蛍光灯型LED照明管及び該照明管を装着した蛍光灯型LED照明装置
【課題】既存蛍光灯のスタータ方式がインバータ以外の方式に対応可能で、ノイズの発生が少なく、寿命が長く、LED素子光源から発生した熱を系外に高効率で拡散、放熱させることができる放熱促進膜が塗布されたヒートシンクを有するLED照明管及びこの照明管を用いたLED照明装置を提供する。
【解決手段】スタータ方式がグロー1灯式またはラピッド1灯式並びにラピッド2灯式の既存の蛍光灯照明管60のソケット62にそのまま装着可能な、上部にヒートシンク8を有する蛍光灯型LED照明管50である。LED制御回路20は、既存蛍光灯60の安定器63の出力電圧をしきい値として、蛍光灯照明管60に内蔵されているリレー21〜24がスタータ方式に対応して自動的に切替える。また、ヒートシンク8には、放熱促進膜103が塗布されており、光源から発生した熱を系外に高効率で放熱させる。
【解決手段】スタータ方式がグロー1灯式またはラピッド1灯式並びにラピッド2灯式の既存の蛍光灯照明管60のソケット62にそのまま装着可能な、上部にヒートシンク8を有する蛍光灯型LED照明管50である。LED制御回路20は、既存蛍光灯60の安定器63の出力電圧をしきい値として、蛍光灯照明管60に内蔵されているリレー21〜24がスタータ方式に対応して自動的に切替える。また、ヒートシンク8には、放熱促進膜103が塗布されており、光源から発生した熱を系外に高効率で放熱させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、既存の蛍光灯のソケットに着脱可能な、LED素子を光源とする蛍光灯型LED照明管と、この照明管を装着した蛍光灯型LED照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、家庭用又は産業用の蛍光灯の管球(灯具)として、両端部に既存の蛍光灯本体のソケットに着脱可能な端子を有し、従来の蛍光灯と同一長さの直管の内部に光源として複数の発光ダイオード(以下、「LED素子」と略称する。)とその点灯回路を内蔵させた、いわゆる蛍光灯型LED照明管(以下、「LED照明管」と略称する。)が普及しつつある(例えば特許文献1〜3)。
【0003】
その普及理由は、初期購入費は既存の蛍光灯よりは高くつくが、電気代が安いこと、寿命が格段に長いこと等々の、デメリットを上回る多くのメリットがあるからである。
【0004】
また、電気消費量が少なく、長寿命であるというLED素子の利点は、省エネルギーに直結し、最近では環境にやさしい商品として一段と重要性が増している。
【0005】
しかし、LED照明管が既存蛍光灯の本体に支障なく装着され、LED素子が光源としての本来の寿命を全うするまで点灯し続けるには、次の2つの問題がある。
【0006】
まず、第1の問題点は、市販されている既存の蛍光灯には、スタータ方式がグロー式と、ラピッド式と、インバータ式の3方式が混在していることである。
【0007】
したがって、既存の蛍光灯本体に着脱するLED照明管としては、全てのスタータ方式に対応できる形式のものが望ましく、このような先行技術も存在する(例えば特許文献2)。
【0008】
しかし、インバータ方式は、他の2方式に比べるとまだ歴史が浅いため普及度が低く、また、製造メーカ各社の規格がまちまちであると同時にインバータ回路は高周波回路で構成されていることから、最適にLED点灯回路を適合させるためには、より多くの部品を要する可能性が高く、仮に装着可能にしたとしても、コストアップとなるために現実的とはいえない。事実、インバータ回路が通常の蛍光灯を点灯させるために、ヒーター電流、温度、電圧の推移などさまざまな電気的な変動をマイコンなどの回路手段によって測定している場合が多い。また、インバータ方式は、構成部品が多く、仮に既存の蛍光灯本体に装着可能にさせたとしてもコストアップとなるため現実的ではない。
【0009】
これに対し、歴史が古く圧倒的に市場に数多く出回っているタイプは、グロー式とその後に登場したラピッド式の2方式である。したがって、市場での普及度と、LED照明管1本当たりの製造コストとを考えた場合、スタータ方式がグロー式とラピッド式のいずれの方式にも対応できるLED照明管が存在すれば、現実的には実用的、かつ経済的であるといえる。
【0010】
次に、第2の問題点は、LED照明管の光源から発生する熱の放熱対策である。
【0011】
すなわち、LED素子は、蛍光灯の定格にもよるが1本当り数百個を筒体内に内蔵させるのであるが、これらから電気(照明)エネルギーとして活用できる割合は変換効率が悪く、約30%に対し、あとの70%は全て熱となって放熱し、筒体内部に蓄熱される。したがって、一般にLED照明管1本が放出する放熱量は、既存タイプのものよりもLED照明管の方が多くなる。この場合、何らの放熱対策も講じずに放置しておくと、筒体内部の温度が上昇し、遂には内部の半導体やその制御回路の破壊を招く。特に半導体素子は熱に弱く、かつ誤動作も生じやすいために積極的な放熱対策が必要となる。
【0012】
このようなことから、LED照明管内のLED素子や半導体回路等から発生する熱を速やかに筒体外に積極的に拡散させ、放熱させる技術が必要であり、従来技術には基板の背面にヒートシンクやヒートパイプ等を設けたものがあった(例えば特許文献3)。
【0013】
しかし、かかる従来技術のものは、そのヒートシンク素材の持つ熱容量だけで十分な放熱効果を得るためにはより大きな伝熱面積を必要とするが、これではいずれの従来技術のタイプのものもLED照明管全体の占有体積が増加し、また、照明管の重量も重くなるため、既存蛍光灯への着脱が困難、かつコストアップになるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2001−351402号公報(請求項1、図6)
【特許文献2】特開2008−277188号公報(請求項1、図5)
【特許文献3】特開2007−280739号公報(請求項1、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、本発明の第1の目的は、既存蛍光灯のスタータ方式がグロー1灯式、ラピッド一灯式及びラピッド2灯式のいずれのタイプのものであっても、従来どおりの装着が可能で、かつノイズの発生が少なく、寿命が長く、簡易な構造で低コストの地球環境に易しいLED照明管及びこの照明管を用いた蛍光灯型LED照明装置(以下、「LED照明装置」と略称する。)を提供することにある。
【0016】
また、本発明の第2の目的は、外形形状が既存蛍光灯本体の筐体にヒートシンクの大きさを大きくすることなく適用可能で、LED素子回路で発生した熱を高効率で拡散、放熱させることができる高効率放熱ヒートシンクを備えたLED照明管及びこの照明管を用いたLED照明装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
(1)本発明の蛍光灯型LED照明管は、既存の蛍光灯照明管のソケットにそのまま装着可能な蛍光灯型LED照明管であって、基板と、前記基板の照明方向側に実装された複数のLED素子と、該複数のLED素子の点灯制御をするLED制御回路と、前記基板及び前記LED制御回路を包囲するとともに、前記複数のLED素子の発光を外部に拡散させる筒体と、前記筒体の両端部を閉塞するとともに、前記LED制御回路を既存の蛍光灯照明管のソケットに接続可能なJIS規格の口金と、該口金と前記基板とを接続する接続具とを備え、前記LED制御回路は、スタータ方式がグロー1灯式またはラピッド1灯式並びにラピッド2灯式の既存蛍光灯に内蔵されている安定器の出力電圧をしきい値として、前記LED素子を前記いずれかのスタータ方式に対応すべく直列又は並列に切り替えるリレーを備えることを特徴とする。
【0018】
(2)本発明の蛍光灯型LED照明管は、上記(1)の発明の蛍光灯型LED照明管において、前記LED制御回路は、該LED制御回路のスタータ方式が、グロー1灯式またはラピッド1灯式に内蔵されている安定器の出力が交流200Vの電圧の商用電源が入力されている場合は、リレーによって複数のLED素子が直列接続され、一方、スタータ方式が、ラピッド2灯式に内蔵されている安定器の出力が交流290Vの電圧の商用電源が印加された場合は、前記リレーを切り替え、1列当り145Vの電圧で前記直列接続されたLEDの一部を並列回路に切り替えて動作するように構成したことを特徴とする。
【0019】
(3)本発明の蛍光灯型LED照明管は、上記(1)又は(2)に記載の蛍光灯型LED照明管において、前記筒体及び接続具は、該接続具側に複数の係止部を、前記口金側に被係止部を設けることにより、接続具の両端部が口金に内挿された状態で管軸周りに所定角度(θ)の範囲内で回動可能であることを特徴とする。
【0020】
(4)本発明の蛍光灯型LED照明装置は、上記(1)〜(3)のうちのいずれかに記載の蛍光灯型LED照明管と、スタータ方式がグロー1灯式若しくはラピッド1灯式又はラピッド2灯式の既存蛍光灯本体と、から成ることを特徴とする。
【0021】
(5)本発明の蛍光灯型LED照明管は、既存の蛍光灯照明管のソケットにそのまま装着可能な蛍光灯型LED照明管であって、基板と、前記基板の照明方向側に実装された複数のLED素子と、該複数のLED素子の点灯制御をするLED制御回路と、前記基板及び前記LED制御回路を包囲するとともに、前記複数のLED素子の発光を外部に拡散させる筒体と、前記筒体の両端部を閉塞するとともに、前記LED制御回路を既存の蛍光灯照明管のソケットに接続可能なJIS規格の口金と、該口金と前記基板とを接続する接続具とを備え、前記基板に、前記LED制御回路からの発熱を系外に放熱させるためのヒートシンクを、その放熱部の少なくとも一部が前記筒体外に位置するように設けるとともに、更に、該ヒートシンクの前記放熱部に放熱を促進させるための放熱促進膜を形成させることにより、前記LED制御回路から発生する熱を系外に放熱させることを特徴とする。
【0022】
(6)本発明の蛍光灯型LED照明管は、上記(5)の発明の蛍光灯型LED照明管において、前記放熱促進膜は、アルコキシド化合物の加水分解反応とシラノール脱水縮合反応により生成されるバインダーと、遠赤外線放射性物質の顔料と、溶媒とを備えた無機塗料を塗布・乾燥することにより形成された塗布膜であって、前記アルコキシド化合物の加水分解後、シラノール脱水縮合の進展により形成されるSi−Oネットワーク及び残存するシラノール基により構成される被膜により前記熱伝導性と前記放熱性と前記絶縁性とを発揮せしめたものであり、前記ヒートシンクの放熱部の放熱面積は、少なくとも15cm2/Wを有することを特徴とする。
【0023】
(7)本発明の蛍光灯型LED照明管は、上記(5)又は(6)の発明の蛍光灯型LED照明管において、前記アルコキシド化合物の加水分解反応とシラノール脱水縮合反応により生成されるバインダーとして、テトラアルコキシシランに対してトリアルコキシシランを、テトラアルコキシシラン:トリアルコキシシランが5対5から0対10の割合で配合することにより、前記アルコキシド化合物の加水分解後のシラノール脱水縮合により生じる塗料中に存在するSi−Oネットワーク素材の形成進行の制御とシラノール基の残存量の制御を行う素材を塗布したヒートシンクを備えることを特徴とする。
【0024】
(8)本発明の蛍光灯型LED照明管は、上記(5)〜(7)のうちのいずれかに記載の蛍光灯型LED照明管において、前記アルコキシド化合物の加水分解反応とシラノール脱水縮合反応により生成されるバインダーとして、テトラアルコキシシランに対してトリアルコキシシランとジアルコキシシランを、テトラアルコキシシラン:トリアルコキシシラン:ジアルコキシシランが4.5対4.5対1から1.8対7.2対1の割合で配合し、前記アルコキシド化合物の加水分解後のシラノール脱水縮合により生じる塗料中に存在するSi−Oネットワーク素材の形成進行の制御とシラノール基の残存量の制御を行う素材を塗布したヒートシンクを備えることを特徴とする。
【0025】
(9)本発明の蛍光灯型LED照明管は、上記(5)〜(8)のうちのいずれかに記載の蛍光灯型LED照明管において、前記顔料が、シリカ(SiO2)、マグネシア(MgO2)、コージライトとシリカ(SiO2)、コージライトとアルミナ(Al2O3)、コージライトとシリカ(SiO2)及びアルミナ(Al2O3)の化合物のいずれかを含む第1の顔料を備えることを特徴とする。
【0026】
(10)本発明の蛍光灯型LED照明管は、上記(5)〜(9)のうちのいずれかに記載の蛍光灯型LED照明管において、前記顔料が、前記第1の顔料に加え、酸化鉄(FeO、Fe2O3、Fe3O4)、二酸化マンガン(MnO2)、酸化コバルト(CoO)、三酸化コバルト(Co2O3)、酸化銅(I)(Cu2O)、酸化銅(II)(CuO)、酸化ニッケル(NiO)、酸化ジルコニウム(ZrO2)またはそれらの化合物のいずれかを含む第2の顔料、または、前記第1および第2の顔料に、第3の顔料であるカーボン(C)を備えることを特徴とする。
【0027】
(11)本発明の蛍光灯型LED照明管は、上記(5)〜(10)のうちのいずれかに記載の蛍光灯型LED照明管において、前記溶媒が、沸点が常温より高い温度のアルコール類であり、前記熱伝導・放熱性塗布膜形成の際に前記溶媒を揮発させることによりポーラス構造を形成せしめることを特徴とする。
【0028】
(12)本発明の蛍光灯型LED照明管は、上記(5)〜(11)のうちのいずれかに記載の蛍光灯型LED照明管において、前記基板は、アルミニューム若しくは銅又はこれらを含む合金からなることを特徴とする。
【0029】
(13)本発明の蛍光灯型LED照明管は、上記(5)〜(12)のうちのいずれかに記載の蛍光灯型LED照明管において、前記放熱促進膜の熱伝導率は、0.5W〜3W/m・kの範囲内のものであることを特徴とする。
【0030】
(14)本発明の蛍光灯型LED照明管は、既存の蛍光灯照明管のソケットにそのまま装着可能な蛍光灯型LED照明管であって、基板と、前記基板の照明方向側に実装された複数のLEDと、該複数のLEDの点灯制御をするLED制御回路と、前記基板及び前記LED制御回路を包囲するとともに、前記複数のLED素子の発光を外部に拡散させる筒体と、前記筒体の両端部を閉塞するとともに、前記LED制御回路を既存の蛍光灯照明管のソケットに接続可能なJIS規格の口金と、該口金と前記基板とを連結する接続具とを備え、前記LED制御回路は、スタータ方式がグロー1灯式またはラピッド1灯式並びにラピッド2灯式の既存蛍光灯に内蔵されている安定器の出力電圧をしきい値として、前記LED素子を前記いずれかのスタータ方式に対応すべく直列又は並列に切り替えるリレーを備え、
更に、前記基板に、前記LED制御回路からの発熱を系外に放熱させるためのヒートシンクを、その放熱部の少なくとも一部が前記筒体外に位置するように設け、
前記ヒートシンクの外周面に、上記(5)〜(13)のうちのいずれかに記載の放熱促進膜を形成させることにより、前記LED制御回路から発生した熱を系外に拡散、放熱させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0031】
上記(1)及び(2)に記載のLED照明管によれば、上述した第1の問題点を解決できる。
【0032】
すなわち、既存蛍光灯のスタータ方式がグロー1灯式、ラピッド一灯式及びラピッド2灯式のいずれのタイプのものであっても、従来どおりの装着が可能で、ノイズの発生が少なく、寿命が長い、簡易構造で低コストの地球環境に易しいLED照明管を得ることができる。特に上記既存蛍光灯のスタータ方式に対応するために、既存蛍光灯の安定器の出力電圧をしきい値としてLED素子の制御回路を自動的に並列又は直列に切替えるリレーを用いたので、切り替え動作が確実で、ノイズが少なく、長寿命且つ低コストのLED照明管が得られる。
【0033】
上記(3)に記載のLED照明管によれば、上記(1)又は(2)に記載のLED照明管の効果に加え、LED照明管の光源部を、接続具の両端部が口金に内挿された状態で管軸周りに所定角度(θ)の範囲内で回動できるので、ユーザは所望場所の照度を容易に上げることができ、利便性の高いLED照明管が得られる。
【0034】
上記(4)に記載のLED照明装置によれば、上記(1)〜(3)のうちのいずれかのLED照明管の効果に加え、上記(1)〜(3)のうちのいずれかに記載の蛍光灯型LED照明管と、スタータ方式がグロー1灯式若しくはラピッド1灯式又はラピッド2灯式の既存蛍光灯本体とを用いるので、上記LED照明管の効果をそのまま備えたLED照明装置が得られる。
【0035】
すなわち、既存の蛍光灯のスタータ方式がグロー1灯式、ラピッド1灯式及びラピッド2灯式のいずれの形式から成るものであっても、本発明のLED照明管に内蔵されているリレーが既存蛍光灯の変圧器の出力電圧をしきい値として自動的に切り替って対応するので、ユーザはノイズの少ない、低コストで利便性の非常に高いLED照明装置を得ることができる。
【0036】
上記(5)に記載のLED照明管によれば、上述した第2の問題点を解決できる。
【0037】
すなわち、ヒートシンクの放熱部に放熱を促進させるための放熱促進膜を形成させたので、本発明の第2の目的である外形形状が既存蛍光灯本体の筐体にヒートシンクの大きさを大きくすることなく適用可能で、LED素子回路で発生した熱を系外に高効率で拡散、放熱可能な高効率放熱ヒートシンクを備えたLED照明管を得ることができる。
【0038】
上記(6)〜(8)に記載のLED照明管によれば、上記(5)記載のLED照明管の効果に加え、高効率熱伝導・放熱性塗布膜にはSi−Oネットワークが全体を全通しているので、Si−Oネットワークを伝わることにより熱が効率よく運搬され、高い熱伝導率が得られる。
【0039】
また、無機鉱物である無機顔料が含まれて固化されているのでLED素子の点灯中において熱伝導率が落ちることはない。
【0040】
また、アルコシキシドバインダーの組成を工夫することにより、塗料中に存在する強靭なSi−Oネットワーク素材の形成とシラノール基の残存量を制御することができ、放熱性、耐熱性、基材への強い付着性、靭性を同時に得ることができる。また、Si−Oネットワーク素材をある程度まで形成しておくことにより膜が形成される過程における収縮率が小さくなり残留応力が小さくなり基材への付着力が向上する。
【0041】
さらに、ヒートシンクの放熱部の放熱面積は、少なくとも15cm2/Wを有するので、LED素子及びその制御回路を焼損させることなく、発生した熱を系外に高効率で確実に拡散、放熱させることができる。
【0042】
上記(9)〜(10)に記載のLED照明管によれば、上記(6)〜(9)のうちのいずれかに記載のLED照明管の効果に加え、顔料が、シリカ(SiO2)、マグネシア(MgO2)、コージライトとシリカ(SiO2)、コージライトとアルミナ(Al2O3)、コージライトとシリカ(SiO2)及びアルミナ(Al2O3)の化合物のいずれかを含む第1の顔料、またはこの第1の顔料に加え、酸化鉄(FeO、Fe2O3、Fe3O4)、二酸化マンガン(MnO2)、酸化コバルト(CoO)、三酸化コバルト(Co2O3)、酸化銅(I)(Cu2O)、酸化銅(II)(CuO)、酸化ニッケル(NiO)、酸化ジルコニウム(ZrO2)またはそれらの化合物のいずれかを含む第2の顔料、または、前記第1および第2の顔料に、第3の顔料であるカーボン(C)を加えるようにしたので、これら顔料を含む無機放熱膜用塗料により、遠赤外線放射波長領域において高温領域から低温領域まで効率の高い変換を得ることができる。
【0043】
上記(11)に記載のLED照明管によれば、上記(5)〜(10)のうちのいずれかに記載のLED照明管の効果を有するうえ、さらに、溶媒が、沸点が常温より高い温度のアルコール類であり、前記熱伝導・放熱性塗布膜形成の際に前記溶媒を揮発させることにより、ピンホールの少ない膜全体としてさらに優れた熱伝導性を得ることができる。
【0044】
上記(12)に記載のLED照明管によれば、上記(5)〜(11)のうちのうちのいずれかに記載のLED照明管の効果に加え、基板材質が少なくともアルミニュームと銅とを含む金属からなるので、ヒートシンクへの熱伝導性が向上し、速やかなる系外への拡散、放熱効果を達成することができる。
【0045】
上記(13)に記載のLED照明管によれば、上記(5)〜(12)のうちのいずれかに記載のLED照明管の効果に加え、ヒートシンクの放熱促進膜の熱伝導率が、0.5W〜3W/m・kの範囲内のものであるので、LED素子及びその制御回路からの発熱を確実に系外に放熱させることができる。
【0046】
上記(14)に記載のLED照明管によれば、上述した(1)〜(3)のうちのいずれかに記載のLED照明管の効果と、上述した(5)〜(13)のうちのうちのいずれかに記載したLED照明管と、の効果を同時に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明に係るLED照明管を、既存の蛍光灯本体に装着して本発明に係るLED照明装置とした例の全体斜視図である。
【図2】図1中に記載されているLED照明管の全体斜視図である。
【図3】図2のLED照明管の分解斜視図である。
【図4】図2のLED照明管を平面S位置で切断した横断面図である。
【図5】図1中に記載されているLED素子及びその制御回路の全体模式図である。
【図6】図1のLED素子及びその制御回路をリレーにより切り替えた後のLED素子及びその制御回路の全体模式図である。
【図7】第1の高効率放熱ヒートシンク100の構成例を示す図である。
【図8】第2の高効率放熱ヒートシンク200の構成例を示す図である。
【図9】放熱促進膜103を用いた放射線測定結果を示す図である。
【図10】放熱促進膜103が発する放射スペクトルを示す図である。
【図11】図11(a)は、放熱促進膜を用いて形成した放熱促進膜の表面の様子を模式的に拡大して示した図である。図11(b)は、放熱促進膜103を用いて形成した放熱促進膜の表面の様子を模式的に拡大して示した図である。
【図12】放熱促進膜103を用いた放射線測定結果を示す図である。
【図13】放熱促進膜103が発する放射スペクトルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0048】
以下、本発明を実施するための形態を、その一実施例の図面を参照しながら具体的に説明する。
【実施例1】
【0049】
本実施例は、上述した第1の問題点を解決した本発明に係るLED照明管及びこの照明管を用いたLED照明装置の一例である。
<LED照明管及びLED照明装置の基本構成>
図1は、本発明に係るLED照明装置70の全体斜視図である。図2は、図1中のLED照明管50の全体斜視図、図3は、図2中のLED照明管50の分解斜視図、図4は図2のLED照明管50を平面S位置で切断した横断面図である。
【0050】
図1において、本発明に係るLED照明装置70は、既存のLED蛍光灯本体60と、本発明に係るLED照明管50(図では2本)とで構成されている。
【0051】
既存のLED蛍光灯本体60は、例えばスタータ方式がグロー1灯式若しくはラピッド一灯式又はラピッド2灯式のタイプのもので、LED照明管50の長手方向に長い直方体状の筐体61と、筐体61の両端部の下面において、図示しない端子孔を互いに対向させて設けた左右二対のソケット62とで構成されている。
【0052】
筐体61の内外部には、市販の蛍光灯具をそれぞれのスタータ方式で点灯させるに必要な安定器63(図5参照)や、図示しないグロー球(点灯管)等の点灯回路部品が設置されている。これらの電気部品はいずれも公知のものであるので、ここでの詳細な説明は省略する。
【0053】
次に、図2及び図3において、本発明のLED照明管50は、基板3と、この基板3上に設けられた複数のLED素子ユニット1A〜2C(図5参照)と、これらLED素子ユニット1A〜2CのLED制御回路20と、上部にスリット5aを有する直管状の筒体5と、その両端部に位置する口金6と、筒体5と口金6間に位置し、両部材を接続する接続具7と、基板3の上部に位置するヒートシンク8とで構成されている。
【0054】
次に、各構成部材について説明する。
【0055】
図4に示すように、基板3は、その裏面の全面に複数のLED素子ユニット1A〜2Cと、そのLED制御回路20とを実装するための薄い板状体であり、図3に示すようにヒートシンク8の裏面にビスや接着剤等の適当な固定手段9で固定されている。
【0056】
基板3の材質としては、種々の公知材質のものを用いることができるが、本実施例では後述するヒートシンク8への熱伝導を高めるために、アルミニューム若しくは銅又はこれらを含む合金を用いる。すなわち、アルミニュームは、熱伝導率が約240W/M・Kと他の材料に比べると高いので、基板3下面に実装されるLED素子ユニット1A〜2Cや、そのLED制御回路20から発生する熱の抵抗体になりにくい利点があるからである。
【0057】
LED素子ユニット1A〜2Cは、光源であり、シングルチップ方式の白色又は有色LEDの他、2色以上のLEDによる混合色を利用するマルチチップ方式の白色又は有色LEDであっても良い。本実施例では、詳細は後述するがLED素子ユニット1A〜2Cは、白色LEDを基板3の裏面の長手に沿って2列(図4参照)で複数個を配列している。
【0058】
筒体5は、従来の蛍光灯の直管部分に代る円筒体である。図4の横断面図に示すように、その内径は、基板3とヒートシンク8のベース部101とを包囲するに足る寸法とされ、全長は基板3よりもやや長い寸法にされている。また、図3に示すように、上部には基板3を固定した状態のヒートシンク8をその両側から挟持し得る内幅寸法のスリット5aが長手方向に形成され、スリット5aの内縁にはヒートシンク8の固定用突起部5b(図4参照)が設けられている。
【0059】
筒体5の材質としては、特に限定されないが、例えばガラス、透明合成樹脂等を用いることができ、白色のポリカーボネート製のものが好ましい。
【0060】
ヒートシンク8は、LED素子ユニット1A〜2C及びLED制御回路20から発生した熱を基板3を経由して、また、筒体5内の高温雰囲気を熱伝達により筒体5外の系外に導き出して拡散、放熱させるためのものである。図4に示すように、横断面の形状は、底部のベース部101(実施例2では「熱伝導体101」と称する。)と、その上部に隣接間隔が密接して立設された複数枚のフィン102とからなる。
【0061】
また、その両側部は、筒体5で挟持され、長手方向の両端部は後述する接続具7により支持されている。
【0062】
ベース部101は、その底部に、前述した基板3が嵌め込み可能な基板装着溝8aが、また、その両側部には、前述した筒体5のスリット5aの突起部5bと係合する係合溝8bが、いずれも長手方向に貫通して形成されている。
【0063】
フィン102は、厚さがtの薄板状のもので、その高さHは、筒体5外部から放熱面積を考慮した高さとされ、先端は筒体5の中心Oを同心円とする半径により切り揃えられている。図のフィン102は、板状体であるが、その他設置すべき本体の状況に応じて、更に厚さが薄いシート状やピン状のものとすることもできる。
【0064】
ヒートシンク8の材質としては、熱伝導率の高いものが好ましく、例えばアルミニューム、銀、銅、錫またはこれらの合金などを用いることができる。
【0065】
口金6は、一端側が閉塞面で他端側が開口している薄い金属製のキャップ体で、閉塞側面には、既存の蛍光灯本体60のソケット62に着脱可能なJIS規格に合致した一対のピン状端子6aが規定間隔で固定されている。また、口金6の内周面の底部には、筒体5の照明角度調整用の凸部6bが口金軸方向に沿って突出して形成されている。
【0066】
接続具7は、筒体5の両端部において口金6を装着するための連結具の役目をするとともに、ヒートシンク8の裏面にビス9で固定された基板3を支持するためのもので、例えば合成樹脂、ゴム等の絶縁体で形成されている。
【0067】
図3に示すように、接続具7の具体的形状は、横断面形状が上部に肉厚部7cを有する蒲鉾型状の円筒体であり、外径は筒体5及び口金6が締り嵌められる程度の公差に加工されている。
【0068】
また、肉厚部7cの筒体側には、図4に示した基板3装着状態のベース部101とフィン102の基端部に差し込み可能な櫛状体7b(図では5本)が、この接続具7の長手方向のほぼ中間部から筒体5側に向かって突出するように形成されている。
【0069】
さらに、外周面の底部には、口金6の凸部6bと係合する平面7aが所定の中心角(θ)で複数、長手方向に形成されている。
<LED制御回路>
次に、図5、図6を参照して、上記基板3の裏面に形成されているLED制御回路20について説明する。
【0070】
図5は、基板3の下面(照明側)に塗布された図示しない絶縁膜上に、光源として実装されている複数個のLED素子1A〜2Cを制御するためのLED制御回路図である。
【0071】
図6は、図5のLED制御回路20が図中のリレーによって切り替えられた後のLED素子1Aの接続状態を示す模式図で、このうち図6(a)はLED素子ユニット1A〜2Cが並列接続されたときのLED素子1A〜2Cの模式図、図6(b)は直列接続されたときのLED素子ユニット1A〜2Cの模式図である。
【0072】
図5において、二点鎖線枠内からLED素子ユニット1A〜2Cを除いた回路がLED制御回路20であり、この回路全体が図3で説明した基板3の長手方向に沿って実装されている。そして、この二点鎖線枠上部の両側に位置する符号6a及び62は、それぞれ、図3で説明した本体側のピン状端子6aと、筐体61内部に設けられている安定器である。
【0073】
符合1A〜2Cは、光源であるLED素子ユニットで、基板3の長手方向に実装されている。なお、図示は省略したがそれぞれのユニットの内部には、複数個のLED素子が実装されており、本実施例では、それぞれのLED素子ユニットの内部に、20個ずつLED素子が実装されている。
【0074】
LED素子ユニットは、図のように3ユニットが隣接間隔L(図4参照)で2列、平行に長手方向に配列され、合計6ユニットのLED素子ユニット1A〜2Cが基板上に実装されている。
【0075】
したがって、LED照明管1本当たりのLED素子の総実装数は、20個×3ユニット×2列×=120個である。勿論、使用するLED素子の1個当たりワット数と、その総数は、装着先の蛍光灯本体の定格等により適宜決めるものである。
【0076】
図5のLED制御回路20は、2列のLED素子ユニットのうちの一方の列のLED素子ユニット1A、1Bは直列に接続されており、LED素子ユニット1Cは、LED素子ユニット1Bを跨いで設けたバイパス回路25に設けられている。また、このLED素子ユニット1Cの両側には、LED素子ユニット1CをLED素子ユニット1Bに対して、直列または並列回路に切り替えるためのリレー21、22が介設されている。
【0077】
他方の列のLED素子ユニット2A、2B、2C列についても上記と同様の回路構成とし、回路の配列の向きを上記LED素子ユニット1A、1B、1C列に対して逆転させた配置としている。なお、符号13は、上記一方の列中のリレー21、22の励起コイル、符号12は、上記他方の列中のリレー23、24の励起コイルである。
【0078】
LED制御回路20に用いるリレー21〜24としては、種々のタイプを用いることができる。リレー構造は、基本的にメカニカルなものであり、スイッチ動作はオンオフのいずれかの定まった状態推移しかないので、半導体のようにオンからオフ、またはオフからオンに推移する中間領域での電力損失は全く生じない。したがって、リレーのオンオフに伴う熱の発生は皆無である。
【0079】
また、本実施例ではLED素子を全波整流して直流で点灯動作させるうえ、リレー動作もオンオフの定常動作であるので、例えばインバーター方式で生じるレベルの高周波ノイズも発生しない。
【0080】
ところで、昨今のリレーのオンオフ動作に伴う構造体の寿命は、5000回〜1億回と長寿命化されており、LED素子の長寿命の特徴と相俟って、本発明のLED照明管50の長寿命化をより確実なものにしている。
【0081】
また、本実施例に用いているリレー21〜24は、ダイオード等の電圧検出手段も不要であるので、スタータ方式がインバータ方式のものに比べて低コストの回路設計が実現できる。
【0082】
そして、これらLED素子ユニット1A〜1C列及び2A〜2C列の左側には、定電流回路が直列に接続され、更に、定電流回路11の左側とLED素子ユニット1A〜1C、2A〜2C列の右側には、全波整流回路10が直列に接続されており、全てのLED素子ユニット1A〜1C列及び2A〜2Cと、励起コイル12、13とにLED本体の安定器63から供給された交流電源を全波整流した直流電流を供給している。
<LED照明管の作用及び効果>
次に、本発明のLED照明管50の作用を説明する。
【0083】
まず、既存の蛍光灯器具本体のスタータ方式がラピッド2灯式のものである場合において、交流商用電源Pが印加され、既存の蛍光灯本体60に内蔵されている安定器63の出力が昇圧されて交流290Vであると仮定する。
【0084】
この蛍光灯器具本体のソケットに、ユーザが図2の本発明に係るLED照明管50を装着した場合のLED制御回路20の状態を示したのが前述の図5の状態である。
【0085】
この状態は、ピン状端子6aから流れてきた交流の電流が整流回路10で直流に全波整流され、定電流回路11をバイパスしている2個のリレー用コイル12、13が145Vの電圧で励起する。
【0086】
その結果、LED素子ユニット1Cの一方のリレー21は、端子aから端子bに接続し、他方のリレー22も端子aから端子bに接続するので、LED素子ユニット1Cは、LED素子ユニット1Bに対して並列接続される。
【0087】
他方の列のLED素子ユニット2AとLED素子ユニット2Bとについても同様であり、LED素子ユニット2Aは、LED素子ユニット2Bに対して並列接続される。
【0088】
結局、全てのLED素子ユニット1A〜2Cの接続状態は、次の図6(a)の接続状態となり、全てのLED素子ユニット1A〜2Cが点灯し、本発明のLED蛍光灯具は自動的にスタータ方式がラピッド2灯式の既存蛍光灯に対応できたことになる。
【0089】
一方、図5の既存の蛍光灯器具本体60のスタータ方式がグロー1灯式またはラピッド1灯式のものであって、これに交流の商用電源Pが印加され、蛍光灯器具本体60に内蔵されている安定器63の出力が交流200Vであったと仮定する。
【0090】
この場合は図5において、安定器63の出力電圧によってコイル12、13が励磁され、一方のリレー21、22のそれぞれの端子bを端子aに切り替え、他方のリレー23、24もそれぞれ端子bから端子aに切り替える。
【0091】
その結果、一方の列のLED素子ユニット1A〜1C及び他方の列のLED素子ユニット2A〜2Cは、それぞれ直列接続され、結局、図6(b)の接続状態となり、全てのLED素子ユニット1A〜2Cが点灯し、本発明のLED蛍光灯具は自動的にスタータ方式がグロー1灯式またはラピッド1灯式の既存蛍光灯に対応できたことになる。
【0092】
このように本発明のLED照明管50は、基板3のLED制御回路20において、リレー12、13を複数個直列接続することにより、リレーの内部コイルの起動電圧をしきい値として上記の自動切り替え作用が実現できるので、既存の蛍光灯本体60のスタータ方式がグロー1灯式若しくはラピッド1灯式又はラピッド2灯式のいずれであっても、既存の蛍光灯器具本体60の安定器63の出力電圧に応じて自動的に切り替わるのである。
【0093】
このように本発明のLED照明管50は、長寿命かつ低消費電力というLED照明管50本来の効果を十分発揮するうえ、LED制御回路の切り替え用に動作が実質的にメカニカルなリレーを用いているので、動作が確実で、繰り返し使用が可能であり、その寿命は半永久的であること、スタータ方式がインバータ方式の如く半導体を用いないから発熱や高周波ノイズの問題もないこと、回路構成を低コストに設計できること等々の多くの利点を有する。
【0094】
更に、LED制御回路20中に全波整流回路10を設けているので、LED素子のチラツキを減少させ、交流から直流への変換効率を高める効果をも有する。
【0095】
このように本発明のLED照明管50の適用対象から普及度がまだ低く、対応コストのかかるインバータスタータ方式のものを除いたことは、コスト面において非常に現実的、且つ実用的であり、本発明は非常に有用性の高いものである。
【0096】
なお、本発明のLED照明管50の既存蛍光灯本体60への装着後、その照明方向を調整したい場合は、図2において、筒体5に対して口金6を管軸周りに回動させることで、鉛直方向に対して角度θだけ光源全体を正逆方向に回動させることができるため、所望場所の照度を上げることが出来、本発明のLED灯具の利便性が向上する。
【0097】
<LED照明管の変形・応用例>
本実施例で説明した上記LED素子ユニット1A〜2C及びそのLED制御回路20は一例であり、その他種々の変形例とすることもできる。
【0098】
例えば、本実施例では、LED素子ユニット1A〜2Cとして白色発光ダイオードを用いているが、赤、緑、青色の発光ダイオードを用い、適当な回路設計により点灯したLED素子ユニット1A〜2C群に各種表示、案内及び警報機能を持たせても良い。
【0099】
また、本実施例では、基板3及びヒートシンク8を、筒体5と接続具7の両方が支持している支持構造としたが、筒体5と接続具7のいずれか一方でのみ支持してもよく、このような支持構造も勿論本発明の技術的範囲に含まれる。
【0100】
更に、本実施例のLED照明管50は、既存蛍光灯本体60の安定器63を介して接続しているが、商用電源に直接接続することも可能である。この場合、整流後の電圧は交流電圧の約1.41倍の整流電圧がLED素子に印加されるので、LED素子の直列数を最適化することと、回路定数の変更で使用することが可能である。
【実施例2】
【0101】
ところで、前述した如何なるLED素子ユニット1A〜2C及びLED制御回路を用いても、特徴的なことは、前述したように既存の蛍光灯具に比べて発熱量が非常に高い光源であるLED素子ユニット1A〜2C及びそのLED制御回路20を筒体5で包囲し、さらにその両端部を口金6で閉塞するから、その環境は密閉空間となり、より一層発熱が蓄積されることである。
【0102】
したがって、積極的にその発熱を系外に拡散、放熱させる技術が必要になる。すなわち、前述した第2の問題点である。
【0103】
この場合において、特許文献1の如く、基板3にヒートシンク8を接続し、系外に放熱させる技術も存在するが、昨今の半導体素子回路は益々高容量、且つ高密度化しているため、基板3に単にヒートシンク8を接続するだけでは不十分であり、もっと積極的、かつ効果的な拡散、放熱技術の採用が必須である。しかも、その拡散、放熱技術は、LED照明管50の設置環境上、場所をとらず、しかも低コストであることが条件となる。
【0104】
そこで、本発明の発明者らは、鋭意研究した結果、ヒートシンク8の形状などは従来のままとし、放熱フィン202表面の放熱効率を一気に向上させるとともに、系外に放熱することのできる高い熱伝導性と、高い放熱性とを兼ね備えた性質を持つ高効率熱放射材料をベースとした熱伝導・放熱性塗布膜である放熱促進膜103を塗布して放熱フィン202の放熱効率を向上させるという画期的な技術に到達した。
【0105】
本実施例は、前述した実施例1に係るLED照明管50のヒートシンク8の放熱面に上記放熱促進膜103を塗布して第1の高効率放熱ヒートシンク100とした例である。
【0106】
したがって、放熱促進膜以外の構成は、実施例1のLED照明管と同じであり、以下、図7〜図13を用いて詳細に説明する。
【0107】
<ヒートシンクの構成>
図7(a)は、第1の高効率放熱ヒートシンク100の正面を模式的に表した正面図、図7(b)は、側面図、図7(c)は、図7(a)に示されている放熱フィン202の部分拡大図、図7(d)は、放熱メカニズムの模式図である。
【0108】
これらの図において、第1の高効率放熱ヒートシンク100は、ベース部101である熱伝導体101と、その上部に所定の隣接間隔で立設され、熱伝導体101と一体に形成された複数枚の放熱フィン102と、さらにこの放熱フィン102の表面に設けられた放熱促進膜103とを備えている。なお、熱伝導体101下部の熱源300は、実施例1で前述した複数のLED素子ユニット1A〜2Cと、その制御回路20とを,熱源300として模式的に表したものである。
【0109】
熱伝導体101は、熱伝導率の高い金属材料、例えばアルミニュームからなり、一端において熱源300に対接する受熱面105を備え、熱源300からの熱を上記複数の放熱フィン102に向けて伝導する熱伝導路106を形成する。
【0110】
前述したように、放熱フィン102は、熱伝導率の高い金属材料、例えばアルミニュームからなり、熱伝導体101の上端において多数立設されている。なお、放熱フィン102の形状は、特に限定されないが、前述したとおり、例えば、板状やシート状のものやピン状のものとすることができる。
【0111】
放熱フィン102の表面には、高い熱伝導性と高い放熱性とを兼ね備えた性質を持つ高効率熱放射材料をベースとした放熱促進膜103が塗布されているが、この放熱促進膜103の組成などについては後述する。
【0112】
本実施例の第1の高効率放熱ヒートシンク200は、熱源300で集中的に発生した熱を熱伝導体101の熱伝導路106を介して放熱フィン102の表面から外界に向けて熱を放射する仕組みとなっている。
【0113】
上記構成の第1の高効率放熱ヒートシンク100では、熱源300で発生した熱は以下のように放熱される。
【0114】
熱源300で発生した熱は、熱伝導体101の受熱面105から熱伝導体101に入り、熱伝導路106を介して拡散し、放熱フィン102に入る。次に、放熱フィン102の表面に塗布されている放熱促進膜103に対して熱が伝導される。放熱促進膜103の熱は素早く系外に拡散してゆく。
【0115】
放熱促進膜103は後述するように高い放熱性を備えているので、放熱促進膜103の表面全体から系外に放出される。
【0116】
図7(d)は、熱源300からの熱伝導及び放熱促進膜103からの放熱の様子を模式的に示している。
【0117】
このように、本発明の第1の高効率放熱ヒートシンク100は熱を効率よく系外に放出できる仕組みとなっている。
【0118】
ヒートシンク100の横断面形状は、種々の形状のものとすることができ、例えば次の図8のような形状のものにすることもできる。
【実施例3】
【0119】
[第2の高効率放熱ヒートシンク]
図8は、第2の高効率放熱ヒートシンク200の構成例を模式的に示す図である。なお、放熱促進膜以外の構成は、実施例1のLED照明管と同じであり、以下の説明は実施例2と異なっている部分のみ説明する。
【0120】
図8(a)は第2の高効率放熱ヒートシンク200の構成例を模式的に示す正面図、側面図である。図中、上方に向かうほど厚さが細くなっている。
【0121】
図8(b)は放熱フィン202の先端付近の拡大図である。
【0122】
放熱フィン202の表面には、実施例2と同様、高い熱伝導性と高い放熱性とを兼ね備えた性質を持つ高効率熱放射材料をベースとした放熱促進膜103が塗布されている。この構成例では、放熱フィン202の表面全体に放熱促進膜103が形成されている。
【0123】
この放熱促進膜103の組成などについては実施例2と同様で良い。
【0124】
第2の高効率放熱ヒートシンク200は、熱源300で集中的に発生した熱を熱伝導体201の熱伝導路204を介して放熱フィン202に伝え、放熱フィン202の先端付近から外界に向けて熱を放射する仕組みとなっている。
【0125】
上記構成の高効率放熱ヒートシンク200では、熱源300で発生した熱は以下のように放熱される。
【0126】
熱源300で発生した熱は熱伝導体201の受熱面205から熱伝導体201に入り、熱伝導路204を介して拡散し、放熱フィン202に入る。放熱フィン202の表面に塗布されている放熱促進膜103に対して熱が伝導される。放熱促進膜103の熱は素早く系外に熱が拡散してゆく。その中で、一部の熱は隣接し合う放熱フィン202の表面の間をキャッチボールのように受け渡されつつ先端まで移動し、放熱フィン202の先端付近から外界に向けて熱を放射する仕組みとなっている。
【0127】
図8(c)は、熱源から伝わった熱が放熱フィン間をキャッチボールされながら先端付近から系外に放熱される様子を模式的に示している。
【0128】
このように、本発明の高効率放熱ヒートシンク200は熱を効率よく系外に放出できる仕組みとなっている。
<放熱促進膜>
次に、第1の高効率放熱ヒートシンク100及び第2の高効率放熱ヒートシンク200が備える放熱促進膜103について、詳しく説明する。
【0129】
放熱促進膜103は、下記の絶縁放熱塗料Aをフィン102、202上に塗布・乾燥して形成した被膜である。なお、ここで「塗布」とは、本発明においは塗布のみに止まらず、吹き付け、浸漬、焼付け等による放熱促進膜の形成手段を含む広い概念のものである。
【0130】
[絶縁放熱膜塗料A]
絶縁放熱膜塗料Aは、アルコキシド化合物の加水分解反応とシラノール脱水縮合反応により生成されるバインダーを用いる。バインダーはまずアルコキシド化合物の加水分解によりシラノール基が生成され、その後シラノール脱水縮合反応が進んでSi−Oネットワークが形成されて行く。このシラノール脱水縮合の進展により形成されるSi−Oネットワーク及び残存するシラノール基により構成される被膜により熱伝導性と放熱性と絶縁性とが発揮される。また、顔料が高効率熱放射性物質を含んでおり顔料による放熱性も発揮される。
【0131】
アルコキシドの加水分解は速やかに促進された方が良いが、その後にシラノールの脱水縮合が進みすぎるおそれに注意する必要がある。塗料の状態でシラノールの脱水縮合が進みすぎると塗布前にSi−Oネットワークが多数形成され、塗布後に乾燥して形成された塗布膜が脆くなったりクラックが入りやすくなったりして基材への付着力が小さくなってしまうという問題が発生するからである。
【0132】
一方、シラノールの脱水縮合反応が十分ではない場合、つまり、塗料状態においてシラノールリッチの状態では、塗布後に膜が形成されてゆく過程で多くの脱水縮合が進んで行くこととなり、脱水縮合が進むと膜が収縮して行くこととなり収縮率が大きくなってしまい、塗布した膜が剥がれ落ちるという不具合が起こる。
【0133】
以上から、図7及び図8の放熱促進膜103を形成する絶縁放熱膜塗料Aは、アルコキシドの加水分解は完全に終了せしめ、シラノール脱水縮合反応は適切量進めた後に脱水縮合反応を抑止することにより、脱水縮合により生じる塗料中に存在するSi−Oネットワーク素材の形成進行の制御とシラノール基の残存量の制御を行ったものとすることが好ましい。これにより塗布前に適切量のSi−Oネットワーク素材を形成しておき、塗布後に新たに脱水縮合により形成されるSi−Oネットワーク量を少なくして収縮率が大きくなることを抑え、残存するSi−OH基により基材との付着力を確保せしめる。
【0134】
<バインダー>
次に、バインダーの組成の例について述べる。
【0135】
[熱伝導・放熱性塗布膜用塗料A]
熱伝導・放熱性塗布膜用塗料A(第1の熱伝導・放熱性塗布膜用塗料A)のバインダー組成は、アルコキシド化合物からなるバインダーとして、テトラアルコキシシランとトリアルコキシシランを所定割合で混合したものとなっている。
【0136】
その混合割合は、テトラアルコキシシラン:トリアルコキシシランが5対5から0対10の割合が好ましい。
【0137】
一方、熱伝導・放熱性塗布膜用塗料B(第2の熱伝導・放熱性塗布膜用塗料B)のバインダー組成は、アルコキシド化合物からなるバインダーとして、テトラアルコキシシランとトリアルコキシシランとジアルコキシシランを所定割合で混合したものとなっている。
【0138】
その混合割合は、テトラアルコキシシラン:トリアルコキシシラン:ジアルコキシシランが4.5対4.5対1から1.8対7.2対1の割合が好ましい。
【0139】
Si−OH官能基を4つ備えたテトラアルコキシシランとしては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン等が挙げられる。
【0140】
Si−OH官能基を3つ備えたトリアルコキシシランとしては、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリエチルメトキシシラン、トリエチルエトキシシラン、トリフェニルメトキシシラン、トリフェニルエトキシシラン、トリメチルプロポキシシラン、トリエチルプロポキシシランなどが挙げられる。
【0141】
Si−OH官能基を2つ備えたジアルコキシシランとしては、ジチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシランなどが挙げられる。
【0142】
アルコキシド化合物としてこれらを組み合わせて用いる。組み合わせで好ましいのはジメチルメトキシシラン、トリメチルメトキシシラン及びテトラメトキシシランの組み合わせ、またはジメチルエトキシシラン、トリメチルエトキシシラン及びテトラエトキシシランの組み合わせである。
【0143】
本発明では、アルコキシド化合物の加水分解後の脱水縮合により生じる塗料中に存在するSi−Oネットワーク素材の形成進行の制御とシラノール基の残存量の制御を行い、放熱促進膜103の絶縁性と熱伝導性と放熱性を確保する。
【0144】
<放熱促進膜の特性>
次に、放熱促進膜103が、絶縁性と熱伝導性と放熱性を兼ね備えたものとなっていることを説明する。
【0145】
Si−Oネットワーク素材の形成進行の制御とシラノール基の残存量の制御の原理は以下の通りである。
【0146】
アルコキシド化合物同士は加水分解によりシラノール基(Si−OH官能基)が生成され、Si−OH官能基の脱水縮合によりSi−Oネットワークの形成が進行してゆく。Si−OH官能基を4つ持つテトラアルコキシシランはSi−OH官能基を多く持つので、脱水縮合を促進させればSi−Oネットワークの形成進行が速く、早期にゲル化する。テトラアルコキシシランのみでバインダーを形成するとほぼ完全にSi−OH官能基が消費され、Si−Oネットワークが形成される。Si−OH官能基を3つ持つトリアルコキシシランもSi−OH官能基を持つので、脱水縮合を促進させればSi−Oネットワークの形成が進行し、ゲル化する。トリアルコキシシランのみでバインダーを形成すると粒子間のSi−OH官能基の存在が均等になるので、ほぼ完全にSi−OH官能基が消費された状態でSi−Oネットワークが形成される。
【0147】
Si−OH官能基を2つ持つジアルコキシシランもSi−OH官能基を持つので、脱水縮合を促進させればSi−Oネットワークの形成が進行し、ゲル化する。ジアルコキシシランのみでバインダーを形成すると同様にほぼ完全にSi−OH官能基が消費された状態でSi−Oネットワークの形成が形成される。しかし、ジアルコキシシランはSi−OH官能基が2つしかなく、脱水縮合によって直鎖状にSi−Oネットワークが形成されてしまい、堅牢性が小さくなる。
【0148】
本発明では、Si−Oネットワークによる堅牢な膜形成を目指すだけではなく、Si−Oネットワークの形成を進行させつつもSi−OH官能基をすべては消費させずに残存させるように制御する。残存したSi−OH官能基により金属プレートなどの基材のOH基との間の結合エネルギーにより基材と強力な付着力をもたらす。
【0149】
つまり、Si−OH官能基を2つ持つアルコキシド化合物、Si−OH官能基を3つ持つアルコキシド化合物、Si−OH官能基を4つ持つアルコキシド化合物を、所定割合で混ぜ合わせると、アルコキシド分子間でSi−OH官能基の数に不均衡があるため、反応する相手となるSi−OH官能基がなく、いわば浮いてしまうSi−OH官能基が多数出てくるので脱水縮合が一気には進まなくなる。
【0150】
ただし、長期間放置していると、浮いているSi−OH同士の脱水縮合反応が進んでくるので残存するSi−OH官能基の量は漸減して行くが、上記のように2官能のアルコキシド化合物、3官能のアルコキシド化合物、4官能のアルコキシド化合物の割合を調整すれば、当初、脱水縮合は早期に進むもののSi−OH官能基の数が不均衡状態に陥ってからは脱水縮合に急速にブレーキがかかることとなる。
【0151】
後述するように、良好な付着性、熱伝導性、放熱性、絶縁性を備えた膜が形成される配合について実験を重ねて2官能のアルコキシド化合物、3官能のアルコキシド化合物、4官能のアルコキシド化合物の配合割合を見出した。
【0152】
まず、放熱促進膜103の付着性試験を行い、放熱促進膜103が安定して基板3上に付着している条件について実験し、次に、熱伝導性試験、放熱性試験、絶縁性試験を行い、放熱促進膜103が良好な熱伝導性、放熱性、絶縁性を備えていることを検証する。
【0153】
[付着性実験]
付着性実験に用いた熱伝導・放熱性塗布膜用塗料のバインダー組成
実験に用いた熱伝導・放熱性塗布膜用塗料のバインダー組成は、4官能基を備えたテトラアルコキシシランとしてモメンティブマテリアル社製のテトラメトキシシランを用いた。また、3官能基を備えたバインダーのトリアルコキシシランとしてモメンティブマテリアル社製のトリメチルメトキシシランを用いた。また、2官能基を備えたジメトキシシランとしてモメンティブマテリアル社製のジメチルメトキシシランを用いた。テトラメトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、ジメチルメトキシシランの配合を変えてそれぞれ製作した。
【0154】
加水分解に用いた水の量は、アルコキシド化合物1モルに対して水0.8〜1.4モルとした。水が0.8モル以下ではSi−OH基の発生が十分でなく膜の硬度が上がらず、1.4モル以上ではSi−OH基が多くなり、シラノールの分子結合が大きくなり、ゲル化が進展し、クラックが生じやすくなるからである。触媒としての酸の量は有機酸、無機酸何れの場合も、加水分解を起こすのに十分な量を用いた。
【0155】
サンプルのそれぞれに含まれるジメチルメトキシシラン(2官能)、トリメチルメトキシシラン(3官能)、テトラメトキシシラン(4官能)の配合を[表1]に示す。
【0156】
【表1】
【0157】
−熱伝導・放熱性塗布膜を形成する基材
ブラスト処理を行ったアルミプレートを用いた。
−付着性実験の手法
付着性実験は、JIS−K5600−5−6の手法により碁盤目テストを行った。実験は3回行った。ブラスト処理を行ったアルミプレートに対する付着実験結果を[表2]に示す。
【0158】
【表2】
【0159】
注1:その他のアルコキシドとしてエトキシ基、フェニル基もあるが、エトキシ基はメトキシ基と反応スピードの違いなので省略し、フェニルは硬度が劣るので省略し、メチル基のみでテストを実施した。
【0160】
注2:反応はアルコキシド1モルに対して水2.5〜4.5モル、望ましくは3.3モル、酸の量を十分入れ、顔料比率70%とし、膜厚を25μ±3μにして実施。
【0161】
注3:分散溶媒はエタノール、イソプロピルアルコールを配合した物を使用した。
【0162】
注4:分散は0.7mmのガラスビーズを使用した。分散後粒度はD50で0.35ミクロン。
【0163】
注5:焼成条件は180℃で20分。基板3はアルコール脱脂のみのアルミ板を使用した。試験片は7.5mmw×15.0mml×1.0mmtを各3枚(評価は全数クリアー)。
【0164】
注6:塗布方法はスプレーコート。
【0165】
注7:膜厚は15μ〜20μ、測定方法はマイクロメーター。
【0166】
上記付着性実験から、テトラアルコキシシランとトリアルコキシシランを混合したバインダーである配合1から配合3の実験結果より、混合割合は配合1から配合2の混合割合が良いことが実証できた。つまり、テトラアルコキシシラン:トリアルコキシシランが5対5から0対10の割合が好ましい。
【0167】
また、上記付着性実験から、テトラアルコキシシランとトリアルコキシシランとジアルコキシシランを混合したバインダーである配合4から配合9の実験結果より、混合割合は配合4から配合5の混合割合が良いことが実証できた。つまり配合6のように3官能基の割合が減ると付着性が劣り、また、配合7から配合9のように2官能基の割合が増えても付着性が劣る。つまり、テトラアルコキシシラン:トリアルコキシシラン:ジアルコキシシランが4.5対4.5対1から1.8対7.2対1の割合が好ましい。
【0168】
以上、絶縁放熱塗料のバインダーの組成を上記の割合となるように工夫すれば、放熱促進膜103の付着性が大きくなるように、Si−Oネットワークと残存するSi−OH基の量を制御できる。
【0169】
なお、前記溶媒は、沸点が常温より高い温度のアルコール類であり、無機放熱膜形成の際に前記溶媒を揮発させることによりポーラス構造を形成せしめることが好ましい。
【0170】
上記のように膜中にポーラス構造を作り込むことにより膜全体としてさらに優れた靭性を得ることができるからである。
【0171】
[熱伝導試験]
放熱促進膜103において、高い熱伝導率が得られていることを確認した。
−熱伝導試験に用いた絶縁放熱塗料のバインダー組成
絶縁放熱塗料のバインダー組成は、付着性実験に用いた絶縁放熱塗料のバインダー組成と同じものとした。
−放熱促進膜103を形成する基板3
アルミブラスト処理を行ったアルミプレート(150mm×75mm×1.0mm)を用いた。
−熱伝導性試験の手法
アルミプレートの半分に放熱促進膜103を形成し、残り半分は放熱促進膜103は形成せずアルミプレートが剥き出しのままとする。アルミプレートの裏面から加熱し、アルミプレートの表面の温度分布を測定した。
【0172】
[表3]
熱伝導・放熱性塗布膜では、Si−Oネットワークが膜全体を全通しているので熱伝導率が高く、ポーラス構造にかかわらずコージライト、アルミナ、シリカ、ジルコニアという無機鉱物である無機顔料が含まれて固化されているので熱伝導率が高い。実際に熱伝導・放熱性塗布膜2の試料片を用いて熱伝導率を計測したところ、2W/mK以上の熱伝導率が得られていた。
【0173】
[放熱性試験]
次に、放熱膜としての機能、つまり、発熱体から受けた熱エネルギーの遠赤外線エネルギーへの変換効率について検証する。本発明の熱伝導・放熱性塗布膜用塗料において、含有されている顔料は形成した膜において遠赤外線放射機能を与えるものである。それゆえに顔料の配合が重要である。
【0174】
高い熱放射率を実現するためには、熱線波長領域の全範囲にわたって、放射率が100%に近く、さらに放射輝度が当該温度における黒体輻射に近い放射スペクトルを持つこと必要がある。
【0175】
<顔料>
次に、顔料について説明する。
【0176】
第1の顔料として、シリカ(SiO2)、マグネシア(MgO2)、コージライトとシリカ(SiO2)、コージライトとアルミナ(Al2O3)、コージライトとシリカ(SiO2)及びアルミナ(Al2O3)の化合物のいずれかを含むものとする。これらは、熱拡散性が高く放熱性を有する上、熱膨張率が5×10−6〜10.5×10−6であり、比較的大きいので、顔料として含有させてシート状に成形しても、膜も金属の挙動と同様な挙動をする。それゆえ、膜中に引っ張り応力が発生せず、高温域でも安定した放熱性が得られる。しかも、絶縁性も得られる。なお、カーボン(C)を一定量以上入れることにより容易に導電性が得られる。特に450℃までの大気中、または高温真空炉、或いは不活性ガス等の雰囲気炉中で従来不可能とされていたカーボンの面状発熱体が使用可能となる。
【0177】
上記の第1の顔料に対して、以下の第2の顔料を加える工夫も好ましい。第2の顔料は、酸化鉄(FeO、Fe2O3、Fe3O4)、二酸化マンガン(MnO2)、酸化コバルト(CoO)、三酸化コバルト(Co2O3)、酸化銅(I)(Cu2O)、酸化銅(II)(CuO)、酸化ニッケル(NiO)、酸化ジルコニウム(ZrO2)またはそれらの化合物のいずれかを含むものである。更に、上記顔料に第3の顔料であるカーボン(C)を加えるのが好ましい。
【0178】
なお、顔料の粒度は、膜の平滑性や綴密性、強度を考慮して、顔料の粒度は溶媒分散後で平均粒度で0.5μ以下が望ましい。
【0179】
アルコキシドと顔料の割合は、15〜45体積%が妥当である。15%以下では膜の靭性が低下し堅牢さが失われる。45%を超えると、脱水縮合による乾燥収縮量が多く、高温下でクラックが発生しやすく、所望の放熱性が得がたい。
【0180】
膜の厚みは、基材や発熱体と膜が強固に付着し、且つ、両者の熱膨張差が非常に近い場合でも、膜が厚くなりすぎると、クラックが発生する。それは、Si−OHが脱水縮合するときに起こる収縮現象が原因である。膜厚は、バインダーの含有量にもよるが、30μ以下が望ましい。特にアルコキシド化合物の脱水縮合物の全固形物(即ちSi−OHから生じるSiO2と混合したときの無機顔料成分の合計)にしめる割合が45体積%の場合、800℃でクラックの発生を防ぐ為には10μ前後が好ましい。膜厚が30μを超えると、膜が脆くなり、長時間の使用に耐えられなくなる。そのため、アルコキシド化合物の脱水縮合物の割合は30体積%以下が望ましい。
【0181】
サンプルとして顔料を[表4]のように配合した熱伝導・放熱性塗布膜用塗料Aを作製し、遠赤外線放射実験を行った。
【0182】
焼成条件は180℃で20分間焼き付けた。
【0183】
膜厚はマイクロメーターの測定により20μ〜26μのものが焼成できた。
【0184】
測定は遠赤外線応用研究会によった。
【0185】
測定温度は60℃とした。
【0186】
測定機種はJIR−E500を用いた。
【0187】
測定条件は、分解能16cm−1、積算回数200回、検知器はMCTである。
【0188】
【表4】
【0189】
第1の顔料である、シリカ(SiO2)、マグネシア(MgO2)、アルミナ(Al2O3)、マグネシア(MgO2)のうち、熱伝導・放熱性塗布膜2ではシリカ(SiO2)、アルミナ(Al2O3)、マグネシア(MgO2)とした。酸化チタンは着色顔料として配合し、塗料全体の色を白色に着色した。バインダーは3官能基を備えたトリメチルメトキシシランと4官能基を備えたテトラメトキシシランを配合した。
【0190】
上記構成の組成を持つ熱伝導・放熱性塗布膜を用いて放射率と放射輝度測定を行った。
【0191】
図9は熱伝導・放熱性塗布膜の放射率である。
【0192】
図10は熱伝導・放熱性塗布膜の放射輝度スペクトルである。
【0193】
放射輝度は、540.06kcal/m2・hrであった。
【0194】
図10に見るように、低温の波長領域から高温の波長領域まで良好な放射輝度スペクトルが得られており、放熱性は、4μ〜24μの波長域での放射率は85%以上の放射率を有することが分かった。高い遠赤外線変換効率が得られていることが実証できた。
【0195】
[絶縁性試験]
次に、絶縁膜としての機能、つまり、モーターコイル体10とモーターシャーシ30及び電子素子部品40との絶縁性について検証する。
【0196】
実験は、熱伝導・放熱・絶縁性塗布膜103に対して電圧を印加してゆき、その絶縁性を確認することにより行った。
【0197】
[表5]
[耐熱性試験]
熱伝導・放熱性塗布膜を800℃に熱し、水で急冷却するという処理を繰り返して、クラックが入るか否かを試験した。
【0198】
加熱はバーナーで800℃まで加熱した。冷却は冷水にて急速に冷却した。この加熱・冷却を5回繰り返した。
【0199】
結果を[表6]に示す。
【0200】
【表6】
【0201】
[表面硬度試験]
熱伝導・放熱性塗布膜の耐摩耗性を調べるために熱伝導・放熱性塗布膜を用いて表面硬度テストも行った。
【0202】
硬度テストの方法は、JIS−K−5−4に準じた。
【0203】
実験にはアルミプレートに焼成したものを用いた。
【0204】
表面硬度テストの結果を[表7]に示す。
【0205】
【表7】
【0206】
なお、上記において、アルコキシド化合物と顔料の割合は、15〜45体積%が妥当であると指摘したが、実験にて実証した。バインダーであるアルコキシド化合物は熱伝導・放熱性塗布膜用塗料Bと同様、トリメチルメトキシシランとテトラメトキシシランの混合とし、顔料の体積%を変えたサンプルを製作し、表面硬度テストを行うことにより妥当な割合を検証した。
【0207】
【表8】
【0208】
注1:アルコキシド化合物は代表例としてトリメチルメトキシシラン66.7重量%、テトラメトキシシラン33.5重量%、ジメチルメトキシシラン4,8重量%でテスト。
【0209】
注2:各反応条件、分散条件、縮合脱水条件、膜厚、基材は前記テストに準じる。
【0210】
注3:使用顔料は平均1次粒子径0.15μのアルミナ(Al2O3)、平均1次粒子径0.5μのカオリン、10〜20nのシリカ(SiO2)をそれぞれ30体積%、65体積%、5体積%配合したものを使用した。
【0211】
注4:分散溶媒はエタノール、イソプロピルアルコールを配合した物を使用した。
【0212】
注5:分散は0.7ミリ径のガラスビーズを用いたビーズミルで1時間実施した。その時の平均粒皮は0.35μであった。
【0213】
注6:○は硬度7H以上、曲げ20R可、碁盤目テスト問題なし、△は硬度7Hまで、碁盤目テスト間題なし、Xは、膜が脆くクラック発生。
【0214】
以上、アルコキシド化合物と顔料の割合は15〜45体積%が妥当であると実証できた。
【0215】
[耐腐食性試験]
本発明の熱伝導・放熱性塗布膜の耐腐食性も調べるために熱伝導・放熱性塗布膜を用いて塩水噴霧試験と水浸試験も行った。
【0216】
塩水噴霧試験の方法は、JIS−K5600−7−1に準じた。
【0217】
測定はステンレスプレートのものを用いた。
【0218】
塩水噴霧の放置時間は500時間とした。
【0219】
塩水噴霧試験の結果を[表9]に示す。
【0220】
【表9】
【0221】
水浸試験の方法は、JIS−K5600−6−2に準じた。
【0222】
測定はアルミプレートのものを用いた。
【0223】
水浸の放置時間は500時間とした。
【0224】
水浸試験の結果を[表10]に示す。
【0225】
【表10】
【0226】
以上、塩水噴霧試験と水浸試験の結果から、本発明の熱伝導・放熱性塗布膜の耐腐食性が大きいことが実証できた。
【0227】
以上、実施例2にかかる熱伝導・放熱性塗布膜及び熱伝導・放熱性塗布膜により塗布・形成した熱伝導・放熱性塗布膜は、無機バインダーの付着力が大きく、顔料も遠赤外線放射効率が高く、表面硬度が大きく、耐腐食性、耐熱性に優れたものである。また、本発明の熱伝導・放熱性塗布膜用塗料は1液性でありながらアルコキシド系バインダーの脱水縮合反応を制御することがき、ポットライフが長くかつ取り扱いが容易な1液性塗料として提供できる。
[熱伝導・放熱性塗布膜用塗料B]
放熱促進膜103は、熱伝導・放熱性塗布膜用塗料Bの顔料において、着色顔料として酸化チタンを含有させるとともに、酸化チタン粒子の周囲に遠赤外線放射性物質の顔料をコーティングせしめたことを特徴とするものである。
【0228】
熱伝導・放熱性塗布膜用塗料の顔料粒子は塗布膜の形成段階において、一部が表面上に表出する。遠赤外線放射性物質である顔料は熱源から受けた熱エネルギーを遠赤外線エネルギーに変換して放射する。
【0229】
ここで、形成される熱伝導・放熱性塗布膜が製品の筐体61など目に触れる箇所である場合などにおいては、塗料の色が見た目にきれいな色となるよう要求がある。そこで、塗料を綺麗に発色させるため着色用の顔料を混合させるニーズがある。この場合、着色用に配合された酸化チタンや酸化亜鉛などの顔料粒子が、遠赤外線への変換効率に寄与するものでなければ熱伝導・放熱性塗布膜の放熱機能を低下させる要因となりうる。
【0230】
遠赤外線放射実験で製作した熱伝導・放熱性塗布膜用塗料の放熱促進膜Aに用いられている酸化チタン(石原産業製 A−100)は、特に表面に何もコーティングが施されていないものであった。
【0231】
図11(a)は、熱伝導・放熱性塗布膜用塗料Aを用いて形成した熱伝導・放熱性塗布膜の表面の様子を模式的に拡大して示した図である。顔料粒子を模式的に大きく示している。図11(a)に見るように、熱伝導・放熱性塗布膜の表面には遠赤外線放射性物質である顔料とともに酸化チタン粒子が表出している。この酸化チタン粒子が表出している部分は遠赤外線放射機能を発揮しないので遠赤外線放射効率が低下することとなる。実際、図9、図10に見るように、高温領域(5〜8μm)においてスペクトルが低下している部分が見られる。
【0232】
実施例2にかかる本発明の熱伝導・放熱性塗布膜用塗料は、着色顔料として酸化チタンを含有させるとともに、酸化チタン粒子の周囲に遠赤外線放射性物質の顔料をコーティングせしめている。後述する熱伝導・放熱性塗布膜用塗料Aに用いられている酸化チタン(石原産業製 R−95)は、表面に粒度の細かいシリカがコーティングされているものである。
【0233】
図11(b)は、放熱促進膜103の態様の熱伝導・放熱性塗布膜用塗料Bを用いて形成した熱伝導・放熱性塗布膜の表面の様子を模式的に拡大して示した図である。
【0234】
熱伝導・放熱性塗布膜用塗料Bにおいてその表面に酸化チタン粒子が表出している部分からもその酸化チタン粒子の表面にコーティングされた遠赤外線放射性顔料の働きにより遠赤外線放射機能が発揮されることとなる。なお、酸化チタン粒子の表面にコーティングするためにコーティングする遠赤外線放射性顔料は酸化チタンの粒度よりも十分に細かい粒度とする必要がある。つまり、着色用の顔料が酸化チタンのコーティング処理をしているか否か以外の諸条件は実施例3とまったく同じ条件にて実験した。
【0235】
つまり、焼成条件は180℃で20分間の焼き付け、膜厚は20μ〜26μ、測定温度は60℃、測定機種はJIR−E500、測定条件は、分解能16cm−1、積算回数200回、検知器はMCTである。
【0236】
サンプルとして顔料を[表11]のように配合した熱伝導・放熱性塗布膜用塗料Bを作製し、遠赤外線放射実験を行った。
【0237】
【表11】
【0238】
遠赤外線放射顔料としては、第1の顔料である、シリカ(SiO2)、マグネシア(MgO2)、コージライトとシリカ(SiO2)、コージライトとアルミナ(Al2O3)、コージライトとシリカ(SiO2)及びアルミナ(Al2O3)の化合物のいずれかを含む第1の顔料のうち、シリカ(SiO2)、アルミナ(Al2O3)、マグネシア(MgO2)を顔料とした。
【0239】
着色用顔料としては、表面に粒度の細かいシリカがコーティングされている酸化チタン(石原産業製 R−95)を用いている。
【0240】
バインダーは3官能基を備えたトリメチルメトキシシランと4官能基を備えたテトラメトキシシランを配合した。
【0241】
上記構成の組成を持つ熱伝導・放熱性塗布膜を用いて放射線測定を行った。
【0242】
図12は熱伝導・放熱性塗布膜を用いた放射線測定結果である。
【0243】
図13は、熱伝導・放熱性塗布膜が発する放射スペクトルである。
【0244】
図9、図10と、図12、図13を比べるとあきらかに、高温領域(5〜8μm)においてスペクトルが改善されている部分が見られる。
【0245】
このスペクトル改善は、酸化チタンの表面のシリカのコーティングの有無によりもたらされているので、着色用の顔料を配合する場合、当該着色用の顔料の表面に遠赤外線放射顔料をコーティングせしめることにより、熱伝導・放熱性塗布膜において遠赤外線放射機能が改善されることが実証できた。
【0246】
次に、第3の熱伝導・放熱性塗布膜用塗料Cについて説明する。
[熱伝導・放熱性塗布膜用塗料C]
この熱伝導・放熱性塗布膜用Cの塗料は、遠赤外線放射顔料として、スペクトル波長領域において高温領域から低温領域まで効率良い変換を得るため、低温領域にて放射能率が高い第1の遠赤外線顔料に加え、特に高温領域にて放射能率が高い第2の遠赤外線顔料を添加したものである。
【0247】
第1の顔料が、シリカ(SiO2)、マグネシア(MgO2)、コージライトとシリカ(SiO2)、コージライトとアルミナ(Al2O3)、コージライトとシリカ(SiO2)及びアルミナ(Al2O3)の化合物のいずれかを含む顔料である。
【0248】
第2の顔料が、酸化鉄(FeO、Fe2O3、Fe3O4)、二酸化マンガン(MnO2)、酸化コバルト(CoO)、三酸化コバルト(Co2O3)、酸化銅(I)(Cu2O)、酸化銅(II)(CuO)、酸化ニッケル(NiO)、酸化ジルコニウム(ZrO2)の少なくとも一つの単体またはそれらの化合物を含む顔料である。また、更にこれら顔料に、第3の顔料であるカーボン(C)を加えることも好ましい。
【0249】
このように、低温領域にて放射能率が高い第1の遠赤外線顔料に加え、特に高温領域にて放射能率が高い第2の遠赤外線顔料を添加することにより、スペクトル波長領域において高温領域から低温領域まで効率良い変換効率を達成することができる。
<点灯試験>
[試験目的]
LED蛍光灯具の拡散、放熱効果を確認するため、上記放熱促進膜を塗布した本発明のLED蛍光灯具を試作し、既存の蛍光灯との点灯試験を行った。
【0250】
[試験条件]
なお、両蛍光灯の条件と点灯試験条件は次の通りである。
【0251】
・既存蛍光灯:室内蛍光灯
(寸法:直径32.5mm、長さ1200mm、明るさ:40W)
・供試LED蛍光灯具
アルミ基板、
ヒートシンク(寸法:直径28.5mm、長さ1197mm、明るさ:24W)
塗布膜条件(材質:無機放熱コート剤、塗布厚さ20〜30μ)
・点灯試験条件
注1:既存蛍光灯は、室内灯を午前9時より点灯開始し、連続点灯の後、15時30分に点灯中の室内灯の温度を横河電機株式会社製「データーロガー(型式:XL1000)」温度計で測定した。
【0252】
注2:測定箇所は、供試LED蛍光灯具、既存蛍光灯ともに蛍光灯先端部の口金部で測定した。また、ヒートシンクは、フィン先端部で測定した。
【0253】
注3:負荷電圧は、両蛍光灯とも193.7Vであり、配電盤出口部をCUSTUM社製電流、電圧計(型式:CDM−170)で測定した結果である。
[測定結果]
次の表12は、両蛍光灯の温度上昇を点灯時間の経過と共に測定したものである。
【0254】
【表12】
【0255】
[テストデータ]
ヒートシンク放射部の全面積600cm2、出力24W
測定結果
外気温の上昇6.0℃(16.4℃→22.4℃)に伴い、両蛍光灯の口金先端部の表面温度もほぼ同程度上昇しているが、本発明のLED照明管は、同時点灯の従来の蛍光灯と比較しても温度が低い。
【0256】
このことから、夏場に外気温が10℃上昇しても、先端部の温度は42℃前後になるものと予想される。この場合LED素子ユニット1A〜2Cの温度は15℃から20℃高いと予想されるが、それでも70℃以下(<先端部の予想温度42℃+LED素子ユニット1A〜2Cの最高予想温度20℃=62℃)であり、LED素子ユニット1A〜2Cの弱点である温度によるダメージは非常に少なく、ロングライフの確保と、高発光率の維持が可能となることが容易に予想される。
【0257】
添付データの通り、現状では十分放熱効果が出ているのでLED素子ユニットへの熱負荷は少なく余裕がある。
【0258】
上記点灯試験から、放熱促進膜の熱伝導率は、0.5W〜3W/m・kの範囲内のものが好ましく、ヒートシンクの必要面積は少なくとも15cm2/W以上、現状では25cm2/W有ればよいことが分かった。
【産業上の利用可能性】
【0259】
本発明のLED照明管は、一般家庭用途は勿論のこと、高速道路照明、高層ビル照明、駐車場内照明、トンネル内照明等のメンテナンス周期が格段に長い照明分野や、定期交換にバケット車等の特殊車や多額の交換作業コストを要する用途において、好適に使用することができる。
【符号の説明】
【0260】
1A〜1C・・・LED素子ユニット
2A〜2C・・・LED素子ユニット
3・・・基板
5・・・筒体
6・・・口金
7・・・接続具
8・・・ヒーシンク
12、13・・・励磁コイル
21〜24・・・リレー
20・・・LED制御回路
50・・・蛍光灯型LED照明管(本発明)
60・・・既存の蛍光灯本体
63・・・安定器
70・・・蛍光灯型LED照明装置(本発明)
103・・・放熱促進膜
P・・・商用電源
【技術分野】
【0001】
本発明は、既存の蛍光灯のソケットに着脱可能な、LED素子を光源とする蛍光灯型LED照明管と、この照明管を装着した蛍光灯型LED照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、家庭用又は産業用の蛍光灯の管球(灯具)として、両端部に既存の蛍光灯本体のソケットに着脱可能な端子を有し、従来の蛍光灯と同一長さの直管の内部に光源として複数の発光ダイオード(以下、「LED素子」と略称する。)とその点灯回路を内蔵させた、いわゆる蛍光灯型LED照明管(以下、「LED照明管」と略称する。)が普及しつつある(例えば特許文献1〜3)。
【0003】
その普及理由は、初期購入費は既存の蛍光灯よりは高くつくが、電気代が安いこと、寿命が格段に長いこと等々の、デメリットを上回る多くのメリットがあるからである。
【0004】
また、電気消費量が少なく、長寿命であるというLED素子の利点は、省エネルギーに直結し、最近では環境にやさしい商品として一段と重要性が増している。
【0005】
しかし、LED照明管が既存蛍光灯の本体に支障なく装着され、LED素子が光源としての本来の寿命を全うするまで点灯し続けるには、次の2つの問題がある。
【0006】
まず、第1の問題点は、市販されている既存の蛍光灯には、スタータ方式がグロー式と、ラピッド式と、インバータ式の3方式が混在していることである。
【0007】
したがって、既存の蛍光灯本体に着脱するLED照明管としては、全てのスタータ方式に対応できる形式のものが望ましく、このような先行技術も存在する(例えば特許文献2)。
【0008】
しかし、インバータ方式は、他の2方式に比べるとまだ歴史が浅いため普及度が低く、また、製造メーカ各社の規格がまちまちであると同時にインバータ回路は高周波回路で構成されていることから、最適にLED点灯回路を適合させるためには、より多くの部品を要する可能性が高く、仮に装着可能にしたとしても、コストアップとなるために現実的とはいえない。事実、インバータ回路が通常の蛍光灯を点灯させるために、ヒーター電流、温度、電圧の推移などさまざまな電気的な変動をマイコンなどの回路手段によって測定している場合が多い。また、インバータ方式は、構成部品が多く、仮に既存の蛍光灯本体に装着可能にさせたとしてもコストアップとなるため現実的ではない。
【0009】
これに対し、歴史が古く圧倒的に市場に数多く出回っているタイプは、グロー式とその後に登場したラピッド式の2方式である。したがって、市場での普及度と、LED照明管1本当たりの製造コストとを考えた場合、スタータ方式がグロー式とラピッド式のいずれの方式にも対応できるLED照明管が存在すれば、現実的には実用的、かつ経済的であるといえる。
【0010】
次に、第2の問題点は、LED照明管の光源から発生する熱の放熱対策である。
【0011】
すなわち、LED素子は、蛍光灯の定格にもよるが1本当り数百個を筒体内に内蔵させるのであるが、これらから電気(照明)エネルギーとして活用できる割合は変換効率が悪く、約30%に対し、あとの70%は全て熱となって放熱し、筒体内部に蓄熱される。したがって、一般にLED照明管1本が放出する放熱量は、既存タイプのものよりもLED照明管の方が多くなる。この場合、何らの放熱対策も講じずに放置しておくと、筒体内部の温度が上昇し、遂には内部の半導体やその制御回路の破壊を招く。特に半導体素子は熱に弱く、かつ誤動作も生じやすいために積極的な放熱対策が必要となる。
【0012】
このようなことから、LED照明管内のLED素子や半導体回路等から発生する熱を速やかに筒体外に積極的に拡散させ、放熱させる技術が必要であり、従来技術には基板の背面にヒートシンクやヒートパイプ等を設けたものがあった(例えば特許文献3)。
【0013】
しかし、かかる従来技術のものは、そのヒートシンク素材の持つ熱容量だけで十分な放熱効果を得るためにはより大きな伝熱面積を必要とするが、これではいずれの従来技術のタイプのものもLED照明管全体の占有体積が増加し、また、照明管の重量も重くなるため、既存蛍光灯への着脱が困難、かつコストアップになるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2001−351402号公報(請求項1、図6)
【特許文献2】特開2008−277188号公報(請求項1、図5)
【特許文献3】特開2007−280739号公報(請求項1、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、本発明の第1の目的は、既存蛍光灯のスタータ方式がグロー1灯式、ラピッド一灯式及びラピッド2灯式のいずれのタイプのものであっても、従来どおりの装着が可能で、かつノイズの発生が少なく、寿命が長く、簡易な構造で低コストの地球環境に易しいLED照明管及びこの照明管を用いた蛍光灯型LED照明装置(以下、「LED照明装置」と略称する。)を提供することにある。
【0016】
また、本発明の第2の目的は、外形形状が既存蛍光灯本体の筐体にヒートシンクの大きさを大きくすることなく適用可能で、LED素子回路で発生した熱を高効率で拡散、放熱させることができる高効率放熱ヒートシンクを備えたLED照明管及びこの照明管を用いたLED照明装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
(1)本発明の蛍光灯型LED照明管は、既存の蛍光灯照明管のソケットにそのまま装着可能な蛍光灯型LED照明管であって、基板と、前記基板の照明方向側に実装された複数のLED素子と、該複数のLED素子の点灯制御をするLED制御回路と、前記基板及び前記LED制御回路を包囲するとともに、前記複数のLED素子の発光を外部に拡散させる筒体と、前記筒体の両端部を閉塞するとともに、前記LED制御回路を既存の蛍光灯照明管のソケットに接続可能なJIS規格の口金と、該口金と前記基板とを接続する接続具とを備え、前記LED制御回路は、スタータ方式がグロー1灯式またはラピッド1灯式並びにラピッド2灯式の既存蛍光灯に内蔵されている安定器の出力電圧をしきい値として、前記LED素子を前記いずれかのスタータ方式に対応すべく直列又は並列に切り替えるリレーを備えることを特徴とする。
【0018】
(2)本発明の蛍光灯型LED照明管は、上記(1)の発明の蛍光灯型LED照明管において、前記LED制御回路は、該LED制御回路のスタータ方式が、グロー1灯式またはラピッド1灯式に内蔵されている安定器の出力が交流200Vの電圧の商用電源が入力されている場合は、リレーによって複数のLED素子が直列接続され、一方、スタータ方式が、ラピッド2灯式に内蔵されている安定器の出力が交流290Vの電圧の商用電源が印加された場合は、前記リレーを切り替え、1列当り145Vの電圧で前記直列接続されたLEDの一部を並列回路に切り替えて動作するように構成したことを特徴とする。
【0019】
(3)本発明の蛍光灯型LED照明管は、上記(1)又は(2)に記載の蛍光灯型LED照明管において、前記筒体及び接続具は、該接続具側に複数の係止部を、前記口金側に被係止部を設けることにより、接続具の両端部が口金に内挿された状態で管軸周りに所定角度(θ)の範囲内で回動可能であることを特徴とする。
【0020】
(4)本発明の蛍光灯型LED照明装置は、上記(1)〜(3)のうちのいずれかに記載の蛍光灯型LED照明管と、スタータ方式がグロー1灯式若しくはラピッド1灯式又はラピッド2灯式の既存蛍光灯本体と、から成ることを特徴とする。
【0021】
(5)本発明の蛍光灯型LED照明管は、既存の蛍光灯照明管のソケットにそのまま装着可能な蛍光灯型LED照明管であって、基板と、前記基板の照明方向側に実装された複数のLED素子と、該複数のLED素子の点灯制御をするLED制御回路と、前記基板及び前記LED制御回路を包囲するとともに、前記複数のLED素子の発光を外部に拡散させる筒体と、前記筒体の両端部を閉塞するとともに、前記LED制御回路を既存の蛍光灯照明管のソケットに接続可能なJIS規格の口金と、該口金と前記基板とを接続する接続具とを備え、前記基板に、前記LED制御回路からの発熱を系外に放熱させるためのヒートシンクを、その放熱部の少なくとも一部が前記筒体外に位置するように設けるとともに、更に、該ヒートシンクの前記放熱部に放熱を促進させるための放熱促進膜を形成させることにより、前記LED制御回路から発生する熱を系外に放熱させることを特徴とする。
【0022】
(6)本発明の蛍光灯型LED照明管は、上記(5)の発明の蛍光灯型LED照明管において、前記放熱促進膜は、アルコキシド化合物の加水分解反応とシラノール脱水縮合反応により生成されるバインダーと、遠赤外線放射性物質の顔料と、溶媒とを備えた無機塗料を塗布・乾燥することにより形成された塗布膜であって、前記アルコキシド化合物の加水分解後、シラノール脱水縮合の進展により形成されるSi−Oネットワーク及び残存するシラノール基により構成される被膜により前記熱伝導性と前記放熱性と前記絶縁性とを発揮せしめたものであり、前記ヒートシンクの放熱部の放熱面積は、少なくとも15cm2/Wを有することを特徴とする。
【0023】
(7)本発明の蛍光灯型LED照明管は、上記(5)又は(6)の発明の蛍光灯型LED照明管において、前記アルコキシド化合物の加水分解反応とシラノール脱水縮合反応により生成されるバインダーとして、テトラアルコキシシランに対してトリアルコキシシランを、テトラアルコキシシラン:トリアルコキシシランが5対5から0対10の割合で配合することにより、前記アルコキシド化合物の加水分解後のシラノール脱水縮合により生じる塗料中に存在するSi−Oネットワーク素材の形成進行の制御とシラノール基の残存量の制御を行う素材を塗布したヒートシンクを備えることを特徴とする。
【0024】
(8)本発明の蛍光灯型LED照明管は、上記(5)〜(7)のうちのいずれかに記載の蛍光灯型LED照明管において、前記アルコキシド化合物の加水分解反応とシラノール脱水縮合反応により生成されるバインダーとして、テトラアルコキシシランに対してトリアルコキシシランとジアルコキシシランを、テトラアルコキシシラン:トリアルコキシシラン:ジアルコキシシランが4.5対4.5対1から1.8対7.2対1の割合で配合し、前記アルコキシド化合物の加水分解後のシラノール脱水縮合により生じる塗料中に存在するSi−Oネットワーク素材の形成進行の制御とシラノール基の残存量の制御を行う素材を塗布したヒートシンクを備えることを特徴とする。
【0025】
(9)本発明の蛍光灯型LED照明管は、上記(5)〜(8)のうちのいずれかに記載の蛍光灯型LED照明管において、前記顔料が、シリカ(SiO2)、マグネシア(MgO2)、コージライトとシリカ(SiO2)、コージライトとアルミナ(Al2O3)、コージライトとシリカ(SiO2)及びアルミナ(Al2O3)の化合物のいずれかを含む第1の顔料を備えることを特徴とする。
【0026】
(10)本発明の蛍光灯型LED照明管は、上記(5)〜(9)のうちのいずれかに記載の蛍光灯型LED照明管において、前記顔料が、前記第1の顔料に加え、酸化鉄(FeO、Fe2O3、Fe3O4)、二酸化マンガン(MnO2)、酸化コバルト(CoO)、三酸化コバルト(Co2O3)、酸化銅(I)(Cu2O)、酸化銅(II)(CuO)、酸化ニッケル(NiO)、酸化ジルコニウム(ZrO2)またはそれらの化合物のいずれかを含む第2の顔料、または、前記第1および第2の顔料に、第3の顔料であるカーボン(C)を備えることを特徴とする。
【0027】
(11)本発明の蛍光灯型LED照明管は、上記(5)〜(10)のうちのいずれかに記載の蛍光灯型LED照明管において、前記溶媒が、沸点が常温より高い温度のアルコール類であり、前記熱伝導・放熱性塗布膜形成の際に前記溶媒を揮発させることによりポーラス構造を形成せしめることを特徴とする。
【0028】
(12)本発明の蛍光灯型LED照明管は、上記(5)〜(11)のうちのいずれかに記載の蛍光灯型LED照明管において、前記基板は、アルミニューム若しくは銅又はこれらを含む合金からなることを特徴とする。
【0029】
(13)本発明の蛍光灯型LED照明管は、上記(5)〜(12)のうちのいずれかに記載の蛍光灯型LED照明管において、前記放熱促進膜の熱伝導率は、0.5W〜3W/m・kの範囲内のものであることを特徴とする。
【0030】
(14)本発明の蛍光灯型LED照明管は、既存の蛍光灯照明管のソケットにそのまま装着可能な蛍光灯型LED照明管であって、基板と、前記基板の照明方向側に実装された複数のLEDと、該複数のLEDの点灯制御をするLED制御回路と、前記基板及び前記LED制御回路を包囲するとともに、前記複数のLED素子の発光を外部に拡散させる筒体と、前記筒体の両端部を閉塞するとともに、前記LED制御回路を既存の蛍光灯照明管のソケットに接続可能なJIS規格の口金と、該口金と前記基板とを連結する接続具とを備え、前記LED制御回路は、スタータ方式がグロー1灯式またはラピッド1灯式並びにラピッド2灯式の既存蛍光灯に内蔵されている安定器の出力電圧をしきい値として、前記LED素子を前記いずれかのスタータ方式に対応すべく直列又は並列に切り替えるリレーを備え、
更に、前記基板に、前記LED制御回路からの発熱を系外に放熱させるためのヒートシンクを、その放熱部の少なくとも一部が前記筒体外に位置するように設け、
前記ヒートシンクの外周面に、上記(5)〜(13)のうちのいずれかに記載の放熱促進膜を形成させることにより、前記LED制御回路から発生した熱を系外に拡散、放熱させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0031】
上記(1)及び(2)に記載のLED照明管によれば、上述した第1の問題点を解決できる。
【0032】
すなわち、既存蛍光灯のスタータ方式がグロー1灯式、ラピッド一灯式及びラピッド2灯式のいずれのタイプのものであっても、従来どおりの装着が可能で、ノイズの発生が少なく、寿命が長い、簡易構造で低コストの地球環境に易しいLED照明管を得ることができる。特に上記既存蛍光灯のスタータ方式に対応するために、既存蛍光灯の安定器の出力電圧をしきい値としてLED素子の制御回路を自動的に並列又は直列に切替えるリレーを用いたので、切り替え動作が確実で、ノイズが少なく、長寿命且つ低コストのLED照明管が得られる。
【0033】
上記(3)に記載のLED照明管によれば、上記(1)又は(2)に記載のLED照明管の効果に加え、LED照明管の光源部を、接続具の両端部が口金に内挿された状態で管軸周りに所定角度(θ)の範囲内で回動できるので、ユーザは所望場所の照度を容易に上げることができ、利便性の高いLED照明管が得られる。
【0034】
上記(4)に記載のLED照明装置によれば、上記(1)〜(3)のうちのいずれかのLED照明管の効果に加え、上記(1)〜(3)のうちのいずれかに記載の蛍光灯型LED照明管と、スタータ方式がグロー1灯式若しくはラピッド1灯式又はラピッド2灯式の既存蛍光灯本体とを用いるので、上記LED照明管の効果をそのまま備えたLED照明装置が得られる。
【0035】
すなわち、既存の蛍光灯のスタータ方式がグロー1灯式、ラピッド1灯式及びラピッド2灯式のいずれの形式から成るものであっても、本発明のLED照明管に内蔵されているリレーが既存蛍光灯の変圧器の出力電圧をしきい値として自動的に切り替って対応するので、ユーザはノイズの少ない、低コストで利便性の非常に高いLED照明装置を得ることができる。
【0036】
上記(5)に記載のLED照明管によれば、上述した第2の問題点を解決できる。
【0037】
すなわち、ヒートシンクの放熱部に放熱を促進させるための放熱促進膜を形成させたので、本発明の第2の目的である外形形状が既存蛍光灯本体の筐体にヒートシンクの大きさを大きくすることなく適用可能で、LED素子回路で発生した熱を系外に高効率で拡散、放熱可能な高効率放熱ヒートシンクを備えたLED照明管を得ることができる。
【0038】
上記(6)〜(8)に記載のLED照明管によれば、上記(5)記載のLED照明管の効果に加え、高効率熱伝導・放熱性塗布膜にはSi−Oネットワークが全体を全通しているので、Si−Oネットワークを伝わることにより熱が効率よく運搬され、高い熱伝導率が得られる。
【0039】
また、無機鉱物である無機顔料が含まれて固化されているのでLED素子の点灯中において熱伝導率が落ちることはない。
【0040】
また、アルコシキシドバインダーの組成を工夫することにより、塗料中に存在する強靭なSi−Oネットワーク素材の形成とシラノール基の残存量を制御することができ、放熱性、耐熱性、基材への強い付着性、靭性を同時に得ることができる。また、Si−Oネットワーク素材をある程度まで形成しておくことにより膜が形成される過程における収縮率が小さくなり残留応力が小さくなり基材への付着力が向上する。
【0041】
さらに、ヒートシンクの放熱部の放熱面積は、少なくとも15cm2/Wを有するので、LED素子及びその制御回路を焼損させることなく、発生した熱を系外に高効率で確実に拡散、放熱させることができる。
【0042】
上記(9)〜(10)に記載のLED照明管によれば、上記(6)〜(9)のうちのいずれかに記載のLED照明管の効果に加え、顔料が、シリカ(SiO2)、マグネシア(MgO2)、コージライトとシリカ(SiO2)、コージライトとアルミナ(Al2O3)、コージライトとシリカ(SiO2)及びアルミナ(Al2O3)の化合物のいずれかを含む第1の顔料、またはこの第1の顔料に加え、酸化鉄(FeO、Fe2O3、Fe3O4)、二酸化マンガン(MnO2)、酸化コバルト(CoO)、三酸化コバルト(Co2O3)、酸化銅(I)(Cu2O)、酸化銅(II)(CuO)、酸化ニッケル(NiO)、酸化ジルコニウム(ZrO2)またはそれらの化合物のいずれかを含む第2の顔料、または、前記第1および第2の顔料に、第3の顔料であるカーボン(C)を加えるようにしたので、これら顔料を含む無機放熱膜用塗料により、遠赤外線放射波長領域において高温領域から低温領域まで効率の高い変換を得ることができる。
【0043】
上記(11)に記載のLED照明管によれば、上記(5)〜(10)のうちのいずれかに記載のLED照明管の効果を有するうえ、さらに、溶媒が、沸点が常温より高い温度のアルコール類であり、前記熱伝導・放熱性塗布膜形成の際に前記溶媒を揮発させることにより、ピンホールの少ない膜全体としてさらに優れた熱伝導性を得ることができる。
【0044】
上記(12)に記載のLED照明管によれば、上記(5)〜(11)のうちのうちのいずれかに記載のLED照明管の効果に加え、基板材質が少なくともアルミニュームと銅とを含む金属からなるので、ヒートシンクへの熱伝導性が向上し、速やかなる系外への拡散、放熱効果を達成することができる。
【0045】
上記(13)に記載のLED照明管によれば、上記(5)〜(12)のうちのいずれかに記載のLED照明管の効果に加え、ヒートシンクの放熱促進膜の熱伝導率が、0.5W〜3W/m・kの範囲内のものであるので、LED素子及びその制御回路からの発熱を確実に系外に放熱させることができる。
【0046】
上記(14)に記載のLED照明管によれば、上述した(1)〜(3)のうちのいずれかに記載のLED照明管の効果と、上述した(5)〜(13)のうちのうちのいずれかに記載したLED照明管と、の効果を同時に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明に係るLED照明管を、既存の蛍光灯本体に装着して本発明に係るLED照明装置とした例の全体斜視図である。
【図2】図1中に記載されているLED照明管の全体斜視図である。
【図3】図2のLED照明管の分解斜視図である。
【図4】図2のLED照明管を平面S位置で切断した横断面図である。
【図5】図1中に記載されているLED素子及びその制御回路の全体模式図である。
【図6】図1のLED素子及びその制御回路をリレーにより切り替えた後のLED素子及びその制御回路の全体模式図である。
【図7】第1の高効率放熱ヒートシンク100の構成例を示す図である。
【図8】第2の高効率放熱ヒートシンク200の構成例を示す図である。
【図9】放熱促進膜103を用いた放射線測定結果を示す図である。
【図10】放熱促進膜103が発する放射スペクトルを示す図である。
【図11】図11(a)は、放熱促進膜を用いて形成した放熱促進膜の表面の様子を模式的に拡大して示した図である。図11(b)は、放熱促進膜103を用いて形成した放熱促進膜の表面の様子を模式的に拡大して示した図である。
【図12】放熱促進膜103を用いた放射線測定結果を示す図である。
【図13】放熱促進膜103が発する放射スペクトルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0048】
以下、本発明を実施するための形態を、その一実施例の図面を参照しながら具体的に説明する。
【実施例1】
【0049】
本実施例は、上述した第1の問題点を解決した本発明に係るLED照明管及びこの照明管を用いたLED照明装置の一例である。
<LED照明管及びLED照明装置の基本構成>
図1は、本発明に係るLED照明装置70の全体斜視図である。図2は、図1中のLED照明管50の全体斜視図、図3は、図2中のLED照明管50の分解斜視図、図4は図2のLED照明管50を平面S位置で切断した横断面図である。
【0050】
図1において、本発明に係るLED照明装置70は、既存のLED蛍光灯本体60と、本発明に係るLED照明管50(図では2本)とで構成されている。
【0051】
既存のLED蛍光灯本体60は、例えばスタータ方式がグロー1灯式若しくはラピッド一灯式又はラピッド2灯式のタイプのもので、LED照明管50の長手方向に長い直方体状の筐体61と、筐体61の両端部の下面において、図示しない端子孔を互いに対向させて設けた左右二対のソケット62とで構成されている。
【0052】
筐体61の内外部には、市販の蛍光灯具をそれぞれのスタータ方式で点灯させるに必要な安定器63(図5参照)や、図示しないグロー球(点灯管)等の点灯回路部品が設置されている。これらの電気部品はいずれも公知のものであるので、ここでの詳細な説明は省略する。
【0053】
次に、図2及び図3において、本発明のLED照明管50は、基板3と、この基板3上に設けられた複数のLED素子ユニット1A〜2C(図5参照)と、これらLED素子ユニット1A〜2CのLED制御回路20と、上部にスリット5aを有する直管状の筒体5と、その両端部に位置する口金6と、筒体5と口金6間に位置し、両部材を接続する接続具7と、基板3の上部に位置するヒートシンク8とで構成されている。
【0054】
次に、各構成部材について説明する。
【0055】
図4に示すように、基板3は、その裏面の全面に複数のLED素子ユニット1A〜2Cと、そのLED制御回路20とを実装するための薄い板状体であり、図3に示すようにヒートシンク8の裏面にビスや接着剤等の適当な固定手段9で固定されている。
【0056】
基板3の材質としては、種々の公知材質のものを用いることができるが、本実施例では後述するヒートシンク8への熱伝導を高めるために、アルミニューム若しくは銅又はこれらを含む合金を用いる。すなわち、アルミニュームは、熱伝導率が約240W/M・Kと他の材料に比べると高いので、基板3下面に実装されるLED素子ユニット1A〜2Cや、そのLED制御回路20から発生する熱の抵抗体になりにくい利点があるからである。
【0057】
LED素子ユニット1A〜2Cは、光源であり、シングルチップ方式の白色又は有色LEDの他、2色以上のLEDによる混合色を利用するマルチチップ方式の白色又は有色LEDであっても良い。本実施例では、詳細は後述するがLED素子ユニット1A〜2Cは、白色LEDを基板3の裏面の長手に沿って2列(図4参照)で複数個を配列している。
【0058】
筒体5は、従来の蛍光灯の直管部分に代る円筒体である。図4の横断面図に示すように、その内径は、基板3とヒートシンク8のベース部101とを包囲するに足る寸法とされ、全長は基板3よりもやや長い寸法にされている。また、図3に示すように、上部には基板3を固定した状態のヒートシンク8をその両側から挟持し得る内幅寸法のスリット5aが長手方向に形成され、スリット5aの内縁にはヒートシンク8の固定用突起部5b(図4参照)が設けられている。
【0059】
筒体5の材質としては、特に限定されないが、例えばガラス、透明合成樹脂等を用いることができ、白色のポリカーボネート製のものが好ましい。
【0060】
ヒートシンク8は、LED素子ユニット1A〜2C及びLED制御回路20から発生した熱を基板3を経由して、また、筒体5内の高温雰囲気を熱伝達により筒体5外の系外に導き出して拡散、放熱させるためのものである。図4に示すように、横断面の形状は、底部のベース部101(実施例2では「熱伝導体101」と称する。)と、その上部に隣接間隔が密接して立設された複数枚のフィン102とからなる。
【0061】
また、その両側部は、筒体5で挟持され、長手方向の両端部は後述する接続具7により支持されている。
【0062】
ベース部101は、その底部に、前述した基板3が嵌め込み可能な基板装着溝8aが、また、その両側部には、前述した筒体5のスリット5aの突起部5bと係合する係合溝8bが、いずれも長手方向に貫通して形成されている。
【0063】
フィン102は、厚さがtの薄板状のもので、その高さHは、筒体5外部から放熱面積を考慮した高さとされ、先端は筒体5の中心Oを同心円とする半径により切り揃えられている。図のフィン102は、板状体であるが、その他設置すべき本体の状況に応じて、更に厚さが薄いシート状やピン状のものとすることもできる。
【0064】
ヒートシンク8の材質としては、熱伝導率の高いものが好ましく、例えばアルミニューム、銀、銅、錫またはこれらの合金などを用いることができる。
【0065】
口金6は、一端側が閉塞面で他端側が開口している薄い金属製のキャップ体で、閉塞側面には、既存の蛍光灯本体60のソケット62に着脱可能なJIS規格に合致した一対のピン状端子6aが規定間隔で固定されている。また、口金6の内周面の底部には、筒体5の照明角度調整用の凸部6bが口金軸方向に沿って突出して形成されている。
【0066】
接続具7は、筒体5の両端部において口金6を装着するための連結具の役目をするとともに、ヒートシンク8の裏面にビス9で固定された基板3を支持するためのもので、例えば合成樹脂、ゴム等の絶縁体で形成されている。
【0067】
図3に示すように、接続具7の具体的形状は、横断面形状が上部に肉厚部7cを有する蒲鉾型状の円筒体であり、外径は筒体5及び口金6が締り嵌められる程度の公差に加工されている。
【0068】
また、肉厚部7cの筒体側には、図4に示した基板3装着状態のベース部101とフィン102の基端部に差し込み可能な櫛状体7b(図では5本)が、この接続具7の長手方向のほぼ中間部から筒体5側に向かって突出するように形成されている。
【0069】
さらに、外周面の底部には、口金6の凸部6bと係合する平面7aが所定の中心角(θ)で複数、長手方向に形成されている。
<LED制御回路>
次に、図5、図6を参照して、上記基板3の裏面に形成されているLED制御回路20について説明する。
【0070】
図5は、基板3の下面(照明側)に塗布された図示しない絶縁膜上に、光源として実装されている複数個のLED素子1A〜2Cを制御するためのLED制御回路図である。
【0071】
図6は、図5のLED制御回路20が図中のリレーによって切り替えられた後のLED素子1Aの接続状態を示す模式図で、このうち図6(a)はLED素子ユニット1A〜2Cが並列接続されたときのLED素子1A〜2Cの模式図、図6(b)は直列接続されたときのLED素子ユニット1A〜2Cの模式図である。
【0072】
図5において、二点鎖線枠内からLED素子ユニット1A〜2Cを除いた回路がLED制御回路20であり、この回路全体が図3で説明した基板3の長手方向に沿って実装されている。そして、この二点鎖線枠上部の両側に位置する符号6a及び62は、それぞれ、図3で説明した本体側のピン状端子6aと、筐体61内部に設けられている安定器である。
【0073】
符合1A〜2Cは、光源であるLED素子ユニットで、基板3の長手方向に実装されている。なお、図示は省略したがそれぞれのユニットの内部には、複数個のLED素子が実装されており、本実施例では、それぞれのLED素子ユニットの内部に、20個ずつLED素子が実装されている。
【0074】
LED素子ユニットは、図のように3ユニットが隣接間隔L(図4参照)で2列、平行に長手方向に配列され、合計6ユニットのLED素子ユニット1A〜2Cが基板上に実装されている。
【0075】
したがって、LED照明管1本当たりのLED素子の総実装数は、20個×3ユニット×2列×=120個である。勿論、使用するLED素子の1個当たりワット数と、その総数は、装着先の蛍光灯本体の定格等により適宜決めるものである。
【0076】
図5のLED制御回路20は、2列のLED素子ユニットのうちの一方の列のLED素子ユニット1A、1Bは直列に接続されており、LED素子ユニット1Cは、LED素子ユニット1Bを跨いで設けたバイパス回路25に設けられている。また、このLED素子ユニット1Cの両側には、LED素子ユニット1CをLED素子ユニット1Bに対して、直列または並列回路に切り替えるためのリレー21、22が介設されている。
【0077】
他方の列のLED素子ユニット2A、2B、2C列についても上記と同様の回路構成とし、回路の配列の向きを上記LED素子ユニット1A、1B、1C列に対して逆転させた配置としている。なお、符号13は、上記一方の列中のリレー21、22の励起コイル、符号12は、上記他方の列中のリレー23、24の励起コイルである。
【0078】
LED制御回路20に用いるリレー21〜24としては、種々のタイプを用いることができる。リレー構造は、基本的にメカニカルなものであり、スイッチ動作はオンオフのいずれかの定まった状態推移しかないので、半導体のようにオンからオフ、またはオフからオンに推移する中間領域での電力損失は全く生じない。したがって、リレーのオンオフに伴う熱の発生は皆無である。
【0079】
また、本実施例ではLED素子を全波整流して直流で点灯動作させるうえ、リレー動作もオンオフの定常動作であるので、例えばインバーター方式で生じるレベルの高周波ノイズも発生しない。
【0080】
ところで、昨今のリレーのオンオフ動作に伴う構造体の寿命は、5000回〜1億回と長寿命化されており、LED素子の長寿命の特徴と相俟って、本発明のLED照明管50の長寿命化をより確実なものにしている。
【0081】
また、本実施例に用いているリレー21〜24は、ダイオード等の電圧検出手段も不要であるので、スタータ方式がインバータ方式のものに比べて低コストの回路設計が実現できる。
【0082】
そして、これらLED素子ユニット1A〜1C列及び2A〜2C列の左側には、定電流回路が直列に接続され、更に、定電流回路11の左側とLED素子ユニット1A〜1C、2A〜2C列の右側には、全波整流回路10が直列に接続されており、全てのLED素子ユニット1A〜1C列及び2A〜2Cと、励起コイル12、13とにLED本体の安定器63から供給された交流電源を全波整流した直流電流を供給している。
<LED照明管の作用及び効果>
次に、本発明のLED照明管50の作用を説明する。
【0083】
まず、既存の蛍光灯器具本体のスタータ方式がラピッド2灯式のものである場合において、交流商用電源Pが印加され、既存の蛍光灯本体60に内蔵されている安定器63の出力が昇圧されて交流290Vであると仮定する。
【0084】
この蛍光灯器具本体のソケットに、ユーザが図2の本発明に係るLED照明管50を装着した場合のLED制御回路20の状態を示したのが前述の図5の状態である。
【0085】
この状態は、ピン状端子6aから流れてきた交流の電流が整流回路10で直流に全波整流され、定電流回路11をバイパスしている2個のリレー用コイル12、13が145Vの電圧で励起する。
【0086】
その結果、LED素子ユニット1Cの一方のリレー21は、端子aから端子bに接続し、他方のリレー22も端子aから端子bに接続するので、LED素子ユニット1Cは、LED素子ユニット1Bに対して並列接続される。
【0087】
他方の列のLED素子ユニット2AとLED素子ユニット2Bとについても同様であり、LED素子ユニット2Aは、LED素子ユニット2Bに対して並列接続される。
【0088】
結局、全てのLED素子ユニット1A〜2Cの接続状態は、次の図6(a)の接続状態となり、全てのLED素子ユニット1A〜2Cが点灯し、本発明のLED蛍光灯具は自動的にスタータ方式がラピッド2灯式の既存蛍光灯に対応できたことになる。
【0089】
一方、図5の既存の蛍光灯器具本体60のスタータ方式がグロー1灯式またはラピッド1灯式のものであって、これに交流の商用電源Pが印加され、蛍光灯器具本体60に内蔵されている安定器63の出力が交流200Vであったと仮定する。
【0090】
この場合は図5において、安定器63の出力電圧によってコイル12、13が励磁され、一方のリレー21、22のそれぞれの端子bを端子aに切り替え、他方のリレー23、24もそれぞれ端子bから端子aに切り替える。
【0091】
その結果、一方の列のLED素子ユニット1A〜1C及び他方の列のLED素子ユニット2A〜2Cは、それぞれ直列接続され、結局、図6(b)の接続状態となり、全てのLED素子ユニット1A〜2Cが点灯し、本発明のLED蛍光灯具は自動的にスタータ方式がグロー1灯式またはラピッド1灯式の既存蛍光灯に対応できたことになる。
【0092】
このように本発明のLED照明管50は、基板3のLED制御回路20において、リレー12、13を複数個直列接続することにより、リレーの内部コイルの起動電圧をしきい値として上記の自動切り替え作用が実現できるので、既存の蛍光灯本体60のスタータ方式がグロー1灯式若しくはラピッド1灯式又はラピッド2灯式のいずれであっても、既存の蛍光灯器具本体60の安定器63の出力電圧に応じて自動的に切り替わるのである。
【0093】
このように本発明のLED照明管50は、長寿命かつ低消費電力というLED照明管50本来の効果を十分発揮するうえ、LED制御回路の切り替え用に動作が実質的にメカニカルなリレーを用いているので、動作が確実で、繰り返し使用が可能であり、その寿命は半永久的であること、スタータ方式がインバータ方式の如く半導体を用いないから発熱や高周波ノイズの問題もないこと、回路構成を低コストに設計できること等々の多くの利点を有する。
【0094】
更に、LED制御回路20中に全波整流回路10を設けているので、LED素子のチラツキを減少させ、交流から直流への変換効率を高める効果をも有する。
【0095】
このように本発明のLED照明管50の適用対象から普及度がまだ低く、対応コストのかかるインバータスタータ方式のものを除いたことは、コスト面において非常に現実的、且つ実用的であり、本発明は非常に有用性の高いものである。
【0096】
なお、本発明のLED照明管50の既存蛍光灯本体60への装着後、その照明方向を調整したい場合は、図2において、筒体5に対して口金6を管軸周りに回動させることで、鉛直方向に対して角度θだけ光源全体を正逆方向に回動させることができるため、所望場所の照度を上げることが出来、本発明のLED灯具の利便性が向上する。
【0097】
<LED照明管の変形・応用例>
本実施例で説明した上記LED素子ユニット1A〜2C及びそのLED制御回路20は一例であり、その他種々の変形例とすることもできる。
【0098】
例えば、本実施例では、LED素子ユニット1A〜2Cとして白色発光ダイオードを用いているが、赤、緑、青色の発光ダイオードを用い、適当な回路設計により点灯したLED素子ユニット1A〜2C群に各種表示、案内及び警報機能を持たせても良い。
【0099】
また、本実施例では、基板3及びヒートシンク8を、筒体5と接続具7の両方が支持している支持構造としたが、筒体5と接続具7のいずれか一方でのみ支持してもよく、このような支持構造も勿論本発明の技術的範囲に含まれる。
【0100】
更に、本実施例のLED照明管50は、既存蛍光灯本体60の安定器63を介して接続しているが、商用電源に直接接続することも可能である。この場合、整流後の電圧は交流電圧の約1.41倍の整流電圧がLED素子に印加されるので、LED素子の直列数を最適化することと、回路定数の変更で使用することが可能である。
【実施例2】
【0101】
ところで、前述した如何なるLED素子ユニット1A〜2C及びLED制御回路を用いても、特徴的なことは、前述したように既存の蛍光灯具に比べて発熱量が非常に高い光源であるLED素子ユニット1A〜2C及びそのLED制御回路20を筒体5で包囲し、さらにその両端部を口金6で閉塞するから、その環境は密閉空間となり、より一層発熱が蓄積されることである。
【0102】
したがって、積極的にその発熱を系外に拡散、放熱させる技術が必要になる。すなわち、前述した第2の問題点である。
【0103】
この場合において、特許文献1の如く、基板3にヒートシンク8を接続し、系外に放熱させる技術も存在するが、昨今の半導体素子回路は益々高容量、且つ高密度化しているため、基板3に単にヒートシンク8を接続するだけでは不十分であり、もっと積極的、かつ効果的な拡散、放熱技術の採用が必須である。しかも、その拡散、放熱技術は、LED照明管50の設置環境上、場所をとらず、しかも低コストであることが条件となる。
【0104】
そこで、本発明の発明者らは、鋭意研究した結果、ヒートシンク8の形状などは従来のままとし、放熱フィン202表面の放熱効率を一気に向上させるとともに、系外に放熱することのできる高い熱伝導性と、高い放熱性とを兼ね備えた性質を持つ高効率熱放射材料をベースとした熱伝導・放熱性塗布膜である放熱促進膜103を塗布して放熱フィン202の放熱効率を向上させるという画期的な技術に到達した。
【0105】
本実施例は、前述した実施例1に係るLED照明管50のヒートシンク8の放熱面に上記放熱促進膜103を塗布して第1の高効率放熱ヒートシンク100とした例である。
【0106】
したがって、放熱促進膜以外の構成は、実施例1のLED照明管と同じであり、以下、図7〜図13を用いて詳細に説明する。
【0107】
<ヒートシンクの構成>
図7(a)は、第1の高効率放熱ヒートシンク100の正面を模式的に表した正面図、図7(b)は、側面図、図7(c)は、図7(a)に示されている放熱フィン202の部分拡大図、図7(d)は、放熱メカニズムの模式図である。
【0108】
これらの図において、第1の高効率放熱ヒートシンク100は、ベース部101である熱伝導体101と、その上部に所定の隣接間隔で立設され、熱伝導体101と一体に形成された複数枚の放熱フィン102と、さらにこの放熱フィン102の表面に設けられた放熱促進膜103とを備えている。なお、熱伝導体101下部の熱源300は、実施例1で前述した複数のLED素子ユニット1A〜2Cと、その制御回路20とを,熱源300として模式的に表したものである。
【0109】
熱伝導体101は、熱伝導率の高い金属材料、例えばアルミニュームからなり、一端において熱源300に対接する受熱面105を備え、熱源300からの熱を上記複数の放熱フィン102に向けて伝導する熱伝導路106を形成する。
【0110】
前述したように、放熱フィン102は、熱伝導率の高い金属材料、例えばアルミニュームからなり、熱伝導体101の上端において多数立設されている。なお、放熱フィン102の形状は、特に限定されないが、前述したとおり、例えば、板状やシート状のものやピン状のものとすることができる。
【0111】
放熱フィン102の表面には、高い熱伝導性と高い放熱性とを兼ね備えた性質を持つ高効率熱放射材料をベースとした放熱促進膜103が塗布されているが、この放熱促進膜103の組成などについては後述する。
【0112】
本実施例の第1の高効率放熱ヒートシンク200は、熱源300で集中的に発生した熱を熱伝導体101の熱伝導路106を介して放熱フィン102の表面から外界に向けて熱を放射する仕組みとなっている。
【0113】
上記構成の第1の高効率放熱ヒートシンク100では、熱源300で発生した熱は以下のように放熱される。
【0114】
熱源300で発生した熱は、熱伝導体101の受熱面105から熱伝導体101に入り、熱伝導路106を介して拡散し、放熱フィン102に入る。次に、放熱フィン102の表面に塗布されている放熱促進膜103に対して熱が伝導される。放熱促進膜103の熱は素早く系外に拡散してゆく。
【0115】
放熱促進膜103は後述するように高い放熱性を備えているので、放熱促進膜103の表面全体から系外に放出される。
【0116】
図7(d)は、熱源300からの熱伝導及び放熱促進膜103からの放熱の様子を模式的に示している。
【0117】
このように、本発明の第1の高効率放熱ヒートシンク100は熱を効率よく系外に放出できる仕組みとなっている。
【0118】
ヒートシンク100の横断面形状は、種々の形状のものとすることができ、例えば次の図8のような形状のものにすることもできる。
【実施例3】
【0119】
[第2の高効率放熱ヒートシンク]
図8は、第2の高効率放熱ヒートシンク200の構成例を模式的に示す図である。なお、放熱促進膜以外の構成は、実施例1のLED照明管と同じであり、以下の説明は実施例2と異なっている部分のみ説明する。
【0120】
図8(a)は第2の高効率放熱ヒートシンク200の構成例を模式的に示す正面図、側面図である。図中、上方に向かうほど厚さが細くなっている。
【0121】
図8(b)は放熱フィン202の先端付近の拡大図である。
【0122】
放熱フィン202の表面には、実施例2と同様、高い熱伝導性と高い放熱性とを兼ね備えた性質を持つ高効率熱放射材料をベースとした放熱促進膜103が塗布されている。この構成例では、放熱フィン202の表面全体に放熱促進膜103が形成されている。
【0123】
この放熱促進膜103の組成などについては実施例2と同様で良い。
【0124】
第2の高効率放熱ヒートシンク200は、熱源300で集中的に発生した熱を熱伝導体201の熱伝導路204を介して放熱フィン202に伝え、放熱フィン202の先端付近から外界に向けて熱を放射する仕組みとなっている。
【0125】
上記構成の高効率放熱ヒートシンク200では、熱源300で発生した熱は以下のように放熱される。
【0126】
熱源300で発生した熱は熱伝導体201の受熱面205から熱伝導体201に入り、熱伝導路204を介して拡散し、放熱フィン202に入る。放熱フィン202の表面に塗布されている放熱促進膜103に対して熱が伝導される。放熱促進膜103の熱は素早く系外に熱が拡散してゆく。その中で、一部の熱は隣接し合う放熱フィン202の表面の間をキャッチボールのように受け渡されつつ先端まで移動し、放熱フィン202の先端付近から外界に向けて熱を放射する仕組みとなっている。
【0127】
図8(c)は、熱源から伝わった熱が放熱フィン間をキャッチボールされながら先端付近から系外に放熱される様子を模式的に示している。
【0128】
このように、本発明の高効率放熱ヒートシンク200は熱を効率よく系外に放出できる仕組みとなっている。
<放熱促進膜>
次に、第1の高効率放熱ヒートシンク100及び第2の高効率放熱ヒートシンク200が備える放熱促進膜103について、詳しく説明する。
【0129】
放熱促進膜103は、下記の絶縁放熱塗料Aをフィン102、202上に塗布・乾燥して形成した被膜である。なお、ここで「塗布」とは、本発明においは塗布のみに止まらず、吹き付け、浸漬、焼付け等による放熱促進膜の形成手段を含む広い概念のものである。
【0130】
[絶縁放熱膜塗料A]
絶縁放熱膜塗料Aは、アルコキシド化合物の加水分解反応とシラノール脱水縮合反応により生成されるバインダーを用いる。バインダーはまずアルコキシド化合物の加水分解によりシラノール基が生成され、その後シラノール脱水縮合反応が進んでSi−Oネットワークが形成されて行く。このシラノール脱水縮合の進展により形成されるSi−Oネットワーク及び残存するシラノール基により構成される被膜により熱伝導性と放熱性と絶縁性とが発揮される。また、顔料が高効率熱放射性物質を含んでおり顔料による放熱性も発揮される。
【0131】
アルコキシドの加水分解は速やかに促進された方が良いが、その後にシラノールの脱水縮合が進みすぎるおそれに注意する必要がある。塗料の状態でシラノールの脱水縮合が進みすぎると塗布前にSi−Oネットワークが多数形成され、塗布後に乾燥して形成された塗布膜が脆くなったりクラックが入りやすくなったりして基材への付着力が小さくなってしまうという問題が発生するからである。
【0132】
一方、シラノールの脱水縮合反応が十分ではない場合、つまり、塗料状態においてシラノールリッチの状態では、塗布後に膜が形成されてゆく過程で多くの脱水縮合が進んで行くこととなり、脱水縮合が進むと膜が収縮して行くこととなり収縮率が大きくなってしまい、塗布した膜が剥がれ落ちるという不具合が起こる。
【0133】
以上から、図7及び図8の放熱促進膜103を形成する絶縁放熱膜塗料Aは、アルコキシドの加水分解は完全に終了せしめ、シラノール脱水縮合反応は適切量進めた後に脱水縮合反応を抑止することにより、脱水縮合により生じる塗料中に存在するSi−Oネットワーク素材の形成進行の制御とシラノール基の残存量の制御を行ったものとすることが好ましい。これにより塗布前に適切量のSi−Oネットワーク素材を形成しておき、塗布後に新たに脱水縮合により形成されるSi−Oネットワーク量を少なくして収縮率が大きくなることを抑え、残存するSi−OH基により基材との付着力を確保せしめる。
【0134】
<バインダー>
次に、バインダーの組成の例について述べる。
【0135】
[熱伝導・放熱性塗布膜用塗料A]
熱伝導・放熱性塗布膜用塗料A(第1の熱伝導・放熱性塗布膜用塗料A)のバインダー組成は、アルコキシド化合物からなるバインダーとして、テトラアルコキシシランとトリアルコキシシランを所定割合で混合したものとなっている。
【0136】
その混合割合は、テトラアルコキシシラン:トリアルコキシシランが5対5から0対10の割合が好ましい。
【0137】
一方、熱伝導・放熱性塗布膜用塗料B(第2の熱伝導・放熱性塗布膜用塗料B)のバインダー組成は、アルコキシド化合物からなるバインダーとして、テトラアルコキシシランとトリアルコキシシランとジアルコキシシランを所定割合で混合したものとなっている。
【0138】
その混合割合は、テトラアルコキシシラン:トリアルコキシシラン:ジアルコキシシランが4.5対4.5対1から1.8対7.2対1の割合が好ましい。
【0139】
Si−OH官能基を4つ備えたテトラアルコキシシランとしては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン等が挙げられる。
【0140】
Si−OH官能基を3つ備えたトリアルコキシシランとしては、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリエチルメトキシシラン、トリエチルエトキシシラン、トリフェニルメトキシシラン、トリフェニルエトキシシラン、トリメチルプロポキシシラン、トリエチルプロポキシシランなどが挙げられる。
【0141】
Si−OH官能基を2つ備えたジアルコキシシランとしては、ジチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシランなどが挙げられる。
【0142】
アルコキシド化合物としてこれらを組み合わせて用いる。組み合わせで好ましいのはジメチルメトキシシラン、トリメチルメトキシシラン及びテトラメトキシシランの組み合わせ、またはジメチルエトキシシラン、トリメチルエトキシシラン及びテトラエトキシシランの組み合わせである。
【0143】
本発明では、アルコキシド化合物の加水分解後の脱水縮合により生じる塗料中に存在するSi−Oネットワーク素材の形成進行の制御とシラノール基の残存量の制御を行い、放熱促進膜103の絶縁性と熱伝導性と放熱性を確保する。
【0144】
<放熱促進膜の特性>
次に、放熱促進膜103が、絶縁性と熱伝導性と放熱性を兼ね備えたものとなっていることを説明する。
【0145】
Si−Oネットワーク素材の形成進行の制御とシラノール基の残存量の制御の原理は以下の通りである。
【0146】
アルコキシド化合物同士は加水分解によりシラノール基(Si−OH官能基)が生成され、Si−OH官能基の脱水縮合によりSi−Oネットワークの形成が進行してゆく。Si−OH官能基を4つ持つテトラアルコキシシランはSi−OH官能基を多く持つので、脱水縮合を促進させればSi−Oネットワークの形成進行が速く、早期にゲル化する。テトラアルコキシシランのみでバインダーを形成するとほぼ完全にSi−OH官能基が消費され、Si−Oネットワークが形成される。Si−OH官能基を3つ持つトリアルコキシシランもSi−OH官能基を持つので、脱水縮合を促進させればSi−Oネットワークの形成が進行し、ゲル化する。トリアルコキシシランのみでバインダーを形成すると粒子間のSi−OH官能基の存在が均等になるので、ほぼ完全にSi−OH官能基が消費された状態でSi−Oネットワークが形成される。
【0147】
Si−OH官能基を2つ持つジアルコキシシランもSi−OH官能基を持つので、脱水縮合を促進させればSi−Oネットワークの形成が進行し、ゲル化する。ジアルコキシシランのみでバインダーを形成すると同様にほぼ完全にSi−OH官能基が消費された状態でSi−Oネットワークの形成が形成される。しかし、ジアルコキシシランはSi−OH官能基が2つしかなく、脱水縮合によって直鎖状にSi−Oネットワークが形成されてしまい、堅牢性が小さくなる。
【0148】
本発明では、Si−Oネットワークによる堅牢な膜形成を目指すだけではなく、Si−Oネットワークの形成を進行させつつもSi−OH官能基をすべては消費させずに残存させるように制御する。残存したSi−OH官能基により金属プレートなどの基材のOH基との間の結合エネルギーにより基材と強力な付着力をもたらす。
【0149】
つまり、Si−OH官能基を2つ持つアルコキシド化合物、Si−OH官能基を3つ持つアルコキシド化合物、Si−OH官能基を4つ持つアルコキシド化合物を、所定割合で混ぜ合わせると、アルコキシド分子間でSi−OH官能基の数に不均衡があるため、反応する相手となるSi−OH官能基がなく、いわば浮いてしまうSi−OH官能基が多数出てくるので脱水縮合が一気には進まなくなる。
【0150】
ただし、長期間放置していると、浮いているSi−OH同士の脱水縮合反応が進んでくるので残存するSi−OH官能基の量は漸減して行くが、上記のように2官能のアルコキシド化合物、3官能のアルコキシド化合物、4官能のアルコキシド化合物の割合を調整すれば、当初、脱水縮合は早期に進むもののSi−OH官能基の数が不均衡状態に陥ってからは脱水縮合に急速にブレーキがかかることとなる。
【0151】
後述するように、良好な付着性、熱伝導性、放熱性、絶縁性を備えた膜が形成される配合について実験を重ねて2官能のアルコキシド化合物、3官能のアルコキシド化合物、4官能のアルコキシド化合物の配合割合を見出した。
【0152】
まず、放熱促進膜103の付着性試験を行い、放熱促進膜103が安定して基板3上に付着している条件について実験し、次に、熱伝導性試験、放熱性試験、絶縁性試験を行い、放熱促進膜103が良好な熱伝導性、放熱性、絶縁性を備えていることを検証する。
【0153】
[付着性実験]
付着性実験に用いた熱伝導・放熱性塗布膜用塗料のバインダー組成
実験に用いた熱伝導・放熱性塗布膜用塗料のバインダー組成は、4官能基を備えたテトラアルコキシシランとしてモメンティブマテリアル社製のテトラメトキシシランを用いた。また、3官能基を備えたバインダーのトリアルコキシシランとしてモメンティブマテリアル社製のトリメチルメトキシシランを用いた。また、2官能基を備えたジメトキシシランとしてモメンティブマテリアル社製のジメチルメトキシシランを用いた。テトラメトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、ジメチルメトキシシランの配合を変えてそれぞれ製作した。
【0154】
加水分解に用いた水の量は、アルコキシド化合物1モルに対して水0.8〜1.4モルとした。水が0.8モル以下ではSi−OH基の発生が十分でなく膜の硬度が上がらず、1.4モル以上ではSi−OH基が多くなり、シラノールの分子結合が大きくなり、ゲル化が進展し、クラックが生じやすくなるからである。触媒としての酸の量は有機酸、無機酸何れの場合も、加水分解を起こすのに十分な量を用いた。
【0155】
サンプルのそれぞれに含まれるジメチルメトキシシラン(2官能)、トリメチルメトキシシラン(3官能)、テトラメトキシシラン(4官能)の配合を[表1]に示す。
【0156】
【表1】
【0157】
−熱伝導・放熱性塗布膜を形成する基材
ブラスト処理を行ったアルミプレートを用いた。
−付着性実験の手法
付着性実験は、JIS−K5600−5−6の手法により碁盤目テストを行った。実験は3回行った。ブラスト処理を行ったアルミプレートに対する付着実験結果を[表2]に示す。
【0158】
【表2】
【0159】
注1:その他のアルコキシドとしてエトキシ基、フェニル基もあるが、エトキシ基はメトキシ基と反応スピードの違いなので省略し、フェニルは硬度が劣るので省略し、メチル基のみでテストを実施した。
【0160】
注2:反応はアルコキシド1モルに対して水2.5〜4.5モル、望ましくは3.3モル、酸の量を十分入れ、顔料比率70%とし、膜厚を25μ±3μにして実施。
【0161】
注3:分散溶媒はエタノール、イソプロピルアルコールを配合した物を使用した。
【0162】
注4:分散は0.7mmのガラスビーズを使用した。分散後粒度はD50で0.35ミクロン。
【0163】
注5:焼成条件は180℃で20分。基板3はアルコール脱脂のみのアルミ板を使用した。試験片は7.5mmw×15.0mml×1.0mmtを各3枚(評価は全数クリアー)。
【0164】
注6:塗布方法はスプレーコート。
【0165】
注7:膜厚は15μ〜20μ、測定方法はマイクロメーター。
【0166】
上記付着性実験から、テトラアルコキシシランとトリアルコキシシランを混合したバインダーである配合1から配合3の実験結果より、混合割合は配合1から配合2の混合割合が良いことが実証できた。つまり、テトラアルコキシシラン:トリアルコキシシランが5対5から0対10の割合が好ましい。
【0167】
また、上記付着性実験から、テトラアルコキシシランとトリアルコキシシランとジアルコキシシランを混合したバインダーである配合4から配合9の実験結果より、混合割合は配合4から配合5の混合割合が良いことが実証できた。つまり配合6のように3官能基の割合が減ると付着性が劣り、また、配合7から配合9のように2官能基の割合が増えても付着性が劣る。つまり、テトラアルコキシシラン:トリアルコキシシラン:ジアルコキシシランが4.5対4.5対1から1.8対7.2対1の割合が好ましい。
【0168】
以上、絶縁放熱塗料のバインダーの組成を上記の割合となるように工夫すれば、放熱促進膜103の付着性が大きくなるように、Si−Oネットワークと残存するSi−OH基の量を制御できる。
【0169】
なお、前記溶媒は、沸点が常温より高い温度のアルコール類であり、無機放熱膜形成の際に前記溶媒を揮発させることによりポーラス構造を形成せしめることが好ましい。
【0170】
上記のように膜中にポーラス構造を作り込むことにより膜全体としてさらに優れた靭性を得ることができるからである。
【0171】
[熱伝導試験]
放熱促進膜103において、高い熱伝導率が得られていることを確認した。
−熱伝導試験に用いた絶縁放熱塗料のバインダー組成
絶縁放熱塗料のバインダー組成は、付着性実験に用いた絶縁放熱塗料のバインダー組成と同じものとした。
−放熱促進膜103を形成する基板3
アルミブラスト処理を行ったアルミプレート(150mm×75mm×1.0mm)を用いた。
−熱伝導性試験の手法
アルミプレートの半分に放熱促進膜103を形成し、残り半分は放熱促進膜103は形成せずアルミプレートが剥き出しのままとする。アルミプレートの裏面から加熱し、アルミプレートの表面の温度分布を測定した。
【0172】
[表3]
熱伝導・放熱性塗布膜では、Si−Oネットワークが膜全体を全通しているので熱伝導率が高く、ポーラス構造にかかわらずコージライト、アルミナ、シリカ、ジルコニアという無機鉱物である無機顔料が含まれて固化されているので熱伝導率が高い。実際に熱伝導・放熱性塗布膜2の試料片を用いて熱伝導率を計測したところ、2W/mK以上の熱伝導率が得られていた。
【0173】
[放熱性試験]
次に、放熱膜としての機能、つまり、発熱体から受けた熱エネルギーの遠赤外線エネルギーへの変換効率について検証する。本発明の熱伝導・放熱性塗布膜用塗料において、含有されている顔料は形成した膜において遠赤外線放射機能を与えるものである。それゆえに顔料の配合が重要である。
【0174】
高い熱放射率を実現するためには、熱線波長領域の全範囲にわたって、放射率が100%に近く、さらに放射輝度が当該温度における黒体輻射に近い放射スペクトルを持つこと必要がある。
【0175】
<顔料>
次に、顔料について説明する。
【0176】
第1の顔料として、シリカ(SiO2)、マグネシア(MgO2)、コージライトとシリカ(SiO2)、コージライトとアルミナ(Al2O3)、コージライトとシリカ(SiO2)及びアルミナ(Al2O3)の化合物のいずれかを含むものとする。これらは、熱拡散性が高く放熱性を有する上、熱膨張率が5×10−6〜10.5×10−6であり、比較的大きいので、顔料として含有させてシート状に成形しても、膜も金属の挙動と同様な挙動をする。それゆえ、膜中に引っ張り応力が発生せず、高温域でも安定した放熱性が得られる。しかも、絶縁性も得られる。なお、カーボン(C)を一定量以上入れることにより容易に導電性が得られる。特に450℃までの大気中、または高温真空炉、或いは不活性ガス等の雰囲気炉中で従来不可能とされていたカーボンの面状発熱体が使用可能となる。
【0177】
上記の第1の顔料に対して、以下の第2の顔料を加える工夫も好ましい。第2の顔料は、酸化鉄(FeO、Fe2O3、Fe3O4)、二酸化マンガン(MnO2)、酸化コバルト(CoO)、三酸化コバルト(Co2O3)、酸化銅(I)(Cu2O)、酸化銅(II)(CuO)、酸化ニッケル(NiO)、酸化ジルコニウム(ZrO2)またはそれらの化合物のいずれかを含むものである。更に、上記顔料に第3の顔料であるカーボン(C)を加えるのが好ましい。
【0178】
なお、顔料の粒度は、膜の平滑性や綴密性、強度を考慮して、顔料の粒度は溶媒分散後で平均粒度で0.5μ以下が望ましい。
【0179】
アルコキシドと顔料の割合は、15〜45体積%が妥当である。15%以下では膜の靭性が低下し堅牢さが失われる。45%を超えると、脱水縮合による乾燥収縮量が多く、高温下でクラックが発生しやすく、所望の放熱性が得がたい。
【0180】
膜の厚みは、基材や発熱体と膜が強固に付着し、且つ、両者の熱膨張差が非常に近い場合でも、膜が厚くなりすぎると、クラックが発生する。それは、Si−OHが脱水縮合するときに起こる収縮現象が原因である。膜厚は、バインダーの含有量にもよるが、30μ以下が望ましい。特にアルコキシド化合物の脱水縮合物の全固形物(即ちSi−OHから生じるSiO2と混合したときの無機顔料成分の合計)にしめる割合が45体積%の場合、800℃でクラックの発生を防ぐ為には10μ前後が好ましい。膜厚が30μを超えると、膜が脆くなり、長時間の使用に耐えられなくなる。そのため、アルコキシド化合物の脱水縮合物の割合は30体積%以下が望ましい。
【0181】
サンプルとして顔料を[表4]のように配合した熱伝導・放熱性塗布膜用塗料Aを作製し、遠赤外線放射実験を行った。
【0182】
焼成条件は180℃で20分間焼き付けた。
【0183】
膜厚はマイクロメーターの測定により20μ〜26μのものが焼成できた。
【0184】
測定は遠赤外線応用研究会によった。
【0185】
測定温度は60℃とした。
【0186】
測定機種はJIR−E500を用いた。
【0187】
測定条件は、分解能16cm−1、積算回数200回、検知器はMCTである。
【0188】
【表4】
【0189】
第1の顔料である、シリカ(SiO2)、マグネシア(MgO2)、アルミナ(Al2O3)、マグネシア(MgO2)のうち、熱伝導・放熱性塗布膜2ではシリカ(SiO2)、アルミナ(Al2O3)、マグネシア(MgO2)とした。酸化チタンは着色顔料として配合し、塗料全体の色を白色に着色した。バインダーは3官能基を備えたトリメチルメトキシシランと4官能基を備えたテトラメトキシシランを配合した。
【0190】
上記構成の組成を持つ熱伝導・放熱性塗布膜を用いて放射率と放射輝度測定を行った。
【0191】
図9は熱伝導・放熱性塗布膜の放射率である。
【0192】
図10は熱伝導・放熱性塗布膜の放射輝度スペクトルである。
【0193】
放射輝度は、540.06kcal/m2・hrであった。
【0194】
図10に見るように、低温の波長領域から高温の波長領域まで良好な放射輝度スペクトルが得られており、放熱性は、4μ〜24μの波長域での放射率は85%以上の放射率を有することが分かった。高い遠赤外線変換効率が得られていることが実証できた。
【0195】
[絶縁性試験]
次に、絶縁膜としての機能、つまり、モーターコイル体10とモーターシャーシ30及び電子素子部品40との絶縁性について検証する。
【0196】
実験は、熱伝導・放熱・絶縁性塗布膜103に対して電圧を印加してゆき、その絶縁性を確認することにより行った。
【0197】
[表5]
[耐熱性試験]
熱伝導・放熱性塗布膜を800℃に熱し、水で急冷却するという処理を繰り返して、クラックが入るか否かを試験した。
【0198】
加熱はバーナーで800℃まで加熱した。冷却は冷水にて急速に冷却した。この加熱・冷却を5回繰り返した。
【0199】
結果を[表6]に示す。
【0200】
【表6】
【0201】
[表面硬度試験]
熱伝導・放熱性塗布膜の耐摩耗性を調べるために熱伝導・放熱性塗布膜を用いて表面硬度テストも行った。
【0202】
硬度テストの方法は、JIS−K−5−4に準じた。
【0203】
実験にはアルミプレートに焼成したものを用いた。
【0204】
表面硬度テストの結果を[表7]に示す。
【0205】
【表7】
【0206】
なお、上記において、アルコキシド化合物と顔料の割合は、15〜45体積%が妥当であると指摘したが、実験にて実証した。バインダーであるアルコキシド化合物は熱伝導・放熱性塗布膜用塗料Bと同様、トリメチルメトキシシランとテトラメトキシシランの混合とし、顔料の体積%を変えたサンプルを製作し、表面硬度テストを行うことにより妥当な割合を検証した。
【0207】
【表8】
【0208】
注1:アルコキシド化合物は代表例としてトリメチルメトキシシラン66.7重量%、テトラメトキシシラン33.5重量%、ジメチルメトキシシラン4,8重量%でテスト。
【0209】
注2:各反応条件、分散条件、縮合脱水条件、膜厚、基材は前記テストに準じる。
【0210】
注3:使用顔料は平均1次粒子径0.15μのアルミナ(Al2O3)、平均1次粒子径0.5μのカオリン、10〜20nのシリカ(SiO2)をそれぞれ30体積%、65体積%、5体積%配合したものを使用した。
【0211】
注4:分散溶媒はエタノール、イソプロピルアルコールを配合した物を使用した。
【0212】
注5:分散は0.7ミリ径のガラスビーズを用いたビーズミルで1時間実施した。その時の平均粒皮は0.35μであった。
【0213】
注6:○は硬度7H以上、曲げ20R可、碁盤目テスト問題なし、△は硬度7Hまで、碁盤目テスト間題なし、Xは、膜が脆くクラック発生。
【0214】
以上、アルコキシド化合物と顔料の割合は15〜45体積%が妥当であると実証できた。
【0215】
[耐腐食性試験]
本発明の熱伝導・放熱性塗布膜の耐腐食性も調べるために熱伝導・放熱性塗布膜を用いて塩水噴霧試験と水浸試験も行った。
【0216】
塩水噴霧試験の方法は、JIS−K5600−7−1に準じた。
【0217】
測定はステンレスプレートのものを用いた。
【0218】
塩水噴霧の放置時間は500時間とした。
【0219】
塩水噴霧試験の結果を[表9]に示す。
【0220】
【表9】
【0221】
水浸試験の方法は、JIS−K5600−6−2に準じた。
【0222】
測定はアルミプレートのものを用いた。
【0223】
水浸の放置時間は500時間とした。
【0224】
水浸試験の結果を[表10]に示す。
【0225】
【表10】
【0226】
以上、塩水噴霧試験と水浸試験の結果から、本発明の熱伝導・放熱性塗布膜の耐腐食性が大きいことが実証できた。
【0227】
以上、実施例2にかかる熱伝導・放熱性塗布膜及び熱伝導・放熱性塗布膜により塗布・形成した熱伝導・放熱性塗布膜は、無機バインダーの付着力が大きく、顔料も遠赤外線放射効率が高く、表面硬度が大きく、耐腐食性、耐熱性に優れたものである。また、本発明の熱伝導・放熱性塗布膜用塗料は1液性でありながらアルコキシド系バインダーの脱水縮合反応を制御することがき、ポットライフが長くかつ取り扱いが容易な1液性塗料として提供できる。
[熱伝導・放熱性塗布膜用塗料B]
放熱促進膜103は、熱伝導・放熱性塗布膜用塗料Bの顔料において、着色顔料として酸化チタンを含有させるとともに、酸化チタン粒子の周囲に遠赤外線放射性物質の顔料をコーティングせしめたことを特徴とするものである。
【0228】
熱伝導・放熱性塗布膜用塗料の顔料粒子は塗布膜の形成段階において、一部が表面上に表出する。遠赤外線放射性物質である顔料は熱源から受けた熱エネルギーを遠赤外線エネルギーに変換して放射する。
【0229】
ここで、形成される熱伝導・放熱性塗布膜が製品の筐体61など目に触れる箇所である場合などにおいては、塗料の色が見た目にきれいな色となるよう要求がある。そこで、塗料を綺麗に発色させるため着色用の顔料を混合させるニーズがある。この場合、着色用に配合された酸化チタンや酸化亜鉛などの顔料粒子が、遠赤外線への変換効率に寄与するものでなければ熱伝導・放熱性塗布膜の放熱機能を低下させる要因となりうる。
【0230】
遠赤外線放射実験で製作した熱伝導・放熱性塗布膜用塗料の放熱促進膜Aに用いられている酸化チタン(石原産業製 A−100)は、特に表面に何もコーティングが施されていないものであった。
【0231】
図11(a)は、熱伝導・放熱性塗布膜用塗料Aを用いて形成した熱伝導・放熱性塗布膜の表面の様子を模式的に拡大して示した図である。顔料粒子を模式的に大きく示している。図11(a)に見るように、熱伝導・放熱性塗布膜の表面には遠赤外線放射性物質である顔料とともに酸化チタン粒子が表出している。この酸化チタン粒子が表出している部分は遠赤外線放射機能を発揮しないので遠赤外線放射効率が低下することとなる。実際、図9、図10に見るように、高温領域(5〜8μm)においてスペクトルが低下している部分が見られる。
【0232】
実施例2にかかる本発明の熱伝導・放熱性塗布膜用塗料は、着色顔料として酸化チタンを含有させるとともに、酸化チタン粒子の周囲に遠赤外線放射性物質の顔料をコーティングせしめている。後述する熱伝導・放熱性塗布膜用塗料Aに用いられている酸化チタン(石原産業製 R−95)は、表面に粒度の細かいシリカがコーティングされているものである。
【0233】
図11(b)は、放熱促進膜103の態様の熱伝導・放熱性塗布膜用塗料Bを用いて形成した熱伝導・放熱性塗布膜の表面の様子を模式的に拡大して示した図である。
【0234】
熱伝導・放熱性塗布膜用塗料Bにおいてその表面に酸化チタン粒子が表出している部分からもその酸化チタン粒子の表面にコーティングされた遠赤外線放射性顔料の働きにより遠赤外線放射機能が発揮されることとなる。なお、酸化チタン粒子の表面にコーティングするためにコーティングする遠赤外線放射性顔料は酸化チタンの粒度よりも十分に細かい粒度とする必要がある。つまり、着色用の顔料が酸化チタンのコーティング処理をしているか否か以外の諸条件は実施例3とまったく同じ条件にて実験した。
【0235】
つまり、焼成条件は180℃で20分間の焼き付け、膜厚は20μ〜26μ、測定温度は60℃、測定機種はJIR−E500、測定条件は、分解能16cm−1、積算回数200回、検知器はMCTである。
【0236】
サンプルとして顔料を[表11]のように配合した熱伝導・放熱性塗布膜用塗料Bを作製し、遠赤外線放射実験を行った。
【0237】
【表11】
【0238】
遠赤外線放射顔料としては、第1の顔料である、シリカ(SiO2)、マグネシア(MgO2)、コージライトとシリカ(SiO2)、コージライトとアルミナ(Al2O3)、コージライトとシリカ(SiO2)及びアルミナ(Al2O3)の化合物のいずれかを含む第1の顔料のうち、シリカ(SiO2)、アルミナ(Al2O3)、マグネシア(MgO2)を顔料とした。
【0239】
着色用顔料としては、表面に粒度の細かいシリカがコーティングされている酸化チタン(石原産業製 R−95)を用いている。
【0240】
バインダーは3官能基を備えたトリメチルメトキシシランと4官能基を備えたテトラメトキシシランを配合した。
【0241】
上記構成の組成を持つ熱伝導・放熱性塗布膜を用いて放射線測定を行った。
【0242】
図12は熱伝導・放熱性塗布膜を用いた放射線測定結果である。
【0243】
図13は、熱伝導・放熱性塗布膜が発する放射スペクトルである。
【0244】
図9、図10と、図12、図13を比べるとあきらかに、高温領域(5〜8μm)においてスペクトルが改善されている部分が見られる。
【0245】
このスペクトル改善は、酸化チタンの表面のシリカのコーティングの有無によりもたらされているので、着色用の顔料を配合する場合、当該着色用の顔料の表面に遠赤外線放射顔料をコーティングせしめることにより、熱伝導・放熱性塗布膜において遠赤外線放射機能が改善されることが実証できた。
【0246】
次に、第3の熱伝導・放熱性塗布膜用塗料Cについて説明する。
[熱伝導・放熱性塗布膜用塗料C]
この熱伝導・放熱性塗布膜用Cの塗料は、遠赤外線放射顔料として、スペクトル波長領域において高温領域から低温領域まで効率良い変換を得るため、低温領域にて放射能率が高い第1の遠赤外線顔料に加え、特に高温領域にて放射能率が高い第2の遠赤外線顔料を添加したものである。
【0247】
第1の顔料が、シリカ(SiO2)、マグネシア(MgO2)、コージライトとシリカ(SiO2)、コージライトとアルミナ(Al2O3)、コージライトとシリカ(SiO2)及びアルミナ(Al2O3)の化合物のいずれかを含む顔料である。
【0248】
第2の顔料が、酸化鉄(FeO、Fe2O3、Fe3O4)、二酸化マンガン(MnO2)、酸化コバルト(CoO)、三酸化コバルト(Co2O3)、酸化銅(I)(Cu2O)、酸化銅(II)(CuO)、酸化ニッケル(NiO)、酸化ジルコニウム(ZrO2)の少なくとも一つの単体またはそれらの化合物を含む顔料である。また、更にこれら顔料に、第3の顔料であるカーボン(C)を加えることも好ましい。
【0249】
このように、低温領域にて放射能率が高い第1の遠赤外線顔料に加え、特に高温領域にて放射能率が高い第2の遠赤外線顔料を添加することにより、スペクトル波長領域において高温領域から低温領域まで効率良い変換効率を達成することができる。
<点灯試験>
[試験目的]
LED蛍光灯具の拡散、放熱効果を確認するため、上記放熱促進膜を塗布した本発明のLED蛍光灯具を試作し、既存の蛍光灯との点灯試験を行った。
【0250】
[試験条件]
なお、両蛍光灯の条件と点灯試験条件は次の通りである。
【0251】
・既存蛍光灯:室内蛍光灯
(寸法:直径32.5mm、長さ1200mm、明るさ:40W)
・供試LED蛍光灯具
アルミ基板、
ヒートシンク(寸法:直径28.5mm、長さ1197mm、明るさ:24W)
塗布膜条件(材質:無機放熱コート剤、塗布厚さ20〜30μ)
・点灯試験条件
注1:既存蛍光灯は、室内灯を午前9時より点灯開始し、連続点灯の後、15時30分に点灯中の室内灯の温度を横河電機株式会社製「データーロガー(型式:XL1000)」温度計で測定した。
【0252】
注2:測定箇所は、供試LED蛍光灯具、既存蛍光灯ともに蛍光灯先端部の口金部で測定した。また、ヒートシンクは、フィン先端部で測定した。
【0253】
注3:負荷電圧は、両蛍光灯とも193.7Vであり、配電盤出口部をCUSTUM社製電流、電圧計(型式:CDM−170)で測定した結果である。
[測定結果]
次の表12は、両蛍光灯の温度上昇を点灯時間の経過と共に測定したものである。
【0254】
【表12】
【0255】
[テストデータ]
ヒートシンク放射部の全面積600cm2、出力24W
測定結果
外気温の上昇6.0℃(16.4℃→22.4℃)に伴い、両蛍光灯の口金先端部の表面温度もほぼ同程度上昇しているが、本発明のLED照明管は、同時点灯の従来の蛍光灯と比較しても温度が低い。
【0256】
このことから、夏場に外気温が10℃上昇しても、先端部の温度は42℃前後になるものと予想される。この場合LED素子ユニット1A〜2Cの温度は15℃から20℃高いと予想されるが、それでも70℃以下(<先端部の予想温度42℃+LED素子ユニット1A〜2Cの最高予想温度20℃=62℃)であり、LED素子ユニット1A〜2Cの弱点である温度によるダメージは非常に少なく、ロングライフの確保と、高発光率の維持が可能となることが容易に予想される。
【0257】
添付データの通り、現状では十分放熱効果が出ているのでLED素子ユニットへの熱負荷は少なく余裕がある。
【0258】
上記点灯試験から、放熱促進膜の熱伝導率は、0.5W〜3W/m・kの範囲内のものが好ましく、ヒートシンクの必要面積は少なくとも15cm2/W以上、現状では25cm2/W有ればよいことが分かった。
【産業上の利用可能性】
【0259】
本発明のLED照明管は、一般家庭用途は勿論のこと、高速道路照明、高層ビル照明、駐車場内照明、トンネル内照明等のメンテナンス周期が格段に長い照明分野や、定期交換にバケット車等の特殊車や多額の交換作業コストを要する用途において、好適に使用することができる。
【符号の説明】
【0260】
1A〜1C・・・LED素子ユニット
2A〜2C・・・LED素子ユニット
3・・・基板
5・・・筒体
6・・・口金
7・・・接続具
8・・・ヒーシンク
12、13・・・励磁コイル
21〜24・・・リレー
20・・・LED制御回路
50・・・蛍光灯型LED照明管(本発明)
60・・・既存の蛍光灯本体
63・・・安定器
70・・・蛍光灯型LED照明装置(本発明)
103・・・放熱促進膜
P・・・商用電源
【特許請求の範囲】
【請求項1】
既存の蛍光灯照明管のソケットにそのまま装着可能な蛍光灯型LED照明管であって、
基板と、前記基板の照明方向側に実装された複数のLED素子と、該複数のLED素子の点灯制御をするLED制御回路と、前記基板及び前記LED制御回路を包囲するとともに、前記複数のLED素子の発光を外部に拡散させる筒体と、前記筒体の両端部を閉塞するとともに、前記LED制御回路を既存の蛍光灯照明管のソケットに接続可能なJIS規格の口金と、該口金と前記基板とを接続する接続具とを備え、
前記LED制御回路は、スタータ方式がグロー1灯式またはラピッド1灯式並びにラピッド2灯式の既存蛍光灯に内蔵されている安定器の出力電圧をしきい値として、前記LED素子を前記いずれかのスタータ方式に対応すべく直列又は並列に切り替えるリレーを備えることを特徴とする蛍光灯型LED照明管。
【請求項2】
請求項1に記載の蛍光灯型LED照明管において、
前記LED制御回路は、該LED制御回路のスタータ方式が、グロー1灯式またはラピッド1灯式に内蔵されている安定器の出力が交流200Vの電圧の商用電源が入力されている場合はリレーによって複数のLED素子が直列接続され、
一方、スタータ方式が、ラピッド2灯式に内蔵されている安定器の出力が交流290Vの電圧の商用電源が印加された場合は、前記リレーを切り替え、一列当り145Vの電圧で前記直列接続されたLEDの一部を並列回路に切り替えて動作するように構成したことを特徴とする蛍光灯型LED照明管。
【請求項3】
請求項1または2に記載の蛍光灯型LED照明管において、
前記筒体及び接続具は、該接続具側に係止部を、前記口金側に被係止部を設けることにより、接続具の両端部が口金に内挿された状態で管軸周りに所定角度(θ)の範囲内で回動可能であることを特徴とする蛍光灯型LED照明管。
【請求項4】
請求項1〜3のうちのいずれか1項に記載の蛍光灯型LED照明管と、
スタータ方式が、既存のグロースタート式蛍光灯器具本体又は既存のラピッドスタート式蛍光灯器具本体と、から成ることを特徴とする蛍光灯型LED照明装置。
【請求項5】
既存の蛍光灯照明管のソケットにそのまま装着可能な蛍光灯型LED照明管であって、
基板と、前記基板の照明方向側に実装された複数のLED素子と、該複数のLED素子の点灯制御をするLED制御回路と、前記基板及び前記LED制御回路を包囲するとともに、前記複数のLED素子の発光を外部に拡散させる筒体と、前記筒体の両端部を閉塞するとともに、前記LED制御回路を既存の蛍光灯照明管のソケットに接続可能なJIS規格の口金と、該口金と前記基板とを接続する接続具とを備え、
前記基板に、前記LED制御回路からの発熱を系外に放熱させるためのヒートシンクを、その放熱部の少なくとも一部が前記筒体外に位置するように設けるとともに、
更に、該ヒートシンクの前記放熱部に放熱を促進させるための放熱促進膜を形成させることにより、前記LED制御回路から発生した熱を系外に放熱させることを特徴とする蛍光灯型LED照明管。
【請求項6】
請求項5に記載の蛍光灯型LED照明管において、
前記放熱促進膜は、アルコキシド化合物の加水分解反応とシラノール脱水縮合反応により生成されるバインダーと、遠赤外線放射性物質の顔料と、溶媒とを備えた無機塗料を塗布・乾燥することにより形成された塗布膜であって、
前記アルコキシド化合物の加水分解後、シラノール脱水縮合の進展により形成されるSi−Oネットワーク及び残存するシラノール基により構成される被膜により前記熱伝導性と前記放熱性と前記絶縁性とを発揮せしめたものであり、
前記ヒートシンクの放熱部の放熱面積は、少なくとも15cm2/Wを有することを特徴とする蛍光灯型LED照明管。
【請求項7】
請求項5または6に記載の蛍光灯型LED照明管において、
前記アルコキシド化合物の加水分解反応とシラノール脱水縮合反応により生成されるバインダーとして、テトラアルコキシシランに対してトリアルコキシシランを、テトラアルコキシシラン:トリアルコキシシランが5対5から0対10の割合で配合することにより、前記アルコキシド化合物の加水分解後のシラノール脱水縮合により生じる塗料中に存在するSi−Oネットワーク素材の形成進行の制御とシラノール基の残存量の制御を行う素材を塗布したヒートシンクを備えることを特徴とする蛍光灯型LED照明管。
【請求項8】
請求項5〜7のうちのいずれか1項に記載の蛍光灯型LED照明管において、
前記アルコキシド化合物の加水分解反応とシラノール脱水縮合反応により生成されるバインダーとして、テトラアルコキシシランに対してトリアルコキシシランとジアルコキシシランを、テトラアルコキシシラン:トリアルコキシシラン:ジアルコキシシランが4.5対4.5対1から1.8対7.2対1の割合で配合し、前記アルコキシド化合物の加水分解後のシラノール脱水縮合により生じる塗料中に存在するSi−Oネットワーク素材の形成進行の制御とシラノール基の残存量の制御を行う素材を塗布したヒートシンクを備えることを特徴とする蛍光灯型LED照明管。
【請求項9】
請求項5〜8のうちのいずれか1項に記載の蛍光灯型LED照明管において、
前記顔料が、シリカ(SiO2)、マグネシア(MgO2)、コージライトとシリカ(SiO2)、コージライトとアルミナ(Al2O3)、コージライトとシリカ(SiO2)及びアルミナ(Al2O3)の化合物のいずれかを含む第1の顔料を備えたことを特徴とする蛍光灯型LED照明管。
【請求項10】
請求項5〜9のうちのいずれか1項に記載の蛍光灯型LED照明管において、
前記顔料が、前記第1の顔料に加え、酸化鉄(FeO、Fe2O3、Fe3O4)、二酸化マンガン(MnO2)、酸化コバルト(CoO)、三酸化コバルト(Co2O3)、酸化銅(I)(Cu2O)、酸化銅(II)(CuO)、酸化ニッケル(NiO)、酸化ジルコニウム(ZrO2)またはそれらの化合物のいずれかを含む第2の顔料、または、前記第1および第2の顔料に、第3の顔料であるカーボン(C)を備えたことを特徴とする蛍光灯型LED照明管。
【請求項11】
請求項5〜10のうちのいずれか1項に記載の蛍光灯型LED照明管において、
前記溶媒が、沸点が常温より高い温度のアルコール類であり、
前記熱伝導・放熱性塗布膜形成の際に前記溶媒を揮発させることによりポーラス構造を形成せしめることを特徴とする蛍光灯型LED照明管。
【請求項12】
請求項5〜11のうちのうちのいずれか1項に記載の蛍光灯型LED照明管において、
前記基板は、アルミニューム若しくは銅又はこれらを含む合金からなることを特徴とする蛍光灯型LED照明管。
【請求項13】
請求項5〜12のうちのいずれか1項に記載の蛍光灯型LED照明管において、
前記放熱促進膜の熱伝導率は、0.5W〜3W/m・kの範囲内のものであることを特徴とする蛍光灯型LED照明管。
【請求項14】
既存の蛍光灯照明管のソケットにそのまま装着可能な蛍光灯型LED照明管であって、
基板と、前記基板の照明方向側に実装された複数のLEDと、該複数のLEDの点灯制御をするLED制御回路と、前記基板及び前記LED制御回路を包囲するとともに、前記複数のLED素子の発光を外部に拡散させる筒体と、前記筒体の両端部を閉塞するとともに、前記LED制御回路を既存の蛍光灯照明管のソケットに接続可能なJIS規格の口金と、該口金と前記基板とを連結する接続具とを備え、
前記LED制御回路は、スタータ方式がグロー1灯式またはラピッド1灯式並びにラピッド2灯式の既存蛍光灯に内蔵されている安定器の出力電圧をしきい値として、前記LED素子を前記いずれかのスタータ方式に対応すべく直列又は並列に切り替えるリレーを備え、
更に、前記基板に、前記LED制御回路からの発熱を系外に放熱させるためのヒートシンクを、その放熱部の少なくとも一部が前記筒体外に位置するように設け、前記ヒートシンクの外周面に、請求項5〜13のうちのいずれか1項に記載の放熱促進膜を形成させることにより、前記LED制御回路から発生した熱を系外に放熱させることを特徴とする蛍光灯型LED照明管。
【請求項1】
既存の蛍光灯照明管のソケットにそのまま装着可能な蛍光灯型LED照明管であって、
基板と、前記基板の照明方向側に実装された複数のLED素子と、該複数のLED素子の点灯制御をするLED制御回路と、前記基板及び前記LED制御回路を包囲するとともに、前記複数のLED素子の発光を外部に拡散させる筒体と、前記筒体の両端部を閉塞するとともに、前記LED制御回路を既存の蛍光灯照明管のソケットに接続可能なJIS規格の口金と、該口金と前記基板とを接続する接続具とを備え、
前記LED制御回路は、スタータ方式がグロー1灯式またはラピッド1灯式並びにラピッド2灯式の既存蛍光灯に内蔵されている安定器の出力電圧をしきい値として、前記LED素子を前記いずれかのスタータ方式に対応すべく直列又は並列に切り替えるリレーを備えることを特徴とする蛍光灯型LED照明管。
【請求項2】
請求項1に記載の蛍光灯型LED照明管において、
前記LED制御回路は、該LED制御回路のスタータ方式が、グロー1灯式またはラピッド1灯式に内蔵されている安定器の出力が交流200Vの電圧の商用電源が入力されている場合はリレーによって複数のLED素子が直列接続され、
一方、スタータ方式が、ラピッド2灯式に内蔵されている安定器の出力が交流290Vの電圧の商用電源が印加された場合は、前記リレーを切り替え、一列当り145Vの電圧で前記直列接続されたLEDの一部を並列回路に切り替えて動作するように構成したことを特徴とする蛍光灯型LED照明管。
【請求項3】
請求項1または2に記載の蛍光灯型LED照明管において、
前記筒体及び接続具は、該接続具側に係止部を、前記口金側に被係止部を設けることにより、接続具の両端部が口金に内挿された状態で管軸周りに所定角度(θ)の範囲内で回動可能であることを特徴とする蛍光灯型LED照明管。
【請求項4】
請求項1〜3のうちのいずれか1項に記載の蛍光灯型LED照明管と、
スタータ方式が、既存のグロースタート式蛍光灯器具本体又は既存のラピッドスタート式蛍光灯器具本体と、から成ることを特徴とする蛍光灯型LED照明装置。
【請求項5】
既存の蛍光灯照明管のソケットにそのまま装着可能な蛍光灯型LED照明管であって、
基板と、前記基板の照明方向側に実装された複数のLED素子と、該複数のLED素子の点灯制御をするLED制御回路と、前記基板及び前記LED制御回路を包囲するとともに、前記複数のLED素子の発光を外部に拡散させる筒体と、前記筒体の両端部を閉塞するとともに、前記LED制御回路を既存の蛍光灯照明管のソケットに接続可能なJIS規格の口金と、該口金と前記基板とを接続する接続具とを備え、
前記基板に、前記LED制御回路からの発熱を系外に放熱させるためのヒートシンクを、その放熱部の少なくとも一部が前記筒体外に位置するように設けるとともに、
更に、該ヒートシンクの前記放熱部に放熱を促進させるための放熱促進膜を形成させることにより、前記LED制御回路から発生した熱を系外に放熱させることを特徴とする蛍光灯型LED照明管。
【請求項6】
請求項5に記載の蛍光灯型LED照明管において、
前記放熱促進膜は、アルコキシド化合物の加水分解反応とシラノール脱水縮合反応により生成されるバインダーと、遠赤外線放射性物質の顔料と、溶媒とを備えた無機塗料を塗布・乾燥することにより形成された塗布膜であって、
前記アルコキシド化合物の加水分解後、シラノール脱水縮合の進展により形成されるSi−Oネットワーク及び残存するシラノール基により構成される被膜により前記熱伝導性と前記放熱性と前記絶縁性とを発揮せしめたものであり、
前記ヒートシンクの放熱部の放熱面積は、少なくとも15cm2/Wを有することを特徴とする蛍光灯型LED照明管。
【請求項7】
請求項5または6に記載の蛍光灯型LED照明管において、
前記アルコキシド化合物の加水分解反応とシラノール脱水縮合反応により生成されるバインダーとして、テトラアルコキシシランに対してトリアルコキシシランを、テトラアルコキシシラン:トリアルコキシシランが5対5から0対10の割合で配合することにより、前記アルコキシド化合物の加水分解後のシラノール脱水縮合により生じる塗料中に存在するSi−Oネットワーク素材の形成進行の制御とシラノール基の残存量の制御を行う素材を塗布したヒートシンクを備えることを特徴とする蛍光灯型LED照明管。
【請求項8】
請求項5〜7のうちのいずれか1項に記載の蛍光灯型LED照明管において、
前記アルコキシド化合物の加水分解反応とシラノール脱水縮合反応により生成されるバインダーとして、テトラアルコキシシランに対してトリアルコキシシランとジアルコキシシランを、テトラアルコキシシラン:トリアルコキシシラン:ジアルコキシシランが4.5対4.5対1から1.8対7.2対1の割合で配合し、前記アルコキシド化合物の加水分解後のシラノール脱水縮合により生じる塗料中に存在するSi−Oネットワーク素材の形成進行の制御とシラノール基の残存量の制御を行う素材を塗布したヒートシンクを備えることを特徴とする蛍光灯型LED照明管。
【請求項9】
請求項5〜8のうちのいずれか1項に記載の蛍光灯型LED照明管において、
前記顔料が、シリカ(SiO2)、マグネシア(MgO2)、コージライトとシリカ(SiO2)、コージライトとアルミナ(Al2O3)、コージライトとシリカ(SiO2)及びアルミナ(Al2O3)の化合物のいずれかを含む第1の顔料を備えたことを特徴とする蛍光灯型LED照明管。
【請求項10】
請求項5〜9のうちのいずれか1項に記載の蛍光灯型LED照明管において、
前記顔料が、前記第1の顔料に加え、酸化鉄(FeO、Fe2O3、Fe3O4)、二酸化マンガン(MnO2)、酸化コバルト(CoO)、三酸化コバルト(Co2O3)、酸化銅(I)(Cu2O)、酸化銅(II)(CuO)、酸化ニッケル(NiO)、酸化ジルコニウム(ZrO2)またはそれらの化合物のいずれかを含む第2の顔料、または、前記第1および第2の顔料に、第3の顔料であるカーボン(C)を備えたことを特徴とする蛍光灯型LED照明管。
【請求項11】
請求項5〜10のうちのいずれか1項に記載の蛍光灯型LED照明管において、
前記溶媒が、沸点が常温より高い温度のアルコール類であり、
前記熱伝導・放熱性塗布膜形成の際に前記溶媒を揮発させることによりポーラス構造を形成せしめることを特徴とする蛍光灯型LED照明管。
【請求項12】
請求項5〜11のうちのうちのいずれか1項に記載の蛍光灯型LED照明管において、
前記基板は、アルミニューム若しくは銅又はこれらを含む合金からなることを特徴とする蛍光灯型LED照明管。
【請求項13】
請求項5〜12のうちのいずれか1項に記載の蛍光灯型LED照明管において、
前記放熱促進膜の熱伝導率は、0.5W〜3W/m・kの範囲内のものであることを特徴とする蛍光灯型LED照明管。
【請求項14】
既存の蛍光灯照明管のソケットにそのまま装着可能な蛍光灯型LED照明管であって、
基板と、前記基板の照明方向側に実装された複数のLEDと、該複数のLEDの点灯制御をするLED制御回路と、前記基板及び前記LED制御回路を包囲するとともに、前記複数のLED素子の発光を外部に拡散させる筒体と、前記筒体の両端部を閉塞するとともに、前記LED制御回路を既存の蛍光灯照明管のソケットに接続可能なJIS規格の口金と、該口金と前記基板とを連結する接続具とを備え、
前記LED制御回路は、スタータ方式がグロー1灯式またはラピッド1灯式並びにラピッド2灯式の既存蛍光灯に内蔵されている安定器の出力電圧をしきい値として、前記LED素子を前記いずれかのスタータ方式に対応すべく直列又は並列に切り替えるリレーを備え、
更に、前記基板に、前記LED制御回路からの発熱を系外に放熱させるためのヒートシンクを、その放熱部の少なくとも一部が前記筒体外に位置するように設け、前記ヒートシンクの外周面に、請求項5〜13のうちのいずれか1項に記載の放熱促進膜を形成させることにより、前記LED制御回路から発生した熱を系外に放熱させることを特徴とする蛍光灯型LED照明管。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2010−212043(P2010−212043A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−56058(P2009−56058)
【出願日】平成21年3月10日(2009.3.10)
【出願人】(000221409)東神電気株式会社 (29)
【出願人】(509069423)株式会社REON (1)
【出願人】(506160215)マイクロコーテック株式会社 (11)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月10日(2009.3.10)
【出願人】(000221409)東神電気株式会社 (29)
【出願人】(509069423)株式会社REON (1)
【出願人】(506160215)マイクロコーテック株式会社 (11)
【Fターム(参考)】
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