説明

荷重センサ付き軸受装置及び工作機械の主軸装置並びに工作機械

【課題】回転軸に作用するアキシャル荷重を、コンパクトなセンサによって精度良く測定することができる荷重センサ付き軸受装置及び工作機械の主軸装置並びに工作機械を提供する。
【解決手段】アンギュラ玉軸受20と、エンコーダ31及びこのエンコーダ31の被検出面に対向配置されるセンサ32からなるセンサユニット30を備える荷重セン
サ付き軸受装置10であって、センサユニット30のエンコーダ31が内輪12に設けられると共に、センサ32が外輪11に設けられる。エンコーダ31の被検出面は、円周方向に関して変化する特性のピッチが、軸方向に関して連続的に変化する部分を軸方向に単列で構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷重センサ付き軸受装置及び工作機械の主軸装置並びに工作機械に関し、より詳細には、工作機械の主軸等の回転軸に作用するアキシャル荷重を測定可能な荷重センサ付き軸受装置及び工作機械の主軸装置並びに工作機械に関する。
【背景技術】
【0002】
回転軸に作用するアキシャル荷重、例えば、工作機械の主軸に作用するアキシャル荷重を測定することは、大きなメリットを有する。即ち、工作機械の主軸に働くアキシャル荷重は、加工精度、加工効率、工具寿命等に与える影響が大きい重要なパラメータである。従って、アキシャル荷重を知ることにより適正な加工条件の選定が可能となる。例えば、加工条件は、一般的に工具の回転数や、送り速度によって決められているが、摩擦や、加工によって発生する熱等の制御し難い要因の影響も受けるので、回転数や送り速度を一定に設定しても、常に同じ加工精度が得られることはない。加工面の変化に対応する切削荷重(即ち、主軸のアキシャル荷重)を新たなパラメータとして考慮することで、より厳密な加工条件の選定が可能となり、加工精度の向上が期待される。
【0003】
具体的には、切り屑排出量が同じであれば、切削荷重の小さい加工条件の方が効率的な加工条件であり、省エネルギ、工具寿命の延長に有利となる。また、切削荷重の増加から、工具の切削性(切れ味)の低下や、刃先摩耗等の発生を推測することができ、工具寿命や、工具交換時期を知ることが可能となる。更に、切削荷重の変化の履歴を管理することによって、無理な切削加工条件や工具とワークとの衝突(衝撃荷重)等の軸受損傷要因を推定することができ、また把握した工具の寿命特性から工具の改良、改善が可能となる。
【0004】
上記したように、工作機械において切削荷重を知ることは重要である。しかし、工具が回転するタイプの工作機械(工具回転型工作機械)において、工具や回転軸に作用する荷重を検出することは、工具が回転しないタイプの工作機械(工具非回転型工作機械)と比較して困難が伴う。
【0005】
工作機械の主軸にかかる荷重を検出することができる従来の装置としては、主軸先端部に軸受型センサを配置した工作機械主軸の荷重検出装置が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1に記載の軸受型センサは、ハウジングと主軸間に転がり軸受を配置し、外輪外周に貼付した歪みゲージによって、軸受の転動体が歪みゲージの位置を通過する度に発生する歪みを検出して主軸に加わる荷重の大きさを検出している。
【0006】
また、転がり軸受の回転輪にエンコーダを装着すると共に、固定輪にセンサを取り付けて回転輪の回転速度を検出するようにしたエンコーダ装置及びこれを備えた転がり軸受が知られている(例えば、特許文献2参照。)。
【0007】
さらに、軸受ユニットのハブに配置したエンコーダと、このエンコーダの被検出面に近接対向させたセンサとにより、外輪とハブ間に加わる荷重を求めるようにした荷重測定装置付転がり軸受ユニットが知られている(例えば、特許文献3参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第2520370号公報
【特許文献2】特開平10−132603号公報
【特許文献3】特開2006−317420号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1に開示されている工作機械主軸の荷重検出装置は、軸受の内輪に働く力を、転動体及び軸受外輪を介して間接的に検出する装置であり、回転に伴う発生熱等のように不規則に発生して外輪に作用する外乱(ノイズ)を除去することが困難であり、精度良く荷重を検出することができない問題点があった。また、センサがハウジングの前面側に突出配置されているので、スピンドルの軸長が長くなるばかりでなく、センサ設置のための専用スペースを必要とする問題点があった。
【0010】
また、特許文献2に記載のエンコーダ装置及びこれを備えた転がり軸受は、高温の条件下において測定対象である高速の回転速度を検出することを目的とした装置であり、回転軸に作用するアキシャル荷重の測定を目的とする本発明とは異なる技術である。
【0011】
さらに、特許文献3に記載の荷重測定装置付転がり軸受ユニットは、軸受ユニットのハブにエンコーダを固定すると共に、このエンコーダの被検出面に検出部を近接対向させたセンサを外輪に配置し、検出部の出力信号の変化から外輪とハブとの間に加わる荷重を求めるものであり、ハブ以外への適用について具体的構成が記載されておらず、また、工作機械の主軸への適用についても言及されているが、これについても具体的構成が記載されていない。
【0012】
本発明は、前述した課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、回転軸に作用するアキシャル荷重を、コンパクトなセンサユニットによって精度良く測定することができる荷重センサ付き軸受装置及び工作機械の主軸装置並びに工作機械を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の上記目的は、下記の構成により達成される。
(1) 静止部材に嵌合固定される静止側軌道輪と、回転部材に嵌合固定される回転側軌道輪と、前記静止側軌道輪の静止側軌道及び前記回転側軌道輪の回転側軌道間に転動自在に配置された複数の転動体と、を備える軸受と、
被検出面の特性が円周方向に交互に変化するエンコーダと、前記エンコーダの前記被検出面に対向配置されて前記被検出面の前記特性の変化を検出するセンサと、からなるセンサユニットと、を備える荷重センサ付き軸受装置であって、
前記エンコーダは、前記回転側軌道輪に設けられ、前記エンコーダの被検出面は、円周方向に関して変化する前記特性のピッチが、軸方向に関して連続的に変化する部分を軸方向に単列で構成することを特徴とする荷重センサ付き軸受装置。
(2) 前記センサは、前記静止側軌道輪に設けられることを特徴とする(1)に記載の荷重センサ付き軸受装置。
(3) 前記センサは、前記静止側軌道輪の側方に配置された静止側間座に設けられることを特徴とする(1)に記載の荷重センサ付き軸受装置。
(4) 前記センサは、前記静止部材に設けられ、前記静止側軌道輪の側方に配置された静止側間座に形成された貫通孔から延出して、前記エンコーダの前記被検出面に対向配置されることを特徴とする(1)に記載の荷重センサ付き軸受装置。
(5) 静止部材に嵌合固定される静止側軌道輪と、回転部材に嵌合固定される回転側軌道輪と、前記静止側軌道輪の静止側軌道及び前記回転側軌道輪の回転側軌道間に転動自在に配置された複数の転動体と、を備える軸受と、
被検出面の特性が円周方向に交互に変化するエンコーダと、前記エンコーダの前記被検出面に対向配置されて前記被検出面の前記特性の変化を検出するセンサと、からなるセンサユニットと、を備える荷重センサ付き軸受装置であって、
前記エンコーダは、前記回転側軌道輪の側方に配置されて前記回転側軌道輪と共に回転する回転側間座に設けられ、前記エンコーダの被検出面は、円周方向に関して変化する前記特性のピッチが、軸方向に関して連続的に変化する部分を軸方向に単列で構成し、
前記センサは、前記静止側軌道輪に設けられることを特徴とする荷重センサ付き軸受装置。
(6) 静止部材に嵌合固定される静止側軌道輪と、回転部材に嵌合固定される回転側軌道輪と、前記静止側軌道輪の静止側軌道及び前記回転側軌道輪の回転側軌道間に転動自在に配置された複数の転動体と、を備える軸受と、
被検出面の特性が円周方向に交互に変化するエンコーダと、前記エンコーダの前記被検出面に対向配置されて前記被検出面の前記特性の変化を検出するセンサと、からなるセンサユニットと、を備える荷重センサ付き軸受装置であって、
前記エンコーダは、前記回転側軌道輪の側方に配置されて前記回転側軌道輪と共に回転する回転側間座に設けられ、前記エンコーダの被検出面は、円周方向に関して変化する前記特性のピッチが、軸方向に関して連続的に変化する部分を軸方向に単列で構成し、
前記センサは、前記静止側軌道輪の側方に配置された静止側間座に設けられることを特徴とする荷重センサ付き軸受装置。
(7) 前記軸受の側方には、前記回転部材の軸方向位置を位置決めするように前記軸受と組合せにて配置される他の軸受をさらに備え、
前記軸受のセンサユニットは、前記軸受の転動体と前記他の軸受の転動体との軸方向中間位置に位置するように、前記他の軸受に隣接して配置されることを特徴とする(1)〜(6)のいずれかに記載の荷重センサ付き軸受装置。
(8) 前記エンコーダの被検出面に、それぞれが他の部分とは特性が異なる1対の個性化部分より成る複数の被検出用組み合わせ部を、円周方向に亙り等間隔で配置しており、これら各被検出用組み合わせ部を構成する1対ずつの個性化部分同士の円周方向に関する間隔は、総ての被検出用組み合わせ部で軸方向に関して同じ方向に連続的に変化していることを特徴とする(1)〜(7)のいずれか1項に記載の荷重センサ付き軸受装置。
(9) 前記エンコーダの被検出面には、互いに異なる特性を有する第一被検出部と第二被検出部とが円周方向に関して交互に且つ等間隔で配置されており、前記両被検出部の円周方向に関する幅のうち、第一被検出部の幅は軸方向一端側程広く、第二被検出部の幅は軸方向他端側程広いことを特徴とする(1)〜(7)のいずれか1項に記載の荷重センサ付き軸受装置。
(10) 前記エンコーダが磁性材製で、前記センサが前記エンコーダの被検出面の磁気特性の変化に対応して出力信号を変化させるものであり、前記エンコーダの軸方向両端部に、第一、第二両被検出部同士の回転方向に関するピッチが軸方向に関して変化しない平行部が存在することを特徴とする(9)に記載の荷重センサ付き軸受装置。
(11) (1)〜(10)のいずれか1項に記載の荷重センサ付き軸受装置を備え、
前記回転部材である主軸のアキシャル荷重が測定可能であることを特徴とする工作機械の主軸装置。
(12) (11)に記載の主軸装置を備えたことを特徴とする工作機械。
【発明の効果】
【0014】
本発明の荷重センサ付き軸受装置によれば、被検出面の特性が円周方向に交互に変化するエンコーダと、被検出面に対向配置されて特性の変化を検出するセンサと、からなるセンサユニットを備え、エンコーダが、回転側軌道輪に設けられて一体化されているので、測定精度が向上するとともに、取扱い性のよい構成となる。
【0015】
また、エンコーダの被検出面は、円周方向に関して変化する特性のピッチが、軸方向に関して連続的に変化する部分を軸方向に単列で構成するので、センサを一つの磁気センサのみによって構成することができる。これにより、センサユニットのコスト低減が図られると共に、センサ、及びエンコーダの軸方向幅も狭くすることができる。
【0016】
また、センサが静止側軌道輪に設けられているので、軸受とセンサとが一体化されており、取扱い性がさらに向上すると共に、省スペース化を図ることができる。あるいはセンサが静止側軌道輪の側方に配置された静止側間座に設けられているので、軸受とセンサとを個別に修理、交換可能となる。
【0017】
また、センサが静止部材に設けられ、静止側間座に形成された貫通孔から延出して、エンコーダの被検出面に対向配置されるので、新たな専用スペースを設けることなく大きなセンサを使用することができる。
【0018】
また、本発明の他の荷重センサ付き軸受装置によれば、エンコーダは、回転側軌道輪の側方に配置されて回転側軌道輪と共に回転する回転側間座に設けられ、センサは、静止側軌道輪に設けられるので、軸受とエンコーダとが個別に修理、交換可能であり、また、センサが軸受と一体化されるので、取り扱い性が良好となる。
【0019】
また、本発明のさらに他の荷重センサ付き軸受装置によれば、エンコーダは、回転側軌道輪の側方に配置されて回転側軌道輪と共に回転する回転側間座に設けられ、センサは、静止側軌道輪の側方に配置された静止側間座に設けられるので、軸受とエンコーダとセンサとが個別に修理、交換可能である。
【0020】
また、軸受の側方には、回転部材の軸方向位置を位置決めするように軸受と組合せにて配置される他の軸受をさらに備え、軸受のセンサユニットは、軸受の転動体と他の軸受の転動体との軸方向中間位置に位置するように、他の軸受に隣接して配置されるので、回転部材の伸縮による軸方向移動がない位置で測定することができ、回転部材の伸縮による測定精度への影響が抑制され、回転部材の熱変形の影響を受けることなく、精度のよい荷重測定が可能となる。
【0021】
更に、エンコーダは、第一被検出部、及び第二被検出部が円周方向に交互に、且つその境界がエンコーダの軸方向中間部を境にして互いに逆方向に傾斜して配置された被検出面を備え、センサは、第一被検出部、及び第二被検出部にそれぞれ対向配置された一対の検出部を備えるので、回転部材に作用するアキシャル荷重の変動に伴って回転側軌道輪がアキシャル方向にずれると、被検出面(第一、及び第二被検出部)と一対の検出部との位置が相対的に変化し、両検出部の出力信号に位相ずれが生じる。従って、センサは、この位相ずれの大きさからアキシャル荷重の大きさを直接求めることができる。
【0022】
また、エンコーダの被検出面に、それぞれが他の部分とは特性が異なる1対の個性化部分より成る複数の被検出用組み合わせ部を、円周方向に亙り等間隔で配置しており、これら各被検出用組み合わせ部を構成する1対ずつの個性化部分同士の円周方向に関する間隔は、総ての被検出用組み合わせ部で軸方向に関して同じ方向に連続的に変化している。この様に構成した場合には、回転部材に作用するアキシャル荷重の変動に伴って回転側軌道輪がアキシャル方向にずれると、被検出面と検出部との位置が相対的に変化し、検出部の出力信号に軸方向位置のずれが生じる。従って、センサは、この軸方向位置のずれからアキシャル荷重の方向及び大きさを直接求めることができる。
即ち、アキシャル荷重を求めるためには、必ずしも相対変位量を求める必要はなく、演算部に、センサの出力信号に基づいて、アキシャル荷重の大きさを直接(上記相対変位量を求める過程を経る事なく)算出する機能を持たせることができる。
【0023】
さらに、エンコーダの被検出面には、互いに異なる特性を有する第一被検出部と第二被検出部とが円周方向に関して交互に且つ等間隔で配置されており、両被検出部の円周方向に関する幅のうち、第一被検出部の幅は軸方向一端側程広く、第二被検出部の幅は軸方向他端側程広い。この様な構成を採用した場合にも、回転部材に作用するアキシャル荷重の変動に伴って回転側軌道輪がアキシャル方向にずれると、被検出面と検出部との位置が相対的に変化し、検出部の出力信号に軸方向位置のずれが生じる。従って、センサは、この軸方向位置のずれからアキシャル荷重の方向及び大きさを直接求めることができる。
【0024】
また、工作機械の主軸装置や工作機械が上記の荷重センサ付き軸受装置を備えるので、切削時に主軸に作用するアキシャル荷重の測定が可能となり、このアキシャル荷重を加工条件の新たなパラメータとして考慮することで、より厳密な加工条件の選定が可能となり、加工精度を向上させることができる。更には、工具寿命、工具交換時期、及び軸受損傷要因の推測や、工具の改良、改善が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明に係る第1実施形態の荷重センサ付き軸受装置の断面図である。
【図2】(a)は図1に示すエンコーダの正面図であり、(b)はその斜視図である。
【図3】(a)は図1に示すセンサの斜視図であり、(b)はその平面図、(c)はその側面図である。
【図4】(a)は図1に示すセンサ取付穴が設けられた静止側軌道輪の斜視図であり、(b)はその平面図、(c)はその側面図である。
【図5】(a)は図4に示すセンサ取付穴に図3に示すセンサが取り付けられた状態を示す斜視図であり、(b)はその平面図、(c)はその側面図である。
【図6】図1に示すVI−VI線に沿った断面図である。
【図7】図1に示す荷重センサ付き軸受装置のアキシャル荷重の変動に伴って変化するセンサの出力信号を示す線図である。
【図8】第1実施形態の変形例の荷重センサ付き軸受装置の断面図である。
【図9】第2実施形態のエンコーダの斜視図である。
【図10】(a)は、エンコーダに対する検出部の位置を示し、(b)〜(d)は、図9に示す主軸装置のアキシャル荷重の変動に伴って変化するセンサの出力信号を示す線図である。
【図11】第2実施形態の変形例のエンコーダの斜視図である。
【図12】(a)は、図11に示すエンコーダに対する検出部の位置を示し、(b)〜(d)は、図11に示す主軸装置のアキシャル荷重の変動に伴って変化するセンサの出力信号を示す線図である。
【図13】(a)は第3実施形態のエンコーダの正面図であり、(b)はその斜視図である。
【図14】第3実施形態のエンコーダの外周面から見た展開図である。
【図15】第3実施形態の変形例に係るエンコーダの斜視図である。
【図16】第3実施形態の他の変形例に係るエンコーダの斜視図である。
【図17】(a)は第4実施形態のセンサの斜視図であり、(b)はその平面図、(c)はその側面図である。
【図18】(a)は第5実施形態のセンサの斜視図であり、(b)はその平面図、(c)はその側面図である。
【図19】図18に示す第5実施形態のセンサが取り付けられるセンサ取付穴が設けられた静止側軌道輪の斜視図であり、(b)はその平面図、(c)はその側面図である。
【図20】(a)は静止側軌道輪に取り付けられた第5実施形態のセンサの斜視図であり、(b)はその平面図、(c)はその側面図である。
【図21】第6実施形態の荷重センサ付き軸受装置を備える工作機械の主軸装置の断面図である。
【図22】第6実施形態の変形例の荷重センサ付き軸受装置の断面図である。
【図23】第7実施形態の荷重センサ付き軸受装置の断面図である。
【図24】第8実施形態の荷重センサ付き軸受装置の断面図である。
【図25】第9実施形態の荷重センサ付き軸受装置の断面図である。
【図26】第10実施形態の荷重センサ付き軸受装置を備える工作機械の主軸装置の要部断面図である。
【図27】本実施形態の主軸装置が適用される門形マシニングセンタの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明に係る荷重センサ付き軸受装置の各実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0027】
(第1実施形態)
図1は本発明に係る第1実施形態の荷重センサ付き軸受装置の断面図である。第1実施形態の荷重センサ付き軸受装置10は、静止側軌道輪である外輪11と、回転側軌道輪である内輪12と、静止側軌道である外輪軌道溝11a及び回転側軌道である内輪軌道溝12a間に接触角を持って配置され、保持器14によって回動自在に保持された転動体としての複数の玉13と、を備えるアンギュラ玉軸受20を有する。アンギュラ玉軸受20の外輪11は、静止部材であるハウジング(図示せず)に内嵌・固定され、内輪12は回転部材である回転軸(図示せず)に嵌合固定される。
【0028】
アンギュラ玉軸受20の軸方向一端側(図1において右側)には、エンコーダ31及びセンサ32を備えたセンサユニット30が配置されている。即ち、エンコーダ31が、内輪12の一端側の外周面にリング状に形成され、センサ32が、エンコーダ31に対向して外輪11に形成されたセンサ取付穴15に取り付けられている。
【0029】
エンコーダ31は、図2に示すように、磁性金属部材である内輪12の内輪軌道溝12aの軸方向側方の外周面に、複数の被検出用組み合わせ部33、33を、円周方向に亙り等間隔で配置している。これら各被検出用組み合わせ部33、33は、それぞれが他の部分とは特性が異なる1対の個性化部分34、34により構成している。この様な各個性化部分34、34として本実施形態の場合には、長尺の溝を採用している。
【0030】
各被検出用組み合わせ部33、33を構成する1対ずつの個性化部分34、34同士の円周方向に関する間隔は、総ての被検出用組み合わせ部33、33で軸方向に関して同じ方向に連続的に変化させる。即ち、各被検出用組み合わせ部33、33を構成する1対ずつの個性化部分34、34同士の円周方向に関する間隔が、エンコーダ31の軸方向一端(図2(a)の右側)程小さくなり、円周方向に隣り合う各被検出用組み合わせ部33、33を構成する個性化部分34、34同士の円周方向に関する間隔が、エンコーダ31の軸方向他端(図2(a)の左側)程小さくなる方向に傾斜している。このエンコーダ31は、後述するセンサ32と共にセンサユニット30を構成する。
なお、エンコーダ31は、内輪12の外周面を加工して複数の被検出用組み合わせ部33を形成することで、内輪12と一体に形成されているが、内輪12に小径部を形成し、この小径部に複数の被検出用組み合わせ部33が形成されたリング状部材を外嵌することで一体化するようにしてもよい。
【0031】
センサ32は、図3に示すように、検出部である磁気センサ36を内蔵し、大径部32a及び小径部32bからなる段付円筒状に形成されている。大径部32aの上面には、U字溝32cが形成されている。U字溝32cには、長円形状の固定治具38の一端が嵌合する。また、大径部32aの側面から検出信号を演算装置150(図21参照)に出力する信号線37が導出されている。
【0032】
なお、磁気センサ36の構造は、永久磁石を組み込んだものであれば、特にその形式を問わない。即ち、この永久磁石から出る磁束の流れを導くポールピースの周囲にコイルを巻回して成る、所謂パッシブ型のものであっても、磁束の密度に応じて特性を変化させる磁気検出素子を組み込んだ、所謂アクティブ型のものであっても使用される。また、本実施形態のセンサ32としては、被検出用組み合わせ部33の溝のエッジを検出可能なものであればよく、光学センサ等が使用されてもよい。
【0033】
また、センサ32は、有線式センサ、無線式センサ、いずれの方式のセンサも使用可能であり、特に、限定されない。例えば、有線式センサの場合、センサとコードが一体に接続されるコード一体型センサ、あるいはソケット式コネクタやマグネット式コネクタでセンサとコードが接続されるコネクタ接続型センサが使用可能である。
【0034】
図4に示すように、外輪11に設けられたセンサ取付穴15は、一端側が外輪11の側面に開放されたU字穴15aと、U字穴15aの底部側でU字穴15aの溝幅より大きな直径を有するざぐり穴15bとから構成された段付き穴である。更に、外輪11の外周面には、一端がざぐり穴15bに連続するU字溝15cが形成されている。U字溝15cには、センサ32を固定するための雌ねじ穴40が設けられている。
【0035】
図5に示すように、センサ32は、センサ取付穴15に挿入した後、固定治具38をセンサ32のU字溝32c、及び外輪11のU字溝15cに嵌合させてねじ41で固定することで外輪11に組み付けられる。センサ32の信号線37は、U字穴15aから外部に導出されて演算装置(図示せず)に接続される。
【0036】
これにより、センサ32の先端に設けられた磁気センサ36は、内輪12に固定されたエンコーダ31の被検出面に対向して、所定の位置に位置決めされる。即ち、エンコーダ31とセンサ32とは、磁気センサ36が被検出面の軸方向中間部P(図2参照。)に位置する。
【0037】
なお、外輪11には、図6に示すように、このセンサ取付穴15と一対のノズル穴35が径方向に貫通して設けられている。一対のノズル穴35には、それぞれ給油ノズル(図示せず)が配置されており、潤滑装置から供給された潤滑油が、給油ノズルのノズルからアンギュラ玉軸受20に向けて吐出されて潤滑する。ノズル穴35は、軸方向において外輪11に形成されたセンサ取付穴15と略同一位置、且つ円周方向位相が異なる位置に設けられている。
【0038】
センサ取付穴15を、ノズル穴35と軸方向略同一位置に配置することにより、センサ32を配置するための専用スペースが不要となり、小型化が可能となる。尚、ノズル穴35(給油ノズル)とセンサ取付穴15(センサ32)との円周方向位相は、特に限定されず任意に設定することができる。また、潤滑方式は、オイルエア潤滑、オイルミスト潤滑、直噴潤滑、グリース潤滑等のいずれであってもよい。また、運転中の潤滑剤の供給を必要としない潤滑方法で使用される場合は、ノズル穴などの潤滑剤供給スペースは必要ない。
【0039】
第1実施形態のセンサユニット30の作用を、図7に基づいて説明する。この様なエンコーダ31の被検出面である外周面にその検出部を対向させたセンサ32の出力信号は、各個性化部分34、34に対向する瞬間に変化する。そして、変化する間隔(周期)は、センサ32の検出部が対向する部分の軸方向位置の変化に伴って変化する。例えば、内輪12にアキシャル荷重が作用していない場合、センサ32の検出部は、仮想線αで示した、被検出面の中央部を走査し、出力信号は、図7(c)に示す様に変化する。
【0040】
ここで、回転軸、即ち内輪12に、図7(a)において下向き(内輪軌道溝12a側からエンコーダ31側への向き)のアキシャル荷重が作用すると、エンコーダ31に対する検出部の位置は、図7(a)に示す仮想線β上に移動し、出力信号は、図7(b)に示す様に変化する。
【0041】
また、内輪12に上向き(エンコーダ31側から内輪軌道溝12a側への向き)のアキシャル荷重が作用すると、検出部の位置が図7(a)に示す仮想線γ上に移動し、出力信号は、図7(d)に示す様に変化する。
【0042】
上記したように、磁気センサ36の出力信号は、内輪12に作用するアキシャル荷重の方向に応じて、また、アキシャル荷重の大きさに比例して変化する。従って、アンギュラ玉軸受20の剛性(ばね定数)を予め測定あるいは計算して、アキシャル荷重の大きさと内輪12(回転軸)の変位量との関係を求めておけば、磁気センサ36からの出力信号のパターンに基づいて、回転軸に作用するアキシャル荷重の方向及び大きさが、演算装置150によって求められる。
【0043】
また、センサユニット30は、エンコーダ31とセンサ32とから構成されるので、アキシャル荷重だけでなく、同時に回転軸の回転数も検出することができるマルチセンサとして機能する。
【0044】
上記したように、第1実施形態の荷重センサ付き軸受装置10は、アンギュラ玉軸受20の内輪12にエンコーダ31が装着され、外輪11にセンサ32が取り付けられて、アンギュラ玉軸受20とセンサユニット30とが一体となっている。このように一体型とすることによって、取扱い性が大幅に向上し、また、内輪12に作用する荷重を直接測定して、高精度での検出が可能となる。
【0045】
また、本実施形態では、エンコーダ31の被検出面は、円周方向に関して変化する特性のピッチが、軸方向に関して連続的に変化する部分を軸方向に単列で構成しており、センサ32を一つの磁気センサ36のみによって構成することができる。これにより、センサユニットのコスト低減が図られると共に、センサ32、及びエンコーダ31を構成する内輪12の軸方向幅も狭くすることができる。これにより、軸受装置10の軸方向長さも短くすることができ、軸受装置10を工作機械用主軸装置に適用した場合の主軸装置の軸長を短くすることができる。特に、5軸加工機などでスピンドル軸が旋回する(例えば、±120°前後で旋回)方式の工作機械の場合、スピンドル軸長が短くなれば、旋回半径を小さくすることができ、工作機械全体の省スペース化や加工スペースを確保でき、3次元加工を行う場合など、軸受装置10の動作が容易となり、加工プログラム作成の容易性や加工性が向上できるメリットがある。
【0046】
図8は、第1実施形態の変形例に係る荷重センサ付き軸受装置を示す。このアンギュラ玉軸受20は、玉13とセンサユニット30との間に配置されたシール16aとアンギュラ玉軸受20の開放側端部(図8において左側端部)に配置されたシール16bとによって軸受空間を密封している。
【0047】
グリース潤滑される軸受では、使用用途に合わせて適量のグリースが封入されるが、長期間の使用等によってグリース量が不足すると軸受寿命に大きな影響を及ぼす虞がある。このため、このようなシール16a,16bを有するアンギュラ玉軸受20は、グリース潤滑される場合に好適に使用される。
【0048】
シール16aの装着位置は、玉13とセンサユニット30との間に限定されず、センサ側端部(図8において右側端部)であってもよい。また、必要に応じて、いずれか一方にのみ設けることもでき、更には、グリース漏れが許容可能であれば、シール16a,16bを設けなくてもよい。
なお、以下に説明する各実施形態において、グリース潤滑されるアンギュラ玉軸受20が用いられる場合には、上記したシール16a,16bが同様に使用されてもよい。
【0049】
(第2実施形態)
図9は本発明の第2実施形態に係るエンコーダの斜視図である。第2実施形態のエンコーダ31は、磁性金属部材からなる内輪12の外周面に、互いに異なる特性を有する第1被検出部である凸部93と第2被検出部である凹部94とが円周方向に関して交互に且つ等間隔に形成されている。凸部93及び凹部94は、台形若しくは倒立台形に形成されており、凸部93の幅は、軸方向一端(図9の左下側)側程広く、凹部94の幅は、軸方向他端(図9の右上側)側程広い。
【0050】
本実施形態のエンコーダ31は、内輪12(回転軸)にアキシャル荷重が作用していない状態では、センサ32の磁気センサ36は、図10(a)に示す仮想線α上に位置している。従って、磁気センサ36の出力信号(デューティー比)は、図10(c)に示す様に変化する。
【0051】
ここで、回転軸、即ち内輪12に、図10(a)において下向き(エンコーダ31側から内輪軌道溝12a側への向き)のアキシャル荷重が作用すると、エンコーダ31の軸方向位置が内輪12と共に下方に移動する。これにより、エンコーダ31に対する磁気センサ36の位置が、図10(a)に示す仮想線β上に移動し、磁気センサ36の出力信号(デューティー比)は、図10(b)に示すように変化する。
【0052】
また、内輪12に、図10(a)において上向き(内輪軌道溝12a側からエンコーダ31側への向き)のアキシャル荷重が作用すると、エンコーダ31の軸方向位置が内輪12と共に上方に移動して、エンコーダ31に対する磁気センサ36の位置が、図10(a)に示す仮想線γ上に移動し、磁気センサ36の出力信号(デューティー比)は、図10(d)に示すように変化する。従って、検出部からの出力信号(デューティー比)に基づいて、回転軸に作用するアキシャル荷重の方向及び大きさが演算装置150によって求められる。
なお、その他の構成及び作用については、第1実施形態のものと同様である。
【0053】
図11は本発明の第2実施形態の変形例に係るエンコーダの斜視図である。このエンコーダ31では、その外周面に形成した凸部93、93と凹部94、94との形状を工夫する事により、センサ32の出力信号を安定させるものである。即ち、本実施例の場合には、各凸部93、93及び凹部94、94の軸方向両端部を、それぞれエンコーダ31の円周方向に関する幅寸法がこのエンコーダ31の軸方向に関して変化しない、平行部93a,93b、94a,94bとしている。従って、エンコーダ31の被検出面である外周面の特性が円周方向に関して変化するピッチは、この外周面の軸方向中間部では、軸方向位置により変動するが、軸方向両端部では軸方向位置に拘らず変動しない。
【0054】
本変形例の場合に、各平行部93a、93b、94a、94bを設ける事で、センサ32の出力信号を安定させられる理由は、次の通りである。前述した通り、エンコーダとして磁性材製で被検出面に凹凸部を形成したものを使用する事により、永久磁石製のエンコーダに比べて被検出面の特性変化のピッチを高精度にできる。但し、上述した実施形態の場合には、この特性変化のピッチを短くすべく、凹部と凸部との間隔を短くすると、センサの検出部がエンコーダの被検出面の幅方向両端部(軸方向両端部)近傍に対向する状態で、これら検出部と被検出面との間を流れる磁束の流れが不安定になり、上記センサの出力が不安定になり易い。例えば、図9に示したエンコーダ31で、凸部93、93と凹部94、94とのピッチを短くした場合、円周方向に隣り合う台形の凸部93、93の底辺同士が近接する。特に、エンコーダ31とセンサ32とが軸方向に大きくずれた場合でも回転軸の回転速度検出を可能とすべく、これらエンコーダ31とセンサ32との間で許容される軸方向に関する相対変位量を確保する為に、台形形状の高さ寸法を大きくした場合に、上述の様に円周方向に隣り合う台形の凸部93、93の底辺同士が近接する傾向が著しくなる。
【0055】
これに対して本変形例の場合には、各平行部93a、93b、94a、94bを設ける事に伴って、円周方向に隣り合う台形の凸部93、93の底辺同士が過度に近接する事を防止できる。そして、センサ32の検出部がエンコーダ31の外周面の軸方向端部で凸部93、93の底辺に対応する部分に対向した場合でも、センサ32の検出部とエンコーダ31の被検出面との間を流れる磁束の流れを安定させて、センサ32の出力を安定させる事ができる。また、エンコーダ31とセンサ32との軸方向の変位量が多少大きくなっても、センサ32による、回転軸の回転速度検出を行なえる。
【0056】
尚、各平行部93a、93b、94a、94bの円周方向両側縁の形状は、直線としているが、この部分の形状は必ずしも直線でなくても良い。例えば、センサ32の感度や感受範囲(スポット径)によって、軸方向に対し多少傾斜させたり、曲率半径の大きな円弧状にする事もできる。又、エンコーダ31と組み合わせるセンサ32の構造は、永久磁石を組み込んだものであれば、特にその型式を問わない。即ち、この永久磁石から出る磁束の流れを導くポールピースの周囲にコイルを巻回して成る、所謂パッシブ型のものであっても、磁束の密度に応じて特性を変化させる磁気検出素子を組み込んだ、所謂アクティブ型のものであっても使用できる。但し、図12に示す様に、センサ32の検出部がエンコーダ31の軸方向中間部に対向した状態で、このエンコーダ31の外周面に存在する各凸部93、93及び凹部94、94の、回転方向に関する長さ寸法の比率をセンシングする必要上、センサ32のスポット径は小さい方が、この比率を高精度で求める面から好ましい。
【0057】
(第3実施形態)
図13(a)は、本発明に係る第3実施形態のエンコーダ(内輪)の正面図であり、(b)はその斜視図、図14はその外周側から見た展開図である。
本実施形態の内輪12は、第1実施形態の内輪12(図2)の外周面において、エンコーダ31の軸方向両側第1の溝部12bと第2の溝部12cとを凹設したものである。
【0058】
本実施形態の内輪12では、溝部12b,12cの軸方向幅Lb,Lcはそれぞれ1mm以上に設定されており、エンコーダ31の個性化部分34は、溝部12b,12cの両方の軸方向端面12bS,12cSに開口するように連続的に形成されている。また、溝部12b,12cの深さHb,Hcは、個性化部分34の深さよりも大きく設定されており、溝部12b,12cの外周面は個性化部分34の外周面よりも内径側に位置している。
【0059】
この内輪12によれば、エンコーダ31の個性化部分34を設ける際、軸方向両端部に個性化部分34よりも内径側にまで切り欠かれた溝部12b,12cが形成されているため、個性化部分34を軸方向に渡って切り通すことが可能となる。
【0060】
したがって、溝部12b,12cを有する内輪12にエンコーダ31の個性化部分34をミーリング加工機等で切削加工する際、個性化部分34は軸方向に渡って切り通すことで形成することができ、加工性を向上することができる。また、加工機が溝部12bの軸方向端面12bSを抜ける際に、該軸方向端面12bS近傍にバリが発生した場合であっても、バリが内輪72(図21参照)と当接する内輪12の軸方向端面12dに影響を及ぼすことがないので、内輪端面の平行度が向上する。これによって、内輪12,72を精度良く組み立てることが可能となる。
【0061】
また、個性化部分34は、溝部12b,12cの軸方向端面12bS,12cS間を軸方向に渡って切り通すことで形成されているので、各個性化部分34の軸方向寸法誤差を低減することができる。これによって、各個性化部分34の寸法のアンバランスに起因する主軸装置の振動を抑制することが可能となる。これは、特に、工具を高速回転させる際に、顕著な効果を発揮する。
なお、その他の構成及び作用については、第1実施形態のものと同様である。
また、本実施形態では、内輪12に第1及び第2の溝部12b、12cを形成しているが、バリの影響を受けない内輪端面の平行度を向上する構成として、第1の溝部12bのみを形成するようにしてもよい。
【0062】
また、本実施形態の溝部12b,12cを有する内輪12の構成は、図15に示すように、第2実施形態の凸部93及び凹部94によってエンコーダ31を構成する内輪12にも適用可能であり、また、図16に示すように、第2実施形態の変形例である、平行部93a,93b,94a,94bを持った凸部93及び凹部94によってエンコーダ31を構成する内輪12にも適用可能である。
【0063】
(第4実施形態)
図17(a)は、本発明に係る第4実施形態のセンサの斜視図であり、(b)はその平面図、(c)はその側面図である。本実施形態のセンサ32は、(即ち、樹脂製のセンサケース)は、その大径部32aの外周面から軸方向一端側(図17(c)の右側)に向かって延出するフランジ部32fを有する。
【0064】
フランジ部32fには穴32faが設けられており、その内部には金属製の補強リング120が一体成型されている。補強リング120は、穴32faよりも軸方向に長く、フランジ部32fの表裏面から突出する。そして、ねじ41を、補強リング120の内部を通じて、外輪11に螺合することによって、センサ32は固定される。
【0065】
このように、固定治具38を使用せずに、センサ32に設けたフランジ部32fによってセンサ32を外輪11に固定する場合、補強リング120を設けず、フランジ部32fをねじ41で直接締め付けようとすると、樹脂製のセンサ32に強度不足による破損、クリープ変形による緩み、変位による不具合等が発生する可能性がある。
【0066】
一方、本実施形態のセンサ32は、金属製の補強リング120を穴32fa内部に一体成型したことにより、補強リング120のみでねじ41の締付力を受け、フランジ部32fに締付力が伝わることを防止できる。これによって、フランジ部32fの破損、クリープ変形による緩み、変位による不具合の発生等を防ぐことができる。
その他の構成及び作用については、第1実施形態のものと同様である。
【0067】
(第5実施形態)
図18〜図20は、第5実施形態の荷重センサ付き軸受装置のセンサ構造を示している。第5実施形態のセンサ32は、図4に示すセンサと実質的に同じであるが、外形形状が異なる。即ち、本実施形態のセンサ32は、磁気センサ36を内蔵し、上部には左右に延設されたフランジ部32dが設けられ、該フランジ部32dには、穴32eが形成されている。この穴32e内部にも金属製の補強リング120が一体成型される。補強リング120は、長さが穴32eよりも長く設定されているため、フランジ部32dの表裏面から突出している。
【0068】
図19に示すように、外輪11に設けられたセンサ取付穴50は、外輪11の一端面側から形成されたコの字状溝51と、このコの字状溝51の底部に開口を有するU字溝52と、コの字状溝51の底部に形成された一対の雌ねじ穴53とからなる。
【0069】
センサ32のセンサ取付穴50への取り付けは、図20に示すように、センサ32をU字溝52に嵌合させ、ねじ54を補強リング120の内部を通じて雌ねじ53に螺合させて、フランジ32dをコの字状溝51に固定して行われる。このように構成することで、外輪11に形成される雌ねじ穴53をセンサ32より軸方向一端面側に形成することができ、高負荷時に雌ねじ穴53部分に応力集中が作用するのを防止することができる。
また、この実施形態においても、金属製の補強リング120を穴32e内部に一体成型したことにより、補強リング120のみでねじ54の締付力を受け、フランジ部32dに締付力が伝わることを防止できる。これによって、フランジ部32dの破損、クリープ変形による緩み、変位による不具合の発生等を防ぐことができる。
なお、その他の構成及び作用については、第1実施形態のものと同様である。
【0070】
(第6実施形態)
第6実施形態では、第1実施形態の荷重センサ付き軸受装置を備える工作機械の主軸装置について図21を参照して説明する。本実施形態の工作機械の主軸装置60は、モータビルトイン方式であり、その中心部には、回転部材である中空状の回転軸(主軸)61が設けられている。回転軸61の軸方向端部(図21において左側)には、不図示の工具が保持されている。
【0071】
回転軸61は、その工具側を支承する前側軸受である一対のアンギュラ玉軸受20、70と、反工具側を支承する後側軸受80とによって、静止部材であるハウジング62に回転自在に支持されている。一対のアンギュラ玉軸受20、70は、背面組合せされて、アンギュラ玉軸受20のセンサユニット30が、アンギュラ玉軸受70寄りに配置される。センサユニット30の信号線37は、ハウジング62に形成された溝62c内を配索されて外部に導出され、演算装置150に電気的に接続されて、検出信号を送出する。なお、アンギュラ玉軸受20は、本発明の軸受であり、アンギュラ玉軸受70は、本発明の他の軸受である。
【0072】
前側軸受20,70と後側軸受80間における回転軸61の外周面には、ロータ63が外嵌されている。また、ロータ63の周囲に配置されるステータ64は、ハウジング62に固定されており、ステータ64に電力を供給することで、ロータ63に回転力を発生させて、回転軸61を回転させる。尚、ハウジング62は、前側軸受70とステータ64との間で軸方向に2分割されたハウジング62aとハウジング62bとから構成されている。
【0073】
第1実施形態のアンギュラ玉軸受20と背面組み合わせされるアンギュラ玉軸受70は、静止側軌道輪である外輪71と、回転側軌道輪である内輪72と、静止側軌道である外輪軌道溝71a及び回転側軌道である内輪軌道溝72a間に、接触角を持って配置された転動体としての複数の玉73と、を備える。
【0074】
前側軸受20,70の外輪11,71は、ハウジング62に内嵌されてハウジング62にボルト締結された前側軸受外輪押え65によって、ハウジング62に固定されている。また、前側軸受20,70の内輪12,72は、回転軸61に外嵌され、回転軸61に締結されたナット66によって回転軸61に固定されている。前側軸受20,70は、ナット66によって定位置予圧が付与されて、回転軸61の軸方向位置が位置決めされる。
【0075】
後側軸受80は、円筒ころ軸受であり、外輪81と、内輪82と、転動体としての複数の円筒ころ83と、を有する。後側軸受80の外輪81はハウジング62に内嵌され、ハウジング62にボルト締結された後側軸受外輪押え67によって外輪間座68を介してハウジング62に固定されている。後側軸受80の内輪82は、回転軸61に締結された他のナット69によって内輪間座55を介して回転軸61に固定されている。
【0076】
軸方向において前側軸受20,70、及びステータ64に対応するハウジング62の外周面には、円環状の冷却油溝56、57が形成されている。この冷却油溝56、57は、ハウジング62に外嵌するリング状の冷却ジャケット58、59によって覆われている。そして、この冷却油溝56、57に供給された冷却油によって前側軸受20,70、及びステータ64が冷却される。
【0077】
このように、背面組合せされたアンギュラ玉軸受20、70によって支持され、軸方向位置が位置決めされる回転軸(主軸)61は、2つのアンギュラ玉軸受20、70の軸方向中心位置(具体的には、磁気センサ36の位置)が一定となり、この位置を中心として伸縮する。そして、アンギュラ玉軸受20のセンサユニット30は、2つのアンギュラ玉軸受20、70の各玉13,73の軸方向中心位置に位置するようにアンギュラ玉軸受70に配置されているので、熱等によって回転軸61が伸縮変形しても、測定位置である2つのアンギュラ玉軸受20、70の軸方向中心位置が移動することはない。従って、熱等による軸伸縮の影響による測定精度の低下を抑制することができ、アキシャル荷重による回転軸61の移動により発生する検出部(図2参照)の出力による位相ずれを高精度で測定することができ、この位相ずれに基づいて、アキシャル荷重が演算装置150によって求められる。
【0078】
なお、図22に示す第6実施形態の変形例では、アンギュラ玉軸受20の内輪12のエンコーダ31が形成される部分の内周面12cを僅かに大径として回転軸12との嵌めあいを隙間嵌めとしている。
【0079】
荷重センサ付き軸受装置10が工作機械の主軸装置に使用される場合、アンギュラ玉軸受20の内輪12は、回転軸61と内輪12との相対的な滑りを防止するため、主軸に締まりバメされるのが一般的である。特に、高速回転で使用される回転軸61においては、遠心力によって内輪12が膨張するため、締め代が大きく設定されるので、内輪12にかかる負荷が大きい。このような内輪12の外周面にエンコーダ31が外嵌固定されると、エンコーダ31の変形による検出精度の低下や、エンコーダ31の破損等が懸念される。このため、内輪12のエンコーダ31が形成される部分と回転軸12との嵌めあいを隙間嵌めとすることで、このような問題を回避することができる。また、これによって、締め代部の軸方向長さを短くすることができ、エンコーダ31の組付けが容易となる。
【0080】
(第7実施形態)
図23は第7実施形態の荷重センサ付き軸受装置の断面図である。第7実施形態の荷重センサ付き軸受装置10では、外輪11と別体に、静止側間座である外輪間座76が設けられており、外輪間座76のセンサ取付穴15にセンサ32が装着されている。また、エンコーダ31は、第1実施形態と同様、内輪12と一体に形成されている。
【0081】
このように構成することで、アンギュラ玉軸受20とセンサ32のいずれかに不具合が生じたとき、個別に修理、交換が可能となるので、メンテナンス性が向上すると共に、コストを抑制することができる。また、荷重センサ付き軸受装置10の使用条件、あるいは必要精度等に応じて、センサ32を好適な仕様のものに適宜交換することができ、要求される仕様に対して柔軟に対応することが可能となる。さらに、エンコーダ31と内輪12とは一体に形成されているので、取り扱い性が良好となる。また、本実施形態では、外輪11に雌ねじ穴を設ける必要がなく、好ましい。
その他の構成及び作用については、第1実施形態のものと同様である。
【0082】
(第8実施形態)
図24は第8実施形態の荷重センサ付き軸受装置の断面図である。第8実施形態の荷重センサ付き軸受装置10は、内輪12と別体に、回転輪間座である内輪間座75が設けられており、内輪間座75の外周面にエンコーダ31が形成されている。また、センサ32は、第1実施形態と同様、外輪12のセンサ取付穴15に一体に形成されている。
【0083】
このように構成することで、アンギュラ玉軸受20とエンコーダ31のいずれかに不具合が生じたとき、個別に修理、交換が可能となると共に、使用条件に応じてエンコーダを取り替えることも容易となる。例えば、高速スピンドルに適用されて、遠心力によってエンコーダ31が破損する可能性がある場合、高速回転対策が施されたエンコーダ31に交換して容易に対応することができる。さらに、荷重センサ付き軸受装置10の使用条件、あるいは必要精度等に応じて、エンコーダ31を好適な仕様のものに適宜交換することができ、要求される仕様に対して柔軟に対応することが可能となる。また、センサ32と外輪13とは一体に形成されているので、取り扱い性が良好となる。
その他の構成及び作用については、第1実施形態のものと同様である。
【0084】
(第9実施形態)
図25は第9実施形態の荷重センサ付き軸受装置の断面図である。第9実施形態の荷重センサ付き軸受装置10は、外輪11と別体に、静止側間座である外輪間座76が設けられており、外輪間座76のセンサ取付穴15にセンサ32が装着されている。また、内輪12と別体に、回転輪間座である内輪間座75が設けられており、内輪間座75の外周面にエンコーダ31が形成されている。
【0085】
このように、アンギュラ玉軸受20とセンサユニット30を分離構造とすることにより、アンギュラ玉軸受20、エンコーダ31、及びセンサ32のいずれかに不具合が生じたとき、個別に修理、交換が可能となるので、メンテナンス性が向上すると共に、コストを抑制することができる。
【0086】
また、荷重センサ付き軸受装置10の使用条件、あるいは必要精度等に応じて、軸受20、エンコーダ31、及びセンサ32を好適な仕様のものに適宜交換することができ、要求される仕様に対して柔軟に対応することが可能となる。例えば、高速回転軸に適用されて、遠心力によってエンコーダ31が破損する可能性がある場合、高速回転対策が施されたエンコーダ31に交換して容易に対応することができる。また、本実施形態の荷重センサ付き軸受装置10は、図21に示すような背面組み合わせ軸受としたとき、軸受内外輪ではなく、内輪間座75及び外輪間座76を用いて、軸受の予圧調整を容易に行うことができる。
その他の構成及び作用については、第1実施形態のものと同様である。
【0087】
(第10実施形態)
図26は第10実施形態の荷重センサ付き軸受装置を備える工作機械の主軸装置の要部断面図である。本実施形態の荷重センサ付き軸受装置10が適用される工作機械の主軸装置60では、エンコーダ31は、第7実施形態と同様、アンギュラ玉軸受20の内輪12の一端側に形成される。一方、センサ132は、ハウジング62のセンサ取付穴77に取り付けられると共に、外輪11と別体に設けられた外輪間座76に形成され、センサ取付穴77と径方向に連続する貫通穴78から延出する。これにより、センサ132の磁気センサ36がエンコーダ31の被検出面に対向配置される。
【0088】
従って、本実施形態の荷重センサ付き軸受装置10では、外輪11や外輪間座76に取り付けられるセンサ32と比較して、大きなセンサ132を使用することができ、より高性能、且つ高機能なセンサ132を用いることが可能となる。
その他の構成及び作用については、第6実施形態の主軸装置60と同様である。
【0089】
尚、本発明は、前述した各実施形態及び変形例に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。
例えば、上記の説明においては、アンギュラ玉軸受20、または内外輪間座75、76にセンサユニット30を組み付けた構造の荷重センサ付き軸受装置10について説明したが、これには限定されず、他の形式の軸受や軸受間座と組み合わせることも可能であり、組み合わされる軸受の列数や、組み合わせ方も任意である。
また、工作機械の主軸装置以外の回転軸にも適用することができ、同様の効果を奏する。
【0090】
加えて、スピンドル軸のアキシャル荷重を測定可能な、本実施形態の主軸装置60は、工作機械に組み込んで適用可能であり、例えば、図27に示すような門形マシニングセンタ201に装着される。具体的に、門形マシニングセンタ201では、ベッド202の上にテーブル203がX軸方向へ移動可能に支持されており、ベッド202の両側には一対のコラム204が立設されている。コラム204の上端にはクロスレール205が架設されており、クロスレール205には、サドル206がY軸方向へ移動可能に設けられる。また、サドル206には、Z軸方向に昇降可能なラム207が支持されており、ラム207の下端には、主軸装置60をY軸回り及びZ軸回りに回転割出し駆動可能に保持する主軸ヘッド208が装着されている。主軸ヘッド208の2本の支持アーム208a内には、図示しないチルト機構が設けられており、主軸装置60は、このチルト機構によってブラケット209を介してY軸回りに回転割出しされる。
【符号の説明】
【0091】
10 荷重センサ付き軸受装置
11 外輪(静止側軌道輪)
11a 外輪軌道溝(静止側軌道)
12 内輪(回転側軌道輪)
12a 内輪軌道溝(回転側軌道)
13 玉(転動体)
20 アンギュラ玉軸受(軸受)
30 センサユニット
31 エンコーダ
32,132 センサ
33 被検出用組み合わせ部
34 個性化部分
36 磁気センサ(検出部)
60 工作機械の主軸装置
61 回転軸(主軸、回転部材)
62 ハウジング(静止部材)
70 アンギュラ玉軸受(軸受)
75 内輪間座(回転側間座)
76 外輪間座(静止側間座)
78 貫通孔
93 凸部(第1被検出部)
94 凹部(第2被検出部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
静止部材に嵌合固定される静止側軌道輪と、回転部材に嵌合固定される回転側軌道輪と、前記静止側軌道輪の静止側軌道及び前記回転側軌道輪の回転側軌道間に転動自在に配置された複数の転動体と、を備える軸受と、
被検出面の特性が円周方向に交互に変化するエンコーダと、前記エンコーダの前記被検出面に対向配置されて前記被検出面の前記特性の変化を検出するセンサと、からなるセンサユニットと、を備える荷重センサ付き軸受装置であって、
前記エンコーダは、前記回転側軌道輪に設けられ、前記エンコーダの被検出面は、円周方向に関して変化する前記特性のピッチが、軸方向に関して連続的に変化する部分を軸方向に単列で構成することを特徴とする荷重センサ付き軸受装置。
【請求項2】
前記センサは、前記静止側軌道輪に設けられることを特徴とする請求項1に記載の荷重センサ付き軸受装置。
【請求項3】
前記センサは、前記静止側軌道輪の側方に配置された静止側間座に設けられることを特徴とする請求項1に記載の荷重センサ付き軸受装置。
【請求項4】
前記センサは、前記静止部材に設けられ、前記静止側軌道輪の側方に配置された静止側間座に形成された貫通孔から延出して、前記エンコーダの前記被検出面に対向配置されることを特徴とする請求項1に記載の荷重センサ付き軸受装置。
【請求項5】
静止部材に嵌合固定される静止側軌道輪と、回転部材に嵌合固定される回転側軌道輪と、前記静止側軌道輪の静止側軌道及び前記回転側軌道輪の回転側軌道間に転動自在に配置された複数の転動体と、を備える軸受と、
被検出面の特性が円周方向に交互に変化するエンコーダと、前記エンコーダの前記被検出面に対向配置されて前記被検出面の前記特性の変化を検出するセンサと、からなるセンサユニットと、を備える荷重センサ付き軸受装置であって、
前記エンコーダは、前記回転側軌道輪の側方に配置されて前記回転側軌道輪と共に回転する回転側間座に設けられ、前記エンコーダの被検出面は、円周方向に関して変化する前記特性のピッチが、軸方向に関して連続的に変化する部分を軸方向に単列で構成し、
前記センサは、前記静止側軌道輪に設けられることを特徴とする荷重センサ付き軸受装置。
【請求項6】
静止部材に嵌合固定される静止側軌道輪と、回転部材に嵌合固定される回転側軌道輪と、前記静止側軌道輪の静止側軌道及び前記回転側軌道輪の回転側軌道間に転動自在に配置された複数の転動体と、を備える軸受と、
被検出面の特性が円周方向に交互に変化するエンコーダと、前記エンコーダの前記被検出面に対向配置されて前記被検出面の前記特性の変化を検出するセンサと、からなるセンサユニットと、を備える荷重センサ付き軸受装置であって、
前記エンコーダは、前記回転側軌道輪の側方に配置されて前記回転側軌道輪と共に回転する回転側間座に設けられ、前記エンコーダの被検出面は、円周方向に関して変化する前記特性のピッチが、軸方向に関して連続的に変化する部分を軸方向に単列で構成し、
前記センサは、前記静止側軌道輪の側方に配置された静止側間座に設けられることを特徴とする荷重センサ付き軸受装置。
【請求項7】
前記軸受の側方には、前記回転部材の軸方向位置を位置決めするように前記軸受と組合せにて配置される他の軸受をさらに備え、
前記軸受のセンサユニットは、前記軸受の転動体と前記他の軸受の転動体との軸方向中間位置に位置するように、前記他の軸受に隣接して配置されることを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の荷重センサ付き軸受装置。
【請求項8】
前記エンコーダの被検出面に、それぞれが他の部分とは特性が異なる1対の個性化部分より成る複数の被検出用組み合わせ部を、円周方向に亙り等間隔で配置しており、これら各被検出用組み合わせ部を構成する1対ずつの個性化部分同士の円周方向に関する間隔は、総ての被検出用組み合わせ部で軸方向に関して同じ方向に連続的に変化していることを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の荷重センサ付き軸受装置。
【請求項9】
前記エンコーダの被検出面には、互いに異なる特性を有する第一被検出部と第二被検出部とが円周方向に関して交互に且つ等間隔で配置されており、前記両被検出部の円周方向に関する幅のうち、第一被検出部の幅は軸方向一端側程広く、第二被検出部の幅は軸方向他端側程広いことを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の荷重センサ付き軸受装置。
【請求項10】
前記エンコーダが磁性材製で、前記センサが前記エンコーダの被検出面の磁気特性の変化に対応して出力信号を変化させるものであり、前記エンコーダの軸方向両端部に、第一、第二両被検出部同士の回転方向に関するピッチが軸方向に関して変化しない平行部が存在することを特徴とする請求項9に記載の荷重センサ付き軸受装置。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1項に記載の荷重センサ付き軸受装置を備え、
前記回転部材である主軸のアキシャル荷重が測定可能であることを特徴とする工作機械の主軸装置。
【請求項12】
請求項11に記載の主軸装置を備えたことを特徴とする工作機械。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate

【図27】
image rotate


【公開番号】特開2012−67907(P2012−67907A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−235640(P2010−235640)
【出願日】平成22年10月20日(2010.10.20)
【出願人】(000004204)日本精工株式会社 (8,378)
【Fターム(参考)】