説明

薄板ガラス原料の製造方法

【課題】砂製品を湿った状態のまま分別されてしまう。
【解決手段】原砂W1に水を加えてガラス原料の設定上限値より大きい粉砕設定値で粉砕する工程と、該粉砕砂W2から、上限値がガラス原料の設定上限値以上で粉砕設定値未満とした粉砕粒W2を通過させる篩分け工程と、通過粉砕砂W3から水分を除去する脱水工程と、脱水粉砕砂W7を乾燥させる工程と、乾燥粉砕砂W8を設定範囲内の粒径の規格内製品と規格外製品とに分別する工程とを有している。よって、規格外製品を処理工程の最後である分別工程で除去することで、乾燥粉砕砂W8の状態で分別することを可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば液晶モニターに使用する薄板ガラスの原料の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
薄板ガラスの主原料になる珪砂の原産地は、現在主にオーストラリアやマレーシアであり、日本はこれらの国々から輸入しているのが現状で、産出された原砂には様々の不純物が付着、混在しており、粒度も薄板ガラス原料に適していないため、輸入後不純物を除去すると共に所定粒径に粉砕して使用するのが一般的であり、上記原砂を乾式粉砕しているのが現状である。
【0003】
又、鉱石などを粉砕する方法として湿式粉砕は一般的であり、例えば原料供給装置と、湿式ロッドミルと、不要のダスト(微粒子)を分離する分級機と、給水装置とを有し、分級機から排出した砂製品を製品回収装置へ搬送貯溜する様にした湿式製砂設備が見受けられる(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特許第2776222号公報(特許請求の範囲、段落番号〔0004〕、〔0013〕、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記従来技術にあっては、湿った状態のままの砂製品を分別することから、分級済の粗粒砂に微細粒砂が付着した状態で排出され易く、よって正確な分別を行えないなど、解決せねばならない課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記従来技術に基づく、砂製品を湿った状態のまま分別されてしまう課題に鑑み、原砂に水を加えてガラス原料の設定上限値より大きい粉砕設定値で粉砕する工程と、該粉砕砂から、上限値がガラス原料の設定上限値以上で粉砕設定値未満とした粉砕粒を通過させる篩分け工程と、通過粉砕砂から水分を除去する脱水工程と、脱水粉砕砂を乾燥させる工程と、乾燥工程時に発生する排気から微粉製品を除去して乾燥粉砕砂に必要に応じて定量混入させる粒度調整工程と、乾燥粉砕砂を設定範囲内の粒径の規格内製品と規格外製品とに分別する工程とを有していることによって、原砂に付着、混在している不純物を乾燥工程前までに遊離させ水に含有させて除去可能にし、粉砕設定値以上の粒径の粉砕粒は篩分け工程で除去する一方で、規格内製品及び設定範囲以下の規格外製品を設定範囲以上の規格外製品と共に通過させることで、設定範囲内の規格内製品の流出を抑止する様にし、規格外製品を処理工程の最後である分別工程で除去することで、乾燥状態の粉砕砂を分別可能にして、上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0006】
要するに本発明は、原砂に水を加えてガラス原料の設定上限値より大きい粉砕設定値で粉砕する工程を有しているので、原砂に付着、混在している不純物を遊離させ水に含有させることが出来、湿式粉砕の場合、細かく粉砕し過ぎると水と共に流出除去され易いが、粗くしておけば、流出し易い細粒も流出し難い粗粒と一緒に流動させられるため、流出割合を減少させることが出来、又上記粉砕砂から、上限値がガラス原料の設定上限値以上で粉砕設定値未満とした粉砕粒を通過させる篩分け工程を有しているので、後述する分別工程で確実に除去される粉砕砂を、後述する脱水工程前に予め除去して脱水及び乾燥処理が必要な粉砕砂だけにすることが出来、通過粉砕砂から水分を除去する脱水工程と、脱水粉砕砂を乾燥させる工程と、乾燥粉砕砂を設定範囲内の粒径の規格内製品と規格外製品とに分別する工程とを有しているので、乾燥により粒同士を完全分離出来るため、規格内製品への不純物及び規格外製品の混入と、規格外製品への規格内製品の混入を可能な限り抑止出来、よって規格内製品の高品質化を図ることが出来ると共に、粒径を小さくすることでガラス製造時に溶融し易くなるため、燃料消費量を軽減してランニングコストを抑えることが出来る。
更に、粒径を小さくし過ぎてしまうと、ガラス製造時における炉内への原料投入の際に炉内に舞い上がり火の粉となって飛び散ってしまい易く、而も設定範囲に粉砕した粉砕粒の間に微粉が入り込んでしまって他原料が混ざり難くなってしまうが、本発明では設定範囲以下の微粒製品を除去する様に分別すれば、投入量分の原料をそのまま利用することが出来、粉砕粒の間の隙間が大きくなって他原料が混ざり易くすることが出来る。
而も、篩分け工程の次に選鉱工程を行った後に乾燥工程に移行させれば、篩分け工程で除去出来なかった重鉱物等を除去することが出来、乾燥工程後に篩分け装置によるチェック篩分け工程を行えば、篩分け工程後に誤って混入した異物を除去することか出来、更に分別工程の次に磁選工程を加えれば、乾燥工程以降に混入した鉄片などを除去することが出来るため、より高品質な原料製品を製造することが出来る。
尚且つ、篩分け工程前、選鉱工程前、乾燥工程前の各段階での泥漿をサイクロンに通して、粉砕砂から遊離された比較的軽量な微粒子などを含むオーバーフローを除去したアンダーフローのみを処理すれば、不純物が確実に除去された状態で処理出来るため、更に高品質な原料製品を製造することが出来る。
又、サイクロンによるオーバーフローの含有物として除去されてしまった微細粒のうち比較的重いものは、サンドコーンにより沈殿し、この沈殿物を抜き出して湿式粉砕工程後、篩分け工程後、選鉱工程後の泥漿に混ぜれば、沈殿物も乾燥処理されるため、粒度調整用に使用されたり、微粉製品又は設定範囲未満の規格外製品として別途利用可能な状態にすることが出来、原砂を更に無駄なく利用することが出来る。
【0007】
乾燥工程時に発生する排気から微粉製品を除去して乾燥粉砕砂に必要に応じて定量混入させる粒度調整工程を有したので、乾燥前に除去されてしまったり、乾燥機内で舞い上がって、乾燥粉砕砂中の微粉の残存量が微量になってしまっても、乾燥機用集塵機で捕集された微粉製品を定量混入することで粒度調整出来るため、ユーザーの要望に叶った規格内製品を提供することが出来る。
【0008】
篩分け工程における残留粉砕砂及び/又は分別工程における粗粒製品を原砂と共に湿式粉砕する様にしたり、篩分け工程における残留粉砕砂及び/又は分別工程における粗粒製品を再度湿式粉砕する工程を有し、この再粉砕砂を湿式粉砕工程による粉砕砂と共に脱水する様にしたので、原砂を無駄なく処理すべく設定範囲以上の規格外製品を湿式粉砕工程又は再湿式粉砕工程に回す場合、原砂全てを処理するに当たり乾燥工程時の処理量が原砂の総量より多くなってしまうこともあり得るが、篩分け工程の残留粉砕砂を再粉砕しておけば、乾燥工程後に分別工程で確実に除去されてしまう規格外製品の総量を乾燥前の段階で減らすことが出来るため、再粉砕せずに処理する場合より確実に乾燥工程時の処理量を減らすことが出来る。
尚且つ、再粉砕前の泥漿をサイクロンに通して、粉砕砂から遊離された比較的軽量な微粒子などを含むオーバーフローを除去したアンダーフローのみを処理すれば、不純物が確実に除去された状態で処理出来るため、更に高品質な原料製品を製造することが出来る等その実用的効果甚だ大である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明に係る薄板ガラス原料の製造システムにあっては、主に原砂の湿式粉砕機と、該湿式粉砕機から供給された粉砕砂の篩分け装置と、該篩分け装置を通過した粉砕砂の脱水装置と、該脱水装置から搬出された脱水粉砕砂の乾燥装置と、該乾燥装置から搬出された乾燥粉砕砂から所望範囲の粒径の原料製品を取り出す分別装置を備えている。
更に、上記篩分け装置への残留粉砕砂の再湿式粉砕手段を備えて、該再湿式粉砕手段による再粉砕砂及び篩分け装置による通過粉砕砂を乾燥処理する様にしても良い。
以下、具体的に説明する。
【0010】
以下、本発明の一実例を図面に基づき説明する。
図1は本発明に係る薄板ガラス原料の製造方法の工程を示す図であり、図2は薄板ガラス原料の製造システムの脱水工程までを示す概略図であり、図3は薄板ガラス原料の製造工程における脱水工程までを示すチャート図であり、図4は薄板ガラス原料の製造システムの脱水工程以降を示す概略図であり、図5は薄板ガラス原料の製造工程における脱水工程以降を示すチャート図であり、図6は原砂等の処理段階を説明するチャート図であり、かかる薄板ガラス原料製造システムは、始端側より、原砂投入装置1、湿式粉砕機2、篩分け装置3、再湿式粉砕手段、選鉱機4、脱水装置5、脱水粉砕砂投入装置6、乾燥装置7、チェック篩分け装置8、及び分別装置9を順次配設している。
【0011】
上記原砂投入装置1にあっては、図2に示す様に、原砂W1が投入される原砂ホッパ10と、該原砂ホッパ10の下方に配置したベルトフィーダー10a と、ベルトフィーダー10a から移載された原砂W1を湿式粉砕機2まで搬送する原砂コンベヤ11とを備えている。
【0012】
上記湿式粉砕機2にあっては、図2に示す様に、原砂コンベヤ11により投入された原砂W1に水を加えて(原砂:水=1:1〜1.5)、該原砂W1を粉砕するもので、例えばコニカルボールミルの様な粉砕機を使用し、この湿式粉砕機2の下流側に、粉砕砂W2及び水からなる泥漿を一時貯留する第1中継タンク12を配設している。
【0013】
上記篩分け装置3にあっては、図2に示す様に、複数の篩分け部13、13a …で多段階に篩分けする工程のものとし、各篩分け部13、13a …には少なくとも1個の篩分け機14を備え、該篩分け機14は円形振動篩とし、かかる篩分け装置3の下流側に該篩分け装置3を通過した粒径0.19mm未満の通過粉砕砂W3と水からなる泥漿を一時貯留する第2中継タンク13を配設している。
具体的には、第1篩分け部14に2個の篩分け機14、14を備え、第2篩分け部14a にも2個の篩分け機14、14を備え、第1篩分け部14の篩分け機14、14を通過した粉砕砂W3を第2篩分け部14a の篩分け機14、14に投入し、該第2篩分け部14a の篩分け機14、14を通過した通過粉砕砂W3を含む泥漿が第2中継タンク15に一時貯留される様に成っている。
【0014】
上記再湿式粉砕手段にあっては、図2に示す様に、上記湿式粉砕機2を利用したり(パターン1)、或いは再湿式粉砕機16を別途設けている(パターン2)。
上記パターン1の場合、各篩分け部13、13a …の篩分け機14への残留粉砕砂W4を原砂投入装置1まで搬送する搬送装置17(図2の点線で示す)を備えている。
上記パターン2の場合、再湿式粉砕機16への残留粉砕砂投入装置18を備え、該残留粉砕砂投入装置18は、残留粉砕砂W4が投入される残留粉砕砂ホッパ19と、該残留粉砕砂ホッパ19の下方に配設したベルトフィーダー19a とを備え、再湿式粉砕機16の下流側に、再粉砕砂W5及び水からなる泥漿を一時貯留する第3中継タンク20を配設している。
【0015】
上記選鉱機4にあっては、図2に示す様に、上記パターン1にあっては通過粉砕砂W3から、上記パターン2にあっては通過粉砕砂W3及び再粉砕砂W5から砂鉄、クロマイト、泥分などの不純物(以降、重鉱物等と称する)を除去する、例えばスパイラル選鉱機とし、かかる選鉱機4の下流側に、選鉱機4を通過した粉砕砂(選鉱済粉砕砂W6)及び水からなる泥漿を一時貯留する第4中継タンク21を配設している。
【0016】
上記脱水装置5にあっては、図2に示す様に、例えば真空脱水機で、直前工程までで処理された粉砕砂(本実施例においては選鉱済粉砕砂W6)から水分を除去して脱水粉砕砂W7とするものであり、脱水除去水が脱水装置5から上記第4中継タンク21へ送出される様に成っている。
【0017】
上記脱水粉砕砂W7の投入装置6にあっては、図4に示す様に、脱水粉砕砂ホッパ22と、該脱水粉砕砂ホッパ22の下方に配置したベルトフィーダー22a と、脱水粉砕砂W7を乾燥装置5まで搬送する脱水粉砕砂コンベヤ23とを備えている。
【0018】
上記乾燥装置7にあっては、図4に示す様に、脱水装置5から搬送され投入された脱水粉砕砂W7を下流側へ搬送しながら完全乾燥させて乾燥粉砕砂W8とする、例えばロータリードライヤとしている。
尚、乾燥装置7はロータリードライヤタイプでなくても良く、例えばバッチ式であっても良いが、連続操業の観点からすればロータリードライヤタイプの方が好ましい。
上記乾燥装置7の排気口44に乾燥装置用集塵機45を接続し、該乾燥装置用集塵機45の下部に、排気中より除去された微粉を細粒粉W11を微粉製品X1として次工程へ搬出したり、乾燥粉砕砂W8に定量混入させるスクリューコンベヤ46を配設している。
【0019】
上記チェック篩分け装置8にあっては、図4に示す様に、設定上限値(0.5mm)以上の粒径のものを除去する、例えば円形振動篩とし、中継コンベヤ24を介して乾燥装置7に連結されており、該チェック篩分け装置8の下流側に、通過した乾燥粉砕砂W8、即ち通過乾燥粉砕砂W9を次の分別装置9へ送るバケットコンベヤ25を配設し、チェック篩分け装置8に残留した乾燥粉砕砂W8、即ち残留乾燥粉砕砂W10は原砂ホッパ10又は残留粉砕砂ホッパ19へ返送投入され、処理工程で混入した金属部品や金属屑を除去する様に成っている。
【0020】
上記分別装置9にあっては、図4に示す様に、乾燥装置7から搬送されてくる通過乾燥粉砕砂W9を一時貯留する中間タンク26と、該中間タンク26の下部の少なくとも一箇所(図面上、2箇所)に設けた、後述する分別部28への乾燥粉砕砂W8の投入部27と、該投入部27の下方に設けた分別部28とを備え、上記投入部27は少なくとも1台のスクリューコンベヤ29(図面上、3台)を有して設定量の乾燥粉砕砂W8を安定供給する様にし、上記分別部28は投入部27におけるスクリューコンベヤ29と同数の、例えばジャイロシフターの様な分別機30(図面上、3台)を有し、該分別機30により乾燥粉砕砂W8を分別通過品と分別残留品とに分別する様に成っており、分別通過品は細粒製品WB(0.106mm未満)としてガラス原料として使用し、分別残留品は粗粒製品WAとして次工程に搬出したり、原砂ホッパ10又は残留粉砕砂ホッパ19へ返送投入される様に成っている。
【0021】
上記分別装置9の下流側に、粗粒製品WA及び細粒製品WBを粗粒製品タンク31及び細粒製品タンク32に投入する粗粒製品バケットコンベヤ33及び細粒製品バケットコンベヤ34を配設し、該粗粒製品バケットコンベヤ33及び細粒製品バケットコンベヤ34の終端側に、粗粒製品WA及び細粒製品WB中の鉄粉、鉄片を除去する磁選機35、36を配設している。
【0022】
第1中継タンク12の下流側に第1サイクロン37を、第2中継タンク15の下流側に第2サイクロン38を、第3中継タンク20の下流側に第3サイクロン39を、第4中継タンク26の下流側に第4サイクロン40を夫々配設し、各第1〜4サイクロン37、38、39、40のサイクロンアンダーである泥漿を対応する篩分け装置3、選鉱機4及び脱水装置5へ投入する様にしている。
【0023】
各第1〜4サイクロン37、38、39、40からのサイクロンオーバー水が送られてくるサンドコーン41の下方に、該サンドコーン41から抜き出されたアンダーフロー(沈殿粒W12を含む泥漿)を一時貯留する中継タンク42を配設し、該中継タンク42内の泥漿は第1〜4中継タンク12、15、20、21へ送出される様に成っている。
この場合、第1中継タンク12内には粉砕砂W2及び沈殿粒W12と水からなる泥漿が、第2中継タンク15内には通過粉砕砂W3及び沈殿粒W12と水からなる泥漿が、第3中継タンク20内には再粉砕砂W5及び沈殿粒W12と水からなる泥漿が、第4中継タンク21内には選鉱済粉砕砂W6及び沈殿粒W12と水からなる泥漿が夫々一時貯留される。
【0024】
サンドコーン41からのオーバーフロー(汚れ、有機物、微粒子などを含む)は、処理された後に用水タンク43に貯蔵する様に成っている。
【0025】
図4に示す様に、バケットコンベヤ25、33、34や、粗・細粒製品タンク31、32や、磁選機35、36の排気口及び場内換気口(図示せず)に環境用集塵機47を接続して、排気中より除去された微粉を微粉製品X2として次工程へ搬出する様に成っている。
【0026】
又、上記脱水装置5及び脱水粉砕砂投入装置6の間は、脱水粉砕砂W7をベルトコンベヤ等で搬出して一旦脱水粉砕砂置場(図示せず)に貯留し、必要に応じて必要量の脱水粉砕砂W7を脱水粉砕砂置場(図示せず)から脱水粉砕砂投入装置6へ搬送する形態が一般的であるが、脱水工程と乾燥工程を連続操業させるのであれば、脱水装置5及び脱水粉砕砂投入装置6の間にベルトコンベヤ等の搬送手段を設けて直接連結すれば良い。
【0027】
次に、本発明に係る薄板ガラス原料の製造方法について各段階毎に説明する。
【0028】
〔原砂投入工程〕
原砂置場(図示せず)から搬送されてきた原砂W1を原砂ホッパ10に投入すると共に、該原砂ホッパ10の下方のベルトフィーダー10a 上に原砂W1を投下し、該ベルトフィーダー10a により原砂W1を所定量毎に原砂コンベヤ11上に安定供給し、該原砂コンベヤ11により湿式粉砕機2内に原砂W1を投入する。
【0029】
〔湿式粉砕工程〕
湿式粉砕機2内に所定量の原砂W1を投入すると共に、約1〜1.5倍の水を湿式粉砕機2内に投入した後、湿式粉砕機2を始動させて、原砂W1を所定時間湿式粉砕した後、粉砕された原砂W1(粉砕砂W2)を含む泥漿を第1中継タンク12内に一時貯留する。
【0030】
〔篩分け工程〕
第1中継タンク12から送り出された泥漿(主に粉砕砂W2+水)を第1サイクロン37に投入し、サイクロンアンダーである泥漿を、篩分け装置3における第1篩分け部14の篩分け機14に投入し、通過した泥漿を更に第2篩分け部14a の篩分け機14に投入し、第1篩分け部14及び第2篩分け部14a の両方を通過した0.19mm未満の粉砕砂W2(通過粉砕砂W3)を含む泥漿を第2中継タンク15内に一時貯留する。
【0031】
〔再湿式粉砕工程〕
(パターン1)
篩分け機14への残留粉砕砂W4を搬送装置17により搬送し原砂ホッパ8に投入し原砂W1と共に湿式粉砕機2により粉砕する。
(パターン2)
篩分け機14への残留粉砕砂W4を搬出して残留粉砕砂ホッパ19に投入すると共に、該残留粉砕砂ホッパ19の下方のベルトフィーダー19a 上に残留粉砕砂W4を投下し、該ベルトフィーダー19a により残留粉砕砂W4を所定量毎に再湿式粉砕機16内に投入すると共に、水を再湿式粉砕機16内に投入した後、再湿式粉砕機16を始動させて、残留粉砕砂W4を所定時間湿式粉砕した後、粉砕された残留粉砕砂W4(再粉砕砂W5)を含む泥漿を第3中継タンク20内に一時貯留する。
この場合、2段階で粉砕することを念頭に、最初の湿式粉砕機2での設定粒径の上限値(0.19mm)以上に設定しておき、〔篩分け工程〕により設定上限値(0.19mm)未満の粉砕砂W2を通しておいて、次の再湿式粉砕機16での設定粒径を設定上限値(0.19mm)として残留粉砕砂W4を再粉砕する様にしても良い。
【0032】
〔選鉱工程〕
上記パターン1においては第2中継タンク15内の泥漿(主に通過粉砕砂W3+水)を第2サイクロン38に、上記パターン2においては第2、3中継タンク15、20内の泥漿(主に通過粉砕砂W3+再粉砕砂W5+水)を第2、3サイクロン38、39に夫々投入し、サイクロンアンダーである泥漿を選鉱機4に投入して、上記パターン1においては通過粉砕砂W3から、上記パターン2においては通過粉砕砂W3及び再粉砕砂W5から夫々重鉱物等を除去し、この選鉱機4を通過した選鉱済粉砕砂W6及び水からなる泥漿を第4中継タンク26に一時貯留する。
【0033】
〔脱水工程〕
直前工程までで処理された粉砕砂を含む泥漿、即ち第4中継タンク26内の泥漿(主に選鉱済粉砕砂W6+水)を第4サイクロン40に投入し、サイクロンアンダーである泥漿を脱水装置5に投入し、該脱水装置5を始動させて選鉱済粉砕砂W6から水分を除去して脱水粉砕砂W7として搬出し、脱水除去水を第4中継タンク26に返送する。
【0034】
〔乾燥工程〕
脱水装置5から搬出された脱水粉砕砂W7を脱水粉砕砂ホッパ22に投入すると共に、該脱水粉砕砂ホッパ22の下方のベルトフィーダー22a 上に脱水粉砕砂W7を投下し、該ベルトフィーダー22a により脱水粉砕砂W7を所定量毎に脱水粉砕砂コンベヤ23上に供給し、該脱水粉砕砂コンベヤ23により乾燥装置5内に脱水粉砕砂W7を投入すると共に、該乾燥装置5内に脱水粉砕砂W7を、下流側へ搬送させながら所定時間収容し完全乾燥させた後、乾燥装置5から乾燥粉砕砂W8を搬出する。
【0035】
〔チェック篩分け工程〕
乾燥装置5から搬出され中継コンベヤ24で搬送されてきた乾燥粉砕砂W8をチェック篩分け装置8に投入して、設定上限値(0.5mm)以上の粒径のものがあれば最終除去し、通過乾燥粉砕砂W9をバケットコンベヤ25に搬出すると共に、該バケットコンベヤ25により、分別装置9における中間タンク26に投入して一時貯留し、残留物中に乾燥粉砕砂W10があれば、上記パターン1においては原砂ホッパ8に、上記パターン2においては残留粉砕砂ホッパ19に夫々投入すると共に、処理過程で混入した部品及びその一部である金属屑は廃棄する。
【0036】
〔分別工程〕
中間タンク26に一時貯留して冷まされた通過乾燥粉砕砂W9を2箇所の投入部27、22の夫々の3個のスクリューコンベヤ29、29、29で、3台の分別機30、30、30に、通過乾燥粉砕砂W9を投入して、各分別機30、30、30に残留した規格外製品である粗粒製品WAを粗粒製品バケットコンベヤ33に、通過した規格内製品である細粒製品WB(0.106mm未満)を細粒製品バケットコンベヤ34に夫々搬出すると共に、該粗粒製品バケットコンベヤ33及び細粒製品バケットコンベヤ34により粗粒製品タンク31内及び細粒製品タンク32内に投入するが、投入直前に磁選機35、36により鉄粉、鉄片を除去した後に投入される。
よって、通過乾燥粉砕砂W9は規格外製品(粗粒製品WA)と規格内製品(細粒製品WB)とに分別されるため、ガラス原料として使用する規格内製品(細粒製品WB)の高品質化が可能になる。
【0037】
〔貯留・梱包工程〕
粗粒製品タンク31及び細粒製品タンク32に貯留された粗粒製品WA及び細粒製品WBをの重量を計測した上で梱包する。
但し、規格外製品(粗粒製品WA)にあっては、粗粒製品タンク31から〔湿式粉砕工程〕及び〔再湿式粉砕工程〕へ移送して、規格内製品化する様にしても良い。
【0038】
上記〔篩分け工程〕、〔選鉱工程〕及び〔脱水工程〕での第1〜4サイクロン37、38、39、40によるサイクロンオーバー水はサンドコーン41に送られ、オーバーフローは処理工場に送出され、処理後に用水タンク43に返送、貯留されて、例えば湿式粉砕機2及び再湿式粉砕機16に送水して湿式粉砕工程時の使用水とし、アンダーフロー(沈殿粒W12+水)は抜き出して中継タンク42で一時貯留した後に、第1〜4中継タンク12、15、20、21へ適宜送出する。
つまり、各第1〜4サイクロン37、38、39、40により、サイクロンオーバー水に含まれていた微細粒のうち比較的大きいものを沈殿させ、かかる沈殿粒W12(微細粒)についても、〔篩分け工程〕、〔選鉱工程〕及び〔脱水工程〕で処理されることになるため、原砂W1を無駄なく処理するとが可能になる。
【0039】
上記〔乾燥工程〕の際に、乾燥装置5の排気口44からの排気が乾燥装置用集塵機45を通過する際に、排気中の微粉を除去して浄気を外部排出し、その下部のスクリューコンベヤ46により除去された微粉製品X1は、乾燥粉砕砂W8に定量混入させて乾燥工程以降の処理(本実施例においてはチェック篩分け処理)に回して乾燥粉砕砂W8の粒度を必要に応じて調整し、粒度調整が不要な場合には別処理施設へ移送される。
上記バケットコンベヤ25、33、34、粗・細粒製品タンク31、32や、磁選機35、36の排出口及び場内換気口(図示せず)からの排気が環境用集塵機47を通過する際に、排気中の微粉を除去して浄気を外部排出し、除去された微粉製品X2は別処理施設へ移送される。
つまり、舞い上がってしまった乾燥粉砕砂W8中の微粉をも回収して微粉製品X1、X2として使用するため、原砂W1を更に無駄なく略全てを処理して利用するとが可能になる。
【0040】
尚、上記実施例における分別装置9にあっては、設定範囲内の規格内製品と設定範囲以上の規格外製品の2種類に分別するものであるが、例えば更に設定範囲未満の規格外製品を合わせた3種類に分別するなど、複数種類に分別する様にしても良く、要するに使用する篩の枚数の増減により分別数を変更可能にし、必要に応じてバケットコンベヤ及びタンクや搬出コンベヤなどを設置すれば良い。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明に係る薄板ガラス原料の製造方法の工程を示す図である。
【図2】薄板ガラス原料の製造システムの脱水工程までを示す概略図である。
【図3】薄板ガラス原料の製造工程における脱水工程までを示すチャート図である。
【図4】薄板ガラス原料の製造システムの脱水工程以降を示す概略図である。
【図5】薄板ガラス原料の製造工程における脱水工程以降を示すチャート図である。
【図6】原砂等の処理過程を説明するチャート図である。
【符号の説明】
【0042】
W 原料製品
W1 原砂
W2 粉砕砂
W3 通過粉砕砂
W4 残留粉砕砂
W5 再粉砕砂
W7 脱水粉砕砂
W8 乾燥粉砕砂
X1 微粉製品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原砂に水を加えてガラス原料の設定上限値より大きい粉砕設定値で粉砕する工程と、該粉砕砂から、上限値がガラス原料の設定上限値以上で粉砕設定値未満とした粉砕粒を通過させる篩分け工程と、通過粉砕砂から水分を除去する脱水工程と、脱水粉砕砂を乾燥させる工程と、乾燥粉砕砂を設定範囲内の粒径の規格内製品と規格外製品とに分別する工程とを有したことを特徴とする薄板ガラス原料の製造方法。
【請求項2】
乾燥工程時に発生する排気から微粉製品を除去して乾燥粉砕砂に必要に応じて定量混入させる粒度調整工程を有したことを特徴とする請求項1記載の薄板ガラス原料の製造方法。
【請求項3】
篩分け工程における残留粉砕砂及び/又は分別工程における設定範囲以上の規格外製品を原砂と共に湿式粉砕する様にしたことを特徴とする請求項1又は2記載の薄板ガラス原料の製造方法。
【請求項4】
篩分け工程における残留粉砕砂及び/又は分別工程における設定範囲以上の規格外製品を再度湿式粉砕する工程を有し、この再粉砕砂を湿式粉砕工程による粉砕砂と共に脱水する様にしたことを特徴とする請求項1又は2記載の薄板ガラス原料の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−298648(P2009−298648A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−154974(P2008−154974)
【出願日】平成20年6月13日(2008.6.13)
【出願人】(596054423)株式会社カンヨー (1)
【Fターム(参考)】