説明

蒸発性物質を送達するための電動分配デバイス

蒸発性液体を大気中に供給するための電動分配デバイスは、蒸発性物質を含有する貯蔵容器、前記貯蔵容器から伸び、ウィックの露出された端を包囲する上部空間に、前記蒸発性物質を供給するウィック、および作動中に、上部空間から大気への空気の流れを生じさせるブロワーまたはファンを備えている。該デバイスは、フレグランス、臭気マスキング剤、殺虫剤、および医薬などの蒸発性物質を大気中に分配するのに特に好適である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分配デバイス、とりわけ、揮発性または蒸発性物質を周囲に送達するのに有用な電動分配デバイスに関する。
【0002】
部屋または車両の室内などの周囲に、フレグランス、臭気マスキング剤、殺虫剤、および医薬などの蒸発性物質を送達するのに有用な様々のデバイスが当該分野で知られている。典型的には、そのようなデバイスは、蒸発性物質を含有する貯蔵容器を含み、貯蔵容器はネックを有し、ネックを通じてウィックを出している。ウィックは貯蔵容器からキャピラリー作用を用いて液体を、周囲に輸送し、液体は蒸発または揮発する。そのようなデバイスは、単純、安価であり、および一般的に有効である。ある態様では、それらは、静的拡散システムのために外部的特徴を提供することができ、または揮発性液体を拡散する手段を含むことができる、より大きな装置の一部として提供される。後者の例は、ウィックの少なくとも一部を包囲することができて、加熱時により迅速な液体の揮発を生じさせる熱源、または液体の周囲へのより迅速な揮発を生じさせるファンを含む。
【0003】
そのようなデバイスが有用であることは判明したが、それらに欠点がないわけではない。例えば、送達デバイスが、揮発性物質の蒸発を容易にする加熱要素に依存しているとき、放出される物質は、典型的に、デバイスから放出されるリンスホットエアーの上昇気流によってのみ駆動され、揮発性物質の散布は、それらの運動スピードにのみ依存する。そのようなデバイスが主に電動である場合に、該デバイスの位置は、一般的に利用できる電気コンセントに限られ、従って、蒸発性物質の放出は、該してこれらのコンセントの周辺に限られる傾向がある。加えて、そのようなデバイスの作動温度は、しばしば高く、時々、約65℃から約140℃の間であり、このことは、化学物質(蒸発性物質、デバイスの構成物質)を分解させるだけでなく、送達デバイスに接触する小さい子供およびペットに、潜在的な危険をもたすこともあり得る。
【0004】
電池式デバイスは当該分野で既知であるが、これらは、製造するのにしばしば複雑であり、比較的多くの要素の組み立てを必要とする。そのようなデバイスは、通常、貯蔵容器からフレグランス物質を送達し、該貯蔵容器は、しばしば、多孔性または吸収性パッチ、スポンジ、またはガーゼの形状をとり、ファンの排出面に置かれる。作動中、そのようなデバイスは、典型的にファンを通じて空気を吸い込み、排出空気は貯蔵容器を通過するようにされ、その結果、蒸発性物質の周囲への放出がなされる。そのような従来のデバイスは、ある意味では有効であるが、貯蔵容器の位置決めは、ファンから排出される空気の流れをしばしば妨げないようになされる。同時に、吸収性パッチ、スポンジ、またはガーゼの使用は、その耐用年数のより早い、望ましくない大量の蒸発性物質を、放出させる傾向がある。
【0005】
従って、当該分野では、蒸発性物質の送達のために有用な改善されたデバイスに需要がある。
【0006】
本発明は、蒸発性物質を含有する貯蔵容器、前記貯蔵容器から伸び、ウィックの露出された端を包囲する上部空間に、前記蒸発性物質を供給するウィック、および作動中に、空気の流れを生じさせて、上部空間を通過させ、蒸発性物質を大気に運ばせるぶブロワーまたはファンを備えた、蒸発性物質を大気中に分配するために構成された電動分配デバイスを提供する。
【0007】
第一の態様には、本発明は、蒸発性物質を含有する貯蔵容器、前記貯蔵容器から伸び、ウィックの露出された端を包囲する上部空間に前記蒸発性物質を供給するウィック、および作動中に、上部空間からブロワーを通じて、蒸発性物質を含有する空気の流れを生じさせ、マニホルドから出す前記ブロワーを備えた電動分配デバイスであって、ブロワーが、蒸発性物質を含有する前記空気の流れを、ブロワーから排出される蒸発性物質を含有する空気と一般的に垂直な方向に受け入れることを特徴とする前記分配デバイスを提供する。
【0008】
本発明の第二の態様には、蒸発性物質を含有する貯蔵容器、前記貯蔵容器から伸び、ウィックの露出された端を包囲する上部空間に、前記蒸発性物質を供給するウィック、および作動中に、ブロワーを経て、およびマニホルドを経て、上部空間から蒸発性物質を含有する空気の流れを生じさせる前記ブロワーを備えた電動分配デバイスであって、ブロワーの回転軸がウィックの軸と垂直であり、ブロワーが、蒸発性物質を含有し、第2の方向にブロワーからマニホルドへ排出される空気と一般的に垂直な第1の方向で、蒸発性物質を含有する前記空気を受け入れることを特徴とする、前記分配デバイスが提供される。
【0009】
本発明の第三の態様には、蒸発性物質を含有する貯蔵容器、前記貯蔵容器から伸び、ウィックの露出された端を包囲する上部空間に、前記蒸発性物質を供給するウィック、および作動中に、上部空間を通じて、ファンに吸い込まれる空気の方向と平行な方向に、周囲から空気の流れを生じさせ、マニホルド通じて大気へと出すファンを備えた、電動分配デバイスが提供される。
【0010】
さらに本発明は、蒸発性物質の貯蔵容器と連通するウィックから蒸発性物質が供給される上部空間を提供すること、および空気が大気中に運ばれるように、空気の流れを生じさせて、該上部空間を通過させることにより、蒸発性物質を大気に供給する方法を提供する。
【0011】
上記の態様が可能なようにデバイスを配置する場合、デバイスの大きさ、形、および構成材料は、厳しくは重要でなく、様々な可能性が存在する。ブラスチック材料は安価で、容易に複雑な形に成形変形でき、魅力的に着色できるので、それらが好ましい。当然、それらは、蒸発性液体中の如何なる溶媒にさらされても耐えることができるように選択されなければならない。金属およびセラミックスなどの他の好適な材料も用いることができる。
【0012】
貯蔵容器から蒸発性物質を、キャピラリー作用によって、上部空間に輸送する、本発明の分配デバイスに用いられるウィックは、好適な如何なる材料によっても形成することができる。そのような材料は、天然繊維または合成繊維、織布または不織布、コード(cord)、ロッド(rod)、または他のものに基づく材料、厚紙に基づくウィックおよび紙に基づくウィックなどのセルロースに基づくもの、グラファイト、および炭素質のウィックなどの多孔性媒体、そして多孔性合成ポリマーおよび多孔性セラミックス材料をも含む。好適なウィックの製造のために有用な商業的に入手可能な材料の例は、Porex Corp., (Fairburn, GA, USA)、およびMicropore Plastics Inc. (Stone Mountain, GA) からの多孔性合成ポリマー、そしてRauschert GmbH & Co.-KG (Germany)から入手可能な多孔性セラミックスをも含む。
【0013】
本発明の電動分配デバイスの好ましい態様には、通常のファンよりもブロワーが用いられる。ブロワーは、それらがブロワー軸と垂直な方向に、通常比較的低い通風速度で空気を送達する事実で、ファンと区別することができるが、そのようなブロワーはより高い圧力に対しても作動することができる。ファンは、ファンのブレード軸に平行な全方向で、典型的には比較的高い通風速度で空気を送達するが、通常低い圧力に対してのみ作動することができる。それぞれの場合、ブロワー軸、またはファンのブレード軸は、モーターの回転軸、もしくはブロワーまたはファンのブレードのそれぞれを支持するシャフトの回転軸と定義される。ファンは本発明のある態様に用いることができるが、ブロワーを用いる態様が好ましい。十分に小さい好適なブロワーおよびファンは、そのようなデバイスをコンピューター産業に供給する産業から、容易かつ安価に入手できる。
【0014】
“マニホルド”は、デバイスに取り付けられたときに、大気に連通する少なくとも1つの開口部を有するチャンバーを定義する構成部品を意味する。マニホルドは好ましくは複数多数の開口部を有し、ここで“開口部”の用語の使用は、単数および複数の双方に言及している。この開口部の性質および位置は厳格厳しく重要でなく、如何なる好適な用途にも適合するように配置することができる。開口部は、他の閉口マニホルド内の単純な開口部であることができ、またはマニホルドから伸びるチューブであってもよい。開口部は、方向が可変であってもよい。例えば、所望の如何なる方向にも向けることができるように、1つまたは2つ以上の軸の周囲に旋回することができる。蒸発性物質の放出を調整することができるように、マニホルドには、部分的または完全に開口部を閉じるための手段が備え付けられている。ファンまたはブロワーは、蒸発性物質を含有する空気をマニホルドに吹き飛ばし、その結果、大気に吹き飛ばすように、マニホルドをデバイスに配置する。マニホルドは単に開口部を有するチャンバーであってよく、または蒸発性物質を含有する空気を、所望の方向でマニホルドに入れるように向ける内部のバッフルを少なくとも1つ含むことができる。
【0015】
ここで教示している分配デバイスで用いることができる蒸発性物質は、如何なる揮発性物質または蒸発性物質であってもよいが、好ましくは、1種または2種以上のエッセンシャルオイルに基づくフレグランス効果、または臭気マスキング効果などの化粧用効果を有する、1種または2種以上の液体、もしくは殺虫効果または医学的効果を有する揮発性液体である。非限定的な例示として、有用なエッセンシャルオイルは、以下の1種または2種以上を含む:アネ姉トール20/21ナチュラル、アニシードオイルチャイナスター(aniseed oil china star)、アニシードオイルグローブブランド(aniseed oil globe brand)、バルサム(ペルー)、バジルオイル(インド)、ブラックペッパーオイル、ブラックペッパー含有樹脂(black pepper oleoresin)40/20、ボワドローズ(Bois de Rose) (ブラジル)FOB、ボルネオールフレーク(borneol flakes)(中国)、カンフルオイル(camphor oil)、カナガオイル(canaga oil)(ジャワ)、 カルダモンオイル、カッシアオイル(中国)、セダーオイル(cedarwood oil)(中国)、シナモンバークオイル(cinnamon bark oil)、シナモンリーフオイル(cinnamon leaf oil)、 シトロネラオイル(citronella oil)、クローブバッドオイル(clove bud oil)、クローブリーフ(clove leaf)、コリアンダー(ロシア)、クマリン(中国)、シクラメンアルデヒド、ジフェニルオキシド、エチルバニリン、オイカリプトール、ユーカリオイル、ユーカリシトリオドーラ(eucalyptus citriodoura)、ファンネルオイル、ゼラニウムオイル、ジンジャーオイル、ショウキョウ樹脂油(ginger oleoresin)(インド)、ホワイトグレープフルーツオイル(white grapefruit oil)、 グアヤクウッドオイル(guaiacwood oil)、ガージャン含有樹脂(gurjun balsam)、ピペロナール(heliotropin)、酢酸イソボルニル、イソロンギフォレン(isolongifolene)、ネズの実のオイル(juniper berry oil)、L-酢酸メチル、ラベンダーオイル(lavender oil)、レモンオイル、レモングラスオイル、ライムオイル、リトシーキュービバオイル、ロンギフォレン(longifolene)、メントール、メチルセドリルケトン(methyl cedryl ketone)、メチルカビコール、サリチル酸メチル、ジャコウアンブレト、ジャコウキシロール、ニクズクオイル、オレンジオイル、パチョリオイル、ペパーミントオイル、フェニルエチルアルコール、ピメントベリーオイル(pimento berry oil)、ピメントぴ面とリーフオイル(pimento leaf oil)、ロザリン(rosalin)、ビャクダンオイル(sandalwood oil)、サンデノール(sandenol)、セージオイル、クラリーセージ、ササフラスオイル、スペアミントオイル、スパイクラベンダー(spike lavender)、マンジュギク、ティーツリーオイル、バニリン、ベティバーオイル(vetyver oil) (ジャワ)、ウィンターグリーン。
【0016】
揮発性液体に有益であり得るこれらの物質および他の好適な物質は、以下を含む種々の供給者から商業的に入手可能である:Givaudan Corp. (Teaneck, NJ); Berje Inc. (Bloomfield, NJ); BBA Aroma Chemical Div. of Union Camp Corp. (Wayne, NJ); Firmenich Inc. (Plainsboro NJ); Quest International Fragrances Inc. (Mt. Olive Township, NJ); Robertet Fragrances Inc. (Oakland, NJ)、またはここで挙げる必要のない必ずしも挙げていない他の供給者
【0017】
揮発性液体は、ニート(neat)の組成の形態で提供され得るか、または1種または2種以上の揮発性物質または蒸発性物質を含む、水との混合物、有機物との混合物、または水−有機物との混合物として提供され得る。
本発明は、さらに本発明の好ましい態様を描く添付図面を参照して記載されるが、それらは本発明の範囲を決して制限しない。
【0018】
図1の態様の以下の記載において、いくつかの特徴がより明確に理解できる図2も、参照すべきである。一般的に100として示される電動分配デバイスは、蒸発性液体110を含有する貯蔵容器105を備えている。貯蔵容器は、ネック130、それを通してウィックが挿入されたウィック115ネックを有しており、ウィック135の下端135は液体110に浸されており、上端120はネックから突き出している。しっかりとネック内で適合し、ウィックの周りできっちり閉まった挿入物125により、ネック内の適所で保持されている。
【0019】
貯蔵容器およびウィックは、一般的に150として示されるボディー部内に適合している。ボディー部は、上面160および下面165を有する平プレート155の形状を有し、下面165は、通常の作動部内の貯蔵容器に関して、同心円状の2つのスカート、外部スカート170および内部スカート180に依存している。内部スカートはその内部表面にねじ山186を備えており、該ねじ山は、対応する貯蔵容器のネック130上のねじ山106と結合するように適応しており、貯蔵容器はボディー部にはめ込むことができ、ウィック120の上端は、上部空間内で、プレート155および内部スカート180で定められる。プレート155は、ウィックの上端120の上に位置するオリフィス190を有する。
【0020】
外部スカート170は、その直径が貯蔵容器105の直径を超え、ネック130よりも下まで伸び、貯蔵容器105のボディーの下で分かつように設計され、貯蔵容器の部分を覆っているが、必要なときに容易にねじをはずすことができるようにされている。
【0021】
双方のスカートは、空気がウィック120に到達できるように複数の開口部を備えている。これらは、外部スカート170の172、および内部スカート180の182である。
【0022】
プレート150の上面160上に、一般的に200として示されるマニホルドアセンブリ(図1、4および6に断面でなく示される)を備えている。これは、側壁210を有するカバー205を備えており、側壁は複数の開口部215を有している。上面の上でマニホルド内に、ブロワー300(図1、4および6の外形で図式的に示される)を備えている。これは、典型的に、ラップトップコンピューターを冷却するために用いられるタイプのものであり、使用中のデバイスの通常の方向に関して水平面に回転する、ひと組みの翼を有する。それは、壁面のコンセントに差し込むことのできるタイプの、通常のプラグ400により供給される、コンセントからの電力で作動する。電力供給には、変圧器または整流器などのデバイスを機能させるのに必要な電気回路が供給されている。他の可能なものには、タイマー、光スイッチ、機械スイッチ、光センサーおよび音センサー、近接センサー、サーモカップル、近接センサー、音センサー、サーモカップル、建物または車両の電気回路に伝達されるシグナルを制御するために応答する“X−10”回路を含む。
【0023】
作動中、蒸発性物質110は、キャピラリー作用を通じてウィック115の上端120まで吸い込まれ、その後に、ボディー部150の上部空間に揮発し、場合によってはボディー部150の内部スカート180と外部スカート170との間の領域に、および周囲にまで揮発する。ブロワー300を作動させると、ブロワーは第1の方向、ここでは、オリフィス190を通じてその回転軸と平行な方向に、蒸発性物質を含有する空気を受け入れ、外部スカート170の開口部172および内部スカート180の開口部182を通じて、この空気は入っていく。その後、蒸発性物質を含有する空気は、一般的に第1の方向に垂直な第2の方向に、この場合、ブロワー300の回転面とほぼ平行な面に、ブロワー300から排出される。このことは、ブロワー300内に存在する1つまたは2つ以上の周辺の開口部の存在により可能とされる。その後に、蒸発性物質を含有する空気は、開口部215を通じて、マニホルドアセンブリ200から出ていく。電動分配デバイス100を介した空気の流れは、“a”と標示された小さい矢印により描かれる。
【0024】
図2の分解図は、図1の態様の種々の構成部品を示す。外部スカート170内に複数の開口部172が見える。同様に、内部スカート180も、ボディー部150の内部から、電動分配デバイスを組み合わせたときのウィックの上端120の近傍への、空気の通過を可能とする複数の開口部182を含む。
【0025】
ブロワー300は、モーターにより駆動され、ハブ304の付いたひと組の翼を包囲するハウジング302からなる。ハウジング302は、ブロワー300が作動しているときに、それを通した空気の通過を可能とする、少なくとも1つの側壁開口部320を備えている(1つ以上の側壁開口部を有することも可能である)。マニホルドアセンブリ200を、ブロワー300を覆ってプレート150上に置くと、マニホルドアセンブリ200の上面220は、ブロワー300を覆い、その結果、ブロワー300から出る空気は、側壁開口部320のみを通じて通過する。
【0026】
加えて、図2に示された態様は、本質的に平坦で、一方の端が開口した中空シリンダーであり、側壁510、端部515、および側壁に複数の開口部505を備えたスライディングカバー500を備えている。スライディングカバー500は、マニホルドアセンブリ200としっかりと適合し、回転可能であるように設計されている。使用中、スライディングカバー500は、マニホルドアセンブリ200の1つまたは2つ以上の開口部215を覆ったり、または覆わなかったりするために、回転させることができる。
【0027】
断面の図3において、ブロワーを上から見たマニホルドの内部を見ることができる。1つの開口した側壁320を有するブロワー300が描かれている。ブロワー300は、一般的に円状に見える吸気ポート312を備え、その中にハブ304および翼310が見える。バッフル250および255は、マニホルドアセンブリ200の上面220に依存している。バッフル250は、図面で広いアローヘッドを形成するように、端を結合する2つの弓形部分の形状を有し、アロー252の先端は、ブロワーの開口した側壁320の方向を向いて、中心に位置している。マニホルドアセンブリ200内の空気の流れの方向を示すことを意図した、“a”で標示された小さい矢印で理解できるように、開口した側壁320を経由してブロワー300から出る空気は、バッフル250に衝突し、マニホルドアセンブリ200の反対側に方向づけされ、ブロワー300の反対側に沿って方向付けされる。その後、蒸発性物質を含有する方向付けされた空気は、1つまたは2つ以上の開口部215を通って、マニホルドアセンブリ200から出ていくことができる。第2のバッフル255は、第1のバッフル250の位置とは正反対の位置に、マニホルドアセンブリ200内に位置している。このバッフル255は、図面では、一般的に三角形の断面を有しており、マニホルドアセンブリ200内の蒸発性物質を含有する空気を、1つまたは2つ以上の開口部215へ、その後は周囲へと方向付けすることを意図している。バッフルの性質および形を変化させることは当然に可能である:そのような変更は当該分野で既知である。
【0028】
図4の態様は、図1の態様と本質的に同じであるが、ブロワー300が、プレート150の隣接した下部で、外部スカート170の外側に取り付けられており、回転軸がウィックの縦軸と垂直になるように置かれている。貯蔵容器は、ネック130およびスカート180内に、それぞれ、対応する要素107および186の形状をしたスナップ式の取り付け手段により内部スカート180に適合されている。
【0029】
この場合、図1の中央のオリフィス190は、図2に描かれたタイプのブロワーハウジングの側壁開口部分に対応するプレート150内のオリフィス195に置き換えられる(形および位置については、図5Aおよび5Bを参照)。作動中、ブロワーは、ウィック120の上端を包囲する上部空間から、内部スカートおよび外部スカートを通じて、蒸発性物質を含有する空気を引き込み、オリフィス195を通じて、マニホルドアセンブリ200に吹き飛ばす。蒸発性物質を含有する空気は、ブロワー300の回転軸と一般的に平行な第一の方向に、ブロワー内に入り、ブロワー300の回転軸と一般的に垂直な第二の方向で、ブロワーから出る。その後、蒸発性物質を含有する空気は、1つまたは2つ以上の開口部215を通じて、矢印aの方向で、マニホルドから周囲に出ていく。マニホルドアセンブリは、空気の分配を補助するため、1つまたは2つ以上のバッフルを備えることができる。
【0030】
図5Aおよび5Bは、図4による態様のマニホルド内の2つの代替的で可能なバッフル配置を描いている。図5Aは、一組のバッフル272、274、275、277、および278を有する内部を示す。バッフル272は、一般的に直線で、一般的にオリフィス195に垂直である。対のバッフル274、275は、バッフル272の約半分の長さであり、バッフル272に関して曲げられているが、接触はしない。バッフル272からのオフセット角は変化することができるが、ここでは、バッフル272から約30度であるように描かれている。同様に、対のバッフル277および278も、より短く、バッフル272の約半分の長さであり、バッフル272に関して曲げられているが、接触はしない。この場合も、オフセット角は変化することができるが、バッフル272から、バッフル277および278のそれぞれの間のオフセット角は、約45度である。作動中、バッフル272、274、275、277、278は、蒸発性材料を含有する空気の流れをそらし、オリフィス195(点線の輪郭で示される)を経由してマニホルドアセンブリに入り、バッフルを通過して、1つまたは2つ以上の開口部215から出ていく。
【0031】
図5Bには、一組のバッフル280、282、284、および286がある。バッフルのそれぞれは弓形であり、オリフィス195から側壁210の方向に伸びている。作動中、バッフル280、282、284、および286は、蒸発性材料を含有する空気の流れをそらし、オリフィス195を経由してマニホルドアセンブリ200に入っていき、これらのバッフルを通過した後、1つまたは2つ以上の開口部215を通じて周囲に出る。
【0032】
図6には、図1の装置と類似形態である装置が描かれている。ここでの相違点は、ブロワーではなく、回転軸と平行な方向に空気を吹き飛ばすために設計されたファン300を使用しており、このファンは、内部スカートと外部スカートとの間の空間に設置されており、図2のブロワーのように、ウィックの縦軸と垂直な回転軸を備えている。このファンは、外部スカート170の開口部172を通じて空気を引き込み、吸気と同じ一般的な方向で排出し、内部スカート180のオリフィス182を通して、ウィック120の上端およびそれを包囲する上部空間まで排出する。蒸発性物質を含有する空気は、矢印aで示される方向に従って、ウィック120の上端の上に位置するオリフィス190を通して、上部空間から出ていき、マニホルドアセンブリ200に入り、そこからマニホルドの開口部215を通して大気に出ていく。マニホルドは、図3、5Aおよび5Bに示されるタイプのバッフルを内部に備えることができる。
【0033】
上記の態様は、単なる一例として与えられるものであり、当業者は、本発明の範囲内である多くの変法を容易に予想することができる。いくつかの例:
−デバイスは、コンセントからの電力で作動させる必要はないが、代替的な内蔵型エネルギー源、例えば、太陽電池またはバッテリーで作動させる必要がある。そのような可能性を含む変法は容易である。
−示される態様のファンは、蒸発性物質を含有する空気を、ウィックの周囲の上部空間から吸い込み、マニホルドへ吹き飛ばすように構成されている。ファンは、大気から空気を吸い込み、上部空間へ、そしてマニホルドへと吹き飛ばすように、容易に再配置することができる。
−マニホルドのオリフィスは、内部のバッフルを欠いているが、マニホルドからチューブを導き、蒸発性物質を含有する空気を放出する密閉マニホルドに置き換えることができる。これらのチューブは、同じ長さでも異なる長さでもよく、およびそれらは、例えば末端に人工的な花びらを付すように装飾的にしてもよい。
−他の可能性は、マニホルドオリフィスを、単純な穴に置き換えることであり、それらの排出方向は、例えば、それをプレート150と垂直な面内で360°旋回させることができる、またはそれを、例えば“アイボール”(eyeball)穴のように広く調節できるようにすることにより、変化させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の好ましい電動分配デバイスの縦の断面部分を描く。
【図2】図1に記載の電動分配デバイスの分解図を描く。
【図3】図1の態様のXX’線に沿った横の断面を描く。
【図4】本発明の他の態様の縦の断面部分を描く。
【図5A】図4のYY’線に沿った横の断面を描く。
【図5B】図5Aの代替的な態様を描く。
【図6】本発明の第3態様の縦の断面部分を描く。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸発性物質を含有する貯蔵容器、前記貯蔵容器から伸び、ウィックの露出された端を包囲する上部空間に、前記蒸発性物質を供給するウィック、および作動中に、空気の流れを生じさせて、上部空間を通過させ、蒸発性物質を大気に運ぶばせるブロワーまたはファンを備えた、蒸発性物質を大気中に分配するために構成された電動分配デバイス。
【請求項2】
作動中に、蒸発性物質を含有する空気の流れを上部空間から生じさせ、ブロワーを通過させ、大気に通じる少なくとも1つの穴を有するマニホルドを通じて大気中に出すように、ブロワーを配置し、ブロワーから排出された蒸発性物質を含有する空気と一般的に垂直な方向に、蒸発性物質を含有する前記空気の流れを受け入れるブロワーを備えた、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
ブロワーの回転軸がウィックの縦軸に垂直であり、蒸発性物質を含有する空気が、ブロワーから大気に通じる少なくとも1つの穴を有するマニホルドへ排出され、そこから大気中へ排出される第2の方向と、一般に垂直な第1の方向に上部空間から蒸発性物質を含有する空気を受け入れる第2方向ようにと一般的に垂直な第1方向に、上部空間から、蒸発性物質を含有する空気を受け入れるように前記ブロワーが配置されている、ここで、蒸発性物質を含有する空気は、ブロワーから、大気に通じる少なくとも1つの穴を有するマニホルドへ排出され、それから大気へ排出される、請求項1に記載のデバイス。
【請求項4】
上部空間を通じてファンに吸い込まれる空気の方向と平行な方向に、周囲から空気の流れを生じさせ、大気に通じる少なくも1つの穴を有するマニホルドを通じて大気に出すファンを備えた、請求項1に記載のデバイス。
【請求項5】
マニホルドが、蒸発性物質を含有する空気の大気への散布を補助するために構成された少なくとも1つのバッフルを備えた、請求項2〜4のいずれかに記載のデバイス。
【請求項6】
蒸発性物質の貯蔵容器と連通するウィックから蒸発性物質が供給される上部空間を提供すること、および蒸発性物質を含有する空気が大気中に運ばれるように、空気の流れを生じさせ、上部空間を通過させることにより、蒸発性物質を大気に供給する方法。
【請求項7】
空気の流れがブロワーにより引き起こされ、ブロワーは蒸発性物質を含有する空気の流れを、ブロワーから排出される蒸発性物質を含有する空気と一般的に垂直な方向に受け入れる、請求項6に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【公表番号】特表2006−505332(P2006−505332A)
【公表日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−550600(P2004−550600)
【出願日】平成15年10月29日(2003.10.29)
【国際出願番号】PCT/CH2003/000705
【国際公開番号】WO2004/043565
【国際公開日】平成16年5月27日(2004.5.27)
【出願人】(501105842)ジボダン エス エー (158)
【Fターム(参考)】