説明

蛍光灯用ガラス飛散防止フィルムの剥離装置

【課題】 ガラス飛散防止フィルム付きの直管状の蛍光管を廃棄処分する際、多大な労力をかけなくてもガラス飛散防止フィルムを剥ぎ取ることができるようにする。
【解決手段】 ガラス飛散防止フィルム付き直管状の蛍光管Kをチェーン送り部14や送りローラ15によって軸方向に沿って送る途中、剥離処理部5において、蛍光管Kを挟んで上下に配置したレーザノズル18からレーザ光を照射することで、ガラス飛散防止フィルムFの頂部と底部を軸方向に沿って筋状に切断し、この切断部に向けて上下一対のエアブローノズル20からエアを吹き付けてフィルムFを剥ぎ取る。このフィルムFの剥ぎ取り状況を、蛍光管K近傍に配置した振動センサ用のセンサヘッド22と、蛍光管Kの光沢を判別できるカラーセンサ23で判別し、仕分け手段6によって剥離完了と未完了の蛍光管Kに仕分けする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば蛍光管のガラスが破損したときガラスの飛散を防止したり、昆虫が集まりやすいUV光をカットしたりするため、直管型蛍光管の表面に装着されるガラス飛散防止フィルムを廃棄処分する時などに剥離するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、地震等の天災や人災による衝撃等において、蛍光管のガラスの飛散するのを防止したり、外光による反射を防止したり、虫除け等を図るため、透明フィルム等の表面に光拡散層を形成し、このフィルムを蛍光管の表面に貼着するような技術が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
この際、フィルムは熱収縮性を有する素材から構成するとともに円筒形状にし、この筒内に蛍光管を挿入した後、ドライヤー等によって熱をかけ、蛍光管に密着させるような技術も知られている(例えば、特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−114006号公報
【特許文献2】実用新案登録第3083488号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記のようなガラス飛散防止フィルム付き蛍光管が耐用年数等に達した場合、両端の口金部分を切断し、管内にエアを吹き込んで内部のガスや微粉等を排出した後、管本体を破砕し、破砕されたガラスの破片を加熱して水銀を除去するようなリサイクル方法を採用することが好ましいが、このような処理方法を採用する前に、表面のガラス飛散防止フィルムを剥離する必要があり、従来では、このような剥離作業において、作業者が手作業でフィルムを切断した後、フィルムを手で剥ぎ取っている。
【0005】
ところが、このようなフィルムを手作業で剥ぎ取る作業は、ガラス飛散防止フィルム付き廃蛍光管が多量に発生するような際は多大な労力を伴うという問題があった。
【0006】
そこで本発明は、ガラス飛散防止フィルム付き直管状の蛍光管を廃棄処分する際、蛍光管からガラス飛散防止フィルムを剥ぎ取る人手の作業を軽減化することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため本発明は、ガラス飛散防止フィルム付き直管状の蛍光管からガラス飛散防止フィルムを剥離する装置において、ホッパーに収容されるガラス飛散防止フィルム付き蛍光管を順番に一本づつ軸方向に沿って送ることのできる送り手段と、この送り手段によって送られるガラス飛散防止フィルム付き蛍光管を挟んで両側から蛍光管に向けてレーザー光を照射することでガラス飛散防止フィルムの両側を筋状に切断する少なくとも一対又は複数のレーザーカッターと、このレーザーカッターの下流側に配置され、ガラス飛散防止フィルムの切断部分に向けてエアを吹き付けることのできる少なくとも一対又は複数のエアブロー機構と、ガラス飛散防止フィルムが剥離された蛍光管とガラス飛散防止フィルムが剥離されていない蛍光管とを判別する判別手段を設けるようにした。
【0008】
このように、ホッパー内に多量のガラス飛散防止フィルム付き蛍光管を収容しておき、送り手段により一本づつ軸方向に送りながら、例えば蛍光管を挟んで上下に配置したレーザーカッターからレーザー光を照射すれば、ガラス飛散防止フィルムの上部と下部が軸方向に沿って筋状に切断され、左右のフィルムに分断される。しかし、そのままではフィルムが蛍光管の表面に密着したままであるため、フィルムの切断部分に向けてエアを吹き付けることにより、蛍光管の表面に密着するフィルムを剥がし取る。そして、その後、ガラス飛散防止フィルムが剥離された蛍光管と剥離されていない蛍光管を判別し、必要に応じて両者を分けて処理する。
このような装置を導入することで、手作業による労力を軽減化することができる。
【0009】
また本発明では、前記送り手段によって送られる蛍光管の送り経路の途中に、蛍光管に付着するガラス飛散防止フィルムの外側張出し部分を除去する除去手段を設けるようにした。
このような除去手段によってガラス飛散防止フィルムの外側張り出し部分を除去することにより、蛍光管の送りが、周囲の設備機器等に干渉することなく、よりスムーズに送ることができる。
【0010】
また本発明では、前記判別手段として、前記レーザーカッターより下流側の蛍光管近傍に設けられる振動センサ用のセンサヘッドと、蛍光管の特定部位の光沢を判別する光沢判別センサを設けるようにした。
そして、レーザーカッターより下流側の蛍光管近傍に、例えばピアノ線状のセンサヘッドを複数配設し、このセンサヘッドにガラス飛散防止フィルムが接触してセンサヘッドが振動すると、振動センサで検知できるようにしておけば、ガラス飛散防止フィルムが蛍光ガラス面から剥がされて離脱する段階でそれを検知することができるが、それ以外に蛍光管の特定部位の光沢を判別する光沢判別センサを設けることで、最終的なガラス飛散防止フィルムの剥離状態をより確実に知ることができる。
なお、一般的に直管状の蛍光管のガラス飛散防止フィルムは、耐用年数が経過すると、両端の電極付近の黒化現象が生じやすくなる部分のフィルムがガラスに密着して剥がれにくくなり、すべての蛍光管についてエアブローだけで100%確実に剥離することは難しくなる。
【0011】
そこで、本発明では、前記判別手段によってガラス飛散防止フィルムが剥離された蛍光管と剥離されていない蛍光管が判別されると、これら蛍光管を仕分け手段によって仕分けし、ガラス飛散防止フィルムが剥離された蛍光管は、その後のリサイクル処理工程に送り込み、ガラス飛散防止フィルムが剥離されていない蛍光管はケース内に収容するようにした。
そして、ケース内に収容されるガラス飛散防止フィルムが剥離されない蛍光管については、必要に応じて手作業などで剥ぎ取るが、この際、ガラス飛散防止フィルムの切断等は既に行われているため、比較的楽に剥ぎ取ることができる。
【0012】
また本発明では、ガラス飛散防止フィルムが剥離されていない蛍光管をケース内に収容する際、蛍光管を自動的に整理しながら収容する自動整理機構によって収容するようにした。
ここで、自動整理機構の一例としては、例えば、蛍光管を上方から把持するチャック部を昇降自在にし、このチャック部を降下させることで、把持する蛍光管を下方のスライドコンベア上に位置決めされるケース内の所定位置に収容、載置するとともに、チャック部を降下させるたびごとに、ケースを蛍光管の幅方向に対して蛍光管の幅分移動させながら蛍光管を収容、載置することを繰り返して最初の一段目を収容し、一段目の収容が完了すると、次にはチャック部の降下ストローク量を一段分少なくし、再びケースを水平方向に蛍光管の幅分移動させながらチャック部を降下させることを繰り返して二段目の収容を完了し、これを必要段数まで繰り返すような機構であり、チャック部の降下量や、ケースの移動量やそのタイミング等を予めプログラミングしておく。
このような自動整理機構によって、蛍光管を破損させることなく、しかもスムーズに収容することができる。
【発明の効果】
【0013】
ホッパーに収容されるガラス飛散防止フィルム付き蛍光管を送り手段によって順番に一本づつ軸方向に沿って送るようにし、少なくとも一対又は複数のレーザーカッターでガラス飛散防止フィルム付き蛍光管の両側を筋状に切断するとともに、ガラス飛散防止フィルムの切断部分に向けてエアを吹き付けることのできる少なくとも一対又は複数のエアブロー機構を設けることで、自動的にガラス飛散防止フィルムを剥ぎ取ることができ、ガラス飛散防止フィルムが剥離された蛍光管とガラス飛散防止フィルムが剥離されていない蛍光管とを判別する判別手段を設けることで、人力作業を可能な限り減らすことができる。
また、蛍光管の送り経路の途中に、蛍光管に付着するガラス飛散防止フィルムの外側張出し部分を除去する除去手段を設けることにより、ガラス飛散防止フィルムが周囲の設備等に接触する等による不具合を防止することができ、また、判別手段として、蛍光管近傍に設けられる振動センサ用のセンサヘッドと、蛍光管の特定部位の光沢を判別する光沢判別センサを設けることにより、より正確に剥離状況を把握することができる。
また、ガラス飛散防止フィルムが剥離された蛍光管と剥離されない蛍光管を仕分け手段で仕分けし、剥離されていない蛍光管をケース内に収容することで、その後の処理が円滑に行われるようになり、ケース内に収容する際、自動整理機構によって整理しながら収容すれば、一層の省力化が図れる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係る蛍光管用ガラス飛散防止フィルムの剥離装置全体の平面図である。
【図2】本装置から一部の上部カバー等を外した状態の斜視図である。
【図3】図2のA方向から視た斜視図である。
【図4】図2のB方向から視た斜視図である。
【図5】蛍光管を保持して移送する移送チェーンの説明図である。
【図6】送り手段の最上流に配置されるチェーン送り部の説明図である。
【図7】チェーン送り部の下流側の機構を説明する平面図である。
【図8】レーザーカッターとエアブロー機構の説明図である。
【図9】蛍光管に付着するガラス飛散防止フィルムの張出し部分の説明図である。
【図10】ガラス飛散防止フィルムの張出し部分を除去する除去手段の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施の形態について添付した図面に基づき説明する。
本発明に係る蛍光管用ガラス飛散防止フィルムの剥離装置は、例えば蛍光管のガラスが破損した時等のガラス飛散防止や、昆虫が集まりやすいUV光をカットするなどのため、直管状の蛍光管のガラスの表面にガラス飛散防止フィルムが被覆されるガラス飛散防止フィルム付き蛍光管が耐用年数等に達して廃棄処分するとき、人力による多大な労力をかけなくてもガラス飛散防止フィルムを剥ぎ取ることができるような装置として構成され、多量のガラス飛散防止フィルム付き蛍光管を処理する場合でも効率的に処理できるようにされている。
【0016】
すなわち、本剥離装置1は、図1〜図4に示すように、処理すべきガラス飛散防止フィルム付き直管状の蛍光管Kを多数収容するホッパー2と、このホッパー2内の蛍光管Kを送り手段3に向けて移送する移送機構4と、移送機構4によって移送された蛍光管Kを一本づつ軸方向に沿って送ることのできる送り手段3と、送り手段3で送られる経路上でガラス飛散防止フィルムFを剥ぎ取る作業を行う平面視ボックス状内の剥離処理部5と、剥離処理部5を経由して払い出された蛍光管Kを、剥ぎ取り完了の蛍光管Kと剥ぎ取り未完了の蛍光管Kに仕分けする仕分け手段6を備えており、剥ぎ取り未完了の蛍光管Kは、図4に示すような自動整理機構7を介して下方のケースC内に収容するようにされ、剥ぎ取り完了の蛍光管Kは、次工程の口金を切断して蛍光管Kを分別処理する分別処理工程8(図1)に投入されるようになっている。
【0017】
また、ホッパー2の近傍には、図1、図2に示すように、剥離装置1の各設備機器を制御する制御装置10が設けられている。
【0018】
ホッパー2は、図3にも示すように、処理すべき蛍光管Kを複数本収容できるようにされ、このホッパー2の底面11の一端側が開口部12となって、この開口部12に移送機構4の一部が臨んで蛍光管を一本づつ取り出すことができるようにされるとともに、ホッパー2の底面11には、蛍光管Kが開口部12に向けて自重で転がりやすくなるような傾斜が設けられ、しかも、この底面11には、蛍光管Kが移送機構4に向けて円滑に流れるよう、蛍光管Kの軸方向と直角方向に往復振動を与えることのできる振動機構(不図示)が設けられている。
【0019】
移送機構4は、蛍光管Kの胴体の一部を保持して移送することのできる二条の第1移送チェーン13を備えており、この一条の第1移送チェーン13は、図5に示すように、左右一対のチェーン13cの一端側に固着される多数の略L字型の保持部材13hから構成され、二条の第1移送チェーン13の保持部材13hで蛍光管Kの胴体の二箇所を保持するとともに、これら第1移送チェーン13は、図3の破線で示す方向に循環走行するようにされている。そして、この第1移送チェーン13の循環走行路は、ホッパー2の開口部12を通して流れ出る蛍光管Kを一本づつ保持した後、上方の送り手段3のチェーン送り部14の下方を通過するようにされ、このチェーン送り部14の下方の位置で、第1移送チェーン13は、保持する蛍光管Kをチェーン送り部14の下方の保持部9(図2、図3)に受け渡し、空の状態で再びホッパー2の開口部12を目指して走行するようにされている。
【0020】
送り手段3は、蛍光管Kを軸方向に沿って移動させるものであり、前記チェーン送り部14と、図7に示すように、前記剥離処理部5内に設けられる複数の挟み付け送りローラ15と、前記仕分け手段6の近傍に設けられる挟み付け送りローラ16を備えており、これら挟み付け送りローラ15、16は、いずれも蛍光管Kを両側から挟みこんで回転することで蛍光管Kを送ることができるようにされている。(送りローラ15は、水平方向に挟み付け、送りローラ16は垂直方向に挟み付ける)
そして、送り手段3のうち、最上流側のチェーン送り部14は、図6に示すように、送り方向に沿って循環走行するチェーン14cと、このチェーン14cの二箇所に張出して取り付けられる押圧部材14pからなり、前記移送機構4によってチェーン送り部14の下方に移送されてきた蛍光管Kの後端部を、それぞれの押圧部材14pによって順番に押圧するようにされている。
【0021】
そして、この送り手段3によって蛍光管Kが軸方向に送られる途中、剥離処理部5においてガラス飛散防止フィルムFの剥離が行われるが、この処理について説明する。
図1〜図3に示すように、剥離処理部5の上流側近傍には、レーザ発振器17が配置され、このレーザ発振器から発振されるレーザ光を、蛍光管Kの上下に分岐させ、図8に示すように、蛍光管Kを挟んで上下に配置されるレーザノズル18からレーザ光を照射することで、ガラス飛散防止フィルムFの頂部と底部をそれぞれ筋状に切断し、ガラス飛散防止フィルムFを左右に分断するようにしている。
【0022】
また、図8に示すように、それぞれのレーザノズル18の近傍には、エアブローを行うためのエアブローノズル20を配置しており、このエアブローノズル20から吹き出すエアを、フィルムFの切断部に向けて吹き付け出来るようにされている。
なお、剥離処理部5は、蛍光管Kが出入りする入口と出口の穴を除いて周囲が密閉されるとともに、実施例では、側面視で下方が三角形型に尖る形状で且つ下方に空気の流出部が形成されることで、主として上方から下方に向けて空気が流動するようにされ、剥ぎ取られたフィルムFが円滑に下方に流れて下部側に溜まるようにされている。
【0023】
ところで、蛍光管KからフィルムFが剥ぎ取られたかどうかを判別するための判別手段を設けているので、この判別手段21について説明する。
図7に示すように、前記剥離処理部5内を送られる蛍光管Kの近傍には、振動センサ用のピアノ線状等のセンサヘッド22が蛍光管Kを挟んで設けられ、剥ぎ取られたフィルムFがこのセンサヘッド22に接触して振動すると、この振動を検知できるようにされている。
また、判別手段21は、これとは別に蛍光管Kの特定部位に光を照射し、反射光の光沢度を判別することで、蛍光管KにフィルムFが残置しているかどうかを判別する光沢判別センサ付きのカラーセンサ23を備えており、このカラーセンサ23は、剥離処理部5下流の仕分け手段6の近傍に設けられ、蛍光管Kの両端付近の光沢を検知できるようにされている。
すなわち、判別手段21は、センサヘッド22を備えた振動センサと、光沢判別センサ付きのカラーセンサ23から構成されている。
【0024】
そして、これら判別手段21によって蛍光管Kからガラス飛散防止フィルムFが剥ぎ取られたかどうかが判別され、その結果によって、仕分け手段6が仕分けするようにされている。
【0025】
なお、蛍光管Kが耐用年数に近づくと、両端の電極近傍の黒化現象が生じ、図9に示すように、同部分のフィルムFが蛍光管Kのガラス面に付着したまま剥がれにくくなり、フィルムFの一部だけが蛍光管Kに残ることがある。この場合、フィルムFが外部に張り出した状態で付着していると、このフィルムFが周囲の設備機器等に干渉して不具合が生じることがあるため、本発明では、外部に張り出すフィルムFを除去する除去手段24を剥離処理部5内の下流側に設けている(図3)。
【0026】
すなわち、この除去手段24は、図10に示すように、剥離処理部5の周壁面等に取り付けられる駆動モータ25と、この駆動モータ25の駆動によって駆動され且つ回転面が蛍光管Kに近接する第1カッター26と、駆動モータ25によって駆動され且つ前記第1カッター26の下流側で蛍光管Kの周囲を取り囲むようなリング部27rから内側に張り出してその先端が蛍光管Kに近接する複数本の切れ刃部27kを備えた第2カッター27を備えており、この第2カッター27は、剥離処理部5の周壁面等に取り付けられる複数の受けローラ28で支持されている。
【0027】
次に、仕分け手段6より下流の設備構成等について説明する。
まず、剥離処理部5から払い出された蛍光管Kは、図4に示すように、一旦、この蛍光管Kを二条の第2移送チェーン30上に載置する。この第2移送チェーン30は、前記ホッパー2内の蛍光管Kを送り手段3に移送するための第1移送チェーン13と同じような構成であり、巡回走行する二条のチェーン30cのそれぞれに略L字型の保持部材30hを取り付けた構成である。
【0028】
そして、この第2移送チェーン30は、基本的にガラス飛散防止フィルムFの剥離が完了していない蛍光管Kを、ケースC内に収容するための方向に延出しており、剥離処理部5から送り出された全ての蛍光管Kを一時的に第2移送チェーン30上に載置して、前記判別手段21のカラーセンサ23でフィルムFの剥離状態を検査し、剥離が完了しているときは、第2移送チェーン30とは反対方向に蛍光管Kを払い出すため、図1や図4に示すように、第2移送チェーン30の配設側とは逆の方向に配設した左右一対の取出し盤31を回転させ、第2移送チェーン30上の蛍光管Kを取り上げて、上方のガイドバー32(図では煩雑を避けるため空中に浮いたように示しているが、実際には、周囲の機枠等に固定されている)上に移すようにしている。そして、このガイドバー32は、蛍光管Kを分別処理工程8に送り込むための第3移送チェーン33に向けて下方に傾斜しており、ガイドバー32上に移し変えられた蛍光管Kは自重で第3移送チェーン33に向けて移送されるようになっている。
【0029】
一方、ガラス飛散防止フィルムFの剥離が完了していない蛍光管Kは、そのまま第2移送チェーン30によって分別処理工程8とは反対方向に向けて移送され、図4に示すような自動整理機構7によって下方のケースC内に段積み状態で収容される。
【0030】
すなわち、図4に示すように、第2移送チェーン30の移送方向の端部側の下方には、第2移送チェーン30から受け渡された蛍光管Kを一時的に保持しておく保持部35が設けられており、この保持部35の上部には、蛍光管Kをチャックして昇降するこのできる昇降部材36が設けられており、この昇降部材36には、蛍光管Kを上方から把持することのできる左右一対のチャック部材37が取り付けられている。
【0031】
また、昇降部材36の昇降ストロークを制御できるようにするため、昇降部材36に連結される昇降バーの周囲を取り囲む保持筒38の上端部にパルス式のサーボモータ40を配設し、このサーボモータ40の駆動によって、昇降部材36がストローク制御自在に昇降するようにされている。なお、保持筒38の左右には、昇降部材36の昇降をガイドする一対のガイドバー41が配設されている。
【0032】
そして、前記保持部35で保持した蛍光管Kに対して、上方から昇降部材36が降下すると、チャック部材37によって蛍光管Kの2箇所の胴部を上方から把持できるようにされているが、この際、蛍光管Kが把持されると、保持部35は軸周りに回動することにより蛍光管Kより下方の空間を開放し、昇降部材36が更に下方に降下できるようにされている。
【0033】
また、ケースCが載置される床面は、図4の矢視方向に往復動自在なスラットコンベア42が敷設されており、このスラットコンベア42を介してケースCを蛍光管Kの軸方向と直角方向に移動させることができるようにしている。
【0034】
そして、蛍光管KをケースC内に整理しながら収容する自動整理機構7は、前記サーボモータ40や、チャック部材37を備えた昇降部材36や、ケースCの移動を制御するスラットコンベア42等によって構成され、本実施例では、ケースCの移動とチャック部材37の降下ストローク量について、予め定めた動作を行わせることで、最初に1段目の蛍光管KをケースCの端から端まで収容し、次いで、チャック部材37の降下ストローク量を1段分少なくし、2段目の蛍光管Kを端から端まで段積みし、そのような作業を繰り返すことで、ケースC内に複数段の蛍光管Kを段積みし収容するようにしている。
【0035】
なお、自動整理機構7のスラットコンベア42に隣接する箇所の床面にも、図4に示すような次のケースCの待機場所が設けられており、この待機場所の床面にも、スラットコンベア43を配設し、ケースCの交換が自動的に行われるようにしている。
【0036】
以上のようなガラス飛散防止フィルムの剥離装置1の作用等について説明する。
まず、処理すべきガラス飛散防止フィルム付き蛍光管Kをホッパー2内に投入すると、蛍光管Kは底面11の傾斜面に沿って開口部12に向けて自重で移動し、この際、不図示の振動機構等を介して円滑に流動する。
【0037】
そして、蛍光管Kがホッパー2の開口部12を通して流れ出ると、移送機構4の二条の第1移送チェーン13の保持部材13hが一本づつ保持し、図3の破線方向に沿って移送していく。
【0038】
そして、蛍光管Kがチェーン送り部14の下方の保持部9まで移送されると、図6に示すチェーン14cが矢印方向に移動し、押圧部材14pによって蛍光管Kを押し進める。すると、蛍光管Kの先頭は、剥離処理部5内に入り込み、送りローラ15で蛍光管Kを挟み込みながら回転し、蛍光管Kを図7の矢印方向に送る。
そして、蛍光管Kがレーザノズル18位置を通過すると、レーザノズル18から発振されるレーザ光によりフィルムFの頂部と底部が軸方向に沿って筋状に切断され、同時に、切断部に向けてエアブローノズル20から吹き出されるエアブローにより、フィルムFが剥ぎ取られる。
【0039】
そして剥ぎ取られたフィルムFが振動センサ用のセンサヘッド22に接触して振動すると、フィルムFが剥ぎ取られたことが検知される。また、剥ぎ取られたフィルムFは剥離処理部5の下方に落下する。
【0040】
蛍光管Kは引き続いて剥離処理部5内の送りローラ15によって軸方向に送られ、この際、蛍光管Kの一部に、図9に示すようなフィルムFの一部が付着しているような場合には、除去手段24の第1カッター26、第2カッター27により張り出し部分が切除され、更に蛍光管Kは剥離処理部5外の送りローラ16によって第2移送チェーン30の保持部30hまで送り込まれる。
【0041】
そして、この位置でカラーセンサ23の光沢センサにより最終的なフィルムFの剥離状況が確認された後、剥離が確認された蛍光管Kは、取出し盤31によりガイドバー32や第3移送チェーン33を介して分別処理工程8に送り込まれ、剥離が確認されない蛍光管Kは、そのまま第2移送チェーン30によって反対方向に移送され、自動整理機構7により自動的に整理されながらケースC内に段積みされる。
【0042】
そして、かかる一連の処理において、すべてが自動的に行われるため省力化が図られる。なお、本実施例においては、処理速度は1000本/1Hr程度である。
【0043】
なお、本発明は以上のような実施形態に限定されるものではない。本発明の特許請求の範囲に記載した事項と実質的に同一の構成を有し、同一の作用効果を奏するものは本発明の技術的範囲に属する。
例えば、レーザーカッターやエアブロー機構の数は、一対であることに限られず、それ以上の複数であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0044】
直管状のガラス飛散防止フィルム付き廃蛍光管をリサイクル処理する際、人力作業による省力化が図れるため、廃蛍光管を大量にリサイクル処理するような工場等における広い普及が期待される。
【符号の説明】
【0045】
1…剥離装置、2…ホッパー、3…送り手段、5…剥離処理部、6…仕分け手段、7…自動整理機構、14…チェーン送り部、15…送りローラ、16…送りローラ、17…レーザ発振器、18…レーザノズル、20…エアブローノズル、22…振動センサ用センサヘッド、23…カラーセンサ、24…除去手段、C…ケース、K…蛍光管、F…ガラス飛散防止フィルム。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス飛散防止フィルム付き直管状の蛍光管からガラス飛散防止フィルムを剥離する装置であって、ホッパーに収容されるガラス飛散防止フィルム付き蛍光管を順番に一本づつ軸方向に沿って送ることのできる送り手段と、この送り手段によって送られるガラス飛散防止フィルム付き蛍光管を挟んで両側から蛍光管に向けてレーザー光を照射することでガラス飛散防止フィルムの両側を筋状に切断する少なくとも一対又は複数のレーザーカッターと、このレーザーカッターの下流側に配置され、ガラス飛散防止フィルムの切断部分に向けてエアを吹き付けることのできる少なくとも一対又は複数のエアブロー機構と、ガラス飛散防止フィルムが剥離された蛍光管とガラス飛散防止フィルムが剥離されていない蛍光管とを判別する判別手段を備えたことを特徴とする蛍光管用ガラス飛散防止フィルムの剥離装置。
【請求項2】
前記送り手段によって送られる蛍光管の送り経路の途中には、蛍光管に付着するガラス飛散防止フィルムの外側張出し部分を除去する除去手段が設けられることを特徴とする請求項1に記載の蛍光管用ガラス飛散防止フィルムの剥離装置。
【請求項3】
前記判別手段は、前記レーザーカッターより下流側の蛍光管近傍に設けられる振動センサ用のセンサヘッドと、蛍光管の特定部位の光沢を判別する光沢判別センサを備えたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の蛍光管用ガラス飛散防止フィルムの剥離装置。
【請求項4】
前記判別手段によってガラス飛散防止フィルムが剥離された蛍光管と剥離されていない蛍光管が判別されると、これら蛍光管は仕分け手段によって仕分けされ、ガラス飛散防止フィルムが剥離された蛍光管は、その後のリサイクル処理工程に送り込まれ、ガラス飛散防止フィルムが剥離されていない蛍光管はケース内に収容するようにされることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の蛍光管用ガラス飛散防止フィルムの剥離装置。
【請求項5】
前記ガラス飛散防止フィルムが剥離されていない蛍光管をケース内に収容する際、蛍光管を自動的に整理しながら収容する自動整理機構によって収容するようにされることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の蛍光管用ガラス飛散防止フィルムの剥離装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−192303(P2012−192303A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−56028(P2011−56028)
【出願日】平成23年3月15日(2011.3.15)
【出願人】(303030483)株式会社エヌ・アイ・シー (5)
【出願人】(500570427)JFE環境株式会社 (21)
【Fターム(参考)】