蓄電素子の状態判別システム
【課題】 ヒータを用いることにより、蓄電素子を温めるだけではなく、蓄電素子の状態も判別することができる状態判別システムを提供する。
【解決手段】 一方向に並んで配置された複数の蓄電素子(10)と、複数の蓄電素子の配列方向に作用する荷重を加えて複数の蓄電素子を拘束する拘束機構(41,42,43)と、蓄電素子のうち配列方向と直交する面に接触し、温度変化に応じて電気抵抗が変化するヒータ(50)と、蓄電素子の状態を判別するためのコントローラ(105)と、を有する。コントローラは、ヒータへの通電によってヒータの抵抗測定値(Ra)を算出し、ヒータに対する荷重およびヒータの抵抗値の対応関係を示す情報を用いて、抵抗測定値に対応した荷重を特定して、蓄電素子の拘束状態を判別する。
【解決手段】 一方向に並んで配置された複数の蓄電素子(10)と、複数の蓄電素子の配列方向に作用する荷重を加えて複数の蓄電素子を拘束する拘束機構(41,42,43)と、蓄電素子のうち配列方向と直交する面に接触し、温度変化に応じて電気抵抗が変化するヒータ(50)と、蓄電素子の状態を判別するためのコントローラ(105)と、を有する。コントローラは、ヒータへの通電によってヒータの抵抗測定値(Ra)を算出し、ヒータに対する荷重およびヒータの抵抗値の対応関係を示す情報を用いて、抵抗測定値に対応した荷重を特定して、蓄電素子の拘束状態を判別する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の蓄電素子が一方向に並んで配置され、配列方向の拘束力が与えられた構造において、蓄電素子の状態を判別する状態判別システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
電池パックには、複数の単電池が一方向に並べて配置され、配列方向における両端から、複数の単電池を拘束しているものがある(例えば、特許文献1,2参照)。単電池に拘束力(荷重)を与えることにより、発熱等による単電池の膨張を抑制でき、単電池の入出力特性の劣化を抑制することができる。
【0003】
一方、単電池は、所定の温度範囲内において所望の入出力特性を示すことが知られており、単電池が過度に冷却された場合には、単電池を温める必要がある。具体的には、ヒータを設け、ヒータの熱によって単電池を温めることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−024445号公報(図1,2)
【特許文献2】特開2009−087583号公報(図1)
【特許文献3】特開2009−076265号公報
【特許文献4】特開2008−204764号公報
【特許文献5】特開2008−282699号公報
【特許文献6】特開2008−251470号公報
【特許文献7】特開2009−087583号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
複数の単電池を拘束する構造では、各単電池に対して所望の荷重が作用していることを検出する必要があり、例えば、圧力センサを用いて単電池に作用する荷重を検出することができる。一方、単電池が過度に冷却又は加熱されていることを検出するためには、温度センサを配置することが考えられる。
【0006】
この場合には、電池パックには、圧力センサや温度センサが配置されることになり、検出機能を増やす分だけ、部品点数が増加してしまう。
【0007】
そこで、本発明の目的は、ヒータを用いることにより、蓄電素子を温めるだけではなく、蓄電素子の状態も判別することができる状態判別システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明である蓄電素子の状態判別システムは、一方向に並んで配置された複数の蓄電素子と、複数の蓄電素子の配列方向に作用する荷重を加えて複数の蓄電素子を拘束する拘束機構と、蓄電素子のうち配列方向と直交する面に接触し、温度変化に応じて電気抵抗が変化するヒータと、蓄電素子の状態を判別するためのコントローラと、を有する。コントローラは、ヒータへの通電によってヒータの抵抗測定値を算出し、ヒータに対する荷重およびヒータの抵抗値の対応関係を示す情報を用いて、抵抗測定値に対応した荷重を特定して、蓄電素子の拘束状態を判別する。本発明において、蓄電素子の状態には、蓄電素子の温度や、拘束機構の拘束力によって蓄電素子に作用している荷重が含まれる。
【0009】
コントローラは、抵抗測定値に対応した荷重が上限設定値よりも高いときには、蓄電素子の充放電を制限することができる。また、コントローラは、抵抗測定値に対応した荷重が下限設定値よりも低いときには、蓄電素子の充放電を制限することができる。ここで、充放電の制限には、充放電を禁止する場合と、充電量や放電量を低減させる場合とが含まれる。
【0010】
コントローラは、抵抗測定値に対応した荷重における基準温度での抵抗基準値を特定して、抵抗測定値および抵抗基準値の比率を算出し、基準温度からの温度変化に対する、温度変化の前後における抵抗値の比率を示す情報を用いて、抵抗測定値および抵抗基準値の比率に対応した温度を特定する。これにより、ヒータの抵抗測定値に基づいて、ヒータの温度を特定することができるとともに、ヒータと接触する蓄電素子の温度を推定することができる。
【0011】
ここで、コントローラは、特定した温度(抵抗測定値および抵抗基準値の比率に対応した温度)が所定の温度範囲を超えているときには、蓄電素子の充放電を制限することができる。これにより、蓄電素子の入出力特性が劣化していることを判断することができ、充放電を制限しないことによる蓄電素子の更なる劣化を抑制することができる。
【0012】
蓄電素子の温度を検出するための温度センサを配置することもできる。この場合には、温度センサによる検出温度と、ヒータの抵抗測定値に対応した温度との差を監視することができる。そして、温度差が閾値よりも大きいときには、蓄電素子の充放電を制限することができる。
【0013】
蓄電素子の冷却に用いられる熱交換媒体を移動させるスペースを形成する仕切り板を、隣り合って配置された2つの蓄電素子の間に配置することができる。ここで、仕切り板は、一方の蓄電素子と対向して、上記スペースを形成するための凹凸面と、他方の蓄電素子と対向する平面とを有しており、ヒータは、仕切り板の平面に沿って配置することができる。これにより、仕切り板に対して一方の側では、熱交換媒体を用いて蓄電素子を冷却することができ、仕切り板に対して他方の側では、ヒータを用いて蓄電素子を温めることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ヒータを用いるだけで、蓄電素子を温めるだけでなく、ヒータの抵抗測定値に基づいて蓄電素子の拘束状態を判別することができる。すなわち、ヒータに対して、2つの機能(加温機能および荷重検出機能)を持たせることができ、部品点数を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施例1における電池パックの側面図である。
【図2】実施例1における仕切り板の正面図である。
【図3】実施例1におけるフィルムヒータの正面図である。
【図4】実施例1において、仕切り板およびフィルムヒータを重ねた状態を示す図である。
【図5】実施例1において、電池パックを備えた車両における一部のシステムを示す回路図である。
【図6】実施例1において、フィルムヒータの駆動回路を示す図である。
【図7】実施例1において、温度検出および荷重検出の処理を示すフローチャートである。
【図8】フィルムヒータの荷重および抵抗値の関係と、フィルムヒータの温度および抵抗値の関係を示す概略図である。
【図9】フィルムヒータの抵抗値および温度の関係を示す図である。
【図10】温度および抵抗比率の関係を示す図である。
【図11A】フィルムヒータの通電部と仕切り板の突起部との重なり状態を示す図である。
【図11B】フィルムヒータの通電部と仕切り板の突起部との重なり状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施例について説明する。
【実施例1】
【0017】
本発明の実施例1における電池パックについて説明する。図1は、本実施例における電池パック1の側面図である。図1において、X軸、Y軸およびZ軸は、互いに直交する軸であり、本実施例では、鉛直方向に相当する軸をZ軸としている。X軸、Y軸およびZ軸の関係は、他の図面においても同様である。
【0018】
電池パック1は、複数の単電池(蓄電素子)10を有しており、複数の単電池10は、X方向に並んで配置されている。単電池10は、発電要素(不図示)と、発電要素を収容する電池ケース11とを有している。発電要素は、充放電を行うことができる要素であり、例えば、正極素子と、負極素子と、正極素子および負極素子の間に配置されたセパレータ(電解液を含む)とで、発電要素を構成することができる。
【0019】
単電池10としては、ニッケル水素電池やリチウムイオン電池といった二次電池を用いることができる。また、二次電池の代わりに、電気二重層キャパシタ(コンデンサ)を用いることもできる。
【0020】
本実施例では、単電池10として、いわゆる角型の単電池を用いており、電池ケース11は、6つの平面で構成されている。具体的には、電池ケース11は、上面と、底面と、X方向と直交する2つの側面(第1側面という)と、Y方向と直交する2つの側面(第2側面という)とを有している。
【0021】
電池ケース11の上面には、正極端子12および負極端子13が設けられている。正極端子12は、発電要素の正極素子と電気的に接続されており、負極端子13は、発電要素の負極素子と電気的に接続されている。また、X方向で隣り合う2つの単電池10に関して、一方の単電池10の正極端子12は、他方の単電池10の負極端子13とバスバー20を介して接続されている。これにより、X方向で隣り合う2つの単電池10は、電気的に直列に接続される。
【0022】
本実施例では、すべての単電池10が電気的に直列に接続されている。なお、電気的に並列に接続された単電池10が含まれていてもよい。また、本実施例では、単電池10をX方向に並べて配置しているが、これに限るものではない。具体的には、複数の単電池10を用いて電池モジュールを構成しておき、複数の電池モジュールをX方向に並んで配置することができる。この場合には、電池モジュールが本願発明の蓄電素子に相当する。
【0023】
電池パック1のうち、X方向における両端部には、2つのエンドプレート(拘束機構の一部)41,42が配置されており、エンドプレート41,42は、例えば、樹脂で形成することができる。第1エンドプレート41は、平板状に形成されており、X方向で隣り合う単電池10の第1側面(Y−Z平面)に接触している。第2エンドプレート42は、Y方向に延びる突起部42aを複数有しており、複数の突起部42aは、Z方向において所定の間隔を空けた状態で並んで配置されている。
【0024】
突起部42aの先端面は、第2エンドプレート42とX方向で隣り合う単電池10の第1側面に接触している。これにより、第2エンドプレート42および単電池10の間には、スペースS1が形成され、スペースS1は、後述するように、単電池10を冷却するための空気が移動する通路となる。なお、単電池10を冷却するための冷媒としては、空気に限るものではなく、他の気体を用いることもできるし、液体を用いることもできる。
【0025】
第1エンドプレート41および第2エンドプレート42には、X方向に延びるバンド(拘束機構の一部)43が接続されている。具体的には、バンド43の一端部が、ボルト44によって第1エンドプレート41に固定されているとともに、バンド43の他端部が、ボルト44によって第2エンドプレート42に固定されている。本実施例では、単電池10の上面において、2つのバンド43が配置されているとともに、単電池10の底面において、2つのバンド43が配置されている。
【0026】
これにより、2つのエンドプレート41,42によって挟まれた複数の単電池10(後述する仕切り板30やフィルムヒータ50を含む)に対して、拘束力を与えることができる。この拘束力は、X方向で隣り合う2つの単電池10を互いに近づける方向の力である。単電池10に拘束力を与えることにより、熱等による単電池10の膨張を抑制することができる。なお、バンド43の数や形状は、単電池10に与える拘束力等に基づいて適宜設定することができる。
【0027】
一方、X方向で隣り合う2つの単電池10の間には、仕切り板30が配置されている。仕切り板30のうち、一方の単電池10と接触する面は、平面で構成されている。また、仕切り板30のうち、他方の単電池10と対向する面には、複数の突起部31が設けられており、凹凸面が構成されている。図2に示すように、各突起部31は、Y方向に延びており、複数の突起部31は、Z方向において所定の間隔を空けた状態で並んで配置されている。
【0028】
各仕切り板30において、Z方向で隣り合う2つの突起部31の間には、スペースS2が形成されており、スペースS2は、後述するように、単電池10を冷却するための空気が移動する通路となる。
【0029】
なお、本実施例では、突起部31を図2に示す形状に形成しているが、これに限るものではない。すなわち、仕切り板30を用いることにより、単電池10(第1側面)の表面に対して、冷却用の空気を移動させるスペースを形成することができればよい。例えば、仕切り板30をX方向から見たときに、複数の突起部をマトリクス状に配置することができる。
【0030】
仕切り板30の平面部分と単電池10との間には、図3に示すフィルムヒータ50が配置されている。フィルムヒータ50は、1つだけ用いてもよいし、複数用いても良い。また、特定の仕切り板30および単電池10の間に、フィルムヒータ50を配置することもできるし、すべての仕切り板30および単電池10の間や第1エンドプレート41および単電池10の間にフィルムヒータ50を配置することもできる。
【0031】
なお、本実施例では、仕切り板30の平面部分と単電池10との間に、フィルムヒータ50を配置しているが、これに限るものではない。具体的には、仕切り板30の突起部31と単電池10との間に、フィルムヒータ50を配置することができる。ただし、本実施例のようにフィルムヒータ50を配置することにより、仕切り板30の突起部31の側では、スペースS2を用いて単電池10の冷却を効率良く行うことができる。しかも、仕切り板30の平面部分の側では、フィルムヒータ50による単電池10の加温を効率良く行うことができる。
【0032】
また、本実施例では、1つの単電池10に対してフィルムヒータ50を接触させているが、これに限るものではない。例えば、仕切り板30を省略して、隣り合って配置された2つの単電池10に対してフィルムヒータ50を接触させることができる。また、複数の単電池10の配列によっては、3つ以上の単電池10に対してフィルムヒータ50を接触させることができる。
【0033】
フィルムヒータ50は、フィルム51と、フィルム51の表面に形成された通電部52とを有する。フィルム51は、例えば、樹脂といった絶縁性を有する材料で形成することができる。また、通電部52は、温度変化に応じて抵抗値が変化する材料によって形成されており、この材料としては、PTC(Positive Temperature Coefficient)を用いることができる。通電部52は、印刷処理によって、フィルム51の表面に形成することができる。
【0034】
なお、通電部52は、温度変化に応じて抵抗値が変化する材料と、この材料とは電気抵抗の異なる導電性フィラーとで構成することもできる。具体的には、温度変化に応じて抵抗値が変化する材料中に、導電性フィラーを分散させることができる。これにより、フィルムヒータ50に加えられた圧力に応じて、フィルムヒータ50の抵抗を変化させることができる。このようなフィルムヒータ50を用いれば、後述するように、フィルムヒータ50の抵抗値に基づいて、単電池10に作用する荷重を特定することができる。
【0035】
通電部52の両端部には、端子53,54が設けられており、端子53,54は、後述するように、電源に接続されている。また、図4に示すように、フィルムヒータ50の外縁は、X方向から見たときに、仕切り板30の外縁と略重なるようになっている。また、フィルムヒータ50の通電部52は、一部の領域において、仕切り板30の突起部31と重なっている。なお、フィルムヒータ50の大きさ(Y−Z平面内の面積)は、適宜設定することができる。
【0036】
本実施例の電池パック1において、上述したスペースS1,S2に対して、冷却用の空気を供給すれば、単電池10の温度上昇を抑制することができ、温度上昇に伴う単電池10の劣化を抑制することができる。また、フィルムヒータ50の通電部52に電流を流せば、通電部52の発熱によって、単電池10を温めることができる。これにより、温度低下に伴う単電池10の劣化を抑制することができる。
【0037】
次に、電池パック1の充放電を制御するシステムについて、図5を用いて説明する。図5では、電池パック1を車両に搭載したときのシステムを示す概略図である。電池パック1が搭載される車両としては、電池パック1の出力だけを用いて走行する電気自動車や、電池パック1の出力および内燃機関(又は燃料電池)の出力を用いて走行するハイブリッド自動車がある。
【0038】
電池パック1は、システムメインリレーSMR1,SMR2を介して、昇圧回路101に接続されている。昇圧回路101は、電池パック1の出力電圧を昇圧してからインバータ102に出力する。インバータ102は、昇圧回路101から出力された直流電力を交流電力に変換して、モータ(例えば、三相交流モータ)103に出力する。モータ103は、インバータ102から供給された電力を用いて、車両の走行に用いられる運動エネルギを発生させる。
【0039】
一方、車両の制動時には、モータ103において電力が生成され、インバータ102は、モータ103からの交流電力を直流電力に変換する。昇圧回路101は、インバータ102からの出力電圧を降圧してから電池パック1に供給する。これにより、車両の制動時に発生した運動エネルギを、回生電力として電池パック1に蓄えることができる。なお、車両の外部から、電池パック1に対して電力を供給することもできる。
【0040】
電池パック1には、温度センサ104が設けられており、温度センサ104は、単電池10の温度を直接的又は間接的に検出するために用いられる。温度センサ104を単電池10に接触させておけば、単電池10の温度を直接的に検出することができる。また、温度センサ104を単電池10から離して配置すれば、単電池10の温度を間接的に検出することができる。温度センサ104としては、例えば、サーミスタを用いることができる。
【0041】
温度センサ104の検出情報は、コントローラ105に入力され、コントローラ105は、単電池10の温度を判別する。コントローラ105は、システムメインリレーSMR1,SMR2のオン/オフを制御する。また、コントローラ105には、所定の情報が格納されたメモリ105aが内蔵されている。なお、メモリ105aは、コントローラ105の外部に設けられていてもよい。
【0042】
次に、フィルムヒータ50の駆動に用いられる回路構成について、図6を用いて説明する。
【0043】
フィルムヒータ50の端子53,54には、配線を介して電源106が接続されており、配線上には、スイッチ107が設けられている。電源106としては、例えば、車両に搭載された補機バッテリ(電池パック1とは異なる)を用いたり、電池パック1を用いたりすることができる。
【0044】
スイッチ107は、コントローラ105からの制御信号に基づいて、オンおよびオフの間で切り替わる。スイッチ107がオフからオンに切り替わることにより、フィルムヒータ50への通電が行われる。電圧センサ108は、フィルムヒータ50の電圧値を検出し、検出結果をコントローラ105に出力する。電流センサ109は、フィルムヒータ50に流れる電流値を検出し、検出結果をコントローラ105に出力する。
【0045】
次に、図5および図6に示すシステムの動作(一部)について、図7に示すフローチャートを用いて説明する。
【0046】
ステップS100において、コントローラ105は、温度センサ104の出力に基づいて、単電池10の温度Taを取得する。ステップS101において、コントローラ105は、フィルムヒータ50への通電を行う。ここでの通電は、後述するように、フィルムヒータ50の抵抗値(実測値)を算出するための通電であり、単電池10を温めるためにフィルムヒータ50を発熱させるものではない。具体的には、コントローラ105は、予め定められた時間だけ、フィルムヒータ50への通電を行わせる。
【0047】
ステップS102において、コントローラ105は、フィルムヒータ50に通電している間、電圧センサ108および電流センサ109の出力に基づいて、フィルムヒータ50の電流値および電圧値を測定する。そして、測定された電流値および電圧値に基づいて、抵抗値(抵抗測定値という)Raを算出する。なお、本実施例では、電流値および電圧値から抵抗値Raを算出しているが、これに限るものではない。すなわち、フィルムヒータ50への通電を監視することによって、抵抗値を算出できればよい。
【0048】
ステップS103において、コントローラ105は、抵抗測定値Raに基づいて、単電池10に作用する荷重(拘束力)の範囲を特定する。コントローラ105に内蔵されたメモリ105aには、図8に示すテーブルデータが格納されている。図8に示すテーブルデータは、フィルムヒータ50における荷重および抵抗値の関係と、フィルムヒータ50における温度および抵抗値の関係とを示している。図8に示すテーブルデータは、実験等によって予め求めておくことができる。
【0049】
コントローラ105は、図8に示すテーブルデータを用いて、抵抗測定値Raに対応した荷重を特定する。図8の領域Aでは、複数の荷重Lk,Lk+1,Lk+2における抵抗値が、抵抗測定値Raと同一であることを示している。なお、特定の荷重における抵抗値だけが、抵抗測定値Raと一致する場合もある。
【0050】
図9には、荷重を変化させたときのフィルムヒータ50の抵抗値および温度の関係を示している。図9では、3つの荷重Lk,Lk+1,Lk+2に対応した曲線(荷重曲線)LC1〜LC3が示されている。各荷重曲線LC1〜LC3に示すように、フィルムヒータ50における通電部52の抵抗値は、通電部52の温度が上昇するにつれて大きくなる。また、フィルムヒータ50(通電部52)に作用する荷重が高くなるほど、通電部52の抵抗値は大きくなる。
【0051】
ステップS103では、抵抗測定値Raのラインと交差する荷重曲線を特定し、特定された複数の荷重曲線に基づいて最大の荷重および最小の荷重を特定する。図9に示す例では、3つの荷重曲線LC1〜LC3が抵抗測定値Raのライン(点線)と交差しており、荷重曲線LC1に対応した荷重Lk+2が最大の荷重となり、荷重曲線LC3に対応した荷重Lkが最小の荷重となる。
【0052】
ステップS104では、基準温度Trefにおいて、ステップS103で特定された荷重範囲に対応した抵抗値をテーブルデータ(図8)から取得する。具体的には、最大荷重Lk+2および最小荷重Lkの間に位置する基準温度Trefの抵抗値(複数)を取得する。荷重範囲に対応した基準温度Trefの抵抗値を、抵抗基準値Rrefという。図8の領域Bは、抵抗基準値Rrefが存在する範囲を示している。
【0053】
ステップS105では、抵抗測定値Raおよび抵抗基準値Rrefの比率(Ra/Rref)を算出する。図10には、基準温度Trefにおける抵抗値の比率を1としたときの他の温度における抵抗値の比率を示している。図10に示す温度および抵抗比率の関係は、実験等によって予め取得することができ、このテーブルデータは、メモリ105aに予め格納されている。
【0054】
図10に示すテーブルデータを用いれば、抵抗比率(Ra/Rref)に対応した温度を特定することができる。すなわち、2つの温度に対応した2つの抵抗値の比率は、荷重に依存しないことが分かったため、抵抗比率を特定できれば、温度を特定することができる。
【0055】
ここで、抵抗基準値Rrefが複数存在する場合には、これらの抵抗基準値Rrefに対応した複数の抵抗比率を求め、複数の抵抗比率に対応した複数の温度を特定する。そして、特定された複数の温度のうち、最大値を示す温度を、電池温度Tbとして推定する。図10に示す温度は、ヒータ50(通電部52)の温度に対応しているが、ヒータ50の温度を特定することにより、ヒータ50に接触する単電池10の温度を推定することができる。
【0056】
ステップS107において、コントローラ105は、ステップS100で取得した検出温度Taと、ステップS106で取得した電池推定温度Tbとの差分が、閾値よりも大きいか否かを判別する。温度Taおよび温度Tbの差分が閾値よりも大きければ、ステップS108に進み、そうでなければ、ステップS109に進む。
【0057】
ステップS107からステップS108に進む場合には、コントローラ105は、電池パック1を構成する複数の単電池10のうち、いずれかの単電池10が異常発熱していると判断する。ここで、検出温度Taは、温度センサ104が設けられた単電池10の温度を示しており、電池推定温度Tbは、フィルムヒータ50と接触している単電池10の温度を示している。
【0058】
ここで、温度センサ104およびフィルムヒータ50が互いに異なる単電池10に対して設けられている場合において、温度Taおよび温度Tbの差分が大きすぎると、フィルムヒータ50を用いた温度推定の対象となった単電池10が過度に発熱していることが分かる。また、温度センサ104およびフィルムヒータ50が同一の単電池10に対して設けられている場合には、温度センサ104が故障していることを判別することもできる。
【0059】
なお、本実施例では、温度センサ104を設けているが、温度センサ104を省略することもできる。この場合には、フィルムヒータ50の抵抗測定値Raに基づいて、単電池10の温度を特定(推定)することになる。
【0060】
そして、単電池10の推定温度が上限値よりも高くなれば、単電池10の冷却を行うことができ、単電池10の推定温度が下限値よりも低ければ、フィルムヒータ50を発熱させて、単電池10を温めることができる。ここでいう上限値および下限値は、単電池10の入出力特性を劣化させない観点から予め定められた温度範囲の上限値および下限値に相当するものである。
【0061】
ステップS108において、コントローラ105は、システムメインリレーSMR1,SMR2をオンからオフに切り替えることにより、電池パック1の充放電を禁止する。これにより、発熱状態と判断した単電池10がさらに発熱してしまうのを防止することができる。なお、電池パック1の充放電を禁止するのではなく、充放電の量を低減させる制御を行うこともできる。
【0062】
ステップS109において、コントローラ105は、ステップS103で特定された荷重下限値Lminが下限設定値よりも低いか否かを判別する。荷重下限値Lminが下限設定値よりも低い場合には、ステップS108に進み、そうでない場合には、ステップS110に進む。下限設定値とは、単電池10に作用させる必要最小限の荷重として設定された値であり、単電池10の特性等に基づいて適宜設定することができる。
【0063】
ステップS109からステップS108に進む場合には、コントローラ105は、フィルムヒータ50と接触する単電池10に作用する荷重(拘束力)が不十分であると判断する。荷重が不十分となる原因の一例としては、バンド43が破損していることが挙げられる。この場合にも、コントローラ105は、電池パック1の充放電を禁止する。
【0064】
ステップS110において、コントローラ105は、ステップS103で特定された荷重上限値Lmaxが上限設定値よりも高いか否かを判別する。荷重上限値Lmaxが上限設定値よりも高い場合には、ステップS108に進み、そうでない場合には、ステップS100に戻る。上限設定値とは、単電池10に作用させる必要最大限の荷重として設定された値であり、単電池10の特性等に基づいて適宜設定することができる。
【0065】
ステップS110からステップS108に進む場合には、コントローラ105は、フィルムヒータ50と接触する単電池10に作用する荷重(拘束力)が過剰であると判断する。荷重が過剰となる原因の一例としては、単電池10が膨張していることが挙げられる。この場合も、コントローラ105は、電池パック1の充放電を禁止する。
【0066】
本実施例によれば、フィルムヒータ50を発熱させることにより、単電池10の温度低下を抑制することができる。また、フィルムヒータ50における通電部52の抵抗値(抵抗測定値)に基づいて、通電部52に作用する荷重(拘束力)、言い換えれば、通電部52と接触する単電池10に作用する荷重を特定することができる。これにより、単電池10に対して適正な荷重が与えられているか否かを判別することができ、荷重の大幅な変動に伴う単電池10の入出力特性の劣化を抑制することができる。
【0067】
しかも、通電部52の抵抗値を用いて、通電部52の温度、言い換えれば、通電部52と接触する単電池10の温度を特定(推定)することができる。これにより、単電池10の温度制御を行ったり、単電池10の異常発熱を検出したりすることができる。
【0068】
本実施例において、フィルムヒータ50の抵抗値は、図4のX方向から見たときに、仕切り板30の突起部31と導電部52とが重なる領域によって変化する。ここで、エンドプレート41,42による拘束力は、主に、仕切り板30の突起部31を介して、単電池10やフィルムヒータ50に作用することになる。そこで、突起部31および導電部52が重なる領域を適宜設定することにより、フィルムヒータ50の抵抗値を変化させることができる。
【0069】
例えば、図11Aに示すように、フィルムヒータ50の導電部52のうち、突起部31と重なる領域における幅W1を、他の領域(突起部31と重ならない領域)における幅W2よりも小さくすることができる。なお、幅W1を幅W2よりも大きくすることもできる。また、図11Bに示すように、フィルムヒータ50の導電部52の幅を変えるのではなく、突起部31の幅を変えることもできる。すなわち、突起部31の幅を大きくしたり、小さくしたりすることができる。
【符号の説明】
【0070】
1:電池パック 10:単電池(蓄電素子)
11:電池ケース 12:正極端子
13:負極端子 20:バスバー
30:仕切り板 31:突起部
41:第1エンドプレート(拘束機構の一部)
42:第2エンドプレート(拘束機構の一部)
42a:突起部 43:バンド(拘束機構の一部)
44:ボルト 50:フィルムヒータ
51:フィルム 52:通電部
53,54:端子 101:昇圧回路
102:インバータ 103:モータ
104:温度センサ 105:コントローラ
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の蓄電素子が一方向に並んで配置され、配列方向の拘束力が与えられた構造において、蓄電素子の状態を判別する状態判別システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
電池パックには、複数の単電池が一方向に並べて配置され、配列方向における両端から、複数の単電池を拘束しているものがある(例えば、特許文献1,2参照)。単電池に拘束力(荷重)を与えることにより、発熱等による単電池の膨張を抑制でき、単電池の入出力特性の劣化を抑制することができる。
【0003】
一方、単電池は、所定の温度範囲内において所望の入出力特性を示すことが知られており、単電池が過度に冷却された場合には、単電池を温める必要がある。具体的には、ヒータを設け、ヒータの熱によって単電池を温めることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−024445号公報(図1,2)
【特許文献2】特開2009−087583号公報(図1)
【特許文献3】特開2009−076265号公報
【特許文献4】特開2008−204764号公報
【特許文献5】特開2008−282699号公報
【特許文献6】特開2008−251470号公報
【特許文献7】特開2009−087583号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
複数の単電池を拘束する構造では、各単電池に対して所望の荷重が作用していることを検出する必要があり、例えば、圧力センサを用いて単電池に作用する荷重を検出することができる。一方、単電池が過度に冷却又は加熱されていることを検出するためには、温度センサを配置することが考えられる。
【0006】
この場合には、電池パックには、圧力センサや温度センサが配置されることになり、検出機能を増やす分だけ、部品点数が増加してしまう。
【0007】
そこで、本発明の目的は、ヒータを用いることにより、蓄電素子を温めるだけではなく、蓄電素子の状態も判別することができる状態判別システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明である蓄電素子の状態判別システムは、一方向に並んで配置された複数の蓄電素子と、複数の蓄電素子の配列方向に作用する荷重を加えて複数の蓄電素子を拘束する拘束機構と、蓄電素子のうち配列方向と直交する面に接触し、温度変化に応じて電気抵抗が変化するヒータと、蓄電素子の状態を判別するためのコントローラと、を有する。コントローラは、ヒータへの通電によってヒータの抵抗測定値を算出し、ヒータに対する荷重およびヒータの抵抗値の対応関係を示す情報を用いて、抵抗測定値に対応した荷重を特定して、蓄電素子の拘束状態を判別する。本発明において、蓄電素子の状態には、蓄電素子の温度や、拘束機構の拘束力によって蓄電素子に作用している荷重が含まれる。
【0009】
コントローラは、抵抗測定値に対応した荷重が上限設定値よりも高いときには、蓄電素子の充放電を制限することができる。また、コントローラは、抵抗測定値に対応した荷重が下限設定値よりも低いときには、蓄電素子の充放電を制限することができる。ここで、充放電の制限には、充放電を禁止する場合と、充電量や放電量を低減させる場合とが含まれる。
【0010】
コントローラは、抵抗測定値に対応した荷重における基準温度での抵抗基準値を特定して、抵抗測定値および抵抗基準値の比率を算出し、基準温度からの温度変化に対する、温度変化の前後における抵抗値の比率を示す情報を用いて、抵抗測定値および抵抗基準値の比率に対応した温度を特定する。これにより、ヒータの抵抗測定値に基づいて、ヒータの温度を特定することができるとともに、ヒータと接触する蓄電素子の温度を推定することができる。
【0011】
ここで、コントローラは、特定した温度(抵抗測定値および抵抗基準値の比率に対応した温度)が所定の温度範囲を超えているときには、蓄電素子の充放電を制限することができる。これにより、蓄電素子の入出力特性が劣化していることを判断することができ、充放電を制限しないことによる蓄電素子の更なる劣化を抑制することができる。
【0012】
蓄電素子の温度を検出するための温度センサを配置することもできる。この場合には、温度センサによる検出温度と、ヒータの抵抗測定値に対応した温度との差を監視することができる。そして、温度差が閾値よりも大きいときには、蓄電素子の充放電を制限することができる。
【0013】
蓄電素子の冷却に用いられる熱交換媒体を移動させるスペースを形成する仕切り板を、隣り合って配置された2つの蓄電素子の間に配置することができる。ここで、仕切り板は、一方の蓄電素子と対向して、上記スペースを形成するための凹凸面と、他方の蓄電素子と対向する平面とを有しており、ヒータは、仕切り板の平面に沿って配置することができる。これにより、仕切り板に対して一方の側では、熱交換媒体を用いて蓄電素子を冷却することができ、仕切り板に対して他方の側では、ヒータを用いて蓄電素子を温めることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ヒータを用いるだけで、蓄電素子を温めるだけでなく、ヒータの抵抗測定値に基づいて蓄電素子の拘束状態を判別することができる。すなわち、ヒータに対して、2つの機能(加温機能および荷重検出機能)を持たせることができ、部品点数を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施例1における電池パックの側面図である。
【図2】実施例1における仕切り板の正面図である。
【図3】実施例1におけるフィルムヒータの正面図である。
【図4】実施例1において、仕切り板およびフィルムヒータを重ねた状態を示す図である。
【図5】実施例1において、電池パックを備えた車両における一部のシステムを示す回路図である。
【図6】実施例1において、フィルムヒータの駆動回路を示す図である。
【図7】実施例1において、温度検出および荷重検出の処理を示すフローチャートである。
【図8】フィルムヒータの荷重および抵抗値の関係と、フィルムヒータの温度および抵抗値の関係を示す概略図である。
【図9】フィルムヒータの抵抗値および温度の関係を示す図である。
【図10】温度および抵抗比率の関係を示す図である。
【図11A】フィルムヒータの通電部と仕切り板の突起部との重なり状態を示す図である。
【図11B】フィルムヒータの通電部と仕切り板の突起部との重なり状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施例について説明する。
【実施例1】
【0017】
本発明の実施例1における電池パックについて説明する。図1は、本実施例における電池パック1の側面図である。図1において、X軸、Y軸およびZ軸は、互いに直交する軸であり、本実施例では、鉛直方向に相当する軸をZ軸としている。X軸、Y軸およびZ軸の関係は、他の図面においても同様である。
【0018】
電池パック1は、複数の単電池(蓄電素子)10を有しており、複数の単電池10は、X方向に並んで配置されている。単電池10は、発電要素(不図示)と、発電要素を収容する電池ケース11とを有している。発電要素は、充放電を行うことができる要素であり、例えば、正極素子と、負極素子と、正極素子および負極素子の間に配置されたセパレータ(電解液を含む)とで、発電要素を構成することができる。
【0019】
単電池10としては、ニッケル水素電池やリチウムイオン電池といった二次電池を用いることができる。また、二次電池の代わりに、電気二重層キャパシタ(コンデンサ)を用いることもできる。
【0020】
本実施例では、単電池10として、いわゆる角型の単電池を用いており、電池ケース11は、6つの平面で構成されている。具体的には、電池ケース11は、上面と、底面と、X方向と直交する2つの側面(第1側面という)と、Y方向と直交する2つの側面(第2側面という)とを有している。
【0021】
電池ケース11の上面には、正極端子12および負極端子13が設けられている。正極端子12は、発電要素の正極素子と電気的に接続されており、負極端子13は、発電要素の負極素子と電気的に接続されている。また、X方向で隣り合う2つの単電池10に関して、一方の単電池10の正極端子12は、他方の単電池10の負極端子13とバスバー20を介して接続されている。これにより、X方向で隣り合う2つの単電池10は、電気的に直列に接続される。
【0022】
本実施例では、すべての単電池10が電気的に直列に接続されている。なお、電気的に並列に接続された単電池10が含まれていてもよい。また、本実施例では、単電池10をX方向に並べて配置しているが、これに限るものではない。具体的には、複数の単電池10を用いて電池モジュールを構成しておき、複数の電池モジュールをX方向に並んで配置することができる。この場合には、電池モジュールが本願発明の蓄電素子に相当する。
【0023】
電池パック1のうち、X方向における両端部には、2つのエンドプレート(拘束機構の一部)41,42が配置されており、エンドプレート41,42は、例えば、樹脂で形成することができる。第1エンドプレート41は、平板状に形成されており、X方向で隣り合う単電池10の第1側面(Y−Z平面)に接触している。第2エンドプレート42は、Y方向に延びる突起部42aを複数有しており、複数の突起部42aは、Z方向において所定の間隔を空けた状態で並んで配置されている。
【0024】
突起部42aの先端面は、第2エンドプレート42とX方向で隣り合う単電池10の第1側面に接触している。これにより、第2エンドプレート42および単電池10の間には、スペースS1が形成され、スペースS1は、後述するように、単電池10を冷却するための空気が移動する通路となる。なお、単電池10を冷却するための冷媒としては、空気に限るものではなく、他の気体を用いることもできるし、液体を用いることもできる。
【0025】
第1エンドプレート41および第2エンドプレート42には、X方向に延びるバンド(拘束機構の一部)43が接続されている。具体的には、バンド43の一端部が、ボルト44によって第1エンドプレート41に固定されているとともに、バンド43の他端部が、ボルト44によって第2エンドプレート42に固定されている。本実施例では、単電池10の上面において、2つのバンド43が配置されているとともに、単電池10の底面において、2つのバンド43が配置されている。
【0026】
これにより、2つのエンドプレート41,42によって挟まれた複数の単電池10(後述する仕切り板30やフィルムヒータ50を含む)に対して、拘束力を与えることができる。この拘束力は、X方向で隣り合う2つの単電池10を互いに近づける方向の力である。単電池10に拘束力を与えることにより、熱等による単電池10の膨張を抑制することができる。なお、バンド43の数や形状は、単電池10に与える拘束力等に基づいて適宜設定することができる。
【0027】
一方、X方向で隣り合う2つの単電池10の間には、仕切り板30が配置されている。仕切り板30のうち、一方の単電池10と接触する面は、平面で構成されている。また、仕切り板30のうち、他方の単電池10と対向する面には、複数の突起部31が設けられており、凹凸面が構成されている。図2に示すように、各突起部31は、Y方向に延びており、複数の突起部31は、Z方向において所定の間隔を空けた状態で並んで配置されている。
【0028】
各仕切り板30において、Z方向で隣り合う2つの突起部31の間には、スペースS2が形成されており、スペースS2は、後述するように、単電池10を冷却するための空気が移動する通路となる。
【0029】
なお、本実施例では、突起部31を図2に示す形状に形成しているが、これに限るものではない。すなわち、仕切り板30を用いることにより、単電池10(第1側面)の表面に対して、冷却用の空気を移動させるスペースを形成することができればよい。例えば、仕切り板30をX方向から見たときに、複数の突起部をマトリクス状に配置することができる。
【0030】
仕切り板30の平面部分と単電池10との間には、図3に示すフィルムヒータ50が配置されている。フィルムヒータ50は、1つだけ用いてもよいし、複数用いても良い。また、特定の仕切り板30および単電池10の間に、フィルムヒータ50を配置することもできるし、すべての仕切り板30および単電池10の間や第1エンドプレート41および単電池10の間にフィルムヒータ50を配置することもできる。
【0031】
なお、本実施例では、仕切り板30の平面部分と単電池10との間に、フィルムヒータ50を配置しているが、これに限るものではない。具体的には、仕切り板30の突起部31と単電池10との間に、フィルムヒータ50を配置することができる。ただし、本実施例のようにフィルムヒータ50を配置することにより、仕切り板30の突起部31の側では、スペースS2を用いて単電池10の冷却を効率良く行うことができる。しかも、仕切り板30の平面部分の側では、フィルムヒータ50による単電池10の加温を効率良く行うことができる。
【0032】
また、本実施例では、1つの単電池10に対してフィルムヒータ50を接触させているが、これに限るものではない。例えば、仕切り板30を省略して、隣り合って配置された2つの単電池10に対してフィルムヒータ50を接触させることができる。また、複数の単電池10の配列によっては、3つ以上の単電池10に対してフィルムヒータ50を接触させることができる。
【0033】
フィルムヒータ50は、フィルム51と、フィルム51の表面に形成された通電部52とを有する。フィルム51は、例えば、樹脂といった絶縁性を有する材料で形成することができる。また、通電部52は、温度変化に応じて抵抗値が変化する材料によって形成されており、この材料としては、PTC(Positive Temperature Coefficient)を用いることができる。通電部52は、印刷処理によって、フィルム51の表面に形成することができる。
【0034】
なお、通電部52は、温度変化に応じて抵抗値が変化する材料と、この材料とは電気抵抗の異なる導電性フィラーとで構成することもできる。具体的には、温度変化に応じて抵抗値が変化する材料中に、導電性フィラーを分散させることができる。これにより、フィルムヒータ50に加えられた圧力に応じて、フィルムヒータ50の抵抗を変化させることができる。このようなフィルムヒータ50を用いれば、後述するように、フィルムヒータ50の抵抗値に基づいて、単電池10に作用する荷重を特定することができる。
【0035】
通電部52の両端部には、端子53,54が設けられており、端子53,54は、後述するように、電源に接続されている。また、図4に示すように、フィルムヒータ50の外縁は、X方向から見たときに、仕切り板30の外縁と略重なるようになっている。また、フィルムヒータ50の通電部52は、一部の領域において、仕切り板30の突起部31と重なっている。なお、フィルムヒータ50の大きさ(Y−Z平面内の面積)は、適宜設定することができる。
【0036】
本実施例の電池パック1において、上述したスペースS1,S2に対して、冷却用の空気を供給すれば、単電池10の温度上昇を抑制することができ、温度上昇に伴う単電池10の劣化を抑制することができる。また、フィルムヒータ50の通電部52に電流を流せば、通電部52の発熱によって、単電池10を温めることができる。これにより、温度低下に伴う単電池10の劣化を抑制することができる。
【0037】
次に、電池パック1の充放電を制御するシステムについて、図5を用いて説明する。図5では、電池パック1を車両に搭載したときのシステムを示す概略図である。電池パック1が搭載される車両としては、電池パック1の出力だけを用いて走行する電気自動車や、電池パック1の出力および内燃機関(又は燃料電池)の出力を用いて走行するハイブリッド自動車がある。
【0038】
電池パック1は、システムメインリレーSMR1,SMR2を介して、昇圧回路101に接続されている。昇圧回路101は、電池パック1の出力電圧を昇圧してからインバータ102に出力する。インバータ102は、昇圧回路101から出力された直流電力を交流電力に変換して、モータ(例えば、三相交流モータ)103に出力する。モータ103は、インバータ102から供給された電力を用いて、車両の走行に用いられる運動エネルギを発生させる。
【0039】
一方、車両の制動時には、モータ103において電力が生成され、インバータ102は、モータ103からの交流電力を直流電力に変換する。昇圧回路101は、インバータ102からの出力電圧を降圧してから電池パック1に供給する。これにより、車両の制動時に発生した運動エネルギを、回生電力として電池パック1に蓄えることができる。なお、車両の外部から、電池パック1に対して電力を供給することもできる。
【0040】
電池パック1には、温度センサ104が設けられており、温度センサ104は、単電池10の温度を直接的又は間接的に検出するために用いられる。温度センサ104を単電池10に接触させておけば、単電池10の温度を直接的に検出することができる。また、温度センサ104を単電池10から離して配置すれば、単電池10の温度を間接的に検出することができる。温度センサ104としては、例えば、サーミスタを用いることができる。
【0041】
温度センサ104の検出情報は、コントローラ105に入力され、コントローラ105は、単電池10の温度を判別する。コントローラ105は、システムメインリレーSMR1,SMR2のオン/オフを制御する。また、コントローラ105には、所定の情報が格納されたメモリ105aが内蔵されている。なお、メモリ105aは、コントローラ105の外部に設けられていてもよい。
【0042】
次に、フィルムヒータ50の駆動に用いられる回路構成について、図6を用いて説明する。
【0043】
フィルムヒータ50の端子53,54には、配線を介して電源106が接続されており、配線上には、スイッチ107が設けられている。電源106としては、例えば、車両に搭載された補機バッテリ(電池パック1とは異なる)を用いたり、電池パック1を用いたりすることができる。
【0044】
スイッチ107は、コントローラ105からの制御信号に基づいて、オンおよびオフの間で切り替わる。スイッチ107がオフからオンに切り替わることにより、フィルムヒータ50への通電が行われる。電圧センサ108は、フィルムヒータ50の電圧値を検出し、検出結果をコントローラ105に出力する。電流センサ109は、フィルムヒータ50に流れる電流値を検出し、検出結果をコントローラ105に出力する。
【0045】
次に、図5および図6に示すシステムの動作(一部)について、図7に示すフローチャートを用いて説明する。
【0046】
ステップS100において、コントローラ105は、温度センサ104の出力に基づいて、単電池10の温度Taを取得する。ステップS101において、コントローラ105は、フィルムヒータ50への通電を行う。ここでの通電は、後述するように、フィルムヒータ50の抵抗値(実測値)を算出するための通電であり、単電池10を温めるためにフィルムヒータ50を発熱させるものではない。具体的には、コントローラ105は、予め定められた時間だけ、フィルムヒータ50への通電を行わせる。
【0047】
ステップS102において、コントローラ105は、フィルムヒータ50に通電している間、電圧センサ108および電流センサ109の出力に基づいて、フィルムヒータ50の電流値および電圧値を測定する。そして、測定された電流値および電圧値に基づいて、抵抗値(抵抗測定値という)Raを算出する。なお、本実施例では、電流値および電圧値から抵抗値Raを算出しているが、これに限るものではない。すなわち、フィルムヒータ50への通電を監視することによって、抵抗値を算出できればよい。
【0048】
ステップS103において、コントローラ105は、抵抗測定値Raに基づいて、単電池10に作用する荷重(拘束力)の範囲を特定する。コントローラ105に内蔵されたメモリ105aには、図8に示すテーブルデータが格納されている。図8に示すテーブルデータは、フィルムヒータ50における荷重および抵抗値の関係と、フィルムヒータ50における温度および抵抗値の関係とを示している。図8に示すテーブルデータは、実験等によって予め求めておくことができる。
【0049】
コントローラ105は、図8に示すテーブルデータを用いて、抵抗測定値Raに対応した荷重を特定する。図8の領域Aでは、複数の荷重Lk,Lk+1,Lk+2における抵抗値が、抵抗測定値Raと同一であることを示している。なお、特定の荷重における抵抗値だけが、抵抗測定値Raと一致する場合もある。
【0050】
図9には、荷重を変化させたときのフィルムヒータ50の抵抗値および温度の関係を示している。図9では、3つの荷重Lk,Lk+1,Lk+2に対応した曲線(荷重曲線)LC1〜LC3が示されている。各荷重曲線LC1〜LC3に示すように、フィルムヒータ50における通電部52の抵抗値は、通電部52の温度が上昇するにつれて大きくなる。また、フィルムヒータ50(通電部52)に作用する荷重が高くなるほど、通電部52の抵抗値は大きくなる。
【0051】
ステップS103では、抵抗測定値Raのラインと交差する荷重曲線を特定し、特定された複数の荷重曲線に基づいて最大の荷重および最小の荷重を特定する。図9に示す例では、3つの荷重曲線LC1〜LC3が抵抗測定値Raのライン(点線)と交差しており、荷重曲線LC1に対応した荷重Lk+2が最大の荷重となり、荷重曲線LC3に対応した荷重Lkが最小の荷重となる。
【0052】
ステップS104では、基準温度Trefにおいて、ステップS103で特定された荷重範囲に対応した抵抗値をテーブルデータ(図8)から取得する。具体的には、最大荷重Lk+2および最小荷重Lkの間に位置する基準温度Trefの抵抗値(複数)を取得する。荷重範囲に対応した基準温度Trefの抵抗値を、抵抗基準値Rrefという。図8の領域Bは、抵抗基準値Rrefが存在する範囲を示している。
【0053】
ステップS105では、抵抗測定値Raおよび抵抗基準値Rrefの比率(Ra/Rref)を算出する。図10には、基準温度Trefにおける抵抗値の比率を1としたときの他の温度における抵抗値の比率を示している。図10に示す温度および抵抗比率の関係は、実験等によって予め取得することができ、このテーブルデータは、メモリ105aに予め格納されている。
【0054】
図10に示すテーブルデータを用いれば、抵抗比率(Ra/Rref)に対応した温度を特定することができる。すなわち、2つの温度に対応した2つの抵抗値の比率は、荷重に依存しないことが分かったため、抵抗比率を特定できれば、温度を特定することができる。
【0055】
ここで、抵抗基準値Rrefが複数存在する場合には、これらの抵抗基準値Rrefに対応した複数の抵抗比率を求め、複数の抵抗比率に対応した複数の温度を特定する。そして、特定された複数の温度のうち、最大値を示す温度を、電池温度Tbとして推定する。図10に示す温度は、ヒータ50(通電部52)の温度に対応しているが、ヒータ50の温度を特定することにより、ヒータ50に接触する単電池10の温度を推定することができる。
【0056】
ステップS107において、コントローラ105は、ステップS100で取得した検出温度Taと、ステップS106で取得した電池推定温度Tbとの差分が、閾値よりも大きいか否かを判別する。温度Taおよび温度Tbの差分が閾値よりも大きければ、ステップS108に進み、そうでなければ、ステップS109に進む。
【0057】
ステップS107からステップS108に進む場合には、コントローラ105は、電池パック1を構成する複数の単電池10のうち、いずれかの単電池10が異常発熱していると判断する。ここで、検出温度Taは、温度センサ104が設けられた単電池10の温度を示しており、電池推定温度Tbは、フィルムヒータ50と接触している単電池10の温度を示している。
【0058】
ここで、温度センサ104およびフィルムヒータ50が互いに異なる単電池10に対して設けられている場合において、温度Taおよび温度Tbの差分が大きすぎると、フィルムヒータ50を用いた温度推定の対象となった単電池10が過度に発熱していることが分かる。また、温度センサ104およびフィルムヒータ50が同一の単電池10に対して設けられている場合には、温度センサ104が故障していることを判別することもできる。
【0059】
なお、本実施例では、温度センサ104を設けているが、温度センサ104を省略することもできる。この場合には、フィルムヒータ50の抵抗測定値Raに基づいて、単電池10の温度を特定(推定)することになる。
【0060】
そして、単電池10の推定温度が上限値よりも高くなれば、単電池10の冷却を行うことができ、単電池10の推定温度が下限値よりも低ければ、フィルムヒータ50を発熱させて、単電池10を温めることができる。ここでいう上限値および下限値は、単電池10の入出力特性を劣化させない観点から予め定められた温度範囲の上限値および下限値に相当するものである。
【0061】
ステップS108において、コントローラ105は、システムメインリレーSMR1,SMR2をオンからオフに切り替えることにより、電池パック1の充放電を禁止する。これにより、発熱状態と判断した単電池10がさらに発熱してしまうのを防止することができる。なお、電池パック1の充放電を禁止するのではなく、充放電の量を低減させる制御を行うこともできる。
【0062】
ステップS109において、コントローラ105は、ステップS103で特定された荷重下限値Lminが下限設定値よりも低いか否かを判別する。荷重下限値Lminが下限設定値よりも低い場合には、ステップS108に進み、そうでない場合には、ステップS110に進む。下限設定値とは、単電池10に作用させる必要最小限の荷重として設定された値であり、単電池10の特性等に基づいて適宜設定することができる。
【0063】
ステップS109からステップS108に進む場合には、コントローラ105は、フィルムヒータ50と接触する単電池10に作用する荷重(拘束力)が不十分であると判断する。荷重が不十分となる原因の一例としては、バンド43が破損していることが挙げられる。この場合にも、コントローラ105は、電池パック1の充放電を禁止する。
【0064】
ステップS110において、コントローラ105は、ステップS103で特定された荷重上限値Lmaxが上限設定値よりも高いか否かを判別する。荷重上限値Lmaxが上限設定値よりも高い場合には、ステップS108に進み、そうでない場合には、ステップS100に戻る。上限設定値とは、単電池10に作用させる必要最大限の荷重として設定された値であり、単電池10の特性等に基づいて適宜設定することができる。
【0065】
ステップS110からステップS108に進む場合には、コントローラ105は、フィルムヒータ50と接触する単電池10に作用する荷重(拘束力)が過剰であると判断する。荷重が過剰となる原因の一例としては、単電池10が膨張していることが挙げられる。この場合も、コントローラ105は、電池パック1の充放電を禁止する。
【0066】
本実施例によれば、フィルムヒータ50を発熱させることにより、単電池10の温度低下を抑制することができる。また、フィルムヒータ50における通電部52の抵抗値(抵抗測定値)に基づいて、通電部52に作用する荷重(拘束力)、言い換えれば、通電部52と接触する単電池10に作用する荷重を特定することができる。これにより、単電池10に対して適正な荷重が与えられているか否かを判別することができ、荷重の大幅な変動に伴う単電池10の入出力特性の劣化を抑制することができる。
【0067】
しかも、通電部52の抵抗値を用いて、通電部52の温度、言い換えれば、通電部52と接触する単電池10の温度を特定(推定)することができる。これにより、単電池10の温度制御を行ったり、単電池10の異常発熱を検出したりすることができる。
【0068】
本実施例において、フィルムヒータ50の抵抗値は、図4のX方向から見たときに、仕切り板30の突起部31と導電部52とが重なる領域によって変化する。ここで、エンドプレート41,42による拘束力は、主に、仕切り板30の突起部31を介して、単電池10やフィルムヒータ50に作用することになる。そこで、突起部31および導電部52が重なる領域を適宜設定することにより、フィルムヒータ50の抵抗値を変化させることができる。
【0069】
例えば、図11Aに示すように、フィルムヒータ50の導電部52のうち、突起部31と重なる領域における幅W1を、他の領域(突起部31と重ならない領域)における幅W2よりも小さくすることができる。なお、幅W1を幅W2よりも大きくすることもできる。また、図11Bに示すように、フィルムヒータ50の導電部52の幅を変えるのではなく、突起部31の幅を変えることもできる。すなわち、突起部31の幅を大きくしたり、小さくしたりすることができる。
【符号の説明】
【0070】
1:電池パック 10:単電池(蓄電素子)
11:電池ケース 12:正極端子
13:負極端子 20:バスバー
30:仕切り板 31:突起部
41:第1エンドプレート(拘束機構の一部)
42:第2エンドプレート(拘束機構の一部)
42a:突起部 43:バンド(拘束機構の一部)
44:ボルト 50:フィルムヒータ
51:フィルム 52:通電部
53,54:端子 101:昇圧回路
102:インバータ 103:モータ
104:温度センサ 105:コントローラ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方向に並んで配置された複数の蓄電素子と、
前記複数の蓄電素子の配列方向に作用する荷重を加えて前記複数の蓄電素子を拘束する拘束機構と、
前記蓄電素子のうち前記配列方向と直交する面に接触し、温度変化に応じて電気抵抗が変化するヒータと、
前記蓄電素子の状態を判別するためのコントローラと、を有し、
前記コントローラは、
前記ヒータへの通電によって前記ヒータの抵抗測定値を算出し、
前記ヒータに対する荷重および前記ヒータの抵抗値の対応関係を示す情報を用いて、前記抵抗測定値に対応した荷重を特定して、前記蓄電素子の拘束状態を判別することを特徴とする蓄電素子の状態判別システム。
【請求項2】
前記コントローラは、前記抵抗測定値に対応した荷重が上限設定値よりも高いときには、前記蓄電素子の充放電を制限することを特徴とする請求項1に記載の蓄電素子の状態判別システム。
【請求項3】
前記コントローラは、前記抵抗測定値に対応した荷重が下限設定値よりも低いときには、前記蓄電素子の充放電を制限することを特徴とする請求項1又は2に記載の蓄電素子の状態判別システム。
【請求項4】
前記コントローラは、
前記抵抗測定値に対応した荷重における基準温度での抵抗基準値を特定して、前記抵抗測定値および前記抵抗基準値の比率を算出し、
前記基準温度からの温度変化に対する、温度変化の前後における抵抗値の比率を示す情報を用いて、前記抵抗測定値および前記抵抗基準値の比率に対応した温度を特定することを特徴とする請求項1から3のいずれか1つに記載の蓄電素子の状態判別システム。
【請求項5】
前記コントローラは、前記特定した温度が所定の温度範囲を超えているときには、前記蓄電素子の充放電を制限することを特徴とする請求項4に記載の蓄電素子の状態判別システム。
【請求項6】
前記蓄電素子の温度を検出するための温度センサを有しており、
前記コントローラは、前記温度センサによる検出温度と、前記抵抗測定値に対応した温度との差が、閾値よりも大きいときには、前記蓄電素子の充放電を制限することを特徴とする請求項4に記載の蓄電素子の状態判別システム。
【請求項7】
隣り合って配置された2つの前記蓄電素子の間に配置され、前記蓄電素子の冷却に用いられる熱交換媒体を移動させるスペースを形成する仕切り板を有しており、
前記仕切り板は、一方の前記蓄電素子と対向して、前記スペースを形成するための凹凸面と、他方の前記蓄電素子と対向する平面とを有し、
前記ヒータは、前記仕切り板の前記平面に沿って配置されていることを特徴とする請求項1から6のいずれか1つに記載の蓄電素子の状態判別システム。
【請求項1】
一方向に並んで配置された複数の蓄電素子と、
前記複数の蓄電素子の配列方向に作用する荷重を加えて前記複数の蓄電素子を拘束する拘束機構と、
前記蓄電素子のうち前記配列方向と直交する面に接触し、温度変化に応じて電気抵抗が変化するヒータと、
前記蓄電素子の状態を判別するためのコントローラと、を有し、
前記コントローラは、
前記ヒータへの通電によって前記ヒータの抵抗測定値を算出し、
前記ヒータに対する荷重および前記ヒータの抵抗値の対応関係を示す情報を用いて、前記抵抗測定値に対応した荷重を特定して、前記蓄電素子の拘束状態を判別することを特徴とする蓄電素子の状態判別システム。
【請求項2】
前記コントローラは、前記抵抗測定値に対応した荷重が上限設定値よりも高いときには、前記蓄電素子の充放電を制限することを特徴とする請求項1に記載の蓄電素子の状態判別システム。
【請求項3】
前記コントローラは、前記抵抗測定値に対応した荷重が下限設定値よりも低いときには、前記蓄電素子の充放電を制限することを特徴とする請求項1又は2に記載の蓄電素子の状態判別システム。
【請求項4】
前記コントローラは、
前記抵抗測定値に対応した荷重における基準温度での抵抗基準値を特定して、前記抵抗測定値および前記抵抗基準値の比率を算出し、
前記基準温度からの温度変化に対する、温度変化の前後における抵抗値の比率を示す情報を用いて、前記抵抗測定値および前記抵抗基準値の比率に対応した温度を特定することを特徴とする請求項1から3のいずれか1つに記載の蓄電素子の状態判別システム。
【請求項5】
前記コントローラは、前記特定した温度が所定の温度範囲を超えているときには、前記蓄電素子の充放電を制限することを特徴とする請求項4に記載の蓄電素子の状態判別システム。
【請求項6】
前記蓄電素子の温度を検出するための温度センサを有しており、
前記コントローラは、前記温度センサによる検出温度と、前記抵抗測定値に対応した温度との差が、閾値よりも大きいときには、前記蓄電素子の充放電を制限することを特徴とする請求項4に記載の蓄電素子の状態判別システム。
【請求項7】
隣り合って配置された2つの前記蓄電素子の間に配置され、前記蓄電素子の冷却に用いられる熱交換媒体を移動させるスペースを形成する仕切り板を有しており、
前記仕切り板は、一方の前記蓄電素子と対向して、前記スペースを形成するための凹凸面と、他方の前記蓄電素子と対向する平面とを有し、
前記ヒータは、前記仕切り板の前記平面に沿って配置されていることを特徴とする請求項1から6のいずれか1つに記載の蓄電素子の状態判別システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11A】
【図11B】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11A】
【図11B】
【公開番号】特開2011−129429(P2011−129429A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−288132(P2009−288132)
【出願日】平成21年12月18日(2009.12.18)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年12月18日(2009.12.18)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
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