説明

蛍光体粒子及び平面型表示装置

【課題】外光を反射して白色の拡散層のような状態を呈することの無い蛍光体領域を構成し得る蛍光体粒子を提供する。
【解決手段】蛍光体粒子は、(A)蛍光体粒子本体、及び、(B)蛍光体粒子本体の表面に形成された、窒化クロム、窒化チタン、窒化タングステン及び窒化ホウ素から成る群から選択されたいずれか1種類の窒化物から成る薄膜から構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蛍光体粒子、及び、係る蛍光体粒子を使用した平面型表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
テレビジョン受像機や情報端末機器に用いられる表示装置の分野では、従来主流の陰極線管(CRT)から、薄型化、軽量化、大画面化、高精細化の要求に応え得る平面型(フラットパネル型)の表示装置への移行が急速に進んでいる。このような平面型の表示装置として、液晶表示装置(LCD)、エレクトロルミネッセンス表示装置(ELD)、プラズマ表示装置(PDP)、冷陰極電界電子放出表示装置(FED:フィールドエミッションディスプレイ)を例示することができる。このなかでも、液晶表示装置は情報端末機器用の表示装置として広く普及しているが、据置き型のテレビジョン受像機に適用するには、高輝度化や高速応答性に未だ課題を残している。これに対して、冷陰極電界電子放出表示装置は、熱的励起によらず、量子トンネル効果に基づき固体から真空中に電子を放出することが可能な冷陰極電界電子放出素子(以下、電界放出素子と呼ぶ場合がある)を備えており、高輝度、高速応答性、低消費電力の点から注目を集めている。
【0003】
電界放出素子を備えた冷陰極電界電子放出表示装置(以下、表示装置と呼ぶ場合がある)の模式的な一部端面図を図4に示し、カソードパネルCP及びアノードパネルAPを分解したときのカソードパネルCPとアノードパネルAPの一部分の模式的な分解斜視図を図5に示す。図示した電界放出素子は、円錐形の電子放出部を有する、所謂スピント(Spindt)型電界放出素子と呼ばれるタイプの素子である。この電界放出素子は、支持体10上に形成されたカソード電極11と、支持体10及びカソード電極11上に形成された絶縁層12と、絶縁層12上に形成されたゲート電極13と、ゲート電極13及び絶縁層12に設けられた開口部14と、開口部14の底部に位置するカソード電極11上に形成された円錐形の電子放出部15から構成されている。一般に、カソード電極11とゲート電極13とは、これらの両電極の射影像が互いに直交する方向に各々帯状に形成されており、これらの両電極の射影像が重複する領域(1副画素分の領域に相当する。この領域を、以下、電子放出領域EAと呼ぶ)に、通常、複数の電界放出素子が設けられている。更に、かかる電子放出領域EAが、カソードパネルCPの有効領域EF(実際の表示部分として機能する領域)内に、通常、2次元マトリクス状に配列されている。また、絶縁層12上には層間絶縁層16が形成されており、層間絶縁層16上には収束電極17が形成されている。
【0004】
一方、アノードパネルAPは、基板20と、基板20上に形成され、所定のパターンを有する蛍光体領域22と、その上に形成されたアノード電極24から構成されている。1副画素(サブピクセル)は、カソードパネル側のカソード電極11とゲート電極13との重複領域(電子放出領域EA)に設けられた電界放出素子の一群と、これらの電界放出素子の一群に対面したアノードパネル側の蛍光体領域22とによって構成されている。有効領域EFには、かかる画素が、例えば数十万〜数百万個ものオーダーにて配列されている。尚、蛍光体領域22と蛍光体領域22との間の基板20上には、光吸収層(ブラックマトリックス)23が形成されている。図中、参照番号21は隔壁を表し、参照番号25はスペーサ保持部を表し、参照番号26は第1の方向(X方向)に延びるスペーサを表し、参照番号27は接合部材を表す。ここで、図5においては、隔壁やスペーサの図示を省略した。
【0005】
アノードパネルAPとカソードパネルCPとを、電子放出領域EAと蛍光体領域22とが対向するように配置し、外周部において接合部材27を介して接合することによって、表示装置を作製することができる。有効領域EFを包囲し、画素を選択するための周辺回路が形成された無効領域NF(例えば、カソードパネルCPの無効領域NF)には、真空排気用の貫通孔(図示せず)が設けられており、この貫通孔の周囲には真空排気後に封じ切られた排気管(図示せず)が接続されている。即ち、アノードパネルAPとカソードパネルCPと接合部材27とによって囲まれた空間SPは真空となっている。
【0006】
【特許文献1】特開2001−303036
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
基板側からアノードパネルAPを眺めたとき、蛍光体粒子から構成された蛍光体領域は、蛍光体粒子が透明で、外光を良く反射するために、屡々、白色の拡散層のような状態を呈する。しかも、鏡面にも似たアノード電極24が形成されているので、外光を一層効率良く反射する。具体的には、例えば、波長550nmの光が基板20からアノードパネルAPに入射した場合、基板20における直接的な反射も含めると、アノードパネルAP全体として、光反射率は60〜80%と極めて高い。それ故、外光を反射する結果、表示画像が白っぽく見えてしまい、表示装置におけるコントラストが低下するといった問題が生じる。尚、このような現象を、便宜上、『外光によるコントラストの低下』と呼ぶ。
【0008】
通常、外光によるコントラストの低下を防止することを目的として、反射防止膜を基板20の外面に貼り合わせている。ここで、赤色、緑色、青色の光の3原色毎に透過特性を変えたパターンにて反射防止膜を作製した場合、不特定の角度から画像を目視したとき、3原色毎のピッチ、パターン等との関係でモアレが発生する。従って、3原色毎に透過特性を変えた反射防止膜を作製することは不可能である。それ故、反射防止膜に所望の波長だけを選択的に選別する光学フィルター特性を持たせることができず、反射防止膜は全ての波長域の発光を一様に吸収するので、赤色、緑色、青色の3原色共に輝度が低下してしまう。
【0009】
蛍光体領域22と基板20との間にカラーフィルター層を形成することで、外光によるコントラストの低下を抑制することが可能である。しかしながら、一般に、カラーフィルター層を構成する材料は耐熱性に乏しい。アノードパネルの製造においては400゜C前後の温度を経るプロセスがあるが、このような温度にあっては、カラーフィルター層に損傷が発生したり、カラーフィルター層に変色が生じてしまうといった問題がある。
【0010】
蛍光体粒子の表面にスパッタリング法で金属酸化物被膜を形成する技術が、例えば、特開2001−303036から周知である。ここで、金属は、Si、Al、In、Sn、Zr、Mg及びCaの群から選択された1種類以上の金属である。この特許公開公報に開示された技術にあっては、蛍光体粒子の表面にスパッタリング法にて金属酸化物被膜を形成することによって、特に高電流密度の電子線照射に対して輝度劣化の程度が小さくなり、冷陰極電界電子放出表示装置のアノードパネルにおける蛍光体領域に用いるとき、継続使用時の輝度維持率が改善され、長時間使用しても発光輝度の低下が小さく、高輝度の発光を呈するとされている。しかしながら、この特許公開公報には、蛍光体粒子が透明で、外光を良く反射するが故に、表示装置におけるコントラストの低下が問題となるといった点については、記載も示唆もない。また、Si、Al、In、Sn、Zr、Mg及びCaの酸化物は、通常、白色であり、あるいは又、透明に近く、外部から蛍光体領域を眺めたとき、やはり、白色層として見えてしまい、外光によるコントラストの低下の抑制に対する効果はない。
【0011】
従って、本発明の目的は、外光を反射して白色の拡散層のような状態を呈することの無い蛍光体領域を構成し得る蛍光体粒子、及び、係る蛍光体粒子を使用した平面型表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の目的を達成するための本発明の第1の態様に係る蛍光体粒子は、
(A)蛍光体粒子本体、及び、
(B)蛍光体粒子本体の表面に形成された、窒化クロム、窒化チタン、窒化タングステン及び窒化ホウ素から成る群から選択されたいずれか1種類の窒化物から成る薄膜、
から構成されている。
【0013】
上記の目的を達成するための本発明の第1の態様〜第7の態様に係る平面型表示装置は、基板上に蛍光体領域及びアノード電極が設けられたアノードパネルと、支持体上に2次元マトリクス状に配列された電子放出領域を備えたカソードパネルとが、外周部で接合されて成り、カソードパネルとアノードパネルとによって挟まれた空間が真空に保持された平面型表示装置である。
【0014】
そして、本発明の第1の態様に係る平面型表示装置において、蛍光体領域を構成する蛍光体粒子は、
(A)蛍光体粒子本体、及び、
(B)蛍光体粒子本体の表面に形成された、窒化クロム、窒化チタン、窒化タングステン及び窒化ホウ素から成る群から選択されたいずれか1種類の窒化物から成る薄膜、
から構成されている。
【0015】
上記の目的を達成するための本発明の第2の態様に係る蛍光体粒子は、
(A)蛍光体粒子本体、及び、
(B)蛍光体粒子本体の表面に形成された、クロム、チタン、バナジウム、マンガン、コバルト、ニッケル、銅、タングステン、パラジウム、白金及び金から成る群から選択されたいずれか1種類の金属から成る薄膜、
から構成されている。尚、薄膜を構成する金属元素は、蛍光体粒子本体に含まれる付活剤を構成する元素と異なることが望ましい。
【0016】
また、上記の目的を達成するための本発明の第2の態様に係る平面型表示装置において、蛍光体領域を構成する蛍光体粒子は、
(A)蛍光体粒子本体、及び、
(B)蛍光体粒子本体の表面に形成された、クロム、チタン、バナジウム、マンガン、コバルト、ニッケル、銅、タングステン、パラジウム、白金及び金から成る群から選択されたいずれか1種類の金属から成る薄膜、
から構成されている。尚、薄膜を構成する金属元素は、蛍光体粒子本体に含まれる付活剤を構成する元素と異なることが望ましい。
【0017】
上記の目的を達成するための本発明の第3の態様に係る蛍光体粒子は、
(A)蛍光体粒子本体、及び、
(B)蛍光体粒子本体の表面に形成された、炭化ケイ素、炭化チタン及び炭化タングステンから成る群から選択されたいずれか1種類の炭化物から成る薄膜、
から構成されている。
【0018】
また、上記の目的を達成するための本発明の第3の態様に係る平面型表示装置において、蛍光体領域を構成する蛍光体粒子は、
(A)蛍光体粒子本体、及び、
(B)蛍光体粒子本体の表面に形成された、炭化ケイ素、炭化チタン及び炭化タングステンから成る群から選択されたいずれか1種類の炭化物から成る薄膜、
から構成されている。
【0019】
上記の目的を達成するための本発明の第4の態様に係る蛍光体粒子は、
(A)波長550nmにて測定した光反射率が98%以下、好ましくは90%以下、より好ましくは85%以下である蛍光体粒子本体、及び、
(B)蛍光体粒子本体の表面に形成された薄膜、
から構成されている。
【0020】
また、上記の目的を達成するための本発明の第4の態様に係る平面型表示装置において、蛍光体領域を構成する蛍光体粒子は、
(A)波長550nmにて測定した光反射率が98%以下、好ましくは90%以下、より好ましくは85%以下である蛍光体粒子本体、及び、
(B)蛍光体粒子本体の表面に形成された薄膜、
から構成されている。
【0021】
上記の目的を達成するための本発明の第5の態様に係る蛍光体粒子は、
(A)蛍光体粒子本体、及び、
(B)蛍光体粒子本体の表面に形成された薄膜、
から構成されており、
薄膜を構成する材料の波長550nmにて測定した光反射率が、薄膜の膜厚を10nmとして測定したとき、85%以下、好ましくは80%以下である。
【0022】
また、上記の目的を達成するための本発明の第5の態様に係る平面型表示装置において、蛍光体領域を構成する蛍光体粒子は、
(A)蛍光体粒子本体、及び、
(B)蛍光体粒子本体の表面に形成された薄膜、
から構成されており、
薄膜を構成する材料の波長550nmにて測定した光反射率が、薄膜の膜厚を10nmとして測定したとき、85%以下、好ましくは80%以下である。
【0023】
本発明の第1の態様に係る蛍光体粒子あるいは平面型表示装置における蛍光体粒子を構成する窒化物から成る薄膜、また、本発明の第2の態様に係る蛍光体粒子あるいは平面型表示装置における蛍光体粒子を構成する金属から成る薄膜、また、本発明の第3の態様に係る蛍光体粒子あるいは平面型表示装置における蛍光体粒子を構成する炭化物から成る薄膜には、薄膜の形成過程において微量の酸化物や酸化膜が形成される場合があるし、薄膜が形成された蛍光体粒子の保管中や平面型表示装置の製造工程において、微量の酸化物や酸化膜が形成される場合があり得る。また、チタン炭化物から薄膜を構成する場合、チタン炭化物が酸化アルミニウムと結合した形態も含まれる。
【0024】
上記の好ましい構成を含む本発明の第1の態様〜第5の態様に係る平面型表示装置にあっては、基板を通して波長450nm及び650nmにて測定したアノードパネルの平均光反射率のそれぞれの値をRf450及びRf650としたとき、
0.8≦Rf650/Rf450≦1.2
好ましくは、
0.9≦Rf650/Rf450≦1.1
を満足することが望ましい。
【0025】
上記の好ましい構成を含む本発明の第1の態様〜第5の態様に係る蛍光体粒子、あるいは又、本発明の第1の態様〜第5の態様に係る平面型表示装置における蛍光体粒子(以下、これらの蛍光体粒子を総称して、『本発明の第1の態様〜第5の態様に係る蛍光体粒子等』と呼ぶ場合がある)は、赤色を発光し、あるいは又、青色を発光する形態とすることができる。一般に、緑色を発光する蛍光体粒子本体の色(ボディーカラー)は黒色味あるいは緑色を帯び、赤色あるいは青色を発光する蛍光体粒子本体の色(ボディーカラー)は白いといった傾向にあるので、赤色あるいは青色を発光する蛍光体粒子本体の表面に、上述したとおり、薄膜を形成して、赤色あるいは青色を発光する蛍光体粒子の色を全体として黒色味あるいは灰色味、褐色味を帯びさせることが、より効果的である。そして、このような形態とすることで、外光によるコントラストの低下を抑制しながら、発光効率を高く維持することが可能となる。
【0026】
以上に説明した好ましい構成、形態を含む本発明の第1の態様〜第5の態様に係る蛍光体粒子等において、薄膜の平均膜厚は、2×10-9m乃至5×10-8m、好ましくは5×10-9m乃至2×10-8mであることが望ましい。薄膜の平均膜厚をこのような範囲とすることによって、蛍光体粒子を確実に着色することができ、外光の反射を抑制することができ、しかも、薄膜を通過し、蛍光体粒子本体と衝突する電子の薄膜におけるエネルギー損失を抑制することができる。
【0027】
ここで、薄膜の平均膜厚は、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いた測定や、ラザフォード後方散乱分光法(RBS法)に基づき測定することができる。尚、薄膜にあっては、連続膜の状態で蛍光体粒子本体の表面を覆っている形態、不連続膜の状態で蛍光体粒子本体の表面を覆っている形態があり得る。
【0028】
更には、以上に説明した好ましい構成、形態を含む本発明の第1の態様〜第5の態様に係る蛍光体粒子等において、薄膜上にはSiOX膜が形成されていることが、蛍光体粒子から蛍光体領域(蛍光体層)を形成する際の蛍光体粒子の分散性、より具体的には、蛍光体粒子と有機バインダーや水溶性バインダーとを含む蛍光体ペーストや蛍光体スラリー中における蛍光体粒子と有機バインダーや水溶性バインダーとの親和性を高めることができる結果、蛍光体ペーストや蛍光体スラリー中で蛍光体粒子がより一層分散し易くなり、最終的に得られる蛍光体領域の輝度及び色度等の均一性を改善することができる。また、蛍光体ペーストや蛍光体スラリー分散液中での蛍光体粒子が、通常の保管期間中(1〜3週間程度)に凝集することを防止し得る。尚、SiOX膜にあっては、連続膜の状態で薄膜を覆っている形態、不連続膜の状態で薄膜を覆っている形態があり得る。SiOX膜の平均膜厚は、例えば、2×10-9m乃至2×10-8mであることが好ましい。
【0029】
また、以上に説明した好ましい構成、形態を含む本発明の第1の態様〜第5の態様に係る蛍光体粒子等においては、波長550nmにて測定した蛍光体粒子の平均光反射率(蛍光体粒子本体と薄膜の全体における光反射率、あるいは又、蛍光体粒子本体と薄膜とSiOX膜の全体における光反射率であり、以下においても同様である)が80%以下、好ましくは70%以下であることが望ましい。
【0030】
ここで、蛍光体粒子の平均光反射率は、例えば、以下の方法に基づき測定することができる。即ち、ガラス板上に、蛍光体粒子を塗布し、乾燥させる。次いで、全面に、蛍光体粒子全体を覆うように樹脂層を塗布し、乾燥させた後、樹脂層上にアルミニウム膜を真空蒸着法あるいはスパッタリング法にて成膜する。尚、樹脂層は、広義のワニスの一種で、セルロース誘導体、一般にニトロセルロースを主成分とした配合物を低級脂肪酸エステルのような揮発性溶剤に溶かしたもの、あるいは、他の合成高分子を用いたウレタンラッカー、アクリルラッカー、水溶性アクリルエマルジョンから構成することができる。そして、その後、空気中で約400゜Cにてベーキングを行い、樹脂層を除去(焼成)する。そして、ガラス板側から(即ち、アルミニウム膜と反対側から)、ガラス板の正反射を含んだ平均光反射率を、積分球を用いて測定する。一方、MgOが塗布された白色校正板における平均光反射率を測定し、得られた測定値を平均光反射率100%として、蛍光体粒子の平均光反射率を校正する。以下に説明する本発明の第6の態様に係る蛍光体粒子における平均光反射率の測定方法も同様とすることができる。測定には、積分球を備えた色彩計(例えば、コニカミノルタホールディングス株式会社製のCM−2600d)を用いればよい。波長550nmにて測定した蛍光体粒子本体の光反射率、波長550nmにて測定した薄膜(膜厚:10nm)を構成する材料の光反射率も、積分球を備えた色彩計(例えば、コニカミノルタホールディングス株式会社製のCM−2600d)を用いて測定すればよい。尚、測定に際しては、エバース社製の常用標準白色板 EVER−WHITE No.9582を反射率92.8%標準として、SCEモード(正反射光除去モード)で測定すればよい。波長550nmにて測定した蛍光体粒子本体の光反射率の測定にあっては、約3グラムの蛍光体粒子本体をスライドガラス上に均一に広げ、別のスライドグラスを層状の蛍光体粒子本体の上に置き、別のスライドグラスに圧力を加えることで、層状の蛍光体粒子本体を均一に押し固め、平滑な蛍光体粒子本体を得る。このとき、蛍光体粒子本体層の厚さは、測定時に光が透過しないように1mm以上とする。こうして、測定用試料を得ることができる。波長550nmにて測定した薄膜(膜厚:10nm)を構成する材料の光反射率の測定にあっては、ガラス基板上に10nmの薄膜を成膜することで、測定用試料を得ることができる。
【0031】
以上に説明した好ましい構成、形態を含む本発明の第1の態様〜第5の態様に係る蛍光体粒子等において、薄膜を導電性を有する材料から構成すれば、蛍光体粒子本体が電子によって励起され、帯電したとき、アノード電極へ電荷をより一層容易に移動させることが可能となり、蛍光体粒子本体の帯電を確実に防ぎ、大電流域での発光を安定させることが可能となる。
【0032】
上記の目的を達成するための本発明の第6の態様に係る蛍光体粒子は、波長550nmにて測定した平均光反射率が80%以下、好ましくは70%以下である。
【0033】
ここで、本発明の第6の態様に係る蛍光体粒子は、赤色を発光し、又は、青色を発光する形態とすることができる。
【0034】
上記の目的を達成するための本発明の第6の態様に係る平面型表示装置は、基板を通して波長450nm及び650nmにて測定したアノードパネルの平均光反射率のそれぞれの値をRf450及びRf650としたとき、
0.8≦Rf650/Rf450≦1.2
好ましくは、
0.9≦Rf650/Rf450≦1.1
を満足する。
【0035】
ここで、アノードパネルの平均光反射率は、積分球を備えた色彩計(例えば、コニカミノルタホールディングス株式会社製のCM−2600d)を用いて測定することができる。上述した本発明の第1の態様〜第5の態様に係る平面型表示装置、以下に説明する本発明の第7の態様に係る平面型表示装置におけるアノードパネルの平均光反射率の測定方法も同様とすることができる。
【0036】
上記の目的を達成するための本発明の第7の態様に係る平面型表示装置は、基板を通して波長550nmにて測定したアノードパネルの平均光反射率が50%以下、好ましくは40%以下である。
【0037】
本発明の第6の態様あるいは第7の態様に係る平面型表示装置における蛍光体領域は、赤色を発光し、又は、青色を発光する形態とすることができる。
【0038】
蛍光体粒子本体として、従来公知の蛍光体粒子の中から、適宜、選択して用いることができる。カラー表示の場合、色純度がNTSCで規定される3原色に近く、3原色を混合した際の白バランスがとれ、残光時間が短く、3原色の残光時間がほぼ等しくなる蛍光体粒子本体を組み合わせることが好ましい。赤色発光蛍光体領域を構成する赤色発光の蛍光体粒子本体の組成として、(Y23:Eu)、(Y22S:Eu)、(Y3Al512:Eu)、(Y2SiO5:Eu)、(Zn3(PO42:Mn)、(CaAlSiN3:Eu)を例示することができるが、中でも、(Y23:Eu)、(Y22S:Eu)を用いることが好ましい。また、緑色発光蛍光体領域を構成する緑色発光の蛍光体粒子本体の組成として、(ZnSiO2:Mn)、(Sr4Si38Cl4:Eu)、(ZnS:Cu,Al)、(ZnS:Cu,Au,Al)、[(Zn,Cd)S:Cu,Al]、(Y3Al512:Tb)、(Y2SiO5:Tb)、[Y3(Al,Ga)512:Tb]、(ZnBaO4:Mn)、(GbBO3:Tb)、(Sr6SiO3Cl3:Eu)、(BaMgAl1423:Mn)、(ScBO3:Tb)、(Zn2SiO4:Mn)、(ZnO:Zn)、(Gd22S:Tb)、(ZnGa24:Mn)を例示することができるが、中でも、(ZnS:Cu,Al)、(ZnS:Cu,Au,Al)、[(Zn,Cd)S:Cu,Al]、(Y3Al512:Tb)、[Y3(Al,Ga)512:Tb]、(Y2SiO5:Tb)を用いることが好ましい。更には、青色発光蛍光体領域を構成する青色発光の蛍光体粒子本体の組成として、(Y2SiO5:Ce)、(CaWO4:Pb)、CaWO4、YP0.850.154、(BaMgAl1423:Eu)、(Sr227:Eu)、(Sr227:Sn)、(ZnS:Ag,Al)、(ZnS:Ag)、ZnMgO、ZnGaO4、(AlN:Eu)を例示することができるが、中でも、(ZnS:Ag)、(ZnS:Ag,Al)を用いることが好ましい。
【0039】
蛍光体領域は、単色の蛍光体粒子(以上に説明した好ましい構成、形態を含む本発明の第1の態様〜第6の態様に係る蛍光体粒子から成る)から構成されていてもよいし、3原色の蛍光体粒子(少なくとも1種類の蛍光体粒子は、以上に説明した好ましい構成、形態を含む本発明の第1の態様〜第6の態様に係る蛍光体粒子から成る)から構成されていてもよい。蛍光体領域の配列様式は、例えば、ドット状である。具体的には、平面型表示装置がカラー表示の場合、蛍光体領域の配置、配列として、デルタ配列、ストライプ配列、ダイアゴナル配列、レクタングル配列を挙げることができる。即ち、直線上に配列された蛍光体領域の1列は、全てが赤色発光蛍光体領域で占められた列、緑色発光蛍光体領域で占められた列、及び、青色発光蛍光体領域で占められた列から構成されていてもよいし、赤色発光蛍光体領域、緑色発光蛍光体領域、及び、青色発光蛍光体領域が順に配置された列から構成されていてもよい。ここで、蛍光体領域とは、アノードパネル上において1つの輝点を生成する蛍光体の領域であると定義する。また、1画素(1ピクセル)は、1つの赤色発光蛍光体領域、1つの緑色発光蛍光体領域、及び、1つの青色発光蛍光体領域の集合から構成され、1サブピクセルは、1つの蛍光体領域(1つの赤色発光蛍光体領域、あるいは、1つの緑色発光蛍光体領域、あるいは、1つの青色発光蛍光体領域)から構成される。尚、隣り合う蛍光体領域の間の隙間がコントラスト向上を目的とした光吸収層(ブラックマトリックス)で埋め込まれていてもよい。
【0040】
蛍光体領域は、本発明の第1の態様〜第6の態様に係る蛍光体粒子から調製された蛍光体粒子組成物を使用し、例えば、赤色の感光性の赤色蛍光体粒子組成物(赤色発光蛍光体スラリー)を全面に塗布し、露光、現像して、赤色発光蛍光体領域を形成し、次いで、本発明の第1の態様〜第6の態様に係る蛍光体粒子から調製された緑色の感光性の緑色蛍光体粒子組成物(緑色発光蛍光体スラリー)を全面に塗布し、露光、現像して、緑色発光蛍光体領域を形成し、更に、本発明の第1の態様〜第6の態様に係る蛍光体粒子から調製された青色の感光性の青色蛍光体粒子組成物(青色発光蛍光体スラリー)を全面に塗布し、露光、現像して、青色発光蛍光体領域を形成する方法にて形成することができる。尚、赤色発光蛍光体領域、緑色発光蛍光体領域及び青色発光蛍光体領域の形成順序は、本質的に任意である。あるいは又、スクリーン印刷法やインクジェット印刷法、フロート塗布法、沈降塗布法、蛍光体フィルム転写法等により各蛍光体領域を形成してもよい。基板上における蛍光体領域の平均厚さは、限定するものではないが、3μm乃至20μm、好ましくは5μm乃至10μmであることが望ましい。
【0041】
本発明の第1の態様〜第5の態様に係る蛍光体粒子等にあっては、薄膜の形成方法として、スパッタリング法を挙げることができる。また、SiOX膜の形成方法として、スパッタリング法、蛍光体表面に形成された薄膜上に、微細シリカ粒子を湿式法にて沈殿、反応させることによって形成する方法、ケイ素含有アルコキシドを用いたゾル−ゲル・コーティング法によって形成する方法、アルコキシシランを用いて湿式法にて加水分解、沈殿、反応させることによって形成する方法、レーザアブレーション法に基づき真空中でケイ酸化合物をドライコーティングすることによって形成する方法を挙げることができる。蛍光体粒子本体の表面に形成された薄膜の同定方法として、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いる方法や、ラザフォード後方散乱分光法(RBS法)を挙げることができる。
【0042】
以上に説明した好ましい構成、形態を含む本発明の第1の態様〜第7の態様に係る平面型表示装置(以下、これらを総称して、『本発明の平面型表示装置』と呼ぶ)にあっては、電子放出領域を構成する電子放出素子として、冷陰極電界電子放出素子(以下、電界放出素子と略称する)、金属/絶縁膜/金属型素子(MIM素子)、表面伝導型電子放出素子を挙げることができる。また、本発明の平面型表示装置として、冷陰極電界電子放出素子を備えた平面型表示装置(冷陰極電界電子放出表示装置)、MIM素子が組み込まれた平面型表示装置、表面伝導型電子放出素子が組み込まれた平面型表示装置を挙げることができる。
【0043】
本発明の平面型表示装置において、カソードパネルを構成する支持体、あるいは又、アノードパネルを構成する基板は、これらが相互に対向する面が絶縁性部材から構成されていればよく、ガラス基板、表面に絶縁被膜が形成されたガラス基板、石英基板、表面に絶縁被膜が形成された石英基板、表面に絶縁被膜が形成された半導体基板を挙げることができるが、製造コスト低減の観点からは、ガラス基板、あるいは、表面に絶縁被膜が形成されたガラス基板を用いることが好ましい。ガラス基板として、高歪点ガラス、低アルカリガラス、ソーダガラス(Na2O・CaO・SiO2)、硼珪酸ガラス(Na2O・B23・SiO2)、フォルステライト(2MgO・SiO2)、鉛ガラス(Na2O・PbO・SiO2)、無アルカリガラスを例示することができる。
【0044】
また、本発明の平面型表示装置におけるカソードパネルにおいて、電子放出領域は2次元マトリクス状に配列されているが、電子放出領域の配列された第1の方向(X方向)の射影像と第2の方向(Y方向)の射影像とは直交することが、即ち、第1の方向と第2の方向とは直交することが、平面型表示装置の構造の簡素化といった観点から好ましい。あるいは又、カソードパネルにおいて、カソード電極の射影像とゲート電極の射影像とは直交することが、冷陰極電界電子放出表示装置の構造の簡素化といった観点から好ましい。ここで、例えば、ゲート電極は第1の方向(X方向)に延び、カソード電極は第2の方向(Y方向)に延びる構成とすることができる。
【0045】
本発明の平面型表示装置において、ピクセル数をM×Nとしたとき、具体的には、VGA(640,480)、S−VGA(800,600)、XGA(1024,768)、APRC(1152,900)、S−XGA(1280,1024)、U−XGA(1600,1200)、HD−TV(1920,1080)、Q−XGA(2048,1536)の他、(1920,1035)、(720,480)、(1280,960)等、画像表示用解像度の幾つかを例示することができるが、これらの値に限定するものではない。
【0046】
ここで、本発明の平面型表示装置を、冷陰極電界電子放出素子(電界放出素子と略称する)を備えた冷陰極電界電子放出表示装置とする場合、電界放出素子は、
(a)支持体上に形成された帯状のカソード電極、
(b)支持体及びカソード電極上に形成された絶縁層、
(c)絶縁層上に形成された帯状のゲート電極、
(d)カソード電極とゲート電極の重複する重複領域に位置するゲート電極及び絶縁層の部分に設けられ、底部にカソード電極が露出した開口部、及び、
(e)開口部の底部に露出したカソード電極上に設けられ、カソード電極及びゲート電極への電圧の印加によって電子放出が制御される電子放出部、
から成る。
【0047】
電界放出素子の型式は特に限定されず、スピント型電界放出素子(円錐形の電子放出部が、開口部の底部に位置するカソード電極の上に設けられた電界放出素子)や、扁平型電界放出素子(略平面の電子放出部が、開口部の底部に位置するカソード電極の上に設けられた電界放出素子)を挙げることができる。カソードパネルにおいて、ゲート電極とカソード電極とが重複する重複領域が電子放出領域を構成し、電子放出領域がカソードパネルの有効領域に2次元マトリクス状に配列されている。各電子放出領域には、1又は複数の電界放出素子が設けられている。
【0048】
冷陰極電界電子放出表示装置にあっては、表示作動時、ゲート電極及びカソード電極に印加された電圧によって生じた強電界が電子放出部に加わる結果、量子トンネル効果により電子放出部から電子が放出される。そして、この電子は、アノードパネルに設けられたアノード電極によってアノードパネルへと引き付けられ、蛍光体領域に衝突する。そして、蛍光体領域への電子の衝突の結果、蛍光体領域が発光し、画像として認識することができる。
【0049】
ここで、有効領域とは、平面型表示装置としての実用上の機能である表示機能を果たす中央の表示領域であり、無効領域は、この有効領域の外側に位置し、有効領域を額縁状に包囲している。
【0050】
冷陰極電界電子放出表示装置において、カソード電極はカソード電極制御回路に接続され、ゲート電極はゲート電極制御回路に接続され、アノード電極はアノード電極制御回路に接続されている。尚、これらの制御回路は周知の回路から構成することができる。表示作動時、アノード電極制御回路からアノード電極に印加される電圧(アノード電圧)VAは、通常、一定であり、例えば、5キロボルト〜15キロボルトとすることができる。あるいは又、アノードパネルとカソードパネルとの間の距離をd0(但し、0.5mm≦d0≦10mm)としたとき、VA/d0(単位:キロボルト/mm)の値は、0.5以上20以下、好ましくは1以上10以下、一層好ましくは4以上8以下を満足することが望ましい。冷陰極電界電子放出表示装置の表示作動時、例えば、カソード電極に印加する電圧VC及びゲート電極に印加する電圧VGに関しては、階調制御方式として電圧変調方式やパルス幅変調方式を採用することができる。
【0051】
電界放出素子は、一般に、以下の方法で製造することができる。
(1)支持体上にカソード電極を形成する工程、
(2)全面(支持体及びカソード電極上)に絶縁層を形成する工程、
(3)絶縁層上にゲート電極を形成する工程、
(4)カソード電極とゲート電極との重複領域におけるゲート電極及び絶縁層の部分に開口部を形成し、開口部の底部にカソード電極を露出させる工程、
(5)開口部の底部に位置するカソード電極上に電子放出部を形成する工程。
【0052】
あるいは又、電界放出素子は、以下の方法で製造することもできる。
(1)支持体上にカソード電極を形成する工程、
(2)カソード電極上に電子放出部を形成する工程、
(3)全面(支持体及び電子放出部上、あるいは、支持体、カソード電極及び電子放出部上)に絶縁層を形成する工程、
(4)絶縁層上にゲート電極を形成する工程、
(5)カソード電極とゲート電極との重複領域におけるゲート電極及び絶縁層の部分に開口部を形成し、開口部の底部に電子放出部を露出させる工程。
【0053】
本発明の平面型表示装置において、収束電極(フォーカス電極)が備えられている場合、ゲート電極及び絶縁層上には更に層間絶縁層が設けられ、層間絶縁層上に収束電極が設けられている構造、あるいは又、ゲート電極の上方に収束電極が設けられている構造とすることができる。ここで、収束電極とは、開口部から放出され、アノード電極へ向かう放出電子の軌道を収束させ、以て、輝度の向上や隣接画素間の光学的クロストークの防止を可能とするための電極である。アノード電極とカソード電極との間の電位差が数キロボルト以上のオーダーであって、アノード電極とカソード電極との間の距離が比較的長い、所謂高電圧タイプの冷陰極電界電子放出表示装置において、収束電極は特に有効である。収束電極には、収束電極制御回路から相対的に負電圧(例えば、0ボルト)が印加される。収束電極は、必ずしも、カソード電極とゲート電極とが重複する重複領域に設けられた電子放出部あるいは電子放出領域のそれぞれを取り囲むように個別に形成されている必要はなく、例えば、電子放出部あるいは電子放出領域の所定の配列方向に沿って延在させてもよいし、電子放出部あるいは電子放出領域の全てを1つの収束電極で取り囲む構成としてもよく(即ち、収束電極を、有効領域の全体を覆う薄い1枚のシート状の構造としてもよく)、これによって、複数の電子放出部あるいは電子放出領域に共通の収束効果を及ぼすことができる。尚、収束電極及び層間絶縁層には、開口部(第3開口部)が設けられている。
【0054】
カソード電極、ゲート電極、収束電極の構成材料として、クロム(Cr)、アルミニウム(Al)、タングステン(W)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)、銅(Cu)、金(Au)、銀(Ag)、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、ジルコニウム(Zr)、鉄(Fe)、白金(Pt)、亜鉛(Zn)等の金属を含む各種金属;これらの金属元素を含む合金(例えばMoW)あるいは化合物(例えば、TiW;TiNやWN等の窒化物;WSi2、MoSi2、TiSi2、TaSi2等のシリサイド);シリコン(Si)等の半導体;ダイヤモンド等の炭素薄膜;ITO(酸化インジウム−錫)、酸化インジウム、酸化亜鉛等の導電性金属酸化物を例示することができる。ゲート電極やカソード電極、収束電極を、これらの材料の単層構造あるいは積層構造とすることができる。また、これらの電極の形成方法として、例えば、電子ビーム蒸着法や熱フィラメント蒸着法といった真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、レーザアブレーション法を含む各種物理的気相成長法(PVD法);各種化学的気相成長法(CVD法);スクリーン印刷法、インクジェット印刷法、メタルマスク印刷法を含む各種印刷法;メッキ法(電気メッキ法や無電解メッキ法);リフトオフ法;ゾル−ゲル法等を挙げることができるし、これらの方法とエッチング法との組合せを挙げることもできる。ここで、形成方法を適切に選択することで、直接、パターニングされた帯状のカソード電極やゲート電極、収束電極を形成することが可能である。
【0055】
スピント型電界放出素子にあっては、電子放出部を構成する材料として、モリブデン、モリブデン合金、タングステン、タングステン合金、チタン、チタン合金、ニオブ、ニオブ合金、タンタル、タンタル合金、クロム、クロム合金、及び、不純物を含有するシリコン(ポリシリコンやアモルファスシリコン)から成る群から選択された少なくとも1種類の材料を挙げることができる。スピント型電界放出素子の電子放出部は、スパッタリング法や真空蒸着法といった各種PVD法、各種CVD法によって形成することができる。
【0056】
扁平型電界放出素子にあっては、電子放出部を構成する材料として、カソード電極を構成する材料よりも仕事関数Φの小さい材料から構成することが好ましく、どのような材料を選択するかは、カソード電極を構成する材料の仕事関数、ゲート電極とカソード電極との間の電位差、要求される放出電子電流密度の大きさ等に基づいて決定すればよい。あるいは又、電子放出部を構成する材料として、係る材料の2次電子利得δがカソード電極を構成する導電性材料の2次電子利得δよりも大きくなるような材料から、適宜、選択してもよい。扁平型電界放出素子にあっては、特に好ましい電子放出部の構成材料として、炭素、より具体的にはアモルファスダイヤモンドやグラファイト、カーボン・ナノチューブ構造体(カーボン・ナノチューブ及び/又はグラファイト・ナノファイバー)、ZnOウィスカー、MgOウィスカー、SnO2ウィスカー、MnOウィスカー、Y23ウィスカー、NiOウィスカー、ITOウィスカー、In23ウィスカー、Al23ウィスカーを挙げることができる。尚、電子放出部を構成する材料は、必ずしも導電性を備えている必要はない。
【0057】
第1開口部(ゲート電極に形成された開口部)あるいは第2開口部(絶縁層に形成された開口部)の平面形状(支持体表面と平行な仮想平面で開口部を切断したときの形状)は、円形、楕円形、矩形、多角形、丸みを帯びた矩形、丸みを帯びた多角形等、任意の形状とすることができる。第1開口部の形成は、例えば、異方性エッチング、等方性エッチング、異方性エッチングと等方性エッチングの組合せによって行うことができ、あるいは又、ゲート電極の形成方法に依っては、第1開口部を、直接、形成することもできる。第2開口部の形成も、例えば、異方性エッチング、等方性エッチング、異方性エッチングと等方性エッチングの組合せによって行うことができる。収束電極及び層間絶縁層に設けられた第3開口部の形成も同様の方法で行うことができる。
【0058】
電界放出素子においては、電界放出素子の構造に依存するが、1つの開口部内に1つの電子放出部が存在してもよいし、1つの開口部内に複数の電子放出部が存在してもよいし、ゲート電極に複数の第1開口部を設け、係る第1開口部と連通する1つの第2開口部を絶縁層に設け、絶縁層に設けられた1つの第2開口部内に1又は複数の電子放出部が存在してもよい。
【0059】
電界放出素子において、カソード電極と電子放出部との間に抵抗体薄膜を形成してもよい。抵抗体薄膜を形成することによって、電界放出素子の動作安定化、電子放出特性の均一化、カソード電極とゲート電極との間のリーク電流の抑制を図ることができる。抵抗体薄膜を構成する材料として、炭化ケイ素(SiC)やSiCNといったカーボン系抵抗体材料、SiN、アモルファスシリコン等の半導体抵抗体材料、酸化ルテニウム(RuO2)、酸化タンタル、窒化タンタル等の高融点金属酸化物や高融点金属窒化物を例示することができる。抵抗体薄膜の形成方法として、スパッタリング法や、CVD法やスクリーン印刷法といった各種印刷法を例示することができる。1つの電子放出部当たりの電気抵抗値は、概ね1×105〜1×1011Ω、好ましくは数MΩ〜数十ギガΩとすればよい。
【0060】
絶縁層、層間絶縁層の構成材料として、SiO2、BPSG、PSG、BSG、AsSG、PbSG、SiON、SOG(スピンオングラス)、低融点ガラス、ガラスペーストといったSiO2系材料;SiN系材料;ポリイミド等の絶縁性樹脂を、単独、あるいは、適宜、組み合わせて使用することができる。絶縁層、層間絶縁層の形成には、各種CVD法、塗布法、スパッタリング法、スクリーン印刷法といった各種印刷法等の公知のプロセスが利用できる。
【0061】
本発明の平面型表示装置において、アノード電極と蛍光体領域の構成例として、基板上に、アノード電極を形成し、アノード電極の上に蛍光体領域を形成する構成を挙げることができる。尚、この場合、蛍光体領域の上に、アノード電極と導通した所謂メタルバック膜を形成してもよい。
【0062】
アノード電極は、全体として1つのアノード電極から構成されていてもよいし、複数のアノード電極ユニットから構成されていてもよい。後者の場合、アノード電極ユニットとアノード電極ユニットとはアノード電極抵抗体層によって電気的に接続されていることが好ましい。アノード電極抵抗体層を構成する材料として、カーボン、炭化ケイ素(SiC)やSiCNといったカーボン系材料;SiN系材料;酸化ルテニウム(RuO2)、酸化タンタル、窒化タンタル、酸化クロム、酸化チタン等の高融点金属酸化物や高融点金属窒化物;アモルファスシリコン等の半導体材料;ITOを挙げることができる。また、SiC抵抗膜上に抵抗値の低いカーボン薄膜を積層するといった複数の膜の組み合わせにより、安定した所望のシート抵抗値を実現することも可能である。アノード電極抵抗体層のシート抵抗値として、1×10-1Ω/□乃至1×1010Ω/□、好ましくは1×103Ω/□乃至1×108Ω/□を例示することができる。アノード電極ユニットの数[UN]は2以上であればよく、例えば、直線上に配列された蛍光体領域の列の総数を[un]列としたとき、[UN]=[un]とし、あるいは、[un]=u・[UN](uは2以上の整数であり、好ましくは10≦u≦100、一層好ましくは20≦u≦50)としてもよいし、一定の間隔をもって配置されたスペーサの数に1を加えた数とすることができるし、ピクセルの数あるいはサブピクセルの数と一致した数、あるいは、ピクセルの数あるいはサブピクセルの数の整数分の一とすることもできる。また、各アノード電極ユニットの大きさは、アノード電極ユニットの位置に拘わらず同じとしてもよいし、アノード電極ユニットの位置に依存して異ならせてもよい。全体として1つのアノード電極の上にアノード電極抵抗体層を形成してもよい。このように、アノード電極を有効領域のほぼ全面に亙って形成する代わりに、より小さい面積を有するアノード電極ユニットに分割した形で形成すれば、アノード電極ユニットと電子放出領域との間の静電容量を減少させることができる。その結果、放電の発生を低減することができ、放電に起因したアノード電極や電子放出領域の損傷の発生を効果的に減少させることができる。
【0063】
アノード電極をアノード電極ユニットから構成する場合であって隔壁(後述する)が形成されている場合、アノード電極ユニットは、各蛍光体領域上から隔壁側面上に亙り形成されている形態とすることができる。尚、アノード電極ユニットは、各蛍光体領域上から隔壁側面の途中まで形成されている形態であってもよい。
【0064】
アノード電極(アノード電極ユニットを包含する)は、導電材料層を用いて形成すればよい。導電材料層の形成方法として、例えば、電子ビーム蒸着法や熱フィラメント蒸着法といった真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、レーザアブレーション法といった各種PVD法;各種CVD法;スクリーン印刷法を含む各種印刷法;メタルマスク印刷法;リフトオフ法;ゾル−ゲル法等を挙げることができる。即ち、導電材料層を形成し、リソグラフィ技術及びエッチング技術に基づき、この導電材料層をパターニングしてアノード電極を形成することができる。あるいは又、アノード電極のパターンを有するマスクやスクリーンを介して導電材料を各種PVD法や各種印刷法に基づき形成することによって、アノード電極を得ることもできる。尚、アノード電極抵抗体層も、アノード電極と同様の、あるいは、類似した方法で形成することができる。即ち、抵抗体材料からアノード電極抵抗体層を形成し、リソグラフィ技術及びエッチング技術に基づきこのアノード電極抵抗体層をパターニングしてもよいし、あるいは、アノード電極抵抗体層のパターンを有するマスクやスクリーンを介して抵抗体材料の各種PVD法や各種印刷法に基づく形成により、アノード電極抵抗体層を得ることができる。基板上(あるいは基板上方)におけるアノード電極の平均厚さ(後述するように隔壁を設ける場合、隔壁の頂面上におけるアノード電極の平均厚さ)として、3×10-8m(30nm)乃至1×10-6m(1μm)、好ましくは5×10-8m(50nm)乃至5×10-7m(0.5μm)を例示することができる。
【0065】
アノード電極の構成材料として、アルミニウム(Al)、モリブデン(Mo)、クロム(Cr)、タングステン(W)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、金(Au)、銀(Ag)、チタン(Ti)、コバルト(Co)、ジルコニウム(Zr)、鉄(Fe)、白金(Pt)、亜鉛(Zn)等の金属;これらの金属元素を含む合金あるいは化合物(例えばTiN等の窒化物や、WSi2、MoSi2、TiSi2、TaSi2等のシリサイド);シリコン(Si)等の半導体;ダイヤモンドやグラファイト等の炭素薄膜;ITO(酸化インジウム−錫)、酸化インジウム、酸化亜鉛等の導電性金属酸化物を例示することができる。尚、アノード電極抵抗体層を形成する場合、アノード電極抵抗体層の電気抵抗値を変化させない導電材料からアノード電極を構成することが好ましく、例えば、アノード電極抵抗体層を炭化ケイ素(SiC)から構成した場合、アノード電極をモリブデン(Mo)やアルミニウム(Al)から構成することが好ましい。
【0066】
蛍光体領域からの光を吸収する光吸収層が、隣り合う蛍光体領域の間、あるいは、後述する隔壁と基板との間に形成されていることが、表示画像のコントラスト向上といった観点から好ましい。ここで、光吸収層は、所謂ブラックマトリックスとして機能する。光吸収層を構成する材料として、蛍光体領域からの光を90%以上吸収する材料を選択することが好ましい。このような材料として、カーボン、金属薄膜(例えば、クロム、ニッケル、アルミニウム、モリブデン等、あるいは、これらの合金)、金属酸化物(例えば、酸化クロム)、金属窒化物(例えば、窒化クロム)、耐熱性有機樹脂、ガラスペースト、黒色顔料や銀等の導電性粒子を含有するガラスペースト等の材料を挙げることができ、具体的には、感光性ポリイミド樹脂、酸化クロムや、酸化クロム/クロム積層膜を例示することができる。尚、酸化クロム/クロム積層膜においては、クロム膜が基板と接する。光吸収層は、例えば、真空蒸着法やスパッタリング法とエッチング法との組合せ、真空蒸着法やスパッタリング法、スピンコーティング法とリフトオフ法との組合せ、各種印刷法、リソグラフィ技術等、使用する材料に依存して、適宜、選択された方法にて形成することができる。
【0067】
蛍光体領域から反跳した電子、あるいは、蛍光体領域から放出された2次電子が他の蛍光体領域に入射し、所謂光学的クロストーク(色濁り)が発生することを防止するために、隔壁を設けることが好ましい。隔壁の形成方法として、スクリーン印刷法、ドライフィルム法、感光法、キャスティング法、サンドブラスト形成法を例示することができる。ここで、スクリーン印刷法とは、隔壁を形成すべき部分に対応するスクリーンの部分に開口が形成されており、スクリーン上の隔壁形成用材料をスキージを用いて開口を通過させ、基板上に隔壁形成用材料層を形成した後、係る隔壁形成用材料層を焼成する方法である。ドライフィルム法とは、基板上に感光性フィルムをラミネートし、露光及び現像によって隔壁形成予定部位の感光性フィルムを除去し、除去によって生じた開口に隔壁形成用材料を埋め込み、焼成する方法である。感光性フィルムは焼成によって燃焼、除去され、開口に埋め込まれた隔壁形成用材料が残り、隔壁となる。感光法とは、基板上に感光性を有する隔壁形成用材料層を形成し、露光及び現像によってこの隔壁形成用材料層をパターニングした後、焼成(硬化)を行う方法である。キャスティング法(型押し成形法)とは、ペースト状とした有機材料あるいは無機材料から成る隔壁形成用材料層を型(キャスト)から基板上に押し出すことで隔壁形成用材料層を形成した後、係る隔壁形成用材料層を焼成する方法である。サンドブラスト形成法とは、例えば、スクリーン印刷法やメタルマスク印刷法、ロールコーター、ドクターブレード、ノズル吐出式コーター等を用いて隔壁形成用材料層を基板上に形成し、乾燥させた後、隔壁を形成すべき隔壁形成用材料層の部分をマスク層で被覆し、次いで、露出した隔壁形成用材料層の部分をサンドブラスト法によって除去する方法である。隔壁を形成した後、隔壁を研磨し、隔壁頂面の平坦化を図ってもよい。また、隔壁の一部を、スペーサ保持部として機能させてもよい。
【0068】
隔壁における蛍光体領域を取り囲む部分の平面形状(隔壁側面の射影像の内側輪郭線に相当し、一種の開口領域である)として、矩形形状、円形形状、楕円形状、長円形状、三角形形状、五角形以上の多角形形状、丸みを帯びた三角形形状、丸みを帯びた矩形形状、丸みを帯びた多角形等を例示することができるし、蛍光体領域の二辺と平行に延びる直線状の形状(棒状の形状)を挙げることができる。これらの平面形状(開口領域の平面形状)が2次元マトリクス状に配列されることにより、格子状の隔壁が形成される。この2次元マトリクス状の配列は、例えば井桁様に配列されるものでもよいし、千鳥様に配列されるものでもよい。
【0069】
隔壁形成用材料として、例えば、感光性ポリイミド樹脂や、酸化コバルト等の金属酸化物により黒色に着色した鉛ガラス、SiO2、低融点ガラスペーストを例示することができる。隔壁の表面(頂面及び側面)には、隔壁に電子ビームが衝突して隔壁からガスが放出されることを防止するための保護層(例えば、SiO2、SiON、あるいは、AlNから成る)を形成してもよい。
【0070】
カソードパネルとアノードパネルとを外周部において接合するが、接合は接着層を接合部材として用いて行ってもよいし、あるいは、棒状あるいはフレーム状(枠状)であってガラスやセラミックス等の絶縁剛性材料から構成された枠体と接着層とから成る接合部材を用いて行ってもよい。枠体と接着層とから成る接合部材を用いる場合には、枠体の高さを、適宜、選択することにより、接着層のみから成る接合部材を使用する場合に比べ、カソードパネルとアノードパネルとの間の対向距離をより長く設定することが可能である。尚、接着層の構成材料としては、B23−PbO系フリットガラスやSiO2−B23−PbO系フリットガラスといったフリットガラスが一般的であるが、融点が120〜400゜C程度の所謂低融点金属材料を用いてもよい。係る低融点金属材料として、In(インジウム:融点157゜C);インジウム−金系の低融点合金;Sn80Ag20(融点220〜370゜C)、Sn95Cu5(融点227〜370゜C)等の錫(Sn)系高温はんだ;Pb97.5Ag2.5(融点304゜C)、Pb94.5Ag5.5(融点304〜365゜C)、Pb97.5Ag1.5Sn1.0(融点309゜C)等の鉛(Pb)系高温はんだ;Zn95Al5(融点380゜C)等の亜鉛(Zn)系高温はんだ;Sn5Pb95(融点300〜314゜C)、Sn2Pb98(融点316〜322゜C)等の錫−鉛系標準はんだ;Au88Ga12(融点381゜C)等のろう材(以上の添字は全て原子%を表す)を例示することができる。
【0071】
カソードパネルとアノードパネルと接合部材の三者を接合する場合、三者を同時に接合してもよいし、あるいは、第1段階でカソードパネル又はアノードパネルのいずれか一方と接合部材とを接合し、第2段階でカソードパネル又はアノードパネルの他方と接合部材とを接合してもよい。三者同時接合や第2段階における接合を高真空雰囲気中で行えば、カソードパネルとアノードパネルと接合部材とにより囲まれた空間は、接合と同時に真空となる。あるいは、三者の接合終了後、カソードパネルとアノードパネルと接合部材とによって囲まれた空間を排気し、真空とすることもできる。接合後に排気を行う場合、接合時の雰囲気の圧力は常圧/減圧のいずれであってもよく、また、雰囲気を構成する気体は、窒素ガスや周期律表0族に属するガス(例えばArガス)を含む不活性ガスとすることが好ましいが、大気中で行うこともできる。
【0072】
排気を行う場合、排気は、カソードパネル及び/又はアノードパネルに予め接続されたチップ管とも呼ばれる排気管を通じて行うことができる。排気管は、典型的にはガラス管、あるいは、低熱膨張率を有する金属や合金[例えば、ニッケル(Ni)を42重量%含有した鉄(Fe)合金や、ニッケル(Ni)を42重量%、クロム(Cr)を6重量%含有した鉄(Fe)合金]から成る中空管から構成され、カソードパネル及び/又はアノードパネルの無効領域に設けられた貫通部の周囲に、上述のフリットガラス又は低融点金属材料を用いて接合され、空間が所定の真空度に達した後、熱融着によって封じ切られ、あるいは又、圧着することにより封じられる。尚、封じる前に、平面型表示装置全体を一旦加熱してから降温させると、空間に残留ガスを放出させることができ、この残留ガスを排気により空間外へ除去することができるので好適である。
【0073】
カソードパネルとアノードパネルとによって挟まれた空間が真空状態に保持されているので、大気圧によって平面型表示装置に破損が生じないように、カソードパネルとアノードパネルとの間に、局所的に、スペーサを配することが好ましい。1列のスペーサは、1本のスペーサから構成されていてもよいし、複数のスペーサから構成されていてもよい。即ち、X方向に沿ったスペーサの数は、1であってもよいし、2以上であってもよく、平面型表示装置の仕様に依存する。スペーサを構成するスペーサ基体は、例えばセラミックスやガラス材料から構成することができる。スペーサ基体をセラミックスから構成する場合、セラミックスとして、ムライト等のケイ酸アルミニウム化合物やアルミナ等の酸化アルミニウム、チタン酸バリウム、チタン酸ジルコン酸鉛、ジルコニア(酸化ジルコニウム)、コーディオライト、硼珪酸塩バリウム、珪酸鉄、ガラスセラミックス材料、これらに、酸化チタンや酸化クロム、酸化マグネシウム、酸化鉄、酸化バナジウム、酸化ニッケルを添加したもの等を例示することができるし、例えば、特表2003−524280号公報等に記載されている材料を用いることもできる。この場合、所謂グリーンシートを成形して、グリーンシートを焼成し、係るグリーンシート焼成品を切断することによってスペーサ基体を製造することができる。また、ガラス材料として、高歪点ガラス、低アルカリガラス、無アルカリガラス、ソーダガラス(Na2O・CaO・SiO2)、硼珪酸ガラス(Na2O・B23・SiO2)、フォルステライト(2MgO・SiO2)、鉛ガラス(Na2O・PbO・SiO2)、結晶性ガラスを例示することができる。尚、スペーサの端部に対して面取りを行い、突起部等を除去することが好ましい。スペーサは、例えば、アノードパネルに設けられた隔壁と隔壁との間に挟み込んで固定すればよく、あるいは又、例えば、アノードパネル及び/又はカソードパネルにスペーサ保持部を形成し、スペーサ保持部によって固定すればよい。
【0074】
スペーサの側面(より具体的には、スペーサ基体の側面)には帯電防止膜や抵抗体膜等が設けられていてもよい。帯電防止膜を構成する材料は、その2次電子放出係数が1に近いことが好ましく、帯電防止膜を構成する材料として、SiやGe等の半導体、グラファイト等の半金属、酸化物、ホウ化物、炭化物、硫化物、及び、窒化物等を用いることができる。具体的には、例えば、グラファイト等の半金属及びMoSex等の半金属元素を含む化合物、CrOx、NdOx、CrAlxy、酸化マンガン、LaxBa2-xCuO4、Lax1-xCrO3等の酸化物、AlBx、TiBx等のホウ化物、SiC等の炭化物、MoSx、WSx等の硫化物、及び、窒化タングステンと窒化ゲルマニウムの化合物、BN、TiN、AlN等の窒化物等を挙げることができるし、更には、例えば、特表2004−500688号公報等に記載されている材料等を用いることもできる。また、抵抗体膜を構成する材料として、例えば、酸化ルテニウム(RuOx)やサーメットを例示することができる。帯電防止膜等のスペーサの表面に設けられる膜は、単一の種類の材料から成るものであってもよいし、複数の種類の材料から成るものであってもよい。例えば、膜は1層構造であって、複数の種類の材料からその層が構成されていてもよいし、膜は複数層が積層して成り、それぞれの層が異なる材料から成るものであってもよい。これらの膜は、スパッタリング法や真空蒸着法といった各種PVD法、各種CVD法、スクリーン印刷法等、周知の方法により形成することができる。また、これらの膜の膜厚は、必要に応じて任意に設定すればよい。
【発明の効果】
【0075】
本発明の第1の態様〜第3の態様に係る蛍光体粒子あるいは平面型表示装置における蛍光体粒子にあっては、蛍光体粒子本体の表面に特定の窒化物、金属あるいは炭化物から成る薄膜が形成されており、係る薄膜は、光吸収性を有する一種のフィルター層としての機能を有する。即ち、蛍光体領域を、一種、着色した状態とすることができ、蛍光体領域自体が外光を吸収する特性を有する。また、本発明の第4の態様に係る蛍光体粒子あるいは平面型表示装置における蛍光体粒子にあっては、蛍光体粒子本体の波長550nmにて測定した光反射率が規定され、本発明の第5の態様に係る蛍光体粒子あるいは平面型表示装置における蛍光体粒子にあっては、薄膜を構成する材料の波長550nmにて測定した光反射率が規定され、更には、本発明の第6の態様に係る蛍光体粒子にあっては、蛍光体粒子の平均光反射率が規定され、本発明の第6の態様あるいは第7の態様に係る平面型表示装置にあっては、アノードパネルの平均光反射率が規定されている。従って、外光の反射の影響で表示画像が白っぽく見えることが無く、外光を反射して白色の拡散層のような状態を呈することが無いので、外光によるコントラストの低下を招くことがない。それ故、高い表示品質を有する平面型表示装置を提供することができる。しかも、カラー表示を行う平面型表示装置にあっては、赤色発光蛍光体領域を構成する蛍光体粒子、緑色発光蛍光体領域を構成する蛍光体粒子、青色発光蛍光体領域を構成する蛍光体粒子毎に、外光を反射する特性の最適化を図ることができるので、赤色、緑色、青色の3原色における輝度が一様に低下するといった不具合の発生を回避することができるし、反射防止膜やカラーフィルター層を設けることも不要である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0076】
以下、図面を参照して、実施例に基づき本発明を説明するが、それに先立ち、実施例1〜実施例3における平面型表示装置の共通した概要を、以下、説明する。ここで、実施例1〜実施例3における平面型表示装置は、冷陰極電界電子放出表示装置(以下、表示装置と略称する)である。実施例1〜実施例3における表示装置にあっては、帯状のゲート電極(例えば走査電極)13は第1の方向(X方向)に延び、帯状のカソード電極(例えばデータ電極)11は第2の方向(Y方向)に延びている。
【0077】
実施例における表示装置の模式的な一部端面図は図4に示したと同様であり、カソードパネルCP及びアノードパネルAPを分解したときのカソードパネルCPとアノードパネルAPの一部分の模式的な分解斜視図は図5に示したと同様である。即ち、実施例における表示装置は、基板20上に蛍光体領域22及びアノード電極24が設けられたアノードパネルAPと、支持体10上に第1の方向(X方向、行方向)及び第2の方向(Y方向、列方向)に沿って2次元マトリクス状に配列された電子放出領域EAを備えたカソードパネルCPとが、外周部で、より具体的には、接合部材27を介して、接合されて成り、カソードパネルCPとアノードパネルAPとによって挟まれた空間SPは真空に保持されている。
【0078】
ここで、実施例における表示装置は、有効領域EF、及び、有効領域EFを取り囲む無効領域NFを有する。尚、有効領域EFとは、表示装置としての実用上の画像表示機能を果たす略中央に位置する表示領域であり、この有効領域EFは、額縁状に包囲する無効領域NFによって囲まれている。そして、カソードパネルCPとアノードパネルAPと接合部材27とによって挟まれた空間SPは真空(圧力:例えば10-3Pa以下)に保持されている。カソードパネルCPの無効領域NFには、真空排気用の貫通孔(図示せず)が設けられており、この貫通孔の周囲には、真空排気後に封じ切られるチップ管とも呼ばれる排気管(図示せず)が取り付けられている。
【0079】
実施例において、電子放出領域を構成する電界放出素子は、例えば、スピント型電界放出素子から構成されている。スピント型電界放出素子は、
(a)支持体10上に形成された帯状のカソード電極11、
(b)支持体10及びカソード電極11上に形成された絶縁層12、
(c)絶縁層12上に形成された帯状のゲート電極13、
(d)カソード電極11とゲート電極13の重複する重複領域に位置するゲート電極13及び絶縁層12の部分に設けられ、底部にカソード電極11が露出した開口部14(ゲート電極13に設けられた第1開口部14A、及び、絶縁層12に設けられた第2開口部14B)、並びに、
(e)開口部14の底部に露出したカソード電極11上に設けられ、カソード電極11及びゲート電極13への電圧の印加によって電子放出が制御される電子放出部15、
から構成されている。ここで、電子放出部15の形状は円錐形である。また、絶縁層12上には層間絶縁層16が形成されており、層間絶縁層16上には収束電極17が形成されている。
【0080】
実施例の表示装置において、ゲート電極13とカソード電極11とは、これらの両電極13,11の射影像が互いに直交する方向(第1の方向及び第2の方向)に各々帯状に形成されており、これらの両電極の射影像が重複する領域(1副画素(サブピクセル)分の領域に相当し、電子放出領域EAである)に、複数の電界放出素子が設けられている。尚、図面の簡素化のため、図4では、各電子放出領域EAにおいて2つの電子放出部15を図示した。そして、係る電子放出領域EAが、カソードパネルCPの有効領域EF(実際の表示部分として機能する領域)内に、通常、上述したとおり、2次元マトリクス状に配列されている。
【0081】
アノードパネルAPは、基板20と、基板20上に形成され、所定のパターンを有する蛍光体領域22と、その上に形成されたアノード電極24から構成されている。1副画素(1サブピクセル)は、電子放出領域EAと、電子放出領域EAに対面したアノードパネル側の蛍光体領域22とによって構成されている。有効領域EFには、係る副画素が、例えば数十万〜数百万個ものオーダーにて配列されている。尚、蛍光体領域22と蛍光体領域22との間の基板20上には、表示画像の色濁り、光学的クロストークの発生を防止するために、光吸収層(ブラックマトリックス)23が形成されている。アノード電極24は、厚さ約0.3μmのアルミニウム(Al)から成り、有効領域EFを覆う薄い1枚のシート状であり、蛍光体領域22を覆う状態で設けられている。図5においては、隔壁やスペーサ、スペーサ保持部の図示を省略した。カラー表示の表示装置の場合には、1画素(1ピクセル)は、1つの赤色発光蛍光体領域22R、1つの緑色発光蛍光体領域22G、及び、1つの青色発光蛍光体領域22Bの集合から構成されている。各蛍光体領域22を取り囲む格子状の隔壁21が基板20上に形成されている。格子状の隔壁21における蛍光体領域22を取り囲む部分の平面形状(隔壁側面の射影像の内側輪郭線に相当し、一種の開口領域である)は、矩形形状(長方形)であり、これらの平面形状(開口領域の平面形状)は2次元マトリクス状(より具体的には、井桁)に配列され、格子状の隔壁21が形成されている。隔壁の一部は、スペーサ保持部25として機能する。
【0082】
実施例の表示装置においては、カソードパネルCPとアノードパネルAPとの間に、第1の方向(X方向)に延びる平板状のスペーサ26が、複数列、配置されている。また、スペーサ26とスペーサ26とによって、数十本乃至数百本のゲート電極13が挟まれている。スペーサ26の頂面及び底面はXY平面と平行であり、側面はXZ平面と平行であり、端面はYZ平面と平行である。スペーサ26を構成するスペーサ基体26Aは、例えば酸化アルミニウム(Al23)から成り、スペーサ26の頂面と底面との間の抵抗値は、約1×1010Ω(約10GΩ)である。また、スペーサ基体26Aの側面には、例えば、RFスパッタリング法に基づき厚さ4nmの酸化クロム(CrOx)から成る帯電防止膜26Bが形成されている。酸化クロムは、2次電子放出係数が比較的小さく、スペーサ26が正に帯電するような条件下では、帯電防止膜として非常に好ましい材料である。更には、スペーサ基体26Aの頂面及び底面には、白金(Pt)から成る端部電極層26Cが形成されている。尚、代替的に、端部電極層26Cを構成する材料としてニッケル−バナジウム合金を挙げることができる。
【0083】
実施例における表示装置において、カソード電極11はカソード電極制御回路31に接続され、ゲート電極13はゲート電極制御回路32に接続され、収束電極が設けられている場合には、収束電極は収束電極制御回路(図示せず)に接続され、アノード電極24はアノード電極制御回路33に接続されている。表示装置の表示作動時、アノード電極制御回路33からアノード電極24に印加されるアノード電圧VAは、通常、一定であり、例えば、5キロボルト〜15キロボルト、具体的には、例えば、9キロボルト(例えば、d0=2.0mm)とすることができる。一方、表示装置の表示作動時、カソード電極11に印加する電圧VC及びゲート電極13に印加する電圧VGに関しては、
(1)カソード電極11に印加する電圧VCを一定とし、ゲート電極13に印加する電圧VGを変化させる方式
(2)カソード電極11に印加する電圧VCを変化させ、ゲート電極13に印加する電圧VGを一定とする方式
(3)カソード電極11に印加する電圧VCを変化させ、且つ、ゲート電極13に印加する電圧VGも変化させる方式
のいずれを採用してもよいが、実施例における表示装置においては、上述の(2)の方式を採用する。
【0084】
即ち、表示装置の表示作動時、カソード電極11には相対的に負電圧(VC)がカソード電極制御回路31から印加され、ゲート電極13には相対的に正電圧(VG)がゲート電極制御回路32から印加され、収束電極が設けられている場合には、収束電極には収束電極制御回路から例えば0ボルトが印加され、アノード電極24にはゲート電極13よりも更に高い正電圧(アノード電圧VA)がアノード電極制御回路33から印加される。係る表示装置において、線順次駆動方式により画像の表示を行う場合、例えば、カソード電極11にカソード電極制御回路31からビデオ信号を入力し、ゲート電極13にゲート電極制御回路32から走査信号を入力する。尚、カソード電極11を走査電極とし、ゲート電極13をデータ電極とする場合には、カソード電極11にカソード電極制御回路31から走査信号を入力し、ゲート電極13にゲート電極制御回路32からビデオ信号を入力すればよい。カソード電極11とゲート電極13との間に電圧を印加した際に生ずる電界により、量子トンネル効果に基づき電子放出部15から電子が放出され、この電子がアノード電極24に引き付けられ、アノード電極24を通過して蛍光体領域22に衝突する。その結果、蛍光体領域22が励起されて発光し、所望の画像を得ることができる。つまり、この表示装置の動作は、基本的に、ゲート電極13に印加される電圧VG、及び、カソード電極11に印加される電圧VCによって制御される。カソード電極11はカソード電極駆動ドライバによって駆動され、ゲート電極13はゲート電極駆動ドライバによって駆動される。カソード電極制御回路31、ゲート電極制御回路32、アノード電極制御回路33や駆動ドライバは周知の回路から構成することができる。
【実施例1】
【0085】
実施例1は、本発明の第1の態様、第4の態様、第5の態様及び第6の態様に係る蛍光体粒子、並びに、本発明の第1の態様、第4の態様、第5の態様、第6の態様及び第7の態様に係る平面型表示装置に関する。
【0086】
実施例1の蛍光体粒子は、図1に模式的な断面図を示すように、
(A)蛍光体粒子本体、及び、
(B)蛍光体粒子本体の表面に形成された、窒化クロム、窒化チタン、窒化タングステン及び窒化ホウ素から成る群から選択されたいずれか1種類の窒化物から成る薄膜、具体的には、実施例1にあっては、窒化クロム(CrN)から成る薄膜、
から構成されている。また、実施例1の表示装置において、蛍光体領域22を構成する蛍光体粒子は、
(A)蛍光体粒子本体、及び、
(B)蛍光体粒子本体の表面に形成された、窒化クロム、窒化チタン、窒化タングステン及び窒化ホウ素から成る群から選択されたいずれか1種類の窒化物から成る薄膜、具体的には、実施例1にあっては、上記の窒化物から成る薄膜、
から構成されている。
【0087】
ここで、薄膜の平均膜厚は10nmである。薄膜の膜厚をこのような値とすることによって、蛍光体粒子を確実に黒色に着色することができ、外光の反射を抑制することができ、しかも、薄膜を通過し、蛍光体粒子本体と衝突する電子の薄膜におけるエネルギー損失を抑制することができる。更には、薄膜の上には、平均厚さ0.2nmのSiOX膜が形成されている。
【0088】
蛍光体粒子は、青色を発光し、蛍光体粒子本体の組成は(ZnS:Ag,Al)である。また、表示装置における青色発光蛍光体領域22Bを構成する蛍光体粒子における蛍光体粒子本体の組成は(ZnS:Ag,Al)である。後述する実施例2〜実施例3においても同様とした。
【0089】
あるいは又、蛍光体粒子は、赤色を発光し、蛍光体粒子本体の組成は(Y22S:Eu)である。また、表示装置における赤色発光蛍光体領域22Rを構成する蛍光体粒子における蛍光体粒子本体の組成は(Y22S:Eu)である。後述する実施例2〜実施例3においても同様とした。
【0090】
尚、表示装置における緑色発光蛍光体領域22Gを構成する蛍光体粒子の組成は(ZnS:Cu,Al)である。但し、このような組成の蛍光体粒子の色(ボディーカラー)は緑色を帯びているので、緑色を発光する蛍光体粒子の表面に薄膜を形成していないが、赤色あるいは青色を発光する蛍光体粒子と同様に、表面に薄膜を形成してもよい。後述する実施例2〜実施例3においても同様とした。
【0091】
実施例1の赤色を発光する蛍光体粒子において、波長550nmにて測定した平均光反射率(蛍光体粒子本体と薄膜とSiOX膜の全体における光反射率)は64.1%であった。尚、赤色を発光する蛍光体粒子本体のみを同様の方法で測定したときの光反射率は90.2%であった。一方、青色を発光する蛍光体粒子において、波長550nmにて測定した平均光反射率(蛍光体粒子本体と薄膜とSiOX膜の全体における光反射率)は59.2%であった。尚、青色を発光する蛍光体粒子本体のみを同様の方法で測定したときの光反射率は86.5%であった。また、薄膜を構成する材料の波長550nmにて測定した光反射率は、薄膜の膜厚を10nmとして測定したとき、69.7%であった。
【0092】
以下、実施例1における蛍光体粒子本体の表面に薄膜を形成することで蛍光体粒子を製造する方法を、スパッタリング装置の模式的な断面図及び概念図である図2の(A)及び(B)を参照して説明する。
【0093】
[工程−100]
先ず、蛍光体粒子本体に前処理を施す。即ち、蛍光体粒子本体は、例えば、直径3μm〜10μmと微細な粒子であるので、大きな表面積を有する。そのため、蛍光体粒子本体が占める雰囲気を真空としたとき、蛍光体粒子本体は、大気中で吸着していた水分や酸素ガス等の吸着ガスを徐々に放出し、薄膜をスパッタリング法にて形成しているとき、スパッタイオンやターゲットと反応して、薄膜の化学的組成にズレが生ずる虞がある。それ故、薄膜を形成する前の前処理として、蛍光体粒子本体の乾燥、脱ガス処理を行うことが望ましい。
【0094】
前処理においては、不活性ガス気流中で蛍光体粒子本体をベーキングして、吸着ガスの脱離を促進する。具体的には、ヘリウムガス、アルゴンガスあるいは窒素ガスといった不活性ガス気流中で、蛍光体粒子本体の輝度劣化を避け、組成及び結晶性への悪影響を避けながら、しかも、酸素ガスや水分等に代表される吸着ガスを脱離し得る200〜400゜Cに蛍光体粒子本体を加熱して、脱ガスする。蛍光体粒子本体の集合体が均一に加熱されるように、蛍光体粒子本体の集合体を十分に撹拌しながら加熱する。そして、所定の温度に上昇させた後、この所定の温度で均一に脱ガスが行われるように、例えば1時間以上の加熱を行う。加熱後、室温に冷却する際にも、蛍光体粒子本体の集合体が十分に冷えるまで、不活性ガス気流中での冷却を行う。加熱には、気密性さえ保つことが可能ならば、ロータリーキルン型のオーブンを用いてもよい。前処理が完了した蛍光体粒子本体は、不活性ガスを充填した密閉容器中で保管することが望ましい。
【0095】
より具体的には、粒径(D50で表される50体積%粒径)5.0μm の蛍光体粒子本体100グラムを撹拌機能を備えたオーブン中に入れ、毎分3リットルの乾燥アルゴン気流中で200゜Cにて1時間、加熱して、脱ガスした後、アルゴンガスを流し続けて、室温まで冷却した。
【0096】
[工程−110]
次いで、スパッタリング法にて、蛍光体粒子本体の表面に、CrNから成る薄膜を形成する。即ち、所定のスパッタ電流密度で、一定のガス組成、流量及び圧力下において、一定時間、所定のターゲット−蛍光体粒子間距離(以下、『T−S間距離』と呼ぶ)にて、スパッタリングを行う。尚、蛍光体粒子本体の表面に均一な膜厚の薄膜を形成するために、蛍光体粒子本体を撹拌しながらスパッタリングを行う。
【0097】
撹拌に関しては、常圧下のように蛍光体粒子本体間に存在する空気分子がクッション層として働き、蛍光体粒子本体の流動を助けるといった現象が、真空条件下では起こらない。また、薄膜が形成された蛍光体粒子同士の摩擦が大きい場合、蛍光体粒子同士が絡み合い、大きな塊状態で撹拌される現象が屡々発生する。そして、以上の結果として、スパッタリング中に、容器100から多くの塊り状態の蛍光体粒子(蛍光体粒子凝集体)がこぼれ落ちてしまう不具合が生ずる場合が多い。このような不具合への対策として、蛍光体粒子凝集体が生成することを防止するために、水平方向撹拌用の羽根102と垂直方向撹拌用の羽根103とを、別々に、容器100に設けられた回転軸101に取り付ける。そして、垂直方向撹拌用の羽根103を幅狭く分割することで、蛍光体粒子本体が塊りの状態で攪拌されることを防ぐ。また、水平方向撹拌用の羽根102として、ナイフエッジ状の羽根を攪拌方向に垂直に並べて設置する。そして、垂直方向撹拌用の羽根103及び水平方向撹拌用の羽根102を回転軸101を中心として回転させることで、塊り状態の蛍光体粒子(蛍光体粒子凝集体)が生成しても、これらの羽根102,103で分断することができる。そして、このような羽根102,103を設けることで、蛍光体粒子あるいは蛍光体粒子本体を容器100の外に溢れさせずに、容器100内で層状の蛍光体粒子あるいは蛍光体粒子本体の表面を均一な高さに保つことができ、その結果、T−S間距離を安定させることができるので、安定して薄膜を蛍光体粒子本体の表面に形成することができる。尚、図2において、参照番号104は、容器100の側壁に付着した蛍光体粒子や蛍光体粒子本体を掻き落とすためのスクレイパーを表し、参照番号105はプロセスガスを供給するためのプロセスガス用配管を表し、参照番号110はターゲットを表す。
【0098】
スパッタリング条件に関しては、導入するプロセスガスの組成及び圧力を一定に保ち、しかも、T−S間距離を一定に保つことが、形成される薄膜の化学的組成の安定化といった観点から重要である。圧力0.3Paから15Paの範囲内では、例えば、15ミリメートルから100ミリメートルのT−S間距離が最適である。T−S間距離が15ミリメートルよりも短い場合、容器内の層状の蛍光体粒子あるいは蛍光体粒子本体の上層部が、直接、プラズマ雰囲気中に入ってしまい、蛍光体粒子本体の表面がエッチングされ、蛍光体粒子本体の表面の結晶性が劣化し、蛍光体粒子の輝度低下が生じる虞がある。一方、T−S間距離が100ミリメートルよりも長い場合、スパッタイオンが蛍光体粒子本体の表面に到達する前にガス分子と衝突する頻度が高まることにより、プラズマが所望の状態以上に広がり、薄膜を形成する効率が低下してしまう虞がある。
【0099】
より具体的には、以下のスパッタリング条件にてCrNから成る薄膜を蛍光体粒子本体の表面に形成する。尚、プロセスガスに微量の酸素ガスを混入させることで、スパッタリング時、容器内で蛍光体粒子本体が凝集することをより一層防止することができる。
【0100】
[表1]
ターゲット :クロム(Cr)
プロセスガス :Ar/N2/O2=20/8/0.1(体積比)
スパッタリング電力:500W
T−S間距離 :75ミリメートル
【0101】
[工程−120]
その後、以下のDCスパッタリング条件にてSiOX膜を形成する。こうして、薄膜及びSiOX膜の2層構造を表面に有する蛍光体粒子を得ることができた。
【0102】
[表2]
ターゲット :n型シリコン(Si)
プロセスガス :Ar/O2=10/0.2(体積比)
スパッタリング電力:500W
T−S間距離 :75ミリメートル
【0103】
以下、アノードパネルAPを構成する基板20等の模式的な一部端面図である図6の(A)〜(C)及び図7の(A)〜(B)を参照して、アノードパネルAPの製造方法を説明するが、後述する実施例2〜実施例3におけるアノードパネルAPも同様の方法で製造することができる。
【0104】
[工程−A1]
先ず、基板20上に格子状の隔壁21を形成する(図6の(A)参照)。尚、隔壁21は、スペーサ保持部25としても機能する。具体的には、感光性ポリイミド樹脂層を塗布法に基づき基板20上に形成した後、フォトリソグラフィ技術及び現像によって感光性ポリイミド樹脂層を選択的に除去し、次いで、残存した感光性ポリイミド樹脂層を焼成することにより、井桁状の隔壁21、及び、スペーサ保持部25を形成する。隔壁21の開口領域の大きさを、およそ、縦×横×高さ=280μm×100μm×40μmとした。尚、隔壁21の形成前に、隔壁21を形成すべき基板20の部分の表面に、例えば、酸化クロムから成る光吸収層(ブラックマトリックス)23を形成することが好ましい。具体的には、酸化コバルト等の金属酸化物により黒色に着色した低融点ガラスペーストをスクリーン印刷法にて基板20上に印刷し、次いで、係る低融点ガラスペーストを焼成することによって格子状の光吸収層23を形成すればよい。尚、光吸収層23の厚さを、およそ、8μmとした。
【0105】
[工程−A2]
次に、隔壁21によって取り囲まれた基板20の部分の上に、蛍光体領域22を形成する(図6の(B)参照)。具体的には、赤色発光蛍光体領域22Rを形成するために、例えばポリビニルアルコール(PVA)樹脂と水に、上述した[工程−100]〜[工程−120]にて得られた赤色発光蛍光体粒子を分散させ、更に、重クロム酸アンモニウムを添加した赤色発光蛍光体スラリーを全面に塗布した後、係る赤色発光蛍光体スラリーを乾燥する。その後、基板側から赤色発光蛍光体領域22Rを形成すべき赤色発光蛍光体スラリーの部分に紫外線を照射し、赤色発光蛍光体スラリーを露光する。赤色発光蛍光体スラリーは基板側から徐々に硬化する。形成される赤色発光蛍光体領域22Rの厚さは、赤色発光蛍光体スラリーに対する紫外線の照射量により決定される。ここでは、例えば、赤色発光蛍光体スラリーに対する紫外線の照射時間を調整して、赤色発光蛍光体領域22Rの厚さを約8μmとした。その後、赤色発光蛍光体スラリーを現像することによって、所定の領域に赤色発光蛍光体領域22Rを形成することができる。以下、従来の緑色発光蛍光体粒子を分散させ、更に、重クロム酸アンモニウムを添加した緑色発光蛍光体スラリーに対して同様の処理を行うことによって緑色発光蛍光体領域22Gを形成し、更に、上述した[工程−100]〜[工程−120]にて得られた青色発光蛍光体粒子を分散させ、更に、重クロム酸アンモニウムを添加した青色発光蛍光体スラリーに対して同様の処理を行うことによって青色発光蛍光体領域22Bを形成する。蛍光体領域の形成方法は、以上に説明した方法に限定されず、例えば、スクリーン印刷法等により各蛍光体領域を形成してもよい。また、赤色発光蛍光体領域22R、緑色発光蛍光体領域22G及び青色発光蛍光体領域22Bの形成順序は、本質的に任意である。
【0106】
[工程−A3]
その後、隔壁21の頂面上及び蛍光体領域22上に樹脂層28(屡々、中間膜とも呼ばれる)を形成する(図6の(C)参照)。具体的には、メタルマスク印刷法あるいはスクリーン印刷法、インクジェット印刷法に基づき、樹脂層28を形成することができる。尚、樹脂層28は、広義のワニスの一種で、セルロース誘導体、一般にニトロセルロースを主成分とした配合物を低級脂肪酸エステルのような揮発性溶剤に溶かしたもの、あるいは、他の合成高分子を用いたウレタンラッカー、アクリルラッカー、水溶性アクリルエマルジョンから構成されている。次に、樹脂層28を乾燥させる。即ち、基板20を乾燥炉内に搬入し、所定の温度にて乾燥させる。樹脂層28の乾燥温度は例えば50°C〜90°Cの範囲内とすることが好ましく、樹脂層28の乾燥時間は例えば数分〜数十分の範囲内とすることが好ましい。勿論、乾燥温度の高低に伴い、乾燥時間は減増する。
【0107】
[工程−A4]
その後、表示領域を覆うアノード電極24を形成する(図7の(A)参照)。具体的には、各種真空蒸着法又はスパッタリング法により、隔壁21の頂面上及び蛍光体領域22の上に形成された樹脂層28を覆うように、アルミニウム(Al)から成るアノード電極24を形成する。形成されるアノード電極24の厚さを約0.3μmとした。
【0108】
[工程−A5]
次いで、加熱処理を施すことで樹脂層28を除去する(図7の(B)参照)。具体的には、400゜C程度で樹脂層28を焼成する。この焼成処理により樹脂層28が燃焼して焼失し、アルミニウム(Al)から成るアノード電極24が蛍光体領域22上及び隔壁21上に残される。尚、樹脂層28の燃焼により生じたガスは、例えば、アノード電極24に生じる微細な孔を通じて外部に排出される。この孔は微細なため、アノード電極24の構造的な強度や画像表示特性に深刻な影響を及ぼすものではない。以上の工程によって、アノードパネルAPを完成することができる。
【0109】
以下、スピント型電界放出素子の製造方法を、カソードパネルCPを構成する支持体10等の模式的な一部端面図である図8の(A)、(B)及び図9の(A)、(B)を参照して説明するが、後述する実施例2〜実施例3におけるカソードパネルCPも同様の方法で製造することができる。尚、以下に説明する方法にあっては、層間絶縁層16及び収束電極17の形成工程の説明は省略している。
【0110】
尚、このスピント型電界放出素子は、基本的には、円錐形の電子放出部15を金属材料の垂直蒸着により形成する方法によって得ることができる。即ち、ゲート電極13に設けられた第1開口部14Aに対して蒸着粒子は垂直に入射するが、第1開口部14Aの開口端付近に形成されるオーバーハング状の堆積物による遮蔽効果を利用して、第2開口部14Bの底部に到達する蒸着粒子の量を漸減させ、円錐形の堆積物である電子放出部15を自己整合的に形成する。ここでは、不要なオーバーハング状の堆積物の除去を容易とするために、ゲート電極13及び絶縁層12上に剥離層18を予め形成しておく方法について説明する。尚、電界放出素子の製造方法を説明するための図面においては、1つの電子放出部のみを図示した。
【0111】
[工程−B0]
先ず、例えばガラス基板から成る支持体10の上に、例えばポリシリコンから成るカソード電極用導電材料層をプラズマCVD法にて成膜した後、リソグラフィ技術及びドライエッチング技術に基づきカソード電極用導電材料層をパターニングして、帯状のカソード電極11を形成する。その後、全面にSiO2から成る絶縁層12をCVD法にて形成する。
【0112】
[工程−B1]
次に、絶縁層12上に、ゲート電極用導電材料層(例えば、TiN層)をスパッタリング法にて成膜し、次いで、ゲート電極用導電材料層をリソグラフィ技術及びドライエッチング技術にてパターニングすることによって、帯状のゲート電極13を得ることができる。帯状のカソード電極11は、図面の紙面左右方向に延び、帯状のゲート電極13は、図面の紙面垂直方向に延びている。
【0113】
尚、ゲート電極13を、真空蒸着法等のPVD法、CVD法、電気メッキ法や無電解メッキ法といったメッキ法、スクリーン印刷法、レーザアブレーション法、ゾル−ゲル法、リフトオフ法等の公知の薄膜形成と、必要に応じてエッチング技術との組合せによって形成してもよい。スクリーン印刷法やメッキ法によれば、直接、例えば帯状のゲート電極を形成することが可能である。
【0114】
[工程−B2]
その後、再び、レジスト層を形成し、エッチングによってゲート電極13に第1開口部14Aを形成し、更に、絶縁層に第2開口部14Bを形成し、第2開口部14Bの底部にカソード電極11を露出させた後、レジスト層を除去する。こうして、図8の(A)に示す構造を得ることができる。
【0115】
[工程−B3]
次に、支持体10を回転させながらゲート電極13上を含む絶縁層12上にニッケル(Ni)を斜め蒸着することにより、剥離層18を形成する(図8の(B)参照)。このとき、支持体10の法線に対する蒸着粒子の入射角を十分に大きく選択することにより(例えば、入射角65度〜85度)、第2開口部14Bの底部にニッケルを殆ど堆積させることなく、ゲート電極13及び絶縁層12の上に剥離層18を形成することができる。剥離層18は、第1開口部14Aの開口端から庇状に張り出しており、これによって第1開口部14Aが実質的に縮径される。
【0116】
[工程−B4]
次に、全面に例えば導電材料としてモリブデン(Mo)を垂直蒸着する(入射角3度〜10度)。このとき、図9の(A)に示すように、剥離層18上でオーバーハング形状を有する導電部材層19が成長するに伴い、第1開口部14Aの実質的な直径が次第に縮小されるので、第2開口部14Bの底部において堆積に寄与する蒸着粒子は、次第に第1開口部14Aの中央付近を通過するものに限られるようになる。その結果、第2開口部14Bの底部には円錐形の堆積物が形成され、この円錐形の堆積物が電子放出部15となる。
【0117】
[工程−B5]
その後、図9の(B)に示すように、リフトオフ法にて剥離層18をゲート電極13及び絶縁層12の表面から剥離し、ゲート電極13及び絶縁層12の上方の導電部材層19を選択的に除去する。こうして、複数のスピント型電界放出素子が形成されたカソードパネルCPを得ることができる。尚、その後、等方性エッチングを行うことにより、開口部14内において絶縁層12の側壁面を後退させて、ゲート電極13における第1開口部においてゲート電極13の端部を突出させることが好ましい。
【0118】
[工程−C1]
そして、以上に説明した方法に基づき得られたアノードパネルAP及びカソードパネルCPを組み立てる。具体的には、アノードパネルAPに設けられたスペーサ保持部25にスペーサ26を取り付け、蛍光体領域22と電子放出領域EAとが対向するようにアノードパネルAPとカソードパネルCPとを配置し、アノードパネルAPとカソードパネルCP(より具体的には、基板20と支持体10)とを、セラミックスやガラスから作製された高さ約2mmの枠体から成る接合部材27を介して、外周部において接合する。接合に際しては、接合部材27とアノードパネルAPとの接合部位、及び、接合部材27とカソードパネルCPとの接合部位に接着層としてのフリットガラスを塗布し、予備焼成にてフリットガラスを乾燥した後、アノードパネルAPとカソードパネルCPと接合部材27とを貼り合わせ、約450゜Cで10〜30分の本焼成を行う。その後、アノードパネルAPとカソードパネルCPと接合部材27とによって囲まれた空間SPを、貫通孔(図示せず)及び排気管(図示せず)を通じて排気し、空間SPの圧力が10-4Pa程度に達した時点で排気管を加熱溶融により封じ切る。このようにして、アノードパネルAPとカソードパネルCPと接合部材27とに囲まれた空間SPを真空にすることができる。あるいは又、例えば、接合部材27とアノードパネルAPとカソードパネルCPとの貼り合わせを高真空雰囲気中で行ってもよい。あるいは又、表示装置の構造に依っては、枠体無しで、接着層のみによってアノードパネルAPとカソードパネルCPとを貼り合わせてもよい。その後、必要な外部回路との配線接続を行い、表示装置を完成させる。次に説明する実施例2においても同様の方法で表示装置を得ることができる。
【0119】
こうして得られた実施例1の表示装置におけるアノードパネルAPの平均光反射率の測定結果を図3に太い実線の曲線で示す。
【0120】
また、薄膜を酸化クロムから構成し、実施例1と同じ工程にて作製された表示装置におけるアノードパネルAPの平均光反射率の測定結果(比較例1で表す)を、併せて、図3に細い実線で示す。
【0121】
更には、蛍光体粒子に薄膜を形成すること無く、[工程−A1]〜[工程−A5]、[工程−B0]〜[工程−B5]、[工程−C1]にて作製された表示装置におけるアノードパネルAPの平均光反射率の測定結果(比較例2で表す)を、併せて、図3に点線で示す。
【0122】
尚、図3において、比較例2のアノードパネルにおける平均光反射率の最大値が76%であるのは、アノードパネルAPにおいて、基板20から入射した光が、蛍光体領域22において一部吸収され、一部が反射される一方、光吸収層(ブラックマトリックス)23においても吸収されるためである。
【0123】
実施例1の表示装置において、基板20を通して波長450nm及び650nmにて測定したアノードパネルAPの平均光反射率のそれぞれの値をRf450及びRf650としたとき、Rf450及びRf650の値は、それぞれ、以下のとおりであった。更には、基板20を通して波長550nmにて測定したアノードパネルAPの平均光反射率Rf550の値は、以下のとおりであった。尚、平均光反射率は、アノードパネルAP全体で測定している。即ち、アノードパネルAPの平均光反射率は、基板20、隔壁21、蛍光体領域22、光吸収層(ブラックマトリックス)23、アノード電極24、スペーサ26等のアノードパネルAPを構成する要素を含んだ平均光反射率である。図3から、実施例1の表示装置にあっては、基板20から入射した光が蛍光体領域22によって反射されることが、比較例1あるいは比較例2よりも抑制されていることが判る。また、基板20から入射する光を蛍光体領域22が吸収するときの入射光の波長依存性、即ち、Rf650/Rf450の値は、実施例1の方が大きいことが判る。即ち、白色光が基板20から蛍光体領域22に進入してきたときにも、実施例1にあっては、より一層、蛍光体粒子(蛍光体領域)による光の反射あるいは吸収が均一化される方向にあると云える。
【0124】
[表3]
Rf450 Rf650 Rf650/Rf450 Rf550
実施例1 36.8% 37.5% 1.02 39.5%
比較例1 65.1% 47.7% 0.73 54.1%
比較例2 73.6% 50.7% 0.69 58.4%
【実施例2】
【0125】
実施例2は、本発明の第2の態様、第4の態様、第5の態様及び第6の態様に係る蛍光体粒子、並びに、本発明の第2の態様、第4の態様、第5の態様、第6の態様及び第7の態様に係る平面型表示装置に関する。
【0126】
実施例2の蛍光体粒子は、
(A)蛍光体粒子本体、及び、
(B)蛍光体粒子本体の表面に形成された、クロム、チタン、バナジウム、マンガン、コバルト、ニッケル、銅、タングステン、パラジウム、白金及び金から成る群から選択されたいずれか1種類の金属から成る薄膜、具体的には、実施例2にあっては、クロム(Cr)から成る薄膜、
から構成されている。尚、薄膜を構成する金属は、蛍光体粒子本体に含まれる付活剤を構成する元素と異なっている。また、実施例2の表示装置において、蛍光体領域22を構成する蛍光体粒子は、
(A)蛍光体粒子本体、及び、
(B)蛍光体粒子本体の表面に形成された、クロム、チタン、バナジウム、マンガン、コバルト、ニッケル、銅、タングステン、パラジウム、白金及び金から成る群から選択されたいずれか1種類の金属から成る薄膜、具体的には、実施例2にあっては、上記の金属から成る薄膜、
から構成されている。ここで、薄膜の平均膜厚は15nmである。薄膜の膜厚をこのような値とすることによって、蛍光体粒子を確実に黒色に着色することができ、外光の反射を抑制することができ、しかも、薄膜を通過し、蛍光体粒子本体と衝突する電子の薄膜におけるエネルギー損失を抑制することができる。更には、薄膜の上には、平均厚さ0.3nmのSiOX膜が形成されている。尚、実施例2の蛍光体粒子の模式的な断面図は、図1に示したと同様である。
【0127】
実施例2の赤色を発光する蛍光体粒子において、波長550nmにて測定した平均光反射率(蛍光体粒子本体と薄膜とSiOX膜の全体における光反射率)は54.1%であった。尚、赤色を発光する蛍光体粒子本体のみを同様の方法で測定したときの光反射率は90.1%であった。また、緑色を発光する蛍光体粒子において、波長550nmにて測定した平均光反射率(蛍光体粒子本体と薄膜とSiOX膜の全体における光反射率)は71.3%であった。尚、緑色を発光する蛍光体粒子本体のみを同様の方法で測定したときの光反射率は97.1%であった。更には、青色を発光する蛍光体粒子において、波長550nmにて測定した平均光反射率(蛍光体粒子本体と薄膜とSiOX膜の全体における光反射率)は69.0%であった。尚、青色を発光する蛍光体粒子本体のみを同様の方法で測定したときの光反射率は86.9%であった。また、薄膜を構成する材料の波長550nmにて測定した光反射率は、薄膜の膜厚を10nmとして測定したとき、72.8%であった。更には、実施例2の表示装置において、基板20を通して波長450nm及び650nmにて測定したアノードパネルAPの平均光反射率のそれぞれの値をRf450及びRf650としたとき、
Rf450=38.8%
Rf650=42.2%
Rf650/Rf450=1.09
であった。また、基板20を通して波長550nmにて測定したアノードパネルAPの平均光反射率Rf550の値は
Rf550=46.6%
であった。
【0128】
以下、実施例2における蛍光体粒子本体の表面に薄膜を形成することで蛍光体粒子を製造する方法を説明する。
【0129】
[工程−200]
先ず、実施例1の[工程−100]と同様にして、蛍光体粒子本体に前処理を施す。
【0130】
[工程−210]
次いで、実施例1の[工程−110]と同様にして、スパッタリング法にて赤色及び青色を発光する蛍光体粒子本体の表面に薄膜を形成する。具体的には、以下の表4−1に示すスパッタリング条件にて厚さ5nmの薄膜を蛍光体粒子本体の表面に形成した後、表4−2に示すスパッタリング条件にて厚さ10nmの薄膜を更に形成する。また、緑色を発光する蛍光体粒子本体の表面に、表4−2に示すスパッタリング条件にて厚さ1.5nmの薄膜を形成する。
【0131】
[表4−1]
ターゲット :クロム(Cr)
プロセスガス :Ar/N2/O2=20/8/0.1(体積比)
スパッタリング電力:500W
T−S間距離 :75ミリメートル
[表4−2]
ターゲット :クロム(Cr)
プロセスガス :Ar/O2=10/0.2(体積比)
スパッタリング電力:500W
T−S間距離 :75ミリメートル
【0132】
[工程−220]
その後、実施例1の[工程−120]と同様にして、薄膜の上にSiOX膜を形成する。
【実施例3】
【0133】
実施例3は、本発明の第3の態様、第4の態様、第5の態様及び第6の態様に係る蛍光体粒子、並びに、本発明の第3の態様、第4の態様、第5の態様、第6の態様及び第7の態様に係る平面型表示装置に関する。
【0134】
実施例3の蛍光体粒子は、
(A)蛍光体粒子本体、及び、
(B)蛍光体粒子本体の表面に形成された、炭化ケイ素、炭化チタン及び炭化タングステンから成る群から選択されたいずれか1種類の炭化物から成る薄膜、具体的には、実施例3にあっては、カーボン分を80モル%含有する炭化ケイ素(SiC)から成る薄膜、
から構成されている。また、実施例3の表示装置において、蛍光体領域22を構成する蛍光体粒子は、
(A)蛍光体粒子本体、及び、
(B)蛍光体粒子本体の表面に形成された、炭化ケイ素、炭化チタン及び炭化タングステンから成る群から選択されたいずれか1種類の炭化物から成る薄膜、具体的には、実施例3にあっては、上記の炭化物から成る薄膜、
から構成されている。ここで、薄膜の平均膜厚は10nmである。薄膜の膜厚をこのような値とすることによって、蛍光体粒子を確実にやや褐色を帯びた黒色に着色することができ、外光の反射を抑制することができ、しかも、薄膜を通過し、蛍光体粒子本体と衝突する電子の薄膜におけるエネルギー損失を抑制することができる。更には、薄膜の上には、平均厚さ0.3nmのSiOX膜が形成されている。尚、実施例3の蛍光体粒子の模式的な断面図は、図1に示したと同様である。
【0135】
実施例3の赤色を発光する蛍光体粒子において、波長550nmにて測定した平均光反射率(蛍光体粒子本体と薄膜とSiOX膜の全体における光反射率)は54.6%であった。尚、赤色を発光する蛍光体粒子本体のみを同様の方法で測定したときの光反射率は90.2%であった。一方、青色を発光する蛍光体粒子において、波長550nmにて測定した平均光反射率(蛍光体粒子本体と薄膜とSiOX膜の全体における光反射率)は51.4%であった。尚、青色を発光する蛍光体粒子本体のみを同様の方法で測定したときの光反射率は94.2%であった。また、薄膜を構成する材料の波長550nmにて測定した光反射率は、薄膜の膜厚を10nmとして測定したとき、60.8%であった。更には、実施例3の表示装置において、基板20を通して波長450nm及び650nmにて測定したアノードパネルAPの平均光反射率のそれぞれの値をRf450及びRf650としたとき、
Rf450=35.2%
Rf650=36.0%
Rf650/Rf450=1.02
であった。また、基板20を通して波長550nmにて測定したアノードパネルAPの平均光反射率Rf550の値は
Rf550=38.2%
であった。
【0136】
以下、実施例3における蛍光体粒子本体の表面に薄膜を形成することで蛍光体粒子を製造する方法を説明する。
【0137】
[工程−300]
先ず、実施例1の[工程−100]と同様にして、蛍光体粒子本体に前処理を施す。
【0138】
[工程−310]
次いで、実施例1の[工程−110]と同様にして、スパッタリング法にて蛍光体粒子本体の表面に薄膜を形成する。具体的には、以下のスパッタリング条件にて薄膜を蛍光体粒子本体の表面に形成する。
【0139】
[表5]
ターゲット :SiC(カーボン含有率80モル%)
プロセスガス :Ar=100%(体積比)
スパッタリング電力:500W
T−S間距離 :75ミリメートル
【0140】
[工程−320]
その後、実施例1の[工程−120]と同様にして、薄膜の上にSiOX膜を形成する。
【0141】
以上、本発明を、好ましい実施例に基づき説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。実施例にて説明した平面型表示装置、カソードパネルやアノードパネル、冷陰極電界電子放出表示装置や冷陰極電界電子放出素子の構成、構造は例示であり、適宜、変更することができる。表示装置においては、専らカラー表示を例にとり説明したが、単色表示とすることもできる。
【0142】
電界放出素子においては、専ら1つの開口部に1つの電子放出部が対応する形態を説明したが、電界放出素子の構造に依っては、1つの開口部に複数の電子放出部が対応した形態、あるいは、複数の開口部に1つの電子放出部が対応する形態とすることもできる。あるいは又、ゲート電極に複数の第1開口部を設け、絶縁層に係る複数の第1開口部に連通した第2開口部を設け、1又は複数の電子放出部を設ける形態とすることもできる。
【0143】
表面伝導型電子放出素子と通称される電子放出素子から電子放出領域を構成することもできる。この表面伝導型電子放出素子は、例えばガラスから成る支持体上に酸化錫(SnO2)、金(Au)、酸化インジウム(In23)/酸化錫(SnO2)、カーボン、酸化パラジウム(PdO)等の導電材料から成り、微小面積を有し、所定の間隔(ギャップ)を開けて配された一対の電極がマトリクス状に形成されて成る。それぞれの電極の上には炭素薄膜が形成されている。そして、一対の電極の内の一方の電極(例えば、第1電極)に行方向配線が接続され、一対の電極の内の他方の電極(例えば、第2電極)に列方向配線が接続された構成を有する。一対の電極(第1電極及び第2電極)に電圧を印加することによって、ギャップを挟んで向かい合った炭素薄膜に電界が加わり、炭素薄膜から電子が放出される。係る電子をアノードパネル上の蛍光体領域に衝突させることによって、蛍光体領域が励起されて発光し、所望の画像を得ることができる。あるいは又、金属/絶縁膜/金属型素子から電子放出領域を構成することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0144】
【図1】図1は、実施例1〜実施例3の蛍光体粒子の模式的な断面図である。
【図2】図2の(A)及び(B)は、実施例1〜実施例3における蛍光体粒子本体の表面に薄膜を形成することで蛍光体粒子を製造するためのスパッタリング装置の概念図である。
【図3】図3は、実施例1の平面型表示装置を構成するアノードパネルの平均光反射率の測定結果、比較例1及び比較例2の平面型表示装置を構成するアノードパネルの平均光反射率の測定結果を示すグラフである。
【図4】図4は、平面型表示装置としてのスピント型冷陰極電界電子放出素子を有する冷陰極電界電子放出表示装置の模式的な一部端面図である。
【図5】図5は、図4に示した冷陰極電界電子放出表示装置を構成するカソードパネル及びアノードパネルを分解したときのカソードパネルとアノードパネルの一部分の模式的な分解斜視図である。
【図6】図6の(A)〜(C)は、実施例の平面型表示装置を構成するアノードパネルの製造方法を説明するための基板等の模式的な一部端面図である。
【図7】図7の(A)〜(B)は、図6の(C)に引き続き、実施例の平面型表示装置を構成するアノードパネルの製造方法を説明するための基板等の模式的な一部端面図である。
【図8】図8の(A)及び(B)は、スピント型冷陰極電界電子放出素子の製造方法を説明するための支持体等の模式的な一部端面図である。
【図9】図9の(A)及び(B)は、図8の(B)に引き続き、スピント型冷陰極電界電子放出素子の製造方法を説明するための支持体等の模式的な一部端面図である。
【符号の説明】
【0145】
10・・・支持体、11・・・カソード電極、12・・・絶縁層、13・・・ゲート電極、14,14A,14B・・・開口部、15・・・電子放出部、16・・・層間絶縁層、17・・・収束電極、18・・・剥離層、19・・・導電部材層、20・・・基板、21・・・隔壁、22,22R,22G,22B・・・蛍光体領域、23・・・光吸収層(ブラックマトリックス)、24・・・アノード電極、25・・・スペーサ保持部、26・・・スペーサ、26A・・・スペーサ基体、26B・・・帯電防止膜、26C・・・端部電極層、27・・・接合部材、28・・・樹脂層、31・・・カソード電極制御回路、32・・・ゲート電極制御回路、33・・・アノード電極制御回路、100・・・容器、101・・・回転軸、102・・・水平方向撹拌用の羽根、103・・・垂直方向撹拌用の羽根、104・・・スクレイパー、105・・・プロセスガス用配管、110・・・ターゲット、CP・・・カソードパネル、AP・・・アノードパネル、EA・・・電子放出領域、EF・・・有効領域、NF・・・無効領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)蛍光体粒子本体、及び、
(B)蛍光体粒子本体の表面に形成された、窒化クロム、窒化チタン、窒化タングステン及び窒化ホウ素から成る群から選択されたいずれか1種類の窒化物から成る薄膜、
から構成されている蛍光体粒子。
【請求項2】
(A)蛍光体粒子本体、及び、
(B)蛍光体粒子本体の表面に形成された、クロム、チタン、バナジウム、マンガン、コバルト、ニッケル、銅、タングステン、パラジウム、白金及び金から成る群から選択されたいずれか1種類の金属から成る薄膜、
から構成されている蛍光体粒子。
【請求項3】
(A)蛍光体粒子本体、及び、
(B)蛍光体粒子本体の表面に形成された、炭化ケイ素、炭化チタン及び炭化タングステンから成る群から選択されたいずれか1種類の炭化物から成る薄膜、
から構成されている蛍光体粒子。
【請求項4】
(A)波長550nmにて測定した光反射率が98%以下である蛍光体粒子本体、及び、
(B)蛍光体粒子本体の表面に形成された薄膜、
から構成されている蛍光体粒子。
【請求項5】
(A)蛍光体粒子本体、及び、
(B)蛍光体粒子本体の表面に形成された薄膜、
から構成されており、
薄膜を構成する材料の波長550nmにて測定した光反射率が、薄膜の膜厚を10nmとして測定したとき、85%以下である蛍光体粒子。
【請求項6】
赤色又は青色を発光する請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の蛍光体粒子。
【請求項7】
薄膜の平均膜厚は、2×10-9m乃至5×10-8mである請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の蛍光体粒子。
【請求項8】
薄膜上にはSiOX膜が形成されている請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の蛍光体粒子。
【請求項9】
波長550nmにて測定した平均光反射率が80%以下である請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の蛍光体粒子。
【請求項10】
波長550nmにて測定した平均光反射率が80%以下である蛍光体粒子。
【請求項11】
赤色又は青色を発光する請求項10に記載の蛍光体粒子。
【請求項12】
基板上に蛍光体領域及びアノード電極が設けられたアノードパネルと、支持体上に2次元マトリクス状に配列された電子放出領域を備えたカソードパネルとが、外周部で接合されて成り、カソードパネルとアノードパネルとによって挟まれた空間が真空に保持されており、
蛍光体領域を構成する蛍光体粒子は、
(A)蛍光体粒子本体、及び、
(B)蛍光体粒子本体の表面に形成された、窒化クロム、窒化チタン、窒化タングステン及び窒化ホウ素から成る群から選択されたいずれか1種類の窒化物から成る薄膜、
から構成されている平面型表示装置。
【請求項13】
基板上に蛍光体領域及びアノード電極が設けられたアノードパネルと、支持体上に2次元マトリクス状に配列された電子放出領域を備えたカソードパネルとが、外周部で接合されて成り、カソードパネルとアノードパネルとによって挟まれた空間が真空に保持されており、
蛍光体領域を構成する蛍光体粒子は、
(A)蛍光体粒子本体、及び、
(B)蛍光体粒子本体の表面に形成された、クロム、チタン、バナジウム、マンガン、コバルト、ニッケル、銅、タングステン、パラジウム、白金及び金から成る群から選択されたいずれか1種類の金属から成る薄膜、
から構成されている平面型表示装置。
【請求項14】
基板上に蛍光体領域及びアノード電極が設けられたアノードパネルと、支持体上に2次元マトリクス状に配列された電子放出領域を備えたカソードパネルとが、外周部で接合されて成り、カソードパネルとアノードパネルとによって挟まれた空間が真空に保持されており、
蛍光体領域を構成する蛍光体粒子は、
(A)蛍光体粒子本体、及び、
(B)蛍光体粒子本体の表面に形成された、炭化ケイ素、炭化チタン及び炭化タングステンから成る群から選択されたいずれか1種類の炭化物から成る薄膜、
から構成されている平面型表示装置。
【請求項15】
基板上に蛍光体領域及びアノード電極が設けられたアノードパネルと、支持体上に2次元マトリクス状に配列された電子放出領域を備えたカソードパネルとが、外周部で接合されて成り、カソードパネルとアノードパネルとによって挟まれた空間が真空に保持されており、
蛍光体領域を構成する蛍光体粒子は、
(A)波長550nmにて測定した光反射率が98%以下である蛍光体粒子本体、及び、
(B)蛍光体粒子本体の表面に形成された薄膜、
から構成されている平面型表示装置。
【請求項16】
基板上に蛍光体領域及びアノード電極が設けられたアノードパネルと、支持体上に2次元マトリクス状に配列された電子放出領域を備えたカソードパネルとが、外周部で接合されて成り、カソードパネルとアノードパネルとによって挟まれた空間が真空に保持されており、
蛍光体領域を構成する蛍光体粒子は、
(A)蛍光体粒子本体、及び、
(B)蛍光体粒子本体の表面に形成された薄膜、
から構成されており、
薄膜を構成する材料の波長550nmにて測定した光反射率が、薄膜の膜厚を10nmとして測定したとき、85%以下である平面型表示装置。
【請求項17】
基板を通して波長450nm及び650nmにて測定したアノードパネルの平均光反射率のそれぞれの値をRf450及びRf650としたとき、
0.8≦Rf650/Rf450≦1.2
を満足する請求項12乃至請求項16のいずれか1項に記載の平面型表示装置。
【請求項18】
蛍光体粒子は、赤色を発光する請求項12乃至請求項16のいずれか1項に記載の平面型表示装置。
【請求項19】
蛍光体粒子は、青色を発光する請求項12乃至請求項16のいずれか1項に記載の平面型表示装置。
【請求項20】
薄膜の平均膜厚は、2×10-9m乃至5×10-8mである請求項12乃至請求項16のいずれか1項に記載の平面型表示装置。
【請求項21】
薄膜上にはSiOX膜が形成されている請求項12乃至請求項16のいずれか1項に記載の平面型表示装置。
【請求項22】
基板上に蛍光体領域及びアノード電極が設けられたアノードパネルと、支持体上に2次元マトリクス状に配列された電子放出領域を備えたカソードパネルとが、外周部で接合されて成り、カソードパネルとアノードパネルとによって挟まれた空間が真空に保持されており、
基板を通して波長450nm及び650nmにて測定したアノードパネルの平均光反射率のそれぞれの値をRf450及びRf650としたとき、
0.8≦Rf650/Rf450≦1.2
を満足する平面型表示装置。
【請求項23】
基板上に蛍光体領域及びアノード電極が設けられたアノードパネルと、支持体上に2次元マトリクス状に配列された電子放出領域を備えたカソードパネルとが、外周部で接合されて成り、カソードパネルとアノードパネルとによって挟まれた空間が真空に保持されており、
基板を通して波長550nmにて測定したアノードパネルの平均光反射率が50%以下である平面型表示装置。
【請求項24】
蛍光体領域は、赤色を発光する請求項22又は請求項23に記載の平面型表示装置。
【請求項25】
蛍光体領域は、青色を発光する請求項22又は請求項23に記載の平面型表示装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2009−249525(P2009−249525A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−100108(P2008−100108)
【出願日】平成20年4月8日(2008.4.8)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【出願人】(307019000)株式会社エフ・イー・テクノロジーズ (18)
【Fターム(参考)】