説明

薄板部材洗浄装置

【課題】薄板部材を破損させることなく効率良く薄板部材を洗浄することを可能とする薄板部材洗浄装置を提供する。
【解決手段】流水プレート520の流水孔520aから降り注がれた水道水は、回転支持部材540Aに設けられた外側回転羽根543および内側回転羽根544に当接することで、回転支持部材540Aを回転させる。また、メッシュ部材保持部545Aに保持されたメッシュ部材160に注がれた水道水は、メッシュ部材160の回転による遠心力に基づき、メッシュ部材160の表面および裏面を流れ、メッシュ部材160に付着している薬液カスを除去される。メッシュ部材160から除去された薬液カスは、そのまま水道水により流体排出用開口部550aから薄板部材洗浄装置500Aの外部に排出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、薄板部材を洗浄するための薄板部材洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
金属など薄板部材に多数の微細孔を加工したメッシュ部材を振動させて液体の微細粒を噴霧する技術がある。具体例として、喘息治療薬などを吸入する霧化装置(ネブライザや吸入器)に適用されたものが存在する。特にネブライザにおいては、薬液を吸入するという意味からメッシュ部材が清潔な状態に保たれることが望まれる。また、粘性の高い薬液を使用する場合などにおいては、その薬液がメッシュ部材に固着して微細孔を塞いでしまうことのないように使用後の洗浄が必要となる。
【0003】
このメッシュ部材の代表的な洗浄方法には、(a)ネブライザの薬液ボトルに水道水を入れて数分間噴霧させて、メッシュ部材を洗浄する方法(水噴霧洗浄方法)、(b)洗浄容器に溜めた水の中で、メッシュ部材を揺するようにして洗浄する方法(容器内洗浄方法)、(c)水道水からの流水を直接メッシュ部に当てて洗浄する方法(流水洗浄方法)、が挙げられる。
【0004】
しかし、(a)に示す水噴霧洗浄方法では、ネブライザの電池を消費するため、電池交換サイクルが短くなる。使用者等が、霧化した水を吸入すると好ましくないため、注意が必要である。また、洗浄に手間や時間がかかる。
【0005】
(b)に示す容器内洗浄方法では、(a)に示す水噴霧洗浄方法よりも洗浄性が劣る。メッシュ部材の洗い方が均一化されない。除去した薬液カス等が、洗浄容器内で浮遊した状態での洗浄となり、薬液カス等がメッシュ部材に再付着する可能性がある。
【0006】
(c)に示す流水洗浄方法では、水道水からの流水をメッシュ部に直接当てて洗浄した場合、微細加工かつ目詰まり防止のためにメッシュ部材は薄板であることがほとんどであり、激しい流水を当てることによってメッシュ部材が破損し、変形するおそれがある。水の勢いのために誤って手からメッシュ部材が脱落し、メッシュ部材を排水口に流してしまうおそれもある。
【0007】
なお、本発明に係るメッシュ部材等の薄板部材洗浄装置についての背景技術を、出願人の知得した本技術分野における一般的技術情報に基づいて説明したが、出願人の記憶する範囲において、出願前までに先行技術文献情報として開示すべき情報を出願人は有していない。なお、薄板部材洗浄装置とは技術分野が異なるが、水道水の流水の勢いで米または穀物を洗浄するという技術は、下記特許文献1(特開2001−178639号公報「水流式洗米機又は穀物洗い機」)に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2001−178639号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
この発明が解決しようとする課題は、薄板部材を洗浄するための装置が存在しない点にある。したがって、本発明の目的は、薄板部材を破損させることなく効率良く薄板部材を洗浄することを可能とする薄板部材洗浄装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明に基づいた薄板部材洗浄装置においては、流体を注入する流体注入用開口部と流体排出用開口部とを含む筐体と、上記筐体の内部に収容され、上記流体によりその表面が洗浄される薄板部材を保持する薄板部材保持部と、上記筐体の内部に収容され、上記薄板部材保持部を支持し、上記流体の通過により回転する回転支持部材とを備える。
【0011】
上記薄板部材洗浄装置の他の形態においては、上記回転支持部材は、上記流体の通過により回転力を得る回転羽根を有する。
【0012】
上記いずれかの薄板部材洗浄装置の他の形態においては、上記流体注入用開口部と上記薄板部材保持部との間に、上記回転支持部材への上記流体の流量を調整する流体流量調整部材をさらに含む。
【0013】
上記いずれかの薄板部材洗浄装置の他の形態においては、上記流体注入用開口部と上記薄板部材保持部との間に、上記回転支持部材への上記流体の複数に分ける流体経路分離部材をさらに含む。
【0014】
上記いずれかの薄板部材洗浄装置の他の形態においては、上記流体注入用開口部と上記薄板部材保持部との間に、上記回転支持部材への上記流体を拡散する流体経路拡散部材をさらに含む。
【0015】
上記いずれかの薄板部材洗浄装置の他の形態においては、上記流体注入用開口部には、水道蛇口が接続される。
【0016】
上記いずれかの薄板部材洗浄装置の他の形態においては、上記薄板部材は、金属の薄板部材に多数の微細孔を加工したメッシュ部材である。
【発明の効果】
【0017】
この発明に基づいた薄板部材洗浄装置によれば、薄板部材を破損させることなく効率良く薄板部材を洗浄することを可能とする薄板部材洗浄装置を提供することを可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】メッシュ部材を備えるネブライザの全体構成を示す第1の斜視図である。
【図2】メッシュ部材を備えるネブライザの全体構成を示す第2の斜視図である。
【図3】(a)および(b)は、図2中のIII−III線矢視部分断面図である。
【図4】実施の形態1における薄板部材洗浄装置の構成を示す外観斜視図である。
【図5】実施の形態1における薄板部材洗浄装置の構成を示す分解斜視図である。
【図6】実施の形態1における薄板部材洗浄装置に採用される回転支持部材およびメッシュ部材の配置を示す斜視図である。
【図7】実施の形態1における薄板部材洗浄装置に採用される回転支持部材を示す第1の斜視図である。
【図8】実施の形態1における薄板部材洗浄装置に採用される回転支持部材を示す第2の斜視図である。
【図9】実施の形態1における薄板部材洗浄装置の縦断面図である。
【図10】実施の形態2における薄板部材洗浄装置の構成を示す分解斜視図である。
【図11】実施の形態2における薄板部材洗浄装置に採用される回転支持部材およびメッシュ部材の配置を示す斜視図である。
【図12】実施の形態2における薄板部材洗浄装置の縦断面図である。
【図13】実施の形態3における薄板部材洗浄装置の構成を示す分解斜視図である。
【図14】実施の形態3における薄板部材洗浄装置に採用される回転支持部材およびメッシュ部材の配置を示す斜視図である。
【図15】実施の形態3における薄板部材洗浄装置の縦断面図である。
【図16】実施の形態4における薄板部材洗浄装置の構成を示す分解斜視図である。
【図17】実施の形態4における薄板部材洗浄装置に採用される回転支持部材およびメッシュ部材の配置を示す斜視図である。
【図18】実施の形態4における薄板部材洗浄装置の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、この発明に基づいた各実施の形態における薄板部材洗浄装置について図面を参照して詳細に説明する。なお、以下に説明する各実施の形態において、個数、量などに言及する場合、特に記載がある場合を除き、本発明の範囲は必ずしもその個数、量などに限定されない。また、以下に複数の実施の形態が存在する場合、特に記載がある場合を除き、各々の実施の形態の構成を適宜組み合わせることは、当初から予定されている。各図中、同一符号は同一または相当部分を指し、重複する説明は繰返さない場合がある。
【0020】
また、後述する各実施の形態における薄板部材洗浄装置は、水道水の蛇口に薄板部材洗浄装置を直接装着する場合について図示しているが、蛇口に直接装着する構造に限定されるものではなく、蛇口との間にホースを介在させたり、専用の洗浄液を蓄えたボトル等を装着させたりすることも可能である。また、蛇口の構造は周知技術であることから、図示では内部構造は省略して記載している。
【0021】
(メッシュ部材を備えるネブライザ)
先ず、図1から図3を参照して、洗浄対象部材の一例であるメッシュ部材を備えるネブライザについて説明する。ネブライザは、主に医療用に用いられる装置である。このネブライザは、霧化部において薬液を霧状の粒子に霧化させ、使用者がこの霧状の薬液を口または鼻から吸入することで、気管支や鼻腔、咽喉などの疾患を治療するためのものである。
【0022】
図示する、ネブライザは、超音波メッシュ式の霧化機構を備えている。ネブライザ100は、その上部に薬液を噴霧するための噴霧口110を備えている。また、ネブライザ100の上部には、薬液をネブライザ100内の薬液貯留部130(図3参照)に供給し、薬液貯留部130を洗浄し易くするための開閉操作部120が設けられている。また、薬液の供給は噴霧口110を開閉することでも可能である。
【0023】
ネブライザ100の吸入補助具であるマウスピース200は、樹脂材料により一体に形成されている。このマウスピース200は、ネブライザ100の上部に取付け可能な形状を有しており、その内部にネブライザ100の噴霧口110から噴霧される霧状の薬液が通過する筒状部240(図3参照)を備えている。
【0024】
マウスピース200の上面には、使用者が口で咥えるための第2の開口である吸入口220が設けられている。マウスピース200の筒状部240は、ネブライザ100の噴霧口110に気密に取り付けられるものではなく、所定の位置に空気を取りこむための第3の開口である空気取込口230を有している。
【0025】
このマウスピース200が、ネブライザ100の上部に取り付けられた状態で、使用者はネブライザ100を手で持って使用する。このとき、ネブライザ100を若干手前に傾斜させて、マウスピース200の吸入口220を咥えるようにして使用する。
【0026】
次に、図3を参照してネブライザ100の構造およびマウスピース200の形状について、より詳細に説明する。なお、図3(a)は、ネブライザ100を水平に保った状態を示しており、図3(b)は、ネブライザ100を使用するために使用者がネブライザ100を手前に傾斜させた状態を示している。
【0027】
ネブライザ100は、噴霧口110の直下に超音波メッシュ式の霧化機構を備えている。この超音波メッシュ式の霧化機構は、圧電素子150およびステップホーン140、メッシュ部材160とからなる。メッシュ部材160は、多数の微細孔を加工が施された金属の薄板部材と、その周囲に設けられる樹脂部材と有している。メッシュ部材160の下面はステップホーン140の一端と当接している。メッシュ部材160は、洗浄のために、仕切り板190に対して、使用者により着脱可能に設けられている。
【0028】
圧電素子150は電源により駆動されることで振動を開始し、この振動がステップホーン140に伝搬することでステップホーン140とメッシュ部材160との当接面において薬液が霧化される。霧化された薬液は、微細孔からネブライザ100の噴霧口110に向かって勢いよく噴出す。
【0029】
噴霧口110の周縁には、筒状部240に付着することで液滴化した薬液や使用者の涎を貯留するための液溜め部180が形成されている。この液溜め部180内に貯留された薬液や涎は、その内側に位置するメッシュ部材160に混入しないように仕切り板190で隔てられている。
【0030】
ネブライザ100の内部には、霧化部に隣接して薬液貯留部130が形成されている。薬液の補給は、前述した噴霧口110を開閉することで行なわれる。薬液貯留部130内に貯留された薬液は、ネブライザ100が使用時に傾斜させられることで残らず霧化部に供給され、霧化される。このため、霧化部は、薬液が装置内部に垂れ出さないようにOリング170により水密構造が施されている。
【0031】
マウスピース200は、上述の通り、霧化された薬液が内部を通過する筒状部240を備えており、ネブライザ100に取り付けられた状態で、この筒状部240の両端に、ネブライザ100の噴霧口110に対向する第1の開口である霧化装置側開口210と、使用者が咥えるための第2の開口である吸入口220とを備えている。
【0032】
この霧化装置側開口210の周縁の一部からは、筒状部240に連続して鍔部211が設けられている。この鍔部211は、液滴化した薬液や涎が垂れ出さないように集めてネブライザ100の液溜め部180に案内する役割を担っている。
【0033】
この鍔部211は、筒状部240が気密状態とならないように開口の周縁全面には施されておらず、鍔部が形成されていない霧化装置側開口の周縁には、空気を取り込むための空気取込口230が形成されている。この空気取込口230は、霧化装置側開口を切り欠くことで形成されている。これにより、筒状部240内に空気の流れが絶えず生ずるようになっている。
【0034】
(実施の形態1)
次に、図4から図9を参照して、この発明に基づいた実施の形態1における薄板部材洗浄装置500Aの構造について説明する。なお、図4は、薄板部材洗浄装置500Aの構成を示す外観斜視図、図5は、薄板部材洗浄装置500Aの構成を示す分解斜視図、図6は、薄板部材洗浄装置500Aに採用される回転支持部材およびメッシュ部材の配置を示す斜視図、図7は、薄板部材洗浄装置500Aに採用される回転支持部材を示す第1の斜視図、図8は、薄板部材洗浄装置500Aに採用される回転支持部材を示す第2の斜視図、図9は、薄板部材洗浄装置500Aの縦断面図である。
【0035】
(薄板部材洗浄装置500A)
この薄板部材洗浄装置500Aは、水道水の蛇口1000に装着された状態を示している。薄板部材洗浄装置500Aは、図5に良くあらわれるように、蛇口1000が連結される円形形状の蓋510と、蓋510の下方に配置される円形形状の流水プレート520と、流水プレート520の下方に配置され、中央に開口部530aを有する略円筒形状のキャップ530と、キャップ530の内部に収容されるように配置される円形形状の回転支持部材540Aと、回転支持部材540Aを回転可能に下方側から支持する回転軸553を有する円形形状のボトムキャップ550とを有する。これら、蓋510、キャップ530、およびボトムキャップ550により、内部に流水プレート520および回転支持部材540Aを収容する筐体を構成する。
【0036】
(蓋510/流水プレート520)
蓋510は、中央に流体注入用開口部510aを有し、この流体注入用開口部510aに蛇口1000が連結されるゴムパッキン560が嵌め入れられている。流水プレート520は、水道水の流量を調整しながら、水道水の流れを複数に分け、また、水道水の流れを拡散するために、複数の流水孔520aが設けられ、薄板部材洗浄装置500Aを組み立てた状態では、蓋510の内面側と流水プレート520の上面との間に、水道水が流れるための空間Aが形成される(図9参照)。なお、水道水の流量を調整するためのプレート、水道水の流れを複数に分けるプレート、水道水の流れを拡散するためのプレートをそれぞれ個別に設けることも可能である。
【0037】
(回転支持部材540A)
図6から図8に示すように、回転支持部材540Aは、外周リング側壁541と内周リング側壁542とを有し、外周リング側壁541と内周リング側壁542との間には外側回転羽根543が複数設けられている。内周リング側壁542の内側には、内側回転羽根544が複数設けられている。内側回転羽根544の回転中心軸C1が、回転支持部材540Aの回転中心となる。外側回転羽根543および内側回転羽根544の個数および羽根の傾斜角度は適宜選択される。また、内側回転羽根544の裏面側の中心には、ボトムキャップ550に設けられる後述の回転軸553を受け入れる回転軸受凹部546(図9参照)が設けられている。
【0038】
内周リング側壁542の上面側には、メッシュ部材160を保持するためのメッシュ部材保持部545Aが4箇所設けられている。メッシュ部材160は、多数の微細孔を加工が施された金属の薄板部材161と、その周囲に設けられる環状の樹脂部材162とが一体となっている。
【0039】
メッシュ部材保持部545Aは、メッシュ部材160を側面から保持し、一部不連続なリング部5451と、メッシュ部材160を上面側から保持する押さえ部5452とを有する。メッシュ部材保持部545Aは、4箇所設けられているが、2箇所、3箇所、5箇所と、複数箇所設けることも可能である。
【0040】
メッシュ部材160は、メッシュ部材160を含む平面が内側回転羽根544の回転中心軸C1に対して垂直となるように保持されている。回転中心軸C1が鉛直方向に沿って配置された場合には、メッシュ部材160を含む平面は、水平に位置することになる。
【0041】
(ボトムキャップ550)
再び図5を参照して、ボトムキャップ550は、リング側壁551を有し、リング側壁541の内側には、十字形状にブリッジ552が設けられている。ブリッジ552の隙間からは水道水の外部への排出が可能な流体排出用開口部550aが規定される。また、ブリッジ552が交差する中央部には、回転支持部材540Aの回転中心軸C1となる回転軸553が設けられている。
【0042】
(メッシュ部材160の洗浄)
次に、図9を参照して、薄板部材洗浄装置500Aを用いたメッシュ部材160の洗浄について説明する。図9は、薄板部材洗浄装置500Aが組み立てられた状態の断面図である。蛇口1000から注入される水道水(図9中矢印W)は、流体排出用開口部550aから薄板部材洗浄装置500A内に導入される。流水プレート520に当接した水道水は、蓋510の内面側と流水プレート520の上面との間に形成された空間Aに拡げられる。
【0043】
また、流水プレート520に設けられた流水孔520aの数量によって、回転支持部材540A側に流れ出る水道水の流量が調整されるとともに、水道水の流れが複数に分けられ、水道水の流れが流水プレート520の全面に拡散する。これにより、回転支持部材540Aの全面にわたって、水道水が流水プレート520の流水孔520aから降り注ぐ状態となる。また、流水孔520aを水道水が通過することで、空気を取り込み気泡を含んだ泡が発生する。この泡に含まれる気泡のメッシュ部材160への衝突や破裂するパワーで、洗浄効果が高まることを期待することができる。
【0044】
流水プレート520の流水孔520aから降り注がれた水道水は、回転支持部材540Aに設けられた外側回転羽根543および内側回転羽根544に当接することで、回転支持部材540Aを回転させる。また、メッシュ部材保持部545Aに保持されたメッシュ部材160に注がれた水道水は、メッシュ部材160の回転による遠心力に基づき、メッシュ部材160の表面および裏面を流れ、メッシュ部材160に付着している薬液カス等を除去される。メッシュ部材160から除去された薬液カス等は、そのまま水道水により流体排出用開口部550aから薄板部材洗浄装置500Aの外部に排出される。
【0045】
(作用・効果)
このように本実施の形態における薄板部材洗浄装置500Aを用いたメッシュ部材160の洗浄よれば、水道水の流水の勢いを利用して、メッシュ部材160を回転させながら、メッシュ部材160に水道水を降り注ぐようにすることで、メッシュ部材160の表面に対して水道水を均一に流すことができるため、メッシュ部材160を均一にかつ効率良く簡便に洗浄することができる。また、水道水の流量、洗浄時間を予め定めておくことで、定量的かつより均一な洗浄を実現することができる。
【0046】
また、水道水の流水の勢いを利用していることから、他の動力を用いることなく、メッシュ部材160の回転を可能としている。また、除去した薬液カス等は、流水とともに外部に排出されるために、薬液カス等がメッシュ部材160に再付着することはない。
【0047】
また、メッシュ部材160に水道水からの水が直接当たることがないため、メッシュ部材160、特に、金属の薄板部材161を破損することはない。また、メッシュ部材160は、薄板部材洗浄装置500Aの内部に設けられたメッシュ部材保持部545Aに保持されていることから、水道水により排水口に流して紛失してしまうこともない。
【0048】
このように本実施の形態における薄板部材洗浄装置500Aによれば、メッシュ部材160を破損させることなく効率良くメッシュ部材160を洗浄することを可能とする。
【0049】
(実施の形態2)
次に、図10から図12を参照して、この発明に基づいた実施の形態2における薄板部材洗浄装置500Bの構造について説明する。実施の形態2における薄板部材洗浄装置500Bの基本的構成は、上述の実施の形態1における薄板部材洗浄装置500Aと同じである。相違点は、回転支持部材に固定されるメッシュ部材保持部の形態にある。
【0050】
したがって、図中において、同一の構成については、同一符号を付して重複は繰り返さず、本実施の形態における薄板部材洗浄装置500Bに採用される回転支持部材540Bに固定されるメッシュ部材保持部545Bについてのみ説明する。なお、図10は、薄板部材洗浄装置500Bの構成を示す分解斜視図、図11は、薄板部材洗浄装置500Bに採用される回転支持部材およびメッシュ部材の配置を示す斜視図、図12は、薄板部材洗浄装置500Bの縦断面図である。
【0051】
(薄板部材洗浄装置500B/メッシュ部材保持部545B)
図10および図11に示すように、この実施の形態における回転支持部材540Bは、内側回転羽根544の上面側に、メッシュ部材160を起立させた状態で保持するためのメッシュ部材保持部545Bが、回転支持部材540Bの中心位置に設けられている。なお、メッシュ部材160を起立させた状態とは、メッシュ部材160を含む平面と、回転支持部材540Bの回転中心軸C1とが並行に設けられる場合をいう。
【0052】
メッシュ部材保持部545Bは、メッシュ部材160を起立させた状態でメッシュ部材160を下方側面から保持する半円形の溝部5453を有する。なお、メッシュ部材保持部545Bの個数は1個に限定されず、2個以上設けることが可能であり、たとえば、上記実施の形態1に示すように、回転支持部材540B上に4個のメッシュ部材保持部545Bを配置することも可能である。
【0053】
(メッシュ部材160の洗浄)
次に、図12を参照して、薄板部材洗浄装置500Bを用いたメッシュ部材160の洗浄について説明する。図12は、薄板部材洗浄装置500Bが組み立てられた状態の断面図である。蛇口1000から注入される水道水(図12中矢印W)は、流水プレート520に当接した後に、蓋510の内面側と流水プレート520の上面との間に形成された空間Aに拡げられる。
【0054】
また、流水プレート520に設けられた流水孔520aの数量によって、回転支持部材540B側に流れ出る水道水の流量が調整されるとともに、水道水の流れが複数に分けられ、水道水の流れが流水プレート520の全面に拡散する。これにより、回転支持部材540Bの全面にわたって、水道水が流水プレート520の流水孔520aから降り注ぐ状態となる。
【0055】
流水プレート520の流水孔520aから降り注がれた水道水は、回転支持部材540Bに設けられた外側回転羽根543および内側回転羽根544に当接することで、回転支持部材540Bを回転させる。また、メッシュ部材保持部545Bに保持されたメッシュ部材160に注がれた水道水は、メッシュ部材160の表面および裏面を流れ、メッシュ部材160に付着している薬液カス等を洗い流す。また、メッシュ部材160の回転による遠心力に基づいても、メッシュ部材160に付着している薬液カス等が洗い流される。メッシュ部材160から除去された薬液カス等は、そのまま水道水により流体排出用開口部550aから薄板部材洗浄装置500Bの外部に排出される。
【0056】
(作用・効果)
このように本実施の形態における薄板部材洗浄装置500Bを用いたメッシュ部材160の洗浄によっても、水道水の流水の勢いを利用して、メッシュ部材160を回転させながら、メッシュ部材160に水道水を降り注ぐようにすることで、メッシュ部材160の表面に対して水道水を均一に流すことができるため、メッシュ部材160を均一にかつ効率良く簡便に洗浄することができる。また、水道水の流量、洗浄時間を予め定めておくことで、定量的かつより均一な洗浄を実現することができる。
【0057】
また、水道水の流水の勢いを利用していることから、他の動力を用いることなく、メッシュ部材160の回転を可能としている。また、除去した薬液カス等は、流水とともに外部に排出されるために、薬液カス等がメッシュ部材160に再付着することはない。
【0058】
また、メッシュ部材160に水道水からの水が直接当たることがないため、メッシュ部材160、特に、金属の薄板部材161を破損することはない。また、メッシュ部材160は、薄板部材洗浄装置500Bの内部に設けられたメッシュ部材保持部545Bに保持されていることから、水道水により排水口に流して紛失してしまうこともない。
【0059】
このように本実施の形態における薄板部材洗浄装置500Bによれば、メッシュ部材160を破損させることなく効率良くメッシュ部材160を洗浄することを可能とする。
【0060】
(実施の形態3)
次に、図13から図15を参照して、この発明に基づいた実施の形態3における薄板部材洗浄装置500Cの構造について説明する。実施の形態3における薄板部材洗浄装置500Cの基本的構成は、上述の実施の形態1における薄板部材洗浄装置500Aと同じである。相違点は、回転支持部材に固定されるメッシュ部材保持部の形態である。
【0061】
したがって、図中において、同一の構成については、同一符号を付して重複は繰り返さず、本実施の形態における薄板部材洗浄装置500Cに採用される回転支持部材540Cに固定されるメッシュ部材保持部545Cについてのみ説明する。なお、図13は、薄板部材洗浄装置500Cの構成を示す分解斜視図、図14は、薄板部材洗浄装置500Cに採用される回転支持部材およびメッシュ部材の配置を示す斜視図、図15は、薄板部材洗浄装置500Cの縦断面図である。
【0062】
(薄板部材洗浄装置500C/メッシュ部材保持部545C)
図13および図14に示すように、この実施の形態における回転支持部材540Cは、内側回転羽根544の上面側に、メッシュ部材160を傾斜させた状態で保持するためのメッシュ部材保持部545Cが、回転支持部材540Bの中心位置に設けられている。なお、メッシュ部材160を傾斜させた状態とは、メッシュ部材160を含む平面と、回転支持部材540Bの回転中心軸C1とが交差する状態をいう。なお、実施の形態1は、メッシュ部材160を含む平面が回転支持部材540Bの回転中心軸C1に垂直に交差する状態であり、本実施の形態は、実施の形態1と2との間の状態を意味する。
【0063】
メッシュ部材保持部545Cは、メッシュ部材160を側面側から覆い、一部が切離された略筒形状の側壁部5454と、この側壁部5454の内面に設けられメッシュ部材160を傾斜させた状態で、下方側面から保持する略半円形の傾斜支持部5455とを有する。なお、メッシュ部材保持部545Cの個数は1個に限定されず、2個以上設けることが可能であり、たとえば、上記実施の形態1に示すように、4個のメッシュ部材保持部545Cを配置することも可能である。
【0064】
(メッシュ部材160の洗浄)
次に、図15を参照して、薄板部材洗浄装置500Cを用いたメッシュ部材160の洗浄について説明する。図15は、薄板部材洗浄装置500Cが組み立てられた状態の断面図である。蛇口1000から注入される水道水(図15中矢印W)は、流水プレート520に当接した後に、蓋510の内面側と流水プレート520の上面との間に形成された空間Aに拡げられる。
【0065】
また、流水プレート520に設けられた流水孔520aの数量によって、回転支持部材540C側に流れ出る水道水の流量が調整されるとともに、水道水の流れが複数に分けられ、水道水の流れが流水プレート520の全面に拡散する。これにより、回転支持部材540Cの全面にわたって、水道水が流水プレート520の流水孔520aから降り注ぐ状態となる。
【0066】
流水プレート520の流水孔520aから降り注がれた水道水は、回転支持部材540Cに設けられた外側回転羽根543および内側回転羽根544に当接することで、回転支持部材540Cを回転させる。また、メッシュ部材保持部545Cに保持されたメッシュ部材160に注がれた水道水は、メッシュ部材160の表面および裏面を流れ、メッシュ部材160に付着している薬液カス等を洗い流す。また、メッシュ部材160の回転による遠心力に基づいても、メッシュ部材160に付着している薬液カス等が洗い流される。メッシュ部材160から除去された薬液カス等は、そのまま水道水により流体排出用開口部550aから薄板部材洗浄装置500Aの外部に排出される。
【0067】
(作用・効果)
このように本実施の形態における薄板部材洗浄装置500Cを用いたメッシュ部材160の洗浄によっても、水道水の流水の勢いを利用して、メッシュ部材160を回転させながら、メッシュ部材160に水道水を降り注ぐようにすることで、メッシュ部材160の表面に対して水道水を均一に流すことができるため、メッシュ部材160を均一にかつ効率良く簡便に洗浄することができる。また、水道水の流量、洗浄時間を予め定めておくことで、定量的かつより均一な洗浄を実現することができる。
【0068】
また、水道水の流水の勢いを利用していることから、他の動力を用いることなく、メッシュ部材160の回転を可能としている。また、除去した薬液カス等は、流水とともに外部に排出されるために、薬液カス等がメッシュ部材160に再付着することはない。
【0069】
また、メッシュ部材160に水道水からの水が直接当たることがないため、メッシュ部材160、特に、金属の薄板部材161を破損することはない。また、メッシュ部材160は、薄板部材洗浄装置500Cの内部に設けられたメッシュ部材保持部545Cに保持されていることから、水道水により排水口に流して紛失してしまうこともない。
【0070】
このように本実施の形態における薄板部材洗浄装置500Cによれば、メッシュ部材160を破損させることなく効率良くメッシュ部材160を洗浄することを可能とする。
【0071】
(実施の形態4)
次に、図16から図18を参照して、この発明に基づいた実施の形態4における薄板部材洗浄装置500Dの構造について説明する。実施の形態4における薄板部材洗浄装置500Dの基本的構成は、上述の実施の形態1における薄板部材洗浄装置500Aと同じである。相違点は、回転支持部材に固定されるメッシュ部材保持部の個数である。
【0072】
したがって、図中において、同一の構成については、同一符号を付して重複は繰り返さず、本実施の形態における薄板部材洗浄装置500Dに採用される回転支持部材540Dに固定されるメッシュ部材保持部545Aについてのみ説明する。なお、図16は、薄板部材洗浄装置500Dの構成を示す分解斜視図、図17は、薄板部材洗浄装置500Dに採用される回転支持部材およびメッシュ部材の配置を示す斜視図、図18は、薄板部材洗浄装置500Dの縦断面図である。
【0073】
(薄板部材洗浄装置500D/メッシュ部材保持部545A)
図16および図17に示すように、この実施の形態における回転支持部材540Dは、内側回転羽根544の上面側に、メッシュ部材160を含む平面が内側回転羽根544の回転中心軸C1に対して垂直となるように保持するため、実施の形態1と同じ形態を有するメッシュ部材保持部545Aが、回転支持部材540Dの中心位置に1個設けられている。
【0074】
(メッシュ部材160の洗浄)
次に、図18を参照して、薄板部材洗浄装置500Dを用いたメッシュ部材160の洗浄について説明する。図18は、薄板部材洗浄装置500Dが組み立てられた状態の断面図である。蛇口1000から注入される水道水(図18中矢印W)は、流水プレート520に当接した後に、蓋510の内面側と流水プレート520の上面との間に形成された空間Aに拡げられる。
【0075】
また、流水プレート520に設けられた流水孔520aの数量によって、回転支持部材540D側に流れ出る水道水の流量が調整されるとともに、水道水の流れが複数に分けられ、水道水の流れが流水プレート520の全面に拡散する。これにより、回転支持部材540Dの全面にわたって、水道水が流水プレート520の流水孔520aから降り注ぐ状態となる。
【0076】
流水プレート520の流水孔520aから降り注がれた水道水は、回転支持部材540Dに設けられた外側回転羽根543および内側回転羽根544に当接することで、回転支持部材540Dを回転させる。また、メッシュ部材保持部545Aに保持されたメッシュ部材160に注がれた水道水は、メッシュ部材160の回転による遠心力に基づき、メッシュ部材160の表面および裏面を流れ、メッシュ部材160に付着している薬液カス等を除去される。メッシュ部材160から除去された薬液カス等は、そのまま水道水により流体排出用開口部550aから薄板部材洗浄装置500Dの外部に排出される。
【0077】
(作用・効果)
このように本実施の形態における薄板部材洗浄装置500Dを用いたメッシュ部材160の洗浄よれば、水道水の流水の勢いを利用して、メッシュ部材160を回転させながら、メッシュ部材160に水道水を降り注ぐようにすることで、メッシュ部材160の表面に対して水道水を均一に流すことができるため、メッシュ部材160を均一にかつ効率良く簡便に洗浄することができる。また、水道水の流量、洗浄時間を予め定めておくことで、定量的かつより均一な洗浄を実現することができる。
【0078】
また、水道水の流水の勢いを利用していることから、他の動力を用いることなく、メッシュ部材160の回転を可能としている。また、除去した薬液カス等は、流水とともに外部に排出されるために、薬液カス等がメッシュ部材160に再付着することはない。
【0079】
また、メッシュ部材160に水道水からの水が直接当たることがないため、メッシュ部材160、特に、金属の薄板部材161を破損することはない。また、メッシュ部材160は、薄板部材洗浄装置500Dの内部に設けられたメッシュ部材保持部545Aに保持されていることから、水道水により排水口に流して紛失してしまうこともない。
【0080】
このように本実施の形態における薄板部材洗浄装置500Dによれば、メッシュ部材160を破損させることなく効率良くメッシュ部材160を洗浄することを可能とする。
【0081】
なお、上記各実施の形態においては、ネブライザに用いられるメッシュ部材160を、洗浄対象物である薄板部材の一例として説明しているが、本発明における薄板部材洗浄装置に用いられる薄板部材は、ネブライザに用いられるメッシュ部材に限定されるものではなく、コンタクトレンズ、その他の薄板部材に対しても適用することが可能である。
【0082】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0083】
100 ネブライザ、110 噴霧口、120 開閉操作部、130 薬液貯留部、140 ステップホーン、150 圧電素子、160 メッシュ部材、161 薄板部材、162 樹脂部材、180 液溜め部、190 仕切り板、200 マウスピース、210 霧化装置側開口、211 鍔部、220 吸入口、230 空気取込口、240 筒状部、500A 薄板部材洗浄装置、510 蓋、510a 流体注入用開口部、520 流水プレート、530 キャップ、530a 開口部、520a 流水孔、540A,540B,540C,540D 回転支持部材、541 外周リング側壁、542 内周リング側壁、543 外側回転羽根、544 内側回転羽根、545A,545B,545C メッシュ部材保持部、5451 リング部、5452 押さえ部、5453 溝部、5454 側壁部、5455 傾斜支持部、546 回転軸受凹部、550 ボトムキャップ、550a 流体排出用開口部、551 リング側壁、552 ブリッジ、553 回転軸、560 ゴムパッキン、1000 蛇口、A 空間、C1 中心軸。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体を注入する流体注入用開口部と流体排出用開口部とを含む筐体と、
前記筐体の内部に収容され、前記流体によりその表面が洗浄される薄板部材を保持する薄板部材保持部と、
前記筐体の内部に収容され、前記薄板部材保持部を支持し、前記流体の通過により回転する回転支持部材と、
を備える、薄板部材洗浄装置。
【請求項2】
前記回転支持部材は、前記流体の通過により回転力を得る回転羽根を有する、請求項1に記載の薄板部材洗浄装置。
【請求項3】
前記流体注入用開口部と前記薄板部材保持部との間に、前記回転支持部材への前記流体の流量を調整する流体流量調整部材をさらに含む、請求項1または2に記載の薄板部材洗浄装置。
【請求項4】
前記流体注入用開口部と前記薄板部材保持部との間に、前記回転支持部材への前記流体の複数に分ける流体経路分離部材をさらに含む、請求項1から3のいずれかに記載の薄板部材洗浄装置。
【請求項5】
前記流体注入用開口部と前記薄板部材保持部との間に、前記回転支持部材への前記流体を拡散する流体経路拡散部材をさらに含む、請求項1から4のいずれかに記載の薄板部材洗浄装置。
【請求項6】
前記流体注入用開口部には、水道蛇口が接続される、請求項1から5のいずれかに記載の薄板部材洗浄装置。
【請求項7】
前記薄板部材は、金属の薄板部材に多数の微細孔を加工したメッシュ部材である、請求項1から6のいずれかに記載の薄板部材洗浄装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2011−140006(P2011−140006A)
【公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−3036(P2010−3036)
【出願日】平成22年1月8日(2010.1.8)
【出願人】(503246015)オムロンヘルスケア株式会社 (584)
【Fターム(参考)】