説明

荷電粒子源の先端頂部を加熱する方法及びシステム

荷電粒子源、例えばガスイオン源の先端の頂部を加熱するシステム及び方法であって、先端頂部が発生させた光を検出するよう構成した検出器と、荷電粒子源及び検出器と結合したコントローラとを備え、コントローラを、検出器が検出光に基づき先端頂部の加熱を制御できるようにした、システム及び方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、包括的には、ガス電界イオン源の先端頂部等の荷電粒子源の先端頂部を加熱するシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子及びイオン等の荷電粒子を用いて、半導体試料等の試料を調査及び/又は修正することができる。このような電子は、例えば走査型電子顕微鏡で発生させることができ、このようなイオンは、例えばガス電界イオン顕微鏡で発生させることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ガス電界イオン顕微鏡のイオン源の先端頂部等の荷電粒子源の先端頂部を、先端頂部の形成時に加熱することが望ましいことが多い。多くの場合、先端頂部の温度を、例えば目標温度の+/−100K以下等の一定範囲内で制御することが有利である。本出願人らの発見では、抵抗加熱システム(例えば、抵抗加熱器ワイヤ)を用いて先端頂部を加熱するような特定の場合に、抵抗加熱システムを通過するのが望ましい電流の量、抵抗加熱システムに印加される電圧の量、及び/又は抵抗加熱システムに供給される電力の量を確実に予測して、所望の温度範囲内での先端頂部の加熱を確保することは困難であり得る。本発明者らは、先端頂部の温度が先端頂部により放出される光の量に比較的確実且つ再現可能に対応することも発見した。さらに、先端頂部が放出する光の量は、温度に対して非常に敏感であり得るため、先端頂部における温度のわずかな変動を比較的高感度で検出することができる。結果として、本出願人らが本明細書中で提供するのは、加熱された先端頂部が放出する光を、先端頂部の温度を所望の温度範囲内に制御するための基礎として用いるよう設計した、種々のシステム及び方法である。このようなシステム及び方法は、先端頂部初期形成時及び/又は先端頂部再形成時に用いることができる。さらに、このようなシステムは、非常に自動化しやすく、且つ/又は比較的安価に利用することができる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
一態様では、本開示は、包括的には、荷電粒子源と、検出器と、コントローラとを含むシステムを提供する。荷電粒子源は、先端頂部を有する先端を含む。先端頂部は、荷電粒子源の使用時に荷電粒子を放出するよう構成し、先端頂部は、加熱されると光を発生することが可能である。検出器は、先端頂部が発生させた光を検出するよう構成する。コントローラは、荷電粒子源及び検出器と結合されるため、検出器が検出光に基づき先端頂部の加熱を制御することができる。
【0005】
別の態様では、本開示は、包括的には、荷電粒子源の先端の先端頂部を加熱するステップと、先端頂部の加熱中に先端頂部が発生させた光を検出するステップと、検出光に基づき先端頂部に送る熱を変化させるか否かを判定するステップとを含む方法を提供する。
【0006】
任意に、実施形態は、以下の特徴の1つ又は複数を含み得る。
【0007】
本システムは、ガス電界イオン顕微鏡であり得る。
【0008】
荷電粒子源は、例えばガス電界イオン源等のイオン源であり得る。
【0009】
荷電粒子源は電子源であり得る。
【0010】
検出器は光子検出器であり得る。
【0011】
検出器は、フォトダイオード、光検出器、光電子増倍管、カメラ、CMOSデバイス、電荷結合素子、又は他の光電センサ(light sensitive sensor)であり得る。
【0012】
先端頂部が発生させる光は、光軸に沿って伝播することができ、検出器は、光軸に沿って配置されるか又は光軸からずれていてもよい。
【0013】
本システムは、光学装置をさらに含むことができ、光は、検出器による検出前に光学装置と相互作用することができる。光学装置は、光を検出器に指向させることができる。光学装置の例として、ミラー、レンズ(例えば、コリメーティングレンズ)、光学フィルタ、及び窓が挙げられる。
【0014】
光は、検出器への到達前に開口を通過し得る。
【0015】
本システムは、加熱されると先端頂部を加熱するよう構成した抵抗加熱システムに結合した電源をさらに含み得る。電源は、例えば、電力調節式電源、電圧調節式電源、又は電流調節式電源であり得る。
【0016】
本システムは、電源及び抵抗加熱システムをさらに含むことができ、電源は抵抗加熱システムにおいて電流を生成することができ、電流は抵抗加熱システムを加熱することができ、抵抗加熱システムが加熱されると先端頂部が加熱される。
【0017】
抵抗加熱システムはワイヤを含み得る。システムは、少なくとも1つのセンサ(例えば、ワイヤの両端間の電圧を測定するよう構成した電圧センサ、ワイヤを流れる電流を測定するよう構成した電流センサ)をさらに含み得る。
【0018】
本システムは、先端頂部を加熱するよう構成した熱源をさらに含み得る。熱源の例として、レーザ及び電子源が挙げられる。熱源は、少なくとも2ワットの加熱電力を先端に供給するよう構成することができる。
【0019】
本方法は、検出光の量に基づき先端頂部に送る熱を変化させるステップをさらに含み得る。
【0020】
本方法は、検出光の量に比例して先端頂部の温度を変化させるステップをさらに含み得る。
【0021】
先端頂部に送る熱を変化させるか否かを判定するステップは、検出光の量を、先端頂部の所望の温度で検出されることが期待される光の量と比較するステップを含む。
【0022】
本方法は、比較を用いて先端頂部に送る熱を変化させるステップをさらに含み得る。第1温度及び第2温度間の差が所定値よりも大きいことを比較が示す場合、先端頂部に送る熱を変化させることができ、ここで、第1温度は検出光に基づく先端頂部の温度であり、先端頂部の第2温度は先端頂部の所望の温度である。所定値は、例えば10K、25K、50K、又は100Kであり得る。
【0023】
第1温度及び第2温度間の差が所定値よりも小さいことを比較が示す場合、先端頂部に送る熱を不変とすることができ、第1温度は検出光に基づく先端頂部の温度であり、先端頂部の第2温度は先端頂部の所望の温度である。所定値は、例えば10K、25K、50K、又は100Kであり得る。
【0024】
先端頂部に送る熱を変化させるか否かを判定するステップは、第1温度及び第2温度間の差の積分を求めるステップを含むことができ、ここで、第1温度は検出光に基づく先端頂部の温度であり、先端頂部の第2温度は先端頂部の所望の温度である。
【0025】
先端頂部に送る熱を変化させるか否かを判定するステップは、第1温度及び第2温度間の差の比率を求めるステップを含むことができ、ここで、第1温度は検出光に基づく先端頂部の温度であり、先端頂部の第2温度は先端頂部の所望の温度である。
【0026】
先端頂部に送る熱を変化させるか否かを判定するステップは、第1温度及び第2温度間の差の導関数を求めるステップを含むことができ、ここで、第1温度は検出光に基づく先端頂部の温度であり、先端頂部の第2温度は先端頂部の所望の温度である。
【0027】
先端頂部に送る熱を変化させるか否かを判定するステップは、少なくとも2つのパラメータを求めるステップを含む。少なくとも2つのパラメータとして、第1温度及び第2温度間の差の積分、第1温度及び第2温度間の差の導関数、及び第1温度及び第2温度間の差の比率を挙げることができる。第1温度は検出光に基づく先端頂部の温度とすることができ、先端頂部の第2温度は先端頂部の所望の温度とすることができる。
【0028】
先端頂部の温度は、最低900K及び/又は最高1700Kに加熱することができる。
【0029】
先端頂部の温度は、最高1700Kに加熱することができる。
【0030】
他の特徴及び利点は、明細書、図面、及び特許請求の範囲から明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】ガス電界イオン顕微鏡システムの概略図である。
【図2】ガス電界イオン源の先端の概略図である。
【図3A】先端用の支持アセンブリの斜視図である。
【図3B】先端用の支持アセンブリの底面図である。
【図4】本開示によるシステムの概略図である。
【図5】本開示によるシステムの概略図である。
【図6】イオン顕微鏡システムの概略図である。
【図7】ガス電界イオン源の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図1は、ハウジング110、ガス電界イオン源110、イオンコラム120、試料ホルダ130、試料ホルダ130に取り付けた試料132、及び検出器140を含む、ガス電界イオン顕微鏡システム100を示す。図2は、ガス電界イオン源110の先端112を示す。先端112は頂部114を有する。システム100の使用時に、先端頂部114が放出したイオンは、イオンコラム120を通過して試料132と相互作用する。イオンと試料132との相互作用により発生させた粒子を、検出器140が検出する。代替的又は付加的に、イオン源1110が発生させたイオンを、試料132を修正するプロセスで用いることができる。ガス電界イオン顕微鏡の設計、製造、及び使用の種々の態様は、例えば、全体を参照により本明細書に援用する米国出願公開第2007−0158558号明細書に開示されている。
【0033】
より詳細に後述するように、先端112を形成することができる材料は多種多様であり、先端頂部114が有することができる形状も様々である。一例として、いくつかの実施形態では、先端112をタングステン(W)から形成し、先端頂部114はW(111)三量体である終端棚層(terminal shelf)を有する。概して、イオン源110が形成するイオンビームの品質は、先端頂部114の形状にある程度依存する。多くの場合、先端112をしばらくの間用いた後に、イオンビームの品質が先端頂部114の変形に起因して低下し得ることで、先端頂部114をイオンビーム特性に所望の改善を与える形状に再形成することが望ましくなる。概して、より詳細に後述するように、先端頂部114の再形成は、1つ又は複数の期間にわたって先端頂部114を1つ又は複数の高温に加熱することを含む。さらに、先端頂部114の初期形成(システム100での使用前の先端頂部114の形成)は、1つ又は複数の高温に加熱することを通常は伴う。
【0034】
図3A及び図3Bは、先端頂部114の加熱に用いることができる支持アセンブリ220の斜視図及び底面図をそれぞれ示す。支持アセンブリ220は、支持ベース224に接続した支柱222a及び222bを含む。支柱222a及び222bは、V字形を形成するセクション226a及び226bを有する加熱器ワイヤに接続し、セクション226a及び226bは、先端112に(例えば溶接により)接続する。支柱222a及び222bは、導電性材料から形成し、電源230に接続する。電源230を用いて、加熱器ワイヤセクション226a及び226bに電流を供給することで熱を発生させる。この熱を、先端頂部114の温度の上昇及び/又は制御に用いる。
【0035】
本出願人らの発見では、所与のシステムにおいて、先端頂部114の所望の温度を達成及び/又は維持するのに加熱器ワイヤセクション226a及び226bに流すべき電流の量を確実に予測することは困難であり、先端頂部114の所望の温度を達成及び/又は維持するのにワイヤセクション226a及び226bに印加すべき電圧を確実に予測することは困難であり、先端頂部114の所望の温度を達成及び/又は維持するのに電源230がワイヤセクション226a及び226bに供給すべき電力の量を確実に予測することは困難である。ワイヤセクション226a及び226bを通る電流を先端頂部114の温度と相関させることを試みる場合、理論に束縛されることを望むものではないが、先端頂部114の温度がワイヤセクション226a及び226bを通る電流に対して非常に敏感であり得ると考えられ、また、ワイヤセクション226a及び226bの接触抵抗及び/又は温度の比較的小さな変化がワイヤセクション226a及び226bにおいて電流を変化させる結果として、先端頂部114の温度の変動をもたらし得ると考えられる。ワイヤセクション226a及び226bを抵抗材料から形成し、このような材料の抵抗率がその温度変化(例えば上昇)に伴い変化(例えば上昇)し得るため、ワイヤセクション226a及び226bが発生させる熱の量はその温度に応じて変わり、多くの場合はその温度の上昇に伴い上昇するとさらに考えられる。ワイヤセクション226a及び226bにおける電圧を先端頂部114の温度と相関させることを試みる場合、理論に束縛されることを望むものではないが、接触抵抗及び/又はリードワイヤの変化が、先端頂部14の温度をワイヤセクション226a及び226bにおける電圧と再現可能に相関させることを困難にし得ると考えられる。さらに、システムによっては、定電圧の印加が経時的に温度を低下させ得ることに留意されたい。ワイヤセクション226a及び226bに供給した電力を先端頂部114の温度と相関させることを試みる場合、理論に束縛されることを望むものではないが、接触抵抗及び/又はリードワイヤの変化が、先端頂部114の温度をワイヤセクション226a及び226bに供給した電力と再現可能に相関させることを困難にし得ると考えられる。また、固定の電源設定(電圧、電流、又は電力)では、先端温度は、電源230をアセンブリ220に接続するリードワイヤの抵抗の経時的不一致に起因して変わり得る。また、固定の電源設定(電圧、電流、又は電力)では、先端温度は、アセンブリ220とヒートシンクとしての役割を果たし得るハウジング110との間の熱接触の経時的不一致に起因して変わり得る。また、固定の電源設定(電圧、電流、又は電力)では、先端温度は、電源230の動作履歴、コンポーネントの老化、又は温度等の周囲条件に応じて変わり得る電源の不正確さに起因して変わり得る。
【0036】
本発明者らは、本明細書において、先端頂部114の温度を監視及び/又は制御するための新規手法を用いるシステム及び方法を提供する。概して、本システム及び本方法は、先端頂部114の加熱時に先端頂部114が放出する光を測定することにより、先端頂部114の温度を判定するステップと、この温度を先端頂部114の所望の温度と比較するステップとを含む。この比較を用いて、電源230を変更するか否か(及び変更の程度)を判定し、電源230を変更することでワイヤセクション226a及び226bを通る電流を変更することにより、先端頂部114の温度を変化させて先端頂部114の所望の温度に近付ける。
【0037】
図4は、ミラー160、光子検出器170、及びコントローラ180を含む、ガス電界イオン顕微鏡300の実施形態を示す。ミラー160は、概してその反射特性に基づき選択することができるが、場合によっては、ミラー160の選択時に他の因子を考慮することが望ましい場合もある。例えば、ガラスをほとんど又は全く含まないミラー(例えば、任意に高度研磨されてもよい純金属ミラー)を選択して、システムに存在する絶縁体がイオンビームに不適切に衝突する可能性を減らすことが有利であり得る。イオン源110を用いてイオンビームを発生させる場合、ミラー160を、先端頂部114が発生させるイオンビームの光軸111に対して軸外に設定する。ミラー160は、先端頂部114の加熱時に先端頂部114が発生させた光116を反射することができるような、また反射光118を検出器170に指向させて検出器170により検出させるような向きにする。検出器170は、加熱時に先端頂部114が放出する光の波長に基づき選択することができる。これらの光の波長は、例えば、先端頂部の形成材料及び/又は先端頂部114の加熱温度に応じて変わり得る。例示的な検出器として、フォトダイオード、光検出器、光電子増倍管、カメラ、CMOSデバイス、及び電荷結合素子が挙げられる。コントローラ180は、検出器170が検出した光の量に対応する信号を検出器170から受け取り、この信号を用いて、電源230を調整すべきか否か及び調整の程度を判定する。
【0038】
システム300を用いる例示的なプロセスは、以下の通りである。最初に、電源230を用いてワイヤセクション226a及び226bに電流を供給する。初期パラメータ(ワイヤセクション226a及び226bにおける電圧、ワイヤセクション226a及び226bを通る電流、ワイヤセクション226a及び226bに供給する電力)は、例えば、同一又は同様の材料でできた他の先端での一般的経験に基づき得る。ワイヤセクション226a及び226bを通る電流は、ワイヤセクション226a及び226bを加熱し、これがさらに先端頂部114を加熱する。先端頂部114の温度が上昇すると、先端頂部は光116を放出し、これがミラー160により反射されて反射光118となり、これが検出器170により検出される。検出器170が検出した光の量に対応する信号は、コントローラ180に送られる。この信号に基づき、コントローラ180は、電源230を調整すべきか否か及び調整の程度(例えば、ワイヤセクション226a及び226bを通る電流の増減、ワイヤセクション226a及び226bにおける電圧の増減、電源230がワイヤセクション226a及び226bに供給する電力の増減)を判定する。
【0039】
コントローラ180が電源230を調整する量は、検出光の量に対応する検出器170からの信号をコントローラ180に関連するソフトウェアに記憶されているルックアップテーブルと比較することにより求めることができる。ルックアップテーブルは、例えば、先端116の温度の関数としての、先端と同じ材料から形成したワイヤから放出されて検出器170により検出された光の量の測定と同時に、(例えば高温計で)先端温度を測定することに基づき作成することができる。有利には、所与の先端材料及びシステム構成で、この測定を1回だけ行って、所与の先端の先端頂部の初期形成及び/又は再形成時に且つ/又は各種(for various)先端頂部の形成及び/又は再形成時に、同じルックアップテーブルを繰り返し用いることができるようにすることが可能であり得る。これにより、ガス電界イオンシステムの使用に関連する費用を実質的に減らすことができる。付加的又は代替的に、これにより、例えば高処理量試料検査等の自動プロセス(例えば、半導体チップ製造)でガス電界イオンシステムを用いる能力を実質的に高めることができる。
【0040】
検出器170からの信号を先端頂部114の所望の温度に関してルックアップテーブル内に提供された期待信号と比較することで、先端頂部の温度を上昇させるべきか低下させるべきか維持するべきかを判定する。コントローラ180は、続いて電源230をそれに従って調整する。一例として、先端頂部114の温度が低すぎることを信号比較が示す場合、コントローラ180は、ワイヤセクション226a及び226bを通る電流を増加させるよう電源230を調整することができる。別の例として、先端頂部114の温度が高すぎることを信号比較が示す場合、コントローラ180は、ワイヤセクション226a及び226bを通る電流を減少させるよう電源230を調整することができる。
【0041】
いくつかの実施形態では、コントローラ180は、測定した先端温度及び所望の先端温度間の差に比例して電源230を調整することができる。しかしながら、場合によっては、先端頂部114の所望の温度のオーバーシュート又はアンダーシュートに関する懸念があり得る。すなわち、先端頂部114を所望の温度にしようとするプロセスにおいて、先端頂部114の実際の温度が高くなりすぎるか(先端頂部114の温度を上昇させようとする場合)又は低くなりすぎる(先端頂部114の温度を低下させようとする場合)可能性がある。したがって、特定の実施形態では、コントローラ180が電源230を調整する量を、検出器170からの信号及びルックアップテーブル内の期待信号間の差に加えた情報により変調することができる。一例として、特定の実施形態では、所定期間にわたるこれらの信号間の差の積分を、コントローラ180が電源230を調整する際に考慮に入れることができる。別の例として、信号差の導関数を、コントローラ180が電源230を調整する際に考慮に入れることができる。さらに別の例として、コントローラ180は、信号間の差が所望の温度の所定量内(例えば100K、50K、25K、10K)にある先端頂部114に対応する場合、(先端頂部114の温度を実質的に維持することを試みるために)電源230の調整を行わなくてもよい。
【0042】
概して、先端頂部114の温度を監視及び/又は調整するプロセスは、所望の頂部構造(例えば、W(111)三量体)が得られるまで実行することができる。多くの場合、先端頂部の作製時に処方(recipes)を用いることができる。このような処方は、例えば、先端頂部を所望の期間に種々の温度範囲内に加熱する複数の異なるステップを含み得る。いくつかの実施形態では、先端頂部は、最低900K(例えば、最低1000K、最低1100K)及び/又は最高1700K(例えば、最高1600K、最高1500K)の温度に加熱することができる。例示的な温度範囲として、1000K〜1100K、1100K〜1200K、1200K〜1300K、1300K〜1400K、1400K〜1500K、及び1500K〜1600Kが挙げられる。特定の実施形態では、先端頂部は、最短30秒(例えば、最短1分、最短2分)及び/又は最長30分(例えば、最長15分、最長7分)にわたり特定の所望の温度又は温度範囲に加熱することができる。任意に、加熱ステップの1つ又は複数の間に電場を先端頂部に印加することができ、且つ/又は先端頂部を所定量の1つ又は複数のガス(例えば、分子窒素、分子酸素、タングステンヘキサカルボニル)に暴露することができる。特定の使用処方は、例えば、先端の形成材料及び/又は先端頂部の所望の最終形状に応じて変わり得る。
【0043】
図5は、イオンビーム軸111に沿って配置したミラー260を含むガス電界イオン顕微鏡400の実施形態を示す。ミラー260は、概して、ミラー160に関して上述した考慮事項に基づき選択することができる。ミラー260を環状に整形して、先端頂部114の加熱時に反射光118を提供できるようにするが、イオン光学系120を通って進むイオンビームに実質的に干渉することがないようにもする。ミラー260は、環状形状として図示されているが他の形状であってもよい。一例として、ミラー260は、貫通孔を有する楔形であってもよい。
【0044】
図1は、ガス電界イオン顕微鏡システムの高度概略図を示すが、図6は、ガス電界イオン顕微鏡システム1100の概略的ではあるが若干詳細な図を示し、ガス電界イオン顕微鏡システム1100は、ガス源1110、ガス電界イオン源1120、イオン光学系1130、試料マニピュレータ1140、前側検出器1150、後側検出器1160、及び通信線1172a〜1172fを介してシステム1100の種々のコンポーネントに電気的に接続した電子制御システム1170(例えば、コンピュータ等の電子プロセッサ)を含む。試料1180を、イオン光学系1130と検出器1150、1160との間の試料マニピュレータ1140内/上に位置決めする。使用中、イオンビーム1192をイオン光学系1130を通して試料1180の表面1181に指向させ、イオンビーム1192と試料1180との相互作用から生じる粒子1194を検出器1150及び/又は1160により測定する。概して、システム1100を排気することにより、システム内の特定の望ましくない化学種の存在を減らすことが望ましい。図7に示すように、ガス源1110は、1つ又は複数のガス(例えば、He、Ne、Ar、Kr、Xe)1182をガス電界イオン源1120に供給するよう構成する。ガス電界イオン源1120は、1つ又は複数のガス1182をガス源1110から受け取ってガス(単数又は複数)1182からガスイオンを生成するよう構成する。ガス電界イオン源1120は、先端頂部1187を有する先端1186、抽出器1190、及び任意に抑制器1188を含む。使用中、先端1186を、抽出器1190に対して正にバイアスし、抽出器1190を、外部接地に対して負又は正にバイアスし、任意の抑制器1188を、先端1186に対して正又は負にバイアスする。この構成により、ガス源1110が供給した非イオン化ガス原子1182がイオン化され、先端頂部1187付近で正に帯電したイオンとなる。正に帯電したイオンは、正に帯電した先端1186により反発されると同時に負に帯電した抽出器1190により吸引されるため、先端1186からイオン光学系1130へイオンビーム1192として指向される。抑制器1188は、先端1186と抽出器1190との間の電場全体を、したがって先端1186からイオン光学系1130への正に帯電したイオンの軌道を制御するのに役立つ。概して、先端1186と抽出器1190との間の電場全体を調整することで、正に帯電したイオンを先端頂部1187において生成する速度と、正に帯電したイオンを先端1186からイオン光学系1130へ運搬する効率とを制御することができる。概して、イオン光学系1130は、イオンビーム1192を試料1180の表面1181に指向させるよう構成する。イオン光学系1130は、例えば、ビーム1192のイオンを集束、コリメート、偏向、加速、及び/又は減速させることができる。イオン光学系1130は、イオンビーム1192のイオンの一部のみをイオン光学系1130に通過させることもできる。概して、イオン光学系1130は、所望に応じて構成される様々な静電及び他のイオン光学素子を含む。イオン光学系1130における1つ又は複数のコンポーネント(例えば、静電ディフレクタ)の電場強度を操作することにより、Heイオンビーム1192を試料1180の表面1181にわたって走査することができる。例えば、イオン光学系1130は、イオンビーム1192を2つの直交方向に偏向させる2つのディフレクタを含み得る。ディフレクタは、イオンビーム1192を表面1181の一領域にわたってラスタ走査させるように変動する電場強度を有し得る。イオンビーム1192が試料1180に衝突すると、様々な異なるタイプの粒子1194が生成され得る。これらの粒子は、例えば、二次電子、オージェ電子、二次イオン、二次中性粒子、一次中性粒子、散乱イオン、及び光子(例えば、X線光子、IR光子、可視光子、UV光子)を含む。検出器1150及び1160は、Heイオンビーム1192と試料1180との相互作用から生じる1つ又は複数の異なるタイプの粒子をそれぞれが測定するよう位置決め及び構成する。図6に示すように、検出器1150は、試料1180の表面1181から主に生じる粒子1194を検出するよう位置決めし、検出器1160は、試料1180の表面1183から主に生じる粒子1194(例えば、透過粒子)を検出するよう位置決めする。概して、多種多様の異なる検出器を顕微鏡システム1100で用いて異なる粒子を検出することができ、顕微鏡システム1100は、通常は任意の所望の数の検出器を含むことができる。種々の検出器(単数又は複数)の構成は、測定すべき粒子及び測定条件に従って選択することができる。概して、検出器が測定した情報を用いて、試料1180に関する情報を判定する。通常、この情報は、試料1180の1つ又は複数の画像を取得することにより判定する。顕微鏡システム1100の動作は、通常は電子制御システム1170を介して制御する。例えば、電子制御システム1170は、ガス源1110が供給するガス(単数又は複数)、先端1186の温度、先端1186の電位、抽出器1190の電位、抑制器1188の電位、イオン光学系1130のコンポーネントの設定、試料マニピュレータ1140の位置、及び/又は検出器1150及び1160の場所及び設定を制御するよう構成することができる。制御システム1170は、コントローラ180に関して上述したように用いることもできる。任意に、これらのパラメータの1つ又は複数を手動で(例えば、電子制御システム1170と一体のユーザインタフェースを介して)制御することができる。付加的又は代替的に、電子制御システム1170を(例えば、コンピュータ等の電子プロセッサを介して)用いて、検出器1150及び1160が収集した情報を解析し、任意に画像、グラフ、表、スプレッドシート等の形態であり得る試料1180に関する情報を提供することができる。通常、電子制御システム1170は、ディスプレイ又は他の種類の出力装置、入力装置、及び記憶媒体を特徴とするユーザインタフェースを含む。
【0045】
いくつかの実施形態では、ガス電界イオン顕微鏡1100は、2つの異なるモードで動作させることができる。第1モードでは、ガス電界イオン源1120がイオンビーム1192を発生させ、これがイオン光学系130を通過後に試料1180に衝突する。試料1180の材料と試料1180に衝突するイオンビーム1192中のイオンとの相互作用生成物を、検出器150及び/160が検出する。検出信号を用いて、イオンビームを試料1180の表面1181にわたって走査しながら検出信号に応じた信号を記録及び表示することにより、試料1180の画像を生成する。画像の生成に加えて、又は画像の生成の代わりに、イオンビーム1192を用いて、前駆体ガスの分子と試料1180の表面1181又はその付近の分子又は原子との間の化学反応を誘起することにより、試料1180を操作又は変更することができる。このモード(第1モード)では、ガス電界イオン源1120の先端1186を極低温に冷却する。第2動作モードでは、ガス電界イオン源1120を、ワイヤ226a、226b(図3A)への電流の印加により、又は別の方法でのガス電界イオン源1120の先端1186へのエネルギーの付与により加熱する。先端1186が放出した光を上述のように検出し、(ワイヤ226a、226bを通る電流又は別の方法により)先端1186に付与したエネルギーを検出光強度に従って制御する。先端頂部1187が、例えばガス電界イオンビーム源1110の使用により広がった場合、第2モードを用いてガス電界イオン源1120の先端1186を作り直すか又は研ぎ直すことができる。
【0046】
ガス電界イオン顕微鏡1110は、使用時に荷電粒子源1120が真空環境にあるよう荷電粒子源1120を収容するハウジングを含む。いくつかの実施形態では、ガス電界イオンビーム源1110の動作を、ハウジングに通気することなく(without breaking venting the housing)第1動作モード及び第2動作モード間で切り換えることができる。
【0047】
特定の実施形態では、図6に示すのと同様の設計を有する荷電粒子装置を2つのモードで動作させることができる。第1モードでは、荷電粒子源を操作して荷電粒子ビームを形成させ、これが荷電粒子光学系を通過後に試料に衝突する。試料に衝突する荷電粒子と試料の材料との相互作用生成物を、1つ又は複数の検出器が検出する。検出信号を用いて、荷電粒子ビームを試料表面にわたって走査しながら検出信号に応じた信号を記録及び表示することにより、試料の画像を生成する。画像の生成に加えて、又は画像の生成の代わりに、荷電粒子ビームを用いて、前駆体ガスの分子と試料表面又はその付近の分子又は原子との間の化学反応を誘起することにより、試料を操作又は変更することができる。このモード(第1モード)では、荷電粒子源の先端を極低温に冷却する。第2動作モードでは、荷電粒子源を、ワイヤへの電流の印加により、又は別の方法での荷電粒子源の先端へのエネルギーの付与により加熱する。先端が放出した光を上述のように検出し、(ワイヤを通る電流又は別の方法により)先端に付与したエネルギーを検出光強度に従って制御する。例えば、先端頂部が荷電粒子源の使用により広がった場合、第2モードを用いて荷電粒子源の先端を作り直すか又は研ぎ直すことができる。
【0048】
荷電粒子装置は、使用時に荷電粒子源が真空環境にあるよう荷電粒子源を収容するハウジングを含む。荷電粒子装置は、ハウジングに通気することなく(without venting the housing)第1動作モード及び第2動作モード間で切り換えることができる。
【0049】
特定の実施形態を説明したが、他の実施形態も可能である。
【0050】
一例として、固定ミラーを含む実施形態を説明したが、いくつかの実施形態ではミラーが移動できる。例えば、ミラーは、先端頂部の加熱時に光を検出器に反射する第1位置と、反射しない第2位置とを有し得る。第1位置は、イオン源がイオンビームを生成中である場合にミラーがイオンビーム経路に実質的に干渉する位置であり得る。第2位置は、先端頂部を加熱中である場合に先端頂部が放出する光をミラーが反射しない位置であり得る。任意に、第1位置及び第2位置間のミラーの移動を電動式にすることができる。
【0051】
別の例として、光を遮断せずにミラーから検出器へ反射させる実施形態を説明したが、特定の実施形態では、1つ又は複数の付加的な光学素子を、検出器と頂部が放出した光を最初に反射するミラーとの間の光路に沿って配置することができる。このような光学素子として、レンズ(例えば、コリメーティングレンズ)、ミラー、及び/又はフィルタ(例えば、波長選択フィルタ)を挙げることができる。同一の光学素子の1つ又は複数の種々の組み合わせを用いてもよく、異なる光学素子の種々の組み合わせを用いてもよい。
【0052】
さらに別の例として、いくつかの実施形態では、光は、ミラーと相互作用する前、ミラーと相互作用した後、又はこれら両方で1つ又は複数の開口を通過することができる。
【0053】
さらに別の例として、加熱された先端頂部が放出する光を反射するためにミラーを用いる実施形態を開示したが、いくつかの実施形態はこのようなミラーを有さない設計である。例えば、システムを、加熱された頂部が放出する光の直接照準線(direct line of sight)内に検出器があるよう設計することができる。任意に、頂部先端と検出器との間のこのような直接照準線を可能にするための窓を、システムに(例えば、ハウジング壁に)位置決めすることができる。通常、このような窓は優れたシールを形成するため、システム内で所望の真空レベルを得ることを実質的に妨害することはない。場合によっては、先端頂部と検出器との間に光路に沿って1つ又は複数のコリメーティング光学素子(例えば、1つ又は複数のコリメーティングレンズ)を含むことが望ましい場合がある。他の光学素子、例えば1つ又は複数のフィルタ(例えば、1つ又は複数の波長選択フィルタ)等が、先端頂部と検出器との間の光路に沿って存在していてもよい。
【0054】
付加的な例として、ワイヤの抵抗加熱を用いて先端頂部を加熱する実施形態を説明したが、先端頂部を加熱するための他の手法を用いることができる。いくつかの実施形態では、適当に位置決めしたレーザ(例えば、レーザビームが先端に衝突して熱を先端頂部に分配させるようにしたもの)を用いて、先端頂部を加熱することができる。特定の実施形態では、適当な荷電粒子源(例えば、荷電粒子ビームが先端に衝突して熱を先端頂部に分配させるようにしたもの)を用いて、先端頂部を加熱することができる。荷電粒子ビームの例として、イオンビーム及び電子ビームが挙げられる。概して、このような実施形態は、上述と同様にしてレーザ又は荷電粒子源をコントローラに接続し、コントローラがレーザ又は荷電粒子源の出力を制御して、検出器が発生させた信号と所望の温度に関する期待信号との比較に基づき先端頂部温度を修正及び/又は制御するようにすることを含む。通常、レーザ源又は荷電粒子源は、少なくとも2ワットの電力、例えば2ワット〜5ワットの電力等を先端に送ることができる。
【0055】
さらに別の例として、ガス電界イオン源の先端を説明したが、本明細書に開示したシステム及び方法を用いて、他のイオン源の先端を作製することができる。より一般的には、本明細書に開示したシステム及び方法を用いて、任意の荷電粒子源の先端を作製することができる。例えば、本明細書に開示したシステム及び方法を用いて、電子源先端を作製することができる。
【0056】
別の例として、支持アセンブリが2つの支柱を含む実施形態を説明したが、いくつかの実施形態では、異なる数の支柱(例えば、3つの支柱、4つの支柱、5つの支柱、6つの支柱)をベースに取り付けることができる。各支柱は、対応の加熱器ワイヤを介してエミッタに接続することができる。
【0057】
付加的な例として、支持アセンブリ用の特定の設計を有する実施形態を提供したが、他の設計を用いることもできる。例えば、いくつかの実施形態では、支持アセンブリは、エミッタの固定に用いることができるボーゲルマウント(Vogel mount)を含み得る。
【0058】
さらに別の例として、W(111)方位を有する先端を説明したが、他の先端方位を用いることができる。例として、W(112)、W(110)、又は(W100)が挙げられる。
【0059】
別の例として、3原子を有する終端棚層を有する先端頂部を説明したが、他の先端頂部を用いることができる。例として、2原子、4原子、5原子、6原子、7原子、8原子、9原子、10原子、及び11原子以上を有する終端棚層を有する先端頂部が挙げられる。
【0060】
さらに別の例として、W先端を用いる実施形態を説明したが、他の材料から形成した先端を用いることができる。このような材料の例として、金属(例えば、タンタル(Ta)、イリジウム(Ir)、レニウム(Rh)、ニオブ(Nb)、白金(Pt)、モリブデン(Mo))及び合金(例えば、本明細書に開示した1つ又は複数の金属の合金)が挙げられる。炭素(C)等のさらに異なる材料を用いることもできる。
【0061】
他の実施形態は特許請求の範囲に記載する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端頂部を有する先端を備える荷電粒子源であり、前記先端頂部を前記荷電粒子源の使用時に荷電粒子を放出するよう構成し、前記先端頂部は加熱時に光を発生させることが可能である、荷電粒子源と、
該荷電粒子源が放出した荷電粒子から荷電粒子ビームを形成すること及び該荷電粒子ビームを試料領域に送ることが可能な荷電粒子光学系と、
前記先端頂部が発生させた光を検出するよう構成した検出器と、
前記荷電粒子源及び前記検出器と結合して、該検出器が検出した前記光に基づき前記先端頂部の加熱を制御できるようにした、コントローラと、
を備えるシステムであって、
第1モードで、前記先端頂部が放出した前記荷電粒子を用いて、前記先端頂部が発生させた光を検出せずに前記試料領域を調査及び/又は修正し、
第2モードで、前記荷電粒子源を加熱し、前記先端頂部が放出した光を検出する
ように構成した、システム。
【請求項2】
請求項1に記載のシステムにおいて、前記荷電粒子源は、該荷電粒子源が放出した荷電粒子ビームが伝播する際に沿う光軸を画定し、前記検出器を、前記光軸外に配置した、システム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のシステムにおいて、該システムはガス電界イオン源である、システム。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のシステムにおいて、前記荷電粒子源はイオン源である、システム。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のシステムにおいて、光学装置をさらに備え、前記光は、前記検出器による検出前に前記光学装置と相互作用する、システム。
【請求項6】
請求項5に記載のシステムにおいて、前記光学装置は前記光を前記検出器に指向させる、システム。
【請求項7】
請求項5又は6に記載のシステムにおいて、前記光学装置は光学フィルタを含む、システム。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載のシステムにおいて、開口をさらに備え、前記光は、前記検出器への到達前に前記開口を通過する、システム。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載のシステムにおいて、加熱されると前記先端頂部を加熱するよう構成した抵抗加熱素子に結合した電源をさらに備える、システム。
【請求項10】
請求項9に記載のシステムにおいて、前記加熱抵抗素子の両端間の電圧を測定するよう構成した電圧センサ、及び/又は前記加熱抵抗素子を流れる電流を測定するよう構成した電流センサからなる群から選択される少なくとも1つのセンサをさらに備える、システム。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1項に記載のシステムにおいて、前記先端頂部を加熱するよう構成した熱源をさらに備え、該熱源は、レーザ及び電子源からなる群から選択される、システム。
【請求項12】
請求項11に記載のシステムにおいて、前記熱源を、少なくとも2ワットの加熱電力を前記先端に供給するよう構成した、システム。
【請求項13】
a)荷電粒子源の先端の先端頂部を再形成するステップであり、
i)荷電粒子源の先端の先端頂部を加熱するステップ、
ii)前記先端頂部の加熱中に該先端頂部が発生させた光を検出するステップ、
iii)前記検出光に基づき熱を前記先端頂部に送るか否かを判定するステップ、及び
iv)検出光の量に比例して前記先端頂部の温度を変化させるステップ、
を含む、再形成するステップと、
b)前記荷電粒子源の前記先端の前記先端頂部が放出した光を検出せずに、前記荷電粒子源の前記先端の再形成した前記先端頂部を用いて荷電粒子を発生させるステップと、
c)前記荷電粒子を用いて試料を調査及び/又は修正するステップと、
を含む、方法。
【請求項14】
請求項13に記載の方法において、前記先端頂部に送る熱を変化させるか否かを判定するステップは、前記検出光の量を前記先端頂部の所望の温度で検出されることが期待される光の量と比較するステップを含む、方法。
【請求項15】
請求項14に記載の方法において、前記比較を用いて前記先端頂部に送る熱を変化させるステップをさらに含み、第1温度及び第2温度間の差が所定値よりも大きいことを前記比較が示す場合、前記先端頂部に送る熱を変化させ、前記第1温度は前記検出光に基づく前記先端頂部の温度であり、前記第2温度は前記先端頂部の所望の温度である、方法。
【請求項16】
請求項15に記載の方法において、第1温度及び第2温度間の差が所定値よりも小さいことを前記比較が示す場合、前記先端頂部に送る熱を変化させず、前記第1温度は前記検出光に基づく前記先端頂部の温度であり、前記第2温度は前記先端頂部の所望の温度である、方法。
【請求項17】
請求項13〜16のいずれか1項に記載の方法において、前記先端頂部に送る熱を変化させるか否かを判定するステップは、少なくとも2つのパラメータを求めるステップを含み、
前記少なくとも2つのパラメータは、第1温度及び第2温度間の差の積分、前記第1温度及び前記第2温度間の前記差の導関数、及び前記第1温度及び前記第2温度間の前記差の比率からなる群から選択され、
前記第1温度は、前記検出光に基づく前記先端頂部の温度であり、
前記先端頂部の前記第2温度は、前記先端頂部の所望の温度である、方法。
【請求項18】
先端を有する荷電粒子源を備える荷電粒子装置を操作する方法であって、
前記荷電粒子源が発生させた荷電粒子ビームを荷電粒子光学系を通して試料に指向させて、該試料を調査及び/又は修正する第1動作モードで、前記荷電粒子装置を操作するステップであり、前記第1動作モードを前記荷電粒子ビームが放出した光を検出せずに行う、ステップと、
エネルギーを前記荷電粒子源の前記先端に付与する第2動作モードで、前記荷電粒子装置を操作するステップと、
前記先端が放出した光を検出するステップと、
前記先端が放出した前記検出光に基づき前記先端に付与する前記エネルギーを制御するステップと、
を含む、方法。
【請求項19】
請求項18に記載の方法において、前記先端に付与する前記エネルギーを制御するステップは、第1温度及び第2温度間の差が所定値よりも大きいことを判定するステップを含み、前記第1温度は前記検出光に基づく先端頂部の温度であり、前記第2温度は前記先端頂部の所望の温度である、方法。
【請求項20】
請求項18又は19に記載の方法において、前記荷電粒子装置は、真空下で保持されるハウジング内にあり、前記第1動作モード及び前記第2動作モード間の切り換えに前記ハウジングの通気が必要ない、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2012−529746(P2012−529746A)
【公表日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−514989(P2012−514989)
【出願日】平成22年5月28日(2010.5.28)
【国際出願番号】PCT/US2010/036527
【国際公開番号】WO2010/144267
【国際公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【出願人】(510237435)カール ツァイス エヌティーエス エルエルシー (14)
【Fターム(参考)】