説明

荷搬出入制御方法および荷昇降搬送設備

【課題】停電の発生により昇降かごに対する荷の搬入動作または搬出動作が途中で停止しても、確実かつ速やかに荷を出入り口より塔体外へ搬出できるようにする。
【解決手段】荷昇降搬送設備は、コンベヤ20が搭載された昇降かご2と、昇降かご2を昇降動作させる昇降機構21と、塔体1の各階の出入り口11,12の外側に設置され昇降かご2のコンベヤ20と連動するコンベヤ30,40を備えた荷搬出入装置3,4とで構成される。昇降動作の停止期間中に商用電源から供給される電力と昇降機構21の回生運転時に昇降機構21のモータM1から得られる回生電力とを蓄えるキャパシタを有する。停電の発生により荷の搬入または搬出動作が途中で停止したとき、キャパシタに蓄えられた電力を昇降かご2のコンベヤ20と停止階の荷搬出入装置のコンベヤとに供給して、搬入途中または搬出途中の荷を出入り口11,12より塔体1外へ搬出させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、工場、倉庫、物流センターなどにおいて、建物の階下から階上へ、或いは階上から階下へ、それぞれ昇降かごを昇降動作させて荷を搬送するための荷昇降搬送設備に関し、特にこの発明は、停電の発生時、昇降かごへの搬入途中の荷や昇降かごからの搬出途中の荷を昇降かごから確実に搬出させるための荷搬出入制御方法と、その方法が実施された荷昇降搬送設備とに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の荷昇降搬送設備は、建物内に金属フレームなどで組み立てられる塔体と、塔体内を塔体に沿って昇降動作する昇降かごと、塔体の各階の出入り口の外側にそれぞれ設置される荷搬出入装置とで構成されている。昇降かごの床面上には荷を水平方向へ搬送するコンベヤが搭載され、各階の荷搬出入装置には、昇降かごのコンベヤと連動して昇降かごに対する荷の搬出入を行うコンベヤが設けられている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−290804号公報
【0004】
この種の荷昇降搬送設備において、例えば、階下の荷搬出入装置に荷が載置されると、荷搬出入装置のコンベヤと昇降かごのコンベヤとが連動して荷搬出入装置から昇降かご内への荷の搬入が行われる。次に、荷を載せた昇降かごが塔体内を上昇し、目的とする階で停止すると、昇降かごのコンベヤとその階の荷搬出入装置のコンベヤとが連動して昇降かご内から荷搬出入装置への荷の搬出が行われる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、塔体の各階の出入り口には、火災の発生が検知されたとき、出入り口をシャッターにより閉鎖するシャッター機構が設けられている。各階の出入り口がシャッターにより閉鎖されると、塔体内の昇降かごの昇降通路が外部より遮断され、火災が発生した階から他の階へ煙が導かれるのが阻止される。このシャッター機構は、バッテリ駆動であるため、火災の発生に伴って停電しても、確実に動作する。
【0006】
しかし、停電が発生すると、荷昇降搬送設備の作動は停止するため、昇降かごに対する荷の搬入動作または搬出動作が途中で停止するおそれがある。荷がシャッターの真下を通過している最中に停電が発生すると、荷は降下してきたシャッターに挟まれ、出入り口が閉鎖されず、塔体内の昇降かごの昇降通路は煙の通路となり、煙は火災が発生した階から他の階へ導かれる。
【0007】
また、停電は、火災のみならず、落雷、短絡事故など、種々の原因で発生するもので、荷を載せた昇降かごが昇降動作の途中で停止すると、荷は塔体内に取り残される。例えば、魚介類などの生鮮食品や冷凍食品を取り扱う施設では、停電の発生により食料品が塔体内に取り残されたとき、その状態のまま放置されると、食料品の鮮度低下や腐敗を招き、食料品を駄目にしてしまうおそれがある。
【0008】
この発明は、上記した問題に着目してなされたもので、停電の発生により昇降かごに対する荷の搬入動作または搬出動作が途中で停止しても、確実かつ速やかに、搬入途中または搬出途中の荷を出入り口より塔体外へ搬出できる荷搬出入制御方法および荷昇降搬送設備を提供することを目的とする。
【0009】
この発明が他に目的とするところは、停電の発生により昇降かごの昇降動作が途中で停止しても、確実かつ速やかに、昇降途中の昇降かごを目的階へ導きかつ昇降かご内の荷を出入り口より塔体外へ搬出できる荷搬出入制御方法および荷昇降搬送設備を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明による荷搬出入制御方法は、荷を搬出入するためのコンベヤが搭載された昇降かごと、昇降かごを塔体に沿って昇降動作させるモータ駆動の昇降機構と、塔体の各階の出入り口の外側にそれぞれ設置され昇降かごの前記コンベヤと連動して昇降かごに対する荷の搬出入を行うコンベヤを備えた荷搬出入装置とで構成される荷昇降搬送設備において、昇降動作の停止期間中に商用電源から供給される電力と昇降機構の回生運転時に昇降機構のモータから得られる回生電力との少なくとも一方を蓄えるキャパシタを有し、停電の発生により昇降かごに対する荷の搬入動作または搬出動作が途中で停止したとき、キャパシタに蓄えられた電力を昇降かごのコンベヤと停止階の荷搬出入装置のコンベヤとに供給して、搬入途中または搬出途中の荷を出入り口より塔体外へ搬出させることを特徴とするものである。
【0011】
上記した荷搬出入制御方法によると、停電の発生により昇降かごに対する荷の搬入動作または搬出動作が途中で停止したとき、キャパシタに蓄えられた電力を昇降かごのコンベヤと停止階の荷搬出入装置のコンベヤとに供給して、搬入途中または搬出途中の荷を出入り口より塔体外へ搬出させるので、火災による停電が発生した場合に、塔体の各階の出入り口に設けられた防煙のためのシャッターの真下より荷を搬出させたうえでシャッターを降下させることができ、荷がシャッターに挟まれて出入り口の閉鎖が妨げられることがない。
【0012】
この発明による荷搬出入制御方法は、さらに、停電の発生により昇降かごの昇降動作が途中で停止したときは、キャパシタに蓄えられた電力を昇降機構のモータと昇降かごのコンベヤと目的階の荷搬出入装置のコンベヤとに供給して、昇降途中の昇降かごを目的階へ導きかつ昇降かご内の荷を出入り口より塔体外へ搬出させるものである。
【0013】
上記した荷搬出入制御方法によると、停電の発生により昇降かごの昇降動作が途中で停止したとき、キャパシタに蓄えられた電力を昇降機構のモータと昇降かごのコンベヤと目的階の荷搬出入装置のコンベヤとに供給して、昇降途中の昇降かごを目的階へ導きかつ昇降かご内の荷を出入り口より塔体外へ搬出させるので、火災、落雷、短絡事故などの原因で停電が発生した場合に、荷が塔体内に取り残されることがなく、生鮮食品や冷凍食品のような食料品などの荷が塔体内に取り残されて鮮度低下などにより食料品を駄目にしてしまうことがない。
【0014】
この発明による上記した荷搬出入制御方法は、コンピュータを動作させるソフトウェア(プログラム)によっても、専用のハードウェア回路によっても実現できる。
【0015】
この発明による荷昇降搬送設備は、上記した荷搬出入制御方法を実施するためのもので、第1の荷昇降搬送設備は、荷を搬出入するためのコンベヤが搭載された昇降かごと、昇降かごを塔体に沿って昇降動作させるモータ駆動の昇降機構と、塔体の各階の出入り口の外側にそれぞれ設置され昇降かごの前記コンベヤと連動して昇降かごに対する荷の搬出入を行うコンベヤを備えた荷搬出入装置とで構成される荷昇降搬送設備において、昇降動作の停止期間中に商用電源から供給される電力と昇降機構の回生運転時に昇降機構のモータから得られる回生電力との少なくとも一方を蓄えるキャパシタと、停電の発生時に昇降かごに対する荷の搬入動作または搬出動作が途中で停止したことを判別する判別手段と、昇降かごに対する荷の搬出入動作を制御する制御手段とを備えたものである。停電の発生時に前記判別手段により昇降かごに対する荷の搬入動作または搬出動作が途中で停止したことが判別されたとき、前記制御手段はキャパシタに蓄えられた電力を昇降かごのコンベヤと停止階の荷搬出入装置のコンベヤとに供給して搬入途中または搬出途中の荷を出入り口より塔体外へ搬出させる動作を実行させる。
【0016】
上記した構成の第1の荷昇降搬送設備において、昇降動作の停止期間中に商用電源から供給される電力と昇降機構の回生運転時に昇降機構のモータから得られる回生電力との一方、または両方がキャパシタに蓄電される。停電の発生時、判別手段が昇降かごに対する荷の搬入動作または搬出動作が途中で停止したことを判別すると、制御手段はキャパシタに蓄えられた電力を昇降かごのコンベヤと停止階の荷搬出入装置のコンベヤとに供給して搬入途中または搬出途中の荷を出入り口より塔体外へ搬出させる動作を実行させる。これにより、火災による停電が発生した場合に、塔体の各階の出入り口に設けられた防煙のためのシャッターの真下から荷を搬出させたうえで、シャッターを降下させることができ、荷がシャッターに挟まれて出入り口の閉鎖が妨げられることがない。
【0017】
この発明による第2の荷昇降搬送設備は、上記した第1の荷搬出入制御設備の構成に加えて、停電の発生により昇降かごの昇降動作が途中で停止したことを判別する判別手段をさらに備えており、停電の発生時に前記判別手段により昇降かごの昇降動作が途中で停止したことが判別されたとき、前記制御手段は、キャパシタに蓄えられた電力を昇降機構のモータと昇降かごのコンベヤと目的階の荷搬出入装置のコンベヤとに給電して昇降途中の昇降かごを目的階へ導きかつ昇降かご内の荷を出入り口より塔体外へ搬出させる動作を実行させる。
【0018】
上記した構成の第2の荷昇降搬送設備において、昇降動作の待機時に昇降機構のモータへ供給される電力と昇降のいずれかの動作によって得られるモータの回生電力との一方、または両方がキャパシタに蓄電される。停電の発生時、昇降かごの昇降動作が途中で停止したことを判別手段が判別すると、制御手段は、キャパシタに蓄えられた電力を昇降機構のモータと昇降かごのコンベヤと目的階の荷搬出入装置のコンベヤとに給電して昇降途中の昇降かごを目的階へ導きかつ昇降かご内の荷を出入り口より塔体外へ搬出させる動作を実行させる。これにより、火災、落雷、短絡事故などの原因で停電が発生した場合に、荷が塔体内に取り残されることがなく、食料品などの荷が塔体内に取り残されて鮮度低下などにより食料品を駄目にしてしまうことがない。
【0019】
この発明の上記した構成において、昇降かごに搭載されたコンベヤおよび各階の荷搬出入装置に備えられるコンベヤとして、典型的には、ローラコンベヤが用いられるが、これに限らず、ベルトコンベヤやチェンコンベヤなど、他の形式のコンベヤを用いることも可能である。
また、「キャパシタ」は、電気二重層コンデンサのような大容量コンデンサなどで構成されるが、これに限られるものではない。
さらに、第1、第2の各荷昇降搬送設備を構成する「制御手段」や「判別手段」は、プログラムされたコンピュータにより実現できるが、専用のハードウェア回路によっても実現することが可能である。
【0020】
この発明の好ましい実施態様においては、前記制御手段は昇降機構の力行運転時にキャパシタに蓄えられた電力を昇降機構のモータへ供給するようにしている。
この実施態様によると、省エネルギー化が可能であり、使用する商用電力を低減できる。また、ピーク電力の抑制をはかることができ、商用電源の設備容量を低減できる。
【発明の効果】
【0021】
この発明によると、停電の発生により昇降かごに対する荷の搬入動作または搬出動作が途中で停止しても、搬入途中または搬出途中の荷を出入り口より確実かつ速やかに塔体外へ搬出させることができる。したがって、火災による停電が発生した場合に、塔体の各階の出入り口に設けられた防煙のためのシャッターの真下から荷を搬出したうえでシャッターを降下させることが可能であり、降下してきたシャッターに荷が挟まれて出入り口の閉鎖が妨げられるようなことはない。
また、停電の発生により昇降かごの昇降動作が途中で停止しても、確実かつ速やかに昇降途中の昇降かごを目的階へ導きかつ昇降かご内の荷を出入り口より塔体外へ搬出させることができる。したがって、火災、落雷、短絡事故などの原因で停電が発生した場合に、荷が塔体内に取り残されることがなく、生鮮食品や冷凍食品のような食料品などの荷が塔体内に取り残されて鮮度低下などにより食料品を駄目にしてしまうことがない。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】この発明の一実施例である荷昇降搬送設備の構成を示す塔体の一部を省略した斜視図である。
【図2】荷昇降搬送設備の概略構成とセンサ配置とを示す側面図である。
【図3】荷昇降搬送設備のセンサ配置を示す平面図である。
【図4】荷の搬出入動作の流れを示す平面図である。
【図5】荷昇降搬送設備の駆動系の構成を示す電気回路図である。
【図6】昇降機構のモータの消費電力を示す説明図である。
【図7】荷昇降搬送設備の制御回路の構成を示すブロック図である。
【図8】荷を1階から2階へ搬送するときの制御の流れを示すフローチャートである。
【図9】荷を2階から1階へ搬送するときの制御の流れを示すフローチャートである。
【図10】停電時の制御の流れを示すフローチャートである。
【図11】荷搬送過程を判別する方法を示すフローチャートである。
【図12】昇降かごおよび荷搬出入装置の他の例を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1は、この発明の一実施例である荷昇降搬送設備の概略構成を示している。
図示例の荷昇降搬送設備は、建物の1階のフロアF1と2階のフロアF2との間で荷を搬送するために設けられたものであり、金属フレームなどで建物内に組み立てられた塔体1と、塔体1内を塔体1に沿って昇降動作する昇降かご2と、塔体1の各階の出入り口11,12の外側にそれぞれ設置される荷搬出入装置3,4とで構成されている。なお、図示していないが、塔体1の各階の出入り口11,12にはバッテリ駆動の防煙のためのシャッターが設置されている。
【0024】
昇降かご2は、図2に示される昇降機構21に連繋され、1階のフロアF1と2階のフロアF2との間で昇降動作する。昇降機構21は、索条22の一端に昇降かご2が、他端にカウンタウェイト23が、それぞれ連結されるとともに、索条22が巻上げ機構24に巻き掛けられて成るものである。巻上げ機構24は正逆回転が可能なモータM1により駆動される。この実施例では、モータM1および後述するモータM2〜M4として三相誘導電動機が用いられている。
【0025】
昇降かご2の床面上には荷を支持しかつ荷を水平方向へ搬送するためのコンベヤ20が搭載されている。図示例のコンベヤ20はローラコンベヤにより構成されているが、これに限らず、ベルトコンベヤ、チェンコンベヤなど、他の形式のコンベヤを用いることもできる。コンベヤ20はモータM2により正逆各方向へ駆動される。
【0026】
各階の荷搬出入装置3,4は、昇降かご2のコンベヤ20と連動して昇降かご2に対する荷の搬出入を行うためのコンベヤ30,40をそれぞれ備えている。図示例のコンベヤ30,40にもローラコンベヤが用いられているが、これに限らず、ベルトコンベヤを用いることも可能である。各コンベヤ30,40はモータM3,M4によりそれぞれ正逆各方向へ駆動される。
【0027】
塔体1の適所には、位置検知センサSF1,SF2および荷搬出入検知センサS12,S22が設置されている。一方の位置検知センサSF1は昇降かご2が1階のフロアF1の停止位置に達したことを検知し、他方の位置検知センサSF2は昇降かご2が2階のフロアF2の停止位置に達したことを検知する。また、一方の荷搬出入検知センサS12は1階の出入り口11に設置され、出入り口11の開口位置に荷が存在するかどうか、つまり、荷がコンベヤ30,20間に跨った状態で存在しているかどうかを検知する。他方の荷搬出入検知センサS22は2階の出入り口12に設置され、出入り口12の開口位置に荷が存在するかどうか、つまり、荷がコンベヤ20,40間に跨った状態で存在しているかどうかを検知する。この実施例では、位置検知センサSF1,SF2としてリミットスイッチが、荷搬出入検知センサS12,S22として光電センサが、それぞれ用いられているが、これに限られるものではない。
【0028】
図3は、昇降かご2のコンベヤ20上のどの位置に荷が存在するかを検出するための荷検出センサS01,S02と、各階の荷搬出入装置3,4のコンベヤ30,40上のどの位置に荷が存在するかを検出するための荷検出センサS11,S21とを示している。昇降かご2の一方の荷検出センサS01は1階の出入り口11の側の端部に配置され、他方の荷検出センサS02は2階の出入り口12の側の端部に配置されている。各階の荷搬出入装置3,4の荷検出センサS11,S21は塔体1に対して遠い側の端部にそれぞれ配置されている。この実施例では、各荷検出センサS01,S02,S11,S21としてリミットスイッチや光電センサなどが用いられているが、これらに限られるものではない。
【0029】
上記した昇降かご2の各荷検出センサS01,S02によって得られるオン、オフ信号と、各階の荷搬出入装置3,4の各荷検出センサS11,S21によって得られるオン、オフ信号と、各階の出入り口11,12の荷搬出入検知センサS12,S22によって得られるオン、オフ信号と、各階の位置検知センサSF1,SF2とによって、荷が搬送過程のどの段階にあるかを判別することができる。
図4(1)〜(8)は、荷Rを1階のフロアF1から2階のフロアF2へ搬送するときの荷Rの搬送過程を示している。
【0030】
フォークリフトやコンベヤなどによって、1階の荷搬出入装置3のコンベヤ30上の端部位置に荷Rが導入されると、荷検出センサS11がオンし(図4(1))、荷搬出入装置3のコンベヤ30と昇降かご2のコンベヤ20とが荷を搬入する方法へ駆動される。コンベヤ30の駆動により荷Rが塔体1の1階の出入り口11に向けて移動を開始すると、まず、荷検出センサS11がオフし(図4(2))、荷Rが1階の出入り口11に到達したとき、荷搬出入検知センサS12がオンし、続いて、昇降かご2の一端の荷検出センサS01がオンする(図4(3))。図4(3)の状態では、昇降かご2のコンベヤ20と荷搬出入装置3のコンベヤ30との間に荷Rは跨った状態で位置している。
【0031】
昇降かご2のコンベヤ20上に荷Rが収まると、荷搬出入検知センサS12および荷検出センサS01がともにオフする(図4(4))。昇降かご2の他端の荷検出センサS02がオンした時点で両方のコンベヤ20,30の駆動が停止し(図4(5))、昇降かご2への荷搬入動作が完了する。
【0032】
次に、昇降かご2が上昇を始めて図示しない位置検知センサSF1がオフし、2階のフロアF2に到達して図示しない位置検知センサSF2がオンすると、昇降かご2の上昇が停止し、昇降かご2のコンベヤ20と2階の荷搬出入装置4のコンベヤ40とが荷を搬出する方向へ駆動される。コンベヤ20の駆動により荷Rが塔体1の2階の出入り口12に向けて移動を開始すると、荷搬出入検知センサS22がオンし(図4(6))、荷Rは昇降かご2のコンベヤ20と荷搬出入装置4のコンベヤ40との間に跨った状態で位置する。荷Rが塔体1の2階の出入り口12を通過して荷搬出入装置4のコンベヤ40上に乗り移ると、昇降かご2の荷検出センサS02がオフし、続いて2階の出入り口12の荷搬出入検知センサS22がオフする(図4(7))。荷Rが荷搬出入装置4のコンベヤ40の終端に達して荷検出センサS21がオンした時点で両方のコンベヤ20,40の駆動が停止し(図4(8))、荷の搬送が完了する。
【0033】
図5は、上記した荷昇降搬送設備の駆動系の回路構成を示している。
同図において、5は三相交流の商用電源であり、商用電源5からの商用電力は整流回路および平滑コンデンサを含むコンバータ50を経て直流に変換される。この交流−直流変換により直流母線56,57間の電圧が所定の電圧(例えば290V)に昇圧され、運転が可能な状態となる。直流母線56,57には、インバータ51〜54を介して、昇降機構21のモータM1と、昇降かご2のコンベヤ20を駆動するモータM2と、1階の荷搬出入装置3のコンベヤ30を駆動するモータM3と、2階の荷搬出入装置4のコンベヤ40を駆動するモータM4とがそれぞれ接続されており、各インバータ51〜54で直流−交流変換された電力が各モータM1〜M4へ供給される。
【0034】
直流母線56,57にはDC−DCコンバータ60を介してキャパシタ6が接続されている。図示例では、キャパシタ6として電気二重層コンデンサのような大容量コンデンサが用いられている。DC−DCコンバータ60は充電回路61と放電回路62とを含んでおり、昇降動作の停止期間中にDC−DCコンバータ60が図7に示す制御回路7より充電開始指令を受けると、商用電源5から供給される電力が充電回路61を通してキャパシタ6に蓄えられる。また、昇降機構21の回生運転時にDC−DCコンバータ60が制御回路7より充電開始指令を受けると、昇降機構21のモータM1から得られる回生電力が充電回路61を通してキャパシタ6に蓄えられる。
【0035】
なお、この実施例では、カウンタウェイト23の荷重によって昇降かご2が空状態で1階から2階へ上昇するとき、昇降機構21は回生運転を行う。また、昇降かご2が空状態で2階から1階へ降下するとき、および昇降かご2が荷を積んだ状態で1階と2階との間を昇降動作するときは力行運転を行う。
図中、55は直流母線56,57に接続された電源回生ユニットであり、制御回路7より回生開始指令を受け、直流母線56,57間の電圧が所定値以上になると、電源側に電力を回生可能な状態とする。そして、回生運転時の充電によってキャパシタ6がフル充電状態になった場合など、直流母線56,57間の電圧が所定値以上になったとき、回生エネルギーが電源回生ユニット55より商用電源5へ返される。
【0036】
力行運転時にDC−DCコンバータ60が制御回路7より放電開始指令を受けると、キャパシタ6に蓄えられた電力がDC−DCコンバータ60の放電回路62を通して昇降機構21のモータM1へ供給される。この放電により直流母線56,57間の電圧は所定値(例えば320V)まで昇圧される。力行運転時にインバータ51が制御回路7より運転開始指令を受けると、商用電源5よりコンバータ50を経てインバータ51に供給された電力がモータM1へ与えられ、これによりモータM1は駆動されるが、モータM1の駆動に必要な電力は、図6に示すように、キャパシタ6に蓄えられた電力から消費され、キャパシタ6の放電能力以上の消費電力が必要なときに商用電源5からの電力が供給される。これによって、省エネルギー化が実現され、使用する商用電力を低減でき、また、ピーク電力の抑制がはかられる。なお、図6は、モータM1の加速時、定速時、および減速時の消費電力を示しており、モータM1の消費電力は加速時が最大となる。
【0037】
他のインバータ52〜54がそれぞれ制御回路7より運転開始指令を受けると、商用電源5よりコンバータ50を経て各インバータ52〜54に供給された電力がモータM2〜M4へそれぞれ与えられ、これによりモータM2〜M4は駆動する。モータM2の駆動によって昇降かご2のコンベヤ20が駆動し、モータM3の駆動によって1階の荷搬出入装置3のコンベヤ30が駆動し、モータM4の駆動によって2階の荷搬出入装置4のコンベヤ40が駆動する。
【0038】
停電発生時にDC−DCコンバータ60が制御回路7より放電開始指令を受けると、キャパシタ6に蓄えられた電力がDC−DCコンバータ60の放電回路62を通して昇降機構21のモータM1、昇降かご2のコンベヤ20のモータM2、1階の荷搬出入装置3のコンベヤ30のモータM3、2階の荷搬出入装置4のコンベヤ40のモータM4のうちのいずれかへ供給される。停電の発生によって昇降かご2に対する荷の搬入動作または搬出動作が途中で停止したときは、昇降かご2のコンベヤ20のモータM2と停止階の荷搬出入装置のコンベヤのモータM3またはM4とにキャパシタ6に蓄えられた電力が供給される。停電の発生により昇降かご2の昇降動作が途中で停止したとき、昇降機構21のモータM1と昇降かご2のコンベヤ20のモータM2と目的階の荷搬出入装置のコンベヤのモータM3またはM4とにキャパシタ6に蓄えられた電力が供給される。
【0039】
図7は、前記した制御回路7の構成と制御回路7にバス75を介して接続される入出力各部の構成とを示している。
図示例の制御回路7はマイクロコンピュータにより構成されており、制御、演算の主体であるCPU70と、プログラムや固定データが格納されるROM71と、各種のデータの読み書きに供されるRAM72とを含んでいる。CPU70には、上記した荷検出センサS01,S02,S11,S21、荷搬出入検知センサS12,S22、位置検知センサSF1,SF2、各階の操作パネル73,74、電源回生ユニット55、DC−DCコンバータ60、昇降駆動用のインバータ51、コンベヤ駆動用のインバータ52〜54などの入出力各部がバス75を介して電気接続されている。操作パネル73,74は1階および2階の出入り口11,12の近傍に設置され、各種の指令を入力するためのボタン、データを入力するためのキースイッチの他、ディスプレイや報知ランプなどが設けられている。
CPU70は、ROM71に格納されたプログラムにしたがって、RAM72に対するデータの読み書きを行いつつ入出力各部の動作を一連に制御する。
なお、上記した制御回路7や各センサには無停電電源装置8が接続されており、停電が発生しても制御回路7による制御動作や各センサによる検出動作に支障が生じることはない。
【0040】
図8は、荷を1階から2階へ搬送するときの制御回路7による制御の流れを示している。なお、図中、「ST」は「STEP」の略であり、制御の流れにおける各手順を示す。
同図のST1では、CPU70は運転可能な「スタンバイ状態」であるかどうかを判定しており、その判定が「YES」であれば、つぎのST2で1階の操作パネル73の自動運転ボタンが押されたかどうかを判定する。その判定が「NO」であれば、CPU70はDC−DCコンバータ60に対して充電開始指令を発し(ST3)、充電回路61を通してキャパシタ6に電力が蓄えられる。
【0041】
自動運転ボタンが押されると、ST2の判定が「YES」であり、つぎのST3で、CPU70は1階の荷搬出入装置3のコンベヤ30上に荷が載置されたかどうかを判定する。荷の載置が荷検出センサS11により検出されると、ST4の判定は「YES」となり、CPU70はインバータ52,53へ運転開始指令を与え、昇降かご2のコンベヤ20のモータM2と1階の荷搬出入装置3のコンベヤ30のモータM3とを駆動させる(ST5)。これにより昇降かご2への荷の搬入動作が開始する。荷搬出入装置3から昇降かご2へ荷が乗り移って搬入済となったことが荷検出センサS02により検出されると、ST6の判定が「YES」となり、CPU70はインバータ52,53へ運転停止指令を与え、各コンベヤ20,30のモータM2,M3を停止させる(ST7)。
【0042】
次に、CPU70はDC−DCコンバータ60に対して放電開始指令を与え(ST8)、キャパシタ6に蓄えられた電力を放電回路62を通して放電させた後、インバータ51へ運転開始指令を与え、昇降機構21のモータM1を駆動させる(ST9)。これにより荷を載せた昇降かご2が上昇動作する。昇降かご2の2階への到達が位置検知センサSF2により検知されると、ST10の判定が「YES」となり、CPU70はインバータ51へ運転停止指令を与えて昇降機構21のモータM1を停止させ(ST11)、DC−DCコンバータ60へ放電停止指令を与える(ST12)。
【0043】
次にCPU70は、インバータ52,54へ運転開始指令を与え、昇降かご2のコンベヤ20のモータM2と2階の荷搬出入装置4のコンベヤ40のモータM4とを駆動させる(ST13)。これにより昇降かご2からの荷の搬出動作が開始する。昇降かご2から荷搬出入装置4へ荷の乗り移って搬出済となったことが荷検出センサS21により検出されると、ST14の判定が「YES」となり、CPU70はインバータ52,54へ運転停止指令を与え、各コンベヤ20,40のモータM2,M4を停止させる(ST15)。
【0044】
次に、CPU70はDC−DCコンバータ60へ放電開始指令を与え(ST16)、キャパシタ6に蓄えられた電力を放電回路62を通して放電させた後、インバータ51へ運転開始指令を与え、昇降機構21のモータM1を駆動させる(ST17)。これにより昇降かご2が下降動作する。昇降かご2の1階への到達が位置検知センサSF1により検知されると、ST18の判定が「YES」となり、CPU70はインバータ51へ運転停止指令を与えて昇降機構21のモータM1を停止させ(ST19)、DC−DCコンバータ60へ放電停止指令を与える(ST20)。
【0045】
図9は、荷を2階から1階へ搬送するときの制御回路7による制御の流れを示す。
同図のST1では、CPU70は運転可能な「スタンバイ状態」であるかどうかを判定しており、その判定が「YES」であれば、つぎのST2で2階の操作パネル74の自動運転ボタンが押されたかどうかを判定する。その判定が「NO」であれば、CPU70はDC−DCコンバータ60へ充電開始指令を与え(ST3)、充電回路61を通してキャパシタ6に電力が蓄えられる。
【0046】
自動運転ボタンが押されると、ST2の判定が「YES」であり、つぎのST3で、CPU70は2階の荷搬出入装置4のコンベヤ40上に荷が載置されたかどうかを判定する。荷の載置が荷検出センサS21により検出されると、ST4の判定は「YES」となり、CPU70はインバータ52,54へ運転開始指令を与え、昇降かご2のコンベヤ20のモータM2と2階の荷搬出入装置4のコンベヤ40のモータM4とを駆動させる(ST5)。これにより昇降かご2への荷の搬入動作が開始する。荷搬出入装置4から昇降かご2へ荷が乗り移って搬入済となったことが荷検出センサS01により検出されると、ST6の判定が「YES」となり、CPU70はインバータ52,54へ運転停止指令を与え、各コンベヤ20,40のモータM2,M4を停止させる(ST7)。
【0047】
次に、CPU70はDC−DCコンバータ60へ放電開始指令を与え(ST8)、キャパシタ6に蓄えられた電力を放電回路62を通して放電させた後、インバータ51へ運転開始指令を与え、昇降機構21のモータM1を駆動させる(ST9)。これにより荷を乗せた昇降かご2が下降動作する。昇降かご2の1階への到達が位置検知センサSF1により検出されると、ST10の判定が「YES」となり、CPU70はインバータ51へ運転停止指令を与えて昇降機構21のモータM1を停止させ(ST11)、DC−DCコンバータ60へ放電停止指令を与える(ST12)。
【0048】
次にCPU70は、インバータ52,53へ運転開始指令を与え、昇降かご2のコンベヤ20のモータM2と1階の荷搬出入装置3のコンベヤ30のモータM3とを駆動させる(ST13)。これにより昇降かご2からの荷の搬出動作が開始する。昇降かご2から荷搬出入装置3へ荷が乗り移って搬出済となったことが荷検出センサS11により検出されると、ST14の判定が「YES」となり、CPU70はインバータ52,53へ運転停止指令を与え、各コンベヤ20,30のモータM2,M3を停止させる(ST15)。
【0049】
次に、CPU70は電源回生ユニット55へ回生開始指令を与えるとともに、インバータ51へ運転開始指令を与えて昇降機構21のモータM1を駆動し(ST16,17)、空状態の昇降かご2を回生運転により上昇動作させる。昇降かご2の2階への到達が位置検知センサSF2により検知されると、ST18の判定が「YES」となり、CPU70はインバータ51へ運転停止指令を与えて昇降機構21のモータM1を停止させ(ST19)、電源回生ユニット55へ回生停止指令を与える(ST20)。
【0050】
図10は、停電時における制御回路7による制御の流れを示している。
停電の発生により同図のST1の判定が「YES」になると、CPU70は荷が搬送過程のどの段階にあるのかをチェックする(ST2)。チェックの結果、荷の全部または一部が昇降かご2上にあると判定されたとき、CPU70はDC−DCコンバータ60に対して放電開始指令を発してキャパシタ6に蓄えられた電力を放電回路62を通して放電させた後、運転指令に待機する(ST4)。
【0051】
いま、昇降かご2が1階または2階に停止して荷の搬入動作または搬出動作の最中であると判定されたとき、すなわち、荷が昇降かご2のコンベヤ20と1階の荷搬出入装置3のコンベヤ30または2階の荷搬出入装置4のコンベヤ40との間に跨った状態にあると判定されたとき、ST5の判定は「YES」であり、CPU70は昇降かご2のコンベヤ20のモータM2を駆動させかつ1階の荷搬出入装置3のコンベヤ30のモータM3または2階の荷搬出入装置4のコンベヤ40のモータM4を駆動させて荷を昇降かご2より搬出させた後(ST8)、DC−DCコンバータ60に対して放電停止指令を与える(ST9)。上記の制御を実行して荷を強制的に搬出したうえで、防煙のための各階のシャッターを降下させて出入り口11,12を閉鎖する。
【0052】
もし、昇降かご2が昇降途中にあると判定されれば、ST5の判定が「NO」、ST6の判定が「YES」となり、CPU70はまず昇降機構21のモータM1を駆動させて昇降かご2を目的階まで移行させた後(ST7)、昇降かご2のコンベヤ20のモータM2を駆動させかつ1階の荷搬出入装置3のコンベヤ30のモータM3または2階の荷搬出入装置4のコンベヤ40のモータM4を駆動させて荷を昇降かご2より搬出させる(ST8)。
【0053】
もし、昇降かご2が1階または2階に停止していて荷の搬入動作の完了直後の状態または荷の搬出動作の開始直前の状態にあると判定されれば、ST5の判定が「NO」、ST6の判定も「NO」となり、CPU70は昇降かご2のコンベヤ20のモータM2を駆動させかつ1階の荷搬出入装置3のコンベヤ30のモータM3または2階の荷搬出入装置4のコンベヤ40のモータM4を駆動させて荷を昇降かご2より搬出させる(ST8)。
【0054】
上記した図10のST2において、荷が搬送過程のどの段階にあるかを判定するには、荷が搬送されてゆく過程、すなわち、現在位置を例えば制御回路7のRAM72に順次記憶させてゆく必要がある。
図11は、荷を1階から2階へ搬送するときの荷の搬送過程(現在位置)を複数のフラグを用いて順次記憶する手順の具体例を示している。
同図のST2−1では、1階の荷搬出入装置3の荷検出センサS11がオンしたかどうか、すなわち、荷を検出したかどうかを判定しており、その判定が「YES」になれば、荷が荷搬出入装置3のコンベヤ30上に載置されたと判断し(図4(1)参照)、荷受付フラグF1がRAM72の所定の領域にセットされる(ST2−3)。
【0055】
次のST2−2では、前記荷検出センサS11がオフしたかどうかを判定しており、その判定が「YES」になれば、荷が荷搬出入装置3のコンベヤ30が動作して荷の搬送が開始されたと判断し(図4(2)参照)、荷搬送開始フラグF2がRAM72の所定の領域にセットされる(ST2−5)。
【0056】
次のST2−4では、1階の荷搬出入検知センサS12がオンしたかどうかを判定しており、その判定が「YES」になれば、荷が荷搬出入装置3のコンベヤ30から昇降かご2のコンベヤ20へ搬入中であると判断し(図4(3)参照)、荷搬入中フラグF3がRAM72の所定の領域にセットされる(ST2−7)。
【0057】
次のST2−6では、前記荷搬出入検知センサS12がオフしたかどうかを判定しており、その判定が「YES」になれば、荷が荷搬出入装置3のコンベヤ30から昇降かご2のコンベヤ20へ乗り移ったと判断し(図4(4)参照)、荷搬入済フラグF4がRAM72の所定の領域にセットされる(ST2−9)。
【0058】
次のST2−8では、昇降かご2の荷検出センサS02がオンしたかどうかを判定しており、その判定が「YES」になれば、昇降かご2への荷の搬入が完了して昇降かご2の上昇動作に待機していると判断し(図4(5)参照)、上昇待機フラグF5がRAM72の所定の領域にセットされる(ST2−11)。
【0059】
次のST2−10では、1階の位置検知センサSF1がオフしたかどうかを判定しており、その判定が「YES」になれば、昇降かご2が上昇中であると判断し、上昇フラグF6がRAM72の所定の領域にセットされる(ST2−13)。
次のST2−12では、2階の位置検知センサSF2がオンしたかどうかを判定しており、その判定が「YES」になれば、昇降かご2が2階に到達して荷の搬出に待機していると判断し、荷搬出待機フラグF7がRAM72の所定の領域にセットされる(ST2−15)。
【0060】
次のST2−14では、2階の荷搬出入検知センサS22がオンしたかどうかを判定しており、その判定が「YES」になれば、荷が昇降かご2のコンベヤ20から2階の荷搬出入装置4のコンベヤ40へ搬出中であると判断し(図4(6)参照)、荷搬出中フラグF8がRAM72の所定の領域にセットされる(ST2−17)。
【0061】
次のST2−16では、2階の荷搬出入検知センサS22がオフしたかどうかを判定しており、その判定が「YES」になれば、荷が昇降かご2のコンベヤ20から荷搬出入装置3のコンベヤ30へ乗り移ったと判断し(図4(7)参照)、荷搬出済フラグF9がRAM72の所定の領域にセットされる(ST2−19)。
【0062】
次のST2−18では、2階の荷搬出入装置4の荷検出センサS21がオンしたかどうかを判定しており、その判定が「YES」になれば、荷搬出入装置4への荷の搬送が完了したと判断し(図4(8)参照)、荷搬送終了フラグF10がRAM72の所定の領域にセットされる(ST2−21)。
【0063】
次のST2−20では、2階の荷搬出入装置4の荷検出センサS21がオフしたかどうかを判定しており、その判定が「YES」になれば、荷搬出入装置4のコンベヤ40上より荷が除かれたと判断し、全てのフラグF1〜10がRAM72の所定の領域よりリセットされる(ST2−22)。
したがって、荷が搬送過程のどの段階にあるかは、RAM72の所定の領域を参照してフラグF1〜10のセット状態をチェックすることにより判定できるもので、停電発生時、例えば、荷搬入中フラグF3がセットされかつ荷搬入済フラグF4がセットされていなければ、図10のST5の判定は「YES」となる。
【0064】
なお、この発明は、上記した構成の荷昇降搬送設備に限らず、図12に示すように、昇降かご2に荷を搬送するコンベヤ20aと空パレットを搬送するコンベヤ20bとを上下2段に配置し、各階の荷搬出入装置にも荷を搬送するコンベヤ30aと空パレットを搬送するコンベヤ30bとを上下2段に配置した構造の荷昇降搬送設備にも実施することが可能である。
【符号の説明】
【0065】
1 塔体
11,12 出入り口
2 昇降かご
3,4 荷搬出入装置
6 キャパシタ
7 制御回路
20,30,40 コンベヤ
21 昇降機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷を搬出入するためのコンベヤが搭載された昇降かごと、昇降かごを塔体に沿って昇降動作させるモータ駆動の昇降機構と、塔体の各階の出入り口の外側にそれぞれ設置され昇降かごの前記コンベヤと連動して昇降かごに対する荷の搬出入を行うコンベヤを備えた荷搬出入装置とで構成される荷昇降搬送設備において、昇降動作の停止期間中に商用電源から供給される電力と昇降機構の回生運転時に昇降機構のモータから得られる回生電力との少なくとも一方を蓄えるキャパシタを有し、停電の発生により昇降かごに対する荷の搬入動作または搬出動作が途中で停止したとき、キャパシタに蓄えられた電力を昇降かごのコンベヤと停止階の荷搬出入装置のコンベヤとに供給して、搬入途中または搬出途中の荷を出入り口より塔体外へ搬出させることを特徴とする荷搬出入制御方法。
【請求項2】
請求項1に記載された荷搬出入制御方法であって、さらに、停電の発生により昇降かごの昇降動作が途中で停止したとき、キャパシタに蓄えられた電力を昇降機構のモータと昇降かごのコンベヤと目的階の荷搬出入装置のコンベヤとに供給して、昇降途中の昇降かごを目的階へ導きかつ昇降かご内の荷を出入り口より塔体外へ搬出させることを特徴とする荷搬出入制御方法。
【請求項3】
荷を搬出入するためのコンベヤが搭載された昇降かごと、昇降かごを塔体に沿って昇降動作させるモータ駆動の昇降機構と、塔体の各階の出入り口の外側にそれぞれ設置され昇降かごの前記コンベヤと連動して昇降かごに対する荷の搬出入を行うコンベヤを備えた荷搬出入装置とで構成される荷昇降搬送設備において、昇降動作の停止期間中に商用電源から供給される電力と昇降機構の回生運転時に昇降機構のモータから得られる回生電力との少なくとも一方を蓄えるキャパシタと、停電の発生時に昇降かごに対する荷の搬入動作または搬出動作が途中で停止したことを判別する判別手段と、昇降かごに対する荷の搬出入動作を制御する制御手段とを備え、停電の発生時に前記判別手段により昇降かごに対する荷の搬入動作または搬出動作が途中で停止したことが判別されたとき、前記制御手段はキャパシタに蓄えられた電力を昇降かごのコンベヤと停止階の荷搬出入装置のコンベヤとに供給して搬入途中または搬出途中の荷を出入り口より塔体外へ搬出させる動作を実行させるようにした荷昇降搬送設備。
【請求項4】
請求項3に記載された荷昇降搬送設備であって、停電の発生により昇降かごの昇降動作が途中で停止したことを判別する判別手段をさらに備え、停電の発生時に前記判別手段により昇降かごの昇降動作が途中で停止したことが判別されたとき、前記制御手段は、キャパシタに蓄えられた電力を昇降機構のモータと昇降かごのコンベヤと目的階の荷搬出入装置のコンベヤとに給電して昇降途中の昇降かごを目的階へ導きかつ昇降かご内の荷を出入り口より塔体外へ搬出させる動作を実行させるようにした荷昇降搬送設備。
【請求項5】
請求項3または4に記載された荷昇降搬送設備であって、前記制御手段は昇降機構の力行運転時にキャパシタに蓄えられた電力を昇降機構のモータへ供給している荷昇降搬送設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−111296(P2011−111296A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−270072(P2009−270072)
【出願日】平成21年11月27日(2009.11.27)
【出願人】(390032274)オムニヨシダ株式会社 (9)
【Fターム(参考)】