蛍光体封入用毛細管の製造方法及び波長変換部材の製造方法
【課題】ガラス毛細管中に蛍光体が封入された波長変換部材であって、端部の太さが抑制された波長変換部材を製造し得る方法を提供する。
【解決手段】横断面における外形が幅方向に細長い細長形状のガラス毛細管10の第2の端部10Bを封止する封止工程を行う。封止工程は、第1の加熱工程と、第2の加熱工程とを含む。第1の加熱工程は、加熱手段20を第2の端部10B上を横切らせることにより第2の端部10Bを加熱して封止する工程である。第2の加熱工程は、加熱手段20を第2の端部10Bの上を、第1の加熱工程とは逆方向に横切らせることにより再度加熱する工程である。
【解決手段】横断面における外形が幅方向に細長い細長形状のガラス毛細管10の第2の端部10Bを封止する封止工程を行う。封止工程は、第1の加熱工程と、第2の加熱工程とを含む。第1の加熱工程は、加熱手段20を第2の端部10B上を横切らせることにより第2の端部10Bを加熱して封止する工程である。第2の加熱工程は、加熱手段20を第2の端部10Bの上を、第1の加熱工程とは逆方向に横切らせることにより再度加熱する工程である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蛍光体封入用毛細管の製造方法及び波長変換部材の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、例えば、液晶ディスプレイのバックライトなどの用途に用いられる白色光源の開発が盛んに行われている。そのような白色光源の一例として、例えば下記の特許文献1には、青色光を出射するLED(Light Emitting Diode)の光出射側にLEDからの光の一部を吸収し、黄色の光を出射する波長変換部材を配置した光源が開示されている。この光源からは、LEDから出射され波長変換部材を透過した青色光と、波長変換部材から出射された黄色光との合成光である白色光が出射される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−25285号公報
【特許文献2】特開2007−225462号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、液晶ディスプレイのバックライトには、直下型とエッジライト型とがある。直下型のバックライトは、比較的高い輝度が得られやすいという利点を有する反面、面状光源と拡散板とが積層されるため、厚さ寸法が大きくなりやすいという欠点を有する。それに対して、エッジライト型のバックライトでは、光源が導光体の側方に配置される。このため、エッジライト型のバックライトには、直下型のバックライトよりも薄型化しやすいという利点がある。従って、エッジライト型のバックライトは、携帯電話機用液晶ディスプレイや、ノート型パソコン用液晶ディスプレイなどの薄型であることが強く求められる用途に多用されている。
【0005】
このエッジライト型のバックライトでは、輝度むらが小さく均一な面状光を得るために、導光体の側面に対して均一に光を入射させる必要がある。このため、エッジライト型のバックライトでは、白色の線状光源が好適に用いられる。
【0006】
白色の線状光源としては、例えば、直線状に配置された青色光を出射する複数のLED(以下、「青色LED」とする。)と、複数の青色LEDの前方に配置されている線状の波長変換部材とを備えるものが考えられる。線状の波長変換部材としては、例えば、毛細管と、毛細管内に封入された蛍光体とを備えるものが考えられる。
【0007】
このような線状の波長変換部材を製造し得る方法として、例えば、上記特許文献2には、以下のような方法が記載されている。具体的には、まず、ガラス毛細管の一部をバーナーにより加熱することによって一方の端部が塞がれたガラス毛細管を作製する。そのガラス毛細管に液体試料を注入した後に、ガラス毛細管の他方側端部をバーナーで加熱しながら切り離すことにより封止することが開示されている。特許文献2に記載の波長変換部材のガラス管は、横断面円形である。
【0008】
しかしながら、特許文献2に記載の波長変換部材では、横断面が円形であるため、波長変換部材からの光の導光体への入射率を十分に高めることが困難であるという問題がある。
【0009】
本発明は、斯かる点に鑑みて成されたものであり、その目的は、ガラス毛細管中に蛍光体が封入された波長変換部材であって、端部の太さが抑制された波長変換部材を製造し得る方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る蛍光体封入用毛細管の製造方法は、長さ方向の第1の側に位置する第1の端部が開口している一方、長さ方向の第2の側に位置する第2の端部が封止されており、第1の端部から蛍光体が封入される蛍光体封入用毛細管の製造方法に関する。本発明に係る蛍光体封入用毛細管の製造方法は、封止工程を備えている。封止工程は、横断面における外形が幅方向に細長い細長形状のガラス毛細管の第2の端部を封止する工程である。封止工程は、第1の加熱工程と、第2の加熱工程とを含む。第1の加熱工程は、加熱手段を第2の端部上を横切らせることにより第2の端部を加熱して封止する工程である。第2の加熱工程は、加熱手段を第2の端部の上を、第1の加熱工程とは逆方向に横切らせることにより再度加熱する工程である。
【0011】
第1及び第2の加熱工程において、第2の端部がガラス毛細管の第2の端部以外の部分よりも太くならないように加熱手段による加熱温度及び加熱手段の移動速度を設定することが好ましい。
【0012】
第1及び第2の加熱工程において、加熱手段を、ガラス毛細管の厚み方向に移動させることが好ましい。
【0013】
加熱手段として、レーザー照射装置を用い、レーザー照射装置により第2の端部にレーザーを照射することにより、第2の端部を加熱することが好ましい。
【0014】
レーザー照射装置として、レーザー光のスポット形状が、ガラス毛細管の幅方向に細長い細長形状であるレーザー照射装置を用いることが好ましい。
【0015】
レーザー照射装置として、第1及び第2の加熱工程において第2の端部に対してレーザー光が照射されている時間が、レーザー照射装置の移動方向と垂直な方向において一定となるようなスポット形状のレーザー光を照射するレーザー照射装置を用いることが好ましい。
【0016】
なお、本発明において、「時間が一定」は、各時間が平均時間の±10%の範囲内にあることを意味し、時間のばらつきが完全にゼロであることを意味するものではない。
【0017】
レーザー照射装置として、レーザー光の強度が、ガラス毛細管の幅方向におけるレーザー光のスポットの中央部において略一定であるレーザー光を照射するレーザー照射装置を用いることが好ましい。
【0018】
本発明に係る波長変換部材の製造方法は、両端が封止されたガラス毛細管と、ガラス毛細管内に封入された蛍光体とを備える波長変換部材の製造方法に関する。本発明に係る波長変換部材の製造方法では、長さ方向の第1の側に位置する第1の端部が開口している一方、長さ方向の第2の側に位置する第2の端部が封止されており、横断面における外形が幅方向に細長い細長形状のガラス毛細管を用意する用意工程を行う。ガラス毛細管に第1の端部から蛍光体を注入する。蛍光体が注入されたガラス毛細管の第1の端部を封止する第1の端部封止工程を行う。第1の端部封止工程は、第3の加熱工程と、第4の加熱工程とを含む。第3の加熱工程は、加熱手段を第1の端部上を横切らせることにより第1の端部を加熱して封止する工程である。第4の加熱工程は、加熱手段を第1の端部の上を、第
3の加熱工程とは逆方向に横切らせることにより再度加熱する工程である。
【0019】
用意工程は、横断面における外形が幅方向に細長い細長形状のガラス毛細管の第2の端部を封止する第2の端部封止工程を有していてもよい。第2の端部封止工程は、第1の加熱工程と、第2の加熱工程とを含むことが好ましい。第1の加熱工程は、加熱手段を第2の端部上を横切らせることにより第2の端部を加熱して封止する工程である。第2の加熱工程は、加熱手段を第2の端部の上を、第1の加熱工程とは逆方向に横切らせることにより再度加熱する工程である。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、ガラス毛細管中に蛍光体が封入された波長変換部材であって、端部の太さが抑制された波長変換部材を製造し得る方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】ガラス毛細管の略図的斜視図である。
【図2】図1の線II−IIにおける略図的断面図である。
【図3】図1の線III−IIIにおける略図的断面図である。
【図4】ガラス毛細管の第2の端部の封止工程を説明するための模式的側面図である。
【図5】レーザーのスポット径の形状を説明するための模式的平面図である。
【図6】ガラス毛細管の第2の端部の封止工程を説明するための模式的側面図である。
【図7】ガラス毛細管の第2の端部の封止工程を説明するための模式的側面図である。
【図8】蛍光体封入用毛細管の略図的断面図である。
【図9】蛍光体封入用毛細管への蛍光体の注入工程を説明するための略図的断面図である。
【図10】蛍光体封入用毛細管の第1の端部の封止工程を説明するための模式的側面図である。
【図11】蛍光体封入用毛細管の第1の端部の封止工程を説明するための模式的側面図である。
【図12】蛍光体封入用毛細管の第1の端部の封止工程を説明するための模式的側面図である。
【図13】波長変換部材の略図的断面図である。
【図14】変形例に係るレーザーのスポット径の形状を説明するための模式的平面図である。
【図15】波長変換部材の端部の幅方向から視た側面写真である。
【図16】波長変換部材の端部の厚み方向から視た側面写真である。
【図17】変形例に係るレーザーのスポット径の形状及びレーザーの出力分布を説明するための模式的平面図である。
【図18】変形例におけるガラス毛細管の略図的横断面図である。
【図19】変形例におけるガラス毛細管の略図的横断面図である。
【図20】変形例におけるガラス毛細管の略図的横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を実施した好ましい形態の一例について説明する。但し、以下の実施形態は、単なる一例であり、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されない。
【0023】
(蛍光体封入用毛細管の製造方法)
まず、本実施形態における蛍光体封入用毛細管の製造方法について説明する。ここで説明する蛍光体封入用毛細管は、長さ方向の第1の側に位置する第1の端部が開口している一方、長さ方向の第2の側に位置する第2の端部が封止されており、第1の端部から蛍光体が封入される蛍光体封入用毛細管である。
【0024】
(ガラス毛細管10の用意)
まず、図1〜図3に示す、第1及び第2の端部10A,10Bのそれぞれが開口したガラス毛細管10を用意する。ガラス毛細管10は、横断面(すなわち、幅方向W及び厚み方向Tに沿った断面)における外形が幅方向Wに細長い細長形状を有する。具体的には、本実施形態では、ガラス毛細管10は、横断面における外形が矩形状である角管状に形成されている。ここで、「角管」とは、長さ方向Lから視た際に、外形及び内形のそれぞれが矩形状である直管を意味する。「矩形」には、角部が面取り状またはR面取り状である矩形が含まれるものとする。
【0025】
ガラス毛細管10は、互いに対向する平板状の第1及び第2の側壁部10a、10bと、互いに対向する平板状の第3及び第4の側壁部10c、10dとを有する。これら第1〜第4の側壁部10a〜10dによって、角柱状の貫通孔10eが区画形成されている。
【0026】
ガラス毛細管10の寸法は特に限定されない。ガラス毛細管10の肉厚t(図2を参照)は、例えば、0.01mm〜1.0mm程度とすることができる。ガラス毛細管10の厚み方向Tに沿った内径L1は、例えば、0.05mm〜1.0mm程度とすることができる。ガラス毛細管10の厚み方向Tに沿った外径L3は、例えば、0.07mm〜3.0mm程度とすることができる。ガラス毛細管10の幅方向Wに沿った内径L2は、例えば、0.1mm〜2.0mm程度とすることができる。ガラス毛細管10の幅方向Wに沿った外径L4は、例えば、0.12mm〜4.0mm程度とすることができる。L1/L2及びL3/L4は、例えば、0.025〜0.5程度とすることができる。t/L1は、例えば、0.01〜2.0程度とすることができる。t/L2は、例えば、0.005
〜2.0程度とすることができる。ガラス毛細管10の長さ方向Lに沿った寸法L5は、例えば、10mm〜100mm程度とすることができる。
【0027】
ガラス毛細管10を構成しているガラスの種類は、特に限定されない。ガラス毛細管10は、例えば、珪酸塩系ガラス、硼酸塩系ガラス、リン酸塩系ガラス、硼珪酸塩系ガラス、硼リン酸塩系ガラスなどからなるものであってもよい。なかでも、製造される蛍光体封入用毛細管の剛性を高める観点から、ガラス毛細管10は、珪酸塩系ガラス、硼珪酸塩系ガラスにより形成されていることが好ましい。
【0028】
ガラス毛細管10の軟化温度(At)も特に限定されない。ガラス毛細管10の軟化温度(At)は、例えば、700℃〜950℃程度とすることができる。
【0029】
(ガラス毛細管10の第2の端部10Bの封止)
次に、図4〜図7を参照しながら、ガラス毛細管10の第2の端部10Bを封止する工程について説明する。
【0030】
この封止工程には、第1の加熱工程と第2の加熱工程とが含まれる。
【0031】
まず、第1の加熱工程を行う。具体的には、図4に示すように、第2の端部10Bの長さ方向LのL2側において、加熱手段20を第2の端部10Bの上を横切らせる。より具体的には、本実施形態では、加熱手段20を、第2の端部10Bの上を、厚み方向TのT1側からT2側に向けて横切らせる。これにより、第2の端部10Bを加熱して軟化させる。そして、第2の端部10Bを封止する。
【0032】
次に、第2の加熱工程を行う。具体的には、図6に示すように、第2の端部10Bの長さ方向LのL2側において、加熱手段20を第2の端部10Bの上を、第1の加熱工程とは逆方向に横切らせる。すなわち、加熱手段20を、第2の端部10Bの上を、厚み方向TのT2側からT1側に向けて横切らせる。これにより、図7に示すように、封止された第2の端部10Bを再度加熱して、第2の端部10Bの形状を整える。
【0033】
なお、本実施形態では、第1及び第2の加熱工程において、加熱手段20を厚み方向Tに移動させる例について説明するが、本発明において、加熱手段の移動方向は、厚み方向に限定されない。加熱手段を幅方向に移動させてもよいし、幅方向及び厚み方向に傾斜した方向に移動させてもよい。
【0034】
また、本実施形態では、第1及び第2の加熱工程を1回ずつ行う例について説明する。但し、本発明は、これに限定されない。第1及び第2の加熱工程を複数回繰り返して行ってもよい。
【0035】
加熱手段20は、ガラス毛細管10を加熱可能なものである限りにおいて特に限定されない。加熱手段20は、例えば、レーザー照射装置や、バーナーなどにより構成することができる。以下、本実施形態では、加熱手段20として、レーザー照射装置を用いる例について説明する。
【0036】
より具体的には、本実施形態において加熱手段20として用いるレーザー照射装置は、図5に示すように、レーザー光のスポット21の形状が、ガラス毛細管10の幅方向Wに細長い細長形状であるものである。このため、第1及び第2の加熱工程において、第2の端部10Bに対してレーザー光が照射されている時間が、加熱手段20の移動方向である厚み方向Tと垂直な幅方向Wにおいて一定とされている。すなわち、第2の端部10Bの幅方向Wの一方側端部、中央部及び他方側端部のそれぞれが、第1及び第2の加熱工程のそれぞれにおいて、略同じ時間だけレーザー光が照射されることとなる。
【0037】
なお、第1及び第2の加熱工程における加熱手段20による加熱温度と、加熱手段20の移動速度とは、第2の端部10Bがガラス毛細管10の他の部分よりも太くならないような値に設定されている。
【0038】
具体的には、レーザー光の出力を5W〜30W程度、移動速度を1mm/分〜50mm/分に調整される。
【0039】
(蛍光体封入用毛細管11)
上記第2の端部10Bの封止工程を行うことにより、図8に示す蛍光体封入用毛細管11を作製することができる(用意工程)。
【0040】
蛍光体封入用毛細管11の長さ方向LのL1側に位置する第1の端部11Aは開口している。この第1の端部11Aは、第1の端部10Aから構成されたものである。一方、蛍光体封入用毛細管11の長さ方向LのL2側に位置する第2の端部11Bは、封止されている。この第2の端部11Bは、第2の端部10Bから形成されたものである。蛍光体封入用毛細管11も、ガラス毛細管10と同様に、横断面における外形が幅方向Wに細長い細長形状、具体的には矩形状のものである。
【0041】
(蛍光体の注入)
次に、図9に示すように、蛍光体封入用毛細管11内に蛍光体30を注入する。この蛍光体30の注入方法は特に限定されないが、蛍光体30が、液体状であったり、蛍光体微粒子が液体中に分散したものである場合は、例えば、蛍光体封入用毛細管11内を減圧にした状態で蛍光体封入用毛細管11内に蛍光体を供給する方法を用いることが好ましい。
【0042】
この工程で注入する蛍光体30の種類は特に限定されない。蛍光体は、例えば、無機蛍光体粉末を含むものであってもよい。波長300nm〜440nmの紫外〜近紫外の励起光を照射すると青色の可視光(波長が440nm〜480nmの蛍光)を発する無機蛍光体の具体例としては、Sr5(PO4)3Cl:Eu2+、(Sr,Ba)MgAl10O17:Eu2+などが挙げられる。波長300nm〜440nmの紫外〜近紫外の励起光を照射すると緑色の可視光(波長が500nm〜540nmの蛍光)を発する無機蛍光体の具体例としては、SrAl2O4:Eu2+、SrGa2S4:Eu2+などが挙げられる。波長440nm〜480nmの青色の励起光を照射すると緑色の可視光(波長が500nm〜540nmの蛍光)を発する無機蛍光体の具体例としては、SrAl2O4:Eu2+、SrGa2S4:Eu2+などが挙げられる。波長300nm〜440nmの紫外〜近紫外の励起光を照射すると黄色の可視光(波長が540nm〜595nmの蛍光)を発する無蛍光体の具体例としては、ZnS:Eu2+などが挙げられる。波長440nm〜480nmの青色の励起光を照射すると黄色の可視光(波長が540nm〜595nmの蛍光)を発する無機蛍光体の具体例としては、Y3(Al,Gd)5O12:Ce2+などが挙げられる。波長300nm〜440nmの紫外〜近紫外の励起光を照射すると赤色の可視光(波長が600nm〜700nmの蛍光)を発する無機蛍光体の具体例としては、Gd3Ga4O12:Cr3+、CaGa2S4:Mn2+などが挙げられる。波長440nm〜480nmの青色の励起光を照射すると赤色の可視光(波長が600nm〜700nmの蛍光)を発する無機蛍光体の具体例としては、Mg2TiO4:Mn4+、K2SiF6:Mn4+などが挙げられる。
【0043】
また、無機蛍光体粉末は、例えば、量子ドットであってもよい。量子ドットは、励起光が入射したときに、励起光とは異なる波長の光を出射するものである。量子ドットから出射される光の波長は、量子ドットの粒子径に依存する。すなわち、量子ドットの粒子径を変化させることにより得られる光の波長を調整することができる。このため、量子ドットの粒子径は、得ようとする光の波長に応じた粒子径とされている。量子ドットは、一般に酸素との接触により劣化が生じ易い。
【0044】
量子ドットは、例えば、粒子径が2nm〜10nm程度のものを用いることができる。例えば、波長300〜440nmの紫外〜近紫外の励起光を照射すると青色の可視光(波長が440nm〜480nmの蛍光)を発する量子ドットの具体例としては、粒子径が2.0nm〜3.0nm程度のCdSeの微結晶などが挙げられる。波長300〜440nmの紫外〜近紫外の励起光や波長440〜480nmの青色の励起光を照射すると緑色の可視光(波長が500nm〜540nmの蛍光)を発する量子ドットの具体例としては、粒子径が3.0nm〜3.3nm程度のCdSeの微結晶などが挙げられる。波長300〜440nmの紫外〜近紫外の励起光や波長440〜480nmの青色の励起光を照射すると黄色の可視光(波長が540nm〜595nmの蛍光)を発する量子ドットの具体例としては、粒子径が3.3nm〜4.5nm程度のCdSeの微結晶などが挙げられる。波長300〜440nmの紫外〜近紫外の励起光や波長440〜480nmの青色の励起光を照射すると赤色の可視光(波長が600nm〜700nmの蛍光)を発する量子ドットの具体例としては、粒子径が4.5nm〜10nm程度のCdSeの微結晶などが挙げられる。
【0045】
蛍光体封入用毛細管11内には、励起光の波長域や発光させたい色に合わせて、1種類または複数種類の蛍光体30を封入してもよい。例えば、紫外〜近紫外の励起光を照射して、演色性に優れた白色光を得たい場合は、紫外〜近紫外の励起光の照射により、青色、緑色及び赤色の可視光(蛍光)を発する蛍光体30を混合して使用すればよい。また、青色の励起光を照射して、演色性に優れた白色光を得たい場合は、青色の励起光の照射により、緑色及び赤色の可視光(蛍光)を発する蛍光体30を混合して使用すればよい。
【0046】
(蛍光体封入用毛細管11の第1の端部11Aの封止)
次に、蛍光体30が注入された蛍光体封入用毛細管11の第1の端部11Aを封止する工程を行う。この工程は、上記の第2の端部10Bの封止工程と実質的に同様の工程である。
【0047】
具体的には、第1の端部11Aの封止工程には、第3の加熱工程と第4の加熱工程とが含まれる。
【0048】
まず、第3の加熱工程を行う。具体的には、図10に示すように、第1の端部11Aの長さ方向LのL1側において、加熱手段20を第1の端部11Aの上を横切らせる。より具体的には、本実施形態では、加熱手段20を、第1の端部11Aの上を、厚み方向TのT1側からT2側に向けて横切らせる。これにより、第1の端部11Aを加熱して軟化させる。そして、第1の端部11Aを封止する。
【0049】
次に、第4の加熱工程を行う。具体的には、図11に示すように、第1の端部11Aの長さ方向LのL1側において、加熱手段20を第1の端部11Aの上を、第3の加熱工程とは逆方向に横切らせる。すなわち、加熱手段20を、第1の端部11Aの上を、厚み方向TのT2側からT1側に向けて横切らせる。これにより、図12に示すように、封止された第1の端部11Aを再度加熱して、第1の端部11Aの形状を整える。
【0050】
なお、本実施形態では、第3及び第4の加熱工程において、加熱手段20を厚み方向Tに移動させる例について説明するが、本発明において、加熱手段の移動方向は、厚み方向に限定されない。加熱手段を幅方向に移動させてもよいし、幅方向及び厚み方向に傾斜した方向に移動させてもよい。
【0051】
また、本実施形態では、第3及び第4の加熱工程を1回ずつ行う例について説明する。但し、本発明は、これに限定されない。第3及び第4の加熱工程を複数回繰り返して行ってもよい。
【0052】
加熱手段20は、上記第1及び第2の加熱工程において使用したものと同様のものを使用することができるが、第1及び第2の加熱工程と第3及び第4の加熱工程とで異なる加熱手段を用いてもよい。
【0053】
なお、第3及び第4の加熱工程における加熱手段20による加熱温度と、加熱手段20の移動速度とは、第1の端部11Aが蛍光体封入用毛細管11の他の部分よりも太くならないような値に設定されている。
【0054】
(波長変換部材13)
以上の工程により、図13に示す波長変換部材13が製造される。波長変換部材13は、両端部12A,12Bが封止されたガラス毛細管12を有する。両端部12A,12Bの太さは、ガラス毛細管12の中央部分12Cの太さ以下である。中央部分12Cの横断面における外形は、細長形状、詳細には矩形状である。ガラス毛細管12の内部には、蛍光体30が封入されている。
【0055】
以上説明したように、本実施形態では、細長形状のガラス毛細管10を使用する。このため、横断面における外形が細長形状、より詳細には、矩形状であり、導光体に近接して配置可能な波長変換部材13を製造することができる。
【0056】
また、第2の端部10B及び第1の端部11Aの封止を、2回の加熱工程により行う。まず、第1または第3の加熱工程では、加熱手段20をT1側からT2側に第2または第1の端部10B,11Aの上を横切らせる。この工程を行った場合、第2または第1の端部10B,11AのT1側の部分10B1,11A1にレーザー光が照射される時間よりもT2側の部分10B2,11A2にレーザー光が照射される時間の方が長くなる。このため、部分10B2,11A2の温度が、部分10B1,11A1よりも高くなる。従って、図6及び図11に示すように、第2及び第1の端部10B,11Aは、非対称形状となる。
【0057】
一方、第2または第4の加熱工程では、第2または第1の端部10B,11AのT2側の部分よりもT1側の部分の方が温度が高くなる。このため、T1側の部分の軟化が促進され、図7及び図12に示すように、第2または第1の端部10B,11Aの形状が対称形状となる。
【0058】
このように、第1または第3の加熱工程と、第2または第4の加熱工程とを行うことにより、図15及び図16に示すように、得られる波長変換部材13の両端部の形状を対象形に近くできると共に、両端部の太さが他の部分の太さ以下とすることができる。従って、本実施形態の方法によれば、導光体により近接して配置可能な波長変換部材13を製造することができる。
【0059】
なお、通常は、加熱手段を走査させることなく、端部に対向して配置した加熱手段により端部の封止を行う。しかしながら、このようにした場合は、封止された端部の太さが他の部分よりも太くなってしまう。従って、このような封止方法により製造された波長変換部材は、導光体に十分に近接して配置することができない。
【0060】
本実施形態では、第1〜第4の加熱工程において、加熱手段20を厚み方向Tに移動させる。このようにすることにより、例えば加熱手段を幅方向に移動させた場合と比べて、端部の太さが他の部分よりも太くなることを容易に抑制できる。
【0061】
本実施形態では、加熱手段20としてレーザー照射装置を使用する。このようにすることにより、例えば加熱手段としてバーナーを使用したときと比べて、より局所的な加熱が可能となる。従って、端部12A,12Bの形状の対称性をより向上し得る。
【0062】
ところで、例えば図14に示すようにスポット21の形状が円形であるレーザー照射装置を使用してもよい。しかしながら、この場合は、第1〜第4の加熱工程において、端部10B,11Aにレーザー光が照射される時間が、幅方向Wにおいてばらつくことになる。具体的には、端部10B,11Aの幅方向Wの中央部には長時間にわたってレーザー光が照射され、端部には、短時間のみレーザー光が照射されることとなる。このため、封止された端部10B,11Aの形状の対称性が低くなってしまうと共に、中央部が過剰に加熱し、中央部の太さが太くなってしまう場合がある。
【0063】
それに対して本実施形態では、スポット21の形状が細長形状とされており、端部10B,11Aにレーザー光が照射される時間の幅方向Wにおけるばらつきが抑制されている。従って、中央部の太さが太くなってしまうことをより効果的に抑制することができる。その結果、導光体にさらに近接して配置可能な波長変換部材13を製造することができる。
【0064】
また、本実施形態のように、スポット21の形状が細長形状である場合は、図17に示すように、レーザー光の強度が、ガラス毛細管10の幅方向Wにおけるレーザー光のスポット21の中央部において略一定であるレーザー光を照射するレーザー照射装置を用いることが好ましい。この場合、複数のガラス毛細管10を幅方向Wに沿って配列してレーザー光の照射を行うことにより、複数のガラス毛細管10の端部を同じ加熱工程により好適に封止することができる。
【0065】
上記実施形態では、ガラス毛細管10の横断面における内形及び外形のそれぞれが略矩形状である例について説明した。但し、本発明は、この構成に限定されない。図18に示すように、ガラス毛細管10の横断面における内形及び外形のそれぞれが長円状であってもよい。また、ガラス毛細管の横断面における内形及び外形のそれぞれが楕円形状であってもよい。
【0066】
図19に示すように、ガラス毛細管10の横断面における内形が略矩形状である一方、外形が長円状または楕円形状であってもよい。
【0067】
図20に示すように、ガラス毛細管10の横断面における内形が略矩形状であって、外形が、幅方向に対向する2辺が外側に向かって膨出した略矩形状であってもよい。
【符号の説明】
【0068】
10…ガラス毛細管
10A…ガラス毛細管10の第1の端部
10B…ガラス毛細管10の第2の端部
10a〜10d…側壁部
10e…貫通孔
11…蛍光体封入用毛細管
11A…蛍光体封入用毛細管の第1の端部
11B…蛍光体封入用毛細管の第2の端部
12…ガラス毛細管
12A,12B…ガラス毛細管12の端部
12C…ガラス毛細管12の中央部分
13…波長変換部材
20…加熱手段
21…スポット
30…蛍光体
【技術分野】
【0001】
本発明は、蛍光体封入用毛細管の製造方法及び波長変換部材の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、例えば、液晶ディスプレイのバックライトなどの用途に用いられる白色光源の開発が盛んに行われている。そのような白色光源の一例として、例えば下記の特許文献1には、青色光を出射するLED(Light Emitting Diode)の光出射側にLEDからの光の一部を吸収し、黄色の光を出射する波長変換部材を配置した光源が開示されている。この光源からは、LEDから出射され波長変換部材を透過した青色光と、波長変換部材から出射された黄色光との合成光である白色光が出射される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−25285号公報
【特許文献2】特開2007−225462号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、液晶ディスプレイのバックライトには、直下型とエッジライト型とがある。直下型のバックライトは、比較的高い輝度が得られやすいという利点を有する反面、面状光源と拡散板とが積層されるため、厚さ寸法が大きくなりやすいという欠点を有する。それに対して、エッジライト型のバックライトでは、光源が導光体の側方に配置される。このため、エッジライト型のバックライトには、直下型のバックライトよりも薄型化しやすいという利点がある。従って、エッジライト型のバックライトは、携帯電話機用液晶ディスプレイや、ノート型パソコン用液晶ディスプレイなどの薄型であることが強く求められる用途に多用されている。
【0005】
このエッジライト型のバックライトでは、輝度むらが小さく均一な面状光を得るために、導光体の側面に対して均一に光を入射させる必要がある。このため、エッジライト型のバックライトでは、白色の線状光源が好適に用いられる。
【0006】
白色の線状光源としては、例えば、直線状に配置された青色光を出射する複数のLED(以下、「青色LED」とする。)と、複数の青色LEDの前方に配置されている線状の波長変換部材とを備えるものが考えられる。線状の波長変換部材としては、例えば、毛細管と、毛細管内に封入された蛍光体とを備えるものが考えられる。
【0007】
このような線状の波長変換部材を製造し得る方法として、例えば、上記特許文献2には、以下のような方法が記載されている。具体的には、まず、ガラス毛細管の一部をバーナーにより加熱することによって一方の端部が塞がれたガラス毛細管を作製する。そのガラス毛細管に液体試料を注入した後に、ガラス毛細管の他方側端部をバーナーで加熱しながら切り離すことにより封止することが開示されている。特許文献2に記載の波長変換部材のガラス管は、横断面円形である。
【0008】
しかしながら、特許文献2に記載の波長変換部材では、横断面が円形であるため、波長変換部材からの光の導光体への入射率を十分に高めることが困難であるという問題がある。
【0009】
本発明は、斯かる点に鑑みて成されたものであり、その目的は、ガラス毛細管中に蛍光体が封入された波長変換部材であって、端部の太さが抑制された波長変換部材を製造し得る方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る蛍光体封入用毛細管の製造方法は、長さ方向の第1の側に位置する第1の端部が開口している一方、長さ方向の第2の側に位置する第2の端部が封止されており、第1の端部から蛍光体が封入される蛍光体封入用毛細管の製造方法に関する。本発明に係る蛍光体封入用毛細管の製造方法は、封止工程を備えている。封止工程は、横断面における外形が幅方向に細長い細長形状のガラス毛細管の第2の端部を封止する工程である。封止工程は、第1の加熱工程と、第2の加熱工程とを含む。第1の加熱工程は、加熱手段を第2の端部上を横切らせることにより第2の端部を加熱して封止する工程である。第2の加熱工程は、加熱手段を第2の端部の上を、第1の加熱工程とは逆方向に横切らせることにより再度加熱する工程である。
【0011】
第1及び第2の加熱工程において、第2の端部がガラス毛細管の第2の端部以外の部分よりも太くならないように加熱手段による加熱温度及び加熱手段の移動速度を設定することが好ましい。
【0012】
第1及び第2の加熱工程において、加熱手段を、ガラス毛細管の厚み方向に移動させることが好ましい。
【0013】
加熱手段として、レーザー照射装置を用い、レーザー照射装置により第2の端部にレーザーを照射することにより、第2の端部を加熱することが好ましい。
【0014】
レーザー照射装置として、レーザー光のスポット形状が、ガラス毛細管の幅方向に細長い細長形状であるレーザー照射装置を用いることが好ましい。
【0015】
レーザー照射装置として、第1及び第2の加熱工程において第2の端部に対してレーザー光が照射されている時間が、レーザー照射装置の移動方向と垂直な方向において一定となるようなスポット形状のレーザー光を照射するレーザー照射装置を用いることが好ましい。
【0016】
なお、本発明において、「時間が一定」は、各時間が平均時間の±10%の範囲内にあることを意味し、時間のばらつきが完全にゼロであることを意味するものではない。
【0017】
レーザー照射装置として、レーザー光の強度が、ガラス毛細管の幅方向におけるレーザー光のスポットの中央部において略一定であるレーザー光を照射するレーザー照射装置を用いることが好ましい。
【0018】
本発明に係る波長変換部材の製造方法は、両端が封止されたガラス毛細管と、ガラス毛細管内に封入された蛍光体とを備える波長変換部材の製造方法に関する。本発明に係る波長変換部材の製造方法では、長さ方向の第1の側に位置する第1の端部が開口している一方、長さ方向の第2の側に位置する第2の端部が封止されており、横断面における外形が幅方向に細長い細長形状のガラス毛細管を用意する用意工程を行う。ガラス毛細管に第1の端部から蛍光体を注入する。蛍光体が注入されたガラス毛細管の第1の端部を封止する第1の端部封止工程を行う。第1の端部封止工程は、第3の加熱工程と、第4の加熱工程とを含む。第3の加熱工程は、加熱手段を第1の端部上を横切らせることにより第1の端部を加熱して封止する工程である。第4の加熱工程は、加熱手段を第1の端部の上を、第
3の加熱工程とは逆方向に横切らせることにより再度加熱する工程である。
【0019】
用意工程は、横断面における外形が幅方向に細長い細長形状のガラス毛細管の第2の端部を封止する第2の端部封止工程を有していてもよい。第2の端部封止工程は、第1の加熱工程と、第2の加熱工程とを含むことが好ましい。第1の加熱工程は、加熱手段を第2の端部上を横切らせることにより第2の端部を加熱して封止する工程である。第2の加熱工程は、加熱手段を第2の端部の上を、第1の加熱工程とは逆方向に横切らせることにより再度加熱する工程である。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、ガラス毛細管中に蛍光体が封入された波長変換部材であって、端部の太さが抑制された波長変換部材を製造し得る方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】ガラス毛細管の略図的斜視図である。
【図2】図1の線II−IIにおける略図的断面図である。
【図3】図1の線III−IIIにおける略図的断面図である。
【図4】ガラス毛細管の第2の端部の封止工程を説明するための模式的側面図である。
【図5】レーザーのスポット径の形状を説明するための模式的平面図である。
【図6】ガラス毛細管の第2の端部の封止工程を説明するための模式的側面図である。
【図7】ガラス毛細管の第2の端部の封止工程を説明するための模式的側面図である。
【図8】蛍光体封入用毛細管の略図的断面図である。
【図9】蛍光体封入用毛細管への蛍光体の注入工程を説明するための略図的断面図である。
【図10】蛍光体封入用毛細管の第1の端部の封止工程を説明するための模式的側面図である。
【図11】蛍光体封入用毛細管の第1の端部の封止工程を説明するための模式的側面図である。
【図12】蛍光体封入用毛細管の第1の端部の封止工程を説明するための模式的側面図である。
【図13】波長変換部材の略図的断面図である。
【図14】変形例に係るレーザーのスポット径の形状を説明するための模式的平面図である。
【図15】波長変換部材の端部の幅方向から視た側面写真である。
【図16】波長変換部材の端部の厚み方向から視た側面写真である。
【図17】変形例に係るレーザーのスポット径の形状及びレーザーの出力分布を説明するための模式的平面図である。
【図18】変形例におけるガラス毛細管の略図的横断面図である。
【図19】変形例におけるガラス毛細管の略図的横断面図である。
【図20】変形例におけるガラス毛細管の略図的横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を実施した好ましい形態の一例について説明する。但し、以下の実施形態は、単なる一例であり、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されない。
【0023】
(蛍光体封入用毛細管の製造方法)
まず、本実施形態における蛍光体封入用毛細管の製造方法について説明する。ここで説明する蛍光体封入用毛細管は、長さ方向の第1の側に位置する第1の端部が開口している一方、長さ方向の第2の側に位置する第2の端部が封止されており、第1の端部から蛍光体が封入される蛍光体封入用毛細管である。
【0024】
(ガラス毛細管10の用意)
まず、図1〜図3に示す、第1及び第2の端部10A,10Bのそれぞれが開口したガラス毛細管10を用意する。ガラス毛細管10は、横断面(すなわち、幅方向W及び厚み方向Tに沿った断面)における外形が幅方向Wに細長い細長形状を有する。具体的には、本実施形態では、ガラス毛細管10は、横断面における外形が矩形状である角管状に形成されている。ここで、「角管」とは、長さ方向Lから視た際に、外形及び内形のそれぞれが矩形状である直管を意味する。「矩形」には、角部が面取り状またはR面取り状である矩形が含まれるものとする。
【0025】
ガラス毛細管10は、互いに対向する平板状の第1及び第2の側壁部10a、10bと、互いに対向する平板状の第3及び第4の側壁部10c、10dとを有する。これら第1〜第4の側壁部10a〜10dによって、角柱状の貫通孔10eが区画形成されている。
【0026】
ガラス毛細管10の寸法は特に限定されない。ガラス毛細管10の肉厚t(図2を参照)は、例えば、0.01mm〜1.0mm程度とすることができる。ガラス毛細管10の厚み方向Tに沿った内径L1は、例えば、0.05mm〜1.0mm程度とすることができる。ガラス毛細管10の厚み方向Tに沿った外径L3は、例えば、0.07mm〜3.0mm程度とすることができる。ガラス毛細管10の幅方向Wに沿った内径L2は、例えば、0.1mm〜2.0mm程度とすることができる。ガラス毛細管10の幅方向Wに沿った外径L4は、例えば、0.12mm〜4.0mm程度とすることができる。L1/L2及びL3/L4は、例えば、0.025〜0.5程度とすることができる。t/L1は、例えば、0.01〜2.0程度とすることができる。t/L2は、例えば、0.005
〜2.0程度とすることができる。ガラス毛細管10の長さ方向Lに沿った寸法L5は、例えば、10mm〜100mm程度とすることができる。
【0027】
ガラス毛細管10を構成しているガラスの種類は、特に限定されない。ガラス毛細管10は、例えば、珪酸塩系ガラス、硼酸塩系ガラス、リン酸塩系ガラス、硼珪酸塩系ガラス、硼リン酸塩系ガラスなどからなるものであってもよい。なかでも、製造される蛍光体封入用毛細管の剛性を高める観点から、ガラス毛細管10は、珪酸塩系ガラス、硼珪酸塩系ガラスにより形成されていることが好ましい。
【0028】
ガラス毛細管10の軟化温度(At)も特に限定されない。ガラス毛細管10の軟化温度(At)は、例えば、700℃〜950℃程度とすることができる。
【0029】
(ガラス毛細管10の第2の端部10Bの封止)
次に、図4〜図7を参照しながら、ガラス毛細管10の第2の端部10Bを封止する工程について説明する。
【0030】
この封止工程には、第1の加熱工程と第2の加熱工程とが含まれる。
【0031】
まず、第1の加熱工程を行う。具体的には、図4に示すように、第2の端部10Bの長さ方向LのL2側において、加熱手段20を第2の端部10Bの上を横切らせる。より具体的には、本実施形態では、加熱手段20を、第2の端部10Bの上を、厚み方向TのT1側からT2側に向けて横切らせる。これにより、第2の端部10Bを加熱して軟化させる。そして、第2の端部10Bを封止する。
【0032】
次に、第2の加熱工程を行う。具体的には、図6に示すように、第2の端部10Bの長さ方向LのL2側において、加熱手段20を第2の端部10Bの上を、第1の加熱工程とは逆方向に横切らせる。すなわち、加熱手段20を、第2の端部10Bの上を、厚み方向TのT2側からT1側に向けて横切らせる。これにより、図7に示すように、封止された第2の端部10Bを再度加熱して、第2の端部10Bの形状を整える。
【0033】
なお、本実施形態では、第1及び第2の加熱工程において、加熱手段20を厚み方向Tに移動させる例について説明するが、本発明において、加熱手段の移動方向は、厚み方向に限定されない。加熱手段を幅方向に移動させてもよいし、幅方向及び厚み方向に傾斜した方向に移動させてもよい。
【0034】
また、本実施形態では、第1及び第2の加熱工程を1回ずつ行う例について説明する。但し、本発明は、これに限定されない。第1及び第2の加熱工程を複数回繰り返して行ってもよい。
【0035】
加熱手段20は、ガラス毛細管10を加熱可能なものである限りにおいて特に限定されない。加熱手段20は、例えば、レーザー照射装置や、バーナーなどにより構成することができる。以下、本実施形態では、加熱手段20として、レーザー照射装置を用いる例について説明する。
【0036】
より具体的には、本実施形態において加熱手段20として用いるレーザー照射装置は、図5に示すように、レーザー光のスポット21の形状が、ガラス毛細管10の幅方向Wに細長い細長形状であるものである。このため、第1及び第2の加熱工程において、第2の端部10Bに対してレーザー光が照射されている時間が、加熱手段20の移動方向である厚み方向Tと垂直な幅方向Wにおいて一定とされている。すなわち、第2の端部10Bの幅方向Wの一方側端部、中央部及び他方側端部のそれぞれが、第1及び第2の加熱工程のそれぞれにおいて、略同じ時間だけレーザー光が照射されることとなる。
【0037】
なお、第1及び第2の加熱工程における加熱手段20による加熱温度と、加熱手段20の移動速度とは、第2の端部10Bがガラス毛細管10の他の部分よりも太くならないような値に設定されている。
【0038】
具体的には、レーザー光の出力を5W〜30W程度、移動速度を1mm/分〜50mm/分に調整される。
【0039】
(蛍光体封入用毛細管11)
上記第2の端部10Bの封止工程を行うことにより、図8に示す蛍光体封入用毛細管11を作製することができる(用意工程)。
【0040】
蛍光体封入用毛細管11の長さ方向LのL1側に位置する第1の端部11Aは開口している。この第1の端部11Aは、第1の端部10Aから構成されたものである。一方、蛍光体封入用毛細管11の長さ方向LのL2側に位置する第2の端部11Bは、封止されている。この第2の端部11Bは、第2の端部10Bから形成されたものである。蛍光体封入用毛細管11も、ガラス毛細管10と同様に、横断面における外形が幅方向Wに細長い細長形状、具体的には矩形状のものである。
【0041】
(蛍光体の注入)
次に、図9に示すように、蛍光体封入用毛細管11内に蛍光体30を注入する。この蛍光体30の注入方法は特に限定されないが、蛍光体30が、液体状であったり、蛍光体微粒子が液体中に分散したものである場合は、例えば、蛍光体封入用毛細管11内を減圧にした状態で蛍光体封入用毛細管11内に蛍光体を供給する方法を用いることが好ましい。
【0042】
この工程で注入する蛍光体30の種類は特に限定されない。蛍光体は、例えば、無機蛍光体粉末を含むものであってもよい。波長300nm〜440nmの紫外〜近紫外の励起光を照射すると青色の可視光(波長が440nm〜480nmの蛍光)を発する無機蛍光体の具体例としては、Sr5(PO4)3Cl:Eu2+、(Sr,Ba)MgAl10O17:Eu2+などが挙げられる。波長300nm〜440nmの紫外〜近紫外の励起光を照射すると緑色の可視光(波長が500nm〜540nmの蛍光)を発する無機蛍光体の具体例としては、SrAl2O4:Eu2+、SrGa2S4:Eu2+などが挙げられる。波長440nm〜480nmの青色の励起光を照射すると緑色の可視光(波長が500nm〜540nmの蛍光)を発する無機蛍光体の具体例としては、SrAl2O4:Eu2+、SrGa2S4:Eu2+などが挙げられる。波長300nm〜440nmの紫外〜近紫外の励起光を照射すると黄色の可視光(波長が540nm〜595nmの蛍光)を発する無蛍光体の具体例としては、ZnS:Eu2+などが挙げられる。波長440nm〜480nmの青色の励起光を照射すると黄色の可視光(波長が540nm〜595nmの蛍光)を発する無機蛍光体の具体例としては、Y3(Al,Gd)5O12:Ce2+などが挙げられる。波長300nm〜440nmの紫外〜近紫外の励起光を照射すると赤色の可視光(波長が600nm〜700nmの蛍光)を発する無機蛍光体の具体例としては、Gd3Ga4O12:Cr3+、CaGa2S4:Mn2+などが挙げられる。波長440nm〜480nmの青色の励起光を照射すると赤色の可視光(波長が600nm〜700nmの蛍光)を発する無機蛍光体の具体例としては、Mg2TiO4:Mn4+、K2SiF6:Mn4+などが挙げられる。
【0043】
また、無機蛍光体粉末は、例えば、量子ドットであってもよい。量子ドットは、励起光が入射したときに、励起光とは異なる波長の光を出射するものである。量子ドットから出射される光の波長は、量子ドットの粒子径に依存する。すなわち、量子ドットの粒子径を変化させることにより得られる光の波長を調整することができる。このため、量子ドットの粒子径は、得ようとする光の波長に応じた粒子径とされている。量子ドットは、一般に酸素との接触により劣化が生じ易い。
【0044】
量子ドットは、例えば、粒子径が2nm〜10nm程度のものを用いることができる。例えば、波長300〜440nmの紫外〜近紫外の励起光を照射すると青色の可視光(波長が440nm〜480nmの蛍光)を発する量子ドットの具体例としては、粒子径が2.0nm〜3.0nm程度のCdSeの微結晶などが挙げられる。波長300〜440nmの紫外〜近紫外の励起光や波長440〜480nmの青色の励起光を照射すると緑色の可視光(波長が500nm〜540nmの蛍光)を発する量子ドットの具体例としては、粒子径が3.0nm〜3.3nm程度のCdSeの微結晶などが挙げられる。波長300〜440nmの紫外〜近紫外の励起光や波長440〜480nmの青色の励起光を照射すると黄色の可視光(波長が540nm〜595nmの蛍光)を発する量子ドットの具体例としては、粒子径が3.3nm〜4.5nm程度のCdSeの微結晶などが挙げられる。波長300〜440nmの紫外〜近紫外の励起光や波長440〜480nmの青色の励起光を照射すると赤色の可視光(波長が600nm〜700nmの蛍光)を発する量子ドットの具体例としては、粒子径が4.5nm〜10nm程度のCdSeの微結晶などが挙げられる。
【0045】
蛍光体封入用毛細管11内には、励起光の波長域や発光させたい色に合わせて、1種類または複数種類の蛍光体30を封入してもよい。例えば、紫外〜近紫外の励起光を照射して、演色性に優れた白色光を得たい場合は、紫外〜近紫外の励起光の照射により、青色、緑色及び赤色の可視光(蛍光)を発する蛍光体30を混合して使用すればよい。また、青色の励起光を照射して、演色性に優れた白色光を得たい場合は、青色の励起光の照射により、緑色及び赤色の可視光(蛍光)を発する蛍光体30を混合して使用すればよい。
【0046】
(蛍光体封入用毛細管11の第1の端部11Aの封止)
次に、蛍光体30が注入された蛍光体封入用毛細管11の第1の端部11Aを封止する工程を行う。この工程は、上記の第2の端部10Bの封止工程と実質的に同様の工程である。
【0047】
具体的には、第1の端部11Aの封止工程には、第3の加熱工程と第4の加熱工程とが含まれる。
【0048】
まず、第3の加熱工程を行う。具体的には、図10に示すように、第1の端部11Aの長さ方向LのL1側において、加熱手段20を第1の端部11Aの上を横切らせる。より具体的には、本実施形態では、加熱手段20を、第1の端部11Aの上を、厚み方向TのT1側からT2側に向けて横切らせる。これにより、第1の端部11Aを加熱して軟化させる。そして、第1の端部11Aを封止する。
【0049】
次に、第4の加熱工程を行う。具体的には、図11に示すように、第1の端部11Aの長さ方向LのL1側において、加熱手段20を第1の端部11Aの上を、第3の加熱工程とは逆方向に横切らせる。すなわち、加熱手段20を、第1の端部11Aの上を、厚み方向TのT2側からT1側に向けて横切らせる。これにより、図12に示すように、封止された第1の端部11Aを再度加熱して、第1の端部11Aの形状を整える。
【0050】
なお、本実施形態では、第3及び第4の加熱工程において、加熱手段20を厚み方向Tに移動させる例について説明するが、本発明において、加熱手段の移動方向は、厚み方向に限定されない。加熱手段を幅方向に移動させてもよいし、幅方向及び厚み方向に傾斜した方向に移動させてもよい。
【0051】
また、本実施形態では、第3及び第4の加熱工程を1回ずつ行う例について説明する。但し、本発明は、これに限定されない。第3及び第4の加熱工程を複数回繰り返して行ってもよい。
【0052】
加熱手段20は、上記第1及び第2の加熱工程において使用したものと同様のものを使用することができるが、第1及び第2の加熱工程と第3及び第4の加熱工程とで異なる加熱手段を用いてもよい。
【0053】
なお、第3及び第4の加熱工程における加熱手段20による加熱温度と、加熱手段20の移動速度とは、第1の端部11Aが蛍光体封入用毛細管11の他の部分よりも太くならないような値に設定されている。
【0054】
(波長変換部材13)
以上の工程により、図13に示す波長変換部材13が製造される。波長変換部材13は、両端部12A,12Bが封止されたガラス毛細管12を有する。両端部12A,12Bの太さは、ガラス毛細管12の中央部分12Cの太さ以下である。中央部分12Cの横断面における外形は、細長形状、詳細には矩形状である。ガラス毛細管12の内部には、蛍光体30が封入されている。
【0055】
以上説明したように、本実施形態では、細長形状のガラス毛細管10を使用する。このため、横断面における外形が細長形状、より詳細には、矩形状であり、導光体に近接して配置可能な波長変換部材13を製造することができる。
【0056】
また、第2の端部10B及び第1の端部11Aの封止を、2回の加熱工程により行う。まず、第1または第3の加熱工程では、加熱手段20をT1側からT2側に第2または第1の端部10B,11Aの上を横切らせる。この工程を行った場合、第2または第1の端部10B,11AのT1側の部分10B1,11A1にレーザー光が照射される時間よりもT2側の部分10B2,11A2にレーザー光が照射される時間の方が長くなる。このため、部分10B2,11A2の温度が、部分10B1,11A1よりも高くなる。従って、図6及び図11に示すように、第2及び第1の端部10B,11Aは、非対称形状となる。
【0057】
一方、第2または第4の加熱工程では、第2または第1の端部10B,11AのT2側の部分よりもT1側の部分の方が温度が高くなる。このため、T1側の部分の軟化が促進され、図7及び図12に示すように、第2または第1の端部10B,11Aの形状が対称形状となる。
【0058】
このように、第1または第3の加熱工程と、第2または第4の加熱工程とを行うことにより、図15及び図16に示すように、得られる波長変換部材13の両端部の形状を対象形に近くできると共に、両端部の太さが他の部分の太さ以下とすることができる。従って、本実施形態の方法によれば、導光体により近接して配置可能な波長変換部材13を製造することができる。
【0059】
なお、通常は、加熱手段を走査させることなく、端部に対向して配置した加熱手段により端部の封止を行う。しかしながら、このようにした場合は、封止された端部の太さが他の部分よりも太くなってしまう。従って、このような封止方法により製造された波長変換部材は、導光体に十分に近接して配置することができない。
【0060】
本実施形態では、第1〜第4の加熱工程において、加熱手段20を厚み方向Tに移動させる。このようにすることにより、例えば加熱手段を幅方向に移動させた場合と比べて、端部の太さが他の部分よりも太くなることを容易に抑制できる。
【0061】
本実施形態では、加熱手段20としてレーザー照射装置を使用する。このようにすることにより、例えば加熱手段としてバーナーを使用したときと比べて、より局所的な加熱が可能となる。従って、端部12A,12Bの形状の対称性をより向上し得る。
【0062】
ところで、例えば図14に示すようにスポット21の形状が円形であるレーザー照射装置を使用してもよい。しかしながら、この場合は、第1〜第4の加熱工程において、端部10B,11Aにレーザー光が照射される時間が、幅方向Wにおいてばらつくことになる。具体的には、端部10B,11Aの幅方向Wの中央部には長時間にわたってレーザー光が照射され、端部には、短時間のみレーザー光が照射されることとなる。このため、封止された端部10B,11Aの形状の対称性が低くなってしまうと共に、中央部が過剰に加熱し、中央部の太さが太くなってしまう場合がある。
【0063】
それに対して本実施形態では、スポット21の形状が細長形状とされており、端部10B,11Aにレーザー光が照射される時間の幅方向Wにおけるばらつきが抑制されている。従って、中央部の太さが太くなってしまうことをより効果的に抑制することができる。その結果、導光体にさらに近接して配置可能な波長変換部材13を製造することができる。
【0064】
また、本実施形態のように、スポット21の形状が細長形状である場合は、図17に示すように、レーザー光の強度が、ガラス毛細管10の幅方向Wにおけるレーザー光のスポット21の中央部において略一定であるレーザー光を照射するレーザー照射装置を用いることが好ましい。この場合、複数のガラス毛細管10を幅方向Wに沿って配列してレーザー光の照射を行うことにより、複数のガラス毛細管10の端部を同じ加熱工程により好適に封止することができる。
【0065】
上記実施形態では、ガラス毛細管10の横断面における内形及び外形のそれぞれが略矩形状である例について説明した。但し、本発明は、この構成に限定されない。図18に示すように、ガラス毛細管10の横断面における内形及び外形のそれぞれが長円状であってもよい。また、ガラス毛細管の横断面における内形及び外形のそれぞれが楕円形状であってもよい。
【0066】
図19に示すように、ガラス毛細管10の横断面における内形が略矩形状である一方、外形が長円状または楕円形状であってもよい。
【0067】
図20に示すように、ガラス毛細管10の横断面における内形が略矩形状であって、外形が、幅方向に対向する2辺が外側に向かって膨出した略矩形状であってもよい。
【符号の説明】
【0068】
10…ガラス毛細管
10A…ガラス毛細管10の第1の端部
10B…ガラス毛細管10の第2の端部
10a〜10d…側壁部
10e…貫通孔
11…蛍光体封入用毛細管
11A…蛍光体封入用毛細管の第1の端部
11B…蛍光体封入用毛細管の第2の端部
12…ガラス毛細管
12A,12B…ガラス毛細管12の端部
12C…ガラス毛細管12の中央部分
13…波長変換部材
20…加熱手段
21…スポット
30…蛍光体
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長さ方向の第1の側に位置する第1の端部が開口している一方、前記長さ方向の第2の側に位置する第2の端部が封止されており、前記第1の端部から蛍光体が封入される蛍光体封入用毛細管の製造方法であって、
横断面における外形が幅方向に細長い細長形状のガラス毛細管の前記第2の端部を封止する封止工程を備え、
前記封止工程は、
加熱手段を前記第2の端部上を横切らせることにより前記第2の端部を加熱して封止する第1の加熱工程と、
前記加熱手段を前記第2の端部の上を、前記第1の加熱工程とは逆方向に横切らせることにより再度加熱する第2の加熱工程と、を含む、蛍光体封入用毛細管の製造方法。
【請求項2】
前記第1及び第2の加熱工程において、前記第2の端部が前記ガラス毛細管の前記第2の端部以外の部分よりも太くならないように前記加熱手段による加熱温度及び加熱手段の移動速度を設定する、請求項1に記載の蛍光体封入用毛細管の製造方法。
【請求項3】
前記第1及び第2の加熱工程において、前記加熱手段を、前記ガラス毛細管の厚み方向に移動させる、請求項1または2に記載の蛍光体封入用毛細管の製造方法。
【請求項4】
前記加熱手段として、レーザー照射装置を用い、前記レーザー照射装置により前記第2の端部にレーザーを照射することにより、前記第2の端部を加熱する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の蛍光体封入用毛細管の製造方法。
【請求項5】
前記レーザー照射装置として、レーザー光のスポット形状が、前記ガラス毛細管の幅方向に細長い細長形状であるレーザー照射装置を用いる、請求項4に記載の蛍光体封入用毛細管の製造方法。
【請求項6】
前記レーザー照射装置として、前記第1及び第2の加熱工程において前記第2の端部に対して前記レーザー光が照射されている時間が、前記レーザー照射装置の移動方向と垂直な方向において一定となるようなスポット形状のレーザー光を照射するレーザー照射装置を用いる、請求項4または5に記載の蛍光体封入用毛細管の製造方法。
【請求項7】
前記レーザー照射装置として、レーザー光の強度が、前記ガラス毛細管の幅方向における前記レーザー光のスポットの中央部において略一定であるレーザー光を照射するレーザー照射装置を用いる、請求項4〜6のいずれか一項に記載の蛍光体封入用毛細管の製造方法。
【請求項8】
両端が封止されたガラス毛細管と、前記ガラス毛細管内に封入された蛍光体とを備える波長変換部材の製造方法であって、
長さ方向の第1の側に位置する第1の端部が開口している一方、前記長さ方向の第2の側に位置する第2の端部が封止されており、横断面における外形が幅方向に細長い細長形状のガラス毛細管を用意する用意工程と、
前記ガラス毛細管に前記第1の端部から前記蛍光体を注入する工程と、
前記蛍光体が注入されたガラス毛細管の前記第1の端部を封止する第1の端部封止工程を備え、
前記第1の端部封止工程は、
加熱手段を前記第1の端部上を横切らせることにより前記第1の端部を加熱して封止する第3の加熱工程と、
前記加熱手段を前記第1の端部の上を、前記第3の加熱工程とは逆方向に横切らせることにより再度加熱する第4の加熱工程と、
を含む、波長変換部材の製造方法。
【請求項9】
前記用意工程は、横断面における外形が幅方向に細長い細長形状のガラス毛細管の前記第2の端部を封止する第2の端部封止工程を有し、
前記第2の端部封止工程は、
加熱手段を前記第2の端部上を横切らせることにより前記第2の端部を加熱して封止する第1の加熱工程と、
前記加熱手段を前記第2の端部の上を、前記第1の加熱工程とは逆方向に横切らせることにより再度加熱する第2の加熱工程と、を含む、請求項8に記載の波長変換部材の製造方法。
【請求項1】
長さ方向の第1の側に位置する第1の端部が開口している一方、前記長さ方向の第2の側に位置する第2の端部が封止されており、前記第1の端部から蛍光体が封入される蛍光体封入用毛細管の製造方法であって、
横断面における外形が幅方向に細長い細長形状のガラス毛細管の前記第2の端部を封止する封止工程を備え、
前記封止工程は、
加熱手段を前記第2の端部上を横切らせることにより前記第2の端部を加熱して封止する第1の加熱工程と、
前記加熱手段を前記第2の端部の上を、前記第1の加熱工程とは逆方向に横切らせることにより再度加熱する第2の加熱工程と、を含む、蛍光体封入用毛細管の製造方法。
【請求項2】
前記第1及び第2の加熱工程において、前記第2の端部が前記ガラス毛細管の前記第2の端部以外の部分よりも太くならないように前記加熱手段による加熱温度及び加熱手段の移動速度を設定する、請求項1に記載の蛍光体封入用毛細管の製造方法。
【請求項3】
前記第1及び第2の加熱工程において、前記加熱手段を、前記ガラス毛細管の厚み方向に移動させる、請求項1または2に記載の蛍光体封入用毛細管の製造方法。
【請求項4】
前記加熱手段として、レーザー照射装置を用い、前記レーザー照射装置により前記第2の端部にレーザーを照射することにより、前記第2の端部を加熱する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の蛍光体封入用毛細管の製造方法。
【請求項5】
前記レーザー照射装置として、レーザー光のスポット形状が、前記ガラス毛細管の幅方向に細長い細長形状であるレーザー照射装置を用いる、請求項4に記載の蛍光体封入用毛細管の製造方法。
【請求項6】
前記レーザー照射装置として、前記第1及び第2の加熱工程において前記第2の端部に対して前記レーザー光が照射されている時間が、前記レーザー照射装置の移動方向と垂直な方向において一定となるようなスポット形状のレーザー光を照射するレーザー照射装置を用いる、請求項4または5に記載の蛍光体封入用毛細管の製造方法。
【請求項7】
前記レーザー照射装置として、レーザー光の強度が、前記ガラス毛細管の幅方向における前記レーザー光のスポットの中央部において略一定であるレーザー光を照射するレーザー照射装置を用いる、請求項4〜6のいずれか一項に記載の蛍光体封入用毛細管の製造方法。
【請求項8】
両端が封止されたガラス毛細管と、前記ガラス毛細管内に封入された蛍光体とを備える波長変換部材の製造方法であって、
長さ方向の第1の側に位置する第1の端部が開口している一方、前記長さ方向の第2の側に位置する第2の端部が封止されており、横断面における外形が幅方向に細長い細長形状のガラス毛細管を用意する用意工程と、
前記ガラス毛細管に前記第1の端部から前記蛍光体を注入する工程と、
前記蛍光体が注入されたガラス毛細管の前記第1の端部を封止する第1の端部封止工程を備え、
前記第1の端部封止工程は、
加熱手段を前記第1の端部上を横切らせることにより前記第1の端部を加熱して封止する第3の加熱工程と、
前記加熱手段を前記第1の端部の上を、前記第3の加熱工程とは逆方向に横切らせることにより再度加熱する第4の加熱工程と、
を含む、波長変換部材の製造方法。
【請求項9】
前記用意工程は、横断面における外形が幅方向に細長い細長形状のガラス毛細管の前記第2の端部を封止する第2の端部封止工程を有し、
前記第2の端部封止工程は、
加熱手段を前記第2の端部上を横切らせることにより前記第2の端部を加熱して封止する第1の加熱工程と、
前記加熱手段を前記第2の端部の上を、前記第1の加熱工程とは逆方向に横切らせることにより再度加熱する第2の加熱工程と、を含む、請求項8に記載の波長変換部材の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2012−186436(P2012−186436A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−151469(P2011−151469)
【出願日】平成23年7月8日(2011.7.8)
【出願人】(000232243)日本電気硝子株式会社 (1,447)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月8日(2011.7.8)
【出願人】(000232243)日本電気硝子株式会社 (1,447)
【Fターム(参考)】
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