薬物送達のプラットホームとしての粘稠なターポリマー
ラクチド、グリコリド、およびカプロラクトンのターポリマー組成物ならびに開始剤でそのようなポリマーを製造する方法が開示されている。薬物送達プラットホームとしてターポリマーを使用する方法も開示されている。一実施形態において、ラクチド、グリコリド、およびカプロラクトン残基のターポリマーを含むターポリマー組成物が提供され、上記ターポリマーは、開始剤の残基である末端基を含み、上記開始剤は、非結晶性の第一級または第二級アルコールである。また、上記ターポリマー中のラクチド残基の量が、約10〜約60モルパーセントであり、上記ターポリマー中のグリコリド残基の量が、約10〜約40モルパーセントであり、上記ターポリマー中のカプロラクトン残基の量が、約20〜約70モルパーセントである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
この出願は、2007年11月13日に出願された米国仮出願第60/987,648号(これは、その全体が参考として本明細書に援用される)への優先権の利益を主張する。
【0002】
分野
本明細書に開示されている主題は、一般的に、ターポリマーの分野および薬物送達におけるそれらの用途に関する。
【背景技術】
【0003】
グリコリドおよびラクチドのホモポリマーは、文献において広範囲に研究および報告されてきた。そのようなポリマーは、それらのインビボにおける生体分解性および無毒性のために薬理学的応用例において広く受け入れられてきた(例えば、Kulkarniら、「Poly(lactic acid) for surgical implants」、Technical Rep. 6608、Walter Reed Army Medical Center、Washington, D.C.、1966年を参照)。グリコリドおよびラクチドのコポリマーも、ホモポリマーを上回るポリマー特性の改善のために医学的応用例において使用されてきた。例えば、ラクチドおよびグリコリドのコポリマーは、結晶性が低く、中間コポリマー組成物は、ホモポリマーよりも加水分解攻撃を受けやすい。Millerらは、ラクチドおよびグリコリドのホモポリマーからコポリマーへの移行で分解の10倍増を報告した(非特許文献1)。
【0004】
ラクチド−グリコリドコポリマーの加水分解速度は、典型的には、ポリマーのガラス転移温度より上で増加することが注目された。結晶化度およびポリマー鎖配向は、分解を遅らせることが明らかにされた。滅菌のために使用される照射も、分解プロセスを加速することが明らかにされた。したがって、多くの人々は、望ましい特性を持つ特別な組成物をあつらえるためにラクチド−グリコリドコポリマーに対するモノマー比および異なる添加剤の影響を研究してきた。
【0005】
薬物送達のためにポリマーの粘稠な製剤を調製することが望まれることが多い。1つの例において、ATRIX ATRIGEL(商標)は、粘稠な液体として調製することができるポリ(ラクチド−グリコリド)ポリマーである。しかしながら、粘稠な製剤を形成するために比較的多量の有機溶媒(N−メチルピロリドンのような)に溶かさなければならない。溶媒中の典型的なポリマー濃度は、約10%〜50%のオーダーである。別の高粘度注射剤は、Durect社のSABER(商標)であり、これは、少量の溶媒(エタノールのような)の添加で劇的に希薄になる非ポリマー高粘度液体であるスクロースアセテートイソブチレートである。このことは、材料の粘度を実際的な注射可能なレベルまで下げるのに少量の溶媒のみが必要とされるという点でそれを魅力的なものにしている。しかしながら、SABER(商標)材料自体には、プラットホームベースの技術としての材料の属性を調整するために操作することができる要因も変数もほとんどない。
【0006】
別の薬物送達プラットホームは、生体分解性の疎水性ブロックを含有するポリマーミセルを含む。ポリマーミセルは、ポリカプロラクトン(PCL)を含むブロックコポリマーが、1つまたは複数の疎水性ポリマーコア形成用構成成分であり、ポリエチレングリコールが、1つまたは複数の親水性シェル形成用構成成分である場合に記載されてきた(例えば、特許文献1を参照)。そのようなミセルは、これらの粒子の疎水性コアに向かって親和性を有する(および、疎水性コア中に分配する)疎水性または親水性薬物を運ぶか可溶化するのに特に適していることがある。
【0007】
疎水性の生体分解性ポリマー(ラクチドまたはカプロラクトンをベースとするポリエステルなど)のうち、PCLが使用されることが多いのは、より長い鎖長のカプロラクトンが、より疎水性のポリマーを生じるからである。しかしながら、生体分解性の疎水性ブロックとしてのPCLには、それが結晶性から半結晶性ポリマーであるという弱点があり、PCLは、約60℃の融点を有する。ポリマーミセルのコア内の結晶化度は、結晶性領域が、薬物負荷を運ぶための余地も空間も提供しない高度に組織化され、堅く構築された領域であるという点で不利なことがある。したがって、結晶化度は、得られるポリマーミセルの薬物負荷能力を低下させるであろう。高度な結晶性構造を含有することが公知である別の生体分解性ポリマーは、ポリ(L−ラクチド)である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第6,469,132号明細書
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Millerら、「Degradation rates of oral resorbable implants (polylactates and polyglycolates): Rate modification with changes in PLA/PGA copolymers ratios」、J. Biomed. Mater. Res.、(1977年)11巻:711〜719頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
必要とされるものは、粘稠な液体またはポリマーミセルであってよく、ある薬学的および医学的応用例に適している他の独特な特性を有する新たな生体適合性ポリマー組成物である。有機溶媒を必要としないか多量の溶媒のない粘稠な液体である組成物が望まれる。ポリマーミセルを調製するための疎水性で生体分解性のコア形成用ブロックを含み、それにもかかわらずPCLの結晶化度に関連する欠点に悩むこともないポリマーを有することも望まれる。放出、持続時間、および性能に関する変動性を提供するように容易に修飾することができる組成物も望まれる。本明細書に開示されている組成物および方法は、これらおよび他の必要性を満たしている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本明細書に具体化され広く記載されているように、開示されている材料、化合物、組成物、物品、および方法の目的によれば、開示されている主題は、1態様において、組成物ならびにそのような組成物を調製および使用するための方法に関する。さらなる態様において、開示されている主題は、ラクチド、グリコリド、およびカプロラクトンのターポリマーに関する。そのようなターポリマーを製造および使用する方法も開示されている。さらなる態様において、開示されている主題は、最終の粘稠なポリマーに異なる特徴(粘度、親水性、分解速度など)を提供(または、付与)する、異なるヒドロキシル含有開始剤で開始されるラクチド、グリコリド、カプロラクトンの生体分解性ターポリマーからなる粘稠なポリマー液体およびポリマーミセルに関する。
【0012】
追加の利点は、後に続く説明において部分的に示されるものとし、説明から部分的に明らかになるか、下に記載されている態様の実施により学ぶことができる。下に記載されている利点は、添付の特許請求の範囲において特に指摘される要素および組合せによって実現および達成されるであろう。先の一般的説明と下記の詳細な説明は共に、例示的および説明的に過ぎず、限定的ではないことが理解されるべきである。
【0013】
本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成する添付の図面は、下に記載されているいくつかの態様を例示している。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】段階的(stepped−)剪断粘度(ポアズ)対剪断速度(sec−1)の実例グラフを示す図である。強調表示されているデータポイントは、報告されている粘度値が推定される、粘度が剪断速度と無関係である領域を示している。
【図2】異なる開始剤を使用して調製された類似の分子量および組成のターポリマーからの粘度(ポアズ)対剪断速度(sec−1)データのグラフを示す図である。
【図3】異なる開始剤およびモノマー組成で調製された低分子量ターポリマーからの粘度(ポアズ)対剪断速度(sec−1)データのグラフを示す図である。
【図4】0%、10%、20%(w/w)N−メチルピロリドン(NMP)で希釈された実施例3ターポリマーの様々な混合物についての粘度(ポアズ)対剪断速度(sec−1)データのグラフを示す図である。
【図5】0%、5%、10%(w/w)N−メチルピロリドン(NMP)およびPEG−400で希釈された実施例8ターポリマーの様々な混合物についての粘度(ポアズ)対剪断速度(sec−1)データのグラフを示す図である。
【図6】振動レオロジーを使用して決定された選択ターポリマーの貯蔵(G’)および損失弾性率(G”)のグラフを示す図である。
【図7】実施例1ターポリマーの2%負荷組成物からの、モデル親水性小分子化合物、メチレンブルーのインビトロ放出を示すグラフを示す図である。被験組成物は、ターポリマー中に2%メチレンブルーを包含し(ニートポリマー中のメチレンブルー)、次いで、ターポリマー中2%メチレンブルーの製剤を、10%(重量で)エタノールまたはNMPと混合した。
【図8】2%負荷実施例8ターポリマーおよび10%(w/w)NMPまたはエタノールを含有する混合物からの、モデル親水性小分子化合物、メチレンブルーのインビトロ放出を示すグラフを示す図である。
【図9】実施例8ターポリマーの10%負荷製剤からの、モデルペプチド、ゴセレリンのインビトロ放出を示すグラフを示す図である。放出試験は、(およそ)15平方mmの領域全体に広げられた50mgサンプルで行った。
【図10】実施例8ターポリマー中の40%負荷製剤からのブピバカイン塩基のインビトロ放出を示すグラフを示す図である。放出試験は、(およそ)20平方mmの領域全体に広げられた50mgサンプルで行った。
【図11】実施例1ターポリマーの40%負荷製剤からのブピバカイン塩基のインビトロ放出を示すグラフを示す図である。放出試験は、(およそ)20平方mmの領域全体に広げられた50mgサンプルで行った。
【図12】実施例8ターポリマーの40%負荷製剤からのブピバカイン塩基およびブピバカイン塩酸塩のインビトロ放出を示すグラフを示す図である。放出試験は、(およそ)20平方mmの領域全体広げられた120mgサンプルで行った。
【図13】PCSによりPEG−ターポリマーABブロックコポリマーから調製されたポリマーミセルの粒子サイズ分布のグラフを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本明細書に記載されている材料、化合物、組成物および方法は、開示されている主題の具体的態様についての下記の詳細な説明、図面、およびその中に包含される実施例を参照することにより、より容易に理解することができる。
【0016】
本発明の材料、化合物、組成物および方法について開示および記載する前に、下に記載されている態様は、具体的な合成方法にも具体的な試薬にも限定されるものではなく、したがって、言うまでもなく変わることがあることが理解されるべきである。本明細書で使用される用語は、特定の態様について記載することのみを目的とし、限定していることは意図されていないことも理解されるべきである。
【0017】
また、本明細書を通して、様々な刊行物が参照される。これらの刊行物の開示は、それらの全体が、開示されている事柄が関係する現況技術についてより完全に記載するため、本出願中に参照により組み込まれるものとする。開示されている参考文献も、参考文献が頼られる文章中で議論されている参考文献に含有される材料について、本明細書で参照により個別および具体的に組み込まれるものとする。
【0018】
一般的および化学的定義
本明細書および後に続く特許請求の範囲において、多くの用語に言及するが、それらの単語は、下記の意味を有すると定義されるものとする。
【0019】
明細書および特許請求の範囲を通して、「含む(comprise)」という単語、および「含むこと(comprising)」および「含む(comprises)」などの単語の他の形態は、例えば、他の添加剤、構成成分、整数、またはステップを包含するがそれらに限定されるものではないことを意味し、それらを除外することは意図されていない。
【0020】
説明および添付の特許請求の範囲で使用されるように、「ある(a)」、「ある(an)」、および「その(the)」という単数形は、文脈が他の意味を明確に指示していない限り、複数の指示対象を包含する。したがって、例えば、「ある化合物(a compound)」への言及は、2つ以上のそのような化合物の混合物を包含し、「ある薬剤(an agent)」への言及は、2つ以上のそのような薬剤の混合物を包含し、「その組成物(the composition)」への言及は、2つ以上のそのような組成物の混合物を包含するなどである。
【0021】
「任意選択の」または「任意選択で」とは、その後に記載される事象または状況が起きることも起きないこともあり、説明は、事象または状況が起きる場合および起きない場合を包含することを意味する。
【0022】
範囲は、「約」1つの特定の値から、および/または「約」別の特定の値までとして本明細書で表現されることがある。そのような範囲が表現されている場合、別の態様は、1つの特定の値から、および/または別の特定の値までを包含する。同様に、値が、先行詞「約」の使用により近似値として表現されている場合、特定の値は別の態様を形成することが理解されるであろう。「約」という用語は、表示された値の5%以内を意味する。範囲の各々の端点は、他の端点に関して、および他の端点と無関係にどちらも有意であることがさらに理解されるであろう。本明細書に開示されている多くの値があり、各値も、値それ自体に加えて「約」その特定の値として本明細書に開示されていることも理解される。例えば、値「10」が開示されている場合、「約10」も開示されている。ある値が開示されている場合、当業者により適切に理解されるように、その値「以下」、「その値以上」、および値間の可能な範囲も開示されていることも理解される。例えば、値「10」が開示されている場合、「10以下」ならびに「10以上」も開示されている。本出願を通して、データは多くの異なるフォーマットで提供され、これらのデータは、端点および始点ならびにデータポイントの任意の組合せについての範囲を表すことも理解される。例えば、ある特定のデータポイント「10」およびある特定のデータポイント「15」が開示されている場合、10および15を超える、10および15以上、10および15未満、10および15以下、および10および15と等しいは、10と15の間と同様に開示されていると見なされることが理解される。2つの特定のユニット間の各ユニットも開示されていることも理解される。例えば、10および15が開示されている場合、11、12、13、および14も開示されている。
【0023】
ある組成物中のある特定の構成成分の重量部への本明細書および結びの特許請求の範囲における言及は、重量部が表現されているその組成物中のその構成成分と任意の他の構成成分の間の重量関係を意味する。したがって、構成成分X2重量部および構成成分Y5重量部を含有するある化合物において、XおよびYは、2:5の重量比で存在し、追加構成成分がその化合物に含有されているかどうかにかかわらずそのような比で存在する。
【0024】
ある構成成分の重量パーセント(wt.%)は、具体的に反対の記述がない限り、その構成成分が包含されている製剤または組成物の総重量を基準としている。
【0025】
本明細書で使用されるように、ある構成成分の「モルパーセント」または「モル%」とは、具体的に反対の記述がない限り、パーセンテージとして表現されるように、その構成成分のモル数のその構成成分が包含されている組成物の総モル数に対する比を指す。
【0026】
「接触させること」とは、少なくとも1つの物質の別の物質との近接した物理的接触による暴露の事例を意味する。
【0027】
「混合物」、「混合物」、または「混和物」とは、一般的に、2つ以上の異なる構成成分の物理的組合せを指すために本明細書で使用される。ポリマーの場合、ポリマーの混合物、混合物、または混和物は、2つ以上の異なるポリマーの物理的混和物または組合せである。混合物は、必要ではないが、混合構成成分間の反応をもたらし、元の構成成分がほとんどまたはまったく存在しない組成物をもたらすことがある。
【0028】
「十分な量」および「十分な時間」とは、望ましい1つまたは複数の結果を達成する、例えば、ポリマーの一部を溶かすために必要な量および時間を意味する。
【0029】
本明細書で使用されるような「生体適合性の」とは、レシピエントに対して一般的に無毒であり、対象に対していかなる有意な有害作用も有していない材料を指し、さらに、その材料のいずれの代謝物も分解生成物も対象に対して無毒である。
【0030】
「生体分解性の」とは、生理学的条件下でより小さなユニットまたは化学種に分解または腐食し、対象により代謝、排出、または排泄される可能性のある材料を指す。
【0031】
「ポリマー」という一般用語は、文脈が他の意味を明確に指示していない限り、ホモポリマー、コポリマー、ターポリマーなどを包含する。
【0032】
D,L−PLGは、それぞれ指示されたモル比のD,L−ラクチドおよびグリコリドから調製されるポリ(D,L−ラクチド−コ−グリコリド)である。対照的に、L−PLGは、それぞれ指示されたモル比のL−ラクチドおよびグリコリドから調製されるポリ(L−ラクチド−コ−グリコリド)である。D,L−PLは、ポリ(D,L−ラクチド)である。L−PLは、ポリ(l−ラクチド)である。ラクチドという用語は、モノマー単独かラクチドを含有するポリマーおよびコポリマーのどちらかへ言及するのに使用される場合、D,L−ラクチドかL−ラクチドまたはD−ラクチドのどちらかを指すことがある。したがって、ポリ(ラクチド)(PL)は、一般的に、ポリ(D,L−ラクチド)かポリ(L−ラクチド)またはポリ(D−ラクチド)のどちらかを指すことがある。同様に、ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)(PLG)は、ポリ(D,L−ラクチド−コ−グリコリド)かポリ(L−ラクチド−コ−グリコリド)またはポリ(D−ラクチド−コ−グリコリド)のどちらかを指すことがある。PCLは、ポリカプロラクトンである。L、G、CLという略語は、それぞれラクチド、グリコリド、およびカプロラクトンを指すために本明細書で使用される。
【0033】
DLGCLは、それぞれ指示されたモル比のD,L−ラクチド:グリコリド:カプロラクトンから調製されるターポリマーである。ターポリマーは、ランダムまたはブロックであってよい。LGCLは、それぞれ指示されたモル比のL−ラクチド:グリコリド:カプロラクトンから調製されるターポリマーである。ターポリマーは、ランダムまたはブロックであってよい。
【0034】
本明細書で使用されるような「分子量」とは、他に規定がない限り、バルクポリマーの相対的平均鎖長を指す。実際には、分子量は、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)または毛細管粘度測定法を包含する様々な方法で推定または特徴付けすることができる。GPC分子量は、数平均分子量(Mn)ではなく重量平均分子量(Mw)として報告される。毛細管粘度測定法は、特定の一連の濃度、温度、および溶媒条件を使用して希釈ポリマー溶液から決定される固有粘度として分子量の推定値を提供する。
【0035】
本明細書で使用されるような「制御放出」とは、別の物質の放出を調節するための材料の使用を意味する。
【0036】
「生体活性な薬剤」とは、治療的または生物学的に活性な化合物などの開示されているターポリマー組成物に含有されている関心のある化合物を包含するために本明細書で使用される。生体活性な薬剤は、身体内で局所的または全身的に作用する生理学的または薬理学的に活性な物質を包含するが、これらに限定されるものではない。生物学的に活性な薬剤は、例えば、疾患もしくは病気の治療、予防、診断、治癒、もしくは軽減のために使用される物質、身体の構造もしくは機能に影響を及ぼす物質、または、それらが所定の生理学的環境に入れられた後に生理学的に活性になるかより活性になるプロドラッグである。生体活性な薬剤は、ヒトまたは動物の身体において局所的または全身的に作用する生物学的、生理学的、または薬理学的に活性な物質を包含する。例は、薬物、小分子薬物、ワクチン、アジュバント、ペプチド、タンパク質、核酸、ヌクレオチド、およびオリゴヌクレオチドを包含するが、これらに限定されるものではない。「生体活性な薬剤」は、単一のそのような薬剤を包含し、例えば、2つ以上の生体活性な薬剤の組合せを包含する複数の生体活性な薬剤を包含することも意図されている。
【0037】
「賦形剤」とは、治療的にも生物学的にも活性な化合物ではない、開示されているターポリマー組成物に含有することができる任意の他の化合物を包含するために本明細書で使用される。したがって、賦形剤は、薬学的または生物学的に許容できるか適切であるべきであり、例えば、賦形剤は、対象に対して一般的に無毒であるべきである。「賦形剤」とは、単一のそのような化合物を包含し、複数の賦形剤を包含することも意図されている。
【0038】
「薬剤」とは、ターポリマー組成物中またはターポリマー組成物上に含有されている化合物を一般的に指すために本明細書で使用される。薬剤は、生体活性な薬剤または賦形剤を包含することがある。「薬剤」とは、単一のそのような化合物を包含し、複数のそのような化合物を包含することも意図されている。
【0039】
本明細書で使用されるように、「置換されている」という用語は、有機化合物のすべての許容される置換基を包含することが企図されている。広い態様において、許容される置換基は、有機化合物の非環式および環式の、分岐および非分岐の、炭素環式およびヘテロ環式の、ならびに芳香族および非芳香族の置換基を包含する。例示的置換基は、例えば、下に記載されている置換基を包含する。許容される置換基は、適切な有機化合物について1つまたは複数および同じか異なってもよい。本開示の目的で、窒素および酸素などのヘテロ原子は、水素置換基および/またはヘテロ原子の原子価を満足する本明細書に記載されている有機化合物の任意の許容される置換基を有することができる。本開示は、有機化合物の許容される置換基によりいかなる方法によっても限定されることは意図されていない。また、「置換」または「で置換されている」という用語は、そのような置換が、置換されている原子および置換基の許容される原子価に従うこと、および、置換が、安定な化合物、例えば、転位、環化、脱離などによる変換を自然に受けない化合物をもたらすことという暗黙の条件を包含する。また、本明細書で使用されるように、「置換」または「で置換されている」とは、1つの置換基が別の置換基と縮合している立体配置を包含することを意味する。例えば、アリール基で置換されているアリール基(または、逆もまた同様に)は、1つのアリール基が単一のシグマ結合を介して第二のアリール基と結合していること、および、2つのアリール基が縮合している、例えば、一方のアリール基の2つの炭素が、もう一方のアリール基の2つの炭素と共有されていることも意味することがある。
【0040】
「A1」、「A2」、「A3」、および「A4」とは、様々な具体的置換基を表すための一般的記号として本明細書で使用される。これらの記号は、本明細書に開示されている置換基であるがそれらに限定されない任意の置換基であってよく、それらが、1つの文章においてある置換基であると定義されている場合、別の文章において、それらは、何か他の置換基として定義することができないことを意味するものではない。
【0041】
本明細書で使用されるような「アルキル」という用語は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、エイコシル、テトラコシルなどの、1〜40個の炭素原子の分岐または非分岐の飽和炭化水素基である。アルキル基は、置換または非置換であってもよい。アルキル基は、下に記載されているように、アルキル、ハロゲン化アルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アルデヒド、アミノ、カルボン酸、エステル、エーテル、ハライド、ヒドロキシ、ケトン、スルホ−オキソ、スルホニルアミノ、ニトロ、シリル、アジド、ニトロ、ニトリル、またはチオールを包含するがこれらに限定されない1つまたは複数の基で置換されていてよい。「低級アルキル」とは、6個までの炭素原子を有するアルキル基、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、およびヘキシルである。
【0042】
本明細書を通して、「アルキル」とは、一般的に、非置換アルキル基と置換アルキル基の両方を指すために使用されるが、置換アルキル基は、アルキル基上の1つまたは複数の具体的置換基を特定することにより本明細書に具体的に言及されることもある。例えば、「アルキルハライド」という用語は、具体的に、1つまたは複数のハライド、例えば、フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素で置換されているアルキル基を指す。「アルキル」が、1つの文章において使用され、「アルキルハライド」などの具体的用語が、別の文章において使用されている場合、「アルキル」という用語が、「アルキルハライド」などの具体的用語を指すこともないことを暗示することが意味されているものではない。
【0043】
この慣行は、本明細書に記載されている他の基についても使用される。すなわち、「ヘテロアリール」などの用語は、非置換ヘテロアリール部分と置換ヘテロアリール部分の両方を指すが、さらに、置換部分は、本明細書で具体的に特定することができ、例えば、特定の置換ヘテロアリールは、例えば、「アルキルヘテロアリール」と呼ばれることがある。同様に、置換アルケニルは、例えば、「アルケニルハライド」などであってよい。この場合も、「ヘテロアリール」などの一般的用語、および「アルキルヘテロアリール」などの具体的用語を使用する慣行は、一般的用語が具体的用語も包含しないことを暗示することが意味されているものではない。
【0044】
本明細書で使用されるような「アルコキシ」という用語は、エーテル連結を通じて結合しているアルキルまたはシクロアルキル基であり、すなわち、「アルコキシ」基は、A1が上で定義されているようなアルキルまたはシクロアルキルである−OA1と定義することができる。「低級アルキル」とは、6個までの炭素原子を有するアルコキシ基、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペントキシ、およびヘキソキシである。
【0045】
本明細書で使用されるような「アルケニル」という用語は、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を含有する構造式の2〜40個の炭素原子の炭化水素基である。(A1A2)C=C(A3A4)などの非対称構造は、E異性体とZ異性体の両方を包含することが意図されている。このことは、非対称アルケンが存在するか、結合記号C=Cより明示的に示すことができる本明細書の構造式で推測することができる。アルケニル基は、アルキル、ハロゲン化アルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アルデヒド、アミノ、カルボン酸、エステル、エーテル、ハライド、ヒドロキシ、ケトン、スルホ−オキソ、スルホニルアミノ、ニトロ、シリル、アジド、ニトロ、ニトリル、またはチオールを包含するがこれらに限定されない1つまたは複数の基で置換されていてよい。
【0046】
本明細書で使用されるような「アルキニル」という用語は、少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を含有する構造式の2〜40個の炭素原子の炭化水素基である。アルキニル基は、アルキル、ハロゲン化アルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アルデヒド、アミノ、カルボン酸、エステル、エーテル、ハライド、ヒドロキシ、ケトン、スルホ−オキソ、スルホニルアミノ、ニトロ、シリル、アジド、ニトロ、ニトリル、またはチオールを包含するがこれらに限定されない1つまたは複数の基で置換されていてよい。
【0047】
本明細書で使用されるような「アリール」という用語は、ベンゼン、ベンジル、ナフタレン、フェニル、ビフェニル、フェノキシベンゼンなどを包含するがこれらに限定されない任意の炭素ベースの芳香族基を含有する基である。「アリール」という用語は、芳香族基の環内に組み入れられた少なくとも1つのヘテロ原子を有する芳香族基を含有する基と定義される「ヘテロアリール」も包含する。ヘテロ原子の例は、窒素、酸素、硫黄、およびリンを包含するが、これらに限定されるものではない。同様に、「アリール」という用語にも包含される「非ヘテロアリール」という用語は、ヘテロ原子を含有しない芳香族基を含有する基を定義する。アリール基は、置換または非置換であってよい。アリール基は、本明細書に記載されているようなアルキル、ハロゲン化アルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アルデヒド、アミノ、カルボン酸、エステル、エーテル、ハライド、ヒドロキシ、ケトン、スルホ−オキソ、スルホニルアミノ、アジド、ニトロ、ニトリル、またはチオールを包含するがこれらに限定されない1つまたは複数の基で置換されていてよい。「ビアリール」という用語は、具体的タイプのアリール基であり、アリールの定義に包含される。ビアリールとは、ナフタレンにおけるように縮合環構造を介して互いに結合しているか、ビフェニルにおけるように1つまたは複数の炭素−炭素結合を介して接続している2つのアリール基を指す。
【0048】
本明細書で使用されるような「シクロアルキル」という用語は、少なくとも3個の炭素原子からなる非芳香族の炭素ベースの環である。シクロアルキル基の例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロオクチルなどを包含するが、これらに限定されるものではない。「ヘテロシクロアルキル」という用語は、環の炭素原子のうちの少なくとも1つが、窒素、酸素、硫黄、またはリンなどであるがこれらに限定されないヘテロ原子で置換されている、上で定義されているようなシクロアルキル基である。シクロアルキル基およびヘテロシクロアルキル基は、置換または非置換であってよい。シクロアルキル基およびヘテロシクロアルキル基は、アルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アルデヒド、アミノ、カルボン酸、エステル、エーテル、ハライド、ヒドロキシ、ケトン、スルホ−オキソ、スルホニルアミノ、ニトロ、アジド、ニトリル、シリル、またはチオールを包含するがこれらに限定されない1つまたは複数の基で置換されていてよい。
【0049】
本明細書で使用されるような「シクロアルケニル」という用語は、少なくとも3個の炭素原子からなる非芳香族の炭素ベースの環であり、少なくとも1つの二重結合、例えば、C=Cを含有する。シクロアルケニル基の例は、シクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロペンタジエニル、シクロヘキセニル、シクロヘキサジエニルなどを包含するが、これらに限定されるものではない。「ヘテロシクロアルケニル」という用語は、あるタイプの上で定義されているようなシクロアルケニル基であり、「シクロアルケニル」という用語の意味の中に包含され、環の炭素原子のうちの少なくとも1つは、窒素、酸素、硫黄、またはリンなどであるがこれらに限定されないヘテロ原子で置換されている。シクロアルケニル基およびヘテロシクロアルケニル基は、置換または非置換であってよい。シクロアルケニル基およびヘテロシクロアルケニル基は、アルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アルデヒド、アミノ、カルボン酸、エステル、エーテル、ハライド、ヒドロキシ、ケトン、スルホ−オキソ、スルホニルアミノ、ニトロ、シリル、アジド、ニトリル、またはチオールを包含するがこれらに限定されない1つまたは複数の基で置換されていてよい。
【0050】
「環式基」という用語は、アリール基(例えば、ヘテロアリール、ビアリール)、非アリール基(すなわち、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、シクロアルケニル、およびヘテロシクロアルケニル基)、または両方のいずれかを指すために本明細書で使用される。環式基は、置換または非置換であってよい1つまたは複数の環系を有する。環式基は、1つもしくは複数のアリール基、1つもしくは複数の非アリール基、または1つもしくは複数のアリール基および1つもしくは複数の非アリール基を含有することができる。
【0051】
本明細書で使用されるような「アルデヒド」という用語は、式−C(O)Hにより表される。本明細書を通して、「C(O)」とは、カルボニル基、すなわち、C=Oについての短縮表記である。
【0052】
本明細書で使用されるような「アミン」または「アミノ」という用語は、式
【0053】
【化1】
により表され、A1、A2、およびA3は、各々、お互いと無関係に、水素、上に記載されているアルキル、ハロゲン化アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルキル、またはヘテロシクロアルケニル基であってよい。また、A1、A2、およびA3置換基のうちのいずれかは、存在しなくてよく、残りの置換基のうちのいずれかは、多価基であってよく、すなわち、Nと2つ以上の結合を形成する。
【0054】
本明細書で使用されるような「カルボン酸」という用語は、式−C(O)OHにより表される。「カルボキシレート」という用語は、脱プロトン化されたカルボン酸、すなわち、−C(O)O−である。プロトン化および脱プロトン化は、pHの変化により実現することができる。「カルボン酸」および「カルボキシレート」という用語は、相互交換可能であると理解される。
【0055】
本明細書で使用されるような「エステル」という用語は、A1が、本明細書に記載されているような置換または非置換のアルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、シクロアルキニル、アリール、またはヘテロアリール基であってよい、式−OC(O)A1または−C(O)OA1により表される。
【0056】
本明細書で使用されるような「エーテル」という用語は、A1およびA2が、独立して、本明細書に記載されているような置換または非置換のアルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、シクロアルキニル、アリール、またはヘテロアリール基であってよい、式A1OA2により表される。
【0057】
本明細書で使用されるような「ハライド」という用語は、ハロゲンのフッ素、塩素、臭素、およびヨウ素を指す。
【0058】
本明細書で使用されるような「ヒドロキシル」という用語は、式−OHにより表される。
【0059】
本明細書で使用されるような「ケトン」という用語は、A1およびA2が、独立して、本明細書に記載されているような置換または非置換のアルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、シクロアルキニル、アリール、またはヘテロアリール基であってよい、式A1C(O)A2により表される。
【0060】
本明細書で使用されるような「アジド」という用語は、式−N3により表される。
【0061】
本明細書で使用されるような「ニトロ」という用語は、式−NO2により表される。
【0062】
本明細書で使用されるような「ニトリル」という用語は、式−CNにより表される。
【0063】
本明細書で使用されるような「シリル」という用語は、A1、A2、およびA3が、独立して、水素または本明細書に記載されているような置換もしくは非置換のアルキル、シクロアルキル、アルコキシ、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、シクロアルキニル、アリール、もしくはヘテロアリール基であってよい、式−SiA1A2A3により表される。
【0064】
本明細書で使用されるような「スルホ−オキソ」という用語は、A1が、水素または本明細書に記載されているような置換もしくは非置換のアルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、シクロアルキニル、アリール、もしくはヘテロアリール基であってよい、式−S(O)A1、−S(O)2A1、−OS(O)2A1、または−OS(O)2OA1により表される。本明細書を通して、「S(O)」とは、S=Oについての短縮表記である。「スルホニル」という用語は、A1が、水素または本明細書に記載されているような置換もしくは非置換のアルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、シクロアルキニル、アリール、もしくはヘテロアリール基であってよい、式−S(O)2A1により表されるスルホ−オキソ基を指すために本明細書で使用される。本明細書で使用されるような「スルホン」という用語は、A1およびA2が、独立して、本明細書に記載されているような置換または非置換のアルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、シクロアルキニル、アリール、もしくはヘテロアリール基であってよい、式A1S(O)2A2により表される。本明細書で使用されるような「スルホキシド」という用語は、A1およびA2が、独立して、本明細書に記載されているような置換または非置換のアルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、シクロアルキニル、アリール、もしくはヘテロアリール基であってよい、式A1S(O)A2により表される。
【0065】
本明細書で使用されるような「スルホンアミド」という用語は、A1が、水素、本明細書に記載されているような置換または非置換のアルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、シクロアルキニル、アリール、もしくはヘテロアリール基であってよい、式−S(O)2NA1−により表される。
【0066】
本明細書で使用されるような「チオール」という用語は、式−SHにより表される。
【0067】
「R1」、「R2」、および、nが何らかの整数である「Rn」は、本明細書で使用されるように、独立して、上に列挙されている基のうちの2つ以上を持つことができる。例えば、Rが、直鎖アルキル基である場合、アルキル基の水素原子のうちの1つは、任意選択で、ヒドロキシル基(OH)、アルコキシ基、ハライドなどで置換されていてよい。選択される基に応じて、第一の基は、第二の基の中に組み入れられることがあり、あるいは、第一の基は、第二の基に懸垂している(すなわち、接続している)か縮合していてよい。
【0068】
「オルト」、「メタ」、および「パラ」という用語は、それぞれ1,2−、1,3−、および1,4−二置換ベンゼンを指す。
【0069】
本明細書で使用されるように、「アルコール」という用語は、少なくとも1つのヒドロキシル基(−OH)を有する化合物を指す。「ポリオール」という用語は、2つ(「ジオール」と具体的に呼ばれることがある)以上のヒドロキシル基を有するアルコールを指す。反対の記述がない限り、「アルコール」という用語は、ジオール、トリオール、ポリオールならびにポリマーアルコールおよびポリマーポリオールも指すために本明細書で使用される。アルコールの非限定的な例は、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、オクタノール、デカノール、ドデカノール、オレイルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール;短鎖アルコール(例えば、C1〜C6アルコール)、中鎖アルコール(例えば、C7〜C12)、長鎖アルコール(例えば、C13〜C24アルコール)など;飽和アルコール、不飽和アルコール;ベンジルアルコール、エチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−プロピレングリコール、グリセロール、および修飾ポリビニルアルコールなどのポリマーアルコール、ヒドロキシル含有PVP、ならびにアルコキシキャップされていることがあるポリアルキレンオキシホモおよびコポリマー、例えば、PEG、MPEG600などを包含する。アルコールの他の例は、本明細書の他の場所に開示されている。
【0070】
反対の記述がない限り、化学結合が、楔としてでも破線としてでもなく実線としてのみで示されている式は、各々の可能な異性体、例えば、各々のエナンチオマーおよびジアステレオマー、ならびにラセミ混合物またはスケールミック混合物などの異性体の混合物を企図している。
【0071】
ポリマーは、ポリマーを作り上げるために使用される特定のモノマーに言及することにより本明細書で参照されることが理解される。モノマーは、おそらく重合反応から使い残される一部の残留量を除いて、ポリマー中には実際に存在しないことは言うまでもない。したがって、例えば、ポリカプロラクトンは、カプロラクトンを実際に含有せず(この場合も、おそらく一部の残留未反応モノマーを除いて)、開環重合したモノマーカプロラクトンからの繰り返しユニットを含有する。この命名規則は、当技術分野において共通である。
【0072】
次に、開示されている材料、化合物、組成物、構成成分、装置、品目、および方法の具体的態様に詳細に言及するものとし、それらの例は、下記の説明および例、ならびに図面およびそれらの前および下記の説明で例示される。
【0073】
材料および組成物
本明細書には、開示されている方法の生成物および組成物のために使用することができる、それらと併せて使用することができる、それらを調製するのに使用することができる、またはそれらである材料、化合物、組成物、および構成成分が開示されている。これらおよび他の材料は、本明細書に開示されており、これらの材料の組合せ、サブセット、相互作用、群などが開示されている場合、これらの化合物の各々の様々な個別的および集合的組合せおよび並べ替えに関する具体的言及が明確に開示されていなくても、各々は、具体的に企図され本明細書に記載されていることが理解される。例えば、ある化合物が開示されており、その化合物の多くの構成成分または残基に対して行うことができる多くの修正形態が議論されている場合、具体的に反対の指示がない限り、可能である各々のおよびすべての組合せおよび並べ替えが具体的に企図されている。したがって、あるクラスの構成成分A、B、およびCが開示されているだけでなく、あるクラスの構成成分D、E、およびFならびに組合せ組成物A−Dの例が開示されている場合、たとえ各々が個別に列挙されていなくても、各々は、個別的および集合的に企図されている。したがって、この例において、組合せA−E、A−F、B−D、B−E、B−F、C−D、C−E、およびC−Fの各々は、具体的に企図されており、A、B、およびC;D、E、およびF;ならびに実例組合せA−Dの開示から開示されていると見なされるべきである。同様に、これらの任意のサブセットまたは組合せも、具体的に企図および開示されている。したがって、例えば、A−E、B−F、およびC−Eのサブグループは、具体的に企図されており、A、B、およびC;D、E、およびF;ならびに実例組合せA−Dの開示から開示されていると見なされるべきである。この概念は、開示されている組成物を製造および使用する方法におけるステップを包含するがそれに限定されない本開示のすべての態様に当てはまる。したがって、行うことができる様々な追加ステップがある場合、これらの追加ステップの各々は、開示されている方法の任意の具体的態様または態様の組合せで行うことができ、各々のそのような組合せは、具体的に企図されており、開示されていると見なされるべきであることが理解される。
【0074】
本明細書には、ある態様において、(ヒドロキシル含有)アルコール開始剤を使用して調製されるターポリマーが開示されている。アルコール開始剤の選別および選択は、最終ポリマーの属性を変化または操作することができる1方法を可能にする。例えば、得られるターポリマーの最終粘度は、脂質様もしくは長鎖アルコール開始剤または低粘度アルコール開始剤の選択により影響を受けることがある。例えば、脂質様開始剤1−ドデカノールまたはオレイルアルコールを使用して調製される本明細書に開示されているようなターポリマーは、小分子開始剤(グリコール酸エチルなど)から調製される類似のターポリマーよりも低い粘度を有することがある。また、得られるポリマーの相対的親油性は、中鎖または長鎖(脂質様)アルコール開始剤の選択により影響を受けることがある。得られるポリマーの相対的親水性は、親水性または水溶性アルコール開始剤(例えば、メトキシPEG−400など)の選択により影響を受けることがある。疎水性開始剤を用い、ポリマーの相対的分解速度を減速させることができ、逆に、より親水性の開始剤は、相対的に速い分解速度をもたらすことがある。得られるポリマーの粘度またはレオロジー的挙動は、ポリマーアルコール開始剤の選択によりまたは2つ以上のヒドロキシル基を含有する開始剤の選択により影響を受けることがある。ポリオールを使用し、鎖長に極めて左右されるシヤスィニング挙動または粘度などの普通でないレオロジー的特性を有する分岐ターポリマーを調製することができる。さらに、モノマー組成の変化は、最終ポリマーの特徴を調整することができる追加経路を可能にする。例えば、コポリマー組成への操作(例えば、相対的カプロラクトン含有量を増加させることなど)を利用し、ガラス転位温度を下げ、粘度を下げ、疎水性を変え、総分解速度に影響を及ぼし操作することができる。
【0075】
ターポリマー
本明細書には、ヒドロキシル含有開始剤で開始されるラクチド、グリコリド、およびε−カプロラクトンの生体分解性および生体適合性のターポリマーを含む組成物が開示されている。ターポリマーは、3種の特徴的なモノマー繰り返しユニットからなるポリマーである。特定の組成範囲のラクチド(L)、グリコリド(G)、およびε−カプロラクトン(CL)を有するターポリマーは、物理的外観が「シロップ状」であると文献に報告されている(その全体が、特に、ターポリマーならびにそれらを製造および使用する方法に関するその教示のため、参照により本明細書に組み込まれているHubbellおよびSawhney、「Rapidly degraded terpolymers of d,l−lactide, glycolide and ε−caprolactone with increased hydrophilicity by copolymerization with polyethers」、J. Biomed. Mater. Res.、24巻:1397〜1411頁、1990年を参照)。グリコリド、 ラクチド、およびε−カプロラクトンが有する著しく異なる特性のため、ターポリマー中のこれらのモノマーの量を変えることにより、ポリマーの形態および特性を有意に制御することができる。また、分子量および開始剤を変えることにより、開示されているターポリマーの粘度、親水性、分解速度、および/または流動特性を制御することができる。
【0076】
開示されているターポリマー組成物は、ある例において、注射により投与することが可能である粘稠な液体ポリマー薬物送達プラットホームである。別の態様において、それらを使用し、経口、局所、または注射投与のための疎水性および親油性薬物を可溶化することが可能であるポリマーミセルを形成することができる。制御された薬物送達のためのポリマーミセルまたは粘稠な薬物送達プラットホームとして開示されているターポリマー組成物を使用する方法も開示されている。開示されているターポリマーからなる製剤は、ターポリマー組成物それ自体の中に生体活性な薬剤などの二次的構成成分を含有することができ、あるいは、製剤は、小レベルの生体適合性溶媒(一例として、とりわけ、エタノール)で可塑化されるターポリマーからなっていてよい。
【0077】
開示されているターポリマーにおいて、ラクチドは、約10〜約60モルパーセントの量で存在することができる。例えば、ラクチドは、約10〜約30モルパーセント、約20〜約40モルパーセント、約30〜約50モルパーセント、約40〜約60モルパーセント、約50〜約60モルパーセント、約10〜約20モルパーセント、約20〜約30モルパーセント、約25〜約45モルパーセント、約45〜約60モルパーセント、約10〜約25モルパーセント、約12〜約18、または約13〜約16モルパーセントの量で存在することができる。他の例において、ラクチドは、約10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、または60モルパーセントで存在することができ、表示される値のいずれも、範囲の上端点または下端点を形成することができる。具体的例において、開示されているターポリマーは、ラクチド約15モル%を含む。
【0078】
開示されているターポリマーにおいて、グリコリドは、約10〜約40モルパーセントの量で存在することができる。例えば、グリコリドは、約10〜約20、約20〜約30、約30〜約40、約15〜約25、約25〜約35、約22〜約28、または約24〜約26モルパーセントの量で存在することができる。他の例において、グリコリドは、約10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30モルパーセントで存在することができ、表示される値のいずれも、範囲の上端点または下端点を形成することができる。具体的例において、開示されているターポリマーは、グリコリド約25モル%を含む。
【0079】
開示されているターポリマーにおいて、ε−カプロラクトンは、約20〜約70モルパーセントの量で存在することができる。例えば、ε−カプロラクトンは、約20〜約50モルパーセント、約30〜約60モルパーセント、約40〜約70モルパーセント、約20〜約40モルパーセント、約20〜約30モルパーセント、約30〜約50モルパーセント、約40〜約60モルパーセント、約50〜約70モルパーセント、約40〜約50、約50〜約60、約60〜約70、約40〜約55、約45〜約60、約45〜約65、約55〜約65、または約58〜約63モルパーセントの量で存在することができる。他の例において、ε−カプロラクトンは、約20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、または60モルパーセントで存在することができ、表示される値のいずれも、範囲の上端点または下端点を形成することができる。具体的例において、開示されているターポリマーは、ε−カプロラクトン約60モル%を含む。
【0080】
開示されているターポリマーは、極めて粘稠から低粘度に及ぶ粘度を有することができる。それらは、粘着性のワックスまたはペーストから流動可能か注射可能な液体であってよい。例えば、開示されているターポリマーは、約0.02〜0.25の、30℃にてクロロホルム中0.5%(wt/vol)ターポリマーで測定される固有粘度を有する。他の例において、固有粘度は、約0.02〜約0.10、約0.05〜約0.15、約0.10〜約0.25、約0.12〜約0.18、約0.14〜約0.16、約0.11〜約0.19、約0.13〜約0.17、約0.11〜約0.15、または約0.12〜約0.17であってよい。具体的例において、30℃にてクロロホルム中0.5%(wt/vol)ターポリマーで測定される固有粘度は、約0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.10、0.11、0.12、0.13、0.14、0.15、0.16、0.17、0.18、0.19、0.20、0.21、0.22、0.23、0.24、または0.25であり、表示される値のいずれも、範囲の上端点または下端点を形成することができる。
【0081】
開示されているターポリマーのMwは、約25,000未満、例えば、約650〜約25,000ダルトンであってよい。他の例において、Mwは、約650〜約8,000、約1,000〜約6,000、約1,000〜約4,000、約1,500〜約2,500、約7,000〜約14,000、約8,000〜約13,000、約9,000〜約12,000、約10,000〜約11,000、約6,000〜約10,000、または約7,000〜約11,000ダルトンであってよい。具体的例において、Mwは、約650、750、850、950、1,000、1,500、2,000、2,500、3,000、3,500、4,000、4,500、5,000、5,500、6,000、6,500、7,000、7,500、8,000、8,500、9,000、9,500、10,000、10,500、11,000、11,500、12,000、12,500、13,000、13,500、14,000、14,500、15,000、15,500、16,000、16,500、17,000、17,500、18,000、18,500、19,000、19,500、20,000、20,500、21,000、21,500、22,000、22,500、23,000、23,500、24,000、24,500、または25,000ダルトンであってよく、表示される値のいずれも、範囲の上端点または下端点を形成することができる。
【0082】
開示されているターポリマーのMnは、15,000ダルトン未満である。より典型的には、Mnは、約500〜約8,000ダルトンである。例えば、Mnは、約500〜約2,000、約500〜約4,000、約500〜約6,000、約500〜約7,000、約2,000〜約12,000、約2,000〜約10,000、約2,000〜約8,000、約2,000〜約6,000、約3,000〜約6,000、約4,000〜約5,000、約2,000〜約5,000、約4,000〜約8,000、または約5,000〜約6,000ダルトンであってよい。具体的例において、Mnは、約500、1,000、1,500、2,000、2,500、3,000、3,500、4,000、4,500、5,000、5,500、6,000、6,500、7,000、7,500、8,000、8,500、9,000、9,500、10,000、10,500、11,000、11,500、12,000、12,500、13,000、13,500、14,000、14,500、または15,000ダルトンであってよく、表示される値のいずれも、範囲の上端点または下端点を形成することができる。
【0083】
開示されているターポリマーの多分散性は、約1.0〜約3.0であってよい。例えば、多分散性は、約1.0〜約2.5、約1.5〜約3.0、約1.0〜約2.0、約1.5〜約2.5であってよい。具体的例において、多分散性は、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、または3.0であってよく、表示される値のいずれも、範囲の上端点または下端点を形成することができる。
【0084】
開示されているターポリマーは、約20℃未満のガラス転移温度(Tg)を有することができる。例えば、Tgは、約15未満、約10未満、約5未満、約0未満、約−5未満、約−10未満、約−15未満、約−20未満、約−25未満、約−30未満、約−35未満、または約−40℃未満であってよい。
【0085】
開示されているターポリマーは、ターポリマーの総重量を基準として、約3.0重量%以下のモノマーのうちのいずれか1つ(すなわち、ラクチド、グリコリド、またはカプロラクトンのいずれか)の残留量を有することができる。例えば、開示されているターポリマー中の残留モノマーのうちのいずれか1つの量は、約2.5未満、約2.0未満、約1.5未満、約1.0未満、約1.0未満、約0.5未満、または約0.2重量パーセント未満であってよく、表示される値のいずれも、範囲の上端点または下端点を形成することができる。
【0086】
理論により束縛されたくはないが、非晶性ポリマーの自由体積は、温度がTgより上に上昇するとすぐに増加する。熱エネルギーは、ポリマー鎖の間に追加の空きスペースを作り出す働きをし、局所的部分運動の増加を可能にする。Tgより上で、非晶性ポリマーは、ガラス状固体というよりはむしろゴム状液体に近い挙動をする。所与のポリマータイプについて、Tgは、数平均分子量と共に増加する。幾分高い重合度で、Tgは、頭打ちになる傾向がある。その理由としては、低分子量ポリマーの場合、効率的に詰まらないポリマー鎖端の相対的存在量が、システムにおける追加自由体積に寄与するからである。この理由から、本開示は、重量平均分子量が約50,000g/mol未満、または、より詳細には約25,000g/mol未満のターポリマーについて記載する。さらに、開示されているターポリマーは、全体の予想される作業温度範囲にわたって非晶性であることが予想される。
【0087】
開示されているターポリマーは、ポリマー生成物に異なる特徴を提供する異なるヒドロキシル含有開始剤を使用して合成される。したがって、本明細書には、適切な触媒に存在下で、開始剤を一定量のモノマーに添加することによりターポリマーを形成する方法が開示されている。開始剤は、ポリマーに組み入れられることとなり、末端基生成物質と考えることができる。Tgおよび粘度は、ポリマーパッキングを壊して自由体積を増加させるように働く開始用フラグメントを使用することによりさらに低減することができる。
【0088】
さらに、開示されているターポリマーにおいて、ポリマーミセルコアを形成するために使用される1つまたは複数の疎水性生体分解性ブロックは、ラクチド、グリコリドおよびカプロラクトンの非晶質形成性ランダム配列を含む。親水性シェルは、ポリエチレングリコールおよびメトキシエンドキャップされたポリエチレングリコールなどの極性で親水性の開始剤フラグメントまたはヒドロキシ含有ポリビニルピロリドン(PVP)などの他の適当に極性のセグメントからなる。開始剤フラグメントの他に、親水性ブロックを、合成化学者に周知である標準的カップリング化学反応を介して疎水性コアとカップリングさせることができる。
【0089】
開始剤
開始剤は、モノマーとの反応を通じてヒドロキシル基を発生することが可能であるアルコールである。添加されるアルコール開始剤は、大気中の水分へのその暴露、すなわち、貯蔵の長さなどの要因に応じて、バッチ毎にならびに所与のバッチについて存在することがあるいかなる残留水とも違う、主要な開始用分子種である。したがって、ある態様において、開始剤は、水ではない。水開始剤を有することは、遊離酸基を含むターポリマー分子をもたらすであろう。したがって、開示されているターポリマーは、遊離酸を実質的に含まない。「実質的に含まない」とは、遊離酸を含むターポリマーが、最終ターポリマー組成物中に約5、4、3、2、1、0.5、0.25、または0.1モル%未満で存在することを意味する。
【0090】
開始剤は、第一級アルコール(R−CH2−OH)、第二級アルコール(RR’CH−OH)、2種以上の異なる第一級アルコールの混合物、2種以上の異なる第二級アルコールの混合物、または第一級アルコールと第二級アルコールの混合物であってよく、RおよびR’は、飽和または不飽和の、直線または分岐のアルキル鎖であってよい。RおよびR’は、各々、酸素または窒素などのヘテロ原子を有することができる。RおよびR’は、各々、置換または非置換のフェニルであってよい。重合後、開始剤は、ターポリマーの1つまたは複数の末端基になり、したがって、ターポリマーの共有結合的な部分である。
【0091】
適当な開始剤は、室温以上で非結晶性である。例えば、適当な開始剤は、室温以上で粘稠な、ワックス状の、半固体および/または液体である。開始剤は、室温以下のTg(ガラス転移温度)も有するべきである。さらに、適当な開始剤は、無毒で生体適合性である。適当な開始剤は、適合性であるべきで(すなわち、分解せず)、開示されているターポリマーに可溶である。理論により束縛されたくはないが、開始剤は、開示されているターポリマーを軟化および可塑化する役割を果たす。
【0092】
適当な開始剤の一部の具体的な例は、1〜5個の炭素原子を含む短鎖アルコール(例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、1−ブタノール、sec−ブタノール、イソブタノール、tertブタノール、ペンタノールなど)を包含するが、これらに限定されるものではない。他の適当な開始剤は、6〜22個の炭素原子を含む飽和および不飽和の長鎖アルコール(例えば、1−ヘキサノール、2−エチルヘキサノール、1−ヘプタノール、1−オクタノール(カプリルアルコール)、1−ノナノール、1−デカノール(カプリンアルコール)、1−ウンデカノール、1−ドデカノール(ラウリルアルコール)、1−トリデカノール、1−テトラデカノール(ミリスチルアルコール)、1−ペンタデカノール、1−ヘキサデカノール(セチルアルコール)、1−ヘプタデカノール、1−オクタデカノール(ステアリルアルコール)、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、パルミトレイルアルコール、ペトロセレニル(petroselenyl)アルコール、バクセニルアルコール、ギプトール、リノレイルアルコール、リノレニルアルコール、リシノレイルアルコールなど)を包含するが、これらに限定されるものではない。
【0093】
開始剤のさらなる例は、エチレンジオール、ジエチレンジオール、トリエチレンジオール、ネオペンチルジオール、1,3−プロパンジオール、グリセロール、1,4−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,3−ペンタンジオール、ペンタエリスリトール、1,6−ヘキサンジオール、1,3−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,10−デカンジオール、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール、3−メチル−2,4−ペンタンジオール、2−メチル−1,4−ペンタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、2−エチル−1−1,3−ヘキサンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、およびそれらの混合物を包含するが、これらに限定されるものではない。さらなる例は、(2R,3R)−ブタン−1,2,3,4−テトラオール、(2S,3R)−ブタン−1,2,3,4−テトラオール、(2R,3S)−ブタン−1,2,3,4−テトラオール、(2S,3S)−ブタン−1,2,3,4−テトラオール、(2R,3R,4R)−ペンタン−1,2,3,4,5−ペンタオール、(2S,3R,4R)−ペンタン−1,2,3,4,5−ペンタオール、(2R,3S,4R)−ペンタン−1,2,3,4,5−ペンタオール、(2R,3R,4S)−ペンタン−1,2,3,4,5−ペンタオール、(2S,3S,4R)−ペンタン−1,2,3,4,5−ペンタオール、(2S,3R,4S)−ペンタン−1,2,3,4,5−ペンタオール、(2R,3S,4S)−ペンタン−1,2,3,4,5−ペンタオール、および(2S,3S,4S)−ペンタン−1,2,3,4,5−ペンタオールを包含するが、これらに限定されるものではない。
【0094】
別のクラスの適当な開始剤は、モノ−ヒドロキシポリ(エチレングリコール)、ジ−ヒドロキシポリ(エチレングリコール)、ポリ(エチレングリコール)誘導体および多官能基化(multi−functionalized)(マルチ−ヒドロキシル(multi−hydroxyl))ポリ(エチレングリコール)、ならびにそれらの混合物である。
【0095】
開始剤の一部の追加例は、一官能性アルコールC1〜C24、二官能性アルコール、三官能性アルコール、四官能性アルコール、多官能性アルコール、第一級、第二級、および第三級アルコール、飽和または不飽和アルコール、ヒドロキシ含有カルボン酸、ヒドロキシ含有脂肪酸(飽和または不飽和のヒドロキシ含有脂肪酸を包含する)(リシノール酸など)、コール酸、ケノデオキシコール酸、グリココール酸、タウロコール酸、デオキシコール酸およびそれらの組合せを包含する胆汁酸塩、ヒドロキシ含有アミノ酸、ヒドロキシ含有ペプチド、糖アルコール、単糖、二糖、糖酸、グリコールエーテル、ポリマー多官能性アルコール(ポリオール)、ならびにポリエーテルポリオールである。
【0096】
開始剤のさらなる例は、ベンジルアルコール、グリコール酸エチル、グリコール酸、乳酸、ヒドロキシ酪酸、セリン、スレオニン、セリン含有ペプチド、スレオニン含有ペプチド、マンニトール、ソルビトール、グルコース、フルクトース、スクロース、グルクロン酸、1〜約30個のグリセロールユニットを含有するポリグリセロールエーテル、1〜約30個のエチレングリコールユニットを含有するポリエチレングリコール、および分岐ポリエチレングリコールを包含するが、これらに限定されるものではない。
【0097】
モノマーの開始剤に対する比は、約30:1〜1:1の範囲であってよい。例えば、モノマーの開始剤に対する比は、約30:1、29:1、28:1、27:1、26:1、25:1、24:1、23:1、22:1、21:1、20:1、19:1、18:1、17:1、16:1、15:1、14:1、13:1、12:1、11:1、10:1、9:1、8:1、7:1、6:1、5:1、4:1、3:1、2:1、または1:1であってよい。1つの例において、モノマーの開始剤に対する比は、21:1であってよい。
【0098】
二次的構成成分(または薬剤)
開示されているターポリマー組成物は、1つまたは複数の二次的な構成成分または薬剤を含むこともできる。二次的構成成分は、開示されているターポリマーに添加されるかそれらと混合される生体活性な薬剤、生体分子、賦形剤、薬剤、修飾剤、界面活性剤、粘度調整剤、保存剤、および/またはアジュバントである。二次的構成成分は、ターポリマーと共有結合的に接続するか、中に包埋するか、ターポリマー中に混合することができる。二次的構成成分は、ターポリマーの合成中に存在してよいが、大部分の場合において、二次的構成成分は、ターポリマーが合成された後でターポリマー組成物に添加される。
【0099】
本明細書の多くの例において、ターポリマー組成物は、二次的構成成分として1つまたは複数の生体活性な薬剤(例えば、薬学的な(薬物またはワクチン)、栄養素、生体分子)、コントラスト剤、イメージング剤、色素、標的化部分、合成ポリマー、磁性粒子、放射線不透過剤などを有することができる。すなわち、開示されているターポリマー組成物は、ヒトまたは非ヒト動物にとって治癒的、治療的、または診断的価値を有する多種多様の放出可能な生体活性な薬剤のための担体および送達装置として使用することができる。本明細書に記載されている生体活性な薬剤のいずれも、この点において使用することができる。開示されている組成物により運ぶことができるこれらの物質の多くが本明細書で議論されている。
【0100】
二次的構成成分が、生体活性な薬剤である場合、それは、疾患または病気を治療するために使用される薬物または他の薬学的に活性な薬剤であってよい。したがって、生体活性な薬剤を包含する薬剤を使用し、ヒトまたは動物において疾患または病気を治療することができる。任意のそのような医薬品を、二次的構成成分として使用することができる。医薬品の適当な例は、少なくとも医薬品についてのそれらの教示のために各々が参照により本明細書に組み込まれているMerck Index(第13版、Wiley、2001年)、The United States Pharmacopeia−National Formulary (USP−NF)、およびFDA’s Orange book中に見いだすことができる。生体活性な薬剤を包含する潜在的治療剤が、開示されているターポリマー組成物における適当な二次的構成成分であってよいことも企図されている。得られる医薬品−ターポリマー組成物は、適用部位に隣接するか適用部位から離れている組織への薬物または他の生物学的に活性な薬剤の持続的で長時間作用性の連続的送達のためのシステムを提供することができる。多くの場合において、医薬品−ターポリマー組成物は、注射可能である。そのように治療することができる疾患または病気のクラスは、「Goodman & Gilman’s The Pharmacological Basis of Therapeutics」(McGraw−Hill、第9版)中に見いだされるものを包含する。
【0101】
適当な生体活性な薬剤は、それが適用される生物学的システムにおいて局所的または全身的な生物学的、生理学的、または治療的効果を提供することが可能である。例えば、生体活性な薬剤は、いくつかある機能の中で特に、感染または炎症を制御し、細胞成長および組織再生を亢進し、腫瘍成長を制御し、鎮痛剤として作用し、抗細胞接着を促進する役割を果たすことができる。他の適当な生体活性な薬剤は、抗ウイルス剤、ホルモン、抗体、または治療用タンパク質を包含することができる。さらに他の生体活性な薬剤は、投与された場合に生物学的に活性ではないが、対象に投与されると、代謝または何らか他の機構を通じて生体活性な薬剤に変換される薬剤であるプロドラッグを包含する。さらに、本明細書に開示されている組成物のいずれも、2種以上の生体活性な薬剤の組合せを含有することができる。
【0102】
一部の例において、生体活性な薬剤は、例えば、ピロカルピン、ヒドロコルチゾン、プレドニゾロン、コルチゾン、ジクロフェナクナトリウム、インドメタシン、6−メチル−プレドニゾロン、コルチコステロン、デキサメタゾン、プレドニゾンなどであるがこれらに限定されない抗炎症剤;サリチル酸、アセトアミノフェン、イブプロフェン、ナプロキセン、ピロキシカム、フルルビプロフェン、モルヒネなどを包含するがこれらに限定されない鎮痛剤;リドカイン、ベンゾカイン、ブピバカイン、レボブピバカインなどを包含するがこれらに限定されない局所麻酔剤;肝炎、インフルエンザ、麻疹、風疹、破傷風、ポリオ、狂犬病などに対する抗体を刺激するための免疫原(ワクチン);酢酸ロイプロリド(LH−RHアゴニスト)、ナファレリンなどを包含するがこれらに限定されないペプチドのような、生物学的システムにおいて全身的に、または欠損部位において局所的に感染を予防することが可能である物質を包含することができる。さらに、例えば、ガングリオシド、神経成長因子などの神経成長促進物質;フィブロネクチン(FN)、ヒト成長ホルモン(HGH)、コロニー刺激因子、骨形態形成タンパク質、血小板由来成長因子(PDGF)、インスリン由来成長因子(IGF−I、IGF−II)、トランスフォーミング成長因子−α(TGF−α)、トランスフォーミング成長因子−β(TGF−β)、上皮成長因子(EGF)、線維芽細胞成長因子(FGF)、インターロイキン−1(IL−1)、血管内皮成長因子(VEGF)およびケラチノサイト成長因子(KGF)、乾燥骨材料などの硬組織または軟組織成長促進剤;ならびにメトトレキセート、5−フルオロウラシル、アドリアマイシン、ビンブラスチン、シスプラチン、毒素とコンジュゲートしている腫瘍特異的抗体、腫瘍壊死因子などの抗新生物剤のような細胞および組織の成長および生存度を促進するか細胞の機能を増強することが可能である物質または代謝前駆体が有用である。
【0103】
他の有用な生体活性な薬剤は、アセダプソン、アセトスルホンナトリウム、アラメシン(alamecin)、アレキシジン、アムジノシリン、アムジノシリンピボキシル、アミサイクリン(amicycline)、アミフロキサシン、メシル酸アミフロキサシン、アミカシン、硫酸アミカシン、アミノサリチル酸、アミノサリチル酸ナトリウム、アモキシシリン、アンホマイシン、アンピシリン、アンピシリンナトリウム、アパルシリンナトリウム、アプラマイシン、アスパルトシン(aspartocin)、硫酸アストロマイシン、アビラマイシン、アボパルシン、アジスロマイシン、アズロシリン、アズロシリンナトリウム、塩酸バカンピシリン、バシトラシン、メチレンジサリチル酸バシトラシン、バシトラシン亜鉛、バンベルマイシン、ベンゾイルパス(benzoylpas)カルシウム、ベリスロマイシン(berythromycin)、硫酸ベタマイシン(betamicin sulfate)、ビアペネム、ビニラマイシン(biniramycin)、塩酸ビフェナミン、ビスピリチオンマグスルフェクス(bispyrithione magsulfex)、ブチカシン、硫酸ブチロシン、硫酸カプレオマイシン、カルバドックス、カルベニシリン二ナトリウム、カルベニシリンインダニルナトリウム、カルベニシリンフェニルナトリウム、カルベニシリンカリウム、カルモナムナトリウム、セファクロル、セファドロキシル、セファマンドール、セファマンドールナファート、セファマンドールナトリウム、セファパロール、セファトリジン、セファザフルールナトリウム、セファゾリン、セファゾリンナトリウム、セフブペラゾン、セフジニル、セフェピム、塩酸セフェピム、セフェテコール、セフィキシム、塩酸セフメノキシム、セフメタゾール、セフメタゾールナトリウム、セフォニシド一ナトリウム、セフォニシドナトリウム、セフォペラゾンナトリウム、セフォラニド、セフォタキシムナトリウム、セフォテタン、セフォテタン二ナトリウム、塩酸セフォチアム、セフォキシチン、セフォキシチンナトリウム、セフピミゾール、セフピミゾールナトリウム、セフピラミド、セフピラミドナトリウム、硫酸セフピロム、セフポドキシムプロキセチル、セフプロジル、セフロキサジン、セフスロジンナトリウム、セフタジジム、セフチブテン、セフチゾキシムナトリウム、セフトリアキソンナトリウム、セフロキシム、セフロキシムアキセチル、セフロキシムピボキセチル、セフロキシムナトリウム、セファセトリルナトリウム、セファレキシン、塩酸セファレキシン、セファログリシン、セファロリジン、セファロチンナトリウム、セファピリンナトリウム、セフラジン、塩酸セトサイクリン、セトフェニコール、クロラムフェニコール、パルミチン酸クロラムフェニコール、クロラムフェニコールパントテン酸複合体(pantothenate complex)、コハク酸クロラムフェニコールナトリウム、クロルヘキシジンホスファニレート(chlorhexidine phosphanilate)、クロロキシレノール、重硫酸クロルテトラサイクリン、塩酸クロルテトラサイクリン、シノキサシン、シプロフロキサシン、塩酸シプロフロキサシン、シロレマイシン(cirolemycin)、クラリスロマイシン、塩酸クリナフロキサシン、クリンダマイシン、塩酸クリンダマイシン、塩酸パルミチン酸クリンダマイシン、リン酸クリンダマイシン、クロファジミン、クロキサシリンベンザチン、クロキサシリンナトリウム、クロキシキン、コリスチメテート(colistimethate)ナトリウム、硫酸コリスチン、クメルマイシン、クメルマイシンナトリウム、シクラシリン、サイクロセリン、ダルフォプリスチン、ダプソン、ダプトマイシン、デメクロサイクリン、塩酸デメクロサイクリン、デメサイクリン、デノフンギン(denofungin)、ジアベリジン、ジクロキサシリン、ジクロキサシリンナトリウム、硫酸ジヒドロストレプトマイシン、ジピリチオン、ジリスロマイシン、ドキシサイクリン、ドキシサイクリンカルシウム、ドキシサイクリンホスファテクス(fosfatex)、塩酸ドキシサイクリン(doxycycline hyclate)、ドロキサシンナトリウム、エノキサシン、エピシリン、塩酸エピテトラサイクリン、エリスロマイシン、エリスロマイシンアシストレート(acistrate)、エリスロマイシンエストレート、エチルコハク酸エリスロマイシン、エリスロマイシングルセプテート、ラクトビオン酸エリスロマイシン、プロピオン酸エリスロマイシン、ステアリン酸エリスロマイシン、塩酸エタンブトール、エチオナミド、フレロキサシン、フロキサシリン、フルダラニン、フルメキン、ホスホマイシン、ホスホマイシントロメタミン、フモキシシリン(fumoxicillin)、塩化フラゾリウム、酒石酸フラゾリウム、フシジン酸ナトリウム、フシジン酸、硫酸ゲンタマイシン、グロキシモナム(gloximonam)、グラミシジン、ハロプロジン、ヘタシリン、ヘタシリンカリウム、ヘキセジン、イバフロキサシン、イミペネム、イソコナゾール、イセパマイシン、イソニアジド、ジョサマイシン、硫酸カナマイシン、キタサマイシン、レボフラルタドン、レボプロピルシリンカリウム、レキシスロマイシン、リンコマイシン、塩酸リンコマイシン、ロメフロキサシン、塩酸ロメフロキサシン、メシル酸ロメフロキサシン、ロラカルベフ、マフェニド、メクロサイクリン、スルホサリチル酸メクロサイクリン、リン酸メガロマイシンカリウム、メキドックス、メロペネム、メタサイクリン、塩酸メタサイクリン、メテナミン、馬尿酸メテナミン、マンデル酸メテナミン、メチシリンナトリウム、メチオプリム、塩酸メトロニダゾール、リン酸メトロニダゾール、メズロシリン、メズロシリンナトリウム、ミノサイクリン、塩酸ミノサイクリン、塩酸ミリンカマイシン、モネンシン、モネンシンナトリウム、ナフシリンナトリウム、ナリジクス酸ナトリウム、ナリジクス酸、ナタイナイシン(natainycin)、ネブラマイシン、パルミチン酸ネオマイシン、硫酸ネオマイシン、ウンデシレン酸ネオマイシン、硫酸ネチルマイシン、ニュートラマイシン(neutramycin)、ニフイラデン(nifuiradene)、ニフラルデゾン、ニフラテル、ニフラトロン、ニフルダジル、ニフリミド、ニフィウピリノール(nifiupirinol)、ニフルキナゾール、ニフルチアゾール、ニトロサイクリン、ニトロフラントイン、ニトロミド、ノルフロキサシン、ノボビオシンナトリウム、オフロキサシン、オンネトプリム(onnetoprim)、オキサシリンナトリウム、オキシモナム、オキシモナムナトリウム、オキソリン酸、オキシテトラサイクリン、オキシテトラサイクリンカルシウム、塩酸オキシテトラサイクリン、パルジマイシン、パラクロロフェノール、パウロマイシン、ペフロキサシン、メシル酸ペフロキサシン、ペナメシリン、ペニシリンGベンザチン、ペニシリンGカリウム、ペニシリンgプロカイン、ペニシリンgナトリウム、ペニシリンV、ペニシリンVベンザチン、ペニシリンVヒドラバミン(hydrabamine)、ペニシリンVカリウム、ペンチジドンナトリウム、アミノサリチル酸フェニル、ピペラシリンナトリウム、ピルベニシリンナトリウム、ピリジシリンナトリウム、塩酸ピルリマイシン、塩酸ピバンピシリン、パモ酸ピバンピシリン、ピバンピシリンプロベネート(probenate)、硫酸ポリミキシンB、ポルフィロマイシン、プロピカシン、ピラジンアミド、ピリチオン亜鉛、酢酸キンデカミン、キヌプリスチン、ラセフェニコール(racephenicol)、ラモプラニン、ラニマイシン(ranimycin)、レロマイシン、レプロマイシン、リファブチン、リファメタン、リファメキシル、リファミド、リファンピン、リファペンチン、リファミキシン、ロリテトラサイクリン、硝酸ロリテトラサイクリン、ロサラマイシン、酪酸ロサラマイシン、プロピオン酸ロサラマイシン、リン酸ロサラマイシンナトリウム、ステアリン酸ロサラマイシン、ロソキサシン、ロキサルソン、ロキシスロマイシン、サンサイクリン、サンフェトリネムナトリウム、サルモキシシリン、サルピシリン、スコパフンギン、シソマイシン、硫酸シソマイシン、スパルフロキサシン、塩酸スペクチノマイシン、スピラマイシン、塩酸スタリマイシン、ステフィマイシン、硫酸ストレプトマシン、ストレプトニコジド(streptonicozid)、スルファベンズ、スルファベンズアミド、スルファセタミド、スルファセタミドナトリウム、スルファシチン、スルファジアジン、スルファジアジンナトリウム、スルファドキシン、スルファレン、スルファメラジン、スルファメータ、スルファメタジン、スルファメチゾール、スルファメトキサゾール、スルファモノメトキシン、スルファモキソール、スルファニル酸亜鉛、スルファニトラン、スルファサラジン、スルファソミゾール、スルファチアゾール、スルファザメト、スルフイソキサゾール、スルフイソキサゾールアセチル、スルフイソキサゾールジオラミン、スルホミキシン(sulfomyxin)、スロペネム、スルタムリシリン(sultamricillin)、スンシリンナトリウム、塩酸タランピシリン、テイコプラニン、塩酸テマフロキサシン、テモシリン、テトラサイクリン、塩酸テトラサイクリン、リン酸テトラサイクリン複合体、テトロキソプリム、チアムフェニコール、チフェンシリンカリウム、チカルシリンクレシルナトリウム、チカルシリン二ナトリウム、チカルシリン一ナトリウム、チクラトン、塩化チオドニウム、トブラマイシン、硫酸トブラマイシン、トスフロキサシン、トリメトプリム、硫酸トリメトプリム、トリスルファピリミジン(trisulfapyrimidine)、トロレアンドマイシン、硫酸トロスペクトマイシン、チロスリシン、バンコマイシン、塩酸バンコマイシン、バージニアマイシン、およびゾルバマイシンなどの抗生物質を包含する。
【0104】
さらに他の有用な生体活性な薬剤は、プロゲステロン、テストステロン、および卵胞刺激ホルモン(FSH)(受胎調節、受精能増強)、インスリンなどのホルモン;ジフェンヒドラミンなどの抗ヒスタミン剤;パパベリン、ストレプトキナーゼなどの心血管剤;ヨウ化イソプロパミドなどの抗潰瘍剤;硫酸メタプロテルナール(metaproternal)、アミノフィリンなどの気管支拡張剤;テオフィリン、ナイアシン、ミノキシジルなどの血管拡張剤;精神安定剤、B−アドレナリン遮断剤、ドーパミンなどの中枢神経系薬剤;リスペリドンなどの抗精神病剤、ナルトレキソン、ナロキソン、ブプレノルフィンなどの麻薬拮抗薬;および他の類似物質を包含する。これらの薬剤のすべては、Sigma Chemical Co.(Milwaukee、WI)などの供給業者から市販されている。
【0105】
開示されている組成物に組み入れるのに適している生体活性な薬剤の中には、治療薬、例えば、抗炎症剤、解熱剤、抗炎症使用のためのステロイド性および非ステロイド性薬物、ホルモン、成長因子、避妊剤、抗ウイルス剤、抗菌剤、抗生物質、抗真菌剤、鎮痛剤、催眠剤、鎮静剤、精神安定剤、抗痙攣剤、筋弛緩剤、局所麻酔剤、麻酔剤、鎮痙剤、抗潰瘍薬、ペプチドアゴニスト、交感神経刺激剤、心血管剤、抗腫瘍剤、オリゴヌクレオチドおよびそれらの類似体などが包含される。生体活性な薬剤は、薬学的に活性な量で添加される。
【0106】
生体活性な薬剤のさらなる非限定的な例は、小分子、ペプチド、タンパク質、酵素(例えば、キナーゼ、ホスファターゼ、メチル化剤、因子、プロテアーゼ、転写酵素、エンドヌクレアーゼ、リガーゼなど)、ワクチン、抗体および/またはそのフラグメント、核酸(例えば、オリゴヌクレオチド、プライム、プローブ、アプタマー、リボザイムなど)、脂質、炭水化物、ステロイド、ホルモン、ビタミンを包含する。ある態様において、生体活性な薬剤は、生体分子(同様に活性である可能性がある)であってよい。生体分子の例は、小分子、ペプチド、タンパク質、酵素(例えば、キナーゼ、ホスファターゼ、メチル化剤、因子、プロテアーゼ、転写酵素、エンドヌクレアーゼ、リガーゼなど)、ワクチン、抗体および/またはそのフラグメント、核酸(例えば、オリゴヌクレオチド、プライム、プローブ、アプタマー、リボザイムなど)、脂質、炭水化物、ステロイド、ホルモン、ビタミンを包含するが、これらに限定されるものではない。本明細書で使用されるような「小分子」とは、約5kD未満、例えば、約4kD未満の分子量を有する組成物を指すことを意味する。小分子は、核酸(例えば、DNA、RNA)、ペプチド、ポリペプチド、ペプチド模倣体、炭水化物、脂質、因子、補因子、ホルモン、ビタミン、ステロイド、微量元素、または他の有機(炭素含有)または無機分子であってよい。そのような生体分子は、商業的に入手することができ、または当技術分野において公知である方法により天然源から合成または単離することができる。
【0107】
二次的構成成分(例えば、生体分子)が、例えば、ペプチド、タンパク質、酵素、ワクチン、および抗体を包含するアミノ酸ベースの分子を含むことができる本明細書に開示されている様々な組成物がある。したがって、本明細書で使用されるように、「アミノ酸」とは、ポリペプチドを作り上げる典型的に遭遇する20種のアミノ酸を意味する。ペプチドの非限定的な例は、天然ペプチド、合成ペプチド、生物学的に活性なペプチド、因子、成長因子などを包含し、生体活性なペプチドおよび「Handbook of Biologically Active Peptides」(A.J. Krastin;Academic Press、2006年)に記載されている生体活性なペプチドのクラスを包含するが、これらに限定されるものではない。
【0108】
さらに、どちらも天然に存在する、ホルミルメチオニンおよびセレノシステイン、典型的に見いだされるアミノ酸の類似体、およびアミノ酸またはアミノ酸官能基の模倣体などであるがそれらに限定されない、あまり典型的ではない構築物をさらに包含する。これらおよび他の分子の非限定的な例は、本明細書で議論されている。
【0109】
本明細書で使用されるように、「ペプチド」および「タンパク質」という用語は、互いに化学的に結合しているアミノ酸からなる化合物の1クラスを指す。これらおよび他の分子の非限定的な例は、本明細書で議論されている。一般に、アミノ酸は、アミド連結(CONH)を介して互いに化学的に結合しているが、アミノ酸は、当技術分野において公知である他の化学結合により互いに結合させることができる。例えば、アミノ酸は、アミン連結により結合させることができる。本明細書で使用されるような「ペプチド」とは、天然に存在するか改変されたポリペプチドおよびタンパク質を包含するアミノ酸のオリゴマーならびに小さいおよび大きいペプチドを包含する。「ペプチド」および「タンパク質」という用語は、本明細書で相互転換可能に使用することができることが理解される。
【0110】
そのようなペプチドおよびタンパク質を製造するための方法は周知である。開示されているタンパク質を製造する1つの方法は、タンパク質化学技法により2つ以上のペプチドまたはポリペプチドを互いに連結することである。例えば、ペプチドまたはポリペプチドを、Fmoc(9−フルオレニルメチルオキシカルボニル)かBoc(tert−ブチルオキシカルボニル)化学反応のどちらかを使用し、現在利用可能な実験室装置を使用して化学的に合成することができる。(Applied Biosystems,Inc.、Foster City、CA)。当業者は、開示されているタンパク質に対応するペプチドまたはポリペプチドが、例えば、標準的化学反応により合成することができることを容易に理解することができる。例えば、ペプチドまたはポリペプチドを、合成し、その合成樹脂から切断しなくてよく、一方、ペプチドまたはタンパク質の他のフラグメントを、合成し、続いて、樹脂から切断し、それによって、他のフラグメント上の機能的にブロックされている末端基を露出することができる。ペプチド縮合反応により、これら2つのフラグメントを、それぞれ、それらのカルボキシル末端およびアミノ末端におけるペプチド結合を介して共有結合的に結び付け、抗体、またはそのフラグメントを形成することができる。(少なくともペプチド合成についてのそれらの教示のために参照により本明細書に組み込まれているGrant、Synthetic Peptides: A User Guide. W.H.Freeman and Co.、N.Y. 1992年;BodanskyおよびTrost、編 Principles of Peptide Synthesis. Springer−Verlag Inc.、N.Y. 1993年)。
【0111】
別の例において、二次的構成成分は、抗体またはそのフラグメントを含むことができる。抗体またはそのフラグメントは、その用語が本明細書で使用されるように、生体分子、イメージング、および/または標的部分と見なすことができる。「抗体」という用語は、任意のクラスの全免疫グロブリン(すなわち、インタクトな抗体)を包含するが、それに限定されるものではない。天然抗体は、通常、2つの同一の軽(L)鎖および2つの同一の重(H)鎖からなるヘテロ四量体の糖タンパク質である。典型的には、各軽鎖は、1つの共有結合性ジスルフィド結合により重鎖と連結しているが、ジスルフィド連結の数は、異なる免疫グロブリンアイソタイプの重鎖間で異なる。各重鎖および軽鎖も、規則的間隔の鎖内ジスルフィド架橋を有する。各重鎖は、一方の端に、可変ドメイン(V(H))と、続く、多くの定常ドメインを有する。各軽鎖は、一方の端に可変ドメイン(V(L))を、そのもう一方の端に定常ドメインを有し、軽鎖の定常ドメインは、重鎖の一番目の定常ドメインと並列しており、軽鎖可変ドメインは、重鎖の可変ドメインと並列している。特定のアミノ酸残基は、軽鎖可変ドメインと重鎖可変ドメインの境界面を形成すると考えられている。任意の脊椎動物種からの抗体の軽鎖は、それらの定常ドメインのアミノ酸配列を基準として、κおよびλと呼ばれる2つの明確に異なるタイプのうちの1つに割り当てることができる。それらの重鎖の定常ドメインのアミノ酸配列に応じて、免疫グロブリンを、異なるクラスに割り当てることができる。ヒト免疫グロブリンには、5つの主要なクラス、すなわちIgA、IgD、IgE、IgGおよびIgMがあり、これらのうちのいくつかを、サブクラス(アイソタイプ)、例えば、IgG−1、IgG−2、IgG−3、およびIgG−4;IgA−1およびIgA−2にさらに分けることができる。当業者は、マウスについての匹敵するクラスを認識するであろう。異なるクラスの免疫グロブリンに対応する重鎖定常ドメインは、それぞれα、δ、ε、γ、およびμと呼ばれる。
【0112】
本明細書で使用されるような「抗体」という用語は、インタクトな分子ならびにエピトープ決定基に結合することが可能である、例えば、FabおよびF(ab’)2などのそれらのフラグメントを包含することを意味する。「抗体」という用語は、モノクローナルおよびポリクローナル抗体、抗特発性、およびヒト化抗体も包含する。
【0113】
本明細書で使用されるように、「抗体またはそのフラグメント」という用語は、二重または多重の抗原特異性またはエピトープ特異性のあるキメラ抗体およびハイブリッド抗体、ならびに、ハイブリッドフラグメントを包含するF(ab’)2、Fab’、Fabなどのフラグメントを包含する。そのような抗体およびフラグメントは、当技術分野において公知である技法により製造することができる(HarlowおよびLane、Antibodies, A Laboratory Manual. Cold Spring Harbor Publications、N.Y. 1988年を参照)。そのような抗体およびそれらのフラグメントは、本明細書に開示されている方法に従って特異性および活性についてスクリーニングすることができる。
【0114】
「抗体またはそのフラグメント」の意味の中には、例えば、その内容が、少なくとも抗体コンジュゲートについてのその教示のために参照により本明細書に組み込まれている米国特許第4,704,692号に記載されているような抗体フラグメントと抗原結合タンパク質(単鎖抗体)のコンジュゲートも包含される。フラグメントは、他の配列と接続しているか否かにかかわらず、特定の領域または特異的アミノ酸残基の挿入、欠失、置換、または他の選択された修飾を包含する。本明細書に開示されているような抗体を製造および/または単離する方法は周知である。
【0115】
二次的構成成分が、核酸ベースの分子を含むことができる様々な本明細書に開示されている組成物もある。したがって、本明細書で使用されるように、「核酸」とは、例えば、ヌクレオチド、ヌクレオチド類似体、またはヌクレオチド代用物を構成している分子を意味する。これらおよび他の分子の非限定的な例は、本明細書で議論されている。核酸は、二本鎖または一本鎖であってよい。核酸は、オリゴヌクレオチド、siRNA、DNA、プラスミドなどを包含することも意味する。
【0116】
本明細書で使用されるように、「ヌクレオチド」とは、塩基部分、糖部分およびホスフェート部分を含有する分子である。ヌクレオチドは、それらのホスフェート部分および糖部分を通じて互いに連結し、ヌクレオチド間連結を作り出す。ヌクレオチドの塩基部分は、アデニン−9−イル(A)、シトシン−1−イル(C)、グアニン−9−イル(G)、ウラシル−1−イル(U)、およびチミン−1−イル(T)であってよい。ヌクレオチドの糖部分は、リボースまたはデオキシリボースである。ヌクレオチドのホスフェート部分は、五価のホスフェートである。ヌクレオチドの非限定的な例は、3’−AMP(3’−アデノシン一リン酸)または5’−GMP(5’−グアノシン一リン酸)であろう。
【0117】
「ヌクレオチド類似体」とは、本明細書で使用されるように、塩基、糖、またはホスフェート部分のいずれかに対するいくつかのタイプの修飾を含有するヌクレオチドである。ヌクレオチドに対する修飾は、当技術分野において周知であり、例えば、5−メチルシトシン(5−me−C)、5−ヒドロキシメチルシトシン、キサンチン、ヒポキサンチン、および2−アミノアデニンならびに糖またはホスフェート部分における修飾を包含するであろう。
【0118】
「ヌクレオチド代用物」とは、本明細書で使用されるように、ペプチド核酸(PNA)などの、ヌクレオチドに類似した機能特性を有するが、ホスフェート部分を含有しない分子である。ヌクレオチド代用物は、Watson−CrickまたはHoogsteen様式で核酸を認識するが、ホスフェート部分以外の部分を通じて互いに連結している分子である。ヌクレオチド代用物は、適切な標的核酸と相互作用する場合に、二重ラセンタイプの構造に適合することができる。
【0119】
本明細書には、核酸複合体または核酸コンジュゲートが包含される。他のタイプの分子をヌクレオチドまたはヌクレオチド類似体と連結し、例えば、細胞取り込みおよび細胞トランスフェクションを強化することができるコンジュゲートまたは複合体を製造することも可能である。コンジュゲートまたは複合体は、ヌクレオチドまたはヌクレオチド類似体と化学的に連結することができる。そのようなコンジュゲートは、コレステロール部分などの脂質部分を包含するが、これに限定されるものではない(少なくとも核酸コンジュゲートについてのその教示のために参照により本明細書に組み込まれているLetsingerら、Proc Natl Acad Sci USA、86巻:6553〜6頁、1989年)。さらに、コンジュゲートまたは複合体は、イオン性もしくは電荷−電荷もしくは疎水性手段により、またはファンデルワールスの手段により、または他の非共有結合的手段により、非共有結合的に会合させることができる。核酸の複合体またはコンジュゲートの例は、核酸(プラスミドまたはDNAまたはsiRNAなど)が、ポリマーと共有結合的または非共有結合的に会合している複合体などの核酸ポリマーコンジュゲートを包含する。本明細書で使用されるように、核酸という用語は、そのようなコンジュゲート、複合体、類似体、ポリプレックス、および核酸の変異体を包含する。
【0120】
本明細書に記載されているものなどの核酸は、標準的な化学的合成方法を使用して製造するか、酵素的方法または任意の他の公知の方法を使用して製造することができる。そのような方法は、標準的な酵素的消化と、続く、ヌクレオチドフラグメントの単離(例えば、Sambrookら、Molecular Cloning: A Laboratory Manual、第3版、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、N.Y. 2001年、5、6章を参照)から、例えば、MilligenまたはBeckman System 1Plus DNA合成装置(例えば、Milligen−Biosearch、Burlington、MAのModel8700自動合成装置またはABI Model380B)を使用するシアノエチルホスホルアミダイト法による純粋に合成的な方法まで及ぶことがある。オリゴヌクレオチドを製造するのに有用な合成方法も、Ikutaら、Ann Rev Biochem 53巻:323〜56頁、1984年、(ホスホトリエステルおよびホスファイト−トリエステル法)、およびNarangら、Methods Enzymol 65巻:610〜20頁、1980年、(ホスホトリエステル法)により記載されている。タンパク質核酸分子は、Nielsenら、Bioconjug Chem、5巻:3〜7頁、1994年により記載されているものなどの公知の方法を使用して製造することができる。(これらの参考文献の各々は、少なくとも核酸合成についてのそれらの教示のために参照により本明細書に組み込まれるものとする。)
また、二次的構成成分は、直接的か間接的のどちらかで、検出可能なシグナルを生み出すことができる化合物であるイメージング剤を含むことができる。多くのそのようなイメージング剤は、当業者に公知である。開示されている組成物および方法で使用するのに適しているイメージング剤の例は、放射性同位元素、蛍光性分子、磁性粒子(ナノ粒子を包含する)、金属粒子(ナノ粒子を包含する)、リン光性分子、酵素、抗体、およびリガンドである。本明細書に開示されている部分のうちの2つ以上を組み合わせるイメージング剤も、イメージング部分と見なされる。
【0121】
公知のイメージング剤のいずれかを、開示されているターポリマー組成物で使用することができる。イメージング剤により発生されるシグナルを検出および測定するための方法も当業者に公知である。例えば、放射性同位元素は、シンチレーションカウンティングまたは直接可視化により検出することができ、蛍光性分子は、蛍光分光光度計で検出することができ、リン光性分子は、分光光度計で検出するかカメラで直接可視化することができ、酵素は、酵素により触媒される反応の生成物の検出または可視化により検出することができ、抗体は、抗体とカップリングされている二次的検出標識を検出することにより検出することができる。
【0122】
1つの例において、開示されているイメージング剤は、蛍光性イメージング剤を含むことができる。蛍光性イメージング剤は、検出可能な蛍光シグナルを有する任意の化学的部分である。このイメージング剤は、単独または他のイメージング剤と組み合わせて使用することができる。本明細書に開示されている組成物および方法で使用することができる適当な蛍光剤の例は、それらの組合せを包含する、フルオレセイン(FITC)、5−カルボキシフルオレセイン−N−ヒドロキシスクシンイミドエステル、5,6−カルボキシメチルフルオレセイン、ニトロベンズ−2−オキサ−1,3−ジアゾール−4−イル(NBD)、フルオレスカミン、OPA、NDA、インドシアニングリーン色素、シアニン色素(例えば、Cy3、Cy3.5、Cy5、Cy5.5およびCy7)、4−アセトアミド−4’−イソチオシアナトスチルベン−2,2’ジスルホン酸、アクリジン、アクリジンイソチオシアネート、5−(2’−アミノメチル)アミノナフタレン−1−スルホン酸(EDANS)、4−アミノ−N−[3−ビニルスルホニル)フェニル]ナフタルイミド−3,5ジスルホネート、N−(4−アニリノ−1−ナフチル)マレイミド、アントラニルアミド、BODIPY、Brilliant Yellow、クマリン、7−アミノ−4−メチルクマリン(AMC、Coumarin120)、7−アミノ−4−トリフルオロメチルクマリン(Coumaran151)、シアノシン、4’,6−ジアミニジノ(diaminidino)−2−フェニルインドール(DAPI)、5’,5”−ジブロモピロガロール−スルホナフタレイン(Bromopyrogallol Red)、7−ジエチルアミノ−3−(4’−イソチオシアナトフェニル)−4−メチルクマリン ジエチレントリアミン五酢酸、4,4’−ジイソチオシアナトジヒドロ−スチルベン−2,2’−ジスルホン酸、4,4’−ジイソチオシアナトスチルベン−2,2’−ジスルホン酸、5−[ジメチルアミノ]ナフタレン−1−スルホニルクロリド(DNS、ダンシルクロリド)、4−(4’−ジメチルアミノフェニルアゾ)安息香酸(DABCYL)、4−ジメチルアミノフェニルアゾフェニル−4’−イソチオシアネート(DABITC)、エオシン、エオシンイソチオシアネート、エリスロシンB、エリスロシン、イソチオシアネート、臭化エチジウム、エチジウム、5−カルボキシフルオレセイン(FAM)、5−(4,6−ジクロロトリアジン−2−イル)アミノフルオレセイン(DTAF)、2’,7’−ジメトキシ−4’,5’−ジクロロ−6−カルボキシフルオレセイン(JOE)、フルオレセインイソチオシアネート、IR144、IR1446、Malachite Greenイソチオシアネート、4−メチルウンベリフェロン、オルトクレゾールフタレイン、ニトロチロシン、パラローザニリン、Phenol Red、B−フィコエリトリン、o−フタルジアルデヒド、ピレン、ピレンブチレート、スクシンイミジル1−ピレンブチレート、Reactive Red4(Cibacron[R]Brilliant Red 3B−A)、6−カルボキシ−X−ローダミン(ROX)、6−カルボキシローダミン(R6G)、リサミンローダミンBスルホニルクロリドローダミン(Rhod)、5,6−テトラメチルローダミン、ローダミンB、ローダミン123、ローダミンXイソチオシアネート、スルホローダミンB、スルホローダミン101、スルホローダミン101のスルホニルクロリド誘導体(Texas Red)、N,N,N’,N’−テトラメチル−6−カルボキシローダミン(TAMRA)、テトラメチルローダミン、テトラメチルローダミンイソチオシアネート(TRITC)、リボフタビン、ロゾール酸、クマリン−6などを包含するが、これらに限定されるものではない。これらの蛍光性イメージング部分は、Molecular Probes、Eugene、OR and Research Organics、Cleveland、Ohioを包含する様々な商業ソースから入手するか、当業者により合成することができる。
【0123】
別の例において、開示されているイメージング剤は、磁気共鳴イメージング(MRI)剤を含むことができる。MRI剤は、検出可能な磁気共鳴シグナルを有するか別の薬剤の磁気共鳴シグナルに影響を与える(例えば、増加またはシフトする)ことができる任意の化学的部分である。このタイプのイメージング剤は、単独または他のイメージング剤と組み合わせて使用することができる。さらに別の例において、ガドリニウムベースのMRI剤は、イメージング剤としての役割を果たすことができる。開示されているイメージング剤に組み入れることができる適当なMRI剤の例は、ガドリニウムと強く結合することが公知であり、磁気共鳴コントラスト剤としての臨床使用が認可されているp−アミノ−ベンジルジエチレントリアミン五酢酸(p−NH2−Bz−DTPA、化合物7)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)のコンジュゲート可能な(conjugable)形態である。他の人々は、インビボ小動物イメージングのために類似のMRIコントラスト剤をPAMAMTM(Kobayashiら、Bioconjugate Chem12巻:100〜107頁、2001年;Kobayashiら、Mag Res in Medicine46巻:579〜85頁、2001年)デンドリマーと結合することに成功しており、これらの参考文献は、少なくともMRI剤についてのそれらの教示のために参照により本明細書に組み込まれるものとする。本明細書に開示されているようなデンドリマー基質などの大きな巨大分子上のMRI剤の組み入れは、大きなT1緩和(ハイコントラスト)および単一分子上の薬剤の複数コピーを可能にすることができ、シグナルを増加することができる。MRIイメージング剤と、例えば、蛍光性イメージング剤を組み合わせることにより、得られる薬剤を、MRIを介してリアルタイムに検出、撮像、および追跡することができる。
【0124】
他のイメージング剤は、18Fまたは64Cuもしくは68Ga用のキレート剤を組み入れることにより調製することができるPET剤を包含する。また、放射性核種の添加を使用し、SPECTイメージングまたは放射線量の送達を容易にすることができる。
【0125】
可塑剤
開示されているターポリマーは、ニートで使用するか、粘度をさらに下げるための可塑剤などの薬剤で希釈することができる。すなわち、開示されているターポリマー組成物の粘度を、少量の、生体適合性溶媒(例えば、エタノール)のような可塑剤、ならびに、脂質、可塑剤、添加剤(など)の添加で低下させることができ、ポリマー自体の粘度をはるかに超えて粘度のさらなる操作および制御(したがって、注射可能性)を可能にする。したがって、開示されているターポリマー組成物は、1つまたは複数の可塑剤を含むことができる。合成するために使用され、開示されているターポリマーの末端基に共有結合的に接続することになる本明細書に開示されている開始剤と異なり、開示されている可塑剤は、末端基に共有結合的に結合していない。
【0126】
可塑剤は、ターポリマーと生体適合性であり、ターポリマーに可溶であるべきである。適当な可塑剤は、溶媒、液体、油、脂肪酸、界面活性剤、可溶化剤、およびポリマー添加剤であってよい。生体適合性溶媒の例は、脂肪酸、油、芳香族アルコール、アリール酸の低級アルキルエステル、アリール酸の低級アラルキルエステル、アリールケトン、アラルキルケトン、低級アルキルケトン、およびクエン酸の低級アルキルエステル;安息香酸誘導体;フタル酸誘導体;ならびにそれらの組合せを包含する。可塑剤の適当な例は、乳酸、グリコール酸、ヒドロキシ酪酸、カプロラクトン、カプロン酸エチル、グリコール酸エチル、オレイン酸エチル、安息香酸ベンジル、安息香酸エチル、乳酸ラウリル、ベンジルアルコール、ラウリルアルコール、グリコフロール(glycofurol)、酢酸エチル、エタノール、ブタノール、イソプロピルアルコール、プロパノール、トコフェロール、ポリエチレングリコール、トリアセチン、トリグリセリド、アルキルトリグリセリド、ジグリセリド、菜種油、ゴマ油、ピーナッツ油、ヒマシ油、オリーブ油、綿実油、ペルフルオロカーボン、N−メチルピロリドン、N−メチル−2−ピロリジオン(pyrrolidione)、DMSO、グリセロール、オレイン酸、グリコフロール、乳酸ラウリル、ペルフルオロカーボン、プロピレンカーボネート 安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸n−プロピル、安息香酸イソプロピル、安息香酸ブチル、安息香酸イソブチル、安息香酸sec−ブチル、安息香酸tert−ブチル、安息香酸イソアミル、安息香酸ベンジル、クエン酸トリエチル、クエン酸トリブチル、およびそれらの組合せまたは混合物を包含するが、これらに限定されるものではない。他の例は、それらの混合物を包含する、カプロラクトン、カプロン酸エチル、ベンジルアルコール、酢酸エチル、アセトン、ブタノン、メチルアルコール、ブチルアルコール、塩化メチレン、DMFなどを包含するが、これらに限定されるものではない。可塑剤の追加の例は、それらの混合物を包含する、グリセロールトリアセテート、アセチル化モノグリセリド、クエン酸エステル、クエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリエチル、クエン酸トリブチル、アセチルクエン酸トリブチル、フタル酸ジブチル、セバシン酸ジブチル、シュウ酸ジエチル、リンゴ酸ジエチル、フマル酸ジエチル、コハク酸ジエチル、マロン酸ジエチル、酒石酸ジエチル、フタル酸エステル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジメチル、グリセリン、グリセロール、グリセリルトリアセテート、グリセリルトリブチレート、鉱油およびラノリンアルコール、ワセリンおよびラノリンアルコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコールとポリエチレングリコールのコポリマー(ポロキサマーを包含する)、ポリビニルピロリドン、ポリソルベート80などを包含するが、これらに限定されるものではない。
【0127】
ターポリマーの可塑化は、ポリマーが形成された後に可塑剤をポリマーに接触させることにより、またはポリマー合成前および/またはポリマー合成中に可塑剤を存在させることにより行うことができる。1つの具体的な例において、ターポリマーを、溶媒蒸気で処理することにより、または可塑化溶媒液体もしくは可塑剤を含有する溶液中にターポリマーを直接入れることにより可塑化溶媒と接触させる。様々な実施例において、可塑剤を、組成物の総重量を基準として、可塑剤約40wt%以下、約30%以下、約20%以下、約15%以下、約10%以下、約5%以下の量で粘稠なターポリマーと混合することができる。例えば、組成物は、組成物の総重量を基準として、可塑剤約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、または40%を含むことができ、表示される値のいずれも、範囲の上端点または下端点を形成することができる。
【0128】
界面活性剤
開示されているターポリマーを含む組成物は、界面活性剤などの薬剤も含むことができる。本明細書で使用されるような「界面活性剤」とは、親水性基および疎水性基からなる分子(すなわち、両親媒性物質)である。界面活性剤は、イオン性または非イオン性の界面活性剤であってよい。例えば、開示されているターポリマー組成物は、陰イオン性界面活性剤を含むことができる。任意の陰イオン性界面活性剤を使用することができる。適当な陰イオン性界面活性剤は、洗浄剤、シャンプー、石鹸などで一般的に使用され、商業的に入手するか当技術分野において公知である方法により調製することができる。それらは、それらの混合物を包含する、アルキルベンゼンスルホネート(洗浄剤)、脂肪酸ベースの界面活性剤、ラウリル硫酸(例えば、起泡剤)、ジ−アルキルスルホスクシネート(例えば、湿潤剤)、リグノスルホネート(例えば、分散剤)などを包含するが、これらに限定されるものではない。他の例において、それらの混合物を包含する、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸、ナトリウムラウリルエーテルサルフェート、αオレフィンスルホネート、ホスフェートエステル、ナトリウムスルホスクシネート、ヒドロトロープなどを使用することができる。
【0129】
他の例において、開示されているターポリマー組成物は、陽イオン性界面活性剤を含むことができる。任意の陽イオン性界面活性剤を使用することができる。適当な陽イオン性界面活性剤は、四級アンモニウム化合物、イミダゾリン、ベタインなどを包含するが、これらに限定されるものではない。そのような陽イオン性界面活性剤は、商業的に入手するか当技術分野において公知である方法により調製することができる。
【0130】
さらに他の例において、開示されているターポリマー組成物は、非イオン性界面活性剤を含むことができる。任意の非イオン性界面活性剤を使用することができる。適当な非イオン性界面活性剤が水溶液中でイオン化しないのは、それらの親水性基が、アルコール、フェノール、エーテル、エステル、またはアミドなどの非解離性タイプであるためである。それらは、エーテル(例えば、グリセリン、ソルビトール(solbitole)、スクロースなどの多価アルコール)、脂肪酸エステル(例えば、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、スクロース脂肪酸エステルなど)、エステル(例えば、例えば、エチレンオキシドを、高級アルコール、アルキル−フェノールなどのヒドロキシルラジカルを有する材料に適用することにより製造される化合物)、エーテル/エステル(例えば、例えば、エチレンオキシドを、分子内にエステル結合とエーテル結合の両方を有する脂肪酸または多価アルコール脂肪酸エステルに適用することにより製造される化合物)、および他のタイプ(例えば、脂肪酸アルカノール−アミドタイプまたはアルキルポリグリセリドタイプ)に分類することができる。特に適当な非イオン性界面活性剤は、ポリ(ビニルアルコール)である。非イオン性界面活性剤の他の適当な例は、それらの混合物を包含する、アルコールエトキシレートおよびアルキルフェノールエトキシレート、脂肪アミンオキシド、アルカノールアミド、エチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックコポリマー、アルキルアミンエトキシレート、チゲルコル(tigercol)滑沢剤などを包含するが、これらに限定されるものではない。
【0131】
さらに他の例において、開示されているターポリマー組成物は、双極性界面活性剤を含むことができる。任意の双極性界面活性剤を使用することができる。適当な双極性界面活性剤界面活性剤(両性または両性イオン性と呼ばれる)は、陰イオン性解離と陽イオン性解離の両方を示す。双極性界面活性剤の適当な例は、ベタインまたはスルホベタインのような生成物ならびにアミノ酸およびリン脂質などの天然物質を包含するが、これらに限定されるものではない。1つの例において、それらの全体が参照により組み込まれている米国特許第6,852,816号、第6,846,795号、第6,846,352号、および第6,849,426号に開示されているベタインを本明細書で使用することができる。
【0132】
適当な界面活性剤の他の例は、植物または動物の器官にそれらの起源を有することがある天然界面活性剤を包含する。別の例において、ボロ型(boloform)界面活性剤を使用することができる。ボロ型界面活性剤は、疎水性尾部の反対端に2つの親水性頭部基を有する界面活性剤である。
【0133】
これらの界面活性剤の混合物も、本明細書に開示されている組成物および方法で使用することができる。
【0134】
添加剤
開示されているターポリマーを含む組成物は、添加剤または賦形剤を包含する他の薬剤を含むこともできる。例えば、開示されているターポリマー組成物は、pH緩衝液、有機酸(例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、安息香酸、マレイン酸、シュウ酸など)、鉱酸(例えば、HCl、HBr、H2SO4、H3PO4など)、塩基(例えば、NaOH、KOH、Et3N、Na2CO3、NaHCO3、KHCO3など)、保存剤、色素、抗酸化剤(例えば、アスコルビン酸およびトコフェロール)、湿潤剤、乳化剤、懸濁化剤、凝集剤、および分注剤を含有することができる。
【0135】
開示されているターポリマー組成物は、微生物の作用を防ぐための他の添加剤を含有することもできる。このことは、様々な抗菌剤および/または抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、四級アンモニウム化合物などにより達成することができる。
【0136】
カルボキシメチルセルロース、アリグネート(alignates)、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロース、およびアカシアなどの結合剤、グリセロールなどの保湿剤、セチルアルコールおよびグリセロールモノステアレートなどの湿潤剤、カオリンおよびベントナイトなどの吸着剤、ならびに、タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールのコポリマー、ラウリル硫酸ナトリウム、またはそれらの混合物などの滑沢剤を包含することが望ましいこともある。
【0137】
使用することができる適当な凝集剤は、アルミニウム塩(例えば、硫酸アルミニウム)、第一鉄塩、および第二鉄塩(例えば、硫酸第二鉄および塩化第二鉄)を包含するが、これらに限定されるものではない。適当な懸濁化剤は、例えば、エトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトールおよびソルビタンエステル、微結晶性セルロース、アルミニウムメタヒドロキシド、ベントナイト、寒天およびトラガカント、またはこれらの物質の混合物などを包含することができる。開示されているターポリマー組成物は、例えば、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、油、特に、綿実油、ラッカセイ油、トウモロコシ胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油およびゴマ油、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコールおよびソルビタンの脂肪酸エステルまたはこれらの物質の混合物のような可溶化剤または乳化剤を含むこともできる。
【0138】
さらに、開示されているターポリマーを、水性希釈剤と組み合わせ、ターポリマーのポリマーミセルにすることができる。組成物を加工し(例えば、篩に通すことにより、またはフィルターに通すことにより、または激しく撹拌することにより、または超音波処理により)、ミセル形成を容易にすることができる。さらに、開示されているターポリマーを、1つの溶媒(例えば、水溶性で揮発性の溶媒アセトン)にまず溶かし、次いで、水性ビヒクルにゆっくりと添加した後、蒸発または蒸留(減圧下で)除去し、水性希釈液中にポリマーミセルを形成することができる。ターポリマーミセルは、直径が約1〜約1000nm、約1〜約150nm、約1〜約100nm、約1〜約10nm、約25〜約100nm、約10〜約75nm、または約10〜約50nmであってよい。ポリマーミセル組成物は、本明細書に開示されている表示された生体活性な薬剤のいずれか、特に、疎水性の生体活性な薬剤と組み合わせることができる。
【0139】
用途
開示されているターポリマー組成物は、多くの用途を有し、最も目立つのは、局所的および全身的な薬物送達のためのこれらの粘稠なポリマーの使用である。例えば、生体活性な薬剤(すなわち、二次的構成成分)が、本明細書に開示されているようなニートの粘稠なターポリマーに組み入れられている組成物は、経口的に、注射により、または埋め込みにより対象に投与することができる。そのような場合において、生体活性な薬剤を、ターポリマー組成物における薬物の溶解度および負荷レベルに応じて、ターポリマー組成物に溶かすか、ターポリマー組成物の中に懸濁するか、または両方が可能である。あるいは、開示されている粘稠なターポリマーを、可塑剤(溶媒など)の添加を通じて可塑化し、粘稠なポリマーの粘度を下げ、および/またはポリマーにおける生体活性な薬剤の溶解度を変え、および/またはポリマーからの生体活性な薬剤の放出特性を変えることができる。可塑剤でターポリマーを可塑化することは、ターポリマーに生体活性な薬剤を組み入れる前に、組み入れている間に、または組み入れた後に起こることがある。例えば、生体活性な薬剤を、可塑剤と混合し、次いで、組合せをターポリマーと混合する。または、ターポリマーを可塑化することができ、生体活性な薬剤は、その後に添加される。さらに、ターポリマーを1つの可塑剤で可塑化することができ、生体活性な薬剤を、同じか異なる可塑剤と組み合わせることができ、次いで、可塑化されたターポリマーと組み合わせる。記述されているように、可塑剤は、システムの粘度に影響を及ぼし、投与特性を変え(例えば、注射による投与を可能にし)、さもなければ、薬物溶解度または投与後の薬物放出特性に影響を及ぼすことができる。
【0140】
別の方法は、ニートのターポリマーを、他の生体分解性および生体適合性のポリマー中に混和し、それらの他のポリマーの特性を変えることである(最終ポリマー混合物のTgを下げることなどにより)。そのような他の生体分解性および生体適合性のポリマーは、公知であり、市販されている。
【0141】
特定の生体活性な薬剤に応じて、これらの方法のいずれかを、いずれか/すべてのクラスの治療法(「Goodman & Gilman’s The Pharmacological Basis of Therapeutics」(McGraw−Hill、第9版)において前に言及されているような疼痛、麻酔、整形外科的応用例、軟組織の修復または置換、硬組織の修復または置換、癌、CNS障害などを包含する)として使用することができる。それは、開示されているターポリマーを任意の生体活性な薬剤と一緒に経口用、注射用、または埋め込み型の組成物に製剤化することができるため、任意の疾患または傷害である。
【0142】
用量
上に記載されている方法または他の治療法において、または本明細書に開示されている医薬製剤(例えば、生体活性な薬剤を含む本明細書に開示されているようなターポリマー組成物)において使用される場合、「有効量」の開示されている生体活性な薬剤のうちの1つを、純粋な形態で、または、そのような形態が存在する場合には薬学的に許容できる塩形態で、薬学的に許容できる賦形剤、担体、または他の添加剤の有無にかかわらず用いることができる。
【0143】
任意の特定の対象にとっての具体的な有効量は、治療されている障害および障害の重症度;用いられる具体的な組成物の同一性および活性;患者の年齢、体重、一般的健康、性別および食事;投与の時間;投与の経路;用いられる具体的な組成物の排泄速度;治療の期間;用いられる具体的な組成物と組み合わせてまたは同時に使用される薬物ならびに医学的技術分野において周知であるような要因を包含する様々な要因によって異なるであろう。例えば、望ましい治療効果を達成するために必要とされるよりも低いレベルで組成物の投与量を開始し、望ましい効果が達成されるまで用量を徐々に増やすことは十分に当業者の範囲内にある。病歴、徴候、症状、ならびに虚血−再灌流傷害、外傷、薬物/毒物誘発性傷害、神経変性疾患、癌、または他の疾患および/または状態の治療についての注意が必要である対象の状況を評価する際に有用であることが公知である客観的実験室検査の特定の態様を評価することもできる。これらの徴候、症状、および客観的実験室検査は、そのような患者を治療する任意の臨床医またはこの分野において実験を行う研究者に公知であるように、治療または予防されている特定の疾患または状態に応じて異なるであろう。例えば、適切な対照群および/または一般の集団もしくは特定の個人における疾患の正常な進行に関する知識を基準として、1)対象の身体的状態が改善されることが明らかにされるか(例えば、腫瘍が、部分的または完全に退縮したか)、2)疾患または状態の進行が安定化されるか、減速されるか、逆転されることが明らかにされるか、3)疾患または状態を治療するための他の投薬の必要性が減るか除かれる場合に、ある特定の治療レジメンは、有効であると見なされるであろう。望ましい場合、有効1日投与量を、投与の目的で複数の投与量に分割することができる。逆に、単一投与量組成物は、そのような量またはそれらの約数を含有し、1日投与量を構成することができる。
【0144】
さらなる態様において、有効量は、様々な量の生体活性な薬剤を含む一連の組成物を調製し、インビボおよびインビトロで放出特性を決定し、これらの特性を、具体的な医薬品送達ニーズ、とりわけ、対象の体重、疾患状態などと調和させることにより決定することができる。
【0145】
用量は、任意の禁忌の事象において、個々の医師または対象により調整されることがある。用量は、変動することがあり、1日または数日にわたって、1日当たり1つまたは複数の投与量投与で投与することができる。所与のクラスの医薬製品に関する適切な用量についての指針は、文献中に見いだすことができる。
【0146】
医薬製剤
また、開示されているターポリマーおよび1つまたは複数の生体活性な薬剤を含む医薬製剤が本明細書に開示されている。適当な医薬製剤は、薬学的に許容できる担体と一緒に、開示されているターポリマーおよび生体活性な薬剤のうちのいずれかを含むことができる。多くの例において、本明細書に開示されているターポリマーは、それら自体が薬学的に許容できる担体である。本明細書に開示されている医薬製剤は、治療的または予防的に使用することができる。
【0147】
「薬学的に許容できる」とは、生理学的または他の点でも望ましくないことはない材料を意味し、すなわち、その材料は、任意の望ましくない生物学的効果を引き起こすことも、それが含有される医薬製剤の他の構成成分のうちのいずれかと有害に相互作用することもなく対象に投与することができる。担体は、当業者に周知であるように、活性成分のいずれの分解も最小限に抑え、対象における任意の有害な副作用を最小限に抑えるように選択されることは当然であろう。
【0148】
医薬担体は、当業者に公知である。これらは、最も典型的には、滅菌水、食塩水、生理学的pHの緩衝溶液を包含する、ヒトに薬物を投与するための標準的担体であろう。適当な担体およびそれらの製剤は、担体および医薬製剤についてのその教示のために参照により本明細書に組み込まれているRemington: The Science and Practice of Pharmacy、第21版、Lippincott Williams & Wilkins、Philidelphia、PA、2005年に開示されている。典型的には、適切な量の薬学的に許容できる塩が製剤において使用され、製剤を等張性にする。薬学的に許容できる担体の例は、食塩水、リンゲル液およびデキストロース溶液を包含するが、これらに限定されるものではない。溶液のpHは、約5〜約8(例えば、約7〜約7.5)であってよい。さらなる担体は、開示されている化合物を含有する固体疎水性ポリマーの半透過性マトリックスなどの持続放出調製物を包含し、マトリックスは、成形された物品、例えば、フィルム、リポソーム、微粒子、またはマイクロカプセルの形態である。ある担体が、例えば、投与の経路および投与されている組成物の濃度に応じて、より好ましいことがあることは当業者には明らかであろう。他の化合物は、当業者により使用される標準手順に従って投与することができる。
【0149】
医薬製剤は、本明細書に開示されている化合物の他に、担体、ならびに増粘剤、希釈剤、緩衝液、保存剤、界面活性剤などを包含することができる。医薬製剤は、抗菌剤、抗炎症剤、麻酔剤などの1つまたは複数の追加活性成分を包含することもできる。
【0150】
医薬製剤は、局所的治療が望まれるか全身的治療が望まれるか、および治療すべき領域に応じて、多くの方法で投与することができる。投与は、局所的に(眼科的に、膣に、直腸に、鼻腔内にを包含する)、経口的に、吸入により、または非経口的に、例えば、静脈内点滴により、皮下、腹腔内、または筋肉内注射であってよい。開示されている化合物は、静脈内に、腹腔内に、筋肉内に、皮下に、体腔内に、または経皮的に投与することができる。
【0151】
非経口投与のための調製物は、無菌の水性または非水性液剤、懸濁剤、および乳剤を包含する。非水性溶媒の例は、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブ油などの植物油、魚油(marine oils)、およびオレイン酸エチルなどの注射用有機エステルである。水性担体は、水、アルコール性/水性液剤、および食塩水および緩衝媒質を包含する乳剤または懸濁剤である。非経口ビヒクルは、塩化ナトリウム溶液、リンゲルデキストロース、デキストロースおよび塩化ナトリウム、乳酸リンゲル、および不揮発性油を包含する。静脈内ビヒクルは、体液および栄養補充液、電解質補充液(例えば、リンゲルデキストロースをベースとするもの)などを包含する。例えば、抗微生物剤、抗酸化剤、キレート剤、および不活性ガスなどの保存剤および他の添加剤も存在することがある。
【0152】
局所投与のための医薬製剤は、軟膏剤、ローション剤、クリーム剤、ゲル剤、点滴剤、坐剤、スプレー剤、液剤および散剤を包含することがある。従来の医薬担体、水性、粉末または油性基剤、増粘剤などが望ましいことがある。
【0153】
経口投与のための医薬製剤は、散剤または顆粒剤、水または非水性媒質中の懸濁剤または液剤、カプセル剤、ゲルキャップ剤(gel−caps)、サシェ剤、または錠剤を包含するが、これらに限定されるものではない。増粘剤、矯味剤、希釈剤、乳化剤、分散補助剤、または結合剤が望ましいことがある。
【0154】
製剤の一部は、塩酸、臭化水素酸、過塩素酸、硝酸、チオシアン酸、硫酸、およびリン酸などの無機酸、ならびにギ酸、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、乳酸、ピルビン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、パモ酸およびフマル酸などの有機酸との反応により、または、水酸化ナトリウム、水酸化アンモニウム、水酸化カリウムなどの無機塩基、ならびにモノアルキルアミン、ジアルキルアミン、トリアルキルアミン、およびアリールアミン、ならびに置換エタノールアミンなどの有機塩基との反応により形成される薬学的に許容できる酸付加塩または塩基付加塩として投与することができる可能性がある。
【0155】
医薬キット
本明細書に記載されているレジメンにおいて使用するために設計された医薬製剤のキットまたはパッケージも開示されている。これらのキットは、4時間、6時間、8時間、12時間、24時間、48時間、72時間、7日、10日、21日、または30日サイクルにわたる毎日の経口送達、とりわけ、1日当たり1回の経口送達のために設計することができる。組成物を連続して送達しようとする場合、パッケージまたはキットは、各錠剤中に組成物を包含することができる。組成物を定期的に中止しながら送達しようとする場合、パッケージまたはキットは、組成物が送達されない日にプラセボを包含することができる。
【0156】
キットを組織化し、指定された日の各々に摂取するべき経口錠剤を包含する、サイクルの各々の日に摂取するべき単一の経口製剤または経口製剤の組合せを指示することができ、例えば、1つの経口錠剤は、指示されている組合せ1日用量の各々を含有するであろう。
【0157】
1つの例において、キットは、4時間、6時間、8時間、12時間、24時間、48時間、72時間、7日、10日、21日、または30日サイクルにわたる開示されている化合物の1日用量の単一フェーズ(single phase)を包含することができる。
【実施例】
【0158】
下記の実施例は、開示されている主題による方法および結果を例示するために下に記載される。これらの実施例は、本明細書に開示されている主題のすべての態様を含むことは意図されておらず、むしろ代表的な方法および結果を例示するものである。これらの実施例は、当業者には明らかである本発明の等価形態および変形形態を排除することは意図されていない。
【0159】
数(例えば、量、温度、pHなど)に関する正確度を確保するよう努力してきたが、ある程度の誤差および逸脱は考慮されるべきである。他に指示がない限り、部は、重量部であり、温度は、℃単位であるか周囲温度であり、圧力は、大気圧付近である。記載されているプロセスから得られる生成物の純度および収率を最適化するために使用することができる条件、例えば、構成成分濃度、温度、圧力、ならびに他の反応範囲および反応条件の多くの変形形態および組合せがある。妥当で日常的な実験のみが、そのようなプロセス条件を最適化するために必要とされるであろう。
【0160】
本明細書に開示されているある材料、化合物、組成物、および構成成分は、商業的に入手するか、当業者に一般的に公知である技法を使用して容易に合成することができる。例えば、開示されている組成物を調製する際に使用される出発材料および試薬は、Aldrich Chemical Co.、(Milwaukee、Wis.)、Acros Organics(Morris Plains、N.J.)、Fisher Scientific(Pittsburgh、Pa.)、またはSigma(St.Louis、Mo.)などの商業的供給業者から入手されるか、Fieser and Fieser’s Reagents for Organic Synthesis、1〜17巻(John Wiley and Sons、1991年);Rodd’s Chemistry of Carbon Compounds、1〜5巻および補遺(Elsevier Science Publishers、1989年);Organic Reactions、1〜40巻(John Wiley and Sons、1991年);March’s Advanced Organic Chemistry、(John Wiley and Sons、第4版);およびLarock’s Comprehensive Organic Transformations(VCH Publishers Inc.、1989年)などの参考文献に記載されている手順に従って、当業者に公知である方法により調製されるかのどちらかである。
【0161】
具体的方法
他に指示がない限り、すべての実施例において下記の分析方法を使用した。
【0162】
固有粘度(IV;dL/g)は、Cannon−Fenskeサイズ25粘度計を使用して30℃にてクロロホルム中0.5%(wt/vol)ターポリマーで測定した。
【0163】
ポリマー組成は、399.85MHzにてVarian Inova分光計でCDCl3において記録された1H−NMRスペクトルから決定した。
【0164】
熱特性は、Refrigerated Cooling System(RCS)付きのTA Instruments Differential Scanning Calorimeter(DSC)2920を使用して決定した。熱履歴は、初期のヒートランプ(heat ramp)により除去した。ガラス転移温度(Tg)は、約−60℃〜90℃の温度範囲にわたる10℃/分の温度スキャン速度から得られるDSC曲線から決定する。
【0165】
ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)分析は、移動相としてクロロホルムを使用し、Waters Styragel HR−2および2つのWaters HR−5Eカラムを備えたPerkin Elmer Series 200 GPC/RIで行い、狭い分子量分布の複数のポリスチレン標準品で較正した。分子量は、重量平均(Mw)および数平均(Mn)分子量についてダルトンで報告される。多分散性指数(PDI)は、単に、MwをMnで除した比であり、分子量分布の指標である。
【0166】
レオロジー的実験は、1mmギャップのパラレルプレートジオメトリー(parallel plate geometry)を使用するAR2000レオメーター(TA Instruments Inc、Delaware)で行った。サンプルに、0.1から1000レシプロカル秒(1/s)まで段階的に増加する剪断速度で定常剪断力をかけた。粘度、η対剪断速度を記録した。粘度測定は、室温(19〜22℃)にて行った。レオロジー的測定から報告される粘度は、粘度が剪断速度と無関係であることが観察される範囲にわたる材料の平均粘度と定義される(図1)。これは、いかなるシヤスィニング効果も排除する特定のサンプルについての平均粘度値である。
【0167】
振動レオロジー測定も、室温(19〜22℃)にて、1mmギャップのパラレルプレートジオメトリーを使用するAR2000レオメーター(TA Instruments Inc、Delaware)を使用して行った。これらの実験は、サンプルに振動剪断力を印加し、サンプルの応答を測定することにより行った。制御変数は、1.0に保たれる歪み率とした。角周波数を、振動実験について毎秒0.1から100ラジアン(rad/sec)まで増加させた。入力と応答の間の位相差を使用し、貯蔵弾性率(G’)、損失弾性率(G”)、位相角、デルタ(δ)、および動的粘度(η’)を計算した。
【0168】
Brookfield Model RVTD粘度計をUL(低粘度)アダプターと一緒に使用し、20rpmの回転速度を使用してターポリマー組成物の回転粘度を測定した。測定は、室温(19〜20℃)にて行った。
【0169】
下記の実施例において、ターポリマー組成物は、ターポリマー中のラクチド、グリコリド、およびカプロラクトン(それぞれ)のモル比組成を示す数字表示により示される。文字表示は、ターポリマー中のモノマーを指し、DLは、DL−ラクチドを指し、Lは、L−ラクチドを指し、Gは、グリコリドを指し、CLは、カプロラクトンを指す。後に続く命名は、開始剤種および末端基組成を示し、文字表示Eは、ポリマー鎖がエステル末端基で終了していることを明示している。例えば、271954DLGCL−(1−ドデカノール)−Eは、1−ドデカノールで開始され、エステル終了末端基を含有する、およそ27%DL−ラクチド、19%グリコリド、および54%カプロラクトンのモル比を含有するターポリマーからなる(実施例1ターポリマー)。
【0170】
(実施例1)
271954DLGCL 1−(1−ドデカノール)−E
窒素吸入口、トラップ付き空冷蒸留アダプター、およびメカニカルスターラーを備えた十分に乾燥した樹脂ケトルに、DL−ラクチド(Ortec、South Carolina)105.0グラム(0.728mol)およびグリコリド(Ortec、South Carolina)56.4グラム(0.486mol)を充填した。モノマーを、窒素で覆い、140℃にて融解した。ε−カプロラクトン(Ortec、South Carolina)138.6グラム(1.214mol)および開始剤1−ドデカノール(Sigma−Aldrich、Wisconsin)21.3グラム(0.114mol)を添加した。十分に混合した後、混合物に、触媒オクチル酸第一スズ(Sigma−Aldrich、Wisconsin)96.6ミリグラム(0.239mmol)を充填した。重合を、160℃にて18時間にわたって進行させ、続いて、28.5inHG真空における2時間の真空ストリップで未反応モノマーを除去した。DL−ラクチド:グリコリド:ε−カプロラクトンモル比=27:19:54;IV=0.13dL/g;Tg=−31.4℃;Mw=9,900、Mn=5,200、多分散性指数(PDI=1.9)。
【0171】
(実施例2)
272152DLGCL 1−(グリコール酸エチル)−E
ターポリマーを、開始剤グリコール酸エチル(Sigma−Aldrich、Wisconsin)11.9グラム(0.114mol)および触媒オクチル酸第一スズ(Sigma−Aldrich、Wisconsin)96.4ミリグラム(0.238mmol)を使用し、実施例1の方法に従って調製した。DL−ラクチド:グリコリド:ε−カプロラクトンモル比=27:21:52;IV=0.15dL/g;Tg=−23.2℃;Mw=10,000、Mn=4,000(PDI=2.6)。
【0172】
(実施例3)
271954DLGCL 1−(オレイルアルコール)−E
ターポリマーを、開始剤オレイルアルコール(Sigma−Aldrich、Wisconsin)30.7グラム(0.114mol)および触媒オクチル酸第一スズ(Sigma−Aldrich、Wisconsin)103.0ミリグラム(0.2544mmol)を使用し、実施例1の方法に従って調製した。DL−ラクチド:グリコリド:ε−カプロラクトンモル比=27:19:54;IV=0.14dL/g;Tg=−35.4℃;Mw=11,000およびMn=6,000(PDI=1.8)。
【0173】
(実施例4)
271954DLGCL 1−(グリセロール)−E
ターポリマーを、開始剤グリセロール(Sigma−Aldrich、Wisconsin)10.6グラム(0.115mol)および触媒オクチル酸第一スズ(Sigma−Aldrich、Wisconsin)93.7ミリグラム(0.231mmol)を使用し、実施例1の方法に従って調製した。DL−ラクチド:グリコリド:ε−カプロラクトンモル比=27:19:54;IV=0.11dL/g;Tg=−22.8℃;Mw=7,600、Mn=5,200(PDI 1.5)。
【0174】
(実施例5)
281953DLGCL 1−(mPEG350)−E
ターポリマーを、開始剤ポリ(エチレングリコール)メチルエーテル(mPEG350、Sigma−Aldrich、Wisconsin)40.3グラム(0.114mol)および触媒オクチル酸第一スズ(Sigma−Aldrich、Wisconsin)102.8ミリグラム(0.2538mmol)を使用し、実施例1の方法に従って調製した。DL−ラクチド:グリコリド:ε−カプロラクトンモル比=28:19:53;IV=0.14dL/g;Tg=−32.4℃;Mw=9,300およびMn=3,800(PDI=2.4)。
【0175】
(実施例6)
302050DLGCL 1−(12:0−PEG)−E
ターポリマーを、開始剤PEG−400モノラウレート(Sigma−Aldrich、Wisconsin)40.9グラム(0.114mol)および触媒オクチル酸第一スズ(Sigma−Aldrich、Wisconsin)102.8ミリグラム(0.2538mmol)を使用し、実施例1の方法に従って調製した。DL−ラクチド:グリコリド:ε−カプロラクトンモル比=30:20:50;IV=0.19dL/g;Tg=−28.9℃;Mw=16,000およびMn=6,300(PDI=2.5)。
【0176】
(実施例7)
281953DLGCL 1−(1−エチル−2−ヘキサノエート)−E
ターポリマーを、開始剤1−エチル−2−ヘキサノール(Sigma−Aldrich、Wisconsin)15.0グラム(0.115mol)および触媒オクチル酸第一スズ(Sigma−Aldrich、Wisconsin)94.0ミリグラム(0.232mmol)を使用し、実施例1の方法に従って調製した。DL−ラクチド:グリコリド:ε−カプロラクトンモル比=28:19:53;IV=0.15dL/g;Tg=−28.6℃;Mw=11,000およびMn=6,100(PDI=1.8)。
【0177】
(実施例8)
162658DLGCL 1−(1−ドデカノール)−E
ターポリマーを、DL−ラクチド(Ortec、South Carolina)72.0グラム(0.500mol)、グリコリド(Ortec、South Carolina)86.1グラム(0.742mol)、ε−カプロラクトン(Ortec、South Carolina)142.1グラム(1.24mol)、開始剤1−ドデカノール(Sigma−Aldrich、Wisconsin)42.9グラム(0.230mol)および触媒オクチル酸第一スズ(Sigma−Aldrich、Wisconsin)110ミリグラム(0.272mmol)を使用し、実施例1の方法に従って調製した。DL−ラクチド:グリコリド:ε−カプロラクトンモル比=16:26:58;IV=0.10dL/g;Tg=−43.8℃;Mw=4,800およびMn=2,500(PDI 1.9)。
【0178】
(実施例9)
442828DLGCL 1−(1−ドデカノール)−E
ターポリマーを、DL−ラクチド(Ortec、South Carolina)166.4グラム(1.155mol)、グリコリド(Ortec、South Carolina)80.6グラム(0.694mol)、ε−カプロラクトン(Ortec、South Carolina)52.8グラム(0.463mol)、開始剤1−ドデカノール(Sigma−Aldrich、Wisconsin)40.1グラム(0.215mol)および触媒オクチル酸第一スズ(Sigma−Aldrich、Wisconsin)107ミリグラム(0.264mmol)を使用し、実施例1の方法に従って調製した。DL−ラクチド:グリコリド:ε−カプロラクトンモル比=44:28:28;IV=0.08dL/g;Tg=0.56℃;Mw=4,500およびMn=2,400(PDI 1.9)。
【0179】
(実施例10)
502030DLGCL 1−(1−ドデカノール)−E
ターポリマーを、DL−ラクチド(Ortec、South Carolina)184.6グラム(1.281mol)、グリコリド(Ortec、South Carolina)58.3グラム(0.502mol)、ε−カプロラクトン(Ortec、South Carolina)57.3グラム(0.502mol)、開始剤1−ドデカノール(Sigma−Aldrich、Wisconsin)39.5グラム(0.212mol)および触媒オクチル酸第一スズ(Sigma−Aldrich、Wisconsin)106ミリグラム(0.263mmol)を使用し、実施例1の方法に従って調製した。DL−ラクチド:グリコリド:ε−カプロラクトンモル比=50:20:30;IV=0.09dL/g;Tg=−13.5℃;Mw=4,500およびMn=2,400(PDI 1.9)。
【0180】
(実施例11)
312049DLGCL 1−(1−ドデカノール)−E
ターポリマーを、DL−ラクチド(Ortec、South Carolina)124.6グラム(0.864mol)、グリコリド(Ortec、South Carolina)61.1グラム(0.526mol)、ε−カプロラクトン(Ortec、South Carolina)114.7グラム(1.005mol)、開始剤1−ドデカノール(Sigma−Aldrich、Wisconsin)41.3グラム(0.222mol)および触媒オクチル酸第一スズ(Sigma−Aldrich、Wisconsin)103ミリグラム(0.255mmol)を使用し、実施例1の方法に従って調製した。DL−ラクチド:グリコリド:ε−カプロラクトンモル比=31:20:49;IV=0.09dL/g;Tg=−35.4℃;Mw=4,800およびMn=2,500(PDI 1.9)。
【0181】
(実施例12)
152956LGCL 1−(1−ドデカノール)−E
磁気撹拌子を備えたガラス反応器に、L−ラクチド(Ortec、South Carolina)6.0グラム(0.041mol)、グリコリド(Ortec、South Carolina)7.7グラム(0.066mol)、ε−カプロラクトン(Ortec、South Carolina)11.3グラム(0.994mol)および1−ドデカノール(Sigma−Aldrich、Wisconsin)3.6グラム(0.019mol)を充填した。反応物を窒素でパージし、内容物を140℃にて融解した後、触媒オクチル酸第一スズ(Sigma−Aldrich、Wisconsin)9ミリグラム(0.02mmol)を添加した。重合を、160℃にて18時間にわたって進行させ、続いて、28.5inHG真空における2時間の真空ストリップで未反応モノマーを除去した。L−ラクチド:グリコリド:ε−カプロラクトンモル比=15:29:56;IV=0.10dL/g;Tg=−41.5℃;Mw=5,100およびMn=2,900(PDI 1.7)。
【0182】
(実施例13)
232651DLGCL 1−(オレイルアルコール)−E
ターポリマーを、DL−ラクチド(Ortec、South Carolina)6.0グラム(0.041mol)、グリコリド(Ortec、South Carolina)7.7グラム(0.066mol)、ε−カプロラクトン(Ortec、South Carolina)、11.3グラム(0.992mol)、オレイルアルコール(Sigma−Aldrich、Wisconsin)5.2グラム(0.019mol)および触媒オクチル酸第一スズ(Sigma−Aldrich、Wisconsin)9ミリグラム(0.02mmol)を使用し、実施例12の方法に従って調製した。DL−ラクチド:グリコリド:ε−カプロラクトンモル比23:26:51;IV=0.09dL/g;Tg=−44.4℃;Mw=4,700およびMn=2,400(PDI 2.0)。
【0183】
(実施例14)
163153DLGCL 1−(グリコール酸エチル)−E
ターポリマーを、60℃にてDL−ラクチド(Ortec、South Carolina)6.0グラム(0.041mol)、グリコリド(Ortec、South Carolina)7.7グラム(0.066mol)、ε−カプロラクトン(Ortec、South Carolina)、11.3グラム(0.992mol)、グリコール酸エチル(Sigma−Aldrich、Wisconsin)2.0グラム(0.019mol)および触媒オクチル酸第一スズ(Sigma−Aldrich、Wisconsin)9ミリグラム(0.02mmol)を使用し、実施例12の方法に従って調製し、続いて、28.5inHG真空における2時間の真空ストリップで未反応モノマーを除去した。DL−ラクチド:グリコリド:ε−カプロラクトンモル比16:31:53;IV=0.11dL/g;Tg=−27.5℃;Mw=5,700およびMn=2,700(PDI 2.1)。
【0184】
先の実施例において調製されたサンプルを列挙するための表2を参照されたい。コポリマー組成物は、最終ポリマー中のラクチド(L)、グリコリド(G)、およびカプロラクトン(CL)のモル比により同定される。表2は、固有粘度(IV)、ガラス転移温度(Tg)、ならびに重量平均(Mw)および数平均(Mn)分子量も包含する。
【0185】
【表2】
(実施例15)
段階的剪断粘度試験。
【0186】
レオロジー的測定から報告される粘度は、粘度が剪断速度と無関係であることが観察される範囲にわたる材料の平均粘度と定義される(図1)。これは、いかなるシヤスィニング効果も排除する特定のサンプルについての平均粘度値である。
【0187】
図1は、段階的剪断粘度対剪断速度の実例プロットを示すグラフである。強調表示されているデータポイントは、報告されている粘度値が推定される、粘度が剪断速度と無関係である領域を示している。
【0188】
図2は、異なる開始剤を使用して調製された高分子量ターポリマーからの粘度−剪断速度結果を示すグラフである。これらのターポリマーサンプルは、類似したモノマー組成(L:G:CLのおよそ30:20:50モル比)および分子量(約7.6〜11.0kDの範囲の重量平均分子量)を有する。これらの実施例において、粘度は、主に開始剤の選択に応じて1,700〜6,500ポアズの範囲である。
【0189】
図3は、異なる開始剤を使用して調製され、異なるモノマー組成を有する比較的低分子量のターポリマーについての粘度−剪断速度結果を示している。粘度に対する開始剤の影響は、2,640ポアズおよび282ポアズ(それぞれ)の粘度が観察された実施例14(グリコール酸エチル開始剤)および実施例8(1−ドデカノール開始剤)の比較により証明される。粘度に対するコポリマー組成の影響も図3で証明される。実施例8と実施例10は共に、開始剤として1−ドデカノールを使用して調製され、著しく低い粘度が、高い組成のカプロラクトンおよび低レベルのラクチドを含有するコポリマー組成物(すなわち、実施例8ターポリマー)で観察された。
【0190】
段階的剪断実験からの粘度を、すべてのターポリマー実施例について表3および4に列挙する。粘度間の差は、得られるポリマーの粘度に対する開始剤種、モノマー組成、および分子量の影響を反映している。
【0191】
特に、粘度は、カプロラクトン含有量を増加させるにつれて(実施例10、11、および8の比較)、ラクチドのグリコリドに対する比を増加させるにつれても(実施例9と実施例10の比較)減少することが注目される。
【0192】
さらに、L−ラクチドから製造されるターポリマー(実施例12)は、非晶性の性質である(DSC分析によりいかなる融解発熱も欠く)ことが判明し、DL−ラクチドを使用して調製される類似のターポリマー(実施例8)と一致する比較的低い粘度を有していたことが注目されるべきである。
【0193】
最後に、粘度に対する分子量の影響は、実施例1と11のターポリマー間でも観察される。これらのサンプル間の比較は、粘度が、ポリマー分子量が約4,800から9,900ダルトンまで上昇するにつれて655ポアズから1,720ポアズまで増加することを示している。
【0194】
【表3】
【0195】
【表4】
(実施例16)
少量の添加剤または可塑剤を含むターポリマー混合物。
【0196】
ターポリマー混合物を、20mLのシンチレーションバイアル中で様々な添加剤と混和することにより調製し、1サンプル当たり合計2グラムを得た。各混合物を、スパチュラを使用して手で混和し、各ターポリマーサンプルに添加剤を完全に組み入れて分布させた。図4および5に示すように、少量のNMPかPEG−400のどちらかで実施例3および8に記載されているターポリマーを希釈すると、粘度は著しく減少した。表5は、様々なレベルのNMPによる希釈後のいくつかのターポリマーの粘度の変化を示している。
【0197】
【表5】
(実施例17)
Brookfield粘度。ターポリマー実施例とPLG対照の間のBrookfield(回転粘度)および段階的剪断粘度の比較。
【0198】
実施例8からのターポリマーを使用し、パラレルプレート測定(AR2000レオメーター)とBrookfield回転粘度計の間で粘度結果を比較した。サンプルは、10wt%NMPを実施例8ターポリマーの一部に添加し、NMP中に90%ポリマーを含む組成物とすることにより調製した。比較目的のために、2つの75:25ポリ(DL−ラクチド−コ−グリコリド)(PLG)コポリマー(3Eコポリマーおよび4Eコポリマー)を、各PLGコポリマーを60wt%NMPで希釈することにより調製した。これに対して、これらのサンプルは、NMP中に40%ポリマーのみを含む組成物を反映している。段階的剪断およびBrookfield粘度測定をサンプルに対して行った。対応する定常状態およびBrookfield粘度を、表6に示すように報告する。結果は、粘度が、方法間で一致していることを裏付け、非経口注射に適している粘度を有するターポリマー製剤を調製することができることを証明している。
【0199】
【表6】
(実施例18)
添加剤を含むターポリマー混合物(物理属性、変化)
ターポリマー混合物を、表7に記載されているような他の添加剤を使用し、実施例16に記載されているように調製した。ターポリマー、添加剤、および添加剤組成の選択は、極めて粘性の材料〜中程度に粘性の材料(粘着性の)から粘着性がほとんどまたはまったくない材料(「ドライ」という用語を使用して示されるような)まで、混合物の質感(すなわち、粘着性)に影響を及ぼすことがある。質感の他に、混合物の物理形態は、高粘度材料または低粘度材料から、半固体まで、脆い固体または成形可能な(凝集性の)固体もしくは半固体まで変化することがある。表7に特定されている添加剤は、商業ベンダーから入手し、キトサン(Protosan UP G213)は、NovaMatrix(Norway)から購入した。
【0200】
【表7−1】
【0201】
【表7−2】
(実施例19)
振動レオロジー。
【0202】
実施例9に対する振動レオロジー測定の結果は、G’より大きいG”を示すすべてのターポリマーの結果、液体様の(粘稠な)材料と一致する結果を代表するものである。
【0203】
(実施例20)
低分子量モデル親水性化合物(メチレンブルー)の負荷および放出
メチレンブルー負荷ターポリマーの3つの異なるサンプルを以下の通り調製した。メチレンブルー三水和物(Fisher Scientific、Fairlawn NJ)の0.5グラム部分をエタノール5グラムに溶かした。次に、実施例1ターポリマーの1グラムサンプルを、20mLのシンチレーションバイアル中に秤量した。次いで、エタノール性メチレンブルー溶液200mgをバイアルに添加し、ターポリマー中に手で十分に混合した。残留エタノールを、少なくとも16時間にわたってポリマーへ蒸発させると、ポリマー1g中にメチレンブルー20mgを含む製剤(ポリマー中およそ2wt%負荷メチレンブルー)が残った。これらのサンプルのうちの1つを、サンプル中にNMP0.25gを添加して十分に組み入れることにより、NMP10重量%で希釈した。同様に、第二のサンプルを、サンプル中にエタノール0.25gを添加して十分に組み入れることにより、エタノール10重量%で希釈した。
【0204】
同じサンプル調製方法を、実施例8ターポリマーを使用して繰り返した。
【0205】
インビトロ放出試験を以下の通りこれらの製剤で行った。正確に秤量した部分のメチレンブルー組成物(約75〜100mg)を20mLのシンチレーションバイアル中に秤量し、リン酸緩衝食塩水、pH7.4(PBS)20mLを添加した。バイアルを、その温度を37℃に維持したインキュベーターに入れた。適切な時点で、バイアルを、倒置により混合し、バイアルから緩衝液0.5mLを取り出す。バイアルを、次の時点までインキュベーターに戻した。放出メチレンブルーを含有する緩衝液を、HPLC(254nmにおけるUVによる検出)によりメチレンブルーについて分析した。累積放出メチレンブルーを決定した。累積放出メチレンブルーを、それぞれ実施例1および実施例8ターポリマーから調製された製剤について図7および8に示す。
【0206】
ニートのターポリマー製剤は、早期試験時点の間に放出の初期バーストがほとんどまたはまったくなく(初期バースト)数日から数週間にわたって極めて親水性のモデル化合物であるメチレンブルーの長期にわたる放出を提供することが分かる。エタノールまたはNMPなどの追加の少量レベルの添加剤を含むターポリマー製剤を前に記載されているように調製した。これらの添加剤の添加には、初期バーストおよび全体的放出プロファイルに対する小さく可変な影響があった。しかしながら、両ターポリマー組成物において、1日目時点における累積放出(初期バースト)は、約20%以下に留まった。実施例8ターポリマーの場合、初期バーストは、これらの添加剤の存在によりまったく影響を受けなかった。
【0207】
(実施例21)
ターポリマー組成物におけるモデルペプチド(ゴセレリン)の負荷および放出。
【0208】
ターポリマー中のゴセレリン(Genzyme Pharmaceuticals)の10%(重量で)混和物を、実施例8ターポリマー1グラムを含有する20mLのシンチレーションバイアルにゴセレリン110mgを添加することにより調製した。内容物を、スパチュラを使用して手で十分に混合した。
【0209】
混合物の薬物含有量を、25mLのメスフラスコに公知量(20〜30mg)の混和物を移すことにより分析した。このフラスコに、氷酢酸5mLを添加し、サンプルを溶かした。サンプルが溶けたらすぐに、PBSを使用してフラスコを満たし、十分に混合した。次いで、得られた溶液を、0.45μmシリンジフィルターに通して濾過した後、220nmにおけるUV検出を使用してHPCLにより分析した。この組成物の理論的なゴセレリン含有量は、10wt%ゴセレリンであった。HPLCにより決定される実際の含有量は、ポリマー混和物中で9.9wt%ゴセレリンであった。
【0210】
インビトロ放出測定を、以下の通り公知の重量および表面積のサンプルを注意深く調製することにより行った。ゴセレリン製剤の正確に秤量したサンプル(およそ50mgサンプル)を、20×20mmのガラス製顕微鏡カバースリップの中心に添加した。ゴセレリン製剤を、およそ15×15mmを測定する領域全体に広げた。製剤の最終重量を正確に決定した(およそ50mg)。次いで、カバースリップを、30mLのガラスバイアルの底に注意深く置いた(サンプルが上の方を向くように)。次いで、インビトロ放出緩衝液(PBS)20mLをバイアルにゆっくりと添加し、サンプルが依然として上の方を向いていることを確認した。バイアルを、その温度が37℃に維持されているインキュベーターに入れた。選択された時間間隔で、バイアル内容物を、緩やかに旋回させながら注意深く混合し、次いで、サンプル10mLをバイアルから取り出し、等量の新鮮なPBSをバイアルに添加し直した。バイアルを、次の時点までインキュベーターに戻した。サンプルを、HPLC法(220nmにおけるUV検出を使用する)を使用してゴセレリンについて分析した。累積放出ゴセレリンを決定した。累積ゴセレリン放出曲線を図9に示す。
【0211】
(実施例22)
ターポリマー組成物におけるモデル局所麻酔剤ブピバカイン塩基の負荷および放出。
【0212】
ブピバカイン塩酸塩は、Sigma−Aldrichから購入した(融解温度255℃)。ブピバカイン塩酸塩を使用し、以下の通りブピバカイン塩基を調製した。ブピバカイン塩酸塩約10グラムを、脱イオン水300mLを含有する500mLのエルレンマイヤーフラスコに入れた。溶液を、ブピバカイン塩酸塩が溶けるまで、50℃にて撹拌した。溶けたらすぐに、6M水酸化アンモニウムを、混合物のpHが9.5に達するまでゆっくりと添加した。溶液をさらに10分にわたって撹拌し、pHを、9.5〜10の範囲のpHを維持するように調整した。次いで、フラスコを冷却すると、ブピバカイン塩基が沈殿した。沈殿を濾過漏斗上に集め、次いで、冷脱イオン水500mLですすいだ。次いで、ブピバカイン塩基を、1L凍結乾燥機フラスコに移した。生成物を脱イオン水100mLに懸濁し、凍結させ、次いで、凍結乾燥すると、乾燥粉末が得られた。ブピバカイン塩基の収率は、典型的には、合計7〜8グラムである。得られる生成物の融解温度は、106℃(文献値107℃)である。
【0213】
この実施例において、実施例8ターポリマー1グラムサンプルを、ブピバカイン塩基660mgと一緒に20mLのシンチレーションバイアルに入れた。サンプルを、スパチュラを使用して手で十分に混合した。第二のサンプルを、実施例1ターポリマーを使用し、同様にして調製した。
【0214】
製剤の薬物含有量を、25mLのメスフラスコに公知量(20〜30mg)の組成物を移すことにより分析した。このフラスコに、氷酢酸5mLを添加し、サンプルを溶かした。サンプルが溶けたらすぐに、PBSを使用してフラスコを満たし、十分に混合した。次いで、得られた溶液を、0.45μmシリンジフィルターに通して濾過した後、263nmにおけるUV検出を使用してHPCLにより分析した。これら2つの組成物の理論的なブピバカイン塩基含有量は、40wt%ブピバカインであった。HPLCにより決定された実際の含有量は、実施例8のポリマーから製造された組成物については40.0wt%であり、実施例1のポリマーから製造された組成物については39.0wt%であった。
【0215】
インビトロ放出速度試験は、サンプル50mgを20平方cmのガラス製顕微鏡スライドカバースリップ上に広げることにより行った。サンプルを、カバースリップの全20平方cm領域に広げた。次いで、カバースリップを、60mLのねじ口バイアルの底に注意深く置き、次いで、PBS60mLを添加した。サンプルを、37℃にてインキュベーター中に保存した。指示された時間間隔で、緩衝液20mLをバイアルから取り出し、新鮮な緩衝液20mL部分をバイアルに添加し直した。ブピバカイン塩基を、263nmにおけるUV検出を使用するHPLCにより分析した。ブピバカインの累積放出率を報告した。放出速度プロファイルを、この実施例の2つの組成物について図10および11に示す。
【0216】
(実施例23)
実施例8ターポリマーからのブピバカイン塩酸塩およびブピバカイン塩基のインビトロ放出
実施例8ターポリマー中にブピバカイン塩基を含む実施例22からの製剤をこの試験で使用した。
【0217】
第二の製剤を、ブピバカイン塩酸塩の凍結乾燥部分を使用して同様に調製した。手短に言うと、ブピバカイン塩酸塩の2gサンプルを脱イオン水200mLに溶かし、1Lの凍結乾燥ジャー内でシェル凍結させ、次いで、乾燥粉末に凍結乾燥した。
【0218】
実施例8ターポリマー中のブピバカイン塩酸塩の40wt%混和物を、実施例22に記載されているのと同様にして調製した。インビトロ放出実験は、20平方mm領域全体に広げた120mgサンプルを使用して実施例22に記載されているように行った。ブピバカインの塩基および塩酸塩の放出プロファイルを図12に示す。
【0219】
(実施例24)
PEG−ターポリマーABブロックコポリマーからのポリマーミセル。
【0220】
ポリマー合成。PEG−ターポリマーABブロックコポリマー:213643DLGCL 1−(mPEG2000)−E。
【0221】
磁気撹拌子を備えたガラス反応器に、DL−ラクチド(Ortec、South Carolina)8.5グラム(0.059mol)、グリコリド(Ortec、South Carolina)10.2グラム(0.088mol)、ε−カプロラクトン(Ortec、South Carolina)16.6グラム(0.145mol)およびメトキシポリ(エチレングリコール)(MW=2000)(Sigma−Aldrich、Wisconsin)53.8グラム(0.027mol)を充填した。反応物を窒素でパージし、内容物を140℃にて融解した後、触媒オクチル酸第一スズ(Sigma−Aldrich、Wisconsin)27ミリグラム(0.066mmol)を添加した。重合を、160℃にて18時間にわたって進行させ、続いて、28.5inHG真空における2時間の真空ストリップで未反応モノマーを除去した。DL−ラクチド:グリコリド:ε−カプロラクトンモル比=21:36:43;Mn=プロトンNMRから3,000。
【0222】
ミセル調製および特徴付け。
【0223】
希釈ポリマー溶液は、PEG−ターポリマーABブロックコポリマーを0.5mg/mLの濃度で脱イオン水に溶かすことにより調製した。得られた溶液を、0.1ミクロンのSupor Acrodisc25mmシリンジフィルター(Pall Life Sciences)に通して濾過し、ポリマーミセルの溶液を調製した。
【0224】
ポリマーミセル溶液を、633nmレーザーを備えたMalvern ZetaSizer Nano−ZS(Model ZEN−3600)を使用する光子相関分光法(PCS)により粒子サイズについて分析した。測定された平均ポリマーミセルサイズは、14nmであった。サイズ分布プロットを図13に示す。
【0225】
本発明の範囲または精神を逸脱することなく本発明において様々な修正形態および変形形態を行うことができることは当業者には明らかであろう。
【0226】
本発明の他の実施形態は、本明細書に開示されている本発明の明細書および実施の検討から当業者には明らかであろう。明細書および実施例は、例示としてのみ見なされるべきであることが意図されており、本発明の真の範囲および精神は、下記の特許請求の範囲により示されるものとする。
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
この出願は、2007年11月13日に出願された米国仮出願第60/987,648号(これは、その全体が参考として本明細書に援用される)への優先権の利益を主張する。
【0002】
分野
本明細書に開示されている主題は、一般的に、ターポリマーの分野および薬物送達におけるそれらの用途に関する。
【背景技術】
【0003】
グリコリドおよびラクチドのホモポリマーは、文献において広範囲に研究および報告されてきた。そのようなポリマーは、それらのインビボにおける生体分解性および無毒性のために薬理学的応用例において広く受け入れられてきた(例えば、Kulkarniら、「Poly(lactic acid) for surgical implants」、Technical Rep. 6608、Walter Reed Army Medical Center、Washington, D.C.、1966年を参照)。グリコリドおよびラクチドのコポリマーも、ホモポリマーを上回るポリマー特性の改善のために医学的応用例において使用されてきた。例えば、ラクチドおよびグリコリドのコポリマーは、結晶性が低く、中間コポリマー組成物は、ホモポリマーよりも加水分解攻撃を受けやすい。Millerらは、ラクチドおよびグリコリドのホモポリマーからコポリマーへの移行で分解の10倍増を報告した(非特許文献1)。
【0004】
ラクチド−グリコリドコポリマーの加水分解速度は、典型的には、ポリマーのガラス転移温度より上で増加することが注目された。結晶化度およびポリマー鎖配向は、分解を遅らせることが明らかにされた。滅菌のために使用される照射も、分解プロセスを加速することが明らかにされた。したがって、多くの人々は、望ましい特性を持つ特別な組成物をあつらえるためにラクチド−グリコリドコポリマーに対するモノマー比および異なる添加剤の影響を研究してきた。
【0005】
薬物送達のためにポリマーの粘稠な製剤を調製することが望まれることが多い。1つの例において、ATRIX ATRIGEL(商標)は、粘稠な液体として調製することができるポリ(ラクチド−グリコリド)ポリマーである。しかしながら、粘稠な製剤を形成するために比較的多量の有機溶媒(N−メチルピロリドンのような)に溶かさなければならない。溶媒中の典型的なポリマー濃度は、約10%〜50%のオーダーである。別の高粘度注射剤は、Durect社のSABER(商標)であり、これは、少量の溶媒(エタノールのような)の添加で劇的に希薄になる非ポリマー高粘度液体であるスクロースアセテートイソブチレートである。このことは、材料の粘度を実際的な注射可能なレベルまで下げるのに少量の溶媒のみが必要とされるという点でそれを魅力的なものにしている。しかしながら、SABER(商標)材料自体には、プラットホームベースの技術としての材料の属性を調整するために操作することができる要因も変数もほとんどない。
【0006】
別の薬物送達プラットホームは、生体分解性の疎水性ブロックを含有するポリマーミセルを含む。ポリマーミセルは、ポリカプロラクトン(PCL)を含むブロックコポリマーが、1つまたは複数の疎水性ポリマーコア形成用構成成分であり、ポリエチレングリコールが、1つまたは複数の親水性シェル形成用構成成分である場合に記載されてきた(例えば、特許文献1を参照)。そのようなミセルは、これらの粒子の疎水性コアに向かって親和性を有する(および、疎水性コア中に分配する)疎水性または親水性薬物を運ぶか可溶化するのに特に適していることがある。
【0007】
疎水性の生体分解性ポリマー(ラクチドまたはカプロラクトンをベースとするポリエステルなど)のうち、PCLが使用されることが多いのは、より長い鎖長のカプロラクトンが、より疎水性のポリマーを生じるからである。しかしながら、生体分解性の疎水性ブロックとしてのPCLには、それが結晶性から半結晶性ポリマーであるという弱点があり、PCLは、約60℃の融点を有する。ポリマーミセルのコア内の結晶化度は、結晶性領域が、薬物負荷を運ぶための余地も空間も提供しない高度に組織化され、堅く構築された領域であるという点で不利なことがある。したがって、結晶化度は、得られるポリマーミセルの薬物負荷能力を低下させるであろう。高度な結晶性構造を含有することが公知である別の生体分解性ポリマーは、ポリ(L−ラクチド)である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第6,469,132号明細書
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Millerら、「Degradation rates of oral resorbable implants (polylactates and polyglycolates): Rate modification with changes in PLA/PGA copolymers ratios」、J. Biomed. Mater. Res.、(1977年)11巻:711〜719頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
必要とされるものは、粘稠な液体またはポリマーミセルであってよく、ある薬学的および医学的応用例に適している他の独特な特性を有する新たな生体適合性ポリマー組成物である。有機溶媒を必要としないか多量の溶媒のない粘稠な液体である組成物が望まれる。ポリマーミセルを調製するための疎水性で生体分解性のコア形成用ブロックを含み、それにもかかわらずPCLの結晶化度に関連する欠点に悩むこともないポリマーを有することも望まれる。放出、持続時間、および性能に関する変動性を提供するように容易に修飾することができる組成物も望まれる。本明細書に開示されている組成物および方法は、これらおよび他の必要性を満たしている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本明細書に具体化され広く記載されているように、開示されている材料、化合物、組成物、物品、および方法の目的によれば、開示されている主題は、1態様において、組成物ならびにそのような組成物を調製および使用するための方法に関する。さらなる態様において、開示されている主題は、ラクチド、グリコリド、およびカプロラクトンのターポリマーに関する。そのようなターポリマーを製造および使用する方法も開示されている。さらなる態様において、開示されている主題は、最終の粘稠なポリマーに異なる特徴(粘度、親水性、分解速度など)を提供(または、付与)する、異なるヒドロキシル含有開始剤で開始されるラクチド、グリコリド、カプロラクトンの生体分解性ターポリマーからなる粘稠なポリマー液体およびポリマーミセルに関する。
【0012】
追加の利点は、後に続く説明において部分的に示されるものとし、説明から部分的に明らかになるか、下に記載されている態様の実施により学ぶことができる。下に記載されている利点は、添付の特許請求の範囲において特に指摘される要素および組合せによって実現および達成されるであろう。先の一般的説明と下記の詳細な説明は共に、例示的および説明的に過ぎず、限定的ではないことが理解されるべきである。
【0013】
本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成する添付の図面は、下に記載されているいくつかの態様を例示している。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】段階的(stepped−)剪断粘度(ポアズ)対剪断速度(sec−1)の実例グラフを示す図である。強調表示されているデータポイントは、報告されている粘度値が推定される、粘度が剪断速度と無関係である領域を示している。
【図2】異なる開始剤を使用して調製された類似の分子量および組成のターポリマーからの粘度(ポアズ)対剪断速度(sec−1)データのグラフを示す図である。
【図3】異なる開始剤およびモノマー組成で調製された低分子量ターポリマーからの粘度(ポアズ)対剪断速度(sec−1)データのグラフを示す図である。
【図4】0%、10%、20%(w/w)N−メチルピロリドン(NMP)で希釈された実施例3ターポリマーの様々な混合物についての粘度(ポアズ)対剪断速度(sec−1)データのグラフを示す図である。
【図5】0%、5%、10%(w/w)N−メチルピロリドン(NMP)およびPEG−400で希釈された実施例8ターポリマーの様々な混合物についての粘度(ポアズ)対剪断速度(sec−1)データのグラフを示す図である。
【図6】振動レオロジーを使用して決定された選択ターポリマーの貯蔵(G’)および損失弾性率(G”)のグラフを示す図である。
【図7】実施例1ターポリマーの2%負荷組成物からの、モデル親水性小分子化合物、メチレンブルーのインビトロ放出を示すグラフを示す図である。被験組成物は、ターポリマー中に2%メチレンブルーを包含し(ニートポリマー中のメチレンブルー)、次いで、ターポリマー中2%メチレンブルーの製剤を、10%(重量で)エタノールまたはNMPと混合した。
【図8】2%負荷実施例8ターポリマーおよび10%(w/w)NMPまたはエタノールを含有する混合物からの、モデル親水性小分子化合物、メチレンブルーのインビトロ放出を示すグラフを示す図である。
【図9】実施例8ターポリマーの10%負荷製剤からの、モデルペプチド、ゴセレリンのインビトロ放出を示すグラフを示す図である。放出試験は、(およそ)15平方mmの領域全体に広げられた50mgサンプルで行った。
【図10】実施例8ターポリマー中の40%負荷製剤からのブピバカイン塩基のインビトロ放出を示すグラフを示す図である。放出試験は、(およそ)20平方mmの領域全体に広げられた50mgサンプルで行った。
【図11】実施例1ターポリマーの40%負荷製剤からのブピバカイン塩基のインビトロ放出を示すグラフを示す図である。放出試験は、(およそ)20平方mmの領域全体に広げられた50mgサンプルで行った。
【図12】実施例8ターポリマーの40%負荷製剤からのブピバカイン塩基およびブピバカイン塩酸塩のインビトロ放出を示すグラフを示す図である。放出試験は、(およそ)20平方mmの領域全体広げられた120mgサンプルで行った。
【図13】PCSによりPEG−ターポリマーABブロックコポリマーから調製されたポリマーミセルの粒子サイズ分布のグラフを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本明細書に記載されている材料、化合物、組成物および方法は、開示されている主題の具体的態様についての下記の詳細な説明、図面、およびその中に包含される実施例を参照することにより、より容易に理解することができる。
【0016】
本発明の材料、化合物、組成物および方法について開示および記載する前に、下に記載されている態様は、具体的な合成方法にも具体的な試薬にも限定されるものではなく、したがって、言うまでもなく変わることがあることが理解されるべきである。本明細書で使用される用語は、特定の態様について記載することのみを目的とし、限定していることは意図されていないことも理解されるべきである。
【0017】
また、本明細書を通して、様々な刊行物が参照される。これらの刊行物の開示は、それらの全体が、開示されている事柄が関係する現況技術についてより完全に記載するため、本出願中に参照により組み込まれるものとする。開示されている参考文献も、参考文献が頼られる文章中で議論されている参考文献に含有される材料について、本明細書で参照により個別および具体的に組み込まれるものとする。
【0018】
一般的および化学的定義
本明細書および後に続く特許請求の範囲において、多くの用語に言及するが、それらの単語は、下記の意味を有すると定義されるものとする。
【0019】
明細書および特許請求の範囲を通して、「含む(comprise)」という単語、および「含むこと(comprising)」および「含む(comprises)」などの単語の他の形態は、例えば、他の添加剤、構成成分、整数、またはステップを包含するがそれらに限定されるものではないことを意味し、それらを除外することは意図されていない。
【0020】
説明および添付の特許請求の範囲で使用されるように、「ある(a)」、「ある(an)」、および「その(the)」という単数形は、文脈が他の意味を明確に指示していない限り、複数の指示対象を包含する。したがって、例えば、「ある化合物(a compound)」への言及は、2つ以上のそのような化合物の混合物を包含し、「ある薬剤(an agent)」への言及は、2つ以上のそのような薬剤の混合物を包含し、「その組成物(the composition)」への言及は、2つ以上のそのような組成物の混合物を包含するなどである。
【0021】
「任意選択の」または「任意選択で」とは、その後に記載される事象または状況が起きることも起きないこともあり、説明は、事象または状況が起きる場合および起きない場合を包含することを意味する。
【0022】
範囲は、「約」1つの特定の値から、および/または「約」別の特定の値までとして本明細書で表現されることがある。そのような範囲が表現されている場合、別の態様は、1つの特定の値から、および/または別の特定の値までを包含する。同様に、値が、先行詞「約」の使用により近似値として表現されている場合、特定の値は別の態様を形成することが理解されるであろう。「約」という用語は、表示された値の5%以内を意味する。範囲の各々の端点は、他の端点に関して、および他の端点と無関係にどちらも有意であることがさらに理解されるであろう。本明細書に開示されている多くの値があり、各値も、値それ自体に加えて「約」その特定の値として本明細書に開示されていることも理解される。例えば、値「10」が開示されている場合、「約10」も開示されている。ある値が開示されている場合、当業者により適切に理解されるように、その値「以下」、「その値以上」、および値間の可能な範囲も開示されていることも理解される。例えば、値「10」が開示されている場合、「10以下」ならびに「10以上」も開示されている。本出願を通して、データは多くの異なるフォーマットで提供され、これらのデータは、端点および始点ならびにデータポイントの任意の組合せについての範囲を表すことも理解される。例えば、ある特定のデータポイント「10」およびある特定のデータポイント「15」が開示されている場合、10および15を超える、10および15以上、10および15未満、10および15以下、および10および15と等しいは、10と15の間と同様に開示されていると見なされることが理解される。2つの特定のユニット間の各ユニットも開示されていることも理解される。例えば、10および15が開示されている場合、11、12、13、および14も開示されている。
【0023】
ある組成物中のある特定の構成成分の重量部への本明細書および結びの特許請求の範囲における言及は、重量部が表現されているその組成物中のその構成成分と任意の他の構成成分の間の重量関係を意味する。したがって、構成成分X2重量部および構成成分Y5重量部を含有するある化合物において、XおよびYは、2:5の重量比で存在し、追加構成成分がその化合物に含有されているかどうかにかかわらずそのような比で存在する。
【0024】
ある構成成分の重量パーセント(wt.%)は、具体的に反対の記述がない限り、その構成成分が包含されている製剤または組成物の総重量を基準としている。
【0025】
本明細書で使用されるように、ある構成成分の「モルパーセント」または「モル%」とは、具体的に反対の記述がない限り、パーセンテージとして表現されるように、その構成成分のモル数のその構成成分が包含されている組成物の総モル数に対する比を指す。
【0026】
「接触させること」とは、少なくとも1つの物質の別の物質との近接した物理的接触による暴露の事例を意味する。
【0027】
「混合物」、「混合物」、または「混和物」とは、一般的に、2つ以上の異なる構成成分の物理的組合せを指すために本明細書で使用される。ポリマーの場合、ポリマーの混合物、混合物、または混和物は、2つ以上の異なるポリマーの物理的混和物または組合せである。混合物は、必要ではないが、混合構成成分間の反応をもたらし、元の構成成分がほとんどまたはまったく存在しない組成物をもたらすことがある。
【0028】
「十分な量」および「十分な時間」とは、望ましい1つまたは複数の結果を達成する、例えば、ポリマーの一部を溶かすために必要な量および時間を意味する。
【0029】
本明細書で使用されるような「生体適合性の」とは、レシピエントに対して一般的に無毒であり、対象に対していかなる有意な有害作用も有していない材料を指し、さらに、その材料のいずれの代謝物も分解生成物も対象に対して無毒である。
【0030】
「生体分解性の」とは、生理学的条件下でより小さなユニットまたは化学種に分解または腐食し、対象により代謝、排出、または排泄される可能性のある材料を指す。
【0031】
「ポリマー」という一般用語は、文脈が他の意味を明確に指示していない限り、ホモポリマー、コポリマー、ターポリマーなどを包含する。
【0032】
D,L−PLGは、それぞれ指示されたモル比のD,L−ラクチドおよびグリコリドから調製されるポリ(D,L−ラクチド−コ−グリコリド)である。対照的に、L−PLGは、それぞれ指示されたモル比のL−ラクチドおよびグリコリドから調製されるポリ(L−ラクチド−コ−グリコリド)である。D,L−PLは、ポリ(D,L−ラクチド)である。L−PLは、ポリ(l−ラクチド)である。ラクチドという用語は、モノマー単独かラクチドを含有するポリマーおよびコポリマーのどちらかへ言及するのに使用される場合、D,L−ラクチドかL−ラクチドまたはD−ラクチドのどちらかを指すことがある。したがって、ポリ(ラクチド)(PL)は、一般的に、ポリ(D,L−ラクチド)かポリ(L−ラクチド)またはポリ(D−ラクチド)のどちらかを指すことがある。同様に、ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)(PLG)は、ポリ(D,L−ラクチド−コ−グリコリド)かポリ(L−ラクチド−コ−グリコリド)またはポリ(D−ラクチド−コ−グリコリド)のどちらかを指すことがある。PCLは、ポリカプロラクトンである。L、G、CLという略語は、それぞれラクチド、グリコリド、およびカプロラクトンを指すために本明細書で使用される。
【0033】
DLGCLは、それぞれ指示されたモル比のD,L−ラクチド:グリコリド:カプロラクトンから調製されるターポリマーである。ターポリマーは、ランダムまたはブロックであってよい。LGCLは、それぞれ指示されたモル比のL−ラクチド:グリコリド:カプロラクトンから調製されるターポリマーである。ターポリマーは、ランダムまたはブロックであってよい。
【0034】
本明細書で使用されるような「分子量」とは、他に規定がない限り、バルクポリマーの相対的平均鎖長を指す。実際には、分子量は、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)または毛細管粘度測定法を包含する様々な方法で推定または特徴付けすることができる。GPC分子量は、数平均分子量(Mn)ではなく重量平均分子量(Mw)として報告される。毛細管粘度測定法は、特定の一連の濃度、温度、および溶媒条件を使用して希釈ポリマー溶液から決定される固有粘度として分子量の推定値を提供する。
【0035】
本明細書で使用されるような「制御放出」とは、別の物質の放出を調節するための材料の使用を意味する。
【0036】
「生体活性な薬剤」とは、治療的または生物学的に活性な化合物などの開示されているターポリマー組成物に含有されている関心のある化合物を包含するために本明細書で使用される。生体活性な薬剤は、身体内で局所的または全身的に作用する生理学的または薬理学的に活性な物質を包含するが、これらに限定されるものではない。生物学的に活性な薬剤は、例えば、疾患もしくは病気の治療、予防、診断、治癒、もしくは軽減のために使用される物質、身体の構造もしくは機能に影響を及ぼす物質、または、それらが所定の生理学的環境に入れられた後に生理学的に活性になるかより活性になるプロドラッグである。生体活性な薬剤は、ヒトまたは動物の身体において局所的または全身的に作用する生物学的、生理学的、または薬理学的に活性な物質を包含する。例は、薬物、小分子薬物、ワクチン、アジュバント、ペプチド、タンパク質、核酸、ヌクレオチド、およびオリゴヌクレオチドを包含するが、これらに限定されるものではない。「生体活性な薬剤」は、単一のそのような薬剤を包含し、例えば、2つ以上の生体活性な薬剤の組合せを包含する複数の生体活性な薬剤を包含することも意図されている。
【0037】
「賦形剤」とは、治療的にも生物学的にも活性な化合物ではない、開示されているターポリマー組成物に含有することができる任意の他の化合物を包含するために本明細書で使用される。したがって、賦形剤は、薬学的または生物学的に許容できるか適切であるべきであり、例えば、賦形剤は、対象に対して一般的に無毒であるべきである。「賦形剤」とは、単一のそのような化合物を包含し、複数の賦形剤を包含することも意図されている。
【0038】
「薬剤」とは、ターポリマー組成物中またはターポリマー組成物上に含有されている化合物を一般的に指すために本明細書で使用される。薬剤は、生体活性な薬剤または賦形剤を包含することがある。「薬剤」とは、単一のそのような化合物を包含し、複数のそのような化合物を包含することも意図されている。
【0039】
本明細書で使用されるように、「置換されている」という用語は、有機化合物のすべての許容される置換基を包含することが企図されている。広い態様において、許容される置換基は、有機化合物の非環式および環式の、分岐および非分岐の、炭素環式およびヘテロ環式の、ならびに芳香族および非芳香族の置換基を包含する。例示的置換基は、例えば、下に記載されている置換基を包含する。許容される置換基は、適切な有機化合物について1つまたは複数および同じか異なってもよい。本開示の目的で、窒素および酸素などのヘテロ原子は、水素置換基および/またはヘテロ原子の原子価を満足する本明細書に記載されている有機化合物の任意の許容される置換基を有することができる。本開示は、有機化合物の許容される置換基によりいかなる方法によっても限定されることは意図されていない。また、「置換」または「で置換されている」という用語は、そのような置換が、置換されている原子および置換基の許容される原子価に従うこと、および、置換が、安定な化合物、例えば、転位、環化、脱離などによる変換を自然に受けない化合物をもたらすことという暗黙の条件を包含する。また、本明細書で使用されるように、「置換」または「で置換されている」とは、1つの置換基が別の置換基と縮合している立体配置を包含することを意味する。例えば、アリール基で置換されているアリール基(または、逆もまた同様に)は、1つのアリール基が単一のシグマ結合を介して第二のアリール基と結合していること、および、2つのアリール基が縮合している、例えば、一方のアリール基の2つの炭素が、もう一方のアリール基の2つの炭素と共有されていることも意味することがある。
【0040】
「A1」、「A2」、「A3」、および「A4」とは、様々な具体的置換基を表すための一般的記号として本明細書で使用される。これらの記号は、本明細書に開示されている置換基であるがそれらに限定されない任意の置換基であってよく、それらが、1つの文章においてある置換基であると定義されている場合、別の文章において、それらは、何か他の置換基として定義することができないことを意味するものではない。
【0041】
本明細書で使用されるような「アルキル」という用語は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、エイコシル、テトラコシルなどの、1〜40個の炭素原子の分岐または非分岐の飽和炭化水素基である。アルキル基は、置換または非置換であってもよい。アルキル基は、下に記載されているように、アルキル、ハロゲン化アルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アルデヒド、アミノ、カルボン酸、エステル、エーテル、ハライド、ヒドロキシ、ケトン、スルホ−オキソ、スルホニルアミノ、ニトロ、シリル、アジド、ニトロ、ニトリル、またはチオールを包含するがこれらに限定されない1つまたは複数の基で置換されていてよい。「低級アルキル」とは、6個までの炭素原子を有するアルキル基、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、およびヘキシルである。
【0042】
本明細書を通して、「アルキル」とは、一般的に、非置換アルキル基と置換アルキル基の両方を指すために使用されるが、置換アルキル基は、アルキル基上の1つまたは複数の具体的置換基を特定することにより本明細書に具体的に言及されることもある。例えば、「アルキルハライド」という用語は、具体的に、1つまたは複数のハライド、例えば、フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素で置換されているアルキル基を指す。「アルキル」が、1つの文章において使用され、「アルキルハライド」などの具体的用語が、別の文章において使用されている場合、「アルキル」という用語が、「アルキルハライド」などの具体的用語を指すこともないことを暗示することが意味されているものではない。
【0043】
この慣行は、本明細書に記載されている他の基についても使用される。すなわち、「ヘテロアリール」などの用語は、非置換ヘテロアリール部分と置換ヘテロアリール部分の両方を指すが、さらに、置換部分は、本明細書で具体的に特定することができ、例えば、特定の置換ヘテロアリールは、例えば、「アルキルヘテロアリール」と呼ばれることがある。同様に、置換アルケニルは、例えば、「アルケニルハライド」などであってよい。この場合も、「ヘテロアリール」などの一般的用語、および「アルキルヘテロアリール」などの具体的用語を使用する慣行は、一般的用語が具体的用語も包含しないことを暗示することが意味されているものではない。
【0044】
本明細書で使用されるような「アルコキシ」という用語は、エーテル連結を通じて結合しているアルキルまたはシクロアルキル基であり、すなわち、「アルコキシ」基は、A1が上で定義されているようなアルキルまたはシクロアルキルである−OA1と定義することができる。「低級アルキル」とは、6個までの炭素原子を有するアルコキシ基、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペントキシ、およびヘキソキシである。
【0045】
本明細書で使用されるような「アルケニル」という用語は、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を含有する構造式の2〜40個の炭素原子の炭化水素基である。(A1A2)C=C(A3A4)などの非対称構造は、E異性体とZ異性体の両方を包含することが意図されている。このことは、非対称アルケンが存在するか、結合記号C=Cより明示的に示すことができる本明細書の構造式で推測することができる。アルケニル基は、アルキル、ハロゲン化アルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アルデヒド、アミノ、カルボン酸、エステル、エーテル、ハライド、ヒドロキシ、ケトン、スルホ−オキソ、スルホニルアミノ、ニトロ、シリル、アジド、ニトロ、ニトリル、またはチオールを包含するがこれらに限定されない1つまたは複数の基で置換されていてよい。
【0046】
本明細書で使用されるような「アルキニル」という用語は、少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を含有する構造式の2〜40個の炭素原子の炭化水素基である。アルキニル基は、アルキル、ハロゲン化アルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アルデヒド、アミノ、カルボン酸、エステル、エーテル、ハライド、ヒドロキシ、ケトン、スルホ−オキソ、スルホニルアミノ、ニトロ、シリル、アジド、ニトロ、ニトリル、またはチオールを包含するがこれらに限定されない1つまたは複数の基で置換されていてよい。
【0047】
本明細書で使用されるような「アリール」という用語は、ベンゼン、ベンジル、ナフタレン、フェニル、ビフェニル、フェノキシベンゼンなどを包含するがこれらに限定されない任意の炭素ベースの芳香族基を含有する基である。「アリール」という用語は、芳香族基の環内に組み入れられた少なくとも1つのヘテロ原子を有する芳香族基を含有する基と定義される「ヘテロアリール」も包含する。ヘテロ原子の例は、窒素、酸素、硫黄、およびリンを包含するが、これらに限定されるものではない。同様に、「アリール」という用語にも包含される「非ヘテロアリール」という用語は、ヘテロ原子を含有しない芳香族基を含有する基を定義する。アリール基は、置換または非置換であってよい。アリール基は、本明細書に記載されているようなアルキル、ハロゲン化アルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アルデヒド、アミノ、カルボン酸、エステル、エーテル、ハライド、ヒドロキシ、ケトン、スルホ−オキソ、スルホニルアミノ、アジド、ニトロ、ニトリル、またはチオールを包含するがこれらに限定されない1つまたは複数の基で置換されていてよい。「ビアリール」という用語は、具体的タイプのアリール基であり、アリールの定義に包含される。ビアリールとは、ナフタレンにおけるように縮合環構造を介して互いに結合しているか、ビフェニルにおけるように1つまたは複数の炭素−炭素結合を介して接続している2つのアリール基を指す。
【0048】
本明細書で使用されるような「シクロアルキル」という用語は、少なくとも3個の炭素原子からなる非芳香族の炭素ベースの環である。シクロアルキル基の例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロオクチルなどを包含するが、これらに限定されるものではない。「ヘテロシクロアルキル」という用語は、環の炭素原子のうちの少なくとも1つが、窒素、酸素、硫黄、またはリンなどであるがこれらに限定されないヘテロ原子で置換されている、上で定義されているようなシクロアルキル基である。シクロアルキル基およびヘテロシクロアルキル基は、置換または非置換であってよい。シクロアルキル基およびヘテロシクロアルキル基は、アルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アルデヒド、アミノ、カルボン酸、エステル、エーテル、ハライド、ヒドロキシ、ケトン、スルホ−オキソ、スルホニルアミノ、ニトロ、アジド、ニトリル、シリル、またはチオールを包含するがこれらに限定されない1つまたは複数の基で置換されていてよい。
【0049】
本明細書で使用されるような「シクロアルケニル」という用語は、少なくとも3個の炭素原子からなる非芳香族の炭素ベースの環であり、少なくとも1つの二重結合、例えば、C=Cを含有する。シクロアルケニル基の例は、シクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロペンタジエニル、シクロヘキセニル、シクロヘキサジエニルなどを包含するが、これらに限定されるものではない。「ヘテロシクロアルケニル」という用語は、あるタイプの上で定義されているようなシクロアルケニル基であり、「シクロアルケニル」という用語の意味の中に包含され、環の炭素原子のうちの少なくとも1つは、窒素、酸素、硫黄、またはリンなどであるがこれらに限定されないヘテロ原子で置換されている。シクロアルケニル基およびヘテロシクロアルケニル基は、置換または非置換であってよい。シクロアルケニル基およびヘテロシクロアルケニル基は、アルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アルデヒド、アミノ、カルボン酸、エステル、エーテル、ハライド、ヒドロキシ、ケトン、スルホ−オキソ、スルホニルアミノ、ニトロ、シリル、アジド、ニトリル、またはチオールを包含するがこれらに限定されない1つまたは複数の基で置換されていてよい。
【0050】
「環式基」という用語は、アリール基(例えば、ヘテロアリール、ビアリール)、非アリール基(すなわち、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、シクロアルケニル、およびヘテロシクロアルケニル基)、または両方のいずれかを指すために本明細書で使用される。環式基は、置換または非置換であってよい1つまたは複数の環系を有する。環式基は、1つもしくは複数のアリール基、1つもしくは複数の非アリール基、または1つもしくは複数のアリール基および1つもしくは複数の非アリール基を含有することができる。
【0051】
本明細書で使用されるような「アルデヒド」という用語は、式−C(O)Hにより表される。本明細書を通して、「C(O)」とは、カルボニル基、すなわち、C=Oについての短縮表記である。
【0052】
本明細書で使用されるような「アミン」または「アミノ」という用語は、式
【0053】
【化1】
により表され、A1、A2、およびA3は、各々、お互いと無関係に、水素、上に記載されているアルキル、ハロゲン化アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルキル、またはヘテロシクロアルケニル基であってよい。また、A1、A2、およびA3置換基のうちのいずれかは、存在しなくてよく、残りの置換基のうちのいずれかは、多価基であってよく、すなわち、Nと2つ以上の結合を形成する。
【0054】
本明細書で使用されるような「カルボン酸」という用語は、式−C(O)OHにより表される。「カルボキシレート」という用語は、脱プロトン化されたカルボン酸、すなわち、−C(O)O−である。プロトン化および脱プロトン化は、pHの変化により実現することができる。「カルボン酸」および「カルボキシレート」という用語は、相互交換可能であると理解される。
【0055】
本明細書で使用されるような「エステル」という用語は、A1が、本明細書に記載されているような置換または非置換のアルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、シクロアルキニル、アリール、またはヘテロアリール基であってよい、式−OC(O)A1または−C(O)OA1により表される。
【0056】
本明細書で使用されるような「エーテル」という用語は、A1およびA2が、独立して、本明細書に記載されているような置換または非置換のアルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、シクロアルキニル、アリール、またはヘテロアリール基であってよい、式A1OA2により表される。
【0057】
本明細書で使用されるような「ハライド」という用語は、ハロゲンのフッ素、塩素、臭素、およびヨウ素を指す。
【0058】
本明細書で使用されるような「ヒドロキシル」という用語は、式−OHにより表される。
【0059】
本明細書で使用されるような「ケトン」という用語は、A1およびA2が、独立して、本明細書に記載されているような置換または非置換のアルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、シクロアルキニル、アリール、またはヘテロアリール基であってよい、式A1C(O)A2により表される。
【0060】
本明細書で使用されるような「アジド」という用語は、式−N3により表される。
【0061】
本明細書で使用されるような「ニトロ」という用語は、式−NO2により表される。
【0062】
本明細書で使用されるような「ニトリル」という用語は、式−CNにより表される。
【0063】
本明細書で使用されるような「シリル」という用語は、A1、A2、およびA3が、独立して、水素または本明細書に記載されているような置換もしくは非置換のアルキル、シクロアルキル、アルコキシ、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、シクロアルキニル、アリール、もしくはヘテロアリール基であってよい、式−SiA1A2A3により表される。
【0064】
本明細書で使用されるような「スルホ−オキソ」という用語は、A1が、水素または本明細書に記載されているような置換もしくは非置換のアルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、シクロアルキニル、アリール、もしくはヘテロアリール基であってよい、式−S(O)A1、−S(O)2A1、−OS(O)2A1、または−OS(O)2OA1により表される。本明細書を通して、「S(O)」とは、S=Oについての短縮表記である。「スルホニル」という用語は、A1が、水素または本明細書に記載されているような置換もしくは非置換のアルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、シクロアルキニル、アリール、もしくはヘテロアリール基であってよい、式−S(O)2A1により表されるスルホ−オキソ基を指すために本明細書で使用される。本明細書で使用されるような「スルホン」という用語は、A1およびA2が、独立して、本明細書に記載されているような置換または非置換のアルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、シクロアルキニル、アリール、もしくはヘテロアリール基であってよい、式A1S(O)2A2により表される。本明細書で使用されるような「スルホキシド」という用語は、A1およびA2が、独立して、本明細書に記載されているような置換または非置換のアルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、シクロアルキニル、アリール、もしくはヘテロアリール基であってよい、式A1S(O)A2により表される。
【0065】
本明細書で使用されるような「スルホンアミド」という用語は、A1が、水素、本明細書に記載されているような置換または非置換のアルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、シクロアルキニル、アリール、もしくはヘテロアリール基であってよい、式−S(O)2NA1−により表される。
【0066】
本明細書で使用されるような「チオール」という用語は、式−SHにより表される。
【0067】
「R1」、「R2」、および、nが何らかの整数である「Rn」は、本明細書で使用されるように、独立して、上に列挙されている基のうちの2つ以上を持つことができる。例えば、Rが、直鎖アルキル基である場合、アルキル基の水素原子のうちの1つは、任意選択で、ヒドロキシル基(OH)、アルコキシ基、ハライドなどで置換されていてよい。選択される基に応じて、第一の基は、第二の基の中に組み入れられることがあり、あるいは、第一の基は、第二の基に懸垂している(すなわち、接続している)か縮合していてよい。
【0068】
「オルト」、「メタ」、および「パラ」という用語は、それぞれ1,2−、1,3−、および1,4−二置換ベンゼンを指す。
【0069】
本明細書で使用されるように、「アルコール」という用語は、少なくとも1つのヒドロキシル基(−OH)を有する化合物を指す。「ポリオール」という用語は、2つ(「ジオール」と具体的に呼ばれることがある)以上のヒドロキシル基を有するアルコールを指す。反対の記述がない限り、「アルコール」という用語は、ジオール、トリオール、ポリオールならびにポリマーアルコールおよびポリマーポリオールも指すために本明細書で使用される。アルコールの非限定的な例は、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、オクタノール、デカノール、ドデカノール、オレイルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール;短鎖アルコール(例えば、C1〜C6アルコール)、中鎖アルコール(例えば、C7〜C12)、長鎖アルコール(例えば、C13〜C24アルコール)など;飽和アルコール、不飽和アルコール;ベンジルアルコール、エチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−プロピレングリコール、グリセロール、および修飾ポリビニルアルコールなどのポリマーアルコール、ヒドロキシル含有PVP、ならびにアルコキシキャップされていることがあるポリアルキレンオキシホモおよびコポリマー、例えば、PEG、MPEG600などを包含する。アルコールの他の例は、本明細書の他の場所に開示されている。
【0070】
反対の記述がない限り、化学結合が、楔としてでも破線としてでもなく実線としてのみで示されている式は、各々の可能な異性体、例えば、各々のエナンチオマーおよびジアステレオマー、ならびにラセミ混合物またはスケールミック混合物などの異性体の混合物を企図している。
【0071】
ポリマーは、ポリマーを作り上げるために使用される特定のモノマーに言及することにより本明細書で参照されることが理解される。モノマーは、おそらく重合反応から使い残される一部の残留量を除いて、ポリマー中には実際に存在しないことは言うまでもない。したがって、例えば、ポリカプロラクトンは、カプロラクトンを実際に含有せず(この場合も、おそらく一部の残留未反応モノマーを除いて)、開環重合したモノマーカプロラクトンからの繰り返しユニットを含有する。この命名規則は、当技術分野において共通である。
【0072】
次に、開示されている材料、化合物、組成物、構成成分、装置、品目、および方法の具体的態様に詳細に言及するものとし、それらの例は、下記の説明および例、ならびに図面およびそれらの前および下記の説明で例示される。
【0073】
材料および組成物
本明細書には、開示されている方法の生成物および組成物のために使用することができる、それらと併せて使用することができる、それらを調製するのに使用することができる、またはそれらである材料、化合物、組成物、および構成成分が開示されている。これらおよび他の材料は、本明細書に開示されており、これらの材料の組合せ、サブセット、相互作用、群などが開示されている場合、これらの化合物の各々の様々な個別的および集合的組合せおよび並べ替えに関する具体的言及が明確に開示されていなくても、各々は、具体的に企図され本明細書に記載されていることが理解される。例えば、ある化合物が開示されており、その化合物の多くの構成成分または残基に対して行うことができる多くの修正形態が議論されている場合、具体的に反対の指示がない限り、可能である各々のおよびすべての組合せおよび並べ替えが具体的に企図されている。したがって、あるクラスの構成成分A、B、およびCが開示されているだけでなく、あるクラスの構成成分D、E、およびFならびに組合せ組成物A−Dの例が開示されている場合、たとえ各々が個別に列挙されていなくても、各々は、個別的および集合的に企図されている。したがって、この例において、組合せA−E、A−F、B−D、B−E、B−F、C−D、C−E、およびC−Fの各々は、具体的に企図されており、A、B、およびC;D、E、およびF;ならびに実例組合せA−Dの開示から開示されていると見なされるべきである。同様に、これらの任意のサブセットまたは組合せも、具体的に企図および開示されている。したがって、例えば、A−E、B−F、およびC−Eのサブグループは、具体的に企図されており、A、B、およびC;D、E、およびF;ならびに実例組合せA−Dの開示から開示されていると見なされるべきである。この概念は、開示されている組成物を製造および使用する方法におけるステップを包含するがそれに限定されない本開示のすべての態様に当てはまる。したがって、行うことができる様々な追加ステップがある場合、これらの追加ステップの各々は、開示されている方法の任意の具体的態様または態様の組合せで行うことができ、各々のそのような組合せは、具体的に企図されており、開示されていると見なされるべきであることが理解される。
【0074】
本明細書には、ある態様において、(ヒドロキシル含有)アルコール開始剤を使用して調製されるターポリマーが開示されている。アルコール開始剤の選別および選択は、最終ポリマーの属性を変化または操作することができる1方法を可能にする。例えば、得られるターポリマーの最終粘度は、脂質様もしくは長鎖アルコール開始剤または低粘度アルコール開始剤の選択により影響を受けることがある。例えば、脂質様開始剤1−ドデカノールまたはオレイルアルコールを使用して調製される本明細書に開示されているようなターポリマーは、小分子開始剤(グリコール酸エチルなど)から調製される類似のターポリマーよりも低い粘度を有することがある。また、得られるポリマーの相対的親油性は、中鎖または長鎖(脂質様)アルコール開始剤の選択により影響を受けることがある。得られるポリマーの相対的親水性は、親水性または水溶性アルコール開始剤(例えば、メトキシPEG−400など)の選択により影響を受けることがある。疎水性開始剤を用い、ポリマーの相対的分解速度を減速させることができ、逆に、より親水性の開始剤は、相対的に速い分解速度をもたらすことがある。得られるポリマーの粘度またはレオロジー的挙動は、ポリマーアルコール開始剤の選択によりまたは2つ以上のヒドロキシル基を含有する開始剤の選択により影響を受けることがある。ポリオールを使用し、鎖長に極めて左右されるシヤスィニング挙動または粘度などの普通でないレオロジー的特性を有する分岐ターポリマーを調製することができる。さらに、モノマー組成の変化は、最終ポリマーの特徴を調整することができる追加経路を可能にする。例えば、コポリマー組成への操作(例えば、相対的カプロラクトン含有量を増加させることなど)を利用し、ガラス転位温度を下げ、粘度を下げ、疎水性を変え、総分解速度に影響を及ぼし操作することができる。
【0075】
ターポリマー
本明細書には、ヒドロキシル含有開始剤で開始されるラクチド、グリコリド、およびε−カプロラクトンの生体分解性および生体適合性のターポリマーを含む組成物が開示されている。ターポリマーは、3種の特徴的なモノマー繰り返しユニットからなるポリマーである。特定の組成範囲のラクチド(L)、グリコリド(G)、およびε−カプロラクトン(CL)を有するターポリマーは、物理的外観が「シロップ状」であると文献に報告されている(その全体が、特に、ターポリマーならびにそれらを製造および使用する方法に関するその教示のため、参照により本明細書に組み込まれているHubbellおよびSawhney、「Rapidly degraded terpolymers of d,l−lactide, glycolide and ε−caprolactone with increased hydrophilicity by copolymerization with polyethers」、J. Biomed. Mater. Res.、24巻:1397〜1411頁、1990年を参照)。グリコリド、 ラクチド、およびε−カプロラクトンが有する著しく異なる特性のため、ターポリマー中のこれらのモノマーの量を変えることにより、ポリマーの形態および特性を有意に制御することができる。また、分子量および開始剤を変えることにより、開示されているターポリマーの粘度、親水性、分解速度、および/または流動特性を制御することができる。
【0076】
開示されているターポリマー組成物は、ある例において、注射により投与することが可能である粘稠な液体ポリマー薬物送達プラットホームである。別の態様において、それらを使用し、経口、局所、または注射投与のための疎水性および親油性薬物を可溶化することが可能であるポリマーミセルを形成することができる。制御された薬物送達のためのポリマーミセルまたは粘稠な薬物送達プラットホームとして開示されているターポリマー組成物を使用する方法も開示されている。開示されているターポリマーからなる製剤は、ターポリマー組成物それ自体の中に生体活性な薬剤などの二次的構成成分を含有することができ、あるいは、製剤は、小レベルの生体適合性溶媒(一例として、とりわけ、エタノール)で可塑化されるターポリマーからなっていてよい。
【0077】
開示されているターポリマーにおいて、ラクチドは、約10〜約60モルパーセントの量で存在することができる。例えば、ラクチドは、約10〜約30モルパーセント、約20〜約40モルパーセント、約30〜約50モルパーセント、約40〜約60モルパーセント、約50〜約60モルパーセント、約10〜約20モルパーセント、約20〜約30モルパーセント、約25〜約45モルパーセント、約45〜約60モルパーセント、約10〜約25モルパーセント、約12〜約18、または約13〜約16モルパーセントの量で存在することができる。他の例において、ラクチドは、約10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、または60モルパーセントで存在することができ、表示される値のいずれも、範囲の上端点または下端点を形成することができる。具体的例において、開示されているターポリマーは、ラクチド約15モル%を含む。
【0078】
開示されているターポリマーにおいて、グリコリドは、約10〜約40モルパーセントの量で存在することができる。例えば、グリコリドは、約10〜約20、約20〜約30、約30〜約40、約15〜約25、約25〜約35、約22〜約28、または約24〜約26モルパーセントの量で存在することができる。他の例において、グリコリドは、約10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30モルパーセントで存在することができ、表示される値のいずれも、範囲の上端点または下端点を形成することができる。具体的例において、開示されているターポリマーは、グリコリド約25モル%を含む。
【0079】
開示されているターポリマーにおいて、ε−カプロラクトンは、約20〜約70モルパーセントの量で存在することができる。例えば、ε−カプロラクトンは、約20〜約50モルパーセント、約30〜約60モルパーセント、約40〜約70モルパーセント、約20〜約40モルパーセント、約20〜約30モルパーセント、約30〜約50モルパーセント、約40〜約60モルパーセント、約50〜約70モルパーセント、約40〜約50、約50〜約60、約60〜約70、約40〜約55、約45〜約60、約45〜約65、約55〜約65、または約58〜約63モルパーセントの量で存在することができる。他の例において、ε−カプロラクトンは、約20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、または60モルパーセントで存在することができ、表示される値のいずれも、範囲の上端点または下端点を形成することができる。具体的例において、開示されているターポリマーは、ε−カプロラクトン約60モル%を含む。
【0080】
開示されているターポリマーは、極めて粘稠から低粘度に及ぶ粘度を有することができる。それらは、粘着性のワックスまたはペーストから流動可能か注射可能な液体であってよい。例えば、開示されているターポリマーは、約0.02〜0.25の、30℃にてクロロホルム中0.5%(wt/vol)ターポリマーで測定される固有粘度を有する。他の例において、固有粘度は、約0.02〜約0.10、約0.05〜約0.15、約0.10〜約0.25、約0.12〜約0.18、約0.14〜約0.16、約0.11〜約0.19、約0.13〜約0.17、約0.11〜約0.15、または約0.12〜約0.17であってよい。具体的例において、30℃にてクロロホルム中0.5%(wt/vol)ターポリマーで測定される固有粘度は、約0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.10、0.11、0.12、0.13、0.14、0.15、0.16、0.17、0.18、0.19、0.20、0.21、0.22、0.23、0.24、または0.25であり、表示される値のいずれも、範囲の上端点または下端点を形成することができる。
【0081】
開示されているターポリマーのMwは、約25,000未満、例えば、約650〜約25,000ダルトンであってよい。他の例において、Mwは、約650〜約8,000、約1,000〜約6,000、約1,000〜約4,000、約1,500〜約2,500、約7,000〜約14,000、約8,000〜約13,000、約9,000〜約12,000、約10,000〜約11,000、約6,000〜約10,000、または約7,000〜約11,000ダルトンであってよい。具体的例において、Mwは、約650、750、850、950、1,000、1,500、2,000、2,500、3,000、3,500、4,000、4,500、5,000、5,500、6,000、6,500、7,000、7,500、8,000、8,500、9,000、9,500、10,000、10,500、11,000、11,500、12,000、12,500、13,000、13,500、14,000、14,500、15,000、15,500、16,000、16,500、17,000、17,500、18,000、18,500、19,000、19,500、20,000、20,500、21,000、21,500、22,000、22,500、23,000、23,500、24,000、24,500、または25,000ダルトンであってよく、表示される値のいずれも、範囲の上端点または下端点を形成することができる。
【0082】
開示されているターポリマーのMnは、15,000ダルトン未満である。より典型的には、Mnは、約500〜約8,000ダルトンである。例えば、Mnは、約500〜約2,000、約500〜約4,000、約500〜約6,000、約500〜約7,000、約2,000〜約12,000、約2,000〜約10,000、約2,000〜約8,000、約2,000〜約6,000、約3,000〜約6,000、約4,000〜約5,000、約2,000〜約5,000、約4,000〜約8,000、または約5,000〜約6,000ダルトンであってよい。具体的例において、Mnは、約500、1,000、1,500、2,000、2,500、3,000、3,500、4,000、4,500、5,000、5,500、6,000、6,500、7,000、7,500、8,000、8,500、9,000、9,500、10,000、10,500、11,000、11,500、12,000、12,500、13,000、13,500、14,000、14,500、または15,000ダルトンであってよく、表示される値のいずれも、範囲の上端点または下端点を形成することができる。
【0083】
開示されているターポリマーの多分散性は、約1.0〜約3.0であってよい。例えば、多分散性は、約1.0〜約2.5、約1.5〜約3.0、約1.0〜約2.0、約1.5〜約2.5であってよい。具体的例において、多分散性は、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、または3.0であってよく、表示される値のいずれも、範囲の上端点または下端点を形成することができる。
【0084】
開示されているターポリマーは、約20℃未満のガラス転移温度(Tg)を有することができる。例えば、Tgは、約15未満、約10未満、約5未満、約0未満、約−5未満、約−10未満、約−15未満、約−20未満、約−25未満、約−30未満、約−35未満、または約−40℃未満であってよい。
【0085】
開示されているターポリマーは、ターポリマーの総重量を基準として、約3.0重量%以下のモノマーのうちのいずれか1つ(すなわち、ラクチド、グリコリド、またはカプロラクトンのいずれか)の残留量を有することができる。例えば、開示されているターポリマー中の残留モノマーのうちのいずれか1つの量は、約2.5未満、約2.0未満、約1.5未満、約1.0未満、約1.0未満、約0.5未満、または約0.2重量パーセント未満であってよく、表示される値のいずれも、範囲の上端点または下端点を形成することができる。
【0086】
理論により束縛されたくはないが、非晶性ポリマーの自由体積は、温度がTgより上に上昇するとすぐに増加する。熱エネルギーは、ポリマー鎖の間に追加の空きスペースを作り出す働きをし、局所的部分運動の増加を可能にする。Tgより上で、非晶性ポリマーは、ガラス状固体というよりはむしろゴム状液体に近い挙動をする。所与のポリマータイプについて、Tgは、数平均分子量と共に増加する。幾分高い重合度で、Tgは、頭打ちになる傾向がある。その理由としては、低分子量ポリマーの場合、効率的に詰まらないポリマー鎖端の相対的存在量が、システムにおける追加自由体積に寄与するからである。この理由から、本開示は、重量平均分子量が約50,000g/mol未満、または、より詳細には約25,000g/mol未満のターポリマーについて記載する。さらに、開示されているターポリマーは、全体の予想される作業温度範囲にわたって非晶性であることが予想される。
【0087】
開示されているターポリマーは、ポリマー生成物に異なる特徴を提供する異なるヒドロキシル含有開始剤を使用して合成される。したがって、本明細書には、適切な触媒に存在下で、開始剤を一定量のモノマーに添加することによりターポリマーを形成する方法が開示されている。開始剤は、ポリマーに組み入れられることとなり、末端基生成物質と考えることができる。Tgおよび粘度は、ポリマーパッキングを壊して自由体積を増加させるように働く開始用フラグメントを使用することによりさらに低減することができる。
【0088】
さらに、開示されているターポリマーにおいて、ポリマーミセルコアを形成するために使用される1つまたは複数の疎水性生体分解性ブロックは、ラクチド、グリコリドおよびカプロラクトンの非晶質形成性ランダム配列を含む。親水性シェルは、ポリエチレングリコールおよびメトキシエンドキャップされたポリエチレングリコールなどの極性で親水性の開始剤フラグメントまたはヒドロキシ含有ポリビニルピロリドン(PVP)などの他の適当に極性のセグメントからなる。開始剤フラグメントの他に、親水性ブロックを、合成化学者に周知である標準的カップリング化学反応を介して疎水性コアとカップリングさせることができる。
【0089】
開始剤
開始剤は、モノマーとの反応を通じてヒドロキシル基を発生することが可能であるアルコールである。添加されるアルコール開始剤は、大気中の水分へのその暴露、すなわち、貯蔵の長さなどの要因に応じて、バッチ毎にならびに所与のバッチについて存在することがあるいかなる残留水とも違う、主要な開始用分子種である。したがって、ある態様において、開始剤は、水ではない。水開始剤を有することは、遊離酸基を含むターポリマー分子をもたらすであろう。したがって、開示されているターポリマーは、遊離酸を実質的に含まない。「実質的に含まない」とは、遊離酸を含むターポリマーが、最終ターポリマー組成物中に約5、4、3、2、1、0.5、0.25、または0.1モル%未満で存在することを意味する。
【0090】
開始剤は、第一級アルコール(R−CH2−OH)、第二級アルコール(RR’CH−OH)、2種以上の異なる第一級アルコールの混合物、2種以上の異なる第二級アルコールの混合物、または第一級アルコールと第二級アルコールの混合物であってよく、RおよびR’は、飽和または不飽和の、直線または分岐のアルキル鎖であってよい。RおよびR’は、各々、酸素または窒素などのヘテロ原子を有することができる。RおよびR’は、各々、置換または非置換のフェニルであってよい。重合後、開始剤は、ターポリマーの1つまたは複数の末端基になり、したがって、ターポリマーの共有結合的な部分である。
【0091】
適当な開始剤は、室温以上で非結晶性である。例えば、適当な開始剤は、室温以上で粘稠な、ワックス状の、半固体および/または液体である。開始剤は、室温以下のTg(ガラス転移温度)も有するべきである。さらに、適当な開始剤は、無毒で生体適合性である。適当な開始剤は、適合性であるべきで(すなわち、分解せず)、開示されているターポリマーに可溶である。理論により束縛されたくはないが、開始剤は、開示されているターポリマーを軟化および可塑化する役割を果たす。
【0092】
適当な開始剤の一部の具体的な例は、1〜5個の炭素原子を含む短鎖アルコール(例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、1−ブタノール、sec−ブタノール、イソブタノール、tertブタノール、ペンタノールなど)を包含するが、これらに限定されるものではない。他の適当な開始剤は、6〜22個の炭素原子を含む飽和および不飽和の長鎖アルコール(例えば、1−ヘキサノール、2−エチルヘキサノール、1−ヘプタノール、1−オクタノール(カプリルアルコール)、1−ノナノール、1−デカノール(カプリンアルコール)、1−ウンデカノール、1−ドデカノール(ラウリルアルコール)、1−トリデカノール、1−テトラデカノール(ミリスチルアルコール)、1−ペンタデカノール、1−ヘキサデカノール(セチルアルコール)、1−ヘプタデカノール、1−オクタデカノール(ステアリルアルコール)、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、パルミトレイルアルコール、ペトロセレニル(petroselenyl)アルコール、バクセニルアルコール、ギプトール、リノレイルアルコール、リノレニルアルコール、リシノレイルアルコールなど)を包含するが、これらに限定されるものではない。
【0093】
開始剤のさらなる例は、エチレンジオール、ジエチレンジオール、トリエチレンジオール、ネオペンチルジオール、1,3−プロパンジオール、グリセロール、1,4−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,3−ペンタンジオール、ペンタエリスリトール、1,6−ヘキサンジオール、1,3−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,10−デカンジオール、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール、3−メチル−2,4−ペンタンジオール、2−メチル−1,4−ペンタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、2−エチル−1−1,3−ヘキサンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、およびそれらの混合物を包含するが、これらに限定されるものではない。さらなる例は、(2R,3R)−ブタン−1,2,3,4−テトラオール、(2S,3R)−ブタン−1,2,3,4−テトラオール、(2R,3S)−ブタン−1,2,3,4−テトラオール、(2S,3S)−ブタン−1,2,3,4−テトラオール、(2R,3R,4R)−ペンタン−1,2,3,4,5−ペンタオール、(2S,3R,4R)−ペンタン−1,2,3,4,5−ペンタオール、(2R,3S,4R)−ペンタン−1,2,3,4,5−ペンタオール、(2R,3R,4S)−ペンタン−1,2,3,4,5−ペンタオール、(2S,3S,4R)−ペンタン−1,2,3,4,5−ペンタオール、(2S,3R,4S)−ペンタン−1,2,3,4,5−ペンタオール、(2R,3S,4S)−ペンタン−1,2,3,4,5−ペンタオール、および(2S,3S,4S)−ペンタン−1,2,3,4,5−ペンタオールを包含するが、これらに限定されるものではない。
【0094】
別のクラスの適当な開始剤は、モノ−ヒドロキシポリ(エチレングリコール)、ジ−ヒドロキシポリ(エチレングリコール)、ポリ(エチレングリコール)誘導体および多官能基化(multi−functionalized)(マルチ−ヒドロキシル(multi−hydroxyl))ポリ(エチレングリコール)、ならびにそれらの混合物である。
【0095】
開始剤の一部の追加例は、一官能性アルコールC1〜C24、二官能性アルコール、三官能性アルコール、四官能性アルコール、多官能性アルコール、第一級、第二級、および第三級アルコール、飽和または不飽和アルコール、ヒドロキシ含有カルボン酸、ヒドロキシ含有脂肪酸(飽和または不飽和のヒドロキシ含有脂肪酸を包含する)(リシノール酸など)、コール酸、ケノデオキシコール酸、グリココール酸、タウロコール酸、デオキシコール酸およびそれらの組合せを包含する胆汁酸塩、ヒドロキシ含有アミノ酸、ヒドロキシ含有ペプチド、糖アルコール、単糖、二糖、糖酸、グリコールエーテル、ポリマー多官能性アルコール(ポリオール)、ならびにポリエーテルポリオールである。
【0096】
開始剤のさらなる例は、ベンジルアルコール、グリコール酸エチル、グリコール酸、乳酸、ヒドロキシ酪酸、セリン、スレオニン、セリン含有ペプチド、スレオニン含有ペプチド、マンニトール、ソルビトール、グルコース、フルクトース、スクロース、グルクロン酸、1〜約30個のグリセロールユニットを含有するポリグリセロールエーテル、1〜約30個のエチレングリコールユニットを含有するポリエチレングリコール、および分岐ポリエチレングリコールを包含するが、これらに限定されるものではない。
【0097】
モノマーの開始剤に対する比は、約30:1〜1:1の範囲であってよい。例えば、モノマーの開始剤に対する比は、約30:1、29:1、28:1、27:1、26:1、25:1、24:1、23:1、22:1、21:1、20:1、19:1、18:1、17:1、16:1、15:1、14:1、13:1、12:1、11:1、10:1、9:1、8:1、7:1、6:1、5:1、4:1、3:1、2:1、または1:1であってよい。1つの例において、モノマーの開始剤に対する比は、21:1であってよい。
【0098】
二次的構成成分(または薬剤)
開示されているターポリマー組成物は、1つまたは複数の二次的な構成成分または薬剤を含むこともできる。二次的構成成分は、開示されているターポリマーに添加されるかそれらと混合される生体活性な薬剤、生体分子、賦形剤、薬剤、修飾剤、界面活性剤、粘度調整剤、保存剤、および/またはアジュバントである。二次的構成成分は、ターポリマーと共有結合的に接続するか、中に包埋するか、ターポリマー中に混合することができる。二次的構成成分は、ターポリマーの合成中に存在してよいが、大部分の場合において、二次的構成成分は、ターポリマーが合成された後でターポリマー組成物に添加される。
【0099】
本明細書の多くの例において、ターポリマー組成物は、二次的構成成分として1つまたは複数の生体活性な薬剤(例えば、薬学的な(薬物またはワクチン)、栄養素、生体分子)、コントラスト剤、イメージング剤、色素、標的化部分、合成ポリマー、磁性粒子、放射線不透過剤などを有することができる。すなわち、開示されているターポリマー組成物は、ヒトまたは非ヒト動物にとって治癒的、治療的、または診断的価値を有する多種多様の放出可能な生体活性な薬剤のための担体および送達装置として使用することができる。本明細書に記載されている生体活性な薬剤のいずれも、この点において使用することができる。開示されている組成物により運ぶことができるこれらの物質の多くが本明細書で議論されている。
【0100】
二次的構成成分が、生体活性な薬剤である場合、それは、疾患または病気を治療するために使用される薬物または他の薬学的に活性な薬剤であってよい。したがって、生体活性な薬剤を包含する薬剤を使用し、ヒトまたは動物において疾患または病気を治療することができる。任意のそのような医薬品を、二次的構成成分として使用することができる。医薬品の適当な例は、少なくとも医薬品についてのそれらの教示のために各々が参照により本明細書に組み込まれているMerck Index(第13版、Wiley、2001年)、The United States Pharmacopeia−National Formulary (USP−NF)、およびFDA’s Orange book中に見いだすことができる。生体活性な薬剤を包含する潜在的治療剤が、開示されているターポリマー組成物における適当な二次的構成成分であってよいことも企図されている。得られる医薬品−ターポリマー組成物は、適用部位に隣接するか適用部位から離れている組織への薬物または他の生物学的に活性な薬剤の持続的で長時間作用性の連続的送達のためのシステムを提供することができる。多くの場合において、医薬品−ターポリマー組成物は、注射可能である。そのように治療することができる疾患または病気のクラスは、「Goodman & Gilman’s The Pharmacological Basis of Therapeutics」(McGraw−Hill、第9版)中に見いだされるものを包含する。
【0101】
適当な生体活性な薬剤は、それが適用される生物学的システムにおいて局所的または全身的な生物学的、生理学的、または治療的効果を提供することが可能である。例えば、生体活性な薬剤は、いくつかある機能の中で特に、感染または炎症を制御し、細胞成長および組織再生を亢進し、腫瘍成長を制御し、鎮痛剤として作用し、抗細胞接着を促進する役割を果たすことができる。他の適当な生体活性な薬剤は、抗ウイルス剤、ホルモン、抗体、または治療用タンパク質を包含することができる。さらに他の生体活性な薬剤は、投与された場合に生物学的に活性ではないが、対象に投与されると、代謝または何らか他の機構を通じて生体活性な薬剤に変換される薬剤であるプロドラッグを包含する。さらに、本明細書に開示されている組成物のいずれも、2種以上の生体活性な薬剤の組合せを含有することができる。
【0102】
一部の例において、生体活性な薬剤は、例えば、ピロカルピン、ヒドロコルチゾン、プレドニゾロン、コルチゾン、ジクロフェナクナトリウム、インドメタシン、6−メチル−プレドニゾロン、コルチコステロン、デキサメタゾン、プレドニゾンなどであるがこれらに限定されない抗炎症剤;サリチル酸、アセトアミノフェン、イブプロフェン、ナプロキセン、ピロキシカム、フルルビプロフェン、モルヒネなどを包含するがこれらに限定されない鎮痛剤;リドカイン、ベンゾカイン、ブピバカイン、レボブピバカインなどを包含するがこれらに限定されない局所麻酔剤;肝炎、インフルエンザ、麻疹、風疹、破傷風、ポリオ、狂犬病などに対する抗体を刺激するための免疫原(ワクチン);酢酸ロイプロリド(LH−RHアゴニスト)、ナファレリンなどを包含するがこれらに限定されないペプチドのような、生物学的システムにおいて全身的に、または欠損部位において局所的に感染を予防することが可能である物質を包含することができる。さらに、例えば、ガングリオシド、神経成長因子などの神経成長促進物質;フィブロネクチン(FN)、ヒト成長ホルモン(HGH)、コロニー刺激因子、骨形態形成タンパク質、血小板由来成長因子(PDGF)、インスリン由来成長因子(IGF−I、IGF−II)、トランスフォーミング成長因子−α(TGF−α)、トランスフォーミング成長因子−β(TGF−β)、上皮成長因子(EGF)、線維芽細胞成長因子(FGF)、インターロイキン−1(IL−1)、血管内皮成長因子(VEGF)およびケラチノサイト成長因子(KGF)、乾燥骨材料などの硬組織または軟組織成長促進剤;ならびにメトトレキセート、5−フルオロウラシル、アドリアマイシン、ビンブラスチン、シスプラチン、毒素とコンジュゲートしている腫瘍特異的抗体、腫瘍壊死因子などの抗新生物剤のような細胞および組織の成長および生存度を促進するか細胞の機能を増強することが可能である物質または代謝前駆体が有用である。
【0103】
他の有用な生体活性な薬剤は、アセダプソン、アセトスルホンナトリウム、アラメシン(alamecin)、アレキシジン、アムジノシリン、アムジノシリンピボキシル、アミサイクリン(amicycline)、アミフロキサシン、メシル酸アミフロキサシン、アミカシン、硫酸アミカシン、アミノサリチル酸、アミノサリチル酸ナトリウム、アモキシシリン、アンホマイシン、アンピシリン、アンピシリンナトリウム、アパルシリンナトリウム、アプラマイシン、アスパルトシン(aspartocin)、硫酸アストロマイシン、アビラマイシン、アボパルシン、アジスロマイシン、アズロシリン、アズロシリンナトリウム、塩酸バカンピシリン、バシトラシン、メチレンジサリチル酸バシトラシン、バシトラシン亜鉛、バンベルマイシン、ベンゾイルパス(benzoylpas)カルシウム、ベリスロマイシン(berythromycin)、硫酸ベタマイシン(betamicin sulfate)、ビアペネム、ビニラマイシン(biniramycin)、塩酸ビフェナミン、ビスピリチオンマグスルフェクス(bispyrithione magsulfex)、ブチカシン、硫酸ブチロシン、硫酸カプレオマイシン、カルバドックス、カルベニシリン二ナトリウム、カルベニシリンインダニルナトリウム、カルベニシリンフェニルナトリウム、カルベニシリンカリウム、カルモナムナトリウム、セファクロル、セファドロキシル、セファマンドール、セファマンドールナファート、セファマンドールナトリウム、セファパロール、セファトリジン、セファザフルールナトリウム、セファゾリン、セファゾリンナトリウム、セフブペラゾン、セフジニル、セフェピム、塩酸セフェピム、セフェテコール、セフィキシム、塩酸セフメノキシム、セフメタゾール、セフメタゾールナトリウム、セフォニシド一ナトリウム、セフォニシドナトリウム、セフォペラゾンナトリウム、セフォラニド、セフォタキシムナトリウム、セフォテタン、セフォテタン二ナトリウム、塩酸セフォチアム、セフォキシチン、セフォキシチンナトリウム、セフピミゾール、セフピミゾールナトリウム、セフピラミド、セフピラミドナトリウム、硫酸セフピロム、セフポドキシムプロキセチル、セフプロジル、セフロキサジン、セフスロジンナトリウム、セフタジジム、セフチブテン、セフチゾキシムナトリウム、セフトリアキソンナトリウム、セフロキシム、セフロキシムアキセチル、セフロキシムピボキセチル、セフロキシムナトリウム、セファセトリルナトリウム、セファレキシン、塩酸セファレキシン、セファログリシン、セファロリジン、セファロチンナトリウム、セファピリンナトリウム、セフラジン、塩酸セトサイクリン、セトフェニコール、クロラムフェニコール、パルミチン酸クロラムフェニコール、クロラムフェニコールパントテン酸複合体(pantothenate complex)、コハク酸クロラムフェニコールナトリウム、クロルヘキシジンホスファニレート(chlorhexidine phosphanilate)、クロロキシレノール、重硫酸クロルテトラサイクリン、塩酸クロルテトラサイクリン、シノキサシン、シプロフロキサシン、塩酸シプロフロキサシン、シロレマイシン(cirolemycin)、クラリスロマイシン、塩酸クリナフロキサシン、クリンダマイシン、塩酸クリンダマイシン、塩酸パルミチン酸クリンダマイシン、リン酸クリンダマイシン、クロファジミン、クロキサシリンベンザチン、クロキサシリンナトリウム、クロキシキン、コリスチメテート(colistimethate)ナトリウム、硫酸コリスチン、クメルマイシン、クメルマイシンナトリウム、シクラシリン、サイクロセリン、ダルフォプリスチン、ダプソン、ダプトマイシン、デメクロサイクリン、塩酸デメクロサイクリン、デメサイクリン、デノフンギン(denofungin)、ジアベリジン、ジクロキサシリン、ジクロキサシリンナトリウム、硫酸ジヒドロストレプトマイシン、ジピリチオン、ジリスロマイシン、ドキシサイクリン、ドキシサイクリンカルシウム、ドキシサイクリンホスファテクス(fosfatex)、塩酸ドキシサイクリン(doxycycline hyclate)、ドロキサシンナトリウム、エノキサシン、エピシリン、塩酸エピテトラサイクリン、エリスロマイシン、エリスロマイシンアシストレート(acistrate)、エリスロマイシンエストレート、エチルコハク酸エリスロマイシン、エリスロマイシングルセプテート、ラクトビオン酸エリスロマイシン、プロピオン酸エリスロマイシン、ステアリン酸エリスロマイシン、塩酸エタンブトール、エチオナミド、フレロキサシン、フロキサシリン、フルダラニン、フルメキン、ホスホマイシン、ホスホマイシントロメタミン、フモキシシリン(fumoxicillin)、塩化フラゾリウム、酒石酸フラゾリウム、フシジン酸ナトリウム、フシジン酸、硫酸ゲンタマイシン、グロキシモナム(gloximonam)、グラミシジン、ハロプロジン、ヘタシリン、ヘタシリンカリウム、ヘキセジン、イバフロキサシン、イミペネム、イソコナゾール、イセパマイシン、イソニアジド、ジョサマイシン、硫酸カナマイシン、キタサマイシン、レボフラルタドン、レボプロピルシリンカリウム、レキシスロマイシン、リンコマイシン、塩酸リンコマイシン、ロメフロキサシン、塩酸ロメフロキサシン、メシル酸ロメフロキサシン、ロラカルベフ、マフェニド、メクロサイクリン、スルホサリチル酸メクロサイクリン、リン酸メガロマイシンカリウム、メキドックス、メロペネム、メタサイクリン、塩酸メタサイクリン、メテナミン、馬尿酸メテナミン、マンデル酸メテナミン、メチシリンナトリウム、メチオプリム、塩酸メトロニダゾール、リン酸メトロニダゾール、メズロシリン、メズロシリンナトリウム、ミノサイクリン、塩酸ミノサイクリン、塩酸ミリンカマイシン、モネンシン、モネンシンナトリウム、ナフシリンナトリウム、ナリジクス酸ナトリウム、ナリジクス酸、ナタイナイシン(natainycin)、ネブラマイシン、パルミチン酸ネオマイシン、硫酸ネオマイシン、ウンデシレン酸ネオマイシン、硫酸ネチルマイシン、ニュートラマイシン(neutramycin)、ニフイラデン(nifuiradene)、ニフラルデゾン、ニフラテル、ニフラトロン、ニフルダジル、ニフリミド、ニフィウピリノール(nifiupirinol)、ニフルキナゾール、ニフルチアゾール、ニトロサイクリン、ニトロフラントイン、ニトロミド、ノルフロキサシン、ノボビオシンナトリウム、オフロキサシン、オンネトプリム(onnetoprim)、オキサシリンナトリウム、オキシモナム、オキシモナムナトリウム、オキソリン酸、オキシテトラサイクリン、オキシテトラサイクリンカルシウム、塩酸オキシテトラサイクリン、パルジマイシン、パラクロロフェノール、パウロマイシン、ペフロキサシン、メシル酸ペフロキサシン、ペナメシリン、ペニシリンGベンザチン、ペニシリンGカリウム、ペニシリンgプロカイン、ペニシリンgナトリウム、ペニシリンV、ペニシリンVベンザチン、ペニシリンVヒドラバミン(hydrabamine)、ペニシリンVカリウム、ペンチジドンナトリウム、アミノサリチル酸フェニル、ピペラシリンナトリウム、ピルベニシリンナトリウム、ピリジシリンナトリウム、塩酸ピルリマイシン、塩酸ピバンピシリン、パモ酸ピバンピシリン、ピバンピシリンプロベネート(probenate)、硫酸ポリミキシンB、ポルフィロマイシン、プロピカシン、ピラジンアミド、ピリチオン亜鉛、酢酸キンデカミン、キヌプリスチン、ラセフェニコール(racephenicol)、ラモプラニン、ラニマイシン(ranimycin)、レロマイシン、レプロマイシン、リファブチン、リファメタン、リファメキシル、リファミド、リファンピン、リファペンチン、リファミキシン、ロリテトラサイクリン、硝酸ロリテトラサイクリン、ロサラマイシン、酪酸ロサラマイシン、プロピオン酸ロサラマイシン、リン酸ロサラマイシンナトリウム、ステアリン酸ロサラマイシン、ロソキサシン、ロキサルソン、ロキシスロマイシン、サンサイクリン、サンフェトリネムナトリウム、サルモキシシリン、サルピシリン、スコパフンギン、シソマイシン、硫酸シソマイシン、スパルフロキサシン、塩酸スペクチノマイシン、スピラマイシン、塩酸スタリマイシン、ステフィマイシン、硫酸ストレプトマシン、ストレプトニコジド(streptonicozid)、スルファベンズ、スルファベンズアミド、スルファセタミド、スルファセタミドナトリウム、スルファシチン、スルファジアジン、スルファジアジンナトリウム、スルファドキシン、スルファレン、スルファメラジン、スルファメータ、スルファメタジン、スルファメチゾール、スルファメトキサゾール、スルファモノメトキシン、スルファモキソール、スルファニル酸亜鉛、スルファニトラン、スルファサラジン、スルファソミゾール、スルファチアゾール、スルファザメト、スルフイソキサゾール、スルフイソキサゾールアセチル、スルフイソキサゾールジオラミン、スルホミキシン(sulfomyxin)、スロペネム、スルタムリシリン(sultamricillin)、スンシリンナトリウム、塩酸タランピシリン、テイコプラニン、塩酸テマフロキサシン、テモシリン、テトラサイクリン、塩酸テトラサイクリン、リン酸テトラサイクリン複合体、テトロキソプリム、チアムフェニコール、チフェンシリンカリウム、チカルシリンクレシルナトリウム、チカルシリン二ナトリウム、チカルシリン一ナトリウム、チクラトン、塩化チオドニウム、トブラマイシン、硫酸トブラマイシン、トスフロキサシン、トリメトプリム、硫酸トリメトプリム、トリスルファピリミジン(trisulfapyrimidine)、トロレアンドマイシン、硫酸トロスペクトマイシン、チロスリシン、バンコマイシン、塩酸バンコマイシン、バージニアマイシン、およびゾルバマイシンなどの抗生物質を包含する。
【0104】
さらに他の有用な生体活性な薬剤は、プロゲステロン、テストステロン、および卵胞刺激ホルモン(FSH)(受胎調節、受精能増強)、インスリンなどのホルモン;ジフェンヒドラミンなどの抗ヒスタミン剤;パパベリン、ストレプトキナーゼなどの心血管剤;ヨウ化イソプロパミドなどの抗潰瘍剤;硫酸メタプロテルナール(metaproternal)、アミノフィリンなどの気管支拡張剤;テオフィリン、ナイアシン、ミノキシジルなどの血管拡張剤;精神安定剤、B−アドレナリン遮断剤、ドーパミンなどの中枢神経系薬剤;リスペリドンなどの抗精神病剤、ナルトレキソン、ナロキソン、ブプレノルフィンなどの麻薬拮抗薬;および他の類似物質を包含する。これらの薬剤のすべては、Sigma Chemical Co.(Milwaukee、WI)などの供給業者から市販されている。
【0105】
開示されている組成物に組み入れるのに適している生体活性な薬剤の中には、治療薬、例えば、抗炎症剤、解熱剤、抗炎症使用のためのステロイド性および非ステロイド性薬物、ホルモン、成長因子、避妊剤、抗ウイルス剤、抗菌剤、抗生物質、抗真菌剤、鎮痛剤、催眠剤、鎮静剤、精神安定剤、抗痙攣剤、筋弛緩剤、局所麻酔剤、麻酔剤、鎮痙剤、抗潰瘍薬、ペプチドアゴニスト、交感神経刺激剤、心血管剤、抗腫瘍剤、オリゴヌクレオチドおよびそれらの類似体などが包含される。生体活性な薬剤は、薬学的に活性な量で添加される。
【0106】
生体活性な薬剤のさらなる非限定的な例は、小分子、ペプチド、タンパク質、酵素(例えば、キナーゼ、ホスファターゼ、メチル化剤、因子、プロテアーゼ、転写酵素、エンドヌクレアーゼ、リガーゼなど)、ワクチン、抗体および/またはそのフラグメント、核酸(例えば、オリゴヌクレオチド、プライム、プローブ、アプタマー、リボザイムなど)、脂質、炭水化物、ステロイド、ホルモン、ビタミンを包含する。ある態様において、生体活性な薬剤は、生体分子(同様に活性である可能性がある)であってよい。生体分子の例は、小分子、ペプチド、タンパク質、酵素(例えば、キナーゼ、ホスファターゼ、メチル化剤、因子、プロテアーゼ、転写酵素、エンドヌクレアーゼ、リガーゼなど)、ワクチン、抗体および/またはそのフラグメント、核酸(例えば、オリゴヌクレオチド、プライム、プローブ、アプタマー、リボザイムなど)、脂質、炭水化物、ステロイド、ホルモン、ビタミンを包含するが、これらに限定されるものではない。本明細書で使用されるような「小分子」とは、約5kD未満、例えば、約4kD未満の分子量を有する組成物を指すことを意味する。小分子は、核酸(例えば、DNA、RNA)、ペプチド、ポリペプチド、ペプチド模倣体、炭水化物、脂質、因子、補因子、ホルモン、ビタミン、ステロイド、微量元素、または他の有機(炭素含有)または無機分子であってよい。そのような生体分子は、商業的に入手することができ、または当技術分野において公知である方法により天然源から合成または単離することができる。
【0107】
二次的構成成分(例えば、生体分子)が、例えば、ペプチド、タンパク質、酵素、ワクチン、および抗体を包含するアミノ酸ベースの分子を含むことができる本明細書に開示されている様々な組成物がある。したがって、本明細書で使用されるように、「アミノ酸」とは、ポリペプチドを作り上げる典型的に遭遇する20種のアミノ酸を意味する。ペプチドの非限定的な例は、天然ペプチド、合成ペプチド、生物学的に活性なペプチド、因子、成長因子などを包含し、生体活性なペプチドおよび「Handbook of Biologically Active Peptides」(A.J. Krastin;Academic Press、2006年)に記載されている生体活性なペプチドのクラスを包含するが、これらに限定されるものではない。
【0108】
さらに、どちらも天然に存在する、ホルミルメチオニンおよびセレノシステイン、典型的に見いだされるアミノ酸の類似体、およびアミノ酸またはアミノ酸官能基の模倣体などであるがそれらに限定されない、あまり典型的ではない構築物をさらに包含する。これらおよび他の分子の非限定的な例は、本明細書で議論されている。
【0109】
本明細書で使用されるように、「ペプチド」および「タンパク質」という用語は、互いに化学的に結合しているアミノ酸からなる化合物の1クラスを指す。これらおよび他の分子の非限定的な例は、本明細書で議論されている。一般に、アミノ酸は、アミド連結(CONH)を介して互いに化学的に結合しているが、アミノ酸は、当技術分野において公知である他の化学結合により互いに結合させることができる。例えば、アミノ酸は、アミン連結により結合させることができる。本明細書で使用されるような「ペプチド」とは、天然に存在するか改変されたポリペプチドおよびタンパク質を包含するアミノ酸のオリゴマーならびに小さいおよび大きいペプチドを包含する。「ペプチド」および「タンパク質」という用語は、本明細書で相互転換可能に使用することができることが理解される。
【0110】
そのようなペプチドおよびタンパク質を製造するための方法は周知である。開示されているタンパク質を製造する1つの方法は、タンパク質化学技法により2つ以上のペプチドまたはポリペプチドを互いに連結することである。例えば、ペプチドまたはポリペプチドを、Fmoc(9−フルオレニルメチルオキシカルボニル)かBoc(tert−ブチルオキシカルボニル)化学反応のどちらかを使用し、現在利用可能な実験室装置を使用して化学的に合成することができる。(Applied Biosystems,Inc.、Foster City、CA)。当業者は、開示されているタンパク質に対応するペプチドまたはポリペプチドが、例えば、標準的化学反応により合成することができることを容易に理解することができる。例えば、ペプチドまたはポリペプチドを、合成し、その合成樹脂から切断しなくてよく、一方、ペプチドまたはタンパク質の他のフラグメントを、合成し、続いて、樹脂から切断し、それによって、他のフラグメント上の機能的にブロックされている末端基を露出することができる。ペプチド縮合反応により、これら2つのフラグメントを、それぞれ、それらのカルボキシル末端およびアミノ末端におけるペプチド結合を介して共有結合的に結び付け、抗体、またはそのフラグメントを形成することができる。(少なくともペプチド合成についてのそれらの教示のために参照により本明細書に組み込まれているGrant、Synthetic Peptides: A User Guide. W.H.Freeman and Co.、N.Y. 1992年;BodanskyおよびTrost、編 Principles of Peptide Synthesis. Springer−Verlag Inc.、N.Y. 1993年)。
【0111】
別の例において、二次的構成成分は、抗体またはそのフラグメントを含むことができる。抗体またはそのフラグメントは、その用語が本明細書で使用されるように、生体分子、イメージング、および/または標的部分と見なすことができる。「抗体」という用語は、任意のクラスの全免疫グロブリン(すなわち、インタクトな抗体)を包含するが、それに限定されるものではない。天然抗体は、通常、2つの同一の軽(L)鎖および2つの同一の重(H)鎖からなるヘテロ四量体の糖タンパク質である。典型的には、各軽鎖は、1つの共有結合性ジスルフィド結合により重鎖と連結しているが、ジスルフィド連結の数は、異なる免疫グロブリンアイソタイプの重鎖間で異なる。各重鎖および軽鎖も、規則的間隔の鎖内ジスルフィド架橋を有する。各重鎖は、一方の端に、可変ドメイン(V(H))と、続く、多くの定常ドメインを有する。各軽鎖は、一方の端に可変ドメイン(V(L))を、そのもう一方の端に定常ドメインを有し、軽鎖の定常ドメインは、重鎖の一番目の定常ドメインと並列しており、軽鎖可変ドメインは、重鎖の可変ドメインと並列している。特定のアミノ酸残基は、軽鎖可変ドメインと重鎖可変ドメインの境界面を形成すると考えられている。任意の脊椎動物種からの抗体の軽鎖は、それらの定常ドメインのアミノ酸配列を基準として、κおよびλと呼ばれる2つの明確に異なるタイプのうちの1つに割り当てることができる。それらの重鎖の定常ドメインのアミノ酸配列に応じて、免疫グロブリンを、異なるクラスに割り当てることができる。ヒト免疫グロブリンには、5つの主要なクラス、すなわちIgA、IgD、IgE、IgGおよびIgMがあり、これらのうちのいくつかを、サブクラス(アイソタイプ)、例えば、IgG−1、IgG−2、IgG−3、およびIgG−4;IgA−1およびIgA−2にさらに分けることができる。当業者は、マウスについての匹敵するクラスを認識するであろう。異なるクラスの免疫グロブリンに対応する重鎖定常ドメインは、それぞれα、δ、ε、γ、およびμと呼ばれる。
【0112】
本明細書で使用されるような「抗体」という用語は、インタクトな分子ならびにエピトープ決定基に結合することが可能である、例えば、FabおよびF(ab’)2などのそれらのフラグメントを包含することを意味する。「抗体」という用語は、モノクローナルおよびポリクローナル抗体、抗特発性、およびヒト化抗体も包含する。
【0113】
本明細書で使用されるように、「抗体またはそのフラグメント」という用語は、二重または多重の抗原特異性またはエピトープ特異性のあるキメラ抗体およびハイブリッド抗体、ならびに、ハイブリッドフラグメントを包含するF(ab’)2、Fab’、Fabなどのフラグメントを包含する。そのような抗体およびフラグメントは、当技術分野において公知である技法により製造することができる(HarlowおよびLane、Antibodies, A Laboratory Manual. Cold Spring Harbor Publications、N.Y. 1988年を参照)。そのような抗体およびそれらのフラグメントは、本明細書に開示されている方法に従って特異性および活性についてスクリーニングすることができる。
【0114】
「抗体またはそのフラグメント」の意味の中には、例えば、その内容が、少なくとも抗体コンジュゲートについてのその教示のために参照により本明細書に組み込まれている米国特許第4,704,692号に記載されているような抗体フラグメントと抗原結合タンパク質(単鎖抗体)のコンジュゲートも包含される。フラグメントは、他の配列と接続しているか否かにかかわらず、特定の領域または特異的アミノ酸残基の挿入、欠失、置換、または他の選択された修飾を包含する。本明細書に開示されているような抗体を製造および/または単離する方法は周知である。
【0115】
二次的構成成分が、核酸ベースの分子を含むことができる様々な本明細書に開示されている組成物もある。したがって、本明細書で使用されるように、「核酸」とは、例えば、ヌクレオチド、ヌクレオチド類似体、またはヌクレオチド代用物を構成している分子を意味する。これらおよび他の分子の非限定的な例は、本明細書で議論されている。核酸は、二本鎖または一本鎖であってよい。核酸は、オリゴヌクレオチド、siRNA、DNA、プラスミドなどを包含することも意味する。
【0116】
本明細書で使用されるように、「ヌクレオチド」とは、塩基部分、糖部分およびホスフェート部分を含有する分子である。ヌクレオチドは、それらのホスフェート部分および糖部分を通じて互いに連結し、ヌクレオチド間連結を作り出す。ヌクレオチドの塩基部分は、アデニン−9−イル(A)、シトシン−1−イル(C)、グアニン−9−イル(G)、ウラシル−1−イル(U)、およびチミン−1−イル(T)であってよい。ヌクレオチドの糖部分は、リボースまたはデオキシリボースである。ヌクレオチドのホスフェート部分は、五価のホスフェートである。ヌクレオチドの非限定的な例は、3’−AMP(3’−アデノシン一リン酸)または5’−GMP(5’−グアノシン一リン酸)であろう。
【0117】
「ヌクレオチド類似体」とは、本明細書で使用されるように、塩基、糖、またはホスフェート部分のいずれかに対するいくつかのタイプの修飾を含有するヌクレオチドである。ヌクレオチドに対する修飾は、当技術分野において周知であり、例えば、5−メチルシトシン(5−me−C)、5−ヒドロキシメチルシトシン、キサンチン、ヒポキサンチン、および2−アミノアデニンならびに糖またはホスフェート部分における修飾を包含するであろう。
【0118】
「ヌクレオチド代用物」とは、本明細書で使用されるように、ペプチド核酸(PNA)などの、ヌクレオチドに類似した機能特性を有するが、ホスフェート部分を含有しない分子である。ヌクレオチド代用物は、Watson−CrickまたはHoogsteen様式で核酸を認識するが、ホスフェート部分以外の部分を通じて互いに連結している分子である。ヌクレオチド代用物は、適切な標的核酸と相互作用する場合に、二重ラセンタイプの構造に適合することができる。
【0119】
本明細書には、核酸複合体または核酸コンジュゲートが包含される。他のタイプの分子をヌクレオチドまたはヌクレオチド類似体と連結し、例えば、細胞取り込みおよび細胞トランスフェクションを強化することができるコンジュゲートまたは複合体を製造することも可能である。コンジュゲートまたは複合体は、ヌクレオチドまたはヌクレオチド類似体と化学的に連結することができる。そのようなコンジュゲートは、コレステロール部分などの脂質部分を包含するが、これに限定されるものではない(少なくとも核酸コンジュゲートについてのその教示のために参照により本明細書に組み込まれているLetsingerら、Proc Natl Acad Sci USA、86巻:6553〜6頁、1989年)。さらに、コンジュゲートまたは複合体は、イオン性もしくは電荷−電荷もしくは疎水性手段により、またはファンデルワールスの手段により、または他の非共有結合的手段により、非共有結合的に会合させることができる。核酸の複合体またはコンジュゲートの例は、核酸(プラスミドまたはDNAまたはsiRNAなど)が、ポリマーと共有結合的または非共有結合的に会合している複合体などの核酸ポリマーコンジュゲートを包含する。本明細書で使用されるように、核酸という用語は、そのようなコンジュゲート、複合体、類似体、ポリプレックス、および核酸の変異体を包含する。
【0120】
本明細書に記載されているものなどの核酸は、標準的な化学的合成方法を使用して製造するか、酵素的方法または任意の他の公知の方法を使用して製造することができる。そのような方法は、標準的な酵素的消化と、続く、ヌクレオチドフラグメントの単離(例えば、Sambrookら、Molecular Cloning: A Laboratory Manual、第3版、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、N.Y. 2001年、5、6章を参照)から、例えば、MilligenまたはBeckman System 1Plus DNA合成装置(例えば、Milligen−Biosearch、Burlington、MAのModel8700自動合成装置またはABI Model380B)を使用するシアノエチルホスホルアミダイト法による純粋に合成的な方法まで及ぶことがある。オリゴヌクレオチドを製造するのに有用な合成方法も、Ikutaら、Ann Rev Biochem 53巻:323〜56頁、1984年、(ホスホトリエステルおよびホスファイト−トリエステル法)、およびNarangら、Methods Enzymol 65巻:610〜20頁、1980年、(ホスホトリエステル法)により記載されている。タンパク質核酸分子は、Nielsenら、Bioconjug Chem、5巻:3〜7頁、1994年により記載されているものなどの公知の方法を使用して製造することができる。(これらの参考文献の各々は、少なくとも核酸合成についてのそれらの教示のために参照により本明細書に組み込まれるものとする。)
また、二次的構成成分は、直接的か間接的のどちらかで、検出可能なシグナルを生み出すことができる化合物であるイメージング剤を含むことができる。多くのそのようなイメージング剤は、当業者に公知である。開示されている組成物および方法で使用するのに適しているイメージング剤の例は、放射性同位元素、蛍光性分子、磁性粒子(ナノ粒子を包含する)、金属粒子(ナノ粒子を包含する)、リン光性分子、酵素、抗体、およびリガンドである。本明細書に開示されている部分のうちの2つ以上を組み合わせるイメージング剤も、イメージング部分と見なされる。
【0121】
公知のイメージング剤のいずれかを、開示されているターポリマー組成物で使用することができる。イメージング剤により発生されるシグナルを検出および測定するための方法も当業者に公知である。例えば、放射性同位元素は、シンチレーションカウンティングまたは直接可視化により検出することができ、蛍光性分子は、蛍光分光光度計で検出することができ、リン光性分子は、分光光度計で検出するかカメラで直接可視化することができ、酵素は、酵素により触媒される反応の生成物の検出または可視化により検出することができ、抗体は、抗体とカップリングされている二次的検出標識を検出することにより検出することができる。
【0122】
1つの例において、開示されているイメージング剤は、蛍光性イメージング剤を含むことができる。蛍光性イメージング剤は、検出可能な蛍光シグナルを有する任意の化学的部分である。このイメージング剤は、単独または他のイメージング剤と組み合わせて使用することができる。本明細書に開示されている組成物および方法で使用することができる適当な蛍光剤の例は、それらの組合せを包含する、フルオレセイン(FITC)、5−カルボキシフルオレセイン−N−ヒドロキシスクシンイミドエステル、5,6−カルボキシメチルフルオレセイン、ニトロベンズ−2−オキサ−1,3−ジアゾール−4−イル(NBD)、フルオレスカミン、OPA、NDA、インドシアニングリーン色素、シアニン色素(例えば、Cy3、Cy3.5、Cy5、Cy5.5およびCy7)、4−アセトアミド−4’−イソチオシアナトスチルベン−2,2’ジスルホン酸、アクリジン、アクリジンイソチオシアネート、5−(2’−アミノメチル)アミノナフタレン−1−スルホン酸(EDANS)、4−アミノ−N−[3−ビニルスルホニル)フェニル]ナフタルイミド−3,5ジスルホネート、N−(4−アニリノ−1−ナフチル)マレイミド、アントラニルアミド、BODIPY、Brilliant Yellow、クマリン、7−アミノ−4−メチルクマリン(AMC、Coumarin120)、7−アミノ−4−トリフルオロメチルクマリン(Coumaran151)、シアノシン、4’,6−ジアミニジノ(diaminidino)−2−フェニルインドール(DAPI)、5’,5”−ジブロモピロガロール−スルホナフタレイン(Bromopyrogallol Red)、7−ジエチルアミノ−3−(4’−イソチオシアナトフェニル)−4−メチルクマリン ジエチレントリアミン五酢酸、4,4’−ジイソチオシアナトジヒドロ−スチルベン−2,2’−ジスルホン酸、4,4’−ジイソチオシアナトスチルベン−2,2’−ジスルホン酸、5−[ジメチルアミノ]ナフタレン−1−スルホニルクロリド(DNS、ダンシルクロリド)、4−(4’−ジメチルアミノフェニルアゾ)安息香酸(DABCYL)、4−ジメチルアミノフェニルアゾフェニル−4’−イソチオシアネート(DABITC)、エオシン、エオシンイソチオシアネート、エリスロシンB、エリスロシン、イソチオシアネート、臭化エチジウム、エチジウム、5−カルボキシフルオレセイン(FAM)、5−(4,6−ジクロロトリアジン−2−イル)アミノフルオレセイン(DTAF)、2’,7’−ジメトキシ−4’,5’−ジクロロ−6−カルボキシフルオレセイン(JOE)、フルオレセインイソチオシアネート、IR144、IR1446、Malachite Greenイソチオシアネート、4−メチルウンベリフェロン、オルトクレゾールフタレイン、ニトロチロシン、パラローザニリン、Phenol Red、B−フィコエリトリン、o−フタルジアルデヒド、ピレン、ピレンブチレート、スクシンイミジル1−ピレンブチレート、Reactive Red4(Cibacron[R]Brilliant Red 3B−A)、6−カルボキシ−X−ローダミン(ROX)、6−カルボキシローダミン(R6G)、リサミンローダミンBスルホニルクロリドローダミン(Rhod)、5,6−テトラメチルローダミン、ローダミンB、ローダミン123、ローダミンXイソチオシアネート、スルホローダミンB、スルホローダミン101、スルホローダミン101のスルホニルクロリド誘導体(Texas Red)、N,N,N’,N’−テトラメチル−6−カルボキシローダミン(TAMRA)、テトラメチルローダミン、テトラメチルローダミンイソチオシアネート(TRITC)、リボフタビン、ロゾール酸、クマリン−6などを包含するが、これらに限定されるものではない。これらの蛍光性イメージング部分は、Molecular Probes、Eugene、OR and Research Organics、Cleveland、Ohioを包含する様々な商業ソースから入手するか、当業者により合成することができる。
【0123】
別の例において、開示されているイメージング剤は、磁気共鳴イメージング(MRI)剤を含むことができる。MRI剤は、検出可能な磁気共鳴シグナルを有するか別の薬剤の磁気共鳴シグナルに影響を与える(例えば、増加またはシフトする)ことができる任意の化学的部分である。このタイプのイメージング剤は、単独または他のイメージング剤と組み合わせて使用することができる。さらに別の例において、ガドリニウムベースのMRI剤は、イメージング剤としての役割を果たすことができる。開示されているイメージング剤に組み入れることができる適当なMRI剤の例は、ガドリニウムと強く結合することが公知であり、磁気共鳴コントラスト剤としての臨床使用が認可されているp−アミノ−ベンジルジエチレントリアミン五酢酸(p−NH2−Bz−DTPA、化合物7)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)のコンジュゲート可能な(conjugable)形態である。他の人々は、インビボ小動物イメージングのために類似のMRIコントラスト剤をPAMAMTM(Kobayashiら、Bioconjugate Chem12巻:100〜107頁、2001年;Kobayashiら、Mag Res in Medicine46巻:579〜85頁、2001年)デンドリマーと結合することに成功しており、これらの参考文献は、少なくともMRI剤についてのそれらの教示のために参照により本明細書に組み込まれるものとする。本明細書に開示されているようなデンドリマー基質などの大きな巨大分子上のMRI剤の組み入れは、大きなT1緩和(ハイコントラスト)および単一分子上の薬剤の複数コピーを可能にすることができ、シグナルを増加することができる。MRIイメージング剤と、例えば、蛍光性イメージング剤を組み合わせることにより、得られる薬剤を、MRIを介してリアルタイムに検出、撮像、および追跡することができる。
【0124】
他のイメージング剤は、18Fまたは64Cuもしくは68Ga用のキレート剤を組み入れることにより調製することができるPET剤を包含する。また、放射性核種の添加を使用し、SPECTイメージングまたは放射線量の送達を容易にすることができる。
【0125】
可塑剤
開示されているターポリマーは、ニートで使用するか、粘度をさらに下げるための可塑剤などの薬剤で希釈することができる。すなわち、開示されているターポリマー組成物の粘度を、少量の、生体適合性溶媒(例えば、エタノール)のような可塑剤、ならびに、脂質、可塑剤、添加剤(など)の添加で低下させることができ、ポリマー自体の粘度をはるかに超えて粘度のさらなる操作および制御(したがって、注射可能性)を可能にする。したがって、開示されているターポリマー組成物は、1つまたは複数の可塑剤を含むことができる。合成するために使用され、開示されているターポリマーの末端基に共有結合的に接続することになる本明細書に開示されている開始剤と異なり、開示されている可塑剤は、末端基に共有結合的に結合していない。
【0126】
可塑剤は、ターポリマーと生体適合性であり、ターポリマーに可溶であるべきである。適当な可塑剤は、溶媒、液体、油、脂肪酸、界面活性剤、可溶化剤、およびポリマー添加剤であってよい。生体適合性溶媒の例は、脂肪酸、油、芳香族アルコール、アリール酸の低級アルキルエステル、アリール酸の低級アラルキルエステル、アリールケトン、アラルキルケトン、低級アルキルケトン、およびクエン酸の低級アルキルエステル;安息香酸誘導体;フタル酸誘導体;ならびにそれらの組合せを包含する。可塑剤の適当な例は、乳酸、グリコール酸、ヒドロキシ酪酸、カプロラクトン、カプロン酸エチル、グリコール酸エチル、オレイン酸エチル、安息香酸ベンジル、安息香酸エチル、乳酸ラウリル、ベンジルアルコール、ラウリルアルコール、グリコフロール(glycofurol)、酢酸エチル、エタノール、ブタノール、イソプロピルアルコール、プロパノール、トコフェロール、ポリエチレングリコール、トリアセチン、トリグリセリド、アルキルトリグリセリド、ジグリセリド、菜種油、ゴマ油、ピーナッツ油、ヒマシ油、オリーブ油、綿実油、ペルフルオロカーボン、N−メチルピロリドン、N−メチル−2−ピロリジオン(pyrrolidione)、DMSO、グリセロール、オレイン酸、グリコフロール、乳酸ラウリル、ペルフルオロカーボン、プロピレンカーボネート 安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸n−プロピル、安息香酸イソプロピル、安息香酸ブチル、安息香酸イソブチル、安息香酸sec−ブチル、安息香酸tert−ブチル、安息香酸イソアミル、安息香酸ベンジル、クエン酸トリエチル、クエン酸トリブチル、およびそれらの組合せまたは混合物を包含するが、これらに限定されるものではない。他の例は、それらの混合物を包含する、カプロラクトン、カプロン酸エチル、ベンジルアルコール、酢酸エチル、アセトン、ブタノン、メチルアルコール、ブチルアルコール、塩化メチレン、DMFなどを包含するが、これらに限定されるものではない。可塑剤の追加の例は、それらの混合物を包含する、グリセロールトリアセテート、アセチル化モノグリセリド、クエン酸エステル、クエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリエチル、クエン酸トリブチル、アセチルクエン酸トリブチル、フタル酸ジブチル、セバシン酸ジブチル、シュウ酸ジエチル、リンゴ酸ジエチル、フマル酸ジエチル、コハク酸ジエチル、マロン酸ジエチル、酒石酸ジエチル、フタル酸エステル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジメチル、グリセリン、グリセロール、グリセリルトリアセテート、グリセリルトリブチレート、鉱油およびラノリンアルコール、ワセリンおよびラノリンアルコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコールとポリエチレングリコールのコポリマー(ポロキサマーを包含する)、ポリビニルピロリドン、ポリソルベート80などを包含するが、これらに限定されるものではない。
【0127】
ターポリマーの可塑化は、ポリマーが形成された後に可塑剤をポリマーに接触させることにより、またはポリマー合成前および/またはポリマー合成中に可塑剤を存在させることにより行うことができる。1つの具体的な例において、ターポリマーを、溶媒蒸気で処理することにより、または可塑化溶媒液体もしくは可塑剤を含有する溶液中にターポリマーを直接入れることにより可塑化溶媒と接触させる。様々な実施例において、可塑剤を、組成物の総重量を基準として、可塑剤約40wt%以下、約30%以下、約20%以下、約15%以下、約10%以下、約5%以下の量で粘稠なターポリマーと混合することができる。例えば、組成物は、組成物の総重量を基準として、可塑剤約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、または40%を含むことができ、表示される値のいずれも、範囲の上端点または下端点を形成することができる。
【0128】
界面活性剤
開示されているターポリマーを含む組成物は、界面活性剤などの薬剤も含むことができる。本明細書で使用されるような「界面活性剤」とは、親水性基および疎水性基からなる分子(すなわち、両親媒性物質)である。界面活性剤は、イオン性または非イオン性の界面活性剤であってよい。例えば、開示されているターポリマー組成物は、陰イオン性界面活性剤を含むことができる。任意の陰イオン性界面活性剤を使用することができる。適当な陰イオン性界面活性剤は、洗浄剤、シャンプー、石鹸などで一般的に使用され、商業的に入手するか当技術分野において公知である方法により調製することができる。それらは、それらの混合物を包含する、アルキルベンゼンスルホネート(洗浄剤)、脂肪酸ベースの界面活性剤、ラウリル硫酸(例えば、起泡剤)、ジ−アルキルスルホスクシネート(例えば、湿潤剤)、リグノスルホネート(例えば、分散剤)などを包含するが、これらに限定されるものではない。他の例において、それらの混合物を包含する、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸、ナトリウムラウリルエーテルサルフェート、αオレフィンスルホネート、ホスフェートエステル、ナトリウムスルホスクシネート、ヒドロトロープなどを使用することができる。
【0129】
他の例において、開示されているターポリマー組成物は、陽イオン性界面活性剤を含むことができる。任意の陽イオン性界面活性剤を使用することができる。適当な陽イオン性界面活性剤は、四級アンモニウム化合物、イミダゾリン、ベタインなどを包含するが、これらに限定されるものではない。そのような陽イオン性界面活性剤は、商業的に入手するか当技術分野において公知である方法により調製することができる。
【0130】
さらに他の例において、開示されているターポリマー組成物は、非イオン性界面活性剤を含むことができる。任意の非イオン性界面活性剤を使用することができる。適当な非イオン性界面活性剤が水溶液中でイオン化しないのは、それらの親水性基が、アルコール、フェノール、エーテル、エステル、またはアミドなどの非解離性タイプであるためである。それらは、エーテル(例えば、グリセリン、ソルビトール(solbitole)、スクロースなどの多価アルコール)、脂肪酸エステル(例えば、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、スクロース脂肪酸エステルなど)、エステル(例えば、例えば、エチレンオキシドを、高級アルコール、アルキル−フェノールなどのヒドロキシルラジカルを有する材料に適用することにより製造される化合物)、エーテル/エステル(例えば、例えば、エチレンオキシドを、分子内にエステル結合とエーテル結合の両方を有する脂肪酸または多価アルコール脂肪酸エステルに適用することにより製造される化合物)、および他のタイプ(例えば、脂肪酸アルカノール−アミドタイプまたはアルキルポリグリセリドタイプ)に分類することができる。特に適当な非イオン性界面活性剤は、ポリ(ビニルアルコール)である。非イオン性界面活性剤の他の適当な例は、それらの混合物を包含する、アルコールエトキシレートおよびアルキルフェノールエトキシレート、脂肪アミンオキシド、アルカノールアミド、エチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックコポリマー、アルキルアミンエトキシレート、チゲルコル(tigercol)滑沢剤などを包含するが、これらに限定されるものではない。
【0131】
さらに他の例において、開示されているターポリマー組成物は、双極性界面活性剤を含むことができる。任意の双極性界面活性剤を使用することができる。適当な双極性界面活性剤界面活性剤(両性または両性イオン性と呼ばれる)は、陰イオン性解離と陽イオン性解離の両方を示す。双極性界面活性剤の適当な例は、ベタインまたはスルホベタインのような生成物ならびにアミノ酸およびリン脂質などの天然物質を包含するが、これらに限定されるものではない。1つの例において、それらの全体が参照により組み込まれている米国特許第6,852,816号、第6,846,795号、第6,846,352号、および第6,849,426号に開示されているベタインを本明細書で使用することができる。
【0132】
適当な界面活性剤の他の例は、植物または動物の器官にそれらの起源を有することがある天然界面活性剤を包含する。別の例において、ボロ型(boloform)界面活性剤を使用することができる。ボロ型界面活性剤は、疎水性尾部の反対端に2つの親水性頭部基を有する界面活性剤である。
【0133】
これらの界面活性剤の混合物も、本明細書に開示されている組成物および方法で使用することができる。
【0134】
添加剤
開示されているターポリマーを含む組成物は、添加剤または賦形剤を包含する他の薬剤を含むこともできる。例えば、開示されているターポリマー組成物は、pH緩衝液、有機酸(例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、安息香酸、マレイン酸、シュウ酸など)、鉱酸(例えば、HCl、HBr、H2SO4、H3PO4など)、塩基(例えば、NaOH、KOH、Et3N、Na2CO3、NaHCO3、KHCO3など)、保存剤、色素、抗酸化剤(例えば、アスコルビン酸およびトコフェロール)、湿潤剤、乳化剤、懸濁化剤、凝集剤、および分注剤を含有することができる。
【0135】
開示されているターポリマー組成物は、微生物の作用を防ぐための他の添加剤を含有することもできる。このことは、様々な抗菌剤および/または抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、四級アンモニウム化合物などにより達成することができる。
【0136】
カルボキシメチルセルロース、アリグネート(alignates)、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロース、およびアカシアなどの結合剤、グリセロールなどの保湿剤、セチルアルコールおよびグリセロールモノステアレートなどの湿潤剤、カオリンおよびベントナイトなどの吸着剤、ならびに、タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールのコポリマー、ラウリル硫酸ナトリウム、またはそれらの混合物などの滑沢剤を包含することが望ましいこともある。
【0137】
使用することができる適当な凝集剤は、アルミニウム塩(例えば、硫酸アルミニウム)、第一鉄塩、および第二鉄塩(例えば、硫酸第二鉄および塩化第二鉄)を包含するが、これらに限定されるものではない。適当な懸濁化剤は、例えば、エトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトールおよびソルビタンエステル、微結晶性セルロース、アルミニウムメタヒドロキシド、ベントナイト、寒天およびトラガカント、またはこれらの物質の混合物などを包含することができる。開示されているターポリマー組成物は、例えば、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、油、特に、綿実油、ラッカセイ油、トウモロコシ胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油およびゴマ油、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコールおよびソルビタンの脂肪酸エステルまたはこれらの物質の混合物のような可溶化剤または乳化剤を含むこともできる。
【0138】
さらに、開示されているターポリマーを、水性希釈剤と組み合わせ、ターポリマーのポリマーミセルにすることができる。組成物を加工し(例えば、篩に通すことにより、またはフィルターに通すことにより、または激しく撹拌することにより、または超音波処理により)、ミセル形成を容易にすることができる。さらに、開示されているターポリマーを、1つの溶媒(例えば、水溶性で揮発性の溶媒アセトン)にまず溶かし、次いで、水性ビヒクルにゆっくりと添加した後、蒸発または蒸留(減圧下で)除去し、水性希釈液中にポリマーミセルを形成することができる。ターポリマーミセルは、直径が約1〜約1000nm、約1〜約150nm、約1〜約100nm、約1〜約10nm、約25〜約100nm、約10〜約75nm、または約10〜約50nmであってよい。ポリマーミセル組成物は、本明細書に開示されている表示された生体活性な薬剤のいずれか、特に、疎水性の生体活性な薬剤と組み合わせることができる。
【0139】
用途
開示されているターポリマー組成物は、多くの用途を有し、最も目立つのは、局所的および全身的な薬物送達のためのこれらの粘稠なポリマーの使用である。例えば、生体活性な薬剤(すなわち、二次的構成成分)が、本明細書に開示されているようなニートの粘稠なターポリマーに組み入れられている組成物は、経口的に、注射により、または埋め込みにより対象に投与することができる。そのような場合において、生体活性な薬剤を、ターポリマー組成物における薬物の溶解度および負荷レベルに応じて、ターポリマー組成物に溶かすか、ターポリマー組成物の中に懸濁するか、または両方が可能である。あるいは、開示されている粘稠なターポリマーを、可塑剤(溶媒など)の添加を通じて可塑化し、粘稠なポリマーの粘度を下げ、および/またはポリマーにおける生体活性な薬剤の溶解度を変え、および/またはポリマーからの生体活性な薬剤の放出特性を変えることができる。可塑剤でターポリマーを可塑化することは、ターポリマーに生体活性な薬剤を組み入れる前に、組み入れている間に、または組み入れた後に起こることがある。例えば、生体活性な薬剤を、可塑剤と混合し、次いで、組合せをターポリマーと混合する。または、ターポリマーを可塑化することができ、生体活性な薬剤は、その後に添加される。さらに、ターポリマーを1つの可塑剤で可塑化することができ、生体活性な薬剤を、同じか異なる可塑剤と組み合わせることができ、次いで、可塑化されたターポリマーと組み合わせる。記述されているように、可塑剤は、システムの粘度に影響を及ぼし、投与特性を変え(例えば、注射による投与を可能にし)、さもなければ、薬物溶解度または投与後の薬物放出特性に影響を及ぼすことができる。
【0140】
別の方法は、ニートのターポリマーを、他の生体分解性および生体適合性のポリマー中に混和し、それらの他のポリマーの特性を変えることである(最終ポリマー混合物のTgを下げることなどにより)。そのような他の生体分解性および生体適合性のポリマーは、公知であり、市販されている。
【0141】
特定の生体活性な薬剤に応じて、これらの方法のいずれかを、いずれか/すべてのクラスの治療法(「Goodman & Gilman’s The Pharmacological Basis of Therapeutics」(McGraw−Hill、第9版)において前に言及されているような疼痛、麻酔、整形外科的応用例、軟組織の修復または置換、硬組織の修復または置換、癌、CNS障害などを包含する)として使用することができる。それは、開示されているターポリマーを任意の生体活性な薬剤と一緒に経口用、注射用、または埋め込み型の組成物に製剤化することができるため、任意の疾患または傷害である。
【0142】
用量
上に記載されている方法または他の治療法において、または本明細書に開示されている医薬製剤(例えば、生体活性な薬剤を含む本明細書に開示されているようなターポリマー組成物)において使用される場合、「有効量」の開示されている生体活性な薬剤のうちの1つを、純粋な形態で、または、そのような形態が存在する場合には薬学的に許容できる塩形態で、薬学的に許容できる賦形剤、担体、または他の添加剤の有無にかかわらず用いることができる。
【0143】
任意の特定の対象にとっての具体的な有効量は、治療されている障害および障害の重症度;用いられる具体的な組成物の同一性および活性;患者の年齢、体重、一般的健康、性別および食事;投与の時間;投与の経路;用いられる具体的な組成物の排泄速度;治療の期間;用いられる具体的な組成物と組み合わせてまたは同時に使用される薬物ならびに医学的技術分野において周知であるような要因を包含する様々な要因によって異なるであろう。例えば、望ましい治療効果を達成するために必要とされるよりも低いレベルで組成物の投与量を開始し、望ましい効果が達成されるまで用量を徐々に増やすことは十分に当業者の範囲内にある。病歴、徴候、症状、ならびに虚血−再灌流傷害、外傷、薬物/毒物誘発性傷害、神経変性疾患、癌、または他の疾患および/または状態の治療についての注意が必要である対象の状況を評価する際に有用であることが公知である客観的実験室検査の特定の態様を評価することもできる。これらの徴候、症状、および客観的実験室検査は、そのような患者を治療する任意の臨床医またはこの分野において実験を行う研究者に公知であるように、治療または予防されている特定の疾患または状態に応じて異なるであろう。例えば、適切な対照群および/または一般の集団もしくは特定の個人における疾患の正常な進行に関する知識を基準として、1)対象の身体的状態が改善されることが明らかにされるか(例えば、腫瘍が、部分的または完全に退縮したか)、2)疾患または状態の進行が安定化されるか、減速されるか、逆転されることが明らかにされるか、3)疾患または状態を治療するための他の投薬の必要性が減るか除かれる場合に、ある特定の治療レジメンは、有効であると見なされるであろう。望ましい場合、有効1日投与量を、投与の目的で複数の投与量に分割することができる。逆に、単一投与量組成物は、そのような量またはそれらの約数を含有し、1日投与量を構成することができる。
【0144】
さらなる態様において、有効量は、様々な量の生体活性な薬剤を含む一連の組成物を調製し、インビボおよびインビトロで放出特性を決定し、これらの特性を、具体的な医薬品送達ニーズ、とりわけ、対象の体重、疾患状態などと調和させることにより決定することができる。
【0145】
用量は、任意の禁忌の事象において、個々の医師または対象により調整されることがある。用量は、変動することがあり、1日または数日にわたって、1日当たり1つまたは複数の投与量投与で投与することができる。所与のクラスの医薬製品に関する適切な用量についての指針は、文献中に見いだすことができる。
【0146】
医薬製剤
また、開示されているターポリマーおよび1つまたは複数の生体活性な薬剤を含む医薬製剤が本明細書に開示されている。適当な医薬製剤は、薬学的に許容できる担体と一緒に、開示されているターポリマーおよび生体活性な薬剤のうちのいずれかを含むことができる。多くの例において、本明細書に開示されているターポリマーは、それら自体が薬学的に許容できる担体である。本明細書に開示されている医薬製剤は、治療的または予防的に使用することができる。
【0147】
「薬学的に許容できる」とは、生理学的または他の点でも望ましくないことはない材料を意味し、すなわち、その材料は、任意の望ましくない生物学的効果を引き起こすことも、それが含有される医薬製剤の他の構成成分のうちのいずれかと有害に相互作用することもなく対象に投与することができる。担体は、当業者に周知であるように、活性成分のいずれの分解も最小限に抑え、対象における任意の有害な副作用を最小限に抑えるように選択されることは当然であろう。
【0148】
医薬担体は、当業者に公知である。これらは、最も典型的には、滅菌水、食塩水、生理学的pHの緩衝溶液を包含する、ヒトに薬物を投与するための標準的担体であろう。適当な担体およびそれらの製剤は、担体および医薬製剤についてのその教示のために参照により本明細書に組み込まれているRemington: The Science and Practice of Pharmacy、第21版、Lippincott Williams & Wilkins、Philidelphia、PA、2005年に開示されている。典型的には、適切な量の薬学的に許容できる塩が製剤において使用され、製剤を等張性にする。薬学的に許容できる担体の例は、食塩水、リンゲル液およびデキストロース溶液を包含するが、これらに限定されるものではない。溶液のpHは、約5〜約8(例えば、約7〜約7.5)であってよい。さらなる担体は、開示されている化合物を含有する固体疎水性ポリマーの半透過性マトリックスなどの持続放出調製物を包含し、マトリックスは、成形された物品、例えば、フィルム、リポソーム、微粒子、またはマイクロカプセルの形態である。ある担体が、例えば、投与の経路および投与されている組成物の濃度に応じて、より好ましいことがあることは当業者には明らかであろう。他の化合物は、当業者により使用される標準手順に従って投与することができる。
【0149】
医薬製剤は、本明細書に開示されている化合物の他に、担体、ならびに増粘剤、希釈剤、緩衝液、保存剤、界面活性剤などを包含することができる。医薬製剤は、抗菌剤、抗炎症剤、麻酔剤などの1つまたは複数の追加活性成分を包含することもできる。
【0150】
医薬製剤は、局所的治療が望まれるか全身的治療が望まれるか、および治療すべき領域に応じて、多くの方法で投与することができる。投与は、局所的に(眼科的に、膣に、直腸に、鼻腔内にを包含する)、経口的に、吸入により、または非経口的に、例えば、静脈内点滴により、皮下、腹腔内、または筋肉内注射であってよい。開示されている化合物は、静脈内に、腹腔内に、筋肉内に、皮下に、体腔内に、または経皮的に投与することができる。
【0151】
非経口投与のための調製物は、無菌の水性または非水性液剤、懸濁剤、および乳剤を包含する。非水性溶媒の例は、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブ油などの植物油、魚油(marine oils)、およびオレイン酸エチルなどの注射用有機エステルである。水性担体は、水、アルコール性/水性液剤、および食塩水および緩衝媒質を包含する乳剤または懸濁剤である。非経口ビヒクルは、塩化ナトリウム溶液、リンゲルデキストロース、デキストロースおよび塩化ナトリウム、乳酸リンゲル、および不揮発性油を包含する。静脈内ビヒクルは、体液および栄養補充液、電解質補充液(例えば、リンゲルデキストロースをベースとするもの)などを包含する。例えば、抗微生物剤、抗酸化剤、キレート剤、および不活性ガスなどの保存剤および他の添加剤も存在することがある。
【0152】
局所投与のための医薬製剤は、軟膏剤、ローション剤、クリーム剤、ゲル剤、点滴剤、坐剤、スプレー剤、液剤および散剤を包含することがある。従来の医薬担体、水性、粉末または油性基剤、増粘剤などが望ましいことがある。
【0153】
経口投与のための医薬製剤は、散剤または顆粒剤、水または非水性媒質中の懸濁剤または液剤、カプセル剤、ゲルキャップ剤(gel−caps)、サシェ剤、または錠剤を包含するが、これらに限定されるものではない。増粘剤、矯味剤、希釈剤、乳化剤、分散補助剤、または結合剤が望ましいことがある。
【0154】
製剤の一部は、塩酸、臭化水素酸、過塩素酸、硝酸、チオシアン酸、硫酸、およびリン酸などの無機酸、ならびにギ酸、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、乳酸、ピルビン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、パモ酸およびフマル酸などの有機酸との反応により、または、水酸化ナトリウム、水酸化アンモニウム、水酸化カリウムなどの無機塩基、ならびにモノアルキルアミン、ジアルキルアミン、トリアルキルアミン、およびアリールアミン、ならびに置換エタノールアミンなどの有機塩基との反応により形成される薬学的に許容できる酸付加塩または塩基付加塩として投与することができる可能性がある。
【0155】
医薬キット
本明細書に記載されているレジメンにおいて使用するために設計された医薬製剤のキットまたはパッケージも開示されている。これらのキットは、4時間、6時間、8時間、12時間、24時間、48時間、72時間、7日、10日、21日、または30日サイクルにわたる毎日の経口送達、とりわけ、1日当たり1回の経口送達のために設計することができる。組成物を連続して送達しようとする場合、パッケージまたはキットは、各錠剤中に組成物を包含することができる。組成物を定期的に中止しながら送達しようとする場合、パッケージまたはキットは、組成物が送達されない日にプラセボを包含することができる。
【0156】
キットを組織化し、指定された日の各々に摂取するべき経口錠剤を包含する、サイクルの各々の日に摂取するべき単一の経口製剤または経口製剤の組合せを指示することができ、例えば、1つの経口錠剤は、指示されている組合せ1日用量の各々を含有するであろう。
【0157】
1つの例において、キットは、4時間、6時間、8時間、12時間、24時間、48時間、72時間、7日、10日、21日、または30日サイクルにわたる開示されている化合物の1日用量の単一フェーズ(single phase)を包含することができる。
【実施例】
【0158】
下記の実施例は、開示されている主題による方法および結果を例示するために下に記載される。これらの実施例は、本明細書に開示されている主題のすべての態様を含むことは意図されておらず、むしろ代表的な方法および結果を例示するものである。これらの実施例は、当業者には明らかである本発明の等価形態および変形形態を排除することは意図されていない。
【0159】
数(例えば、量、温度、pHなど)に関する正確度を確保するよう努力してきたが、ある程度の誤差および逸脱は考慮されるべきである。他に指示がない限り、部は、重量部であり、温度は、℃単位であるか周囲温度であり、圧力は、大気圧付近である。記載されているプロセスから得られる生成物の純度および収率を最適化するために使用することができる条件、例えば、構成成分濃度、温度、圧力、ならびに他の反応範囲および反応条件の多くの変形形態および組合せがある。妥当で日常的な実験のみが、そのようなプロセス条件を最適化するために必要とされるであろう。
【0160】
本明細書に開示されているある材料、化合物、組成物、および構成成分は、商業的に入手するか、当業者に一般的に公知である技法を使用して容易に合成することができる。例えば、開示されている組成物を調製する際に使用される出発材料および試薬は、Aldrich Chemical Co.、(Milwaukee、Wis.)、Acros Organics(Morris Plains、N.J.)、Fisher Scientific(Pittsburgh、Pa.)、またはSigma(St.Louis、Mo.)などの商業的供給業者から入手されるか、Fieser and Fieser’s Reagents for Organic Synthesis、1〜17巻(John Wiley and Sons、1991年);Rodd’s Chemistry of Carbon Compounds、1〜5巻および補遺(Elsevier Science Publishers、1989年);Organic Reactions、1〜40巻(John Wiley and Sons、1991年);March’s Advanced Organic Chemistry、(John Wiley and Sons、第4版);およびLarock’s Comprehensive Organic Transformations(VCH Publishers Inc.、1989年)などの参考文献に記載されている手順に従って、当業者に公知である方法により調製されるかのどちらかである。
【0161】
具体的方法
他に指示がない限り、すべての実施例において下記の分析方法を使用した。
【0162】
固有粘度(IV;dL/g)は、Cannon−Fenskeサイズ25粘度計を使用して30℃にてクロロホルム中0.5%(wt/vol)ターポリマーで測定した。
【0163】
ポリマー組成は、399.85MHzにてVarian Inova分光計でCDCl3において記録された1H−NMRスペクトルから決定した。
【0164】
熱特性は、Refrigerated Cooling System(RCS)付きのTA Instruments Differential Scanning Calorimeter(DSC)2920を使用して決定した。熱履歴は、初期のヒートランプ(heat ramp)により除去した。ガラス転移温度(Tg)は、約−60℃〜90℃の温度範囲にわたる10℃/分の温度スキャン速度から得られるDSC曲線から決定する。
【0165】
ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)分析は、移動相としてクロロホルムを使用し、Waters Styragel HR−2および2つのWaters HR−5Eカラムを備えたPerkin Elmer Series 200 GPC/RIで行い、狭い分子量分布の複数のポリスチレン標準品で較正した。分子量は、重量平均(Mw)および数平均(Mn)分子量についてダルトンで報告される。多分散性指数(PDI)は、単に、MwをMnで除した比であり、分子量分布の指標である。
【0166】
レオロジー的実験は、1mmギャップのパラレルプレートジオメトリー(parallel plate geometry)を使用するAR2000レオメーター(TA Instruments Inc、Delaware)で行った。サンプルに、0.1から1000レシプロカル秒(1/s)まで段階的に増加する剪断速度で定常剪断力をかけた。粘度、η対剪断速度を記録した。粘度測定は、室温(19〜22℃)にて行った。レオロジー的測定から報告される粘度は、粘度が剪断速度と無関係であることが観察される範囲にわたる材料の平均粘度と定義される(図1)。これは、いかなるシヤスィニング効果も排除する特定のサンプルについての平均粘度値である。
【0167】
振動レオロジー測定も、室温(19〜22℃)にて、1mmギャップのパラレルプレートジオメトリーを使用するAR2000レオメーター(TA Instruments Inc、Delaware)を使用して行った。これらの実験は、サンプルに振動剪断力を印加し、サンプルの応答を測定することにより行った。制御変数は、1.0に保たれる歪み率とした。角周波数を、振動実験について毎秒0.1から100ラジアン(rad/sec)まで増加させた。入力と応答の間の位相差を使用し、貯蔵弾性率(G’)、損失弾性率(G”)、位相角、デルタ(δ)、および動的粘度(η’)を計算した。
【0168】
Brookfield Model RVTD粘度計をUL(低粘度)アダプターと一緒に使用し、20rpmの回転速度を使用してターポリマー組成物の回転粘度を測定した。測定は、室温(19〜20℃)にて行った。
【0169】
下記の実施例において、ターポリマー組成物は、ターポリマー中のラクチド、グリコリド、およびカプロラクトン(それぞれ)のモル比組成を示す数字表示により示される。文字表示は、ターポリマー中のモノマーを指し、DLは、DL−ラクチドを指し、Lは、L−ラクチドを指し、Gは、グリコリドを指し、CLは、カプロラクトンを指す。後に続く命名は、開始剤種および末端基組成を示し、文字表示Eは、ポリマー鎖がエステル末端基で終了していることを明示している。例えば、271954DLGCL−(1−ドデカノール)−Eは、1−ドデカノールで開始され、エステル終了末端基を含有する、およそ27%DL−ラクチド、19%グリコリド、および54%カプロラクトンのモル比を含有するターポリマーからなる(実施例1ターポリマー)。
【0170】
(実施例1)
271954DLGCL 1−(1−ドデカノール)−E
窒素吸入口、トラップ付き空冷蒸留アダプター、およびメカニカルスターラーを備えた十分に乾燥した樹脂ケトルに、DL−ラクチド(Ortec、South Carolina)105.0グラム(0.728mol)およびグリコリド(Ortec、South Carolina)56.4グラム(0.486mol)を充填した。モノマーを、窒素で覆い、140℃にて融解した。ε−カプロラクトン(Ortec、South Carolina)138.6グラム(1.214mol)および開始剤1−ドデカノール(Sigma−Aldrich、Wisconsin)21.3グラム(0.114mol)を添加した。十分に混合した後、混合物に、触媒オクチル酸第一スズ(Sigma−Aldrich、Wisconsin)96.6ミリグラム(0.239mmol)を充填した。重合を、160℃にて18時間にわたって進行させ、続いて、28.5inHG真空における2時間の真空ストリップで未反応モノマーを除去した。DL−ラクチド:グリコリド:ε−カプロラクトンモル比=27:19:54;IV=0.13dL/g;Tg=−31.4℃;Mw=9,900、Mn=5,200、多分散性指数(PDI=1.9)。
【0171】
(実施例2)
272152DLGCL 1−(グリコール酸エチル)−E
ターポリマーを、開始剤グリコール酸エチル(Sigma−Aldrich、Wisconsin)11.9グラム(0.114mol)および触媒オクチル酸第一スズ(Sigma−Aldrich、Wisconsin)96.4ミリグラム(0.238mmol)を使用し、実施例1の方法に従って調製した。DL−ラクチド:グリコリド:ε−カプロラクトンモル比=27:21:52;IV=0.15dL/g;Tg=−23.2℃;Mw=10,000、Mn=4,000(PDI=2.6)。
【0172】
(実施例3)
271954DLGCL 1−(オレイルアルコール)−E
ターポリマーを、開始剤オレイルアルコール(Sigma−Aldrich、Wisconsin)30.7グラム(0.114mol)および触媒オクチル酸第一スズ(Sigma−Aldrich、Wisconsin)103.0ミリグラム(0.2544mmol)を使用し、実施例1の方法に従って調製した。DL−ラクチド:グリコリド:ε−カプロラクトンモル比=27:19:54;IV=0.14dL/g;Tg=−35.4℃;Mw=11,000およびMn=6,000(PDI=1.8)。
【0173】
(実施例4)
271954DLGCL 1−(グリセロール)−E
ターポリマーを、開始剤グリセロール(Sigma−Aldrich、Wisconsin)10.6グラム(0.115mol)および触媒オクチル酸第一スズ(Sigma−Aldrich、Wisconsin)93.7ミリグラム(0.231mmol)を使用し、実施例1の方法に従って調製した。DL−ラクチド:グリコリド:ε−カプロラクトンモル比=27:19:54;IV=0.11dL/g;Tg=−22.8℃;Mw=7,600、Mn=5,200(PDI 1.5)。
【0174】
(実施例5)
281953DLGCL 1−(mPEG350)−E
ターポリマーを、開始剤ポリ(エチレングリコール)メチルエーテル(mPEG350、Sigma−Aldrich、Wisconsin)40.3グラム(0.114mol)および触媒オクチル酸第一スズ(Sigma−Aldrich、Wisconsin)102.8ミリグラム(0.2538mmol)を使用し、実施例1の方法に従って調製した。DL−ラクチド:グリコリド:ε−カプロラクトンモル比=28:19:53;IV=0.14dL/g;Tg=−32.4℃;Mw=9,300およびMn=3,800(PDI=2.4)。
【0175】
(実施例6)
302050DLGCL 1−(12:0−PEG)−E
ターポリマーを、開始剤PEG−400モノラウレート(Sigma−Aldrich、Wisconsin)40.9グラム(0.114mol)および触媒オクチル酸第一スズ(Sigma−Aldrich、Wisconsin)102.8ミリグラム(0.2538mmol)を使用し、実施例1の方法に従って調製した。DL−ラクチド:グリコリド:ε−カプロラクトンモル比=30:20:50;IV=0.19dL/g;Tg=−28.9℃;Mw=16,000およびMn=6,300(PDI=2.5)。
【0176】
(実施例7)
281953DLGCL 1−(1−エチル−2−ヘキサノエート)−E
ターポリマーを、開始剤1−エチル−2−ヘキサノール(Sigma−Aldrich、Wisconsin)15.0グラム(0.115mol)および触媒オクチル酸第一スズ(Sigma−Aldrich、Wisconsin)94.0ミリグラム(0.232mmol)を使用し、実施例1の方法に従って調製した。DL−ラクチド:グリコリド:ε−カプロラクトンモル比=28:19:53;IV=0.15dL/g;Tg=−28.6℃;Mw=11,000およびMn=6,100(PDI=1.8)。
【0177】
(実施例8)
162658DLGCL 1−(1−ドデカノール)−E
ターポリマーを、DL−ラクチド(Ortec、South Carolina)72.0グラム(0.500mol)、グリコリド(Ortec、South Carolina)86.1グラム(0.742mol)、ε−カプロラクトン(Ortec、South Carolina)142.1グラム(1.24mol)、開始剤1−ドデカノール(Sigma−Aldrich、Wisconsin)42.9グラム(0.230mol)および触媒オクチル酸第一スズ(Sigma−Aldrich、Wisconsin)110ミリグラム(0.272mmol)を使用し、実施例1の方法に従って調製した。DL−ラクチド:グリコリド:ε−カプロラクトンモル比=16:26:58;IV=0.10dL/g;Tg=−43.8℃;Mw=4,800およびMn=2,500(PDI 1.9)。
【0178】
(実施例9)
442828DLGCL 1−(1−ドデカノール)−E
ターポリマーを、DL−ラクチド(Ortec、South Carolina)166.4グラム(1.155mol)、グリコリド(Ortec、South Carolina)80.6グラム(0.694mol)、ε−カプロラクトン(Ortec、South Carolina)52.8グラム(0.463mol)、開始剤1−ドデカノール(Sigma−Aldrich、Wisconsin)40.1グラム(0.215mol)および触媒オクチル酸第一スズ(Sigma−Aldrich、Wisconsin)107ミリグラム(0.264mmol)を使用し、実施例1の方法に従って調製した。DL−ラクチド:グリコリド:ε−カプロラクトンモル比=44:28:28;IV=0.08dL/g;Tg=0.56℃;Mw=4,500およびMn=2,400(PDI 1.9)。
【0179】
(実施例10)
502030DLGCL 1−(1−ドデカノール)−E
ターポリマーを、DL−ラクチド(Ortec、South Carolina)184.6グラム(1.281mol)、グリコリド(Ortec、South Carolina)58.3グラム(0.502mol)、ε−カプロラクトン(Ortec、South Carolina)57.3グラム(0.502mol)、開始剤1−ドデカノール(Sigma−Aldrich、Wisconsin)39.5グラム(0.212mol)および触媒オクチル酸第一スズ(Sigma−Aldrich、Wisconsin)106ミリグラム(0.263mmol)を使用し、実施例1の方法に従って調製した。DL−ラクチド:グリコリド:ε−カプロラクトンモル比=50:20:30;IV=0.09dL/g;Tg=−13.5℃;Mw=4,500およびMn=2,400(PDI 1.9)。
【0180】
(実施例11)
312049DLGCL 1−(1−ドデカノール)−E
ターポリマーを、DL−ラクチド(Ortec、South Carolina)124.6グラム(0.864mol)、グリコリド(Ortec、South Carolina)61.1グラム(0.526mol)、ε−カプロラクトン(Ortec、South Carolina)114.7グラム(1.005mol)、開始剤1−ドデカノール(Sigma−Aldrich、Wisconsin)41.3グラム(0.222mol)および触媒オクチル酸第一スズ(Sigma−Aldrich、Wisconsin)103ミリグラム(0.255mmol)を使用し、実施例1の方法に従って調製した。DL−ラクチド:グリコリド:ε−カプロラクトンモル比=31:20:49;IV=0.09dL/g;Tg=−35.4℃;Mw=4,800およびMn=2,500(PDI 1.9)。
【0181】
(実施例12)
152956LGCL 1−(1−ドデカノール)−E
磁気撹拌子を備えたガラス反応器に、L−ラクチド(Ortec、South Carolina)6.0グラム(0.041mol)、グリコリド(Ortec、South Carolina)7.7グラム(0.066mol)、ε−カプロラクトン(Ortec、South Carolina)11.3グラム(0.994mol)および1−ドデカノール(Sigma−Aldrich、Wisconsin)3.6グラム(0.019mol)を充填した。反応物を窒素でパージし、内容物を140℃にて融解した後、触媒オクチル酸第一スズ(Sigma−Aldrich、Wisconsin)9ミリグラム(0.02mmol)を添加した。重合を、160℃にて18時間にわたって進行させ、続いて、28.5inHG真空における2時間の真空ストリップで未反応モノマーを除去した。L−ラクチド:グリコリド:ε−カプロラクトンモル比=15:29:56;IV=0.10dL/g;Tg=−41.5℃;Mw=5,100およびMn=2,900(PDI 1.7)。
【0182】
(実施例13)
232651DLGCL 1−(オレイルアルコール)−E
ターポリマーを、DL−ラクチド(Ortec、South Carolina)6.0グラム(0.041mol)、グリコリド(Ortec、South Carolina)7.7グラム(0.066mol)、ε−カプロラクトン(Ortec、South Carolina)、11.3グラム(0.992mol)、オレイルアルコール(Sigma−Aldrich、Wisconsin)5.2グラム(0.019mol)および触媒オクチル酸第一スズ(Sigma−Aldrich、Wisconsin)9ミリグラム(0.02mmol)を使用し、実施例12の方法に従って調製した。DL−ラクチド:グリコリド:ε−カプロラクトンモル比23:26:51;IV=0.09dL/g;Tg=−44.4℃;Mw=4,700およびMn=2,400(PDI 2.0)。
【0183】
(実施例14)
163153DLGCL 1−(グリコール酸エチル)−E
ターポリマーを、60℃にてDL−ラクチド(Ortec、South Carolina)6.0グラム(0.041mol)、グリコリド(Ortec、South Carolina)7.7グラム(0.066mol)、ε−カプロラクトン(Ortec、South Carolina)、11.3グラム(0.992mol)、グリコール酸エチル(Sigma−Aldrich、Wisconsin)2.0グラム(0.019mol)および触媒オクチル酸第一スズ(Sigma−Aldrich、Wisconsin)9ミリグラム(0.02mmol)を使用し、実施例12の方法に従って調製し、続いて、28.5inHG真空における2時間の真空ストリップで未反応モノマーを除去した。DL−ラクチド:グリコリド:ε−カプロラクトンモル比16:31:53;IV=0.11dL/g;Tg=−27.5℃;Mw=5,700およびMn=2,700(PDI 2.1)。
【0184】
先の実施例において調製されたサンプルを列挙するための表2を参照されたい。コポリマー組成物は、最終ポリマー中のラクチド(L)、グリコリド(G)、およびカプロラクトン(CL)のモル比により同定される。表2は、固有粘度(IV)、ガラス転移温度(Tg)、ならびに重量平均(Mw)および数平均(Mn)分子量も包含する。
【0185】
【表2】
(実施例15)
段階的剪断粘度試験。
【0186】
レオロジー的測定から報告される粘度は、粘度が剪断速度と無関係であることが観察される範囲にわたる材料の平均粘度と定義される(図1)。これは、いかなるシヤスィニング効果も排除する特定のサンプルについての平均粘度値である。
【0187】
図1は、段階的剪断粘度対剪断速度の実例プロットを示すグラフである。強調表示されているデータポイントは、報告されている粘度値が推定される、粘度が剪断速度と無関係である領域を示している。
【0188】
図2は、異なる開始剤を使用して調製された高分子量ターポリマーからの粘度−剪断速度結果を示すグラフである。これらのターポリマーサンプルは、類似したモノマー組成(L:G:CLのおよそ30:20:50モル比)および分子量(約7.6〜11.0kDの範囲の重量平均分子量)を有する。これらの実施例において、粘度は、主に開始剤の選択に応じて1,700〜6,500ポアズの範囲である。
【0189】
図3は、異なる開始剤を使用して調製され、異なるモノマー組成を有する比較的低分子量のターポリマーについての粘度−剪断速度結果を示している。粘度に対する開始剤の影響は、2,640ポアズおよび282ポアズ(それぞれ)の粘度が観察された実施例14(グリコール酸エチル開始剤)および実施例8(1−ドデカノール開始剤)の比較により証明される。粘度に対するコポリマー組成の影響も図3で証明される。実施例8と実施例10は共に、開始剤として1−ドデカノールを使用して調製され、著しく低い粘度が、高い組成のカプロラクトンおよび低レベルのラクチドを含有するコポリマー組成物(すなわち、実施例8ターポリマー)で観察された。
【0190】
段階的剪断実験からの粘度を、すべてのターポリマー実施例について表3および4に列挙する。粘度間の差は、得られるポリマーの粘度に対する開始剤種、モノマー組成、および分子量の影響を反映している。
【0191】
特に、粘度は、カプロラクトン含有量を増加させるにつれて(実施例10、11、および8の比較)、ラクチドのグリコリドに対する比を増加させるにつれても(実施例9と実施例10の比較)減少することが注目される。
【0192】
さらに、L−ラクチドから製造されるターポリマー(実施例12)は、非晶性の性質である(DSC分析によりいかなる融解発熱も欠く)ことが判明し、DL−ラクチドを使用して調製される類似のターポリマー(実施例8)と一致する比較的低い粘度を有していたことが注目されるべきである。
【0193】
最後に、粘度に対する分子量の影響は、実施例1と11のターポリマー間でも観察される。これらのサンプル間の比較は、粘度が、ポリマー分子量が約4,800から9,900ダルトンまで上昇するにつれて655ポアズから1,720ポアズまで増加することを示している。
【0194】
【表3】
【0195】
【表4】
(実施例16)
少量の添加剤または可塑剤を含むターポリマー混合物。
【0196】
ターポリマー混合物を、20mLのシンチレーションバイアル中で様々な添加剤と混和することにより調製し、1サンプル当たり合計2グラムを得た。各混合物を、スパチュラを使用して手で混和し、各ターポリマーサンプルに添加剤を完全に組み入れて分布させた。図4および5に示すように、少量のNMPかPEG−400のどちらかで実施例3および8に記載されているターポリマーを希釈すると、粘度は著しく減少した。表5は、様々なレベルのNMPによる希釈後のいくつかのターポリマーの粘度の変化を示している。
【0197】
【表5】
(実施例17)
Brookfield粘度。ターポリマー実施例とPLG対照の間のBrookfield(回転粘度)および段階的剪断粘度の比較。
【0198】
実施例8からのターポリマーを使用し、パラレルプレート測定(AR2000レオメーター)とBrookfield回転粘度計の間で粘度結果を比較した。サンプルは、10wt%NMPを実施例8ターポリマーの一部に添加し、NMP中に90%ポリマーを含む組成物とすることにより調製した。比較目的のために、2つの75:25ポリ(DL−ラクチド−コ−グリコリド)(PLG)コポリマー(3Eコポリマーおよび4Eコポリマー)を、各PLGコポリマーを60wt%NMPで希釈することにより調製した。これに対して、これらのサンプルは、NMP中に40%ポリマーのみを含む組成物を反映している。段階的剪断およびBrookfield粘度測定をサンプルに対して行った。対応する定常状態およびBrookfield粘度を、表6に示すように報告する。結果は、粘度が、方法間で一致していることを裏付け、非経口注射に適している粘度を有するターポリマー製剤を調製することができることを証明している。
【0199】
【表6】
(実施例18)
添加剤を含むターポリマー混合物(物理属性、変化)
ターポリマー混合物を、表7に記載されているような他の添加剤を使用し、実施例16に記載されているように調製した。ターポリマー、添加剤、および添加剤組成の選択は、極めて粘性の材料〜中程度に粘性の材料(粘着性の)から粘着性がほとんどまたはまったくない材料(「ドライ」という用語を使用して示されるような)まで、混合物の質感(すなわち、粘着性)に影響を及ぼすことがある。質感の他に、混合物の物理形態は、高粘度材料または低粘度材料から、半固体まで、脆い固体または成形可能な(凝集性の)固体もしくは半固体まで変化することがある。表7に特定されている添加剤は、商業ベンダーから入手し、キトサン(Protosan UP G213)は、NovaMatrix(Norway)から購入した。
【0200】
【表7−1】
【0201】
【表7−2】
(実施例19)
振動レオロジー。
【0202】
実施例9に対する振動レオロジー測定の結果は、G’より大きいG”を示すすべてのターポリマーの結果、液体様の(粘稠な)材料と一致する結果を代表するものである。
【0203】
(実施例20)
低分子量モデル親水性化合物(メチレンブルー)の負荷および放出
メチレンブルー負荷ターポリマーの3つの異なるサンプルを以下の通り調製した。メチレンブルー三水和物(Fisher Scientific、Fairlawn NJ)の0.5グラム部分をエタノール5グラムに溶かした。次に、実施例1ターポリマーの1グラムサンプルを、20mLのシンチレーションバイアル中に秤量した。次いで、エタノール性メチレンブルー溶液200mgをバイアルに添加し、ターポリマー中に手で十分に混合した。残留エタノールを、少なくとも16時間にわたってポリマーへ蒸発させると、ポリマー1g中にメチレンブルー20mgを含む製剤(ポリマー中およそ2wt%負荷メチレンブルー)が残った。これらのサンプルのうちの1つを、サンプル中にNMP0.25gを添加して十分に組み入れることにより、NMP10重量%で希釈した。同様に、第二のサンプルを、サンプル中にエタノール0.25gを添加して十分に組み入れることにより、エタノール10重量%で希釈した。
【0204】
同じサンプル調製方法を、実施例8ターポリマーを使用して繰り返した。
【0205】
インビトロ放出試験を以下の通りこれらの製剤で行った。正確に秤量した部分のメチレンブルー組成物(約75〜100mg)を20mLのシンチレーションバイアル中に秤量し、リン酸緩衝食塩水、pH7.4(PBS)20mLを添加した。バイアルを、その温度を37℃に維持したインキュベーターに入れた。適切な時点で、バイアルを、倒置により混合し、バイアルから緩衝液0.5mLを取り出す。バイアルを、次の時点までインキュベーターに戻した。放出メチレンブルーを含有する緩衝液を、HPLC(254nmにおけるUVによる検出)によりメチレンブルーについて分析した。累積放出メチレンブルーを決定した。累積放出メチレンブルーを、それぞれ実施例1および実施例8ターポリマーから調製された製剤について図7および8に示す。
【0206】
ニートのターポリマー製剤は、早期試験時点の間に放出の初期バーストがほとんどまたはまったくなく(初期バースト)数日から数週間にわたって極めて親水性のモデル化合物であるメチレンブルーの長期にわたる放出を提供することが分かる。エタノールまたはNMPなどの追加の少量レベルの添加剤を含むターポリマー製剤を前に記載されているように調製した。これらの添加剤の添加には、初期バーストおよび全体的放出プロファイルに対する小さく可変な影響があった。しかしながら、両ターポリマー組成物において、1日目時点における累積放出(初期バースト)は、約20%以下に留まった。実施例8ターポリマーの場合、初期バーストは、これらの添加剤の存在によりまったく影響を受けなかった。
【0207】
(実施例21)
ターポリマー組成物におけるモデルペプチド(ゴセレリン)の負荷および放出。
【0208】
ターポリマー中のゴセレリン(Genzyme Pharmaceuticals)の10%(重量で)混和物を、実施例8ターポリマー1グラムを含有する20mLのシンチレーションバイアルにゴセレリン110mgを添加することにより調製した。内容物を、スパチュラを使用して手で十分に混合した。
【0209】
混合物の薬物含有量を、25mLのメスフラスコに公知量(20〜30mg)の混和物を移すことにより分析した。このフラスコに、氷酢酸5mLを添加し、サンプルを溶かした。サンプルが溶けたらすぐに、PBSを使用してフラスコを満たし、十分に混合した。次いで、得られた溶液を、0.45μmシリンジフィルターに通して濾過した後、220nmにおけるUV検出を使用してHPCLにより分析した。この組成物の理論的なゴセレリン含有量は、10wt%ゴセレリンであった。HPLCにより決定される実際の含有量は、ポリマー混和物中で9.9wt%ゴセレリンであった。
【0210】
インビトロ放出測定を、以下の通り公知の重量および表面積のサンプルを注意深く調製することにより行った。ゴセレリン製剤の正確に秤量したサンプル(およそ50mgサンプル)を、20×20mmのガラス製顕微鏡カバースリップの中心に添加した。ゴセレリン製剤を、およそ15×15mmを測定する領域全体に広げた。製剤の最終重量を正確に決定した(およそ50mg)。次いで、カバースリップを、30mLのガラスバイアルの底に注意深く置いた(サンプルが上の方を向くように)。次いで、インビトロ放出緩衝液(PBS)20mLをバイアルにゆっくりと添加し、サンプルが依然として上の方を向いていることを確認した。バイアルを、その温度が37℃に維持されているインキュベーターに入れた。選択された時間間隔で、バイアル内容物を、緩やかに旋回させながら注意深く混合し、次いで、サンプル10mLをバイアルから取り出し、等量の新鮮なPBSをバイアルに添加し直した。バイアルを、次の時点までインキュベーターに戻した。サンプルを、HPLC法(220nmにおけるUV検出を使用する)を使用してゴセレリンについて分析した。累積放出ゴセレリンを決定した。累積ゴセレリン放出曲線を図9に示す。
【0211】
(実施例22)
ターポリマー組成物におけるモデル局所麻酔剤ブピバカイン塩基の負荷および放出。
【0212】
ブピバカイン塩酸塩は、Sigma−Aldrichから購入した(融解温度255℃)。ブピバカイン塩酸塩を使用し、以下の通りブピバカイン塩基を調製した。ブピバカイン塩酸塩約10グラムを、脱イオン水300mLを含有する500mLのエルレンマイヤーフラスコに入れた。溶液を、ブピバカイン塩酸塩が溶けるまで、50℃にて撹拌した。溶けたらすぐに、6M水酸化アンモニウムを、混合物のpHが9.5に達するまでゆっくりと添加した。溶液をさらに10分にわたって撹拌し、pHを、9.5〜10の範囲のpHを維持するように調整した。次いで、フラスコを冷却すると、ブピバカイン塩基が沈殿した。沈殿を濾過漏斗上に集め、次いで、冷脱イオン水500mLですすいだ。次いで、ブピバカイン塩基を、1L凍結乾燥機フラスコに移した。生成物を脱イオン水100mLに懸濁し、凍結させ、次いで、凍結乾燥すると、乾燥粉末が得られた。ブピバカイン塩基の収率は、典型的には、合計7〜8グラムである。得られる生成物の融解温度は、106℃(文献値107℃)である。
【0213】
この実施例において、実施例8ターポリマー1グラムサンプルを、ブピバカイン塩基660mgと一緒に20mLのシンチレーションバイアルに入れた。サンプルを、スパチュラを使用して手で十分に混合した。第二のサンプルを、実施例1ターポリマーを使用し、同様にして調製した。
【0214】
製剤の薬物含有量を、25mLのメスフラスコに公知量(20〜30mg)の組成物を移すことにより分析した。このフラスコに、氷酢酸5mLを添加し、サンプルを溶かした。サンプルが溶けたらすぐに、PBSを使用してフラスコを満たし、十分に混合した。次いで、得られた溶液を、0.45μmシリンジフィルターに通して濾過した後、263nmにおけるUV検出を使用してHPCLにより分析した。これら2つの組成物の理論的なブピバカイン塩基含有量は、40wt%ブピバカインであった。HPLCにより決定された実際の含有量は、実施例8のポリマーから製造された組成物については40.0wt%であり、実施例1のポリマーから製造された組成物については39.0wt%であった。
【0215】
インビトロ放出速度試験は、サンプル50mgを20平方cmのガラス製顕微鏡スライドカバースリップ上に広げることにより行った。サンプルを、カバースリップの全20平方cm領域に広げた。次いで、カバースリップを、60mLのねじ口バイアルの底に注意深く置き、次いで、PBS60mLを添加した。サンプルを、37℃にてインキュベーター中に保存した。指示された時間間隔で、緩衝液20mLをバイアルから取り出し、新鮮な緩衝液20mL部分をバイアルに添加し直した。ブピバカイン塩基を、263nmにおけるUV検出を使用するHPLCにより分析した。ブピバカインの累積放出率を報告した。放出速度プロファイルを、この実施例の2つの組成物について図10および11に示す。
【0216】
(実施例23)
実施例8ターポリマーからのブピバカイン塩酸塩およびブピバカイン塩基のインビトロ放出
実施例8ターポリマー中にブピバカイン塩基を含む実施例22からの製剤をこの試験で使用した。
【0217】
第二の製剤を、ブピバカイン塩酸塩の凍結乾燥部分を使用して同様に調製した。手短に言うと、ブピバカイン塩酸塩の2gサンプルを脱イオン水200mLに溶かし、1Lの凍結乾燥ジャー内でシェル凍結させ、次いで、乾燥粉末に凍結乾燥した。
【0218】
実施例8ターポリマー中のブピバカイン塩酸塩の40wt%混和物を、実施例22に記載されているのと同様にして調製した。インビトロ放出実験は、20平方mm領域全体に広げた120mgサンプルを使用して実施例22に記載されているように行った。ブピバカインの塩基および塩酸塩の放出プロファイルを図12に示す。
【0219】
(実施例24)
PEG−ターポリマーABブロックコポリマーからのポリマーミセル。
【0220】
ポリマー合成。PEG−ターポリマーABブロックコポリマー:213643DLGCL 1−(mPEG2000)−E。
【0221】
磁気撹拌子を備えたガラス反応器に、DL−ラクチド(Ortec、South Carolina)8.5グラム(0.059mol)、グリコリド(Ortec、South Carolina)10.2グラム(0.088mol)、ε−カプロラクトン(Ortec、South Carolina)16.6グラム(0.145mol)およびメトキシポリ(エチレングリコール)(MW=2000)(Sigma−Aldrich、Wisconsin)53.8グラム(0.027mol)を充填した。反応物を窒素でパージし、内容物を140℃にて融解した後、触媒オクチル酸第一スズ(Sigma−Aldrich、Wisconsin)27ミリグラム(0.066mmol)を添加した。重合を、160℃にて18時間にわたって進行させ、続いて、28.5inHG真空における2時間の真空ストリップで未反応モノマーを除去した。DL−ラクチド:グリコリド:ε−カプロラクトンモル比=21:36:43;Mn=プロトンNMRから3,000。
【0222】
ミセル調製および特徴付け。
【0223】
希釈ポリマー溶液は、PEG−ターポリマーABブロックコポリマーを0.5mg/mLの濃度で脱イオン水に溶かすことにより調製した。得られた溶液を、0.1ミクロンのSupor Acrodisc25mmシリンジフィルター(Pall Life Sciences)に通して濾過し、ポリマーミセルの溶液を調製した。
【0224】
ポリマーミセル溶液を、633nmレーザーを備えたMalvern ZetaSizer Nano−ZS(Model ZEN−3600)を使用する光子相関分光法(PCS)により粒子サイズについて分析した。測定された平均ポリマーミセルサイズは、14nmであった。サイズ分布プロットを図13に示す。
【0225】
本発明の範囲または精神を逸脱することなく本発明において様々な修正形態および変形形態を行うことができることは当業者には明らかであろう。
【0226】
本発明の他の実施形態は、本明細書に開示されている本発明の明細書および実施の検討から当業者には明らかであろう。明細書および実施例は、例示としてのみ見なされるべきであることが意図されており、本発明の真の範囲および精神は、下記の特許請求の範囲により示されるものとする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラクチド、グリコリド、およびカプロラクトン残基のターポリマーを含むターポリマー組成物であって、前記ターポリマーが、開始剤の残基である末端基を含み、前記開始剤が、非結晶性の第一級または第二級アルコールである、組成物。
【請求項2】
前記ターポリマー中のラクチド残基の量が、約10〜約60モルパーセントである、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記ターポリマー中のグリコリド残基の量が、約10〜約40モルパーセントである、請求項1から2に記載の組成物。
【請求項4】
前記ターポリマー中のカプロラクトン残基の量が、約20〜約70モルパーセントである、請求項1から3のいずれかに記載の組成物。
【請求項5】
前記ターポリマー中のラクチド残基の量が、約16モルパーセントであり、グリコリド残基の量が、約26モルパーセントであり、カプロラクトン残基の量が、約58モルパーセントである、請求項1から4のいずれかに記載の組成物。
【請求項6】
前記開始剤が、短鎖アルコール、飽和または不飽和の長鎖アルコール、モノ−ヒドロキシポリ(エチレングリコール)、ジ−ヒドロキシポリ(エチレングリコール)、多官能基化マルチ−ヒドロキシルポリ(エチレングリコール)、またはそれらの混合物である、請求項1から5のいずれかに記載の組成物。
【請求項7】
前記開始剤が、1個のヒドロキシル基、2個のヒドロキシル基、または3個以上のヒドロキシル基を含有する、請求項1から6のいずれかに記載の組成物。
【請求項8】
前記開始剤が、ポリマーアルコールである、請求項1から7のいずれかに記載の組成物。
【請求項9】
前記ターポリマーが、約20℃未満のTgを有する、請求項1から8のいずれかに記載の組成物。
【請求項10】
前記ターポリマーが、約0.05〜約0.25の、30℃にてクロロホルム中0.5%(wt/vol)ターポリマーにおける固有粘度を有する、請求項1から9のいずれかに記載の組成物。
【請求項11】
前記ターポリマーが、約25,000ダルトン未満のMwを有する、請求項1から10のいずれかに記載の組成物。
【請求項12】
前記ターポリマーが、約30,000ポアズ未満の粘度を有する、請求項1から11のいずれかに記載の組成物。
【請求項13】
生体活性な薬剤をさらに含む、請求項1から12のいずれかに記載の組成物。
【請求項14】
前記生体活性な薬剤が、薬物、ペプチド、タンパク質、抗体もしくはそのフラグメント、核酸、またはイメージング剤を含む、請求項1から13のいずれかに記載の組成物。
【請求項15】
可塑剤をさらに含む、請求項1から14のいずれかに記載の組成物。
【請求項16】
薬剤、界面活性剤、賦形剤、または添加剤をさらに含む、請求項1から15のいずれかに記載の組成物。
【請求項17】
水性希釈剤をさらに含む、請求項1から16のいずれかに記載の組成物。
【請求項18】
前記ターポリマーが、ミセルの形態である、請求項1から17のいずれかに記載の組成物。
【請求項19】
ターポリマー組成物を調製する方法であって、
a.開始剤の存在下でラクチド、グリコリド、およびカプロラクトンを重合させるステップを含み、
該開始剤が、非結晶性の第一級または第二級のアルコールである、方法。
【請求項20】
前記ラクチドが、約10〜約60モルパーセントの量で存在する、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記グリコリドが、約10〜約40モルパーセントの量で存在する、請求項19から20に記載の方法。
【請求項22】
前記カプロラクトンが、約20〜約70モルパーセントの量で存在する、請求項19から21のいずれかに記載の方法。
【請求項23】
前記ラクチドが、約16モルパーセントの量で存在し、前記グリコリドが、約26モルパーセントの量で存在し、前記カプロラクトンが、約58モルパーセントの量で存在する、請求項19から22のいずれかに記載の方法。
【請求項24】
前記開始剤が、短鎖アルコール、飽和または不飽和の長鎖アルコール、モノ−ヒドロキシポリ(エチレングリコール)、ジ−ヒドロキシポリ(エチレングリコール)、多官能基化マルチ−ヒドロキシルポリ(エチレングリコール)、またはそれらの混合物である、請求項19から23のいずれかに記載の方法。
【請求項25】
前記開始剤が、1個のヒドロキシル基、2個のヒドロキシル基、または3個以上のヒドロキシル基を含有する、請求項19から24のいずれかに記載の方法。
【請求項26】
前記開始剤が、ポリマーアルコールを含む、請求項19から25のいずれかに記載の方法。
【請求項27】
前記ターポリマーが、約20℃未満のTgおよび約25,000ダルトン未満のMwを有する、請求項19から26のいずれかに記載の方法。
【請求項28】
前記ターポリマーが、約0.05〜約0.25の、30℃にてクロロホルム中0.5%(wt/vol)ターポリマーにおける固有粘度を有する、請求項19から27のいずれかに記載の方法。
【請求項29】
前記ターポリマーが、約30,000ポアズ未満の粘度を有する、請求項19から28のいずれかに記載の方法。
【請求項30】
ステップ(a)の前、その間、またはその後に生体活性な薬剤を添加することをさらに含む、請求項19から29のいずれかに記載の方法。
【請求項31】
前記生体活性な薬剤が、薬物、ペプチド、タンパク質、抗体もしくはそのフラグメント、核酸、またはイメージング剤を含む、請求項19から30のいずれかに記載の方法。
【請求項32】
ステップ(a)の前、その間、またはその後に可塑剤を添加することをさらに含む、請求項19から31のいずれかに記載の方法。
【請求項33】
ステップ(a)の前、その間、またはその後に界面活性剤、賦形剤、または添加剤を添加することをさらに含む、請求項19から32のいずれかに記載の方法。
【請求項34】
対象に生体活性な薬剤を送達する方法であって、
a.生体活性な薬剤とラクチド、グリコリド、およびカプロラクトン残基のターポリマーを含むターポリマー組成物を混合するステップであって、前記ターポリマーは、開始剤の残基である末端基を含み、前記開始剤は、非結晶性アルコールである、ステップと
b.前記対象にステップ(a)からの混合物を投与するステップとを
含む方法。
【請求項35】
前記混合物が、注射により投与される、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記ターポリマー中のラクチド残基の量が、約10〜約60モルパーセントである、請求項34から35に記載の方法。
【請求項37】
前記ターポリマー中のグリコリド残基の量が、約10〜約40モルパーセントである、請求項34から36のいずれかに記載の方法。
【請求項38】
前記ターポリマー中のカプロラクトン残基の量が、約20〜約70モルパーセントである、請求項34から37のいずれかに記載の方法。
【請求項39】
前記ターポリマー中のラクチド残基の量が、約16モルパーセントであり、グリコリド残基の量が、約26モルパーセントであり、カプロラクトン残基の量が、約58モルパーセントである、請求項34から38のいずれかに記載の方法。
【請求項40】
前記開始剤が、短鎖アルコール、飽和または不飽和の長鎖アルコール、モノ−ヒドロキシポリ(エチレングリコール)、ジ−ヒドロキシポリ(エチレングリコール)、多官能基化マルチ−ヒドロキシルポリ(エチレングリコール)、またはそれらの混合物である、請求項34から39のいずれかに記載の方法。
【請求項41】
前記開始剤が、1個のヒドロキシル基、2個のヒドロキシル基、または3個以上のヒドロキシル基を含有する、請求項34から40のいずれかに記載の方法。
【請求項42】
前記開始剤が、ポリマーアルコールである、請求項34から41のいずれかに記載の方法。
【請求項43】
前記ターポリマーが、約20℃未満のTgを有する、請求項34から42のいずれかに記載の方法。
【請求項44】
前記ターポリマーが、約0.05〜約0.25の、30℃にてクロロホルム中0.5%(wt/vol)ターポリマーにおける固有粘度を有する、請求項34から43のいずれかに記載の方法。
【請求項45】
前記ターポリマーが、約25,000ダルトン未満のMwを有する、請求項34から44のいずれかに記載の方法。
【請求項46】
前記ターポリマーが、約30,000ポアズ未満の粘度を有する、請求項34から45のいずれかに記載の方法。
【請求項47】
前記生体活性な薬剤が、薬物、ペプチド、タンパク質、抗体もしくはそのフラグメント、核酸、またはイメージング剤を含む、請求項34から46のいずれかに記載の方法。
【請求項48】
ターポリマー組成物が、可塑剤をさらに含む、請求項34から47のいずれかに記載の方法。
【請求項49】
前記ターポリマー組成物が、薬剤、界面活性剤、賦形剤、または添加剤をさらに含む、請求項34から48のいずれかに記載の方法。
【請求項1】
ラクチド、グリコリド、およびカプロラクトン残基のターポリマーを含むターポリマー組成物であって、前記ターポリマーが、開始剤の残基である末端基を含み、前記開始剤が、非結晶性の第一級または第二級アルコールである、組成物。
【請求項2】
前記ターポリマー中のラクチド残基の量が、約10〜約60モルパーセントである、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記ターポリマー中のグリコリド残基の量が、約10〜約40モルパーセントである、請求項1から2に記載の組成物。
【請求項4】
前記ターポリマー中のカプロラクトン残基の量が、約20〜約70モルパーセントである、請求項1から3のいずれかに記載の組成物。
【請求項5】
前記ターポリマー中のラクチド残基の量が、約16モルパーセントであり、グリコリド残基の量が、約26モルパーセントであり、カプロラクトン残基の量が、約58モルパーセントである、請求項1から4のいずれかに記載の組成物。
【請求項6】
前記開始剤が、短鎖アルコール、飽和または不飽和の長鎖アルコール、モノ−ヒドロキシポリ(エチレングリコール)、ジ−ヒドロキシポリ(エチレングリコール)、多官能基化マルチ−ヒドロキシルポリ(エチレングリコール)、またはそれらの混合物である、請求項1から5のいずれかに記載の組成物。
【請求項7】
前記開始剤が、1個のヒドロキシル基、2個のヒドロキシル基、または3個以上のヒドロキシル基を含有する、請求項1から6のいずれかに記載の組成物。
【請求項8】
前記開始剤が、ポリマーアルコールである、請求項1から7のいずれかに記載の組成物。
【請求項9】
前記ターポリマーが、約20℃未満のTgを有する、請求項1から8のいずれかに記載の組成物。
【請求項10】
前記ターポリマーが、約0.05〜約0.25の、30℃にてクロロホルム中0.5%(wt/vol)ターポリマーにおける固有粘度を有する、請求項1から9のいずれかに記載の組成物。
【請求項11】
前記ターポリマーが、約25,000ダルトン未満のMwを有する、請求項1から10のいずれかに記載の組成物。
【請求項12】
前記ターポリマーが、約30,000ポアズ未満の粘度を有する、請求項1から11のいずれかに記載の組成物。
【請求項13】
生体活性な薬剤をさらに含む、請求項1から12のいずれかに記載の組成物。
【請求項14】
前記生体活性な薬剤が、薬物、ペプチド、タンパク質、抗体もしくはそのフラグメント、核酸、またはイメージング剤を含む、請求項1から13のいずれかに記載の組成物。
【請求項15】
可塑剤をさらに含む、請求項1から14のいずれかに記載の組成物。
【請求項16】
薬剤、界面活性剤、賦形剤、または添加剤をさらに含む、請求項1から15のいずれかに記載の組成物。
【請求項17】
水性希釈剤をさらに含む、請求項1から16のいずれかに記載の組成物。
【請求項18】
前記ターポリマーが、ミセルの形態である、請求項1から17のいずれかに記載の組成物。
【請求項19】
ターポリマー組成物を調製する方法であって、
a.開始剤の存在下でラクチド、グリコリド、およびカプロラクトンを重合させるステップを含み、
該開始剤が、非結晶性の第一級または第二級のアルコールである、方法。
【請求項20】
前記ラクチドが、約10〜約60モルパーセントの量で存在する、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記グリコリドが、約10〜約40モルパーセントの量で存在する、請求項19から20に記載の方法。
【請求項22】
前記カプロラクトンが、約20〜約70モルパーセントの量で存在する、請求項19から21のいずれかに記載の方法。
【請求項23】
前記ラクチドが、約16モルパーセントの量で存在し、前記グリコリドが、約26モルパーセントの量で存在し、前記カプロラクトンが、約58モルパーセントの量で存在する、請求項19から22のいずれかに記載の方法。
【請求項24】
前記開始剤が、短鎖アルコール、飽和または不飽和の長鎖アルコール、モノ−ヒドロキシポリ(エチレングリコール)、ジ−ヒドロキシポリ(エチレングリコール)、多官能基化マルチ−ヒドロキシルポリ(エチレングリコール)、またはそれらの混合物である、請求項19から23のいずれかに記載の方法。
【請求項25】
前記開始剤が、1個のヒドロキシル基、2個のヒドロキシル基、または3個以上のヒドロキシル基を含有する、請求項19から24のいずれかに記載の方法。
【請求項26】
前記開始剤が、ポリマーアルコールを含む、請求項19から25のいずれかに記載の方法。
【請求項27】
前記ターポリマーが、約20℃未満のTgおよび約25,000ダルトン未満のMwを有する、請求項19から26のいずれかに記載の方法。
【請求項28】
前記ターポリマーが、約0.05〜約0.25の、30℃にてクロロホルム中0.5%(wt/vol)ターポリマーにおける固有粘度を有する、請求項19から27のいずれかに記載の方法。
【請求項29】
前記ターポリマーが、約30,000ポアズ未満の粘度を有する、請求項19から28のいずれかに記載の方法。
【請求項30】
ステップ(a)の前、その間、またはその後に生体活性な薬剤を添加することをさらに含む、請求項19から29のいずれかに記載の方法。
【請求項31】
前記生体活性な薬剤が、薬物、ペプチド、タンパク質、抗体もしくはそのフラグメント、核酸、またはイメージング剤を含む、請求項19から30のいずれかに記載の方法。
【請求項32】
ステップ(a)の前、その間、またはその後に可塑剤を添加することをさらに含む、請求項19から31のいずれかに記載の方法。
【請求項33】
ステップ(a)の前、その間、またはその後に界面活性剤、賦形剤、または添加剤を添加することをさらに含む、請求項19から32のいずれかに記載の方法。
【請求項34】
対象に生体活性な薬剤を送達する方法であって、
a.生体活性な薬剤とラクチド、グリコリド、およびカプロラクトン残基のターポリマーを含むターポリマー組成物を混合するステップであって、前記ターポリマーは、開始剤の残基である末端基を含み、前記開始剤は、非結晶性アルコールである、ステップと
b.前記対象にステップ(a)からの混合物を投与するステップとを
含む方法。
【請求項35】
前記混合物が、注射により投与される、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記ターポリマー中のラクチド残基の量が、約10〜約60モルパーセントである、請求項34から35に記載の方法。
【請求項37】
前記ターポリマー中のグリコリド残基の量が、約10〜約40モルパーセントである、請求項34から36のいずれかに記載の方法。
【請求項38】
前記ターポリマー中のカプロラクトン残基の量が、約20〜約70モルパーセントである、請求項34から37のいずれかに記載の方法。
【請求項39】
前記ターポリマー中のラクチド残基の量が、約16モルパーセントであり、グリコリド残基の量が、約26モルパーセントであり、カプロラクトン残基の量が、約58モルパーセントである、請求項34から38のいずれかに記載の方法。
【請求項40】
前記開始剤が、短鎖アルコール、飽和または不飽和の長鎖アルコール、モノ−ヒドロキシポリ(エチレングリコール)、ジ−ヒドロキシポリ(エチレングリコール)、多官能基化マルチ−ヒドロキシルポリ(エチレングリコール)、またはそれらの混合物である、請求項34から39のいずれかに記載の方法。
【請求項41】
前記開始剤が、1個のヒドロキシル基、2個のヒドロキシル基、または3個以上のヒドロキシル基を含有する、請求項34から40のいずれかに記載の方法。
【請求項42】
前記開始剤が、ポリマーアルコールである、請求項34から41のいずれかに記載の方法。
【請求項43】
前記ターポリマーが、約20℃未満のTgを有する、請求項34から42のいずれかに記載の方法。
【請求項44】
前記ターポリマーが、約0.05〜約0.25の、30℃にてクロロホルム中0.5%(wt/vol)ターポリマーにおける固有粘度を有する、請求項34から43のいずれかに記載の方法。
【請求項45】
前記ターポリマーが、約25,000ダルトン未満のMwを有する、請求項34から44のいずれかに記載の方法。
【請求項46】
前記ターポリマーが、約30,000ポアズ未満の粘度を有する、請求項34から45のいずれかに記載の方法。
【請求項47】
前記生体活性な薬剤が、薬物、ペプチド、タンパク質、抗体もしくはそのフラグメント、核酸、またはイメージング剤を含む、請求項34から46のいずれかに記載の方法。
【請求項48】
ターポリマー組成物が、可塑剤をさらに含む、請求項34から47のいずれかに記載の方法。
【請求項49】
前記ターポリマー組成物が、薬剤、界面活性剤、賦形剤、または添加剤をさらに含む、請求項34から48のいずれかに記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公表番号】特表2011−503183(P2011−503183A)
【公表日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−534036(P2010−534036)
【出願日】平成20年11月12日(2008.11.12)
【国際出願番号】PCT/US2008/012755
【国際公開番号】WO2009/064442
【国際公開日】平成21年5月22日(2009.5.22)
【出願人】(509121558)サーモディクス ファーマシューティカルズ, インコーポレイテッド (12)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年11月12日(2008.11.12)
【国際出願番号】PCT/US2008/012755
【国際公開番号】WO2009/064442
【国際公開日】平成21年5月22日(2009.5.22)
【出願人】(509121558)サーモディクス ファーマシューティカルズ, インコーポレイテッド (12)
【Fターム(参考)】
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