薬物送達インプラント
整形外科インプラントシステムは、身体内の選択された位置に移植可能であり、かつ少なくとも1つの治療薬を身体に送達するように構成された整形外科インプラントを含む。インプラントは、リザーバ及び複数の流路を含む。リザーバは、少なくとも1つの治療薬を受け入れるように構成される。複数の流路は、少なくとも1つの治療薬をリザーバから身体に関する治療部位まで運ぶように構成される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本願は、参照によって本明細書に援用される、2008年8月13日出願の「DRUG DELIVERY IMPLANTS」という名称の米国仮特許出願第61/088,379号に基づく非仮特許出願である。
【0002】
[0002]本発明はインプラントに関し、より詳細には、整形外科インプラントに関する。
【背景技術】
【0003】
[0003]整形外科インプラントは、短期インプラント、長期インプラント及び非永久的インプラントを含む。短期インプラントは、感染症の治療のためのインプラントを含む。長期インプラントは、全股関節、膝、肩及び肘の関節のためのすべてのインプラントを含む。非永久的インプラントは、釘体、プレート及び外部固定装置などの外傷用製品を含む。
【0004】
[0004]短期インプラントについては、整形外科インプラントを囲む組織、特に骨が感染した状態になると、通常はそのインプラントを取り外し、感染体を除かなければならず、次いで新しいインプラント(再置換インプラント)が移植される。インプラントの除去と再置換の移植の間の期間は、数週(約4週)から数ヶ月(約3ヶ月)になる可能性がある。この期間中、外科医は現在のところ、手術中に抗生物質入り骨セメントを用いて一時的なインプラントを作製するか(型を用いて、もしくは型を用いずに作製される)、またはあらかじめ成形された抗生物質入り骨セメントの一時的なインプラント(例えばExactechのInterSpace(商標) Hip及びInterSpace(商標) Knee)を使用するという2つの基本的な選択肢を有している。いずれの場合も、骨の感染症の部位に抗生物質を直接送達するために、抗生物質入り骨セメントが用いられる。患者は通常、IV抗生物質も受ける。そうしたインプラントの欠点は、それらが臨床的に適切な用量の抗生物質を送達する持続期間が限られること、4週乃至12週の治療期間中に抗生物質のタイプまたは用量を変更することができないこと、ならびに患者の動きやすさ、運動の範囲、及びインプラントが許容する重量負荷が制限されることである。
【0005】
[0005]さらに、抗生物質入りセメントは通常、1週間未満の持続期間にわたって有用な局所的抗生物質濃度をもたらす。治療期間は、6週間乃至8週間であることがしばしばである。しかし、1週間を超えると、抗生物質入りセメントのインプラントは、有用な量の抗生物質を供給しなくなる。
【0006】
[0006]さらに、感染症は多数の細菌、ウイルス、酵母菌などによって引き起こされる可能性がある。様々な抗生物質の有効性は、特に何が感染症を引き起こしたかに大きく依存する。したがって、感染症を最も効果的に治療するためには、その感染症の原因が分からなければならない。細胞培養の結果はこの情報を与え、どの抗生物質及び用量が感染症を最も効果的に治療するかを示す。培養のための試料は、通常は手術中に集められる。培養の結果は、手術後数日まで分からない。現在の一時的なインプラントに使用される抗生物質入りセメントのタイプは、手術時にまたは手術前に選択しなければならないため、培養から得られる情報は、感染部位に使用される抗生物質に対して利用することができない。
【0007】
[0007]さらに、関節手術から回復する患者にとって重要なことの1つは、その関節に関する全域の運動によって、その関節の動きを促すことである。これは、瘢痕組織の形成及び関節の周りの組織の硬化を防ぐ助けとなる。一時的なインプラントに関する現在の選択肢では、最善でも運動及び重量負荷の範囲が制限される。
【0008】
[0008]長期インプラントについては、骨の内殖に関連して、インプラントの骨に対する安定性または固定をもたらすために、多孔性材料内への骨の内殖が必要とされることがある。この例は、全関節構成要素、固定装置(すなわち脊椎固定装置)及び骨増強用構成要素(すなわち脛骨の楔部(tibial wedge))に対する多孔性コーティングを含む。
【0009】
[0009]吸収に関しては、いくつかの理由のため、全関節インプラントを囲む領域で吸収が起こる可能性があり、吸収によってインプラントが緩み、その後再置換手術になることがある。吸収のいくつかの理由は、下記のことを含む。
・応力遮断−強く健康なままでいるために、骨組織は負荷をかけることを必要とする。インプラントが周りの骨に負荷を適切に伝えない場合、骨の領域が吸収する可能性がある。
・摩耗粒子による溶解−ある全関節構成要素の他のものに対する負荷によって生成される摩耗粒子に対する身体の反応によって、しばしば骨溶解及び吸収が引き起こされる。
・骨粗鬆症または他の骨障害−骨代謝障害が骨の吸収を引き起こすこともある。
【0010】
[0010]腫瘍学に関しては、腫瘍薬物を腫瘍の領域に局所的に送達すると、腫瘍成長の緩徐化/停止に関する結果を改善することができる。局所的な送達が可能であることにより、全身性の薬物の必要性/用量を減じ、副作用を小さくすることもできる。
【0011】
[0011]非永久的インプラント(すなわち外傷インプラント)については、そうした非永久的インプラントは、釘体、プレート及び外部固定装置を含む。釘体は一時的な髄内装置である。釘体は通常、外傷性骨折を治療するために用いられる。特に開放骨折の場合、感染症の危険性が高い可能性がある。腫瘍学に関連して、釘体は骨腫瘍に伴う骨折を治療するために用いることができる。釘体は、癌が骨を弱めた場合、骨折の防止を助けるために用いることもできる。プレートは、釘体と同じ適応症の多くを治療するが、プレートは骨の外側に適用される。外部固定装置は、骨折部を安定化するために用いられる一時的なインプラントである。これらは、数日から数ヶ月にわたって使用することができる。外部固定装置は通常、骨に固定され、皮膚を貫通して剛性のプレート、リング、ロッドまたは同様の安定化装置まで延びる複数のピンを含む。こうした装置は皮膚を貫通して延びるため、さらに高い感染症の危険性を伴う。細菌がピンに沿って、軟組織及び骨まで直接移動する恐れがある。
【0012】
[0012]当技術分野で求められているものは、リザーバ、及びリザーバから通じる複数の流路を含み、少なくとも1つの治療薬を局所的に骨または周りの軟組織に送達する整形外科インプラントである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
[0013]本発明は、リザーバ、及びリザーバから通じる複数の流路を含み、少なくとも1つの治療薬を局所的に骨または周りの軟組織に送達する整形外科インプラントを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
[0014]本発明は、一形態において、身体内の選択された位置に移植可能であり、かつ少なくとも1つの治療薬を身体に送達するように構成された整形外科インプラントを含む、整形外科インプラントシステムを対象にしている。インプラントは、リザーバ及び複数の流路を含む。リザーバは、少なくとも1つの治療薬を受け入れるように構成される。複数の流路は、少なくとも1つの治療薬をリザーバから身体に関する治療部位まで運ぶように構成される。
【0015】
[0015]本発明は、他の形態において、整形外科インプラントシステムを使用する方法を対象にしており、その方法は、リザーバ及び複数の流路を含む整形外科インプラントを、身体内の選択された位置に移植するステップと、リザーバ内に少なくとも1つの治療薬を受け入れるステップと、少なくとも1つの治療薬を、複数の流路を介してリザーバから身体に関する治療部位まで運ぶステップと、少なくとも1つの治療薬を身体に送達するステップとを含む。
【0016】
[0016]本発明は、さらに他の形態において、整形外科インプラント及び多孔性表面を含む整形外科インプラントシステムを対象にしている。整形外科インプラントは、身体内の選択された位置に移植可能であり、かつ治療薬を身体に送達するように構成された本体を含む。本体は、複数の表面流路を画定し、かつ治療薬リザーバを持たない外部表面を含む。複数の表面流路は、インプラントが身体内に移植された後、治療薬を受け入れ、保持し、送達し、治療薬で再充填されるように構成される。多孔性表面は外部表面に取り付けられる。多孔性表面は、その内部に骨及び組織の内殖のうちの少なくとも1つを受け入れるように構成され、外部表面に取り付けられた第1の面、及び第1の面に対向する第2の面を含む。多孔性表面は、第1の面から第2の面へ延びる複数の貫通孔を含む。複数の表面流路は、複数の貫通孔と連通及び協働して、治療薬を複数の表面流路から多孔性表面の第1の面及び多孔性表面の第2の面に供給する。
【0017】
[0017]本発明の利点は、薬物を骨に直接送達することを可能にする整形外科インプラントを提供することである。
【0018】
[0018]本発明の他の利点は、抗生物質を骨及び周りの組織に直接送達することを可能にする、一時的なインプラントまたは短期インプラントを提供することである。
【0019】
[0019]本発明のさらに他の利点は、手術後に抗生物質をインプラントに注入することを可能にし、それによって、治療の間ずっと複数の抗生物質の送達を可能にすることである。
【0020】
[0020]本発明のさらに他の利点は、本発明によるインプラントが、必要とされる任意の期間にわたって連続的に、正確な用量の抗生物質の送達を可能にすることである。
【0021】
[0021]本発明のさらに他の利点は、インプラントが身体内に移植されたままである限り、治療薬を局所的に骨または周りの軟組織に送達することができる、整形外科インプラントを提供することである。
【0022】
[0022]本発明のさらに他の利点は、薬物を骨及び周りの組織(または任意の特定の位置)に直接送達することを可能にする、長期インプラントを提供することである。
【0023】
[0023]本発明のさらに他の利点は、骨の内殖を促進し、吸収を抑えることに関連して、多孔性材料(すなわち、全関節構成要素;固定装置、すなわち脊椎固定装置;骨増強用構成要素、すなわち脛骨の楔部に対する多孔性コーティング)の中への骨の内殖を促進するまたは早めるために、手術中または手術後に骨成長の刺激物質を注入できるようにすることであり、こうした薬物は、応力遮蔽、骨溶解または骨代謝障害などの原因による骨の吸収を抑えるために、本発明によるインプラントを用いて手術後数ヶ月から数年注入することも可能である。
【0024】
[0024]本発明のさらに他の利点は、腫瘍学に関連して、本発明が、インプラントを囲む一部またはすべての組織への薬物の送達を同様に可能にするインプラントを提供することである。
【0025】
[0025]本発明のさらに他の利点は、予防策として、または感染症が発生している場合にはそれを治療するために、抗生物質を本発明の釘体を囲む骨に送達することを可能にすることである。
【0026】
[0026]本発明のさらに他の利点は、骨成長の刺激物質を(1つまたは複数の)骨折の領域に直接送達することを可能にする、本発明による釘体などの非永久的インプラントを提供することであり、そうした骨成長の刺激物質の送達は、癒着不能、骨欠損及び骨切断などの難しいケースで有利になることがある。
【0027】
[0027]本発明のさらに他の利点は、腫瘍薬物を腫瘍の領域に局所的に送達することができ、それによって腫瘍成長の緩徐化/停止に関する結果を改善することができる、本発明による釘体などの非永久的インプラントを提供することであり、本発明によって局所的な送達が可能になることにより、全身性の薬物の必要性/用量を減じ、副作用を小さくすることもできる。
【0028】
[0028]本発明のさらに他の利点は、抗生物質または他の抗感染薬をピンの周りの骨及び軟組織に供給することを可能にする外部固定装置を提供することである。
【0029】
[0029]本発明の前述の及び他の特徴及び利点、ならびにそれらを達成する方法は、添付図面と共に取り上げられる本発明の実施形態に関する以下の記述を参照することによって、より適切に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】[0030]本発明による短期の大腿骨股関節インプラントの断面図の概略図である。
【図2】[0031]本発明による短期の大腿骨股関節インプラントシステムの断面図の概略図である。
【図3】[0032]本発明による短期の寛骨臼カップインプラントの断面図の概略図である。
【図4】[0033]本発明による短期の大腿骨膝関節インプラントの上面図の概略図である。
【図5】[0034]図4の線5−5に沿って得られる、短期の大腿骨膝関節インプラントの断面図の概略図である。
【図6】[0035]本発明による短期の大腿骨膝関節インプラントの上面図の概略図である。
【図7】[0036]短期の大腿骨膝関節インプラントの正面図の概略図である。
【図8】[0037]短期の脛骨膝関節インプラントの断面図の概略図である。
【図9】[0038]本発明による長期の大腿骨股関節インプラントシステムの側面図の概略図である。
【図10】[0039]図9の長期の大腿骨股関節インプラントの断面図の概略図である。
【図11】[0040]本発明による長期の大腿骨膝関節インプラントの上面図の概略図である。
【図12】[0041]図11の線12−12に沿って得られる、長期の大腿骨膝関節インプラントの断面図の概略図である。
【図13】[0042]本発明による長期の大腿骨膝関節インプラントシステムの上面図の概略図である。
【図14】[0043]大腿骨に取り付けられる、本発明による長期の大腿骨膝関節インプラントシステムの側面図の概略図である。
【図15】[0044]本発明による長期の大腿骨股関節インプラントシステムの側面図の概略図である。
【図16】[0045]線16−16に沿って得られる、図15の長期の大腿骨股関節インプラントシステムの断面図の概略図である。
【図17】[0046]本発明による整形外科用釘体の断面図の概略図である。
【図18】[0047]本発明による整形外科用プレートの断面図の概略図である。
【図19】[0048]本発明による外部固定装置の断面図の概略図である。
【図20】[0049]治療薬カートリッジを含む、整形外科インプラントシステムの断面図の概略図である。
【図21】[0050]治療薬カートリッジが挿入されていない、図20の整形外科インプラントの断面図の概略図である。
【図22】[0051]完全に多孔性である整形外科インプラントの側面図の概略図である。
【図23】[0052]完全に多孔性であり、リザーバ及び薬物送達流路を含む、本発明による整形外科インプラントの側面図の概略図である。
【図24】[0053]部分的に多孔性である整形外科インプラントの断面図の概略図である。
【図25】[0054]部分的に多孔性であり、リザーバ及び薬物送達流路を含む、本発明による整形外科インプラントの断面図の概略図である。
【図26】[0055]部分的に多孔性であり、リザーバ及び薬物送達流路を含む、本発明による整形外科インプラントの断面図の概略図である。
【図27】[0056]スポンジ様材料を含む、本発明による整形外科インプラントシステムの断面図の概略図である。
【図28】[0057]本発明による整形外科インプラントシステムの概略図である。
【図29】[0058]本発明による整形外科インプラントシステムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
[0059]複数の図面すべてを通じて、対応する参照符号は対応する部分を示す。本明細書で述べられる実例は本発明の実施形態を示し、そうした実例は、いかなる形でも本発明の範囲を限定するものと解釈されるものではない。
【0032】
[0060]次に図面を、より詳細には図1を参照すると、身体34内の選択された位置に移植可能であり、かつ少なくとも1つの治療薬36を身体34に送達するように構成された整形外科インプラント32の全体を含む、本発明による整形外科インプラントシステム30が示されている。インプラント32は、少なくとも1つのリザーバ38及び複数の流路40を含む。リザーバ38は、少なくとも1つの治療薬36を受け入れるように構成され、またインプラント32が身体34内に移植された後、治療薬36で再充填されるように構成することができる。流路40は、治療薬36がリザーバ38から身体34に関する治療部位42まで移動する経路を形成する。流路40によって形成される経路はそれぞれ、流路40の壁によって形成される内部空間である。流路40は、例えば円形、正方形、またはいくつかの他の断面形状を有することができる。したがって、流路40は、少なくとも1つの治療薬36をリザーバ38から身体34に関する治療部位42まで運ぶように構成される。
【0033】
[0061]図1は、2つのリザーバ38、及びそれぞれのリザーバ38から延びる複数の流路40を示している。本発明によるインプラント(すなわちインプラント232)は、ただ1つのリザーバ(すなわちリザーバ238)を含んでもよい。図1のリザーバ38は、任意選択で異なる治療薬36を同時に保持することが可能であり、換言すれば、各リザーバ38が異なる治療薬36を保持すること、すなわち、各リザーバ38が少なくとも2つの治療薬36を保持することが可能である。したがって、本発明によるインプラントは、複数の治療薬をリザーバ及び複数の流路を介して身体に送達するように構成され、そうしたインプラントの例は、インプラント32(図1)及びインプラント232(図3)を含む。さらにインプラント32は、治療薬36の放出前に、流路40のいずれに対してもシールまたはシールキャップが形成されないように形成することができる。
【0034】
[0062]本明細書において、身体とは、ヒトまたは動物(すなわち獣医学上の患者)の物理的な体を意味する。したがって、身体は肉及び骨のうちの1つである。身体は生きたものでも死んだものでもよい。本明細書では、身体は患者の体と称されることもあり、それは、生きているまたは死んでいるヒト及び獣医学上の「患者」を含む。本明細書では、治療薬は、薬物または薬剤と称されることもある。治療薬は、例えば液体、固体、カプセルまたはビーズとして形成することができる。
【0035】
[0063]さらに図1は、インプラント32が、選択された位置に移植可能な本体44を含むことを示している。本体44はリザーバ38及び流路40を画定し、外部表面46を含む。本発明のリザーバは、インプラントの本体によって形成される空洞または囲まれたポケット(閉鎖されているが、流路がインプラントの本体の表面へ延びる)とすることができる。リザーバは、本体の外部表面の中にではなく、本体の中心部(すなわち中央内分)によって形成することができる。リザーバは、中心部のかなりの部分を占めてもよいが、依然としてリザーバから外部表面へ延びる細長い流路を有するようにする。リザーバ38は本体44内の空洞である。リザーバ38は、本体44を貫通する貫通孔ではない。流路40はリザーバ38を外部表面46と流体連通させ、それによって、少なくとも1つの治療薬36がリザーバ38から外部表面46まで移動する経路を形成する。すなわち、流路40はリザーバ38を外部表面46と流体連通させ、それによって、少なくとも1つの治療薬36をリザーバ38から外部表面46まで運ぶ。図1はインプラント32の本体44を示しているが、それはインプラント32自体である。
【0036】
[0064]さらに図1は、インプラント32が股関節補綴物として形成され、その身体34が股関節として形成されていることを示している。より具体的には、図1は、上側大腿骨(または大腿骨)の一部を形成し、したがって負荷を支える(整形外科インプラントの1つのタイプである)短期の大腿骨股関節インプラント32の断面図を示している。図1の大腿骨股関節補綴物32の本体44(本体44と大腿骨股関節補綴物32は互いに同じ空間の広がりを有しており、したがって図1では同一の構造部材である)は、身体34の上側大腿骨に挿入することができる軸部(図1のインプラント32の下方へ延びる部分)、及び寛骨臼(すなわち、患者の生来の寛骨臼または補綴用の寛骨臼カップ)によって受け入れられ、それと噛み合う大腿骨の頭部(図1のインプラント32の球形部)を含む。図1は、軸部と大腿骨の頭部の両方が、リザーバ38、及びそれぞれのリザーバ38からインプラント32の外部表面46へ延びる複数の流路40を含むことを示している。外部表面46に対するリザーバ38の大きさ、及び/またはリザーバ38の外部表面46までの近さに応じて、流路40は本体44内の孔または開口部として形成することができる。使用時には、インプラントを身体34内に移植する前及び/または後に、リザーバ38に治療薬36が挿入される。次いで、治療薬36は流路40内に移り、流路40を介して外部表面46まで移動することができる(流路40が外部表面46内に孔を形成する)。治療薬36は流路40を出て治療部位42に接触するが、治療部位42は、例えば骨または組織とすることができる。
【0037】
[0065]本発明の整形外科インプラントは、補綴物、釘体、プレート、または移植可能なピンとして形成される外部固定装置とすることができる。図1乃至図16及び図20乃至図27は、補綴物である整形外科インプラントを示している。補綴物は、身体の欠損部もしくは欠陥部の代わりになる、またはそうした部分を補うインプラントである。図17は、釘体である整形外科インプラントを示している。図18は、プレートである整形外科インプラントを示している。図19は、移植可能なピンを備えた外部固定装置である整形外科インプラントを示している。
【0038】
[0066]図2は、本発明による整形外科インプラントの他の実施形態を示している。図1における同様の部分に対応する図2の構造部分は、100の倍数だけ大きくした参照符号を有している。短期の整形外科インプラントシステム130は、短期の補綴インプラント132及び取り付け部分150を含む。本体144は、リザーバ138、及びリザーバ138から外部表面146へ延びる流路140を画定する。取り付け部分150は、ポート(図2には示さず)を取り付けるためのものである。取り付け部分150は、管状要素とすることができる。取り付け部分150及びボートは、リザーバ138を治療薬で再充填するために用いることができる。取り付け部分150を介してリザーバ138を(最初に及び/または詰め替えとして)治療薬で充填すると、治療薬は流路140を介して、リザーバ138から治療部位まで移動することができる。
【0039】
[0067]図3は、本発明による整形外科インプラントの他の実施形態を示している。これまでの図における同様の部分に対応する図3の構造部分は、100の倍数だけ大きくした参照符号を有している。図3は、他の短期の股関節インプラント232の断面図を示している。補綴用インプラント232は、大腿骨の頭部を受け入れる寛骨臼カップとして形成される。図3では、寛骨臼カップ232の本体244は寛骨臼カップ232である。本体244は、リザーバ238、及びリザーバ238から外部表面246へ延びる複数の流路240を画定する。リザーバ238を(最初に及び/または詰め替えとして)治療薬で充填すると、治療薬は流路240を介して、リザーバ238から治療部位まで移動する。
【0040】
[0068]図4乃至図8は、本発明による整形外科インプラントのその他の実施形態を示している。より具体的には、図4乃至図8は、補綴用膝関節インプラント、すなわち大腿骨と脛骨の両方の補綴用膝関節インプラントとして形成された短期の整形外科インプラントを示している。これまでの図における同様の部分に対応する図4乃至図7の構造部分は、100の倍数だけ大きくした参照符号を有している。図4及び図5は、インプラント332の本体344が大腿骨膝関節インプラント332であることを示している。本体344は、下側部分(図5の全体的にU字形の部分)及び任意選択の軸部(図5の下側部分の頂部の垂直な直立した部分)を含む。下側部分と軸部は共に、薬物リザーバ338、及びリザーバ338内の(1つまたは複数の)治療薬を(1つまたは複数の)治療部位342に送達するように、それぞれのリザーバ338を外部表面346と連通させる薬物送達流路/孔340を含む。図6は、図5に示されるインプラント332と同様の大腿骨膝関節インプラント432の上面図を示している。流路440は、下側部分の外部表面446内の出口孔として示されている。図6の円は、任意選択の直立する軸部452を示している。図7は、インプラントの本体544より放射線不透過性が高い文字を刻むことによって印を付け、図7に示すように文字がX線または蛍光透視装置で見えるようにした、短期の大腿骨膝関節インプラント532の正面図を示している。図5及び図6のリザーバを(最初に及び/または詰め替えとして)治療薬で充填すると、治療薬は流路340、440を介して、これらのリザーバから治療部位まで移動することができる。
【0041】
[0069]図8は、本発明による短期の脛骨膝関節インプラント632の断面図を示している。これまでの図における同様の部分に対応する図8の構造部分は、100の倍数だけ大きくした参照符号を有している。インプラント632の本体644は、脛骨膝関節インプラント632である。本体644は、脛骨の皿部(図8の全体的に水平な部分)及び任意選択の軸部(図8の水平部分より下の全体的に垂直な部分)を含む。下側部分と軸部は共に、薬物リザーバ638、及び(1つまたは複数の)治療薬を(1つまたは複数の)治療部位642に送達するように、それぞれのリザーバ638を外部表面646と連通させる薬物送達流路/孔640を画定する。リザーバ638を(最初に及び/または詰め替えとして)治療薬で充填すると、治療薬は流路640を介して、リザーバ638から治療部位642まで移動することができる。
【0042】
[0070]したがって、図1乃至図8に示される本発明によるインプラントは、例えば身体内の感染症の治療に用いることが可能な短期インプラントである。そうした短期インプラントまたは一時的なインプラントは、抗生物質などの治療薬を身体の骨及び周りの組織に直接送達することを可能にする。
【0043】
[0071]手術後のインプラントへの抗生物質の注入を可能にするために、ポートなどの装置を用いることができる(図2参照)。これは、治療の間ずっと複数の抗生物質の送達を可能にする。インプラント内のリザーバ及び/または流路は、こうした注入による抗生物質を数時間から数週間の期間にわたって送達することを可能にする(図1乃至図8)。臨床的には、おそらく約1週間の注入間隔が十分に許容されるであろう。薬物は、インプラントを囲むすべての骨及び軟組織、または特定の位置のみに送達することができる。この概念の変形形態は、関節での運動がない状態から、恒久的な全関節に典型的な移動度までの関節移動度の範囲を可能にする。こうした短期インプラントは、緩い圧入、または抗生物質入りもしくは標準的な骨セメントを用いて骨の中に保持することができる。骨セメントの場合、セメントが薬物送達用の孔を覆って塞ぐことを防止する技術の中に、セメントリストリクタも含まれる。
【0044】
[0072]抗生物質入りセメントは通常、1週間未満の持続期間にわたって有用な局所的抗生物質濃度をもたらす。治療期間は、6週間乃至8週間であることがしばしばである。しかし、1週間を超えると、抗生物質入りセメントのインプラントは、有用な量の抗生物質を供給しなくなる。それとは対照的に、本発明によるインプラントは、必要とされる任意の期間にわたって連続的に、正確な用量の抗生物質の送達を可能にする。本発明のインプラントに取り付けられるポートなどの部分を通して、インプラントのリザーバは、適切な薬物投与を行うのに必要な頻度で再充填することができる。
【0045】
[0073]本発明のインプラントは、治療中いつでも任意の数の抗生物質を使用できるようにする。初期の抗生物質は、手術時に使用することができる。細胞培養が異なる抗生物質または用量がより効果的であることを示す場合には、本発明に従って、治療措置にそうした変更を行うことができる。
【0046】
[0074]短期の大腿骨股関節インプラントは、先に論じたように軸部及び別個の頭部を含むか、または一体化された構造とすることができる。複数の大きさの軸部及び頭部の大きさを適応させることが可能である。先に論じたように、別個の寛骨臼構成要素を設けることができる。大腿骨の頭部は、短期の寛骨臼構成要素または患者の寛骨臼と噛み合うことができる(図1乃至図3参照)。本発明によれば、薬物は、寛骨臼構成要素が使用されない場合(図1参照)には大腿骨構成要素の頭部を通して、あるいは寛骨臼構成要素が使用される場合(図3参照)には寛骨臼構成要素を通して、寛骨臼に送達することができる。
【0047】
[0075]短期の膝関節インプラントは、一体化された脛骨構成要素(標準的な全膝関節置換の2つの部分を結合する)、及び一体化されたまたは2つの部分からなる大腿骨構成要素(2つの部分からなる設計が顆状突起と軸部を結合する)を含むことができる。本発明は、複数の大きさの脛骨構成要素、ならびに複数の大きさの(一体として結合されるか、または別個である)軸部及び顆状突起を提供する(図4乃至図8参照)。本発明に従って、同様の構成要素が、肩関節、肘関節及び他の関節のために提供される。
【0048】
[0076]図1乃至図8のインプラントは短期使用向けに設計されているため、本発明の短期インプラントは、先に示したように、インプラントの表面に肉眼とX線の両方によって見ることができる印を含むことができる。こうした印は、インプラントが短期使用のみを対象にしていることを明確に示すものである(図7参照)。
【0049】
[0077]本発明は、長い期間にわたってインプラントに近い場所、またはインプラントを囲む領域全体に薬物を連続的に送達することを可能にする、整形外科インプラントシステム(短期、長期または非永久的インプラントのどれであれ)を提供する。図9乃至図16に示される本発明によるインプラントは、長期インプラントである。そうしたインプラントは、患者の体内の全股関節、膝、肩及び肘の関節として使用することができる。本発明の長期インプラントは、前述の短期インプラントと基本的に類似した点を有している。したがって、これまでの図における同様の部分に対応する図9乃至図16の構造部分は、100の倍数だけ大きくした参照符号を有している。したがって、前述の短期インプラントと同様に、本発明はさらに、薬物を骨及び周りの組織(または任意の特定の位置)に直接送達することを可能にする長期インプラントを提供する。手術後のインプラントへの薬物の注入を可能にするために、ポートなどの装置を用いることができる(図14参照)。これは、治療の間ずっと任意の数の薬物の送達を可能にし、また治療の間ずっと薬物を再充填して適切な薬物投与を行うことを可能にする。本発明による長期インプラント内のリザーバ及び/または流路は、こうした注入による薬物を数時間から数週間の期間にわたって送達することを可能にする(図9乃至図16参照)。薬物は、インプラントを囲むすべての骨及び軟組織、または特定の位置のみに送達することができる。
【0050】
[0078]図9及び図10は、本発明による長期の大腿骨股関節補綴インプラントシステム730を示している。これまでの図における同様の部分に対応する図9及び図10の構造部分は、100の倍数だけ大きくした参照符号を有している。システム730は、長期の大腿骨股関節補綴インプラント732、及び外部表面746に取り付けられた多孔性表面754を含む。先に論じた短期インプラントと同様に、インプラントは、薬物リザーバ738、及び(1つまたは複数の)治療薬を身体内の治療部位に送達するように、リザーバ738から外部表面746へ延びる複数の薬物送達流路740を画定する本体744を有している。多孔性表面754は、その内部に骨及び/または組織の内殖を受け入れるように構成される。そうした内殖が、図9に矢印756によって示されている。多孔性表面754は様々に、多孔性部材、多孔性パッドまたはスキャフォールドと称されることがある。薬物送達流路740は内殖領域を避けるように、本体744に沿ってまたは本体744を貫通して経路指定することができる。換言すれば、流路740は治療薬を多孔性表面754に放出することを避けるように、本体744に沿ってまたは本体744を貫通して経路指定することができる。それとは対照的に、流路740は薬物を内殖用の多孔性表面754を通して放出するように、本体744に沿ってまたは本体744を貫通して経路指定することができる。図9は、多孔性表面754への薬物の放出を避ける流路740を示している。リザーバ738を(最初に及び/または詰め替えとして)治療薬で充填すると、治療薬は流路740を介して、リザーバ738から治療部位まで移動することができる。
【0051】
[0079]図11及び図12は、本発明による長期の大腿骨膝関節インプラントを示している。これまでの図における同様の部分に対応する図11及び図12の構造部分は、100の倍数だけ大きくした参照符号を有している。インプラント832の本体844は、大腿骨膝関節インプラント832である。本体844は、下側部分(図12の全体的にU字形の部分)及び任意選択の軸部(図12の下側部分の頂部の垂直な直立した部分)を含む。下側部分と軸部は共に、薬物リザーバ838を含む。軸部はさらに、(1つまたは複数の)治療薬を(1つまたは複数の)治療部位846に送達するように、それぞれのリザーバ838を外部表面846と連通させる薬物送達流路/孔840を含む。下側部分も、リザーバから治療部位に通じる少なくとも1つの薬物送達流路840を含む。リザーバ838を(最初に及び/または詰め替えとして)治療薬で充填すると、治療薬は流路840を介して、リザーバ838から治療部位まで移動することができる。
【0052】
[0080]図13は、本発明による長期の大腿骨膝関節インプラントシステム930を示している。これまでの図における同様の部分に対応する図13の構造部分は、100の倍数だけ大きくした参照符号を有している。システム930は、図12のインプラント832と同様の補綴インプラント932を含むが、インプラント932の本体944には、複数の内殖用の多孔性表面954が取り付けられている。多孔性表面954はそれぞれ、その内部に骨及び/または組織の内殖を受け入れるように構成される。さらに、図13にリザーバが見られないが、図13には薬物リザーバから通じる薬物送達流路940が示されている。図13のリザーバは、外部表面946のすぐ下に、図12にリザーバ838が示されるように位置付けることができる。流路940は、内殖用パッド954の周りに経路指定される(それによって内殖用パッド954を避ける)。インプラント932のリザーバを(最初に及び/または詰め替えとして)治療薬で充填すると、治療薬は流路940を介して、インプラント932のリザーバから治療部位まで移動することができる。
【0053】
[0081]図14は、本発明による長期の大腿骨膝関節インプラントシステム1030を示している。これまでの図における同様の部分に対応する図14の構造部分は、100の倍数だけ大きくした参照符号を有している。システム1030は、図12のインプラント832と同様の補綴インプラント1032を含む。インプラント1032は、大腿骨1035に取り付けられる。システム1030は、注入ポート1058用の取り付け部分または要素1050(管状要素など)、注入ポート1058、カテーテル1060、及びインプラント1032から離れたリザーバ1062をさらに含む。注入ポートは、薬物をインプラント1032に追加的に再充填するために設けられ、インプラント1032は、治療薬を治療部位に経路指定するための少なくとも1つの流路を含む。インプラント1032に外部リザーバ1062が取り付けられるため、インプラント本体1044は追加の内部リザーバを画定しても画定しなくてもよい。インプラント1032の内部リザーバを、取り付け要素1050、注入ポート1058、カテーテル1060及び外部リザーバ1062を介して(最初に及び/または詰め替えとして)治療薬で充填すると、治療薬は薬物送達流路を介して、インプラント1032のリザーバから治療部位まで移動することができる。インプラント1032が内部リザーバを有していない場合には、治療薬は、カテーテル1060、注入ポート1058及び取り付け要素1050を介する外部リザーバ1062からの薬物送達流路によって治療部位まで移動する。
【0054】
[0082]図15及び図16は、本発明による長期の大腿骨股関節インプラントシステム1130を示している。これまでの図における同様の部分に対応する図15及び図16の構造部分は、100の倍数だけ大きくした参照符号を有している。図15は、長期の大腿骨股関節補綴インプラント1132及び内殖用の多孔性表面1154を含む、長期の大腿骨股関節インプラントシステム1130を示している。図16は、インプラント本体1144または基体1144(図のそれぞれにおいて、本体1144は基体と称されることもある)の(図16で方向付けられた)頂部の第1の多孔性表面1154、及び本体1144の(図16で方向付けられた)底部の第2の多孔性表面1154を示している。多孔性表面1154は、矢印1156によって示されるように、その内部に骨及び/または組織の内殖を受け入れるように構成される。図16は多孔性表面1154と本体1144の間に多少の間隔を示しているが、この間隔は例示のためのものであり、表面1154を本体1144の外部表面1146に取り付けるために用いられることがある接着剤がなければ、多孔性表面1154は本体1144と同一面上とすることが可能であることを理解されたい。多孔性表面1154はそれぞれ、本体1144の外部表面1146に取り付けられた第1の面1164、及び前記第1の面1164に対向する第2の面1166を含む。多孔性表面1154はそれぞれ、第1の面1164から第2の面1166へ延びる貫通孔1168を含む。貫通孔1168は、治療薬1136を第1の面1164から第2の面1166まで導き、それによって治療薬1136を治療部位1142まで導くように構成される。多孔性表面1154内の貫通孔1168はそれぞれ、表面流路1170及び表面下の流路1172に通じている。流路1170及び流路1172は、薬物送達流路であるという点において、本質的に流路40と同様に機能することができる。図16は、リザーバ1138及び接続流路1140を破線で示しているが、それは、そうしたリザーバ1138及び(リザーバ1138を流路1170及び/または流路1172と接続する)接続流路1140がこの断面では見えない、あるいはそうしたリザーバ1138及び接続流路1140を任意選択とする(換言すれば、インプラント1132は、そうした内部リザーバ1138、及びリザーバ1138から表面流路1170または表面下の流路1172に通じる接続流路1140を含まない)ことができるためであることを理解されたい。
【0055】
[0083]さらに図16は、本体1144の外部表面1146が、流路1140及び多孔性表面1154の貫通孔1168と連通及び協働して、治療薬1136をリザーバ1138から治療部位1142に供給する表面流路1170を画定することが可能であることを示している。図16は複数のそうした表面流路1170を示しおり、先に論じたように、そのそれぞれは任意選択で、それぞれの接続流路1140を介してリザーバ1138に接続することができる。インプラント1132が、リザーバ1138及び接続流路1140を有している場合には、リザーバ1138を(最初にまたは詰め替えとして)治療薬で充填すると、治療薬は流路1140及び流路1170を介して、リザーバ1138から治療部位まで移動することができる。インプラント1132が、リザーバ1138及び接続流路1140を有していない場合には、表面流路1170を(最初に及び/または詰め替えとして)治療薬で満たすことが可能であり、治療薬は表面流路1170を介し、貫通孔1168を通って治療部位1142まで移動する。治療薬は、多孔性表面1154の中に成長する骨及び/または組織に対して供給することもできる。
【0056】
[0084]さらに図16は、リザーバ1138から延びる流路1140が、表面下の流路1172に接続可能であることを示している。表面下の流路1172及び多孔性表面1154内の貫通孔1168は、互いに整列及び協働して、治療薬1136をリザーバ1138から治療部位1142に供給する。本体1144の中には、表面下の流路1172から外部表面1146に通じる孔1174(流路40のような本発明の流路と考えることもできる)も設けられる。これらの孔1174は、それぞれの流路1140及び流路1172の一部であると考えることができる。
【0057】
[0085]したがって、図15及び図16は、やはり整形外科インプラント1132及び多孔性表面1154を含む整形外科インプラントシステム1130を示している。整形外科インプラント1132は、身体1134内の選択された位置に移植可能であり、かつ治療薬1136を身体1134に送達するように構成された本体1144を含む。インプラント1132の本体1144は、複数の表面流路1170を画定する外部表面1146を含み、また先に論じたように、治療薬リザーバ1138がなくてもよい。図16におけるリザーバ1138の破線は、先に言及したように、リザーバ1138が任意選択であることを示している。複数の表面流路1170は、インプラント1132が身体1134内に移植された後、治療薬1136を受け入れ、保持し、送達し、治療薬1136で再充填されるように構成される。整形外科インプラント1132は補綴物である。あるいは、インプラント1132は、釘体(図17)、プレート(図18)または移植可能なピンを備えた外部固定装置(図19)として形成することができる。多孔性表面1154は、外部表面1146に取り付けられる。多孔性表面1154は、矢印1156によって示されるように、その内部に骨及び組織の内殖のうちの少なくとも1つ受け入れるように構成される。先に論じたように、多孔性表面1154は、外部表面1146に取り付けられた第1の面1164、及び第1の面1164に対向する第2の面1166を含む。多孔性表面1154は、第1の面1164から第2の面1166へ延びる複数の貫通孔1168を含む。複数の表面流路1170は、複数の貫通孔1168と連通及び協働して、治療薬1136を複数の表面流路1170から、次いで多孔性表面1154の第1の面1164に、次いで多孔性表面1154の第2の面1166に供給する。表面流路1170は、(最初に及び/または詰め替えとして)治療薬で充填することが可能であり、治療薬1136は、表面流路1170を介し、貫通孔1168通って治療部位1142まで移動する。
【0058】
[0086]したがって、本発明は、任意のタイプの多孔性コーティングもしくは多孔性表面を有する長期インプラント、またはセメントで固められたインプラントに適用することが可能である。薬物は、必要に応じて、多孔性コーティングを通して送達する、または(先に開示したように)多孔性コーティングなしで各領域に経路指定することができる(図9、図10、図13、図15及び図16参照)。多孔性コーティングを通して送達するために、流路は、図15及び図16に関連して先に開示したように、インプラント基体(多孔性表面が取り付けられるインプラントの固い材料、図14参照)の表面の上に、または表面より下に作成することができる。表面流路の場合、孔は多孔性表面を貫通して表面流路まで穿孔され、それを通して薬物を送達することが可能な経路を作成することができる。表面下の流路の場合、薬物を送達する経路を作成するためには、孔は基体(インプラントの本体)の表面から表面下の流路まで穿孔されなければならない(図16参照)。この穿孔は、多孔性コーティング/表面が取り付けられる前、または多孔性コーティング/表面が取り付けられた後に行うことができる。この穿孔が多孔性コーティング/表面が取り付けられた後に行われる場合、孔は多孔性コーティング/表面、及び基体/本体の表面を貫通して作成される(図16参照)。
【0059】
[0087]本発明に従って、セメントリストリクタを用いて、セメントが薬物送達用の孔を覆って塞ぐのを防止することもできる。本発明は、全股関節構成要素、全膝関節構成要素、全肩関節構成要素及び全肘関節構成要素など、すべてのタイプの全関節インプラントに適用することができる。
【0060】
[0088]骨の内殖を促進し、吸収を抑えることに関連して、多孔性材料(すなわち、全関節構成要素、固定装置(すなわち脊椎固定装置)もしくは骨増強用構成要素(すなわち脛骨の楔部)に対する多孔性コーティングまたはパッドまたは表面)の中への骨の内殖を促すまたは早めるために、手術中または手術後に骨成長の刺激物質を注入することができる。こうした薬物は、応力遮蔽、骨溶解または骨代謝障害などの原因による骨の吸収を抑えるために、本発明による長期インプラントを用いて手術後数ヶ月から数年注入することも可能である。
【0061】
[0089]腫瘍学に関連して、本発明のインプラントは、インプラントを囲む一部またはすべての組織への薬物の送達を同様に可能にする。本発明のインプラントは、セメントで固めることができる。本発明は、薬物をセメント領域の周りに経路指定する方法を提供し、またセメントが薬物送達用の孔を覆って塞ぐのを防止するための方法を提供する。
【0062】
[0090]図17乃至図19に示される本発明によるインプラントは、非永久的インプラントである。そうしたインプラントは、釘体、プレート及び外部固定装置などの外傷用製品とすることができる。本発明の非永久的インプラントは、これらの装置に必ずしも限定されない。本発明の非永久的インプラントは、前述の短期インプラント及び長期インプラントと基本的に類似した点を有している。したがって、図1における同様の部分に対応する図17乃至図19の構造部分は、100の倍数だけ大きくした参照符号を有している。したがって、前述の短期インプラント及び長期インプラントと同様に、本発明はさらに、薬物を骨及び周りの組織(または任意の特定の位置)に直接送達することを可能にする非永久的インプラントを提供する。本発明による非永久的インプラントにおけるリザーバ及び/または流路は、薬物を治療部位に送達することを可能にし、また再充填することができる。図17には、本発明による釘体が示される。図18には、本発明によるプレートが示される。19には、本発明による外部固定装置が示される。
【0063】
[0091]釘体は一時的な髄内装置である。釘体は通常、外傷性骨折を治療するために用いられる。特に開放骨折の場合、感染症の危険性が高い可能性がある。本発明は、予防策として、または感染症が発生している場合にはそれを治療するために、抗生物質を釘体を囲む骨に送達することを可能にする。
【0064】
[0092]骨の成長に関連して、骨折の場合、骨成長の刺激物質を(1つまたは複数の)骨折の領域に直接送達すると有利になる場合がある。これは特に、癒着不良、骨欠損及び骨切断などの難しいケースにあてはまる。本発明による釘体は、そのように骨成長の刺激物質を(1つまたは複数の)骨折の領域に直接送達することを可能にする。
【0065】
[0093]腫瘍学に関連して、釘体は骨腫瘍に伴う骨折の治療に用いることができる。釘体は、癌が骨を弱めた場合、骨折の防止を助けるために用いることもできる。本発明による釘体は、腫瘍薬物を腫瘍の領域に局所的に送達することができ、それによって、腫瘍成長の緩徐化/停止に関する結果を改善することができる。こうして本発明による釘体によって局所的な送達が可能であることにより、全身性の薬物の必要性/用量を減じ、副作用を小さくすることもできる。
【0066】
[0094]図17は、身体内に移植可能な整形外科用の釘体1232を示している。これまでの図における同様の部分に対応する図17の構造部分は、100の倍数だけ大きくした参照符号を有している。釘体1232は、リザーバ1238、及び薬物リザーバ1238から釘体1232の外部表面1246に通じる薬物送達流路1240を画定する本体1244を含む。したがって本発明は、例えば(股関節の軸部などの)大腿骨股関節インプラントなど、長期インプラント用のものと同様の薬物送達部を備えた整形外科用の釘体1232を提供する。この設計は、薬物を骨のすべての領域または任意の特定の位置に直接送達することを可能にする(図17)。手術後の釘体1232への薬物の注入を可能にするために、ポートなどの装置を用いることができる。これは、治療の間ずっと任意の数の薬物の送達を可能にする。釘体1232内のリザーバ1238及び/または流路1240は、こうした注入による薬物を数時間から数週間の期間にわたって送達することを可能にする。したがって、リザーバ1238を(最初に及び/または詰め替えとして)治療薬で充填すると、治療薬は、流路1240を介して、リザーバ1238から治療部位まで移動することができる。薬物は、インプラントを囲むすべての骨組織、または特定の位置のみに送達することができる。大腿骨、脛骨及び上腕骨用の釘体の順行性及び逆行性のものを含めたすべてのタイプの釘体が、この技術を利用することができる。
【0067】
[0095]整形外科用のプレートは、釘体と同じ適応症の多くを治療するが、プレートは骨の外側に適用される。プレートは、薬物の局所的な送達について同じ可能性をもたらす。釘体は髄内のものであるため、本発明に従って薬物を主に骨組織に送達するのに用いることができる。プレートは骨の外側に適用されるため、本発明に従って薬物を骨と軟組織の両方に送達するのに用いることができる。局所的な薬物送達によって利益が得られる可能性のある軟組織治療の例は、軟組織の内殖または治癒の促進、抗生物質の送達による感染症の予防、及び腫瘍薬物の局所的な送達による近くの軟組織腫瘍の治療を含む。
【0068】
[0096]図18は、身体内に移植可能な整形外科用のプレート1332を示している。これまでの図における同様の部分に対応する図18の構造部分は、100の倍数だけ大きくした参照符号を有している。プレート1332は、リザーバ1338、及び薬物リザーバ1338からプレート1332の外部表面1346に通じる薬物送達流路1340を画定する本体1344を含む。リザーバ1338を(最初に及び/または詰め替えとして)治療薬で充填すると、治療薬は流路1340を介して、リザーバ1338から治療部位まで移動することができる。
【0069】
[0097]したがって、プレートの薬物送達部は、本発明による整形外科用の釘体のものと同様である。プレートは、薬物を骨及び周りの組織(または任意の特定の位置)に直接送達することを可能にする。手術後のプレートへの薬物の注入を可能にするために、ポートなどの装置を用いることができる。これは、治療の間ずっと任意の数の薬物の送達を可能にする。プレートのインプラント1332内のリザーバ1338及び/または流路1340は、こうした注入による薬物を数時間から数週間の期間にわたって送達することを可能にする。薬物は、プレートのインプラント1332を囲むすべての骨及び軟組織、または特定の位置のみに送達することができる。
【0070】
[0098]外部固定装置は、骨折部を安定化するために用いられる一時的なインプラントである。こうした外部固定装置は、数日から数ヶ月にわたって使用することができる。外部固定装置は通常、骨に固定され、皮膚を貫通して剛性のプレート、リング、ロッドまたは同様の安定化装置まで延びる複数のピンを含む。ピンが皮膚を貫通して延びることを考えると、こうした装置はさらに高い感染症の危険性を伴う。細菌が、ピンに沿って軟組織及び骨まで直接移動する恐れがある。本発明は、外部固定装置に適用することができる。したがって、ピンの周りの骨及び軟組織に対して、抗生物質または他の抗感染薬を供給することができる(図19)。抗生物質を骨及び軟組織に供給/注入するために、外部リザーバを用いることができる。
【0071】
[0099]図19は、例えば外傷用装置である本発明による外部固定装置1432を示している。これまでの図における同様の部分に対応する図19の構造部分は、100の倍数だけ大きくした参照符号を有している。外部固定装置1432は、移植可能なピン1476、ピン1476と結合された鞘部1478、及び鞘部1478と結合されたリザーバ1480を含み、ピン1476は複数の流路1440を画定する。より具体的には、ピン1476は、内側の空間領域1484、及び複数の薬物送達流路1440または孔1440を画定する壁1482を含む。ピン1476の外周部には鞘部1478が接続され、鞘部1478はピン1476と同軸とすることができる。鞘部1478は、薬物が外部固定装置1432の皮膚1434の外側にある部分から流出するのを防止する働きをする。(図19の頁で方向付けられた)皮膚1434の壁の右側には、身体の外部となる空間がある。さらに、鞘部1478に薬物リザーバ1480が取り付けられる。薬物リザーバ1480は、外部固定装置1432の外部の固定用ロッド及び/またはプレート(図示せず)への取り付けを可能にするように成形される。治療薬は、薬物リザーバ1480からピン1476の内側の空間領域1484まで移動し、ピンの壁1482内の流路/孔1440を通り、治療部位に至る。したがって、リザーバ1480を(最初に及び/または詰め替えとして)治療薬で充填すると、治療薬は、内側の空間領域1484及び(1つまたは複数の)流路1440を介して、リザーバ1480から治療部位1442まで移動することができる。
【0072】
[00100]感染症を治療するために用いられる一時的な骨セメントインプラントの欠点は、先に論じられている。さらに他の欠点は、血流の不足により、適切な量の治療薬をそうしたインプラントを通して骨に送達するのが難しいことである。図20乃至図27は、この欠点に対処する整形外科用の薬物送達インプラントを示している。より具体的には、図20乃至図21は、取り外し及び交換が可能なカートリッジによる治療薬の送達を示している。さらに図22乃至図26は、部分的または完全に多孔性であるインプラントを通した浸出による治療薬の送達を示している。さらに図27は、変更されたリザーバの設計を示している。図20乃至図27に示される設計は、短期、長期または非永久的整形外科インプラントに用いることができる。これまでの図における同様の部分に対応する図20乃至図27の構造部分は、100の倍数だけ大きくした参照符号を有している。
【0073】
[00101]図20及び図21は、整形外科インプラント1532及びカートリッジ1586を含む、整形外科インプラントシステム1530を示している。より具体的には、図20は、インプラント1532に挿入されたカートリッジ1586を示しているが、図21は、カートリッジ1586が取り外されたインプラント1532を示している。インプラント1532は、例えば短期の大腿骨股関節補綴インプラント1532として形成される。インプラント1532は、身体1534内に移植される。インプラント1532は、その本体1544によって画定される。本体1544は、リザーバ1538、及びリザーバ1538から本体1544の外部表面1546へ延びる複数の流路1540を画定する。カートリッジ1586は、リザーバ1538に挿入されて受け入れられ、リザーバ1538は、カートリッジ1586用のハウジングとして働く。したがって、リザーバ1538はカートリッジ1586用のハウジングとして、カートリッジ1586を噛み合った形で収容し、カートリッジ1586に接続するように成形することができる。リザーバ1538は、カートリッジ1586を受け入れるように全体的にカップ形とし、したがって外部表面1546に対して開放された状態にすることができる(したがってリザーバ1538は、本質的に外部表面1546内の止まり穴とすることができる)。カートリッジ1586は少なくとも1つの治療薬1536を含み、図20では破線で示されている。カートリッジ1586は、治療薬1536がリザーバ1538から離れ、少なくとも1つの流路1540の中に移動して本体1544の外部表面1546に至るように、(カートリッジ1586内の円として示される)治療薬1536を、リザーバ1538及び/または少なくとも1つの流路1540の中に放出するように構成される。インプラント1532が身体内に移植された後、カートリッジ1586はリザーバ1538から取り外すことができ、また他のカートリッジ1586と交換することができる。第1のカートリッジ1586は、治療薬がなくなったとき(または他の方法において、第1のカートリッジ1586から所望の量の治療薬が放出されたとき)に交換される。空の第1のカートリッジ1586に代わる第2のカートリッジ1586は、リザーバ1538に挿入されて第1のカートリッジ1586に取って代わるときには、治療薬で満たされている(またはその内部に所望の量の治療薬を有している)。したがって、第1のカートリッジ1586を第2のカートリッジ1586と交換することによって、システム1530内のリザーバ1538の再充填が行われる。
【0074】
[00102]したがって、システム1530は、インプラント本体1544、及び交換可能部分、すなわちカートリッジ1586を有することができる(図20乃至図21)。交換可能なカートリッジ1586は、言及したように治療薬(therapeutic)を含む。移植後、外科医はカートリッジ1586をどの治療薬で満たすかを決定することができる。時間が経つにつれて、カートリッジ1586を、以前と同じ治療薬または異なる治療薬で満たされた新しいカートリッジ1586と交換することができる。理想的には、カートリッジの交換は軽症の外来処置として行われる。
【0075】
[00103]交換可能なカートリッジは、インプラントに対して任意選択の形で形成することができる。第1の選択肢として、図20に示されるように、カートリッジはインプラントに対して別個の装置とみなすことができるが、インプラントに直接取り付けることができる。第2の選択肢として、カートリッジは、インプラント本体から取り外すことが可能なインプラントの一部とみなすことができる。第3の選択肢として、カートリッジは、患者の体内に第1のインプラント(すなわち大腿骨股関節インプラント)から離れて配置されるが、カテーテルなどを介して第1のインプラントに接続される第2の交換可能なインプラントとすることができる。第4の選択肢として、カートリッジは、患者の体の外部にある装置とすることができ、一方、インプラント(すなわち大腿骨股関節インプラント)は患者の体内に移植される。
【0076】
[00104]図22乃至図26は、それぞれのインプラントを通した浸出による治療薬の送達を容易にするために、部分的または完全に多孔性であるインプラントを示している。自動注油式である粉末冶金軸受とほとんど同じ方法で、治療薬を部分的または完全に多孔性であるインプラントから患者の体に送達することができる(図22乃至図26)。治療薬はインプラントの多孔性部分から体に浸出する。そうしたインプラントは、本明細書においてこれまでに論じたような薬物送達流路、リザーバ、及び治療薬を再充填する様々な方法を含むこともできる。図22及び図23はそれぞれ、そこからの治療薬の浸出を容易にするためにインプラント1632の本体1644全体が多孔性である、大腿骨股関節補綴インプラント1632を示している。孔には1690としてラベルが付けられている。しかしながら、図22のインプラント1632は、それに加えて薬物リザーバまたは薬物送達流路を含まない。したがって、治療薬はインプラント1632の孔1690を介して治療部位に送達されるが、治療部位は孔1690の内側にあっても外側にあってもよい。それとは対照的に、図23は、インプラント1632の本体1644に埋め込まれる、またはそれによって画定される薬物リザーバ1638及び薬物送達流路1640を示している。したがって、リザーバ1638を(最初に及び/または詰め替えとして)治療薬で充填すると、治療薬は、流路1640を介してリザーバ1638から治療部位まで移動することができる。図24乃至図26はそれぞれ、大腿骨股関節補綴インプラント1732を示しており、インプラント1732では、インプラント1732の本体1744の一部が、そこからの治療薬の浸出を容易にするために多孔性になっている。本体1744の多孔性部分は、1790としてラベルが付けられている。しかしながら、図24のインプラント1732は、それに加えて薬物リザーバまたは薬物送達流路を含まない。したがって、治療薬は多孔性部分1790を介して治療部位に送達することができ、治療部位は孔部1790の内側にあっても外側にあってもよい。それとは対照的に、図25及び図26のインプラント1732は、それに加えて薬物リザーバ1738及び薬物送達流路1740を含む。図25は、インプラント1732の本体1744の多孔性部分1790に埋め込まれる、またはそれによって画定されるリザーバ1738、及び少なくとも部分的にインプラント1732の本体1744の多孔性部分1790に埋め込まれる、またはそれによって画定される薬物送達流路1740を示している。したがって、リザーバ1738を(最初に及び/または詰め替えとして)治療薬で充填すると、治療薬は流路1740を介して、リザーバ1738から治療部位(多孔性部分1790の内側にあっても外側にあってもよい)まで移動することができる。図26は、リザーバ1738が多孔性部分1790に配置されていないことを示し、また薬物送達流路1740が少なくとも部分的に多孔性部分1790に通じていることを示している。したがって、リザーバ1738を(最初に及び/または詰め替えとして)治療薬で充填すると、治療薬は流路1740を介して、リザーバ1738から治療部位(多孔性部分1790の内側にあっても外側にあってもよい)まで移動することができる。
【0077】
[00105]図27は、大腿骨股関節補綴インプラント1832、及びスポンジ様またはスポンジ状の材料もしくは要素1892を備えた整形外科インプラントシステム1830を示している。先に論じたインプラントと同様に、インプラント1832の本体1844は、薬物リザーバ1838、及びリザーバ1838から本体1844の外部表面1846に通じる薬物送達流路1840を画定する。リザーバ1838は、スポンジ状要素1892を包含または収容する。この材料の目的は、リザーバ1838から薬物送達流路1840内への治療薬の分散を制御すること、骨及び組織が、リザーバ1838の中に成長するまたは広がるのを妨げること、及び/またはインプラント1832を堅くすることである。リザーバ1838を(最初に及び/または詰め替えとして)治療薬で充填し、スポンジ様材料1892をリザーバ1838内に位置決めすると、治療薬は流路1840を介して、リザーバ1838から(したがって、スポンジ状要素1892からも)治療部位まで移動することができる。所望される結果に応じて、スポンジ様要素1892の材料にはいくつかの可能性があり得る。例えば、スポンジ1892が長時間にわたってリザーバ1838の中に留まる場合には、例えばポリビニルアルコール(PVA)スポンジまたはアイバロン(Ivalon)スポンジを用いることができる。一方、スポンジ1892がより短い時間で足りる場合には、例えばコラーゲンベースの材料(すなわち、例えばJohnson and Johnson製のインスタット(Instat))、またはゼラチン状のスポンジ(すなわち、例えばPfizer製のゼルフォーム(Gelfoam))を用いることができる。これらのスポンジ1892の例は、例示のために示され、限定のために示されるものではない。
【0078】
[00106]前述の本発明による装置はいずれも、単一または複数の取り付け部分(カテーテルまたはポートに対する接続部など)、ならびに単一または複数の組のリザーバ及び/または流路を含むことができる。同じ治療薬をすべてのリザーバ/流路に用いてもよく、あるいは複数の治療薬を同時に用いてもよい。別個のリザーバ/流路は、所望される場合、治療薬のそれぞれをインプラント上の特定の位置に送達することを可能にする。
【0079】
[00107]前述の本発明による内部(移植された)装置はいずれも、短期及び/または長期の治療薬の送達を可能にする送達流路/経路と共に、(インプラントの中に含まれる)内部リザーバを含むことができる。内部リザーバが存在しない場合、インプラントは、治療薬の分散を可能にする送達流路/経路を含むことができる。
【0080】
[00108]本発明に従い、1つまたは複数の以下の方法によって、治療薬を本発明のインプラントの送達流路/経路、及び/またはインプラント用リザーバに導入することができる。
a.送達容器の間の直接的なインターフェース(皮下シリンジなど)。
【0081】
b.直接的な取り付け具である薬物ポンプ、外部リザーバ(インプラントに対しては外部であるが、患者に対しては内側に配置しても外側に配置してもよい)、及び/またはインプラントへのポート;すなわち、薬物ポンプ、外部リザーバ及び/またはポートは、インプラントに直接取り付けることができる。必ずではないが、薬物ポンプ、外部リザーバ及び/またはポートとインプラントとの間にカテーテルを配置することができる。その場合、治療薬は、例えば皮下シリンジによってこれらの媒介装置のうちの1つに導入される。次いで治療薬は、インプラントの送達流路/経路、及び/またはインプラントのリザーバへ運ばれる。
【0082】
c.薬物ポンプ、リザーバ及び/またはポートは、体内のインプラントから離れた他の位置に移植することができる、かつ/あるいは例えば送達用のチューブまたはカテーテルによって、インプラントに接続することができる。図28は、整形外科インプラントシステムのためのこの選択肢を概略的に示している。システム1930によれば、インプラント1932から離れた患者の体1934の皮膚の下に、リザーバ1994、ポンプ1995及びポート1996が移植され、それらは、移植されたカテーテル1998を介してインプラント1932のリザーバ1938に接続された状態で示されている。それにより、リザーバ1994、ポンプ1995及びポート1996は、治療薬(治療薬の移動方向も示す、矢印1936によって示される)を、インプラント1932を介してリザーバ1994から治療部位1942に送達するように構成される。換言すれば、ポンプ1995及びポート1996はリザーバ1938と協働して、治療薬1936をカテーテル1998を介して、インプラント1932の本体によって画定されるリザーバ1938に送達することができる。インプラント1932の本体は、リザーバ1938からインプラント1932の外部表面へ延びる流路(表面下の流路または表面流路)を画定することができる。インプラント1932は、補綴物、釘体、プレートまたは外部固定装置である移植されたピンなどの整形外科インプラントである。
【0083】
d.薬物ポンプ、リザーバ及び/またはポートは、体の外部に配置し、例えば送達用のチューブまたはカテーテルによって、インプラントに接続することができる。このサブパラグラフの例とこのパラグラフのサブパラグラフcの例との間の主な違いは、このパラグラフのサブパラグラフcの例では、カテーテルが体の内側のある位置から体の内側の他の位置へ延びるが、このサブパラグラフの例では、カテーテルが体の外側から体の内側のインプラントへ延びることである。図29は、整形外科インプラントシステムのこの選択肢を概略的に示している。システム2030によれば、リザーバ2094、ポンプ2095及びポート2096は、患者の体2034の皮膚の下に移植されず、(皮膚を通過する、皮膚に入る、または皮膚を貫通することによって用意される)経皮カテーテル2098によってインプラント2032のリザーバ2038に接続された状態で示されている。それにより、リザーバ2094、ポンプ2095及びポート2096は、治療薬(治療薬の移動方向も示す、矢印2036によって示される)を、インプラント2032を介してリザーバ2094から治療部位2042に送達するように構成される。換言すれば、ポンプ2095及びポート2096はリザーバ2094と協働して、治療薬2036をカテーテル2098を介して、インプラント2032の本体によって画定されるリザーバ2038に送達することができる。インプラント2032の本体は、リザーバ2038からインプラント2032の外部表面へ延びる流路(表面下の流路または表面流路)を画定することができる。インプラント2032は、補綴物、釘体、プレートまたは外部固定装置である移植されたピンなどの整形外科インプラントである。
【0084】
e.カテーテルは、体の外側から体の内側のインプラントへ延びるが、カテーテルの外側端部に取り付けられるポンプ、リザーバまたはポートを含まない(外側端部とは、インプラントが取り付けられる端部とは反対側の端部のことである)。
【0085】
[00109]本発明の整形外科インプラントは、多孔性コーティングを含めた現在利用可能な任意の設計と共に適用することが可能であり、またセメントで固められたインプラントと共に用いることもできる。
【0086】
[00110]本発明はさらに、システム30などの整形外科インプラントシステムを使用する方法を提供する。その方法は、リザーバ38及び複数の流路40を含む整形外科インプラント32を、身体34内の選択された位置に移植するステップと、少なくとも1つの治療薬36をリザーバ38内に受け入れるステップと、少なくとも1つの治療薬36を流路40を介して、リザーバ38から身体34に関する治療部位42まで運ぶステップと、少なくとも1つの治療薬42を身体34に送達するステップとを含む。先に論じたように、本発明によるインプラントは、補綴物、釘体、プレート、または移植されるピンを備えた外部固定装置である。インプラント32は、選択された位置に移植される本体44を含み、本体44はリザーバ38及び流路40を画定し、かつ外部表面46を含み、流路40はリザーバ38を外部表面46と流体連通させ、それによって、治療薬36をリザーバ38から外部表面46まで運ぶ。方法は、外部表面1146に多孔性表面1154を取り付けるステップを含むことが可能であり、多孔性表面1154は、その内部に骨及び/または組織の内殖1156を受け入れ、多孔性表面1154は、外部表面1146に取り付けられた第1の面1164、及び前記第1の面1164に対向する第2の面1166を含み、多孔性表面1154は、第1の面1164から第2の面1166へ延びる貫通孔1168を含み、貫通孔1168は、少なくとも1つの治療薬1136を第1の面1164から第2の面1166まで導き、それによって、少なくとも1つの治療薬1136を治療部位1142まで導く。外部表面1146は表面流路1170を画定することが可能であり、表面流路1170は、少なくとも1つの流路1140及び少なくとも1つの貫通孔1168と連通及び協働し、それによって、少なくとも1つの治療薬1136をリザーバ1138から治療部位1142に供給する。少なくとも1つの流路40は表面下の流路1172とすることが可能であり、表面下の流路1172及び貫通孔1168は互いに整列及び協働し、それによって、少なくとも1つの治療薬1136をリザーバ1138から治療部位1142に供給する。方法は、インプラント1932から離れた身体1934の中に、第2のリザーバ1994、ポンプ1995及び/またはポート1996を移植するステップと、第2のリザーバ1994、ポンプ1995及び/またはポート1996を、身体1934内に移植された少なくとも1つのカテーテル1998によってインプラント1932のリザーバ1938に接続するステップと、少なくとも1つの治療薬1936を、インプラント1932、カテーテル1998、ならびに第2のリザーバ1994、ポンプ1995及び/またはポート1996を介して治療部位1942に送達するステップとを含むことができる。方法は、身体2034内に移植されない第2のリザーバ2094、ポンプ2095及び/またはポート2096を提供するステップと、第2のリザーバ2094、ポンプ2095及び/またはポート2096を、少なくとも1つの経皮カテーテル2098によってインプラント2032のリザーバ2038に接続するステップと、少なくとも1つの治療薬2036を、インプラント2032、カテーテル2098、ならびに第2のリザーバ2094、ポンプ2095及び/またはポート2096を介して治療部位2042に送達するステップとを含むことができる。方法は、リザーバ1538にカートリッジ1586を挿入するステップであって、カートリッジ1586が、少なくとも1つの治療薬1536を含み、かつ少なくとも1つの治療薬1536が少なくとも1つの流路1540内をリザーバ1538から離れて移動するように、少なくとも1つの治療薬1536をリザーバ1538及び/または少なくとも1つの流路1540の中に放出するステップと、インプラント1532が身体1534内に移植された後、カートリッジ1586をリザーバ1538から取り外すステップと、インプラント1532が身体1534内に移植された後、カートリッジ1586を他のカートリッジ1586と交換するステップとを含むことができる。方法は、スポンジ状要素1892を提供するステップであって、リザーバ1838がスポンジ状要素1892を包含するステップを含む。インプラント1632、1732の本体1644、1744は、部分的にまたは完全に多孔性とすることができる。外部固定装置1432は、移植可能なピン1476、ピン1476と結合された鞘部1478、及び鞘部1478と結合されたリザーバ1480を含むことが可能であり、ピン1476は複数の流路1440を画定する。インプラントが、ただ1つのリザーバを含んでもよい。方法は、インプラント32が身体34内に移植された後、リザーバ38を少なくとも1つの治療薬36で再充填するステップを含むことができる。方法は、複数の治療薬36をリザーバ38及びインプラント32の流路40を介して身体34に送達するステップを含むことができる。
【0087】
[00111]本発明を少なくとも1つの実施形態について記述してきたが、本発明は、本開示の趣旨及び範囲の中でさらに変更することが可能である。したがって本願は、その一般的な原理を用いた本発明の任意の変形、使用または適応を包含するものである。さらに本願は、本発明が属する技術分野における周知のまたは通例の実施の範囲に含まれ、かつ添付の特許請求の範囲の範囲に含まれる本開示からのそうした逸脱を包含するものである。
【技術分野】
【0001】
[0001]本願は、参照によって本明細書に援用される、2008年8月13日出願の「DRUG DELIVERY IMPLANTS」という名称の米国仮特許出願第61/088,379号に基づく非仮特許出願である。
【0002】
[0002]本発明はインプラントに関し、より詳細には、整形外科インプラントに関する。
【背景技術】
【0003】
[0003]整形外科インプラントは、短期インプラント、長期インプラント及び非永久的インプラントを含む。短期インプラントは、感染症の治療のためのインプラントを含む。長期インプラントは、全股関節、膝、肩及び肘の関節のためのすべてのインプラントを含む。非永久的インプラントは、釘体、プレート及び外部固定装置などの外傷用製品を含む。
【0004】
[0004]短期インプラントについては、整形外科インプラントを囲む組織、特に骨が感染した状態になると、通常はそのインプラントを取り外し、感染体を除かなければならず、次いで新しいインプラント(再置換インプラント)が移植される。インプラントの除去と再置換の移植の間の期間は、数週(約4週)から数ヶ月(約3ヶ月)になる可能性がある。この期間中、外科医は現在のところ、手術中に抗生物質入り骨セメントを用いて一時的なインプラントを作製するか(型を用いて、もしくは型を用いずに作製される)、またはあらかじめ成形された抗生物質入り骨セメントの一時的なインプラント(例えばExactechのInterSpace(商標) Hip及びInterSpace(商標) Knee)を使用するという2つの基本的な選択肢を有している。いずれの場合も、骨の感染症の部位に抗生物質を直接送達するために、抗生物質入り骨セメントが用いられる。患者は通常、IV抗生物質も受ける。そうしたインプラントの欠点は、それらが臨床的に適切な用量の抗生物質を送達する持続期間が限られること、4週乃至12週の治療期間中に抗生物質のタイプまたは用量を変更することができないこと、ならびに患者の動きやすさ、運動の範囲、及びインプラントが許容する重量負荷が制限されることである。
【0005】
[0005]さらに、抗生物質入りセメントは通常、1週間未満の持続期間にわたって有用な局所的抗生物質濃度をもたらす。治療期間は、6週間乃至8週間であることがしばしばである。しかし、1週間を超えると、抗生物質入りセメントのインプラントは、有用な量の抗生物質を供給しなくなる。
【0006】
[0006]さらに、感染症は多数の細菌、ウイルス、酵母菌などによって引き起こされる可能性がある。様々な抗生物質の有効性は、特に何が感染症を引き起こしたかに大きく依存する。したがって、感染症を最も効果的に治療するためには、その感染症の原因が分からなければならない。細胞培養の結果はこの情報を与え、どの抗生物質及び用量が感染症を最も効果的に治療するかを示す。培養のための試料は、通常は手術中に集められる。培養の結果は、手術後数日まで分からない。現在の一時的なインプラントに使用される抗生物質入りセメントのタイプは、手術時にまたは手術前に選択しなければならないため、培養から得られる情報は、感染部位に使用される抗生物質に対して利用することができない。
【0007】
[0007]さらに、関節手術から回復する患者にとって重要なことの1つは、その関節に関する全域の運動によって、その関節の動きを促すことである。これは、瘢痕組織の形成及び関節の周りの組織の硬化を防ぐ助けとなる。一時的なインプラントに関する現在の選択肢では、最善でも運動及び重量負荷の範囲が制限される。
【0008】
[0008]長期インプラントについては、骨の内殖に関連して、インプラントの骨に対する安定性または固定をもたらすために、多孔性材料内への骨の内殖が必要とされることがある。この例は、全関節構成要素、固定装置(すなわち脊椎固定装置)及び骨増強用構成要素(すなわち脛骨の楔部(tibial wedge))に対する多孔性コーティングを含む。
【0009】
[0009]吸収に関しては、いくつかの理由のため、全関節インプラントを囲む領域で吸収が起こる可能性があり、吸収によってインプラントが緩み、その後再置換手術になることがある。吸収のいくつかの理由は、下記のことを含む。
・応力遮断−強く健康なままでいるために、骨組織は負荷をかけることを必要とする。インプラントが周りの骨に負荷を適切に伝えない場合、骨の領域が吸収する可能性がある。
・摩耗粒子による溶解−ある全関節構成要素の他のものに対する負荷によって生成される摩耗粒子に対する身体の反応によって、しばしば骨溶解及び吸収が引き起こされる。
・骨粗鬆症または他の骨障害−骨代謝障害が骨の吸収を引き起こすこともある。
【0010】
[0010]腫瘍学に関しては、腫瘍薬物を腫瘍の領域に局所的に送達すると、腫瘍成長の緩徐化/停止に関する結果を改善することができる。局所的な送達が可能であることにより、全身性の薬物の必要性/用量を減じ、副作用を小さくすることもできる。
【0011】
[0011]非永久的インプラント(すなわち外傷インプラント)については、そうした非永久的インプラントは、釘体、プレート及び外部固定装置を含む。釘体は一時的な髄内装置である。釘体は通常、外傷性骨折を治療するために用いられる。特に開放骨折の場合、感染症の危険性が高い可能性がある。腫瘍学に関連して、釘体は骨腫瘍に伴う骨折を治療するために用いることができる。釘体は、癌が骨を弱めた場合、骨折の防止を助けるために用いることもできる。プレートは、釘体と同じ適応症の多くを治療するが、プレートは骨の外側に適用される。外部固定装置は、骨折部を安定化するために用いられる一時的なインプラントである。これらは、数日から数ヶ月にわたって使用することができる。外部固定装置は通常、骨に固定され、皮膚を貫通して剛性のプレート、リング、ロッドまたは同様の安定化装置まで延びる複数のピンを含む。こうした装置は皮膚を貫通して延びるため、さらに高い感染症の危険性を伴う。細菌がピンに沿って、軟組織及び骨まで直接移動する恐れがある。
【0012】
[0012]当技術分野で求められているものは、リザーバ、及びリザーバから通じる複数の流路を含み、少なくとも1つの治療薬を局所的に骨または周りの軟組織に送達する整形外科インプラントである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
[0013]本発明は、リザーバ、及びリザーバから通じる複数の流路を含み、少なくとも1つの治療薬を局所的に骨または周りの軟組織に送達する整形外科インプラントを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
[0014]本発明は、一形態において、身体内の選択された位置に移植可能であり、かつ少なくとも1つの治療薬を身体に送達するように構成された整形外科インプラントを含む、整形外科インプラントシステムを対象にしている。インプラントは、リザーバ及び複数の流路を含む。リザーバは、少なくとも1つの治療薬を受け入れるように構成される。複数の流路は、少なくとも1つの治療薬をリザーバから身体に関する治療部位まで運ぶように構成される。
【0015】
[0015]本発明は、他の形態において、整形外科インプラントシステムを使用する方法を対象にしており、その方法は、リザーバ及び複数の流路を含む整形外科インプラントを、身体内の選択された位置に移植するステップと、リザーバ内に少なくとも1つの治療薬を受け入れるステップと、少なくとも1つの治療薬を、複数の流路を介してリザーバから身体に関する治療部位まで運ぶステップと、少なくとも1つの治療薬を身体に送達するステップとを含む。
【0016】
[0016]本発明は、さらに他の形態において、整形外科インプラント及び多孔性表面を含む整形外科インプラントシステムを対象にしている。整形外科インプラントは、身体内の選択された位置に移植可能であり、かつ治療薬を身体に送達するように構成された本体を含む。本体は、複数の表面流路を画定し、かつ治療薬リザーバを持たない外部表面を含む。複数の表面流路は、インプラントが身体内に移植された後、治療薬を受け入れ、保持し、送達し、治療薬で再充填されるように構成される。多孔性表面は外部表面に取り付けられる。多孔性表面は、その内部に骨及び組織の内殖のうちの少なくとも1つを受け入れるように構成され、外部表面に取り付けられた第1の面、及び第1の面に対向する第2の面を含む。多孔性表面は、第1の面から第2の面へ延びる複数の貫通孔を含む。複数の表面流路は、複数の貫通孔と連通及び協働して、治療薬を複数の表面流路から多孔性表面の第1の面及び多孔性表面の第2の面に供給する。
【0017】
[0017]本発明の利点は、薬物を骨に直接送達することを可能にする整形外科インプラントを提供することである。
【0018】
[0018]本発明の他の利点は、抗生物質を骨及び周りの組織に直接送達することを可能にする、一時的なインプラントまたは短期インプラントを提供することである。
【0019】
[0019]本発明のさらに他の利点は、手術後に抗生物質をインプラントに注入することを可能にし、それによって、治療の間ずっと複数の抗生物質の送達を可能にすることである。
【0020】
[0020]本発明のさらに他の利点は、本発明によるインプラントが、必要とされる任意の期間にわたって連続的に、正確な用量の抗生物質の送達を可能にすることである。
【0021】
[0021]本発明のさらに他の利点は、インプラントが身体内に移植されたままである限り、治療薬を局所的に骨または周りの軟組織に送達することができる、整形外科インプラントを提供することである。
【0022】
[0022]本発明のさらに他の利点は、薬物を骨及び周りの組織(または任意の特定の位置)に直接送達することを可能にする、長期インプラントを提供することである。
【0023】
[0023]本発明のさらに他の利点は、骨の内殖を促進し、吸収を抑えることに関連して、多孔性材料(すなわち、全関節構成要素;固定装置、すなわち脊椎固定装置;骨増強用構成要素、すなわち脛骨の楔部に対する多孔性コーティング)の中への骨の内殖を促進するまたは早めるために、手術中または手術後に骨成長の刺激物質を注入できるようにすることであり、こうした薬物は、応力遮蔽、骨溶解または骨代謝障害などの原因による骨の吸収を抑えるために、本発明によるインプラントを用いて手術後数ヶ月から数年注入することも可能である。
【0024】
[0024]本発明のさらに他の利点は、腫瘍学に関連して、本発明が、インプラントを囲む一部またはすべての組織への薬物の送達を同様に可能にするインプラントを提供することである。
【0025】
[0025]本発明のさらに他の利点は、予防策として、または感染症が発生している場合にはそれを治療するために、抗生物質を本発明の釘体を囲む骨に送達することを可能にすることである。
【0026】
[0026]本発明のさらに他の利点は、骨成長の刺激物質を(1つまたは複数の)骨折の領域に直接送達することを可能にする、本発明による釘体などの非永久的インプラントを提供することであり、そうした骨成長の刺激物質の送達は、癒着不能、骨欠損及び骨切断などの難しいケースで有利になることがある。
【0027】
[0027]本発明のさらに他の利点は、腫瘍薬物を腫瘍の領域に局所的に送達することができ、それによって腫瘍成長の緩徐化/停止に関する結果を改善することができる、本発明による釘体などの非永久的インプラントを提供することであり、本発明によって局所的な送達が可能になることにより、全身性の薬物の必要性/用量を減じ、副作用を小さくすることもできる。
【0028】
[0028]本発明のさらに他の利点は、抗生物質または他の抗感染薬をピンの周りの骨及び軟組織に供給することを可能にする外部固定装置を提供することである。
【0029】
[0029]本発明の前述の及び他の特徴及び利点、ならびにそれらを達成する方法は、添付図面と共に取り上げられる本発明の実施形態に関する以下の記述を参照することによって、より適切に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】[0030]本発明による短期の大腿骨股関節インプラントの断面図の概略図である。
【図2】[0031]本発明による短期の大腿骨股関節インプラントシステムの断面図の概略図である。
【図3】[0032]本発明による短期の寛骨臼カップインプラントの断面図の概略図である。
【図4】[0033]本発明による短期の大腿骨膝関節インプラントの上面図の概略図である。
【図5】[0034]図4の線5−5に沿って得られる、短期の大腿骨膝関節インプラントの断面図の概略図である。
【図6】[0035]本発明による短期の大腿骨膝関節インプラントの上面図の概略図である。
【図7】[0036]短期の大腿骨膝関節インプラントの正面図の概略図である。
【図8】[0037]短期の脛骨膝関節インプラントの断面図の概略図である。
【図9】[0038]本発明による長期の大腿骨股関節インプラントシステムの側面図の概略図である。
【図10】[0039]図9の長期の大腿骨股関節インプラントの断面図の概略図である。
【図11】[0040]本発明による長期の大腿骨膝関節インプラントの上面図の概略図である。
【図12】[0041]図11の線12−12に沿って得られる、長期の大腿骨膝関節インプラントの断面図の概略図である。
【図13】[0042]本発明による長期の大腿骨膝関節インプラントシステムの上面図の概略図である。
【図14】[0043]大腿骨に取り付けられる、本発明による長期の大腿骨膝関節インプラントシステムの側面図の概略図である。
【図15】[0044]本発明による長期の大腿骨股関節インプラントシステムの側面図の概略図である。
【図16】[0045]線16−16に沿って得られる、図15の長期の大腿骨股関節インプラントシステムの断面図の概略図である。
【図17】[0046]本発明による整形外科用釘体の断面図の概略図である。
【図18】[0047]本発明による整形外科用プレートの断面図の概略図である。
【図19】[0048]本発明による外部固定装置の断面図の概略図である。
【図20】[0049]治療薬カートリッジを含む、整形外科インプラントシステムの断面図の概略図である。
【図21】[0050]治療薬カートリッジが挿入されていない、図20の整形外科インプラントの断面図の概略図である。
【図22】[0051]完全に多孔性である整形外科インプラントの側面図の概略図である。
【図23】[0052]完全に多孔性であり、リザーバ及び薬物送達流路を含む、本発明による整形外科インプラントの側面図の概略図である。
【図24】[0053]部分的に多孔性である整形外科インプラントの断面図の概略図である。
【図25】[0054]部分的に多孔性であり、リザーバ及び薬物送達流路を含む、本発明による整形外科インプラントの断面図の概略図である。
【図26】[0055]部分的に多孔性であり、リザーバ及び薬物送達流路を含む、本発明による整形外科インプラントの断面図の概略図である。
【図27】[0056]スポンジ様材料を含む、本発明による整形外科インプラントシステムの断面図の概略図である。
【図28】[0057]本発明による整形外科インプラントシステムの概略図である。
【図29】[0058]本発明による整形外科インプラントシステムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
[0059]複数の図面すべてを通じて、対応する参照符号は対応する部分を示す。本明細書で述べられる実例は本発明の実施形態を示し、そうした実例は、いかなる形でも本発明の範囲を限定するものと解釈されるものではない。
【0032】
[0060]次に図面を、より詳細には図1を参照すると、身体34内の選択された位置に移植可能であり、かつ少なくとも1つの治療薬36を身体34に送達するように構成された整形外科インプラント32の全体を含む、本発明による整形外科インプラントシステム30が示されている。インプラント32は、少なくとも1つのリザーバ38及び複数の流路40を含む。リザーバ38は、少なくとも1つの治療薬36を受け入れるように構成され、またインプラント32が身体34内に移植された後、治療薬36で再充填されるように構成することができる。流路40は、治療薬36がリザーバ38から身体34に関する治療部位42まで移動する経路を形成する。流路40によって形成される経路はそれぞれ、流路40の壁によって形成される内部空間である。流路40は、例えば円形、正方形、またはいくつかの他の断面形状を有することができる。したがって、流路40は、少なくとも1つの治療薬36をリザーバ38から身体34に関する治療部位42まで運ぶように構成される。
【0033】
[0061]図1は、2つのリザーバ38、及びそれぞれのリザーバ38から延びる複数の流路40を示している。本発明によるインプラント(すなわちインプラント232)は、ただ1つのリザーバ(すなわちリザーバ238)を含んでもよい。図1のリザーバ38は、任意選択で異なる治療薬36を同時に保持することが可能であり、換言すれば、各リザーバ38が異なる治療薬36を保持すること、すなわち、各リザーバ38が少なくとも2つの治療薬36を保持することが可能である。したがって、本発明によるインプラントは、複数の治療薬をリザーバ及び複数の流路を介して身体に送達するように構成され、そうしたインプラントの例は、インプラント32(図1)及びインプラント232(図3)を含む。さらにインプラント32は、治療薬36の放出前に、流路40のいずれに対してもシールまたはシールキャップが形成されないように形成することができる。
【0034】
[0062]本明細書において、身体とは、ヒトまたは動物(すなわち獣医学上の患者)の物理的な体を意味する。したがって、身体は肉及び骨のうちの1つである。身体は生きたものでも死んだものでもよい。本明細書では、身体は患者の体と称されることもあり、それは、生きているまたは死んでいるヒト及び獣医学上の「患者」を含む。本明細書では、治療薬は、薬物または薬剤と称されることもある。治療薬は、例えば液体、固体、カプセルまたはビーズとして形成することができる。
【0035】
[0063]さらに図1は、インプラント32が、選択された位置に移植可能な本体44を含むことを示している。本体44はリザーバ38及び流路40を画定し、外部表面46を含む。本発明のリザーバは、インプラントの本体によって形成される空洞または囲まれたポケット(閉鎖されているが、流路がインプラントの本体の表面へ延びる)とすることができる。リザーバは、本体の外部表面の中にではなく、本体の中心部(すなわち中央内分)によって形成することができる。リザーバは、中心部のかなりの部分を占めてもよいが、依然としてリザーバから外部表面へ延びる細長い流路を有するようにする。リザーバ38は本体44内の空洞である。リザーバ38は、本体44を貫通する貫通孔ではない。流路40はリザーバ38を外部表面46と流体連通させ、それによって、少なくとも1つの治療薬36がリザーバ38から外部表面46まで移動する経路を形成する。すなわち、流路40はリザーバ38を外部表面46と流体連通させ、それによって、少なくとも1つの治療薬36をリザーバ38から外部表面46まで運ぶ。図1はインプラント32の本体44を示しているが、それはインプラント32自体である。
【0036】
[0064]さらに図1は、インプラント32が股関節補綴物として形成され、その身体34が股関節として形成されていることを示している。より具体的には、図1は、上側大腿骨(または大腿骨)の一部を形成し、したがって負荷を支える(整形外科インプラントの1つのタイプである)短期の大腿骨股関節インプラント32の断面図を示している。図1の大腿骨股関節補綴物32の本体44(本体44と大腿骨股関節補綴物32は互いに同じ空間の広がりを有しており、したがって図1では同一の構造部材である)は、身体34の上側大腿骨に挿入することができる軸部(図1のインプラント32の下方へ延びる部分)、及び寛骨臼(すなわち、患者の生来の寛骨臼または補綴用の寛骨臼カップ)によって受け入れられ、それと噛み合う大腿骨の頭部(図1のインプラント32の球形部)を含む。図1は、軸部と大腿骨の頭部の両方が、リザーバ38、及びそれぞれのリザーバ38からインプラント32の外部表面46へ延びる複数の流路40を含むことを示している。外部表面46に対するリザーバ38の大きさ、及び/またはリザーバ38の外部表面46までの近さに応じて、流路40は本体44内の孔または開口部として形成することができる。使用時には、インプラントを身体34内に移植する前及び/または後に、リザーバ38に治療薬36が挿入される。次いで、治療薬36は流路40内に移り、流路40を介して外部表面46まで移動することができる(流路40が外部表面46内に孔を形成する)。治療薬36は流路40を出て治療部位42に接触するが、治療部位42は、例えば骨または組織とすることができる。
【0037】
[0065]本発明の整形外科インプラントは、補綴物、釘体、プレート、または移植可能なピンとして形成される外部固定装置とすることができる。図1乃至図16及び図20乃至図27は、補綴物である整形外科インプラントを示している。補綴物は、身体の欠損部もしくは欠陥部の代わりになる、またはそうした部分を補うインプラントである。図17は、釘体である整形外科インプラントを示している。図18は、プレートである整形外科インプラントを示している。図19は、移植可能なピンを備えた外部固定装置である整形外科インプラントを示している。
【0038】
[0066]図2は、本発明による整形外科インプラントの他の実施形態を示している。図1における同様の部分に対応する図2の構造部分は、100の倍数だけ大きくした参照符号を有している。短期の整形外科インプラントシステム130は、短期の補綴インプラント132及び取り付け部分150を含む。本体144は、リザーバ138、及びリザーバ138から外部表面146へ延びる流路140を画定する。取り付け部分150は、ポート(図2には示さず)を取り付けるためのものである。取り付け部分150は、管状要素とすることができる。取り付け部分150及びボートは、リザーバ138を治療薬で再充填するために用いることができる。取り付け部分150を介してリザーバ138を(最初に及び/または詰め替えとして)治療薬で充填すると、治療薬は流路140を介して、リザーバ138から治療部位まで移動することができる。
【0039】
[0067]図3は、本発明による整形外科インプラントの他の実施形態を示している。これまでの図における同様の部分に対応する図3の構造部分は、100の倍数だけ大きくした参照符号を有している。図3は、他の短期の股関節インプラント232の断面図を示している。補綴用インプラント232は、大腿骨の頭部を受け入れる寛骨臼カップとして形成される。図3では、寛骨臼カップ232の本体244は寛骨臼カップ232である。本体244は、リザーバ238、及びリザーバ238から外部表面246へ延びる複数の流路240を画定する。リザーバ238を(最初に及び/または詰め替えとして)治療薬で充填すると、治療薬は流路240を介して、リザーバ238から治療部位まで移動する。
【0040】
[0068]図4乃至図8は、本発明による整形外科インプラントのその他の実施形態を示している。より具体的には、図4乃至図8は、補綴用膝関節インプラント、すなわち大腿骨と脛骨の両方の補綴用膝関節インプラントとして形成された短期の整形外科インプラントを示している。これまでの図における同様の部分に対応する図4乃至図7の構造部分は、100の倍数だけ大きくした参照符号を有している。図4及び図5は、インプラント332の本体344が大腿骨膝関節インプラント332であることを示している。本体344は、下側部分(図5の全体的にU字形の部分)及び任意選択の軸部(図5の下側部分の頂部の垂直な直立した部分)を含む。下側部分と軸部は共に、薬物リザーバ338、及びリザーバ338内の(1つまたは複数の)治療薬を(1つまたは複数の)治療部位342に送達するように、それぞれのリザーバ338を外部表面346と連通させる薬物送達流路/孔340を含む。図6は、図5に示されるインプラント332と同様の大腿骨膝関節インプラント432の上面図を示している。流路440は、下側部分の外部表面446内の出口孔として示されている。図6の円は、任意選択の直立する軸部452を示している。図7は、インプラントの本体544より放射線不透過性が高い文字を刻むことによって印を付け、図7に示すように文字がX線または蛍光透視装置で見えるようにした、短期の大腿骨膝関節インプラント532の正面図を示している。図5及び図6のリザーバを(最初に及び/または詰め替えとして)治療薬で充填すると、治療薬は流路340、440を介して、これらのリザーバから治療部位まで移動することができる。
【0041】
[0069]図8は、本発明による短期の脛骨膝関節インプラント632の断面図を示している。これまでの図における同様の部分に対応する図8の構造部分は、100の倍数だけ大きくした参照符号を有している。インプラント632の本体644は、脛骨膝関節インプラント632である。本体644は、脛骨の皿部(図8の全体的に水平な部分)及び任意選択の軸部(図8の水平部分より下の全体的に垂直な部分)を含む。下側部分と軸部は共に、薬物リザーバ638、及び(1つまたは複数の)治療薬を(1つまたは複数の)治療部位642に送達するように、それぞれのリザーバ638を外部表面646と連通させる薬物送達流路/孔640を画定する。リザーバ638を(最初に及び/または詰め替えとして)治療薬で充填すると、治療薬は流路640を介して、リザーバ638から治療部位642まで移動することができる。
【0042】
[0070]したがって、図1乃至図8に示される本発明によるインプラントは、例えば身体内の感染症の治療に用いることが可能な短期インプラントである。そうした短期インプラントまたは一時的なインプラントは、抗生物質などの治療薬を身体の骨及び周りの組織に直接送達することを可能にする。
【0043】
[0071]手術後のインプラントへの抗生物質の注入を可能にするために、ポートなどの装置を用いることができる(図2参照)。これは、治療の間ずっと複数の抗生物質の送達を可能にする。インプラント内のリザーバ及び/または流路は、こうした注入による抗生物質を数時間から数週間の期間にわたって送達することを可能にする(図1乃至図8)。臨床的には、おそらく約1週間の注入間隔が十分に許容されるであろう。薬物は、インプラントを囲むすべての骨及び軟組織、または特定の位置のみに送達することができる。この概念の変形形態は、関節での運動がない状態から、恒久的な全関節に典型的な移動度までの関節移動度の範囲を可能にする。こうした短期インプラントは、緩い圧入、または抗生物質入りもしくは標準的な骨セメントを用いて骨の中に保持することができる。骨セメントの場合、セメントが薬物送達用の孔を覆って塞ぐことを防止する技術の中に、セメントリストリクタも含まれる。
【0044】
[0072]抗生物質入りセメントは通常、1週間未満の持続期間にわたって有用な局所的抗生物質濃度をもたらす。治療期間は、6週間乃至8週間であることがしばしばである。しかし、1週間を超えると、抗生物質入りセメントのインプラントは、有用な量の抗生物質を供給しなくなる。それとは対照的に、本発明によるインプラントは、必要とされる任意の期間にわたって連続的に、正確な用量の抗生物質の送達を可能にする。本発明のインプラントに取り付けられるポートなどの部分を通して、インプラントのリザーバは、適切な薬物投与を行うのに必要な頻度で再充填することができる。
【0045】
[0073]本発明のインプラントは、治療中いつでも任意の数の抗生物質を使用できるようにする。初期の抗生物質は、手術時に使用することができる。細胞培養が異なる抗生物質または用量がより効果的であることを示す場合には、本発明に従って、治療措置にそうした変更を行うことができる。
【0046】
[0074]短期の大腿骨股関節インプラントは、先に論じたように軸部及び別個の頭部を含むか、または一体化された構造とすることができる。複数の大きさの軸部及び頭部の大きさを適応させることが可能である。先に論じたように、別個の寛骨臼構成要素を設けることができる。大腿骨の頭部は、短期の寛骨臼構成要素または患者の寛骨臼と噛み合うことができる(図1乃至図3参照)。本発明によれば、薬物は、寛骨臼構成要素が使用されない場合(図1参照)には大腿骨構成要素の頭部を通して、あるいは寛骨臼構成要素が使用される場合(図3参照)には寛骨臼構成要素を通して、寛骨臼に送達することができる。
【0047】
[0075]短期の膝関節インプラントは、一体化された脛骨構成要素(標準的な全膝関節置換の2つの部分を結合する)、及び一体化されたまたは2つの部分からなる大腿骨構成要素(2つの部分からなる設計が顆状突起と軸部を結合する)を含むことができる。本発明は、複数の大きさの脛骨構成要素、ならびに複数の大きさの(一体として結合されるか、または別個である)軸部及び顆状突起を提供する(図4乃至図8参照)。本発明に従って、同様の構成要素が、肩関節、肘関節及び他の関節のために提供される。
【0048】
[0076]図1乃至図8のインプラントは短期使用向けに設計されているため、本発明の短期インプラントは、先に示したように、インプラントの表面に肉眼とX線の両方によって見ることができる印を含むことができる。こうした印は、インプラントが短期使用のみを対象にしていることを明確に示すものである(図7参照)。
【0049】
[0077]本発明は、長い期間にわたってインプラントに近い場所、またはインプラントを囲む領域全体に薬物を連続的に送達することを可能にする、整形外科インプラントシステム(短期、長期または非永久的インプラントのどれであれ)を提供する。図9乃至図16に示される本発明によるインプラントは、長期インプラントである。そうしたインプラントは、患者の体内の全股関節、膝、肩及び肘の関節として使用することができる。本発明の長期インプラントは、前述の短期インプラントと基本的に類似した点を有している。したがって、これまでの図における同様の部分に対応する図9乃至図16の構造部分は、100の倍数だけ大きくした参照符号を有している。したがって、前述の短期インプラントと同様に、本発明はさらに、薬物を骨及び周りの組織(または任意の特定の位置)に直接送達することを可能にする長期インプラントを提供する。手術後のインプラントへの薬物の注入を可能にするために、ポートなどの装置を用いることができる(図14参照)。これは、治療の間ずっと任意の数の薬物の送達を可能にし、また治療の間ずっと薬物を再充填して適切な薬物投与を行うことを可能にする。本発明による長期インプラント内のリザーバ及び/または流路は、こうした注入による薬物を数時間から数週間の期間にわたって送達することを可能にする(図9乃至図16参照)。薬物は、インプラントを囲むすべての骨及び軟組織、または特定の位置のみに送達することができる。
【0050】
[0078]図9及び図10は、本発明による長期の大腿骨股関節補綴インプラントシステム730を示している。これまでの図における同様の部分に対応する図9及び図10の構造部分は、100の倍数だけ大きくした参照符号を有している。システム730は、長期の大腿骨股関節補綴インプラント732、及び外部表面746に取り付けられた多孔性表面754を含む。先に論じた短期インプラントと同様に、インプラントは、薬物リザーバ738、及び(1つまたは複数の)治療薬を身体内の治療部位に送達するように、リザーバ738から外部表面746へ延びる複数の薬物送達流路740を画定する本体744を有している。多孔性表面754は、その内部に骨及び/または組織の内殖を受け入れるように構成される。そうした内殖が、図9に矢印756によって示されている。多孔性表面754は様々に、多孔性部材、多孔性パッドまたはスキャフォールドと称されることがある。薬物送達流路740は内殖領域を避けるように、本体744に沿ってまたは本体744を貫通して経路指定することができる。換言すれば、流路740は治療薬を多孔性表面754に放出することを避けるように、本体744に沿ってまたは本体744を貫通して経路指定することができる。それとは対照的に、流路740は薬物を内殖用の多孔性表面754を通して放出するように、本体744に沿ってまたは本体744を貫通して経路指定することができる。図9は、多孔性表面754への薬物の放出を避ける流路740を示している。リザーバ738を(最初に及び/または詰め替えとして)治療薬で充填すると、治療薬は流路740を介して、リザーバ738から治療部位まで移動することができる。
【0051】
[0079]図11及び図12は、本発明による長期の大腿骨膝関節インプラントを示している。これまでの図における同様の部分に対応する図11及び図12の構造部分は、100の倍数だけ大きくした参照符号を有している。インプラント832の本体844は、大腿骨膝関節インプラント832である。本体844は、下側部分(図12の全体的にU字形の部分)及び任意選択の軸部(図12の下側部分の頂部の垂直な直立した部分)を含む。下側部分と軸部は共に、薬物リザーバ838を含む。軸部はさらに、(1つまたは複数の)治療薬を(1つまたは複数の)治療部位846に送達するように、それぞれのリザーバ838を外部表面846と連通させる薬物送達流路/孔840を含む。下側部分も、リザーバから治療部位に通じる少なくとも1つの薬物送達流路840を含む。リザーバ838を(最初に及び/または詰め替えとして)治療薬で充填すると、治療薬は流路840を介して、リザーバ838から治療部位まで移動することができる。
【0052】
[0080]図13は、本発明による長期の大腿骨膝関節インプラントシステム930を示している。これまでの図における同様の部分に対応する図13の構造部分は、100の倍数だけ大きくした参照符号を有している。システム930は、図12のインプラント832と同様の補綴インプラント932を含むが、インプラント932の本体944には、複数の内殖用の多孔性表面954が取り付けられている。多孔性表面954はそれぞれ、その内部に骨及び/または組織の内殖を受け入れるように構成される。さらに、図13にリザーバが見られないが、図13には薬物リザーバから通じる薬物送達流路940が示されている。図13のリザーバは、外部表面946のすぐ下に、図12にリザーバ838が示されるように位置付けることができる。流路940は、内殖用パッド954の周りに経路指定される(それによって内殖用パッド954を避ける)。インプラント932のリザーバを(最初に及び/または詰め替えとして)治療薬で充填すると、治療薬は流路940を介して、インプラント932のリザーバから治療部位まで移動することができる。
【0053】
[0081]図14は、本発明による長期の大腿骨膝関節インプラントシステム1030を示している。これまでの図における同様の部分に対応する図14の構造部分は、100の倍数だけ大きくした参照符号を有している。システム1030は、図12のインプラント832と同様の補綴インプラント1032を含む。インプラント1032は、大腿骨1035に取り付けられる。システム1030は、注入ポート1058用の取り付け部分または要素1050(管状要素など)、注入ポート1058、カテーテル1060、及びインプラント1032から離れたリザーバ1062をさらに含む。注入ポートは、薬物をインプラント1032に追加的に再充填するために設けられ、インプラント1032は、治療薬を治療部位に経路指定するための少なくとも1つの流路を含む。インプラント1032に外部リザーバ1062が取り付けられるため、インプラント本体1044は追加の内部リザーバを画定しても画定しなくてもよい。インプラント1032の内部リザーバを、取り付け要素1050、注入ポート1058、カテーテル1060及び外部リザーバ1062を介して(最初に及び/または詰め替えとして)治療薬で充填すると、治療薬は薬物送達流路を介して、インプラント1032のリザーバから治療部位まで移動することができる。インプラント1032が内部リザーバを有していない場合には、治療薬は、カテーテル1060、注入ポート1058及び取り付け要素1050を介する外部リザーバ1062からの薬物送達流路によって治療部位まで移動する。
【0054】
[0082]図15及び図16は、本発明による長期の大腿骨股関節インプラントシステム1130を示している。これまでの図における同様の部分に対応する図15及び図16の構造部分は、100の倍数だけ大きくした参照符号を有している。図15は、長期の大腿骨股関節補綴インプラント1132及び内殖用の多孔性表面1154を含む、長期の大腿骨股関節インプラントシステム1130を示している。図16は、インプラント本体1144または基体1144(図のそれぞれにおいて、本体1144は基体と称されることもある)の(図16で方向付けられた)頂部の第1の多孔性表面1154、及び本体1144の(図16で方向付けられた)底部の第2の多孔性表面1154を示している。多孔性表面1154は、矢印1156によって示されるように、その内部に骨及び/または組織の内殖を受け入れるように構成される。図16は多孔性表面1154と本体1144の間に多少の間隔を示しているが、この間隔は例示のためのものであり、表面1154を本体1144の外部表面1146に取り付けるために用いられることがある接着剤がなければ、多孔性表面1154は本体1144と同一面上とすることが可能であることを理解されたい。多孔性表面1154はそれぞれ、本体1144の外部表面1146に取り付けられた第1の面1164、及び前記第1の面1164に対向する第2の面1166を含む。多孔性表面1154はそれぞれ、第1の面1164から第2の面1166へ延びる貫通孔1168を含む。貫通孔1168は、治療薬1136を第1の面1164から第2の面1166まで導き、それによって治療薬1136を治療部位1142まで導くように構成される。多孔性表面1154内の貫通孔1168はそれぞれ、表面流路1170及び表面下の流路1172に通じている。流路1170及び流路1172は、薬物送達流路であるという点において、本質的に流路40と同様に機能することができる。図16は、リザーバ1138及び接続流路1140を破線で示しているが、それは、そうしたリザーバ1138及び(リザーバ1138を流路1170及び/または流路1172と接続する)接続流路1140がこの断面では見えない、あるいはそうしたリザーバ1138及び接続流路1140を任意選択とする(換言すれば、インプラント1132は、そうした内部リザーバ1138、及びリザーバ1138から表面流路1170または表面下の流路1172に通じる接続流路1140を含まない)ことができるためであることを理解されたい。
【0055】
[0083]さらに図16は、本体1144の外部表面1146が、流路1140及び多孔性表面1154の貫通孔1168と連通及び協働して、治療薬1136をリザーバ1138から治療部位1142に供給する表面流路1170を画定することが可能であることを示している。図16は複数のそうした表面流路1170を示しおり、先に論じたように、そのそれぞれは任意選択で、それぞれの接続流路1140を介してリザーバ1138に接続することができる。インプラント1132が、リザーバ1138及び接続流路1140を有している場合には、リザーバ1138を(最初にまたは詰め替えとして)治療薬で充填すると、治療薬は流路1140及び流路1170を介して、リザーバ1138から治療部位まで移動することができる。インプラント1132が、リザーバ1138及び接続流路1140を有していない場合には、表面流路1170を(最初に及び/または詰め替えとして)治療薬で満たすことが可能であり、治療薬は表面流路1170を介し、貫通孔1168を通って治療部位1142まで移動する。治療薬は、多孔性表面1154の中に成長する骨及び/または組織に対して供給することもできる。
【0056】
[0084]さらに図16は、リザーバ1138から延びる流路1140が、表面下の流路1172に接続可能であることを示している。表面下の流路1172及び多孔性表面1154内の貫通孔1168は、互いに整列及び協働して、治療薬1136をリザーバ1138から治療部位1142に供給する。本体1144の中には、表面下の流路1172から外部表面1146に通じる孔1174(流路40のような本発明の流路と考えることもできる)も設けられる。これらの孔1174は、それぞれの流路1140及び流路1172の一部であると考えることができる。
【0057】
[0085]したがって、図15及び図16は、やはり整形外科インプラント1132及び多孔性表面1154を含む整形外科インプラントシステム1130を示している。整形外科インプラント1132は、身体1134内の選択された位置に移植可能であり、かつ治療薬1136を身体1134に送達するように構成された本体1144を含む。インプラント1132の本体1144は、複数の表面流路1170を画定する外部表面1146を含み、また先に論じたように、治療薬リザーバ1138がなくてもよい。図16におけるリザーバ1138の破線は、先に言及したように、リザーバ1138が任意選択であることを示している。複数の表面流路1170は、インプラント1132が身体1134内に移植された後、治療薬1136を受け入れ、保持し、送達し、治療薬1136で再充填されるように構成される。整形外科インプラント1132は補綴物である。あるいは、インプラント1132は、釘体(図17)、プレート(図18)または移植可能なピンを備えた外部固定装置(図19)として形成することができる。多孔性表面1154は、外部表面1146に取り付けられる。多孔性表面1154は、矢印1156によって示されるように、その内部に骨及び組織の内殖のうちの少なくとも1つ受け入れるように構成される。先に論じたように、多孔性表面1154は、外部表面1146に取り付けられた第1の面1164、及び第1の面1164に対向する第2の面1166を含む。多孔性表面1154は、第1の面1164から第2の面1166へ延びる複数の貫通孔1168を含む。複数の表面流路1170は、複数の貫通孔1168と連通及び協働して、治療薬1136を複数の表面流路1170から、次いで多孔性表面1154の第1の面1164に、次いで多孔性表面1154の第2の面1166に供給する。表面流路1170は、(最初に及び/または詰め替えとして)治療薬で充填することが可能であり、治療薬1136は、表面流路1170を介し、貫通孔1168通って治療部位1142まで移動する。
【0058】
[0086]したがって、本発明は、任意のタイプの多孔性コーティングもしくは多孔性表面を有する長期インプラント、またはセメントで固められたインプラントに適用することが可能である。薬物は、必要に応じて、多孔性コーティングを通して送達する、または(先に開示したように)多孔性コーティングなしで各領域に経路指定することができる(図9、図10、図13、図15及び図16参照)。多孔性コーティングを通して送達するために、流路は、図15及び図16に関連して先に開示したように、インプラント基体(多孔性表面が取り付けられるインプラントの固い材料、図14参照)の表面の上に、または表面より下に作成することができる。表面流路の場合、孔は多孔性表面を貫通して表面流路まで穿孔され、それを通して薬物を送達することが可能な経路を作成することができる。表面下の流路の場合、薬物を送達する経路を作成するためには、孔は基体(インプラントの本体)の表面から表面下の流路まで穿孔されなければならない(図16参照)。この穿孔は、多孔性コーティング/表面が取り付けられる前、または多孔性コーティング/表面が取り付けられた後に行うことができる。この穿孔が多孔性コーティング/表面が取り付けられた後に行われる場合、孔は多孔性コーティング/表面、及び基体/本体の表面を貫通して作成される(図16参照)。
【0059】
[0087]本発明に従って、セメントリストリクタを用いて、セメントが薬物送達用の孔を覆って塞ぐのを防止することもできる。本発明は、全股関節構成要素、全膝関節構成要素、全肩関節構成要素及び全肘関節構成要素など、すべてのタイプの全関節インプラントに適用することができる。
【0060】
[0088]骨の内殖を促進し、吸収を抑えることに関連して、多孔性材料(すなわち、全関節構成要素、固定装置(すなわち脊椎固定装置)もしくは骨増強用構成要素(すなわち脛骨の楔部)に対する多孔性コーティングまたはパッドまたは表面)の中への骨の内殖を促すまたは早めるために、手術中または手術後に骨成長の刺激物質を注入することができる。こうした薬物は、応力遮蔽、骨溶解または骨代謝障害などの原因による骨の吸収を抑えるために、本発明による長期インプラントを用いて手術後数ヶ月から数年注入することも可能である。
【0061】
[0089]腫瘍学に関連して、本発明のインプラントは、インプラントを囲む一部またはすべての組織への薬物の送達を同様に可能にする。本発明のインプラントは、セメントで固めることができる。本発明は、薬物をセメント領域の周りに経路指定する方法を提供し、またセメントが薬物送達用の孔を覆って塞ぐのを防止するための方法を提供する。
【0062】
[0090]図17乃至図19に示される本発明によるインプラントは、非永久的インプラントである。そうしたインプラントは、釘体、プレート及び外部固定装置などの外傷用製品とすることができる。本発明の非永久的インプラントは、これらの装置に必ずしも限定されない。本発明の非永久的インプラントは、前述の短期インプラント及び長期インプラントと基本的に類似した点を有している。したがって、図1における同様の部分に対応する図17乃至図19の構造部分は、100の倍数だけ大きくした参照符号を有している。したがって、前述の短期インプラント及び長期インプラントと同様に、本発明はさらに、薬物を骨及び周りの組織(または任意の特定の位置)に直接送達することを可能にする非永久的インプラントを提供する。本発明による非永久的インプラントにおけるリザーバ及び/または流路は、薬物を治療部位に送達することを可能にし、また再充填することができる。図17には、本発明による釘体が示される。図18には、本発明によるプレートが示される。19には、本発明による外部固定装置が示される。
【0063】
[0091]釘体は一時的な髄内装置である。釘体は通常、外傷性骨折を治療するために用いられる。特に開放骨折の場合、感染症の危険性が高い可能性がある。本発明は、予防策として、または感染症が発生している場合にはそれを治療するために、抗生物質を釘体を囲む骨に送達することを可能にする。
【0064】
[0092]骨の成長に関連して、骨折の場合、骨成長の刺激物質を(1つまたは複数の)骨折の領域に直接送達すると有利になる場合がある。これは特に、癒着不良、骨欠損及び骨切断などの難しいケースにあてはまる。本発明による釘体は、そのように骨成長の刺激物質を(1つまたは複数の)骨折の領域に直接送達することを可能にする。
【0065】
[0093]腫瘍学に関連して、釘体は骨腫瘍に伴う骨折の治療に用いることができる。釘体は、癌が骨を弱めた場合、骨折の防止を助けるために用いることもできる。本発明による釘体は、腫瘍薬物を腫瘍の領域に局所的に送達することができ、それによって、腫瘍成長の緩徐化/停止に関する結果を改善することができる。こうして本発明による釘体によって局所的な送達が可能であることにより、全身性の薬物の必要性/用量を減じ、副作用を小さくすることもできる。
【0066】
[0094]図17は、身体内に移植可能な整形外科用の釘体1232を示している。これまでの図における同様の部分に対応する図17の構造部分は、100の倍数だけ大きくした参照符号を有している。釘体1232は、リザーバ1238、及び薬物リザーバ1238から釘体1232の外部表面1246に通じる薬物送達流路1240を画定する本体1244を含む。したがって本発明は、例えば(股関節の軸部などの)大腿骨股関節インプラントなど、長期インプラント用のものと同様の薬物送達部を備えた整形外科用の釘体1232を提供する。この設計は、薬物を骨のすべての領域または任意の特定の位置に直接送達することを可能にする(図17)。手術後の釘体1232への薬物の注入を可能にするために、ポートなどの装置を用いることができる。これは、治療の間ずっと任意の数の薬物の送達を可能にする。釘体1232内のリザーバ1238及び/または流路1240は、こうした注入による薬物を数時間から数週間の期間にわたって送達することを可能にする。したがって、リザーバ1238を(最初に及び/または詰め替えとして)治療薬で充填すると、治療薬は、流路1240を介して、リザーバ1238から治療部位まで移動することができる。薬物は、インプラントを囲むすべての骨組織、または特定の位置のみに送達することができる。大腿骨、脛骨及び上腕骨用の釘体の順行性及び逆行性のものを含めたすべてのタイプの釘体が、この技術を利用することができる。
【0067】
[0095]整形外科用のプレートは、釘体と同じ適応症の多くを治療するが、プレートは骨の外側に適用される。プレートは、薬物の局所的な送達について同じ可能性をもたらす。釘体は髄内のものであるため、本発明に従って薬物を主に骨組織に送達するのに用いることができる。プレートは骨の外側に適用されるため、本発明に従って薬物を骨と軟組織の両方に送達するのに用いることができる。局所的な薬物送達によって利益が得られる可能性のある軟組織治療の例は、軟組織の内殖または治癒の促進、抗生物質の送達による感染症の予防、及び腫瘍薬物の局所的な送達による近くの軟組織腫瘍の治療を含む。
【0068】
[0096]図18は、身体内に移植可能な整形外科用のプレート1332を示している。これまでの図における同様の部分に対応する図18の構造部分は、100の倍数だけ大きくした参照符号を有している。プレート1332は、リザーバ1338、及び薬物リザーバ1338からプレート1332の外部表面1346に通じる薬物送達流路1340を画定する本体1344を含む。リザーバ1338を(最初に及び/または詰め替えとして)治療薬で充填すると、治療薬は流路1340を介して、リザーバ1338から治療部位まで移動することができる。
【0069】
[0097]したがって、プレートの薬物送達部は、本発明による整形外科用の釘体のものと同様である。プレートは、薬物を骨及び周りの組織(または任意の特定の位置)に直接送達することを可能にする。手術後のプレートへの薬物の注入を可能にするために、ポートなどの装置を用いることができる。これは、治療の間ずっと任意の数の薬物の送達を可能にする。プレートのインプラント1332内のリザーバ1338及び/または流路1340は、こうした注入による薬物を数時間から数週間の期間にわたって送達することを可能にする。薬物は、プレートのインプラント1332を囲むすべての骨及び軟組織、または特定の位置のみに送達することができる。
【0070】
[0098]外部固定装置は、骨折部を安定化するために用いられる一時的なインプラントである。こうした外部固定装置は、数日から数ヶ月にわたって使用することができる。外部固定装置は通常、骨に固定され、皮膚を貫通して剛性のプレート、リング、ロッドまたは同様の安定化装置まで延びる複数のピンを含む。ピンが皮膚を貫通して延びることを考えると、こうした装置はさらに高い感染症の危険性を伴う。細菌が、ピンに沿って軟組織及び骨まで直接移動する恐れがある。本発明は、外部固定装置に適用することができる。したがって、ピンの周りの骨及び軟組織に対して、抗生物質または他の抗感染薬を供給することができる(図19)。抗生物質を骨及び軟組織に供給/注入するために、外部リザーバを用いることができる。
【0071】
[0099]図19は、例えば外傷用装置である本発明による外部固定装置1432を示している。これまでの図における同様の部分に対応する図19の構造部分は、100の倍数だけ大きくした参照符号を有している。外部固定装置1432は、移植可能なピン1476、ピン1476と結合された鞘部1478、及び鞘部1478と結合されたリザーバ1480を含み、ピン1476は複数の流路1440を画定する。より具体的には、ピン1476は、内側の空間領域1484、及び複数の薬物送達流路1440または孔1440を画定する壁1482を含む。ピン1476の外周部には鞘部1478が接続され、鞘部1478はピン1476と同軸とすることができる。鞘部1478は、薬物が外部固定装置1432の皮膚1434の外側にある部分から流出するのを防止する働きをする。(図19の頁で方向付けられた)皮膚1434の壁の右側には、身体の外部となる空間がある。さらに、鞘部1478に薬物リザーバ1480が取り付けられる。薬物リザーバ1480は、外部固定装置1432の外部の固定用ロッド及び/またはプレート(図示せず)への取り付けを可能にするように成形される。治療薬は、薬物リザーバ1480からピン1476の内側の空間領域1484まで移動し、ピンの壁1482内の流路/孔1440を通り、治療部位に至る。したがって、リザーバ1480を(最初に及び/または詰め替えとして)治療薬で充填すると、治療薬は、内側の空間領域1484及び(1つまたは複数の)流路1440を介して、リザーバ1480から治療部位1442まで移動することができる。
【0072】
[00100]感染症を治療するために用いられる一時的な骨セメントインプラントの欠点は、先に論じられている。さらに他の欠点は、血流の不足により、適切な量の治療薬をそうしたインプラントを通して骨に送達するのが難しいことである。図20乃至図27は、この欠点に対処する整形外科用の薬物送達インプラントを示している。より具体的には、図20乃至図21は、取り外し及び交換が可能なカートリッジによる治療薬の送達を示している。さらに図22乃至図26は、部分的または完全に多孔性であるインプラントを通した浸出による治療薬の送達を示している。さらに図27は、変更されたリザーバの設計を示している。図20乃至図27に示される設計は、短期、長期または非永久的整形外科インプラントに用いることができる。これまでの図における同様の部分に対応する図20乃至図27の構造部分は、100の倍数だけ大きくした参照符号を有している。
【0073】
[00101]図20及び図21は、整形外科インプラント1532及びカートリッジ1586を含む、整形外科インプラントシステム1530を示している。より具体的には、図20は、インプラント1532に挿入されたカートリッジ1586を示しているが、図21は、カートリッジ1586が取り外されたインプラント1532を示している。インプラント1532は、例えば短期の大腿骨股関節補綴インプラント1532として形成される。インプラント1532は、身体1534内に移植される。インプラント1532は、その本体1544によって画定される。本体1544は、リザーバ1538、及びリザーバ1538から本体1544の外部表面1546へ延びる複数の流路1540を画定する。カートリッジ1586は、リザーバ1538に挿入されて受け入れられ、リザーバ1538は、カートリッジ1586用のハウジングとして働く。したがって、リザーバ1538はカートリッジ1586用のハウジングとして、カートリッジ1586を噛み合った形で収容し、カートリッジ1586に接続するように成形することができる。リザーバ1538は、カートリッジ1586を受け入れるように全体的にカップ形とし、したがって外部表面1546に対して開放された状態にすることができる(したがってリザーバ1538は、本質的に外部表面1546内の止まり穴とすることができる)。カートリッジ1586は少なくとも1つの治療薬1536を含み、図20では破線で示されている。カートリッジ1586は、治療薬1536がリザーバ1538から離れ、少なくとも1つの流路1540の中に移動して本体1544の外部表面1546に至るように、(カートリッジ1586内の円として示される)治療薬1536を、リザーバ1538及び/または少なくとも1つの流路1540の中に放出するように構成される。インプラント1532が身体内に移植された後、カートリッジ1586はリザーバ1538から取り外すことができ、また他のカートリッジ1586と交換することができる。第1のカートリッジ1586は、治療薬がなくなったとき(または他の方法において、第1のカートリッジ1586から所望の量の治療薬が放出されたとき)に交換される。空の第1のカートリッジ1586に代わる第2のカートリッジ1586は、リザーバ1538に挿入されて第1のカートリッジ1586に取って代わるときには、治療薬で満たされている(またはその内部に所望の量の治療薬を有している)。したがって、第1のカートリッジ1586を第2のカートリッジ1586と交換することによって、システム1530内のリザーバ1538の再充填が行われる。
【0074】
[00102]したがって、システム1530は、インプラント本体1544、及び交換可能部分、すなわちカートリッジ1586を有することができる(図20乃至図21)。交換可能なカートリッジ1586は、言及したように治療薬(therapeutic)を含む。移植後、外科医はカートリッジ1586をどの治療薬で満たすかを決定することができる。時間が経つにつれて、カートリッジ1586を、以前と同じ治療薬または異なる治療薬で満たされた新しいカートリッジ1586と交換することができる。理想的には、カートリッジの交換は軽症の外来処置として行われる。
【0075】
[00103]交換可能なカートリッジは、インプラントに対して任意選択の形で形成することができる。第1の選択肢として、図20に示されるように、カートリッジはインプラントに対して別個の装置とみなすことができるが、インプラントに直接取り付けることができる。第2の選択肢として、カートリッジは、インプラント本体から取り外すことが可能なインプラントの一部とみなすことができる。第3の選択肢として、カートリッジは、患者の体内に第1のインプラント(すなわち大腿骨股関節インプラント)から離れて配置されるが、カテーテルなどを介して第1のインプラントに接続される第2の交換可能なインプラントとすることができる。第4の選択肢として、カートリッジは、患者の体の外部にある装置とすることができ、一方、インプラント(すなわち大腿骨股関節インプラント)は患者の体内に移植される。
【0076】
[00104]図22乃至図26は、それぞれのインプラントを通した浸出による治療薬の送達を容易にするために、部分的または完全に多孔性であるインプラントを示している。自動注油式である粉末冶金軸受とほとんど同じ方法で、治療薬を部分的または完全に多孔性であるインプラントから患者の体に送達することができる(図22乃至図26)。治療薬はインプラントの多孔性部分から体に浸出する。そうしたインプラントは、本明細書においてこれまでに論じたような薬物送達流路、リザーバ、及び治療薬を再充填する様々な方法を含むこともできる。図22及び図23はそれぞれ、そこからの治療薬の浸出を容易にするためにインプラント1632の本体1644全体が多孔性である、大腿骨股関節補綴インプラント1632を示している。孔には1690としてラベルが付けられている。しかしながら、図22のインプラント1632は、それに加えて薬物リザーバまたは薬物送達流路を含まない。したがって、治療薬はインプラント1632の孔1690を介して治療部位に送達されるが、治療部位は孔1690の内側にあっても外側にあってもよい。それとは対照的に、図23は、インプラント1632の本体1644に埋め込まれる、またはそれによって画定される薬物リザーバ1638及び薬物送達流路1640を示している。したがって、リザーバ1638を(最初に及び/または詰め替えとして)治療薬で充填すると、治療薬は、流路1640を介してリザーバ1638から治療部位まで移動することができる。図24乃至図26はそれぞれ、大腿骨股関節補綴インプラント1732を示しており、インプラント1732では、インプラント1732の本体1744の一部が、そこからの治療薬の浸出を容易にするために多孔性になっている。本体1744の多孔性部分は、1790としてラベルが付けられている。しかしながら、図24のインプラント1732は、それに加えて薬物リザーバまたは薬物送達流路を含まない。したがって、治療薬は多孔性部分1790を介して治療部位に送達することができ、治療部位は孔部1790の内側にあっても外側にあってもよい。それとは対照的に、図25及び図26のインプラント1732は、それに加えて薬物リザーバ1738及び薬物送達流路1740を含む。図25は、インプラント1732の本体1744の多孔性部分1790に埋め込まれる、またはそれによって画定されるリザーバ1738、及び少なくとも部分的にインプラント1732の本体1744の多孔性部分1790に埋め込まれる、またはそれによって画定される薬物送達流路1740を示している。したがって、リザーバ1738を(最初に及び/または詰め替えとして)治療薬で充填すると、治療薬は流路1740を介して、リザーバ1738から治療部位(多孔性部分1790の内側にあっても外側にあってもよい)まで移動することができる。図26は、リザーバ1738が多孔性部分1790に配置されていないことを示し、また薬物送達流路1740が少なくとも部分的に多孔性部分1790に通じていることを示している。したがって、リザーバ1738を(最初に及び/または詰め替えとして)治療薬で充填すると、治療薬は流路1740を介して、リザーバ1738から治療部位(多孔性部分1790の内側にあっても外側にあってもよい)まで移動することができる。
【0077】
[00105]図27は、大腿骨股関節補綴インプラント1832、及びスポンジ様またはスポンジ状の材料もしくは要素1892を備えた整形外科インプラントシステム1830を示している。先に論じたインプラントと同様に、インプラント1832の本体1844は、薬物リザーバ1838、及びリザーバ1838から本体1844の外部表面1846に通じる薬物送達流路1840を画定する。リザーバ1838は、スポンジ状要素1892を包含または収容する。この材料の目的は、リザーバ1838から薬物送達流路1840内への治療薬の分散を制御すること、骨及び組織が、リザーバ1838の中に成長するまたは広がるのを妨げること、及び/またはインプラント1832を堅くすることである。リザーバ1838を(最初に及び/または詰め替えとして)治療薬で充填し、スポンジ様材料1892をリザーバ1838内に位置決めすると、治療薬は流路1840を介して、リザーバ1838から(したがって、スポンジ状要素1892からも)治療部位まで移動することができる。所望される結果に応じて、スポンジ様要素1892の材料にはいくつかの可能性があり得る。例えば、スポンジ1892が長時間にわたってリザーバ1838の中に留まる場合には、例えばポリビニルアルコール(PVA)スポンジまたはアイバロン(Ivalon)スポンジを用いることができる。一方、スポンジ1892がより短い時間で足りる場合には、例えばコラーゲンベースの材料(すなわち、例えばJohnson and Johnson製のインスタット(Instat))、またはゼラチン状のスポンジ(すなわち、例えばPfizer製のゼルフォーム(Gelfoam))を用いることができる。これらのスポンジ1892の例は、例示のために示され、限定のために示されるものではない。
【0078】
[00106]前述の本発明による装置はいずれも、単一または複数の取り付け部分(カテーテルまたはポートに対する接続部など)、ならびに単一または複数の組のリザーバ及び/または流路を含むことができる。同じ治療薬をすべてのリザーバ/流路に用いてもよく、あるいは複数の治療薬を同時に用いてもよい。別個のリザーバ/流路は、所望される場合、治療薬のそれぞれをインプラント上の特定の位置に送達することを可能にする。
【0079】
[00107]前述の本発明による内部(移植された)装置はいずれも、短期及び/または長期の治療薬の送達を可能にする送達流路/経路と共に、(インプラントの中に含まれる)内部リザーバを含むことができる。内部リザーバが存在しない場合、インプラントは、治療薬の分散を可能にする送達流路/経路を含むことができる。
【0080】
[00108]本発明に従い、1つまたは複数の以下の方法によって、治療薬を本発明のインプラントの送達流路/経路、及び/またはインプラント用リザーバに導入することができる。
a.送達容器の間の直接的なインターフェース(皮下シリンジなど)。
【0081】
b.直接的な取り付け具である薬物ポンプ、外部リザーバ(インプラントに対しては外部であるが、患者に対しては内側に配置しても外側に配置してもよい)、及び/またはインプラントへのポート;すなわち、薬物ポンプ、外部リザーバ及び/またはポートは、インプラントに直接取り付けることができる。必ずではないが、薬物ポンプ、外部リザーバ及び/またはポートとインプラントとの間にカテーテルを配置することができる。その場合、治療薬は、例えば皮下シリンジによってこれらの媒介装置のうちの1つに導入される。次いで治療薬は、インプラントの送達流路/経路、及び/またはインプラントのリザーバへ運ばれる。
【0082】
c.薬物ポンプ、リザーバ及び/またはポートは、体内のインプラントから離れた他の位置に移植することができる、かつ/あるいは例えば送達用のチューブまたはカテーテルによって、インプラントに接続することができる。図28は、整形外科インプラントシステムのためのこの選択肢を概略的に示している。システム1930によれば、インプラント1932から離れた患者の体1934の皮膚の下に、リザーバ1994、ポンプ1995及びポート1996が移植され、それらは、移植されたカテーテル1998を介してインプラント1932のリザーバ1938に接続された状態で示されている。それにより、リザーバ1994、ポンプ1995及びポート1996は、治療薬(治療薬の移動方向も示す、矢印1936によって示される)を、インプラント1932を介してリザーバ1994から治療部位1942に送達するように構成される。換言すれば、ポンプ1995及びポート1996はリザーバ1938と協働して、治療薬1936をカテーテル1998を介して、インプラント1932の本体によって画定されるリザーバ1938に送達することができる。インプラント1932の本体は、リザーバ1938からインプラント1932の外部表面へ延びる流路(表面下の流路または表面流路)を画定することができる。インプラント1932は、補綴物、釘体、プレートまたは外部固定装置である移植されたピンなどの整形外科インプラントである。
【0083】
d.薬物ポンプ、リザーバ及び/またはポートは、体の外部に配置し、例えば送達用のチューブまたはカテーテルによって、インプラントに接続することができる。このサブパラグラフの例とこのパラグラフのサブパラグラフcの例との間の主な違いは、このパラグラフのサブパラグラフcの例では、カテーテルが体の内側のある位置から体の内側の他の位置へ延びるが、このサブパラグラフの例では、カテーテルが体の外側から体の内側のインプラントへ延びることである。図29は、整形外科インプラントシステムのこの選択肢を概略的に示している。システム2030によれば、リザーバ2094、ポンプ2095及びポート2096は、患者の体2034の皮膚の下に移植されず、(皮膚を通過する、皮膚に入る、または皮膚を貫通することによって用意される)経皮カテーテル2098によってインプラント2032のリザーバ2038に接続された状態で示されている。それにより、リザーバ2094、ポンプ2095及びポート2096は、治療薬(治療薬の移動方向も示す、矢印2036によって示される)を、インプラント2032を介してリザーバ2094から治療部位2042に送達するように構成される。換言すれば、ポンプ2095及びポート2096はリザーバ2094と協働して、治療薬2036をカテーテル2098を介して、インプラント2032の本体によって画定されるリザーバ2038に送達することができる。インプラント2032の本体は、リザーバ2038からインプラント2032の外部表面へ延びる流路(表面下の流路または表面流路)を画定することができる。インプラント2032は、補綴物、釘体、プレートまたは外部固定装置である移植されたピンなどの整形外科インプラントである。
【0084】
e.カテーテルは、体の外側から体の内側のインプラントへ延びるが、カテーテルの外側端部に取り付けられるポンプ、リザーバまたはポートを含まない(外側端部とは、インプラントが取り付けられる端部とは反対側の端部のことである)。
【0085】
[00109]本発明の整形外科インプラントは、多孔性コーティングを含めた現在利用可能な任意の設計と共に適用することが可能であり、またセメントで固められたインプラントと共に用いることもできる。
【0086】
[00110]本発明はさらに、システム30などの整形外科インプラントシステムを使用する方法を提供する。その方法は、リザーバ38及び複数の流路40を含む整形外科インプラント32を、身体34内の選択された位置に移植するステップと、少なくとも1つの治療薬36をリザーバ38内に受け入れるステップと、少なくとも1つの治療薬36を流路40を介して、リザーバ38から身体34に関する治療部位42まで運ぶステップと、少なくとも1つの治療薬42を身体34に送達するステップとを含む。先に論じたように、本発明によるインプラントは、補綴物、釘体、プレート、または移植されるピンを備えた外部固定装置である。インプラント32は、選択された位置に移植される本体44を含み、本体44はリザーバ38及び流路40を画定し、かつ外部表面46を含み、流路40はリザーバ38を外部表面46と流体連通させ、それによって、治療薬36をリザーバ38から外部表面46まで運ぶ。方法は、外部表面1146に多孔性表面1154を取り付けるステップを含むことが可能であり、多孔性表面1154は、その内部に骨及び/または組織の内殖1156を受け入れ、多孔性表面1154は、外部表面1146に取り付けられた第1の面1164、及び前記第1の面1164に対向する第2の面1166を含み、多孔性表面1154は、第1の面1164から第2の面1166へ延びる貫通孔1168を含み、貫通孔1168は、少なくとも1つの治療薬1136を第1の面1164から第2の面1166まで導き、それによって、少なくとも1つの治療薬1136を治療部位1142まで導く。外部表面1146は表面流路1170を画定することが可能であり、表面流路1170は、少なくとも1つの流路1140及び少なくとも1つの貫通孔1168と連通及び協働し、それによって、少なくとも1つの治療薬1136をリザーバ1138から治療部位1142に供給する。少なくとも1つの流路40は表面下の流路1172とすることが可能であり、表面下の流路1172及び貫通孔1168は互いに整列及び協働し、それによって、少なくとも1つの治療薬1136をリザーバ1138から治療部位1142に供給する。方法は、インプラント1932から離れた身体1934の中に、第2のリザーバ1994、ポンプ1995及び/またはポート1996を移植するステップと、第2のリザーバ1994、ポンプ1995及び/またはポート1996を、身体1934内に移植された少なくとも1つのカテーテル1998によってインプラント1932のリザーバ1938に接続するステップと、少なくとも1つの治療薬1936を、インプラント1932、カテーテル1998、ならびに第2のリザーバ1994、ポンプ1995及び/またはポート1996を介して治療部位1942に送達するステップとを含むことができる。方法は、身体2034内に移植されない第2のリザーバ2094、ポンプ2095及び/またはポート2096を提供するステップと、第2のリザーバ2094、ポンプ2095及び/またはポート2096を、少なくとも1つの経皮カテーテル2098によってインプラント2032のリザーバ2038に接続するステップと、少なくとも1つの治療薬2036を、インプラント2032、カテーテル2098、ならびに第2のリザーバ2094、ポンプ2095及び/またはポート2096を介して治療部位2042に送達するステップとを含むことができる。方法は、リザーバ1538にカートリッジ1586を挿入するステップであって、カートリッジ1586が、少なくとも1つの治療薬1536を含み、かつ少なくとも1つの治療薬1536が少なくとも1つの流路1540内をリザーバ1538から離れて移動するように、少なくとも1つの治療薬1536をリザーバ1538及び/または少なくとも1つの流路1540の中に放出するステップと、インプラント1532が身体1534内に移植された後、カートリッジ1586をリザーバ1538から取り外すステップと、インプラント1532が身体1534内に移植された後、カートリッジ1586を他のカートリッジ1586と交換するステップとを含むことができる。方法は、スポンジ状要素1892を提供するステップであって、リザーバ1838がスポンジ状要素1892を包含するステップを含む。インプラント1632、1732の本体1644、1744は、部分的にまたは完全に多孔性とすることができる。外部固定装置1432は、移植可能なピン1476、ピン1476と結合された鞘部1478、及び鞘部1478と結合されたリザーバ1480を含むことが可能であり、ピン1476は複数の流路1440を画定する。インプラントが、ただ1つのリザーバを含んでもよい。方法は、インプラント32が身体34内に移植された後、リザーバ38を少なくとも1つの治療薬36で再充填するステップを含むことができる。方法は、複数の治療薬36をリザーバ38及びインプラント32の流路40を介して身体34に送達するステップを含むことができる。
【0087】
[00111]本発明を少なくとも1つの実施形態について記述してきたが、本発明は、本開示の趣旨及び範囲の中でさらに変更することが可能である。したがって本願は、その一般的な原理を用いた本発明の任意の変形、使用または適応を包含するものである。さらに本願は、本発明が属する技術分野における周知のまたは通例の実施の範囲に含まれ、かつ添付の特許請求の範囲の範囲に含まれる本開示からのそうした逸脱を包含するものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
整形外科インプラントシステムにおいて、
身体内の選択された位置に移植可能であり、かつ少なくとも1つの治療薬を前記身体に送達するように構成された整形外科インプラントであって、リザーバ及び複数の流路を含み、前記リザーバが前記少なくとも1つの治療薬を受け入れるように構成され、前記複数の流路が前記少なくとも1つの治療薬を前記リザーバから前記身体に関する治療部位まで運ぶように構成された、整形外科インプラントを備えた整形外科インプラントシステム。
【請求項2】
請求項1に記載の整形外科インプラントシステムにおいて、
前記インプラントは、補綴物、釘体、プレート、及び移植可能なピンを備えた外部固定装置のうちの1つである整形外科インプラントシステム。
【請求項3】
請求項2に記載の整形外科インプラントシステムにおいて、前記インプラントは前記選択された位置に移植可能な本体を含み、前記本体は前記リザーバ及び前記複数の流路を画定しかつ外部表面を含み、前記複数の流路は前記リザーバを前記外部表面と流体連通させることにより、前記少なくとも1つの治療薬を前記リザーバから前記外部表面まで運ぶように構成された整形外科インプラントシステム。
【請求項4】
請求項3に記載の整形外科インプラントシステムにおいて、
前記外部表面に取り付けられた多孔性表面をさらに含み、前記多孔性表面は、その内部に骨及び組織の内殖のうちの少なくとも1つを受け入れるように構成され、前記多孔性表面は、前記外部表面に取り付けられた第1の面、及び前記第1の面に対向する第2の面を含み、前記多孔性表面は、前記第1の面から前記第2の面へ延びる貫通孔を含み、前記貫通孔は、前記少なくとも1つの治療薬を前記第1の面から前記第2の面まで導くことにより、前記少なくとも1つの治療薬を前記治療部位まで導くように構成された整形外科インプラントシステム。
【請求項5】
請求項4に記載の整形外科インプラントシステムにおいて、
前記外部表面によって画定された表面流路をさらに含み、前記表面流路は1つの前記流路及び前記貫通孔と連通及び協働して、前記少なくとも1つの治療薬を前記リザーバから前記治療部位に供給する整形外科インプラントシステム。
【請求項6】
請求項4に記載の整形外科インプラントシステムにおいて、
前記流路のうちの少なくとも1つは表面下の流路であり、前記表面下の流路及び前記貫通孔は互いに整列及び協働して、前記少なくとも1つの治療薬を前記リザーバから前記治療部位に供給する整形外科インプラントシステム。
【請求項7】
請求項3に記載の整形外科インプラントシステムにおいて、
前記インプラントから離れた前記身体の中に移植可能であり、前記身体内に移植可能な少なくとも1つのカテーテルによって前記インプラントの前記リザーバに接続されたことにより、前記少なくとも1つの治療薬を、前記インプラントを介して前記治療部位に送達するように構成された第2のリザーバ、ポンプ及びポートのうちの少なくとも1つをさらに含む整形外科インプラントシステム。
【請求項8】
請求項3に記載の整形外科インプラントシステムにおいて、
前記身体内に移植することはできないが、少なくとも1つの経皮カテーテルによって前記インプラントの前記リザーバに接続されることにより、前記少なくとも1つの治療薬を、前記インプラントを介して前記治療部位に送達するように構成された第2のリザーバ、ポンプ及びポートのうちの少なくとも1つをさらに含む整形外科インプラントシステム。
【請求項9】
請求項3に記載の整形外科インプラントシステムにおいて、
前記リザーバに挿入されたカートリッジをさらに含み、前記カートリッジは、前記少なくとも1つの治療薬を含み、かつ前記少なくとも1つの治療薬が前記少なくとも1つの流路内を前記リザーバから離れて移動するように、前記少なくとも1つの治療薬を前記リザーバ、及び前記流路のうちの少なくとも1つのうちの少なくとも1つ、の中に放出するように構成され、前記インプラントが前記身体内に移植された後、前記カートリッジは前記リザーバから取り外されることができ、また他のカートリッジと交換されることができる整形外科インプラントシステム。
【請求項10】
請求項3に記載の整形外科インプラントシステムにおいて、
スポンジ状要素をさらに含み、前記リザーバが前記スポンジ状要素を包含する整形外科インプラントシステム。
【請求項11】
請求項3に記載の整形外科インプラントシステムにおいて、
前記インプラントの前記本体は、部分的に多孔性であること、及び完全に多孔性であることのうちの一方である整形外科インプラントシステム。
【請求項12】
請求項2に記載の整形外科インプラントシステムにおいて、
前記外部固定装置は、前記移植可能なピン、前記ピンと結合された鞘部、及び前記鞘部と結合された前記リザーバを含み、前記ピンが前記複数の流路を画定する整形外科インプラントシステム。
【請求項13】
請求項2に記載の整形外科インプラントシステムにおいて、
前記インプラントはただ1つの前記リザーバを含む整形外科インプラントシステム。
【請求項14】
請求項2に記載の整形外科インプラントシステムにおいて、
前記リザーバは、前記インプラントが前記身体内に移植された後、前記少なくとも1つの治療薬で再充填されるように構成された整形外科インプラントシステム。
【請求項15】
請求項2に記載の整形外科インプラントシステムにおいて、
前記インプラントは、複数の治療薬を前記リザーバ及び前記複数の流路を介して前記身体に送達するように構成された整形外科インプラントシステム。
【請求項16】
整形外科インプラントシステムを使用する方法において、
身体内の選択された位置に整形外科インプラントを移植するステップであって、前記インプラントはリザーバ及び複数の流路を含む、ステップと、
少なくとも1つの治療薬を前記リザーバ内に受け入れるステップと、
前記少なくとも1つの治療薬を、前記複数の流路を介して前記リザーバから前記身体に関する治療部位まで運ぶステップと、
前記少なくとも1つの治療薬を前記身体に送達するステップとを含む方法。
【請求項17】
請求項16に記載の方法において、
前記インプラントは、補綴物、釘体、プレート、及び移植されたピンを備えた外部固定装置のうちの1つである方法。
【請求項18】
請求項17に記載の方法において、
前記インプラントは前記選択された位置に移植された本体を含み、前記本体は前記リザーバ及び前記複数の流路を画定し、かつ外部表面を含み、前記複数の流路は前記リザーバを前記外部表面と流体連通させることにより、前記少なくとも1つの治療薬を前記リザーバから前記外部表面まで運ぶ方法。
【請求項19】
請求項18に記載の方法において、
前記外部表面に多孔性表面を取り付けるステップをさらに含み、前記多孔性表面は、その内部に骨及び組織の内殖のうちの少なくとも1つを受け入れ、前記多孔性表面は、前記外部表面に取り付けられた第1の面、及び前記第1の面に対向する第2の面を含み、前記多孔性表面は、前記第1の面から前記第2の面へ延びる貫通孔を含み、前記貫通孔は、前記少なくとも1つの治療薬を前記第1の面から前記第2の面まで導くことにより、前記少なくとも1つの治療薬を前記治療部位まで導く方法。
【請求項20】
請求項19に記載の方法において、
前記外部表面によって表面流路が画定され、前記表面流路は1つの前記流路及び前記貫通孔と連通及び協働することにより、前記少なくとも1つの治療薬を前記リザーバから前記治療部位に供給する方法。
【請求項21】
請求項19に記載の方法において、
前記流路のうちの少なくとも1つが表面下の流路であり、前記表面下の流路及び前記貫通孔は互いに整列及び協働することにより、前記少なくとも1つの治療薬を前記リザーバから前記治療部位に供給する方法。
【請求項22】
請求項18に記載の方法において、
前記インプラントから離れた前記身体内に、第2のリザーバ、ポンプ及びポートのうちの少なくとも1つを移植するステップと、前記第2のリザーバ、前記ポンプ及び前記ポートのうちの少なくとも1つを、前記身体内に移植された少なくとも1つのカテーテルによって前記インプラントの前記リザーバに接続するステップと、前記少なくとも1つの治療薬を、前記インプラント、前記カテーテル、ならびに前記第2のリザーバ、前記ポンプ及び前記ポートのうちの少なくとも1つを介して前記治療部位に送達するステップとをさらに含む方法。
【請求項23】
請求項18に記載の方法において、
前記身体内に移植されていない第2のリザーバ、ポンプ及びポートのうちの少なくとも1つを提供するステップと、前記第2のリザーバ、前記ポンプ及び前記ポートのうちの少なくとも1つを、少なくとも1つの経皮カテーテルによって前記インプラントの前記リザーバに接続するステップと、前記少なくとも1つの治療薬を、前記インプラント、前記カテーテル、ならびに前記第2のリザーバ、前記ポンプ及び前記ポートのうちの少なくとも1つを介して前記治療部位に送達するステップとをさらに含む方法。
【請求項24】
請求項18に記載の方法において、
前記リザーバにカートリッジを挿入するステップであって、前記カートリッジが前記少なくとも1つの治療薬を含み、かつ前記少なくとも1つの治療薬が、前記少なくとも1つの流路内を前記リザーバから離れて移動するように、前記少なくとも1つの治療薬を前記リザーバ、及び前記流路のうちの少なくとも1つのうちの少なくとも1つ、の中に放出するステップと、前記インプラントが前記身体内に移植された後、前記カートリッジを前記リザーバから取り外すステップと、前記インプラントが前記身体内に移植された後、前記カートリッジを他のカートリッジと交換するステップとをさらに含む方法。
【請求項25】
請求項18に記載の方法において、
スポンジ状要素を提供するステップであって、前記リザーバは前記スポンジ状要素を包含する、ステップをさらに含む方法。
【請求項26】
請求項18に記載の方法において、
前記インプラントの前記本体は、部分的に多孔性であること、及び完全に多孔性であることのうちの一方である方法。
【請求項27】
請求項17に記載の方法において、
前記外部固定装置は、前記移植可能なピン、前記ピンと結合された鞘部、及び前記鞘部と結合された前記リザーバを含み、前記ピンは前記複数の流路を画定する方法。
【請求項28】
請求項17に記載の方法において、
前記インプラントはただ1つの前記リザーバを含む方法。
【請求項29】
請求項17に記載の方法において、
前記インプラントが前記身体内に移植された後、前記リザーバを前記少なくとも1つの治療薬で再充填するステップをさらに含む方法。
【請求項30】
請求項17に記載の方法において、
複数の治療薬を、前記インプラントの前記リザーバ及び前記複数の流路を介して前記身体に送達するステップをさらに含む方法。
【請求項31】
整形外科インプラントシステムにおいて、
身体内の選択された位置に移植可能であり、かつ治療薬を前記身体に送達するように構成された本体を含む整形外科インプラントであって、前記本体は、複数の表面流路を画定し、かつ治療薬リザーバを持たない外部表面を含み、前記複数の表面流路は、前記インプラントが前記身体内に移植された後、前記治療薬を受け入れ、保持し、送達し、前記治療薬で再充填されるように構成された、整形外科インプラントと、
前記外部表面に取り付けられる多孔性表面であって、その内部に骨及び組織の内殖のうちの少なくとも1つを受け入れるように構成され、前記外部表面に取り付けられた第1の面、及び前記第1の面に対向する第2の面を含み、前記第1の面から前記第2の面へ延びる複数の貫通孔を含み、前記複数の表面流路は前記複数の貫通孔と連通及び協働して、前記治療薬を前記複数の表面流路から前記多孔性表面の前記第1の面及び前記多孔性表面の前記第2の面に供給する多孔性表面とを含む整形外科インプラントシステム。
【請求項32】
請求項31に記載の治療薬送達システムにおいて、
前記インプラントは、補綴物、釘体、プレート、及び移植可能なピンを備えた外部固定装置のうちの1つである治療薬送達システム。
【請求項1】
整形外科インプラントシステムにおいて、
身体内の選択された位置に移植可能であり、かつ少なくとも1つの治療薬を前記身体に送達するように構成された整形外科インプラントであって、リザーバ及び複数の流路を含み、前記リザーバが前記少なくとも1つの治療薬を受け入れるように構成され、前記複数の流路が前記少なくとも1つの治療薬を前記リザーバから前記身体に関する治療部位まで運ぶように構成された、整形外科インプラントを備えた整形外科インプラントシステム。
【請求項2】
請求項1に記載の整形外科インプラントシステムにおいて、
前記インプラントは、補綴物、釘体、プレート、及び移植可能なピンを備えた外部固定装置のうちの1つである整形外科インプラントシステム。
【請求項3】
請求項2に記載の整形外科インプラントシステムにおいて、前記インプラントは前記選択された位置に移植可能な本体を含み、前記本体は前記リザーバ及び前記複数の流路を画定しかつ外部表面を含み、前記複数の流路は前記リザーバを前記外部表面と流体連通させることにより、前記少なくとも1つの治療薬を前記リザーバから前記外部表面まで運ぶように構成された整形外科インプラントシステム。
【請求項4】
請求項3に記載の整形外科インプラントシステムにおいて、
前記外部表面に取り付けられた多孔性表面をさらに含み、前記多孔性表面は、その内部に骨及び組織の内殖のうちの少なくとも1つを受け入れるように構成され、前記多孔性表面は、前記外部表面に取り付けられた第1の面、及び前記第1の面に対向する第2の面を含み、前記多孔性表面は、前記第1の面から前記第2の面へ延びる貫通孔を含み、前記貫通孔は、前記少なくとも1つの治療薬を前記第1の面から前記第2の面まで導くことにより、前記少なくとも1つの治療薬を前記治療部位まで導くように構成された整形外科インプラントシステム。
【請求項5】
請求項4に記載の整形外科インプラントシステムにおいて、
前記外部表面によって画定された表面流路をさらに含み、前記表面流路は1つの前記流路及び前記貫通孔と連通及び協働して、前記少なくとも1つの治療薬を前記リザーバから前記治療部位に供給する整形外科インプラントシステム。
【請求項6】
請求項4に記載の整形外科インプラントシステムにおいて、
前記流路のうちの少なくとも1つは表面下の流路であり、前記表面下の流路及び前記貫通孔は互いに整列及び協働して、前記少なくとも1つの治療薬を前記リザーバから前記治療部位に供給する整形外科インプラントシステム。
【請求項7】
請求項3に記載の整形外科インプラントシステムにおいて、
前記インプラントから離れた前記身体の中に移植可能であり、前記身体内に移植可能な少なくとも1つのカテーテルによって前記インプラントの前記リザーバに接続されたことにより、前記少なくとも1つの治療薬を、前記インプラントを介して前記治療部位に送達するように構成された第2のリザーバ、ポンプ及びポートのうちの少なくとも1つをさらに含む整形外科インプラントシステム。
【請求項8】
請求項3に記載の整形外科インプラントシステムにおいて、
前記身体内に移植することはできないが、少なくとも1つの経皮カテーテルによって前記インプラントの前記リザーバに接続されることにより、前記少なくとも1つの治療薬を、前記インプラントを介して前記治療部位に送達するように構成された第2のリザーバ、ポンプ及びポートのうちの少なくとも1つをさらに含む整形外科インプラントシステム。
【請求項9】
請求項3に記載の整形外科インプラントシステムにおいて、
前記リザーバに挿入されたカートリッジをさらに含み、前記カートリッジは、前記少なくとも1つの治療薬を含み、かつ前記少なくとも1つの治療薬が前記少なくとも1つの流路内を前記リザーバから離れて移動するように、前記少なくとも1つの治療薬を前記リザーバ、及び前記流路のうちの少なくとも1つのうちの少なくとも1つ、の中に放出するように構成され、前記インプラントが前記身体内に移植された後、前記カートリッジは前記リザーバから取り外されることができ、また他のカートリッジと交換されることができる整形外科インプラントシステム。
【請求項10】
請求項3に記載の整形外科インプラントシステムにおいて、
スポンジ状要素をさらに含み、前記リザーバが前記スポンジ状要素を包含する整形外科インプラントシステム。
【請求項11】
請求項3に記載の整形外科インプラントシステムにおいて、
前記インプラントの前記本体は、部分的に多孔性であること、及び完全に多孔性であることのうちの一方である整形外科インプラントシステム。
【請求項12】
請求項2に記載の整形外科インプラントシステムにおいて、
前記外部固定装置は、前記移植可能なピン、前記ピンと結合された鞘部、及び前記鞘部と結合された前記リザーバを含み、前記ピンが前記複数の流路を画定する整形外科インプラントシステム。
【請求項13】
請求項2に記載の整形外科インプラントシステムにおいて、
前記インプラントはただ1つの前記リザーバを含む整形外科インプラントシステム。
【請求項14】
請求項2に記載の整形外科インプラントシステムにおいて、
前記リザーバは、前記インプラントが前記身体内に移植された後、前記少なくとも1つの治療薬で再充填されるように構成された整形外科インプラントシステム。
【請求項15】
請求項2に記載の整形外科インプラントシステムにおいて、
前記インプラントは、複数の治療薬を前記リザーバ及び前記複数の流路を介して前記身体に送達するように構成された整形外科インプラントシステム。
【請求項16】
整形外科インプラントシステムを使用する方法において、
身体内の選択された位置に整形外科インプラントを移植するステップであって、前記インプラントはリザーバ及び複数の流路を含む、ステップと、
少なくとも1つの治療薬を前記リザーバ内に受け入れるステップと、
前記少なくとも1つの治療薬を、前記複数の流路を介して前記リザーバから前記身体に関する治療部位まで運ぶステップと、
前記少なくとも1つの治療薬を前記身体に送達するステップとを含む方法。
【請求項17】
請求項16に記載の方法において、
前記インプラントは、補綴物、釘体、プレート、及び移植されたピンを備えた外部固定装置のうちの1つである方法。
【請求項18】
請求項17に記載の方法において、
前記インプラントは前記選択された位置に移植された本体を含み、前記本体は前記リザーバ及び前記複数の流路を画定し、かつ外部表面を含み、前記複数の流路は前記リザーバを前記外部表面と流体連通させることにより、前記少なくとも1つの治療薬を前記リザーバから前記外部表面まで運ぶ方法。
【請求項19】
請求項18に記載の方法において、
前記外部表面に多孔性表面を取り付けるステップをさらに含み、前記多孔性表面は、その内部に骨及び組織の内殖のうちの少なくとも1つを受け入れ、前記多孔性表面は、前記外部表面に取り付けられた第1の面、及び前記第1の面に対向する第2の面を含み、前記多孔性表面は、前記第1の面から前記第2の面へ延びる貫通孔を含み、前記貫通孔は、前記少なくとも1つの治療薬を前記第1の面から前記第2の面まで導くことにより、前記少なくとも1つの治療薬を前記治療部位まで導く方法。
【請求項20】
請求項19に記載の方法において、
前記外部表面によって表面流路が画定され、前記表面流路は1つの前記流路及び前記貫通孔と連通及び協働することにより、前記少なくとも1つの治療薬を前記リザーバから前記治療部位に供給する方法。
【請求項21】
請求項19に記載の方法において、
前記流路のうちの少なくとも1つが表面下の流路であり、前記表面下の流路及び前記貫通孔は互いに整列及び協働することにより、前記少なくとも1つの治療薬を前記リザーバから前記治療部位に供給する方法。
【請求項22】
請求項18に記載の方法において、
前記インプラントから離れた前記身体内に、第2のリザーバ、ポンプ及びポートのうちの少なくとも1つを移植するステップと、前記第2のリザーバ、前記ポンプ及び前記ポートのうちの少なくとも1つを、前記身体内に移植された少なくとも1つのカテーテルによって前記インプラントの前記リザーバに接続するステップと、前記少なくとも1つの治療薬を、前記インプラント、前記カテーテル、ならびに前記第2のリザーバ、前記ポンプ及び前記ポートのうちの少なくとも1つを介して前記治療部位に送達するステップとをさらに含む方法。
【請求項23】
請求項18に記載の方法において、
前記身体内に移植されていない第2のリザーバ、ポンプ及びポートのうちの少なくとも1つを提供するステップと、前記第2のリザーバ、前記ポンプ及び前記ポートのうちの少なくとも1つを、少なくとも1つの経皮カテーテルによって前記インプラントの前記リザーバに接続するステップと、前記少なくとも1つの治療薬を、前記インプラント、前記カテーテル、ならびに前記第2のリザーバ、前記ポンプ及び前記ポートのうちの少なくとも1つを介して前記治療部位に送達するステップとをさらに含む方法。
【請求項24】
請求項18に記載の方法において、
前記リザーバにカートリッジを挿入するステップであって、前記カートリッジが前記少なくとも1つの治療薬を含み、かつ前記少なくとも1つの治療薬が、前記少なくとも1つの流路内を前記リザーバから離れて移動するように、前記少なくとも1つの治療薬を前記リザーバ、及び前記流路のうちの少なくとも1つのうちの少なくとも1つ、の中に放出するステップと、前記インプラントが前記身体内に移植された後、前記カートリッジを前記リザーバから取り外すステップと、前記インプラントが前記身体内に移植された後、前記カートリッジを他のカートリッジと交換するステップとをさらに含む方法。
【請求項25】
請求項18に記載の方法において、
スポンジ状要素を提供するステップであって、前記リザーバは前記スポンジ状要素を包含する、ステップをさらに含む方法。
【請求項26】
請求項18に記載の方法において、
前記インプラントの前記本体は、部分的に多孔性であること、及び完全に多孔性であることのうちの一方である方法。
【請求項27】
請求項17に記載の方法において、
前記外部固定装置は、前記移植可能なピン、前記ピンと結合された鞘部、及び前記鞘部と結合された前記リザーバを含み、前記ピンは前記複数の流路を画定する方法。
【請求項28】
請求項17に記載の方法において、
前記インプラントはただ1つの前記リザーバを含む方法。
【請求項29】
請求項17に記載の方法において、
前記インプラントが前記身体内に移植された後、前記リザーバを前記少なくとも1つの治療薬で再充填するステップをさらに含む方法。
【請求項30】
請求項17に記載の方法において、
複数の治療薬を、前記インプラントの前記リザーバ及び前記複数の流路を介して前記身体に送達するステップをさらに含む方法。
【請求項31】
整形外科インプラントシステムにおいて、
身体内の選択された位置に移植可能であり、かつ治療薬を前記身体に送達するように構成された本体を含む整形外科インプラントであって、前記本体は、複数の表面流路を画定し、かつ治療薬リザーバを持たない外部表面を含み、前記複数の表面流路は、前記インプラントが前記身体内に移植された後、前記治療薬を受け入れ、保持し、送達し、前記治療薬で再充填されるように構成された、整形外科インプラントと、
前記外部表面に取り付けられる多孔性表面であって、その内部に骨及び組織の内殖のうちの少なくとも1つを受け入れるように構成され、前記外部表面に取り付けられた第1の面、及び前記第1の面に対向する第2の面を含み、前記第1の面から前記第2の面へ延びる複数の貫通孔を含み、前記複数の表面流路は前記複数の貫通孔と連通及び協働して、前記治療薬を前記複数の表面流路から前記多孔性表面の前記第1の面及び前記多孔性表面の前記第2の面に供給する多孔性表面とを含む整形外科インプラントシステム。
【請求項32】
請求項31に記載の治療薬送達システムにおいて、
前記インプラントは、補綴物、釘体、プレート、及び移植可能なピンを備えた外部固定装置のうちの1つである治療薬送達システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【公表番号】特表2012−500056(P2012−500056A)
【公表日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−523170(P2011−523170)
【出願日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際出願番号】PCT/US2009/053724
【国際公開番号】WO2010/019781
【国際公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【出願人】(511039728)スメド−ティーエイ/ティーディー・エルエルシー (6)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際出願番号】PCT/US2009/053724
【国際公開番号】WO2010/019781
【国際公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【出願人】(511039728)スメド−ティーエイ/ティーディー・エルエルシー (6)
【Fターム(参考)】
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