説明

薄板状機材サイズ共用包装システム

【課題】この発明はサイズの異なる薄板状機材間の整列と包装のサイズ共用化を図り、装填・取り出し作業性に優れかつ輸送時の落下衝撃による損傷を防止できる包装のための事前準備。
【解決手段】数種の溝幅・溝深さ・溝間隔の直列溝を持つ直列で直角な保持整列L溝板1をV字状または水平に載せる方形枠2に掛け軸状のエラスティック膜の片側を装着して扱い、これにワークを整列搭載後にエラスティック膜を張り被せワークと保持整列L溝板1と方形枠2とを一体化したものをラップ済みL溝板方形枠8として、これの上下に、エラスティックフイルムを交差直交しかつ弛やかな凹面を為すように枠に貼った沈座式緩衝枠4を配置し、これのフイルム面がラップ済みL溝板方形枠を包むようにした収納直前荷姿9を形成させる包装のための準備をおこなうシステム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はサイズの異なる薄板状機材の整列と包装のサイズ共用化を図り、保管・搬送・包装の間接直接経費の低減を図るとともに、装填・取り出し作業性に優れかつ輸送時の落下衝撃による損傷を防止できる包装システムに関わるものである。
【背景技術】
【0002】
通常の板ものである薄板状機材サイズの収納容器は通称マガジンラックと呼ばれる方式であって、基板幅の相対する両側面に溝配列面またはリブ棚を設け、底面にも溝配列面またはリブ棚を配置していて、蓋内面にも溝配列面またはリブ棚を設けているものまでもある。このため次の4項目のような短所を示している。
【0003】
1) 同位置の薄板状機材に収納できるものは同じ幅の基板に限られる。
2) 高さまたは長さがマガジンラックの溝長さより短かくなるほど取り出し難い。
3) 基板の幅変化に応じた種類×長さの範囲仕分け数もの種類の薄板状機材容器を準備する必要がある。
4) 他地区に搬送する際、マガジンラックごと緩衝物で包んで包装する必要もある。
【0004】
特許文献検索したところ同じ意図のものが数例発見できたが、複数の薄板状機材を一括搬送できるものは次の3件である。
【0005】
【特許文献1】実用新案公開平6−22285公報。
【特許文献2】実用新案公開平7−2281公報。 この2件は同一考案者によるものであって、ともに底部と蓋部に薄板状機材の端部を保持できる溝を有する板を設けている。注目すべきは[特許文献1]では底部と蓋部にCチャンネルを横向きにしその内側に保持溝を設けていたものを[特許文献2]では蓋部と底部にL形で内側に保持溝を設けたものを各角を相対角に配置せしめていることである。このため、[特許文献1]では薄板状機材の高さのサイズ変化を許容できていたのが[特許文献2]では幅サイズと高さサイズの2方向共用に成功している。
【0006】
【特許文献3】特許公開2004−67248公報。 この発明は、底部に薄板状機材の保持溝を設けたものを置き、薄板状機材の両肩をL形で内側に保持溝を設けたもので保護し両肩間の薄板状機材の上方に柔軟材から成るパッドを介して押さえるものであって[特許文献2]の複用化ともいえる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
当発明では次のことを目指している。
(1)薄板状機材の縦高さ・横幅・厚さの三サイズへの共用化を計る。
(2)手作業による薄板状機材の装填・取り出しのし易さを図る。
(3)できるだけダンボール紙などで低コスト化とリユース化を期す。
(4)外箱容器として諸種類の市販されているものをそのまま転用。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このため本発明では上記(1)の縦高さ・横幅のサイズ共用のため薄板状機材の隣り合う2端面をL形の保持溝で位置決めし、(1)の厚さサイズへの共用化のため薄板状機材の保持溝の溝間隔や溝深さを変えられるようにした。
【0009】
この2事項は、保持溝を低廉な材料で作成し、簡単に交換することによって達成できる。本発明ではこの目的で保持溝を成し薄板状機材を複数配列搭載できるように保持溝要素を保持整列L溝板1と方形枠2の2つに分離することで解決できた。
【発明の効果】
【0010】
直角を成す保持整列L溝板1で薄板状機材の隣り合う2端面を保持直列せしめ上端部をエラスティック膜25で包み押さえることで位置決めできるようにし、かつ方形枠2で傾斜保持できるようにすることで、
〈1〉高さサイズの共用度が最小品の倍程度まで確保できる。
〈2〉横幅サイズの共用度が最小品の数十倍程度まで確保できる。
〈3〉方形のみならず薄板状機材なら円形・梯形・六角形・その他異形のものにもサイズと形状種類の共用度が広がった。
〈4〉厚さサイズが最小は1mmから最大は十数cmまでと共用できる。
〈5〉ラップ済み薄板状機材搭載L溝方形枠8はそのまま店頭で陳列展示するにも使える。
〈6〉ラップ済み薄板状機材搭載L溝方形枠8のままで保管・貯蔵・搬送や在来の梱包で処理できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以上を図1:薄板状機材サイズ共用包装システム構成要素図で説明する。薄板状機材5は積み重ねて運ぶのに適さないガラス板・プリント回路基板・ガラス基板・液晶・フラットディスプレィパネル・回路基板実装品・車輌船舶用窓ガラス・ホイールキャップ・電卓・電子ブック・薄型ハードディスク・セラミック薄板などと多彩である。
【0012】
薄板状機材5のワーク形状に合わせた保持整列L溝板1を数種のうちより選び、これを方形枠2の上に載せて成る一体化したL溝板方形枠3が、薄板状機材5の整列装填にも持ち運びにも便利である。
【0013】
この一体化を確実にするために図1に薄板状機材搭載L溝板方形枠7を示したが、搭載したワーク薄板状機材5の整列品を、L溝板方形枠3に事前にセットされているか事後にセットできるエラスティック膜によって包むことにより、逆さにしても搭載された薄板状機材5は逸脱しなくなる。これがラップ済みL溝方形枠8として図1に示されている。
【0014】
このラップ済みL溝方形枠8の上下にエラスティックフィルム44面が接触するように沈座式緩衝枠4で挟み込むことで、搬送・移送・包装できる形の収納直前荷姿9になる。
【0015】
この発明の薄板状機材サイズ共用包装システム構成要素は以上であって、包装できる正味までであり、収納容器や包装形態については関与しない。
【実施例1】
【0016】
薄板状機材サイズ共用包装システムの構成要素は、上記のように保持整列L溝板1と方形枠2から成るL溝板方形枠3の一組と二個の沈座式緩衝枠4の2種類だけである。以下に符号順に詳細に説明するのを[0027]文段以降とし、その前に、保持整列L溝板1と方形枠2の一体化したL溝板方形枠3が[0010]文段に述べた〈1〉〈2〉〈3〉〈4〉の各効果を生むのかを検証する。
【0017】
[0013]文段で記述したラップ済みL溝方形枠8をそのワーク正面から見たものが図2:薄板状機材大小搭載状態模式図であって、当文段1行目の内容を最上段左隅に図示しており、中段には保持整列L溝板1Aでの事例の模式図を、下段には保持整列L溝板1CHの事例模式図を示した。
【0018】
図でワークの形状を2点鎖線で表示した。
Aは方形基板最小を、Bは正方形基板最小を、Cは正方形基板最大を、Dは円形基板最小を、Eは円形基板最大を各々示している。
【0019】
保持整列L溝板1を数度から45度まで傾斜させて使う時、方形基板なら上の角端が円形基板なら上端が保持整列L溝板1の両端部を結ぶ線より高くなくては、薄板状機材を固定できない。細い仮想線で示したエラスティックフィルム面のようにエラスティックフィルムの抗張力による加圧力が働くのが望ましい。手での装填・取り出しを考えると1cm程度のゆとりが欲しいので、最小高さを方形基板高さAHとすると
AH=(保持整列L溝板立面11+1cm)×sin(立面の傾斜角)となる。また円形のさい円形基板小の直径DΦは同じ値を取る。
【0020】
保持整列L溝板1を10度から45度傾斜させて使う時、方形基板の最大は方形枠2の両側端近くに設けた鳩目穴24の二個が成す間隔より大きいとエラスティック膜25を張ることができない。したがって、最大幅は方形枠2次第となり、円形基板大の直径DΦは同じ値になる。最大方形基板高さAHも同様である。
【0021】
保持整列L溝板1の保持整列L溝板底面12を方形枠2の底面に水平に敷いて使う時、方形基板なら上の端部が円形基板なら上端が保持整列L溝板1の両端部を結ぶ線より高くなくては、薄板状機材を固定できない。細い仮想線で示したエラスティックフィルム面のようにエラスティックフィルムの抗張力による加圧力が働くのが望ましい。
人手での装填・取り出しを考えると1cm程度のゆとりが欲しいので、最小高さを方形基板高さAHとすると、
AH=保持整列L溝板立面11+1cmとなる。また円形のさい円形基板小の直径DΦは同じ値を取る。
【0022】
保持整列L溝板1の保持整列L溝板底面12を方形枠2の底面に水平に敷いて使う時、方形基板の最大は方形枠2の両側端近くに設けた方形枠抜き窓23の成す窓幅より大きいと方形枠2内に入らない。したがって、最大幅は方形枠2次第となり、円形基板大の直径DΦは多少大きな値を取れる。最大方形基板高さAHは包装容器による制限次第である。
【0023】
以上のように保持整列L溝板1が成す直角のV溝を保持溝として機能させながら薄板状機材の上端をエラスティック膜で包み固定するとき、最小横幅は1cm程度で最大横幅は方形枠2の横幅の90パーセント程度まで設定でき、最大高さは収納容器による制限となり、[0010]文段に述べた〈1〉〈2〉〈3〉の3効果を生むことが理解できる。ここでは傾斜することが当然であるかのように記述しており、頭書に挙げた3[特許文献]のように方形のものを水平に保持溝に入れてることを前提としていないのが、上記文献や在来のマガジンラック方式と大きく異なる。
【0024】
傾斜させた保持溝方式だから薄板状機材5の隣接する2端部を保持溝に挿入することで起立させうるが、この状態を保持するために、[0013]文段に述べた抗張力と高い弾性を持つエラスティック膜で包むことで、ワークの上からワークである薄板状機材5の二端部を保持整列L溝板1の二端の溝内部に押込もうと加圧する結果となる。
【0025】
このエラスティック膜は薄板状機材5が皆無の際には張り渡す必要はないのだが、仮にエラスティック膜を張るなら、保持整列L溝板1の二端部にまたがるだけにすぎないが、図2で2点鎖線で示した薄板状機材5が装填されているなら、細い2点鎖線で示した線は方形基板最小を押さえるエラスチック膜面:a
正方形基板最小を押さえるエラスチック膜面:b
方形基板最大を押さえるエラスチック膜面:c
円形基板最小を押さえるエラスチック膜面:d
円形基板最大を押さえるエラスチック膜面:e
を見ることができる。なぜなら、エラスチック膜はその名のようにあたかも十数倍に伸びても元に戻る見かけは透明ゴム膜として扱えるからである。
【0026】
これらの薄板状機材5の縦横サイズと異形品も嫌わずに共用できるのは、傾斜させた保持溝方式だから薄板状機材5の隣接する2端部を保持溝に挿入することで、起立させることができるのに加え、エラスティック膜でラップし固定できるからである。
ただし、これだけでは、[0010]文段に述べた〈4〉項への解決策にならない。しかし、[0012]文段に述べた「薄板状機材5のワーク形状に合わせた保持整列L溝板1を数種のうちより選び、」の記述が、〈4〉項への対応策であることは、指摘する必要もあるまい。
【0027】
これを以下に、簡単に説明する。最初に保持整列L溝板1から始める。これは図3・4・5・6図にわたり、共通属性をまとめて記す。ともに利用例の多い3種の保持溝板であって、紙製である。L溝板1の付称から知れるように板を直角に整形した直列に配列した溝板である。紙製なので、長期の使用に耐えないが、半消耗品として扱える低コストが魅力であるが、Lの直角を保持するために保持整列L溝板直角保持板13を長手方向の両端に接合する。記述したように、この保持整列L溝板1は方形枠2と一体化させて運用するため、は図3・4・5・6図でもそれ以外でも、一体化したL溝板方形枠3として意図的に表示した部分も多いが、誤りでは無い。
【0028】
図3:保持整列L溝板1A説明図は、プリント回路基板を薄板状機材5としてプリント回路基板を想定したものであって、5mm厚さの方ダンボール紙の直列溝側の長手方向に二つ折りとして、立面11・底面12とした安価なものであり、プラダンボール製の方形枠2の方形枠抜き窓23の為す長さ1AL幅1AW穴にV字状に載せられる。図示していないが、図6のように底面12を方形枠2枠内に沈めるように水平にセットにすることもできる。
【0029】
図4:保持整列L溝板1B説明図は、実装済みプリント回路ボード類や保護枠のついた液晶部品を薄板状機材5として想定したものであって、溝周り寸法例を整列保持溝間隔・整列保持溝深さ・整列保持溝幅の順に挙げると、
TS=20mm TH=4mm TW=2.5mm の感じである。
直列配列溝は台紙の上に紙製あるいはプラスチック引き抜き成型品を接着してなす安価なものであり、プラダンボール製の方形枠2の方形枠抜き窓23の為す長さ1BL幅1BW穴にV字状に載せられる。図示していないが、図6のように底面12を方形枠2枠内に沈めるように水平にセットにすることもできる。
【0030】
図5:保持整列L溝板1CV説明図は、凹凸の多い異形品や厚みのある比較的大きめの薄板状機材5を想定したものであって、このケースでは整列保持溝間隔・整列保持溝深さ・整列保持溝幅の溝周り寸法例はワークにあわせて準備することになろう。
プラダンボール製の方形枠2の方形枠抜き窓23の為す長さ1CL幅1CW穴にV字状に載せられる。
【0031】
図6:保持整列L溝板1CV説明図は、凹凸の多い異形品や厚みのある比較的大きめの薄板状機材5を想定したものであって、図5と同じであるが、保持整列L溝板1の底面12を方形枠2枠内に沈めるように水平にセットした状態で示した。
【0032】
図7:方形枠説明図では上述の各種ある保持整列L溝板1に共用して一体化しL溝板方形枠3にするための方形枠2の枠周りについて描画している。図7:左上隅の斜視図で格子目のハッチング部分の説明である。図7の中段には枠組みの斜視図を、下段には平面図で抜き穴の寸法を強調している。
【0033】
方形枠2の本体は図7:方形枠説明図の中段斜視図で見るように、3段の切り込みを有する板面を折り曲げて突き出した2枚折りの段ボール製で長手方向の上部分両端側に各3ヶの鳩目穴24を持つ板である方形枠側板21と、L型に折られて底とサイドを為す方形枠長手側板22と、各2ヶづつで方形を為し、底のない枠である。
【0034】
これの鳩目穴24は相対抗配置され、方形枠2に付属するエラスティック膜組み立て品25の両軸を両サイドに嵌め込めるものである。
図7の下段の平面図では、方形枠長手側板21の折り鍔の3段の切り込みが相対抗することによって、
1AL×1AW、1BL×1BW、1CL×1CWの3種の方形を窓穴として抜いたかのような形を為しており、この3種の形は図3・図4・図5・図6にも記され、それぞれ三種の1A・1B・1Cの保持整列L溝板1をV字状に鎮座させるのに対応している。
【0035】
この鎮座させた保持整列L溝板1または搭載薄板状機材5整列品ごとに方形枠2に固定するのがエラスティック膜組み立て品25であって、図8:エラスティック膜説明図でこれを説明する。
図8左上隅の斜視図で25部分が格子ハッチングとしてこれを裏書きしている。
この図8では中央にエラスティック膜組み立て品25の斜視図が示され、下段に2種の掛け軸状の断面図が画れている。
【0036】
中央の斜視図を軸長手の芯からみた断面図がエラスティック膜軸棒27・エラスティック膜軸棒抜き止めピン28・エラスティック膜PU26からこの斜視図であるエラスティック膜組み立て品25が構成されていることを示している。
エラスティック膜PU26とは薄く透明なポリウレタンフイルムからなる膜材であることを示す。
【0037】
最下段の断面図は斜視図であるエラスティック膜組み立て品25は、エラスティック膜軸棒27・エラスティック膜軸棒抜き止めピン28・エラスティック膜OL29でも構成できることと複数回張り渡すだけで接着もしていないらしいことを示している。
これは使い捨てというか複数回以上のリユースに向かない用途、例えば、薄板状機材5の包装は納品のためだけというようなケースで低経費を追求する際に向くもので、この膜材はポリウレタンに比べて抗張力が1桁低いが当目的には十分の物理的属性を示すオレフイン系エラストマーフイルム、俗に言うストレッチフィルムを膜材としたものであって、活用ノウハウ次第では緩衝システムとして十分有用である。
【0038】
図8の軸棒27は細い金属製であって、各軸の両端には抜き止めピン28が設けてあるが、これは次の2つの働き示す。
{1}エラスティック膜PU26やエラスティック膜POL29の軸棒27上からの抜け落ちを予防する。
{2}軸棒27を軽く撓わせて方形枠2の長手方向に相対抗する鳩目穴24に嵌挿着脱させた際、軸が鳩目穴24に入り込みすぎて、抜け落ちるのを防ぐ。
なお、ここに書き添えるが、鳩目穴24が方形枠2の方形枠側板21の両側に3ヶづつ配置されているのは、薄板状機材5の大小に応じてエラスティック膜26や29の張力を換えるえるためである。
【0039】
ここまでで、以上に詳述した保持整列L溝板1と方形枠2を一体化し、薄板状機材5を整列し載せた薄板状機材搭載L溝板方形枠7ができ、エラスティック膜25を張り回して、ラップ済みL溝板方形枠8がまとまったものと考えられる段階に進んだと見て、次に、このラップ済みL溝板方形枠8をどう扱えるか考えてみる。
【0040】
図1に見るラップ済みL溝板方形枠8は、このままでも社内搬送や一時保存・貯蔵には使えそうであるが、マガジンラックのような収納箱に入れたものに比べ汚染されやすく外力にも弱く損傷を受けやすいと判断される。。
搬送のためでなく保管のためにも簡易包装するとした際にでも適用できる方式で、かつ、本格包装にも劣らない緩衝パッケージ化できる方策がある。そのために本発明が勧めるものが沈座式緩衝枠4である。
【0041】
図9:沈座式緩衝枠説明図は、上段に平面においた形の沈座式緩衝枠4の斜視図であり、中段の斜視図は沈座式緩衝枠4を裏返して空中に浮いた形で表示してある。下段には模式図を配置したので、それぞれを説明する。
【0042】
沈座式緩衝枠4は2つに折って底をL字型に内側に向けた方形の枠であって、完全な底板のない枠であり、底部の折り曲げ部分を底板41とし、折り曲げた立面を長手枠板42と側板43としている。長手枠板42の上方に両サイドに弛むように両側間エラスティックフィルム45を渡してつなぎ、その上に直交するように方形の短辺を形成する両側の側板43に長手エラスティックフィルム44をこれも緩やかな凹を成すように貼る。
【0043】
通常のエラスティックフィルム緩衝枠や台はプラスティック膜を四方に緊張展伸接合するのが恒であるが、この緩衝枠は意図的にフイルムを凹に弛ませておく。これを図9下段の模式図でみると、実線のF(使用前エラスティックフィルムカーブ)で示した。この沈座式緩衝枠4では、不使用時のエラスティックフイルムカーブの自然最凹部分位置は側壁高さの四半分を設定値とし、梱包時の最適沈下深さを側壁高さの3分の1から40%の範囲に収まるよう設定する。これを2点鎖線G(平底使用中エラスティックフィルムカーブ)とH(弧面使用中エラスティックフィルムカーブ)で示す。
【0044】
これへの搬送時の最悪衝撃値として15Gを受けた際でも細2点鎖線のJ(平底高衝撃時エラスティックフィルムカーブ)とK(弧面高衝撃時エラスティックフィルムカーブ)のように沈下率を60〜80%に止める。
これらの設定は、裏返して使用するときこれに対応する設定値とする。
【0045】
この方式の沈座式緩衝枠4のメリットは、これの一対でもって、図1に見るラップ済みL溝板方形枠8の上下を挟むとき図1の収納直前荷姿9となり、薄板状機材5のサイズ形態に関係なく据わりの良い収納が簡単にでき、容器をさして選ばないことである。
【0046】
この沈座式緩衝枠4でサンドイッチした包装について図10:包装状態説明図で考察する。いま収納容器に単純な弁当箱タイプの縁のある蓋62と内箱61からなる段ボール製の包装容器6を用いるものとして、L溝板方形枠8の外周とほぼ同じ内周を持つ包装容器6にL溝板方形枠8を落とし込んで自動テーピングマシンで梱包したものとする。これを包装外形図として図10の左上隅に示す。ただし、理解しやすさを高めるため、この包装外形図には梱包テープを描かず、内装したL溝板方形枠8は細い点線で図示した。
【0047】
図10中段は、包装外形図のXX:包装品正面切断方向を包装品正面切断矢視方向VX矢印からみたものを示した。図10下段は包装外形図のYY:包装品側面切断方向を包装品側面切断矢視方向VY矢印からみたものを示した。
この各図の蓋位置は上文段に明記したように自動テーピング時の加圧下で容積を制御されテーピングで固定されたものとし、梱包テープ表示を省略してある。
【0048】
図10の薄板状機材5であるホイールキャップは保持整列L溝板1の上に整列直立しておりこれをV字状に載せた方形枠にエラスチティック膜26によって方形枠2へ柔軟に固定され一体化されている。これら全体がラップ済みL溝板方形枠8として下の沈座式緩衝枠に深めに支えられに深めに支えられ、上の沈座式緩衝枠4が深く覆い、前後左右全周をほぼ均等な余裕を保った宙づりの状態で梱包された蓋62によって固定されている。
【0049】
外部から衝撃を上下に受けた際には、15G程度でも宙づりにされた状態が沈座式緩衝枠4高さの25%程度の上下振動で受け止められ、左右前後の外周方向への滑動はないものの上下のエラスティックフイルム44,45膜全体の抗張力による振動が外周への間隔を狭め広げる方向に発生するが、宙づりにされたラップ済みL溝板方形枠8そのものが容器内箱61または容器蓋箱62の内壁に接触することはない。
【0050】
なぜなら、薄板状機材5が密着装填されず所定の間隔で整列装填されているため、衝撃時の加速度で作動する重量密度が密着装填時より1桁以上低いからであり、かつ、エラステックフイルムの抗張力が高く弾性も高い上、フイルムの摩擦係数がきわめて高いからである。
【0051】
また、[0047]文段で触れた「自動テーピング時の加圧下で容積を制御されテーピングで固定された」ということはテーピング時に蓋高さが決められるということなので、ひとでで包装蓋箱の押し下げ加圧量を決める必要がないという処理の簡便化になる。
蓋で容積高さを決められない折畳みパレットや所定段ボール箱などを用いる際には残る空き容積高さを在来のスポンジやポリスチレン発泡成形板材などで埋める方法を併用してかまわないと判断できる。
【0052】
これにより、収納直前荷姿9収納に好適な容器を準備できるなら、在来容器に詰め込もうと、個別に梱包しようと、木箱でもプラスティック通函でも利用者の都合次第の包装を施せる利点を生む。
【0053】
以上を要約すると、図11:薄板状機材サイズ共用包装システム説明図になると思われる。数種の溝幅・溝深さ・溝間隔の直列溝を持つ直列で直角な保持整列L溝板1をV字状または水平に載せる方形枠2に掛け軸状のエラスティック膜の片側を装着して扱い、これにワークを整列搭載後にエラスティック膜を張り被せワークと保持整列L溝板1と方形枠2とを一体化したものをラップ済みL溝板方形枠8として、これの上下に、エラスティックフイルムを交差直交しかつ弛やかな凹面を為すように枠に貼った沈座式緩衝枠4を配置し、これのフイルム面がラップ済みL溝板方形枠を包むようにした収納直前荷姿9を形成させる緩衝包装のための準備をするシステムであって、梱包や狭義の包装を含まない。
【産業上の利用可能性】
【0054】
当方式は包装作業を含まず、包装できる直前の荷姿を決めるだけではあるものの、
1)多彩な薄板状機材の搬送または包装に共用化できる包装補助具につながる。
2)薄板状機材として基板、ガラス板に限っても在来より簡単で高さと幅の両サイズに広く共用できる搬送具として生かせる。
3)構成材のほとんどが段ボールで済むので特許文献ものより1桁低コストになろう。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】薄板状機材サイズ共用包装システム構成要素図
【図2】薄板状機材大小搭載状態模式図
【図3】保持整列L溝板1A説明図
【図4】保持整列L溝板1B説明図
【図5】保持整列L溝板1CV説明図
【図6】保持整列L溝板1CH説明図
【図7】方形枠説明図
【図8】エラスティック膜説明図
【図9】沈座式緩衝枠説明図
【図10】包装状態説明図
【図11】薄板状機材サイズ共用包装システム説明図
【符号の説明】
【0056】
A 方形基板最小
AH 方形基板高さ
AW 方形基板横幅
B 正方形基板最小
C 方形基板最大
D 円形基板最小
DΦ 円形基板小の直径
E 円形基板最大
a 方形基板最小を押さえるエラスチック膜面
b 正方形基板最小を押さえるエラスチック膜面
c 方形基板最大を押さえるエラスチック膜面
d 円形基板最小を押さえるエラスチック膜面
e 円形基板最大を押さえるエラスチック膜面
F 使用前エラスティックフィルムカーブ
G 平底使用中エラスティックフィルムカーブ
H 弧面使用中エラスティックフィルムカーブ
J 平底高衝撃時エラスティックフィルムカーブ
K 弧面高衝撃時エラスティックフィルムカーブ
L 方形枠抜き窓長さ(保持整列L溝板の名称後に付して用いる。)
TH 整列保持溝深さ
TS 整列保持溝間隔
TW 整列保持溝幅
V L溝板方形枠切断矢視方向
VX 包装品正面切断矢視方向
VY 包装品側面切断矢視方向
W 方形枠抜き窓幅(保持整列L溝板の名称後に付して用いる。)
XX 包装品正面切断方向
YY 包装品側面切断方向
1 保持整列L溝板
1A 保持整列L溝板1A
1AL 保持整列L溝板1A全長
1AW 保持整列L溝板1A窓幅
1B 保持整列L溝板1B
1BL 保持整列L溝板1B全長
1BW 保持整列L溝板1B窓幅
1C 保持整列L溝板1C
1CL保持整列L溝板1C全長
1CW保持整列L溝板1C窓幅
11 保持整列L溝板立面
12 保持整列L溝板底面
13 保持整列L溝板直角保持板
2 方形枠
21 方形枠側板
22 方形枠長手側板
23 方形枠抜き窓
24 鳩目穴
25 エラスティック膜組み立て品
26 エラスティック膜PU
27 エラスティック膜軸棒
28 エラスティック膜軸棒抜き止めピン
29 エラスティック膜OL
3 L溝板方形枠
4 沈座式緩衝枠
41 底板
42 長手枠板
43 側板
44 長手エラスティックフィルム
45 両側間エラスティックフィルム
46 エラスティックフィルム接着部分
5 薄板状機材例
6 包装容器
61 包装内箱
62 包装蓋箱
7 薄板状機材搭載L溝板方形枠
8 ラップ済みL溝板方形枠
9 収納直前荷姿

【特許請求の範囲】
【請求項1】
これは梱包や狭義の包装を含まない包装準備の考え方であって、予め用意した数種の溝幅・溝深さ・溝間隔の直列溝を持つ板材を直角に曲げてこの角度を維持できるようにしたL字状の保持整列L溝板1を、V字状または水平に載せ得て長手方向端部立面の両端に相対する数個の鳩目穴を有する方形枠2の鳩目穴一対に軽く撓わせて挿入できる軸を両翼に持つ掛け軸状のエラスティック膜25の片軸を嵌めて置き薄板状機材5の複数を整列装入後にエラスティック膜25を張り被せその軸棒を反対側鳩目穴に挿入することで、保持整列L溝板1と方形枠2とを薄板状機材5と共に一体化したものをラップ済みL溝板方形枠8として、これの上下を、エラスティックフイルムを交差直交しかつ弛やかな凹面を為すように枠に貼った沈座式緩衝枠4のフイルム面がラップ済みL溝板方形枠を包むようにで挟み込んで図1の収納直前荷姿9を形成させて、緩衝包装のための準備を完了したとする方式。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2006−16038(P2006−16038A)
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−195114(P2004−195114)
【出願日】平成16年7月1日(2004.7.1)
【出願人】(302070017)
【Fターム(参考)】