説明

薬物送達のための咀嚼可能な剤形の製造方法およびその製品

被験動物または被験者に対する、薬物等の薬学的に許容される活性成分の送達のための、味が良くて柔らかい、咀嚼可能な薬剤ビヒクル。柔らかいチュウは、食品グレードまたはより非活性な成分のみを含み、好ましくは動物由来の成分は含まない。柔らかいチュウを製造する方法は、活性成分および非活性成分の混合中に熱を発生させる必要がなく、活性成分の安定した濃度を提供し、重量および食感が均一なチュウを生産する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、経口投与可能な薬学的用量単位、特に、チャンク(chunk)等の食用塊の形態での単位に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
薬物を、咀嚼可能な錠剤または糖剤などの食用薬剤として製剤することにより、患者、特に硬い錠剤またはカプセルを飲み込むことに抵抗することが多い動物による薬剤の受け入れを増加させることができる。残念ながら、多くの薬物および他の活性成分(集合的に「活性物」と総称する)は、極めて苦いかあるいは受け入れ難い味であり、咀嚼するには不快である。
【0003】
味の良さを高めるため、通常咀嚼可能な薬剤に香料が添加される。例えば、動物用薬剤には、牛肉、豚肉、鶏肉、七面鳥肉、魚肉、ラム肉等の未調理の乾燥肉部分、レバー等の内臓肉、肉粉、骨粉、砕いた骨、ならびに、カゼイン、牛乳(脱脂粉乳等の、乾燥した状態および低脂肪の状態を含む)、ヨーグルト、ゼラチン、チーズおよび卵等の動物起源食品等、動物性食品ベースの香料(集合的に「動物由来香料」)が含まれ、利用される場合がある。
【0004】
しかし、動物由来香料(特に肉、家禽肉、または魚介肉由来のもの)を多く使用すると、薬物を受ける者に対してだけでなく、香料の用量単位が作られた製造機材の汚染を介しても、感染因子への曝露のリスクがある。この理由により、動物由来香料を含む薬学的製品を調製する製造施設は、多くの場合、その調製のみに限定して稼動され、それに応じて、複数の製品を同時に加工することができる施設において製造を行うことができる場合に発生するであろうコストより大きなコストとなる。
【0005】
咀嚼可能な薬剤には、食感もまた問題となる。咀嚼可能な用量単位に最も一般的に使用される形態は、圧縮錠であり、その成分(活性物、および結合剤などの非活性成分を含む)は錠剤をざらざらした食感にし、または、特に動物にとっては魅力的ではなくなる。このように、特に動物における使用のための好ましい代替の剤形は、「柔らかいチュウ(chew)」であり、一般には、市販のペット用おやつにおいても広く見られる、肉状の塊またはチャンクである。
【0006】
柔らかいチュウは、典型的にはブレンドと押出しにより製造される。事前に混合された成分が、ネジの付いた押出バレルに導入された後、混合され、凝固され、引き伸ばされ、そして、ブレンドされた混合物としてせん断され、次に、より硬い食感が望ましい場合は、さらに加熱される。混合物に導入される水は、その混合物中に保持されるため、通常医薬品グレードのものでなければならない。次に、ブレンドされた混合物は、ダイプレート上で所望の形状に成形された後、個々の単位に切断される。
【0007】
押出プロセスの間生成する熱は、混合物中の活性物の安定性(効力または完全性)の低下をもたらし、形成される各単位により提供される有効用量を変化させる可能性がある。押し出される材料のバッチ間での、チュウの食感、形状、および重量の均一性もまた影響を受ける。
【0008】
したがって、熱が生成することなく活性物をチュウ混合物にブレンドすることができる、柔らかい咀嚼可能な薬剤の製造方法が必要とされる。また、高価な医薬品グレードの水を成分として使用することなくチュウを製造しやすいことが望ましい。また、当技術分野において、感染因子または汚染物質を含む可能性のある成分を使用しなくても、動物をひきつける味を持つ柔らかいチュウの薬剤が必要とされている。さらに、咀嚼可能な薬剤を生産するために採用する製造手段が、均一なチュウの重量、食感、および活性物用量を確保しながらそれを行うことが極めて望ましい。
【発明の開示】
【0009】
発明の概要
本発明は、独特の柔らかい咀嚼薬剤と、その製造のための方法を提供する。本発明の柔らかいチュウは、特にペット動物の口に合うものである。それらは、少なくとも食品グレード品質の非活性成分を含み、最も好ましくは、動物由来の非活性成分を含まない。したがって、当該柔らかいチュウは、感染因子または汚染物質の伝染の心配なく、また、同じ製造施設内で生産された他の製品に対する二次汚染のリスクもなく、製造することができる。
【0010】
本発明の製造方法によって、成分混合物を加熱することなく、柔らかいチュウを生産することができる。したがって、活性物の安定性が保たれ、よくブレンドされた柔らかい食感が提供される。さらに、チュウの成分として水を使用せず、それにより高価な医薬品グレードの水を使用する必要性を避け、同時に微生物増殖または活性物の有効性の損失の機会を低減している。
【0011】
これらを達成するために、本発明の柔らかいチュウは、咀嚼混合物を粒子形態になるまで回転させる大容量の水平混合機を使用して製造される。混合動作によって、混合物中の成分は混合容器壁から離れて投入され、容器内を十字方向に動き、加熱することなく形成された一様にブレンドされた混合物を提供する。冷却工程が必要ないため、加熱押出方式に比べチュウを生産する時間が短縮される。
【0012】
生産された十分にブレンドされた混合物は、金型内に置かれて個々の用量単位を形成し、加熱されることなく固められる。柔らかいチュウは、任意の所望の形状に生産することができる。本発明で利用される好ましい混合および成型機材は、均一にブレンドされた成分、安定して提供される活性物、および均一な重量を持つ個々の柔らかいチュウを提供することができる。
【0013】
本発明の柔らかいチュウは、いかなる非食品グレードの非活性成分(または、好ましくは、いかなる動物由来非活性成分)を使用することなく、口に合う形態で生産される。したがって、動物の咀嚼可能な薬剤に一般に使用される動物由来の肉香料等の源に起因する感染因子または汚染物質による、施設内の他の機材の二次汚染の可能性のリスクもなく、製造方法を行うことができる。
【0014】
発明の詳細な説明
A.本発明の柔らかいチュウに使用する材料
一般に、柔らかい咀嚼可能な薬剤およびおやつには、製造性、食感、および製品の外観を向上させるために、結合剤、ビタミン、および色素等の非活性成分物質が含まれている。当業者はそのような非活性成分に精通しており、本発明における使用には水を含む必要はない。
【0015】
本発明における使用には、柔らかいチュウの非活性成分は、食品グレード品質以上でなければならず、より高い品質であってもよい(USPまたはNFグレード等)。この文脈において、「食品グレード」は、健康に有害な薬品または物質を含まない、または生じない材料を指す。このように、食品グレードの香料とは、動物由来の場合、例えば殺菌、加圧、または放射線処理等のプロセスを介して、その中の感染因子または汚染物質の存在を大きく低減する、または排除するための処理がなされているものである。
【0016】
特に、後者のプロセスは、大腸菌(E. coli)O157:H7、サルモネラ菌(Salmonella)、およびカンピロバクター菌(Campylobacter)等の感染因子を、生肉製品、野菜、穀物および果物等、様々な食品および動物起源物質から効果的に排除することができる。しかし、好ましくは、本発明の柔らかいチュウは、いかなる動物由来成分も含まず、最も好ましくは、いかなる動物由来香料も含まない。成分はすべて薬学的に許容されるものでなければならない(例えば、必要に応じて、食品グレード、USP、またはNF等)。
【0017】
好ましくは、本発明の柔らかいチュウには、少なくとも食品グレードの品質の香料が存在し、最も好ましくは、動物由来香料を除く。好ましい非動物由来香料は、大豆タンパク等の植物性タンパク質であり、食物に似せた食用の人工香料が加えられている(例えば、大豆起源のベーコン香料)。対象動物によるが、他の非動物性香料には、アニス油、イナゴマメ、ピーナツ、果実風味、蜂蜜、砂糖、メープルシロップおよび果糖等の甘味料、パセリ、セロリ葉、ペパーミント、スペアミント、ニンニク等のハーブ、またはそれらの組み合わせが含まれる。
【0018】
本発明における使用に特に好ましい香料は、ABF Ingredients, Inc製のProvesta(商標) 356である。酵母エキスの特性と反応風味に基づく淡褐色の水溶性粉末で、燻製様の薫製ベーコンの良い風味を生成する。Provesta 356は、動物起源成分を含まない。
【0019】
ウマや他の草食動物への投与には、ウサギ、ハムスター、スナネズミ、およびモルモット等の小動物と同様、穀物や種が、特にひきつけるさらなる香り付けとなる。穀物は、小麦粉、ふすま、シリアル、繊維、全粒粉、およびグルテン粉等の穀粉形態等、チュウの生産に合ったいかなる形態で存在してもよく、また、巻いてあっても、縮れていても、粉砕されていても、脱水されていても、挽いてあってもよい。塩や他のスパイス等、香料としてミネラルが添加されていてもよい。好ましくは、利用される穀物は脱水されているか、挽いてあるか、またはフレーク状になっている。乾燥ニンジン等の野菜や、ベニバナ種子またはモロコシ種子等の種は、特に小動物をひきつけるものであるが、これらが含まれていてもよい。
【0020】
さらに、柔らかいチュウの製造性や食感を向上させる物質は、軟化剤、固化防止剤または潤滑剤、および保湿剤または湿潤剤を含んでもよい。本発明で使用することができる潤滑剤または固化防止剤の実例としては、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、またはそれらの混合が挙げられる。潤滑のためには、また成型後の柔らかいチュウの硬化を促進するための成分として、ステアリン酸マグネシウムが特に好ましい。
【0021】
保湿剤の実例としては、グリセロールおよびプロピレングリコールが含まれ、また湿潤剤としては、セチルアルコールおよびモノステアリン酸グリセロールが含まれる。グリセリンは、柔らかいチュウの製品寿命にわたる柔軟性の維持に有用な、好ましい保湿剤である。グリセリンは、無色透明で、無臭で、粘性のある吸湿性の液体である。
【0022】
植物性油脂(コーン油、ベニバナ油、綿実油、大豆油およびオリーブ油)もまた、チュウ混合物を潤滑しその柔軟性を維持するために利用してよい。油は、風味の味の良さにも寄与する。特に好ましい油は大豆油である。
【0023】
好ましくは、成型の前に、1.0%から3.0%のパラフィンワックスまたはポリエチレングリコール8000(カーボワックス)が、柔らかいチュウ混合物に含まれる。ワックスが使用される場合は、混合後に柔らかいチュウ混合物に添加される前に50℃で融解される。成型後、ワックスを添加した柔らかいチュウは、8時間から24時間の期間で硬化する。ワックスは速やかに凝固し、チュウ混合物を柔らかくし、柔らかいチュウ単位同士が成型後に固着するのを防ぐ。
【0024】
利用されるさらなる軟化剤は、柔らかいチュウ製品の密度および硬さを制限するものである。そのような柔軟材には、多糖類や繊維が含まれる。多糖類は、果物等の複合食品や、じゃがいもデンプンまたはタピオカデンプン等の植物デンプンの形態で含まれる。多糖類はまた、例えばコンドロイチン硫酸またはグルコサミンHCIの形態で、別個に提供されてもよい。
【0025】
繊維は、フィラーまたは充填剤として、および柔らかいチュウの多孔性を提供するまたは維持するために提供されてもよい。この目的で使用される繊維は、果物、穀物、マメ科植物、野菜、または種を起源としてもよく、または木の繊維、紙の繊維、または、粉末セルロース繊維等のセルロース繊維の形態で提供されてもよい。本発明で使用するための特に好ましいそのような充填剤は、オートブラン等のふすまである。
【0026】
利用することができるその他の充填剤には、アラビアゴム、ペクチン、加工デンプン、アルギン酸塩、カラギナン、キサンタンガム、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸プロピレングリコール、ポリビニルピロリドン(PVP)、カルボキシビニルポリマー(Carbopol(登録商標)等)、ポリエチレンオキシドポリマー(Polyox(登録商標)等)、タルク、リン酸二カルシウム、および酸中和剤等の、親水コロイド増粘剤ならびに結合剤を含む、任意の食品グレードの材料が含まれる。
【0027】
柔らかいチュウに利用される結合剤は、粘着性のある物質、または、水等の他の成分と組み合わせると粘着性を持つようになる物質であってもよいが、好ましくは、柔らかいチュウ製品に食物に似せた食感を与える。一般に、結合剤には、糖蜜、コーンシロップ、ピーナツバター、食用ゴム、じゃがいもデンプン、タピオカデンプン、またはとうもろこしデンプン等のデンプン、蜂蜜、メープルシロップおよび砂糖等が含まれてもよい。本発明の柔らかいチュウに使用するための好ましい結合剤は、デンプンおよび粉末甘味料である。
【0028】
特に好ましい結合剤は、Colorcon Corporation製のαデンプンであるStarch 1500である。αデンプンは、デンプン粒のすべてまたは一部を破裂させ、デンプンが流動性をもつように化学的および/または機械的に改質されている。5%の遊離アミラーゼ、15%の遊離アミロペクチン、80%の未改質デンプンを含んでいる。原料はとうもろこしである。
【0029】
粉砂糖(ショ糖)は、結合剤であるとともに甘味料としての役割も果たす。ショ糖は、サトウキビまたは砂糖大根から得られる。塩および/または他のスパイスも必要に応じて添加することができるが、風味を高めるには特に塩が好ましい。
【0030】
微生物や菌類の増殖を抑えるために、ソルビン酸カリウム、安息香酸ナトリウム、またはプロピオン酸カルシウム等の保存料を添加してもよい。Tenox 4は、Eastman Chemicals製の、BHAおよびBHT抗酸化剤を組み合わせたものである。これは好ましく便利な保存システムである。
【0031】
ビタミンは、対象動物の栄養所要量に従って提供されてもよく、また利用する油の要素として提供されてもよい。また、ビタミンは、例えばカノーラ油、コーン油、大豆油、および植物油等、軟化剤として添加されてもよい様々な油中にも存在する。
【0032】
利用することができる賦形剤には、デンプン、セルロース、またはそれらの誘導体または混合物が含まれ、その量は、例えば、約1から約60パーセント(重量比)、好ましくは約2から約50パーセント、より好ましくは約15から50パーセントの範囲である。例えば、賦形剤は、デンプングリコール酸ナトリウム、αとうもろこしデンプン(Starch 1500)、クロスポビドン(Polyplasdone XL(商標)、International Specialty Products)、およびクロスカルメロースナトリウム(Ac−Di−Sol(商標)、FMC Corp.)、およびそれらの誘導体から成ってもよい。賦形剤は、活性物の倍散を作るために使用されてもよい。例えば、10%倍散を作るために、100グラムの活性物を、900グラムの好ましい賦形剤、Starch 1500と混ぜる。乾燥した混合物は流動化され、好ましくはコーティングされる。
【0033】
コーティングを提供する場合(活性物の安定性の保護を助け、その味を隠すため)、例えばColorcon CorporationからOPADRY(商標)として販売されている水性膜コート等、食品グレードのコーティングが好ましい。OPADRYは、可塑剤および顔料を含むメチルセルロース系の製品である。コーティングが水性であるため、柔らかいチュウを製造する間、特別な取り扱い上の注意を必要としない。しかし、投与の後、水性膜コートは、胃内の水または他の液体に曝されると、数分で破壊および/または溶解を始める。したがって、柔らかいチュウの分解および溶解は、対象への投与後遅くなることはないはずである。
【0034】
本発明の柔らかいチュウには、任意の経口投与可能な有効薬剤または他の生物活性化合物が提供されてもよい。ヒトおよび/または動物を対象とした製薬分野の当業者は、そのような活性物の特定には完全に精通しているだろう。そのような活性物には、抗生物質、鎮痛剤、抗ウイルス薬、抗真菌薬、駆虫薬、内部および外部寄生虫駆除薬、ホルモンおよび/またはその誘導体、抗炎症薬(非ステロイド系抗炎症薬を含む)、ステロイド、行動修正剤、ワクチン、酸中和剤、下剤、抗けいれん薬、鎮静剤、精神安定剤、鎮咳薬、抗ヒスタミン剤、充血除去剤、去痰薬、食欲促進剤および抑制剤、ミネラル、およびビタミンが含まれるが、これらに限定されない。
【0035】
最終製品中の各成分の量は、薬物の性質、治療対象の体重および状態、ならびに所望の単位用量に依存して、著しく変化する場合がある。当業者は、本開示の教示に照らして、柔らかいチュウの中の特定の活性物の用量を調節することができる。しかし一般的には、活性物は、組成物の総重量に基づく重量として、0.001%から75%(重量比)の範囲で、より好ましくは0.095%から40%の範囲で、最も好ましくは50%を超えない範囲で、提供することができる。例えば、犬糸状虫の治療のためのイベルメクチン等の駆虫薬をイヌに投与する場合(実施例1参照)、デンプンによる倍散を前述の混合物の31.2%となるまで添加することができる。
【0036】
例示的な製品に対して説明される製法は、他の種への活性物の送達に合わせて容易に修正することができる。例えば、ウマ用の柔らかいチュウは、ベーコンの代わりに粉末化した糖蜜、オートブラン、およびリンゴを使用して、同様の基本的製法に基づくことができる。特にネコをひきつける香料は、魚のような風味の大豆ベースの人工化合物を含む。投与されるのがヒトであれば、砂糖または糖蜜等の、より甘い香料が好ましい場合もある。
【0037】
本発明の柔らかいチュウは、投与および安定した貯蔵のために、個包装されていてもよい。適した包装材の例には、HDPEボトルまたはホイル/ホイル包装が含まれる。
【0038】
B.本発明の柔らかいチュウを製造する方法
本発明の柔らかいチュウの活性および非活性成分は、材料をブレンドし、それを混合容器の側面に沿って投入することができる、水平混合機の混合容器に添加される。この動作により、加熱することなく、または混合物へ医薬品グレードの水を添加する必要なく、成分を十分かつ均一にブレンドすることができる。
【0039】
水平混合機は、一般に、混合室と、回転する細長い水平の混合シャフトと、通常水平のシャフトから垂直に懸架して該室内を回転する複数の混合具とを備える(米国特許第5,735,603号を参照。その開示は参照により本明細書に組み込まれる)。混合具は、混合プロセスにおける必要に応じて、存在する材料のすべてを適正に混合するために、回転したときに室壁の形状に従うように構成され採寸されることができる。そのような混合室には、当技術分野で一般にダブルアーム混合機またはリボン混合機と呼ばれる混合機等、円筒形状のものもあれば、槽状のものもある。
【0040】
一般に、水平混合機は、両端で室外に伸びている水平混合シャフトを有する。モータ式混合機では、シャフトは、駆動端と呼ばれるシャフトの一方の端で、シャフトを回転させるための駆動モータに動作可能に結合されている。駆動端では、シャフトは、典型的には、駆動モータと室との間に位置する軸受構造を介して結合されている。軸受構造は、シャフトの駆動端の支持を提供し、また滑らかな回転を確保する。混合室への、およびそこからの材料の漏れを防ぐように、シャフトの長さ方向に沿って別個の密封構造がしばしば提供される。
【0041】
本発明における使用に特に好ましい混合機は、オプションの撹拌羽根を備えた鋤型のリボン混合機である、Littleford Day Corporation製の、FXM SERIES(商標)という混合機である。商業規模の生産には、容量200kgのブレンダを使用することができ、研究規模の作業には50kgという少量のチュウ混合物を生産することができる。混合中は加熱の必要はなく、生産されたブレンド製品は、バッチ間で均一な重量、成分配合、および食感を有する。
【0042】
好ましくは、チュウ混合物の乾燥成分を最初にブレンドし、次に液体成分(保湿剤や軟化剤等)を添加してブレンドし、完全にブレンドされた混合物を形成する。ブレンド後、チュウ混合物は、成形機で個々の用量単位に加工するために、ポートからブレンダを介して適したコンテナへ排出される。
【0043】
本発明において、様々な成形機器を利用することができるが、特に使用に好ましいものは、予成形されたハンバーガーのパテやチキンナゲット等の成形食品の生産での使用のために開発された成型機械である。例えば、米国特許第3,486,186号、第3,887,964号、第3,952,478号、第4,054,967号、第4,097,961号、第4,182,003号、第4,334,339号、第4,338,702号、第4,343,068号、第4,356,595号、第4,372,008号、第4,535,505号、第4,597,135号、第4,608,731号、第4,622,717号、第4,697,308号、第4,768,941号、第4,780,931号、第4,818,446号、第4,821,376号、第4,872,241号、第4,975,039号、第4,996,743号、第5,021,025号、第5,022,888号、第5,655,436号、および第5,980,228号(これらの開示は本明細書に組み込まれる)に開示されている成型機械が、本発明に利用できる代表的な成形機器である。
【0044】
本発明における使用のための好ましい成形機器には、Formax Corporation製のFormax F6(商標)成型機械が含まれる。F6機は、毎分60ストロークの能力がある。6”×6”の正方形の成形ダイを使用して、ストローク毎に、重量4グラム、サイズ約5/8”×5/8”の、約16個のチャンク状の柔らかいチュウ単位を形成することができる。他の形状の製品(骨形状のチュウ等)用のダイもまた利用できる。
【0045】
そのような機械では、回転弁が開くことにより、チュウ混合物は下部の充填用スロットを通って第一組の成形穴に流れ込む。形成プレートが前進し、チュウ混合物を第二組の形成穴に押入れ、次いで、前記形成プレートは後退し、同サイクルを再び開始することができる。成型機構は流体圧によるもので、加熱することなく、成型プレート上に軽い圧力を加えることにより作動する。
【0046】
突き出し機構は、すべての成形プレートの穴から成形された混合物を同時に排出するために、穴に合わせて配置されたカップにより提供される。本発明の柔らかいチュウを成形するために、そのような機械は、サブバッチにつき50,000の混合物産出量のブレンダ使用を仮定して、時間当たりの生産量として、約57,600単位生産することができる。チュウの各バッチは、バルクで包装されてもよく、あるいは、好ましくは、各チュウは貯蔵のためにその後個包装されてもよい。
【0047】
本発明を十分説明してきたが、以下に記載する例を用いて、その実施について説明する。それに反する定義が別段になされていない限り、実施例を通して標準的な略語や寸法が適用される。実施例は本発明の範囲を限定するものではなく、当該範囲は添付の請求項によってのみ定義される。
【0048】
実施例1
犬糸状虫の治療のためのイベルメクチンの柔らかいチュウ
活性物の送達に適した柔らかいチュウの例を、以下の製法1に記載する。
【0049】

【0050】
実施例2
本発明の柔らかいチュウの活性成分をコーティングする方法
活性物(イベルメクチン)を粉砕し、20メッシュの篩で篩い分けを行った。100グラムのイベルメクチンと900グラムのStarch 1500を3分から5分間、乾式混合することにより、10%の倍散を作成した。得られた倍散を流動層カラム中で流動化し、トップの噴霧流動コーターであるWursterコーターや他の適したデバイスを使用して食品グレードのコーティング(OPADRY(商標))を施した。
【0051】
実施例3
本発明の柔らかいチュウの例示的な製造方法
オートブランを除く実施例1および2に列挙したすべての乾燥成分を、20メッシュの篩を通して篩い分けし、ブランとともに水平混合ブレンダの混合容器に入れ、5分間混合した。グリセリンを徐々に添加し、次に植物油と、油に添加されているTenox 4とを徐々に添加した。生成物を3分間混合した。PEG 8000を溶融した後チュウ混合物に比較的速やかに添加し、次にそれをさらに1分間混合した。混合物は、「クッキー生地状」の外観を呈した。
【0052】
チャンク形状の生産用のダイを備えたFormax F6(商標)成形機械を使用して、混合物を個々のチャンクに成形し、貯蔵のために包装した。
【0053】
本発明を十分説明してきたが、その範囲は添付の請求項により定義される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬学的活性成分の送達のための、柔らかい咀嚼可能な薬剤ビヒクルを製造する方法であって、
(a)前記薬剤ビヒクルの前記活性成分および乾燥した非活性成分を、混合機の混合室に提供する工程であって、
(i)前記室は略水平に配置され、混合される材料を受けるための、壁により画定された空間を有し、
(ii)回転可能な混合シャフトが前記室の空間を通って縦方向に伸び、
(iii)前記シャフトを回転させるために、駆動装置が前記混合シャフトに動作可能に結合される、工程と、
(b)乾燥した混合物が形成されるまで、回転させる前記混合シャフトに、前記混合室の空間の壁から離れたその間の場所に該成分を投入させることにより、乾燥した前記活性成分および非活性成分を前記混合室内でブレンドする工程と、
(c)柔らかい咀嚼可能な混合物を形成するために、前記乾燥した混合物に軟化剤を添加し、それをブレンドする工程と、
(d)柔らかい咀嚼可能な混合物を、均一な重量の個々の塊に形成する工程とを含み、
さらに、前記乾燥した、またはブレンドされた咀嚼可能な混合物は、いずれの混合または形成工程の間でも加熱されない、方法。
【請求項2】
工程(a)において、前記活性成分が混合容器に添加される前に、賦形剤による前記活性成分の倍散を調製する工程をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記柔らかい咀嚼可能な混合物に、融解したパラフィンワックスを添加しブレンドする工程(c)’をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項4】
工程(a)において、前記活性成分が混合容器に添加される前に、前記活性成分を食品グレードコーティングでコーティングする工程(d)’をさらに含む、請求項1または2記載の方法。
【請求項5】
薬学的に許容される容器に前記個々の塊が置かれる工程(e)をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項6】
柔らかい咀嚼可能な塊として薬学的に許容される活性成分を含む薬剤ビヒクルであって、前記薬剤は請求項1記載の方法に従い生産される、薬剤ビヒクル。
【請求項7】
非活性成分をさらに含み、前記非活性成分のすべては食品グレード品質である、請求項6記載の薬剤ビヒクル。
【請求項8】
前記非活性成分が、放射線処理されている、または殺菌されている、請求項7記載の薬剤ビヒクル。
【請求項9】
非活性成分をさらに含み、前記非活性成分はいずれも動物由来ではない、請求項6記載の薬剤ビヒクル。
【請求項10】
前記非活性成分は、食品グレード品質の香料を含む、請求項7記載の薬剤ビヒクル。
【請求項11】
前記非活性成分は、非動物由来の香料を含む、請求項9記載の薬剤ビヒクル。
【請求項12】
前記香料は、大豆タンパク製品である、請求項11記載の薬剤ビヒクル。
【請求項13】
前記香料は、人工ベーコン風味大豆タンパク製品である、請求項12記載の薬剤ビヒクル。
【請求項14】
潤滑剤、保湿剤、および充填剤をさらに含む、請求項6記載の薬剤ビヒクル。
【請求項15】
前記薬学的活性成分は、賦形剤による倍散として調製される、請求項6記載の薬剤ビヒクル。
【請求項16】
前記軟化剤は油を含む、請求項14記載の薬剤ビヒクル。
【請求項17】
前記軟化剤はワックスを含む、請求項14記載の薬剤ビヒクル。
【請求項18】
前記薬学的活性物質はコーティングされている、請求項6記載の薬剤ビヒクル。
【請求項19】
保存料をさらに含む、請求項6記載の薬剤ビヒクル。
【請求項20】
前記軟化剤は油およびワックスを含み、前記保湿剤はグリセリンを含み、前記潤滑剤はステアリン酸塩を含む、請求項14記載の薬剤ビヒクル。
【請求項21】
前記薬学的活性成分は、駆虫薬、鎮痛薬、抗生物質、抗ウイルス薬、抗炎症薬、内部寄生虫駆除薬、外部寄生虫駆除薬、および抗真菌薬より成る成分の群から選択される、請求項20記載の薬剤。
【請求項22】
前記薬学的活性成分は駆虫薬である、請求項21記載の薬剤。
【請求項23】
式1の成分と活性成分とを有する、請求項22記載の薬剤。

【公表番号】特表2009−518417(P2009−518417A)
【公表日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−544457(P2008−544457)
【出願日】平成18年12月5日(2006.12.5)
【国際出願番号】PCT/US2006/046470
【国際公開番号】WO2007/067582
【国際公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【出願人】(508170335)トライアド スペシャルティ プロダクツ リミテッド ライアビリティー カンパニー (1)
【Fターム(参考)】