説明

落花生スプラウトから得られた栄養補助剤とその製造法

【課題】 落花生もやしの通常の食材としての用途から新たな展開を図る。
【解決手段】落花生から得たスプラウトを、15〜50℃で冷風乾燥し、その乾燥物を直接微粉砕するか、または、一旦、その乾燥物を粗砕し、その粗砕物を凍結乾燥して微粉砕した粉末を、粉末状態で、または、打錠機にかけて錠剤とし、または、飲料水に添加して飲料用とした落花生スプラウトの栄養補助剤である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、落花生スプラウトから得た栄養補助剤いわゆるサプリメントに関するものである。
【背景技術】
【0002】
本願出願人は、先に特許文献1において、落花生を室温下で発芽させて、下胚軸の長さを10センチ程度とした落花生もやしを開示した。
【0003】
この落花生から得たもやしは、従来の大豆、小豆などから得たもやしとは異なり、アスパラガスに似た風味があり、しかも、その径は大きく、通常の調理での加熱ではその形状と歯ざわりが失われないという特徴があり、サラダ、酢のものの他に、天ぷらにしてビールのつまみ、温野菜などの新規食材としての用途が展開されつつある。
【特許文献1】特許第2698719号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、この落花生もやしの通常の食材としての用途から新たな展開を図るものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
表1は、NPO法人全国発芽食材生産販売者協会から発表された落花生スプラウトの成分を、原料である黒落花生と、通常のもやしであるりょくとうもやしと、その味合いが落花生もやしと似ているアスパラガスとの100g中の含有成分の分析表を示すものである。
【表1】

【0006】
この表1から明らかなように、落花生から得たもやしは、原料である黒落花生、通常のもやし、アスパラガスとは、含有成分が異なり、とくに、炭水化物、脂質、食物繊維、ビタミンE、リン、カリウム、ナトリウムなどの含有量が異なる。
【0007】
落花生は、スプラウト化の段階で、その内部の炭水化物、脂質、たんぱく質が植物体内で変化し植物細胞を形成する。その結果、エネルギーは著しく減少し、いわゆる健康野菜状態となる。ナイアシン(ビタミンB3)もビタミンB6も豊富に含まれていて、これが健康食品として高く評価される。また、がん予防ポリフエノールとして知られるレスベラトールも豊富に含まれており、この点からも貴重な食材である。
【0008】
本願発明者は、落花生もやしのアスパラガスに似た味合いを利用して、その飲み易いドリンク剤とするとともに、落花生もやしが有する各種の栄養源を利用して、栄養補助剤、すなわち、サプリメントとすることを思い付いた。
【0009】
すなわち、本発明は、落花生から得られた初期スプラウトを、凍結乾燥して微粉砕し、これを粉末状で、または打錠機にかけて錠剤化し、または飲料用とした落花生スプラウトの栄養補助剤である。
【0010】
本発明において、スプラウトとは、落花生からの「もやし」が10cm程度の長さに達するまでの前段階の発芽段階のものを意味する。
【0011】
本発明の栄養補助剤は、スプラウトを15〜50℃で冷風乾燥して、そのまま、微粉砕するか、一旦、粗砕し、凍結乾燥したのち微粉砕し、または、飲料と混ぜて、ドリンク剤に供するものである。
【0012】
このスプラウトから得た栄養補助剤は、単に味わいが優れているのみではなく、各種栄養源を多く含むものとなる。
【0013】
この落花生のスプラウトから得た栄養補助剤は、単独のいわゆるサプリメントとしての使用だけではなく、他の食品への添加剤として、例えば、ヨーグルトに添加する、あるいはカレーのルーに添加することによって、食品分野にもその利用分野を広めることができる。
【0014】
本発明に使用する落花生としては、一般に市販されているいわゆる「ピーナツ」が使用できるが、「黒ピーナツ」を使用すると、外皮のむらさきの色素にアントシアニンが多く含まれるため、その薬効は倍加する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によって得られた落花生スプラウトからの補助食品は、違和感のない味わいと豊富な栄養源を有し、粉末、固形状、液状の栄養補助剤、さらには、食品への添加剤として利用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、実施例によって本発明の実施の形態を説明する。
【実施例】
【0017】
図1は本発明による落花生スプラウトからの栄養補助剤の製造過程を示すフロー図である。
【0018】
硫酸第2鉄635g、硫酸マンガン90g、硫酸亜鉛10g、硫酸コバルト5g、モリブデン酸アンモン25g、硼酸135g、クエン酸440gをプラスチックの容器に入れ、65〜80℃の熱湯9リットルを加え、2〜3分間よく撹拌する。この液に水を加えて全容18リットルのスプラウトの育成のための生物活性原液を得た。
【0019】
プラスチックのざるに黒落花生を広げ、室温25〜32℃に保持しながら生物活性原液を5,000倍に希釈した水溶液を散水し、湿度を90%に維持しながら、落花生を発根・発芽させる。この場合、室内の湿度は90%以上の相対湿度を保持する。落花生は、2〜3日で発根し4日目からは茎が伸長はじめ、7日目には子葉が展開始めた。
【0020】
このスプラウトの栄養分を経時的に調べた結果、ナイアシン、ビタミンB6は3日目から増加をはじめ7日目までが主として高い値を維持した。
【0021】
この落花生スブラウトを水洗いして15〜50℃で冷風乾燥し、更に1トールで凍結真空乾燥した。乾燥物は、微粉砕機にかけて50℃以下で粉末化した。この粉末には表1の落花生もやしに示す薬効成分が含まれていた。
【0022】
この粉末は、ほぼ白色で、その含有成分は、上記表に示すとおりであった。そのままでは、アスパラガスの味合いを有するもので、何の違和感もなく、食することができた。
【0023】
また、ビン内の5%レモン水の温湯200ccに入れて放置すると僅かに白い沈殿物を生じたが、僅かに振とうして飲むと、従来にない美味の味わいのドリンク剤であった。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明による落花生スプラウトからの栄養補助剤の製造過程を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
落花生から得たスプラウトの乾燥物の粉末を、粉末状態で、または、打錠機にかけて錠剤とし、または、飲料水に添加して飲料用とした落花生スプラウトの栄養補助剤。
【請求項2】
落花生から得たスプラウトを、15〜50℃で冷風乾燥し、その乾燥物を直接微粉砕する落花生スプラウトの栄養補助剤の製造方法。
【請求項3】
落花生から得たスプラウトを、15〜50℃で冷風乾燥し、一旦、その乾燥物を粗砕し、その粗砕物を凍結乾燥して微粉砕する落花生スプラウトの栄養補助剤の製造方法。

【図1】
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【公開番号】特開2007−175022(P2007−175022A)
【公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−379828(P2005−379828)
【出願日】平成17年12月28日(2005.12.28)
【出願人】(591208168)
【出願人】(506004573)
【Fターム(参考)】