するものである。カッターケース10の前側の下部には、カッターカバー11がリンク12及びバネ13を介して、開閉可能に取り付けられている。この構成により、刈取り対象物である雑草等の背丈に応じて、カッターカバー11の開口量が変化する。雑草の背丈が低い場合、カッターカバー11の開く量は小さくなる。これにより、小石等がカッターケース10内から前方に飛散するのを防止する。雑草の背丈が高い場合、カッターカバー11には開方向(上方向)への力が加わり、カッターカバー11の開く量は大きくなる。これにより、背丈の高い雑草を大量にカッターケース10内に取り込んで、破砕することができる。カッターケース10の両側面の下側には、ソリ14が設けられている。
【0023】
図2は、カッターカバー11を開いた状態で示す正面図である。カッターケース10内に設けられた回転軸15は、例えば、油圧モータ等によって回転される。回転軸15には、その軸方向に離間して、ハンマナイフ型のカッター16が複数設けられている。
【0024】
図3は、ハンマーナイフモア1の側面図である。車両本体2は、機械室20,30を備える。機械室20は車両本体2の後側に、機械室30は車両本体2の前側に、それぞれ位置する。一方の機械室20は、例えば、エンジン22やラジエータ23等(図3参照)を収容する。他方の機械室30は、例えば、燃料タンク31及び作動油タンク32を収容する。機械室20と機械室30との間には、開口部を有する隔壁9が設けられる。
【0025】
機械室20の側面には、フィルタ機構40が設けられる。フィルタ機構40は、機械室20内に正常な空気を供給するためのものである。フィルタ機構40の詳細は後述するが、先に簡単に説明すると、フィルタ機構40は、例えば、少なくとも一つのフィルタ41と少なくとも一つのワイパ42とを備えて構成される。ワイパ42の基端側は、フィルタ41の上側に設けられたピン43に回動可能に取り付けられている。ワイパ42の先端側は、自由端となっている。ワイパ42は、ハンマーナイフモア1の走行や作業によって生じる慣性力や振動を利用して、ハンマーナイフモア1の前後方向に回動する。ワイパ42の回動により、フィルタ41に付着した異物はクローラ3上に落下する。
【0026】
操縦装置8は、車両本体2の後側に設けられている。操縦装置8は、例えば、走行レバー8B、駐車ブレーキレバー、カッタークラッチレバー、刈取り高さ調節用ノブ、エンジン回転数調整レバー、エンジン始動スイッチ、モニタパネル等を備えて構成される。なお、図中では、走行レバー8Bに符号を付し、他のレバーやスイッチ類は適宜省略することとする。
【0027】
図4は、フィルタ機構40とエンジン22等との関係を示す説明図である。図4は、機械室20の横断面を模式的に示している。図4中の上側は、ハンマーナイフモア1の後部側であり、図4中の下側は、ハンマーナイフモア1の前部側である。この例では、フィルタ機構40は、ハンマーナイフモア1の左側面に設けられている。
【0028】
エンジン22の駆動軸22Aには、冷却ファン24が設けられている。冷却ファン24の前側には、ラジエータ23が設けられている。ラジエータ23の前側には、フィルタ機構40が設けられている。即ち、機械室20内には、外側から順番に、フィルタ機構40,ラジエータ23,冷却ファン24,エンジン22が配置されている。
【0029】
ラジエータ23は、エンジン22から奪った熱を冷却するための熱交換装置である。ラジエータ23は、多数のフィン23Aを備えている。ラジエータ23は、各フィン23Aの表面から空気中に熱を放出させることにより、水等の媒体を冷却する。
【0030】
ここで、本実施例では、フィンピッチP2よりも、フィルタ41の空気流通孔41A(図7参照)の径寸法P1の方が小さくなるように設定されている(P2>P1)。これにより、フィルタ41を通過した微少な異物が、フィン23A間に詰まって冷却効率が低下するのを抑制することができる。
【0031】
冷却ファン24が回転すると、ハンマーナイフモア1の外側にある空気は、矢示A1に示すように、フィルタ41を通過して機械室20内に流入する。フィルタ41を通過した空気は、矢示A2に示すように、ラジエータ23の各フィン23A間を通過し、ラジエータ23から熱を奪う。ラジエータ23からの熱を吸収した温かい空気は、冷却ファン24の後方に流れ、図示せぬ排気口から外部に排出される。
【0032】
ここで、本実施例では、ラジエータ23及び冷却ファン24の外側を取り囲むようにして、「ダクト部材」としてのダクト25が設けられている。ダクト25は、例えば、円筒状または角筒状に形成されており、フィルタ41の背面側(機械室20に面する側)から冷却ファン24の後方に至るまでの範囲を覆うようにして設けられる。このダクト25によって、冷却ファン24による送風量を増加させることができる。また、ダクト25によって、ラジエータ23を通過した温かい空気が再びラジエータ23を通過するのを防止することができる。これにより、冷却効率の低下を防止できる。なお、図4中では、ダクト25が、エンジン22に近接する位置まで覆うかのように示しているが、ダクト25の長さは、例えば、ファン送風量を増大させるという観点から適宜設定される。
【0033】
図3,図4と共に述べたように、フィルタ機構40は、クローラ3の上側に位置して機械室20の側面に設けられている。フィルタ機構40は、例えば、フィルタ41と、ワイパ42とを含んで構成される。
【0034】
フィルタ41は、例えば、略平板状の金属製フィルタとして構成される。いわゆるパンチングボードのように、金属板に多数の小孔を穿設することにより、フィルタ41を製造することができる。但し、フィルタ41は、金属製フィルタである必要は無く、その材質や形状は特に問わない。フィルタ41は、ラジエータ23に対面するようにして、機械室20の側面部に設けられている。既に述べた通り、フィルタ41の空気流通孔の径寸法P1は、ラジエータ23のフィンピッチP2よりも小さくなるように設定される。
【0035】
図5は、フィルタ機構40を正面から見た場合の模式図である。フィルタ41の外面側には、ワイパ42が回動可能に設けられている。図6は、ワイパ42を拡大して示す斜視図である。ワイパ42は、例えば、長い板状のワイパブレード42Aと、ワイパブレード42Aの基端側(図6中の上側)に設けられる取付部42Bと、ワイパブレード42Aの背面側(フィルタ41側)に設けられるワイパゴム42Dとを備えて構成される。
【0036】
取付部42Bには取付穴42Cが設けられており、この取付穴42Cにピン43が挿入して取り付けられる。ピン43は、例えば、フィルタ41の上側に位置して車両本体2に取り付けられている。ワイパゴム42Dについては、別図と共に後述する。
【0037】
図5に戻る。ワイパ42は、フィルタ41の外面側を矢示R1方向または矢示R2方向に揺動する。R1方向は、ハンマーナイフモア1の後進方向であり、R2方向は、ハンマーナイフモア1の前進方向である。例えば、ハンマーナイフモア1が停車状態から前進する場合、ハンマーナイフモア1が前進状態または後進状態のいずれかから停車する場合、ハンマーナイフモア1が停車状態から後進する場合のそれぞれの場合において、ワイパ42は、慣性力によりR1,R2方向に回動する。走行中または草刈り作業中の振動によっても、ワイパ42は、R1,R2方向に回動する。ワイパ42がR1,R2方向に揺動することにより、フィルタ41の外面は、範囲S1の面積だけ清掃される。
【0038】
ワイパ42が範囲S1を回動することにより、フィルタ41の外面に付着した異物は、掻き落とされ、クローラ3上に落下する。異物は、クローラ3によって運搬され、地面に落下する。クローラ3は、地面に落下した異物の上を通過し、踏み固める。従って、フィルタ41から掻き落とされた異物が再び舞い上がって、フィルタ41に再付着するのを抑制することができる。
【0039】
図7は、図6中の矢示VII-VII方向の断面図である。ワイパゴム42Dは、例えば、合成樹脂または合成ゴム等のような、可撓性を有する平板状に形成される。即ち、ワイパゴム42Dは、弾力性を備えており、外部から加えられた荷重に応じてたわむようになっている。
【0040】
図7は、ワイパゴム42Dの初期状態を示す。初期状態において、ワイパゴム42Dには、初期荷重がかけられており、たわんだ状態でフィルタ41の外面に接触している。例えば、ワイパブレード42A自体にバネ性を与えて、ワイパゴム42Dをフィルタ41に押し当てるように構成してもよいし、または、ワイパブレード42Aをフィルタ41側に押しつけるためのバネ部材を別に設ける構成としてもよい。ワイパゴム42Dは、フィルタ41に押しつけられた状態で、フィルタ41の外面をR1,R2方向に移動する。
【0041】
図8は、ワイパゴム42Dが、フィルタ41の変位に追従する様子を模式的に示す説明図である。ハンマーナイフモア1の作業時に生じる振動によって、フィルタ41は、図8中の上下方向に変位する。図8(a)に示すように、フィルタ41が上側に変位すると、ワイパブレード42Aとフィルタ41との距離が縮まり、ワイパゴム42Dは、上側に向けて付勢される。これにより、ワイパゴム42Dは、そのたわみ量を増大させた状態で、フィルタ41に接触する。
【0042】
逆に、図8(b)に示すように、フィルタ41が下側に変位すると、ワイパブレード42Aとフィルタ41との距離が広がり、ワイパゴム42Dは、伸長する。これにより、ワイパゴム42Dは、そのたわみ量を減少させた状態で、フィルタ41に接触する。
【0043】
このように、可撓性を有するワイパゴム42Dをフィルタ41に押しつけるようにして取り付けることにより、フィルタ41の変位に応じてワイパゴム42Dの姿勢(形状)を変化させることができる。従って、フィルタ41が変位した場合でも、ワイパゴム42Dの先端側(図8中の下端側)がフィルタ41の外面から離れることがなく、フィルタ41に付着した異物を除去することができる。
【0044】
なお、ワイパゴム42Dをフィルタ41の外面に押しつけることにより、ワイパゴム42Dとフィルタ41との間の摩擦力が増加する。この摩擦力は、ワイパ42の円滑な揺動を阻害する可能性がある。従って、好ましくは、ワイパゴム42Dをフィルタ41に押しつける際の初期荷重は、ワイパゴム42Dとフィルタ41との間の摩擦力がワイパ42の揺動を阻害しない程度の値に設定する。
【0045】
図9は、ハンマーナイフモア1による除草作業の一例を示す説明図である。ハンマーナイフモア1は、例えば、堤防のような傾斜地1000に生い茂る雑草1002を効率的に除去するために使用される。なお、傾斜地1000の雑草1002に限らず、平坦地1001に生えている雑草も、ハンマーナイフモア1により刈り取ることができる。ハンマーナイフモア1の一つの利点は、主に雑草の地上部分を粉砕し、雑草の根は残すことができる点である。従って、ハンマーナイフモア1を用いることにより、堤防や畦等の構造物の強度を低下させることなく、雑草を刈り取ることができる。
【0046】
ハンマーナイフモア1によって傾斜地1000の雑草1002を除去する場合、ハンマーナイフモア1は、走行路W1〜W4に示すように、進行方向を反転させながら傾斜地1000を走行する。ハンマーナイフモア1は、走行路W1〜W4を走行中に、一時的に停止し、再発進することがある。発進時やカーブ走行時等に生じる慣性力によって、ワイパ42は、フィルタ41の外面を清掃する。
【0047】
さらに、平坦地1001及び傾斜地1000には、多数の凹凸があり、さらに、空き瓶や空き缶、小石、様々な異物が散在している。従って、例えば、カッター16が小石等の異物を叩いたり、クローラ3が凹凸のある地面を走行すると、ハンマーナイフモア1には振動が加わる。ハンマーナイフモア1の作業中に生じる振動によって、ワイパ42は、フィルタ41の外面を清掃する。
【0048】
このように構成される本実施例によれば、ハンマーナイフモア1の通常の使用によって自然に得られる慣性力や振動を利用して、ワイパ42を動作させることができ、フィルタ41に付着した雑草等の異物を除去することができる。従って、本実施例では、電気モータ等の特別な動力源を用いることなく、フィルタ41を自動的に清掃できる。
【0049】
これにより、オペレータは、手作業でフィルタ41を清掃する必要がなく、草刈り作業の効率が向上する。また、少なくともワイパ42により清掃される範囲S1だけの流入面積を確保できるため、エンジン温度等の上昇を抑制し、オーバーヒートの発生を防止することができ、ハンマーナイフモア1の使い勝手が向上する。
【0050】
本実施例では、クローラ3の上部にフィルタ機構40を設け、ワイパ42により除去された異物をクローラ3上に落下させる構成のため、フィルタ41から取り除かれた異物をクローラ3によって運搬し、地面に埋め込むようにして廃棄することができる。従って、フィルタ51から掻き落とされた異物がフィルタ51の下側に溜まったままの状態になるのを防止することができる。つまり、フィルタ51から掻き落とされた異物を、クローラ3によって自動的に清掃することができ、使い勝手が向上する。さらに、フィルタ41から取り除かれた異物が舞い上がって、再びフィルタ41に付着するのを抑制することができる。
【0051】
本実施例では、ダクト25を、フィルタ41の裏面側から冷却ファン24の後方まで覆うように設けるため、フィルタ41によって異物の除去された空気をラジエータ23に効率よく導くことができ、ファン送風量を増大させることができる。また、ダクト25は、少なくともフィルタ41の裏面側からラジエータ23の全体を覆うようにして設けられるため、ラジエータ23を通過した温かい空気が再びラジエータ23に導かれるのを防止することができ、ラジエータ23の冷却効率を高めることができる。
【0052】
本実施例では、フィルタ41の空気流通孔の径寸法P1をラジエータ23のフィンピッチP2よりも小さくなるように設定するため、微少な異物がフィルタ41を通過した場合でも、この微少な異物によってフィン23A間の隙間が詰まるのを抑制することができ、ラジエータ23の冷却性能の低下を抑制することができる。
【0053】
本実施例では、ワイパブレード42Aの裏面側のワイパゴム42Dを、フィルタ41の外面に押し当てて、たわませた状態で使用するため、フィルタ41がフィルタ41の平面に垂直な方向に変位した場合でも、ワイパゴム42Dをフィルタ41に接触させたままにすることができる。これにより、ハンマーナイフモア1の作業中の振動によってフィルタ41が変位した場合でも、フィルタ41に付着した異物をワイパ42によって除去することができる。
【実施例2】
【0054】
図10〜図12に基づいて第2実施例を説明する。本実施例では、走行レバー装置8の操作時に得られる力によってワイパ52を駆動する。図10は、本実施例のハンマーナイフモア1に使用されるフィルタ機構50を模式的に示す説明図である。
【0055】
フィルタ機構50は、前記フィルタ機構40と同様に、クローラ3の上部に位置して、ラジエータ23と対面するように機械室20の側面部に設けられている。フィルタ機構50は、前記フィルタ機構40と同様に、フィルタ51と、ワイパ52とを備えて構成されている。フィルタ51の空気流通孔の径寸法P1は、フィンピッチP2よりも小さくなるように設定されており、かつ、フィルタ51の裏面側から冷却ファン24までの範囲は、ダクト25によって覆われている。
【0056】
本実施例と前記実施例とは、ワイパ52の駆動方式の点で相違する。前記実施例では、ワイパ42を慣性力や振動を利用して駆動させるのに対し、本実施例では、オペレータが走行レバー装置8を操作するときの力を利用してワイパ52を駆動させる。
【0057】
そこで、ワイパ52の構成を説明する。ワイパ52は、前記ワイパ42と同様に、ワイパブレード52Aと、取付部52Bと、ワイパゴム(不図示)とを備えて構成される。本実施例のワイパゴムは、前記ワイパゴム42Dと同様に構成可能である。
【0058】
ワイパ52は、例えば、フィルタ51の上側にある左右の隅のうち、いずれか一方の隅で回動可能に取り付けられる。例えば、図10に示すように、フィルタ51の右上に設けられるピン53に取付部52Bが回動可能に取り付けられる。
【0059】
さらに、取付部52Bは、「操作力伝達部材」としてのリンク機構54を介して、走行レバー装置8の走行レバー8Bに接続されている。走行レバー8Bは、ハンマーナイフモア1を前進または後進させるためのレバーである。リンク機構54は、図11,図12にも示すように、例えば、ケーブルまたはワイヤを含んで構成することができる。
【0060】
オペレータが矢示R3方向に走行レバー8Bを倒すと、ハンマーナイフモア1は前進し、オペレータが矢示R4方向に走行レバー8Bを引き戻すと、ハンマーナイフモア1は後進する。リンク機構54は、走行レバー8Bが前進方向(R3方向)または後進方向(R4方向)に操作された場合に、この操作力をワイパ52に伝達する。
【0061】
ワイパ52は、リンク機構54から伝達される操作力によって、矢示R2方向に回動し、フィルタ51の外面に付着した異物をクローラ3上に掻き落とす。同様に、オペレータが走行レバー8Bを手前側(R4方向)に引き戻した場合、ワイパ52は、矢示R1方向に回動し、フィルタ51の外面を清掃する。
【0062】
図11は、フィルタ51,ワイパ52及びリンク機構54に着目した、機械室20等を示す斜視図である。図12は、フィルタ機構50の正面図である。図12に示すように、ワイパ52の長さ寸法L及び回動角θは、例えば、ワイパ52がクローラ3に干渉しない範囲で、できるだけ清掃範囲S2の面積が最大となるように、それぞれ設定される。例えば、回動角θは80度程度に設定可能であるが、本発明は80度に限定されない。
【0063】
このように構成される本実施例も前記第1実施例と同様の効果を奏する。即ち、本実施例でも、電気モータ等の特別な駆動源を使用せずに、ハンマーナイフモア1の作業中に生じる通常の力(オペレータによる手動の力)を利用して、ワイパ52を駆動させることができ、フィルタ51を清掃することができる。
【0064】
図9で述べたように、ハンマーナイフモア1は、走行路を変えながら草刈り作業を行うため、オペレータは、比較的頻繁に走行レバー8Bを操作する。従って、ハンマーナイフモア1の作業中に、走行レバー8BはR3方向またはR4方向に傾動操作され、この操作によってワイパ52が回動する。これにより、フィルタ51に付着した異物は、草刈り作業の進行状況に応じて、周期的または非周期的に除去される。
【0065】
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されない。当業者であれば、本発明の範囲内で、種々の追加や変更等を行うことができる。例えば、草刈り用作業機械として、車両の後方にオペレータが立って操作する形式のハンマーナイフモアを例に挙げて説明したが、本発明はこれに限らず、例えば、乗用車型の草刈り作業機械や手押し式の草刈り作業機械、または各種農業機械にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】ハンマーナイフモアの斜視図。
【図2】作業機の正面図。
【図3】ハンマーナイフモアの側面図。
【図4】フィルタ及びエンジン等の関係を模式的に示す、説明用の上面図。
【図5】フィルタ機構とクローラの関係を模式的に示す、説明用の側面図。
【図6】ワイパを拡大して示す斜視図。
【図7】図6中の矢示VII-VII方向断面図。
【図8】ワイパゴムがフィルタの変位に追従して変形する様子を示す説明図。
【図9】ハンマーナイフモアによる草刈り作業の様子を示す説明図。
【図10】第2実施例のハンマーナイフモアに使用されるフィルタ機構を模式的に示す説明図。
【図11】フィルタ機構に着目して機械室を拡大して示す斜視図。
【図12】フィルタ機構の正面図。
【符号の説明】
【0067】
1…ハンマーナイフモア、2…車両本体、3…クローラ、4…作業機、5…外装、6…カバー、7…ステップ、8…操縦装置、8A…保護バー、8B…走行レバー、10…カッターケース、11…カッターカバー、12…リンク、13…バネ、14…ソリ、15…回転軸、16…カッター、20,30…機械室、22…エンジン、22A…駆動軸、23…ラジエータ、24…冷却ファン、25…ダクト、31…燃料タンク、32…作動油タンク、40,50…フィルタ機構、41,51…フィルタ、41A…空気流通孔、42,52…ワイパ、42A,52A…ワイパブレード、42B,52B…取付部、42C…取付穴、42D…ワイパゴム、43,53…ピン、A1,A2:空気の流れ、S1,S2:ワイパによる清掃範囲
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行しながら草を刈る草刈り用作業機械(1)であって、
作業車両本体(2)と、
前記作業車両本体の下側に設けられる走行体(3)と、
前記作業車両本体の前側に設けられる草刈り部(4)と、
前記作業車両本体に設けられ、内部に少なくともラジエータ(23)を収容する機械室(20)と、
前記走行体及び前記草刈り部の作動をそれぞれ制御可能な走行レバー装置(8)と、
前記走行体の上部に位置して前記機械室の側面部に設けられるフィルタ機構(40,50)であって、前記機械室内に流入する空気中から異物を除去するためのフィルタ(41,51)と、一端側が回動支点(42B,52B)となり他端側が自由端となるようにして、前記フィルタの両面のうち前記機械室とは反対側に位置する一方の表面に近接して回転可能に設けられる少なくとも一つ以上のワイパ部材(42,52)と、を備えるフィルタ機構と、
を含む草刈り用作業機械。
【請求項2】
前記フィルタ機構(40,50)は、前記ラジエータ(23)に対向するようにして前記機械室(20)の側面部に設けられており、かつ、
前記機械室内には、前記フィルタ(41,51)を通過した空気を前記ラジエータに導くためのダクト部材(25)を設ける、請求項1に記載の草刈り用作業機械。
【請求項3】
前記フィルタ(41,51)の有する空気流通孔の径寸法(P1)は、前記ラジエータ(23)のフィンピッチ(P2)よりも小さく設定されている、請求項2に記載の草刈り用作業機械。
【請求項4】
前記ワイパ部材(42,52)は、前記フィルタ(41,51)の前記一方の表面に接触して前記異物を除去するための、可撓性を有する異物除去部(42D)を備え、かつ、前記異物除去部を前記フィルタの前記一方の表面に押しつけるようにして取り付けられている、請求項1に記載の草刈り用作業機械。
【請求項5】
前記ワイパ部材(52)の前記回動支点(52B)と前記走行レバー装置(8)とを、操作力伝達部材(54)を介して機械的に接続し、前記走行レバー装置の操作に応じて前記ワイパ部材(52)を回動させる、請求項1に記載の草刈り用作業機械。
【請求項1】
走行しながら草を刈る草刈り用作業機械(1)であって、
作業車両本体(2)と、
前記作業車両本体の下側に設けられる走行体(3)と、
前記作業車両本体の前側に設けられる草刈り部(4)と、
前記作業車両本体に設けられ、内部に少なくともラジエータ(23)を収容する機械室(20)と、
前記走行体及び前記草刈り部の作動をそれぞれ制御可能な走行レバー装置(8)と、
前記走行体の上部に位置して前記機械室の側面部に設けられるフィルタ機構(40,50)であって、前記機械室内に流入する空気中から異物を除去するためのフィルタ(41,51)と、一端側が回動支点(42B,52B)となり他端側が自由端となるようにして、前記フィルタの両面のうち前記機械室とは反対側に位置する一方の表面に近接して回転可能に設けられる少なくとも一つ以上のワイパ部材(42,52)と、を備えるフィルタ機構と、
を含む草刈り用作業機械。
【請求項2】
前記フィルタ機構(40,50)は、前記ラジエータ(23)に対向するようにして前記機械室(20)の側面部に設けられており、かつ、
前記機械室内には、前記フィルタ(41,51)を通過した空気を前記ラジエータに導くためのダクト部材(25)を設ける、請求項1に記載の草刈り用作業機械。
【請求項3】
前記フィルタ(41,51)の有する空気流通孔の径寸法(P1)は、前記ラジエータ(23)のフィンピッチ(P2)よりも小さく設定されている、請求項2に記載の草刈り用作業機械。
【請求項4】
前記ワイパ部材(42,52)は、前記フィルタ(41,51)の前記一方の表面に接触して前記異物を除去するための、可撓性を有する異物除去部(42D)を備え、かつ、前記異物除去部を前記フィルタの前記一方の表面に押しつけるようにして取り付けられている、請求項1に記載の草刈り用作業機械。
【請求項5】
前記ワイパ部材(52)の前記回動支点(52B)と前記走行レバー装置(8)とを、操作力伝達部材(54)を介して機械的に接続し、前記走行レバー装置の操作に応じて前記ワイパ部材(52)を回動させる、請求項1に記載の草刈り用作業機械。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2008−196356(P2008−196356A)
【公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−31208(P2007−31208)
【出願日】平成19年2月9日(2007.2.9)
【出願人】(307009883)ハスクバーナ・ゼノア株式会社 (66)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年2月9日(2007.2.9)
【出願人】(307009883)ハスクバーナ・ゼノア株式会社 (66)
【Fターム(参考)】
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