説明

莢果判別構造

【課題】莢への豆の収容状態を適切に判別する。
【解決手段】莢果選別装置10では、莢果18が、第2ベルト30によって前方へ搬送されて、光電センサ32の投光部34と受光部36との間を通過することで、投光部34が投光して莢果18に遮られない光を受光部36が受光して、光電センサ32が莢果18の位置毎の厚さを測定する。これにより、莢果18の所定厚さ以上の位置の数と莢果18の所定厚さ未満の位置の数とに基づき、莢20への豆22の収容状態を適切に判別できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、莢への豆の収容状態を判別する莢果判別構造に関する。
【背景技術】
【0002】
エダマメ莢の精選別方法としては、CCDカメラでエダマメ莢の画像を取得し、画像処理部でエダマメ莢の外形形状と変色部の抽出を行うものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ここで、このようなエダマメ莢の精選別方法では、莢への豆の収容状態を適切に判別できるのが好ましい。
【特許文献1】特開2005−279524公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記事実を考慮し、莢への豆の収容状態を適切に判別できる莢果判別構造を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の莢果判別構造は、莢に豆が収容された莢果の厚さを測定する測定手段と、前記測定手段の測定結果に基づき莢への豆の収容状態を判別する判別手段と、を備えている。
【0006】
請求項2に記載の莢果判別構造は、請求項1に記載の莢果判別構造において、前記測定手段は、莢果へ光を投光する投光部と、前記投光部が投光して莢果に遮られない光を受光する受光部と、を有することを特徴としている。
【0007】
請求項3に記載の莢果判別構造は、請求項1又は請求項2に記載の莢果判別構造において、前記判別手段は、莢果の所定厚さ以上の位置の数及び莢果の所定厚さ未満の位置の数の少なくとも一方に基づき莢への豆の収容状態を判別することを特徴としている。
【0008】
請求項4に記載の莢果判別構造は、請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の莢果判別構造において、前記測定手段は、相対移動される莢果の厚さを測定することを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に記載の莢果判別構造では、測定手段が莢果の厚さを測定すると共に、判別手段が測定手段の測定結果に基づき莢への豆の収容状態を判別する。このため、莢への豆の収容状態を適切に判別することができる。
【0010】
請求項2に記載の莢果判別構造では、測定手段において、投光部が莢果へ光を投光すると共に、投光部が投光して莢果に遮られない光を受光部が受光する。このため、測定手段が莢果の厚さを適切に測定することができる。
【0011】
請求項3に記載の莢果判別構造では、判別手段が、莢果の所定厚さ以上の位置の数及び莢果の所定厚さ未満の位置の数の少なくとも一方に基づき、莢への豆の収容状態を判別する。このため、莢への豆の収容状態を一層適切に判別することができる。
【0012】
請求項4に記載の莢果判別構造では、測定手段が相対移動される莢果の厚さを測定する。このため、測定手段を小型化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図1には、本発明の莢果判別構造が適用されて構成された実施の形態に係る莢果選別装置10の主要部が上方から見た平面図にて示されており、図2には、莢果選別装置10の主要部が右方から見た側面図にて示されている。さらに、図3には、莢果選別装置10が右方から見た模式図にて示されている。なお、図面では、莢果選別装置10の前方を矢印FRで示し、莢果選別装置10の上方を矢印UPで示す。
【0014】
本実施の形態に係る莢果選別装置10は、搬送手段としての第1コンベア12を備えている。第1コンベア12では、一対の第1ローラ14に無端帯状の第1ベルト16が巻き掛けられており、第1コンベア12が駆動されて、一対の第1ローラ14が回転されることで、第1ベルト16が回動されて、第1ベルト16の上側部分が前方へ移動される共に、第1ベルト16の下側部分が後方へ移動される。このため、第1ベルト16の上側部分上に莢果18(本実施の形態ではエダマメの莢果)が載置されることで、第1ベルト16によって莢果18が前方へ搬送される。
【0015】
第1ベルト16の上側部分上に載置される莢果18は、脱莢機(図示省略)や手作業によって枝から離脱された(もぎ取られた)後のものであり、莢果18は、通常、莢20内に所定数の豆22(子実、実)が収容されている(図1及び図2では莢20内に2つの豆22が収容されている莢果18を例示)。
【0016】
第1ベルト16の上側には、整列部24が設けられており、整列部24は、第1ベルト16によって前方へ搬送される莢果18を前後方向に一列に整列させると共に、当該莢果18の長手方向を前後方向へ向けた状態にする。
【0017】
第1コンベア12の前側かつ下側には、移動手段としての第2コンベア26が設けられており、第2コンベア26の後端は、第1コンベア12の前端の下側に配置されている。第2コンベア26では、一対の第2ローラ28に無端帯状の第2ベルト30が巻き掛けられており、第2コンベア26が駆動されて、一対の第2ローラ28が回転されることで、第2ベルト30が回動されて、第2ベルト30の上側部分が前方へ移動される共に、第2ベルト30の下側部分が後方へ移動される。これにより、第1ベルト16によって前方へ搬送された莢果18が第1ベルト16の前端から第2ベルト30の上側部分上に落下されることで、莢果18が前後方向に一列に整列されると共に長手方向を前後方向へ向けられた状態で第2ベルト30によって前方へ搬送される。
【0018】
第2ベルト30の上側には、測定手段としての光電センサ32が設けられており、光電センサ32は、光を感知するセンサであり、投光部34と受光部36とが設けられている。投光部34と受光部36とは、第2ベルト30の左右両外側に接して配置されて、互いに対向されており、投光部34は、受光部36へ向けて一定時間(例えば2msec)毎に一定光量の光を投光可能にされると共に、受光部36は、投光部34から投光された光を受光可能にされている。
【0019】
第2ベルト30によって前方へ搬送される莢果18が投光部34と受光部36との間を通過する際には、受光部36が、投光部34から投光されて莢果18に遮られた光を受光せずに、投光部34から投光されて莢果18に遮られない光を受光する。
【0020】
このため、投光部34と受光部36との間を莢果18が通過しない際には、受光部36が最高光量の光(投光部34から投光された光を受光できる最大量の光)を受光する。一方、投光部34と受光部36との間を莢果18が通過する際には、莢果18の厚さが厚い位置程、受光部36が少量の光を受光する。これにより、光電センサ32は、受光部36が受光した光の光量に基づき、莢果18の連続する長手方向位置毎の厚さを測定可能にされている。
【0021】
例えば、投光部34と受光部36との間を莢果18における莢20に豆22が収容されていない長手方向位置(以下「莢位置」という)が通過する際には、莢果18の莢位置の厚さは薄いため、受光部36が高光量の光(上記最高光量の光に比し僅かに少量の光)を受光する。一方、投光部34と受光部36との間を莢果18における莢20に豆22が収容されている長手方向位置(以下「実位置」という)が通過する際には、莢果18の実位置の厚さは厚いため、受光部36が低光量の光(上記高光量の光に比し少量の光)を受光する。
【0022】
光電センサ32は、判別手段としての制御部38に接続されており、光電センサ32は、受光部36が受光した光量が少ない程、低い光電レベルの信号を、制御部38に出力する。
【0023】
図4〜図7に示す如く、制御部38では、光電センサ32から入力した信号の光電レベルに対して「莢レベル」と「実レベル」とが予め設定される。「莢レベル」は、投光部34と受光部36との間を莢果18の莢位置が通過した際の光電レベルにされる。「実レベル」は、投光部34と受光部36との間を莢果18の所定厚さの実位置(豆22の厚さが特定厚さの位置)が通過した際の光電レベルにされる。また、投光部34と受光部36との間を莢果18が通過しない際には、光電レベルが「最高レベル」になる。
【0024】
制御部38では、光電レベルが「最高レベル」未満になってから再度「最高レベル」になる間に、投光部34と受光部36との間を莢果18が通過していると判断されて、当該莢果18に対して、光電レベルが「莢レベル」以下になる回数と光電レベルが「実レベル」以下になる回数とが、カウンタによってカウントされる。
【0025】
制御部38では、莢果18に対して、「良品下限回数」と「良品上限比率」とが予め設定される。「良品下限回数」は、莢20に所定数(本実施の形態では2つ)の特定厚さ以上の豆22が収容されている莢果18の場合における光電レベルが「実レベル」以下になる回数にされる。「良品上限比率」は、莢20に所定数よりも1つ少ない数(本実施の形態では1つ)の特定厚さ以上の豆22と1つの特定厚さ未満の豆22とが収容されている莢果18の場合における光電レベルが「実レベル」以下になる回数に対する光電レベルが「莢レベル」以下になる回数(光電レベルが「実レベル」以下になる回数を含んでも含まなくてもよい)の比率にされる。
【0026】
以上により、制御部38では、莢果18に対して、光電レベルが「莢レベル」以下になる回数と光電レベルが「実レベル」以下になる回数とに基づいて、当該莢果18が良品(莢20に特定厚さ以上の豆22が所定数以上収容されている莢果18)か不良品(良品以外の莢果18)かが判別(判定)される。
【0027】
図3に示す如く、第2ベルト30の前端の下側には、選別部を構成するエジェクタ40(選別装置)が設けられており、エジェクタ40は、第2ベルト30によって前方へ搬送されて第2ベルト30の前端から自由落下する莢果18の落下軌跡の前方に配置されている。エジェクタ40は、例えばソレノイド又は空気の駆動力によって作動可能にされており、第2ベルト30の前端から1つずつ自由落下する莢果18がエジェクタ40の後方に到達した際にエジェクタ40が作動されることで、エジェクタ40が当該莢果18を瞬間的に後側へ弾いて、当該莢果18の落下軌跡が後側へ変更される。
【0028】
エジェクタ40は、制御部38に接続されており、エジェクタ40は、制御部38の制御によって作動可能にされている。これにより、制御部38が良品と判別した莢果18がエジェクタ40の後方に到達した際には、エジェクタ40が作動されないことで、当該莢果18の落下軌跡は後側へ変更されない。一方、制御部38が不良品と判別した莢果18がエジェクタ40の後方に到達した際には、エジェクタ40が作動されることで、当該莢果18の落下軌跡が後側へ変更される。
【0029】
エジェクタ40の下側には、選別部を構成する選別板42が設けられており、選別板42の上端は、第2ベルト30の前端から自由落下する莢果18の落下軌跡の後側に配置されている。選別板42の前側は、良品領域にされており、制御部38が良品と判別して落下軌跡がエジェクタ40によって後側へ変更されない莢果18が選別板42の前側に落下する。一方、選別板42の後側は、不良品領域にされており、制御部38が良品と判別して落下軌跡がエジェクタ40によって後側へ変更された莢果18が選別板42の後側に落下する。
【0030】
次に、本実施の形態の作用を説明する。
【0031】
以上の構成の莢果選別装置10では、第1ベルト16によって莢果18が前方へ搬送されて、整列部24によって莢果18が前後方向に一列に整列されると共に長手方向を前後方向へ向けられた状態にされる。さらに、莢果18が第1ベルト16の前端から第2ベルト30に落下されて、莢果18が前後方向に一列に整列されると共に長手方向を前後方向へ向けられた状態で第2ベルト30によって前方へ搬送されることで、莢果18が光電センサ32の投光部34と受光部36との間を通過する。
【0032】
投光部34は、受光部36へ向けて一定時間毎に一定光量の光を投光しており、受光部36は、投光部34から投光された光を受光する。このため、投光部34から投光された光を莢果18が遮って、受光部36が受光する光量が少なくなることで、光電センサ32が、受光部36が受光する光量に基づき莢果18の長手方向位置毎の厚さを測定して、受光部36が受光した光量が少ない程低い光電レベルの信号を制御部38に出力する。
【0033】
制御部38では、光電レベルが「最高レベル」未満になってから再度「最高レベル」になる間に、投光部34と受光部36との間を莢果18が通過していると判断される。
【0034】
図4に示す如く、莢果18において、光電レベルが「莢レベル」以下になる回数が1回以上あり、光電レベルが「莢レベル」以下になる回数が「良品下限回数」未満である際には、莢20に所定数(2つ)未満の特定厚さ以上の豆22のみが収容されていると判断されて、当該莢果18が不良品(少実莢果)と判別される。
【0035】
図5に示す如く、莢果18において、光電レベルが「莢レベル」以下になる回数が1回以上あり、光電レベルが「莢レベル」以下になる回数が0回である際には、莢20に特定厚さ未満の豆22のみが収容されていると判断されて、当該莢果18が不良品(未熟莢果)と判別される。
【0036】
図6に示す如く、莢果18において、光電レベルが「莢レベル」以下になる回数が1回以上あり、光電レベルが「実レベル」以下になる回数に対する光電レベルが「莢レベル」以下になる回数の比率が「良品上限比率」より大きい際には、莢20に所定数(2つ)未満の特定厚さ以上の豆22と1つ以上の特定厚さ未満の豆22とが収容されていると判断されて、当該莢果18が不良品(低熟莢果)と判別される。
【0037】
図7に示す如く、莢果18において、光電レベルが「莢レベル」以下になる回数が1回以上あり、図4〜図6において莢果18が不良品と判別されない際には、莢20に所定数(2つ)以上の特定厚さ以上の豆22が収容されていると判断されて、当該莢果18が良品と判別される。
【0038】
投光部34と受光部36との間を通過した莢果18は、第2ベルト30によって更に前方へ搬送されて、第2ベルト30の前端から自由落下することで、エジェクタ40の後方に到達する。
【0039】
制御部38が良品と判別した莢果18がエジェクタ40の後方に到達した際には、エジェクタ40が作動されないことで、当該莢果18の落下軌跡が変更されずに、当該莢果18が選別板42の前側の良品領域に落下する。一方、制御部38が不良品と判別した莢果18がエジェクタ40の後方に到達した際には、エジェクタ40が作動されることで、当該莢果18の落下軌跡が後側へ変更されて、当該莢果18が選別板42の後側の不良品領域に落下する。これにより、莢果18が良品と不良品とに選別される。
【0040】
ここで、上述の如く、光電センサ32が莢果18の長手方向位置毎の厚さを測定して、制御部38が光電センサ32の測定結果に基づき莢20への豆22の収容状態(莢果18の熟度であり莢20に収容される豆22の厚さ及び個数)を判別する。このため、莢20への豆22の収容状態を適切に判別することができ、莢果18を良品と不良品とに適切に選別することができる。
【0041】
また、上述の如く、光電センサ32では、投光部34が莢果18へ光を投光すると共に、投光部34が投光して莢果18に遮られない光を受光部36が受光する。このため、光電センサ32が莢果18の長手方向位置毎の厚さを適切に測定することができる。
【0042】
さらに、上述の如く、制御部38が、莢果18の所定厚さ以上の位置の数(光電レベルが「実レベル」以下になる回数)及び莢果18の所定厚さ未満の位置の数(光電レベルが「莢レベル」以下になる回数)に基づき、莢20への豆22の収容状態を判別する。このため、莢20への豆22の収容状態を一層適切に判別することができる。
【0043】
また、上述の如く、光電センサ32が第2ベルト30によって搬送される莢果18の長手方向位置毎の厚さを測定する。このため、光電センサ32が莢果18の長手方向位置毎の厚さを同時に測定する必要がなく、光電センサ32を小型化することができる。
【0044】
なお、本実施の形態では、莢果18としてエダマメの莢果を使用したが、莢果18としてインゲンマメ、エンドウ又はソラマメの莢果を使用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の実施の形態に係る莢果選別装置の主要部を示す上方から見た平面図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る莢果選別装置の主要部を示す右方から見た側面図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る莢果選別装置を示す右方から見た模式図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る莢果選別装置において莢果が不良品(少実莢果)と判別される際に光電センサが出力する光電レベルの時間変化を示すグラフである。
【図5】本発明の実施の形態に係る莢果選別装置において莢果が不良品(未熟莢果)と判別される際に光電センサが出力する光電レベルの時間変化を示すグラフである。
【図6】本発明の実施の形態に係る莢果選別装置において莢果が不良品(低熟莢果)と判別される際に光電センサが出力する光電レベルの時間変化を示すグラフである。
【図7】本発明の実施の形態に係る莢果選別装置において莢果が良品と判別される際に光電センサが出力する光電レベルの時間変化を示すグラフである。
【符号の説明】
【0046】
10 莢果選別装置(莢果判別構造)
18 莢果
20 莢
22 豆
32 光電センサ(測定手段)
34 投光部
36 受光部
38 制御部(判別手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
莢に豆が収容された莢果の厚さを測定する測定手段と、
前記測定手段の測定結果に基づき莢への豆の収容状態を判別する判別手段と、
を備えた莢果判別構造。
【請求項2】
前記測定手段は、
莢果へ光を投光する投光部と、
前記投光部が投光して莢果に遮られない光を受光する受光部と、
を有することを特徴とする請求項1記載の莢果判別構造。
【請求項3】
前記判別手段は、莢果の所定厚さ以上の位置の数及び莢果の所定厚さ未満の位置の数の少なくとも一方に基づき莢への豆の収容状態を判別することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の莢果判別構造。
【請求項4】
前記測定手段は、相対移動される莢果の厚さを測定することを特徴とする請求項1〜請求項3の何れか1項記載の莢果判別構造。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2009−189936(P2009−189936A)
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−32362(P2008−32362)
【出願日】平成20年2月13日(2008.2.13)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成19年度、農林水産省、先端技術を活用した農林水産研究高度化事業に係る委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(591108178)秋田県 (126)
【出願人】(000144898)株式会社山本製作所 (144)
【Fターム(参考)】