説明

薬液自己注入装置

【課題】医療従事者等が、患者が行った薬液注入操作の回数を正確に確認することで、患者の容態の把握等を実現し得る、改良された構造の薬液自己注入装置を提供すること。
【解決手段】薬液注入口38と薬液注出口40とが設けられて内部に所定量の薬液を貯留する可撓性のリザーバ28と、外部からの操作でリザーバ28を押圧変形させてリザーバ28に貯留された薬液を薬液注出口40から注出させる押圧手段16とを、備えた薬液自己注入装置において、押圧手段16を押圧してリザーバ28から薬液を注出させた回数を数えるカウント手段82,88,94,96,98,114,116を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬液自己注入装置に係り、特に、鎮痛剤や麻酔剤などの薬液を、患者の体内に、患者自身が注入するための薬液自己注入装置の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、麻酔科領域において、術後疼痛や癌性疼痛などを和らげるために、微量の鎮痛剤等の薬液を持続的に注入する持続注入具を使用した硬膜外カテーテル挿入法による薬液投与が行われている。しかし、患者の症状や体質は様々であるため、微量の鎮痛剤を持続注入している途中にも、患者が急に激しい痛みを訴えることがある。そこで、このような危急の症状に迅速に対処するために、患者自身が、自己の体内に、鎮痛剤をワンショットで大量に注入できる、所謂、薬液自己注入装置の開発が進められている。例えば、特許第3147346号公報(特許文献1)に示されている。
【0003】
ところで、鎮痛剤等の薬液が過剰に体内に注入されることは、患者の身体に悪影響を及ぼすおそれがあることから、患者の操作によって注入された鎮痛剤の量を医療従事者が把握し、コントロールし得るようになっていることが望ましい。また、患者が多量の鎮痛剤を頻繁に要する状態であれば、痛みの程度に応じた適量の且つ適当な種類の鎮痛剤を、自己注入から医師の管理下での注入に切り替えて、投与することが必要となる場合もある。
【0004】
しかしながら、現状の薬液自己注入装置では、患者が薬液の注入操作を行った回数を知る手段として、患者に確認するか、或いは薬液の減り方から推測する以外にはなく、医療従事者が正確な使用回数を把握することは困難であった。即ち、薬液自己注入装置が1週間或いはそれ以上の比較的に長い期間に亘って連続使用される場合には、緊急の状態で使用することもあって、患者の記憶が曖昧になり、申告回数が不正確になるおそれがある。薬液の減少量から推定する場合にも、1回の操作で注入される薬液の量にばらつきがあることから、長期間では薬液の減少量に大きな誤差が生じる場合があり、正確な操作回数を把握し難い。その結果、医療従事者が、患者によるワンショット操作の回数を正確に管理することは難しく、患者が突発的な激しい痛みをどの位の頻度で感じているのかを正確且つ簡単に把握して、患者の容態をコントロールすることは、未だ実現できていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3147346号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上述の事情を背景に為されたものであって、その解決課題は、医療従事者等が、患者が行った薬液の自己注入操作の回数を正確に確認することで、患者の容態の把握等を実現し得る、改良された構造の薬液自己注入装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様は、薬液注入口と薬液注出口とが設けられて内部に所定量の薬液を貯留する可撓性のリザーバと、外部からの操作で該リザーバを押圧変形させて該リザーバに貯留された薬液を該薬液注出口から注出させる押圧手段とを、備えた薬液自己注入装置において、前記押圧手段を押圧して前記リザーバから前記薬液を注出させた回数を数えるカウント手段を設けたことを、特徴とする。
【0008】
第1の態様に従う構造とされた薬液自己注入装置によれば、患者が押圧手段を押圧して薬液を自己注入した回数が、カウント手段によって計数されることから、患者が痛みを感じる頻度を医師などの医療従事者が正確に確認することができて、医療従事者による患者の容態の把握を補助することができる。これにより、カウント手段によって計数された薬液注入回数が多い場合に、薬液の種類を変更したり、医師による薬液投与に切り替えたりすることで、患者に対してより適切な医療を提供することが可能となる。
【0009】
本発明の第2の態様は、第1の態様に記載の薬液自己注入装置において、外部からの操作によって、前記リザーバに対して接近及び離隔させられる操作部材と、該操作部材と前記リザーバとの間に配設されてこれら操作部材及びリザーバに対して該操作部材の移動方向で相対移動可能とされた押圧部材と、前記リザーバに接近移動された前記操作部材に係合して該操作部材の該リザーバからの離隔移動を阻止する解除可能な係合手段と、前記操作部材と前記押圧部材との間に配設されて該操作部材の前記係合手段による係合状態下で該押圧部材を該操作部材から離隔方向に付勢して前記リザーバに押し付けるばね手段とを、含んで前記押圧手段が構成されており、前記操作部材及び前記押圧部材の何れか一方における前記リザーバへの接近及び離隔方向への往復移動回数が前記カウント手段によって計数される。
【0010】
第2の態様によれば、リザーバを押し込む押圧部材を直接に押圧操作することなく、患者が手で操作し易いように設けられた操作部材を押圧操作することによって、リザーバに貯留された薬液が抽出されるようになっている。それ故、患者の操作が容易で、例えば急な痛みに対する鎮痛薬の注入等といった緊急を要する状態であっても、薬液の注入を確実に行うことができる。
【0011】
しかも、操作部材が係合手段によってロックされて、ばね手段の弾性によってリザーバが押圧されるようになっていることから、患者が連続で何度も操作部材を押した場合にも、薬液が過剰に注入されるのを防ぐことができる。加えて、操作部材と押圧部材の間にばね手段が設けられていることにより、患者が操作部材を強い力で操作した場合にも、押圧部材に伝達される力がばね手段で緩和されて、押圧部材によってリザーバに及ぼされる力が必要以上に大きくなるのを回避できる。その結果、リザーバの損傷を防ぐことができると共に、薬液がリザーバから必要以上に勢い良く抽出されるのを防止することもできる。
【0012】
本発明の第3の態様は、第2の態様に記載された薬液自己注入装置において、前記操作部材及び前記押圧部材の何れか一方における前記リザーバへの接近及び離隔方向への往復移動に伴って順送り機構により所定量ずつ駆動される計数部材を含んで、前記カウント手段が構成されているものである。
【0013】
第3の態様によれば、カウント手段が、順送り機構によって所定量ずつ駆動される計数部材を含んだ、機械的な手段で構成されている。それ故、電気回路等を設ける必要のない簡単な構造で本発明に従う構造の薬液自己注入装置を実現することができる。
【0014】
本発明の第4の態様は、第3の態様に記載された薬液自己注入装置において、前記計数部材が前記操作部材に対して回転可能に取り付けられている一方、該操作部材と前記押圧部材との相対的な接近及び離隔方向の移動に伴って該計数部材を所定量ずつ一方向に回転駆動させる回転駆動手段により前記順送り機構が構成されているものである。
【0015】
第4の態様によれば、計数部材が回転駆動手段によって回転駆動されることでカウント手段が構成されている。このように回転駆動する計数部材を採用することで、計数部材の小型化が図られて、計数部材を取り付けられる操作部材の形状やサイズの設計自由度を大きく確保することができる。
【0016】
本発明の第5の態様は、第4の態様に記載された薬液自己注入装置において、前記計数部材と前記押圧部材の一方に第1の噛合突起が設けられていると共に、それら計数部材と押圧部材の他方に第2の噛合突起が設けられており、それら第1の噛合突起と第2の噛合突起の少なくとも一方に案内傾斜面が形成されて、該計数部材と該押圧部材の相対的な接近移動によってそれら第1の噛合突起と第2の噛合突起が当接して該案内傾斜面の案内作用で該計数部材が一方向に規定量だけ回転駆動されるようになっていると共に、該案内傾斜面の案内作用によって規定量だけ回転駆動された該計数部材を更に同一方向へ進ませることで、該計数部材と該押圧部材の相対的な接近移動の繰り返しに伴って該第1の噛合突起と該第2の噛合突起の当接位置を順送りする先送り機構を設けることによって、前記回転駆動手段が構成されているものである。
【0017】
第5の態様では、計数部材の周方向一方向への回転駆動が、操作部材に加えられる押圧力を第1の噛合突起と第2の噛合突起の当接による案内傾斜面の案内作用を利用して、回転駆動力に変換することで実現されている。それ故、計数部材を回転させるためにモータ等の特別な駆動源を設けることなく、患者の押圧操作と連動した駆動力を簡単な構造で得ることができる。
【0018】
また、先送り機構が設けられていることにより、計数部材と押圧部材の接近移動時に、第1の噛合突起と第2の噛合突起が当接して、案内傾斜面の案内作用が有効に発揮される。これにより、計数部材が操作部材に対して所定量ずつ周方向に順送りされて、簡単な構造で信頼性の高い回転駆動手段が実現される。
【0019】
本発明の第6の態様は、第5の態様に記載された薬液自己注入装置において、前記操作部材と前記リザーバの接近及び離隔移動方向における前記計数部材と前記押圧部材の対向部分に前記第1の噛合突起と前記第2の噛合突起が形成されているものである。
【0020】
第6の態様によれば、操作部材と押圧部材の接近及び離隔移動方向で対向する部分に、第1の噛合突起と第2の噛合突起が形成されていることから、第1の噛合突起と第2の噛合突起の当接荷重に対する耐荷重性を有利に確保することができる。
【0021】
本発明の第7の態様は、第5又は第6の態様に記載された薬液自己注入装置において、前記操作部材が底壁部を有していると共に、該底壁部から前記押圧部材に向かって突出する支持筒部が設けられており、前記計数部材が該支持筒部に外挿されて回転可能に支持されていると共に、該計数部材の内周面と該支持筒部の外周面との間に案内面が設けられて、該支持筒部の弾性力を利用した該案内面の案内作用によって前記先送り機構が構成されているものである。
【0022】
第7の態様によれば、回転駆動の完了後に計数部材を更に順送りする先送り機構によって、次に操作部材が押圧操作される際に計数部材が規定量だけ回転駆動されるように準備がなされて、薬液自己注入装置の断続的な複数回に亘る使用を実現することができる。
【0023】
本発明の第8の態様は、第1〜第5の何れか1つの態様に記載された薬液自己注入装置において、前記カウント手段による計数値を外部から視認可能に表示する表示部が設けられているものである。
【0024】
第8の態様によれば、このように外部からカウント手段による計数値を容易に視認できるようにすることで、医療従事者や患者自身が薬液注入回数を容易に把握することができる。しかも、外部から視認可能となっていることから、薬液注入回数の確認を任意のタイミングで何度でも行うことができる。従って、例えば、医療従事者が、手の空いた時間や、病室の付近に立ち寄ったとき等に随時確認することも可能である。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、痛みが激しい時などの緊急時に患者が使用する薬液自己注入装置自体によって、使用回数が自動的に計数されるようになっており、患者の記憶や薬液の減り等に基づいて使用回数を確認する場合に比べて、より正確に使用回数を確認することができる。それ故、患者の使用回数に基づいた患者の容態把握や治療方針の策定等を、より効果的に且つ正確に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明に従う薬液自己注入装置の第1の実施形態を示す縦断面説明図。
【図2】図1のII−II断面説明図。
【図3】図1に示された薬液自己注入装置の平面説明図であって、(a)がプッシュボタンの押圧前の初期状態を、(b)がプッシュボタンの押圧による順送り完了状態を、(c)がプッシュボタンの押圧による先送り完了状態を、それぞれ示す。
【図4】図1に示された薬液自己注入装置を構成する計数部材の斜視説明図。
【図5】図4に示された計数部材を別角度から見た斜視説明図。
【図6】図4に示された計数部材の平面説明図。
【図7】図1に示された薬液自己注入装置の要部を拡大して示す縦断面説明図。
【図8】図1に示された薬液自己注入装置を薬液容器に接続して構成された薬液注入システムを示す説明図。
【図9】図1に示された薬液自己注入装置の使用状態を説明するための図であって、プッシュボタンを押圧した直後の状態を示している。
【図10】図1に示された薬液自己注入装置の別の使用状態を説明するための図であって、プッシュボタンの押圧後に、プランジャがリザーバに移動して、リザーバを押圧変形させた状態を示している。
【図11】回転駆動手段による計数部材の回転駆動を説明する図であって、(a)がプッシュボタンの押圧前の初期状態を、(b)がプッシュボタンの押圧による順送り開始状態を、(c)がプッシュボタンの押圧による順送り完了状態を、(d)プッシュボタンの押圧解除による先送り完了状態を、それぞれ示す。
【図12】薬液自己注入装置の先送り機構を拡大して示す平面説明図。
【図13】本発明に従う薬液自己注入装置の第2の実施形態を示す縦断面説明図。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0028】
先ず、図1,図2には、本発明に従う薬液自己注入装置の第1の実施形態の縦断面図が示されている。それらの図から明らかなように、本実施形態の薬液自己注入装置は、ハウジング10と、リザーバユニット12と、可撓部材としての割りリング14と、押圧部材としてのプランジャ16と、ばね手段としての圧縮コイルばね18と、操作部材としてのプッシュボタン20とを有している。
【0029】
より詳細には、ハウジング10は、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリアセタールなどの合成樹脂材料を用いて形成された、図1中において上下方向に延びる略円筒状の筒部材からなっている。なお、以下からは、本実施形態の薬液自己注入装置における、図1の上下方向に対応する方向を、便宜上、上下方向と言う。
【0030】
この筒状のハウジング10においては、その下端部が、下方に向かって次第に小径化するテーパ筒形状とされて、この下側開口部が上側開口部よりも小径とされている。また、ハウジング10の軸方向中間部の径方向に対向する部位には、軸方向に互いに同一長さで延びるスリット22が、それぞれ1つずつ形成されている。更に、ハウジング10における一方のスリット22の下側には、長方形状の窓部24が、かかるハウジング10の下端部を貫通して設けられている。
【0031】
そのようなハウジング10の下端部内に、リザーバユニット12が挿着されている。このリザーバユニット12は、ベース部材26とリザーバ28とリザーバリング30とからなっている。ベース部材26は、ハウジング10の形成材料と同様な樹脂材料を用いて形成された樹脂成形品にて構成されている。そして、ベース部材26は、取付リング部32と、この取付リング部32の内側に同軸的に配置されて、円環板上の連結部33にて取付リング部32に連結された、円筒状の外周面を有するポート部34とを一体的に有している。また、それら取付リング部32とポート部34との間には、それらの内周面と外周面とをそれぞれ側面とし、且つ連結部33を底部とする略円環状の溝部36が形成されており、取付リング部32が、径方向内方に弾性変形可能とされている。
【0032】
ベース部材26のポート部34には、薬液注入口としての薬液注入ポート38と薬液注出口としての薬液注出ポート40とが、ポート部34を上下方向に貫通するように設けられている。それら薬液注入ポート38と薬液注出ポート40は、薬液注排ポートとしても構成されている。また、図1に示されるように、薬液注出ポート40の内部には、定圧開放弁42が挿着されている。この定圧開放弁42は、薬液注出ポート40内の圧力が上昇して、予め定められた値となったときに開放される公知の構造を有している。また、取付リング部32の上端面には、その周方向に等間隔をおいた4個所に、返り形状を呈する爪部を先端に備えた図示しないフック部が、それぞれ1つずつ一体的に立設されている。
【0033】
リザーバリング30も、ハウジング10やベース部材26の形成材料と同様な樹脂材料を用いて形成された樹脂成形品からなっている。そして、リザーバリング30は、全体として、略段付きの円筒形状を呈し、下側部分が大径部46とされる一方、上側部分が小径部48とされ、また、軸方向中間部が、それら大径部46と小径部48とを段付けするショルダ形の段部50とされている。更に、そのような段部50の周方向に等間隔をおいた4個所には、図示しない係合凹部が、1つずつ形成されている。
【0034】
一方、リザーバ28は、エラストマや、シリコーンゴムなどの合成ゴム、或いは天然ゴムなどの弾性材料を用いて形成されている。そして、リザーバ28は、上側底部を有する、リザーバリング30よりも一周り小さな略段付き有底円筒状の全体形状を呈している。そして、このリザーバ28の上側部分が、薄肉で容易に弾性変形可能な小径部54とされている一方、下側部分が、厚肉の大径部56とされており、また、軸方向中間部に、それら小径部54と大径部56とを段付けするショルダ形の段部58が形成されている。
【0035】
そして、図1及び図2に示されるように、リザーバ28が、その大径部56の下端部をベース部材26の溝部36内に突入させると共に、段部58の下面を、その全周にわたって、ポート部34の上端面の外周部に接触させた状態で、大径部56において、ポート部34に外嵌されている。また、このリザーバ28に対して、リザーバリング30が、それぞれの小径部54,48同士が対応し且つ大径部56,46同士が対応するように外挿されて、リザーバリング30の段部50が、リザーバ28の段部58上に重ね合わされると共に、大径部46の下端部が、ベース部材26の溝部36内に挿入されている。そして、そのような状態において、ベース部材26の取付リング部32に一体的に立設された4つのフック部が、リザーバリング30の段部50に設けられた4つの係合凹部に対して、それぞれ係合されている。
【0036】
これによって、リザーバリング30が、ベース部材26に対して一体的に組み付けられていると共に、リザーバ28が、ベース部材26とリザーバリング30との間で挟圧保持されている。また、そのような挟持状態において、リザーバ28の小径部54の大径部56への開口部がベース部材26のポート部34にて閉鎖されて、かかる小径部54の内側空間が、液密な状態で外部から密閉された薬液貯留部60とされている。そして、この薬液貯留部60が、ポート部34の薬液注入ポート38と薬液注出ポート40とのみを通じて、外部に連通している。また、そのような薬液貯留部60を形成するリザーバ28の小径部54は、リザーバリング30の小径部48内に収容されて、かかる小径部48にて保護されるようになっている。
【0037】
このように、本実施形態では、リザーバユニット12が、ベース部材26とリザーバ28とリザーバリング30との一体組付品として構成されている。そして、このリザーバユニット12が、ハウジング10内に、その上側開口部から挿入されて、ベース部材26の取付リング部32が、径方向内方に弾性変形した状態で、ハウジング10の下端部の内周面に圧接されることにより、ハウジング10の下端部の内側に固定されている。これによって、ベース部材26がハウジング10の下側開口部内に装着されると共に、リザーバ28が、ハウジング10の下端部内に収容されている。また、ベース部材26のポート部34に設けられた薬液注入ポート38と薬液注出ポート40とが、ハウジング10の下側開口部を通じて、外部に開口され、更に、それら2つのポート38,40を通じて、リザーバ28の薬液貯留部60が外部に連通している。
【0038】
なお、ここで用いられるリザーバ28は、薬液貯留部60内に3ml程度の薬液を貯留し得るように、小径部54の容積が3ml程度に設定されている。リザーバ28の薬液貯留部60内に貯留される薬液の量を、それよりも少なくする場合には、図示されてはいないものの、例えば、リザーバとして、径は同じで高さが低くされて、その容積が小さくされた小径部を有するものが、リザーバユニットに組み付けられる。また、薬液貯留部60内の薬液貯留量を増やす場合には、例えば、リザーバとして、径は同じで高さが高くされて、容積が大きくされた小径部を有するものが、リザーバユニットに組み付けられる。本実施形態では、リザーバ28が、上述のようにして、リザーバユニット12に組み付けられているため、リザーバ28の交換が容易となっており、それによって、薬液貯留部60の容量の増減も、容易に行うことが可能となっている。
【0039】
また、上記のようにして、リザーバユニット12が固定されたハウジング10の下端側部分の内側には、割りリング14が配置されている。この割りリング14は、例えば、ハウジング10の形成材料と同様な樹脂材料を用いた弾性変形可能な樹脂成形品からなっている。また、割りリング14は、ハウジング10の内径と略同じか又は僅かに大きな外径を有する薄肉のリングの周上の1箇所を、所定の周方向長さの分だけ除去して、分断した形態を有している。
【0040】
そして、そのような割りリング14の分断部分とは径方向の反対側部分が径方向内方に厚肉化されて、この厚肉部の端面の内周側部分に、係合フック62が一体的に立設されている。この係合フック62は、割りリング14の端面から上方に一体的に延びる延出部64と、この延出部64の先端に一体形成された係合爪部66とを有している。また、係合爪部66には、割りリング14の径方向外方に向かって下傾する傾斜面部68が形成されている。この傾斜面部68は、その下端縁が、割りリング14の径方向において、割りリング14の外周面と同一の位置となるように設定されている。更に、割りリング14の係合フック62の形成部位の外周面には、長方形状を呈する操作突部70が、一体的に突設されている。
【0041】
そして、図1に示されるように、かかる割りリング14が、ハウジング10の下端部の内側において、係合フック62を上方に向かって延出させる向きで、リザーバユニット12におけるリザーバリング30の小径部48に対して、径方向に隙間を開けて外挿されている。また、そのような状態下で、割りリング14が、操作突部70を、ハウジング10の下端部に設けられた窓部24を通じて外部に突出させつつ、僅かに予備圧縮されて、縮径された状態で、ハウジング10内に挿入されている。そうして、割りリング14が、ハウジング10の下端部内に、窓部24の内周面に対する操作突部70の係合により、ハウジング10に対して、その周方向と軸方向への相対変位が不能とされた状態で、固定的に配置されている。
【0042】
これによって、操作突部70が外部から押圧操作されたときに、割りリング14の外周面がハウジング10の内周面に対して摺動し、割りリング14が撓んで縮径して、係合フック62が、割りリング14の径方向内方に変位するようになっている。また、係合フック62の傾斜面部68に対して、下方への押圧力が加えられたときにも、同様に、割りリング14が撓んで縮径して、係合フック62が、割りリング14の径方向内方に変位するようになっている。
【0043】
一方、図1及び図2に示されるように、ハウジング10の上側開口部には、プッシュボタン20が挿入されている。このプッシュボタン20は、ハウジング10の形成材料と同様な樹脂材料を用いて形成された樹脂成形品からなっている。そして、底壁部としての上側底部72を備えた片側有底円筒形状を呈し、ハウジング10の内径よりも僅かに小さな外径と、ハウジング10よりも短い長さとを有している。また、プッシュボタン20の筒壁部の径方向に対向する2つの部位には、互いに同一長さで軸方向に延びるスリット74,74が、設けられている。それらのスリット74,74は、ハウジング10に設けられたスリット22,22と同一の幅及び長さを有している。また、一方のスリット74の下側(開口端側)には、周方向に延びる、係合部としてのスリット状の係合孔76が、筒壁部を貫通して、設けられている。
【0044】
また、プッシュボタン20の上側底部72には、支持筒部78が設けられている。支持筒部78は、径方向一方向で分割された1対の半円筒形状の突起からなり、上側底部72から下方に向かって突出するように一体形成されている。更に、支持筒部78の外周面の下端には、返り形状を呈する爪部80が一体形成されている。また、支持筒部78の外周面の2箇所には,それぞれ嵌合凸部82が設けられている。嵌合凸部82は、支持筒部78の外周面上に突設されて、略一定の半円形断面で上下方向に延びて、上側底部72と爪部80の軸方向間に設けられている。
【0045】
また、プッシュボタン20の上側底部72には、空所84が形成されている。空所84は、支持筒部78の外周面に沿って周方向に延びるように形成されて、上側底部72を上下に貫通している。なお、1対の嵌合凸部82,82の対向方向と略直交する径方向一方向には、空所84を挟んだ両側を連結する連結部が設けられている。
【0046】
さらに、プッシュボタン20の上側底部72には、図3に示されているように、表示窓86が設けられている。この表示窓86は、空所84を周上の一部で径方向外側に拡張するようにして形成されており、周上における一方の嵌合凸部82の形成位置において上側底部72を上下に貫通している。
【0047】
また、支持筒部78には、計数部材88が取り付けられている。計数部材88は、図4,図5に示されているように、一体形成されたカウント部90と第1の噛合筒部92を有している。
【0048】
カウント部90は、略円環板形状とされており、上端面に浮彫状の数字が形成されて周方向で等間隔に配されている。なお、本実施形態のカウント部90には、周上で平面視の反時計回りに0〜3の4つの数字が順に配されているが、カウント部90上面の数字は、プッシュボタン20の押圧操作の予想回数等に応じて、少なくしても良いし、より多くの数字を配しても良い。また、カウント部90に表示される数字は、必ずしも0から始まるものに限定されない。また、カウント部90に表示された数字は、浮彫状である必要はなく、プリントされていても良いし、掘り込まれていても良い。
【0049】
また、図6に示されているように、カウント部90の内周面には、嵌合凹部94が、各数字に対応する位置に形成されており、嵌合凹部94の形成位置においてカウント部90の内径が部分的に拡大されている。この嵌合凹部94は、支持筒部78に設けられた嵌合凸部82と対応する断面形状で形成されていると共に、その周方向両側が徐々に拡幅してカウント部90の内周面に対してなだらかに接続される案内面95とされている。
【0050】
また、図4に示されているように、カウント部90の内周縁部には、第1の噛合筒部92が一体形成されている。第1の噛合筒部92は、略円筒形状とされて、カウント部90の内周縁部から下方に向かって突出している。なお、嵌合凹部94は、第1の噛合筒部92の内周面にまで延びており、計数部材88の軸方向全長に亘って連続的に形成されている。
【0051】
また、計数部材88における第1の噛合筒部92の外周面上には、第1の噛合突起96が一体形成されている。第1の噛合突起96は、第1の噛合筒部92の外周面から外周側に突出しており、第1の噛合筒部92の周上において4つの第1の噛合突起96が等間隔にそれぞれ形成されている。また、第1の噛合突起96の下端面は、第1の案内傾斜面98とされている。第1の案内傾斜面98は、平面視における周方向の時計回りで、次第に下傾する傾斜面であって、4つの第1の噛合突起96の各下端面がそれぞれ第1の案内傾斜面98とされている。
【0052】
このような構造とされた計数部材88は、図1,図2に示されているように、プッシュボタン20に取り付けられている。より詳細には、計数部材88は、図7に示されているように、プッシュボタン20の支持筒部78に外挿されて、カウント部90が上側底部72に重ね合わされると共に、第1の噛合筒部92の下端面が支持筒部78の爪部80に重ね合わされている。これにより、計数部材88は、プッシュボタン20の上側底部72と爪部80との軸方向間において、中心軸を回転中心とする回転を許容された状態で支持筒部78に外挿装着されている。
【0053】
また、支持筒部78の外周面に突設された嵌合凸部82が、計数部材88の内周面に開口する嵌合凹部94に嵌め入れられて、周方向に係止されており、計数部材88が支持筒部78を備えたプッシュボタン20に対して周方向で位置決めされている。尤も、嵌合凸部82が突出方向の先端側に向かって狭幅となる略半円形断面を有していると共に、嵌合凹部94の周方向両端が計数部材88の内周面に滑らかに連接されていることにより、それら嵌合凸部82と嵌合凹部94の係止が外力の作用によって容易に解除されて、計数部材88がプッシュボタン20に対して相対回転されるようになっている。
【0054】
なお、計数部材88をプッシュボタン20に組み付ける際には、計数部材88の上面に表示された数字のうちで、押圧操作前の初期状態を示す数字(ここでは「0」)が、表示窓86に対して位置決めされており、表示窓86を通じてプッシュボタン20の上方から見えるようになっている(図3の(a)参照)。一方、「1」,「2」,「3」の各数字は、プッシュボタン20の上側底部72によって覆われて、外部から見えないようになっている。このように、計数部材88の特定の数字(計数値)だけを、表示窓86を通じて外部から視認可能な態様で表示することで、本実施形態における表示部が構成されている。
【0055】
そして、計数部材88を組み付けられたプッシュボタン20が、上側底部72をハウジング10の上側開口部を通じて外部に露呈されるように、ハウジング10の上側開口部を通じて、ハウジング10内に挿入されて、プッシュボタン20の2つのスリット74,74が、ハウジング10の2つのスリット22,22とそれぞれ対応して、配置されている。そして、このプッシュボタン20は、ハウジング10内への挿入状態下で、ハウジング10の内周面に摺動しつつ、上下方向(軸方向)にスライド可能とされており、下方へのスライドが、下端面を割りリング14の上端面に当接させる位置まで許容されるようになっている。そして、プッシュボタン20が、下方へのスライドにより、下端面を割りリング14の上端面に当接させる下死点位置に達したときに、割りリング14の係合フック62の係合爪部66が、プッシュボタン20の係合孔76内に突入して、係合するようになっている。このような係合状態下において、プッシュボタン20のスライドが阻止されるようになっている。
【0056】
また、ハウジング10内部の軸方向中間部には、プッシュボタン20とリザーバ28との間において、プランジャ16が収容されている。このプランジャ16も、ハウジング10と同様な材質が適宜に選択される。そして、プランジャ16は、プッシュボタン20の内径よりも僅かに小さな外径を有する、全体としてリング形状を呈する摺動リング部100と、摺動リング部100の内側に、摺動リング部100の下側開口部から下方に延び出す状態で、所定距離を隔てて同軸的に配置された、下側底部を有する片側有底円筒形状の押圧筒部102と、それら摺動リング部100と押圧筒部102とを連結する連結部104とを一体的に有している。
【0057】
このようなプランジャ16においては、押圧筒部102の下側底部の下面が、押圧面106とされており、リザーバ28の上側底面と軸方向で対向している。また、摺動リング部100の外周面の径方向両側に位置する2箇所には、摺動突起108が、それぞれ一体的に突設されている。更に、それら2つの摺動突起108,108がそれぞれ設けられる摺動リング部100の2つの部位には、それらの部分が、所定長さで下方に延長するように突出する、係合解除手段としての係合解除突起110が、それぞれ1つずつ、一体形成されている。また、この係合解除突起110の先端部の内側角部が、凸状湾曲角部とされて、Rが付されている。
【0058】
さらに、プランジャ16には、第2の噛合筒部112が設けられている。第2の噛合筒部112は、プランジャ16において押圧筒部102と反対側(上側)に向かって、その上端がプッシュボタン20の周壁内で上側底部72までは至らない位置まで、突出している。また、第2の噛合筒部112は、支持筒部78の外径よりも大きな内径で形成されており、プッシュボタン20とハウジング10の接近変位によって、第2の噛合筒部112の上端が支持筒部78の下端に外挿されるようになっている。
【0059】
また、プランジャ16における第2の噛合筒部112の内周面には、第2の噛合突起114が設けられている。第2の噛合突起114は、第2の噛合筒部112の周壁の上端部分から径方向内側に突出しており、周上に4つの第2の噛合突起114,114,114,114が等間隔で設けられている。
【0060】
また、第2の噛合突起114の上端面は、第2の案内傾斜面116とされている。この第2の案内傾斜面116は、周方向で時計回りに下傾する、第1の案内傾斜面98と対応した傾斜面とされており、各第2の噛合突起114の上端面がそれぞれ第2の案内傾斜面116で構成されている。
【0061】
そして、図1,図2に示されるように、かかるプランジャ16が、ハウジング10内において、プッシュボタン20の下側開口部内に収容された状態で、配置されている。また、プランジャ16の摺動リング部100に設けられた2つ摺動突起108,108が、プッシュボタン20の2つのスリット74,74内を挿通して、ハウジング10のスリット22,22内にそれぞれ突入している。これによって、プランジャ16が、ハウジング10内において、周方向には移動不能で、且つ軸方向(上下方向)には、プッシュボタン20とハウジング10のそれぞれのスリット74,22に案内されつつ、プッシュボタン20とハウジング10に対して相対的に摺動可能とされている。また、プッシュボタン20がハウジング10の上方へ相対移動したときに、2つの摺動突起108,108が、ハウジング10の各スリット22,22の上端とプッシュボタン20の各スリット74,74の下端との間で挟まれることで、プッシュボタン20のハウジング10内からの引き抜きが阻止されるようになっている。
【0062】
また、プランジャ16に設けられた第2の噛合突起114が、プッシュボタン20に装着された計数部材88の第1の噛合突起96に対して、上下方向で離隔して対向するように配されている。これにより、第1の噛合突起96の第1の案内傾斜面98と、第2の噛合突起114の第2の案内傾斜面116は、上下方向で所定の距離を隔てて対向している。また、第1の噛合突起96と第2の噛合突起114は、周方向で相互にずれて位置しており、それら第1の噛合突起96と第2の噛合突起114が軸方向で部分的に対向している。より具体的には、第1の案内傾斜面98の最下端に位置する周方向一方の端部と、第2の案内傾斜面116における最上端に位置する周方向他方の端部とが、軸方向の投影において周方向で所定の幅:dだけ重なり合っている。
【0063】
そして、プッシュボタン20が押圧されてプッシュボタン20とプランジャ16が接近移動することにより、第1の案内傾斜面98と第2の案内傾斜面116が相互に押し付けられて、それら第1,第2の案内傾斜面98,116の案内作用に基づいて、計数部材88が周方向一方向に規定量だけ回転駆動されるようになっている。
【0064】
また、図1から明らかなように、プランジャ16が収容されたプッシュボタン20内には、プッシュボタン20よりも短い軸方向長さを有する圧縮コイルばね18が、同軸的に収容されている。この圧縮コイルばね18は、その一端部において、プッシュボタン20の上側底部72の内面に一体形成された取付部118に取り付けられている(図示せず)一方、その他端部において、プランジャ16の連結部104に固定されている。
【0065】
これによって、プランジャ16が、圧縮コイルばね18を介して、プッシュボタン20の上側底部72に取り付けられている。そして、プッシュボタン20とプランジャ16のそれぞれの軸方向への相対移動により、それらプッシュボタン20の上側底部72とプランジャ16とが接近したときに、圧縮コイルばね18が圧縮し、その復元力に基づいて、プッシュボタン20とプランジャ16とに対して、それらを離間させる方向に付勢し得るようになっている。
【0066】
そして、上記のような構造とされた本実施形態の薬液自己注入装置を使用する際には、例えば、図8に示されるように、ベース部材26の薬液注入ポート38と薬液注出ポート40とに対して、薬液注入チューブ120と薬液注出チューブ122とが接続される(それぞれの接続部分は図示せず)。また、薬液容器124内に収容された鎮痛剤などの所定の薬液を、図示しないカテーテルなどに供給する薬液供給チューブ126の上流側に対して、薬液注入チューブ120が、薬液注入ポート38への接続側とは反対側において接続される一方、その下流側に対して、薬液注出チューブ122が、薬液注出ポート40への接続側とは反対側において接続される。つまり、ここでは、薬液の追加投与を行うための薬液自己注入装置が、薬液の持続注入を行う薬液供給チューブ126からなるラインに対して、並列に設けられている。これにより、薬液自己注入装置の薬液貯留部60に薬液が貯留されている間でも、薬液の持続注入が実施され得るようになっている。なお、図8中、128は、薬液供給チューブ126内の薬液の流量を制御する流量制御装置であり、また、130は、シリンジなどが接続されるポートである。
【0067】
次に、本実施形態の薬液自己注入装置の使用方法について説明する。
【0068】
先ず、図8に示されるように、本実施形態の薬液自己注入装置を、薬液容器124から延びる薬液供給チューブ126からなるメインのラインに並列に接続した状態下において、メインのラインにて、通常の微量の薬液の持続注入が行われる。
【0069】
そして、患者自身が、自己の体内に、薬液を一時的に大量に注入する必要が生じたときには、図9に示されるように、プッシュボタン20を下方(矢印:アにて示される方向)に押圧して、ハウジング10の内周面に摺動させつつ、下方にスライド移動させる。このとき、プッシュボタン20のスリット74,74内にプランジャ16の2つの摺動突起108,108が挿通されているため、プッシュボタン20は軸心回りに回転することなく、真っ直ぐにスライドする。そして、プッシュボタン20を、その下端面が、割りリング14の上端面に当接する下死点位置までスライド移動させると、図9に示されるように、プッシュボタン20の下端部に設けられた係合孔76内に、割りリング14に一体形成された係合フック62の係合爪部66が突入して、係合する。これによって、プッシュボタン20の下死点に達した状態が保持されるように、プッシュボタン20がスライド移動不能にロックされる。このことから明らかなように、本実施形態ではプッシュボタン20の係合孔76と、割りリング14の係合フック62の係合爪部66とを含んで、係合手段が構成されている。
【0070】
一方、プランジャ16は、プッシュボタン20の下方へのスライド移動に伴って、圧縮コイルばね18により押圧されて、下方に移動して、押圧面106が、リザーバ28の上側底部に当接する。その状態から、プッシュボタン20が更に下方にスライド移動すると、圧縮コイルばね18が、プッシュボタン20の上側底部72とプランジャ16との間で圧縮させられる。
【0071】
そして、上記のように、プッシュボタン20がロックされると、その時点から、圧縮コイルばね18が、その復元力により徐々に伸長し始める。それに伴って、プランジャ16が、リザーバ28の小径部54を押圧して、それを少しずつ撓み変形させながら、下方に移動する。これによって、リザーバ28の薬液貯留部60内の薬液が、薬液注出ポート40と、それに接続された薬液注出チューブ122とを通じて、外部に注出され、薬液供給チューブ126を経て、カテーテルなどから患者の体内に供給される。この薬液貯留部60内からの薬液の注出は、圧縮コイルばね18の復元力に基づいて、自動的に継続される。このとき、薬液貯留部60内の薬液は、通常の微量持続注入時よりも多くの量と大きく且つ一定の圧力で注出され続ける。なお、このことから明らかなように、本実施形態では、プッシュボタン20と、圧縮コイルばね18と、プランジャ16と、上述の係合手段とを含んで、押圧手段が構成されている。
【0072】
そして、そのような圧縮コイルばね18の伸長に伴うプランジャ16の下方への移動により、やがて、図10に示されているように、プランジャ16に一体形成された係合解除突起110の先端部が、係合フック62の傾斜面部68に当接する。そこから更にプランジャ16が下方に移動すると、係合解除突起110が傾斜面部68を押圧しつつ、傾斜面部68上を下方に移動する。これによって、割りリング14が撓んで縮径され、それに伴って、係合フック62が径方向内方に変位して、プッシュボタン20の係合孔76に対する係合爪部66の係合が解除されて、プッシュボタン20をスライド不能とするロックが解消される。そうすると、圧縮コイルばね18の復元力に基づくプランジャ16への押圧力、更にはプランジャ16のリザーバ28に対する押圧力が、何れも解消され、以って、通常の微量持続注入時よりも多くの量と大きな圧力での薬液貯留部60内からの薬液の注出が、自動的に終了する。
【0073】
その後、薬液注入ポート38を通じて薬液貯留部60内に注入される薬液の注入圧によって、リザーバ28の小径部54が変形前の状態に復元されると共に、薬液が薬液貯留部60内に再充填される。また、リザーバ28の小径部54の復元に伴って、プランジャ16と圧縮コイルばね18とプッシュボタン20とが、押し上げられて、再び、図1に示される位置に復帰する。そうして、次回のプッシュボタン20の押圧操作による薬液の一時的な大量注出の準備が完了する。
【0074】
このように、本実施形態の薬液自己注入装置においては、プッシュボタン20がロックされるまで、プッシュボタン20を押圧するだけで、薬液の一時的な大量注出が自動的に行われる。しかも、その後に、プッシュボタン20のロックの解除操作を何等行わなくとも、薬液の一時的な大量注出が終了した時点で、プッシュボタン20のロックが自動的に解除される。そして、リザーバ28の薬液貯留部60内への薬液の再充填も、自動的に行われる。
【0075】
また、薬液自己注入装置には、プッシュボタン20の押圧操作の回数を計数するカウント手段が設けられており、カウント手段によって操作回数が計数されて、外部から視認可能な態様で表示されるようになっている。以下、カウント手段によって操作回数が計数される機構について、図11を参照しながら説明する。なお、図11は、第1の噛合突起96と第2の噛合突起114をモデル的に示した図であって、図中の左右方向が薬液自己注入装置の周方向に対応するように展開した図となっている。但し、図11は、カウント手段の機構を説明するための概略図であって、分かり易くするために、複数の噛合突起が周方向で連続的に設けられた構造として図示されているが、その作動は本実施形態と同じである。
【0076】
すなわち、プッシュボタン20が患者によって押圧されると、圧縮コイルばね18が軸方向で圧縮されて、図9に示されているように、プッシュボタン20がプランジャ16に対して接近移動する。これにより、図11の(a),(b)に示されるように、プッシュボタン20の上側底部72に取り付けられた計数部材88が、プランジャ16に対して接近移動して、計数部材88の第1の噛合突起96の第1の案内傾斜面98と、プランジャ16の第2の噛合突起114の第2の案内傾斜面116とが、軸方向で当接する。この際、図11の(a),(b)に示されているように、第1の噛合突起96と第2の噛合突起114は、周方向でずれて位置しており、第1の案内傾斜面98の周方向の一端(図11中、右端)が、第2の案内傾斜面116の周方向の他端(図11中、左端)に押し付けられる。
【0077】
そして、第1の案内傾斜面98と第2の案内傾斜面116との当接状態から、プッシュボタン20が更に押し込まれることにより、計数部材88が、プランジャ16に対して、第1の案内傾斜面98と第2の案内傾斜面116の傾斜方向に沿って移動する。これにより、計数部材88は、軸方向で下方に移動すると同時に、周方向で一方の側(図6における右回り)に回転駆動する。この計数部材88の回転駆動は、第1の噛合突起96の周方向端面と、第2の噛合突起114の周方向端面が、図11の(c)に示されているように当接係止することで停止する。以上のような計数部材88の回転駆動によって、最初の数字「0」が表示窓86に位置決めされた初期状態(図3の(a))から、次の数字「1」が表示窓86を通じて外部にした回転駆動の完了状態(図3の(b))に移行する。このように、本実施形態では、第1の噛合突起96及び第1の案内傾斜面98と第2の噛合突起114及び第2の案内傾斜面116とを含んで、回転駆動機構が構成されている。
【0078】
さらに、計数部材88は、図12に示されているように、上述した回転駆動の完了状態において、嵌合凹部94が嵌合凸部82に対して周方向で位置決めされる位置までは至らないように回転駆動しており、嵌合凸部82が嵌合凹部94の周方向両側に設けられた案内面95に押し付けられている。これにより、回転駆動機構による回転駆動の直後の計数部材88には、支持筒部78の弾性力等に基づいて発揮される案内面95の案内作用によって、周方向で更に回転駆動(先送り)させようとする力が及ぼされている。
【0079】
そこにおいて、プッシュボタン20がハウジング10にロックされて、圧縮コイルばね18が復元力で徐々に伸長変形すると、図10に示されているように、プランジャ16がプッシュボタン20から離隔して、下方に移動する。そして、プッシュボタン20側の第1の噛合突起96と、プランジャ16側の第2の噛合突起114が軸方向で次第に離隔して、第1の噛合突起96の周方向端面と、第2の噛合突起114の周方向端面との当接が解除される。これにより、計数部材88は、支持筒部78の弾性力に基づく案内面95の案内作用によって、嵌合凸部82と嵌合凹部94が位置決めされるまで、周方向で更に回転駆動される。そして、計数部材88は、嵌合凸部82と嵌合凹部94の周方向での係合によって、支持筒部78に対して周方向で位置決め保持される。なお、本実施形態では、嵌合凸部82と、嵌合凹部94と、案内面95とを含んで、支持筒部78の弾性を利用した先送り機構が構成されている。
【0080】
ここで、プッシュボタン20の上側底部72に形成された表示窓86が、嵌合凸部82と周方向で位置を合わされている一方、計数部材88のカウント部90の上面に設けられた浮彫りの数字が、嵌合凹部94と周方向で位置を合わされている。その結果、嵌合凸部82と嵌合凹部94の嵌合によって、図3の(c)に示されているように、初期状態を示す「0」に操作回数を加算した数字である「1」が、表示窓86に対して位置決めされて、外部に視認可能に表示される。このようにして、プッシュボタン20のプランジャ16及びリザーバ28に対する接近方向への移動回数に基づいて、薬液の患者体内への注入回数が計数されるようになっている。
【0081】
さらに、図11の(c),(d)に示されているように、第1の噛合突起96と第2の噛合突起114は、上述の如き計数部材88の先送り駆動によって、周方向に所定の距離:dだけずれるようになっている。これにより、周方向で反復的に複数が形成された第1の噛合突起96と第2の噛合突起114は、それらの周方向での相対的な位置関係が、先送り駆動が完了した後の状態(図11の(d))と、操作前の初期状態(図11の(a))とで、実質的に同じになる。その結果、プッシュボタン20が次に押圧操作される際にも、上述の如き計数部材88が順送りで回転駆動されるようになっており、表示窓86を通じて表示される数字が操作毎に1ずつ加算されて操作回数が計数されるようになっている。このことからも明らかなように、本実施形態では、回転駆動機構と先送り機構とを含んで、順送り機構である回転駆動手段が構成されている。
【0082】
このように、本実施形態の薬液自己注入装置においては、プッシュボタン20を押圧するだけで、計数部材88が所定量だけ回転駆動されて、プッシュボタン20の押圧回数が自動的に加算されるようになっている。これにより、リザーバ28から薬液が患者の体内に注入された回数を正確に把握することが可能となって、患者の体調管理や病状の把握に役立てることができる。しかも、先送り機構によって、計数部材88が次のプッシュボタン20の押圧に備えた位置まで自動的に回転されて、複数回の押圧に対しても操作回数を計数することができる。ここまでの説明からも明らかなように、本実施形態では、カウント手段が、計数部材88と回転駆動手段とを含んで構成されている。
【0083】
また、計数部材88が回転駆動することで操作回数が計数されるようになっていることから、計数部材88を小型にすることができる。しかも、計数部材88の回転駆動力は、患者が手でプッシュボタン20に及ぼす下方への押圧力を、第1,第2の案内傾斜面98,116の当接によって周方向の回転駆動力に変換することで、得られるようになっている。それ故、回転駆動手段として特別なモータ等の駆動源を要することなく、且つプッシュボタン20の押圧操作と連動した態様で、計数部材88を回転駆動させて、押圧操作の回数を正確に計数することができる。
【0084】
さらに、計数部材88を回転駆動させるための回転駆動手段が、簡単な機械的機構によって構成されていることから、製造コストの低減や軽量化,小型化,省エネルギー,故障や不良の低減等を、何れも有利に実現することができる。
【0085】
また、計数部材88による操作回数の計数値が、表示窓86を通じて外部から視認可能に表示されるようになっている。これにより、医療従事者が任意のタイミングで、しかも極めて容易に、操作回数を確認することができて、操作回数に基づく患者の容態の把握等を、より容易に且つ詳細に行うことができる。
【0086】
次に、図13には、本発明の第2の実施形態としての薬液自己注入装置が示されている。薬液自己注入装置は、前記第1の実施形態の薬液自己注入装置と同様の薬液注出機構を備えていると共に、カウント手段140を備えている。更に、カウント手段140は、カウンタ本体142と、スイッチ144とを、含んで構成されている。なお、第1の実施形態と実質的に同一の部材及び部位については、図中に同一の符号を付すことで説明を省略する。
【0087】
カウンタ本体142は、スイッチ144のON/OFFの切替えに基づいて計数して、その計数値を表示する装置であって、計数値を外部から視認可能に表示する表示部146を備えている。なお、カウンタ本体142の構造は特に限定されるものではなく、例えば、表示窓86には、計数値が常時表示されるようになっていても良いし、カウンタ本体142を操作することによって表示されるようになっていても良い。
【0088】
スイッチ144は、プッシュボタン20に取り付けられる可動接触子148と、ハウジング10に取り付けられる固定接触子150とを、含んで構成されている。これら可動接触子148と固定接触子150は、何れも導電性の金属で形成されており、可動接触子148がプッシュボタン20の外周面から径方向外側に突出した後で下方に屈曲して延び出す逆L字断面の板形状とされていると共に、固定接触子150がハウジング10の外周面に突設された半球形状とされている。また、可動接触子148と固定接触子150には、それぞれ電線152の一端が接続されており、それら電線152,152の他方の端子がカウンタ本体142に接続されていることで、それら可動接触子148と固定接触子150がカウンタ本体142の内部回路に対して電気的に接続されている。なお、スイッチは、接点式のものに限定されるものではなく、例えば、一般的なリードスイッチ等を採用することも可能である。
【0089】
そして、プッシュボタン20が押圧される前の初期状態において、それら可動接触子148と固定接触子150は、上下に離隔して配されている。一方、患者によってプッシュボタン20が下方に押し込まれて、プッシュボタン20がハウジング10に対して接近移動すると、可動接触子148の下端部が固定接触子150の突出先端に対して接触する。そして、可動接触子148と固定接触子150の接触によって、カウンタ本体142に表示される数が1だけ加算されて、プッシュボタン20を押圧操作した回数が、自動的に計数されるようになっている。以降、プッシュボタン20が押圧操作される度に、同様にして、カウンタ本体142の表示部146に表示される計数値が1ずつ加算されるようになっている。
【0090】
このように、カウント手段140は、必ずしも内蔵式に限定されるものではなく、外付け構造を採用することも可能である。これによれば、既存の薬液自己注入装置にスイッチ144を取り付けて、薬液自己注入装置とは別体のカウンタ本体142とスイッチ144を電線152で接続することにより、本発明に従うカウント手段を備えた薬液自己注入装置を、簡単に実現することができる。
【0091】
以上、本発明の実施形態について詳述してきたが、本発明はその具体的な記載によって限定されない。例えば、前記第1,第2の実施形態では、表示部によって計数値が外部から視認可能とされていたが、表示部は必須ではなく、外部からは計数値を確認することができないようになっていても良い。これによれば、薬液自己注入装置を使用する患者が、計数値を見て不安を感じたり、計数値の増加を抑えようとして痛みを我慢するといったことが防止される。なお、外部から計数値を視認不能とされている場合には、例えば、プッシュボタンがハウジングから取外し可能とされており、ハウジング内に表示された計数値を定期的に或いは任意のタイミングで確認することにより、使用回数を把握できるようになっていても良いし、記憶装置に計数値がデータとして記憶されており、パソコン等の他の機器によってデータを読み出して確認できるようになっていても良い。
【0092】
さらに、外部から確認可能な表示部が設けられている場合において、表示部に表示されるのは数字に限定されない。例えば、医療従事者のみが解し得る特定の記号等を表示させれば、患者に使用回数を悟られることはなく、しかも、医療従事者は容易に使用回数を把握することができる。
【0093】
また、本発明を適用される薬液自己注入装置は、患者が押圧する操作部材(プッシュボタン)と、薬液が貯留されたリザーバを押圧する押圧部材(プランジャ)とが、別々に設けられて、ばね手段で弾性的に連結された構造に限定されない。例えば、特許3147346号公報に示されているような、押圧部材を患者が直接に押圧操作して、リザーバから薬液を注出させる構造にも、本発明は適用可能である。この場合には、例えば、押圧部材のハウジング(ケーシング)に対する相対的な往復移動回数に基づいて使用回数をカウントするように、カウント手段を設けることが考えられる。
【0094】
また、前記第1の実施形態では、回転駆動する環状の計数部材88が示されていたが、計数部材は、必ずしも回転駆動するものに限定されず、例えば、計数部材が上下方向に直線駆動することで、ハウジングの側面に設けられた表示窓を通じて外部から計数値を確認可能とされた構造なども、採用可能である。
【0095】
また、前記第1の実施形態では、案内傾斜面が、第1の噛合突起96と第2の噛合突起114の軸方向対向面の両方に設けられていたが、それら第1の噛合突起96と第2の噛合突起114の軸方向対向面の何れか一方だけが案内傾斜面とされていても良い。
【0096】
また、前記実施形態では、プッシュボタン20のハウジング10への係合が、圧縮コイルばね18の弾性を利用して自動的に解除される構造となっていたが、本発明において、このような係合解除機構は必須ではなく、手動で解除されるようになっていても良い。
【符号の説明】
【0097】
16:プランジャ(押圧部材)、18:圧縮コイルばね(ばね手段)、20:プッシュボタン(操作部材)、28:リザーバ、38:薬液注入ポート(薬液注入口)、40:薬液注出ポート(薬液注出口)、66:係合爪部(係合手段)、72:上側底部(底壁部)、76:係合孔(係合手段)、78:支持筒部、82:嵌合凸部、86:表示窓(表示部)、88:計数部材、94:嵌合凹部、95:案内面、96:第1の噛合突起、98:第1の案内傾斜面(案内傾斜面)、114:第2の噛合突起、116:第2の案内傾斜面(案内傾斜面)、140:カウント手段、146:表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬液注入口と薬液注出口とが設けられて内部に所定量の薬液を貯留する可撓性のリザーバと、外部からの操作で該リザーバを押圧変形させて該リザーバに貯留された薬液を該薬液注出口から注出させる押圧手段とを、備えた薬液自己注入装置において、
前記押圧手段を押圧して前記リザーバから前記薬液を注出させた回数を数えるカウント手段を設けたことを特徴とする薬液自己注入装置。
【請求項2】
外部からの操作によって、前記リザーバに対して接近及び離隔させられる操作部材と、
該操作部材と前記リザーバとの間に配設されてこれら操作部材及びリザーバに対して該操作部材の移動方向で相対移動可能とされた押圧部材と、
前記リザーバに接近移動された前記操作部材に係合して該操作部材の該リザーバからの離隔移動を阻止する解除可能な係合手段と、
前記操作部材と前記押圧部材との間に配設されて該操作部材の前記係合手段による係合状態下で該押圧部材を該操作部材から離隔方向に付勢して前記リザーバに押し付けるばね手段と
を、含んで前記押圧手段が構成されており、
前記操作部材及び前記押圧部材の何れか一方における前記リザーバへの接近及び離隔方向への往復移動回数が前記カウント手段によって計数される請求項1に記載の薬液自己注入装置。
【請求項3】
前記操作部材及び前記押圧部材の何れか一方における前記リザーバへの接近及び離隔方向への往復移動に伴って順送り機構により所定量ずつ駆動される計数部材を含んで、前記カウント手段が構成されている請求項2に記載の薬液自己注入装置。
【請求項4】
前記計数部材が前記操作部材に対して回転可能に取り付けられている一方、該操作部材と前記押圧部材との相対的な接近及び離隔方向の移動に伴って該計数部材を所定量ずつ一方向に回転駆動させる回転駆動手段により前記順送り機構が構成されている請求項3に記載の薬液自己注入装置。
【請求項5】
前記計数部材と前記押圧部材の一方に第1の噛合突起が設けられていると共に、それら計数部材と押圧部材の他方に第2の噛合突起が設けられており、それら第1の噛合突起と第2の噛合突起の少なくとも一方に案内傾斜面が形成されて、該計数部材と該押圧部材の相対的な接近移動によってそれら第1の噛合突起と第2の噛合突起が当接して該案内傾斜面の案内作用で該計数部材が一方向に規定量だけ回転駆動されるようになっていると共に、該案内傾斜面の案内作用によって規定量だけ回転駆動された該計数部材を更に同一方向へ進ませることで、該計数部材と該押圧部材の相対的な接近移動の繰り返しに伴って該第1の噛合突起と該第2の噛合突起の当接位置を順送りする先送り機構を設けることによって、前記回転駆動手段が構成されている請求項4に記載の薬液自己注入装置。
【請求項6】
前記操作部材と前記押圧部材の接近及び離隔移動方向における前記計数部材と前記押圧部材の対向部分に前記第1の噛合突起と前記第2の噛合突起が形成されている請求項5に記載の薬液自己注入装置。
【請求項7】
前記操作部材が底壁部を有していると共に、該底壁部から前記押圧部材に向かって突出する支持筒部が設けられており、前記計数部材が該支持筒部に外挿されて回転可能に支持されていると共に、該計数部材の内周面と該支持筒部の外周面との間に案内面が設けられて、該支持筒部の弾性力を利用した該案内面の案内作用によって前記先送り機構が構成されている請求項5又は6に記載の薬液自己注入装置。
【請求項8】
前記カウント手段による計数値を外部から視認可能に表示する表示部が設けられている請求項1〜7の何れか1項に記載の薬液自己注入装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−224182(P2011−224182A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−97579(P2010−97579)
【出願日】平成22年4月21日(2010.4.21)
【出願人】(000135036)ニプロ株式会社 (583)
【Fターム(参考)】