説明

蔵書貸出支援システム、蔵書貸出支援方法及び蔵書貸出支援プログラム

【課題】自動書庫に収容されている蔵書の貸出を効率よく行なえるようにできる蔵書貸出支援システム、蔵書貸出支援方法及び蔵書貸出支援プログラムを提供する。
【解決手段】図書館システム20の管理サーバ21は、蔵書の検索情報に基づいて該当する蔵書の蔵書データを蔵書データベース22から抽出する。抽出した蔵書データが自動書庫に収容されており、検索情報を送信したユーザ端末12が図書館館内のユーザ端末である場合には、この蔵書を取り出すための取出リンクの取出ボタンを含む画面の画面データを生成してユーザ端末12に送信する。取出ボタンが選択された蔵書の蔵書識別子を受信すると、管理サーバ21は、ユーザ認証処理を行なった後、自動書庫システム30の制御部31に出庫指示を行なう。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動書庫を有する図書館において、蔵書の貸出を効率よく行なうための蔵書貸出支援システム、蔵書貸出支援方法及び蔵書貸出支援プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
図書館においては、蔵書の貸出や予約などの図書業務を提供するための情報が管理されている。例えば本館や分館など、複数の図書館が利用できる場合には、これら図書館間における貸出状況に関するデータを送受信して、効率的に図書館業務を行なうための技術も開示されている(特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載の発明では、複数の図書館のうち、利用者が貸出図書を受領する図書館(依頼館)を指定して図書の貸出依頼がなされると、この貸出依頼データとその貸出状態をデータベースに記録する。更に、この貸出依頼された図書を所蔵する図書館(受付館)に貸出依頼データを送信する。受付館では、受信した貸出依頼データとこの貸出状態を貸借データベースに記録する。これにより、依頼館での依頼データと貸出館での受付データとを同時に作成することができる。
【0004】
ところで、必要に応じて書籍を取り出し、より多くの書籍を効率よく収納するために、図書館に自動書庫を備えている場合もある(例えば、特許文献2参照。)。この自動書庫においては、クレーンを移動制御することにより、棚に収納された蔵書を出納ステーションまで運ぶ。このため、自動書庫システムでは、目的の蔵書を出庫するために、この蔵書の配架位置に関するデータを管理している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来、自動書庫に収容されている蔵書は、閉架図書として取り扱われる。このため、利用者が探していた蔵書が自動書庫に収容されていた場合には、閉架図書を取り出すための申請を行なう必要があった。
【0006】
本発明は、上述の課題に鑑みてなされ、その目的は、自動書庫に収容されている蔵書の貸出を効率よく行なえるようにできる蔵書貸出支援システム、蔵書貸出支援方法及び蔵書貸出支援プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、蔵書を収納する自動書庫装置と、この自動書庫装置及びユーザ端末に接続されとともに、蔵書を特定する蔵書識別子と前記自動書庫装置において収納されていることを示す収納識別フラグとを含む蔵書データを記録した蔵書データ記憶手段、蔵書識別子に関連付けて、蔵書が自動書庫の配架位置にない場合には「取出済」フラグが記録される蔵書ステータスを記憶した記憶手段、及び利用者を特定する利用者識別子と自動書庫に対する出庫指示権限があることを示す権限フラグとを含む利用者データを記録した利用者データ記憶手段に接続される管理サーバとを備え、蔵書の貸出を支援するシステムであって、前記管理サーバが、前記ユーザ端末から検索条件データを含む検索要求を取得する検索条件情報取得手段と、前記検索条件に該当する蔵書データを前記蔵書データ記憶手段から抽出し、抽出した蔵書データに収納識別フラグが記録されている場合には、この蔵書の蔵書ステータスを取得する手段と、取得した蔵書ステータスにおいて「取出済」フラグが記録されている場合には、この蔵書について「閉架」の表示を行なう画面データを生成し、取得した蔵書ステータスにおいて「取出済」フラグが記録されていない場合には、この蔵書を取り出すための取出リンクを含む画面の画面データを生成し、生成した画面データを、前記ユーザ端末に送信する検索結果表示画面生成手段と、前記ユーザ端末から前記利用者識別子を取得し、前記利用者データ記憶手段のデータと比較してユーザ認証を行なう認証処理手段と、前記ユーザ端末から前記取出リンクの選択に基づいて送信された蔵書識別子を取得し、かつ前記ユーザ認証により特定された利用者の権限フラグが記録されている場合には、前記蔵書識別子を前記自動書庫装置に送信して出庫指示を行なう出庫指示受入手段とを備えたことを要旨とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の蔵書貸出支援システムにおいて、前記管理サーバは、蔵書が館外に持ち出し禁止の場合には、蔵書識別子に関連付けて持ち出し禁止フラグを記憶したデータ記憶手段と、蔵書識別子と利用者識別子とを含む閲覧データと、蔵書識別子及び利用者識別子を含むデータを記録した業務データ記憶手段とに更に接続され、前記管理サーバが、前記自動書庫装置から、出庫指示のあった蔵書を出庫したことを示すデータを取得した場合には、出庫した蔵書を特定する蔵書識別子データ及びこの蔵書の出庫指示を行なった利用者の利用者識別子を取得し、これらデータを業務データ記憶手段に記録し、前記蔵書識別子に対して持ち出し禁止フラグが記録されていた場合には、取得した蔵書識別子及び利用者識別子を含む閲覧データを生成して、業務データ記憶手段に記録し、前記蔵書識別子に対して持ち出し禁止フラグが記録されていない場合には、取得した蔵書識別子及び利用者識別子を含む貸出データを生成して、業務データ記憶手段に記録する手段とを更に備えたことを要旨とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、蔵書を収納する自動書庫装置と、この自動書庫装置及びユーザ端末に接続されとともに、蔵書を特定する蔵書識別子と前記自動書庫装置において収納されていることを示す収納識別フラグとを含む蔵書データを記録した蔵書データ記憶手段、蔵書識別子に関連付けて、蔵書が自動書庫の配架位置にない場合には「取出済」フラグが記録される蔵書ステータスを記憶した記憶手段、及び利用者を特定する利用者識別子と自動書庫に対する出庫指示権限があることを示す権限フラグとを含む利用者データを記録した利用者データ記憶手段に接続される管理サーバとを備え、蔵書の貸出を支援する方法であって、前記管理サーバが、前記ユーザ端末から検索条件データを含む検索要求を取得する検索条件情報取得段階、前記検索条件に該当する蔵書データを前記蔵書データ記憶手段から抽出し、抽出した蔵書データに収納識別フラグが記録されている場合には、この蔵書の蔵書ステータスを取得する段階、取得した蔵書ステータスにおいて「取出済」フラグが記録されている場合には、この蔵書について「閉架」の表示を行なう画面データを生成し、取得した蔵書ステータスにおいて「取出済」フラグが記録されていない場合には、この蔵書を取り出すための取出リンクを含む画面の画面データを生成し、生成した画面データを、前記ユーザ端末に送信する検索結果表示画面生成段階、前記ユーザ端末から前記利用者識別子を取得し、前記利用者データ記憶手段のデータと比較してユーザ認証を行なう認証処理段階、及び前記ユーザ端末から前記取出リンクの選択に基づいて送信された蔵書識別子を取得し、かつ前記ユーザ認証により特定された利用者の権限フラグが記録されている場合には、前記蔵書識別子を前記自動書庫装置に送信して出庫指示を行なう出庫指示受入段階を実行することを要旨とする。
【0010】
請求項4に記載の発明は、蔵書を収納する自動書庫装置と、この自動書庫装置及びユーザ端末に接続されとともに、蔵書を特定する蔵書識別子と前記自動書庫装置において収納されていることを示す収納識別フラグとを含む蔵書データを記録した蔵書データ記憶手段、蔵書識別子に関連付けて、蔵書が自動書庫の配架位置にない場合には「取出済」フラグが記録される蔵書ステータスを記憶した記憶手段、及び利用者を特定する利用者識別子と自動書庫に対する出庫指示権限があることを示す権限フラグとを含む利用者データを記録した利用者データ記憶手段に接続される管理サーバとを用いて、蔵書の貸出を支援するプログラムであって、前記管理サーバを、前記ユーザ端末から検索条件データを含む検索要求を取得する検索条件情報取得手段、前記検索条件に該当する蔵書データを前記蔵書データ記憶手段から抽出し、抽出した蔵書データに収納識別フラグが記録されている場合には、この蔵書の蔵書ステータスを取得する手段と、取得した蔵書ステータスにおいて「取出済」フラグが記録されている場合には、この蔵書について「閉架」の表示を行なう画面データを生成し、取得した蔵書ステータスにおいて「取出済」フラグが記録されていない場合には、この蔵書を取り出すための取出リンクを含む画面の画面データを生成し、生成した画面データを、前記ユーザ端末に送信する検索結果表示画面生成手段、前記ユーザ端末から前記利用者識別子を取得し、前記利用者データ記憶手段のデータと比較してユーザ認証を行なう認証処理手段、及び前記ユーザ端末から前記取出リンクの選択に基づいて送信された蔵書識別子を取得し、かつ前記ユーザ認証により特定された利用者の権限フラグが記録されている場合には、前記蔵書識別子を前記自動書庫装置に送信して出庫指示を行なう出庫指示受入手段として機能させることを要旨とする。
【0011】
(作用)
本発明によれば、管理サーバは、検索条件に該当する蔵書データを蔵書データ記憶手段から抽出し、抽出した蔵書データに収納識別フラグが記録されている場合には、取出リンクを含む画面の画面データを生成する。また、管理サーバは、ユーザ端末から利用者識別子を取得し、利用者データ記憶手段のデータと比較してユーザ認証を行なう。更に、管理サーバは、ユーザ端末から取出リンクの選択に基づいて送信された蔵書識別子を取得し、かつユーザ認証により特定された利用者の権限フラグが記録されている場合には、蔵書識別子を自動書庫装置に送信して出庫指示を行なう。このため、ユーザ認証により特定された利用者の権限フラグに基づいて利用者からの出庫指示に従った蔵書の出庫を行なうことができる。従って、利用者によっては、その利用者自身で、自動書庫に収容されている蔵書を取り出すことができるので、人手を介することなく、蔵書の貸出(図書館内における利用者の貸出(=閲覧)も含む)を効率よく行なうことができる。
【0012】
本発明によれば、検索結果表示画面生成手段は、検索要求を送信したユーザ端末の端末識別子が前記端末データ記憶手段に登録されていない場合には、取出リンクを含まない画面の画面データを生成する。このため、利用者が館外のユーザ端末から検索を行なっている場合には、取出リンクを含まない画面が表示されるため、利用者が誤って取出リンクを選択することによって出庫指示を行なうということを回避することができる。
【0013】
本発明によれば、管理サーバは、自動書庫システムが蔵書を出庫した旨のデータを取得した場合には、出庫した蔵書を特定する蔵書識別子データ及びこの出庫指示を行なった利用者を特定する利用者識別子を取得して、業務データ記憶手段に記録する。このため、管理サーバは、自動書庫から蔵書が出庫されるときに、人手を介することなく、蔵書の貸出手続を行なうことができる。従って、自動書庫から出庫した蔵書についての貸出処理を効率よく行なうことができる。
【0014】
本発明によれば、管理サーバは、返却された蔵書の蔵書識別子データと、この蔵書を返却した利用者の利用者識別子データとを取得した場合には、業務データ記憶手段のデータ更新を行なう。これにより、管理サーバは、自動書庫に蔵書が返却されるときに、人手を介することなく、蔵書の返却手続を行なう。従って、自動書庫に収容される蔵書についての返却処理を効率よく行なうことができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、自動書庫に収容されている蔵書の貸出を効率よく行なえることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】実施形態におけるシステムの概略図。
【図2】利用者データ記憶部に記憶されたデータの説明図。
【図3】業務データ記憶部に記憶されたデータの説明図。
【図4】図書マスタデータ記憶部に記憶されたデータの説明図。
【図5】処理手順を説明するための画面展開を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図1〜図5に基づいて説明する。本実施形態では、例えば大学の図書館に設置された自動書庫を用いた図書館情報管理システムとして、蔵書貸出支援システムを説明する。
【0018】
この図書館情報管理システムは、蔵書に関する情報を管理する図書館システム20と、自動書庫装置としての自動書庫システム30とを備える。
この図書館システム20は、利用者の自宅などに配置されたユーザ端末11と、インターネットを介して接続される。更に、この図書館システム20は、図書館内に配置されたユーザ端末12とネットワークを介して接続される。ユーザ端末11,12は、ディスプレイ、キーボード及びマウスを備えたコンピュータ端末である。ディスプレイには、蔵書を検索する画面や自動書庫から蔵書を取り出す画面などを表示する。キーボードやマウスは、画面に表示された入力欄に文字等を入力したりボタンを選択したりすることにより各種指示を行なうために用いる。なお、ユーザ端末11,12は、それぞれに割り振られたIPアドレスを記憶し、このIPアドレスを用いて図書館システム20との間で通信を行なう。
【0019】
図書館システム20は、管理サーバ21を備える。この管理サーバ21は、図示しないCPU、RAM及びROM等を有し、後述する処理(検索条件情報取得段階、検索結果表示画面生成段階、認証処理段階、出庫指示受入段階、貸出処理段階及び返却処理段階等を含む処理)を行なう。そして、このための蔵書貸出支援プログラムを実行することにより、管理サーバ21は、検索条件情報取得手段、検索結果表示画面生成手段、認証処理手段、出庫指示受入手段、貸出処理手段及び返却処理手段等として機能する。
【0020】
この管理サーバ21には、蔵書データ記憶手段としての蔵書データベース22、端末データ記憶手段としての端末認証データ記憶部23、利用者データ記憶手段としての利用者データ記憶部24及び業務データ記憶手段としての業務データ記憶部25が接続されている。
【0021】
蔵書データベース22には、図書館が所蔵する蔵書に関する目録データが記録されている。目録データは、図書館において蔵書を受け入れ、業務用端末(図示せず)を用いた操作によって、この蔵書に関する情報が登録された場合に記録される。この目録データは、書誌データ及び所蔵データに関するデータを含む。
【0022】
書誌データは、蔵書についての書誌に関するデータである。この書誌データには、この蔵書のタイトル、出版者、刊行年、著者情報、概略、分類及び蔵書識別子に関するデータが含まれる。
【0023】
タイトルデータ領域には、この蔵書の題名に関するデータが記録されている。出版者データ領域には、この蔵書を出版した者の名前に関するデータが記録されている。刊行年データ領域には、この蔵書を刊行した年月に関するデータが記録されている。著者情報データ領域には、この蔵書の著者に関するデータが記録されている。概略データ領域には、この蔵書の内容の概略に関するデータが記録されている。分類データ領域には、この蔵書の分類に関するデータが記録されている。蔵書識別子は、この蔵書を特定するための識別子であり、例えばISBN(国際標準図書番号;International Standard Book Number)を用いてもよい。また、この蔵書識別子は、蔵書に貼付されるバーコードデータとして記録される。
【0024】
所蔵データは、蔵書の所在に関するデータである。この所蔵データには、自動書庫に収容されているか否かを識別するための収納識別フラグデータや開架の場合の配架位置(例えば収容されている棚や位置)に関するデータが含まれる。
【0025】
端末認証データ記憶部23には、この図書館の館内に配置されたユーザ端末12を認証するための端末識別データが記録されている。具体的には、この端末識別データとして、館内に配置されたユーザ端末12のIPアドレスに関するデータを用いる。
【0026】
利用者データ記憶部24は、図書館の利用者に関する利用者データ240が記録されている。図2に示すように、この利用者データ240は、この利用者が利用者登録申請を行なった場合に設定される。この利用者データ240は、利用者識別子、氏名、連絡先、パスワード、利用権限識別子に関するデータを含む。
【0027】
利用者識別子データ領域には、利用者を特定するための識別子に関するデータが記録されている。この利用者識別子データは、利用者データ240が設定される場合に付与されて記録される。また、この利用者識別子データは、利用者が図書館の貸出を行なうときに用いる利用者カードに、バーコードデータとして記録されている。
【0028】
氏名データ領域には、利用者の名前に関するデータが記録されている。
連絡先データ領域には、利用者の連絡先に関するデータが記録されている。この利用者連絡先としては、電話番号、住所や電子メールアドレスなどが用いられる。
【0029】
パスワードデータ領域には、ユーザ端末11,12を介した処理を利用者が行なう場合に用いる認証用のパスワードデータが記録されている。利用者データ240が利用者データ記憶部24に設定された後、利用者がユーザ端末11を用いて設定することによりパスワードを設定することができる。
【0030】
利用権限識別子データ領域には、この利用者が図書館を利用する権限を特定するための識別子に関するデータが記録されている。本実施形態では、この利用権限識別子が権限フラグであり、これに応じて、利用者が自動書庫に対して出庫指示を行なうことができるか否かを特定することができる。
【0031】
更に、業務データ記憶部25には、図書館業務を管理するためのデータが記録される。このデータには、蔵書を貸出したときに設定される貸出データ250が含まれる。この貸出データ250には、図3に示すように、蔵書識別子、利用者識別子、貸出年月日及び返却年月日に関するデータが含まれる。
【0032】
蔵書識別子データ領域には、貸出された蔵書を特定するための識別子に関するデータが記録される。利用者識別子データ領域には、蔵書を借りた利用者を特定するための識別子に関するデータが記録される。貸出年月日データ領域には、この蔵書の貸出が行なわれた年月日に関するデータが記録される。返却年月日データ領域には、この蔵書が返却された年月日に関するデータが記録される。
【0033】
一方、自動書庫システム30は、自動書庫の制御やそれに用いるデータの管理を行なうシステムである。自動書庫は、蔵書の出納作業を機械化した書庫である。この自動書庫は、蔵書を収容する複数のコンテナと、コンテナを収容するための整列配置された棚、出庫指示に基づいて棚からコンテナを取り出すスタッカクレーンと、このクレーンを移動させる移動機構とを備える。更に、この自動書庫は、棚から取り出した蔵書を一部保管機能の出納ステーションを備える。本実施形態の出納ステーションは、自動書庫から取り出された蔵書を利用者に受渡したり、自動書庫に格納する蔵書を利用者から受け取ったりするために用いられる。出納ステーションでは、蔵書に貼付されているバーコードのデータや、蔵書を返却する利用者を特定する利用者識別子のバーコードのデータなどを読み取るバーコードリーダを備えている。更に、この自動書庫システム30には、自動書庫のメンテナンスを行なうための作業端末16が接続されている。
【0034】
また、自動書庫システム30は、制御部31を備える。この制御部31は、図示しないCPU、RAM及びROM等を有する。この制御部31は、上述のスタッカクレーンやこれを移動させる移動機構を制御し、自動書庫に収容された蔵書の取出や格納を行なう。
【0035】
更に、制御部31は、図書マスタデータ記憶部32に接続されている。この図書マスタデータ記憶部32には、図4に示すように自動書庫に収容される蔵書に関する図書マスタデータ320が記録されている。この図書マスタデータ320には、蔵書を特定する蔵書識別子、この蔵書の配架位置、ステータス及び出庫指示受付時間に関するデータが含まれている。
【0036】
蔵書識別子データ領域には、自動書庫に収容される蔵書を特定するための蔵書識別子に関するデータが記録されている。この蔵書識別子データを用いることによって図書館システム20の蔵書データベース22の目録データと、図書マスタデータ320とが関連付けられる。
【0037】
配架位置データ領域には、この蔵書が収容されている位置に関するデータが記録されている。この配架位置データに基づいて、自動書庫の蔵書を取り出したり格納したりする。
ステータスデータ領域には、この蔵書のステータスに関するデータが記録されている。このステータスデータは、収容対象の蔵書が配架位置にない場合には「取出済」を意味するフラグが記録される。
【0038】
出庫指示受付時間データ領域には、この蔵書について出庫指示があった最新の受付時間に関するデータが記録される。自動書庫システム30は、この出庫指示受付時間データと、制御部31に予め記憶されている受取可能時間データとを用いて、所定時間内に出庫指示をした利用者の利用者識別子データを取得しなかったと判断した場合には、後述する出庫解除処理を行なう。
【0039】
以上のように構成される図書館情報管理システムにおいて行なわれる処理について、図1及び図5を用いて説明する。
(館外のユーザ端末11からの検索処理)
まず、利用者が、自宅など図書館の館外にあるユーザ端末11を用いて、閲覧を希望する蔵書が図書館にあるか否かの検索を行なう場合について説明する。
【0040】
具体的には、利用者はユーザ端末11を図書館システム20に接続させる。これにより、ユーザ端末11は、図書館システム20からメニュー画面データを取得して、ディスプレイにメニュー画面を表示する。このメニュー画面には、図書館の蔵書を検索するための検索項目ボタンが含まれる。
【0041】
ここで、利用者は、メニュー画面の検索ボタンを選択する。これにより、ユーザ端末11は、図書館システム20から検索画面データを取得して、図5の検索画面500をディスプレイに表示する。この検索画面500には、検索条件入力欄及び検索実行ボタンが含まれる。ここで、利用者は、検索する蔵書に関する検索情報(タイトルのキーワードや著作者名など)を検索条件入力欄に入力して検索実行ボタンを選択する。これにより、ユーザ端末11は、検索条件入力欄に入力された検索条件情報を、このユーザ端末11のIPアドレスとともに図書館システム20に送信する。これにより、管理サーバ21の検索条件情報取得手段211は、検索条件情報に関するデータ(検索条件データ)を取得する。
【0042】
次に、管理サーバ21は、検索結果を表示させるための画面データの生成を行なう。ここでは、まず、検索結果表示画面生成手段212は、受信した検索条件情報を用いて蔵書を検索する。具体的には、検索結果表示画面生成手段212は、受信した検索条件情報において設定された各項目が一致する蔵書データを蔵書データベース22から抽出する。
【0043】
更に、管理サーバ21は、検索条件情報を送信したユーザ端末11が館内のユーザ端末12であるか否かを認証する。具体的には、検索結果表示画面生成手段212は、受信したユーザ端末11のIPアドレスと一致するデータを、端末認証データ記憶部23から検索する。この場合には、ユーザ端末11は館外の端末であるため、端末認証データ記憶部23においてユーザ端末11のIPアドレスの登録を確認することができない。従って、検索結果表示画面生成手段212は、端末認証ができず、以下の処理を行なう。
【0044】
まず、検索結果表示画面生成手段212は、抽出した蔵書データに基づいて、検索した蔵書に関する書誌及び所在に関する情報を含む画面の画面データを生成する。更に、この蔵書データの所蔵データに、収納識別フラグが記録されている場合には、検索結果表示画面生成手段212は、この蔵書が「閉架図書」であることの表示を行なうデータを、画面データに含ませる。
【0045】
そして、検索結果表示画面生成手段212は、生成した画面データをユーザ端末11に送信する。この画面データを受信したユーザ端末11は、図5の検索結果画面550をディスプレイに表示する。この検索結果画面550には、検索条件に該当した目録データの蔵書タイトルなどの蔵書データとともに各蔵書の配架情報(「開架」又は「閉架」)が表示される。自動書庫の収容対象である蔵書については、蔵書の配架を示す位置に、「閉架図書」が表示される。
【0046】
(館内のユーザ端末12からの検索処理及び貸出処理)
次に、利用者が、図書館内にあるユーザ端末12を用いて、閲覧を希望する蔵書が図書館にあるか否かの検索を行ない、更に貸出処理を行なう場合について説明する。
【0047】
具体的には、ユーザ端末11からの検索と同様に、ユーザ端末12を図書館システム20に接続させ、ユーザ端末12のディスプレイにメニュー画面を表示させる。そして、メニュー画面の検索ボタンが選択されることにより、ユーザ端末12は、図5の検索画面500をディスプレイに表示する。利用者は、この検索画面500に検索する蔵書に関する検索情報を入力して、検索実行ボタンを選択する。これにより、ユーザ端末12は、検索条件入力欄に入力された検索情報を、このユーザ端末12のIPアドレスとともに図書館システム20に送信する。これにより、管理サーバ21の検索条件情報取得手段211は、検索条件情報に関するデータ(検索条件データ)を取得する。
【0048】
次に、管理サーバ21は、検索結果を表示するための画面の生成を行なう。ここでは、まず、検索結果表示画面生成手段212は、受信した検索情報に該当する蔵書を検索する。具体的には、検索結果表示画面生成手段212は、受信した検索情報データを有する蔵書データを蔵書データベース22から抽出する。
【0049】
更に、管理サーバ21は、検索条件を送信したユーザ端末12が館内のユーザ端末12であるか否かを認証する。具体的には、検索結果表示画面生成手段212は、受信したユーザ端末12のIPアドレスと一致するデータを、端末認証データ記憶部23から検索する。この場合には、ユーザ端末12は館内の端末であるため、端末認証データ記憶部23においてユーザ端末12のIPアドレスの登録を確認することができる。従って、検索結果表示画面生成手段212は、端末認証を完了し、以下の処理を行なう。
【0050】
まず、検索結果表示画面生成手段212は、抽出した蔵書データに基づいて、検索した蔵書に関する書誌及び所在に関する情報を含む画面の画面データを生成する。更に、この蔵書データの所蔵データに、収納識別フラグが記録されている場合には、検索結果表示画面生成手段212は、自動書庫システム30の図書マスタデータ記憶部32から、この蔵書のステータスデータを取得する。取得したステータスが「取出済」のフラグである場合には、検索結果表示画面生成手段212は、この蔵書について「閉架」の表示を行なうデータを、画面データに含ませる。また、ステータスが「取出済」のフラグでない場合には、この蔵書を取り出すための取出リンクの取出ボタンを表示するデータを、画面データに含ませる。このため、生成された画面データには、抽出した各蔵書データ及びこれに対応付けられる配架情報として「開架」、「閉架」又は「取出ボタン」が含まれる。
【0051】
そして、検索結果表示画面生成手段212は、生成した画面データをユーザ端末12に送信する。この画面データを受信したユーザ端末12は、図5の検索結果画面600をディスプレイに表示する。この検索結果画面600には、検索条件に該当した目録データの蔵書タイトルなどの蔵書データとともに各蔵書の配架情報が表示されている。自動書庫に収容されている蔵書については、蔵書の配架情報として取出ボタン605が表示される。
【0052】
ここで、利用者が閲覧を希望する蔵書に対応付けられた取出ボタン605を選択すると、ユーザ端末12は、選択された取出ボタン605の蔵書識別子データを図書館システム20に送信する。
【0053】
この蔵書識別子データを受信した図書館システム20の管理サーバ21は、ユーザ認証処理を行なう。ここで、まず、管理サーバ21のユーザ認証処理手段213は、ログイン画面データをユーザ端末12に送信する。ユーザ端末12は、受信した画面データに基づいて、図5のログイン画面700をディスプレイに表示する。このログイン画面700には、利用者識別子とパスワードとをそれぞれ入力する入力欄と送信ボタンとが含まれる。
【0054】
ここで、利用者は、自分の利用者識別子とパスワードを入力し、送信ボタンを選択する。これにより、ユーザ端末12は、利用者番号とパスワードに関するデータを図書館システム20に送信する。管理サーバ21のユーザ認証処理手段213は、受信した利用者識別子とパスワードに関するデータに一致する利用者データ240を、利用者データ記憶部24から抽出する。抽出した利用者データ240の利用権限データが、自動書庫から蔵書を取出可能な権限を有する利用者を意味するデータである場合(権限フラグデータが記録されている場合)には、管理サーバ21の出庫指示受入手段214は、蔵書識別子データ及び利用者識別子データを自動書庫システム30に送信して、この蔵書の出庫指示を行なう。更に、この出庫指示受入手段214は、出庫受付完了画面データをユーザ端末12に送信して、ユーザ端末12のディスプレイに図5の出庫受付完了画面800を表示する。なお、本実施形態では、予め一律に受取可能時間(例えば30分以内)が設定されており、この受取可能時間に関するデータが管理サーバ21のメモリに登録されている。そして、この受取可能時間が、この出庫受付完了画面800に表示される。
【0055】
一方、管理サーバ21から蔵書識別子データを受信した自動書庫システム30は、出庫処理を実行する。ここで、制御部31の出庫処理手段311は、まず、出庫指示受付時間を記録し、出庫する蔵書の配架位置を特定する。具体的には、受信した蔵書識別子データに一致する図書マスタデータ記憶部32に記憶された図書マスタデータ320を抽出する。そして、この図書マスタデータ320の出庫指示受付時間データ領域に現在時刻を記録する。更に、抽出した図書マスタデータ320に記録された配架位置データを取得する。
【0056】
次に、出庫処理手段311は、取得した配架位置データを用いて、クレーンを特定した配架位置に移動させて、この蔵書を取得し出納ステーションに移動させる制御指示を移動機構に対して行なう。更に、出庫処理手段311は、クレーンにより配架位置から取り出された蔵書の図書マスタデータ320のステータスを「取出済」に更新する。
【0057】
利用者は、出庫受付完了画面800に表示された受取可能時間内に、自動書庫システム30の出納ステーションにおいて、出庫指示した資料を受け取る。ここで、自動書庫システム30は、出納ステーションのバーコードリーダを用いて、利用者の利用者カードの読取を行なう。そして、自動書庫システム30の出庫処理手段311は、読み取った利用者カードの利用者識別子に一致する利用者識別子に関連付けられた蔵書識別子の蔵書を、出納ステーションから出庫する。このとき、出庫処理手段311は、出庫する蔵書識別子データ及び利用者識別子データを図書館システム20に送信する。
【0058】
図書館システム20の管理サーバ21の貸出処理手段215は、受信した蔵書識別子データ及び利用者識別子データを貸出データ250として業務データ記憶部25に記録する。更に、この貸出処理手段215は、自動書庫システム30の制御部31からデータを受信した年月日を貸出年月日として業務データ記憶部25に記録する。以上により、貸出時の処理が完了する。
【0059】
(返却時の処理)
次に、貸出された蔵書が返却される場合について説明する。この場合、利用者は、出納ステーションにおいて、利用者カードのバーコードと返却する蔵書のバーコードとをバーコードリーダに読み取らせる操作を行なう。この操作により、自動書庫システム30の制御部31の返却受付手段312は、バーコードから蔵書の蔵書識別子データと利用者データとを取得し、図書館システム20に送信する。
【0060】
図書館システム20の管理サーバ21の返却処理手段216は、受信した蔵書識別子データ及び利用者データに一致する貸出データ250を業務データ記憶部25から抽出し、抽出した貸出データ250の返却年月日データ領域に、自動書庫システム30からデータを受信した年月日を記録する。なお、貸出データ250は、返却された蔵書の蔵書識別子データのみから特定してもよい。この場合、自動書庫システム30は、蔵書を出納ステーションに返却される蔵書からバーコードを読み取り、この蔵書識別子を図書館システム20に送信し、返却処理手段216はこの蔵書識別子に一致する貸出データ250を抽出する。
【0061】
更に、自動書庫システム30の制御部31は、返却された蔵書の格納処理を行なう。ここで、まず、制御部31の格納処理手段313は、格納する蔵書の配架位置を特定する。具体的には、返却受付手段312が取得した蔵書識別子データに一致する図書マスタデータ記憶部32に記憶された図書マスタデータ320を抽出する。次に、格納処理手段313は、この図書マスタデータ320の配架位置データを用いて、クレーンを移動させて、出納ステーションで受け取った蔵書を配架位置に運んで格納する制御指示を移動機構に対して行なう。更に、格納処理手段313は、クレーンにより配架位置から取り出された蔵書の図書マスタデータ320のステータスの「取出済」データを削除する。
以上により、蔵書が配架位置に格納されて、返却時の処理が完了する。
【0062】
(出庫解除処理)
次に、出庫受付完了画面800に表示された受取可能時間が経過しても、自動書庫システム30の出納ステーションにおいて、利用者が蔵書を受け取らなかった場合の処理を説明する。この場合には、自動書庫システム30は、出庫解除処理を行なう。具体的には、制御部31の出庫処理手段311は、出庫指示受付時間から所定時間経過した図書マスタデータ320を抽出する。
【0063】
出庫処理手段311は、抽出した図書マスタデータ320の蔵書識別子データを格納処理手段313に供給する。格納処理手段313は、この図書マスタデータ320の配架位置データを用いて、クレーンを移動させて、出納ステーションに一時保管された蔵書を配架位置に運んで格納する制御指示を移動機構に対して行なう。更に、格納処理手段313は、クレーンにより配架位置から取り出された蔵書の図書マスタデータ320のステータスの「取出済」データを削除する。
【0064】
本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
・ 本実施形態では、図書館システム20の管理サーバ21は、ユーザ端末12から取得した検索条件情報に該当する蔵書の蔵書データを蔵書データベース22から抽出する。管理サーバ21は、抽出した蔵書データに基づいて画面データを生成する。この画面データには、抽出した蔵書の蔵書データに収納識別フラグが記録され、蔵書のステータスデータが「取出済」のフラグでない場合には、この蔵書を取り出すための取出リンクの取出ボタンを表示するデータを含ませる。管理サーバ21は、生成した画面データを送信し、ユーザ端末12に検索結果画面600を表示する。この検索結果画面600の取出ボタン605が選択されると、ユーザ端末12は、選択された取出ボタン605の蔵書識別子データを図書館システム20に送信し、これに対して管理サーバ21は、ログイン画面データを送信してユーザ端末12にログイン画面700を表示させる。管理サーバ21は、ログイン画面700に入力された利用者識別子及びパスワードに基づいてユーザ認証処理を行なう。そして、ユーザ認証された利用者の利用者データ240に権限フラグデータが記録されている場合には、管理サーバ21は、蔵書識別子データ及び認証した利用者識別子データを自動書庫システム30に送信して、この蔵書の出庫指示を行なう。このため、ユーザ認証により特定された利用者の権限フラグに基づいて利用者からの出庫指示に従った蔵書の出庫を行なうことができる。従って、利用者によっては、その利用者自身で、自動書庫に収容されている蔵書を取り出すことができるので、人手を介することなく、蔵書の貸出を効率よく行なうことができる。
【0065】
・ 本実施形態では、自動書庫システム30は、出庫処理を実行し、指示された蔵書を取得し出納ステーションに移動させる。受取可能時間内に、自動書庫システム30は、利用者の利用者カードの読取を行なうと、この利用者カードの利用者識別子に関連付けられた蔵書識別子データを有する蔵書を、出納ステーションから出庫する。このとき、出庫処理手段311は、出庫する蔵書識別子データ及び利用者識別子データを図書館システム20に送信する。図書館システム20の管理サーバ21は、受信した蔵書識別子データ及び利用者識別子データと、貸出年月日データとを貸出データ250として記録する。このため、管理サーバ21は、自動書庫システム30から蔵書を出庫するときに、人手を介することなく、蔵書の貸出手続を行なうことができる。従って、自動書庫から出庫した蔵書の貸出処理を効率よく行なうことができる。
【0066】
・ 本実施形態では、自動書庫システム30の制御部31は、返却する蔵書の蔵書識別子データと利用者データとを取得すると、図書館システム20に送信する。図書館システム20の管理サーバ21は、受信した蔵書識別子データ及び利用者データに一致するデータを業務データ記憶部25から抽出し、抽出した貸出データ250の返却年月日データ領域に、自動書庫システム30からデータを受信した年月日を記録する。更に、自動書庫システム30の制御部31は、返却された蔵書の格納処理を行なう。このため、管理サーバ21は、自動書庫に蔵書を返却するときに、人手を介することなく、貸出を行なった蔵書の返却手続を行なうことができる。従って、自動書庫に収容される蔵書についての返却処理を効率よく行なうことができる。
【0067】
・ 本実施形態では、管理サーバ21は、抽出した蔵書の蔵書データに収納識別フラグが記録されている場合には、図書マスタデータ記憶部32から蔵書のステータスデータを取得する。このステータスデータが「取出済」のフラグでない場合には、この蔵書を取り出すための取出リンクを表示するデータを画面データに含ませる。このため、検索条件情報を入力した利用者は、検索結果が表示される画面に含まれる取出ボタン605を選択することにより、自動書庫に収容されている蔵書の出庫指示を行なうことができる。従って、検索操作に続けて、出庫指示を行なうことができるので、自動書庫に収容されている蔵書を効率よく取り出すことができる。
【0068】
・ 本実施形態では、管理サーバ21は、検索条件情報を送信したユーザ端末11のIPアドレスの登録を確認することができず、蔵書データの所蔵データに、収納識別フラグが記録されている場合には、蔵書が「閉架図書」である表示を行なうデータを画面データに含ませる。これにより、ユーザ端末11には、自動書庫の収容対象である蔵書については、蔵書の配架を示す位置に、「閉架図書」が表示された検索結果画面550が表示される。このため、利用者が館外のユーザ端末11から検索を行なっている場合には、取出リンクを含まない画面が表示されるので、利用者が誤って取出リンクを選択することによって出庫指示を行なうということを回避することができる。
【0069】
・ 本実施形態では、自動書庫システム30は、出庫処理において、出庫指示を受けた蔵書の図書マスタデータ320の出庫指示受付時間データ領域に現在時刻を記録する。そして、自動書庫システム30は、受取可能時間内に、出庫指示された蔵書が出納ステーションから取り出されなかった場合には、自動書庫システム30は、出庫解除処理を行なう。このため、利用者が、出庫指示した蔵書の受取を止めた場合には、何の処理を行なわなくても、自動的に自動書庫システム30に収容することができる。
【0070】
・ 本実施形態では、出納ステーションにおいては、蔵書を取り出すときや蔵書を返却するときには、利用者カードにバーコードで示されている利用者識別子データを用いた。このため、開架の蔵書の貸出や返却と同様な処理によって、自動書庫の蔵書も貸出や返却を行なうことができる。
【0071】
また、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
○ 上記実施形態においては、自動書庫システム30から蔵書を出庫する場合には、図書館システムにおいて、貸出処理を行なった。蔵書が古くて貸出禁止の場合や利用者が館外への貸出権限を有しない場合には、館内における貸出処理(=閲覧処理)を行なってもよい。具体的には、管理サーバ21の業務データ記憶部25に閲覧データを設ける。この閲覧データには、蔵書識別子、利用者識別子、貸出時刻及び返却時刻に関するデータを含める。そして、利用者が自動書庫から利用者識別子データを用いて蔵書を受け取った場合には、自動書庫システム30は、蔵書識別子データ及び利用者識別子データを図書館システム20に送信する。図書館システム20の管理サーバ21は、受信した利用者識別子データから利用者データ240を特定し、この利用者の利用者権限が「閲覧」しかできない場合には、閲覧データに、受信した利用者識別子データ及び蔵書識別子データを記録する。また、蔵書が館外に持出禁止の場合には、これを意味するフラグをその蔵書の蔵書識別子に関連付けて記憶しておく。そして、管理サーバ21は、自動書庫システム30から受信した蔵書識別子データが一致する記憶手段のデータを確認する。一致している場合には、閲覧データに、受信した利用者識別子データ及び蔵書識別子データを記録する。これにより、利用者に閲覧制限があったり、蔵書が館外に貸出禁止であったりしても、それに応じて自動書庫の蔵書の閲覧を、人手を介することなく、行なうことができる。
【0072】
○ 上記実施形態においては、図書館情報管理システムが情報を管理する図書館には自動書庫が1つしかないとして説明した。これに限らず、図書館情報管理システムは、自動書庫を有する複数の図書館の情報管理を行ってもよい。この場合、端末認証データ記憶部23は、自動書庫が設けられた各図書館内のユーザ端末12のIPアドレスを、その図書館毎に記憶しておく。そして、検索結果表示画面生成手段212は、ユーザ端末から検索情報とともに取得したデータを端末認証データ記憶部23の端末識別データと比較する。この比較結果から、その図書館の館内のユーザ端末12であった場合には、取出リンクの取出ボタンを含む画面を表示する。また、蔵書が収容されている自動書庫が設けられた図書館とは別の図書館の館内にあるユーザ端末12であった場合には、取出ボタンを含まない画面を表示する。これにより、利用者が、蔵書をすぐに取りに行けない自動書庫からの出庫を指示することを回避することができる。
【0073】
○ 上記実施形態においては、検索結果画面600の取出ボタン605が選択されると、管理サーバ21は、ユーザ認証処理を行なった。ユーザ認証処理は、取出ボタン605が選択される後に限らず、例えば、ユーザ端末11,12が図書館システム20にアクセスしたときに行なってもよい。
【符号の説明】
【0074】
11,12…ユーザ端末、21…管理サーバ、22…蔵書データ記憶手段としての蔵書データベース、23…端末データ記憶手段としての端末認証データ記憶部、24…利用者データ記憶手段としての利用者データ記憶部、25…業務データ記憶手段としての業務データ記憶部、30…自動書庫システム、211…検索条件情報取得手段、212…表示画面生成手段、214…出庫指示受入手段、215…貸出処理手段、216…返却処理手段、240…利用者データ。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0075】
【特許文献1】特開2004−110637号公報(図3、図6及び図12)
【特許文献2】特開平7−228310号公報(図3)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蔵書を収納する自動書庫装置と、
この自動書庫装置及びユーザ端末に接続されとともに、蔵書を特定する蔵書識別子と前記自動書庫装置において収納されていることを示す収納識別フラグとを含む蔵書データを記録した蔵書データ記憶手段、蔵書識別子に関連付けて、蔵書が自動書庫の配架位置にない場合には「取出済」フラグが記録される蔵書ステータスを記憶した記憶手段、及び利用者を特定する利用者識別子と自動書庫に対する出庫指示権限があることを示す権限フラグとを含む利用者データを記録した利用者データ記憶手段に接続される管理サーバとを備え、蔵書の貸出を支援するシステムであって、
前記管理サーバが、
前記ユーザ端末から検索条件データを含む検索要求を取得する検索条件情報取得手段と、
前記検索条件に該当する蔵書データを前記蔵書データ記憶手段から抽出し、抽出した蔵書データに収納識別フラグが記録されている場合には、この蔵書の蔵書ステータスを取得する手段と、
取得した蔵書ステータスにおいて「取出済」フラグが記録されている場合には、この蔵書について「閉架」の表示を行なう画面データを生成し、
取得した蔵書ステータスにおいて「取出済」フラグが記録されていない場合には、この蔵書を取り出すための取出リンクを含む画面の画面データを生成し、
生成した画面データを、前記ユーザ端末に送信する検索結果表示画面生成手段と、
前記ユーザ端末から前記利用者識別子を取得し、前記利用者データ記憶手段のデータと比較してユーザ認証を行なう認証処理手段と、
前記ユーザ端末から前記取出リンクの選択に基づいて送信された蔵書識別子を取得し、かつ前記ユーザ認証により特定された利用者の権限フラグが記録されている場合には、前記蔵書識別子を前記自動書庫装置に送信して出庫指示を行なう出庫指示受入手段とを備えたことを特徴とする蔵書貸出支援システム。
【請求項2】
前記管理サーバは、
蔵書が館外に持ち出し禁止の場合には、蔵書識別子に関連付けて持ち出し禁止フラグを記憶したデータ記憶手段と、
蔵書識別子と利用者識別子とを含む閲覧データと、蔵書識別子及び利用者識別子を含むデータを記録した業務データ記憶手段とに更に接続され、
前記管理サーバが、
前記自動書庫装置から、出庫指示のあった蔵書を出庫したことを示すデータを取得した場合には、出庫した蔵書を特定する蔵書識別子データ及びこの蔵書の出庫指示を行なった利用者の利用者識別子を取得し、これらデータを業務データ記憶手段に記録し、
前記蔵書識別子に対して持ち出し禁止フラグが記録されていた場合には、取得した蔵書識別子及び利用者識別子を含む閲覧データを生成して、業務データ記憶手段に記録し、
前記蔵書識別子に対して持ち出し禁止フラグが記録されていない場合には、取得した蔵書識別子及び利用者識別子を含む貸出データを生成して、業務データ記憶手段に記録する手段と
を更に備えたことを特徴とする請求項1に記載の蔵書貸出支援システム。
【請求項3】
蔵書を収納する自動書庫装置と、
この自動書庫装置及びユーザ端末に接続されとともに、蔵書を特定する蔵書識別子と前記自動書庫装置において収納されていることを示す収納識別フラグとを含む蔵書データを記録した蔵書データ記憶手段、蔵書識別子に関連付けて、蔵書が自動書庫の配架位置にない場合には「取出済」フラグが記録される蔵書ステータスを記憶した記憶手段、及び利用者を特定する利用者識別子と自動書庫に対する出庫指示権限があることを示す権限フラグとを含む利用者データを記録した利用者データ記憶手段に接続される管理サーバとを備え、蔵書の貸出を支援する方法であって、
前記管理サーバが、
前記ユーザ端末から検索条件データを含む検索要求を取得する検索条件情報取得段階、
前記検索条件に該当する蔵書データを前記蔵書データ記憶手段から抽出し、抽出した蔵書データに収納識別フラグが記録されている場合には、この蔵書の蔵書ステータスを取得する段階、
取得した蔵書ステータスにおいて「取出済」フラグが記録されている場合には、この蔵書について「閉架」の表示を行なう画面データを生成し、
取得した蔵書ステータスにおいて「取出済」フラグが記録されていない場合には、この蔵書を取り出すための取出リンクを含む画面の画面データを生成し、
生成した画面データを、前記ユーザ端末に送信する検索結果表示画面生成段階、
前記ユーザ端末から前記利用者識別子を取得し、前記利用者データ記憶手段のデータと比較してユーザ認証を行なう認証処理段階、及び
前記ユーザ端末から前記取出リンクの選択に基づいて送信された蔵書識別子を取得し、かつ前記ユーザ認証により特定された利用者の権限フラグが記録されている場合には、前記蔵書識別子を前記自動書庫装置に送信して出庫指示を行なう出庫指示受入段階を実行することを特徴とする蔵書貸出支援方法。
【請求項4】
蔵書を収納する自動書庫装置と、
この自動書庫装置及びユーザ端末に接続されとともに、蔵書を特定する蔵書識別子と前記自動書庫装置において収納されていることを示す収納識別フラグとを含む蔵書データを記録した蔵書データ記憶手段、蔵書識別子に関連付けて、蔵書が自動書庫の配架位置にない場合には「取出済」フラグが記録される蔵書ステータスを記憶した記憶手段、及び利用者を特定する利用者識別子と自動書庫に対する出庫指示権限があることを示す権限フラグとを含む利用者データを記録した利用者データ記憶手段に接続される管理サーバとを用いて、蔵書の貸出を支援するプログラムであって、
前記管理サーバを、
前記ユーザ端末から検索条件データを含む検索要求を取得する検索条件情報取得手段、
前記検索条件に該当する蔵書データを前記蔵書データ記憶手段から抽出し、抽出した蔵書データに収納識別フラグが記録されている場合には、この蔵書の蔵書ステータスを取得する手段と、
取得した蔵書ステータスにおいて「取出済」フラグが記録されている場合には、この蔵書について「閉架」の表示を行なう画面データを生成し、
取得した蔵書ステータスにおいて「取出済」フラグが記録されていない場合には、この蔵書を取り出すための取出リンクを含む画面の画面データを生成し、
生成した画面データを、前記ユーザ端末に送信する検索結果表示画面生成手段、
前記ユーザ端末から前記利用者識別子を取得し、前記利用者データ記憶手段のデータと比較してユーザ認証を行なう認証処理手段、及び
前記ユーザ端末から前記取出リンクの選択に基づいて送信された蔵書識別子を取得し、かつ前記ユーザ認証により特定された利用者の権限フラグが記録されている場合には、前記蔵書識別子を前記自動書庫装置に送信して出庫指示を行なう出庫指示受入手段として機能させることを特徴とする蔵書貸出支援プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−233156(P2011−233156A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−136312(P2011−136312)
【出願日】平成23年6月20日(2011.6.20)
【分割の表示】特願2006−216047(P2006−216047)の分割
【原出願日】平成18年8月8日(2006.8.8)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】