説明

蒸気排出ユニット

【課題】薄形で設計の自由度が得られるとともに、静音化、水滴の飛散対策を図った蒸気排出ユニットを提供する。
【解決手段】本蒸気排出ユニットは、電気器具が収納される収納棚に組み込まれて使用され、ユニット本体の本体底部に設けられた蒸気吸込口とユニット本体の前面に設けられた蒸気排気口との間に配置され送風機のファンケーシングを含む通気路が設けられ、ファンケーシングは、その底面部が一端で送風機の遠心式ファンを収容するファン収容部の底部に連なりかつ、底面部の一部には、曲線状に、緩やかに前下がりに傾斜する傾斜部が設けられ、他端で前記蒸気排気口に連通し、蒸気排気口は、この蒸気排気口がファン収容部の高さよりも高く形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は蒸気排出ユニットに係り、特に、送風機のケーシングの構造を改良した蒸気排出ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、収納棚に収納された炊飯器、電気ポットあるいはコーヒーメーカーなどの電気器具の加熱時に発生する蒸気を外部に排出するために、収納棚に蒸気排出ユニットを組み込んでいる。
【0003】
このような従来の蒸気排出ユニットにおいて、電気炊飯器や電気ポットなどヒータを熱源とする電気器具が多く収納される。
【0004】
従来の蒸気排出ユニットは、吸排気用の送風機がユニット本体の幅方向の中心から偏倚し、ユニット本体の前面から奥行方向に入ったユニット本体の内部位置に設けられている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
このため、特許文献1に記載の蒸気排出ユニットは、ユニット本体に2個設けた蒸気吸込口から、この各々蒸気吸込口と送風機のケーシング吸込口までの距離が異なり、また、これらの吸込口を連通するダクト形状が複雑になり、2個の蒸気吸込口を介して均一な吸気ができない場合があり、さらに、送風機がユニット本体の内部に位置するため、ユニット本体の片側半分が収納棚の収納部間で膨出するので、この位置に収納される電気器具は高さに制約を受け、また、静音化、水滴の飛散対策がなされず、改良の余地があった。
【0006】
そこで、遠心式ファンが収容されるケーシングのファン収容部の高さと蒸気排出口の高さと略同一にして、薄形化、静音化、水滴の飛散に対策を図った蒸気排出ユニットが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0007】
しかしながら、この特許文献2に記載の蒸気排出ユニットは、蒸気排出口の高さを高くすることが困難であるなど設計の自由度が制約を受ける。
【特許文献1】特開2002−81710号公報
【特許文献2】特開2008−161432号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上述した事情を考慮してなされたもので、薄形で設計の自由度が得られるとともに、静音化、水滴の飛散対策を図った蒸気排出ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した目的を達成するため、本発明に係る蒸気排出ユニットは、電気器具が収納される収納棚に組み込まれて使用され、ユニット本体の本体底部に設けられた蒸気吸込口とユニット本体の前面に設けられた蒸気排気口との間に配置され送風機のファンケーシングを含む通気路が設けられ、前記電気器具から発生する蒸気を前記蒸気吸込口から吸い込み、前記通気路を介して前記蒸気排気口から排出する蒸気排出ユニットにおいて、前記ファンケーシングは、その底面部が一端で前記送風機の遠心式ファンを収容するファン収容部の底部に連なりかつ、前記底面部の一部には、曲線状に、緩やかに前下がりに傾斜する傾斜部が設けられ、他端で前記蒸気排気口に連通し、前記蒸気排気口は、この蒸気排気口が前記ファン収容部の高さよりも高く形成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る蒸気排出ユニットによれば、薄形で設計の自由度が得られるとともに、静音化、水滴の飛散対策を図った蒸気排出ユニットを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の一実施形態に係る蒸気排出ユニットについて添付図面を参照して説明する。
【0012】
図1は本発明の一実施形態に係る蒸気排出ユニットを組み込んだ収納棚の正面図、図2は本発明の一実施形態に係る蒸気排出ユニットを組み込んだ収納棚の斜視図、図3は本蒸気排出ユニットの正面図、図4は本蒸気排出ユニットの下面図、図5は本蒸気排出ユニットの天板を外しダクトを透視した状態の平面図、図6は本蒸気排出ユニットの幅方向の縦断面図である。
【0013】
図1乃至図3に示すように、本発明の一実施形態に係る蒸気排出ユニット1は、炊飯器、電気保温ポットあるいはコーヒーメーカーなどの電気器具が収納される収納棚31の収納部32の上部に取り付けられて使用される。
【0014】
蒸気排出ユニット1は天板2aを備えた扁平直方体状のユニット本体2を有し、ユニット本体2の前面には蒸気排気口3が設けられる。
【0015】
図4に示すように、ユニット本体2の本体底部2bには、このユニット本体2の一部をなす凹部形成板4によって形成され、底面が平らで扁平略矩形状の凹部5が設けられ、この凹部5の略全体を覆うように平板状の蒸気分散板6が取り付けられる。
【0016】
凹部5は可能な限り浅くして、ユニット本体2を薄くし、さらに、蒸気分散板6は、凹部5の下端部5a(図6)と段差ができるように凹部5に押し込んで、空間部を形成し、蒸気分散板6の下方には大きな収納部32(図1)のスペースを形成する。
【0017】
また、凹部5には、蒸気分散板6により図中ドットを付して示す蒸気吸込口7が形成され、この蒸気吸込口7は、蒸気分散板6に設けた円弧部を含む略T字状の第1の吸込口7aと、蒸気分散板6の周縁部と凹部5の側面とで画成される略コ字状の第2の吸込口7bからなる。これにより、均一かつ速やかな吸い込みが可能となる。
【0018】
第2の吸込口7bの奥行方向の位置(寸法)は、ユニット本体2の本体底部2bの奥行の長さ(寸法)の70%以上であるのが好ましい。
【0019】
図5は天板を外しダクトを透視した状態の平面図であり、図5および図6に示すように、送風機8はユニット本体2の前面の略中央部近傍に、ユニット本体2の前面から奥行方向及び下方に延びるように水平状態に配され、遠心式ファン9を備え、ケーシング10外には遠心式ファン9を回転させるモータ11が設けられる。このモータ11はケーシング10とユニット本体2の本体底部2bとの間に形成される空間sに収容される。
【0020】
ケーシング10のケーシング吸込口10aは、送風機8の上方に位置するダクト12に設けたダクト吸込口12aに連通する。
【0021】
ダクト12は合成樹脂製で扁平で略逆2等辺三角形状をなし、この2等辺三角形の底角に相当する近傍に、上記2個のダクト吸込口12aを設け、頂角に相当する近傍にダクト吹出口12bを設けている。2個のダクト吸込口12aは、凹部形成板4に設けた2個の通気孔4aに各々一致し、ダクト吸込口12a及び通気孔4aは、各々蒸気分散板6と凹部形成板4間に形成される扁平な狭い通気空間13に対向して開口する。
【0022】
一方、ダクト吹出口12bは凹部形成板4の2個の通気孔4aの幅方向の距離の中間に位置、すなわち送風機8は、2個のダクト吸込口12aの幅方向の距離の中間に位置する。
【0023】
また、送風機8を2個のダクト吸込口12aの幅方向の距離の中間に位置させることにより、収納部32で発生する蒸気を偏りなく、速やかに排出でき、さらに、吸気に偏りがないので、騒音の低減化を図ることができる。また、2個のダクト吸込口の大きさあるいはダクトの長さ、開口面積を調整して両ダクト吸込口からの吸気量の調整を図る必要がなく、設計も容易になる。
【0024】
図6および図7に示すように、ユニット本体2には、ダクト12とケーシング10により通気路Rが形成され、この通気路Rにより凹部5に設けた蒸気吸込口7とユニット本体2の前面に設けた蒸気排気口3が連通される。
【0025】
通気路Rの一部をなすケーシング10には、遠心式ファン9の高さより僅かに高く(広い上下幅)、略円形状に形成され、ファン収容部10bが設けられ、さらに、このファン収容部10bとケーシング吹出口10c間には、排気路部10dが設けられる。
【0026】
この排気路部10dは、その底面部10dが一端でファン収容部10bの底部10bに連なり、底面部10dの一部には、曲線状に、緩やかに前下がりに傾斜する傾斜部10dが設けられ、さらに、傾斜部10dに連なって安全上必要な水滴溜まり10dが設けられ、他端がファン収容部10bの高さより高い、ケーシング吹出口10c、蒸気排気口3に達する。
【0027】
蒸気排気口3は、高さがファン収容部10bの高さに限定されることなく、ファン収容部10bの高さよりも高く形成することができるので、設計の自由度が増す。
【0028】
傾斜部10dを含む底面部10dは、ケーシング10とユニット本体2の本体底部2bとの間に形成される他に空間sがあれば空間sに突き出て、収容される。
【0029】
モータ11を収容するための空間sを利用して、底面部10dを突き出し、形成した空間sを利用して、モータを収容しているため、改めてモータを収容する空間を設ける必要がなく、ユニット本体の片側半分が収納棚の収納部間で膨出する従来例に比べて、薄形化を図ることができる。
【0030】
なお、傾斜部10dに対応するケーシング10の側壁は円弧状に形成されている。
【0031】
従って、通気路Rにより、蒸気吸込口7を介して吸い込んだ蒸気を、ダクト吹出口12a、ケーシング吸込口10cを介してケーシング10に吸い込み、蒸気排気口3からユニット本体2外に排出する。
【0032】
通気路Rによる蒸気の排出過程において、傾斜部10dを曲線状に、緩やかに前下がりに傾斜させることで、水滴が傾斜部10dから直線的に跳ねて蒸気排気口3から噴き出すことがなく、また、水滴が傾斜部10dに付着しても水滴溜まり10dで受けられるので安全で衛生的であり、また、傾斜部10dで乱流が発生することなく、風切音の発生がなくなり静かである。
【0033】
また、前下がりに傾斜する傾斜部10dを設けることで、ファン収容部10b自身に比べてケーシング10の厚みは増すが、傾斜部10dはモータ11を収容する空間sに傾斜する(突き出る)ので、新たに厚みの増加させる必要がない。
【0034】
なお、図中符号15、16は入力端子・出力端子、符号17は運転表示ランプ、符号18は操作スイッチである。
【0035】
上記構造を有する蒸気排出ユニット1は、図1に示すように、収納棚31の収納部32の上部に組み込まれ、炊飯器、電気保温ポットなどの電気器具を収納棚31の収納部32に収納して使用する。
【0036】
電気器具の電源が入れられ、送風機8に通電され、電気器具から発生した蒸気は、送風機8の作用により、蒸気吸込口7、ダクト12を介して蒸気排気口3からユニット本体2外に排出される。
【0037】
この蒸気排気過程において、図4および図5に示すように、蒸気吸込口7が蒸気分散板6周囲及び中央部に設けられるので、均一かつ速やかな吸気を行なうことができ、さらに、送風機8を2個のダクト吸込口12aの幅方向の距離の中間に位置させることにより、収納部32で発生する蒸気を偏りなく、速やかかつ静かに排気できる。
【0038】
また、図6に示すように、通気路Rの一部をなすケーシング10に設けた傾斜部10dにより、水滴が傾斜部10dから直線的に跳ねて蒸気排気口3から噴き出すことがなく、また、水滴が傾斜部10dに付着しても水滴溜まり10dで受けられるので安全で衛生的であり、また、風切音の発生がなく静かである。
【0039】
さらに、図7に示すように、傾斜部10dに対応するケーシング10側壁は円弧状に形成されているので、送風機8から吹き出される蒸気の流れは、ケーシング10側壁に突き当たるので、結露した水滴が正面に飛散するのを防ぎ、使用者に不快感を与えない。
【0040】
本実施形態の蒸気排出ユニットによれば、薄形で設計の自由度が得られるとともに、静音化、水滴の飛散対策を図った蒸気排出ユニットが実現する。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の一実施形態に係る蒸気排出ユニットを組み込んだ収納棚の正面図。
【図2】本発明の一実施形態に係る蒸気排出ユニットを組み込んだ収納棚の斜視図。
【図3】本蒸気排出ユニットの正面図。
【図4】本蒸気排出ユニットの下面図。
【図5】本蒸気排出ユニットの天板を外した状態の平面図。
【図6】本蒸気排出ユニットの幅方向の縦断面図。
【図7】本蒸気排出ユニットに用いる送風機のケーシングの平面図。
【符号の説明】
【0042】
1 蒸気排出ユニット
2 ユニット本体
2a 天板
3 蒸気排気口
4 凹部形成板
4a 通気孔
5 凹部
5a 下端部
6 蒸気分散板
7 蒸気吸込口
8 送風機
9 遠心式ファン
10 ケーシング
10c ケーシング吸込口
10b ファン収容部
10c ケーシング吹出口
10d 排気路部
10d 底面部
10d 傾斜部
10d 水滴溜まり
11 モータ
12 ダクト
12a ダクト吸込口
12b ダクト吹出口
15 入力端子・出力端子
16 入力端子・出力端子
17 運転表示ランプ
18 操作スイッチ
R 通気路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気器具が収納される収納棚に組み込まれて使用され、
ユニット本体の本体底部に設けられた蒸気吸込口とユニット本体の前面に設けられた蒸気排気口との間に配置され送風機のファンケーシングを含む通気路が設けられ、
前記電気器具から発生する蒸気を前記蒸気吸込口から吸い込み、前記通気路を介して前記蒸気排気口から排出する蒸気排出ユニットにおいて、
前記ファンケーシングは、その底面部が一端で前記送風機の遠心式ファンを収容するファン収容部の底部に連なりかつ、前記底面部の一部には、曲線状に、緩やかに前下がりに傾斜する傾斜部が設けられ、他端で前記蒸気排気口に連通し、
前記蒸気排気口は、この蒸気排気口が前記ファン収容部の高さよりも高く形成されることを特徴とする蒸気排出ユニット。
【請求項2】
前記送風機の遠心式ファンを回転させるモータは、前記ファンケーシング外に設けられ、前記モータを取り付けるために形成される前記ファンケーシングと前記ユニット本体の本体底部との間の空間が形成され、この空間には前記底面部が突き出て収容されることを特徴とする請求項1に記載の蒸気排出ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−46301(P2010−46301A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−213470(P2008−213470)
【出願日】平成20年8月22日(2008.8.22)
【出願人】(502285664)東芝コンシューマエレクトロニクス・ホールディングス株式会社 (2,480)
【出願人】(503376518)東芝ホームアプライアンス株式会社 (2,436)
【出願人】(000164140)金澤工業株式会社 (54)
【Fターム(参考)】