説明

薄板の連結機構、及び包装箱

【課題】1枚の薄板から折り曲げによって組み立てられる包装箱において、少なくとも2枚の仕切り板を相互に略垂直な状態で配置して少なくとも3つの部屋を形成しうるような新規な機構を提供する。
【解決手段】底板1aから上方にかつ第1仕切り板95に対し略直角状態となるように延在させ、係合用突起21を有する溝状の第1切り欠き部20を設けた第2仕切り板2aと、側板3aから延在させ、溝状の第2切り欠き部30、及び係合用突起21に係合する係合部41を設けた内側板4とを備えている薄板の連結機構51及びこの連結機構51を備えた包装箱101である。第2仕切り板2aの第2切り欠き部30を、内側板4の第1切り欠き部20内にこれらが互いに略直交するように挿入すると、内側板4が揺動して係合部41が係合用突起21に係合し、これにより、第2仕切り板2aと内側板4とが互いに連結する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄板の連結機構、及びこの連結機構を備えた包装箱に関する。さらに詳しくは、本発明は、携帯電話のような精密機器用包装箱の内部に設けられる仕切り板と内側板とを、これらが略直交するように連結固定するための薄板の連結機構、及びこの連結機構を備えた包装箱に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、精密機器、例えば、携帯電話やビデオカセット等を収納する包装箱は、精密機器保護のための緩衝側壁と底板とを有すると共に、仕切り板によって複数の部屋に仕切られている。このようなタイプの包装箱では、製造工程の簡素化の観点から、段ボールなどの折り曲げ可能であってある程度の弾性を示す薄板(以下、単に「薄板」という。)1枚から形成されている。
【0003】
例えば、ビデオカセット及びその付属部品を収納する、仕切り付き包装用箱が知られている(以下の特許文献1、参照)。この特許文献1の開示によれば、仕切り板14を長手方向に沿って配設して2つの部屋を形成し、さらに、2つの部屋の一方には緩衝壁を設けると共に、他方の部屋には間隔保持板19を設けている(特許文献1の図3)。これら緩衝壁および間隔保持板19は、仕切り板15に対し垂直な状態で配置されている。このように特許文献1開示の包装箱には、大きいビデオカセットAや充電器Dを収納する部屋が存在する。
【0004】
しかしながら、特許文献1開示の包装箱では、設計上、緩衝壁および間隔保持板19は、各々、小さい乾電池CおよびバッテリーEを収納する凹部しか設けることができず(特許文献1の図3)、実質的に大きな物品を収納する部屋は、2つだけである。
【0005】
【特許文献1】特開平08−244757号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、1枚の薄板から折り曲げによって組み立てられる包装箱において、少なくとも2枚の仕切り板を相互に略垂直な状態で配置して少なくとも3つの部屋を形成しうるような新規な機構を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、前記課題を解決すべく鋭意検討した結果、3つの部屋を形成するための付加的な仕切り板として、底板の一部を立ち上げ、立ち上げた仕切り板と、この立ち上げた仕切りと略垂直な側板延在部分(内側板)とを連結させることより、新規な連結機構の構築に成功し、これにより、前記課題を解決できることを見出し、この知見に基づき本発明が完成するに至ったのである。
【0008】
なお、薄板を用いて2つの部位を連結する方法として、一般に、蓋と、本体とを連結する方法のように、挿入口と挿入片との連結方法などが知られている〔特開2006−103728号公報等〕が、これら既知の方法は、いずれも、単に、相互に平行な部位を連結しているにすぎない。
【0009】
すなわち、本発明は、折り曲げ可能であって弾性を示す1枚の薄板から形成され底板、側板、及び包装箱内を仕切る第1仕切り板を有する包装箱における薄板の連結機構であって、前記底板から上方にかつ前記第1仕切り板に対し略直角状態となるように延在させ、係合用突起を有する溝状の第1切り欠き部を設けた第2仕切り板と、前記側板から延在させ、溝状の第2切り欠き部、及び前記係合用突起に係合する係合部を設けた内側板とを備え、前記第2仕切り板の前記第2切り欠き部を前記内側板の前記第1切り欠き部内に、これらが互いに略直交するように挿入すると、前記内側板が揺動して前記係合部が前記係合用突起に係合し、これにより、前記第2仕切り板と前記内側板とが互いに連結していることを特徴とする薄板の連結機構、及びこの薄板の連結機構を備えていることを特徴とする包装箱を提供する。
【0010】
また、本発明によれば、好適には、前記内側板は、前記側板と前記内側板との間の折り目で、前記包装箱の内側に向かって前記薄板を折り曲げて配置されており、前記薄板の前記折り曲げによる弾性回復力によって、前記内側板は、揺動する。
【0011】
さらに、本発明によれば、前記係合用突起は、フック状に形成され、前記係合部は、溝状の切り欠き部として形成されていることが好適である。
【0012】
さらに、本発明によれば、前記内側板は、前記側板と離間するように、前記薄板を前記包装箱の内側に向かって少なくとも2箇所折り曲げて配置され、前記側板と前記内側板との間に収容物を保護するための緩衝用空間が形成されていることが好適である。
【0013】
さらに、本発明によれば、前記係合部と前記係合用突起との係合している部分は、前記緩衝用空間の内部に存在していることが好適である。
【0014】
さらに、本発明によれば、前記仕切り板は、面同士が互いに重ね合わされて配置される二重構造の仕切り板であることが好適である。
【0015】
さらに、本発明によれば、前記第1切り欠き部の切り欠き深さと前記第2切り欠き部の切り欠き深さとが略等しいことが好適である。
【0016】
さらに、本発明によれば、前記緩衝用空間に指を挿入するための孔が前記底板に設けられていることが好適である。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、本発明の構成要件、特に、内側板に設けた溝状の第2切り欠き部を、第2仕切り板に設けた溝状の第1切り欠き部内に挿入すると、内側板が示す弾性力(薄板の折曲げ後の弾性回復力)を介し、内側板が揺動して、この内側板に設けた係合部を、第2仕切り板に設けた係合用突起に係合させることができる。これにより、第1仕切り板に対して略直角に配置される第2仕切り板と、内側板とを連結固定でき、第2仕切り板が立設した状態を形成することができる。これにより、少なくとも2枚の仕切り板(第1仕切り板、第2仕切り板)を、相互に略垂直な状態で配置して、少なくとも3つの部屋を形成できるという、技術的効果を奏することができたのである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
前記したように、本発明は、折り曲げ可能であって弾性を示す1枚の薄板100から形成され底板1、側板3、及び包装箱内101を仕切る第1仕切り板95を有する包装箱101における薄板の連結機構51であって、底板1aから上方にかつ第1仕切り板95に対し略直角状態となるように延在させ、係合用突起21を有する溝状の第1切り欠き部20を設けた第2仕切り板2aと、側板3aから延在させ、溝状の第2切り欠き部30、及び係合用突起21に係合する係合部41を設けた内側板4とを備え、第2仕切り板2aの第2切り欠き部30を内側板4の第1切り欠き部20内に、これらが互いに略直交するように挿入すると、内側板4が揺動して係合部41が係合用突起21に係合し、これにより、第2仕切り板2aと内側板4とが互いに連結していることを特徴とする、薄板の連結機構51、及びこの薄板の連結機構51を備えていることを特徴とする包装箱101(番号は、添付の図1〜3を参照)を提供する。
【0019】
ここで、「折り曲げ可能であって弾性を示す(1枚の)薄板」とは、例えば、紙や樹脂製(例えば、プラスチック製)の薄板、例えば、紙製段ボール、プラスチック段ボール、チップボールなどの厚紙をいう。
【0020】
また、「前記内側板4が揺動して前記係合部41が前記係合用突起21に係合し」には、少なくとも2つの態様が包含される。
【0021】
第1の態様によれば、係合用突起21は、溝状の第1切り欠き部20における側板3aに近い側の上端部に設けられている(図3、参照)。また、係合部41(特に図4、参照)は、係合部41が係合用突起21に係合された状態において、折り曲げられて形成された内側板4の側板3aに近い面(4b)に設けられている。この場合、内側板4は、図3に示す、折り曲げられた内側板4の折り曲げ部9における弾性回復力によって、揺動し、その結果、係合することができる(図5及び図6、参照)。
【0022】
第2の態様によれば、係合用突起21は、溝状の第1切り欠き部20における側板3aから遠い側の上端部に設けられている。また、係合部41は、側板3aに遠い面(4a)に設けられている(図3、参照)。この場合、折り曲げられた薄板100の側板3aと内側板4との間の折り目α1における弾性回復力によって、揺動し、その結果、係合することができ、揺動する方向は、前記第1の態様とは逆の方向である。
なお、折り目α2における弾性回復による力も上記弾性回復力に相当するものである。
【0023】
次に、添付の図面を参照しながら、本発明を実施するための最良の形態を説明することにより、本発明を更に詳しく説明する。
【0024】
図1は、本発明に係る薄板の連結機構を備えた本発明に係る包装箱の一実施形態を示す斜視図である。また、図2は、図1に示す包装箱101の展開図である。
【0025】
本実施形態の包装箱101は、携帯電話本体及びその付属品類を収容するための内箱に係る段ボール製の包装箱であり、通常、携帯電話本体などが収容されたこの包装箱101を包むもう1つの外箱(不図示)の中に入れられて使用される。図2に示すように、薄板100は、凹凸状の中芯が中空部に設けられた紙製の段ボールであって、上記凹凸が繰り返される方向である流れ方向が、E方向とされている。
【0026】
図1及び図2に示すように、本実施形態の包装箱101は、1枚の薄板100を複数箇所折り曲げて形成されたもので、底板1、側板3、第1仕切り板95、第2仕切り板2、及び内側板4を備えている。そして、内側板4と側板3aとの間には、収容物を保護するための緩衝用空間Dが形成されている。また、側板3の全ての両端部には、下方に突出する脚用突起31が設けられている。
【0027】
ここで、包装箱101内の空間は、第1仕切り板95及び第2仕切り板2により3つの部屋に仕切られている。第1仕切り板95と第2仕切り板2とは相互に略垂直に配置された仕切りであり、また、第2仕切り板2と緩衝用空間Dを形成する内側板4とは相互に略垂直に交差するように連結されている。そして、内側板4と第1仕切り板95とは相互に略平行に配置されている。なお、第2仕切り板2と内側板4との連結機構51については、図3等を参照して後で説明する。
【0028】
これら3つの部屋のうち、例えば、部屋Aには携帯電話の充電器及びそのコードが収容され、内底板91が配置された部屋Bには携帯電話本体が収容され、部屋Cには携帯電話のバッテリーが収容される。また、本実施形態の包装箱101では、内側板4と側板3aとの間に形成され側板3aに隣接する緩衝用空間Dだけでなく、他の側板3b〜3cに隣接する部位にも収容物を保護するための緩衝用空間が形成されている。この緩衝用空間により、外部からの衝撃力などから収容物を適切に保護することができる。
【0029】
ここで、内底板91は、側板3cに連なる部分であり、包装箱101の内側に向かって薄板100を折り曲げて、底板1に重ね合わされるように配置されるものである。また、第1仕切り板95は、内底板91に連なる部分であり、内底板91から上方に立ち上がるように薄板100を折り曲げて配置されるものである。このような構成とすることで、第1仕切り板95を、1枚の薄板100の一部として形成することができる。
【0030】
また、図2に示すように、本実施形態の包装箱101は、第1仕切り板95、第2仕切り板2、内側板4、側板3、及び底板1など全て1枚の薄板100を折り曲げて形成されている。よって、包装箱101を組み立てる場合の接着による固定箇所は1箇所であり、接着等による固定工程は、接着剤塗布部71に接着剤を塗布し、次に貼り合せ部72に接着剤塗布部71を重ね合わせて押圧するのみである。よって、包装箱101を組み立てるに際して接着等による固定工程を非常に少なくすることができ、包装箱101の製造工程の簡素化を図ることができている。
【0031】
また、上記のように、第1仕切り板95、第2仕切り板2、及び内側板4は、1枚の薄板100を折り曲げて形成されているため、包装箱101の内部空間を仕切る仕切りや、外力から収容物を保護するための緩衝壁としての機能だけではなく、包装箱101の構造部材としての機能も有し、包装箱101の強度向上にも寄与する。
【0032】
次に図1に示す緩衝用空間Dについて説明する。緩衝用空間Dは、図1及び図2に示すように、内側板4が、側板3aと離間するように、薄板100を包装箱101の内側に向かって2箇所(曲がり部α1、α2)折り曲げて配置されることにより、内側板4と側板3aとの間に形成される空間である。
【0033】
このように、緩衝用空間Dは、包装箱101を形成する薄板100を折り曲げることで形成される。これにより、複数の薄板を複雑に組み合わせたり、発砲スチロール等の嵩張る緩衝部材を用いたりすることなく、簡易に収容物を保護するための緩衝用空間を形成することができる。
【0034】
次に、図3は、図1に示す薄板の連結機構51を詳細に説明する斜視図である。図4は、図3の内側板4に設けられた嵌合部41を示す斜視図である。図5は、図3の第2仕切り板2と内側板4とが連結される途中の状態を示す側面図である。また、図6は、図3の第2仕切り板2と内側板4とが連結された状態を示す側面図である。ここで、図3〜図6は、図1に示す本発明に係る薄板の連結機構の一実施形態(前記した第1の実施態様)である薄板の連結機構51を説明するための図である。
【0035】
図3及び図4に示すように、本実施形態の薄板の連結機構51に係る第2仕切り板2には、フック状に形成された係合用突起21を有する溝状の第1切り欠き部20が設けられている。また、内側板4には、溝状の第2切り欠き部30及び係合用突起21に係合する係合部41が設けられている。ここで、係合部41は、溝状の切り欠き部として形成されている。また、内側板4は、折り曲げ部9で折り曲げられて形成され、二重構造となっている。
【0036】
このように、係合用突起21がフック状に形成され、また、内側板4の係合部41が溝状の切り欠き部として形成されていることにより、第2仕切り板2と内側板4とは、外れにくく効果的に連結固定される。
【0037】
この第2仕切り板2と内側板4とが互いに略直角に交差するように、内側板4が折り曲げられた状態で、内側板4の第2切り欠き部30が、第2仕切り板2の第1切り欠き部20に差し込まれる。
【0038】
図5及び図6に示すように、内側板4は、折り曲げ部9で折り曲げられて弾性変形が抑制された形で第2仕切り板2の第1切り欠き部20に差し込まれていく。そして、図4に示す内側板4aに設けられた係合部41と、第2仕切り板2に設けられた係合用突起21の位置が互いに重なったとき、折り曲げられた内側板4aは、折り曲げ部9の弾性回復による弾性力により係合用突起21側に倒れ(揺動し)、係合部41は係合用突起21に係合する。このようにして、第2仕切り板2と内側板4とは接着剤等の手段を用いなくとも容易に外れないように互いに連結固定される。
【0039】
この薄板の連結機構51を用いることにより、薄板100で形成された包装箱101の内部空間に、相互に略垂直に配置される第1仕切り板95と第2仕切り板2とからなる仕切りが形成され、これら仕切りにより3つの部屋を包装箱101内部に形成することが可能となる。
【0040】
ここで、図6に示すように、係合部41と係合用突起21との係合している部分は、緩衝用空間Dの内部に存在している。このため、係合部41と係合用突起21との係合している部分が、故意又は偶発的に非係合状態となることを回避することができる。
【0041】
また、第1切り欠き部20及び第2切り欠き部30の切り欠き深さは互いにほぼ等しくなっている。これにより、切り欠き深さが一方は深く他方は浅い場合と比較して、互いに連結固定された第2仕切り板2と内側板4との連結部の強度は全体として高くなる。
【0042】
なお、内側板4に連なる調整部8を設けてもよい。この調整部8は、本実施形態に係る薄板100の製造過程において有効なものである。1枚の薄板100は、例えば、パンチング加工により生産されるものである。ここで、図2に示す加工された組み立て前の薄板100を、例えば、ベルトコンベア等の手段を用いて搬送し、その後、箱詰めする場合に、薄板100の長辺を搬送路に沿わせて平行な状態で搬送できるように調整部8を設けた薄板100を形成すれば、搬送・箱詰め等の作業が容易となる。すなわち、この調整部8を設けることで、薄板100の長辺を搬送路に沿わせて平行な状態で搬送できるようになり、箱詰め作業においても複数の薄板100を揃えやすいという長所がある。
【0043】
ここで、調整部8に切り欠き81(図4)を設けているのは、図5及び図6に示すように、第2仕切り板2の端部と干渉しないようにするためである。
【0044】
次に、図7〜図9は、いずれも図1の包装箱101が組み立てられる途中の状態を示す図である。
【0045】
包装箱101が組み立てられるに際し、加工された1枚の平板である薄板100は、まず、接着剤塗布部71に接着剤が塗布され、貼り合せ部72に接着剤塗布部71を重ね合わせ、各側板(3a〜3d)間の折り目(3箇所)を略直角に折り曲げて矩形の筒状にされる。次に、図7に示すように、各側板(3b〜3d)に連なる底板(1a〜1c)を適宜内側に折り曲げて互いに係合させ包装箱101の底板を形成していく。
【0046】
そして、底板1aに連なる第2仕切り板2aは、包装箱101内を仕切るように、底板1aと第2仕切り板2aとの間の折り目10aで薄板100を略直角に折り曲げて配置されていく。第2仕切り板2aと底板1aとは1枚の薄板100の一部として一体形成されているので、第2仕切り板2aは、包装箱101の内部空間を仕切る仕切り板としての機能だけではなく、包装箱101の構造部材としての機能も有することになる。
【0047】
また、第2仕切り板2bも、第2仕切り板2aと同様に、包装箱101内を仕切るように、底板1bと第2仕切り板2bとの間の折り目10bで薄板100を略直角に折り曲げて配置されており、第2仕切り板2aと第2仕切り板2bとは、面同士が互いに重ね合わされて配置される2つの仕切り板である(図8参照)。これにより、第2仕切り板2(2a及び2bからなる)は二重構造となり、一重構造の薄板よりも強度が向上する。
【0048】
ここで、図7に示すように、本実施形態の包装箱101の底板1(1a、1b)には、図1に示す緩衝用空間Dに指を挿入するための孔61が設けられている。この孔61は、主として、前記した係合状態を解除するのに用いられる。例えば、本発明の包装箱101の使用後に、包装箱101を分解して廃棄する際、底板1を押し下げ、次いで前記孔61に指を挿入して非係合状態となる方向に持ち上げることによって係合状態を解除することができる。また、単に、孔61に指を挿入して前記した係合状態が正常であるか否かを確認することもできる。
【0049】
次に、図8に示すように、組み立て途中の包装箱101の上下を裏返し、底板1が下部になるようにする。そして、側板3b及び3dに連なる部分を包装箱101の内側に折り曲げ、側板3b及び3dに沿う緩衝用空間を形成する。
【0050】
次に、図9に示すように、第2仕切り板2(2a、2b)と内側板4とが互いに略直角に交差するように、側板3aと内側板4との間の折り目11で薄板100を包装箱101の内側に向かって折り曲げて、内側板4の第2切り欠き部30を第2仕切り板2の第1切り欠き部20に差し込んでいく。このようにして、互いに略直角に交差する第2仕切り板2と内側板4とが連結固定され、包装箱101の内部空間を仕切る第2仕切り板2が配置される。
【0051】
そして、前記したように、側板3cに連なる内底板91が、薄板100を包装箱101の内側に折り曲げて底板1に重ね合わされるように包装箱101内に配置され、内底板91に連なる第1仕切り板95が、内底板91から上方に立ち上がるように薄板100を折り曲げて配置される(図1参照)。
【0052】
一方、図9に示すように、側板3(3a、3b、3c、3d)の全ての両端部には、下方に突出する脚用突起31が設けられている。これにより、包装箱101の下部空間を、収容物を保護するための緩衝用空間として利用することができ、また、この下部空間を一つの分離された収容物の収容空間としても利用することができる。ここで、この下部空間に収容する収容物としては、例えば、比較的面積が大きく且つ薄い形状をした携帯電話の取扱説明書やコンパクトディスクなどが挙げられる。
【0053】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々に変更して実施することが可能なものである。
【0054】
例えば、図10は、本発明に係る包装箱の一変形例を示すための展開図である。ここで、この一変形例を、図2に示す本発明に係る包装箱の一実施形態に係る薄板100と比較して説明する。
【0055】
図10に示すこの一変形例に係る包装箱を形成する薄板102の第2仕切り板2’には、内底板支持部93’が設けられている。また、図10に示す第1仕切り板95’に設けられた仕切り板支持部96’は、対応する図2に示す仕切り板支持部96よりも大きい。さらに、第1仕切り板95’には、第3切り欠き部92’が設けられている。ここで、この第3切り欠き部92’は、第2仕切り板2’の内底板支持部93’に差し込まれて係合されるものである。
【0056】
包装箱が組み立てられた状態において、この一変形例に係る包装箱の内底板91’は、内底板支持部93’で支持され、対応する図1及び図2に示す内底板91よりも上方に配置される。すなわち、この一変形例に係る包装箱の内底板91’は、包装箱101の内底板91よりも底上げされて配置され、本構成により、収容物に合わせて適宜包装箱の底を底上げすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明に係る薄板の連結機構を備えた本発明に係る包装箱の一実施形態を示す斜視図である。
【図2】図1に示す包装箱の展開図である。
【図3】図1に示す薄板の連結機構を詳細に説明する斜視図である。
【図4】図3の内側板に設けられた嵌合部を示す斜視図である。
【図5】図3の第2仕切り板と内側板とが連結される途中の状態を示す側面図である。
【図6】図3の第2仕切り板と内側板とが連結された状態を示す側面図である。
【図7】図1の包装箱が組み立てられる途中の状態を示す図である。
【図8】図1の包装箱が組み立てられる途中の状態を示す図である。
【図9】図1の包装箱が組み立てられる途中の状態を示す図である。
【図10】本発明に係る包装箱の一変形例を示すための展開図である。
【符号の説明】
【0058】
1 底板
2 第2仕切り板
3 側板
4 内側板
20 第1切り欠き部
21 係合用突起
30 第2切り欠き部
41 係合部
51 薄板の連結機構
95 第1仕切り板
100 薄板
101 包装箱
D 緩衝用空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
折り曲げ可能であって弾性を示す1枚の薄板から形成され底板、側板、及び包装箱内を仕切る第1仕切り板を有する包装箱における薄板の連結機構であって、
前記底板から上方にかつ前記第1仕切り板に対し略直角状態となるように延在させ、係合用突起を有する溝状の第1切り欠き部を設けた第2仕切り板と、
前記側板から延在させ、溝状の第2切り欠き部、及び前記係合用突起に係合する係合部を設けた内側板とを備え、
前記第2仕切り板の前記第2切り欠き部を前記内側板の前記第1切り欠き部内に、これらが互いに略直交するように挿入すると、前記内側板が揺動して前記係合部が前記係合用突起に係合し、これにより、前記第2仕切り板と前記内側板とが互いに連結していることを特徴とする、薄板の連結機構。
【請求項2】
前記内側板は、前記側板と前記内側板との間の折り目で、前記包装箱の内側に向かって前記薄板を折り曲げて配置されており、
前記薄板の前記折り曲げによる弾性回復力によって、前記内側板は、揺動することを特徴とする、請求項1に記載の薄板の連結機構。
【請求項3】
前記係合用突起は、フック状に形成され、前記係合部は、溝状の切り欠き部として形成されていることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の薄板の連結機構。
【請求項4】
前記内側板は、前記側板と離間するように、前記薄板を前記包装箱の内側に向かって少なくとも2箇所折り曲げて配置され、
前記側板と前記内側板との間に収容物を保護するための緩衝用空間が形成されていることを特徴とする、請求項1〜請求項3に記載の薄板の連結機構。
【請求項5】
前記係合部と前記係合用突起との係合している部分は、前記緩衝用空間の内部に存在していることを特徴とする、請求項4に記載の薄板の連結機構。
【請求項6】
前記第2仕切り板は、面同士が互いに重ね合わされて配置される二重構造の仕切り板であることを特徴とする、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の薄板の連結機構。
【請求項7】
前記第1切り欠き部の切り欠き深さと前記第2切り欠き部の切り欠き深さとが略等しいことを特徴とする、請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の薄板の連結機構。
【請求項8】
請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の薄板の連結機構を備えていることを特徴とする、包装箱。
【請求項9】
請求項4又は請求項5に記載の薄板の連結機構を備え、
前記緩衝用空間に指を挿入するための孔が前記底板に設けられていることを特徴とする、包装箱。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−114885(P2008−114885A)
【公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−299765(P2006−299765)
【出願日】平成18年11月6日(2006.11.6)
【出願人】(596022248)株式会社ユーパック (5)
【Fターム(参考)】