説明

蒸気状態の有機化合物を検出または分析するための化学センサにおける、感知材料としての分子ピンセットの使用

本発明は、蒸気状態の有機化合物、特にニトロ化合物を検出または分析することを目的とする化学センサにおける感知材料としての分子ピンセットの使用に関する。これらの分子ピンセットは、下記一般式(I)に対応する。
【化1】


[式中、
MCおよびMCは、マクロ環を表し;
pおよびqは、0または1に等しく;
XおよびYは、置換されていてもよいCからC10アルキレン基であり;
Eは、置換されていてもよい環式または複素環式スペーサー基を表し;
MCおよびMCは、相互に面して配置されている。]
適用分野:火薬の検出、比較的限られた空間での大気汚染および周囲空気品質の制御および監視ならびに工業現場の監視。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蒸気状態の有機化合物を検出または分析を目的とする化学センサにおける感知材料としての分子ピンセットの使用に関する。蒸気状態の有機化合物とは、より具体的には、ニトロ芳香族化合物(ニトロベンゼン、ジニトロベンゼン、トリニトロベンゼン、ニトロトルエン、ジニトロトルエン、トリニトロトルエンなど)、ニトロアミン、ニトロソアミンおよび硝酸エステルなどのニトロ化合物である。
【0002】
このようなセンサは、空港などの公共の場所における安全を保証したり、領域内に流通する品物の合法性を監視したり、テロリズムを撲滅したり、武装解除活動を実行したり、対人地雷を捜したり、または工業地もしくは軍用地を汚染除去したりする目的で、火薬を検出するために特に有用である。
【0003】
さらにこれらは、環境を保護するために、とりわけ、比較的限られた空間における大気汚染および大気の性質を制御および監視するためや、また、ニトロ化合物を製造、貯蔵および/または取り扱いをする工業地を安全目的で監視するために有用である。
【背景技術】
【0004】
火薬の検出は、特に市民の安全に関する、きわめて重大な問題である。
【0005】
現在、火薬組成物中に含まれるニトロ化合物の蒸気を検出するために、様々な方法が用いられている。例えば、この目的のために訓練を受けた「探知」犬、例えばその部位から採取された試料のための質量分析計もしくは電子捕獲検出器と連結されたクロマトグラフィーによる実験室分析、またはその他の赤外線検出の使用などである。
【0006】
これらの方法は通常非常に感度が高いことがわかっており、これは、火薬を検出するためには、火薬付近に存在するニトロ化合物の蒸気濃度が非常に低いことを考慮すると最も重要である。しかしながら、これらは完全に満足できるものではない。
【0007】
例えば、「探知」犬の使用は、犬およびそのハンドラーを長期にわたり訓練する必要性があるという欠点と、犬の注意持続時間に限界があるという事実により長期活動には適さないという欠点を有する。
【0008】
他の方法に関しても、それらが使用する装置の全体の大きさ、そのエネルギー消費、およびその操作経費は、簡単に輸送可能で自律的な、それゆえどのようなタイプの場所においても使用することができる検出システムの開発を妨害するものである。
【0009】
近年では、気体化学物質をリアルタイムに検出しうるセンサの開発が迅速に広がっている。これらのセンサの作動は感知材料の膜の使用に基づいている。すなわち感知材料は、少なくとも1種の物理的特性P(質量、温度、導電率、吸収度、蛍光など)を有する材料であり、その特性が探知される測定可能な領域を覆う気体分子と接触するとリアルタイムで変化するので、物理的特性の変化が探知される気体分子の存在を示す。
【0010】
前述した様々な方法に対し、化学センサは、結果が即時であり、小型化が可能、ひいては携帯可能であり、取り扱いしやすく実質的に自律性であり、製造および操作経費が低い、など利点が多い。
【0011】
しかしながら、使用される感知材料の性質に応じて、その性能がかなり変化することは明らかである。
【0012】
現在までに、気体のニトロ化合物、具体的には、ニトロ芳香族化合物を検出するための感知材料を調査することを目的とする研究が一定の数実施されている。例えば、ポリシロキサン、ポリエチレングリコール、炭素タイプの吸着剤、環式有機化合物(銅フタロシアニン、シクロデキストリン、およびキャビタン)、デンドリマーおよび蛍光化合物の使用可能性が研究されている。
【0013】
さらに、「分子ピンセット」、すなわち、スペーサー基により相互に結合している2個の、通常は芳香族の分枝を有する分子で化合物を捕獲することが、1970年代末に提案された。
【0014】
様々なタイプのピンセットを使用して、液体媒体中で芳香族またはニトロ芳香族化合物を捕獲できることは、一定の数の著者によって証明されているが、しかしこれらの著者らは、これらの化合物を気体媒体中で捕獲することには関心がなかった。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0015】
今日、化学センサの開発に関する、より詳細には火薬を検出するための化学センサの開発に関する研究において、本発明者らは、対面型ビスマクロ環タイプの分子ピンセットは、蒸気のニトロ化合物、より広くは蒸気の有機化合物の存在下において非常に高い感度で反応し、これらの化合物が蒸気状態である場合に検出または分析するための選択的感知材料を形成しうることを発見した。
【0016】
本発明の基礎を形成するのはこの所見である。
【0017】
したがって本発明の対象は、蒸気状態の有機化合物を検出または分析するための化学センサにおける感知材料として、下記一般式(I)に対応する少なくとも1種の化合物を使用することである。
【0018】
【化1】

【0019】
[式中、
同一でも異なってもよいMCおよびMCは、マクロ環を表す。
同一でも異なってもよいpおよびqは、0または1に等しい。
同一でも異なってもよいXおよびYは、1〜10個の炭素原子を含む、置換されていてもよいアルキレン基である。
Eは、置換されていてもよい環式または複素環式スペーサー基を表す。
MCおよびMCは、対面して配置されている]。
【0020】
本発明の文脈中で「マクロ環」との用語は、単一の環からなるか、単純な結合により直接的に、または架橋原子もしくは基を介して相互に結合している複数の環からなり、その環または環セットが8〜60個の炭素原子および1個または複数のヘテロ原子を有することが好ましい有機分子であって、この際、この分子は、金属付加されていてもよい、すなわち、金属原子に結合しているか、および/または置換されていてもよい有機分子を意味すると一般的に理解される。
【0021】
さらに、「対面して配置されている」との表現は、マクロ環MCおよびMCが化合物中で、相互に向かい合うように配置されていることを意味しているが、これは必ずしも、これらのマクロ環が相互に平行していることを意味するものではない。
【0022】
したがって、マクロ環MCおよびMCは特に、相互に独立に、金属付加および非金属付加されている置換および非置換のポルフィリン、フタロシアニン、ナフタロシアニン、サフィリン、コロール、コロラジンならびにポリアザマクロ環またはジオキソポリアザマクロ環タイプのマクロ環式ポリアミンから選択することができる。
【0023】
これらのマクロ環が金属付加されている場合、マクロ環MCおよびMCが結合することができる金属は、先験的には、メンデレーエフ周期表の名称でも知られている元素周期表の意味において金属であると考えられる任意の元素、すなわちリチウムなどのアルカリ金属、マグネシウムなどのアルカリ土類金属、鉄、コバルト、亜鉛、銅、ニッケル、マンガン、クロムまたはチタンなどの遷移金属または他に、鉛などのこの周期表のIII、IVおよびV族からの金属であってよい。
【0024】
加えて、この金属は、ハロゲン原子に、またはヒドロキシ基に結合していてもよく、すなわち、金属ハロゲン化物または水酸化物の形態であってもよい。
【0025】
置換されている場合に、マクロ環MCおよびMCに含まれる1個または複数の置換基は、
1〜100個の炭素原子を含み、1個または複数のヘテロ原子および/または少なくとも1個のヘテロ原子を有する1個または複数の化学官能基および/または1個または複数の芳香族または複素芳香族基を有してもよい直鎖、分枝鎖または環式の飽和または不飽和炭化水素基、
少なくとも1個のヘテロ原子を含む化学官能基、
置換されていてもよい芳香族または複素芳香族基、
から選択することができる。
【0026】
この、またはこれらの置換基が炭化水素基からなり、この基が、少なくとも2個の炭素原子を含み、1個または複数のヘテロ原子および/または少なくとも1個のヘテロ原子を含む1個または複数の化学官能基および/または1個または複数の芳香族または複素芳香族基を有する場合、この、またはこれらのヘテロ原子、この、またはこれらの化学官能基および/またはこの、またはこれらの芳香族または複素芳香族基は、この炭化水素基内部の橋を形成するか、その側面で有されるか、その末端に位置していてよい。
【0027】
前記および後記において、「ヘテロ原子」との用語は、例えば、酸素、イオウ、窒素、フッ素、塩素、リンまたは他にホウ素原子などの、炭素または水素以外の任意の原子を意味すると理解され、酸素、窒素、イオウおよびハロゲン原子が好ましい。
【0028】
「少なくとも1個のヘテロ原子を含む化学官能基」との表現は、炭素または水素以外の1個または複数の原子を有する任意の化学官能基、特に、酸素、イオウ、窒素および/またはハロゲン原子を1つ以上有する官能基を意味すると理解される。この化学官能基は特に、次の官能基:−COOH、−COOR、−CHO、−CO、−OH、−OR、−SH、−SR、−SOR、−NH、−NHR、−NRR’、−CONH、−CONHR、−CONRR’、−C(Hal)、−OC(Hal)、−C(O)Hal、−CN、−COR、−COOCORおよびフェノールから選択することができ、この際、
Rは、直鎖、分枝鎖または環式の飽和または不飽和C〜C100炭化水素基を表すか、またはその他に、前記の化学官能基が炭化水素基中で橋を形成する場合には単純な結合を表し;
R’は、直鎖、分枝鎖または環式の飽和または不飽和C〜C100炭化水素基を表し、この基は、Rにより表される炭化水素基と同じでも異なってもよく;
Halは、ハロゲン原子、例えばフッ素、塩素または臭素原子を表す。
【0029】
「芳香族基」との用語は、1個または複数の不飽和CからC環からなり、共役二重結合を有する任意の炭化水素基を意味すると理解され、「複素芳香族基」との用語は、前記で定義された任意の芳香族基を意味するが、それらを形成する環中に、または複数の環のうちの少なくとも1個の環に1個または複数のヘテロ原子を有すると理解される。使用されうる芳香族基の例として、シクロペンタジエニル、フェニル、ベンジル、ビフェニル、フェニルアセテレニル、ピレニルまたはアントラセニルを挙げることができ、複素芳香族基の例として、フラニル、ピロリル、チオフェニル、オキサゾリル、ピラゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、ピリジニル、ピラニル、キノリニル、ピラジニルおよびピリミジニルを挙げることができる。
【0030】
このような芳香族または複素芳香族基が置換されている場合、これは、前記で挙げられたもののような少なくとも1個のヘテロ原子を含む1個または複数の化学官能基を有することが好ましい。
【0031】
スペーサー基Eは通常、任意の環式または複素環式基であってよい。本発明者らは実際に、スペーサー基の性質に関わりなく、一般式(I)の化合物は感知材料として、重量センサ、すなわち、その作動がこれらの材料の質量変化に基づくセンサにおいて使用することができることを観察した。
【0032】
したがって、このスペーサー基は、飽和または不飽和、さらに芳香族または複素芳香族の単環式または多環式基であってよい。スペーサー基の例として、フェニル、ピレニル、アントラセニル、ナフタレニル、ジベンゾフラニル、ビフェニルエチル、ジベンゾチオフェニル、キサンテニル、メタロセニル、(例えばフェロセニル)、オルト−、メタ−またはパラ−キシレニル、カルバゾリル、アクリジニル、フェナジニル、フェノキサジニル、ビナフチル、フェノチアジニル、フルオレニル、ジフェニルエーテルオキシドおよびカリックス[n]アレニル基(ここでnは4から12の範囲の整数である)を挙げることができる。
【0033】
しかしながら、検出することが望ましい化合物の存在下に、変化することができ、容易に測定可能な特定の物理的特性を一般式(I)の化合物に与えて、一般式(I)の化合物をさらに、重量センサ以外のセンサにおける感知材料として使用することもできるようにスペーサー基の選択を行うことも可能である。
【0034】
したがって例えば、アントラセニル、キサンテニルまたは他に、アクリジニル基などの蛍光特性を有するスペーサー基により、蛍光センサを製造することが可能であり、ジベンゾチオフェニルタイプのスペーサー基により、抵抗センサ、すなわち、その作動が、感知材料の導電性の変化に基づくセンサを製造することもできる。
【0035】
前記のように、これらが存在する場合には、アルキレン基XおよびYは、置換されていてもよい。
【0036】
これは、スペーサー基Eに関してと同じである。
【0037】
本発明では、X、Yおよび/またはEに含まれうる1個または複数の置換基は:
1個または複数のヘテロ原子および/または1個または複数のヘテロ原子を含む1個または複数の化学官能基および/または1個または複数の置換または非置換の芳香族または複素芳香族基を有してもよい直鎖、分枝鎖または環式で、飽和または不飽和のCからC30炭化水素基;
少なくとも1個のヘテロ原子を有する化学官能基;および
置換または非置換の芳香族または複素芳香族基
から選択することができる。
【0038】
この場合にも、この、またはこれらの置換基が炭化水素基からなり、この基が、少なくとも2個の炭素原子を含み、1個または複数のヘテロ原子および/または1個または複数の化学官能基および/または1個または複数の芳香族または複素芳香族基を有する場合、この、またはこれらのヘテロ原子、この、またはこれらの化学官能基およびこの、またはこれらの芳香族または複素芳香族基は、この炭化水素基内部の橋を形成するか、その側面で有されるか、その末端に位置していてよい。
【0039】
本発明で使用される一般式(I)に対応する化合物のうち、式中、
同じでも異なってもよいMCおよびMCが、金属付加または非金属付加されている置換または非置換の2個のポルフィリンまたは2個のフタロシアニンまたは2個のナフタロシアニンまたは2個のサフィリンまたは2個のコロールまたは2個のコロラジンまたは2個のマクロ環状ポリアミンを表し;
pおよびqが、同一であり、XおよびYが、同一であり;
Eが、前記と同じ意味を有する化合物が特に好ましい。
【0040】
さらに特には、一般式(I)に対応し、式中、
MCおよびMCが、
下式(II)および(III)に対応するものから選択される2個のポルフィリン:
【0041】
【化2】

【化3】

【0042】
または下式(IV)および(V)に対応するものから選択される2個のジオキソポリアザマクロ環:
【0043】
【化4】

【化5】

【0044】
または下式(VI)および(VII)に対応するものから選択される2個のポリアザマクロ環:
【0045】
【化6】

【化7】

【0046】
を表し[式中、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16およびR17は、同一でも異なってもよく、水素原子または直鎖もしくは分枝鎖で飽和または不飽和のCからC10炭化水素基を表し、Mは、リチウム、マグネシウム、鉄、コバルト、亜鉛、銅、ニッケル、マンガン、クロム、チタンおよび鉛から選択される金属を表す];
pおよびqが、同一であり、XおよびYが同一であり;
Eが、前記と同じ意味を有するものが好ましい。
【0047】
このような化合物は例えば、次の化合物である:
下記の特定の式(IIIa)、(IIIb)および(IIIc)のビスポルフィリン:
【0048】
【化8】

【化9】

【化10】

【0049】
下記の特定の式(IVa)のビスポリアザマクロ環:
【0050】
【化11】

【0051】
下記の特定の式(VIa)のビスジオキソポリアザマクロ環:
【0052】
【化12】

【0053】
一般式(I)の化合物は、文献に記載されている方法により合成することができる。
【0054】
特に、非金属付加ビスポルフィリンは、4個の遊離α−ピロール単位を下式(VIII)の基に縮合させることにより得ることができ:
【0055】
【化13】

【0056】
[式中、X、Y、p、qおよびEは、前記と同じ意味を有し、2個の−CHO基は、相互に面して配置されている]。この縮合を、エタノール中、環流下に、触媒量の塩酸の存在下に実施すると、α−ピロール位置に4個のエチルエステル官能基を有するビス(ジピリルメタン)を得ることが可能である。次いで、これらのエステルを、アルカリ溶液、例えばジエチレングリコールを用いて、100℃で加水分解し、次いで、反応媒体の温度を徐々に190℃に高めて、前に得られたが、分離していない四酸の穏やかな脱炭酸を誘発する。次いで、遊離のビス(α−テトラピリルメタン)を、ジピリルメタン(ビスピリルメタン1分子当たりジピリルメタン2分子の割合で)を用いて、パラ−トルエンスルホン酸の存在下に環化させ、続いて、オルト−クロラニルを用いて酸化させる。生じたビスポルフィリンの分離およびカラムクロマトグラフィーによるその精製を、亜鉛による金属付加により容易にし、次いで、酸媒体での処理により脱金属する。
【0057】
特定の式(IIIb)および(IIIc)に対応するタイプのジホモメタル化ビスポルフィリンは、例えば、環流下に、ジクロロメタン/メタノール混合物を用いて、例えば金属酢酸塩の形態の、錯化を意図されている過剰の金属塩の存在下に、対応する非金属付加ビスポルフィリンをジメタル化に掛けることにより得ることができる。
【0058】
特定の式(IIIa)に対応するタイプのモノ金属付加ビスポルフィリンは、対応する非金属付加ビスポルフィリンを2つの連続するモノ金属付加に掛けることにより得ることができ、第1は、金属付加されないことが望ましいポルフィリンのための保護基として使用されることを意図されている金属、例えば、酢酸亜鉛の形態の亜鉛を用い、第2は、他方のポルフィリンにより錯化されることを意図されている金属を用い、次いで、酸媒体中での処理を介して、第1の金属を脱離する。
【0059】
ジヘテロ金属付加ビスポルフィリンは、ビスポルフィリンと同様の方法で得ることができるが、ただし、第1金属を除去しない。
【0060】
特定の式(IVa)に対応するタイプのビスポリアザマクロ環は、保護基、例えばtert−ブチルオキシカルボニル(t−Boc)によりトリ保護されている対応するテトラアザシクロアルカンを下記の基に縮合することにより得ることができる:
下式(IX):
【0061】
【化14】

【0062】
[式中、X、Y、p、qおよびEは、前記と同じ意味であり、2個の−COCl基は、相互に面して配置されている。この場合、この縮合を、テトラヒドロフラン中、トリエチルアミンの存在下に、室温で1時間実施し、次いで、反応媒体を加水分解し、クロロホルムで抽出した後に、粗製反応混合物をシリカゲルでクロマトグラフィー処理して、中間体ビスアミドを生じさせる];または
下式(X):
【0063】
【化15】

【0064】
[式中、X、Y、p、qおよびEは、前記と同じ意味を有し、2個の−CHBr基は、相互に面して配置されている。この場合、この縮合を、アセトニトリル環流下、炭酸カリウムの存在下に、48時間実施し、次いで、溶剤を蒸発させ、シリカでクロマトグラフィー処理した後に、中間体ビスアミドを得る]。
【0065】
いずれのケースでも、中間体ビスアミドを、過剰のボランによりテトラヒドロフラン中で還元し、t−Boc保護基を、塩酸を用いる酸加水分解により除去する。
【0066】
特定の式(VIa)に対応するタイプのビスジオキソポリアザマクロ環はそれ自体、記載した方法と同様の方法で得られるが、1個のアミン官能基が、t−Boc基で保護されている対応するジオキソポリアザマクロ環から出発する。
【0067】
本発明では、一般式(I)の化合物はセンサ内に、その変化がこのセンサにより測定されることが意図されている物理的特性に応じて適切に選択されている基板の片面または両面を覆う薄膜の形態で存在することが好ましい。
【0068】
変形として、一般式(I)の化合物はさらに、センサ内に、例えば、一般式(I)の化合物の分子全てを、検出が望まれている化合物に接触できるようにする一定の多孔性を有する例えば円柱などの固体物体の形態で存在してもよい。
【0069】
後者が薄膜の形態で存在する場合、この膜は10オングストロームから100ミクロンの厚さを有することが好ましい。
【0070】
このような膜は特に、スプレーコーティング、スピンコーティング、ドロップコーティングにより、または他に、昇華コーティングにより得ることができ、これらのコーティング技術は全て、当業者によく知られている。
【0071】
検出されるべき化合物の存在により生じるその変化が、センサにより測定されることを意図されている一般式(I)の化合物の物理的特性に応じて、センサの基板および測定系を選択する。
【0072】
この特定の場合には、一般式(I)の化合物の質量の変化および、これらが蛍光特性を有する場合には、これらの化合物の蛍光の変化が、測定に特に有利であることが判明している。
【0073】
したがって、センサは重量センサまたは蛍光センサであることが好ましい。
【0074】
重量センサの例として、水晶微量天秤センサ、ラブ波センサおよびラム波センサなどのSAW(表面弾性波)センサならびにさらに、マイクロレバーを挙げることができる。
【0075】
重量センサのうち、水晶微量天秤センサがまたさらに好ましい。その作動原理がJ.A.O.Sanchez−PedronoらによってAnal.Chem.Acta,vol.182,1986,285ページに記載されている、このタイプのセンサは概略的に、電極として使用される例えば金またはプラチナ製の金属層で両面被覆されている圧電基板(または共振器)、通常は、水晶を含む。感知材料が、この基板の片面または両面を覆っているので、この材料の何らかの質量変化は、基板の振動数の変化をもたらす。
【0076】
例えば導電性の変化を測定することに基づく抵抗センサまたはUV−可視範囲の吸収変化もしくはその他に、赤外範囲の波長変化の測定に基づく光学センサなどの質量および蛍光以外の物理的特性の変化を測定するために設計されているセンサにおいて、一般式(I)の化合物を感知材料として使用できることは明らかである。
【0077】
さらに、全く同一のデバイスまたは「マルチセンサ」内に、例えば1個または複数の重量センサおよび/または1個または複数の蛍光センサなどの、相互に異なる感知材料を含むか、相互に異なる基板および測定系を備えている複数の個々のセンサを組み合わせることもでき、この際、複数のセンサのうちの少なくとも1個が、一般式(I)の化合物を含むことで肝心である。
【0078】
感知材料として一般式(I)の化合物を含むセンサは、非常に高い感度で、蒸気状態の多くの有機化合物を検出または分析するために適していることが判明している。
【0079】
これらの有機化合物は特に、その存在をppm(百万分率)、さらにはppb(10億分率)、またはさらに、一定の場合では、ppt(1兆分率)のレベルの濃度で検出することができるニトロ化合物、詳細には、ニトロ芳香族化合物、ニトロアミン、ニトロソアミンおよび硝酸エステルである。
【0080】
ニトロ芳香族化合物の例として、ニトロベンゼン、ジニトロベンゼン、トリニトロベンゼン、ニトロトルエン、ジニトロトルエン、トリニトロトルエン、ジニトロフルオロベンゼン、ジニトロトリフルオロメトキシベンゼン、アミノジニトロトルエン、ジニトロトリフルオロメチルベンゼン、クロロジニトロトリフルオロメチルベンゼン、ヘキサニトロスチルベンまたは他に、トリニトロフェノール(またはピクリン酸)を挙げることができる。
【0081】
ニトロアミン自体は例えば、シクロテトラメチレンテトラニトロアミン(またはオクトーゲン)、シクロトリメチレントリニトロアミン(またはヘキソーゲン)およびトリニトロフェニルメチルニトロアミン(またはテトリル)であり、この際、ニトロソアミンは例えば、ニトロソジメチルアミンである。
【0082】
硝酸エステルとしては、これらは例えば、ペントライト、二硝酸エチレングリコール、ジ硝酸ジエチレングリコール、ニトログリセリンまたはニトログアニジンである。
【0083】
しかしながら、センサにより検出または分析することができる有機化合物はさらに、揮発性有機化合物、特にケトン、アルコール、塩素化溶剤およびトルエンタイプの芳香族化合物である。
【0084】
前記の利点の他に、感知材料として一般式(I)の化合物を有するセンサはさらに、
迅速な応答およびこの応答の再現性;
長期にわたっての性能安定性、したがって、非常に十分な寿命;
連続的に作動が可能;
非常に少量の一般式(I)の化合物(すなわち、実際に数mg)が、センサを製造するために必要であるので、センサの大量生産に適している製造コスト;および
小型化が可能、したがって、どのようなタイプの場所にも容易に輸送し、取り扱うことができる、などの種々の利点を有することが判明している。
【0085】
これらは特に火薬を、殊に公共の場所で検出するために有用である。
【0086】
本発明で有用な化合物の様々な例を薄膜の形態で、水晶微量天秤センサおよび蛍光センサにおける感知材料として使用する例に関する残りの記載を考慮すると、本発明は、より良好に理解されるであろう。
【0087】
これらの例は、本発明の対象を詳述するため示されているに過ぎないのは明らかであり、いずれの場合も、この対象の制限を構成するものではない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0088】
特定の実施形態の詳細な概要
実施例1:水晶微量天秤センサによるニトロ化合物(DNTFMB)の検出
この実施例では、2個の円形の金製測定電極(QA9RA−50モデル、Ametek Precision Instruments)で覆われていて、その両面に、前記で表された特定の式(IIIa)のビスポルフィリンの薄膜を有する9MHzの周波数を有するATカット水晶を含む水晶微量天秤センサを使用した。
【0089】
この膜は、水晶周波数の10kHzの変化が観察されるまで、100℃の温度で、4×10−5ミリバールの分圧下に、ビスポルフィリンを昇華させることにより堆積させた。
【0090】
センサを:
空気に7分間;
空気中3ppmの濃度のDNTFMBに10分間;および
空気に20分間、順次曝露したが、この際、空気およびDNTFMBは、室温(25℃)であった。
【0091】
図1は、これらの曝露の間の水晶周波数の変化を示している。この図では、曲線Aは、秒(s)で示される時間(t)の関数として、ヘルツ(Hz)で示される水晶の周波数(F)を表している一方で、曲線(B)は、この場合も時間を関数として、ppmで示されるDNTFMB(C)の濃度を表している。
【0092】
実施例2:水晶微量天秤センサによる様々なタイプの有機化合物の検出
この実施例では、実施例1で使用されたセンサの水晶と同じ水晶を含む水晶微量天秤センサを使用したが、その水晶は、前記で示された特定の式(IIIb)のビスポルフィリンの薄膜により、その両面をカバーされている。
【0093】
この膜は、水晶周波数の10kHzの変化が観察されるまで、100℃の温度で、2×10−5ミリバールの分圧下に、ビスポルフィリンを昇華させることにより堆積させた。
【0094】
センサを:
空気に8分間;
空気中3ppmの濃度のDNTFMBに10分間;
空気に50分間;
空気中3ppmの濃度のDNTFMBに10分間;
空気に130分間;
空気中580000ppmの濃度のジクロロメタンに10分間;
空気に3分間;
空気中126000ppmの濃度のメチルエチルケトンに10分間;
空気に6分間;
空気中38000ppmの濃度のトルエンに10分間;
空気に8分間;
空気中79000ppmの濃度のエタノールに10分間;
空気に2分間
順次曝露した。この際、空気、DNTFMB、ジクロロメタン、メチルエチルケトン、トルエンおよびエタノールは、室温(25℃)であった。
【0095】
図2は、これらの曝露の間の水晶周波数の変化を、秒(s)で示される時間(t)の関数としてヘルツ(Hz)で示される水晶の周波数(F)を表す曲線の形態で示しており、この際、矢印f1およびf2は、DNTFMBの2つの曝露を示しており、矢印f3は、ジクロロメタンへの曝露を示しており、矢印f4は、メチルエチルケトンへの曝露を示しており、矢印f5は、トルエンへの曝露を示しており、矢印f6は、エタノールへの曝露を示している。
【0096】
有機化合物蒸気に曝露されている間に記録された周波数の低下は、次の通りであった。
DNTFMBの第1曝露:−179Hz、
DNTFMBの第2曝露:−139Hz、
ジクロロメタン:−291Hz、
メチルエチルケトン:−293Hz、
トルエン:−275Hz、
エタノール:−20Hz。
【0097】
実施例3:第3の水晶微量天秤センサによる2種のニトロ化合物(DNTおよびDNB)の検出
この実施例では、実施例1で使用されたセンサの水晶と同じ水晶を含む水晶微量天秤センサを使用したが、その水晶は、前記で示された特定の式(IIIa)のビスポルフィリンの薄膜で、その両面をカバーされている。
【0098】
この膜は、水晶周波数の20kHzの変化が観察されるまで、100℃の温度で、2×10−5ミリバールの分圧下に、前記ビスポルフィリンを昇華させることにより堆積させた。
【0099】
センサを:
空気に15分間;
空気中285ppbの濃度のDNTに10分間;
空気に11分間;
空気中5ppmの濃度のDNBに10分間;および
空気に20分間
順次曝露した。この際、空気、DNTおよびDNBは、室温(25℃)であった。
【0100】
図3は、これらの曝露の間の水晶周波数の変化を、秒(s)で示される時間(t)を関数として、ヘルツ(Hz)で示される水晶の周波数(F)を表す曲線の形態で示している。
【0101】
実施例4:水晶微量天秤センサによる3種のニトロ化合物(TNB、TNTおよびTATB)の検出
この実施例では、実施例3で使用されたセンサと同じセンサを使用した。
【0102】
このセンサを:
空気に15分間;
空気中285ppbの濃度のTNBに10分間;
空気に8分間;
空気中7ppbの濃度のTNTに12分間;
空気に36分間;
空気中1ppt未満の濃度のTATBに10分間および
空気に25分間
順次曝露した。この際、空気、TNB、TNTおよびTATBは、室温(25℃)であった。
【0103】
図4は、これらの曝露の間の水晶周波数の変化を、秒(s)で示される時間(t)の関数として、ヘルツ(Hz)で示される水晶の周波数(F)を表す曲線の形態で示している。
【0104】
実施例5:水晶微量天秤センサによる1種のニトロ化合物(DNTFMB)の検出
この実施例では、実施例1で使用されたセンサの水晶と同じ水晶を含む水晶微量天秤センサを使用したが、その水晶は、前記で示された特定の式(IIIc)のビスポルフィリンの薄膜で、その両面をカバーされている。
【0105】
この膜は、水晶周波数の10kHzの変化が観察されるまで、100℃の温度で、2×10−5ミリバールの分圧下に、ビスポルフィリンを昇華させることにより堆積させた。
【0106】
このセンサを:
空気に25分間;
空気中3ppmの濃度のDNTFMBに10分間;および
空気に30分間
順次曝露した。この際、空気およびDNTFMBは、室温(25℃)であった。
【0107】
図5は、これらの曝露の間の水晶周波数の変化を示している。この図では、曲線Aは、秒(s)で示される時間(t)の関数として、ヘルツ(Hz)で示される水晶の周波数(F)を表している一方で、曲線(B)は、この場合も時間の関数として、ppmで示されるDNTFMB(C)の濃度を表している。
【0108】
実施例6:水晶微量天秤センサによる1種のニトロ化合物(DNTFMB)の検出
この実施例では、実施例1で使用されたセンサの水晶と同じ水晶を含む水晶微量天秤センサを使用したが、その水晶は、前記に示された特定の式(IVa)のビスポリアザマクロ環の薄膜で、その両面をカバーされている。
【0109】
5g/lに等しい濃度を有するビスポリアザマクロ環のメタノール溶液を60回、それぞれ0.4秒間噴霧して、10kHzの水晶周波数の変化を得ることにより、水晶の各表面に、この膜を堆積させた。
【0110】
このセンサを:
空気に18分間;
空気中3ppmの濃度のDNTFMBに10分間;および
空気に20分間
順次曝露した。この際、空気およびDNTFMBは、室温(25℃)であった。
【0111】
図6は、これらの曝露の間の水晶周波数の変化を示している。この図では、曲線Aは、秒(s)で示される時間(t)の関数として、ヘルツ(Hz)で示される水晶の周波数(F)を表している一方で、曲線Bは、この場合も時間の関数として、ppmで示されるDNTFMB(C)の濃度を表している。
【0112】
実施例7:蛍光センサによる1種のニトロ化合物(DNTFMB)の検出
この実施例では、その作動が、ニトロ化合物の存在下での、このセンサが含む感知材料により放射される蛍光強度の変化に基づくセンサを使用した。
【0113】
この特定の場合、感知材料は、前記で示された特定の式(VIa)のジオキソマクロ環からなり、5g/lに等しい濃度を有するこの化合物のメタノール溶液を14回、それぞれ0.4秒環噴霧することにより得られる、光学品質ガラス(TUETおよびBIECHELIN)製の基板の一面を覆う薄膜の形態を有する。
【0114】
こうして得られた薄膜は、Jobin YvonからのFluoroMax−3蛍光測定器を使用して、動的条件下に、24l/hでフラッシュされ、25℃に温度調節されたセル内で測定すると、蛍光強度30×10cps(秒当たりカウント)(λemission:511nm;λexcitation:392nm)を有した。
【0115】
センサを:
純粋な窒素に35分間;
窒素中1ppmの濃度のDNTFMBに10分間;
空気に48分間;
窒素中1ppmの濃度のDNTFMBに10分間;
空気に120分間;
窒素中0.1ppmの濃度のDNTFMBに10分間;および
空気に18分間
順次曝露した。この際、窒素、DNTFMBおよび空気は、室温(25℃)であった。
【0116】
図7は、これらの曝露の間にセンサにより放射される蛍光強度の変化を示している。この際、蛍光強度は、前記の条件と同じ条件下に測定する。この図では、曲線Aは、秒(s)で示される時間(t)の関数として、秒当たりカウント(cps)で示される蛍光強度(I)を表している一方で、曲線Bは、この場合も時間を関数として、ppmで示されるDNTFMB(C)の濃度を表している。
【0117】
前記の実施例により、感知材料として一般式(I)の化合物を含む水晶微量天秤センサまたは蛍光センサは、非常に高い感度で、DNTFMB、DNB、TNB、TNTまたはTATB蒸気などのニトロ化合物の蒸気だけでなく、さらに、例えば溶剤として慣用的に使用されるもの:塩素化化合物、芳香族化合物、ケトンおよびアルコールなどの他の揮発性有機化合物の蒸気を検出することができることが分かる。したがってこれらのセンサを用いると、様々な群に属する有機化合物の検出が可能である。
【0118】
さらに実施例により、これらのセンサの応答は、可逆性および再現性を有することが分かる。
【図面の簡単な説明】
【0119】
【図1】本発明により使用される化合物の第1実施例の薄膜を含む水晶微量天秤センサが、空気および蒸気の2,4−ジニトロトリフルオロメトキシベンゼン(DNTFMB)に順次曝露された場合の、このセンサの水晶周波数の変化を示すグラフ。
【図2】本発明により使用される化合物の第2実施例の薄膜を含む水晶微量天秤センサが、空気および蒸気のDNTFMB、ジクロロメタン、メチルエチルケトン、トルエンおよびエタノールに順次曝露された場合の、このセンサの水晶周波数の変化を示すグラフ。
【図3】本発明により使用される化合物の第1実施例の薄膜を含む水晶微量天秤センサが、空気および蒸気の2,4−ジニトロトルエン(DNT)およびジニトロベンゼン(DNB)に順次曝露された場合の、このセンサの水晶周波数の変化を示すグラフ。
【図4】本発明により使用される化合物の第1実施例の薄膜を含む水晶微量天秤センサが、空気および蒸気のトリニトロベンゼン(TNB)、トリニトロトルエン(TNT)およびトリアミノトリニトロベンゼン(TATB)に順次曝露された場合の、このセンサの水晶周波数の変化を示すグラフ。
【図5】本発明により使用される化合物の第3実施例の薄膜を含む水晶微量天秤センサが、空気およびDNTFMB蒸気に順次曝露された場合の、このセンサの水晶周波数の変化を示すグラフ。
【図6】本発明により使用される化合物の第4実施例の薄膜を含む水晶微量天秤センサが、空気およびDNTFMB蒸気に順次曝露された場合の、このセンサの水晶周波数の変化を示すグラフ。
【図7】本発明により使用される化合物の第5実施例の薄膜を含む蛍光センサが、空気およびDNTFMB蒸気に順次曝露された場合に、このセンサにより放射される蛍光強度の変化を示すグラフ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸気状態の1種または複数の有機化合物を検出または分析するための化学センサにおける感知材料としての、下記一般式(I)に対応する少なくとも1種の化合物の使用:
【化1】

[式中、
同じでも異なってもよいMCおよびMCは、マクロ環を表し、
同じでも異なってもよいpおよびqは、0または1に等しく、
同じでも異なってもよいXおよびYは、1から10個の炭素原子を含む、置換されていてもよいアルキレン基であり、
Eは、置換されていてもよい環式または複素環式スペーサー基を表し、
MCおよびMCは、相互に面して配置されている]。
【請求項2】
前記一般式(I)中、前記マクロ環MCおよびMCが、単一の環からなるか、単純な結合または架橋原子もしくは基を介して相互に結合している複数の環からなる分子であり、前記環または環セットが、8から60個の炭素原子および1個または複数のヘテロ原子を有し、前記分子が、金属付加および/または置換されていてもよい、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
前記マクロ環MCおよびMCが、金属付加および非金属付加されている置換および非置換のポルフィリン、フタロシアニン、ナフタロシアニン、サフィリン、コロール、コロラジンおよびマクロ環状ポリアミンから選択される、請求項2に記載の使用。
【請求項4】
前記の金属付加されているポルフィリン、フタロシアニン、ナフタロシアニン、サフィリン、コロール、コロラジンおよびマクロ環状ポリアミンが、リチウム、マグネシウム、鉄、コバルト、亜鉛、銅、ニッケル、マンガン、クロム、チタンまたは鉛を含む、請求項3に記載の使用。
【請求項5】
前記一般式(I)中、前記スペーサー基Eが、フェニル、ピレニル、アントラセニル、ナフタレニル、ジベンゾフラニル、ビフェニレニル、ジベンゾチオフェニル、キサンテニル、メタロセニル、オルト−、メタ−またはパラ−キシレニル、カルバゾリル、アクリジニル、フェナジニル、フェノキサジニル、ビナフチル、フェノチアジニル、フルオレニル、ジフェニルエーテルオキシドおよびカリックス[n]アレニル基(ここでnは4から12の範囲の整数である)から選択される、請求項1〜4のいずれか1項に記載の使用。
【請求項6】
前記一般式(I)に対応する前記化合物が、式中、
同じでも異なってもよいMCおよびMCは、金属付加または非金属付加されている置換または非置換の2個のポルフィリンまたは2個のフタロシアニンまたは2個のナフタロシアニンまたは2個のサフィリンまたは2個のコロールまたは2個のコロラジンまたは2個のマクロ環状ポリアミンを表し、
pおよびqは、同一であり、XおよびYは、同一であり、
Eは、前記と同じ意味を有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の使用。
【請求項7】
前記一般式(I)に対応する前記化合物が、式中、
MCおよびMCは:
下式(II)および(III)に対応するものから選択される2個のポリフィリン:
【化2】

【化3】

または
下式(IV)および(V)に対応するものから選択される2個のジオキソポリアザマクロ環:
【化4】

【化5】

または、
下式(VI)および(VII)に対応するものから選択される2個のポリアザマクロ環:
【化6】

【化7】

を表し
[式中、
、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16およびR17は、同一でも異なってもよく、水素原子または直鎖もしくは分枝鎖で飽和もしくは不飽和のCからC10炭化水素基を表し、Mは、リチウム、マグネシウム、鉄、コバルト、亜鉛、銅、ニッケル、マンガン、クロム、チタンおよび鉛から選択される金属を表す];
pおよびqは同一であり、XおよびYは同一であり;
Eは、前記と同じ意味を有する、請求項6に記載の使用。
【請求項8】
前記化合物が、下記の特定の式(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)、(IVa)および(VIa)のいずれか一式に対応する、請求項9に記載の使用。
【化8】

【化9】

【化10】

【化11】

【化12】

【請求項9】
前記化合物が基板の片面または両面を覆う薄膜の形態で前記センサ内に存在する、請求項1〜8のいずれか1項に記載の使用。
【請求項10】
前記薄膜が10オングストロームから100ミクロンの厚さを有する、請求項9に記載の使用。
【請求項11】
前記センサが重量センサである、請求項1〜10のいずれか1項に記載の使用。
【請求項12】
前記重量センサが水晶微量天秤センサである、請求項11に記載の使用。
【請求項13】
前記センサが蛍光センサである、請求項1〜10のいずれか1項に記載の使用。
【請求項14】
前記センサが、1個または複数の重量センサおよび/または1個または複数の蛍光センサを含み、これらのセンサのうちの少なくとも1個が、一般式(I)に対応する化合物を含むマルチセンサである、請求項1〜10のいずれか1項に記載の使用。
【請求項15】
検出または分析されるべき1種または複数の有機化合物が、1種または複数のニトロ化合物である、請求項1〜14のいずれか1項に記載の使用。
【請求項16】
前記の1種または複数のニトロ化合物が、ニトロ芳香族化合物、ニトロアミン、ニトロソアミンおよび硝酸エステルから選択される、請求項15に記載の使用。
【請求項17】
前記の1種または複数のニトロ化合物が、ニトロベンゼン、ジニトロベンゼン、トリニトロベンゼン、ニトロトルエン、ジニトロトルエン、トリニトロトルエン、ジニトロフルオロベンゼン、ジニトロトリフルオロメトキシベンゼン、アミノジニトロトルエン、ジニトロトリフルオロメチルベンゼン、クロロジニトロトリフルオロメチルベンゼン、ヘキサニトロスチルベン、トリニトロフェノール、シクロテトラメチレンテトラニトロアミン、シクロトリメチレントリニトロアミン、トリニトロフェニルメチルニトロアミン、ニトロソジメチルアミン、ペントリット、二硝酸エチレングリコール、二硝酸ジエチレングリコール、ニトログリセリンまたはニトログアニジンから選択される、請求項16に記載の使用。
【請求項18】
前記センサが火薬を検出することを目的とする、請求項1〜17のいずれか1項に記載の使用。
【請求項19】
検出または分析されるべき1種または複数の有機化合物が、1種または複数の揮発性有機化合物である、請求項1〜14のいずれか1項に記載の使用。
【請求項20】
1種または複数の前記揮発性有機化合物が、ケトン、アルコール、塩素化溶剤および芳香族化合物から選択される、請求項19に記載の使用。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公表番号】特表2008−528992(P2008−528992A)
【公表日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−552706(P2007−552706)
【出願日】平成18年2月1日(2006.2.1)
【国際出願番号】PCT/FR2006/050088
【国際公開番号】WO2006/082343
【国際公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【出願人】(590000514)コミツサリア タ レネルジー アトミーク (429)
【Fターム(参考)】