説明

荷保管用ラックの荷支持装置

【課題】荷収納区画1の左右両隔壁枠2の内側に荷出し入れ方向に長い左右一対の荷受け部材3が水平に架設された荷保管用ラックの荷支持装置に免震構造を採用して耐震性を高める。
【解決手段】左右両隔壁枠2から連設された支持部材9と荷受け部材3との間には、荷受け部材3を少なくとも荷収納区画1の前後奥行き方向の一定範囲内でスライド可能に支持する支持手段(付勢手段11で兼用)と付勢手段11とが配設され、この付勢手段11は、荷受け部材3を定位置に付勢保持するもので、荷受け部材3側の垂直面14aと支持部材9側の垂直面16aとの間に挟まれた粘弾性体19を有する付勢ユニット12Aを備え、粘弾性体19が荷受け部材3と支持部材9との間で上下方向の圧縮力を受けることを前記支持手段で防止する構成。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷収納区画の左右両隔壁枠の内側に、当該荷収納区画の前後奥行き方向に長い左右一対の荷受け部材が水平に架設された荷保管用ラックの荷支持装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の荷保管用ラックにおいて、地震時にラックが荷収納区画の前後奥行き方向(荷出し入れ方向)に揺れることによって、保管中の荷が当該ラックの通路側(ラックに沿って設けられた入出庫用クレーンの走行通路のある側)へ荷受け部材上を滑動して落下する事故が発生している。このような事故を未然に防止する一つの手段として、各荷収納区画が備える左右一対の荷受け部材を免震構造とすることが考えられている。この種の免震構造には、荷受け部材を原点復帰させるための付勢手段が必須となるが、この付勢手段として粘弾性体を利用するものは、スプリングを利用するものと比較して、ガスダンパーを利用するものと同様に揺れの減衰効果が大きいため、免震構造における付勢手段として望ましものであるが、例えば特許文献1に記載されるように、従来周知の荷保管用ラックの荷支持装置における粘弾性体を利用する免震構造は、薄板状の粘弾性体を荷受け部材とこれを支持する支持部材との間に挟むような構造であった。
【特許文献1】特開2003−118818号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1に記載されるような従来の免震構造では、粘弾性体の特性を十分に利用することができず、それ程の免震効果が期待できなかった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は上記のような従来の問題点を解消し得る荷保管用ラックの荷支持装置を提供することを目的とするものであって、請求項1に記載の荷保管用ラックの荷支持装置は、後述する実施形態の参照符号を付して示すと、荷収納区画1の左右両隔壁枠2の内側に、当該荷収納区画1の前後奥行き方向に長い左右一対の荷受け部材3が水平に架設された荷保管用ラックの荷支持装置であって、前記荷受け部材3の下側には、前記左右両隔壁枠2から連設された支持部材9が配置され、この支持部材9と荷受け部材3との間には、当該荷受け部材3を少なくとも荷収納区画1の前後奥行き方向の一定範囲内でスライド可能に支持する支持手段(第一実施形態では付勢手段11の保持用筒状体16及びカバープレート18が兼ねている)と、当該荷受け部材3をスライド可能領域内の定位置に付勢保持する付勢手段11とが配設され、この付勢手段11は、前記荷受け部材3側の垂直面(位置決めピン14の外周垂直面14a)と前記支持部材9側の垂直面(保持用筒状体16の内周垂直面16a)との間に挟まれた粘弾性体19を有する少なくとも1つの付勢ユニット12Aを備えたもので、前記粘弾性体19が前記荷受け部材3と前記支持部材9との間で上下方向の圧縮力を受けることを前記支持手段(第一実施形態では付勢手段11の保持用筒状体16及びカバープレート18が兼ねている)で防止する構成となっている。
【0005】
上記構成の本発明を実施するについて、具体的には請求項2に記載のように、前記付勢ユニット12Aは、前記支持部材9と前記荷受け部材3との内の一方に固着突設された垂直向きの位置決めピン14と、この位置決めピン14に外嵌する粘弾性体19と、この粘弾性体19を囲むように他方の部材に取り付けられた垂直向きの保持用筒状体16とから構成することができる。この場合、請求項3に記載のように、前記保持用筒状体16の遊端に、前記位置決めピン14が突設された側の部材の被支持面部20に当接する滑り面18aを設け、この保持用筒状体16を備えた付勢ユニット12Aが前記支持手段を兼用するように構成することができる。
【0006】
又、請求項4に記載のように、前記支持手段22は、前記荷受け部材3の底部に付設され且つ前記支持部材24,25の上面に当接する滑り材30を備えたものとすることができる。更に、請求項5に記載のように、前記荷受け部材3を下側開放の門形材8から構成すると共にその長さ方向の両端を垂直板部8dで閉じるように構成し、付勢ユニット21Aとして、前記支持部材24,25と前記荷受け部材3との内の一方に固着突設された垂直向きの位置決めピン27と、この位置決めピン27に外嵌する粘弾性体28とを設け、この粘弾性体28が前記荷受け部材3の両端の垂直板部8dと荷受け部材3の左右両側板部8b,8cとに接するように構成することができる。
【0007】
更に、請求項6に記載のように、荷収納区画1の左右両隔壁枠2が前後一対の支柱材4a,4bを備えている場合、各支柱材4a,4bは互いに対向する内側が開放した横断面形状のものとし、前記支持部材9,24,25は、前後両支柱材4a,4bの側壁板部4cに取り付けることができる。
【発明の効果】
【0008】
上記構成の本発明に係る荷保管用ラックの荷支持装置によれば、ラックが地震発生時に荷収納区画の前後奥行き方向(荷受け部材の長さ方向)に揺れ動いたとき、ラックと一体に前後に揺れ動く支持部材と荷を支持している荷受け部材との間に付勢手段の付勢力に抗しての相対移動が生じ、荷を支持している荷受け部材がラックと一体に同一速度、同一振幅で前後方向に揺れ動くことがなくなる。従って、開放された通路側(前方)にラックが揺れ動いたときに荷受け部材及び当該荷受け部材上の荷が一体に前方に揺れ動くことにより、慣性で荷が荷受け部材上を通路側へ滑動し、場合によっては通路側へ落下してしまう恐れがなくなり、所期の免震効果が得られる。この支持部材と荷受け部材との間の前後方向の相対移動は、付勢手段を構成する付勢ユニットの粘弾性体を弾性に抗して前後方向に圧縮させることで実現しており、相対移動後は当該粘弾性体が元の前後方向厚さに弾性復帰することにより、荷受け部材は支持部材上の原点位置に自動復帰するので、荷受け部材上で荷が滑動しない限り荷の位置が前後方向に不測に変動することはなく、安全に荷を継続保管することができる。
【0009】
而して、上記請求項1に記載の本発明の構成によれば、荷受け部材に作用する垂直下向きの荷重が粘弾性体に作用することはなく、支持部材と荷受け部材との間に水平方向の相対移動が生じたときに圧縮される方向に粘弾性体を組み込んだ構成であるから、粘弾性体に普段の荷重が作用する構成や粘弾性体の剪断方向の弾性を利用する構成と比較して、粘弾性体の耐用寿命が永くなり、長期間にわたって粘弾性体の特性を十分に発揮させて効果的な免震効果を得ることができる。
【0010】
尚、請求項2に記載の構成によれば、粘弾性体の組み込み及び位置決めが簡単容易且つ確実に行え、請求項3に記載の構成によれば、付勢ユニットとは別に支持手段を設ける場合と比較して大幅なコストダウンを図ることができる。又、請求項4に記載の構成によれば、支持手段を簡単な構成で安価に実施することができる。
【0011】
更に、請求項5に記載の構成によれば、粘弾性体を含む付勢ユニットの構成部品点数が少なくて済み、構造が簡単になって安価に実施することができる。
【0012】
又、請求項6に記載の構成によれば、地震力(振幅)が大きく、支持部材に対する許容スライド領域内での荷受け部材の相対移動だけでは十分な免震効果が期待できないような場合でも、支持部材そのものを、ラックの隔壁枠を構成する支柱材の側壁板部の左右横方向の弾性変形を利用して、ラックに対して前後水平方向に相対移動させることにより、免震効果を補わせることができる。従って、付勢手段の付勢ユニットに使用される粘弾性体の小型化にも役立つ。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図1は本発明の荷支持装置が適用できるラックの基本的な構成を示しており、1は上下左右両方向に碁盤目状に配置された荷収納区画であって、左右横方向に隣接する荷収納区画1間には垂直に隔壁枠2が立設され、上下に隣接する荷収納区画1は、左右一対の荷受け部材3によって区切られている。
【0014】
各隔壁枠2は、前後一対の支柱材4a,4bを連結部材5によって互いに連結したラチス構造のものであって、荷収納区画1の背面側では、各隔壁枠2の後側支柱材4bが水平や斜めの連結部材6で連結され、荷収納区画1の正面側、即ち、荷収納区画1に対して荷の出し入れを行う入出庫用クレーンの走行通路側では、荷収納区画1に対する荷の出し入れに邪魔にならないレベルで水平連結材(図示省略)で各隔壁枠2の前側支柱材4aどうしが連結されることが知られている。左右一対の荷受け部材3は、荷収納区画1に対する荷の出し入れ方向、即ち、荷収納区画1の前後奥行き方向(X方向)に長い棒状のもので、その前後両端部が、外側に隣接する隔壁枠2の前後両支柱材4a,4bに取り付けられた前後一対のアーム材7に支持される。
【0015】
以下、本発明の一実施形態を具体的に説明すると、各荷受け部材3は、図2Bに示すように、下側開放の門形材8から成り、この各荷受け部材3の下側には、図2に示すように、当該荷受け部材3と平行な支持部材9が、外側に隣接する隔壁枠2の前後両支柱材4a,4bに取り付けられた前後一対のアーム材7の内端に固着されることにより架設されている。前後一対のアーム材7の外端は、従来周知のように、前後両支柱材4a,4bに高さ変更自在に取り付けられる取付部材10に固着されている。前後両支柱材4a,4bは、互いに対向する内側が開放する横断面形状のもので、前記取付部材10は、図2Cに示すように、支柱材4a,4bの横向きに突出する横断面角形の側壁板部4cに外嵌する状態でピン10aにより係止される。
【0016】
支持部材9は、帯状板を曲げ加工して構成された型材から成るもので、荷受け部材3を構成する門形材8よりも巾が狭く且つその天板部8aと平行な天板部9aを備えている。この支持部材9の天板部9aと荷受け部材3を構成する門形材8の天板部8aとの間には、支持手段を兼ねる付勢手段11が配設されている。この付勢手段11は、図2及び図3に示すように、荷受け部材3の長さ方向両端部と中央部の3箇所に介装された付勢ユニット12A〜12Cを備えている。
【0017】
各付勢ユニット12A〜12Cは同一構造のもので、図4及び図5に示すように、荷受け部材3(門形材8)の天板部8aの下側に取付ネジ13で取り付けられた垂直向きの円柱状の位置決めピン14と、支持部材9の天板部9aの上側に周方向複数箇所を取付ボルト15で取り付けられた垂直向きの保持用筒状体16と、この保持用筒状体16の上端に周方向複数本の取付ネジ17で取り付けられるリング状のカバープレート18と、保持用筒状体16に嵌め込まれる円環状の粘弾性体19とから構成されている。この円環状の粘弾性体19の内径は、位置決めピン14を丁度挿入できるサイズであり、高さは保持用筒状体16の高さと略等しい。又、位置決めピン14は、カバープレート18を含む保持用筒状体16の全高より少し短い長さとなっている。
【0018】
各付勢ユニット12A〜12Cの組み込みは次のように行うことができる。即ち、支持部材9の天板部9a上の所定位置に保持用筒状体16を取り付けたならば、この保持用筒状体16内に粘弾性体19を嵌め込み、カバープレート18を取り付ける。そして所定位置に位置決めピン14を取り付けた荷受け部材3を、各位置決めピン14を支持部材9側の保持用筒状体16内の粘弾性体19の中央孔部に挿入させるように支持部材9上に被せ、荷受け部材3(門形材8)の天板部8aの下側面を、各付勢ユニット12A〜12Cにおける保持用筒状体16のカバープレート18の上面に当接させることにより、当該荷受け部材3を所定レベルに水平に支持させると同時に、荷受け部材3と支持部材9との間への各付勢ユニット12A〜12Cの組み込みが完了する。
【0019】
上記のようにして、荷受け部材3と支持部材9との間に組み込まれた各付勢ユニット12A〜12Cにおける粘弾性体19は、保持用筒状体16の内周垂直面16aと位置決めピン14の外周垂直面14aとの間で挟まれた状態となっている。又、保持用筒状体16の外径は、荷受け部材3(門形材8)の左右両側板部8b,8c間の内巾より少し小さい。従って、荷受け部材3と支持部材9とは、各付勢ユニット12A〜12Cにおいて位置決めピン14の外周垂直面14aと保持用筒状体16の内周垂直面16aとの間で円環状の粘弾性体19を水平半径方向に圧縮する作用を伴うことにより、荷収納区画1の前後奥行き方向(X方向)と当該X方向に対し直交する左右方向とを含む水平二次元平面上で相対移動することができる。このとき、荷受け部材3(門形材8)の天板部8aの下側面が、各付勢ユニット12A〜12Cにおける保持用筒状体16のカバープレート18の上面と摺接するので、当該カバープレート18の上面が荷受け部材3を支持する滑り面18aとなり、これに摺接する天板部8aの下側面が被支持面部20となる。従って、カバープレート18を摩擦抵抗の少ない材料で構成するのが望ましい。勿論、天板部8aの下側面をそのまま被支持面部20としたが、当該天板部8aの下側に摩擦抵抗の少ない材料から成る滑りプレートを付設し、この滑りプレートの下側面を被支持面部20とすることもできる。
【0020】
上記の荷受け部材3と支持部材9との水平相対移動において、荷収納区画1の前後奥行き方向(X方向)の水平相対移動は、各付勢ユニット12A〜12Cにおける粘弾性体19の水平半径方向の圧縮限界によって制限され、当該X方向に対し直交する左右方向の水平相対移動は、各付勢ユニット12A〜12Cにおける粘弾性体19の水平半径方向の圧縮限界か又は、保持用筒状体16と荷受け部材3(門形材8)の左右両側板部8b,8cとの当接によって制限される。
【0021】
以上の構成の荷支持装置を備えた荷収納区画1内に荷が収納保管されたときには、当該荷が左右一対の荷受け部材3上にが跨がって載置され、そのときの荷重は、前後方向3つの付勢ユニット12A〜12Cにおけるカバープレート18及び保持用筒状体16を介して支持部材9で受け止められ、粘弾性体19には作用しない。換言すれば、上記実施形態では、付勢ユニット12A〜12Cにおけるカバープレート18及び保持用筒状体16が、粘弾性体19に荷重を作用させないで荷受け部材3を水平にスライド可能に支持する支持手段を兼ねていることになる。
【0022】
而して、地震などによりラックが荷収納区画1の前後奥行き方向(X方向)に揺れ動いたとき、荷を支持している荷受け部材3に対し、ラックと一体の支持部材9が付勢ユニット12A〜12Cの粘弾性体19の水平半径方向の弾性に抗して同方向に揺動し、荷を支持している荷受け部材3と支持部材9との間で相対移動が生じ、荷受け部材3上の荷は殆ど揺れ動かないか又は、支持部材9の揺れよりも遅れて小さな振幅で揺れ動くことになり、揺れの速度や振幅が想定範囲内であれば所期の免震効果が得られる。勿論、付勢ユニット12A〜12Cの粘弾性体19は、常に弾性復帰力で所期の半径状態に自動復帰しようとするので、ラックの揺れが収まったときには、当該粘弾性体19の弾性復帰力で荷受け部材3は所期の定位置に自動的に戻される。このとき粘弾性体19の弾性復帰力は、荷が搭載されている荷受け部材3を、各付勢ユニット12A〜12Cの支持部材9側の滑り面18a(カバープレート18の上面)と荷受け部材3側の被支持面部20との間の摩擦力に抗して原点復帰させることになるので、この滑り面18aと被支持面部20との間の摩擦力はできる限り小さくなるように構成しなければならない。
【0023】
又、上記実施形態では、アーム材7を介して支持部材9を支持している隔壁枠2の前後一対の支柱材4a,4bが横断面形状が開放断面であって、図2Cに示すように、アーム材7を取り付けている支柱材4a,4bの横向きに突出する横断面角形の側壁板部4cが内外水平方向に弾性変形できるものであるから、この支柱材4a,4bの横断面角形の側壁板部4cの内外水平方向の弾性変形を伴う方向であれば、支持部材9と隔壁枠2との間の水平方向の相対移動がある程度許容されている。従って、地震などによるラック(隔壁枠2)の揺れ方向によっては、支持部材9と荷受け部材3との間の水平方向相対移動に加えて、支持部材9と隔壁枠2との間の水平方向の相対移動が、荷受け部材3で支持されている荷に対する免震効果を高めることにもなる。
【0024】
次に本発明の第二実施形態を図6〜図8に基づいて説明すると、この実施形態では、荷受け部材3の長さ方向両端に、付勢手段11を構成する付勢ユニット21A,21Bと、支持手段22を構成する支持ユニット23A,23Bとを配設している。又、荷受け部材3を支持する支持部材として、荷受け部材3の長さ方向両端を各別に支持する2つの支持部材24,25が設けられている。これら各支持部材24,25は、先の実施形態における前後一対のアーム材7に相当するもので、隔壁枠2の前後一対の支柱材4a,4bに取付部材10を介して取り付けられ、水平の天板部24a,25aを備えている。
【0025】
付勢ユニット21A,21Bは、各支持部材24,25の天板部24a,25a上に取付ボルト26を介して取り付けられた垂直向きの裁頭円錐形の位置決めピン27と、この位置決めピン27に外嵌された粘弾性体28とから構成されている。この粘弾性体28は、前記位置決めピン27に密に外嵌し得る裁頭円錐形の貫通孔を備えた四角柱状のもので、その左右両側垂直面は荷受け部材3(門形材8)の左右両側板部8b,8cの内側垂直面に当接すると共に、荷受け部材3の長さ方向の外側に面する垂直面が、当該荷受け部材3(門形材8)の天板部8aの長さ方向両端から垂直下方に折曲連設された垂直板部8dの内側垂直面に当接するように構成されている。
【0026】
支持ユニット23A,23Bは、荷受け部材3(門形材8)の左右両側板部8b,8cの下辺から外側へ直角に折曲連設された左右両張出板部8e,8fの下側に取付ネジ29で取り付けられて各支持部材24,25の天板部24a,25aの上面に当接する左右一対の滑り材30で構成されている。従って、荷受け部材3の長さ方向の両端部は、支持ユニット23A,23Bの左右一対の滑り材30を介して支持部材24,25上に、当該支持部材24,25の天板部24a,25aの上面に沿ってスライド可能に各別に支持される。このとき、付勢ユニット21A,21Bの粘弾性体28には上下方向の圧縮力が作用しないように、当該粘弾性体28は、荷受け部材3(門形材8)の天板部8aには圧接しない高さに構成されている。
【0027】
上記構成の第二実施形態によれば、荷受け部材3と支持部材24,25とは、支持部材24,25側の位置決めピン27の垂直向きの外周面と、荷受け部材3(門形材8)側の左右両側板部8b,8cや垂直板部8dの内側垂直面との間で、付勢ユニット21A,21Bの粘弾性体28を水平方向に圧縮させる作用を伴うことにより、荷受け部材3の長さ方向、即ち、荷収納区画1の前後奥行き方向(X方向)と、当該X方向に対し直交する左右方向とに、水平相対移動することができる。従って、先の実施形態と同様に、地震などによるラックの揺れに対し免震効果が期待できる。
【0028】
尚、先の実施形態では、各付勢ユニット12A〜12Cが荷受け部材3の支持手段を兼ねるように構成したが、各付勢ユニット12A〜12Cとは別に、支持部材9上で荷受け部材3を水平方向にスライド可能に支持する支持手段を設けても良い。この場合、支持部材9側の保持用筒状体16の上端(カバープレート18が設けられているときは当該カバープレート18の上面)が荷受け部材3(門形材8)の天板部8aから離れているように構成される。又、付勢手段とは別に支持手段を設ける場合、当該支持手段を構成する支持ユニットは、第二実施形態に示したような支持ユニット23A,23Bに限定されるものではなく、例えば、支持部材の上面と荷受け部材の底面との内の何れか一方に被支持面部を設け、他方には当該被支持面部に先端がスライド可能に当接する垂直向きの支持用柱体を突設して成る支持ユニットや、荷受け部材と支持部材との間の水平相対移動方向を荷収納区画1の前後奥行き方向(X方向)に限定する場合には、レールとローラーとの組み合わせから成る支持ユニットであっても良い。
【0029】
又、先の実施形態において、付勢ユニット12A〜12Cにおける位置決めピン14を支持部材9側から突設し、保持用筒状体16を荷受け部材3(門形材8)の天板部8a側に取り付けても良い。更に、左右一対の荷受け部材3は、入出庫用クレーンの荷移載用フォークなどによる荷の出し入れに影響しない箇所、例えば荷受け部材3の後端部や、前記荷移載用フォークの出退空間より下側で、荷受け部材3どうしを連結部材で互いに連結することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】A図は荷保管用ラックの基本構成を説明する要部の横断平面図、B図は同要部の正面図である。
【図2】A図は荷支持装置を示す平面図、B図は同正面図、C図はA図のC部拡大図である。
【図3】荷支持装置の片側を示す一部切欠き側面図である。
【図4】支持手段兼用の1つの付勢ユニットを示す縦断側面図である。
【図5】図4のA−A線断面図である。
【図6】第二実施形態における荷支持装置の片側を示す一部切欠き平面図である。
【図7】図6の一部縦断側面図である。
【図8】図6の正面図である。
【符号の説明】
【0031】
1 荷収納区画
2 隔壁枠
3 荷受け部材
4a,4b 支柱材
5,6 連結部材
7 アーム材
8 門形材
8a 門形材の天板部
8b,8c 門形材の左右両側板部
8d 門形材の両端垂直板部
8e,8f 門形材の左右両張出板部
9,24,25 支持部材
9a,24a,25a 支持部材の天板部
10 取付部材
11 付勢手段
12A〜12C,21A,21B 付勢ユニット
14,27 位置決めピン
16 保持用筒状体
18 カバープレート
18a 滑り面
19,28 粘弾性体
20 被支持面部
22 支持手段
23A,23B 支持ユニット
30 滑り材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷収納区画の左右両隔壁枠の内側に、当該荷収納区画の前後奥行き方向に長い左右一対の荷受け部材が水平に架設された荷保管用ラックの荷支持装置であって、前記荷受け部材の下側には、前記左右両隔壁枠から連設された支持部材が配置され、この支持部材と荷受け部材との間には、当該荷受け部材を少なくとも荷収納区画の前後奥行き方向の一定範囲内でスライド可能に支持する支持手段と、当該荷受け部材をスライド可能領域内の定位置に付勢保持する付勢手段とが配設され、この付勢手段は、前記荷受け部材側の垂直面と前記支持部材側の垂直面との間に挟まれた粘弾性体を有する少なくとも1つの付勢ユニットを備えたもので、前記粘弾性体が前記荷受け部材と前記支持部材との間で上下方向の圧縮力を受けることを前記支持手段で防止するように構成された、荷保管用ラックの荷支持装置。
【請求項2】
前記付勢ユニットは、前記支持部材と前記荷受け部材との内の一方に固着突設された垂直向きの位置決めピンと、この位置決めピンに外嵌する粘弾性体と、この粘弾性体を囲むように他方の部材に取り付けられた垂直向きの保持用筒状体とから成る、請求項1に記載の荷保管用ラックの荷支持装置。
【請求項3】
前記保持用筒状体の遊端に、前記位置決めピンが突設された側の部材の被支持面部に当接する滑り面が設けられ、この保持用筒状体を備えた付勢ユニットが前記支持手段を兼用するように構成された、請求項2に記載の荷保管用ラックの荷支持装置。
【請求項4】
前記支持手段は、前記荷受け部材の底部に付設され且つ前記支持部材の上面に当接する滑り材を備えている、請求項1又は2に記載の荷保管用ラックの荷支持装置。
【請求項5】
前記荷受け部材は下側開放の門形材から構成されると共にその長さ方向の両端が垂直板部で閉じられ、前記付勢ユニットは、前記支持部材と前記荷受け部材との内の一方に固着突設された垂直向きの位置決めピンと、この位置決めピンに外嵌する粘弾性体とから成り、この粘弾性体が前記荷受け部材両端の垂直板部と荷受け部材の左右両側板部とに接するように構成された、請求項1〜5の何れか1項に記載の荷保管用ラックの荷支持装置。
【請求項6】
荷収納区画の左右両隔壁枠は、前後一対の支柱材を備え、各支柱材は互いに対向する内側が開放した横断面形状のものであって、前記支持部材は、前後両支柱材の側壁板部に取り付けられている、請求項1〜5の何れか1項に記載の荷保管用ラックの荷支持装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−50123(P2008−50123A)
【公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−228789(P2006−228789)
【出願日】平成18年8月25日(2006.8.25)
【出願人】(000003643)株式会社ダイフク (1,209)
【Fターム(参考)】