説明

薄型偏平ブラシレスモータ

【目的】従来の回転軸をなくした全く新しいタイプの超薄型偏平ブラシレスモータを提供する。
【構成】固定子が平面に配列され、該平面に沿ってローターヨークが回転する偏平型ブラシレスモータにおいて、モータの厚み方向に穴あき回転軸2が配置され、穴あき回転軸2の内周にはマグネット4が固着されたローターヨーク7が固定され、穴あき回転軸2の外周には固定子に対して回転自在に支持する軸受け1が固定されるように構成する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、薄型偏平ブラシレスモータの構造に関し、特に薄型偏平ブラシレス振動モータや、薄型偏平ブラシレスファンモータの構造に関する。
【0002】
【従来の技術および課題】従来より、パソコン等に内蔵されるファンモータや携帯電話等の振動報知用振動モータは、最近のダウンサイジング化が叫ばれ、これに内蔵される各種モータの薄型化は、厚さ3mmを下回りさらなる薄型化が要求されている。
【0003】従来薄型偏平ブラシレスモータの例を図5に示す。図5中12は回転軸,11は軸受け,13は抜け止めワッシャー,14はマグネット,15はコイル,16はプリント基板,17はローターヨーク,18は吸引ヨーク,19はスラストライナー,20は樹脂である。
【0004】薄型偏平ブラシレスモータは、その薄型化のため、従来2個あった軸受けを1個に減らし、図5に示すように、回転軸12をロータブッシュ21でマグネット14が固定されたロータヨーク17にスラストライナー19を介して保持し、抜け止めワッシャー13でロータ部の抜け止めを行い、前記回転軸12に1個の軸受け11を介して、プリント基板16上に回転軸12を中心に放射方向に複数のコイル15が固定された樹脂20よりなる固定子板を回転自在に軸支した構成を考案した。
【0005】しかしながら、さらなる薄型化を図るためには、回転軸が存在している限り、その保持に軸受け以外の部品スペースが必要であり、さらに、抜け止めやスラスト受けにスペースが必要で、これ以上薄型化できないという問題があった。
【0006】本発明の目的は、上記のような欠点を解決し、従来の回転軸をなくした全く新しいタイプの薄型偏平ブラシレスモータを提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、前記従来の課題を解決するためになされたもので、請求項1記載の発明は、固定子が平面に配列され、該平面に沿ってローターヨークが回転する偏平型ブラシレスモータにおいて、モータの厚み方向に穴あき回転軸2が配置され、穴あき回転軸2の内周にはマグネット4が固着されたローターヨーク7が固定され、穴あき回転軸2の外周には固定子に対して回転自在に支持する軸受け1が固定されるように構成したものである。
【0008】また、請求項2記載の発明は、請求項1記載の薄型偏平ブラシレスモータにおいて、穴あき回転軸2には軸受け1の抜け止め用ストッパ3が設置され、ステータ用コイル5がプリント基板上に樹脂10により固定され、前記樹脂10よりなる固定子板が、前記1個の軸受け1の外周に固定されるように構成して振動モータ型薄型偏平ブラシレスモータとしたものである。
【0009】また、請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の薄型偏平ブラシレスモータにおいて、ロータマグネット4が回転中心に対して不平衡な分銅型形状に形成され、中心円部のみ着磁されている構成としたものである。
【0010】また、請求項4記載の発明は、請求項1または2記載の薄型偏平ブラシレスモータにおいて、前記ローターヨーク7にフィンが設けてファンモータ型薄型偏平ブラシレスモータとしたものである。
【0011】
【作用】本発明によると、回転軸に穴あきの円筒パイプを使用することにより、穴の片側にはロータヨークのバーリング部を挿入固定でき、もう片方の穴にはストッパーを挿入固定することで、回転軸を保持できるので、厚み方向のスペースが不要となり、偏平ブラシレスモータの薄型化が図れ、部品点数も少なくできる。
【0012】また、上記構造の薄型偏平ブラシレスモータのロータマグネット4が回転中心に対して不平衡な分銅型形状に形成することにより、超薄型の振動モータが提供できる。さらに、中心円部のみ着磁されている構成としたことにより、磁気回路上のバランスのよい良好な振動が発生できる薄型の振動モータが提供できる。
【0013】また、上記構造の薄型偏平ブラシレスモータのローターヨークに送風用のフィンを形成することにより、超薄型のファンモータが提供できる。
【0014】
【実施例】以下、本発明の第1の実施例について、図面を参照して説明する。図1は本発明の第1実施例の薄型偏平ブラシレスモータを説明する断面図、図2は同本発明の第1実施例の薄型偏平ブラシレスモータを説明する図である。
【0015】図1に示す薄型偏平ブラシレスモータにおいて、2は穴あき回転軸,1は軸受け,3は抜け止めストッパー,4はマグネット,5はコイル,6はプリント基板,7はローターヨーク,8は吸引ヨーク,9はスラストライナー,10は樹脂である。
【0016】本発明の第1実施例の薄型偏平ブラシレスモータによると、その薄型化のため、回転軸に穴あきの円筒パイプ2を使用し、この穴の片側にはロータマグネット4が固定されたロータヨーク7のバーリング部を挿入固定し、もう片方の穴には抜け止め用のストッパー3を挿入固定することで、回転軸を保持している。
【0017】また、軸受けは1個使いで、軸受け1の内周は穴あき回転軸2の外周に装着し、軸受け1の上端をスラスト受けとし、ロータ部との間にスラストライナー9を配置し、軸受け1の外周は、プリント基板6上に穴あき回転軸2を中心に放射方向に3個のコイル5が固定された樹脂20よりなる固定子の中心穴内周に固定され、前記ロータ部を回転自在に軸支して構成している。
【0018】以上詳細に説明したように本発明の構成では、回転軸を保持する厚み方向のスペースが不要となり、偏平ブラシレスモータの超薄型化が図れ厚さ1.2mmが可能となった。また、部品点数も10種類と少なくなり、低コスト化と高生産性が達成できた。
【0019】以下、本発明の第2の実施例について、図面を参照して説明する。図3は本発明の第2実施例の振動モータ型薄型偏平ブラシレスモータを説明する断面図、図2は同本発明の第2実施例の振動モータ型薄型偏平ブラシレスモータを説明する図である。
【0020】本発明の第2実施例の薄型偏平ブラシレスモータによると、実施例1の構造の薄型偏平ブラシレスモータにおいて、図4に示すように前記ロータマグネット4を回転中心に対して不平衡な分銅型形状に形成することにより、超薄型の振動モータを構成した。さらに、中心円部のみ4極着磁した構成としたことにより、磁気回路上のバランスは崩さず、偏心分銅のアンバランスだけの良好な振動が低消費電流で発生できた。
【0021】本発明の第3実施例の薄型偏平ブラシレスモータによると、実施例1の構造の薄型偏平ブラシレスモータにおいて、前記ローターヨークに送風用のフィンを形成することにより、薄型パソコン等の内部に設置できる超薄型のファンモータが構成できた。
【0022】
【発明の効果】本発明の薄型偏平ブラシレスモータによると、実施例で詳細に説明したとおり、回転軸に穴あきの円筒パイプを使用することにより、穴の片側にはロータヨークのバーリング部を挿入固定でき、もう片方の穴にはストッパーを挿入固定することで、回転軸を保持できるので、厚み方向のスペースが不要となり、偏平ブラシレスモータの薄型化が図れ、部品点数も少なくでき、低コストで超薄型の偏平ブラシレスモータが提供できる。
【0023】また、上記構造の薄型偏平ブラシレスモータのロータマグネット4が回転中心に対して不平衡な分銅型形状に形成することにより、超薄型の振動モータが提供できる。さらに、中心円部のみ着磁されている構成としたことにより、磁気回路上のバランスのよい良好な振動が発生できる薄型の振動モータが提供できる。
【0024】また、上記構造の薄型偏平ブラシレスモータのローターヨークに送風用のフィンを形成することにより、超薄型のファンモータが提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例を説明する薄型偏平ブラシレスモータの断面図である。
【図2】本発明の第1の実施例を説明する薄型偏平ブラシレスモータの説明図である。
【図3】本発明の第2の実施例を説明する振動型薄型偏平ブラシレスモータの断面図である。
【図4】本発明の第2の実施例を説明する振動型薄型偏平ブラシレスモータの説明図である。
【図5】従来例の薄型偏平ブラシレスモータを示す断面図である。
【符号の説明】
1 軸受け
2 穴あき回転軸
3 ストッパー
4 マグネット
5 コイル
6 プリント基板
7 ローターヨーク
8 吸引ヨーク
9 スラストライナー
10 樹脂

【特許請求の範囲】
【請求項1】 固定子が平面に配列され、該平面に沿ってローターヨークが回転する偏平型ブラシレスモータにおいて、モータの厚み方向に穴あき回転軸が配置され、該穴あき回転軸の内周にはマグネットが固着されたローターヨークが固定され、該穴あき回転軸の外周には固定子に対して回転自在に支持する軸受けが固定されていることを特徴とする薄型偏平ブラシレスモータ。
【請求項2】 前記穴あき回転軸には前記軸受けの抜け止め用ストッパが設置され、ステータ用コイルがプリント基板上に樹脂により固定され、前記樹脂よりなる固定子板が、前記1個の軸受けの外周に固定されていることを特徴とする請求項1記載の薄型偏平ブラシレスモータ。
【請求項3】 請求項1または2記載の薄型偏平ブラシレスモータにおいて、ロータマグネットが回転中心に対して不平衡な分銅型形状に形成され、中心円部のみ着磁されていることを特徴とする振動モータ型薄型偏平ブラシレスモータ。
【請求項4】 請求項1または2記載の薄型偏平ブラシレスモータにおいて、前記ローターヨークにフィンが設けられていることを特徴とするファンモータ型薄型偏平ブラシレスモータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2000−50601(P2000−50601A)
【公開日】平成12年2月18日(2000.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平10−212314
【出願日】平成10年7月28日(1998.7.28)
【出願人】(000240477)並木精密宝石株式会社 (210)
【Fターム(参考)】