説明

蓄電装置及びその作製方法

【課題】蓄電装置の正極におけるリチウムイオンの挿入離脱が効果的に行われるようにし、反応速度を早くすることを課題とする。また正極の活物質あたりの容量を増大することを課題とする。
【解決手段】正極において、炭素を含む層及び活物質層を積層することにより、正極の膜厚を厚くしても、正極におけるリチウムイオンの挿入離脱が効果的に行われ、反応速度を速くすることが可能となった。また、炭素を含む層に挟まれた活物質層は、粒子状の結晶を有しており、活物質の密度を高くすることで、活物質における単位体積あたりの容量を増加させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
蓄電装置用正極の作製方法、及び蓄電装置の作製方法に関する。特に、蓄電装置として、リチウムイオン電池(リチウムイオン二次電池)又はリチウムイオンキャパシタ用の正極の作製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
パーソナルコンピュータや携帯電話などの携帯可能な電子機器の分野が著しく進歩している。携帯可能な電子機器において、小型軽量で信頼性を有している、高エネルギー密度で充電可能な蓄電装置が必要になっている。このような蓄電装置として、例えばリチウムイオン二次電池(また、リチウムイオン蓄電池、あるいは単に、リチウムイオン電池、さらにあるいはリチウムイオンバッテリともいう)が知られている(特許文献1参照)。また、環境問題やエネルギー問題の認識の高まりから二次電池を搭載した電気推進車両の開発も急速に進んでいる。
【0003】
二次電池及び電気二重層キャパシタは、正極と負極との間に電解質を介在させた構成を有する。正極及び負極は、それぞれ、集電体と、集電体上に設けられた活物質と、を有する構成が知られている。例えば、リチウムイオン電池は、リチウムイオンを吸蔵及び放出することのできる材料を活物質として正極に用い、電解質を間に介在させて構成する。
【0004】
正極に用いられる活物質の材料は、酸化に強い必要がある。そのため、酸化物であればそれ以上酸化されないので、酸化物がよく用いられる。しかし、酸化物は一般的に抵抗が高いため、電圧をかけても活物質においてリチウムイオンの挿入離脱が効果的に行われず、反応速度が遅くなる。また、反応速度をあげるため、導電助剤を多くすると、活物質における単位体積あたりの容量が小さくなる。また、膜厚を厚くすると、リチウムイオンの移動が阻害され、容量は小さくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−35714号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の一態様は、リチウムイオンの反応速度が速く、容量の大きい蓄電装置を提供することを課題の一とする。
【0007】
または、本発明の一態様は、良好な電池特性を有する正極、又は蓄電装置を提供することを課題の一とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、正極において、炭素を含む層及び活物質層を積層することにより、正極の膜厚を厚くしても、正極におけるリチウムイオンの挿入離脱が効果的に行われることを見いだした。
【0009】
また、炭素を含む層に挟まれた活物質層は、粒子状の結晶を有しており、活物質層の密度を高くすることで、活物質における単位体積あたりの容量を増加させることができる。
【0010】
本発明の一は、集電体上に、炭素を含む層と粒子状の結晶を含む活物質層とが、順にn回(nは2以上の自然数)積層された正極を有し、活物質層はリチウム金属酸化物を含む。
【0011】
本発明の一は、集電体上に、炭素を含む層と粒子状の結晶を含む活物質層とが、順にn回積層され、n回積層された活物質層上に、第n+1層目の炭素を含む層が積層された正極を有し、活物質層はリチウム金属酸化物を含む。
【0012】
本発明の一は、集電体上に、粒子状の結晶を含む活物質層と炭素を含む層とが、順にn回積層された正極を有し、活物質層はリチウム金属酸化物を含む。
【0013】
本発明の一において、nは、2以上10以下である。
【0014】
本発明の一において、リチウム金属酸化物は、LiFePO、LiMnPO、LiNiPO、LiCrPOのいずれか一である。
【発明の効果】
【0015】
本発明の一態様によれば、電池としての容量を増大させた蓄電装置を提供することが可能となる。または、本発明の一態様によれば、正極において、リチウムイオンの反応速度が速い蓄電装置を提供することが可能となる。または、本発明の一態様によれば、良好な電池特性を有する正極、または蓄電装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】蓄電装置用正極の断面図。
【図2】蓄電装置用正極の作製方法の一例を示す図。
【図3】本発明の一態様である電池の一例を説明する図。
【図4】本発明の一態様である電池の断面の一例を説明する図。
【図5】無線給電システムの構成を示す図。
【図6】無線給電システムの構成を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本明細書に開示された発明の実施の態様について、図面を参照して説明する。但し、本明細書に開示された発明は多くの異なる態様で実施することが可能であり、本明細書に開示された発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、以下に示す図面において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0018】
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様である正極について図1を参照して説明する。
【0019】
集電体101上に、炭素を含む層102及び粒子状の結晶を有する活物質層103を有する。なお、炭素を含む層102を設けることで、集電体101と活物質層103とで起こる反応を抑制することができる。また、集電体101上に、活物質層103を積層して有してもよく、その場合、集電体及び活物質層ともに無機物であるため、界面の密着性が高くなり、剥離を防ぐことができる。
【0020】
さらに、活物質層103上に、炭素を含む層104及び粒子状の結晶を有する活物質層105を積層して設ける(以下、炭素を含む層と活物質層とを、それぞれ一層ずつ積層することを、1回の積層とする)。図1では、炭素を含む層を2層、活物質層を2層、つまり2回、積層した構成を記載しているが、この構成に限定されず、必要に応じて複数回の積層を行えばよい。積層する回数は、求める二次電池の容量及び活物質の性質に応じて決定され、2回以上、好ましくは2回以上10回以下である。
【0021】
炭素を含む層の一層の厚さは、0nmより大きく100nm以下、好ましくは2nm〜10nmである。活物質層の一層の厚さは、0nmより大きく100nm以下、好ましくは40nm〜50nmである。しかしながら、両層とも、用いる材料や形状により、性質が異なるため、最適の値を適宜選択するとよい。炭素を含む層及び活物質層の総膜厚としては、20nm〜1μm、好ましくは200nm〜400nmとする。
【0022】
次に炭素を含む層106を積層する。活物質層105の表面を覆う炭素を含む層106を設けることで、活物質層105の酸化を防ぐ保護膜としても機能することができる。なお、炭素を含む層106を設けず、活物質層の最上層である活物質層105を設けた時点で、正極としてもよい。
【0023】
正極において、炭素を含む層及び活物質層を積層すれば、活物質層表面の導電率を上昇させることができる。また、高抵抗の活物質層同士が、低抵抗の炭素を介することで、活物質同士が導通しやすくなり、正極全体の導電率を高めることができる。このため、正極内でのリチウムイオンの挿入離脱が効果的に行われ、蓄電装置としての容量を増大させることができる。
【0024】
また、粒子状の結晶を有する活物質層は、密度が高く、単位体積あたりの活物質量を増やすことができる。さらに、活物質が粒子状の結晶を有しているため、リチウムイオンの挿入脱離がしやすくなり、二次電池のレート特性が向上し、短時間での充電が可能となる。
【0025】
本発明の一態様の構成を用いることで、容量が大きく、良好な電池特性を有する正極、または蓄電装置を提供することが可能となる。
【0026】
(実施の形態2)
本実施の形態では、本発明の一態様である正極の作製方法について図2を参照して説明する。
【0027】
集電体101上に、炭素を含む層102を形成する(図2(A)参照)。集電体101としては、チタン等の導電性の高い材料を用いる。炭素を含む層を形成する手段としては、ピレン、黒鉛、活性炭、フタロシアニン等の炭素を含む物質を蒸着すればよい。蒸着方法としては、真空蒸着法、抵抗加熱を用いた蒸着法などを用いる。また、ポリアニリン等のポリマーやアセトン等の液状のケトン類を塗布法、インクジェット法、スピンコート法、及びディップコート法などにより作製してもよい。
【0028】
活物質層103は、スパッタリング法を利用して得られる。例えば、LiFe(PO、LiMn(PO、LiNi(PO、LiCr(PO等(x、y、zは正の実数)のリチウム酸化物の薄膜により作製される。
【0029】
本実施の形態では、LiFePOを作製する場合について説明する。Feと、Liと、POと、を少なくとも含む組成のターゲット100を用いて、希ガス等のイオンでターゲット100をスパッタリングすることにより、炭素を含む層102上に活物質層103を形成する(図2(B)及び(C)参照)。
【0030】
ターゲット100を構成する材料の組成としては、一般式としてLiFe(POが挙げられ、具体的にはLiFe(POが挙げられる。また、ターゲット100を構成する材料は混合材料としてもよく、例えばLiFe(PO及びFeの混合が挙げられる。好ましくは、ターゲット100にナシコン型のリン酸鉄リチウムを用いる。これにより安価で安定なターゲットを用いて、活物質層を作製することができる。
【0031】
スパッタリング法としては、高周波電源を用いるRFスパッタリング法、直流電源を用いるDCスパッタリング法、又はパルス的に直流バイアスを加えるパルスDCスパッタリング法などを用いることができる。
【0032】
スパッタリング用のガスとしては、希ガス、酸素、又は希ガス及び酸素の混合ガス等を用いることができる。希ガスとしては、アルゴン等が挙げられる。
【0033】
さらに、活物質層103上に、炭素を含む層104を形成する。炭素を含む層104を形成する手段としては、炭素を含む層102と同様に、ピレン、黒鉛、活性炭、フタロシアニン等の炭素を含む物質を蒸着すればよい。また、ポニアニリン等のポリマーや、アセトン等の液状のケトン類を塗布することで形成してもよい。
【0034】
さらに、活物質層105を形成する。このように、活物質層及び炭素を含む層をn回積層させる(図2では2回)。なお、nは求める蓄電装置の形態に応じて、決定すればよい。
【0035】
十分な容量が確保できる膜厚を形成したら、一番上に積層された活物質層(図2では活物質層105)上に、最上層となる炭素を含む層106を積層する。炭素を含む層106は、活物質層105の酸化を防ぐ保護膜としても機能する(図2(D)参照)。
【0036】
次に、加熱処理を行なう(図2(E))。加熱処理は400℃以上、1000℃以下、好ましくは500℃以上、600℃以下で、1時間以上10時間以下、好ましくは5時間程度で行えばよい。
【0037】
加熱処理を行なうことにより、活物質層が粒子状に結晶化される。活物質が粒子状に結晶化することにより、活物質層の密度が上がり、単位体積あたりの容量が大きくなる。また、リチウムイオンの挿入脱離がしやすくなり、二次電池のレート特性が向上し、短時間での充電が可能となる。
【0038】
本実施の形態にて説明した正極を用いることで、容量が大きく、特性の高い蓄電装置を得ることができる。
【0039】
(実施の形態3)
本実施の形態では、本発明の一態様である電池と、その作製方法について説明する。該電池の正極としては、実施の形態1及び2にて説明した正極を用いる。
【0040】
図3は、本発明の一態様である円筒型蓄電池の一例について、概略を示す斜視図である。なお、本発明はこれに限定されず、角型であってもよい。
【0041】
図3に示す円筒型蓄電池は、電池側壁部304と電池蓋302と電池底部306により囲まれた閉空間を有する。
【0042】
図4は、図3に示す円筒型蓄電池の断面400における断面図を示す。
【0043】
電池側壁部304および電池底部306は、導電性材料により形成すればよく、蓄電池の使用環境下において適切な機械的強度と耐薬品性を有するように、適切な材料を選択すればよい。例えばアルミニウム合金を用いることができる。電池側壁部304および電池底部306と、電池蓋302により囲まれた電池内部には閉空間が設けられる。閉空間には、例えば電極体310が配されている。電極体としては、例えば図3に示すように巻回電極体が挙げられる。
【0044】
電極体310は、上部(電池蓋302側)と下部(電池底部306側)が絶縁板312および絶縁板314によって挟まれ、絶縁板312および絶縁板314のそれぞれから導線320と導線328が引き出されている。上部(電池蓋302側)の絶縁板312から引き出された導線320は、好ましくは抵抗素子316を介して電池蓋302に接続されている。抵抗素子316としては、温度の上昇により抵抗が増大する熱感抵抗素子を用いることが好ましい。過剰な電流による異常な発熱を防止するためである。下部(電池底部306側)の絶縁板314から引き出された導線328は、電池底部306に接続されている。なお、電池底部306と電池側壁部304は導通している。
【0045】
電池側壁部304、電池蓋302および上部(電池蓋302側)の絶縁板312はガスケット318を介して接続されているとよい。ガスケット318は絶縁性であることが好ましいが、これに限定されず、少なくとも電池蓋302と電池側壁部304が絶縁されていればよい。
【0046】
なお、図示していないが、電池内部に安全弁を設けて、負極326と正極322がショートした場合または電池が加熱されて電池内部の圧力が高まった場合に電池蓋302と電極体310の接続が切断される構成としてもよい。
【0047】
また、電極体310を固定するために、電極体310の中心に、センターピンが挿入されていてもよい。
【0048】
電極体310は、負極326と正極322と、これらの間に設けられたセパレータ324を有する。電極体310が有する正極322は、導線320を介して電池蓋302に、電気的に接続されている。電極体310が有する負極326は、導線328を介して電池底部306に、電気的に接続されている。
【0049】
正極としては、実施の形態1及び2にて説明した正極を用いる。負極326は、集電体と活物質により構成されていることが好ましい。例えば、負極集電体上に負極活物質となる黒鉛やシリコンを形成すればよい。
【0050】
負極活物質層は、負極活物質を導電助剤やバインダーなどと混合させてペースト化して集電体上に塗布して形成してもよいし、スパッタリング法により形成してもよい。負極活物質層についても、必要に応じて加圧成形するとよい。
【0051】
なお、集電体としては、チタンまたは銅などを用いることができる。
【0052】
なお、セパレータ324は、紙、不織布、ガラス繊維、あるいは、ナイロン(ポリアミド)、ビニロン(ビナロンともいう)(ポリビニルアルコール系繊維)、ポリエステル、アクリル、ポリオレフィン、ポリウレタンといった合成繊維等を用いることができる。ただし、電解液に溶解しない材料を選ぶ必要がある。
【0053】
また、セパレータ324が浸される電解液としては、例えば、EC(Ethylene Carbonate)とDEC(Diethyl Carbonate)の混合液中に6フッ化リン酸リチウム(LiPF)を含ませたものを用いればよい。または、電解質としては、塩化リチウム(LiCl)、フッ化リチウム(LiF)、過塩素酸リチウム(LiClO)、硼弗化リチウム(LiBF)、リチウムビストリフルオロメタンスルホニルイミド(LiN(SOCF)、リチウムビスペンタフルオロエタンスルホニルイミド(LiN(SO)、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム(LiCFSO)などを用いることができる。または、リチウム以外のアルカリ金属イオンを用いる場合には、塩化ナトリウム(NaCl)、フッ化ナトリウム(NaF)、過塩素酸ナトリウム(NaClO)、硼弗化ナトリウム(NaBF)、塩化カリウム(KCl)、フッ化カリウム(KF)、過塩素酸カリウム(KClO)、硼弗化カリウム(KBF)などを挙げることができ、これらを単独で、または二種以上を組み合わせて溶媒に溶解させて使用することができる。
【0054】
なお、溶媒としては、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)、およびビニレンカーボネート(VC)などの環状カーボネート類、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(以下、EMCと略す)、メチルプロピルカーボネート(MPC)、メチルイソブチルカーボネート(MIBC)、およびジプロピルカーボネート(DPC)などの非環状カーボネート類、ギ酸メチル、酢酸メチル、プロピオン酸メチル、およびプロピオン酸エチルなどの脂肪族カルボン酸エステル類、γ−ブチロラクトン等のγ−ラクトン類、1,2−ジメトキシエタン(DME)、1,2−ジエトキシエタン(DEE)、およびエトキシメトキシエタン(EME)等の非環状エーテル類、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン等の環状エーテル類、ジメチルスルホキシド、1,3−ジオキソラン等やリン酸トリメチル、リン酸トリエチル、およびリン酸トリオクチルなどのアルキルリン酸エステルやそのフッ化物を挙げることができ、これらの一種または二種以上を混合して使用することができる。
【0055】
なお、本実施の形態では、電解液に主にリチウムイオンが含まれる場合について説明したが、これに限定されず、他のアルカリ金属イオンを用いてもよい。
【0056】
以上説明したように、実施の形態1及び2にて説明した電極を正極として用いて電池を作製することができる。
【0057】
本実施の形態にて説明した構成を用いることで、容量が大きく、特性の高い蓄電装置を得ることができる。
【0058】
(実施の形態4)
本実施の形態では、本発明の一態様に係る二次電池を、無線給電システム(以下、RF給電システムと呼ぶ。)に用いた場合の一例を、図5及び図6のブロック図を用いて説明する。なお、各ブロック図では、受電装置および給電装置内の構成要素を機能ごとに分類し、互いに独立したブロックとして示しているが、実際の構成要素は機能ごとに完全に切り分けることが困難であり、一つの構成要素が複数の機能に係わることもあり得る。
【0059】
はじめに、図5を用いてRF給電システムについて説明する。
【0060】
受電装置500は、給電装置600から供給された電力で駆動する電子機器または電気推進車両であるが、この他電力で駆動するものに適宜適用することができる。電子機器の代表例としては、デジタルカメラやビデオカメラ等のカメラ、デジタルフォトフレーム、携帯電話機(携帯電話、携帯電話装置ともいう)、携帯型ゲーム機、携帯情報端末、音響再生装置、表示装置、コンピュータ等がある。また、電気推進車両の代表例としては、電気自動車、ハイブリッド自動車、鉄道用電気車両、作業車、カート、車椅子等がある。また、給電装置600は、受電装置500に電力を供給する機能を有する。
【0061】
図5において、受電装置500は、受電装置部501と、電源負荷部510とを有する。受電装置部501は、受電装置用アンテナ回路502と、信号処理回路503と、二次電池504とを少なくとも有する。また、給電装置600は、給電装置用アンテナ回路601と、信号処理回路602とを有する。
【0062】
受電装置用アンテナ回路502は、給電装置用アンテナ回路601が発信する信号を受け取る、あるいは、給電装置用アンテナ回路601に信号を発信する役割を有する。信号処理回路503は、受電装置用アンテナ回路502が受信した信号を処理し、二次電池504の充電、および、二次電池504から電源負荷部510への電力の供給を制御する。電源負荷部510は、二次電池504から電力を受け取り、受電装置500を駆動する駆動部である。電源負荷部510の代表例としては、モータ、駆動回路等があるが、その他の電源負荷部を適宜用いることができる。また、給電装置用アンテナ回路601は、受電装置用アンテナ回路502に信号を送る、あるいは、受電装置用アンテナ回路502からの信号を受け取る役割を有する。信号処理回路602は、給電装置用アンテナ回路601の動作を制御する。すなわち、給電装置用アンテナ回路601から発信する信号の強度、周波数などを制御することができる。
【0063】
本発明の一態様に係る二次電池は、RF給電システムにおける受電装置500が有する二次電池504として利用される。
【0064】
RF給電システムに本発明の一態様に係る二次電池を利用することで、従来の二次電池に比べて蓄電量を増やすことができる。よって、無線給電の間隔を延ばすことができる(何度も給電する手間を省くことができる)。
【0065】
また、RF給電システムに本発明の一態様に係る二次電池を利用することで、電源負荷部510を駆動することができる蓄電量が従来と同じであれば、受電装置500の小型化及び軽量化が可能である。従って、トータルコストを減らすことができる。
【0066】
次に、RF給電システムの他の例について図6を用いて説明する。
【0067】
図6において、受電装置500は、受電装置部501と、電源負荷部510とを有する。受電装置部501は、受電装置用アンテナ回路502と、信号処理回路503と、二次電池504と、整流回路505と、変調回路506と、電源回路507とを、少なくとも有する。また、給電装置600は、給電装置用アンテナ回路601と、信号処理回路602と、整流回路603と、変調回路604と、復調回路605と、発振回路606とを、少なくとも有する。
【0068】
受電装置用アンテナ回路502は、給電装置用アンテナ回路601が発信する信号を受け取る、あるいは、給電装置用アンテナ回路601に信号を発信する役割を有する。給電装置用アンテナ回路601が発信する信号を受け取る場合、整流回路505は受電装置用アンテナ回路502が受信した信号から直流電圧を生成する役割を有する。信号処理回路503は受電装置用アンテナ回路502が受信した信号を処理し、二次電池504の充電、二次電池504から電源回路507への電力の供給を制御する役割を有する。電源回路507は、二次電池504が蓄電している電圧を電源負荷部に必要な電圧に変換する役割を有する。変調回路506は受電装置500から給電装置600へ何らかの応答を送信する場合に使用される。
【0069】
電源回路507を有することで、電源負荷部510に供給する電力を制御することができる。このため、電源負荷部510に過電圧が印加されることを低減することが可能であり、受電装置500の劣化や破壊を低減することができる。
【0070】
また、変調回路506を有することで、受電装置500から給電装置600へ信号を送信することが可能である。このため、受電装置500の充電量を判断し、一定量の充電が行われた場合に、受電装置500から給電装置600に信号を送信し、給電装置600から受電装置500への給電を停止させることができる。この結果、二次電池504を100%充電しないことが可能であり、二次電池504の充電回数を増加させることが可能である。
【0071】
また、給電装置用アンテナ回路601は、受電装置用アンテナ回路502に信号を送る、あるいは、受電装置用アンテナ回路502から信号を受け取る役割を有する。受電装置用アンテナ回路502に信号を送る場合、信号処理回路602は、受電装置に送信する信号を生成する回路である。発振回路606は一定の周波数の信号を生成する回路である。変調回路604は、信号処理回路602が生成した信号と発振回路606で生成された一定の周波数の信号に従って、給電装置用アンテナ回路601に電圧を印加する役割を有する。そうすることで、給電装置用アンテナ回路601から信号が出力される。一方、受電装置用アンテナ回路502から信号を受け取る場合、整流回路603は受け取った信号を整流する役割を有する。復調回路605は、整流回路603が整流した信号から受電装置500が給電装置600に送った信号を抽出する。信号処理回路602は復調回路605によって抽出された信号を解析する役割を有する。
【0072】
なお、RF給電を行うことができれば、各回路の間にどんな回路が有っても良い。例えば、受電装置500が電磁波を受信し整流回路505で直流電圧を生成したあとに、DC−DCコンバータやレギュレータといった回路を設けて、定電圧を生成してもよい。そうすることで、受電装置内部に過電圧が印加されることを抑制することができる。
【0073】
本発明の一態様に係る二次電池は、RF給電システムにおける受電装置500が有する二次電池504として利用される。
【0074】
RF給電システムに本発明の一態様に係る二次電池を利用することで、従来の二次電池に比べて蓄電量を増やすことができるので、無線給電の間隔を延ばすことができる(何度も給電する手間を省くことができる)。
【0075】
また、RF給電システムに本発明の一態様に係る二次電池を利用することで、電源負荷部510を駆動することができる蓄電量が従来と同じであれば、受電装置500の小型化及び軽量化が可能である。従って、トータルコストを減らすことができる。
【0076】
なお、RF給電システムに本発明の一態様に係る二次電池を利用し、受電装置用アンテナ回路502と二次電池504を重ねる場合は、二次電池504の充放電に伴い形状が変化し、受電装置用アンテナ回路502のインピーダンスが変化しないようにすることが好ましい。アンテナのインピーダンスが変化してしまうと、十分な電力供給がなされない可能性があるためである。例えば、二次電池504を金属製あるいはセラミックス製の電池パックに装填するようにすればよい。なお、その際、受電装置用アンテナ回路502と電池パックは数十μm以上離れていることが望ましい。
【0077】
また、本実施の形態では、充電用の信号の周波数に特に限定はなく、電力が伝送できる周波数であればどの帯域であっても構わない。充電用の信号は、例えば、135kHzのLF帯(長波)でも良いし、13.56MHzのHF帯でも良いし、900MHz〜1GHzのUHF帯でも良いし、2.45GHzのマイクロ波帯でもよい。
【0078】
また、信号の伝送方式は電磁結合方式、電磁誘導方式、共鳴方式、マイクロ波方式など様々な種類があるが、適宜選択すればよい。ただし、雨や泥などの、水分を含んだ異物によるエネルギーの損失を抑えるためには、本発明の一態様では、周波数が低い帯域、具体的には、短波である3MHz〜30MHz、中波である300kHz〜3MHz、長波である30kHz〜300kHz、及び超長波である3kHz〜30kHzの周波数を利用した電磁誘導方式や共鳴方式を用いることが望ましい。
【0079】
本実施の形態は、上記実施の形態と組み合わせて実施することが可能である。
【符号の説明】
【0080】
100 ターゲット
101 集電体
102 炭素を含む層
103 活物質層
104 炭素を含む層
105 活物質層
106 炭素を含む層
300 断面
302 電池蓋
304 電池側壁部
306 電池底部
310 電極体
312 絶縁板
314 絶縁板
316 抵抗素子
318 ガスケット
320 導線
322 正極
324 セパレータ
326 負極
328 導線
400 断面
500 受電装置
501 受電装置部
502 受電装置用アンテナ回路
503 信号処理回路
504 二次電池
505 整流回路
506 変調回路
507 電源回路
508 復調回路
509 発振回路
510 電源負荷部
600 給電装置
601 給電装置用アンテナ回路
602 信号処理回路
603 整流回路
604 変調回路
605 復調回路
606 発振回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
集電体上に、炭素を含む層と粒子状の結晶を含む活物質層とが、順にn回(nは自然数)積層された正極を有し、
前記活物質層はリチウム金属酸化物を含むことを特徴とする蓄電装置。
【請求項2】
集電体上に、炭素を含む層と粒子状の結晶を含む活物質層とが、順にn回(nは自然数)積層された正極を有し、
前記n回積層された活物質層上に、第n+1層目の炭素を含む層が積層され、
前記活物質層はリチウム金属酸化物を含むことを特徴とする蓄電装置。
【請求項3】
集電体上に、粒子状の結晶を含む活物質層と炭素を含む層とが、順にn回(nは自然数)積層された正極を有し、
前記活物質層はリチウム金属酸化物を含むことを特徴とする蓄電装置。
【請求項4】
請求項1乃至3において、
前記nは、2以上10以下であることを特徴とする蓄電装置。
【請求項5】
請求項1乃至4において、
前記リチウム金属酸化物は、LiFePO、LiMnPO、LiNiPO、LiCrPOのいずれか一であることを特徴とする蓄電装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−9423(P2012−9423A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−114275(P2011−114275)
【出願日】平成23年5月23日(2011.5.23)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】