薬物コーティングされたシースを備えたバルーン付きカテーテルデバイス
1つの実施形態では、拡張可能なシース(12)は、カテーテルバルーン(14)を覆い、かつ、治療薬でコーティングされている。バルーンが膨張するにつれて、シースは拡張し、治療薬のコーティングの破断分離を引き起こす。別の実施形態では、バルーンは最外層と1つ以上の内側層とを含んでなるバルーン側壁を有する。最外層は内側層ほどコンプライアントではなく、バルーンが膨張するにつれて最外層に亀裂が生じるようになっている。相対的にコンプライアントではない最外層がバルーンの膨張とともに亀裂を生じると、治療薬のコーティングは破断分離する。バルーンを有する医療用デバイスを製造する方法も開示される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は医療用デバイスに関し、より具体的にはバルーン付きカテーテルデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
バルーン付きカテーテルは、種々様々の最小侵襲性または経皮的な医学的処置において使用される。薬物コーティングを有するバルーン付きカテーテルは、血管の病変部分を治療するために使用されることもある。典型的には、薬物コーティングされたバルーンが末梢血管を通して挿入され、次いでカテーテルによって血管系を通って標的の血管内部位まで誘導される。標的部位において、バルーンが膨張せしめられて薬物が血管に施用される。しかしながら、バルーンからの薬物の放出に関する問題が存在する場合がある。例えば、薬物コーティングの断片化が不十分な場合もあれば、薬物コーティングが十分にバルーンから剥離しない場合もある。したがって、血管内部位への薬物送達のための改善されたバルーン付きカテーテルデバイスが必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、上記した問題を解決することができるバルーン付きカテーテルデバイスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
1つの実施形態では、本発明は、医療用デバイスであって、(a)バルーンと、(b)バルーンの周囲に配置された拡張可能なシースと、(c)拡張可能なシースを覆って配置された、治療薬を含んでなるコーティングと、該コーティングは拡張可能なシースほどコンプライアントではないことと、からなる医療用デバイスを提供する。
【0005】
別の実施形態では、本発明は、医療用デバイスであって、(a)最外層および内側層を含んでなるバルーン側壁を有するバルーンと、最外層は内側層ほどコンプライアントではないことと、(b)最外層を覆って配置された、治療薬を含んでなるコーティングと、からなる医療用デバイスを提供する。
【0006】
別の実施形態では、本発明は、医療用デバイスを製造する方法であって、(a)ポリマー側壁を有するバルーンを提供するステップと、(b)ポリマー側壁の外側表面を脆化して、ポリマー側壁の他の部分ほどコンプライアントではない最外層を形成するステップと、(c)最外層を覆って、治療薬を含んでなるコーティングを配置するステップと、からなる方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1A】本発明の1つの実施形態による、シースで覆われたバルーン付きカテーテルデバイスを示す図であって、非膨張状態のバルーンとともに示された該カテーテルデバイスの側面図。
【図1B】本発明の1つの実施形態による、シースで覆われたバルーン付きカテーテルデバイスを示す図であって、非膨張状態のバルーンとともに示された該カテーテルデバイスの拡大横断面図。
【図2A】膨張状態の図1のバルーン付きカテーテルデバイスを示す側面図。
【図2B】膨張状態の図1のバルーン付きカテーテルデバイスを示す拡大横断面図。
【図3】弾性シート上のパクリタキセル粒子の顕微鏡画像を示す図。
【図4A】血管のモデルとして透明なポリウレタンチューブを使用した実験的試行の結果を示す図。
【図4B】血管のモデルとして透明なポリウレタンチューブを使用した実験的試行の結果を示す図。
【図5A】別の実施形態によるバルーン付きカテーテルデバイスであって、バルーンが膨張していない状態のデバイスを示す図。
【図5B】別の実施形態によるバルーン付きカテーテルデバイスであって、バルーンが膨張の中間段階にあるデバイスを示す図。
【図5C】別の実施形態によるバルーン付きカテーテルデバイスであって、バルーンが完全に膨張した状態のデバイスを示す図。
【図6A】膨張していないバルーンを示す写真。
【図6B】膨張の中間段階のバルーンを示す写真。
【図6C】完全に膨張したバルーンを示す写真。
【図7A】別の実施形態によるバルーン付きカテーテルデバイスの横断面図であって、UV線処理前のバルーンを示す図。
【図7B】別の実施形態によるバルーン付きカテーテルデバイスの横断面図であって、UV線処理後のバルーンを示す図。
【図8A】図7Bに示されたバルーンの側壁の一部の拡大図であって、バルーンが膨張する前のバルーン側壁を示す図。
【図8B】図7Bに示されたバルーンの側壁の一部の拡大図であって、バルーンが膨張した後のバルーン側壁を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の医療用デバイスは、患者の体内の標的部位に治療薬を送達するための可膨張バルーンを有している。該バルーンは、バルーンデバイスの送達、操作、または膨張のために従来使用される様々な機構のうち任意のものを使用して体内に挿入されうるように設計されている。該バルーンデバイスは、例えば限定するものではないが血管形成カテーテル、ステント送達カテーテル、膨張カテーテル、または灌流カテーテルのうち少なくともいずれかなど、当分野で周知のものに類似するように設計されうる。本発明の医療用デバイスは、血管ステントのような他の血管内薬物送達デバイスと共に使用されてもよい。
【0009】
本発明の1つの実施形態では、拡張可能なシースはバルーンの周囲に配置される。拡張可能なシースは、様々な種類のエラストマー系材料または拡張可能材料、例えばシリコーンエラストマー、フルオロポリマーエラストマー、または熱可塑性エラストマーで製造されうる。熱可塑性エラストマーの例には、熱可塑性ポリウレタン、熱可塑性ポリエステル、および熱可塑性ポリアミド、例えばポリエーテルブロックアミド(例えばPEBAX(登録商標))が挙げられる。フルオロポリマーエラストマーの例には、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、またはフッ化ビニリデンのポリマーまたはコポリマーが挙げられる。拡張可能なシースは、バルーンの表面への何らかの付着部を有していてもよいし、有していなくてもよい(例えば、シースはそのような付着部を備えず、バルーン表面を覆って「浮動している」状態であってもよい)。拡張可能なシースは弾性であってもよいし、弾性でなくてもよい(すなわち、拡張時のシースの変形は可逆的であってもよいし、可逆的でなくてもよい)。
【0010】
バルーンは、特定の用途に応じた様々な程度のコンプライアンスを有することができる。例えば、バルーンは、コンプライアントバルーン、ノンコンプライアントバルーン、またはセミコンプライアントバルーンであってよい。本明細書中で使用されるように、「ノンコンプライアントバルーン」とは、バルーン中の内圧が公称の膨張圧より高められたときにバルーンの直径増大が定格公称径の10%以下であるバルーンを意味する。本明細書中で使用されるように、「セミコンプライアントバルーン」とは、バルーン中の内圧が公称の膨張圧より高められたときにバルーンの直径増大が定格公称径の20%以下であるバルーンを意味する。本明細書中で使用されるように、「コンプライアントバルーン」とは、バルーン中の内圧が公称の膨張圧より高められたときにバルーンの直径増大が定格公称径の20%より大きいバルーンを意味する。冠状動脈バルーンについては、公称径は、1.5〜7.0mmの範囲にあってよく、最も典型的な場合には、2.0〜4.0mmの範囲にあってよい。しかしながら、意図される標的部位または特定の用途のうち少なくともいずれか一方に応じて、その他の公称バルーン径も可能である。
【0011】
治療薬を含有するコーティングは、拡張可能なシースを覆って配置される。該コーティングは、治療薬単独であってもよいし、治療薬と1つ以上の他の材料との組み合わせであってもよい。例えば、治療薬は、コーティングの脆性をより高くするかまたは低くするために、添加剤または賦形材料(例えば結合剤、可塑剤、増量剤など)と混成されてもよい。いずれの場合も、治療薬のコーティングは拡張可能なシースほどコンプライアントではないように調合される。そのため、治療薬のコーティングは、シースが拡張するにつれて破断分離することになる。コーティングの厚さは用途に応じて変化することになるが、ある場合には、コーティング厚さは1〜10μmの範囲にある。より薄いかまたはより厚いコーティングも可能である。
【0012】
ある実施形態では、治療薬は結晶の形態で提供されてもよい。パクリタキセルのような一部の治療薬については、結晶の形態は可溶性があまり高くなく、無定形の形態よりもザラザラした粒子の粗いテクスチャを有する。これは、治療薬が血管壁により多く付着すること、治療薬の組織への浸透が向上すること、または、治療薬が血管壁への移行後に下流へ洗い流されにくくなることのうち少なくともいずれかを可能にすることができる。
【0013】
バルーンが膨張すると、バルーンの展開または拡張のうち少なくともいずれか一方がシースに対して外側方向の圧力をかけ、その結果拡張可能なシースが同様に拡張することになる。シースは、径方向、長手方向、これらの組み合わせ、または任意の他の方向に拡張することができる。径方向の拡張が関わる場合、バルーンが膨張するにつれて拡張可能なシースが経験する径方向の拡張の量は、異なるバルーンデバイスに応じて変化することになる。ある場合には、バルーンデバイスは、バルーンがその非膨張状態から膨張するにつれて、シースが少なくとも1.5倍の直径増大(すなわち少なくとも50%の径方向への伸長)を、またある場合には少なくとも2.5倍の直径増大(すなわち少なくとも150%の径方向への伸長)を生じるように設計される。しかしながら、特定の用途に応じて他の量の径方向の拡張も可能である。シース上の治療薬コーティングはシースほどコンプライアントではないため、該コーティングはシースが拡張するにつれて破断して断片(例えば粒子)になる。治療薬の断片は、身体組織上に適用されるか、またはバルーンから放出されるかのうち少なくともいずれかとなる。
【0014】
図1Aおよび1Bは、本発明の1つの実施形態によるバルーン付きカテーテルデバイス10を示す。図1Aはカテーテルデバイス10の側面図を示し、図1Bは、図1Aの面Xに沿ったカテーテルデバイス10の拡大横断面図を示す。バルーン付きカテーテルデバイス10は、可撓性カテーテルシャフト18の上に載置されたノンコンプライアントバルーン14を含んでなる。バルーン14は拡張可能なシース12によって覆われている。図1Bに見られるように、バルーン14はシース12の内部で折り畳まれて小型の形状になっている。シース12は、治療薬を含有するコーティング16(図1Aには示されていない)を有している。シース12は、バルーン14が抜去のために収縮されたときにシース12をバルーン14に再度巻き付けかつ/またはバルーン上に保持するのを支援するために、シース12の基端点および先端点でバルーン14の上に(例えばスポット溶接または仕付け縫いにより)固着されてもよい。シース12は弾性であってよく、また折り畳まれたバルーン14よりも小さな静止時直径を有して、シース12がバルーン14の周囲で収縮するようになっていてもよい。
【0015】
操作においては、バルーン14が(図1Aおよび1Bに示されたような)膨張していない状態で、バルーン14はカテーテルシャフト18を使用して患者の体内へ挿入される。標的部位では、図2Aおよび2Bに示されるように、バルーン14が膨張せしめられる。図2Aはカテーテルデバイス10の側面図を示し、図2Bは、図2Aの面Xに沿ったカテーテルデバイス10の拡大横断面図を示す。バルーン14が膨張するにつれて、該バルーンは展開して径方向に拡張し、その結果シース12を該バルーンとともに径方向に拡張させる。(図解を簡明にするために、シース12はバルーン14に接触せずに示されているが、当然ながら、シース12はバルーン14と接触してもよいし、シース12とバルーン14との間に中間材料が挟装されてもよい。)
図2Bに示されるように、シース12の径方向の拡張とともに、治療薬コーティング16は破断分離せしめられて粒子20(図2Aには示されていない)となる。粒子20はその後シース12から剥離し、放出かつ/または身体組織(例えば血管壁)上に直接適用されるようになる。粒子20の大きさは、治療薬を、賦形材料、例えば結合剤、可塑剤または増量剤と混成することにより調整されることも考えられる。例えば、治療薬を結合剤と混合することにより、治療薬コーティング16が破断分離せしめられてより大型の粒子となることも考えられる。別例として、治療薬を他の種類の賦形材料と混合することにより、コーティング16が破断分離してより小さな粒子となるようにすることも考えられる。ある場合には、治療薬コーティング16の剥離および粒子20の放出を促進するために、シース12が、低接着性のシランまたは上記フルオロポリマーエラストマーのような低接着性材料を使用して製造されることも考えられる。粒子20の大きさが、治療薬コーティング16の割線付けまたはパターン形成によって調整されることも考えられる。
【0016】
代替実施形態では、シース12と治療薬コーティング16との間に、治療薬コーティング16が破断分離して粒子20となるにつれてコーティング16がシース12から剥離するのを促進する、中間放出層が存在する。中間放出層は、この機能を実行するための様々な方法で作製されうる。例えば、該放出層は、低接着性のシランまたは上述のフルオロポリマーエラストマーのような、低接着性材料を含んでなることができる。別例において、該放出層は、体液に接触すると溶解または分解する材料(例えば糖または生分解性ポリマー)を含んでなることもできる。別例において、該放出層は、液体を吸収し体液に接触すると膨潤する材料(例えばヒドロゲル)を含んでなることもできる。いずれの場合も、放出層は、治療薬の断片の剥離および放出を促進する。
【0017】
図3は、ポリビニリデンフルオリド‐ヘキサフルオロプロピレンの85:15重量%コポリマーで作製された弾性シート上のパクリタキセル粒子の顕微鏡画像を示す。この画像を撮影するために、弾性シートは、テトラヒドロフラン中のパクリタキセル溶液でコーティングされた。その後、コーティング溶液が乾燥せしめられて弾性シート上にパクリタキセルの連続的なガラス質のフィルムが形成された。その後、シートは、一方向に引き伸ばすことにより200%を超えて伸長せしめられた。図3に示すように、この結果パクリタキセルのフィルムは破断分離して小さな粒子となり、弾性シートから剥離した。この結果は、本発明の方式で拡張可能なシース上に配置された治療薬コーティングは、該コーティングが断片化して、より容易にシースから分離すること、またはより容易に身体組織によって吸収されることのうち少なくともいずれか一方が可能な粒子となるのを可能にすることを実証している。
【0018】
図4Aおよび4Bは、血管のモデルとして透明なポリウレタンチューブを使用した実験的試行の結果を示している。コーティング溶液は、濃度15重量%のTHF中でパクリタキセルおよびポリビニルピロリジノン(重量比80/20)を混合することにより作製された。弾性シリコーンで作られた管状シース(外径=1.803mm(0.071インチ)、壁厚=0.127mm(0.0050インチ))は、パクリタキセル/PVP溶液中に浸漬し、真空下に室温で20分間乾燥させることによりコーティングされた。得られたコーティングは、約3μg/mm2のパクリタキセル装荷を提供した。その後、蒸気アニーリングによって無定形のパクリタキセルを結晶形態に変換するために、コーティングを施したシースは、エタノール蒸気(180プルーフ)で飽和させたチャンバ内に24時間置かれた。
【0019】
コーティングされた弾性シースは、Liberte(商標)ステントシステム(ボストン・サイエンティフィック(Boston Scientific))の3.0mm×20mm血管形成術用バルーン上に載置された。このバルーン/シースは、37℃の水浴中で親水性ポリウレタンチューブの中へ挿入された。バルーンはポリウレタンチューブの中に1分間保持され、次いで膨張せしめられた。ポリウレタンチューブの大きさは、バルーン展開配置時に20%の超過伸張を生じるようになされた。バルーンは膨張状態に1分間維持され、15秒間減圧され、バルーン/シースがポリウレタンチューブから抜去された。その後、ポリウレタンチューブが水浴から取り出され、乾燥され、撮像された。
【0020】
図4Aは、該シースのバルーン展開配置およびポリウレタンチューブからの抜去の後の、ポリウレタンチューブの画像(倍率5×)を示している。この画像は、かなりの量の薬物コーティングがシースからポリウレタンチューブの内側表面へ移行せしめられたことを実証している。図4Bは、展開配置およびポリウレタンチューブからの抜去の後の弾性シースの画像(倍率10×)を示している。この画像は、ほとんどの薬物コーティングが移行せしめられ、ごく少量の薬物コーティングのみ(白色粒子として見られる)が弾性シース上に残っていることを実証している。
【0021】
バルーン展開配置過程の間に、バルーン周囲の流体の流れが、拡張可能なシース上の治療薬コーティングを下流に押し流す場合がある。流体容積がバルーンの拡張とともに縮小するにつれてバルーン周囲で流量速度が増大することから、上記損失の相当部分は、バルーン拡張時にバルーンが血管の側壁と接触する寸前に生じうる。
【0022】
そのため、医療用デバイスは、バルーン拡張時の治療薬コーティングのこの損失を低減するように設計されてもよい。ある実施形態では、拡張可能なシースの長さは、バルーンの一端または両端がシースによって拘束されないように、バルーンの長さよりも短い。本明細書中で使用されるように、バルーンおよびシースの長さとは、バルーンが公称の膨張状態にあるときに計測される長さを指す。バルーンの拡張時、上記の構成は、バルーンの拘束されていない端部が、バルーンのシースで覆われた部分より前に膨張し始めることを可能にすることができる。シースはバルーンの長さに対して様々な長さを有することができる。例えば、ある実施形態では、シースはバルーンの長さの20〜80%であってよいが、その他の長さも可能である。バルーンの一端または両端がシースによって覆われていないままであってよい。
【0023】
例えば、図5A〜Cは、本発明の実施形態によるバルーン付きカテーテルデバイス50を示す。図5Aに見られるように、バルーン付きカテーテルデバイス50は、可撓性カテーテルシャフト58の上に載置されたバルーン54を含んでなる。バルーン54の中間部は拡張可能なシース52によって覆われている。(図解を簡明にするために、シース52はバルーン54に接触せずに示されているが、当然ながらシース52はバルーン54と接触してもよいし、シース52とバルーン54との間に中間材料が挟装されてもよい。)バルーン54の端部56はシース52によって覆われていない。シース52は治療薬を含有するコーティングを有する(図示せず)。シース52は弾性であってよく、また折り畳まれた形状のバルーン54よりも小さな静止時直径を有して、シース52がバルーン54の周囲で収縮するようになっていてもよい。
【0024】
操作時には、バルーン54が膨張していない状態で、バルーン54はカテーテルシャフト58を使用して血管内に挿入される。標的部位において、バルーン54が膨張せしめられる。図5Bに見られるように、膨張の初期段階(例えば1気圧)では、膨張はバルーン54の拘束されていない端部56において始まり、この端部は膨張したローブを形成して該ローブによりバルーン54は「ダンベル」形状を呈する。バルーン54の端部56が血管壁に接触すると、該端部はバルーン54の周囲の血液の流れを制限し、シース52の上の治療薬コーティングが押し流されないように保護することができる。更に、治療薬コーティングの一部がバルーン膨張時にシース52から離脱した場合、該治療薬は血液の流れとともに下流に押し流される代わりに端部56のローブの間に捕捉されうる。バルーン54がさらに膨張せしめられるにつれて、その中間部が径方向に拡張し始め、それとともにシース52を径方向に拡張させる。図5Cに示されるように、バルーン54が完全に膨張したとき(例えば11atmの膨張圧)、シース52は血管壁に対して治療薬コーティングを付与する。
【0025】
図6A〜Cは、透明なポリウレタンチューブの内部における様々な膨張段階のバルーンを示す一連の写真である(チューブの縁は視認度を強めるために白線で強調されている)。図6Aは膨張前のバルーンを示す。同図に見られるように、バルーンより短いシースがバルーンの中間部に載置されて、バルーンの端部がシースによって覆われないようになっている。図6Bは膨張の中間段階のバルーンを示し、この段階において、拘束されていない端部は、シースによって拘束されているバルーンの中間部に先だって膨張し始める。このことにより、バルーンはその端部に形成された膨張ローブから「ダンベル」形状を呈することになる。図6Cは完全に膨張したバルーンを示し、ここではバルーンの中間部は拡張してポリウレタンチューブの側壁に接触している。
【0026】
本発明の別の実施形態では、バルーンの側壁は最外層と1つ以上の内側層とを含んでなる。最外層は内側層ほどコンプライアントではなく、バルーンがその公称径またはそれ以上に膨張するにつれて最外層に亀裂が生じるようになっている。治療薬は、相対的にコンプライアントではない最外層を覆うコーティングとして配置される。該コーティングは、治療薬単独であってもよいし、治療薬と1つ以上の他の材料(上記の添加剤または賦形材料など)との組み合わせであってもよい。相対的にコンプライアントではない最外層がバルーンの膨張とともに亀裂を生じるとき、治療薬のコーティングが破断分離する。
【0027】
最外層は、亀裂を生じさせるのに必要な表面積の伸長量が、緩衝水性溶液に浸漬されつつ体温(すなわち37℃)において40%未満であるように、十分な脆性を有する。言いかえれば、最外層に亀裂を生じさせるには最外層の表面積の40%以下の増大で十分であるが、このことは、最外層が必ずこの程度まで拡張することを意味するものではない。脆性の程度はバルーンのコンプライアンス特性に応じて様々であってよい。例えば、ノンコンプライアントバルーンはコンプライアントバルーンと同程度には拡張しないため、ノンコンプライアントバルーンの最外層は、コンプライアントバルーンに関するよりも高い脆さ係数(すなわち、より少ない表面積伸長状態での亀裂)を有するように製造されうる。
【0028】
ある場合には、最外層は、最外層の亀裂形成を促進するための掘り込み領域を有する。本明細書中で使用されるように、「掘り込み領域」とは、空隙部(例えば破砕線、穴部、スロット、溝、チャネル、エッチング、穿孔、陥凹など)であって、該空隙部の大きさ、形状、および位置を制御する技法を使用して材料を除去することにより作出されるものを指す。例えば、そのような技法には、エネルギービーム(例えばレーザ、イオン、または電子)を使用する直接書込みエッチング、微細機械加工、微細掘削加工、またはリソグラフィ法が挙げられる。
【0029】
相対的にコンプライアントではない最外層を備えたバルーン側壁を有するバルーンは、多層のバルーンの製造について知られた多くの異なる技法のうち任意のものを使用して製造可能である。そのような1つの方法は、任意の適切な脆化処理を使用してバルーン側壁の表面上のポリマー材料を脆化することによる。脆化処理の例には、ポリマー材料を架橋する処理、ポリマー材料の分解を引き起こす処理、または任意の可塑剤を除去する処理が挙げられる。ポリマーを分解するための様々な処理、例えばポリマーを熱、放射線(radiation)、または反応性化学薬品に曝露する処理が存在し、使用するのに適した処理の種類はポリマーの種類に応じて様々となろう。例えば、ポリエチレンおよびポリプロピレンは、酸化または紫外線(UV)曝露があると分解および脆化しうる。ポリマー材料は反応性化学薬品への曝露によっても分解可能であり、該化学薬品は強酸溶液(例えば硫酸)または強アルカリ溶液のような化学溶液であってよい。反応性化学薬品はまた、オゾン、塩素、またはプラズマのような反応性ガスであってもよい。例えば、ポリエチレンテレフタラートは強酸による加水分解から分解および脆化しうる一方、ポリカーボネートは強アルカリに曝露されたときに分解および脆化しうる。これらの分解処理のうちのいくつかは、特にポリマー側壁が長鎖ポリマーから作られている場合、ポリマーの鎖切断を伴う。
【0030】
上述のように、脆化はポリマー側壁におけるポリマーの架橋によって達成される場合もある。ポリマーの架橋のための様々な処理が存在するが、使用に適した処理の種類はポリマーの種類によって変わることになる。架橋処理のうちのいくつかは、バルーンを熱、圧力、または放射線(UV線、電子ビーム、またはγ線など)に曝露することを含む。バルーン側壁中に、放射線による架橋を促進することができる光開始架橋添加剤(例えばベンゾフェノン)が存在していてもよい。
【0031】
上述のように、脆化は、ポリマー側壁中に存在しうる可塑剤を(例えば蒸発または浸出により)除去することによっても達成されうる。例えば、ポリ塩化ビニル(PVC)は可塑剤の損失とともに脆性しうる。治療薬のコーティングは、上記の脆化処理の前に施すことも、後に施すことも考えられる。治療薬のコーティングが脆化処理の前に施される場合、脆化処理は治療薬を最外層内部に捕捉する役割をも果たす場合がある。
【0032】
相対的にコンプライアントではない最外層を有する多層バルーンを製造する別の方法は、バルーン側壁の内側層とは異なる材料で作られた最外層を用いた共押出し法の使用による。例えば、バルーンは米国特許第5,195,969号明細書(ワング(Wang)ら)または米国特許第7,166,099号明細書(デヴェンス(Devens))に記載の共押出し法を使用して作製されてもよく、前記特許文献はいずれも参照により本願に組込まれる。最外層の作製に使用される材料は、内側層の作製に使用される材料とは様々な点において異なっていてよい。例えば、最外層は、内側層に使用される材料よりも相対的に弾性の低い材料で製造されうる。別例では、最外層は、最外層をコンプライアントではなくするためのさらなる処理を施すことが可能な材料で製造されうる。例えば、最外層は、最外層のポリマーのUV開始架橋を可能にする添加剤(例えばベンゾフェノン)を有する材料で製造されてもよい。
【0033】
図7Aおよび7Bは、別の実施形態によるバルーン付きカテーテルデバイスの横断面図を示す。図7Aを参照すると、カテーテルデバイスは、カテーテルシャフト38の上に載置されたセミコンプライアントバルーン30を含んでなる。バルーン30はバルーン側壁36を有し、また単なる例証を目的として、カテーテルシャフト38とバルーン側壁36との間に誇張されたギャップ32が示されている。バルーン30が公称どおりに膨張した状態で、バルーン30の側壁36はUV線40で照射される。バルーン側壁36の全周囲をUV線40に曝露するために、バルーン30は照射される間カテーテルシャフト38の周りを回転せしめられる。
【0034】
図7BはUV線処置後のバルーン30を示す。UV線処置はバルーン側壁36の表面のポリマー材料を脆化させて、バルーン側壁36の内側層48よりも脆く相対的にコンプライアントではない最外層34を作出した。上記に説明されるように、この脆化は、例えばUVで誘発されたポリマーの架橋または分解によって生じうる。
【0035】
操作時には、カテーテルデバイスは、非膨張状態のバルーン30を伴って患者の体内に挿入される。図8Aは、図7Bに示されたバルーン側壁30の一部分の拡大図を示す。図8Aは、内側層48および脆性の最外層34を有するバルーン側壁36であって、さらに治療薬を含有するコーティング46でコーティングされているバルーン側壁を示す。図8Bを参照すると、標的部位において、バルーン30は膨張せしめられる。バルーン側壁36の拡張と共に、亀裂42が脆性の最外層34に生じ、その結果治療薬コーティング46の亀裂形成および剥離が引き起こされて粒子44となり、該粒子は治療エリアに放出される。別例の実施形態では、図7Bに示される二層バルーン30は、最外層34が内側層48とは異なる材料から製造されている共押出し法によって製造されうる。例えば、最外層34は、相対的に内側層48の製造に使用される材料ほど弾性でない材料で製造されてもよい。
【0036】
治療薬と混成可能な添加剤または賦形材料の例には、炭水化物;ポリスルホン;生理学的に許容可能な油、脂肪、脂質、類脂質、もしくはワックス;生体再吸収性(bioresorbable)ポリマーもしくは生分解性ポリマー;界面活性剤、例えばポリエチレングリコール(PEG)‐脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、もしくはPEG‐グリセリル脂肪酸エステル;樹脂、例えばセラックもしくはその構成成分(例えばシェロリン酸もしくはアロイリット酸);クエン酸エステル、例えばアセチルクエン酸アルキル、アセチルクエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリブチル、アセチルクエン酸トリヘキシル、クエン酸アルキル、クエン酸トリエチル、もしくはクエン酸トリブチル;または放射線造影剤、が挙げられる。
【0037】
炭水化物の非限定的な例には、単糖類、二糖類、三糖類、オリゴ糖類、多糖類、および糖の誘導体(例えば糖アルコール、糖酸、エステル化された糖、および糖ポリマー(例えばFicoll(商標))が挙げられる。糖の例には、マンニトール、スクロース、フルクトース、マンノース、トレハロース、およびラフィノースが挙げられる。オリゴ糖類および多糖類の例には、N‐アシルグルコサミンとウロン酸(例えばグルクロン酸またはイズロン酸)を、またはN‐アシルガラクトサミンとウロン酸を含有するものが挙げられる。
【0038】
生物分解性ポリマーまたは生体再吸収性ポリマーの非限定的な例には、ポリカルボン酸、ポリ無水物、例えば無水マレイン酸ポリマー;ポリオルトエステル;ポリアミノ酸;ポリエチレンオキシド;ポリホスファゼン;ポリ乳酸、ポリグリコール酸およびこれらのコポリマーおよび混合物、例えばポリ‐L‐乳酸(PLLA)、ポリ(D,L‐ラクチド)、ポリ(乳酸‐co‐グリコール酸)、50/50(DL‐ラクチド‐co‐グリコリド);ポリジオキサノン;ポリプロピレンフマラート;ポリデプシペプチド;ポリカプロラクトンならびにそのコポリマーおよび混合物、例えばポリ(D,L‐ラクチド‐co‐カプロラクトン)およびポリカプロラクトンco‐アクリル酸ブチル;ポリヒドロキシブチラート・バレラートおよび混成物;ポリカーボネート、例えばチロシン誘導ポリカーボネートおよびアクリラート、ポリイミノカーボネート、およびポリジメチルトリメチルカーボネート;シアノアクリラート;ポリグリコサミノグリカン;巨大分子、例えば多糖類(ヒアルロン酸;セルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロース;ゼラチン;デンプン;デキストラン;アルギナートおよびこれらの誘導体)、タンパク質およびポリペプチド;ならびに上記のうちいずれかの混合物およびコポリマーが挙げられる。
【0039】
治療薬と混成可能な造影剤は、X線撮像、CTスキャン撮像、または磁気共鳴撮像(MRI)に適したものであってよく、バリウム、ヨウ素、マンガン、鉄、ランタン、セリウム、またはガドリニウムを含有していてよい。造影剤の非限定的な例には、イオジキサノール、イオプロミド、イオヘキソール、イオパミドールのようなヨウ素を含むX線造影剤;およびガドリニウム‐DPTA(ジエチレントリアミン五酢酸)またはガドブトロールのような常磁性キレート化合物が挙げられる。
【0040】
脂肪酸はトリグリセリドの形であってよい。多不飽和脂肪酸の非限定的な例には、オメガ‐3脂肪酸、例えばリノレン酸(ALA)、イコサペンタエン酸(EPA)、およびドコサヘキサエン酸(DHA)が挙げられる。治療薬と混成可能な添加剤または賦形材料の他の例には、ポリウレタンウレア/ヘパリン;ポリウレタン;または天然に存在する材料(例えばコラーゲン、ラミニン、ヘパリン、フィブリン、もしくはセルロース)が挙げられる。
【0041】
本発明の医療用デバイスはさらに、バルーン上に載置された血管ステントを備えていてもよい。血管ステントは、治療薬を溶出するコーティングを備えたものや備えていないものなど、当分野で既知の血管ステントのうち任意のものであってよい。ステントはさらに、生体安定性であっても、生体侵食性であっても、生物分解性であってもよい。ステントは裸状のステントであってもよいし、薬物コーティングを有していてもよい。
【0042】
本発明のバルーンは、マンニトールのような低分子量炭水化物でコーティングされてもよい。炭水化物は別個のコーティングであってもよいし、治療薬と混成されてもよい。本発明のバルーンは、放射性造影剤(イオン性または非イオン性)、例えばイオプロミド、次炭酸ビスマス、塩化酸化ビスマス(III)、三酸化ビスマス、硫酸バリウム、タングステン、およびこれらの混合物でコーティングされてもよい。造影剤は別個のコーティングであってもよいし、治療薬と混成されてもよい。本発明のバルーンは、ポリビニルピロリドン(PVP)のような水溶性ポリマーでコーティングされてもよい。ポリマーは別個のコーティングであってもよいし、治療薬と混成されてもよい。
【0043】
本発明で使用される治療薬は、任意の薬学的に許容可能な作用物質(薬物など)、生体分子、小分子、または細胞であってよい。例示の薬物には、抗増殖剤、例えばパクリタキセル、シロリムス(ラパマイシン)、タクロリムス、エベロリムス、バイオリムス、およびゾタロリムスが挙げられる。例示の生体分子には、ペプチド、ポリペプチドおよびタンパク質;抗体;オリゴヌクレオチド;核酸、例えば二本鎖または一本鎖DNA(裸のDNAおよびcDNAを含む)、RNA、アンチセンスDNAおよびRNAのようなアンチセンス核酸、低分子干渉RNA(siRNA)、ならびにリボザイム;遺伝子;炭水化物;成長因子を含む血管新生因子;細胞周期阻害因子;ならびに再狭窄抑制剤、が挙げられる。例示の小分子には、ホルモン、ヌクレオチド、アミノ酸、糖、および脂質があり、化合物は100kD未満の分子量を有する。例示の細胞には、幹細胞、始原細胞、内皮細胞、成体の心筋細胞、骨髄細胞、および平滑筋細胞が挙げられる。本発明で使用されうる他の治療薬には、米国特許第7,572,625号明細書(デイビス(Davis)ら、「Medical devices coated with drug carrier macromolecules」)に列挙されたものが挙げられる。前記特許文献は参照により本願に組込まれる。治療薬のうちの任意のものを、生物学的に適合性である程度に組み合わせることも可能である。
【0044】
先述の説明および例は、単に本発明を例証するために述べられており、限定するようには意図されていない。本発明の開示された態様および実施形態はそれぞれ、個々に考慮されてもよいし、本発明の他の態様、実施形態および変更形態と組み合わせて考慮されてもよい。本発明の趣旨および実体を組込んだ開示の実施形態の改変形態について、当業者の考えの及ぶ可能性があるが、そのような改変形態は本発明の範囲内にある。
【技術分野】
【0001】
本発明は医療用デバイスに関し、より具体的にはバルーン付きカテーテルデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
バルーン付きカテーテルは、種々様々の最小侵襲性または経皮的な医学的処置において使用される。薬物コーティングを有するバルーン付きカテーテルは、血管の病変部分を治療するために使用されることもある。典型的には、薬物コーティングされたバルーンが末梢血管を通して挿入され、次いでカテーテルによって血管系を通って標的の血管内部位まで誘導される。標的部位において、バルーンが膨張せしめられて薬物が血管に施用される。しかしながら、バルーンからの薬物の放出に関する問題が存在する場合がある。例えば、薬物コーティングの断片化が不十分な場合もあれば、薬物コーティングが十分にバルーンから剥離しない場合もある。したがって、血管内部位への薬物送達のための改善されたバルーン付きカテーテルデバイスが必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、上記した問題を解決することができるバルーン付きカテーテルデバイスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
1つの実施形態では、本発明は、医療用デバイスであって、(a)バルーンと、(b)バルーンの周囲に配置された拡張可能なシースと、(c)拡張可能なシースを覆って配置された、治療薬を含んでなるコーティングと、該コーティングは拡張可能なシースほどコンプライアントではないことと、からなる医療用デバイスを提供する。
【0005】
別の実施形態では、本発明は、医療用デバイスであって、(a)最外層および内側層を含んでなるバルーン側壁を有するバルーンと、最外層は内側層ほどコンプライアントではないことと、(b)最外層を覆って配置された、治療薬を含んでなるコーティングと、からなる医療用デバイスを提供する。
【0006】
別の実施形態では、本発明は、医療用デバイスを製造する方法であって、(a)ポリマー側壁を有するバルーンを提供するステップと、(b)ポリマー側壁の外側表面を脆化して、ポリマー側壁の他の部分ほどコンプライアントではない最外層を形成するステップと、(c)最外層を覆って、治療薬を含んでなるコーティングを配置するステップと、からなる方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1A】本発明の1つの実施形態による、シースで覆われたバルーン付きカテーテルデバイスを示す図であって、非膨張状態のバルーンとともに示された該カテーテルデバイスの側面図。
【図1B】本発明の1つの実施形態による、シースで覆われたバルーン付きカテーテルデバイスを示す図であって、非膨張状態のバルーンとともに示された該カテーテルデバイスの拡大横断面図。
【図2A】膨張状態の図1のバルーン付きカテーテルデバイスを示す側面図。
【図2B】膨張状態の図1のバルーン付きカテーテルデバイスを示す拡大横断面図。
【図3】弾性シート上のパクリタキセル粒子の顕微鏡画像を示す図。
【図4A】血管のモデルとして透明なポリウレタンチューブを使用した実験的試行の結果を示す図。
【図4B】血管のモデルとして透明なポリウレタンチューブを使用した実験的試行の結果を示す図。
【図5A】別の実施形態によるバルーン付きカテーテルデバイスであって、バルーンが膨張していない状態のデバイスを示す図。
【図5B】別の実施形態によるバルーン付きカテーテルデバイスであって、バルーンが膨張の中間段階にあるデバイスを示す図。
【図5C】別の実施形態によるバルーン付きカテーテルデバイスであって、バルーンが完全に膨張した状態のデバイスを示す図。
【図6A】膨張していないバルーンを示す写真。
【図6B】膨張の中間段階のバルーンを示す写真。
【図6C】完全に膨張したバルーンを示す写真。
【図7A】別の実施形態によるバルーン付きカテーテルデバイスの横断面図であって、UV線処理前のバルーンを示す図。
【図7B】別の実施形態によるバルーン付きカテーテルデバイスの横断面図であって、UV線処理後のバルーンを示す図。
【図8A】図7Bに示されたバルーンの側壁の一部の拡大図であって、バルーンが膨張する前のバルーン側壁を示す図。
【図8B】図7Bに示されたバルーンの側壁の一部の拡大図であって、バルーンが膨張した後のバルーン側壁を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の医療用デバイスは、患者の体内の標的部位に治療薬を送達するための可膨張バルーンを有している。該バルーンは、バルーンデバイスの送達、操作、または膨張のために従来使用される様々な機構のうち任意のものを使用して体内に挿入されうるように設計されている。該バルーンデバイスは、例えば限定するものではないが血管形成カテーテル、ステント送達カテーテル、膨張カテーテル、または灌流カテーテルのうち少なくともいずれかなど、当分野で周知のものに類似するように設計されうる。本発明の医療用デバイスは、血管ステントのような他の血管内薬物送達デバイスと共に使用されてもよい。
【0009】
本発明の1つの実施形態では、拡張可能なシースはバルーンの周囲に配置される。拡張可能なシースは、様々な種類のエラストマー系材料または拡張可能材料、例えばシリコーンエラストマー、フルオロポリマーエラストマー、または熱可塑性エラストマーで製造されうる。熱可塑性エラストマーの例には、熱可塑性ポリウレタン、熱可塑性ポリエステル、および熱可塑性ポリアミド、例えばポリエーテルブロックアミド(例えばPEBAX(登録商標))が挙げられる。フルオロポリマーエラストマーの例には、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、またはフッ化ビニリデンのポリマーまたはコポリマーが挙げられる。拡張可能なシースは、バルーンの表面への何らかの付着部を有していてもよいし、有していなくてもよい(例えば、シースはそのような付着部を備えず、バルーン表面を覆って「浮動している」状態であってもよい)。拡張可能なシースは弾性であってもよいし、弾性でなくてもよい(すなわち、拡張時のシースの変形は可逆的であってもよいし、可逆的でなくてもよい)。
【0010】
バルーンは、特定の用途に応じた様々な程度のコンプライアンスを有することができる。例えば、バルーンは、コンプライアントバルーン、ノンコンプライアントバルーン、またはセミコンプライアントバルーンであってよい。本明細書中で使用されるように、「ノンコンプライアントバルーン」とは、バルーン中の内圧が公称の膨張圧より高められたときにバルーンの直径増大が定格公称径の10%以下であるバルーンを意味する。本明細書中で使用されるように、「セミコンプライアントバルーン」とは、バルーン中の内圧が公称の膨張圧より高められたときにバルーンの直径増大が定格公称径の20%以下であるバルーンを意味する。本明細書中で使用されるように、「コンプライアントバルーン」とは、バルーン中の内圧が公称の膨張圧より高められたときにバルーンの直径増大が定格公称径の20%より大きいバルーンを意味する。冠状動脈バルーンについては、公称径は、1.5〜7.0mmの範囲にあってよく、最も典型的な場合には、2.0〜4.0mmの範囲にあってよい。しかしながら、意図される標的部位または特定の用途のうち少なくともいずれか一方に応じて、その他の公称バルーン径も可能である。
【0011】
治療薬を含有するコーティングは、拡張可能なシースを覆って配置される。該コーティングは、治療薬単独であってもよいし、治療薬と1つ以上の他の材料との組み合わせであってもよい。例えば、治療薬は、コーティングの脆性をより高くするかまたは低くするために、添加剤または賦形材料(例えば結合剤、可塑剤、増量剤など)と混成されてもよい。いずれの場合も、治療薬のコーティングは拡張可能なシースほどコンプライアントではないように調合される。そのため、治療薬のコーティングは、シースが拡張するにつれて破断分離することになる。コーティングの厚さは用途に応じて変化することになるが、ある場合には、コーティング厚さは1〜10μmの範囲にある。より薄いかまたはより厚いコーティングも可能である。
【0012】
ある実施形態では、治療薬は結晶の形態で提供されてもよい。パクリタキセルのような一部の治療薬については、結晶の形態は可溶性があまり高くなく、無定形の形態よりもザラザラした粒子の粗いテクスチャを有する。これは、治療薬が血管壁により多く付着すること、治療薬の組織への浸透が向上すること、または、治療薬が血管壁への移行後に下流へ洗い流されにくくなることのうち少なくともいずれかを可能にすることができる。
【0013】
バルーンが膨張すると、バルーンの展開または拡張のうち少なくともいずれか一方がシースに対して外側方向の圧力をかけ、その結果拡張可能なシースが同様に拡張することになる。シースは、径方向、長手方向、これらの組み合わせ、または任意の他の方向に拡張することができる。径方向の拡張が関わる場合、バルーンが膨張するにつれて拡張可能なシースが経験する径方向の拡張の量は、異なるバルーンデバイスに応じて変化することになる。ある場合には、バルーンデバイスは、バルーンがその非膨張状態から膨張するにつれて、シースが少なくとも1.5倍の直径増大(すなわち少なくとも50%の径方向への伸長)を、またある場合には少なくとも2.5倍の直径増大(すなわち少なくとも150%の径方向への伸長)を生じるように設計される。しかしながら、特定の用途に応じて他の量の径方向の拡張も可能である。シース上の治療薬コーティングはシースほどコンプライアントではないため、該コーティングはシースが拡張するにつれて破断して断片(例えば粒子)になる。治療薬の断片は、身体組織上に適用されるか、またはバルーンから放出されるかのうち少なくともいずれかとなる。
【0014】
図1Aおよび1Bは、本発明の1つの実施形態によるバルーン付きカテーテルデバイス10を示す。図1Aはカテーテルデバイス10の側面図を示し、図1Bは、図1Aの面Xに沿ったカテーテルデバイス10の拡大横断面図を示す。バルーン付きカテーテルデバイス10は、可撓性カテーテルシャフト18の上に載置されたノンコンプライアントバルーン14を含んでなる。バルーン14は拡張可能なシース12によって覆われている。図1Bに見られるように、バルーン14はシース12の内部で折り畳まれて小型の形状になっている。シース12は、治療薬を含有するコーティング16(図1Aには示されていない)を有している。シース12は、バルーン14が抜去のために収縮されたときにシース12をバルーン14に再度巻き付けかつ/またはバルーン上に保持するのを支援するために、シース12の基端点および先端点でバルーン14の上に(例えばスポット溶接または仕付け縫いにより)固着されてもよい。シース12は弾性であってよく、また折り畳まれたバルーン14よりも小さな静止時直径を有して、シース12がバルーン14の周囲で収縮するようになっていてもよい。
【0015】
操作においては、バルーン14が(図1Aおよび1Bに示されたような)膨張していない状態で、バルーン14はカテーテルシャフト18を使用して患者の体内へ挿入される。標的部位では、図2Aおよび2Bに示されるように、バルーン14が膨張せしめられる。図2Aはカテーテルデバイス10の側面図を示し、図2Bは、図2Aの面Xに沿ったカテーテルデバイス10の拡大横断面図を示す。バルーン14が膨張するにつれて、該バルーンは展開して径方向に拡張し、その結果シース12を該バルーンとともに径方向に拡張させる。(図解を簡明にするために、シース12はバルーン14に接触せずに示されているが、当然ながら、シース12はバルーン14と接触してもよいし、シース12とバルーン14との間に中間材料が挟装されてもよい。)
図2Bに示されるように、シース12の径方向の拡張とともに、治療薬コーティング16は破断分離せしめられて粒子20(図2Aには示されていない)となる。粒子20はその後シース12から剥離し、放出かつ/または身体組織(例えば血管壁)上に直接適用されるようになる。粒子20の大きさは、治療薬を、賦形材料、例えば結合剤、可塑剤または増量剤と混成することにより調整されることも考えられる。例えば、治療薬を結合剤と混合することにより、治療薬コーティング16が破断分離せしめられてより大型の粒子となることも考えられる。別例として、治療薬を他の種類の賦形材料と混合することにより、コーティング16が破断分離してより小さな粒子となるようにすることも考えられる。ある場合には、治療薬コーティング16の剥離および粒子20の放出を促進するために、シース12が、低接着性のシランまたは上記フルオロポリマーエラストマーのような低接着性材料を使用して製造されることも考えられる。粒子20の大きさが、治療薬コーティング16の割線付けまたはパターン形成によって調整されることも考えられる。
【0016】
代替実施形態では、シース12と治療薬コーティング16との間に、治療薬コーティング16が破断分離して粒子20となるにつれてコーティング16がシース12から剥離するのを促進する、中間放出層が存在する。中間放出層は、この機能を実行するための様々な方法で作製されうる。例えば、該放出層は、低接着性のシランまたは上述のフルオロポリマーエラストマーのような、低接着性材料を含んでなることができる。別例において、該放出層は、体液に接触すると溶解または分解する材料(例えば糖または生分解性ポリマー)を含んでなることもできる。別例において、該放出層は、液体を吸収し体液に接触すると膨潤する材料(例えばヒドロゲル)を含んでなることもできる。いずれの場合も、放出層は、治療薬の断片の剥離および放出を促進する。
【0017】
図3は、ポリビニリデンフルオリド‐ヘキサフルオロプロピレンの85:15重量%コポリマーで作製された弾性シート上のパクリタキセル粒子の顕微鏡画像を示す。この画像を撮影するために、弾性シートは、テトラヒドロフラン中のパクリタキセル溶液でコーティングされた。その後、コーティング溶液が乾燥せしめられて弾性シート上にパクリタキセルの連続的なガラス質のフィルムが形成された。その後、シートは、一方向に引き伸ばすことにより200%を超えて伸長せしめられた。図3に示すように、この結果パクリタキセルのフィルムは破断分離して小さな粒子となり、弾性シートから剥離した。この結果は、本発明の方式で拡張可能なシース上に配置された治療薬コーティングは、該コーティングが断片化して、より容易にシースから分離すること、またはより容易に身体組織によって吸収されることのうち少なくともいずれか一方が可能な粒子となるのを可能にすることを実証している。
【0018】
図4Aおよび4Bは、血管のモデルとして透明なポリウレタンチューブを使用した実験的試行の結果を示している。コーティング溶液は、濃度15重量%のTHF中でパクリタキセルおよびポリビニルピロリジノン(重量比80/20)を混合することにより作製された。弾性シリコーンで作られた管状シース(外径=1.803mm(0.071インチ)、壁厚=0.127mm(0.0050インチ))は、パクリタキセル/PVP溶液中に浸漬し、真空下に室温で20分間乾燥させることによりコーティングされた。得られたコーティングは、約3μg/mm2のパクリタキセル装荷を提供した。その後、蒸気アニーリングによって無定形のパクリタキセルを結晶形態に変換するために、コーティングを施したシースは、エタノール蒸気(180プルーフ)で飽和させたチャンバ内に24時間置かれた。
【0019】
コーティングされた弾性シースは、Liberte(商標)ステントシステム(ボストン・サイエンティフィック(Boston Scientific))の3.0mm×20mm血管形成術用バルーン上に載置された。このバルーン/シースは、37℃の水浴中で親水性ポリウレタンチューブの中へ挿入された。バルーンはポリウレタンチューブの中に1分間保持され、次いで膨張せしめられた。ポリウレタンチューブの大きさは、バルーン展開配置時に20%の超過伸張を生じるようになされた。バルーンは膨張状態に1分間維持され、15秒間減圧され、バルーン/シースがポリウレタンチューブから抜去された。その後、ポリウレタンチューブが水浴から取り出され、乾燥され、撮像された。
【0020】
図4Aは、該シースのバルーン展開配置およびポリウレタンチューブからの抜去の後の、ポリウレタンチューブの画像(倍率5×)を示している。この画像は、かなりの量の薬物コーティングがシースからポリウレタンチューブの内側表面へ移行せしめられたことを実証している。図4Bは、展開配置およびポリウレタンチューブからの抜去の後の弾性シースの画像(倍率10×)を示している。この画像は、ほとんどの薬物コーティングが移行せしめられ、ごく少量の薬物コーティングのみ(白色粒子として見られる)が弾性シース上に残っていることを実証している。
【0021】
バルーン展開配置過程の間に、バルーン周囲の流体の流れが、拡張可能なシース上の治療薬コーティングを下流に押し流す場合がある。流体容積がバルーンの拡張とともに縮小するにつれてバルーン周囲で流量速度が増大することから、上記損失の相当部分は、バルーン拡張時にバルーンが血管の側壁と接触する寸前に生じうる。
【0022】
そのため、医療用デバイスは、バルーン拡張時の治療薬コーティングのこの損失を低減するように設計されてもよい。ある実施形態では、拡張可能なシースの長さは、バルーンの一端または両端がシースによって拘束されないように、バルーンの長さよりも短い。本明細書中で使用されるように、バルーンおよびシースの長さとは、バルーンが公称の膨張状態にあるときに計測される長さを指す。バルーンの拡張時、上記の構成は、バルーンの拘束されていない端部が、バルーンのシースで覆われた部分より前に膨張し始めることを可能にすることができる。シースはバルーンの長さに対して様々な長さを有することができる。例えば、ある実施形態では、シースはバルーンの長さの20〜80%であってよいが、その他の長さも可能である。バルーンの一端または両端がシースによって覆われていないままであってよい。
【0023】
例えば、図5A〜Cは、本発明の実施形態によるバルーン付きカテーテルデバイス50を示す。図5Aに見られるように、バルーン付きカテーテルデバイス50は、可撓性カテーテルシャフト58の上に載置されたバルーン54を含んでなる。バルーン54の中間部は拡張可能なシース52によって覆われている。(図解を簡明にするために、シース52はバルーン54に接触せずに示されているが、当然ながらシース52はバルーン54と接触してもよいし、シース52とバルーン54との間に中間材料が挟装されてもよい。)バルーン54の端部56はシース52によって覆われていない。シース52は治療薬を含有するコーティングを有する(図示せず)。シース52は弾性であってよく、また折り畳まれた形状のバルーン54よりも小さな静止時直径を有して、シース52がバルーン54の周囲で収縮するようになっていてもよい。
【0024】
操作時には、バルーン54が膨張していない状態で、バルーン54はカテーテルシャフト58を使用して血管内に挿入される。標的部位において、バルーン54が膨張せしめられる。図5Bに見られるように、膨張の初期段階(例えば1気圧)では、膨張はバルーン54の拘束されていない端部56において始まり、この端部は膨張したローブを形成して該ローブによりバルーン54は「ダンベル」形状を呈する。バルーン54の端部56が血管壁に接触すると、該端部はバルーン54の周囲の血液の流れを制限し、シース52の上の治療薬コーティングが押し流されないように保護することができる。更に、治療薬コーティングの一部がバルーン膨張時にシース52から離脱した場合、該治療薬は血液の流れとともに下流に押し流される代わりに端部56のローブの間に捕捉されうる。バルーン54がさらに膨張せしめられるにつれて、その中間部が径方向に拡張し始め、それとともにシース52を径方向に拡張させる。図5Cに示されるように、バルーン54が完全に膨張したとき(例えば11atmの膨張圧)、シース52は血管壁に対して治療薬コーティングを付与する。
【0025】
図6A〜Cは、透明なポリウレタンチューブの内部における様々な膨張段階のバルーンを示す一連の写真である(チューブの縁は視認度を強めるために白線で強調されている)。図6Aは膨張前のバルーンを示す。同図に見られるように、バルーンより短いシースがバルーンの中間部に載置されて、バルーンの端部がシースによって覆われないようになっている。図6Bは膨張の中間段階のバルーンを示し、この段階において、拘束されていない端部は、シースによって拘束されているバルーンの中間部に先だって膨張し始める。このことにより、バルーンはその端部に形成された膨張ローブから「ダンベル」形状を呈することになる。図6Cは完全に膨張したバルーンを示し、ここではバルーンの中間部は拡張してポリウレタンチューブの側壁に接触している。
【0026】
本発明の別の実施形態では、バルーンの側壁は最外層と1つ以上の内側層とを含んでなる。最外層は内側層ほどコンプライアントではなく、バルーンがその公称径またはそれ以上に膨張するにつれて最外層に亀裂が生じるようになっている。治療薬は、相対的にコンプライアントではない最外層を覆うコーティングとして配置される。該コーティングは、治療薬単独であってもよいし、治療薬と1つ以上の他の材料(上記の添加剤または賦形材料など)との組み合わせであってもよい。相対的にコンプライアントではない最外層がバルーンの膨張とともに亀裂を生じるとき、治療薬のコーティングが破断分離する。
【0027】
最外層は、亀裂を生じさせるのに必要な表面積の伸長量が、緩衝水性溶液に浸漬されつつ体温(すなわち37℃)において40%未満であるように、十分な脆性を有する。言いかえれば、最外層に亀裂を生じさせるには最外層の表面積の40%以下の増大で十分であるが、このことは、最外層が必ずこの程度まで拡張することを意味するものではない。脆性の程度はバルーンのコンプライアンス特性に応じて様々であってよい。例えば、ノンコンプライアントバルーンはコンプライアントバルーンと同程度には拡張しないため、ノンコンプライアントバルーンの最外層は、コンプライアントバルーンに関するよりも高い脆さ係数(すなわち、より少ない表面積伸長状態での亀裂)を有するように製造されうる。
【0028】
ある場合には、最外層は、最外層の亀裂形成を促進するための掘り込み領域を有する。本明細書中で使用されるように、「掘り込み領域」とは、空隙部(例えば破砕線、穴部、スロット、溝、チャネル、エッチング、穿孔、陥凹など)であって、該空隙部の大きさ、形状、および位置を制御する技法を使用して材料を除去することにより作出されるものを指す。例えば、そのような技法には、エネルギービーム(例えばレーザ、イオン、または電子)を使用する直接書込みエッチング、微細機械加工、微細掘削加工、またはリソグラフィ法が挙げられる。
【0029】
相対的にコンプライアントではない最外層を備えたバルーン側壁を有するバルーンは、多層のバルーンの製造について知られた多くの異なる技法のうち任意のものを使用して製造可能である。そのような1つの方法は、任意の適切な脆化処理を使用してバルーン側壁の表面上のポリマー材料を脆化することによる。脆化処理の例には、ポリマー材料を架橋する処理、ポリマー材料の分解を引き起こす処理、または任意の可塑剤を除去する処理が挙げられる。ポリマーを分解するための様々な処理、例えばポリマーを熱、放射線(radiation)、または反応性化学薬品に曝露する処理が存在し、使用するのに適した処理の種類はポリマーの種類に応じて様々となろう。例えば、ポリエチレンおよびポリプロピレンは、酸化または紫外線(UV)曝露があると分解および脆化しうる。ポリマー材料は反応性化学薬品への曝露によっても分解可能であり、該化学薬品は強酸溶液(例えば硫酸)または強アルカリ溶液のような化学溶液であってよい。反応性化学薬品はまた、オゾン、塩素、またはプラズマのような反応性ガスであってもよい。例えば、ポリエチレンテレフタラートは強酸による加水分解から分解および脆化しうる一方、ポリカーボネートは強アルカリに曝露されたときに分解および脆化しうる。これらの分解処理のうちのいくつかは、特にポリマー側壁が長鎖ポリマーから作られている場合、ポリマーの鎖切断を伴う。
【0030】
上述のように、脆化はポリマー側壁におけるポリマーの架橋によって達成される場合もある。ポリマーの架橋のための様々な処理が存在するが、使用に適した処理の種類はポリマーの種類によって変わることになる。架橋処理のうちのいくつかは、バルーンを熱、圧力、または放射線(UV線、電子ビーム、またはγ線など)に曝露することを含む。バルーン側壁中に、放射線による架橋を促進することができる光開始架橋添加剤(例えばベンゾフェノン)が存在していてもよい。
【0031】
上述のように、脆化は、ポリマー側壁中に存在しうる可塑剤を(例えば蒸発または浸出により)除去することによっても達成されうる。例えば、ポリ塩化ビニル(PVC)は可塑剤の損失とともに脆性しうる。治療薬のコーティングは、上記の脆化処理の前に施すことも、後に施すことも考えられる。治療薬のコーティングが脆化処理の前に施される場合、脆化処理は治療薬を最外層内部に捕捉する役割をも果たす場合がある。
【0032】
相対的にコンプライアントではない最外層を有する多層バルーンを製造する別の方法は、バルーン側壁の内側層とは異なる材料で作られた最外層を用いた共押出し法の使用による。例えば、バルーンは米国特許第5,195,969号明細書(ワング(Wang)ら)または米国特許第7,166,099号明細書(デヴェンス(Devens))に記載の共押出し法を使用して作製されてもよく、前記特許文献はいずれも参照により本願に組込まれる。最外層の作製に使用される材料は、内側層の作製に使用される材料とは様々な点において異なっていてよい。例えば、最外層は、内側層に使用される材料よりも相対的に弾性の低い材料で製造されうる。別例では、最外層は、最外層をコンプライアントではなくするためのさらなる処理を施すことが可能な材料で製造されうる。例えば、最外層は、最外層のポリマーのUV開始架橋を可能にする添加剤(例えばベンゾフェノン)を有する材料で製造されてもよい。
【0033】
図7Aおよび7Bは、別の実施形態によるバルーン付きカテーテルデバイスの横断面図を示す。図7Aを参照すると、カテーテルデバイスは、カテーテルシャフト38の上に載置されたセミコンプライアントバルーン30を含んでなる。バルーン30はバルーン側壁36を有し、また単なる例証を目的として、カテーテルシャフト38とバルーン側壁36との間に誇張されたギャップ32が示されている。バルーン30が公称どおりに膨張した状態で、バルーン30の側壁36はUV線40で照射される。バルーン側壁36の全周囲をUV線40に曝露するために、バルーン30は照射される間カテーテルシャフト38の周りを回転せしめられる。
【0034】
図7BはUV線処置後のバルーン30を示す。UV線処置はバルーン側壁36の表面のポリマー材料を脆化させて、バルーン側壁36の内側層48よりも脆く相対的にコンプライアントではない最外層34を作出した。上記に説明されるように、この脆化は、例えばUVで誘発されたポリマーの架橋または分解によって生じうる。
【0035】
操作時には、カテーテルデバイスは、非膨張状態のバルーン30を伴って患者の体内に挿入される。図8Aは、図7Bに示されたバルーン側壁30の一部分の拡大図を示す。図8Aは、内側層48および脆性の最外層34を有するバルーン側壁36であって、さらに治療薬を含有するコーティング46でコーティングされているバルーン側壁を示す。図8Bを参照すると、標的部位において、バルーン30は膨張せしめられる。バルーン側壁36の拡張と共に、亀裂42が脆性の最外層34に生じ、その結果治療薬コーティング46の亀裂形成および剥離が引き起こされて粒子44となり、該粒子は治療エリアに放出される。別例の実施形態では、図7Bに示される二層バルーン30は、最外層34が内側層48とは異なる材料から製造されている共押出し法によって製造されうる。例えば、最外層34は、相対的に内側層48の製造に使用される材料ほど弾性でない材料で製造されてもよい。
【0036】
治療薬と混成可能な添加剤または賦形材料の例には、炭水化物;ポリスルホン;生理学的に許容可能な油、脂肪、脂質、類脂質、もしくはワックス;生体再吸収性(bioresorbable)ポリマーもしくは生分解性ポリマー;界面活性剤、例えばポリエチレングリコール(PEG)‐脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、もしくはPEG‐グリセリル脂肪酸エステル;樹脂、例えばセラックもしくはその構成成分(例えばシェロリン酸もしくはアロイリット酸);クエン酸エステル、例えばアセチルクエン酸アルキル、アセチルクエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリブチル、アセチルクエン酸トリヘキシル、クエン酸アルキル、クエン酸トリエチル、もしくはクエン酸トリブチル;または放射線造影剤、が挙げられる。
【0037】
炭水化物の非限定的な例には、単糖類、二糖類、三糖類、オリゴ糖類、多糖類、および糖の誘導体(例えば糖アルコール、糖酸、エステル化された糖、および糖ポリマー(例えばFicoll(商標))が挙げられる。糖の例には、マンニトール、スクロース、フルクトース、マンノース、トレハロース、およびラフィノースが挙げられる。オリゴ糖類および多糖類の例には、N‐アシルグルコサミンとウロン酸(例えばグルクロン酸またはイズロン酸)を、またはN‐アシルガラクトサミンとウロン酸を含有するものが挙げられる。
【0038】
生物分解性ポリマーまたは生体再吸収性ポリマーの非限定的な例には、ポリカルボン酸、ポリ無水物、例えば無水マレイン酸ポリマー;ポリオルトエステル;ポリアミノ酸;ポリエチレンオキシド;ポリホスファゼン;ポリ乳酸、ポリグリコール酸およびこれらのコポリマーおよび混合物、例えばポリ‐L‐乳酸(PLLA)、ポリ(D,L‐ラクチド)、ポリ(乳酸‐co‐グリコール酸)、50/50(DL‐ラクチド‐co‐グリコリド);ポリジオキサノン;ポリプロピレンフマラート;ポリデプシペプチド;ポリカプロラクトンならびにそのコポリマーおよび混合物、例えばポリ(D,L‐ラクチド‐co‐カプロラクトン)およびポリカプロラクトンco‐アクリル酸ブチル;ポリヒドロキシブチラート・バレラートおよび混成物;ポリカーボネート、例えばチロシン誘導ポリカーボネートおよびアクリラート、ポリイミノカーボネート、およびポリジメチルトリメチルカーボネート;シアノアクリラート;ポリグリコサミノグリカン;巨大分子、例えば多糖類(ヒアルロン酸;セルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロース;ゼラチン;デンプン;デキストラン;アルギナートおよびこれらの誘導体)、タンパク質およびポリペプチド;ならびに上記のうちいずれかの混合物およびコポリマーが挙げられる。
【0039】
治療薬と混成可能な造影剤は、X線撮像、CTスキャン撮像、または磁気共鳴撮像(MRI)に適したものであってよく、バリウム、ヨウ素、マンガン、鉄、ランタン、セリウム、またはガドリニウムを含有していてよい。造影剤の非限定的な例には、イオジキサノール、イオプロミド、イオヘキソール、イオパミドールのようなヨウ素を含むX線造影剤;およびガドリニウム‐DPTA(ジエチレントリアミン五酢酸)またはガドブトロールのような常磁性キレート化合物が挙げられる。
【0040】
脂肪酸はトリグリセリドの形であってよい。多不飽和脂肪酸の非限定的な例には、オメガ‐3脂肪酸、例えばリノレン酸(ALA)、イコサペンタエン酸(EPA)、およびドコサヘキサエン酸(DHA)が挙げられる。治療薬と混成可能な添加剤または賦形材料の他の例には、ポリウレタンウレア/ヘパリン;ポリウレタン;または天然に存在する材料(例えばコラーゲン、ラミニン、ヘパリン、フィブリン、もしくはセルロース)が挙げられる。
【0041】
本発明の医療用デバイスはさらに、バルーン上に載置された血管ステントを備えていてもよい。血管ステントは、治療薬を溶出するコーティングを備えたものや備えていないものなど、当分野で既知の血管ステントのうち任意のものであってよい。ステントはさらに、生体安定性であっても、生体侵食性であっても、生物分解性であってもよい。ステントは裸状のステントであってもよいし、薬物コーティングを有していてもよい。
【0042】
本発明のバルーンは、マンニトールのような低分子量炭水化物でコーティングされてもよい。炭水化物は別個のコーティングであってもよいし、治療薬と混成されてもよい。本発明のバルーンは、放射性造影剤(イオン性または非イオン性)、例えばイオプロミド、次炭酸ビスマス、塩化酸化ビスマス(III)、三酸化ビスマス、硫酸バリウム、タングステン、およびこれらの混合物でコーティングされてもよい。造影剤は別個のコーティングであってもよいし、治療薬と混成されてもよい。本発明のバルーンは、ポリビニルピロリドン(PVP)のような水溶性ポリマーでコーティングされてもよい。ポリマーは別個のコーティングであってもよいし、治療薬と混成されてもよい。
【0043】
本発明で使用される治療薬は、任意の薬学的に許容可能な作用物質(薬物など)、生体分子、小分子、または細胞であってよい。例示の薬物には、抗増殖剤、例えばパクリタキセル、シロリムス(ラパマイシン)、タクロリムス、エベロリムス、バイオリムス、およびゾタロリムスが挙げられる。例示の生体分子には、ペプチド、ポリペプチドおよびタンパク質;抗体;オリゴヌクレオチド;核酸、例えば二本鎖または一本鎖DNA(裸のDNAおよびcDNAを含む)、RNA、アンチセンスDNAおよびRNAのようなアンチセンス核酸、低分子干渉RNA(siRNA)、ならびにリボザイム;遺伝子;炭水化物;成長因子を含む血管新生因子;細胞周期阻害因子;ならびに再狭窄抑制剤、が挙げられる。例示の小分子には、ホルモン、ヌクレオチド、アミノ酸、糖、および脂質があり、化合物は100kD未満の分子量を有する。例示の細胞には、幹細胞、始原細胞、内皮細胞、成体の心筋細胞、骨髄細胞、および平滑筋細胞が挙げられる。本発明で使用されうる他の治療薬には、米国特許第7,572,625号明細書(デイビス(Davis)ら、「Medical devices coated with drug carrier macromolecules」)に列挙されたものが挙げられる。前記特許文献は参照により本願に組込まれる。治療薬のうちの任意のものを、生物学的に適合性である程度に組み合わせることも可能である。
【0044】
先述の説明および例は、単に本発明を例証するために述べられており、限定するようには意図されていない。本発明の開示された態様および実施形態はそれぞれ、個々に考慮されてもよいし、本発明の他の態様、実施形態および変更形態と組み合わせて考慮されてもよい。本発明の趣旨および実体を組込んだ開示の実施形態の改変形態について、当業者の考えの及ぶ可能性があるが、そのような改変形態は本発明の範囲内にある。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療用デバイスであって、
バルーンと、
バルーンの周囲に配置された拡張可能なシースと、
拡張可能なシースを覆って配置された、治療薬を含んでなるコーティングと、該コーティングは拡張可能なシースほどコンプライアントではないことと
からなる医療用デバイス。
【請求項2】
バルーンは、ノンコンプライアントバルーンおよびセミコンプライアントバルーンのいずれかである、請求項1に記載の医療用デバイス。
【請求項3】
拡張可能なシースは低接着性材料を含んでなる、請求項1に記載の医療用デバイス。
【請求項4】
低接着性材料はフルオロポリマーである、請求項3に記載の医療用デバイス。
【請求項5】
拡張可能なシースと治療薬コーティングとの間に配置された中間放出層をさらに含んでなる、請求項1に記載の医療用デバイス。
【請求項6】
放出層は低接着性材料を含んでなる、請求項5に記載の医療用デバイス。
【請求項7】
低接着性材料はフルオロポリマーである、請求項6に記載の医療用デバイス。
【請求項8】
放出層は、体液に接触すると溶解、分解、または膨潤する材料を含んでなる、請求項5に記載の医療用デバイス。
【請求項9】
拡張可能なシースは、バルーンが完全に膨張するにつれて直径が少なくとも1.5倍増大する、請求項1に記載の医療用デバイス。
【請求項10】
シースの長さはバルーンの長さよりも短い、請求項1に記載の医療用デバイス。
【請求項11】
シースの長さはバルーンの長さの20〜80%であり、バルーンの一端または両端がシースによって覆われていない、請求項10に記載の医療用デバイス。
【請求項12】
治療薬は結晶の形態である、請求項1に記載の医療用デバイス。
【請求項13】
医療用デバイスであって、
最外層および内側層を含んでなるバルーン側壁を有するバルーンと、最外層は内側層ほどコンプライアントではないことと、
最外層を覆って配置された、治療薬を含んでなるコーティングと
からなる医療用デバイス。
【請求項14】
バルーンは、セミコンプライアントバルーンおよびコンプライアントバルーンのいずれかである、請求項13に記載の医療用デバイス。
【請求項15】
最外層はバルーンが膨張するにつれて亀裂を生じることと、最外層に亀裂が生じるのに必要な表面積の伸長量は40%未満であることとを特徴とする、請求項13に記載の医療用デバイス。
【請求項16】
最外層は、内側層を形成している材料よりも弾性の低い材料で形成される、請求項13に記載の医療用デバイス。
【請求項17】
最外層は、バルーンが膨張するにつれて最外層の亀裂形成を促進するための掘り込み領域を有する、請求項13に記載の医療用デバイス。
【請求項18】
医療用デバイスを製造する方法であって、
ポリマー側壁を有するバルーンを提供するステップと、
ポリマー側壁の外側表面を脆化して、ポリマー側壁の他の部分ほどコンプライアントではない最外層を形成するステップと、
最外層を覆って、治療薬を含んでなるコーティングを配置するステップと
からなる方法。
【請求項19】
脆化は、ポリマー側壁の外側表面のポリマーを架橋すること、およびポリマー側壁の外側表面のポリマーを分解することのいずれかからなる、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
脆化は、バルーンを放射線に曝露すること、およびバルーンを反応性化学薬品に曝露することのいずれかからなる、請求項18に記載の方法。
【請求項1】
医療用デバイスであって、
バルーンと、
バルーンの周囲に配置された拡張可能なシースと、
拡張可能なシースを覆って配置された、治療薬を含んでなるコーティングと、該コーティングは拡張可能なシースほどコンプライアントではないことと
からなる医療用デバイス。
【請求項2】
バルーンは、ノンコンプライアントバルーンおよびセミコンプライアントバルーンのいずれかである、請求項1に記載の医療用デバイス。
【請求項3】
拡張可能なシースは低接着性材料を含んでなる、請求項1に記載の医療用デバイス。
【請求項4】
低接着性材料はフルオロポリマーである、請求項3に記載の医療用デバイス。
【請求項5】
拡張可能なシースと治療薬コーティングとの間に配置された中間放出層をさらに含んでなる、請求項1に記載の医療用デバイス。
【請求項6】
放出層は低接着性材料を含んでなる、請求項5に記載の医療用デバイス。
【請求項7】
低接着性材料はフルオロポリマーである、請求項6に記載の医療用デバイス。
【請求項8】
放出層は、体液に接触すると溶解、分解、または膨潤する材料を含んでなる、請求項5に記載の医療用デバイス。
【請求項9】
拡張可能なシースは、バルーンが完全に膨張するにつれて直径が少なくとも1.5倍増大する、請求項1に記載の医療用デバイス。
【請求項10】
シースの長さはバルーンの長さよりも短い、請求項1に記載の医療用デバイス。
【請求項11】
シースの長さはバルーンの長さの20〜80%であり、バルーンの一端または両端がシースによって覆われていない、請求項10に記載の医療用デバイス。
【請求項12】
治療薬は結晶の形態である、請求項1に記載の医療用デバイス。
【請求項13】
医療用デバイスであって、
最外層および内側層を含んでなるバルーン側壁を有するバルーンと、最外層は内側層ほどコンプライアントではないことと、
最外層を覆って配置された、治療薬を含んでなるコーティングと
からなる医療用デバイス。
【請求項14】
バルーンは、セミコンプライアントバルーンおよびコンプライアントバルーンのいずれかである、請求項13に記載の医療用デバイス。
【請求項15】
最外層はバルーンが膨張するにつれて亀裂を生じることと、最外層に亀裂が生じるのに必要な表面積の伸長量は40%未満であることとを特徴とする、請求項13に記載の医療用デバイス。
【請求項16】
最外層は、内側層を形成している材料よりも弾性の低い材料で形成される、請求項13に記載の医療用デバイス。
【請求項17】
最外層は、バルーンが膨張するにつれて最外層の亀裂形成を促進するための掘り込み領域を有する、請求項13に記載の医療用デバイス。
【請求項18】
医療用デバイスを製造する方法であって、
ポリマー側壁を有するバルーンを提供するステップと、
ポリマー側壁の外側表面を脆化して、ポリマー側壁の他の部分ほどコンプライアントではない最外層を形成するステップと、
最外層を覆って、治療薬を含んでなるコーティングを配置するステップと
からなる方法。
【請求項19】
脆化は、ポリマー側壁の外側表面のポリマーを架橋すること、およびポリマー側壁の外側表面のポリマーを分解することのいずれかからなる、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
脆化は、バルーンを放射線に曝露すること、およびバルーンを反応性化学薬品に曝露することのいずれかからなる、請求項18に記載の方法。
【図1A】
【図1B】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図7A】
【図7B】
【図8A】
【図8B】
【図1B】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図7A】
【図7B】
【図8A】
【図8B】
【公表番号】特表2013−502984(P2013−502984A)
【公表日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−526844(P2012−526844)
【出願日】平成22年8月18日(2010.8.18)
【国際出願番号】PCT/US2010/045877
【国際公開番号】WO2011/028419
【国際公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【出願人】(506192652)ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッド (172)
【氏名又は名称原語表記】BOSTON SCIENTIFIC SCIMED,INC.
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年8月18日(2010.8.18)
【国際出願番号】PCT/US2010/045877
【国際公開番号】WO2011/028419
【国際公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【出願人】(506192652)ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッド (172)
【氏名又は名称原語表記】BOSTON SCIENTIFIC SCIMED,INC.
【Fターム(参考)】
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