説明

荷台スライド装置

【課題】 荷台スライド装置において、車両を改造せずに荷物を載置するスライド可能なテーブルを車両内に容易に設置すること。
【解決手段】 後部に後部扉で開閉可能な開口部2aを有する車両2の車内に載置可能なベース板3と、該ベース板3上にスライド可能に載置されたスライドテーブル4と、該スライドテーブル4を車内に収納された状態から開口部2aから後方に突出可能に水平方向にスライドさせるスライド機構5と、を備え、ベース板3が、車内の底面形状に対応して車内に嵌る外形状とされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワンボックスカー等の車両の後部開口部から荷物を載置するスライドテーブルを容易に出し入れ可能な荷台スライド装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、ワンボックスカー等の車両内に積載する荷物を後部の開口部から出し入れする作業は、狭い開口部の一方向からの作業のため効率的な作業が困難な場合がある。特に、フォークリフトを用いて荷物の出し入れを行おうとすると、車両に設けられたハッチバックの後部扉が邪魔になり、積み込みができず、パレットに載置した荷物をわざわざ手積みで載せている。なお、パワーリフター等を備えたワンボックスカー等もあるが、車両の改造が必要であり、車両価格が高額になるため、一般には普及していない。
【0003】
これに対して、従来、例えば特許文献1には、荷台の床の上面に後部開口部から後方水平方向に突出可能なスライド自在の移動床を設けた荷役運搬車両が提案されている。この技術では、後部開口部から移動床をスライドさせて突出させることで、三方向からアクセス可能になると共に、後部扉が邪魔にならず、フォークリフトにより移動床上に荷物を載置させることを可能にしている。
【0004】
【特許文献1】特開2005−271754号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来の技術には、以下の課題が残されている。
すなわち、従来の技術では、移動床をスライドさせることで、フォークリフト等による荷物の載置作業を容易にしているが、車両の荷台床にスライド機構としてガイドローラを固定しなければならず、少なからず車両の改造が必要になる。このため、容易にスライド装置を車両に設置することができないと共に、一旦改造してスライド装置を設置した荷役運搬車両を、再度スライド装置を取り外して元の状態に戻すことは容易でなく、他の目的に車両を使用することが困難であった。
【0006】
本発明は、前述の課題に鑑みてなされたもので、車両を改造せずに荷物を載置するスライド可能なテーブルを車両内に容易に設置することができる荷台スライド装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、前記課題を解決するために以下の構成を採用した。すなわち、本発明の荷台スライド装置は、後部に後部扉で開閉可能な開口部を有する車両の車内に載置可能なベース板と、該ベース板上にスライド可能に載置されたスライドテーブルと、該スライドテーブルを前記車内内に収納された状態から前記開口部から後方に突出可能に水平方向にスライドさせるスライド機構と、を備え、前記ベース板が、前記車内の底面形状に対応して前記車内に嵌る外形状とされていることを特徴とする。
【0008】
この荷台スライド装置では、ベース板が、車内の底面形状に対応して車内に嵌る外形状とされているので、ベース板を車内に載置するだけで車内にベース板が嵌り、位置決めされるため、車両を改造しなくても、スライドテーブルを搭載した荷台スライド装置を車内に容易に設置できる。また、荷台スライド装置が車両から容易に取り外し可能であり、装置を取り外した車両を別目的等に使用することも容易になる。また、同一車種であれば、底面形状が同一であるので、別の車両にも同様に本発明の荷台スライド装置を簡易に取り付けることが可能である。さらに、ベース板だけを車種に応じた外形にして適宜変更することで、多様な車種に搭載することも可能である。
【0009】
また、本発明の荷台スライド装置は、前記ベース板が、前記車内に予め設けられているボルト用雌ねじ孔にボルト締めで着脱可能とされていることを特徴とする。すなわち、この荷台スライド装置では、車内のボルト用雌ねじ孔にボルト締めでベース板が着脱可能とされているので、車両に嵌め込まれて位置決めされるだけでなく、ボルトによっても固定されて移動時や積載作業時に位置ずれを防止することができる。なお、車内に元々設けられているボルト用雌ねじ孔を用いるため、車両の改造が不要であると共に、単にボルト締めしているだけであるため、容易に着脱可能である。
【0010】
また、本発明の荷台スライド装置は、前記ベース板が、折り畳み可能とされていることを特徴とする。すなわち、この荷台スライド装置では、折り畳み可能なベース板を採用しているので、取り外した際にベース板を折り畳んでコンパクトにすることができ、取り付け取り外しの際の運搬時に作業性が向上すると共に、不使用時に保管する際に少ない保管スペースで済む。
【0011】
また、本発明の荷台スライド装置は、前記スライド機構が、前記ベース板上に前記スライドの方向に延在してこの方向にスライド可能に支持された複数のスライドガイドを備え、前記スライドテーブルが、前記スライドガイド上に前記スライドの方向にスライド可能に支持されていると共に、前記ベース板上に設置されたテーブル用ガイドにスライド可能に支持されていることを特徴とする。すなわち、この荷台スライド装置では、スライドガイドとベース板とに対してスライドテーブルがスライド可能に支持されるので、スライドガイドをスライドさせて車両の開口部から突出させた状態で、ベース板上からスライドガイド上にスライドさせることでスライドテーブルを容易に車両内外にスライドさせることができる。
【0012】
さらに、本発明の荷台スライド装置は、前記スライドガイドが、前記車内に収納される際には前記ベース板と前記スライドテーブルとの間に収納可能であると共に前記突出した際には地面上に垂直に立てられて先端部を支持するスライドガイドスタンドを備えていることを特徴とする。すなわち、この荷台スライド装置では、スライドガイドの先端部を支持するスライドガイドスタンドが設けられているので、車両から突出させたスライドガイドに自重やスライドテーブルの荷重が加わってもスライドガイドスタンドにより重量を分散させて支持することができる。また、スライドガイドスタンドが、スライドガイド収納時にベース板とスライドテーブルとの間に収納可能であるため、収納時に邪魔にならない。
【0013】
また、本発明の荷台スライド装置は、前記スライド機構が、前記スライドガイド及び前記スライドテーブルが前記車内に収納された状態で前記スライドガイド及び前記スライドテーブルの移動を制限するストッパ機構を備えていることを特徴とする。すなわち、この荷台スライド装置では、ストッパ機構が収納時にスライドガイド及びスライドテーブルの移動を制限するので、車両の移動時にスライドガイド及びスライドテーブルが移動して後部扉等に当たってしまうことを防止できる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、以下の効果を奏する。
すなわち、本発明に係る荷台スライド装置によれば、ベース板が、車内の底面形状に対応して車内に嵌る外形状とされているので、ベース板を車内に載置するだけで位置決めされ、車両を改造しなくても、スライド可能なテーブルを車内に容易に設置できる。また、荷台スライド装置が車両から容易に取り外し可能であり、車両の多様な使用が可能になると共に、ベース板の交換だけで他の車種にも容易に設置可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明に係る荷台スライド装置の一実施形態を、図1から図10を参照しながら説明する。
【0016】
本実施形態の荷台スライド装置1は、図1及び図2に示すように、後部に後部扉で開閉可能な開口部2aを有する車両2の車内に載置可能なベース板3と、該ベース板3上にスライド可能に載置されたスライドテーブル4と、該スライドテーブル4を車内に収納された状態から開口部2aから後方に突出可能に水平方向にスライドさせるスライド機構5と、を備えている。
【0017】
上記ベース板3は、ベニヤ板等で形成され、図1及び図2に示すように、車内の底面形状に対応して車内に嵌る外形状とされている。すなわち、ベース板3は、その両側部に車両2の車内に出っ張ったタイヤハウスTHの形状に対応した凹み部3aが形成されていると共に、車内奥側に配される角部に車両2のスライドドアのステップ形状に対応した面取り部3bが形成されている。
【0018】
このベース板3は、車内に予め設けられているボルト用雌ねじ孔2b(例えば、既設のフックボルト孔)にボルト締めで着脱可能とされている。すなわち、ベース板3には、その四隅近傍にそれぞれボルト用雌ねじ孔2bの位置に対応した固定用孔3cが形成されており、それぞれボルト3dによって車両側のボルト用雌ねじ孔2bに固定されている。なお、上述したように、このボルト用雌ねじ孔2bは、元々車両2に装備されているものを流用しただけであり、ベース板3を取り付けるために新たに車両2に設けたものではない。
【0019】
さらに、このベース板3は、図3に示すように、中央近傍で折り畳み可能とされている。すなわち、ベース板3は、3つの板部材3A,3B,3Cに分割されており、それぞれベース板固定蝶番6で上面側に向けて断面コ字状に折り畳み可能に連結されている。この折り畳み形態であると、折り畳んだ状態でベース板3を車内に入れることができると共に、そのまま開くことで容易にベース板3を車内に設置することが可能である。
【0020】
上記スライド機構5は、図1及び図4に示すように、ベース板3上に上記スライドの方向に延在してこの方向にスライド可能に支持された一対のスライドガイド7を備えている。
また、上記スライドテーブル4は、スライドガイド7上に上記スライドの方向にスライド可能に支持されていると共に、ベース板3上に設置された3つのスライドテーブルローラーガイド8にスライド可能に支持されている。
【0021】
すなわち、ベース板3上には、スライド方向に延在して固定され複数のスライドガイドローラー9を介してスライドガイド7をスライド可能に支持する左右一対のスライドガイドレール10と、これらスライドガイドレール10の間にこれらと平行に設置された3本のスライドテーブルローラーガイド(テーブル用ガイド)8と、が固定されている。
【0022】
また、上記スライドテーブル4は、図4から図6に示すように、長方形状のテーブル本体11の下面に、各スライドテーブルローラーガイド8に当接しスライドテーブルローラーガイド8に沿って回転する複数のテーブルローラー12を備えている。すなわち、スライドテーブル4は、スライドテーブルローラーガイド8にガイドされてスライド可能とされている。
なお、スライドテーブル4の上面側部に、必要に応じてタイヤハウスTH上まで高くして横幅を広げるための断面L字状のテーブル延長ステー11aをボルト等の後付けで固定しても構わない。
【0023】
上記スライドテーブルローラーガイド8のうち中央の一本は、ベース板3に平行な平行ガイド部8aとベース板3に垂直で上方向に突出した垂直ガイド部8bとを有した断面L字状に形成されている。また、テーブルローラー12は、水平軸を回転軸とし平行ガイド部8aに当接して回転するものと、垂直軸を回転軸とし垂直ガイド部8bを両側から挟んで回転可能な複数対のものと、がスライドテーブル4に取り付けられている。
【0024】
すなわち、スライドテーブル4は、垂直ガイド部8bによってスライド方向に直交する左右方向への移動が制限され、左右にずれないようにスライド可能となっている。また、スライドテーブル4の下面両側であって開口部側(引き出し方向側)には、スライドガイド7の側面に当接して回転可能なサイドローラー21を備えたサイドガイド22が設けられている。このサイドガイド22によってもスライドテーブル4の左右方向への位置ずれが防止される。
なお、上記スライドテーブル4は、車両2の開口部側(引き出し方向側)となる端部に取っ手部13が2つ取り付けられている。
【0025】
上記スライド機構5は、図7に示すように、スライドガイド7が車内に収納された状態又は車外に引き出した状態でスライドガイド7の移動を制限するスライドガイドストッパ機構(ストッパ機構)14と、図2及び図5に示すように、スライドテーブル4が車内に収納された状態でスライドテーブル4の移動を制限するスライドテーブルストッパ機構(ストッパ機構)15と、を備えている。
【0026】
上記スライドガイドストッパ機構14は、スライドガイド7の先端部側面に設けられ上下方向に進退可能な収納時ストッパピン14aと、ベース板3の上面の開口部側に設置されスライド方向に直交する水平方向に進退可能に支持された引き出し時ストッパピン14bと、を備えている。上記収納時ストッパピン14aは、スライドガイド7が車内に収納された際にスライドガイド7の移動を制限するものであり、上記引き出し時ストッパピン14bは、スライドガイド7が車外に引き出された際にスライドガイド7の移動を制限するものである。
【0027】
すなわち、スライドガイド7を車内に収納している際には、収納時ストッパピン14aを下げてベース板3に形成している収納時ストッパ孔(図示略)にピン先を挿入してスライドガイド7の移動を制限する。また、スライドガイド7をスライドさせて車外に引き出した際には、引き出し時ストッパピン14bを水平方向にスライドさせて、図8に示すスライドガイド7の基端部側面に形成された引き出し時ストッパ孔14cにピン先を挿通させることで、スライドガイド7の移動を制限する。
【0028】
また、上記スライドテーブルストッパ機構15は、ベース板3の上面の奥側と開口部側とに設置されたテーブルキャッチ15aと、スライドテーブル4の下面の奥側に設置されテーブルキャッチ15a内に嵌め込み可能な突起部15bと、で構成されている。この突起部15bは、スライド方向の前後にそれぞれ突出している。すなわち、スライドテーブル4をスライドして車内に収納した際、突起部15bが奥側のテーブルキャッチ15aに嵌め込まれて一定の引張力以下では外れないようになっている。これにより、収納時では、スライドテーブル4の移動が制限される。また、スライドテーブル4をスライドさせて車外に引き出した際、突起部15bが開口部側のテーブルキャッチ15aに嵌め込まれて一定の引張力以下では外れないようになっている。これにより、引き出した状態でも、スライドテーブル4の移動が制限される。
【0029】
さらに、スライドテーブル4の下面の開口部側(引き出し方向側)には、図5に示すように、下方に突出した収納時テーブルストッパ16が固定されている。すなわち、スライドテーブル4を車内に収納した際に、収納時テーブルストッパ16がベース板3に当接してスライドテーブル4がそれ以上奥へスライドしないようになっている。
【0030】
上記スライドガイド7は、スライドガイドレール8に沿って延在する下方に開口した断面コ字状のガイド本体7aと、該ガイド本体7aの上面に回転可能に並べて設置された複数のテーブル用ローラー7bと、を備えている。すなわち、このスライドガイド7は、ガイド本体7aの下面に当接したスライドガイドローラー9にガイドされてベース板3に対してスライド可能であり、テーブル用ローラー7b上に載置されたスライドテーブル4は、スライドガイド7に対してスライド可能となっている。
【0031】
また、スライドガイド7は、車内に収納される際にはベース板3とスライドテーブル4との間に収納可能であると共に突出した際には地面上に垂直に立てられて先端部を支持するスライドガイドスタンド17を備えている。このスライドガイドスタンド17は、図7に示すように、基端部が収納用蝶番18で水平軸を中心に回動可能にスライドガイド7の先端部に支持されている。
【0032】
したがって、スライドガイドスタンド17を回動させることで、収納時には、図8に示すように、ガイド本体7a上に折り畳んだ状態にしてスライドガイド7と共にベース板3とスライドテーブル4との間に収納可能であり、スライドガイド7を車外に引き出した状態では、図7及び図9に示すように、回動させて先端を地面に当接させた垂直状態にしてスライドガイド7の先端部を支持可能である。なお、図1に示すように、スライドガイドスタンド17の先端には、水平レベルの調整を可能にするためにネジ構造により突出量を調整可能なレベルアジャスター19が設けられている。
【0033】
また、スライドガイド7の先端には、図7に示すように、スライドガイド7の先端を越えてスライドテーブル4がスライドしないようにスライドテーブル4の先端に当接して係止するテーブルストッパ20が固定されている。
【0034】
次に、本実施形態の荷台スライド装置1における使用方法について、図9及び図10を参照して説明する。
【0035】
まず、図9の(a)に示すように、車両2の後部扉2cが閉じられて荷台スライド装置1が車内に収納状態にある場合は、スライドガイドストッパ機構14の収納時ストッパピン14a及びスライドテーブルストッパ機構15によりベース板3に対してスライドガイド7及びスライドテーブル4の移動ができない状態となっている。
荷台スライド装置1を用いるには、図9の(b)に示すように、車両の後部扉2cを開け、収納時ストッパピン14aを抜いてスライドガイドストッパ機構14を解除し、開口部2aからスライドガイド7を引き出すと共に、引き出し時ストッパピン14bを引き出し時ストッパ孔14cに挿入させてスライドガイド7を引き出した状態のまま固定する。
【0036】
さらに、折り畳んで収納していたスライドガイドスタンド17を回動させ、スライドガイド7の先端部下部に垂直に立ててスライドガイド7を支持する。
次に、図9の(c)及び図10に示すように、スライドテーブル4を一定の引張力以上で引っ張ってスライドテーブルストッパ機構15を解除すると共に車内から引き出してスライドさせ、引き出されたスライドガイド7上に載置する。この際、一対のスライドガイド7の間に懸架させた部材が無いので、作業者がスライドガイド7間に入って奥のスライドテーブル4を引き出すことができることから、作業性にも優れている。
この後、スライドテーブル4を引き出した状態で、フォークリフト等により荷物をスライドテーブル4の上に載置する。
【0037】
荷物の載置作業が終了した後、荷物を車内に収納するには、まず、スライドテーブル4をスライドさせて車内の奥まで戻し、突起部15bを奥側のテーブルキャッチ15aに嵌め込む。次に、スライドガイドスタンド17を回動させてスライドガイド7に沿って折り畳んだ状態として収納する。さらに、引き出し時ストッパピン14bを抜いてスライドガイドストッパ機構14を解除し、スライドガイド7をスライドさせて車内に収納すると共に、収納時ストッパピン14aを収納時ストッパ孔に挿して固定する。
【0038】
このように本実施形態の荷台スライド装置1では、ベース板3が、車内の底面形状に対応して車内に嵌る外形状とされているので、ベース板3を車内に載置するだけで車内にベース板3が嵌り、位置決めされるため、車両2を改造しなくても、スライドテーブル4を搭載した荷台スライド装置1を車内に容易に設置できる。また、荷台スライド装置1が車両2から容易に取り外し可能であり、装置を取り外した車両2を別目的等に使用することも容易になる。
【0039】
また、同一車種であれば、底面形状が同一であるので、別の車両2にも同様に荷台スライド装置1を簡易に取り付けることが可能である。さらに、ベース板3だけを車種に応じた外形にして適宜変更することで、多様な車種に搭載することも可能である。
また、車内のボルト用雌ねじ孔2bにボルト締めでベース板3が着脱可能とされているので、車両2に嵌め込まれて位置決めされるだけでなく、ボルト3dによっても固定されて移動時や積載作業時に位置ずれを防止することができる。なお、車内に元々設けられているボルト用雌ねじ孔2bを用いるため、車両2の改造が不要であると共に、単にボルト締めしているだけであるため、容易に着脱可能である。
【0040】
さらに、折り畳み可能なベース板3を採用しているので、取り外した際にベース板3を折り畳んでコンパクトにすることができ、取り付け取り外しの際の運搬時に作業性が向上すると共に、不使用時に保管する際に少ない保管スペースで済む。
また、スライドガイド7とベース板3とに対してスライドテーブル4がスライド可能に支持されるので、スライドガイド7をスライドさせて車両2の開口部2aから突出させた状態で、ベース板3上からスライドガイド7上にスライドさせることでスライドテーブル4を容易に車両内外にスライドさせることができる。
【0041】
また、スライドガイド7の先端部を支持するスライドガイドスタンド17が設けられているので、車両2から突出させたスライドガイド7に自重やスライドテーブル4の荷重が加わってもスライドガイドスタンド17により重量を分散させて支持することができる。また、スライドガイドスタンド17が、スライドガイド7収納時にスライドガイド7と共にベース板3とスライドテーブル4との間に収納可能であるため、収納時に邪魔にならない。
【0042】
さらに、スライドガイドストッパ機構14及びスライドテーブルストッパ機構15が収納時にスライドガイド7及びスライドテーブル4の移動を制限するので、車両2の移動時にスライドガイド7及びスライドテーブル4が移動して後部扉2c等に当たってしまうことを防止できる。
【0043】
なお、本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、上記スライドテーブル4は、上面がフラットなテーブルであるが、上面に種々の構造物をオプションとして取り付けても構わない。例えば、棚、机、パイプハンガー、やぐら、キャンピングカーの装備(シンク、トイレ又は簡易ベッド等)を上部に搭載可能にしたスライドテーブルでも構わない。
【0044】
また、スライドテーブル4を上下動させる機構を設けても構わない。これにより、スライドテーブル4の高さを任意に調整することが可能になる。
また、ベース板3には、車種に応じて所定位置に固定用孔3cが開けられているが、複数の車種に搭載可能にするため、それぞれの車種のボルト用雌ねじ孔2bの位置に応じて複数の固定用孔3cをそれぞれ設け、ベース板3を複数の車種で共通化しても構わない。
【0045】
さらに、ベース板3の外枠部分に他の車種に対応したアダプタを着脱可能に装着して、他の車種の車内における底面形状にも対応できるようにしても構わない。
なお、スライド機構5は、上述したような複数のローラーを用いた構造以外でも、同様の動作が可能なスライド構造であれば他の構造でも構わない。例えば、ローラーではなくベアリング等を用いたスライド機構でもよい。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明に係る一実施形態の荷台スライド装置を示す車両内に設置した状態の正面図である。
【図2】本実施形態の荷台スライド装置において、ベース板を示す平面図である。
【図3】本実施形態の荷台スライド装置において、折り畳んだ状態のベース板を示す概略的な正面図である。
【図4】本実施形態の荷台スライド装置において、ベース板及びスライドガイドを示す正面図である。
【図5】本実施形態の荷台スライド装置において、スライドテーブル(サイドガイドを除く)を示す平面図及び側面図である。
【図6】本実施形態の荷台スライド装置において、スライドテーブルを示す正面図である。
【図7】本実施形態の荷台スライド装置において、スライドガイドスタンドを立てた状態を示す要部側面図である。
【図8】本実施形態の荷台スライド装置において、スライドガイドスタンドを折り畳んで収納した状態でのスライドガイドを示す側面図である。
【図9】本実施形態の荷台スライド装置において、収納状態、スライドガイド引き出し状態及びスライドテーブル引き出し状態を示す概略的な側面図である。
【図10】本実施形態の荷台スライド装置において、スライドテーブル引き出し状態を示す概略的な斜視図である。
【符号の説明】
【0047】
1…荷台スライド装置、2…車両、2a…開口部、2b…ボルト用雌ねじ孔、2c…後部扉、3…ベース板、4…スライドテーブル、5…スライド機構、7…スライドガイド、8…スライドテーブルローラーガイド(テーブル用ガイド)、10…スライドガイドレール、14…スライドガイドストッパ機構(ストッパ機構)、15…スライドテーブルストッパ機構(ストッパ機構)、17…スライドガイドスタンド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
後部に後部扉で開閉可能な開口部を有する車両の車内に載置可能なベース板と、
該ベース板上にスライド可能に載置されたスライドテーブルと、
該スライドテーブルを前記車内に収納された状態から前記開口部から後方に突出可能に水平方向にスライドさせるスライド機構と、を備え、
前記ベース板が、前記車内の底面形状に対応して前記車内に嵌る外形状とされていることを特徴とする荷台スライド装置。
【請求項2】
請求項1に記載の荷台スライド装置において、
前記ベース板が、前記車内に予め設けられているボルト用雌ねじ孔にボルト締めで着脱可能とされていることを特徴とする荷台スライド装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の荷台スライド装置において、
前記ベース板が、折り畳み可能とされていることを特徴とする荷台スライド装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の荷台スライド装置において、
前記スライド機構が、前記ベース板上に前記スライドの方向に延在してこの方向にスライド可能に支持された複数のスライドガイドを備え、
前記スライドテーブルが、前記スライドガイド上に前記スライドの方向にスライド可能に支持されていると共に、前記ベース板上に設置されたテーブル用ガイドにスライド可能に支持されていることを特徴とする荷台スライド装置。
【請求項5】
請求項4に記載の荷台スライド装置において、
前記スライドガイドが、前記車内に収納される際には前記スライドの方向に沿って収納可能であると共に前記突出した際には地面上に垂直に立てられて先端部を支持するスライドガイドスタンドを備えていることを特徴とする荷台スライド装置。
【請求項6】
請求項4又は5に記載の荷台スライド装置において、
前記スライド機構が、前記スライドガイド及び前記スライドテーブルが前記車内に収納された状態で前記スライドガイド及び前記スライドテーブルの移動を制限するストッパ機構を備えていることを特徴とする荷台スライド装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−67175(P2009−67175A)
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−236452(P2007−236452)
【出願日】平成19年9月12日(2007.9.12)
【出願人】(307025975)Sクラフトシステム有限会社 (1)
【Fターム(参考)】