説明

荷電粒子

好ましくはSiO、Al、及び/又はTiOの無機コア、又は有機顔料及び/又は顔料誘導体から本質的になるコアを有する体積5nm〜50ミリオンnmの荷電粒子、及び粒子から分離可能であり且つ粒子に共有結合していない対イオン粒子を含み、前記対イオンは炭素原子に直接結合されたケイ素原子を含む、組成物が開示されている。好ましくは、前記荷電粒子は前記無機コアに付着した染料を含み且つ前記対イオンは好適な橋部分を介して第4級の正に荷電した窒素又はリン原子に、又はアニオン性官能基を有する部分に結合された(ポリ)シロキサン部分を含む。前記組成物は、例えば、電気泳動ディスプレイにおいて均一な分散液の形で使用してよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特異的に官能化された荷電ナノ粒子及び炭素原子に直接結合されたケイ素原子を含む対イオンを含む組成物に関し、また前記組成物及び対イオンを電気泳動、例えば、電気泳動ディスプレイに用いる使用に関する。
【0002】
電気泳動は、電界の影響下での液体に対する分散した粒子又は荷電した分子の運動である。
【0003】
電気泳動ディスプレイは、一般に、固体(荷電粒子)と液体(分散媒)との間の界面において生成する電気二重層を含み、その際、荷電粒子は、原動力として電界によって及ぼされる力を使用して、荷電粒子が有する電荷とは反対の極性を有する電極に移動する。
【0004】
電気泳動ディスプレイにとって、特に電子ペーパーにとって重要なことは、一旦なんらかの内容が表示されたら、ディスプレイは、無電流状態で電圧をかけられても、長時間にわたり保持され得ることである。これは他の種類のディスプレイ、例えば、LCD又はLEDディスプレイとは対照的である。LCDディスプレイとの更なる違いは、電気泳動ディスプレイは、明るい日光の中でLCDディスプレイよりも遥かに容易に見ることができる事実にある。
【0005】
本発明は、かかる電気泳動ディスプレイ用の電子インクとして使用でき且つフルカラーの範囲をカバーできる分散可能な荷電粒子を提供する。
【0006】
WO2007/048721A1号(本願明細書に援用される)は、正又は負の電荷を有し、且つ、有機発色基が前記無機コアの表面上の酸素原子に架橋部分を介して共有結合する、SiO、Al又は混合したSiO及びAl粒子の無機コアを含む、着色されたナノ−、サブミクロ−又はマイクロ粒子を電気泳動ディスプレイに用いる使用について記載している。前記粒子上の前記正の電荷は、好ましくはフッ素、塩素、硫酸メチル、硫酸エチル、ホルメート又はアセテートから選択される、アニオン性対イオンによって中和される。前記粒子上の前記負の電荷は、アルカリ金属イオン、又はアンモニウム又はホスホニウムイオンから選択されるカチオン性対イオンによって中和される。
【0007】
WO2007/048721A1号に開示された対イオンは、明らかに、ドデカンのような極めて無極性の溶媒での使用には理想的ではない。それらは良好な溶媒和作用のために極性溶媒を必要とする。しかしながら、極性溶媒は、それらの導電性が電気エネルギーの損失をもたらすので、エネルギー効率の良い電気泳動ディスプレイには適していない。
【0008】
本発明によって解決されるべき課題は、この欠点を克服することであった。
【0009】
本願明細書に開示されるような、この課題の解決によれば、特別な対イオンが利用されており、前記対イオンは好ましくは、負に又は好ましくは正に荷電した官能基に好適な架橋部分を介して結合された(ポリ)シロキサン部分を含む。
【0010】
本発明は、体積5nm〜500ミリオンnm、例えば、50ミリオンnmの荷電粒子、及び粒子と分離可能であり且つ粒子に共有結合していない対イオンを含む組成物であって、前記対イオンが炭素原子に直接結合しているケイ素原子を含む組成物に関し、特に均一な分散液の形態のかかる組成物に関する。
【0011】
上記の通り、荷電粒子は5nm〜500ミリオンnm、例えば、50ミリオンnm、特に10nm〜1ミリオンnm、好ましくは25nm〜500,000nm、最も好ましくは25nm〜100,000nmの体積を有する。粒子は好ましくはほぼ球状である。球状粒子の好ましい直径は、2nm〜500nmの間、特に3nm〜100nmの間、好ましくは3nm〜50nmの間、最も好ましくは3nm〜30nmの間である。球体の体積Vの式、即ち、V=1/6πdを使用すると、これらの直径dは、それぞれ約4nm(直径2nm)、14nm(直径3nm)、14000nm(直径30nm)、63000nm(直径50nm)、500000nm(直径100nm)、及び63ミリオンnm(直径500nm)の近似の粒子体積に対応する。
【0012】
好ましくは、荷電粒子は、特にSiO、Al、TiO又は混合したSiO、Al及び/又はTiOコアのような無機のコアを有する。混合された無機粒子は、例えば、SiOで被覆された、TiO又はAlのコアを含有し得る。あるいは、荷電粒子のコアは、通常、以下に更に記載されるように変性された有機顔料を含む。荷電粒子のコアは、(コ)ポリマーを含むポリスチレンのような有機(コ)ポリマーを含んでいない。
【0013】
好ましくは、染料は、前記無機コアに直接又は架橋部分を介して共有結合する。
【0014】
好ましくは、荷電粒子は、表面上の酸素原子に共有結合した、以下の式
【化1】

(式中、
qは1〜4であり、
及びRは互いに独立して水素、コア表面−O−、又は置換基であり、
Xはアルキレン、例えば、分枝鎖アルキレン又は好ましくは炭素数1〜20の好ましくは直鎖アルキレン、好ましくは−(CH−(式中、yは1〜8である)であり、
Bは直接結合又はDに伸びる架橋部分であり、且つ
Dは染料の残基、例えば、特に有機発色基を含む染料である)
のラジカルを含む、SiO、Al、TiO又は混合したSiO、Al及び/又はTiO粒子である。
【0015】
好ましくは、Dは染料の荷電残基である。Dが荷電していない場合、電荷は、粒子に共有結合された別の荷電基によって粒子中に導入され得る。このような場合、例えば、上記の式(I)において、D又はB〜Dは荷電基によって置換されてよい。
【0016】
既に−Si(R,R)−X−B−部分を含有する染料[以下の式(72)〜(76)の染料を参照のこと]が幾つか存在する。このような場合、Dは、別の−Si(R,R)−X−B−部分を導入する必要なく、無機のコアに直接結合してよい。
【0017】
粒子は染料の混合物を含み得る。通常、ブラック染料の混合物の場合を除いて、粒子当たり1種類の染料が好ましい。
【0018】
粒子は、例えば、粒子の分散性を高めるために、分散を安定化するために、染料を安定化するために等、式(I)の基に加えてコア表面に結合された更なる基を含んでよい。
【0019】
炭素原子に直接結合されたケイ素原子を含む対イオンに加えて、粒子は非共有結合した対イオンを含み得る。
【0020】
qは特に1又は2、好ましくは1である。アルキレン部分Xが少なくとも2個の炭素原子を含む場合、qは3又は4を表してもよい。
【0021】
及びRは、例えば、互いに独立して水素;C〜C12−シクロアルキル;−O−又は−S−によって中断されてよい及び/又はハロゲン、例えば、好ましくはフッ素によって置換されてよい、C〜C25アルキル;C〜C24アルケニル;フェニル;C〜Cフェニルアルキル;−OR
【化2】

であり、
は水素;−O−又は−S−によって中断されてよいC〜C25アルキル;C〜C24アルケニル;フェニル;C〜Cフェニルアルキル;
【化3】

又はコア表面酸素である。
【0022】
及びRは、互いに独立して水素;C〜C12−シクロアルキル;−O−又は−S−によって中断されてよい及び/又はハロゲン、例えば、好ましくはフッ素によって置換されてよい、C〜C25アルキル;C〜C24アルケニル;フェニル;C〜Cフェニルアルキル;又は−ORであり、且つ
、R及びR10は互いに独立して水素;−O−又は−S−によって中断されてよいC〜C25アルキル;C−C24アルケニル;フェニル;又はC−Cフェニルアルキルである。
【0023】
−C12−シクロアルキルは、非置換であるか又はC−Cアルキルによって置換されてよく、且つ例えば、シクロペンチル、1−メチル−シクロペンチル、シクロヘキシル、1−メチル−シクロヘキシル、2−メチル−シクロヘキシル、3−メチル−シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、又はシクロドデシルである。
【0024】
−C25アルキルとしてのR、R、R、R、R、R、R及びR10は分枝鎖状又は非分枝鎖状のラジカル、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、2−エチルブチル、n−ペンチル、イソペンチル、1−メチルペンチル、1,3−ジメチルブチル、n−ヘキシル、1−メチルヘキシル、n−ヘプチル、イソヘプチル、1,1,3,3−テトラメチルブチル、1−メチルヘプチル、3−メチルヘプチル、n−オクチル、2−エチルヘキシル、1,1,3−トリメチルヘキシル、1,1,3,3−テトラメチルペンチル、ノニル、デシル、ウンデシル、1−メチルウンデシル、ドデシル、1,1,3,3,5,5−ヘキサメチルヘキシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、イコシル又はドコシルであってよい。アルキルラジカルは中断されていないか又は−O−又は−S−によって中断されてよい。アルキルラジカル、例えば、C−C25アルキル、特に−O−又は−S−によって中断される、C−C25アルキルは、例えば、CH−O−CHCH−、CH−S−CHCH−、CH−O−CHCH−O−CHCH−、CH−O−CHCH−O−CHCH−、CH−(O−CHCH−)O−CHCH−、CH−(O−CHCH−)O−CHCH−又はCH−(O−CHCH−)O−CHCH−である。
【0025】
好ましいのは、アルキルラジカルが中断されてないか又は−O−によって中断されてよい、C−C12アルキル、特にC−Cアルキルである。
【0026】
炭素数2〜24のアルケニルとしてのR、R、R、R、R、R、R及びR10は分枝鎖状又は非分枝鎖状のラジカル、例えば、ビニル、プロペニル、2−ブテニル、3−ブテニル、イソブテニル、n−2,4−ペンタジエニル、3−メチル−2−ブテニル、n−2−オクテニル、n−2−ドデセニル、イソ−ドデセニル、オレイル、n−2−オクタデセニル又はn−4−オクタデセニルであってよい。炭素数3〜18、特に炭素数3〜12、例えば、炭素数3〜6、特に炭素数3〜4のアルケニルが好ましい。
【0027】
−CフェニルアルキルとしてのR、R、R、R、R、R、R及びR10は、例えば、互いに独立して、ベンジル、α−メチルベンジル、α,α−ジメチルベンジル又は2−フェニルエチルである。ベンジルが好ましい。
【0028】
は好ましくは水素、C−Cアルキル、又は粒子表面、特に粒子表面、例えば、Al表面、TiO表面又はSiO表面である。RがSiO表面であることが非常に好ましい意味である。
【0029】
及びRは好ましくは互いに独立して−OR又はC−Cアルキル、特にメチルである。
【0030】
、R及びR10は好ましくは互いに独立してC−Cアルキル、特にメチルである。
【0031】
好ましくは、R及びRは−OR
【化4】

、特に式−ORのラジカルであり、その際、R、R及びRについて、上記の意味及び選択が適用される。
【0032】
更に好ましくは、R及びRは式−ORのラジカルであり、その際、RはAl表面、TiO表面又はSiO表面、特にSiO表面などのコア表面の部分である。
【0033】
yは1〜8、好ましくは2、3又は4、特に3である。
【0034】
橋部分Bは、染料Dのアルキレン部分Xへの共有結合を可能にする任意の種類の化学的な橋である。
【0035】
Bは例えば、直接結合であるか、又は−NR−、−O−、−S−、−NR−C−C25アルキレン−NR−、−NR−SO−、−NR−CO−、−OC(O)−、−OC(O)O−、−OC(O)NR−、及びC−C25アルキレンから選択される橋部分であり、その際、アルキレンは−O−、−S−、−N(R)−、−N(R−、−CO−、−O−CO−、−CO−O−、−N(R)−CO−、−CO−N(R)−及びフェニレンからなる群から選択される少なくとも1つのラジカルによって結合及び/又は中断されてよく、ここでRは水素であるか又は非置換の又は置換のC−C12アルキル、例えば、ヒドロキシによって置換されたC−C12アルキル、例えば、2−ヒドロキシ−エチルである。C−C25アルキレンラジカルは非置換であるか又は例えば、カチオン性又はアニオン性基、例えば、−N(R、−SO又は−COOによって、又はヒドロキシによって、好ましくはヒドロキシによって置換されてよい。上記のフェニレンラジカルは非置換であるか又は例えば、ヒドロキシル、ハロゲン、カルボキシ、スルホネート、アミノ、アセチルアミノ又はモノ−又はジ(C−Cアルキル)アミノによって置換されてよい。
【0036】
アルキルラジカルとしてのRは、上記のヒドロキシ又はカチオン性又はアニオン性基によって、特にカチオン性アンモニウム基又はアニオン性カルボキシ、スルファト又はスルホナト基によって置換されてよい。2つ以上のR基が橋部分Bに存在する場合、R基は同じであるか又は互いに異なってよい。
【0037】
好ましくは、Rは水素又はC−C12アルキル、特に水素又はC−Cアルキルである。Rが水素であることが非常に好ましい意味である。
【0038】
好ましくは、Bは直接結合であるか又は式−A−C−C25アルキレン−A−、−A−C−C25アルキレン−フェニレン−A−又は−A−フェニレン−C−C25アルキレン−A−の橋部分であり、その際、C−C25アルキレンは中断されていないか又は上記のように中断されてよく、A及びAは直接結合又は上記のようなラジカルである。A及びAの好ましい意味は、直接結合、−O−、−S−、−N(R)−、−CO−、−O−CO−、−CO−O−、−N(R)−CO−、−CO−N(R)−、特に−N(R)−、−O−又は−S−であり、その際、Rは上に定義される通りである。A及びAについて非常に好ましい意味は、直接結合又は−N(R)−、特に直接結合又は−NH−である。C−C25アルキレンに関しては、これは中断されていないか又は−O−、−N(R)−、−N(R−、−CO−、−CO−O−、−CO−N(R)−及びフェニレン、特に−O−、−NH−、−CO−O−、−CO−NH−及びフェニレン、更に好ましくは−CO−O−、−CO−NH−及びフェニレンからなる群から選択される少なくとも1つのラジカルによって中断されることが好ましい。C−C25アルキレン及びフェニレンは上記のように置換されるか、又は好ましくは非置換であってよい。一般に、C−C25アルキレンラジカルの場合、C−C25アルキレン、特にC−C16−アルキレン又はC−C16アルキレン、更に特にC−C−アルキレン又はC−Cアルキレンが好ましい。
【0039】
更に好ましくは、Bは直接結合であるか、又は式−A−C−C25アルキレン−A−、−A−C−C25アルキレン−フェニレン−A−又は−A−フェニレン−C−C25アルキレン−A−の橋部分であり、その際、A及びAは直接結合、−O−、−S−、−N(R)−、−CO−、−O−CO−、−CO−O−、−N(R)−CO−又は−CO−N(R)−であり、C−C25アルキレンラジカルは中断されていないか又は−O−、−S−、−N(R)−、−N(R−、−CO−、−O−CO−、−CO−O−、−N(R)−CO−、−CO−N(R)−及びフェニレンからなる群から選択される少なくとも1つのラジカルによって中断されてよく、
ここでRは上で定義された通りである。
【0040】
Bについての重要な意味は、直接結合又は式−A−C−C25アルキレン−A−、−A−C−C25アルキレン−フェニレン−A−又は−A−フェニレン−C−C25アルキレン−A−の橋部分であり、その際、
及びAは直接結合、−N(R)−、−O−又は−S−であり、ここでRは上で定義された通りであり、C−C25アルキレンラジカルは中断されていないか又は−O−、−S−、−NH−、−CO−、−O−CO−、−CO−O−、−NH−CO−、−CO−NH−及びフェニレンからなる群から選択される少なくとも1つのラジカルによって中断されている。
【0041】
Bについての極めて重要な意味は、直接結合又は式−NH−C−C25アルキレン−A−又は−NH−C−C25アルキレン−フェニレン−A−の橋部分であり、その際、Aは直接結合又は−NH−であり、且つ
−C25アルキレンラジカルは中断されていないか又は−CO−O−、−CO−NH−及びフェニレンからなる群から選択される少なくとも1つのラジカルによって中断されている。
【0042】
−C25アルキレン及びフェニレンは上記のように置換されるか、又は好ましくは非置換であってよい。
【0043】
Bについての最も重要な意味は、直接結合、又は−NR−、−O−、−S−、−NR−C−C25アルキレン−NR−、−NR−SO−、−NR−CO−、−OC(O)−及び−OC(O)NR−から選択される橋部分である。
【0044】
使用される橋部分の種類に応じて、2種以上の染料Dを式Iaに示されるような橋部分Bに共有結合させることも可能であり、その際、zは1〜4であり、他の記号は上記及び下記に定義された通りである。
【化5】

【0045】
例えば、Bが−NR−を表し且つRが2−ヒドロキシ−エチルを表す場合、別の染料分子を、ヒドロキシ基を介して結合させることが可能である。
【0046】
Dは、好ましくはアニオン性及び/又はカチオン性基を含有する染料のラジカル、例えば、ボレート、スルフェート、ホスホネート、ホスフェート、−CSS−、CSO−及び特に第4級アンモニウム又はホスホニウム、SO又はCOOであり、これは粒子の全荷電に寄与する。染料は、200〜1500nm、特に400〜800nmの波長を有する電磁放射線を吸収する発色基を含有する。
【0047】
Dは好ましくはアクリジン、アントラキノン、アゾムチン、モノアゾ、ジサゾ、ポリアゾ、ベンゾジフラノン、クマリン、ジケトピロロピロール、ジオキサジン、ジフェニルメタン、ホルマザン、インジゴイド、メチン、ポリムチン、ナフタルイミド、ナフトキノン、ニトロアリール、オキサジン、ペリノン、ペリレン、フェナジン、フタロシアニン、ピレンキノン、キナクリドン、キノネイミン、キノフタロン、スチルベン、スチリル、チアジン、チオキサンテン、トリアリールメタン、キサンテン又は金属錯体染料のラジカル、更に好ましくはモノアゾ、ジサゾ、ポリアゾ、アントラキノン、フタロシアニン、ホルマザン、ジオキサジン又は金属錯体染料のラジカル、及び本願明細書に援用されるWO2007/048721A1号に記載されたもの等である。最も好ましくは、Dはアントラキノン、アゾメチン、モノアゾ、ジスアゾ、ポリアゾ、ベンゾジフラノン、ジオキサジン、ホルマザン、フタロシアニン、トリアリールメタン、アゾ金属錯体、ポリメチン、キサンテン、フェナジン、ジアザスチリル又はアントラピリドン染料のラジカルであり、例えば、本願明細書に以下に例示される通りである。
【0048】
本発明の文脈内で使用できる選択された反応性染料の例の式を以下に記載する。慣例的に、染料の式は、染料が通常その塩の形で使用される事実に関わりなく、遊離の酸及び/又は塩基の形で記載されている。反応性の染料は、例えば、添加又は置換反応によって、当業者に公知の方法で、本発明に記載された粒子にこれらの染料を結合させるために使用できる反応性基を含有する。
【0049】
反応性グリーン染料の例は次のものである:
【化6】

【0050】
本発明の文脈内で使用できる反応性ブルー染料の例は、実施例5の工程5.1にそのナトリウム塩の形で記載された式(24)のブルー染料であり、次のものである:
【化7】

【化8】

【化9】

【化10】

【0051】
本発明の文脈内で使用できる反応性黒色染料及びかかる染料の混合物の例は次のものである:
【化11】

次のものを含む混合物
【化12】

次のものを含む混合物
【化13】

次のものを含む混合物
【化14】

次のものを含む混合物
【化15】

次のものを含む混合物
【化16】

次のものを含む混合物
【化17】

次のものを含む混合物
【化18】

【0052】
本発明の文脈内で使用できる反応性レッド染料又はマゼンタ染料の例は、それぞれ、実施例1の工程1.2、及び実施例6の工程6.4に記載された式(4)及び(32)のマゼンタ染料であり、次のものである:
【化19】

【化20】

【化21】

【化22】

【化23】

【0053】
本発明の文脈内で使用できる反応性イエロー染料の例は、実施例2の工程2.1に記載された式(12)の化合物であり、次のものである:
【化24】

【化25】

【0054】
本発明の文脈内で使用できる反応性シアン染料の例は、実施例2の工程2.1に記載された式(17)の化合物であり、次のものである:
【化26】

【0055】
無機コア及び共有結合した染料を含む官能化粒子は、好ましくはグリーン、ブルー、シアン、レッド、マゼンタ、イエロー又はブラックの成分として使用される。
【0056】
好ましくは、本発明は、無機コアを有する体積5nm〜500ミリオンnmの荷電粒子及び粒子から分離可能であり且つ粒子に共有結合していない対イオンを含む組成物であって、前記対イオンは好適な橋部分を介して正に又は負に荷電した官能基に結合された(ポリ)シロキサン部分を含む、組成物に関する。
【0057】
無機コアの代わりに、官能化粒子は、通常、下記のように変性された有機顔料から作られる、又は該顔料から本質的になるコアを含有してよく、且つポリマー顔料又はポリマー染料とは異なり及び/又は有機(コ−)ポリマー、例えば、ポリスチレンを含む有機(コ−)ポリマーを含有しない。
【0058】
従って、本発明は、有機顔料及び/又は有機顔料誘導体から本質的になるコアを有する体積5nm〜500ミリオンnmの荷電粒子、及び粒子から分離可能であり且つ粒子に共有結合していない対イオンを含む組成物であって、前記対イオンは炭素原子に直接結合されたケイ素原子、例えば、好ましくは好適な橋部分を介して正に又は負に荷電された官能基に結合された(ポリ)シロキサン部分を含む、組成物にも関する。好ましい有機顔料は、例えば、カーボンブラック又は1−アミノアントラキノン、アンタントロン、アントラピリミジン、アゾ、アゾメチン、キナクリドン、キナクリドンキノン、キノフタロン、ジオキサジン、ジケトピロロピロール、フラバントロン、インダントロン、イソインドリン、イソインドリノン、イソビオラントロン、ペリノン、ペリレン、フタロシアニン、ピラントロン、チオインジゴ、又はオキソベンゾフラニリデン−ジヒドロインドロン系列の顔料であり、適用できる場合、金属錯体又はレーキの形態であり、特に不飽和又は部分的にハロゲン化された、オキソ−又はチオ−置換フタロシアニン、例えば、銅、亜鉛、又はニッケルフタロシアニン、1,4−ジケト−3,6−ジアリール−ピロロ[3,4−c]ピロール、ジオキサジン、イソインドリノン、インダントロン、ペリレン、及びキナクリドンである。アゾ顔料は、例えば、カップリング、縮合、又はレーキ形成によって得られる、任意の公知の部分集合からのモノアゾ顔料又はジスアゾ顔料であってよい。特に有用なものは、色指数に記載された顔料であり、例えば、ピグメントイエロー1、3、12、13、14、15、17、24、34、42、53、62、73、74、83、93、95、108、109、110、111、119、120、123、128、129、139、147、150、151、154、164、168、173、174、175、180、181、184、185、188、191、191:1、191:2、193、194及び199;ピグメントオレンジ5、13、16、22、31、34、40、43、48、49、51、61、64、71、73及び81;ピグメントレッド2、4、5、23、48、48:1、48:2、48:3、48:4、52:2、53:1、57、57:1、88、89、101、104、112、122、144、146、149、166、168、170、177、178、179、181、184、185、190、192、194、202、204、206、207、209、214、216、220、221、222、224、226、242、248、254、255、262、264、270及び272;ピグメントブラウン23、24、25、33、41、42、43及び44;ピグメントバイオレット19、23、29、31、37及び42;ピグメントブルー15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、25、26、28、29、60、64及び66;ピグメントグリーン7、17、36、37及び50;ピグメントブラック7、20、21、31及び32;バットレッド74;3,6−ジ(3’,4’−ジクロロ−フェニル)−2,5−ジヒドロ−ピロロ[3,4−c]ピロール−1,4−ジオン、3,6−ジ(4’−シアノ−フェニル)−2,5−ジヒドロ−ピロロ[3,4−c]ピロール−1,4−ジオン、3−フェニル−6−(4’−tert−ブチル−フェニル)−2,5−ジヒドロ−ピロロ[3,4−c]ピロール−1,4−ジオン及び本出願の工程16.1に記載された暫定的な式(208)を有する化合物;及びそれらの混合物及び固溶体である。
【0059】
上記のように、有機顔料は通常、それらを本出願の文脈内で有用なものとするために、変性されることが求められる。この変性は、本出願の請求項1に規定される対イオンを引き付けるためにかかる電荷が要求されるので、その表面に正又は負の電荷を有していない全ての有機顔料にとって必須である。
【0060】
この変性は、例えば、本出願の実施例11〜23に例示されるような異なる方法で実施してよく、これは、ほんのわずかな割合のアニオン性又はカチオン性基を有する顔料の誘導体を製造し、且つ前記わずかな割合の前記顔料誘導体を使用して変性していない顔料の表面を、例えば、吸着又は沈殿によって覆うことで十分である。これは、例えば、WO02/48268A1号及びWO02/48269A1号(この両方が本願明細書に援用されている)に記載されるように実施することができる。
【0061】
アニオン性顔料誘導体は、好ましくは上記有機顔料のうちの1つの誘導体であり、好ましくはスルホネート、スルフェート、カルボキシレート、カーボネート、ホスホネート又はホスフェート、最も好ましくはスルホネート又はスルフェートの誘導体である。これらの基は、非共役連結基、例えば、アルキレン、エーテル及び/又はチオ基を通して結合されてよいが、好ましくは発色基の芳香族基に直接結合されている。適切には、アニオン顔料誘導体の量は、プロトン化された酸の形として計算し且つ変性されていない顔料を基準として、0.1〜15質量%、好ましくは0.2〜12質量%、最も好ましくは0.5〜5質量%である。
【0062】
カチオン性顔料誘導体は、好ましくは上記の有機顔料のうちの1つの誘導体、好ましくはホスホニウム、最も好ましくはアンモニウム誘導体である。これらのホスホニウム基又はアンモニウム基は、連結基、例えば、フェニレン、ナフチレン、アルキレン、アルケニレン、シクロアルキレン、シクロアルケニレン、アルキニル、カルボニル、カーボネート、エステル、アミド、エーテル又はチオ基を介して結合できるか、又はそれらは発色基の芳香族基に直接結合されるかのいずれかであってよい。好ましくは、アンモニウム又はホスホニウムを、共役していないか又は部分的にしか共役していない連結基を介して顔料に結合させる。前記カチオン性顔料又はカチオン性顔料誘導体は、代替的に、プロトン化された形態の顔料、又はカチオンの形態のトリフェニルメタン着色剤であってよい。適切には、カチオン性顔料誘導体の量は、変性されていない顔料を基準として、0.1〜15質量%、好ましくは0.2〜12質量%、最も好ましくは0.5〜5質量%である。
【0063】
更に好ましくは、例えば、電気泳動ディスプレイの製造のための官能化粒子の組み合わせが使用されており、官能化粒子はレッド、グリーン及びブルーの成分(RGB,欧州放送連合E.B.U.Tech3213−E規格値)として使用されるか、又は官能化粒子はシアン、マゼンタ、イエロー及びキー(ブラック)成分(CMYK,ISO2846規格)として使用されている。
【0064】
異なる着色染料を使用することによって、要求される任意の色を有し、広範のゼータ電位を有し、且つ分散液中で安定な、かなりのホモ分散性(homodisperse)粒子を合成することが可能である。
【0065】
粒径が狭い粒径分布に容易に調整されるので、透明な並びに不透明な着色粒子を製造することが可能である。これは異なるディスプレイアプローチに関して重要であり、透明又は不透明な着色粒子のいずれかが必要とされ得る。
【0066】
炭素原子に直接結合されたケイ素原子を含む対イオン(粒子から分離可能であり且つ該粒子に共有結合していない)は、好ましくは好適な橋部分を介して荷電基、例えば、負に又は好ましくは正に荷電した官能基に結合された(ポリ)シロキサン部分を含む。特に、前記対イオンは、好適な橋部分、例えば、アルキレン基を介して、荷電基、例えば、負に又は好ましくは正に荷電した官能基、例えば、荷電した金属錯体、第4級(正に荷電した)窒素又はリン原子、又はアニオン性基、例えば、カルボキシレートアニオン(COO)、又は好ましくはボレート、例えば、−[B(OH)]−、スルフェート(−OSO−)、ホスホネート、ホスフェート、−CSS−又はCSO−、又は特に好ましくはスルホネートアニオン(SO)に、あるいはアニオン性基を有する部分に結合された少なくとも1つの、特に1〜4つの、更に特に1〜3つの、好ましくは1〜2つの(ポリ)シロキサン部分を含む。好ましくは、対イオンは、荷電基/荷電位置を1つのみ含み及び/又は、荷電した粒子のコアが有機顔料及び/又は顔料誘導体を含む場合、カルボキシレートアニオン(COO)を含まない。
【0067】
シロキサンは、その主鎖が主に−Si(R’)−O−形の単位から構成され、その式中、R’は水素原子、非置換の又はハロゲン化された炭化水素基、例えば、特にC−Cアルキル、好ましくはメチル又はエチル、又は分枝鎖状のシロキサンの場合、式−O−Si(R’’)−の部分又は−O−Si(R’’)−(式中、R’’はR’の意味の1つを有するが、R’と同じか又は異なってよい)形の単位から構成された別のシロキサン部分である、任意の化学化合物である。シロキサンは、ケイ素原子及び酸素原子が交互の分枝鎖状又は非分枝鎖状の主鎖−Si−O−Si−O−を有し、その際、側鎖R’(及びR’’)はそれぞれ、ケイ素原子に結合される。有機側鎖(R’及びR’’≠H)を有する重合したシロキサンは、シリコーン又はポリシロキサンとして一般に知られている。(ポリ)シロキサンにおいて、ケイ素原子及び酸素原子が交互の−Si−O−Si−O−の前記主鎖は、通常、−Si−H及び/又は末端基中の炭素原子への直接結合を介して主鎖中のケイ素原子に結合された末端基によって停止されている。通常の(ポリ)シロキサンの末端基は、炭化水素部分、例えば、アルキル、シクロアルキル又はフェニル基であり、その全てがハロゲン化、例えば、フッ素化されてよい。本発明の場合、少なくとも1つの(ポリ)シロキサンの末端基は、例えば、上で定義されるような荷電基を含む。
【0068】
やや好ましいのは、上に定義されたような荷電基及びケイ素原子を含む対イオンであり、その全ての4原子価は以下の式(203)及び(204)によって例示されるように、炭素原子に直接結合されている。
【0069】
炭素原子に直接結合されたケイ素原子を含む対イオンの例は以下のものである:
【化27】

【化28】

【化29】

【0070】
上記の例では、nは0〜1000、特に0〜100又は10〜100、更に特に0〜50又は0〜20、好ましくは5〜20又は5〜15、例えば、10〜13、好ましくは11を表す。
【0071】
好ましい対イオンは、式(II)のものであり、その式中、nは上記の意味のいずれか1つを有し、R、R11及びR12はそれぞれ互いに独立して水素又はC−C12アルキル、好ましくはC−C12アルキルを表す。
【化30】

【0072】
本発明の一部を形成する対イオンは、当業者に公知の方法で製造できる(例えば、WO2008/033908A2号、DE2226823A1号、US4005028A号、US2008/0076938A1号及びUS4587321A号を参照のこと)。
【0073】
例えば、第4級窒素原子を含む対イオンを製造するために、これは末端水素原子を有する(ポリ)シロキサンから出発し[実施例1、工程1.3、式(6)を参照のこと]、好適な触媒、例えば、酸化白金の存在下で、末端のC=C二重結合を有する脂肪族アミン、例えば、アリルアミンと反応してよい。得られた生成物中のアミノ基は、次に更にN置換され、最終的には、例えば、好適な脂肪族ハロゲン化物、例えば、ハロゲン化アルキル、例えば、n−ブチル−ブロミド及び/又はヨウ化メチル[実施例1、工程1.3及び1.5を参照のこと]又はシロキサン部分によって置換されたハロゲン化アルキル[実施例6、工程6.2及び6.3及び工程6.2中の式(28)を参照のこと]との反応によって4級化される。有利には、立体障害のために、小さい脂肪族ハロゲン化物、例えば、ヨウ化メチルが、最終的な4級化工程に使用される。ヨウ化メチルは、N置換を行って第2級、第3級及び第4級の窒素原子を単一の反応工程において作るために使用されてもよい[実施例7、工程7.1を参照のこと]。
【0074】
第4級リン原子を含む対イオンは、例えば、シロキサン部分によって置換されたハロゲン化アルキル[工程6.2の式(28)を参照のこと]と、好適なホスフィン、即ち、三置換されたホスファン、例えば、トリフェニルホスフィンとを、好適な溶媒、例えば、好適なエーテル、例えば、環状エーテル、例えば、テトラヒドロフラン中で、好適な塩基、例えば、炭酸ナトリウムの存在下で[実施例8、工程8.1を参照のこと]、反応させることによって製造してよい。
【0075】
カルボキシレート基、例えば、上記の式(177)又は(179)のものを含む対イオンは、例えば、好ましくは第1級アミノ置換されたシロキサンと無水コハク酸又はその誘導体とを反応させることによって合成することができる。
【0076】
スルホネート基、例えば、上記の式(202)又は(194)のものを含む対イオンは、例えば、アミノ又はヒドロキシ置換したシロキサンとスルトン、例えば、1,3−プロパンスルトンとを反応させることによって合成できる(1,2−オキサチオラン2,2−ジオキシド;Chemical Abstracts No.1120−71−4)。
【0077】
本発明は、対イオンを電気泳動装置に用いる使用及び新規な対イオン自体にも関する。特に、第4級リン原子を含む多くの対イオン[工程8.1の式(37)を参照のこと]は新規であり且つそれ自体が特許請求されている。
【0078】
無機コア及びそれに共有結合されている染料を含む荷電粒子も、当業者に公知の方法、例えば、本願明細書に援用されたWO2007/048721A1号に、又はUS5378574A号に記載された製造方法と同様に、又はF. M. Winnikら、"New water-dispersible silica-based pigments: synthesis and characterization", Dyes and Pigmentsの第14巻、第2号、1990年、第101−112頁に記載されたように製造できる。
【0079】
変性していない、即ち、官能化されていない粒子、特に、無機コア及びそれに共有結合された染料を含む荷電粒子を製造するための出発材料として有用なかかるナノ粒子は、Degussa, Hanse Chemie, Nissan Chemicals, Clariant, H. C. Starck, Nanoproducts or Nyacol Nano Technologiesなどの異なる供給者から粉末又は分散剤として市販されている。市販されているシリカナノ粒子の例は、DegussaからのAerosil(登録商標)、DuPontからのLudox(登録商標)、日産化学工業株式会社からのSnowtex(登録商標)、BayerからのLevasil(登録商標)、又は富士シリシア化学株式会社からのSylysia(登録商標)である。市販されているAlナノ粒子の例は、Nyacol Nano Technologies Inc.からのNyacol(登録商標)製品、又はSasolからのDisperal(登録商標)製品である。当業者は、異なる物理特性を有し且つ異なる組成物を有する、異なるサイズの粒子に到達するためのうまく確立されたプロセス、例えば、気相又は固相反応のための火炎加水分解(Aerosilプロセス)、プラズマプロセス、アークプロセス及びホットウォール反応機プロセス又は溶液ベースの反応のためのイオン交換プロセス及び沈殿プロセスに気付く。例えば、EP−A−1236765号、US−B−5,851,507号、US−B−6,719,821号、US−A−2004−178530号、US−B−2,244,325号、WO−A−05/026068号、及びEP−A−1048617号などの詳細なプロセスを記載した複数の文献を参照されたい。
【0080】
官能化されていない粒子(例えば、シリカ、アルミナ又は二酸化チタン粒子)の無機コアは、例えば、実施例1、工程1.1の式(1)から明らかな遊離のヒドロキシ基を表面上に含む。染料は、例えば、本願明細書の上記の式(I)又は(Ia)によって例示されるように、かかるヒドロキシ基に、直接に又は好ましくは間接的に共有結合されている。
【0081】
例えば、無機コアは最初に、アミンの脂肪族部分の炭素原子に結合された、トリアルコキシ−シリル基、ジアルコキシ−アルキル−シリル基又はアルコキシ−ジアルキル−シリル基、好ましくはトリメトキシシリル基を有する脂肪族アミン、例えば、3−トリメトキシシリル−プロピルアミン[実施例1、工程1.1、式(2)を参照のこと]と、以下の反応スキーム(式中、Xは例えば、アルキレン基、例えば、トリメチレンを表す)によって例示されるように反応してよい。あるいは、ケイ素原子上の他の官能性基は、アルコキシ基、例えば、ハロゲン化物(特に塩化物)又はシラミドの代わりに使用されてよい。
【化31】

【0082】
好ましくは、得られた表面変性した粒子は、当業者に公知の方法で溶解性部分の除去によって、例えば、好適な濾過、遠心分離、透析、浸透、沈澱等によって精製される。
【0083】
得られた中間体は、次いで中間体のアミノ基と反応できる官能基を有する染料と反応させてよい。かかる反応基の1つは、例えば、実施例1の工程1.2に記載された式(4)の染料に存在するような、特に、1,3,5−トリアジン環の塩素置換基のようなハロゲン原子である。
【0084】
多くの染料、例えば、本願明細書に上記された式(72)〜(76)の染料は、トリアルコキシ−シリル部分を含有する。これらの染料は、最初に橋部分を導入することなく無機コアに直接結合されてよい。この種の染料の無機コアへの共有結合は、無機コアとトリアルコキシ−シリル基を有する脂肪族アミンとの上記の反応と同様に行ってよい。
【0085】
好ましくは、得られた染色された粒子は、当業者に公知の方法で溶解性部分の除去によって、例えば、好適な濾過、遠心分離、透析、浸透、沈澱等によって精製される。
【0086】
本発明の荷電粒子及び対イオンを含む組成物は、例えば、分散液の形で使用されてよい。液体分散液は、例えば、以下のように製造される:
【0087】
荷電粒子の水性分散液は、好適なアルカノール、例えば、エタノール、及び好適なアルカン、例えば、ペンタン又はヘキサン又はそれらの混合物、例えば、40〜60℃の沸点を有する石油エーテルの混合物中の対イオンの溶液に添加され、得られた2相系を高温、例えば、60℃で撹拌する。冷却及び相分離後、有機相を脱イオン水で徹底的に洗浄する。室温及び常圧にて液体である好適な溶媒、例えば、好適な非置換の又はハロゲン化炭化水素溶媒、例えば、テトラクロロエチレン又は好適なアルカン、例えば、n−ドデカン、又は好適な環状炭化水素、例えば、テトラリン(1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン)、又は下記の任意の他の高絶縁有機溶媒を、有機相に添加し、低沸点の有機溶媒を減圧下で除去して、溶媒、例えば、ドデカン中に荷電粒子及び対イオンを含む所望の組成物の分散液を残す。
【0088】
所望であれば、得られる分散剤は、例えば、遠心分離によるアグロメレートの除去によって均一にすることができる。典型的には、分散した粒子は、約10〜1000ナノメートル(nm)の間、特に10〜600又は500ナノメートル(nm)の間、好ましくは10〜300又は200ナノメートル(nm)の間、例えば、50〜500nmの間又は100又は300nmの間の直径又は平均粒径を有するナノ粒子である。粒径の下限は10nm、特に20nmが好ましい。球体の体積Vの式、即ち、V=1/6πdを使用すると、これらの直径dは、それぞれ約500nm(直径10nm)、63000nm(直径50nm)、500000nm(直径100nm)、及び4ミリオンnm(直径200nm)、14ミリオンnm(直径300nm)、63ミリオンnm(直径500nm)、110ミリオンnm(直径600nm)、及び500ミリオンnm(直径1000nm)の近似の粒子体積に対応する。粒径は、例えば、光子相関法又は準弾性光散乱法としても知られた電子顕微鏡法又は動的光散乱法によって測定してよい。
【0089】
非分散形態の本発明の荷電粒子及び対イオンを含む組成物を製造するために、上記のように進めてもよいが、ドデカンのような高分子量の炭化水素溶媒を、脱イオン水で洗浄された有機相に添加する代わりに、前記有機相を真空下で蒸発させる。所望であれば、得られた非分散組成物を上記のように分散させてよい。しかしながら、本発明の組成物を、保護ガス、例えば、アルゴンのようなガス(「気体流」)中で又は更に真空中で分散した粉末の形態で使用することも可能である。電気光学材料の気体流中での分散は、例えば、US20090122389A1号に開示されている(段落[0015]を参照のこと)。
【0090】
本発明による粒子の有機含有量は、粒子の全質量を基準として、例えば、5〜95質量%、特に10〜90、20〜90、30〜90、40〜90又は50〜90質量%である。
【0091】
本発明は、純粋な、即ち、非分散形態の、及び分散した、特に均一に分散した形態の両方の組成物に関する。
【0092】
かかる電気泳動分散液の場合、粒子の沈下が起こらないことが重要である。
【0093】
液体分散媒として高絶縁有機溶媒が好ましい。これらの溶媒としては、芳香族炭化水素、例えば、トルエン、キシレン、及びアルキルベンゼン;脂肪族炭化水素、例えばペンタン、ヘキサン、オクタン、デカン又はドデカン;脂環式炭化水素、例えば、シクロヘキサン及びメチルシクロヘキサン;ハロゲン化炭化水素、例えば、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン、テトラクロロ−エチレン、及び1,2−ジクロロ−ベンゼン;鉱油、例えば、シリコーンオイル及びフルオロカーボンオイル;植物油、例えば、オリーブオイル;及び長鎖脂肪酸エステルが挙げられる。これらの溶媒は単独で又は組み合わせて使用してよい。脂肪族炭化水素及び芳香族炭化水素が好ましい。
【0094】
液体分散媒は、本発明による官能化した粒子を0.01〜50質量%、好ましくは0.01〜25質量%、特に0.1〜10質量%の量で含んでよい。
【0095】
分散液は更に添加剤、例えば、好適な分散剤、電荷制御剤及び/又は安定剤を含有してよい。
【0096】
本発明は、電気泳動インク、いわゆる「電子インク」の形態のこれらの組成物を、電気泳動ディスプレイ、好ましくは電子ペーパーに用いる使用にも関する。
【0097】
電気泳動インクディスプレイの作動原理は、多様な装置において特許文献(例えば、US2009/0040594A1号及び装置構造及びそこに引用されたディスプレイ技術に関する全ての特許文献、及び下記の更なる特許出願を参照のこと)及び刊行物に記載されており且つ当業者に公知である。電気泳動インクディスプレイの基本的な作動原理は非常に単純である。例えば、光学活性流体(電気泳動インク)を2つの電極の間に置く。これらの電極の1つは透明であるため、任意の色の変化が見られる。活性流体は、電極間にかけられた電界の変化による影響を受ける。電気泳動インクディスプレイは、例えば、3つの層で構成されている。例えば、第1の層はインジウム錫酸化物(ITO)で被覆された透明な箔である。この層はトップ電極として働く。第2の層、画素構造は、乾燥フィルムレジストで作られている。これは感光材料であり且つリソグラフィプロセスで構成され得る。画素化した層の構造は確実に電気泳動インクをその場にとどまらせる。第3の層は背面電極である。フレキシブルディスプレイの場合、柔軟箔が使用される。非フレキシブルディスプレイの場合、通常のプリント回路基板が使用できる。
【0098】
電気泳動インクディスプレイのある可能な作動原理は次の通りである:第1状態の電界では、全ての着色した荷電粒子は背面電極に引き付けられる。ここでコントラスト流体の色は透明電極にて現れる。電界が逆転する場合、粒子は前面電極によって引き付けられる。透明な前面の色は粒子の色に変化する。粒子が分散される流体の粘度のために、及び静電気による引力のために、粒子はその場に残る。粒子は流体内で周りを流れるには軽すぎる。これは、アイドル時間中に力を必要としないため、この技術の大きな利点である。
【0099】
電気インクの主成分は、電子ディスプレイに組み込むためのフィルムにおける、およそ人間の髪の毛の直径の、多数の(例えば、百万の)微小なマイクロカプセルである。ある実施態様では、黒色の及び白色のディスプレイ、それぞれのマイクロカプセルは、清浄な流体中に懸濁された正に荷電した白色粒子及び負に荷電した黒色粒子を含有する。負電圧(電場)をトップ電極でかける場合、白色粒子は、使用者がそれらを目に見えるようになるマイクロカプセルの頂部に動く。これはその地点で表面を白色に見えるようにする。同時に、反対の正電圧は、黒色の負に荷電した粒子を、それらが隠れたマイクロカプセルの底から引き寄せる。このプロセスを逆転させることによって、黒色粒子は、ここで表面をこの地点で暗く見えるようにする、カプセルの頂部で見られる。このアプローチによって、画像又はテキストはディスプレイ表面で視覚化できる。
【0100】
本発明の更なる対象は、電気泳動ディスプレイ粒子として本発明によって官能化した粒子を含む、電気泳動ディスプレイ、特に電子ペーパーである。官能化した粒子に関しては、上記の定義及び選択が適用される。
【0101】
本発明の組成物が使用できる電気泳動装置を含む電気泳動ディスプレイ系は公知である(例えば、US−B−5,914,806号、US−A−2004/0094422号、及びWO−A−02/079869号を参照のこと)。電気泳動ディスプレイ系は、通常、複数のかかる電気泳動装置を含む。
【0102】
電気泳動ディスプレイ系は、例えば、対の基板(電極)及び該基板の間に置かれた電気泳動分散液をそれぞれ含む電気泳動装置含み、その際、少なくとも1つの基板が透明な材料を含み、該基板はそれらの間に所定の距離を有し、且つ該電気泳動分散液は少なくとも1種の液体分散媒及び表面電荷を有する電気泳動粒子を含有する。電圧が基板の間に印加される時に、電気泳動粒子は、表面電荷及び電界の方向に応じて、電気泳動的に移動し、それによって電気泳動粒子の分布を変化させる。従って、電気泳動装置の色は、透明基板の側から見る時に変化する。即ち、荷電粒子が、ディスプレイ表面として働く基板の1つに動く時に、荷電粒子に保持される色が認識される。従って、所望の画像は、印加される電圧を制御することによって表示することができる。
【0103】
幾つかのディスプレイ装置がレッド粒子を含有し、幾つかのディスプレイ装置がグリーン粒子を含有し且つ幾つかのディスプレイ装置がブルー粒子を含有することが好ましい。別の実施態様によれば、幾つかのディスプレイ装置がシアン粒子を含有し、幾つかのディスプレイ装置がマゼンタ粒子を含有し、幾つかのディスプレイ装置が黄色粒子を含有し、且つ幾つかのディスプレイ装置が黒色粒子を含有することが好ましい。ディスプレイ装置を個別に扱うことによって、ディスプレイは、選択した輝度レベルで選択した色に対応する外観を生じ得る。
【0104】
興味深いタイプの電気泳動ディスプレイは、いわゆるマイクロセル電気泳動ディスプレイである。マイクロセル電気泳動ディスプレイでは、分散媒を含有する粒子は、キャリヤ媒体内に形成された複数の空隙中に保持される(例えば、WO−A−02/01281号を参照のこと)。
【0105】
好ましい電気泳動ディスプレイは電子ペーパーである。これは典型的にはシート状ディスプレイ機能層を含むシート状ディスプレイである。
【0106】
特別な装置構造では、2以上の異なる且つ透明な色を同時に多層系で表示することができ、そこで混合された色は人間の目で見ることができる。
【0107】
本発明は、均一な分散液の形態の特許請求された組成物、該組成物の電気泳動ディスプレイに用いる使用並びに好適な橋部分を介して第4級の正に荷電した窒素又はリン原子に、又は電気泳動においてアニオン性官能基を有する部分に結合された(ポリ)シロキサン部分を含む対イオンの使用にも関する。本発明は、新規な対イオン自体にも関する。
【0108】
以下の実施例によって本発明を説明する。
【0109】
実施例
実施例1:式(10)のアンモニウムシロキサン変性マゼンタ着色ナノ粒子
【化32】

以下の工程1.5に記載された化合物(9)34mgを、エタノール3mlと石油エーテル3mlとの混合物(沸点範囲40〜60℃)中に溶解させ、3.3質量%の着色ナノ粒子(ナトリウム塩)を含有する、以下の工程1.2に記載された化合物(5)の水性分散液0.89gを添加する。2相系を、加熱した油浴に浸されたバイアルにおいて60℃で15分間撹拌する。冷却後、2相を分離する。その有機相を、脱イオン水4mlで2回洗浄する。1mlのn-ドデカンを添加する。一晩放置した後、低沸点の有機溶媒を真空下で除去すると、ドデカン中のナノ粒子(10)の赤色分散液0.75gが残る。遠心分離によるアグロメレートの除去後、分散液は適用試験について均質である(以下の結果を参照のこと)。これはマゼンタ電気泳動インクとして装置で使用してよい。
【0110】
分散された荷電ナノ粒子は、Malvern Zetasizer Nanoseries(Malvern Instruments Ltd.,英国)を用いて動的光散乱法によって測定される通り176nmの直径を有する。
【0111】
表面変性された分散した荷電ナノ粒子は、Malvern Zetasizer Nanoseriesによって測定して−19.4mVのゼータ電位(ζ)を示し、且つスモルコウスキーの関係(ζ=μη/ε、ここでμは移動度であり、η=1.344mPasは25℃での媒体の粘度であり且つε=2.0は20℃での誘電率である)から計算して40Vで−1.66e−2×10−8/Vsの電気泳動移動度μを示す。
【0112】
ゼータ電位の意義は、その絶対(即ち、正又は負)値が、コロイド分散液の安定性に関連していることである。ゼータ電位は、隣接した、分散液中で同様に荷電した粒子間の斥力の程度を示す。充分に小さい分子及び粒子、例えば、本発明のナノ粒子については、高いゼータ電位は安定性を付与する、即ち、分散液は凝集に耐える。電位が低い場合、引力は斥力を上回り、且つ、分散が崩壊し、そして凝集する。従って、高いゼータ電位(正又は負)を有するコロイドは電気的に安定化される一方、低いゼータ電位を有するコロイドは凝結又は凝集する傾向がある。ゼータ電位の他の重要性は、電界の影響下での粒子の移動度がゼータ電位に比例することである。(絶対)ゼータ電位が高いほど、粒子の動き及び二状態間のスイッチングが速い。
【0113】
電気泳動移動度は、粒子速度と電界強度との間の比例係数である。
【0114】
式(10)のアンモニウムシロキサン変性したマゼンタ着色ナノ粒子を非分散形態で製造するために、上記のように進めてもよいが、ドデカンを脱イオン水4mlで2回洗浄された有機相に添加する添加する代わりに、前記有機相を真空下で蒸発させる。
【0115】
出発材料(9)及び(5)を以下の通りに調製する:
工程1.1:アミノプロピル変性ナノ粒子(3)
【化33】

概略の「式」(1)の46.3gのLUDOX SM−30(シリカナノ粒子30質量%の水分散液;Grace−Davison;5〜15nmの間、特に7〜10nmの間、例えば、8nmの平均直径)を46mlの水で希釈し且つ新たな酸活性化Amberlite(登録商標)IR−120、即ち、スルホン酸官能性を有する強酸性のゲルタイプ樹脂(Rohm and Haas社製)13.8gを用いて、周囲温度で10分間撹拌する。粗いフリットによるイオン交換体の除去後に、シリカの分散液をtert.−ブタノール1200mlで希釈し且つ周囲温度で21時間撹拌する。得られた透明な分散液に、21.52gの(3−アミノプロピル)−トリメトキシシラン(2)のtert.−ブタノール溶液80mlを、2時間の間撹拌しながら滴加する。得られた混濁した分散液を、周囲温度で1.5時間撹拌し、次いで更に3時間80℃で還流下で撹拌する。次に同じ温度で、水及びメタノールを、5時間の共沸蒸留によってtert.−ブタノールの一部と一緒に除去し、490ml全部を留去する。周囲温度に冷却した後、溶媒を、十分な量のエタノールの添加後に、真空下の共沸蒸留によってエタノールと交換する。この分散液を溶解した材料から分離し且つ真空下で濃縮すると、5.1質量%の3−アミノプロピルシラン変性シリカナノ粒子(3)を含有する分散液302gが得られる。
【0116】
工程1.2:マゼンタ着色変性ナノ粒子(対イオン:ナトリウム)(5)
【化34】

22.5gの物質(3)の分散液(エタノール中5.1質量%の固形分)を、反応フラスコ内でN,N−ジメチルアセトアミド30mlに添加する。無水炭酸ナトリウム530mgを添加し、次いで式(4)の反応性マゼンタ染料の溶液4.77gを、N,N−ジメチルアセトアミド30mlに添加する。この混合物を撹拌しながら16時間105℃に加熱し、次いで周囲温度に冷却する。
【0117】
反応混合物を800mlのエタノール中に注ぎ、生成物を遠心分離によって単離し、そして水中に再分散させる。粒子を溶解した材料から分離し、最終的に100mlの体積まで濃縮させる。この分散液は3.3質量%の染料が付着したナノ粒子(5)を含有する。
【0118】
分散された荷電ナノ粒子は、Malvern Zetasizer Nanoseriesを用いて動的光散乱法によって測定される通り174nmの直径を有する。
【0119】
代替的な合成法は、EP0355062号の実施例VI(アミノプロピルトリエトキシシラン変性シリカ)、プロシオンターコイズHA(染料付着シリカ)の代わりに上記の式(4)の染料(ナトリウム塩)を使用する実施例XVIに記載されている。
【0120】
工程1.3:アミノプロピル−ポリジメチルシロキサン(7)
【化35】

1gの化合物(6)、一末端がブチル基で終端され且つ別の末端が水素化物で終端された約1000の分子量(即ち、nは約11)を有する直鎖状ポリ(ジメチルシロキサン)(チッソ株式会社、日本よりFM−0111の商品名で市販)を、アリルアミン(286mg)375μl中の酸化白金1.15mgの懸濁液に添加する。混合物を、加熱した油浴に浸されたバイアルにおいて105℃で16時間撹拌する。雰囲気温度まで冷却した後、反応混合物をメンブレンフィルタ(ポリテトラフルオロ−エチレン[PTFE]、ポアサイズ0.45μm)を通して濾過する。過剰なアリルアミンを真空下で除去した後、式(7)の生成物は、黄色がかったわずかに混濁した液体の形で残る。H−NMRは出発ヒドリドシランの完全な消失を示し且つ反応が(第1位と比較して)アリルアミンの第3位で90%の選択性を上回って起こることを示す;H−NMR (ppm,CDCl):2.60 2H t,1.39 2H txt,1.28−1.21 4H m,0.84 3H t,0.48 4H t,0 CH−Si s.
【0121】
工程1.4:N,N−ジブチルアミノ−プロピル−ポリジメチルシロキサン(8)
【化36】

3gの化合物(7)をn−臭化ブチル10ml中に溶解させ、無水炭酸ナトリウム1.73gを添加し、懸濁液を、加熱した油浴に浸された密閉バイアルにおいて105℃で3時間撹拌する。周囲温度に冷却した後、反応混合物を塩化メチレンで希釈し且つ水で洗浄し、水相をもう一度塩化メチレンで抽出する。合わせた有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を真空下で除去した後、3.0gの黄褐色の油が残る。
【0122】
2gのこの粗反応混合物をHPLC(シリカゲル、ヘプタン−イソプロパノール90:10)によって精製すると、0.57gのわずかに黄色がかった透明な油(H−NMR及び13C−NMRによれば95%を上回る第3級アミン(8)である)が得られる。
【0123】
工程1.5:メチル−ジブチル−アンモニウムプロピル−ポリジメチルシロキサン(9)
【化37】

560mgの化合物(8)をヨウ化メチル2.7ml中に溶解させ、この溶液を、加熱した油浴に浸された密閉バイアルにおいて45℃で20分間撹拌する。周囲温度に冷却した後、過剰のヨウ化メチルを真空下で除去すると、黄色がかった粘性の油の形で化合物(9)が残り、これはH−NMRによって第3級アミンの第4級アンモニウム塩への完全な転換を示す;H−NMR(ppm,CDCl):3.45−3.28 6H m,3.25 3H s,1.75−1.55 6H m,1.45 4H txq,1.26−1.20 4H m,0.95 6H t,0.81 3H t,0.55−0.43 4H m,0.09 6H s,0 CH−Si s.
【0124】
実施例2:アンモニウムシロキサン変性イエロー着色ナノ粒子
【化38】

工程1.5に記載された34mgの化合物(9)を、エタノール3mlと石油エーテル3mlとの混合物(沸点範囲40〜60℃)中に溶解させ、ナトリウム塩として1.9質量%のナノ粒子を含有する、1.94gの(13)の水性分散液を添加する。2相系を、加熱した油浴に浸されたバイアルにおいて60℃で15分間撹拌する。冷却後、2相を分離する。その有機相を、脱イオン水4mlでそれぞれ2回洗浄する。1mlのn−ドデカンを添加する。一晩放置した後、低沸点の有機溶媒を真空下で除去すると、ドデカン中のナノ粒子(11)の黄色分散液0.77gが残る。遠心分離によるアグロメレートの除去後、分散液は均一であり且つ黄色の電気泳動インクとして装置で使用してよい。
【0125】
分散された荷電ナノ粒子は、Malvern Zetasizer Nanoseriesを用いて動的光散乱法によって測定される通り213nmの直径を有する。
【0126】
表面変性された分散した荷電ナノ粒子は、Malvern Zetasizer Nanoseriesによって測定して−7.74mVのゼータ電位(ζ)を示し、且つスモルコウスキーの関係から計算して40Vで−6.64e−3×10−8/Vsの電気泳動移動度μを示す。
【0127】
式(13)の出発材料は以下の通りに調製される:
工程2.1:イエロー染料変性ナノ粒子(13)(対イオン:ナトリウム)
【化39】

22.5gの化合物(1)の分散液(エタノール中5.1質量%の固形分)を、反応フラスコ内でN,N−ジメチルアセトアミド30mlに添加する。無水炭酸ナトリウム530mgを添加し、次いで式(12)の反応性イエロー染料の懸濁液3.99gを、N,N−ジメチルアセトアミド30mlに添加する。この混合物を撹拌しながら16時間105℃に加熱し、次いで周囲温度に冷却する。反応混合物を800mlのエタノール中に注ぎ、生成物を遠心分離によって単離し、そして水中に再分散させる。粒子の分散液を溶解した材料から分離し、最終的に72.04gの質量まで濃縮させる。この分散液は1.9質量%の染料が付着したナノ粒子(13)を含有する。
【0128】
実施例3:アンモニウムシロキサン変性シアン着色ナノ粒子(14)
【化40】

実施例2に記載されるのと同様に、ナノ粒子(18)を、工程1.5に記載されるアンモニウム−ポリジメチルシロキサン(9)と反応させると、ドデカン中にシアン着色ナノ粒子(14)の均一な分散液が得られ、その際、nは約11である[工程1.3の式(7)を参照のこと]。この分散液はシアン電気泳動インクとして装置で使用してよい。
【0129】
出発材料を以下の通りに調製する:
工程3.1:アミノプロピル変性ナノ粒子(16)
【化41】

概略の「式」(15)のLUDOX TMA(シリカナノ粒子34質量%の水分散液;Aldrich)を、工程1.1に記載されたのと同様に3−アミノプロピル−トリメトキシシラン(2)と反応させると、式(16)のエタノール中に有機変性したナノ粒子(分散液の固体含有率:13%、固体残留物の元素分析:N:1.1%)が得られる。
【0130】
工程3.2:シアン着色変性ナノ粒子(対イオン:ナトリウム)(18)
【化42】

工程1.2に記載されるのと同様に、ナノ粒子(16)を、式(17)の反応性シアン染料と反応させるとシアンナノ粒子(18)(分散液の固体含有率:2.1%、固体残留物の元素分析:C:7.28%、H:1.16%、N:2.95%、S:1.58%)が得られる。
【0131】
実施例4:アンモニウムシロキサン変性シアン着色ナノ粒子(19)
【化43】

実施例1に記載されるのと同様に、ナノ粒子(22)(工程4.2を参照のこと)を、アンモニウム−ポリジメチルシロキサン(9)と反応させると、ドデカン中にシアン着色ナノ粒子(19)(ex Snowtex N)の均一な分散液が得られる。この分散液をシアン電気泳動インクとして試験する。
【0132】
出発材料を以下の通りに調製する:
工程4.1:アミノプロピル変性ナノ粒子(21)
【化44】

工程1.1と同様に、概略の「式」(20)のSnowtex N(シリカナノ粒子21質量%の水分散液;日産化学工業株式会社)を、3−アミノプロピル−トリメトキシシラン(2)と反応させると、エタノール中に有機変性したナノ粒子(21)(分散液の固体含有率:5.4%、固体残留物の元素分析:C:4.91%、H:1.23%、N:1.72%)が得られる。
【0133】
工程4.2:シアン染料変性ナノ粒子(対イオン:ナトリウム)(22)
【化45】

工程1.2と同様に、ナノ粒子(21)(ex Snowtex N)を、式(17)の反応性シアン染料と反応させるとシアンナノ粒子(22)(分散液の固体含有率:1.36%、固体残留物の元素分析:C:11.08%、H:1.43%、N:4.52%、S:2.47%)が得られる。
【0134】
実施例5:(荷電したブルーナノ粒子)
アンモニウムシロキサン変性ブルー着色ナノ粒子(23)
【化46】

実施例1と同様に、ナノ粒子(25)(工程5.1を参照のこと)を、アンモニウム−ポリジメチルシロキサン(9)と反応させると、ドデカン中にブルー着色ナノ粒子(23)の均一な分散液が得られる。この分散液はブルー電気泳動インクとして装置で使用してよい。
【0135】
分散された荷電ナノ粒子は、Malvern Zetasizer Nanoseriesを用いて動的光散乱法によって測定される通り164nmの直径を有する。
【0136】
表面変性された分散した荷電ナノ粒子は、Malvern Zetasizer Nanoseriesによって測定して−17.7mVのゼータ電位(ζ)を示し、且つスモルコウスキーの関係から計算して40Vで−1.52e−2×10−8/Vsの電気泳動移動度μを示す。
【0137】
出発材料を以下の通りに調製する:
工程5.1:ブルー染料変性ナノ粒子(対イオン:ナトリウム)(25)
【化47】

工程1.2に記載されるのと同様に、ナノ粒子(3)を、式(24)の反応性ブルー染料と反応させるとブルーナノ粒子(25)(分散液の固体含有率:3.3%、固体残留物の元素分析:C:15.48%、H:2.02%、N:4.33%、S:3.02%)が得られる。
【0138】
実施例6:アンモニウムシロキサン変性マゼンタ着色ナノ粒子(26)
【化48】

実施例1に記載されるのと同様に、ナノ粒子(33)(工程6.4を参照のこと)を、アンモニウム−ポリジメチルシロキサン(31)と反応させると、ドデカン中にマゼンタ着色ナノ粒子(26)の均一な分散液が得られる。この分散液はマゼンタ電気泳動インクとして装置で使用してよい。
【0139】
出発材料を以下の通りに調製する:
工程6.1:ヨードプロピルシラン(28)
【化49】

90gの3−クロロプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン(27)(Chem.Abstracts No.18077−31−1)及び105.22gのヨウ化ナトリウムをアセトン250mlに添加し且つ還流下で24時間撹拌する。アセトンを蒸発させて残留物を塩化メチレン中に取る。有機相を水で洗浄し、乾燥させ、そして蒸発させる。89gの所望の3−ヨードプロピル−トリス(トリメチルシロキシ)シラン(28)が得られる;H−NMR(ppm,CDCl):3.12 2H t,1.75 2H txt,0.43 2H t,0 27H s.
【0140】
工程6.2:トリス(トリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピル)アミン(30)
【化50】

14.3gの3−ヨードプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン(28)、5.7gの3−アミノプロピルトリス(トリメチル−シロキシ)シラン及び9.6gの炭酸ナトリウムを、ジメチルアセトアミド50mlに添加し且つ80℃で15時間撹拌する。次にジメチルアセトアミドを蒸発させて、残留物を塩化メチレン中に取る。有機相を水で洗浄し、乾燥させ、そして蒸発させる。生成物をシリカゲルのカラムクロマトグラフィーによって精製すると式(30)のわずかに黄色がかった油7gが得られる;H−NMR(ppm,CDCl):2.21 6H t,1.38 6H txt,0.28 6H t,0 81H s。
【0141】
工程6.3:メチル−トリス(トリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピル)ヨウ化アンモニウム(31)
【化51】

1.42gのトリス(トリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピル)アミン(30)、1.2gのヨウ化メチル及び0.9gの炭酸ナトリウムをアセトン50mlに添加する。この反応混合物を還流下で15時間撹拌する。溶媒を蒸発させて残留物を塩化メチレン中に取る。次に有機相を水で洗浄し、乾燥させ、そして蒸発させる。残留物は所望の生成物メチル−トリス(トリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピル)ヨウ化アンモニウム(31)を含有する;H−NMR(ppm,CDCl):3.27 6H t,3.18 3H s,1.56−1.50 6H m,0.37 6H t,0 81H s.
【0142】
工程6.4:マゼンタ染料変性ナノ粒子(対イオン:ナトリウム)(33)
【化52】

工程1.2に記載されるのと同様に、式(16)のナノ粒子を、式(32)の反応性マゼンタ染料と反応させると、マゼンタナノ粒子(33)(分散液の固体含有率:8.6%、固体残留物の元素分析:S:1.33%)が得られる。
【0143】
実施例7:アンモニウムシロキサン変性マゼンタ着色ナノ粒子(34)
【化53】

実施例1に記載されるのと同様に、工程1.2に記載された式(5)のナノ粒子を、工程7.1に記載された式(35)のアンモニウム−ポリジメチルシロキサンと反応させると、式(34)のマゼンタ着色ナノ粒子の均一な分散液が得られる。
【0144】
式(34)のナノ粒子の分散溶媒としてテトラリンをドデカンの代わりに使用してよい。この分散液はマゼンタ電気泳動インクとして装置で使用してよい。
【0145】
工程7.1:N,N,N−トリメチル−N−[3−(トリス−トリメチルシロキシ−シリル)−プロピル]ヨウ化アンモニウム(35)
【化54】

0.8gの3−アミノプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン、1.8gのヨウ化メチル及び1.35gの炭酸ナトリウムをジメチルホルムアミド50mlに添加する。この反応混合物を室温で3時間撹拌する。溶媒を蒸発させて残留物を塩化メチレン及び水中に取る。次に有機相を水で洗浄し、乾燥させ、そして蒸発させると、化合物(35)が得られる;H−NMR(ppm,CDCl):3.45−3.32 11H m,1.68−1.58 2H m,0.39 2H t,0.00 27H s.
【0146】
実施例8:ホスホニウムシロキサン変性マゼンタ着色ナノ粒子(36)
【化55】

実施例1に記載されるのと同様に、工程1.2に記載された式(5)のナノ粒子を、工程8.1に記載された式(37)のトリフェニル−(トリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピル)ヨウ化ホスホニウムと反応させると、式(36)のマゼンタ着色ナノ粒子の均一な分散液が得られる。
【0147】
式(36)のナノ粒子の分散溶媒としてテトラリンをドデカンの代わりに使用してよい。この分散液はマゼンタ電気泳動インクとして装置で使用してよい。
【0148】
工程8.1:トリフェニル−(トリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピル)ヨウ化ホスホニウム(37)
【化56】

工程6.1に記載された1.0gの3−ヨードプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン(28)、1.7gのトリフェニルホスフィン及び0.69gの炭酸ナトリウムをテトラヒドロフラン50mlに添加する。この反応混合物を還流下で2日間撹拌する。溶媒を蒸発させ、残留物をシリカゲルのカラムクロマトグラフィーによって精製すると所望のホスホニウム塩(37)が得られる;ESI−MS:M599.58.
【0149】
実施例9:アンモニウムシロキサン変性イエロー着色ナノ粒子(38)
【化57】

実施例2の化合物(11)について記載されたのと同様に、ナノ粒子(13)を化合物(39)と反応させると(工程9.1を参照のこと)、イエロー着色ナノ粒子26の均一な分散液が得られる。ドデカンの代わりにlsopar Gを分散溶媒として使用する。この分散液は黄色の電気泳動インクとして装置で使用される。
【0150】
工程9.1:メチル−ジエチル−アンモニウムプロピレン−ポリジメチルシロキサン(39)
工程1.5の化合物(9)について記載されたのと同様に、化合物(39)を製造する;H−NMR(ppm,CDCl):3.58 4H q,3.32 2H t,3.20 3H s,1.70−1.55 4H m,1.35 6H t,1.30−1.2 4H m,0.82 3H t,0.55−0.46 4H m,0.08 6H s,0.00 CH−Si s.
【0151】
実施例10:アンモニウムシロキサン変性シアン着色ナノ粒子(40)
実施例4の化合物(19)について記載されたのと同様に、ナノ粒子(22)を化合物(41)と反応させると(工程10.1を参照のこと)、シアン着色ナノ粒子(40)の均一な分散液が得られる。この分散液はシアンの電気泳動インクとして装置で使用される。
【0152】
工程10.1:メチル−ジイソプロピル−アンモニウムプロピレン−ポリジメチルシロキサン(41)
工程1.5の化合物(9)について記載されたのと同様に、化合物(41)を製造する;H−NMR(ppm,CDCl):4.08 2H dxq,3.22 2H t,3.07 3H s,1.75−1.61 4H m,1.50 6H d,1.45 6H d,1.30−1.2 4H m,0.82 3H t,0.55−0.46 4H m,0.08 6H s,0.00 CH−Si s.
【0153】
実施例11:レッド顔料粒子を含む電気泳動インク
実施例2に記載されるのと同様に、工程11.1に記載された変性顔料粒子の水性懸濁液を、工程1.5に記載された式(9)のアンモニウム−ポリジメチルシロキサンと反応させる。2相系を、加熱した油浴に浸されたバイアルにおいて60℃で15分間撹拌する。冷却後、2相を分離する。有機相を洗う。一晩放置した後、低沸点の有機溶媒を真空下で除去すると、ドデカン中に変性顔料のレッド分散液が残る。遠心分離によるアグロメレートの除去後、分散液は均一であり且つ赤色の電気泳動インクとして装置で使用してよい。
【0154】
工程11.1:式(205)の塩混練のC.I.(色素指数)ピグメントレッド254[CAS−No.84632−65−5;IRGAZIN DPP Red BO ex CIBA SC;3,6−ビス(4−クロロフェニル)−2,5−ジヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−1,4−ジオン]の41.1%の水性プレスケーキ39.1g、並びにDE−4037556A1号の実施例1a)及び1b)に記載された通りに得られる化学式(205)、(206)及び(207)
【化58】

を有する3種の化合物の部分的にスルホン化した混合物のナトリウム塩の28.6%の水性濾過ケーキ0.28gを、分散剤ミキサー(カウレスディゾルバー)を用いて90分間水150ml中に分散させる。
【0155】
実施例12:ブルー顔料粒子を含む電気泳動インク
実施例2に記載されたのと同様に、工程12.1に記載された通りに製造された顔料の水性懸濁液を、工程1.5に記載された式(9)のアンモニウム−ポリジメチルシロキサンと反応させてブルー電気泳動インクを調製する。
【0156】
工程12.1:式(221)の塩混練した銅フタロシアニンブルー15.3(C.I.ピグメントブルー15.3;C.I.NO.:74160:3;CAS NO:147−14−8;IRGALITEブルーGLO;ex CIBA SC)の49.2%の水性濾過ケーキ23.1g、並びに式(222)のモノスルホン化(ナトリウム塩として)銅フタロシアニン(26.4%の水性濾過ケーキとして)誘導体0.42gを一緒に、水100ml中にカウレスディゾルバーを用いて90分間分散させる。
【化59】

【0157】
実施例13:ブルー顔料粒子を含む電気泳動インク
実施例2に記載されたのと同様に、工程13.1に記載された通りに製造された顔料の水性懸濁液を、工程1.5に記載された式(9)のアンモニウム−ポリジメチルシロキサンと反応させてブルー電気泳動インクを調製する。
【0158】
工程13.1:式(221)の塩混練したC.I.ピグメントブルー15.3(IRGALITEブルーGLO ex CIBA SC)の49.2%の水性濾過ケーキ23.4g、並びに顔料相乗剤(分散剤)SOLSPERSE 5000[CAS No.70750−63−9;Lubrizol Advanced Materials Inc.;SOLSPERSE 5000がナトリウム塩ではなく、恐らく第4級アンモニウム塩である点で異なる式(222)に対応する]0.23gを一緒に、水100ml中にカウレスディゾルバーを用いて90分間分散させる。その後、該懸濁液をろ紙で濾過し、水で洗浄し、そして生成物を80℃で真空のオーブン中で乾燥させる。
【0159】
実施例14:グリーン顔料粒子を含む電気泳動インク
実施例2に記載されたのと同様に、工程14.1に記載された通りに製造された顔料の水性懸濁液を、工程1.5に記載された式(9)のアンモニウム−ポリジメチルシロキサンと反応させてグリーン電気泳動インクを調製する。
【0160】
工程14.1:C.I.ピグメントグリーン7(C.I.74260;銅フタロシアニングリーン;ポリクロロ銅フタロシアニン;IRGALITEグリーンGFNP;ex CIBA SC)の13.5gの38.9%水性濾過ケーキ及び0.11gの銅フタロシアニン誘導体(217)
【化60】

をカウレスディゾルバーで90分間分散させる。
【0161】
実施例15:グリーン顔料粒子を含む電気泳動インク
実施例2に記載されたのと同様に、工程15.1に記載された通りに製造された顔料の水性懸濁液を、工程1.5に記載された式(9)のアンモニウム−ポリジメチルシロキサンと反応させてグリーン電気泳動インクを調製する。
【0162】
工程15.1:C.I.ピグメントグリーン36(銅フタロシアニングリーン粉末[cpグリーン360009];ポリブロモフタログリーン;C.I.NO.:74265CAS NO:14302−13−7;IRGALITEグリーン6G ex CIBA SC)の35.5%水性濾過ケーキ14g及び工程14.1に記載された銅フタロシアニン誘導体(217)0.12gをカウレスディゾルバーで90分間分散させる。
【0163】
実施例16:黒色顔料粒子を含む電気泳動インク
実施例2に記載されたのと同様に、工程16.1に記載された通りに製造された顔料の水性懸濁液を、工程1.5に記載された式(9)のアンモニウム−ポリジメチルシロキサンと反応させて黒色電気泳動インクを調製する。
【0164】
工程16.1:WO−00/24736A1号の第35頁の実施例12Bに従って得られ且つ暫定的な式(208)
【化61】

を有する微粉化オキソベンゾフラニリデン−ジヒドロインドロン10gを水100ml中に18時間分散させる。
【0165】
暫定的な式(208)の物質は、WO00/24736A1号内に「紫色粉末」として記載されている。本特許出願の発明者らは、上記式(208)を、前記実施例12bによって得られる生成物の最もあり得る構造を表すものであると考えているが、該構造は絶対的に確実というわけではない。正確な構造は、式(208)の異性体、特にシス/トランス異性体に、又はかかる異性体の混合物に相応することもある。
【0166】
水2.9g中のスルファニル酸(4−アミノベンゼンスルホン酸)0.7gと、35%塩酸水溶液1.38gとを別々に4MのNaNO水溶液1.08mlを用いて4℃で処理する。ジアゾニウム塩を工程16.1に従って得られた顔料懸濁液に添加する。冷却を取り除き、混合物を一定に撹拌しながら4℃から23℃まで温めて、次いで1時間50℃に加熱する。
【0167】
実施例17:ブラック顔料粒子を含む電気泳動インク
実施例2に記載されたのと同様に、工程17.1に記載された通りに製造された顔料の水性懸濁液を、工程1.5に記載された式(9)のアンモニウム−ポリジメチルシロキサンと反応させてブラック電気泳動インクを調製する。
【0168】
工程17.1:10gのC.I.ピグメントブラック7を水100mlに一晩中分散させる。水2.9g中のスルファニル酸0.7gと、濃塩酸1.38gとを別々に4MのNaNO溶液1.08mlを用いて4℃で処理する。ジアゾニウム塩をゆっくりと顔料懸濁液に添加する。冷却を取り除き、混合物を一定に撹拌しながら4℃から室温まで温めて、次いで2時間40℃に加熱する。
【0169】
実施例18:レッド顔料粒子を含む電気泳動インク
実施例2に記載されたのと同様に、工程18.1に記載された通りに製造された顔料の水性懸濁液を、工程18.2に記載された通りに製造された式(225)の二カリウム塩と反応させてレッド電気泳動インクを調製する。
【0170】
工程18.1:式(218)
【化62】

の塩混練したC.I.ピグメントレッド264の43.8%の水性プレスケーキ45.6gを水200mlに分散させる。別途、式(219)
【化63】

を有するプロカインの塩酸塩5.5gを水15g及びHCl7mlに溶かした溶液を、4MのNaNO水溶液5.5mlを用いて0〜4℃で処理する。ジアゾニウム塩をゆっくりと顔料懸濁液に添加する。0〜4℃で15分間の攪拌の後、該懸濁液を1時間23℃で攪拌し、その後、50℃に加熱し、そしてさらに1時間攪拌する。
【0171】
工程18.2:式(225)の二カリウム塩の製造
【化64】

工程1.3に記載された2gの化合物(7)をジメチルホルムアミド10ml中に溶解し、次いで0.8gの無水炭酸カリウム及び0.7gの1,3−プロパンスルトンを添加し、そして懸濁液を105℃で一晩撹拌する。周囲温度に冷却した後、反応混合物を水で希釈し、式(225)の二カリウム塩を分離する[本出願の優先権書類の第23頁に開示された式(202)の対応するアニオンを参照のこと]。
【化65】

【0172】
実施例19:ブルー顔料粒子を含む電気泳動インク
実施例18のように進めるが、C.I.ピグメントレッド264のプレスケーキの代わりにC.I.ピグメントブルー15:3(銅フタロシアニンブルー;C.I.No.:74160:3;CAS No:147−14−8)のプレスケーキを使用する点で異なる。
【0173】
実施例20:ブルー顔料粒子を含む電気泳動インク
実施例18のように進めるが、C.I.ピグメントレッド264のプレスケーキの代わりにC.I.ピグメントブルー15:1(C.I.ピグメントブルー15:3の更なる変性)のプレスケーキを使用する点で異なる。
【0174】
実施例21:マゼンタ顔料粒子を含む電気泳動インク
実施例2に記載されたのと同様に、工程21.1に記載された通りに製造された顔料の水性懸濁液を、工程18.2に記載された式(225)のスルホン化ポリジメチルシロキサンと反応させてマゼンタ電気泳動インクを調製する。
【0175】
工程21.1:式
【化66】

のC.I.ピグメントレッド122(CAS Nos.980−26−7及び16043−40−6;EU No.213−561−3;C.I.No.:73915)の31.5%の水性プレスケーキ63gを水180mlに分散させる。別途、塩酸プロカイン5.5gを水15gとHCl7mlとに溶かした溶液を、4MのNaNO水溶液5.5mlを用いて0〜4℃で処理する。ジアゾニウム塩を顔料懸濁液に添加する。
【0176】
実施例22:イエロー顔料粒子を含む電気泳動インク
実施例21のように進めるが、C.I.ピグメントレッド122のプレスケーキの代わりに式(223)のC.I.ピグメントイエロー128のプレスケーキを使用する点で異なる。
【化67】

【0177】
実施例23:レッド顔料粒子を含む電気泳動インク
実施例11のように進めるが、スルホン化C.I.ピグメントレッド254を、(乾燥重量で計算して)同量の
a)US−A−4914211号の実施例11Aに記載されたジケトピロロピロールカルボキシレート、又は
b)US−A−4914211号の実施例16に記載されたジケトピロロピロールホスホネート
に置き換える点で異なる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
体積5nm〜500ミリオンnmの荷電粒子、及び粒子と分離可能であり且つ粒子に共有結合していない対イオンを含む組成物であって、前記対イオンが炭素原子に直接結合しているケイ素原子を含む、組成物。
【請求項2】
無機コアを有する体積5nm〜500ミリオンnmの荷電粒子及び粒子から分離可能であり且つ粒子に共有結合していない対イオンを含み、前記対イオンは好適な橋部分を介して正に又は負に荷電した官能基に結合された(ポリ)シロキサン部分を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
無機コアはSiO、Al、TiO又は混合したSiO、Al及び/又はTiOコアである、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
染料がコアに共有結合されている、請求項2又は3に記載の組成物。
【請求項5】
染料が、以下の式
【化1】

(式中、
qは1〜4であり、
及びRは互いに独立して水素、コア表面−O−、又は置換基であり、
Xはアルキレンであり、
Bは直接結合又はDに伸びる橋部分であり、且つ
Dは染料の荷電残基である)
のラジカルを介して、コアの表面で酸素原子に共有結合される、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
染料が式(4)のマゼンタ染料、式(12)のイエロー染料、式(17)のシアン染料、式(24)のブルー染料及び式(32)のマゼンタ染料
【化2】

から選択される、請求項4又は5に記載の組成物。
【請求項7】
有機顔料及び/又は有機顔料誘導体から本質的になるコアを有する体積5nm〜500ミリオンnmの荷電粒子、及び粒子から分離可能であり且つ粒子に共有結合していない対イオン粒子を含み、前記対イオンは好適な橋部分を介して正に又は負に荷電した官能基に結合された(ポリ)シロキサン部分を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
有機顔料がカーボンブラック及び1−アミノアントラキノン、アンタントロン、アントラピリミジン、アゾ、アゾムチン、キナクリドン、キナクリドンキノン、キノフタロン、ジオキサジン、ジケトピロロ−ピロール、フラバントロン、インダントロン、イソインドリン、イソインドリノン、イソビオラントロン、ペリノン、ペリレン、フタロシアニン、ピラントロン、チオインジゴ又はオキソベンゾフラニリデン−ジヒドロインドロン系の顔料から選択される、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
対イオンが式(II)又は(202)を有し、それぞれの式中、nが5〜20を表し、R、R11及びR12はそれぞれ互いに独立してC−C12アルキル、又は式(183)
【化3】

を表す、請求項1から8までのいずれか1項に記載の組成物。
【請求項10】
均一な分散液の形である、請求項1から9までのいずれか1項に記載の組成物。
【請求項11】
電気泳動インクの形である、請求項1から10までのいずれか1項に記載の組成物。
【請求項12】
請求項1から10までのいずれか1項に記載の組成物を電気泳動ディスプレイに用いる使用。
【請求項13】
電気泳動条件下で色の変化を起こすための請求項1から10までのいずれか1項に記載の組成物の使用。
【請求項14】
好適な橋部分を介して第4級の正に荷電した窒素又はリン原子に、又はアニオン性官能基を有する部分に結合された(ポリ)シロキサン部分を含む対イオンを電気泳動に用いる使用。

【公表番号】特表2012−530824(P2012−530824A)
【公表日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−516631(P2012−516631)
【出願日】平成22年6月11日(2010.6.11)
【国際出願番号】PCT/EP2010/058206
【国際公開番号】WO2010/149505
【国際公開日】平成22年12月29日(2010.12.29)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】