説明

薄膜蒸発及び化学的手法によるロスバスタチン中間体の精製

純粋なロスバスタチン中間体を薄膜蒸発及び化学的手法により精製する方法、並びに、その中間体をロスバスタチン又はその塩に転換する方法が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は以下の米国仮特許出願の利益を請求する:60/959383(2007年7月12日出願);60/962879(2007年7月31日出願);及び61/069098(2008年3月11日出願)。これらの出願の内容は、引用により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、ロスバスタチンの中間体である19TBPOを精製するための方法を対象とする。
【背景技術】
【0003】
心臓血管疾患の合併症、例えば心筋梗塞、発作、及び末梢血管疾患は、米国における前死因の半数を占める。血流中の高レベルの低比重リポタンパク質(LDL)は、血流を塞いで血栓を進行させる冠動脈病変の形成と関連付けられている。(Goodman and Gilman, The Pharmacological Basis of Therapeutics, 9th ed., p. 879 (1996)参照)。心臓血管疾患の患者や、心臓血管疾患ではないが高コレステロール血症である患者において、血漿LDLレベルを低減することにより、臨床兆候のリスクが低減されることが示されている。(Scandinavian Simvastatin Survival Study Group, 1994; Lipid Research Clinics Program, 1984a, 1984b.)
【0004】
スタチン系薬剤は、心臓血管疾患のリスクがある患者の血流中のLDLレベルを低減するのに使用可能な、現在のところ治療的に最も有効な薬剤である。この薬剤群としては、とりわけ、コンパクチン(compactin)、ロバスタチン(lovastatin)、シンバスタチン(simvastatin)、プラバスタチン(pravastatin)及びフルバスタチン(fluvastatin)が挙げられる。
【0005】
スタチン系薬剤の作用機序はある程度詳しく解明されている。スタチン系薬剤は、3−ヒドロキシ−3−メチル−グルタリル−コエンザイムAレダクターゼ酵素(「HMG−CoAレダクターゼ」)を競合的に阻害することにより、肝臓におけるコレステロールや他のステロールの合成を中断させる。HMG−CoAレダクターゼはHMG−CoAのメバロネートへの転換を触媒するが、これはコレステロールの生合成における律速ステップとなる。結果として、HMG−CoAレダクターゼの阻害により、肝臓におけるコレステロールの形成速度が低下する。コレステロールの産生減少によって、LDL受容体数が増加し、それに伴い血流中のLDL粒子の濃度が低下する。血流中のLDLレベルの低下によって、冠動脈疾患のリスクが減少する(J.A.M.A. 1984; 251: 351-74)。
【0006】
現在利用可能なスタチン類としては、ロバスタチン、シンバスタチン、プラバスタチン、フルバスタチン、セリバスタチン(cerivastatin)及びアトルバスタチン(atorvastatin)が挙げられる。これらはラクトン形、ナトリウム塩、又はカルシウム塩として投与される。
【0007】
ロスバスタチン(rosuvastatin:7−[4−(4−フルオロフェニル)−6−イソプロピル−2−(N−メチル−N−メチルスルホニルアミノ)ピリミジン−5−イル]−(3R,5S)−ジヒドロキシ−(E)−6−ヘプテン酸)カルシウムは、HMG−CoA レダクターゼ阻害剤であって、第一世代のスタチン系薬剤に比べ、より有効にLDL−コレステロール及びトリグリセリドのレベルを低減することが可能である。ロスバスタチンカルシウムは以下の化学式を有する。
【0008】
【化1】

【0009】
ロスバスタチン及びその塩を調製する数々の方法が開示されている。ロスバスタチンの中間体であるロスバスタチンカルシウム及びその調製法は、米国特許第5,260,440号に開示されている(本明細書では’440特許と呼ぶ。)。WO03/097614は、後期中間体であるメチル(3R)−3−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−5−オキソ−6−トリフェニル−ホスホラニリデンヘキサネートからのロスバスタチンの合成法が開示されている。これは’440特許に開示された中間体である。WO03/087112は、別の中間体である、t−ブチル(3R)−3−(t−ブチルジメチルシリルオキシ)−6−ジメトキシホスフィニル−5−オキソヘキサネートからのロスバスタチンの合成法を開示している。WO00/49014は、他の側鎖を有する中間体を用いた、ウィッティヒ(Wittig)反応によるロスバスタチンの合成法を開示している。EP850,902は、混合物中のトリフェニルホスフィン誘導体の除去法を開示している。
【0010】
また、例えばUS5,354,879には、別の中間体及びその調製法が開示されている。本公報は、油状残渣として得られる中間体であるメチル−(3R)−3−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−6−ジメトキシホスフィニル−5−オキソヘキサノエートのカラムクロマトグラフィーによる精製法を開示している。この中間体及びその調製法は、US5,717,124にも開示されている。
【0011】
WO03/087112は、t−ブチル(3R)−3−(t−ブチルジメチルシリルオキシ)−6−ジメトキシホスフィニル−5−オキソヘキサノエートの調製法を開示している。この方法によれば、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより純度99.5%の生成物が得られる。
【0012】
他の合成化合物と同様、ロスバスタチンカルシウムは、様々な出所に由来し得る外来性化合物や不純物を含有する可能性がある。その例としては、未反応の出発物質、反応の副生物、副反応の生成物、又は分解生成物が挙げられる。ロスバスタチンや他の任意の医薬品有効成(API)中に不純物が存在すると、そのAPIの投薬形態には相当な量の不純物が存在することとなり、その投薬形態による治療を受ける患者にとって望ましくないばかりか、極端な場合には有害でさえある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本技術分野では、ロスバスタチン中間体を高い費用効率で、且つ工業的スケールで調製するための調製法が、依然として求められている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、ロスバスタチンの中間体である、下記式のt−ブチル(3R)−3−(t−ブチルジメチルシリルオキシ)−6−ジメトキシホスフィニル−5−オキソヘキサノエート(19TBPO)
【化2】

を、薄膜蒸発(thin film evaporation)により精製する方法を提供する。
【0015】
本発明は、ロスバスタチンの中間体である、下記式のt−ブチル(3R)−3−(t−ブチルジメチルシリルオキシ)−6−ジメトキシホスフィニル−5−オキソヘキサノエート(19TBPO)
【化3】

を、化学精製法により精製する方法を提供する。
【0016】
本発明は、19TBPOを精製し、精製された19TBPOを、ロスバスタチン又は医薬的に許容し得るその塩に転換する方法を提供する。
【0017】
一実施形態によれば、本発明は、19TBPOを精製する方法であって、19TBPOを含有する組成物を塩基及び/又は酸化剤と混合した後、19TBPOを水非混和性有機溶媒に抽出することを含んでなる方法を提供する。
【0018】
一実施形態によれば、本発明は、下記式の化合物である19−TBPO−エリミネートエリミネート(Eliminate)−1
【化4】

(式中、Rはメチル、エチルである)を提供する。
【0019】
一実施形態によれば、本発明は、下記式の化合物である19−TBPO−エリミネートエリミネート(Eliminate)−2
【化5】

(式中、Rはメチル、エチルである)を提供する。
【0020】
一実施形態によれば、本発明は、下記式の化合物である19−TBPO−環状体
【化6】

を提供する。
【0021】
一実施形態によれば、本発明は、19−TBPO環状不純物を調製するための方法であって:
a)溶媒とジメチルメチルホスホネートとの混合物を、約−10℃から約−100℃の温度で調製し、反応混合物を得る工程;
b)塩基を前記反応混合物と混合し、塩を取得する工程
を含んでなる方法を提供する。
【0022】
一実施形態によれば、本発明は、19−TBPO環状不純物を調製するための方法であって:
a)溶媒とジメチルメチルホスホネートとの混合物を、約−10℃から約−100℃の温度で調製し、反応混合物を得る工程;
b)塩基を前記反応混合物と混合し、塩を取得する工程
c)ジエチルtert−ブチルジメチルシリルオキシグルタレートを加え、環状不純物を得る工程;
d)環状不純物を回収する工程
を含んでなる方法を提供する。
【0023】
一実施形態によれば、本発明は、GC法により測定される総純度が87面積%超である、純粋な19TBPOを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】図1は、19TBPO−エリミネート−1及び19TPO−エリミネート−2の混合物の1H NMRである。
【図2】図2は、19TBPO−エリミネート−1及び19TPO−エリミネート−2の混合物の13C NMRである。
【図3】図3は、19TBPO−エリミネート−1及び19TPO−エリミネート−2の混合物の13C NMRである。
【図4】図4は、19−TBPO−環状不純物の1H NMRである。
【図5】図5は、19−TBPO−環状不純物の13C NMRである。
【図6】図6は、19−TBPO−環状不純物の13C NMRである。
【図7】図7は、19−TBPO−環状不純物の31P NMRである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本明細書で使用される「室温(RT)」という語は、約15℃から約30℃の温度を指す。
【0026】
下記構造を有する中間体、tert−ブチル−3R−tert−ブチルジメチルシリルオキシ−6−ジメトキシホスフィニル−5−オキソヘキサノエート、別名「19TBPO」
【化7】

は、ロスバスタチンカルシウムの調製における重要な中間体である。この中間体は、WO03/087112に記載された方法に従って作製することが可能である。本公報は引用により本明細書に組み込まれる。WO03/087112記載の方法は、DMMPをTHF及びBuLiと混合すること;及び、メチルtert−ブチル−3R−tert−ブチルジメチルシリルオキシ−グルタレート(「MBSG」)を加えることを含んでなる。しかしながら、中間体19TBPOは透明ないし黄色味を帯びた油状物であり、従来の測量可能な方法で精製することはできない。これを達成する上で可能性がある方法の1つが、蒸留法、例えば従来の真空蒸留等である。
【0027】
更に、19TBPOは100℃を超える温度では分解してしまうため、油状化合物を精製するもうひとつの方法である、従来の蒸留によって精製することはできない。従来の蒸留によって不純物を低減し、且つ、分解物の発生を避けるためには、19TBPOを十分な低圧高温下に維持する必要がある。かかる制約ゆえに、従来の蒸留法は、大規模な分量の19TBPOの精製には適しておらず、従って、従来の蒸留や従来の真空蒸留による19TBPOの精製は、産業上利用可能なものではなかった。
【0028】
本発明は、19TBPOを分解することなく、高純度の19TBPOを調製するための精製法を提供する。
【0029】
一実施形態によれば、本発明は、GC法により測定される総純度が約87面積%超、好ましくはGC法での測定により少なくとも約90面積%、より好ましくはGC法での測定により少なくとも約95面積%、より一層好ましくはGC法により測定される純度が少なくとも約98面積%である、19TBPOを提供する。
【0030】
また、GC法により測定される19−TBPO−エリミネート−1(Eli−1)の量が、検出限界程度から約3面積%、好ましくはGC法での測定により検出限界程度から約1面積%、より好ましくはGC法での測定により検出限界程度から約0.5面積%、最も好ましくはGC法での測定により検出限界程度から約0.2面積%である、19TBPOも提供される。また、GC法により測定される19−TBPO−エリミネート−1の量が、約3面積%未満、好ましくはGC法での測定により約1面積%未満、より好ましくはGC法での測定により約0.5面積%未満、又は、より一層好ましくはGC法での測定により約0.2面積%未満である、19TBPOも提供される。
【0031】
また、GC法により測定される19−TBPO−エリミネート−2(Eli−2)の量が、検出限界程度から約3面積%、好ましくはGC法での測定により検出限界程度から約1面積%、より好ましくはGC法での測定により検出限界程度から約0.5面積%、最も好ましくはGC法での測定により検出限界程度から約0.2面積%である、19TBPOも提供される。また、19−TBPO−エリミネート−2の量が約3%未満、好ましくは約1%未満、より好ましくは約0.5%未満、より一層好ましくは約0.2%未満である、19TBPOも提供される。
【0032】
また、GC法により測定される環状不純物の量が、検出限界程度から約7面積%、好ましくはGC法での測定により検出限界程度から約6面積%、より好ましくはGC法での測定により検出限界程度から約3面積%、最も好ましくはGC法での測定により検出限界程度から約2面積%である、19TBPOも提供される。また、環状不純物の量が、約10%未満、好ましくは約7%未満、より好ましくは約6%未満、より一層好ましくは約3%未満、最も好ましくは約2%未満である、19TBPOも提供される。
【0033】
また、GC法により測定されるTBDMS−OH(Si−OH)の量が、約3面積%未満、好ましくはGC法での測定により約2.5面積%未満、より好ましくはGC法での測定により約2面積%未満、より一層好ましくはGC法での測定により約1面積%未満、更に一層好ましくはGC法での測定により約0.5面積%未満、最も好ましくはGC法での測定により約0.2面積%未満である、19TBPOも提供される。
【0034】
また、GC法により測定されるジメチルメチルホスホネート(DMMP)の量が約1%未満、好ましくは約0.5%未満、より好ましくは約0.2面積%未満である、19TBPOも提供される。
【0035】
また、GC法により測定されるメチルtert−ブチル3−ヒドロキシグルタレート(OH−MBSG)の量が約5%未満、好ましくは約2%未満、より好ましくは約1面積%未満である、19TBPOも提供される。
【0036】
また、メチルtert−ブチル3R−(tertブチルジメチルシリルオキシ)グルタレート(MBSG)の量が約2%未満、好ましくは約1%未満、約0.2%未満である、19TBPOも提供される。
【0037】
別の実施形態によれば、本発明は、GC法により測定される19TBPO−OHが約2%未満、好ましくは約1%未満、より好ましくは約0.5%未満、より一層好ましくは約0.2面積%未満である、19TBPOを提供する。
【0038】
一実施形態によれば、本発明は、GC法により測定される面積%で決定した場合に、約80%から約90%、好ましくは約87%から約90%の19TBPO、約2%未満のSiOH、約1%未満のDMMP、約1%未満のEli−1、約1%未満のEli−2、約1%未満のMSBG、約0.5%未満のOH−19TBPO、約7%未満の環状不純物を有する組成物を提供する。
【0039】
一実施形態によれば、19TBPO−OHの精製は、薄膜蒸発器を用いて行なわれる。薄膜蒸発器の使用によって、蒸留時に19TBPOの分解を防ぎつつ温度を上昇させることができ、純物質の調製が可能となる。典型的な膜蒸発器では、回転する分散プレートに供給材を移送する。供給材を上方から導入し、重量によってプレート上に自然落下させてもよい。
【0040】
その後、任意のワイパーブレードと、プレートの回転により生じる遠心力とによって、供給材をプレート上に(任意により均一に)分配することにより、薄膜を形成する。プレート室内の減圧とそれによる表面積の上昇によって、溶媒は容易に蒸発する。残存する物質をブレードによって側方に押しやり、採取する。
【0041】
供給材は通常は油状物の形態であり、19TBPOが入った溶媒を除去することによって得られる。溶媒は通常、蒸発器によって除去され、その後に(溶媒を含まない)油状物が残される。原則として、スケールアップ機器では、これら2種の操作(溶媒の蒸発と、それに続く油状物の精製)は、TFE中で行なうことができる。第1の回転分散プレートと第2のプレートとを上下に設けてもよく、これら第1及び第2のプレートを異なる温度に加熱してもよい。
【0042】
19TBPOを薄膜蒸発器に供給するのが好ましく、蒸発は約130℃から約200℃、より好ましくは約150℃から約160℃の温度で行なうのが好ましい。蒸発は、約0mbarから約15mbar、より好ましくは約0.97mbarから約1.2mbarの圧力で行なうのが好ましい。
【0043】
本発明の薄膜蒸発法で得られる19TBPOの純度は、GCによる面積%で、少なくとも約95%、より好ましくは少なくとも約98%、より一層好ましくは少なくとも約99%であることが好ましい。得られる19TBPOのアッセイ純度は、w/w%で、少なくとも約98.4%、より好ましくは少なくとも約99%、最も好ましくは少なくとも約100%w/wであることが好ましい。
【0044】
上述により調製される19TBPOを、ロスバスタチン又は医薬的に許容し得るその塩に転換してもよい。19TBPOが高純度であるので、ロスバスタチン又はその塩も高い純度で得ることが可能である。ロスバスタチン又は医薬的に許容し得るその塩への転換は、本技術分野で公知の任意の方法によって行なうことができる。例としては、米国特許出願番号第11/543,357号(米国特許出願公報第20070167625号)に記載の、ウィッティヒ・ホーナー(Wittig-Horner)反応が挙げられる。本文献は引用により本明細書に組み入れられる。
【0045】
別の実施形態によれば、精製は、19TBPOを含有する組成物を塩基及び/又は酸化剤と混合した後、19TBPOを有機相に抽出することにより行なわれる。この方法は、19TBPOと、少なくとも1種の塩基又は酸化剤とを混合して、水性反応混合物を取得し;b)反応混合物を水非混和性有機溶媒で抽出し;c)19TBPOを有機溶媒から回収することを含んでいてもよい。
【0046】
混合は約5℃から約35℃の温度で行なうことができる。抽出は約20℃から約40℃の温度で行なうことができる。
【0047】
塩基としてはアルカリ又はアルカリ土類金属塩基が挙げられる。塩基の例としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化バリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸セシウム及び炭酸リチウムが挙げられる。塩基としては水酸化ナトリウム又は炭酸ナトリウムが好ましい。より好ましくは水酸化ナトリウムである。
【0048】
約10から約12、例えば約11.0から約11.5という、好ましいpHが得られるような量の塩基を加える。塩基は19TBPOに対して、滴下により加えてもよく、1つのロットとして加えてもよい。
【0049】
一実施形態によれば、酸化剤を使用する。酸化剤としては、過マンガン酸ナトリウム、過マンガン酸カリウム、過マンガン酸カルシウム、クロメート及びジクロメート化合物(例えばジクロム酸カリウム、ジクロム酸ナトリウム等)、四酸化オスミウム、クロロクロム酸ピリジニウム、及び、硝酸アンモニウムセリウムが挙げられる。中でも、酸化剤としては、過マンガン酸塩、例えば過マンガン酸カリウムが好ましい。
【0050】
塩基と酸化剤との組み合わせを使用することもできる。一実施形態によれば、酸化剤である過マンガン酸塩を、塩基である水酸化物又は炭酸塩との組み合わせで使用する。中でも過マンガン酸カリウムと水酸化ナトリウムとの組み合わせが好ましい。
【0051】
反応混合物は、水非混和性溶媒で抽出可能な水性反応混合物である。反応混合物に適した溶媒としては水が挙げられる。これは塩基水溶液の形態であってもよく、水と混和し得る溶媒(例えばアセトン又はC1〜C3アルコール、好ましくはメタノール)との混合物の形態であってもよい。酸化剤を使用する場合には、溶媒として水のみを用いることが好ましい。好ましい水対溶媒比は約1から約5(v/v)である。
【0052】
二相系となるように、抽出に使用する溶媒は水非混和性溶媒とする。このような溶媒の例としては、C3〜C8エステル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、C4〜C8ケトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、C4〜C8エーテル、ジエチルエーテル、イソプロピルエーテル、メチルtertブチルエーテル、C5〜C12炭化水素、トルエン、キシレン、ヘキサン、シクロヘキサン、C1〜C6塩素化溶媒(ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素)。中でも、溶媒としてはトルエンが好ましい。
【0053】
抽出は塩基性pHで行なっても酸性pHで行なってもよい。酸化剤を使用する場合、特に過マンガン酸塩を使用する場合には、酸を加えて反応混合物をクエンチしてもよい。酸添加後のpHは、好ましくは約1から約5、好ましくは約1から約3である。適切な鉱酸の例としては、HCl、H2SO4、及びリン酸が挙げられる。有機酸の例としては、酢酸及びギ酸が挙げられる。
【0054】
水非混和性有機溶媒の添加後、19TBPOが有機溶媒に移行する。更に、水系相を水非混和性有機溶媒で抽出する。
【0055】
その後、19TBPOを水非混和性溶媒から回収してもよい。回収に使用される条件は、溶媒の揮発性及び沸点に依存し得る。好ましくは、沸点下約50℃から溶媒の沸点までの温度で回収を行なう。また、減圧することにより回収を行なってもよい。例えば、一気圧未満の圧力又は約100mmHg未満の圧力で行なってもよい。例えば、トルエン等の炭化水素を使用する場合、約50℃から約100℃、好ましくは約70℃から約90℃の温度下、及び、一気圧未満の圧力下で蒸留することにより、回収を行なうことができる。
【0056】
溶媒を蒸留で除去することにより(例えば上述したトルエン除去により)、SiOH等の不純物の量も低減される。
【0057】
また、本発明は、19TBPOに関連する不純物である3種の化合物も提供する。これらの化合物は、下記式の19TBPO−エリミネート−1
【化8】

(式中、Rはメチル、エチルである)、
下記式の19−TBPO−エリミネート−2
【化9】

(式中、Rはメチル、エチルである)、及び
下記式の19−TBPO−環状不純物
【化10】

である。
【0058】
これら三種の化合物は、単離された形態で提供してもよい。本明細書で19TBPOに関して使用される「単離された(isolated)」という語は、上述の不純物のうち何れか一種であって、反応混合物から物理的に分離されたものに相当する。例えば、分離はカラムクロマトグラフィーによって行なうことができる。
【0059】
Rがエチルの場合、エリミネート−1は以下のNMRを有する。
【化11】

【0060】
1H NMR (300 MHz, CDCl3): δ 1.28 (t, 3H, CH2-CH3), 1.48 (s, 9H, C-(CH3)3), 3.20 (dd, 2H, H4), 4.22 (q, 2H, CH2-CH3), 5.90 (d, 1H, H2), 6.90 (m, 1H, H3).
【0061】
13C NMR (75 MHz, CDCl3): δ 14.16 (CH2-CH3), 28.03 (C-(CH3)3), 38.39 (C4), 60.09 (CH2-CH3), 81.53 (C-(CH3)3), 124.44 (C2), 140.41 (C3), 165.14 (C1), 169.10 (C5).
【0062】
19−TBPO−エリミネート−1は、実質的に19TBPOを含まない状態で合成することができる。一実施形態によれば、GC法により測定される19TBPOが約10面積%未満の19−TBPO−エリミネート−1が得られる。19−TBPO−エリミネート−1はカラムクロマトグラフィーによって単離することができる。好ましくは、19−TBPO−エリミネート−1を19TBPOから分離することにより、GCにより測定される19TBPOの含有量が約10面積%未満、より好ましくは約5面積%以上、より好ましくは約1面積%以上、最も好ましくは約0.5面積%未満である、不純物及び19TBPOの組成物が提供される。GCにより測定される組成物中の19−TBPO−エリミネート−1の量は、90面積%以上、より好ましくは95面積%以上、より好ましくは99面積%以上、最も好ましくは99.5面積%以上であることが好ましい。
【0063】
Rがエチルの場合、19−TBPO−エリミネート−2は以下のNMRデータを有する。
【化12】

【0064】
1H NMR (300 MHz, CDCl3): δ 1.29 (t, 3H, CH2-CH3), 1.46 (s, 9H, C-(CH3)3), 3.15 (dd, 2H, H4), 4.15 (q, 2H, CH2-CH3), 5.85 (d, 1H, H2), 7.0 (m, 1H, H3),.
【0065】
13C NMR (75 MHz, CDCl3): δ 14.24 (CH2-CH3), 28.10 (C-(CH3)3), 38.73 (C4), 60.39 (CH2-CH3), 81.51 (C-(CH3)3), 124.31 (C2), 140.36 (C3), 165.92 (C1), 170.03 (C5).
【0066】
19−TBPO−エリミネート−2は、実質的に19TBPOを含まない状態で合成することができる。一実施形態によれば、GC法により測定される19TBPOが約10面積%未満である19−TBPO−エリミネート−2が得られる。19−TBPO−エリミネート−2はカラムクロマトグラフィーによって単離することができる。好ましくは、19−TBPO−エリミネート−2を19TBPOから分離することにより、GCにより測定される19TBPOの含有量が約10面積%未満、より好ましくは約5面積%以上、より好ましくは約1面積%以上、最も好ましくは約0.5面積%未満である、不純物及び19TBPOの組成物が提供される。GCにより測定される組成物中の19−TBPO−エリミネート−2の量は、90面積%以上、より好ましくは95面積%以上、より好ましくは99面積%以上、最も好ましくは99.5面積%以上であることが好ましい。
【0067】
19−TBPO−環状不純物は以下のNMR及びMSデータを有する。
【化13】

【0068】
1H NMR (300 MHz, CDCl3): δ 0.07 (s, 3H, Si-CH3), 0.08 (s, 3H, Si-CH3), 0.08 (s, 9H, Si-tBu), 2.52 (m, 1H, H5), 2.71 (m, 1H, H5), 2.44 (m, 1H, H7), 2.61 (m, 1H, H7), 2.79 (m,2H, H1), 3.78 (s, OMe), 3.77 (s, OMe), 6.00 (d, H3).
【0069】
13C NMR (75 MHz, CDCl3):δ -4.74 (Si-CH3), 25.79 (Si- C(CH3)3), 25.79 (Si- C(CH3)3), 35.32 (C1), 40.13 (C5), 46.84 (C7), 53.14 (OMe), 67.35 (C6), 127.69 (C3), 152.09 (C2), 197.84 (C4).
【0070】
31P NMR: δ 26.54.
MS (DCI+) MH+: 349
【0071】
19−TBPO−環状不純物は、実質的に19TBPOを含まない状態で合成することができる。一実施形態によれば、GC法により測定される19TBPOが約10面積%未満の19−TBPO−環状不純物が得られる。19−TBPO環状不純物はカラムクロマトグラフィーによって単離することができる。好ましくは、19−TBPO−環状不純物 を19TBPOから分離することにより、GCにより測定される19TBPOの含有量が約10面積%未満、より好ましくは約5面積%以上、より好ましくは約1面積%以上、最も好ましくは約0.5面積%未満である、不純物及び19TBPOの組成物が提供される。GCにより測定される組成物中の19−TBPO−環状不純物の量は、90面積%以上、より好ましくは95面積%以上、より好ましくは99面積%以上、最も好ましくは99.5面積%以上であることが好ましい。
【0072】
化合物19−TBPO−エリミネート−1及び19−TBPO−エリミネート−2の調製は、溶媒及び塩基を、約−10℃から約−100℃の温度で、ジメチルメチルホスホネートと混合して塩を取得し;メチルtert−ブチル(3)Rジメチルシリルオキシグルタレートを前記の塩に加え、19−TBPO エリミネート−1及び19−TBPO エリミネート−2を混合物として取得することにより行なうことができる。反応を加速するために、例えば約−45℃から約−75℃の温度範囲で、反応混合物を攪拌してもよい。
【0073】
塩基は、炭素アニオン形成能を有することが好ましい。塩基は、C1〜C6アルキルリチウム、アルカリ金属水素化物、及びアルカリ金属アミドからなる群より選択することができる。より好ましくは、塩基はヘキサン中のアルキルリチウム又はn−ブチルリチウムである。炭素アニオンの形成は、例えば窒素、ヘリウム又はアルゴン雰囲気等の不活性条件下で行なうことが好ましい。また、反応混合物中の水分が約0.1重量%未満となるよう、無水条件とすることが好ましい。任意により、ヘキサメチルジシラザンを反応混合物に加えてもよい。
【0074】
反応後、温度を例えば、約−10から約30℃に昇温してもよい。クエンチング試薬(例えば塩化アンモニウム、水、酸(例えばHCl又は酢酸)、又はこれらの組み合わせ)を加えてもよい。一実施形態によれば、pHが約1から約5(例えば約2)である水系酸性反応混合物が得られるように、反応混合物をクエンチする。その後、水非混和性有機溶媒(例えば、酢酸エチル、又はトルエン、又はMIBK(メチルイソブチルケトン))を加える。この時点で更に、温度を室温まで上昇させてもよい。層分離の後、水非混和性溶媒を水又は塩溶液(例えば塩化ナトリウム溶液)で洗浄してもよい。例えば一気圧未満の圧力、好ましくは100mmHg未満の圧力の下で溶媒を除去することにより、19−TBPO−エリミネート−1及び19−TBPO−エリミネート−2の混合物を、油状物として回収することができる。更に、19−TBPO−エリミネート−1及び19−TBPO−エリミネート−2を、クロマトグラフィーによって互いに分離することもできる。
【0075】
溶媒を蒸留で除去することにより、例えば一気圧未満、好ましくは100mmHg未満の下で除去することにより、例えばSiOH等の不純物の量も低減される。
【0076】
更に提供されるのは、19−TBPO環状不純物を調製するための方法であって:
a)約−10℃から約−100℃の温度で、溶媒及びジメチルメチルホスホネートの混合物を調製し、反応混合物を獲得する工程;
b)塩基を反応混合物と混合して塩を取得する工程;
c)ジエチルtert−ブチルジメチルシリルオキシグルタレートを加えて環状不純物を獲得する工程;
d)環状不純物を回収する工程
を含んでなる方法である。
【0077】
溶媒及びジメチルメチル ホスホネートを、RT(例えば約15℃から約30℃の温度)で混ぜ合わせた後、冷却してもよい。塩基は、炭素アニオン形成能を有することが好ましい。塩基は、C1〜C6アルキルリチウム、アルカリ金属水素化物、及びアルカリ金属アミドからなる群より選択することができる。より好ましくは、塩基はヘキサン中のアルキルリチウム又はn−ブチルリチウムである。炭素アニオンの形成は、例えば窒素、ヘリウム又はアルゴン雰囲気等の不活性条件下で行なうことが好ましい。また、反応混合物中の水分が約0.1重量%未満となるよう、無水条件とすることが好ましい。任意により、ヘキサメチルジシラザンを反応混合物に加えてもよい。
【0078】
反応後、温度を例えば、約−10から約30℃に昇温してもよい。クエンチング試薬(例えば塩化アンモニウム、水、酸(例えばHCl又は酢酸)、又はこれらの組み合わせ)を加えてもよい。一実施形態によれば、pHが約1から約5(例えば約2)である水系酸性反応混合物が得られるように、反応混合物をクエンチする。その後、水非混和性有機溶媒(例えば、酢酸エチル、又はトルエン、又はMIBK(メチルイソブチルケトン))を加える。この時点で更に、温度を室温まで上昇させてもよい。層分離の後、酢酸を水又は塩溶液(例えば塩化ナトリウム溶液)で洗浄してもよい。例えば一気圧未満の圧力、好ましくは100mmHg未満の圧力の下で溶媒を除去することにより、環状不純物を、油状物として回収することができる。
【0079】
19−TBPO−エリミネート−1及び19−TBPO−エリミネート−2と19−TBPO−環状不純物とを、19TBPO又は不純物の試料中におけるその存在及び量を決定する際に、参照マーカー及び参照標準として用いてもよい。
【0080】
一実施形態によれば、本発明は、不純物を参照マーカーとしてGCを実施することを含んでなる方法により、19TBPO中における不純物の存在を決定する方法を包含する。ここで不純物は、19−TBPO−エリミネート1、19−TBPO−エリミネート−2、及び19−TBPO−環状不純物の何れかである。
【0081】
好ましくは、上記の方法は、(a)参照マーカー試料中の不純物に対応する相対保持時間(それぞれRRT、又はRRFと呼ぶ)をGCにより測定する工程;(b)不純物及び19TBPOを含んでなる試料中の不純物に対応する相対保持時間をGCにより決定する工程;及び(c)工程(a)の相対保持時間(RRT又はRRF)を工程(b)のRRT又はRRFと比較することにより、試料中の不純物の相対保持時間を決定する工程を含んでなる。ここで不純物は、19−TBPO−エリミネート1、19−TBPO−エリミネート−2、及び19−TBPO−環状不純物の何れかである。
【0082】
別の実施形態によれば、本発明は、不純物を参照標準としてGCを実施することを含んでなる方法により、19TBPO中における不純物の量を決定する方法を包含する。ここで不純物は、19−TBPO−エリミネート1、19−TBPO−エリミネート−2、及び19−TBPO−環状不純物の何れかである。
【0083】
好ましくは、上記方法は:(a)既知の量の不純物を含んでなる参照標準中の不純物に対応するピーク下の面積をGCにより測定する工程;(b)不純物及び19TBPOを含んでなる試料中の不純物に対応するピーク下の面積をGCにより測定する工程;及び、(c)工程(a)の面積を工程(b)の面積と比較することにより、試料中の不純物の量を決定する工程を含んでなる。
【0084】
更に別の実施形態によれば、本発明は19TBPOの純度を決定するGC法であって:
(a)19TBPOをアセトニトリルと混合し、溶液を得る工程;
(b)(50%−フェニル)−メチルポリシロキサン、30m×0.53mm×1.0μm膜厚のカラムに、上記溶液を注入する工程;
(c)Heをキャリアーガスとして用い、約で、試料をカラムから溶離する工程;
(d)例えば炎イオン化検出器を用いて、不純物含量を測定する工程
を含んでなる方法を提供する。
【0085】
特定の好適な実施形態を参照しながら本発明を説明したが、本明細書を考慮すれば、当業者には他の実施形態も明らかになるであろう。以下では実施例を参照して本発明を更に規定する。当業者には当然であるが、本発明の範囲を逸脱しない範囲において、材料及び手法の双方に多数の変形を加えることができる。
【実施例】
【0086】
機器:
Pope社製の拭型(Wiped)膜蒸発器。
伝熱面積0.02m2、50mm径、ガラス製、テフロン(登録商標)ワイパー3本。
【0087】
【表1】

【0088】
標準溶液の調製
19TBPOの標準品20mgを10ml容量フラスコ内に正確に秤り取り、希釈剤に溶解させ、希釈剤で量を調整。
【0089】
試料溶液の調製
19TBPO試料20mgを10ml容量フラスコ内に正確に秤り取り、希釈剤に溶解させ、希釈剤で量を調整。
【0090】
手順
標準溶液及び試料溶液を注入し、勾配の終了までクロマトグラムを継続。
【0091】
ガスクロマトグラフィーによる19TBPOの不純物プロファイル
【0092】
機器
炎イオン化検出器付ガスクロマトグラフ。
【0093】
カラム
DB17、30m×0.53mm×1.0μm膜厚、Agilent社C/N:125−1732又は同等品。
【0094】
クロマトグラフィー条件
【表2】

【0095】
必要な系の安定性を得るために、温度及び流速を変更してもよい。
【0096】
希釈剤
アセトニトリル
【0097】
TBDMSiOH:3.48分間
DMMP:5.82分間
Eli−2:8.80分間
Eli−1:9.00分間
環状不純物:31.7分間
【0098】
以下に掲げる何れのGC分析においても、ELI−1及びELI−2のRはメチル基である。
【0099】
実施例1:種々の温度における19TBPOの安定性
100〜180℃の温度範囲で、大気圧の窒素下で、4時間に亘って加熱することにより、19TBPOの熱安定性を試験した。結果を以下の表に示す。
【0100】
【表3】

【0101】
100℃を超える温度では、温度の上昇に伴ってアッセイが減少した。
不純物TBDMSiOHのレベルは、100℃未満の温度では低下し、温度が100℃を超えて上昇すると、それに伴い上昇した。
【0102】
実施例2:19TBPOのTFEによる精製
26gの19TBPO残渣(TN4259、純度GC63.4%)を、薄膜蒸発器(TFE)により150℃、1.2mbarの真空下で精製し、11.6gの19TBPOを得た(純度、GC95.5面積%;アッセイ98.4%w/w)。
【0103】
実施例3:19TBPOのTFEによる精製
33gの19TBPO残渣(TN4262、純度GC70.4%)を、薄膜蒸発器(TFE)によって、160℃、0.97mbarの真空下で精製し、16.6gの19TBPOを得た(純度、GC98.4面積%;アッセイ100%w/w)。
【0104】
実施例4:WO03/087112による19TBPOの調製
乾燥窒素で洗浄した250mLフラスコにTHF(42mL)を入れ、−10℃に冷却した。攪拌しながらDMMP(9.32g)を加え、溶液を−78℃に冷却した。BuLi(ヘキサン中1.6M、44.2mL)を滴下により、温度が−73℃を超えないようにして加えた。混合物を−75℃で3h攪拌した。MBSG(10g)を−75℃で滴下により加え、混合物を徐々に暖めて、6hかけて0℃にした。水(40mL)を加え、反応混合物を5%HClで中和した。生成物をEtOAc(40mL)で抽出した。有機画分をMgSO4で乾燥し、溶媒を減圧下で蒸発させることにより、11.08gの粗19TBPOを得た(アッセイ71.4%、収率62%)。
【0105】
【化14】

【0106】
DMMP
DMMPは市販されている。
【0107】
実施例5:同時係属出願第12/148535号による19TBPOの調製
t−ブチルメチル(3R)−3−(t−ブチルジメチルシリルオキシ)−グルタレート(MBSG:式(III))からのt−ブチル(3R)−3−(t−ブチルジメチルシリルオキシ)−6−ジメトキシホスフィニル−5−オキソヘキサネート(19TBPO)の調製。
【0108】
【化15】

【0109】
4つ首丸底フラスコに対して、窒素雰囲気下、209.8gm ジメチルメチルホスホネート、900.0ml 塩化リチウム溶液(36.0gm無水塩化リチウムを900ml 乾燥テトラヒドロフランに50℃で溶解させた)、及び、350ml 乾燥テトラヒドロフランを室温で加えた。反応体を−80℃から−78℃に冷却し、1313mlの1.0M n−ブチルリチウムのヘキサン溶液(820mlのヘキサン中1.6M n−ブチルリチウムを窒素雰囲気下、493mlのヘキサンで希釈)を反応体に対し、30〜40分間の時間をかけて、−80から−78℃で加えた。反応体を−80から−78℃で30分間攪拌し、アニオンを形成させた。125gmのMBSG(式−III)を、1250mlの乾燥テトラヒドロフランとともに、−80から−78℃で、100から110分間の時間をかけて、滴下により加えた。添加の終了後、反応体を30分間攪拌し、反応をGCで監視し、1250mlの6.72%塩化アンモニウム溶液を−78から−65℃で加えた。反応体を室温に冷却した。1N塩酸溶液を用いてRTでpHを1.5に調整した。625mlのトルエンを加え、15〜20分間攪拌した。層分離し、有機層を1250ml DM水で2度洗浄し、続いて1250mlの飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄した。有機層を真空下で濃縮乾固させることにより、淡黄色の透明な生成物126.04gmを、アッセイ8301%、純度75.58%(GC面積%による)、及び収率65.95%で得た。
【0110】
【表4】

【0111】
略称
【0112】
Si−OH:シラノール
【化16】

【0113】
DMMP:ジメチルメチルホスホネート
【化17】

【0114】
19TBPOエリミネーション不純物−1
【化18】

(式中、Rはメチル、エチルである)
【0115】
【化19】

(式中、Rはメチル、エチルである)
【0116】
OH−MBSG:ヒドロキシMBSG
【化20】

【0117】
MBSG:MBSG(出発物質)
【0118】
19TBPO−OH:ヒドロキシ19TBPO
【化21】

【0119】
19TBPO:19TBPO(生成物)
【0120】
環状体:環状不純物
【化22】

【0121】
実施例6:19TBPOの化学的手法による精製
4つ首丸底フラスコに、10.0gmの19TBPO(純度:アッセイ73.62%、GC83.9%)、30mlのメタノール、10mlのDM水を入れ、水酸化ナトリウム溶液(0.44gmの水酸化ナトリウムを20mlのDM水に室温で溶解させた)を滴下により加えてpHを11.2に調整し、35〜45℃で攪拌しながら、水酸化ナトリウム溶液を持続的に加えてpHを11.0に維持した。トルエン100mlを加えて15分間攪拌し、層分離して、水層を50mlのトルエンで逆抽出し、先の有機層と混合した。混合後の有機層を真空下で濃縮することにより、淡黄色の透明な生成物、19TBPO 8.2gmを、アッセイ88.06%、純度84.65%(GC面積による)、収率86.0%(GCによる含量基準)で得た。
【0122】
【表5】

【0123】
【表6】

【0124】
実施例7:19TBPOの化学的手法による精製
【0125】
19TBPO(式(II))の精製:
4つ首丸底フラスコに、25.0gmの19TBPO(純度:GCで71.23%)と、100mlの脱塩水を室温で加えた。2.81gmの過マンガン酸カリウムと1.90gmの炭酸ナトリウムとの混合物を465mlの脱塩水に溶解させた溶液を5〜10℃で加え、5〜10℃で5時間攪拌した。反応体を希塩酸でクエンチし、反応体のpHを1.5に調整し、トルエン250mlを加え、セライト床で濾過した。この時に任意により、反応混合物を希HCl溶液とともに、トルエンの存在下で攪拌してもよい。床を25mlのトルエンで洗浄し、有機層を分離して、水層を125mlのトルエンで数回抽出して、先の有機層と混合し、有機層を250mlのDM水で2度洗浄し、続いて塩水で洗浄してから、有機層を減圧下で濃縮することにより、暗茶色の油状生成物である19TBPO (式(II))8.2gmを、アッセイ93.73%、純度84.66%(GC面積による)、収率95.73%(GCによる含量基準)で得た。
【0126】
【表7】

【0127】
【表8】

【0128】
実施例8:19TBPOのTFEによる精製
Pope社製の拭型(Wiped)膜蒸発器、伝熱面積0.02平方メートル、50mm径、ガラス製、テフロン(登録商標)ワイパー3本。薄膜蒸発を160℃で実施することにより、淡黄色から黄色の式(I)の油状生成物を、収率:97.0%(GCによる含量基準)、アッセイ:81.7%、純度:88.9%(GC面積%による)で得た。
【0129】
【表9】

【0130】
実施例9−19TBPOの調製
t−ブチルメチル(3R)−3−(t−ブチル ジメチルシリルオキシ)−グルタレート(MBSG、式−(III))からの、t−ブチル(3R)−3−(t−ブチルジメチルシリルオキシ)−6−ジメトキシホスフィニル−5−オキソヘキサネート(19TBPO)の調製
【0131】
4つ首丸底フラスコに対して、窒素雰囲気下、16.78gmのジメチルメチルホスホネート及び100mlの乾燥テトラヒドロフランを室温で加えた。反応体を−80℃から−78℃に冷却し、105mlの1.0M n−ブチルリチウムのヘキサン中溶液(66mlの1.6M n−ブチルリチウムのヘキサン中溶液を39mlのヘキサンで窒素雰囲気下で希釈)を、反応体に対して30〜35分間の時間をかけて、−80から−78℃で加えた。反応体を−80から−78℃で90分間攪拌し、アニオン形成させた。10gmの式−IIを、100mlの乾燥テトラヒドロフランとともに、−80から−78℃で、100から110分間の時間をかけて滴下により加えた。添加の完了後、反応体を30分間攪拌し、反応をGCで監視しながら、100mlの6.72%塩化アンモニウム溶液を−78から−65℃で加えた。反応体を室温まで昇温した。1N塩酸溶液を用いてRTでpHを1.5に調整した。50mlのトルエンを加えて15〜20分間攪拌した。層を分離し、有機層を2度、100mlのDM水で抽出し、続いて100mlの飽和塩化ナトリウム溶液で抽出した。有機層を真空下で濃縮乾固させることにより、淡黄色の透明の生成物10.5gmを、アッセイ55.5%、純度51.71%(GC面積%による)、及び収率45.82%で得た。
【0132】
【表10】

【0133】
a)19TBPO(式(II))の精製:
4つ首丸底フラスコに、10.5gmの19TBPO(純度:アッセイで51.5%、GCで55.5%)を室温で入れた。1.95gmの過マンガン酸カリウム及び0.35gmの水酸化ナトリウムの混合物を200mlの脱塩水に溶解させた溶液を5〜10℃で加え、5〜10℃で5時間攪拌した。反応体を希塩酸でクエンチし、反応体のpHを2〜3に調整し、トルエン55mlを加え、セライト床で濾過した。この床を10.5mlのトルエンで洗浄し、有機層を分離し、水層を27.5mlのトルエンで逆抽出し、先の有機層と混合した。有機層を55mlのDM水で2度洗浄し、続いて塩水で洗浄した。有機層を減圧下で濃縮することにより、暗茶色の油状物である19TBPO(式(II))5.2gmを、アッセイ71.2%、純度85.83%(GC面積による)、収率67.28%(GCによる含量基準)で得た。
【0134】
【表11】

【0135】
b)19TBPO(式(II))の精製:
4つ首丸底フラスコに対して、168.0gmの19TBPO(式(II))(純度:アッセイで66.70%、GCで68.4%)を室温で加えた。28.88gmの過マンガン酸カリウムと4.75gmの水酸化ナトリウムとの混合物を2000mlのDM水に溶解させた溶液を20〜30℃で加え、8〜15時間攪拌した。反応体を希塩酸でクエンチし、反応体のpHを4.0〜5.0に調整し、トルエン67.5mlを加え、反応体をHyfloで濾過する。Hyfloをトルエン500mlで洗浄し、そこに塩化ナトリウムを加える。攪拌後、層分離する。水層を抽出する。トルエン層を塩化ナトリウム溶液2×500mlで洗浄する。有機層を減圧下で濃縮することにより、暗茶色の油状生成物(135.0g)を、純度88.58%、アッセイ88.2%で得る。
【0136】
【表12】

【0137】
実施例10:環状不純物を無水条件及び窒素雰囲気の下で調製する方法
210mlのTHFに、ジメチルメチルホスホネート87.4gを20〜25℃で加え、−80から−85℃に冷却した。n−ブチルリチウムのヘキサン中溶液(1.6モル)386mlを−80から−85℃で加えた。−80から−85℃で2時間攪拌した。ジエチルtert−ブチルジメチルシリルオキシグルタレート(PHDEG)42.0gの210mlTHF中溶液を、−80から−85℃で1時間かけて加えた。−80から−85℃で2時間攪拌した。3時間かけて徐々に0℃に昇温し、20%塩化アンモニウム溶液85mlを0から5℃で加えた。0から5℃で、2N塩酸溶液(160ml)を用いてpHを2.0に調整し、酢酸エチル(200ml)を加えた。20〜25℃に昇温し、15分間攪拌した。静置して層分離した。
【0138】
上方の有機層を分離したまま、下の水層を酢酸エチル(200ml)で抽出した。層分離後、酢酸エチル層を合わせ、28%塩化ナトリウム溶液420mlで洗浄した。
【0139】
層分離し、上方の酢酸エチル層を真空下で完全に濃縮することにより、環状不純物を油状物として得た。
収率:30gm;GC純度:環状化合物の50.38%
【0140】
環状不純物の精製
環状不純物(粗製物)50.38GC%をカラムクロマトグラフィーで精製する。シリカゲルを固定相として用い、ヘキサン及び酢酸エチルの混合物を溶離剤として用いる。
【0141】
これにより得られる環状不純物は79.77GC面積%である。
【0142】
実施例11:E1及びE2不純物の調製
無水条件及び窒素雰囲気下、140mlのTHFに対して、ヘキサメチルジシラザン(新規蒸留)32.3gmをRTで加える。−50℃に冷却し、n−ブチルリチウムのヘキサン中溶液(1.6モル)(125ml)を−53から−49℃で加える。−50℃で15〜20分間攪拌し、ジメチルメチルホスホネート(13.64gm)を−50から−52℃で加える。30から35分間攪拌し、−70℃に冷却し、更に30分間攪拌する。メチルtert−ブチル(3)Rジメチルシリルオキシグルタレート(MBSG)を−71から−68℃で加え、−70℃で30分間攪拌する。反応体に30ml酢酸の30ml THF中混合物を−70℃で加えて反応をクエンチする。DM水100ml及びトルエン100mlを−70から−65℃で加え、20℃に昇温する。攪拌し、層分離する。上方の有機層を5%酢酸300mlで洗浄し、続いて1N塩酸300mlで洗浄する。有機層を真空下で完全に留去することにより、E1及びE2の油状不純物を得る。
【0143】
収率:22.0gm;GCでの純度:37.1%(E1)、50.8%(E2)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロスバスタチン(rosuvastatin)中間体である下記式のt−ブチル(3R)−3−(t−ブチルジメチルシリルオキシ)−6−ジメトキシホスフィニル−5−オキソヘキサノエート(19TBPO)
【化1】

を精製する方法であって、
薄膜蒸発(thin film evaporation)を実施することを含んでなる方法。
【請求項2】
約130℃から約200℃の温度で実施される、請求項1記載の方法。
【請求項3】
温度が約150℃から約160℃である、請求項1記載の方法。
【請求項4】
約0mbarから約15mbarの圧力で実施される、請求項1〜3の何れか一項に記載の方法。
【請求項5】
圧力が約0.97mbarから約1.2mbarである、請求項4記載の方法。
【請求項6】
前記薄膜蒸発がワイパーブレードにより実施される、請求項1〜5の何れか一項に記載の方法。
【請求項7】
化合物19−TBPO
【化2】

であって、総純度が約87GC面積%超である化合物。
【請求項8】
純度が少なくとも約90GC面積%である、請求項7記載の化合物。
【請求項9】
純度が少なくとも約95GC面積%である、請求項7記載の化合物。
【請求項10】
19−TBPO−エリミネート(Eliminate)−1含有量が約3GC面積%未満である、請求項7〜9記載の化合物。
【請求項11】
19−TBPO−エリミネート−1の量が約1GC面積%未満である、請求項10記載の化合物。
【請求項12】
19−TBPO−エリミネート−1の量が約0.2GC面積%未満である、請求項10記載の化合物。
【請求項13】
19−TBPO−エリミネート(Eliminate)−2の含有量が約3GC面積%未満である、請求項7〜12記載の化合物。
【請求項14】
19−TBPO−エリミネート−2の量が約1GC面積%未満である、請求項13記載の化合物。
【請求項15】
19−TBPO−エリミネート−2の量が約0.2GC面積%未満である、請求項13記載の化合物。
【請求項16】
環状不純物の量が約10GC面積%未満である、請求項7〜15の何れか一項に記載の化合物。
【請求項17】
環状不純物の量が約7GC面積%未満である、請求項16記載の化合物。
【請求項18】
環状不純物の量が約6GC面積%未満である、請求項16記載の化合物。
【請求項19】
環状不純物の量が約2GC面積%未満である、請求項16記載の化合物。
【請求項20】
TBDMS−OH(Si−OH)の量が約3GC面積%未満である、請求項7〜19の何れか一項に記載の化合物。
【請求項21】
TBDMS−OH(Si−OH)の量が約2.5GC面積%未満である、請求項20記載の化合物。
【請求項22】
TBDMS−OH(Si−OH)の量が約1GC面積%未満である、請求項20記載の化合物。
【請求項23】
TBDMS−OH(Si−OH)の量が約0.2GC面積%未満である、請求項20記載の化合物。
【請求項24】
GC法により測定されるジメチルメチルホスホネート(DMMP)の量が約1面積%未満である、請求項7〜23の何れか一項に記載の化合物。
【請求項25】
GC法により測定されるメチルtert−ブチル3−ヒドロキシグルタレート(OH−MBSG)の量が約5面積%未満である、請求項7〜24の何れか一項に記載の化合物。
【請求項26】
GC法により測定されるメチルtert−ブチル3R−(tertブチルジメチルシリルオキシ)グルタレート(MBSG)の量が約2面積%未満である、請求項7〜25の何れか一項に記載の化合物。
【請求項27】
GC法で測定した場合に、OH−19TBPOが約2%未満、約1%未満、約0.5%未満、又は約0.2面積%未満である、請求項7〜26の何れか一項に記載の化合物。
【請求項28】
GC面積%で決定した場合に、約80%から約90%の19−TBPO、約2%未満のSiOH、約1%未満のDMMP、約1%未満のEli−I、約1%未満のEli II、約1%未満のMSBG、約0.5%未満のOH−10TBPO、約7%未満の環状不純物を有する組成物。
【請求項29】
ロスバスタチン又は医薬的に許容し得るその塩を調製するための方法であって、請求項7記載の19−TBPOを、ロスバスタチン又は医薬的に許容し得るその塩に転換することを含んでなる方法。
【請求項30】
19TBPOを精製する方法であって、19TBPOを含有する組成物を塩基及び/又は酸化剤と混合した後、19TBPOを水非混和性有機溶媒中に抽出することを含んでなる方法。
【請求項31】
a)19−TBPOと、少なくとも一種の塩基又は酸化剤とを混ぜ合わせ、水性反応混合物を取得し;
b)反応混合物を水非混和性有機溶媒で抽出し;
c)19−TBPOを有機溶媒から回収する
ことを含んでなる、請求項30記載の方法。
【請求項32】
混合が約5℃〜35℃の温度で行なわれる、請求項30〜31の何れか一項に記載の方法。
【請求項33】
抽出が約20℃から約40℃の温度で行なわれる、請求項30〜33の何れか一項に記載の方法。
【請求項34】
塩基がアルカリ又はアルカリ土類金属塩基である、請求項30〜33の何れか一項に記載の方法。
【請求項35】
塩基が、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化バリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸セシウム及び炭酸リチウムである、請求項34記載の方法。
【請求項36】
塩基が水酸化ナトリウム又は炭酸ナトリウムである、請求項35記載の方法。
【請求項37】
約10から約12の好ましいpHが得られるような量の塩基を加える、請求項30〜36の何れか一項に記載の方法。
【請求項38】
酸化剤を使用する、請求項30〜37の何れか一項に記載の方法。
【請求項39】
酸化剤が、過マンガン酸ナトリウム、過マンガン酸カリウム、過マンガン酸カルシウム、クロメート及びジクロメート化合物(例えばジクロム酸カリウム、ジクロム酸ナトリウム)、四酸化オスミウム、クロロクロム酸ピリジニウム又は硝酸アンモニウムセリウム、請求項38記載の方法。
【請求項40】
酸化剤が過マンガン酸塩、例えば過マンガン酸カリウムである請求項39記載の方法。
【請求項41】
塩基と酸化剤とを組み合わせて使用する請求項30〜40の何れか一項に記載の方法。
【請求項42】
酸化剤として過マンガン酸塩を、水酸化物又は炭酸塩から選択される塩基と組み合わせて使用する、請求項30〜41の何れか一項に記載の方法。
【請求項43】
過マンガン酸カリウムと水酸化ナトリウムとを組み合わせて使用する、請求項42記載の方法。
【請求項44】
反応混合物用の溶媒が、水、アセトンと水との混合物、又は、C1〜C3アルコールと水との混合物である、請求項31〜43の何れか一項に記載の方法。
【請求項45】
1〜C3アルコールがメタノールである、請求項44記載の方法。
【請求項46】
酸化剤を使用し、溶媒として水のみを使用する、請求項31〜45の何れか一項に記載の方法。
【請求項47】
抽出に使用される溶媒が、C3〜C8エステル、C4〜C8ケトン、C4〜C8エーテル、C5〜C12炭化水素、C1〜C6塩素化溶媒からなる群より選択される、請求項30〜46の何れか一項に記載の方法。
【請求項48】
3〜C8エステルが酢酸メチル、酢酸エチル、又は酢酸イソプロピルであり、C4〜C8ケトンがメチルエチルケトン又はメチルイソブチルケトンであり、C4〜C8エーテルがジエチルエーテル、イソプロピルエーテル、又はメチルtertブチルエーテルであり、C5〜C12炭化水素がトルエン、キシレン、ヘキサン、又はシクロヘキサンであり、C1〜C6塩素化溶媒がジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、又は四塩化炭素である、請求項47記載の方法。
【請求項49】
溶媒がトルエンである、請求項48記載の方法。
【請求項50】
抽出前に酸を加えてpHを約1から約5とする、請求項30〜49の何れか一項に記載の方法。
【請求項51】
酸が鉱酸である、請求項50記載の方法。
【請求項52】
鉱酸がHCl、H2SO4、又はリン酸である、請求項51記載の方法。
【請求項53】
酸が有機酸である、請求項50記載の方法。
【請求項54】
有機酸が酢酸又はギ酸である、請求項53記載の方法。
【請求項55】
19−TBPOを水非混和性溶媒から回収する、請求項30〜54の何れか一項に記載の方法。
【請求項56】
回収を沸点下約50℃から溶媒の沸点までの温度で行なう、請求項55記載の方法。
【請求項57】
圧力を減少させることにより、例えば、一気圧未満の圧力、又は約100mmHg未満の圧力下で、回収を行なう、請求項55記載の方法。
【請求項58】
回収により不純物SiOH量が低減される、請求項55記載の方法。
【請求項59】
下記式の19−TBPO−エリミネート−1
【化3】

(式中、Rはメチル又はエチルである)である化合物。
【請求項60】
GC法により測定される19 TBPOの含有量が10面積%未満である、請求項59記載の化合物。
【請求項61】
GC法により測定される19−TBPO−エリミネート−1の量が、検出限界程度から約3面積%の間である19−TBPO。
【請求項62】
下記式の19−TBPO−エリミネート−2
【化4】

(式中、Rはメチル、エチルである)である化合物。
【請求項63】
GC法により測定される19−TBPOの含有量が10面積%未満である、請求項62記載の化合物。
【請求項64】
GC法により測定される19−TBPO−エリミネート−2の量が、検出限界程度から約3面積%である19−TBPO。
【請求項65】
下記式の19−TBPO−環状体
【化5】

である化合物。
【請求項66】
GC法により測定される19TBPOの含有量が10面積%未満である、請求項65記載の化合物。
【請求項67】
GC法により測定される環状不純物の量が、検出限界程度から約7面積%である19−TBPO。
【請求項68】
化合物19−TBPO−エリミネート−1及び19−TBPO−エリミネート−2を調製するための方法であって:
a)溶媒及び塩基を、約−10℃から約−100℃の温度で、ジメチルメチルホスホネートと混合して、塩を取得し;
b)メチルtert−ブチル(3)Rジメチルシリルオキシグルタレートを前記の塩に加えて、19−TBPO−エリミネート−1及び19−TBPO−エリミネート−2を混合物として取得することを含んでなる方法。
【請求項69】
塩基がC1〜C6アルキルリチウム、アルカリ金属水素化物、又はアルカリ金属アミドである、請求項68記載の方法。
【請求項70】
塩基がヘキサン中のアルキルリチウム又はn−ブチルリチウムである、請求項68〜69の何れか一項に記載の方法。
【請求項71】
塩化アンモニウム、水、HCl、酢酸、及びそれらの組み合わせからなる群より選択されるクエンチング試薬を加える、請求項68〜70の何れか一項に記載の方法。
【請求項72】
反応混合物をクエンチして、pHが約1から約5の水系酸性反応混合物を得る、請求項68〜71の何れか一項に記載の方法。
【請求項73】
水非混和性有機溶媒を加えることにより、化合物19−TBPO−エリミネート−1及び19−TBPO−エリミネート−2を回収することを更に含んでなる、請求項68〜72の何れか一項に記載の方法。
【請求項74】
水非混和性有機溶媒が酢酸エチル又はトルエン又はMIBKである、請求項73記載の方法。
【請求項75】
溶媒を除去することにより、19−TBPO−エリミネート−1と19−TBPO−エリミネート−2との混合物を油状物として回収する、請求項73記載の方法。
【請求項76】
溶媒の除去を一気圧未満の圧力下で行なう、請求項75記載の方法。
【請求項77】
圧力が100mmHg未満である、請求項76記載の方法。
【請求項78】
溶媒を蒸留によって除去することにより、SiOHの量が低減される、請求項75〜77の何れか一項に記載の方法。
【請求項79】
19−TBPO環状不純物を調製するための方法であって:
e)溶媒及びジメチルメチルホスホネートの混合物を、約−10℃から約−100℃の温度で調製し、反応混合物を取得する工程;
f)塩基を反応混合物と混合し、塩を取得する工程;
g)ジエチルtert−ブチルジメチルシリルオキシグルタレートを加え、環状不純物を取得する工程;及び
h)環状不純物を回収する工程
を含んでなる方法。
【請求項80】
塩基が、C1〜C6アルキルリチウム、アルカリ金属水素化物、及びアルカリ金属アミドから選択される、請求項79記載の方法。
【請求項81】
塩基が、ヘキサン中のアルキルリチウム又はn−ブチルリチウムである、請求項79〜80の何れか一項に記載の方法。
【請求項82】
塩化アンモニウム、水、HCl、酢酸、及びそれらの組み合わせからなる群より選択されるクエンチング試薬を加える、請求項79〜81の何れか一項に記載の方法。
【請求項83】
反応混合物をクエンチすることにより、pHが約1から約5の水系酸性反応混合物を取得する、請求項79〜82の何れか一項に記載の方法。
【請求項84】
回収が、水非混和性有機溶媒を加えることを含んでなる、請求項79〜83の何れか一項に記載の方法。
【請求項85】
水非混和性有機溶媒が、酢酸エチル、トルエン又はMIBK(メチル−イソ−ブチル−ケトン)である、請求項84記載の方法。
【請求項86】
溶媒を除去することにより、環状不純物を油状物として回収する、請求項79〜85の何れか一項に記載の方法。
【請求項87】
溶媒の除去を一気圧未満の圧力下で行なう、請求項86記載の方法。
【請求項88】
圧力が100 mmHg未満である、請求項87記載の方法。
【請求項89】
19−TBPO中の不純物の存在を決定する方法であって、前記不純物を参照マーカーとしてGCを実施することを含んでなり、前記不純物が19−TBPO−エリミネート−1、19−TBPO−エリミネート−2及び19−TBPO環状不純物のうち少なくとも1種である方法。
【請求項90】
19−TBPO中の不純物の存在を決定する方法であって、前記不純物を参照標準としてGCを実施することを含んでなり、不純物が19−TBPO−エリミネート−1、19−TBPO−エリミネート−2及び19−TBPO環状不純物の少なくとも1種である方法。
【請求項91】
19−TBPOの純度を決定するためのガスクロマトグラフィーの方法であって:
(a)19TBPOをアセトニトリルと混合して溶液を取得し;
(b)溶液を(50%−フェニル)−メチルポリシロキサン、30m×0.53mm×1.0μm膜厚のカラムに注入し;
(c)Heをキャリアーガスとして用いて試料をカラムから溶離し;
(d)不純物含量を測定する
ことを含んでなる方法。
【請求項92】
工程d)における不純物含量を、炎イオン化検出器を用いて測定する、請求項91記載の方法。
【請求項93】
請求項1〜92の何れか一項に記載の方法又は化合物の、ロスバスタチン、ロスバスタチンカルシウム又はTB21の調製における使用。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公表番号】特表2010−501643(P2010−501643A)
【公表日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−526959(P2009−526959)
【出願日】平成20年7月14日(2008.7.14)
【国際出願番号】PCT/US2008/008636
【国際公開番号】WO2009/009153
【国際公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【出願人】(501079705)テバ ファーマシューティカル インダストリーズ リミティド (283)
【Fターム(参考)】