説明

薬液供給システム

【課題】本発明は、ダイアフラムポンプの流量を計測する技術を提供する。
【解決手段】本発明は、作動気体の流量に基づいて薬液の吸引量と吐出量の少なくとも一方を算出する薬液供給システムを提供する。本薬液供給システムは、薬液吸引口21bと薬液吐出口21cとに連通する内部空間が形成されているポンプ本体と、薬液吸引口と薬液吐出口とに連通する側のポンプ室と作動気体供給口に連通する側の作動室とに仕切るダイアフラムとを有するポンプ13と、作動気体供給口へ作動気体を供給するポンプ駆動部59と、薬液吸引口と薬液吐出口とポンプ駆動部とを操作して薬液の吸引と吐出とを行う制御部と、作動気体の流量を計測する気体流量計測部と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポンプによって薬液を供給する薬液供給システムに関し、特に薬液の吸引流量や吐出流量を監視可能なシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体製造装置の薬液使用工程においては、薬液供給システムから供給されたフォトレジスト液等の種々の薬液が半導体ウェハに所定量だけ塗布される。薬液供給システムには、たとえば駆動部分のシールが不要で、さらに薬液の滞留に起因する薬液の劣化の少ないダイアフラムポンプの使用も提案されている。ダイアフラムポンプには、たとえば薬液が吐出される吐出圧と、ダイアフラムを加圧する作動圧との相関性が高い複動式のポンプも提案されている(特許文献1,2)。複動式のダイアフラムポンプは、付勢バネが不要なのでコンパクトな構成を実現することができるという利点をも有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−063815号公報
【特許文献2】特開2006−125338号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、ダイアフラムポンプは、ポンプ室の容積変化による吐出を行う容積型ポンプではあるが、ダイアフラムの変形形状が予測できないので、ダイアフラムの動きに基づく吐出量の計測ができなかった。このため、薬液の流量は、薬液流路での計測を余儀なくされていた。さらに、このような問題は、たとえばベローズを使用するポンプにおいても高精度の計測という観点では、共通する課題であった。
【0005】
本発明は、上述の従来の課題の少なくとも一部を解決するために創作されたものであり、ダイアフラムポンプの流量を計測する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下、上記課題を解決するのに有効な手段等につき、必要に応じて効果等を示しつつ説明する。
【0007】
手段1.薬液吸引口と薬液吐出口とに連通する内部空間が形成されているポンプ本体と、前記内部空間に連通する作動気体供給口と、前記薬液吸引口と前記薬液吐出口とに連通する側のポンプ室と前記作動気体供給口に連通する側の作動室とに仕切る変動部材と、を有する薬液供給用ポンプと、
前記作動気体供給口へ前記作動気体を供給して前記変動部材を駆動するポンプ駆動部と、
前記ポンプ駆動部を操作して前記薬液の吸引と吐出とを行う制御部と、
前記作動気体供給口へ供給される作動気体の流量を計測する気体流量計測部と、
前記計測された作動気体の流量である計測流量に基づいて前記薬液の吸引量と吐出量の少なくとも一方を算出する薬液流量算出部と、
を備える薬液供給システム。
【0008】
手段1では、ダイアフラムの変形形状ではなく、作動室に供給される作動気体の流量に基づいて薬液の吸引量と吐出量の少なくとも一方を算出することができるので、ダイアフラムの変形形状に拘わらず容積型ポンプの特徴を活かして薬液の吸引量や吐出量を算出することができる。この算出は、ポンプ本体の内部空間の容積が固定値であるが故に、作動室の容積の変動量がポンプ室の容量の変動量と一致しているという点を利用して実現されている。手段1によれば、薬液流路に流量計を設ける必要が無くなるという利点がある。薬液流路への流量計の装備は、薬液の液溜まりの問題を生じさせ、薬液の品質劣化の問題を引き起こす可能性があるので、薬液流路からの流量計の排除は、プロセスの信頼性を高めることができるという顕著な効果を奏することができる。
【0009】
さらに、塗布する薬液の種類を変更する際には、流量計の設定の変更や流量計自体の変更を必要とすることが通例であるが、手段1では、作動気体の流量に基づいて計測しているので、設定等の変更が不要であるという利点も有している。一方、薬液流路に液用流量計を設けると薬液流路における液溜まりの問題を生じさせる可能性があるが、手段1は、薬液流路側に液用流量計を設けることを必要としないので、薬液溜まりに起因する薬液の品質劣化を抑制して高い品質のプロセスを実現することができる。さらに、液用流量計は、高価で容積が大きいという問題をも有している。加えて、気体の流量測定は、作動気体の供給装置の装備配置の設計自由路度が薬液流路よりも高く、薬液の流量測定よりも簡素なので、実装が容易であるという利点をも有している。
【0010】
なお、作動気体の流量に基づく算出は、作動気体の流量が作動室の容積変化と一致し、作動室の容積変化がポンプ室の容積変化と正負が逆で一致するという点を利用して実現されている。また、作動気体の供給は、広い意味を有し、作動室に作動気体を流し込む場合だけで無く、作動室から作動気体が流れ出る負圧の供給をも含んでいる。
【0011】
手段2.前記薬液供給システムは、さらに、
前記ポンプ駆動部と前記作動気体供給口とを接続し、前記作動気体が流れる作動気体流路と、
前記作動気体流路において前記作動気体の圧力を計測する圧力計測部と、
を備え、
前記薬液流量算出部は、前記計測された圧力である計測圧力に基づいて前記作動室における前記作動気体の圧力変化に起因する作動気体の流量である圧縮流量を算出し、前記計測流量から前記圧縮流量を減算することによって前記計測流量を補正する手段1に記載の薬液供給システム。
【0012】
手段2では、作動室における作動気体の圧力変化に起因する作動気体の流量である圧縮流量を使用することができるので、作動室における作動気体の圧縮に起因する誤差を抑制する補正が可能である。この誤差は、作動室に供給された作動気体の流量の中において、作動室内の圧縮で吸収され、ポンプ室の容積変化に寄与しない成分として含まれているからである。手段2は、作動室内の圧縮で吸収される作動気体の流量である圧縮流量を使用できるので、上述の誤差を抑制して薬液の流量測定の精度を向上させることができる。
【0013】
なお、圧縮流量は、作動室における作動気体の圧力変化に起因する作動気体の流量だけでなく、圧力計測部による圧力計測位置と作動室までの流路における圧力変化を考慮するようにしてもよい。こうすれば、圧力計測部から作動室までの流路の容積が大きい場合にも高い精度で計測することができる。
【0014】
手段3.前記気体流量計測部は、所定の時間間隔で前記計測流量を取得し、
前記圧力計測部は、前記所定の時間間隔で前記計測圧力を取得し、
前記薬液供給システムは、予め設定されている初期状態の作動室の容積である初期容積を初期値として、前記所定の時間間隔で計測された計測流量を順次加算することによって作動室の容積を推定し、
前記圧縮流量は、前記推定された容積における前記作動気体の圧力変化と作動気体の流量の関係に基づいて、前記作動気体の圧力変化に起因する作動気体の流量として算出され、
前記作動気体の圧力変化は、前記所定の時間間隔で連続して計測された計測圧力に基づいて計測され、
前記初期状態の作動室の容積は、前記薬液の吸引量の算出においては前記吸引の開始時の容積であり、前記薬液の吐出量の算出においては前記吐出の開始時の容積である手段2に記載の薬液供給システム。
【0015】
手段3によれば、薬液の吐出時あるいは吸引時における作動室の容積変化を考慮して圧縮に起因する作動流量を計測することができるので、さらに高い精度で流量計測を実現することができる。特に、吐出や吸引の各行程の過渡応答状態を監視したい場合、あるいは圧力を変化させつつ徐々に吸引を行う場合といった多様な目的に沿った運用においても高精度の計測を可能とすることができる。
【0016】
手段4.前記ポンプ駆動部は、前記作動気体の正圧と負圧とを前記作動気体供給口に印加し、前記負圧の印加によって前記薬液供給用ポンプへの薬液の供給と、前記正圧の印加によって前記薬液供給用ポンプからの薬液の吐出を行う手段1乃至手段3のいずれか一つの薬液供給システム。
【0017】
手段4では、薬液の吸引過程は作動室内の作動気体の温度が低下する膨張過程(圧力低下)となる一方、薬液の吐出過程は作動室内の作動気体の温度が上昇する圧縮過程(圧力上昇)となるので、作動室内では温度の上昇と低下とが繰り返されることになる。これにより、薬液の吸引過程が付勢力で行われ、作動気体の膨張過程が無い単動式のダイアフラムポンプよりも温度上昇を低減させることができる。この結果、流路からの流量計の除去と相まって、薬液の品質劣化を抑制してプロセスの品質を向上させることができる。
【0018】
手段5.前記変動部材は、可撓性の膜を有するダイアフラムである手段1乃至手段4のいずれか一つの薬液供給システム。
【0019】
ダイアフラムが有する可撓性の膜は、ポンプ室の容積の変化に伴う変形形状の特定が困難なので、可撓性の膜の変形や変位に基づく薬液の流量の計測が事実上不可能である。手段5によれば、従来は液用流量形を使用しなければ流量の測定が事実上不可能であったダイアフラムポンプにおいて、液用流量形を使用することなく薬液の流量の計測を実現しているという点で顕著な効果を奏する。
【0020】
手段6.前記制御部は、前記算出された前記薬液の吸引量と吐出量の少なくとも一方をフィードバック量として使用して制御を行う手段1乃至手段5のいずれか一つの薬液供給システム。
【0021】
手段6では、算出された薬液の吸引量と吐出量の少なくとも一方をフィードバック量として使用して制御を行うことができるので、薬液流路に流量計を装備することなく薬液の流量を制御することができる。さらに、作動流体の流量を使用して算出されているので、薬液が変更されて、その特性が変わっても流量測定の設定を変更する必要は無い。
【0022】
なお、本発明は、薬液供給システムだけでなく、たとえば薬液供給システムの制御機能を具現化するコンピュータプログラム、そのプログラムを格納するプログラム媒体といった形で具現化することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施形態の薬液供給システム10を示す回路図。
【図2】ダイアフラムポンプ13の内部構造を示す断面図。
【図3】ダイアフラムポンプ13が有するポンプハウジング22の外形を示す図。
【図4】薬液供給システム10の作動シーケンスを示すタイムチャート。
【図5】ダイアフラムポンプ13の作動状態を示す断面図。
【図6】ダイアフラムポンプ13の作動状態を示す断面図。
【図7】ダイアフラムポンプ13の流量制御系のブロックダイアグラム。
【図8】操作エアの圧力と流量とを使用してポンプ13の吐出流量を計算する計算式。
【図9】初期値容積V(0)を任意のタイミングで計測する計算式。
【図10】吸入過程と吐出過程とを別のタイミングで行った変形例を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明を具現化した各実施形態について、図面を参照しつつ説明する。本実施の形態では、半導体装置等の製造ラインにて使用される薬液供給システムについて具体化しており、それを図1乃至図3に基づいて説明する。
【0025】
図1は、本発明の実施形態の薬液供給システム10を示す回路図である。薬液供給システム10は、回転板48上に載置された半導体ウェハWの中心位置に薬液としてのレジスト液Rを先端ノズル47nから供給(滴下)するシステムである。レジスト液Rは、半導体ウェハWの中心位置から遠心力で半導体ウェハW上に広げられて塗布されることになる。
【0026】
薬液供給システム10は、ダイアフラムポンプ13と、ポンプ駆動部59と、薬液供給系統49と、吐出配管47と、吐出側バルブ46と、先端ノズル47nと、流量センサ71と、圧力センサ72と、コントローラ70と、を備えている。ポンプ駆動部59は、コントローラ70からの第1指令信号(圧力目標値)に基づいて、ダイアフラムポンプ13に供給する操作エアの圧力(正圧及び負圧)を操作してダイアフラムポンプ13を駆動する。第1指令信号(圧力目標値)は、流量センサ71と圧力センサ72の計測値に基づいてコントローラ70によって決定される。ダイアフラムポンプ13は単にポンプ13あるいは薬液供給用ポンプとも呼ばれる。コントローラ70は制御部とも呼ばれる。吐出側バルブ46は薬液吐出弁とも呼ばれる。
【0027】
薬液供給系統49は、レジスト液Rを貯留するレジストボトル42と、レジストボトル42からポンプ13にレジスト液Rを供給する吸入配管41と、吸入配管41を開閉操作する吸引側バルブ40と、操作エア供給源44と、圧力制御弁45と、切換弁43と、を備えている。操作エア供給源44は、加圧された操作エアを圧力制御弁45と切換弁43とを介して吸引側バルブ40に供給する。圧力制御弁45は、操作エア供給源44から供給された操作エアを、吸引側バルブ40を操作するための設定圧力に制御する。切換弁43は、吸引側バルブ40への操作エアの供給と大気開放とを相互に切り替える。吸引側バルブ40は薬液吸引弁とも呼ばれる。
【0028】
吸引側バルブ40は、切換弁43による流路の切替によって薬液流路の開閉操作を行う。切換弁43による流路の切替は、電磁ソレノイドを有する電磁切換部43aの作動によって行われる。流路の切替は、電磁切換部43aのOFF時には付勢力によって大気開放状態に流路が接続され(図1の状態)、電磁切換部43aのON時には電磁ソレノイドによって操作エア側(圧力制御弁45側)に流路が接続されることによって行われる。電磁切換部43aは、コントローラ70からの第2指令信号によって操作される。
【0029】
図2及び図3を参照してダイアフラムポンプ13の内部構造を説明する。図2は、ダイアフラムポンプ13の内部構造を示す断面図である。図3は、ダイアフラムポンプ13が有するポンプハウジング22の外形を示す図である。ダイアフラムポンプ13は、略正方形の角柱状で薄型な扁平形状をなしており、一対のポンプハウジング21,22を有している。各ポンプハウジング21,22には、それぞれ対向する面の中央に略円形ドーム状に凹設される凹設部21a,22aが形成されている。ポンプハウジング21,22は、凹設部21a(図2参照)と凹設部22a(図3参照)の周縁で円形のフッ素樹脂などの可撓性膜よりなるダイアフラム23の周縁を挟持し、8個のネジ24がネジ孔24hを貫通することにより相互に固定されている。
【0030】
ダイアフラム23は、ポンプハウジング21,22の両凹設部21a,22aにて形成される内部空間を仕切っている。ダイアフラム23によって仕切られたポンプハウジング21側(図2においてダイアフラム23の左側)の空間は、ポンプ室25として形成されている。ダイアフラム23によって仕切られたポンプハウジング22側(図2においてダイアフラム23の右側)の空間は、作動室26として形成されている。ポンプ室25は、薬液としてのレジスト液R(図3参照)で満たされる空間である。作動室26は、ダイアフラム23を駆動する操作エアで満たされる空間である。
【0031】
ポンプ室25側のポンプハウジング21には、いずれもポンプ室25に連通して薬液が流れる吸入通路21bと吐出通路21cとが形成されている。吸入通路21bは、ダイアフラム23の平面と平行な方向に直線状に延びて吸入配管41に接続されている。吐出通路21cは、ダイアフラム23の平面と平行な方向に直線状に延びて吐出配管47に接続されている。ダイアフラム23の面内方向とは、ダイアフラム23に薬液や操作エアの圧力が印加されていない状態における平面方向を意味する。吸入通路21bと吐出通路21cとは、それぞれ薬液吸引口と前記薬液吐出口とも呼ばれる。
【0032】
作動室26側のポンプハウジング22には、ダイアフラム23との間に作動室26を形成する凹設部22a(図3参照)が設けられている。凹設部22aは、周縁部傾斜面22fと、環状角部22gと、中央側平面22cと、十字状の通気溝22eと、を有している。凹設部22aは、開口22dにおいて給排通路22bに接続されている。中央側平面22cは、非作動時の中立位置におけるダイアフラム23の平面と平行な平面を有している。
【0033】
中央側平面22cには、環状の角部である環状角部22gを介して中央側平面22cの周囲に形成されている周縁部傾斜面22fに接続されている。周縁部傾斜面22fは、ダイアフラム23の平面に対して傾斜して形成されている。中央側平面22cには、給排通路22bに連通する開口22dと、環状角部22gから開口22dにつながる十字状の通気溝22eとが形成されている。給排通路22bには、作動室26に操作エアを給排するエア配管50が接続されている(図1参照)。エア配管50は、作動気体流路とも呼ばれる。給排通路22bは、作動気体供給口とも呼ばれる。
【0034】
ポンプ駆動部59は、図1に示されるようにエア配管50を介してポンプ13に操作エアを供給する。ポンプ駆動部59は、正圧の操作エアを供給する供給源53と、負圧を発生させる真空発生源61と、電空レギュレータ51と、供給源53から電空レギュレータ51に操作エアを導く供給配管52と、真空発生源61から電空レギュレータ51に負圧を導く排気配管60と、を備えている。電空レギュレータ51は電空制御弁とも呼ばれる。
【0035】
ポンプ駆動部59は、コントローラ70からの第1指令信号に応じて負圧から正圧までの範囲で任意に設定された圧力の操作エアをポンプ13に供給することができる。設定圧力の調整は、たとえばパルス幅変調によって真空発生源61(負圧発生時)あるいは供給源53(正圧発生時)への開度のデューティ値を変化させることによって行われる。デューティ値とは、単位時間当たりの実質的な開時間を意味する。これにより、ポンプ13は、負圧の使用による薬液の吸引と、正圧の使用による薬液の吐出とを実行することができる。
【0036】
図1及び図4乃至図6を参照して薬液供給システム10の作動シーケンスを説明する。
【0037】
図4は、薬液供給システム10の作動シーケンスを示すタイムチャートである。図5は、吐出期間におけるダイアフラムポンプ13の作動状態を示す断面図である。図6は、吸引期間におけるダイアフラムポンプ13の作動状態を示す断面図である。薬液供給システム10は、ダイアフラムポンプ13の吐出と吸引とを含むサイクルを繰り返すことによって作動する。
【0038】
時刻t1(図4参照)では、コントローラ70(図1参照)は、吐出側バルブ46を閉としたままの状態において、吸引側バルブ40に対して第2指令信号を送信し、吸引側バルブ40も閉状態とする。コントローラ70は、吸引側バルブ40を閉状態とした後に、電空レギュレータ51に対して第1指令信号を送信して設定圧力を設定圧(正圧)に切り替える。この状態では、吸引側バルブ40と吐出側バルブ46の双方が閉状態なので、ポンプ室25は、ダイアフラム23を介して作動室26側から設定圧(正圧)が印加された状態(静止状態)となっている。設定圧は、所定の設定圧力となるように電空レギュレータ51による定圧力制御によって維持される。制御内容の詳細については後述する。
【0039】
ダイアフラムポンプ13は、時刻t1では、図5(a)に示されるように凹設部21a,22aで形成されている内部空間一杯までポンプ室25が拡張した状態である。ポンプ室25の拡張は、作動室26側の設定圧を時刻t1以前(前のサイクルの時刻t6〜t7)において十分な時間だけ負圧とすることによって実現されている。
【0040】
コントローラ70は、圧力センサ72によって設定圧をリアルタイムで計測する。コントローラ70は、さらに電空レギュレータ51から作動室26に流れ込む操作エアの流量を流量センサ71によってリアルタイムで計測する。この状態は、時刻t2まで継続される。時刻t2は、たとえば流量センサ71で計測される流量がゼロとなるまでの時間、あるいは圧力センサ72によって計測される圧力が安定するまでの時間として設定することができる。圧力センサ72は、圧力計測部とも呼ばれる。流量センサ71は、気体流量計測部とも呼ばれる。
【0041】
時刻t2では、コントローラ70は、吐出側バルブ46に対して第3指令信号(図1参照)を送信し、吐出側バルブ46を開状態とする。これにより、吐出側バルブ46を介してポンプ室25から薬液の吐出が可能となるので、作動室26側からの操作エアによるダイアフラム23の駆動に応じてポンプ室25からの薬液の吐出が開始されることになる。
【0042】
ダイアフラムポンプ13は、時刻t2〜t3において、図5(b)に示されるように凹設部21a,22aで形成されている内部空間一杯まで作動室26が拡張した状態となる。このような作動室26の拡張は、作動室26側の設定圧を十分な時間だけ正圧で維持することによって実現されている。これにより、ダイアフラムポンプ13からの薬液の吐出が終了する。この状態は、時刻t3まで継続される。時刻t3は、たとえば作動室26が十分に拡張するまでの時間として設定することができる。
【0043】
時刻t3では、コントローラ70は、吐出側バルブ46に対して第3指令信号を送信し、吐出側バルブ46を閉状態として吐出側バルブ46と吸引側バルブ40の双方を閉状態とする。時刻t4では、コントローラ70は、切換弁43に対して第3指令信号を送信し、吸引側バルブ40を開状態とする。
【0044】
時刻t4では、コントローラ70は、操作エアの設定圧を急激に変化させるのではなく、一定の変化率(単位時間当たりの圧力変化)で正圧から負圧に変化させる。これにより、ポンプ室25内における発泡現象を抑制することができる。発泡現象とは、薬液に溶け込んでいた不活性ガスが気泡となって薬液中に発生する現象、あるいは発泡性を有する薬液が薬液中に気泡を生じさせる現象である。この気泡は、滴下対象への薬液塗布に影響を及ぼし、薬液の塗布を不均一にすることが一般的に知られている。本実施形態は、作動室26内の気体圧力を徐々に低下させることができるので、ポンプ室25や吐出配管47の内部での薬液の急激な圧力低下を抑制して気泡の発生を低減させることができる。
【0045】
時刻t4〜t6では、ダイアフラム23は、操作エアの設定圧の低下(負圧化)に伴って作動室26側からその膜部が吸引され、ポンプ室25の容積を徐々に拡張させる。これにより、薬液に気泡を生じさせること無くレジストボトル42からの薬液の吸引が開始される。この際には、作動室26の容積は、作動室26からの操作エアの排出によって小さくなる。
【0046】
時刻t5では、ダイアフラム23は、図6(a)に示されるように、その膜部の中央部が中央側平面22cの中央部に形成されている給排通路22bの開口22dの近傍に変位し、開口22dを塞ぐことになる。ただし、開口22dがダイアフラム23の膜部によって塞がれた後においては、環状角部22gから開口22dまで延びている十字状の通気溝22eを経由して開口22dに操作エアを流すことができる(図6(a)中の矢印参照)。
【0047】
一方、環状角部22gは、作動室26の収縮時においては、周縁部傾斜面22fのダイアフラム23の平面に対する傾斜によって、作動室26の内部の操作エアが無くなるまで環状の空隙を残存させることができる。これにより、ダイアフラム23は、凹設部22aの形状に沿って、図6(b)に示されるように、その全体が押し付けられるまで操作エアを殆ど残すことなく排気することができる。
【0048】
このように、ダイアフラムポンプ13は、凹設部21aと凹設部22aとによって形成されている空間を有効に利用して、正圧と負圧の操作エアの供給によるダイアフラム23の往復駆動を行うことができる。これにより、ダイアフラムポンプ13は、両凹設部21a,22aにて形成される内部空間を有効利用して円滑に薬液の吸引と吐出とを行うことができる。
【0049】
図7を参照してダイアフラムポンプ13の制御内容を説明する。図7は、ダイアフラムポンプ13の流量制御系のブロックダイアグラムである。
【0050】
本制御系は、マスターループとスレーブループとを有する二重ループ構造を有している。マスターループは、吐出流量の観測値(算出値)をフィードバックするフィードバックループである。吐出流量の観測値は、吐出流量観測部78によって流量センサ71の計測値(計測流量)と圧力センサ72の計測値(計測圧力)とを使用して取得される。コントローラ70が有するサブコントローラ77は、予め設定されている目標流量値と吐出流量の観測値の差である流量偏差δfを算出し、その算出値に基づいて操作エアの目標圧力(第1指令信号の内容)を決定する。吐出流量の観測値は、後述の計算式を使用して行うことができる。吐出流量観測部78は、薬液流量算出部とも呼ばれる。
【0051】
サブコントローラ77は、時刻t1〜t4までの間の正圧として予め設定されている設定薬液流量を実現させる値として目標圧力値を設定する。時刻t2〜t4においては、上述の方法で流量偏差δfに基づいて設定することができる。吐出圧は、付勢バネを使用しない複動式のダイアフラムポンプ13では、操作エアの圧力にほぼ一致するので、吐出圧を目標圧力値とすることもできる。
【0052】
ただし、サブコントローラ77は、初回起動時の時刻t1〜t2においては、吐出流量の観測値としてのフィードバック量が得られないので、たとえば吐出通路21cから先端ノズル47nまでの圧力損失係数(管摩擦係数)と設定薬液流量から圧力損失を算出し、その圧力損失に応じた吐出圧を発生させるための圧力として設定することができる。
【0053】
サブコントローラ77は、吐出通路21cと先端ノズル47nとの間に高低差がある場合には、不揮発メモリ79に格納されている吐出側水頭圧を利用して補償する。吐出側水頭圧は、薬液供給システム10の実装時に吐出通路21cと先端ノズル47nとの間の高低差を計測し、その計測結果をコントローラ70に入力することによって薬液の比重と高低差とに基づいて算出され、不揮発メモリ79に格納される。
【0054】
サブコントローラ77は、薬液供給システム10の2回目以降のサイクルにおいては、初回(あるいは前回)のサイクルでの時刻t1〜t2での設定圧力として不揮発メモリ79に格納された圧力目標値を使用するようにしても良い。こうすれば、薬液供給システム10の吐出流量を正確且つ安定して制御することができる。
【0055】
サブコントローラ77は、時刻t4〜t6までの間の圧力変化を不揮発メモリ79から読み出された吸引時許容圧力変化量に基づいて設定する。吸引時許容圧力変化量は、薬液や温度環境によって変化する値であり、薬液の種類をコントローラ70に入力することによって温度計(図示省略)で計測された温度と薬液の種類に基づいて算出され、不揮発メモリ79に格納されている。この際には、スレーブループは、目標値が一定の勾配で変動する追値制御として機能することになる。
【0056】
サブコントローラ77は、時刻t6〜t7までの間の負圧を、薬液内に気泡を発生させること無く吸引できる圧力として設定する。この設定は、レジストボトル42と吸入通路21bとの間に高低差がある場合には、不揮発メモリ79に格納されている吸引側水頭圧を利用して補償する。吸引側水頭圧は、薬液供給システム10の実装時にレジストボトル42と吸入通路21bとの間の高低差を計測し、その計測結果をコントローラ70に入力することによって薬液の比重と高低差とに基づいて算出され、不揮発メモリ79に格納される。
【0057】
スレーブループは、与えられた目標値でエア配管50に操作エアを供給することを制御の目的とするフィードバックループである。本フィードバックループでは、電空レギュレータ51(電空制御弁)は、エア配管50の圧力計測点72pにおける圧力センサ72による計測圧力をフィードバック量として使用し、目標値圧力値(第1指令信号)との圧力偏差がゼロとなるような制御を実行する。圧力計測点72pは、流量センサ71の圧損を排除して、作動室26の圧力を正確に計測できるようにポンプ13と流量センサ71との間に配置されている。
【0058】
なお、電空レギュレータ51が圧力センサ(図示せず)を有し、その圧力センサの計測で十分な精度の作動室26の圧力計測が可能な場合には、その圧力センサを圧力センサ72の代わりに使用するようにしてもよい。このような構成は、要求される流量の精度の観点から、エア配管50の圧損が十分に小さい場合に可能な構成である。
【0059】
図8を参照してポンプ13の吐出流量の計算方法を説明する。図8中の式F1乃至F4は、作動室26の圧力と容積の双方が変化する状態において、操作エアの圧縮性を考慮し、ポンプ13に供給される操作エアの圧力と流量とを使用してポンプ13の吐出流量を計算するための計算式である。
【0060】
式F1は、ポンプ13の吐出量を作動室26の容積変化として算出する計算式である。ポンプ室25の容積変化は、作動室26の容積変化と符号が逆で大きさが等しいからである。式F1は、所定のサンプリング時間Δt毎の作動室の容積変化Qv(n+1)・Δtを積算(加算)し、作動室の容積V(n+1)を算出する計算式である。容積V(0)は、吐出過程や吸引過程の開始時の容積の初期値である。サンプリング時間Δtは所定の時間間隔とも呼ばれる。
【0061】
式F2は、作動室26の内部圧力下における容積変化Qv(n+1)を、基準圧力P0における流量QM(n+1)から算出する計算式である。これにより、たとえば質量流量計その他の流量計によって相違する基準圧力を想定して計測された計測流量を換算して利用することができる。
【0062】
式F3は、計測流量QA(n+1)を使用して容積変化QM(n+1)を算出するための計算式である。計測流量QA(n+1)は、流量センサ71によって計測されたエア配管50を流れる操作エアの流量実測値である。容積変化QM(n+1)は、計測流量QA(n+1)から圧力変化分流量QP(n+1)を減算して算出されている。圧力変化分流量QP(n+1)は作動室26の圧力変化に寄与し、容積変化には寄与しない流量だからである。圧力変化分流量QP(n+1)は、圧縮流量とも呼ばれる。
【0063】
式F4は、圧力変化分流量QP(n+1)を算出するための計算式である。圧力変化分流量QP(n+1)は、操作エアの供給流量のうち作動室26の圧力変化にのみ寄与する流量である。圧力変化分流量QP(n+1)は、作動室26の内部圧力が上昇中には正の値となり、作動室26の内部圧力が下降中には負の値となる。圧力変化(P(n+1)−P(n))は、圧力センサ72による計測値のサンプリング時間Δt毎の変化である。圧力変化(P(n+1)−P(n))は、実測値をそのまま利用しても良いし、あるいはたとえば一定の時間幅で平滑化された値を使用するようにしてもよい。圧力変化分流量QP(n+1)の算出値は、作動室26の容積に依存する値なので、初期値としての容積V(0)が重要な意味を有することになる。
【0064】
吸引過程(時刻t4〜t7)の初期値容積V(0)は、ダイアフラムポンプ13の構造に関する既知の値として得ることができる。初期値容積V(0)は、作動室26の内容積が既知の値である2つの凹設部21a、22aによって形成される内部空間の容積とほぼ一致するので、その内部空間の容積とエア配管50の容積の和として算出できるからである(図5(b))。エア配管50の内容積は、電空レギュレータ51からダイアフラム23までの流路の内容積である。上述の内部空間とエア配管50の容積は、既知の固定値なので、コントローラ70は、これを利用して積算計算を実行することができる。
【0065】
特に、吸引過程の前工程(時刻t2〜t4)では、ダイアフラム23は、その中央部分が凹設部21aの中心部分に押し当てられるとともに、吸入通路21bと吐出通路21cとが連通する周辺部分に広がるといった作動を行うので、円滑且つ確実にポンプ室25の内部の薬液を吐出することができる。これにより、上述の既知の容積V(0)を初期値として利用することができる。
【0066】
一方、吐出過程(時刻t2〜t3)の初期値容積V(0)は、図5(a)に示されるように、作動室26の内容積が殆どゼロなので、給排通路22bとエア配管50の内容積となる。特に、吐出過程(時刻t2〜t3)の前工程(時刻t4〜t7)では、図6(b)に示されるように、十字状の通気溝22eを介して操作エアが円滑に排出されるので、ダイアフラム23が凹設部22aの形状に沿って押し付けられるまで操作エアを殆ど残すことなく排気することができる。これにより、既知の給排通路22bとエア配管50の内容を初期値容積V(0)として利用することができる。
【0067】
ただし、薬液供給システム10は、図9に示される計算式を使用して初期値容積V(0)を任意のタイミングで計測することができる。この計測方法は、ボイルの法則を利用するものである。この計測方法では、コントローラ70は、吸引側バルブ40及び吐出側バルブ46の双方を閉状態として作動室26の容積が変更できない状態とするとともに、設定圧力を変化させてその際の流量QP(n+1)を計測して初期値容積V(0)を算出することができる。ここで、ΔP(n+1)は、圧力変化(P(n+1)−P(n))を意味する。
【0068】
図10は、吸入過程と吐出過程とを別のタイミングで行った変形例を示している。変形例では、図10(a)の状態が吐出過程の初期状態であり、図10(b)の状態が吸入過程の初期状態である。この例では、図10(a)や図10(b)の状態において、吸引側バルブ40及び吐出側バルブ46の双方を閉状態として初期値容積V(0)を算出することができる。このように、吸入過程と吐出過程とは任意のタイミングで実施することが可能である。
【0069】
なお、実施の形態は上記した内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。
(1)上記の実施形態では、電空レギュレータ51が操作エアの圧力を正圧から負圧の設定圧となるまで一定の変化率で徐々に低下させるように制御したが、圧力低下の方法は、これに限定されるものではない。例えば、ポンプ駆動部59の排気配管60に絞りを装備するようにしても良い。
(2)上記実施の形態では、薬液としてレジスト液Rを半導体ウェハWに塗布する例が示されているが、薬液やプロセスの種類はこれに限られず、薬液の供給が行われるシステムに適用することができる。
(3)上記実施の形態では、作動室に給排される操作エア(空気)を例に挙げて説明したが、空気以外にも窒素等の他の作動気体を用いても良い。
(4)上記実施の形態では、電空レギュレータ51には真空発生源61を接続したが、たとえばエゼクタのように真空でなくても負圧が発生できれば良い。
(5)上記実施の形態では、吐出流量の観測値(算出値)をフィードバックするフィードバック制御が行われているが、必ずしも吐出流量の観測値をフィードバック量として利用する必要は無く、吐出流量の観測値を監視できるように構成しても良い。こうすれば、吸引側あるいは吐出側の流路のフィルタの仕様範囲内のろ過流量となっていることをリアルタイムで監視することもできる。
(6)上記実施の形態では、操作エアの圧力と流量とを計測しているが、たとえばポンプ内部の温度を計測して、その計測値を利用するようにしてもよい。
(7)上記実施の形態では、本発明は、吸引側バルブと吐出側バルブとをコントローラで制御して吸引と吐出とを行っているが、たとえばチェックバルブを使用して吸引と吐出とを実現するように構成しても良い。本発明は、一般に薬液吸引口と薬液吐出口とに連通するポンプ室を作動気体の供給で駆動するポンプに適用することができる。
(8)上記実施の形態では、本発明は、ダイアフラムポンプを適用されているが、たとえばベローズポンプにも適用可能である。本発明は、一般にポンプ室と作動室とに仕切る変動部材(変形部材やピストンのような移動部材)を作動気体の供給で駆動するポンプに適用することができる。
【符号の説明】
【0070】
10…薬液供給システム、13…ダイアフラムポンプ、21,22…ポンプハウジング、23…ダイアフラム、25…ポンプ室、26…作動室、40…吸引側バルブ、41…供給配管、42…レジストボトル、43…切換弁、43a…電磁切換部、44…操作エア供給源、45…圧力制御弁、46…吐出側バルブ、47…吐出配管、47n…先端ノズル、48…回転板、49…薬液供給系統、50…エア配管、51…電空レギュレータ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬液吸引口と薬液吐出口とに連通する内部空間が形成されているポンプ本体と、前記内部空間に連通する作動気体供給口と、前記薬液吸引口と前記薬液吐出口とに連通する側のポンプ室と前記作動気体供給口に連通する側の作動室とに仕切る変動部材と、を有する薬液供給用ポンプと、
前記作動気体供給口へ前記作動気体を供給して前記変動部材を駆動するポンプ駆動部と、
前記ポンプ駆動部を操作して前記薬液の吸引と吐出とを行う制御部と、
前記作動気体供給口へ供給される作動気体の流量を計測する気体流量計測部と、
前記計測された作動気体の流量である計測流量に基づいて前記薬液の吸引量と吐出量の少なくとも一方を算出する薬液流量算出部と、
を備える薬液供給システム。
【請求項2】
前記薬液供給システムは、さらに、
前記ポンプ駆動部と前記作動気体供給口とを接続し、前記作動気体が流れる作動気体流路と、
前記作動気体流路において前記作動気体の圧力を計測する圧力計測部と、
を備え、
前記薬液流量算出部は、前記計測された圧力である計測圧力に基づいて前記作動室における前記作動気体の圧力変化に起因する作動気体の流量である圧縮流量を算出し、前記計測流量から前記圧縮流量を減算することによって前記計測流量を補正する請求項1に記載の薬液供給システム。
【請求項3】
前記気体流量計測部は、所定の時間間隔で前記計測流量を取得し、
前記圧力計測部は、前記所定の時間間隔で前記計測圧力を取得し、
前記薬液供給システムは、予め設定されている初期状態の作動室の容積である初期容積を初期値として、前記所定の時間間隔で計測された計測流量を順次加算することによって作動室の容積を推定し、
前記圧縮流量は、前記推定された容積における前記作動気体の圧力変化と作動気体の流量の関係に基づいて、前記作動気体の圧力変化に起因する作動気体の流量として算出され、
前記作動気体の圧力変化は、前記所定の時間間隔で連続して計測された計測圧力に基づいて計測され、
前記初期状態の作動室の容積は、前記薬液の吸引量の算出においては前記吸引の開始時の容積であり、前記薬液の吐出量の算出においては前記吐出の開始時の容積である請求項2に記載の薬液供給システム。
【請求項4】
前記ポンプ駆動部は、前記作動気体の正圧と負圧とを前記作動気体供給口に印加し、前記負圧の印加によって前記薬液供給用ポンプへの薬液の供給と、前記正圧の印加によって前記薬液供給用ポンプからの薬液の吐出を行う請求項1乃至3のいずれか一項に記載の薬液供給システム。
【請求項5】
前記変動部材は、可撓性の膜を有するダイアフラムである請求項1乃至4のいずれか一項に記載の薬液供給システム。
【請求項6】
前記制御部は、前記算出された薬液の吸引量と吐出量の少なくとも一方をフィードバック量として使用して制御を行う請求項1乃至5のいずれか一項に記載の薬液供給システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−17658(P2012−17658A)
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−153823(P2010−153823)
【出願日】平成22年7月6日(2010.7.6)
【出願人】(000106760)シーケーディ株式会社 (627)
【Fターム(参考)】