説明

蒸発濃縮装置および蒸発濃縮方法

【課題】沸点上昇の高い溶液であっても、溶液の蒸発による蒸気の熱を回収して溶液を加熱蒸発させる熱源として利用できるようにした蒸発濃縮装置および蒸発濃縮方法を提供する。
【解決手段】減圧状態の蒸発器1内で、下部の液溜室3の溶液を、循環ポンプ7で汲み上げて、上方の散布器9から加熱用の伝熱管6に散布し、溶液の蒸発によって発生した蒸気を、前段の第1の蒸気エゼクター21と、後段の第2の蒸気エゼクター22との少なくとも二段の蒸気エゼクター21,22によって、最終濃度における溶液の沸点上昇度以上の圧縮温度差まで圧縮し、伝熱管6内に供給するようにしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶液中の水分を蒸発させることによって濃縮する蒸発濃縮装置および蒸発濃縮方法に関し、更に詳しくは、溶液中の水分を蒸発させることによって発生する蒸気を、圧縮、昇温して前記溶液を蒸発させるための熱源として利用する、いわゆる蒸気圧縮式の蒸発濃縮装置および蒸発濃縮方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の蒸発濃縮装置として、例えば、特許文献1には、下部に溶液の液溜室を備えた密閉型の蒸発器内の上部に、多数本の伝熱管を設け、各伝熱管の外表面に、循環ポンプによって供給される溶液を散布器にて散布することによって蒸発させ、発生した蒸気を、ブロワー圧縮機または蒸気エゼクターで圧縮して昇温し、この昇温した蒸気を、ダクトを介して前記各伝熱管内に供給することによって、各伝熱管の外表面に散布される溶液を加熱、蒸発させるようにした蒸発濃縮装置が開示されている。
【0003】
かかる蒸気圧縮式の蒸発濃縮装置は、溶液から発生する蒸気を、ブロワー圧縮機または蒸気エゼクターで圧縮、昇温することによって、当該溶液を加熱、蒸発させるための熱源として利用する、すなわち、溶液から発生する蒸気の熱を回収して熱源として利用するものであるから、蒸気圧縮式でないものに比べてエネルギー効率が高い特長を備えている。
【0004】
溶液を加熱蒸発させる場合における沸点上昇(B.P.R:boiling point rise)は、濃縮が進んで溶液の濃度が高くなるにつれて大きくなり、前記伝熱管の内側と外側との間における温度差も沸点上昇の分だけ大きくなる。
【0005】
この伝熱管の内側と外側との間における温度差は、溶液から発生する蒸気を圧縮、昇温して伝熱管内に供給するブロワー圧縮機または蒸気エゼクターによる圧縮比、すなわち、圧縮温度差に対応したものとなる。したがって、ブロワー圧縮機または蒸気エゼクターによる圧縮温度差は、濃縮の目標とする最終濃度の溶液の沸点上昇度に対応させる必要があるが、ブロワー圧縮機よりも圧縮温度差が高い蒸気エゼクターであっても、その圧縮温度差は、40℃程度が限界である。
【0006】
このため、最終濃度の溶液の沸点上昇度が、蒸気エゼクターの圧縮温度差を上回る40℃以上の場合には、溶液から発生する蒸気の熱を回収して熱源として利用することができない。
【0007】
図2は、最終濃度の溶液の沸点上昇度が40℃以上であって、蒸気エゼクターの圧縮温度差を上回るために、溶液から発生する蒸気の熱を回収できない従来例の蒸発濃縮装置の構成例を示す図である。
【0008】
この蒸発濃縮装置では、下部に溶液の液溜室31を備えた密閉型の蒸発器32内の上部に、多数本の伝熱管33を設け、これら伝熱管33の一端には、各伝熱管33内に連通する入口側のヘッダー35aが、他端には、同じく各伝熱管33内に連通する出口側のヘッダー35bがそれぞれ設けられ、入口側のヘッダー35aには、図示しないボイラー等の高圧蒸気源からの高圧蒸気が蒸気供給管路37を介して供給される。
【0009】
真空ポンプ38によって減圧された蒸発器32内の伝熱管33の外表面に、循環ポンプ34によって液溜室31から汲み上げられた溶液を散布器36にて散布することにより、溶液を加熱、蒸発させて濃縮する一方、蒸発器32で蒸発した蒸気は、蒸気ダクト39を介して凝縮器40に導かれて冷却され、凝縮水は、凝縮水排出ポンプ41によって排出される。
【0010】
かかる蒸発濃縮装置では、溶液から発生する蒸気を、蒸気エゼクターによって圧縮、昇温して当該溶液を加熱、蒸発させるための熱源に利用するものではないので、その分、蒸気供給管路37を介して多量の高圧蒸気を供給する必要があり、エネルギー効率が悪く、ランニングコストが増大するという課題がある。
【0011】
なお、後述する図1の本発明の実施形態との比較のために、水酸化ナトリウム水溶液を、沸点上昇度が40℃である54重量%の高濃度まで蒸発濃縮する場合の蒸気温度、圧力および蒸気量の具体的な一例について説明すると、ボイラー等から供給される高圧蒸気は、例えば、圧力が、7kg/cm2であって、供給量が420kg/hrである。また、蒸発器32内の液温が80℃であって、蒸発温度が40℃であり、蒸発量が420kg/hrであって、凝縮器40には、蒸発器1から絶対圧、例えば、7.4kPa、40℃の蒸気が、420kg/hrの流量で供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】実公平7−13763号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、上述のような課題に鑑みて為されたものであって、沸点上昇の高い溶液であっても、溶液の蒸発による蒸気の熱を回収して溶液を加熱蒸発させる熱源として利用できるようにした蒸発濃縮装置および蒸発濃縮方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明では、上記目的を達成するために、次のように構成している。
【0015】
本発明の蒸発濃縮装置は、溶液を減圧状態で加熱し、蒸発させて濃縮する蒸発濃縮装置において、前記溶液の蒸発によって発生した蒸気を、前段の第1の蒸気エゼクターと、後段の第2の蒸気エゼクターとの少なくとも二段の蒸気エゼクターで圧縮し、圧縮した蒸気を、前記溶液の加熱に用いるものである。
【0016】
蒸気エゼクターを更に追加して、三段以上の圧縮を行うようにしてもよい。
【0017】
本発明の蒸発濃縮装置によると、第1,第2の蒸気エゼクターによって少なくとも二段の圧縮を行うので、圧縮温度差を大きくすることができ、これによって、沸点上昇が高い溶液に対しても、溶液の蒸発によって発生した蒸気の熱を、第1,第2の蒸気エゼクターによって回収して前記溶液の加熱に利用できるので、ランニングコストを削減することができる。
【0018】
本発明の好ましい実施態様では、前記溶液を溜める液溜室と加熱用の伝熱管とを有する蒸発器と、前記液溜室内の前記溶液を前記伝熱管の外側に供給して蒸発させる溶液循環手段とを備え、前記第1の蒸気エゼクターは、前記蒸発器で発生した蒸気を圧縮し、前記第2の蒸気エゼクターは、前記第1の蒸気エゼクターで圧縮された蒸気を圧縮して前記伝熱管内に供給するものである。
【0019】
液溜室は、蒸発器の下部に、加熱用の伝熱管は、液溜室の上部に設けられるのが好ましい。
【0020】
溶液循環手段は、溶液を加熱用の伝熱管の外表面に散布する散布器と、液溜室の溶液を前記散布器に供給する循環ポンプとを備えるのが好ましい。
【0021】
この実施態様によると、蒸発器の液溜室の溶液を、加熱用の伝熱管の外側に供給して蒸発させ、発生した蒸気を、第1,第2の蒸気エゼクターによる少なくとも二段の圧縮を行って伝熱管内に供給して溶液の加熱に利用することができる。
【0022】
本発明の一つの実施態様では、前記第1の蒸気エゼクターのみによる一段の圧縮を行う第1の蒸気経路と、前記第1,第2の蒸気エゼクターによる前記二段の圧縮を行う第2の蒸気経路と、前記両蒸気経路を切換える切換え手段とを備えている。
【0023】
この実施態様によると、溶液の濃度が低濃度で沸点上昇が低いときには、第1の蒸気エゼクターのみによる一段の圧縮を行い、濃縮が進んで高濃度となって沸点上昇が高くなったときには、蒸気経路を切り換えて第1,第2の蒸気エゼクターによる二段の圧縮を行うことができる。
【0024】
本発明の他の実施態様では、濃縮の目標である最終濃度の前記溶液は、その沸点上昇度が37℃以上である。
【0025】
沸点上昇度が高い溶液としては、例えば、強アルカリや強酸の高濃度溶液があり、かかる溶液の濃縮に好適である。
【0026】
この実施態様によると、単一の蒸気エゼクターのみによる一段の圧縮では、圧縮温度差を確保するのが困難な沸点上昇度が37℃以上の溶液であっても、第1,第2の蒸気エゼクターによる二段の圧縮によって、圧縮温度差を確保することが可能となり、かかる沸点上昇度が高い溶液に対しても、溶液の蒸発によって発生した蒸気の熱を回収して濃縮することが可能となり、ランニングコストを削減することができる。
【0027】
また、本発明の蒸発濃縮方法は、溶液を減圧状態で加熱し、蒸発させて濃縮する蒸発濃縮方法において、前記溶液の蒸発によって発生した蒸気を、前段の第1の蒸気エゼクターで圧縮する第1の圧縮工程と、後段の第2の蒸気エゼクターで圧縮する第2の圧縮工程との少なくとも二段の圧縮工程を含み、前記少なくとも二段の圧縮工程で圧縮した蒸気を、前記溶液の加熱に用いるものである。
【0028】
本発明の蒸発濃縮方法によると、第1,第2の蒸気エゼクターによる少なくとも二段の圧縮工程を含むので、圧縮温度差を大きくすることができ、これによって、沸点上昇が高い溶液に対しても、溶液の蒸発によって発生した蒸気の熱を、第1,第2の蒸気エゼクターによって回収して前記溶液の加熱に利用できるので、ランニングコストを削減することができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、第1,第2の蒸気エゼクターによって少なくとも二段の圧縮を行うので、圧縮温度差を大きくすることができ、これによって、沸点上昇が高い溶液に対しても、溶液の蒸発によって発生した蒸気の熱を、第1,第2の蒸気エゼクターによって回収して前記溶液の加熱に利用できるので、ランニングコストを削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の実施形態に係る蒸発濃縮装置の構成例を示す図である。
【図2】従来例の蒸発濃縮装置の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0032】
図1は、本発明の蒸発濃縮方法の実施に適用する蒸発濃縮装置の構成を示す図である。
【0033】
この実施形態の蒸発濃縮装置は、密閉型の蒸発器1を備え、この蒸発器1の下部には、原液供給管路2より供給される原液を溜める液溜室3が設けられ、その上部には、左右一対のヘッダー4,5と、両ヘッダー4,5の間を繋ぐ複数本の伝熱管6とが水平方向に設けられている。両ヘッダー4,5のうち、一方の入口側のヘッダー4内には、入口室4aと折り返し室4bとを区画する仕切り板4cが設けられ、他方の出口側のヘッダー5内には、折り返し室5aと出口室5bとを区画する仕切り板5cが設けられる。
【0034】
液溜室3の溶液は、循環ポンプ7によって循環管路8を介して、蒸発器1内の上部に設けた散布器9に供給され、この散布器9から各伝熱管6の外表面に向かって散布したのち、蒸発器1内の下部の液溜室3に流下するという循環を行うように構成しており、循環管路8の途中には、濃縮した溶液を排出するための排出管路10が設けられる。循環ポンプ7、循環管路8および散布器9によって、液溜室3内の水溶液を伝熱管6の外表面に供給して蒸発させる溶液循環手段が構成される。
【0035】
蒸発器1の上部は、蒸気ダクト11を介して凝縮器12の上部に接続され、この凝縮器12は、内部に複数の伝熱管を備え、冷却水供給管路13から冷却水が供給され、伝熱管を介して冷却水排出管路14から排出される。この凝縮器12の下部には、蒸発器1の両ヘッダー4,5のうち出口側のヘッダー5が管路15を介して接続される一方、凝縮水排出ポンプ17が設けられた凝縮水排水管路16が接続される。また、凝縮器12には、該凝縮器12および蒸発器1の内部を、大気圧以下の真空状態に保持するための真空ポンプ18が接続される。
【0036】
この実施形態では、目標とする最終濃度の水溶液の沸点上昇度が、40℃以上の水溶液、例えば、沸点上昇度が40℃である54重量%まで水酸化ナトリウム水溶液を濃縮するとともに、水溶液中の水分の蒸発による蒸気の熱を回収して水溶液を加熱、蒸発させる熱源として利用できるようにするために、次のように構成している。
【0037】
すなわち、蒸発器1の上部の蒸気出口管路19からの水蒸気を、ボイラー等の高圧蒸気源(図示せず)から蒸気供給管路20を介して供給される高圧蒸気にて駆動される前段の第1の蒸気エゼクター21によって吸引、圧縮し、この第1の蒸気エゼクター21によって圧縮された水蒸気を、同じく高圧蒸気にて駆動される後段の第2の蒸気エゼクター22によって吸引、圧縮した後、蒸気ダクト23を介して蒸発器1の両ヘッダー4,5のうち入口側のヘッダー4内に供給するようにしている。
【0038】
このように第1,第2の蒸気エゼクター21,22による二段の圧縮を行うので、例えば、各蒸気エゼクター21,22で圧縮温度差25℃の圧縮をそれぞれ行うことによって、両蒸気エゼクター21,22では、圧縮温度差50℃の圧縮が可能となり、例えば、水酸化ナトリウム水溶液を、沸点上昇度が40℃である54重量%の高濃度まで蒸発濃縮することができる。
【0039】
上記構成の蒸発濃縮装置では、蒸発器1内を真空ポンプ18によって減圧するとともに、原液供給管路2から原液である比較的高濃度の水酸化ナトリウム溶液を蒸発器1内の液溜室3内に供給する。更に、蒸気供給管路20を介して高圧蒸気を第1,第2の蒸気エゼクター21,22に対して駆動蒸気としてそれぞれ供給するとともに、循環ポンプ7を駆動して液溜室3内の水酸化ナトリウム水溶液を、蒸発器1内の各伝熱管6の外表面に散布する。
【0040】
散布された水酸化ナトリウムの水溶液は、蒸発器1内の下部の液溜室3に流下する一方、各伝熱管6の外表面で加熱されて蒸発し、発生した水蒸気は、蒸気出口管路19から第1の蒸気エゼクター21に吸引され、この第1の蒸気エゼクター21にて圧縮温度差25℃まで圧縮され、更に、その後段の第2の蒸気エゼクター22に吸引されて圧縮温度差25℃まで圧縮された後、蒸発器1における各伝熱管6内に導かれて、当該各伝熱管6の外表面に散布される水溶液を加熱するための熱源として利用される。また、蒸発器1で発生した水蒸気は、蒸気ダクト11を介して凝縮器12に導かれて冷却されて凝縮する。液溜室3には、蒸発濃縮による減量分の原液が供給される。
【0041】
ここで、水酸化ナトリウム水溶液を、沸点上昇度が40℃である54重量%の高濃度まで蒸発濃縮する場合の蒸気温度、圧力および蒸気量の具体的な一例について説明する。
【0042】
高圧蒸気源から蒸気供給管路20を介して、例えば、7kg/cm2の高圧蒸気が372kg/hrの流量で供給され、第1,第2の蒸気エゼクター21,22には、駆動蒸気として、7kg/cm2高圧蒸気が、例えば、86kg/hr,286kg/hrの流量でそれぞれ供給される。
【0043】
第1の蒸気エゼクター21は、蒸発器1から絶対圧、例えば、7.4kPa、40℃の蒸気を、48kg/hrの流量で吸引して圧縮し、第2の蒸気エゼクター22に対して、134kg/hrの流量で吐出する。
【0044】
第2の蒸気エゼクター22は、第1の蒸気エゼクター21からの蒸気を圧縮して、絶対圧、例えば、60.1kPa、86℃の蒸気を、420kg/hrの流量で入口側のヘッダー4を介して各伝熱管6に供給する。
【0045】
蒸発器1内の液溜室3内の水酸化ナトリウム水溶液の液温は、例えば、80℃となり、かかる水酸化ナトリウム水溶液を、循環ポンプ7によって散布器9から各伝熱管6に散布することによって、加熱され、蒸発温度40℃、蒸発量420kg/hrで蒸発し、その蒸気の一部が上述のように、第1の蒸気エゼクター21に吸引される一方、蒸気ダクト11を介して凝縮器12に、372kg/hrの流量で供給されて冷却される。
【0046】
上述のように第1,第2の蒸気エゼクター21,22による二段の圧縮によって、蒸発器1の蒸気出口管路19からの40℃の蒸気を、86℃まで圧縮昇温してヘッダー4を介して各伝熱管6に供給することができる、すなわち、圧縮温度差として46℃まで圧縮できるので、水酸化ナトリウム水溶液を、沸点上昇度が40℃の54重量%の高濃度まで蒸発濃縮することができる。
【0047】
しかも、水酸化ナトリウム水溶液の蒸発による蒸気の熱を回収して水溶液を加熱蒸発させる熱源として利用できるので、上述の図2の従来例では、高圧蒸気の供給量が420kg/hrであったのに対して、この実施形態では、高圧蒸気の供給量が372kg/hrと大幅に削減することができ、ランニングコストを低減することが可能となる。
【0048】
上述の実施形態では、比較的高濃度の水酸化ナトリウム水溶液を、54重量%の高濃度まで濃縮したので、濃縮の開始時点から第1,第2の蒸気エゼクター21,22による二段の圧縮を行ったけれども、濃度の低い水酸化ナトリウム水溶液から54重量%の高濃度まで濃縮するような場合には、先ず、第1の蒸気エゼクター21のみによる一段の圧縮を行い、濃縮が進んで濃度が高くなった後に、蒸気経路を切換えて第1,第2の両蒸気エゼクター21,22による二段の圧縮を行ってもよい。
【0049】
また、管路を切換える三方弁を設けて、一段圧縮と二段圧縮とを切換えるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0050】
1,32 蒸発器
3,31 液溜室
6,33 伝熱管
7,34 循環ポンプ
9,36 散布器
12,40 凝縮器
18,38 真空ポンプ
21,22 第1,第2の蒸気エゼクター

【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶液を減圧状態で加熱し、蒸発させて濃縮する蒸発濃縮装置において、
前記溶液の蒸発によって発生した蒸気を、前段の第1の蒸気エゼクターと、後段の第2の蒸気エゼクターとの少なくとも二段の蒸気エゼクターで圧縮し、圧縮した蒸気を、前記溶液の加熱に用いることを特徴とする蒸発濃縮装置。
【請求項2】
前記溶液を溜める液溜室と加熱用の伝熱管とを有する蒸発器と、前記液溜室内の前記溶液を前記伝熱管の外側に供給して蒸発させる溶液循環手段とを備え、
前記第1の蒸気エゼクターは、前記蒸発器で発生した蒸気を圧縮し、前記第2の蒸気エゼクターは、前記第1の蒸気エゼクターで圧縮された蒸気を圧縮して前記伝熱管内に供給する請求項1に記載の蒸発濃縮装置。
【請求項3】
前記第1の蒸気エゼクターのみによる一段の圧縮を行う第1の蒸気経路と、
前記第1,第2の蒸気エゼクターによる前記二段の圧縮を行う第2の蒸気経路と、
前記両蒸気経路を切換える切換え手段と、
を備える請求項1または2に記載の蒸発濃縮装置。
【請求項4】
濃縮の目標である最終濃度の前記溶液は、その沸点上昇度が37℃以上である請求項1ないし3のいずれかに記載の蒸発濃縮装置。
【請求項5】
溶液を減圧状態で加熱し、蒸発させて濃縮する蒸発濃縮方法において、
前記溶液の蒸発によって発生した蒸気を、前段の第1の蒸気エゼクターで圧縮する第1の圧縮工程と、後段の第2の蒸気エゼクターで圧縮する第2の圧縮工程との少なくとも二段の圧縮工程を含み、
前記少なくとも二段の圧縮工程で圧縮した蒸気を、前記溶液の加熱に用いることを特徴とする蒸発濃縮方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−72858(P2011−72858A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−224165(P2009−224165)
【出願日】平成21年9月29日(2009.9.29)
【出願人】(000143972)株式会社ササクラ (138)
【Fターム(参考)】