説明

薬液収納容器用薬袋

【課題】アンプルaが割れた時の漏液の薬袋10外への漏れを防止する。
【解決手段】一辺がアンプル投入用開口10a、その一辺に対向する他辺が幅方向全長に亘ってシール部13が形成された閉塞底部10bとなった扁平長方形状の薬剤アンプル収納用薬袋である。この薬袋10は、一面が紙製のシート11、他面が樹脂製シート12とから成り、ロール状に巻き取りされることから、底部10bに近接してその巻き取り時の空気抜き孔14aが形成されている。その空気抜き孔14aは、幅方向に複数個形成されて群14となっているともに、液が漏れ出ない大きさとなっている。このため、仮に、アンプルが割れて液が漏れ出てもその孔14aから漏れ出る恐れは少ない。また、空気抜き孔14aを樹脂フィルム12のみに形成すれば、その樹脂の撥水性により、孔14a内に漏液が入り込みにくいとともに、仮に、入り込んでもその孔からは漏れ出難い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、病院、診療所、薬局等において、処方箋に基づいて薬剤収納容器(輸液パック、薬液ボトル、薬液アンプル、バイアル等の薬液を収納した容器の全て含む)を収納する薬袋及びその薬袋ロール、並びにその薬袋ロールの製造装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、大規模な病院等において、注射処方箋に従って自動払出機から払い出した薬液収納容器、例えばアンプルを集め、これらのアンプルを袋詰め装置で薬袋に収納する注射剤オーダリングシステムが採用されている。
その袋詰め装置は、通常、薬袋供給ユニットと袋詰めユニットとから成り、薬袋供給ユニットにおいて、ロールから送り出された長尺の薬袋(薬袋帯)に、アンプル情報を印字した後、その長さ方向一定間隔で幅方向のミシン目を入れて袋詰めユニットに送り込んだり、ミシン目を入れることなく袋詰めユニットに送り込んだりし、その袋詰めユニットにおいて、そのミシン目でもって切り離したり、カッタでもって切り離したりして一定長さの薬袋とするとともに、その薬袋を袋詰めベッドに供給し、このベッド上で薬袋を吸気及びアームにより開口させ、その開口に突入させたコンベヤでアンプルを薬袋内に送り込み、その薬袋を投入ベッドに移載してバケットに払い出す構成等である(特許文献1段落0035〜0058図3〜図35、特許文献2段落0015〜0035、図2〜図12、特許文献3段落0056〜0067図11〜図13参照)。
【0003】
そのロールから送り出される上記薬袋帯は、通常、長尺の紙(台紙)と透明樹脂フィルムとがその両端縁でヒートシールs等によって扁平に接合されたものであり、図8に示すように、その薬袋1表面に、長さ方向一定間隔に、見当印2、幅方向のシール部3が形成されている。この薬袋帯は、その両端縁のヒートシールs及び幅方向のシール部3等が形成された後、ロール状に巻き取られて製造される(本願図3参照)。
その巻き取り時、長さ方向一定間隔に幅方向のシール部3が形成されて、両シール部3で挟まれた一薬袋1の部分は空気が入り込んでいるため、その空気を抜いて扁平にして確実に巻き取る必要がある。このため、従来では、図8のように、そのシール部3を幅方向に間欠的に形成するとともに、その間欠部分に切り目4を形成し、その切り目4からその空気を抜くようにしている。
【0004】
ところで、上記袋詰め装置において、この薬袋帯1’を、一定長さに切断して一薬袋1とする際、その開口が送り出し方向の後側とする態様のものがある。すなわち、アンプル入り薬袋1をその開口を後側(後行)にして払出す袋詰め装置がある(特許文献3段落0056、図1、図11〜図12参照)。
一方、その開口が送り出し方向の前側とする、すなわち、アンプル入り薬袋1をその開口を前側(先行)にして払出す袋詰め装置もある。なお、この袋詰め装置にあっては、開口側が先行するため、送り出し時にその開口が開く恐れがあるため、送り出し速度を遅くしたり、その開きを防止する等の処理が必要である。
そのどちらの袋詰め装置にセットされる上記従来の薬袋帯のロールは、図8のa、bのどちらの方向に巻き取れられても、各シール部3に切り目4が形成されているため、その巻き取り時、両シール部3で挟まれた一薬袋1の部分の空気はその切り目4から抜かれて円滑な巻き取りが行なわれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−152113号公報
【特許文献2】特開2000−79908号公報
【特許文献3】特開2007−246132号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記袋詰め装置において、アンプル等を薬袋1内に送り込んだり、薬袋1を投入ベッドに移載してバケットに払い出したりする際、アンプル等が破損する場合があり、破損すれば、薬液(薬剤)が薬袋内に漏れ出ることとなる。
このとき、薬袋1は、上記のように、底部をなすシール部3が欠如されて切り目4が形成されているため、その欠如部分を介して切り目4から上記薬液が漏れ出て投入ベッドやバケットを汚す恐れがある。漏液はその後処理が煩雑であるとともに、袋詰め装置の汚損となって故障の原因となる。
【0007】
この発明は、上記実状の下、上記漏液の薬袋外への漏れを防止することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を達成するために、この発明は、一薬袋1において、その底部となる上記シール部3を幅方向全長に亘って形成するとともに、そのシール部近傍の空気抜き用切り目(孔)4を液が容易に漏れ出ない大きさとしたのである。
薬袋内に漏れ出た薬液はシール部によって外部への漏れ出しが阻止される。また、各シール部3、3に挟まれた一薬袋1の部分は巻き取りされる際、その一薬袋1内の空気は切り目4から排出される。また、液体はその表面張力によってある程度の大きさの孔(切れ目)であると、その孔から漏れ出ることはない(漏れ出難い)。このため、実験などによってその孔の大きさ(形状も含む)を適宜に決定することによって、仮に、アンプル等が割れて薬液が薬袋内に漏れ出ても、その空気抜き孔から薬袋外に漏れ出る恐れは極めて少ない。なお、空気は薬袋帯の巻き取りによって押し出されるため、小さな孔でも空気が抜け出るとともに、その孔が群れとなっているため、空気抜きが円滑になされる。
【0009】
この発明の構成としては、一辺が薬液収納容器投入用開口、その一辺に対向する他辺が幅方向全長に亘るシール部が形成された閉塞底部となった扁平長方形状の薬剤収納用薬袋において、その扁平長方形状の表面の少なくとも前記シール部の近傍に空気抜き孔を形成し、その空気抜き孔は、複数個形成されて群となっているとともに、前記薬液収納容器が割れて液が漏れ出てもその孔から漏れ出ない大きさとなっている構成を採用することができる。
【0010】
上記空気抜き孔群の構成は、薬袋の巻き取り時に空気抜けが行われればいずれでも良く、例えば、シール部近傍も含めて薬袋表面全域に空気抜き孔を形成することもできるが、薬袋が連続した(単票となっていない帯状)ものの場合、上記シール部に隣接して空気抜き孔を幅方向に複数列等と複数形成されたものとすれば、先行のシール部に隣接した空気抜き孔群が形成されていない側から、その一薬袋内の空気が徐々に押されるように巻き取りされると、後行のシール部に向かって空気が集められて後行のシール部に隣接する空気抜き孔群から円滑に排出され得る。
【0011】
このとき、その空気抜き孔群を、図2(a)のように、シール部13に隣接した薬袋の開口側に空気抜き孔が複数列又は群がって形成されたものとすれば、薬袋が連続されたロールが同図(a)b矢印方向に繰り出され、鎖線cの箇所で切断されて(開口部が形成されて)一薬袋(単票)となる、同図(a)のa矢印方向にロール状に巻き取られる場合においては、その巻き取り方向後側に空気抜き孔群が位置して円滑に空気抜きが行なわれる。
一方、その空気抜き孔群を、シール部13に隣接した薬袋の底部側に空気抜き孔が複数列又は群がって形成されたものとすれば(図6参照)、図2(a)のb矢印方向にロール状に巻き取られる場合において、その巻き取り方向後側に空気抜き孔群が位置して円滑に空気抜きを行なわれる。
【0012】
また、薬剤収納用薬袋を帯状に連続して巻き取ったロールは薬袋払出装置にセットされると、そのロールからプリンタに送られ、印字後、プリンタの出口で薬袋は単票になるようにカット(切断)される場合が一般的である。この場合の印字時、ロールからプリンタへはベルトコンベアやロール等によって送り込まれ、その送り込み時のロール等の圧接によって薬袋内の空気は後行のシール部側へ押し込まれることとなる。このとき、例えば、図2(a)に示すように、上記空気抜き孔群14がシール部13の開口側一方にのみに隣接して設けられた同図a矢印方向に巻き取った薬袋帯ロールであると、その後行シール部手前側に隣接して空気抜き孔群が形成されておらず、プリンタへの送り込み時には、まだ、図2(a)の鎖線cの箇所で切断(開口)されていないため、シール部13でもって空気は抜けることなくそのシール部13側に溜まる場合がある。この空気溜まりは、そのシール部13側を膨らませてプリンタ内での薬袋の原因となる。
この点は、空気抜き孔群14がシール部13の底部側一方にのみに隣接して設けられ、b矢印方向に巻き取った薬袋帯ロールにおいても、同様である。
【0013】
このため、空気抜き孔群を、シール部の両側に隣接して幅方向に形成されたものとすれば、そのプリンタへの送り出し時において、薬袋内の空気がシール部側へ押し込まれても、そのシール部手前にも空気抜き孔群があるため(図6参照)、その空気抜き孔群から空気が抜けて空気溜まりが生じず、プリンタ内での薬袋の詰まりも無くなる。
【0014】
上記空気抜き孔群の構成(態様)は、同様に、巻き取り時に空気抜けが行われればいずれでも良いが、上記シール部に沿って幅方向に設けた場合、空気抜き孔の列は複数条としたり、その複数条において、空気抜き孔を幅方向に千鳥足状に形成したりする構成等とし得る。
【0015】
上記薬袋も種々の態様のものが採用し得るが、上記のように、通常、薬剤情報を印字するため、例えば、一面がその印字用紙製のシート、他面が樹脂製シートとから成り、上記空気抜き孔は、その樹脂フィルム側に形成し、紙製シート(台紙)側には形成しないハーフカット構造とすることが好ましい。台紙は紙からできて、孔に入り込んだ漏液が紙に染み出易いため、薬袋の表面に漏れ出易いが、樹脂フィルムは樹脂からできているため、その撥水性により、孔に漏液が入り込み難いとともに、仮に、入り込んでもその孔からは漏れ出難い。
【0016】
これらの薬剤収納用薬袋は、帯状に連続して巻き取りしたロールとして、上記周知の薬袋払出装置に装填するようにし得る。
その薬袋ロールの製造装置としては、例えば、上記薬袋が2枚のシートを重ねたものから成り、その両シートが重ねて送り込まれる側縁ヒートシールローラと、その側縁ヒートシールローラから送り出された薬袋帯の長さ方向所要間隔に幅方向全長に亘ってシール部を形成するヒートシール器と、空気抜き孔群を形成する孔開け装置とからなり、その孔開け装置によって前記空気抜き孔群を走行する薬袋帯に連続して形成する構成を採用することができる。
この構成において、孔開け装置は、刃が所定間隔で薬袋帯に押圧して孔を形成する等の周知の構成を採用し得るが、例えば、その刃が回転するものとすると、薬袋帯の走行に伴うその長さ方向所定間隔の空気抜き孔群の連続した形成が容易である。
【発明の効果】
【0017】
この発明は、以上のように構成して、巻き取り時の空気抜き孔を漏液が容易に漏れ出ない大きさとしたので、仮に、アンプル等の薬液収納容器の薬袋内への送り込み時等、アンプル等が破損して、薬液が薬袋内に漏れ出ても、その漏液が薬袋外に漏れ出る恐れは極めて少なくなる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】この発明に係る薬袋の一実施形態の薬液収納容器収納時の斜視図
【図2】同薬袋帯の一実施形態のロール巻き取り前を示し、(a)は部分平面図、(b)は(a)の部分拡大図、(c)は他の実施形態の同部分拡大図
【図3】同実施形態の概略製袋工程図
【図4】同製袋工程における空気抜き孔形成用ノッチ装置の概略正面図
【図5】同ノッチ装置のカッタ刃を示し、(a)は正面図、(b)は(a)の要部拡大図、(c)は同拡大側面図
【図6】同薬袋帯の他の実施形態のロール巻き取り前を示し、(a)は部分平面図、(b)は(a)の部分拡大図
【図7】(a)〜(b)は空気抜き孔群の他例を示す部分拡大図
【図8】薬袋帯の従来例の巻き取り前部分平面図
【発明を実施するための形態】
【0019】
この発明の一実施形態の薬袋を図1、図2に示し、この薬袋10は、従来と同様に、台紙となる長尺の上質紙(30g/m)11とポリエチレンテレフタレート(PET)製フィルム12との両シートからなって、その両端縁をヒートシールsによって接合されたものである。その紙11表面に、長さ方向一定間隔(一薬袋分間隔)に見当印11b及び幅方向のシール部13を形成している。台紙11の内面には、PETとのヒートシール性の優れた樹脂がラミネート(例えば、厚み:10μ)されており、フィルム12は両表面がコロナ処理されて表面改質がされている。
【0020】
この発明の特徴は、シール部13を幅方向の全長に亘って欠如することなく形成するとともに、その薬袋表面に細かい空気抜き孔14aの群14を形成した点であり、この空気抜き孔群14が意匠的にも特徴である。
その空気抜き孔群14は、この実施形態では、上記シール部13の上記開口10a側にその幅方向に隣接して空気抜き孔14aが整列して形成されているとともに、その空気抜き孔14aは上記アンプル等の薬液収納容器aが割れて液が漏れ出ても漏れ出ない大きさとされている。
【0021】
この薬袋10は、図3に示す、従来と同様の製袋工程で製作され、台紙ロール11aから台紙(内面ラミネート上質紙)11が繰り出されるとともに、フィルムロール12aから樹脂フィルム12が繰り出されて、その両縁がヒートシールローラ15によって側縁シールsがなされ、角棒16により反りが直された後、カッタ17によって側縁が所要幅切断されて耳カット17aがなされて所要幅とされる。
【0022】
所要幅とされた薬袋10の帯10’は、ヒートシール器18によって幅方向全長に亘るシール部13が薬袋帯の長さ方向所要間隔で形成された後、図4に示すノッチ装置(孔開け装置)20によって空気抜き孔14aの群14がシール部13に隣接して形成される。空気抜き孔群14の形成された薬袋帯10’は製品ロール19として巻き取りされる。その巻き取りは、台紙11を外側として図2のa矢印方向に行われる。この巻き取り時、各シール部13に挟まれた一薬袋10の部分は、先行(図2(a)において左側)のシール部13からその内部の空気が徐々に押されて後行のシール部13に向かって集められて空気抜き孔群14から排出される。このため、各薬袋10部分は空気抜きされた扁平長方形となって確実に製品ロール19として巻き取りされる。なお、16aは適宜位置に設けられた案内ロールであり、ヒートシールローラ15及びヒートシール器18に対向するロールにはその表面にシリコン層を設けて耐熱性を高めている。
【0023】
この製品ロール19は、従来と同様にして、袋詰め装置に装填され、この製品ロール19から薬袋帯10’を繰り出し、その帯10’から、図2のc線部分で一定長さに切断して薬袋10とするとともに、図1に示すように、その薬袋10にその開口10aからアンプルa等を送り込む。
【0024】
上記ヒートシール器18は、薬袋10の全幅に亘って連続するヒータを有して、そのヒータを回転させて薬袋帯10’の一薬袋10の長さ間隔でもってシール部13を形成する。
ノッチ装置20は、図4に示すように、ロール21に対して回転する支持具22に2枚のカッタ刃23を設けたものであり、そのカッタ刃23は、図5に示すように鋸歯状となっている。
そのカッタ刃23及びその刃先23aは、例えば、図5に示す寸法(単位:mm)としたものであり、空気抜き孔14aは、例えば約0.32mm(0.8mm×0.4mm)の長方形、正方形等の四角状となる。図面上は、空気抜き孔14aは丸形としており、三角形、菱形等と任意である。この空気抜き孔14aの大きさであると、液は表面張力によってこの孔14aから漏れ出ることはないか、仮に漏れても少量の液が徐々に漏れ出る程度であって支障がない。また、四角状等の角があるものであると、円形に比べて角があることによって表面張力が大きくなって漏れにくい。図中、23bはカッタ刃23のねじ止め用孔である。なお、この空気抜き孔14aの大きさ・形状は、この孔14aから漏れ出ない、又は漏れ出ても支障がない限度において、実験などによって適宜に決定すれば良いことは勿論である。
【0025】
この実施形態において、図6に示すように、空気抜き孔群14を、各シール部13の両側に隣接して形成したものとし得る。このようにすれば、袋詰め装置のプリンタへの送り出し時において、薬袋10内の空気が開口側(開封口側)へ押し込まれても、その開口側にも空気抜き孔群14があるため、その空気抜き孔群14から空気が抜けて空気溜まりが生じず、プリンタ内での薬袋の詰まりも無くなる。
この薬袋1は、上記実施形態と同様に、図3に示す、従来と同様の製袋工程で製作されるが、例えば、ノッチ装置20の支持具22の回転方向周囲に両空気抜き孔群14、14の距離離れてカッタ刃23を設けたり、薬袋帯10’の走行経路において、上記ノッチ装置20の前側又は後側に同一のノッチ装置20を設けたりして、空気抜き孔群14をシール部13の両側に形成する。
【0026】
なお、この空気抜き孔群14をシール部13の両側に隣接して形成した薬袋帯ロールにおいては、この薬袋帯10’から一薬袋10をどの位置(c又はd)で切断して開口しても、すなわち、どちらの巻き取り方向(a矢印方向又はb矢印方向)の薬袋帯ロールであっても、プリンタへの送り出し時、空気抜き孔群14から空気が抜けて空気溜まりが生じず、プリンタ内での薬袋の詰まりも無くなる。
【0027】
上記空気抜き孔14aの配列(空気抜き孔群14)としては、図2(b)、図6(b)に示す幅方向同一位置に並列させたり、図2(c)に示す幅方向千鳥足状としたりし得る。千鳥足状とすれば、空気抜き孔群14の前後の空気抜き孔14aが帯長さ方向において重なることが少なくなるため、空気抜きの効果が増す。その並列の列数も2列に限らず、1列、3列以上と任意である。その千鳥足状の3列以上の場合、帯長さ方向の前後の空気抜き孔14aはその帯長さ方向において重ならないように配置する。
また、その空気抜き孔群14は、図2(a)に示すように、薬袋1の両側縁のシール部13の少し手前までとして、薬袋帯10’の両側縁の反りを防止すると良い。空気抜き孔14aを開けると、その穿孔によって縁表面が少し盛り上がるため、シール部13又はその近くに空気抜き孔14aがあると、薬袋帯10’を巻き取りした際(製品ロール19となった際)、その盛り上がりによって円滑な巻き取りが行われない恐れがあるとともに、縁が盛り上がって見栄えの悪いものとなる。
【0028】
因みに、両側のヒートシールsに沿って空気抜き孔群14を設けた場合、両側のヒートシールsの部分がかなり盛り上がってしまうので、その両側に空気抜き孔群14を設けるよりもシール部13に沿って設けた方が良い。また、所要間隔をもって帯状に連続したシール部13と異なり、両側のヒートシールsは端に位置するので空気抜き孔14aをあけたことによって変形しそりかえることもある。このことからシール部13に隣接して空気抜き孔群14を設けるのが好ましい。
【0029】
さらに、シール部13と空気抜き孔群14の間隙t(図2(b)参照)は、大きすぎると(離れすぎると)円滑な空気抜きが行われない恐れがあり、逆に、小さすぎると(近すぎると)シール部13に重なる場合があるため、それらを考慮して適宜に決定すれば良いが、例えば、0.5〜1.0mmとする。
空気抜き孔14aは、薬袋10を貫通させて形成したり、一方のシート(台紙11又はフィルム12)のみを貫通するハーフカットとしたりし得る。ハーフカットの場合、フィルム12のみに孔14aを形成すれば、そのフィルム12は樹脂製のため、その撥水性により、孔14aに漏液が入り込み難いとともに、仮に、入り込んでもその孔14aからは漏れ出難い。
【0030】
上記各実施形態において、シール部13の条数は上記実施形態のように1本に限らず、シール性(漏れ防止性)を担保できる限りにおいて、2本、3本以上と任意であり、その幅も任意である。また、空気抜き孔群14は連続させたが、空気抜き効果を担保できる限りにおいて、例えば、図7(a)に示すように間欠的でも良い(欠如部を設けても良い)。さらに、薬袋10は、紙11と樹脂フィルム12との2枚のシートからなるものに限らず、1枚のシートをその幅方向の中央で折り重ねてその両端縁をシールした等の周知の種々の態様のものを採用することもできる。
【0031】
上記各実施形態において、図2(a)、図6(a)のd線で切断して繰り出し側先行端縁を開口10aとする場合でも、この発明は採用することができる。また、図7(b)に示すように、幅シール部13に近接した横シール部sのみに沿って空気抜き孔群14を形成することもできる。この空気抜き孔群14は、横シール部s全長に亘って連続したり、間欠的にしたりすることもできる。また、孔開け装置は、ノッチ装置20に変えてダイカットロール20’とすることができる。この場合、図3においては、ノッチ装置20を除去し、例えば、鎖線の位置にそのダイカットロール20’を配置し、その回転による周表面一部軸方向のダイカット突起によって薬袋帯10’に連続して空気抜き孔群14を形成する。
【0032】
なお、上記製品ロール19から、図2(a)、図6(a)のc線又はd線で切断して、薬袋10の単票として、病院等のユーザに納品し得ることは勿論である。
上記薬袋10は、その開口10aに封筒のように舌片を設けて切断した形状としたり、薬液ボトルに吊り下げ用孔を形成した形状(特許文献2図7、図9参照)としたりすることもできる。
【0033】
このように、この発明の実施形態は、種々の態様が考えられることから、この発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図されることは勿論である。
【符号の説明】
【0034】
1、10 薬袋
1’、10’ 薬袋帯
10a 薬袋の開口
10b 薬袋の底部
11 台紙(上質紙)
12 樹脂フィルム
13 底シール部
14 空気抜き孔群
14a 空気抜き孔
15 ヒートシールローラ
18 ヒートシール器
20 ノッチ装置
23 カッタ刃
a アンプル(薬剤収納用容器)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一辺が薬液収納容器投入用開口(10a)、その一辺に対向する他辺が幅方向全長に亘るシール部(13)が形成された閉塞底部(10b)となった扁平長方形状の薬剤収納用薬袋であって、
上記扁平長方形状の表面の少なくとも上記シール部(13)の近傍に空気抜き孔(14a)を形成し、その空気抜き孔(14a)は、複数個形成されて群(14)となっているとともに、上記薬液収納容器(a)が割れて液が漏れ出てもその孔(14a)から漏れ出ない大きさとなっていることを特徴とする薬剤収納用薬袋。
【請求項2】
上記閉塞底部(10b)のシール部(13)に隣接して空気抜き孔(14a)が形成され、その空気抜き孔(14a)は、上記幅方向に複数個形成されて群(14)となっていることを特徴とする請求項1に記載の薬剤収納用薬袋。
【請求項3】
上記空気抜き孔群(14)は、上記シール部(13)の両側に隣接してそれぞれ形成されていることを特徴とする請求項2に記載の薬剤収納用薬袋。
【請求項4】
上記空気抜き孔群(14)は、上記シール部(13)に隣接した上記開口(10a)側に形成されていることを特徴とする請求項2に記載の薬剤収納用薬袋。
【請求項5】
上記空気抜き孔群(14)を上記幅方向に千鳥足状に形成したことを特徴とする請求項2乃至4の何れか一つに記載の薬剤収納用薬袋。
【請求項6】
側縁がヒートシール部(s)でもって閉塞された薬剤収納用薬袋にあっては、上記空気抜き孔群(14)は前記側縁のヒートシール部(s)に至らないようにしたことを特徴とする請求項1乃至5の何れか一つに記載の薬剤収納用薬袋。
【請求項7】
上記薬剤収納用薬袋(10)は、一面が紙製のシート(11)、他面が樹脂製シート(12)とから成り、上記空気抜き孔群(14)は前記樹脂製シート(12)のみに形成されていることを特徴とする請求項1乃至6の何れか一つに記載の薬剤収納用薬袋。
【請求項8】
請求項1乃至7の何れか一つに記載の薬剤収納用薬袋(10)を帯状に連続して巻き取った薬剤収納用薬袋ロール(19)であって、その巻き取り方向(a、b)の上記シール部(13)の後側(c)又は前側(d)で切断して前記薬剤収納用薬袋(10)とすることを特徴とする薬剤収納用薬袋ロール。
【請求項9】
請求項8記載の薬剤アンプル収納用薬袋ロールの製造装置であって、上記薬剤収納用薬袋(10)が2枚のシート(11、12)を重ねたものから成り、その両シート(11、12)が重ねて送り込まれる側縁ヒートシールローラ(15)と、その側縁ヒートシールローラ(15)から送り出された薬袋帯(10’)の長さ方向所要間隔に幅方向全長に亘ってシール部(13)を形成するヒートシール器(18)と、上記空気抜き孔群(14)を形成する孔開け装置(20、20’)とからなり、前記孔開け装置(20、20’)によって前記空気抜き孔群(14)を走行する薬袋帯(10’)に連続して形成することを特徴とする薬剤収納用薬袋用ロールの製造装置。
【請求項10】
上記孔開け装置(20、20’)の回転によるその孔開け装置(20、20’)の刃(23)によって上記空気抜き孔群(14)を走行する薬袋帯(10’)に連続して形成することを特徴とする請求項9に記載の薬剤収納用薬袋用ロールの製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−99493(P2013−99493A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−263526(P2011−263526)
【出願日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【出願人】(592246705)株式会社湯山製作所 (202)
【Fターム(参考)】