説明

蓋付容器

【課題】長時間にわたる生鮮食品の鮮度維持を可能とすると同時に、持ち帰る際などに収容品が容器内で偏ることを防止した、さらに取り扱いも容易な蓋付容器を提供する。
【解決手段】容器本体1と蓋体3とからなる蓋付容器5において、容器本体1の内側周壁13に、収容品載置面11側に向けて膨出しかつ複数のリブ17が形成された湾曲面領域16を形成する。それにより、容器本体1の底部10の変形を抑制できる。さらに、容器本体1の外側周壁15の下端部は、4つの隅部を床接地領域18とし、床接地領域18、18の間の領域は、それよりも上位のレベルとされた揚上領域19とする。それにより、蓋付容器5を手で持つことも容易となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は蓋付容器に関し、特に、生鮮食品を収納して店頭に配置し、購買者がそのまま家庭まで持ち運ぶのに好適であって、そのまま食卓でも使用可能な蓋付容器に関する。
【背景技術】
【0002】
生鮮食品用の容器として、薄肉プラスチック製の蓋体および容器本体とからなる蓋付容器は知られている。透明プラスチックからなる蓋付容器もあり、直接模様付けされるかあるいは適宜の模様が印刷されたフィルムをラミネートした蓋付容器もある。また、食品を収納した状態で置いたときに高い安定性を持たせるために、容器底面の外周縁から上方に起立した内側周壁と、前記内側周壁の最上部に形成された水平方向のフランジ部と、前記フランジ部の外周縁から下方へ伸びる外側周壁を備え、置いたときに、前記外側周壁の下端部でも容器本体が支持されるようにした蓋付容器も知られている。
【0003】
特許文献1には、その形態の蓋付容器が記載されている。該蓋付容器は、容器本体と蓋体とからなり、容器本体は、収容品載置面とその隅部に設けた脚部とを有する底部と、前記底部の外周縁から上方に起立した内側周壁と、前記内側周壁の最上部に形成された水平方向のフランジ部と、前記フランジ部の外周縁から下方へ伸びる外側周壁を備えるとともに、前記底部の収容品載置面が前記脚部の底面より上方に位置するようにして形成されている。そして、特許文献1には、容器本体の底面に設けた脚部の高さは、容器本体内に収容品が収納された際に、収容品の重量によって下降する容器本体の中央部の落差と実質的に等しくされる。そして、底面に設けられた前記脚部と収容品を収納したことによって下降した容器本体の底面の中央部とが床などの受支面に当接することにより、積み重ねられた容器の全荷重はこれらの脚部および底面の中央部によって受支され、これらの脚部のみに過大な荷重がかからないので、これらの脚部は実質的に変形せしめられることはない、旨の記載がされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平7−24731号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
積み重ねたときの姿勢を安定させる手段として、特許文献1に記載の容器のように、底面に設けられた脚部と収容品を収納したことによって下降した容器本体の底面の中央部とが床などの受支面に当接するようにすることは、有効な手段の一つということができる。しかし、このような容器において、寿司や刺身などの生鮮食品を収納したときには、生鮮食品を収納したことによって下降した容器本体の底面と床とが当接することにより、収納した生鮮食品と床面との間に熱が伝わりやすくなり、床面の熱が生鮮食品に伝わって、生鮮食品の鮮度を低下させる恐れがある。
【0006】
また、収容品を収納したことによって容器本体の底面が下降すると、底面に傾斜が生じてしまい、購買者が家庭へ持ち帰る途中で、収容品が容器内で偏ってしまうことが起こりうる。
【0007】
さらに、この種の蓋付容器は、店頭では、寿司や刺身などを収納して冷蔵ケース内に配置され、また、購買者は、それを手にとって観察したりレジまで持っていくことになるが、冷蔵ケース内に配置するときの作業のし易さや、配置されている蓋付容器を購買者が手にするときの取り扱いやすさ等ついては、十分な配慮がなされているとは言いがたい。
【0008】
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、収納した生鮮食品と床面との間で生じる熱伝導量を極力低減することができ、長時間にわたる生鮮食品の鮮度維持を可能とすると同時に、持ち帰る際などに収容品が容器内で偏ることを防止した蓋付容器を提供することを第1の課題とする。また、生鮮食品を収納した状態での取り扱いを容易にした蓋付容器を提供することを第2の課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記第1の課題を解決するための本発明による蓋付容器は、容器本体と蓋体とからなり、容器本体は、収容品載置面とその隅部に設けた脚部とを有する底部と、前記底部の外周縁から上方に起立した内側周壁と、前記内側周壁の最上部に形成された水平方向のフランジ部と、前記フランジ部の外周縁から下方へ伸びる外側周壁を備えるとともに、前記底部の収容品載置面が前記脚部の底面より上方に位置してなる蓋付き容器であって、前記内側周壁における前記脚部が位置しない収容品載置面の外周縁から上方に起立している内側周壁領域は、少なくともその一部が前記収容品載置面側に向けて膨出した湾曲面領域とされ、かつ前記湾曲面領域には上下方向に伸びる複数のリブが形成されていることを特徴とする。
【0010】
上記の蓋付容器における容器本体において、収容品載置面に載置した収容品の重量によって変形しないだけの厚さを備えた材料でもって容器本体を製造する場合には、収容品載置面に収容品を載置しても、収容品載置面が変形することはなく、上記した熱伝導による不都合や収容品の偏り等の問題はもともと生じない。しかし、そのような厚さの厚い材料で容器本体を作ることは、重くなることもあり、コストの面でも取り扱いの面で好ましくない。
【0011】
薄さ材料で容器本体を作ることにより、軽量化とコストの低減が図られる。しかし、薄くなると収容品載置面に載置した収容品の重量によって、収容品載置面を含む底部が変形しやすくなる。底部の外周縁から上方に起立した内側周壁を備えた容器本体では、収容品載置面に係る荷重によって前記内側周壁が変形する程度によっても、底部の変形量は影響を受ける。すなわち、前記内側周壁の変形が抑制できれば、同じ荷重に対する底部すなわち収容品載置面の変形量を、より小さい値に抑制することができる。
【0012】
上記した本発明による蓋付容器では、容器本体における前記内側周壁は、脚部が位置しない収容品載置面の外周縁から上方に起立している内側周壁の領域における少なくともその一部が、前記収容品載置面側に向けて膨出した湾曲面領域とされ、かつ前記湾曲面領域には上下方向に伸びる複数のリブが形成されている。この構成を備えることにより、収容品載置面に同じ荷重が作用したときに生じる内側周壁の変形を、内側周壁が単に平坦な傾斜面である場合と比較して、より小さく抑制することができる。
【0013】
それにより、軽量化と低コスト化の観点から薄い材料で容器本体を製造する場合であっても、本発明による蓋付容器では、収容品載置面に載置した収容品によって、収容品載置面が下に向かって傾斜状に変形するのを効果的に抑制することができ、結果として、収容品載置面の裏面が床面に接した状態となるのを回避することができる。そのために、収納した収容品と床面との間で生じる熱伝導量を極力低減することができ、同時に、持ち帰る際などに収容品が容器内で偏ることを防止することができる。それにより、前記本発明による第1の課題が解決される。
【0014】
本発明による蓋付容器の好ましい態様では、容器本体に設けた前記外側周壁の下端部は、少なくとも前記脚部に対向する領域では前記脚部の底面位置と同じがやや下方に達する位置とされており、かつ他の領域では前記底部よりも上位の位置とされている。
【0015】
この態様では、容器本体は、外側周壁の下端部の一部が床面に接した状態で床面に置くことができるので、床面に置いたときの姿勢は、脚部のみによる場合と比較して、一層安定する。さらに、外側周壁下端部の他の領域は、前記底部よりも上位の位置とされており、それにより形成された空間部に指先を入れることで、容器本体を掴みやすく、また持ちやすくなる。そして、前記した空間部に対向する前記内側周壁の部分は収容品載置面側に向けて膨出した湾曲面領域とされており、その領域にも指先が入り込むことができるので、容器本体は一層を掴みやすく、また持ちやすくなる。すなわち、本発明によるこの態様の蓋付容器によって、生鮮食品などを収納した状態での取り扱いを容易にするという、本発明による前記第2の課題が解決される。
【0016】
本発明による蓋付容器の他の態様では、容器本体の前記底部における前記収容品載置面には複数の凹部と凸部とが形成されている。
この態様では、前記凸部によって、収納した刺身などの収容品が持ち帰る際に偏ることをさらに有効に防止することができる。また、前記凹部は収容品から出るドリップなどの汁を効果的に溜めることができ、それにより、収容品が生鮮食品等の場合に、その鮮度をより長く保持することができる。
【0017】
本発明による蓋付容器のさらに他の態様では、容器本体の前記底部における前記収容品載置面の周囲には周方向に連続する立ち上がりリブが形成されており、前記内側周壁は前記立ち上がりリブの外側から上方に起立している。
【0018】
この態様では、前記立ち上がりリブによって、容器本体の底部が変形するのを一層効果的に抑制することに加え、収容品から出るドリップなどの汁が、外から見えやすい脚部など容器本体の外周部に流れ出るのを防止することができる。それにより、生鮮食品等を収納した本発明による蓋付容器の店頭にける商品価値を一層高めることができる。
【0019】
本発明による蓋付容器のさらに他の態様において、容器本体と蓋体における閉鎖時に互いに係合する周縁には、外嵌合部、内嵌合部、もしくは内外嵌合部が形成される。
この態様では、容器本体から蓋体が不用意に外れることを効果的に防止することができる。特に、内嵌合部もしくは内外嵌合部が形成される場合には、蓋付容器の密閉性を、外嵌合部を形成する場合と比較して、一層向上させることができる。また、このような嵌合構造を取る場合に、閉蓋するときに、収容品の一部が嵌合部に噛み込まれる恐れがあるが、本発明による容器本体は、内側周壁に収容品載置面側に向けて膨出した湾曲面領域が形成され、かつ前記湾曲面領域には上下方向に伸びる複数のリブが形成されているので、収容品は内側周壁面に沿って収容品載置面に向けて落ちやすくなり、結果として、容器本体と蓋体との嵌合部に収容品が滞留する可能性が低減し、収容品の一部が嵌合部に噛み込まれるのを効果的に阻止することができる。
【0020】
本発明による蓋付容器において、限定されないが、容器本体と蓋体はともに透明プラスチックからなることは好ましい態様である。この態様では、購買者は収容品を視認しやすくなるので、収容品が特に寿司や刺身などのように、品質と共に外観も重視されるような食材の場合に、購買者に対して、好印象を与えることが可能となり、結果として、生鮮食品等を収納した本発明による蓋付容器の店頭にける商品価値を一層高めることができる。
【0021】
本発明による蓋付容器は、容器本体および蓋体ともに薄手のプラスチック製であることが好ましい。製造に当たっては、熱可塑性合成樹脂製のシートを、たとえば、真空成形、圧空成形、真空圧空成形あるいはプレス成形などによって、それぞれ成形する。熱可塑性合成樹脂に特に制限はないが、実用上、たとえば、ポリエチレンおよびポリプロピレンなどのオレフィン系プラスチック、ポリメタクリル酸メチルおよびアクリロニトリル樹脂などのアクリロニトリル系プラスチック、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコールおよびポリ塩化ビニリデンなどのビニル系プラスチック、ポリスチレンおよびアクリロニトリル・スチレン樹脂などのスチレン系プラスチックならびにポリエチレンテレフタレートなどの芳香族ポリエステルなどが好適に使用される。さらに、これらのシートを延伸処理した延伸シートは好ましい。
【0022】
本発明による蓋付容器において、容器本体における前記外側周壁の周縁部および蓋体の周縁部に、特表2004−13003号公報に記載されるように、上下方向の微細なうねり形状が付されていてもよい。この態様では、蓋付容器を取り扱うときの手や指に対する安全性をより高いものとすることができる。
【0023】
本発明による蓋付容器において、蓋をした状態で蓋付容器を積み重ねたときに、容器本体の底部に形成した前記脚部が位置することとなる蓋体の上面位置に、前記脚部が入り込む凹部が形成されていてもよい。この態様では、蓋付容器を多段に積み重ねたときに、蓋付容器の間にずれが生じるのを確実に防止することができ、多段に積み重ねた蓋付容器の取り扱いが容易となる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、収容品が生鮮食品の場合、収納した生鮮食品と床面との間で生じる熱伝導量を極力低減することで長時間にわたる生鮮食品の鮮度維持を可能とするとともに、さらに、持ち帰る際などに収容品が容器内で不用意に偏ることを防止した蓋付容器が得られる。また、収容品を収納した状態での取り扱いを容易にした蓋付容器が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明による蓋付容器の一実施の形態を蓋体と容器本体とを分離した状態で示す斜視図。
【図2】図1に示す蓋付容器を容器本体に蓋をした状態で示す斜視図。
【図3】容器本体の平面図。
【図4】図3のA−A線による断面図。
【図5】容器本体と蓋体との他の嵌合形態を示すための概略図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施の形態を説明する。蓋付容器5は、容器本体1と蓋体3とからなる。図示の例において、容器本体1と蓋体3は、共に、平面視で矩形状であり、厚さ0.1〜0.5mm程度の透明なポリエチレンテレフタレートのシートからのシート成形品である。しかし、これに限定されることなく、適宜の厚さである適宜のプラスチックシートを材料として用いることができる。
【0027】
容器本体1は、収容品載置面11とその4隅の隅部に設けた脚部12とを有する底部10と、該底部10の外周縁から上方に起立する内側周壁13と、該内側周壁13の最上部に形成された水平方向のフランジ部14と、該フランジ部14の外周縁から下方へ伸びる外側周壁15を備える。そして、前記底部10において、前記収容品載置面11は前記脚部12の底面12aより上方に位置している。また脚部12のコーナー部はデッドスペースとなりやすいため、これを防止するための収容部側に向けて膨出させた膨出部26を設けるようにしてもよい(図4参照)。
【0028】
さらに、前記内側周壁13における前記脚部12が位置しない収容品載置面11の外周縁から上方に起立している4周の領域は、収容品載置面11側に向けて膨出した湾曲面領域16とされており、その湾曲面領域16には上下方向に伸びる複数のリブ17が形成されている。図示の例では、前記湾曲面領域16は、4周の内側周壁13における脚部14が形成されていない領域のすべてとされているが、前記領域の一部が湾曲面領域16とされていてもよい。リブ17の本数や形状も任意である。
【0029】
図示の例において、容器本体1に設けた前記外側周壁15の下端部は、段差部を持つ形態となっている。すなわち、容器本体1の4つの隅部では床接地領域18とされており、床接地領域18、18の間の領域は、それよりも上位のレベルとされた揚上領域19とされている。前記床接地領域18は、前記脚部12に対向している領域であり、脚部12の底面12aのレベルと同じがやや下方に達する位置とされており、揚上領域19は前記底部10よりも上位の位置とされている。図示の例では、外側周壁15の床接地領域18のレベルと前記脚部12の底面12aのレベルは同レベルとして描かれている。なお、本発明による蓋付容器5において、前記揚上領域19を省略することもできる。
【0030】
図示のものにおいて、容器本体1の前記底部10における収容品載置面11には複数の凸部20と凹部21が形成されている。さらに、収容品載置面11の周囲には周方向に連続する立ち上がりリブ22が形成されており、前記内側周壁13は前記立ち上がりリブ22の外側から上方に起立している。なお、前記凸部20と凹部21の形状や数は任意であり、収納しようとする収容品の種類や数、大きさ等に応じで、適宜のものに設定すればよい。
【0031】
さらに、図示される容器本体1において、前記外側周壁15の周縁部には、特表2004−13003号公報に記載されるような、上下方向の微細なうねり形状23が付されている。より具体的には、うねり形状23は、山谷の差が0.2〜1.0mmの範囲であり、ピッチ(山と山との間隔または谷と谷との間隔)が0.5〜5mmの範囲であるうねり形状23であることが好ましい。また、容器本体1の前記外側周壁15の上縁部には水平方向に延びる適数の凹溝24が形成されており、蓋体3との外嵌合部として利用される。
【0032】
次に、蓋体3について説明する。蓋体3は、前記容器本体1内に収納される収容品の高さに応じた高さを有しており、その下縁部の4周には、容器本体1の外側周壁15の上縁部に外嵌合する形状の大きさの外嵌合部31が形成されている。また、蓋をしたときに、容器本体1の外側周壁15の上縁部に形成した前記凹溝24に対向する位置には、前記凹溝24内に嵌入できる大きさと寸法のうち地側に向けた凸溝32が形成されている。さらに、外嵌合部31の周縁部、すなわち蓋体5の周縁部にも、容器本体1の周縁部に形成したと同じ上下方向の微細なうねり形状23が付されている。
【0033】
図示の例において、蓋体3の天面33の隅部には、蓋をした状態で蓋付容器5を積み重ねたときに、容器本体1の底部に形成した前記脚部12が位置することとなる位置に、前記脚部12が入り込む凹陥部34が形成されている。さらに、周壁35は末広がり状の傾斜面とされており、その下端部には適数の突起36が形成されている。この突起36は、多数枚の蓋体3を積み重ねた状態でストックするときに、隣接する蓋体3同士が密着するのを防止する。さらに、前記外嵌合部31の下縁における一つの隅部には舌片37が形成されており、容器本体1に外嵌合された蓋体3の取り外しを容易にしている。また、図示しないが、蓋体3の天面33と周壁35の一部にわたるようにして、表示ラベル等を貼着するための傾斜面を設けてもよい。
【0034】
蓋付容器5の使用に当たっては、容器本体1の収容品載置面11内に適数の収容品(図示されない)を収納する。例えば、収容品が寿司や刺身などである場合、収容品載置面11内に形成した前記凸部20を利用することにより、不用意に位置ずれしない姿勢で、収納することができる。また、収容品が時間と共にドリップなどの汁を出すような性質のものであるときには、その汁を前記凹部21内に一時でき溜めることができ、生鮮食品等の鮮度をより長く保持することができる。通常、収容品載置面11内に細く切られた大根のような材料が下置きされるので、凹部21内に留まった汁等が外から見えることもない。万一、汁等が収容品載置面11内に広がった場合でも、その汁等は周囲に形成した周方向に連続する立ち上がりリブ22によって、流出するのが阻止される。それにより、前記内側周壁13の下端縁や前記脚部12のように、外から見えやすい個所に汁等が流出するのを回避することができ、購買者に対して、好印象を与えることができる。結果として、生鮮食品等を収納した蓋付容器の店頭にける商品価値を高めることができる。
【0035】
所要数の収容品を収納すると、容器本体1の底部10に下向きの荷重が作用する。本発明による容器本体1では、前記のように前記内側周壁13の一部は収容品載置面11側に向けて膨出した湾曲面領域16とされ、かつ湾曲面領域16には上下方向に伸びる複数のリブ17が形成されているので、収容品載置面11に同じ荷重が作用したときに生じる変形は、内側周壁が単に平坦な傾斜面である場合と比較して、より小さく抑制される。その変形は、収容品載置面11の周囲に周方向に連続する立ち上がりリブ22を形成したことによって、さらに効果的に阻止される。
【0036】
それにより、本発明による蓋付容器5では、軽量化と低コスト化の観点から薄い材料で製造する場合であっても、載置した収容品によって収容品載置面11が下に向かって傾斜状に変形するのを回避することができ、蓋付容器5を床面においたときに、収容品載置面11の裏面が床面に接した状態となるのを回避することができる。結果として、収容品と床面との間で生じる熱伝導量を極力低減することが可能となる。また、収容品載置面11の傾斜を抑制できるので、持ち帰る際などに収容品が容器本体1内で偏るもの防止することができる。
【0037】
収容品を容器本体1に収納した後、蓋体3を取り付ける。この例では、容器本体1と蓋体3とに、外嵌合用の凹溝24と凸溝32とが形成されているので、蓋体3を容器本体1に外嵌合状態でしっかりと取り付けることができる。蓋を取り外す際には、前記舌片37を利用することで、容易に取り外しを行うことができる。また、蓋体3をするときに、収容品の一部が外嵌合部に噛み込まれる場合があるが、本発明による容器本体1は、前記のように内側周壁13に収容品載置面11側に向けて膨出した湾曲面領域16が形成され、該湾曲面領域16には上下方向に伸びる複数のリブ17が形成されているので、収容品は内側周壁面16に沿って収容品載置面11に向けて滑るようにして落ちやすくなる。そのために、外嵌合部に収容品が滞留する可能性は少なくなり、蓋をするときに、収容品の一部が外嵌合部に噛み込まれるのを回避できるようになる。
【0038】
収容品を収納した蓋付容器5は、店頭に並べられる。本発明による蓋付容器5では、容器本体1を、脚部12の底面12aに加えて、外側周壁15の前記した床接地領域18が床面に接した状態で床面に置くことができるので、床面に置いたときの姿勢は、脚部のみによる場合と比較して、一層安定する。
【0039】
さらに、外側周壁15下端部の他の領域、すなわち前記した揚上領域19は、容器本体1の底部10よりも上位の位置とされており、それにより床面に置いたときに、指先を入れることのできる空間部25が形成される。そのために、容器本体1を掴みやすく、また持ちやすくなる。さらに、前記空間部25に対向する内側周壁13の部分は前記したように収容品載置面11側に向けて膨出した湾曲面領域16とされており、その領域にも指先が入り込むことができるので、容器本体1は一層を掴みやすく、また持ちやすくなる。
このために、本発明によるこの態様の蓋付容器5では、生鮮食品などを収納した状態での取り扱いがきわめて容易となる利点ももたらされる。
【0040】
なお、上記の蓋付容器5では、蓋体3が容器本体1に対して、部分的に形成した凹溝24と凸溝34とにより外嵌合する形態としたが、全周にわたり凹溝24と凸溝34を形成して、全周にわたる外嵌合とすることもできる。また、図5(a)に示すように、容器本体1に対して蓋体3が内嵌合する形態とすることもでき、さらに、図5(b)に示すように、両者が内外嵌合する形態とすることもできる。
【符号の説明】
【0041】
1…容器本体、
3…蓋体、
5…蓋付容器、
10…底部、
11…収容品載置面、
12…脚部、
12a…脚部の底面、
13…内側周壁、
14…水平方向のフランジ部、
15…外側周壁、
16…湾曲面領域、
17…リブ、
18…床接地領域、
19…揚上領域、
20…凸部、
21…凹部、
22…周方向に連続する立ち上がりリブ、
23…上下方向の微細なうねり形状、
24…凹溝、
25…指先を入れることのできる空間部、
26…脚部に形成した膨出部
31…外嵌合部、
32…凸溝、
33…蓋体の天面、
34…凹嵌部、
35…周壁、
36…突起、
37…舌片。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体と蓋体とからなり、容器本体は、収容品載置面とその隅部に設けた脚部とを有する底部と、前記底部の外周縁から上方に起立した内側周壁と、前記内側周壁の最上部に形成された水平方向のフランジ部と、前記フランジ部の外周縁から下方へ伸びる外側周壁を備えるとともに、前記底部の収容品載置面が前記脚部の底面より上方に位置してなる蓋付き容器において、
前記内側周壁における前記脚部が位置しない収容品載置面の外周縁から上方に起立している内側周壁領域は、少なくともその一部が前記収容品載置面側に向けて膨出した湾曲面領域とされ、かつ前記湾曲面領域には上下方向に伸びる複数のリブが形成されていることを特徴とする蓋付容器。
【請求項2】
容器本体に設けた前記外側周壁の下端部は、少なくとも前記脚部に対向する領域では前記脚部の底面位置と同じがやや下方に達する位置とされており、かつ他の領域では前記底部よりも上位の位置とされていることを特徴とする請求項1に記載の蓋付容器。
【請求項3】
容器本体の前記底部における前記収容品載置面には複数の凹部と凸部とが形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の蓋付容器。
【請求項4】
容器本体の前記底部における前記収容品載置面の周囲には周方向に連続する立ち上がりリブが形成されており、前記内側周壁は前記立ち上がりリブの外側から上方に起立していることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載の蓋付容器。
【請求項5】
容器本体と蓋体における閉鎖時に互いに係合する周縁には、外嵌合部、内嵌合部、もしくは内外嵌合部が形成されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一項に記載の蓋付容器。
【請求項6】
容器本体と蓋体はともに透明プラスチックからなることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の蓋付容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−184742(P2010−184742A)
【公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−31527(P2009−31527)
【出願日】平成21年2月13日(2009.2.13)
【出願人】(000239138)株式会社エフピコ (98)
【Fターム(参考)】