説明

荷崩れ防止ベルト

【課題】幅の広いベルトであっても、ベルトのより皺を防止できるようにすること。
【解決手段】積載台上に積載された運搬物に巻回して用いる荷崩れ防止ベルトであって、所定の長さと幅員を有する本体ベルト1と、ほぼ前記本体ベルト1の幅員を有し、その中央部を内側に湾曲させたリング状金具2と、前記リング状金具2の内側湾曲部を前記本体ベルト1の一端に固定し、前記本体ベルト1を前記運搬物に巻回して前記本体ベルト1の他端を前記リング状金具2に通して折り返し、前記運搬物を締め付け固着するための前記本体ベルト1に設けた面ファスナー3、4とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として荷役用パレット上に積載された各種の運搬物の荷崩れを防止する荷崩れ防止ベルトに関するもので、特に運搬物の周囲を簡便に巻き締め、且つ着脱容易な荷崩れ防止用の締め具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から運搬物の荷崩れを防止するために、透明合成樹脂製フィルム材を複数周回巻きすることが行われていたが、これらは使い捨てのため、廃棄焼却時に有害ガスを発生する等の公害問題が発生していた。
【0003】
そのため、企業の荷役配送では、環境保護の観点から再利用可能な荷崩れ防止ベルトが多用されるようになってきた。
【0004】
従来、所定幅員の帯状の荷崩れ防止ベルトとして、例えば、特許文献1〜5等がある。これらはいずれも運搬物の周囲を巻回して、適宜な締結手段によってベルト本体の端部相互を連結し運搬物の周囲を締結するものであった。これらの荷崩れ防止ベルトは、いずれも繰り返し使用でき、また、結束時の安定性が得られるように、考えられたものであった。
【特許文献1】特開2001−122266号公報
【特許文献2】特開2003−054625号公報
【特許文献3】特開2004−142804号公報
【特許文献4】特開2004−189292号公報
【特許文献5】特開2004−338801号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記従来の荷崩れ防止ベルトは、いずれも繰り返し使用でき、また、結束時の安定性が得られるように、考えられたものであるが、その形状が複雑であったり、巻き締めする運搬物の全周にわたって十分な幅員を確保できるものではなかった。
【0006】
本発明は、このような課題を解決するために、本体ベルトの一端の折り返し部分を通すリング状金具の形状において、その中央部を内側に湾曲させることで、幅の広いベルトにあっても、ベルトのより皺を防止することができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
図1は本発明の荷崩れ防止ベルトの説明図である。図1中、1は本体ベルト、2はリング状金具、3、4は面ファスナー、5は開口部、6、7は面ファスナー、8は取付ひも、9は目印である。
【0008】
本発明は、上記の課題を解決するため次のように構成した。
【0009】
(1):積載台上に積載された運搬物に巻回して用いる荷崩れ防止ベルトであって、所定の長さと幅員を有する本体ベルト1と、ほぼ前記本体ベルト1の幅員を有し、その中央部を内側に湾曲させたリング状金具2と、前記リング状金具2の内側湾曲部を前記本体ベルト1の一端に固定し、前記本体ベルト1を前記運搬物に巻回して前記本体ベルト1の他端を前記リング状金具2に通して折り返し、前記運搬物を締め付け固着するための前記本体ベルト1に設けた面ファスナー3、4とを備える。このため、本体ベルトの形状が単純であるため、ほぼ同一の形状で、幅員のことなるベルトを生産し、提供できるため、荷役作業員にとって取り扱いが容易であるとともに、ベルトの折り返し部分を通すリング状金具の中央部を内側に湾曲させたので、幅の広いベルトにあっても、ベルトのより皺を防止することができる。
【0010】
(2):前記(1)の荷崩れ防止ベルトにおいて、前記リング状金具2を前記本体ベルト1の一端に固定するための面ファスナー6、7を備える。このため、リング状金具の本体ベルトへの取り付け取り外しを容易に行うことができる。
【0011】
(3):前記(1)又は(2)の荷崩れ防止ベルトにおいて、前記本体ベルト1の一端に取付ひも8を設け、該取付ひも8で前記本体ベルト1の一端を前記運搬物に仮止めして前記運搬物を巻回する。このため、巻きはじめに取付ひも8を運搬物に挟んで(仮止めし)、本体ベルト1(荷崩れ防止ベルト)を運搬物に容易に巻回することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば次のような効果がある。
【0013】
(1):ほぼ本体ベルトの幅員を有し、その中央部を内側に湾曲させたリング状金具を通して運搬物を締め付け固着するため、本体ベルトの形状が単純となり、ほぼ同一の形状で、幅員のことなるベルトを生産し、提供できるため、荷役作業員にとって取り扱いが容易であるとともに、ベルトの折り返し部分を通すリング状金具の中央部を内側に湾曲させたので、幅の広いベルトにあっても、ベルトのより皺を防止することができる。
【0014】
(2):リング状金具を本体ベルトの一端に固定するための面ファスナーを備えるため、リング状金具の本体ベルトへの取り付け取り外しを容易に行うことができる。
【0015】
(3):取付ひもで本体ベルトの一端を運搬物に仮止めして運搬物を巻回するため、本体ベルトを運搬物に容易に巻回することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明は、積載台上に積載された運搬物に巻回して用いる荷崩れ防止ベルトであって、所定の長さと幅員を有する本体ベルトと、ほぼ前記本体ベルトの幅員を有するリング状金具と、そのリング状金具を前記本体ベルトの一端に固定するための面ファスナーと、前記本体ベルトの他端をリング状金具に通して折り返したときに、締め付け固着するための面ファスナーとを備える。このため、前記本体ベルトの他端の折り返し部分を、面ファスナーで本体ベルトの一端に固定したリング状金具に通して、折り返し締め付けることで運搬物を固定でき、さらに、本体ベルトの一端の折り返し部分を通すリング状金具の形状において、その中央部を内側に湾曲させることで、幅の広いベルトにあっても、ベルトのより皺を防止することができるものである。
【0017】
(1):荷崩れ防止ベルトの説明
図1は本発明の荷崩れ防止ベルトの説明図であり、図1(a)は荷崩れ防止ベルトの表面の説明、図1(b)は荷崩れ防止ベルトの裏面の説明、図1(c)は本体ベルトにリング状金具を固定したときの説明である。
【0018】
図1(a)において、本体ベルト1の表面には、左端の上下に設けられた面ファスナー3、4、開口部5、右端の上部には取付ひも8、目印9が設けてある。右側にはリング状金具2が設けてある。本体ベルト1は、運搬物の荷崩れを防ぐため所定幅員と長さを有するポリエステル繊維などの運搬時の引張衝撃に耐えうる強靱性を備えたものである。リング状金具2は、鋼鉄製等(樹脂でも良い)の長方形のリング状をしており、長辺の内側の長さがほぼ本体ベルト1の幅員を有し、長辺の中央部が内側に湾曲しているものである。面ファスナー3は、リング状金具2を通して本体ベルト1を折り返した時面ファスナー4と固着できるように、面ファスナー3が雄型であれば面ファスナー4は雌型となっている(なお、面ファスナー3、4の雄、雌のタイプは逆でもよい)。面ファスナー4は、面ファスナー3より長さが長い。これは、運搬物の大きさの変化に対応できるようにするためである。さらに、ここでは面ファスナー3、4の上下の幅は、同じものを示したが、面ファスナー4を広くして固着を容易にすることもできる。開口部5は、本体ベルト1で運搬物を締め付ける時に手を通すための開口である。取付ひも8は、幅が約5cm、長さが約30cmであり、本体ベルト1を巻き始めに、このひもを運搬物(荷物)に挟むことにより本体ベルト1の一端を仮止め(仮保持)できるものである。目印9は、赤色、オレンジ色等のカラー印であり、巻きはじめ(本体ベルト1の一端)である取付ひも8の場所を明示するものである。
【0019】
図1(b)において、本体ベルト1の裏面には、開口部5、面ファスナー6、7、取付ひも8が設けてある。右側にはリング状金具2が設けてある。面ファスナー6、7は、リング状金具2を本体ベルト1に固着するためのものであり、面ファスナー6が雄型であれば面ファスナー7は雌型となっている(なお、面ファスナー6、7の雄、雌のタイプは逆でもよい)。また、面ファスナー7の左右の幅が長い(図では面ファスナー6の2倍)のは、リング状金具2を通して面ファスナー6を折り返した時、面ファスナー6との固着を確実に行えるようにするためである。
【0020】
図1(c)において、本体ベルト1に、折り返しのためのリング状金具2を固定した荷崩れ防止ベルトを示している。なお、本体ベルト1にリング状金具2を固着するのに、面ファスナー6、7を用いたが、面ファスナーを用いずに縫い付けて固着することもできる。
【0021】
(2):リング状金具の説明
図2は湾曲させないリング状金具の説明図であり、図2(a)は湾曲させないリング状金具の説明、図2(b)は本体ベルトを締め付けた場合の説明である。図2(a)において、リング状金具の長い辺を湾曲させないで、左右の辺が平行になっている。図2(b)において、本体ベルト1をリング状金具2を通して締め付けた場合、リング状金具2の長い辺の中央が左右に広がり、本体ベルト1がリング状金具2の長辺の中央部により、より皺11が生じる。
【0022】
図3は中央部を湾曲させたリング状金具の説明図であり、図3(a)は中央部を湾曲させたリング状金具の説明、図3(b)は本体ベルトを締め付けた場合の説明である。図3(a)において、リング状金具2の長い辺の中央部21を内側に湾曲させてある。図3(b)において、本体ベルト1をリング状金具2を通して締め付けた場合、リング状金具2の長い辺の中央部が内側に湾曲しているため、本体ベルト1がリング状金具2の長辺の中央部によることがなく、より皺11(図2(b)参照)が生じることがない。なお、本体ベルト1を締め付ける力は、運搬物をきず付けない程度で、リング状金具2の長い辺の中央部21の内側湾曲が無くならない(湾曲が残る)程度とすることが必要である。
【0023】
(3):運搬物を締め付る場合の説明
図4は運搬物を締付けた状態の説明図である。図4において、積載台30上に積載された運搬物31に巻回して用いる荷崩れ防止ベルトであって、所定の長さと幅員を有する本体ベルト1の一端の上端に取付ひも8と目印9が設けられると共に本体ベルト1の一端にほぼ前記本体ベルト1の幅員を有するリング形状金具2が固着され、前記本体ベルトの他端をリング状金具2に通して折り返したときに、締め付け固着するための面ファスナー4を備えている。
【0024】
このため、前記本体ベルト1の一端の取付ひも8を運搬物31に挟み、本体ベルト1の一端を仮止めした後、本体ベルト1を運搬物31に巻回し、他端の折り返し部分を、本体ベルト1に固定したリング状金具2に通して、折り返し開口部5で本体ベルト1を持ち締め付け、面ファスナー4に固定することで運搬物31を固定できる。この時、本体ベルト1の他端の折り返し部分を通すリング状金具2の形状において、その中央部を内側に湾曲させることで、幅の広いベルトにあっても、ベルトのより皺を防止することができる。さらに、目印9により、本体ベルト1の巻きはじめである取付ひも8の位置を容易に見つけることができる。
【0025】
このように、本発明の荷崩れ防止ベルトは、形状が単純であるため、ほぼ同一の形状で、幅員のことなるベルトを生産し、提供できるため、荷役作業員にとって取り扱いが容易である。
【0026】
また、ベルトの折り返し部分を通すリング状金具の形状において、その中央部を内側に湾曲させることで、幅の広いベルトにあっても、ベルトのより皺を防止することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の荷崩れ防止ベルトの説明図である。
【図2】湾曲させないリング状金具の説明図である。
【図3】本発明の中央部を湾曲させたリング状金具の説明図である。
【図4】本発明の運搬物を締付けた状態の説明図である。
【符号の説明】
【0028】
1 本体ベルト
2 リング状金具
3、4 面ファスナー
5 開口部
6、7 面ファスナー
8 取付ひも
9 目印

【特許請求の範囲】
【請求項1】
積載台上に積載された運搬物に巻回して用いる荷崩れ防止ベルトであって、
所定の長さと幅員を有する本体ベルトと、
ほぼ前記本体ベルトの幅員を有し、その中央部を内側に湾曲させたリング状金具と、
前記リング状金具の内側湾曲部を前記本体ベルトの一端に固定し、前記本体ベルトを前記運搬物に巻回して前記本体ベルトの他端を前記リング状金具に通して折り返し、前記運搬物を締め付け固着するための前記本体ベルトに設けた面ファスナーとを備えることを特徴とした荷崩れ防止ベルト。
【請求項2】
前記リング状金具を前記本体ベルトの一端に固定するための面ファスナーを備えることを特徴とした請求項1記載の荷崩れ防止ベルト。
【請求項3】
前記本体ベルトの一端に取付ひもを設け、該取付ひもで前記本体ベルトの一端を前記運搬物に仮止めして前記運搬物を巻回することを特徴とした請求項1又は2記載の荷崩れ防止ベルト。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−230654(P2008−230654A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−71703(P2007−71703)
【出願日】平成19年3月20日(2007.3.20)
【出願人】(507039235)
【Fターム(参考)】