説明

蛍光発光性化合物、蛍光発光性重合体およびその製造方法

【課題】(メタ)アクリロイル基を有し、340nm以下の光を最も効率よく吸収して蛍光発光する化合物を提供する。
【解決手段】下記式(I)で表わされる蛍光発光性化合物[I]。式(I)中、Rは水素原子またはメチル基である。
[化1]

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は蛍光発光性官能基を有するモノマーとして好適な化合物、該化合物に基づく繰り返し単位を有する重合体、および該重合体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
視認性を有するポリマーとして、例えば下記特許文献1には発色団要素部を有するモノマーを用いた含フッ素共重合体が記載されている。また下記特許文献2には、含フッ素(メタ)アクリレートモノマーと、(メタ)アクリレート官能性染料を共重合させた染色フルオロポリマーが記載されている。
重合性官能基(以下、単に重合性基ということもある)を有するとともに発色団要素部を有するモノマー、または(メタ)アクリレート官能性染料としては各種の化合物が知られており、例えば1−アクリロイルオキシ−4−(p−トリルアミノ)アントラキノン(特許文献1の実施例1)、アクリル酸4−(フェニルアゾ)フェニル(特許文献1の実施例2)、7−(2−アクリロイルオキシ)エチルオキシ−4−メチルクマリン(特許文献1の実施例10)、アクリル酸1−ピレニルメチル(特許文献1の実施例12)等が挙げられる。
【特許文献1】特開平2−3407号公報
【特許文献2】特表2005−533902号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
重合性官能基として(メタ)アクリロイル基を有するとともに、蛍光発光性を示す官能基を有する化合物は広範な用途への適用が期待されており、吸収波長帯域の多様化が望まれている。
上記に挙げた化合物の中で、7−(2−アクリロイルオキシ)エチルオキシ−4−メチルクマリンとアクリル酸1−ピレニルメチルは350nm付近の光を最も効率良く吸収して蛍光発光する化合物である。それ以下の波長の光を最も効率よく吸収して蛍光発光する(メタ)アクリレート官能性の蛍光発光性化合物は知られていない。
【0004】
本発明は前記事情に鑑みてなされたもので、(メタ)アクリロイル基を有し、340nm以下の光を最も効率よく吸収して蛍光発光する化合物を提供することを目的とする。
また本発明は、該化合物に基づく繰り返し単位を有する蛍光発光性重合体、および該蛍光発光性重合体の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
すなわち、本発明は下記式(I)で表わされる蛍光発光性化合物[I]を提供する。式(I)中、Rは水素原子またはメチル基である。
【0006】
【化1】

【0007】
本発明は、上記式(I)で表される化合物[I]に基づく繰り返し単位を0.1質量%以上100質量%以下含む蛍光発光性重合体を提供する。
本発明は、前記化合物[I]に基づく繰り返し単位を0.1質量%以上50質量%未満、およびポリフルオロアルキル基を有する(メタ)アクリレートに基づく繰り返し単位を50質量%以上99.9質量%未満含む蛍光発光性重合体を提供する。
本発明は、重合開始剤の存在下、溶媒中にて、上記式(I)で表される蛍光発光性化合物[I]を含むモノマー原料を重合させる工程を有することを特徴とする蛍光発光性重合体の製造方法を提供する。
前記モノマー原料が、さらにポリフルオロアルキル基を有する(メタ)アクリレートを含んでいてもよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、(メタ)アクリロイル基を有し、340nm以下の光を最も効率よく吸収して蛍光発光する化合物が得られる。
また本発明によれば、該化合物に基づく繰り返し単位を有する蛍光発光性重合体が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
<化合物[I]>
本発明の蛍光発光性化合物[I](以下、単に化合物[I]ということもある。)は、前記式(I)で表わされる。前記式(I)において、Rは水素原子またはメチル基である。
化合物[I]は、蛍光発光性官能基および重合性官能基を有しており、後述の実施例に示されるように、可視紫外吸収スペクトルにおいて波長294nmにピークを有する。化合物[I]は波長280〜330nmの光を照射すると良好な蛍光発光性を示し、特に波長300nm付近の光を最も効率良く吸収して蛍光発光する。
【0010】
<化合物[I]の製造方法>
上記式(I)で表わされる化合物[I]は2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾオキサゾールと、(メタ)アクリル酸または(メタ)アクリル酸ハロゲン化物とを反応させることにより製造できる。
【0011】
(1)2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾオキサゾールと(メタ)アクリル酸との反応条件、操作、手段、装置等については、特に限定されない。
反応温度は60〜130℃が好ましく、70〜100℃ がより好ましい。
反応圧力は常圧が好ましく、減圧、自生圧力、加圧等も好ましい。
該反応においては、重合禁止手段を採用するのが好ましい。たとえば酸素の導入、ヒドロキノン等の重合禁止剤の添加等が好ましい。該重合禁止剤は、反応前に添加してもよく、反応中に添加してもよい。
該反応は平衡反応であるため、副生する水を反応系外に分離除去することにより、化合物[I]を収率よく製造できる。
【0012】
該反応は、通常は無溶媒で実施することが好ましい。溶媒を用いる場合には、該反応が脱水反応であることから、活性水素を有しない、水より沸点の高い溶媒または水と共沸する溶媒を採用するのが好ましい。溶媒としては、ジオキサン、テトラヒドロフラン、グライム類等が好ましい。溶媒は脱水したものが好ましく、反応雰囲気も乾燥窒素等の無水雰囲気下が好ましい。
さらに、該反応は適当な触媒の存在下に行ってもよい。触媒としては、硫酸、硝酸、塩酸等の無機強酸、スルホン酸、カルボン酸等の有機酸、アルミニウム、チタン等の金属のアルコキシド等が好ましく挙げられる。触媒の使用量は、(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾオキサゾールの1モルに対して0.01〜0.2モルが好ましい。
該反応の反応様式としては、回分式、半連続式、連続式等が採用できる。得られた化合物[I]は、必要に応じて精製を行うことも好ましい。
【0013】
(2)2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾオキサゾールと(メタ)アクリル酸ハロゲン化物との反応条件、操作、手段、装置等については特に限定されない。
(メタ)アクリル酸ハロゲン化物としては(メタ)アクリル酸クロリドが好ましい。
反応温度は、−20〜100℃が好ましく、0〜40℃がより好ましい。反応圧力は常圧が好ましく、減圧、自生圧力、加圧等も好ましい。
該反応においても、上記(1)の2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾオキサゾールと(メタ)アクリル酸との反応と同様の、重合禁止手段を採用するのが好ましい。該反応は無溶媒でも進行するが、溶媒の存在下に実施してもよい。溶媒としては、テトラヒドロフラン、ジオキサン、塩化メチレン(ジクロロメタン)等が好ましく挙げられる。
また、反応においては副生する酸の捕捉剤としてアミン類を使用することが好ましい。該捕捉剤としてはピリジン、トリエチルアミン、N,N−ジメチルアニリン等が挙げられる。得られた化合物[I]は、必要に応じて精製を行うことも好ましい。
【0014】
<重合体>
化合物[I]を単独で、又は該化合物[I]と共重合可能なモノマーとともに重合させることにより、化合物[I]に基づく繰り返し単位を有し、蛍光発光性を示す重合体が得られる。
なお、本発明における「重合体」は、単一の単量体を重合させて得られる重合体(ホモポリマー)と、2種以上の単量体を共重合させて得られる共重合体(コポリマー)の両方を含む概念である。
【0015】
化合物[I]と共重合可能なモノマーは、化合物[I]と共重合可能な重合性基を有する化合物であればよく、特に制限されない。該化合物[I]と共重合可能な重合性基としては、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、アリル基等が挙げられる。
化合物[I]と共重合可能なモノマーの具体例として、下記のモノマー(A’)、(C’)、(D’)、(E’)、(F’)が挙げられる。
モノマー(A’):ポリフルオロアルキル基を有する(メタ)アクリレート。
モノマー(C’):アクリル酸由来のエステル結合以外のエステル結合および/または水酸基を有するとともに重合性基を有するモノマー。
モノマー(D’):イソシアネート基またはブロック化されたイソシアネート基を有するとともに、重合性基を有するモノマー。
モノマー(E’):炭素数10以上の直鎖アルキル基を有するとともに、重合性基を有するモノマー。
モノマー(F’):化合物[I]と共重合可能な重合性基を有し、モノマー(A’)、(C’)、(D’)、(E’)に含まれないモノマー。
【0016】
以下、モノマー(A’)、(C’)、(D’)、(E’)、(F’)に基づく繰り返し単位を、それぞれ繰り返し単位(A)、(C)、(D)、(E)、(F)という。また化合物[I]に基づく繰り返し単位を、繰り返し単位(B)という。
【0017】
本発明の重合体における、繰り返し単位(B)の含有量は0.1質量%以上であり、100質量%でもよい。より良好な蛍光発光性が得られる点からは、0.5質量%以上が好ましく、2質量%以上がより好ましい。
【0018】
<撥油性共重合体>
上記モノマー(A’)は撥油性の発現に寄与し、化合物[I]と共重合させるモノマーの一部または全部として、モノマー(A’)を用いると、蛍光発光性を示すとともに、撥油性を有する重合体(以下、撥油性共重合体ということもある。)が得られる。
該撥油性共重合体は、繰り返し単位(A)および繰り返し単位(B)を有し、好ましくは繰り返し単位(A)、(B)、(C)を有する。
撥油性共重合体は、繰り返し単位(C)の一部または全部として、水酸基を有する繰り返し単位を有するとともに、イソシアネート基またはブロック化されたイソシアネート基を有する繰り返し単位(D)を有することが好ましい。
撥油性共重合体はさらに繰り返し単位(E)を有することが好ましい。
【0019】
[繰り返し単位(A)]
ポリフルオロアルキル基を有する繰り返し単位(A)は、(メタ)アクリル酸のカルボキシ基の水素原子が、ポリフルオロアルキル基を有する基で置換された「ポリフルオロアルキル基を有する(メタ)アクリレート(A’)」から誘導される繰り返し単位である。
本発明における「ポリフルオロアルキル基」とは、エーテル性酸素原子またはチオエーテル性硫黄原子が含まれてもよいアルキル基の、水素原子の2個以上がフッ素原子に置換された基を意味する。
また(メタ)アクリレートとは、アクリレートおよびメタクリレートの一方または両方を含む概念である。
【0020】
「ポリフルオロアルキル基を有する(メタ)アクリレート(A’)」としては、下式〔1〕で表される化合物が好ましい。式中、Rf はポリフルオロアルキル基、Q’は2価の有機基、Rは水素原子またはメチル基を示す。
なお下式〔1〕における「Rf−Q’−」において、フッ素原子と結合している炭素原子は全てRfに含まれるものとし、残りの炭素原子のうちQ’に含まれる炭素原子の数が最大となるように「Rf」および「Q’」を決めるものとする。
例えば「Rf−Q’−」が「CF2 H−CH2 −CH(OH)−CH2−」である場合、「Rf」は「CF2 H−」であり「−Q’−」は「−CH2 −CH(OH)−CH2−」であるものとする。
【0021】
【化2】

【0022】
f の炭素原子数は2〜20が好ましく、4〜16がより好ましい。Rf は、直鎖構造でも分岐構造でもよく、直鎖構造がより好ましい。分岐構造の場合には、分岐部分がRf の末端部分に存在し、かつ分岐部分の炭素原子数が1〜4程度の短鎖が好ましい。Rf の末端部分の構造としては、CF3 CF2 −、(CF32 CF−、CF2 H−、CFH2 −等が挙げられ、CF3 CF2 −が好ましい。
【0023】
f におけるフッ素原子の数は、[(Rf 中のフッ素原子数)/(Rf と同一炭素原子数のアルキル基中に含まれる水素原子数)]×100(%)で表現した場合に、60%以上が好ましく、80%以上がより好ましく、100%が最も好ましい。100%の場合のRf をペルフルオロアルキル基という。
【0024】
f がペルフルオロアルキル基の場合、Rf の炭素原子数は2〜20が好ましく、4〜16がより好ましい。該炭素原子数が上記の範囲内であると、上記式〔1〕で表される化合物からなるモノマーの重合性、重合後の溶液安定性がよく、撥油性処理液の初期撥油性と撥油持久性に優れる。
【0025】
f がペルフルオロアルキル基の場合、Rf の具体例としては、以下の基(構造異性の基を含む。)等が挙げられる。
49 −:F(CF24 −、(CF32 CFCF2 −、(CF33 C−、CF3 CF2 (CF3 )CF−等。
511−:F(CF25 −等。
613−:F(CF26 −等。
715−:F(CF27 −、(CF32 CF(CF24 −等。
817−:F(CF28 −等。
919−:F(CF29 −、(CF32 CF(CF26 −等。
1021−:F(CF210−等。
1225−:F(CF212−等。
1327−:(CF32 CF(CF28 −等。
1429−:F(CF214−等。
1633−:F(CF216−等。
【0026】
f が、エーテル性酸素原子またはチオエーテル性硫黄原子を有するペルフルオロアルキル基である場合の具体例としては、以下の基が挙げられる。ただし、kは1〜5の整数を示す。
F(CF2k OCF(CF3 )−、
F(CF2 CF2 O)k CF2 CF2 −、
F(CF2 CF2 CF2 O)k CF2 CF2 −、
F[CF(CF3 )CF2 O]k CF(CF3 )−、
F[CF(CF3 )CF2 O]k CF(CF3 )CF2 CF2 −、
F(CF2k SCF(CF3 )−、
F(CF2 CF2 S)k CF2 CF2 −、
F(CF2 CF2 CF2 S)k CF2 CF2 −、
F[CF(CF3 )CF2 S]k CF2 CF2 −、
F[CF(CF3 )CF2 S]k CF(CF3 )CF2 CF2 −等。
【0027】
f としては、直鎖状のペルフルオロアルキル基がより好ましく、具体的には、F(CF24 −、F(CF25 −、F(CF26 −、F(CF27 −、F(CF28 −、F(CF29 −、F(CF210−、F(CF211−、F(CF212−が特に好ましい。
【0028】
上記式〔1〕におけるQの例としては、以下の基が挙げられる。ただし、R は水素原子またはアルキル基を示し、pおよびqはそれぞれ独立して0または1以上の整数を示し、p+qは1〜22の整数である。
−(CH2p+q −、
−(CH2p CONRa (CH2q −、
−(CH2p OCONRa (CH2q −、
−(CH2p SO2 NRa (CH2q −、
−(CH2p NHCONH(CH2q −、
−(CH2p CH(OH)(CH2q −、
−(CH2p CH(OCORa )(CH2q −等。
これらのうちで、−(CH2p+q −、−(CH2p CONRa (CH2q −または−(CH2p SO2 NRa (CH2q −(pは0または1以上の整数、qは2以上の整数を示し、p+qは2〜6である。)がより好ましく、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンタメチレン基またはヘキサメチレン基が最も好ましい。
【0029】
「ポリフルオロアルキル基を有する(メタ)アクリレート」としての、ペルフルオロ(メタ)アクリレートは、以下の化合物が好ましい。ただし、Rは水素原子またはメチル基を示す。
F(CF24 CH2 OCOCR=CH2 〔1−1〕、
F(CF25 CH2 OCOCR=CH2 〔1−2〕、
H(CF24 CH2 OCOCR=CH2 〔1−3〕、
H(CF26 CH2 OCOCR=CH2 〔1−4〕、
H(CF28 CH2 OCOCR=CH2 〔1−5〕、
H(CF210CH2 OCOCR=CH2 〔1−6〕、
H(CF28 CH2 CH2 OCOCR=CH2 〔1−7〕、
F(CF24 CH2 CH2 OCOCR=CH2 〔1−8〕、
F(CF26 CH2 CH2 OCOCR=CH2 〔1−9〕、
F(CF28 CH2 CH2 OCOCR=CH2 〔1−10〕、
F(CF29 CH2 CH2 OCOCR=CH2 〔1−11〕、
F(CF210CH2 CH2 OCOCR=CH2 〔1−12〕、
F(CF212CH2 CH2 OCOCR=CH2 〔1−13〕、
F(CF214CH2 CH2 OCOCR=CH2 〔1−14〕、
F(CF216CH2 CH2 OCOCR=CH2 〔1−15〕、
F(CF28 (CH23 OCOCR=CH2 〔1−16〕、
F(CF28 (CH24 OCOCR=CH2 〔1−17〕、
(CF32 CF(CF24 CH2 CH2 OCOCR=CH2 〔1−18〕、
(CF32 CF(CF26 CH2 CH2 OCOCR=CH2 〔1−19〕、
(CF32 CF(CF28 CH2 CH2 OCOCR=CH2 〔1−20〕、
(CF32 CF(CF25 (CH23 OCOCR=CH2 〔1−21〕、
(CF32 CF(CF25 CH2 CH(OH)CH2 OCOCR=CH2 〔1−22〕、
(CF32 CF(CF27 CH2 CH(OH)CH2 OCOCR=CH2 〔1−23〕、
(CF32 CF(CF25 CH2 CH(OCOCH3 )OCOCR=CH2 〔1−24〕、
F(CF28 SO2 N(CH3 )CH2 CH2 OCOCR=CH2 〔1−25〕、 F(CF28 SO2 N(C25 )CH2 CH2 OCOCR=CH2 〔1−26〕、
F(CF28 SO2 N(C37 )CH2 CH2 OCOCR=CH2 〔1−27〕、
F(CF28 CONHCH2 CH2 OCOCR=CH2 〔1−28〕。
ペルフルオロ(メタ)アクリレートとしては、〔1−1〕〜〔1−28〕のうち、〔1−3〕〜〔1−15〕がより好ましく、〔1−8〕〜〔1−13〕が最も好ましい。
【0030】
1分子の撥油性共重合体に含まれる繰り返し単位(A)は1種でもよく、2種以上でもよい。繰り返し単位(A)を誘導するモノマー(A’)は市販品から入手可能である。
撥油性共重合体を構成する全繰り返し単位のうち、繰り返し単位(A)の占める割合は、50質量%以上99.9質量%未満であり、撥油性処理液の初期撥油性と撥油持久性の点から70質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましい。また共重合体の溶媒への溶解性の点から99質量%以下が好ましく、95質量%以下がより好ましい。
【0031】
[繰り返し単位(B)]
撥油性共重合体を構成する全繰り返し単位のうち、化合物[I]に基づく繰り返し単位(B)の占める割合は、0.1質量%以上50質量%未満であり、より良好な蛍光発光性が得られる点からは、0.5質量%以上が好ましく、2質量%以上がより好ましい。上限は他の繰り返し単位とのバランスを考慮して設定できる。共重合体の溶媒への溶解性の点からは10質量%以下が好ましく、6質量%以下がより好ましい。
【0032】
[繰り返し単位(C)]
繰り返し単位(C)は、アクリル酸由来のエステル結合以外のエステル結合および水酸基から選ばれる極性基を有するとともに、重合性基を有するモノマー(C’)から誘導される。
「アクリル酸由来のエステル結合」とは、具体的に、アクリル酸(CH=CHCOOH)のカルボキシ基(−COOH)由来のエステル結合(−COO−)、またはメタクリル酸(CH=C(CH)COOH)のカルボキシ基(−COOH)由来のエステル結合(−COO−)である。
重合性基は特に限定されないが、(メタ)アクリロイル基が共重合性の観点から好ましい。すなわち、繰り返し単位(C)は、(メタ)アクリル酸のカルボキシ基の水素原子が、アクリル酸由来のエステル結合以外のエステル結合および/または水酸基を有する基で置換された「アクリル酸由来のエステル結合以外のエステル結合および/または水酸基を有する(メタ)アクリレート」から誘導されることが好ましい。
【0033】
水酸基を有する(メタ)アクリレートとしては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリオキシアルキレンモノ(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレンモノ(メタ)アクリレート、ポリオキシプロピレンモノ(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンモノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0034】
アクリル酸由来のエステル結合以外のエステル結合を有する(メタ)アクリレートとしては、α−メタクリロキシ−γ−ブチロラクトン(以下、GBLMAと略記することもある。)等が挙げられる。
アクリル酸由来のエステル結合以外のエステル結合と水酸基の両方を有する(メタ)アクリレートとしては、2−アクリロイルオキシエチル−2−ヒドロキシエチル−フタル酸、モノ(メタクリロイルオキシエチル)コハク酸、および下記式(i)で表される「2−ヒドロキシエチルメタクリレートでε−カプロラクトンを開環して1〜10モル付加したモノマー(商品名:プラクセル、ダイセル化学社製)等が挙げられる。
【0035】
【化3】

【0036】
1分子の撥油性共重合体に含まれる繰り返し単位(C)は1種でもよく、2種以上でもよい。繰り返し単位(C)を誘導するモノマー(C’)は市販品から入手可能である。
撥油性共重合体を構成する全繰り返し単位のうち、繰り返し単位(C)の占める割合は、0.5〜20質量%が好ましく、2〜10質量%がより好ましい。上記範囲の下限値以上であると、得られる撥油膜が耐久性に優れ、上限値以下であると共重合体の溶媒への溶解性に優れる。
また、撥油性共重合体に極性基を有する繰り返し単位(C)を含有させると、該極性基が基材と相互作用することにより、基材と撥油膜との密着性を向上できると考えられる。例えば基材が金属である場合は極性基の酸素原子が相互作用に寄与し、基材がプラスチックの場合はエステル基が相互作用に寄与して、撥油膜と基材との密着性が向上すると考えられる。
【0037】
[繰り返し単位(D)]
繰り返し単位(D)は、イソシアネート基またはブロック化されたイソシアネート基を有するとともに、重合性基を有するモノマー(D’)から誘導される。
重合性基は特に限定されないが、(メタ)アクリロイル基が共重合性の観点から好ましい。すなわち繰り返し単位(D)は、(メタ)アクリル酸のカルボキシ基の水素原子が、イソシアネート基またはブロック化されたイソシアネート基を有する基で置換された「イソシアネート基またはブロック化されたイソシアネート基を有する(メタ)アクリレート」から誘導されることが好ましい。
イソシアネート基を有する(メタ)アクリレートとしては、2−イソシアネートエチル(メタ)アクリレート、1,3,3−トリメチル−4−イソシアネートシクロヘキシルメチルアミドオキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
前記イソシアネート基のブロック化に用いられるブロック化剤としては、2−ブタノンオキシム、シクロヘキサノンオキシム、ε−カプロラクタム、アセト酢酸エチル、アセチルアセトン、フェノール、メタノール、ジエチルマロネート、重亜硫酸塩、ピラゾール、3−メチルピラゾール、3,5−ジメチルピラゾール、インダゾール等が挙げられる。これらブロック化剤のうち、安定性に優れ、反応性に優れることから、2−ブタノンオキシム、アセト酢酸エチル、ジエチルマロネート、ピラゾール、3−メチルピラゾール、3,5−ジメチルピラゾールがより好ましく、2−ブタノンオキシム、3−メチルピラゾール、3,5−ジメチルピラゾールが最も好ましい。
【0038】
撥油性共重合体に繰り返し単位(D)を存在させる場合、該撥油性共重合体を構成する繰り返し単位(C)の一部または全部として、水酸基を有する繰り返し単位(C1)を用いる。該繰り返し単位(C1)は少なくとも水酸基を有していればよく、水酸基を有するとともにアクリル酸由来のエステル結合以外のエステル結合を有していてもよい。繰り返し単位(C1)と繰り返し単位(D)とは反応すると考えられる。
1分子の撥油性共重合体に含まれる繰り返し単位(D)は1種でもよく、2種以上でもよい。繰り返し単位(D)を誘導するモノマー(D’)は市販品から入手可能である。
撥油性共重合体に繰り返し単位(D)を存在させる場合は、該撥油性共重合体を構成する全繰り返し単位のうち、繰り返し単位(D)の占める割合は、0.1〜5質量%が好ましく、0.5〜2質量%がより好ましい。上記範囲の下限値以上であると得られる撥油膜が耐久性に優れ、上限値以下であると共重合体溶液の保存安定性に優れる。
またこの場合、撥油性共重合体を構成する全繰り返し単位のうち、水酸基を有する繰り返し単位(C1)の占める割合は0.1〜20質量%が好ましく、0.5〜10質量%がより好ましい。上記範囲の下限値以上であると得られる撥油膜が耐久性に優れ、上限値以下であると共重合体溶液の保存安定性に優れる。
【0039】
[繰り返し単位(E)]
繰り返し単位(E)は、炭素数10以上の直鎖アルキル基を有するとともに、重合性基を有するモノマー(E’)から誘導される。本発明において、繰り返し単位(E)は、該炭素数10以上の直鎖アルキル基のほかに、ポリフルオロアルキル基、蛍光発光性官能基、アクリル酸由来のエステル結合以外のエステル結合、水酸基、イソシアネート基、およびブロック化されたイソシアネート基からなる群から選ばれる1種以上を有する繰り返し単位を含まないものとする。
繰り返し単位(E)の重合性基は特に限定されないが、(メタ)アクリロイル基が共重合性の観点から好ましい。すなわち繰り返し単位(E)は、(メタ)アクリル酸のカルボキシ基の水素原子が、炭素数10以上の直鎖アルキル基を有する基で置換された「炭素数10以上の直鎖アルキル基を有する(メタ)アクリレート」から誘導されることが好ましい。
【0040】
繰り返し単位(E)における直鎖アルキル基の炭素数の上限は特に制限されないが、入手性の点からは25以下が好ましい。該直鎖アルキル基の炭素数は、10〜20が好ましく、14〜20がより好ましい。
1分子の撥油性共重合体に含まれる繰り返し単位(E)は1種でもよく、2種以上でもよい。繰り返し単位(E)を誘導するモノマー(E’)は市販品から入手可能である。
撥油性共重合体に繰り返し単位(E)を存在させる場合は、該撥油性共重合体を構成する全繰り返し単位のうち、繰り返し単位(E)の占める割合は、0.1〜5質量%が好ましく、0.5〜2質量%がより好ましい。上記範囲の下限値以上であると成膜性に優れ、上限値以下であると撥油性が良好に発現できる。
【0041】
撥油性共重合体の質量平均分子量(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリメチルメタクリレート換算分子量、以下同様。)は、1万〜50万が好ましく、3万〜10万がより好ましい。上記範囲の下限値以上であると得られる撥油膜が耐久性に優れ、上限値以下であると溶媒への溶解性に優れる。
【0042】
<撥油性を有しない共重合体>
化合物[I]と、モノマー(C’)〜(F’)から選ばれる1種以上を共重合させると蛍光発光性を有し、撥油性を有しない共重合体が得られる。かかる共重合体の質量平均分子量は、特に制限されないが、一般的には1万〜50万程度である。
【0043】
モノマー(F’)の例として、以下の化合物が挙げられる。
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ノルボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フルフリル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ポリオキシアルキレン(メタ)アクリレート、3−(トリメトキシシリル)プロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート類;(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−tert−ブチル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、オクタン酸ビニル、ドデカン酸ビニル、ステアリン酸ビニル等のビニルエステル類;ヘキサン酸アリル、ヘプタン酸アリル、オクタン酸アリル等のアリルエステル類;ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン等のビニル化合物類;スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン等のスチレン類;フッ化ビニル、エチレン、プロピレン、ブテン、ブタジエン、イソプレン等のオレフィン類;塩化ビニル、臭化ビニル、フッ化ビニリデン、塩化ビニリデン等のハロゲン化オレフィン類等。これらは1種でもよく2種以上を併用してもよい。
【0044】
<重合体の製造方法>
本発明の重合体の製造方法は、重合開始剤の存在下、溶媒中にてモノマー原料を重合させる工程を有する。
[重合開始剤]
本発明の重合体を製造する際の重合方法は、イオン重合法、ラジカル重合法等の重合方法を用いることができ、重合開始剤も公知のものから適宜選択して用いることができる。
特に、重合開始剤としてラジカル開始剤を用いて穏和な条件で重合できる点で、ラジカル重合法が好ましい。ラジカル重合は、具体的に懸濁重合、溶液重合、バルク重合、乳化重合等の重合方法を用いて行うことができる。
ラジカル開始剤としては、水溶性開始剤または油溶性開始剤を重合方法に応じて使用できる。例えば、乳化重合においては開始剤として水溶性過酸化物が好ましく用いられる。水溶性過酸化物の具体例としては、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、ジコハク酸ペルオキシド等が挙げられる。懸濁重合、溶液重合またはバルク重合においては、開始剤として非フッ素系過酸化物、フッ素系過酸化物、アゾ化合物が好ましく用いられる。
これらの開始剤の具体例としては、ジイソプロピルペルオキシジカーボネート、ベンゾイルペルオキシド、ペルフルオロブタン酸ペルオキシド、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)等が好ましく用いられる。
【0045】
[重合溶媒]
重合反応に用いる溶媒としては、(X1)ハロゲン化合物、(X2)炭化水素、(X3)ケトン、(X4)エステル、(X5)エーテル等が挙げられる。
(X1)ハロゲン化合物としては、(X11)ハロゲン化炭化水素、(X12)ハロゲン化エーテル等が挙げられる。
(X11)ハロゲン化炭化水素としては、(X111)ハイドロクロロフルオロカーボン、(X112)ハイドロフルオロカーボン、(X113)含フッ素アルコール、(X114)ハイドロブロモカーボン、(X115)ペルフルオロアルキルアミン等が挙げられる。
(X111)ハイドロクロロフルオロカーボンとしては、以下の化合物が挙げられる。
CH3 CCl2 F、
CHCl2 CF2 CF3
CHClFCF2 CClF2 等。
【0046】
(X112)ハイドロフルオロカーボンとしては、以下の化合物が挙げられる。
CHF2 CF2 CF2 CF2 CF3
CF3 CF2 CF2 CHFCF3
CHF2 CF2 CF2 CF2 CHF2
CF3 CHFCHFCF2 CF3
CF3 CHFCF2 CH2 CF3
CF3 CF(CF3 )CH2 CHF2
CF3 CH(CF3 )CH2 CF3
CF3 CH2 CF2 CH2 CF3
CHF2 CHFCF2 CHFCHF2
CHF2 CF2 CF2 CHFCH3
CF3 CH2 CH2 CH2 CF3
CHF2 CH2 CF2 CH2 CHF2
CF3 (CF24 CHF2
CF3 (CF24 CH2 F、
CF3 CF2 CF2 CF2 CH2 CF3
CHF2 CF2 CF2 CF2 CF2 CHF2
CF3 CH(CF3 )CHFCF2 CF3
CF3 CF2 CH2 CH(CF3 )CF3
CF3 CH2 CF2 CF2 CH2 CF3
CF3 CF2 CH2 CH2 CF2 CF3
CF3 CF2 CF2 CF2 CH2 CH3
CF3 CF2 CF2 CF2 CF2 CF2 CH2 CH3
CF3 CH(CF3 )CH2 CH2 CF3
CHF2 CF2 CH2 CH2 CF2 CHF2
CF3 CF2 CF2 CH2 CH2 CH3
1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタン等。
【0047】
(X113)含フッ素アルコールとしては、トリフルオロエタノール、2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−1−プロパノール、2−(ペンタフルオロブチル)エタノール、2−(ペルフルオロエキシシル)エタノール、2−(ペルフルオロヘキシル)エタノール、2−(ペルフルオロオクチル)エタノール、2−(ペルフルオロデシル)エタノール、2−(ペルフルオロ−3−メチルブチル)エタノール、1H,1H,3H−テトラフルオロ−1−プロパノール、1H,1H,5H−オクタフルオロ−1−ヘプタノール、1H,1H,9H−ヘキサデカフルオロ−1−ノナノール、2H−ヘキサフルオロ−2−2−プロパノール、1H,1H,3H−ヘキサフルオロ−2−ブタノール等が挙げられる。
【0048】
(X114)ハイドロブロモカーボンとしては、以下の化合物が挙げられる。
CH2 Br2
CH2 BrCH2 CH3
CH3 CHBrCH3
CH2 BrCHBrCH3 等。
【0049】
(X115)ペルフルオロアルキルアミンとしては、以下の化合物が挙げられる。
(CF3 CF2 CF23 N、((CF32 CF)3 N、(CF3 CF2 CF2 CF23 N等。
【0050】
(X12)ハロゲン化エーテルとしては、(X121)ハイドロフルオロエーテルが挙げられる。
(X121)ハイドロフルオロエーテルとしては、(X1211)分離型ハイドロフルオロエーテル、(X1212)非分離型ハイドロフルオロエーテルが挙げられる。(X1211)分離型ハイドロフルオロエーテルとは、エーテル性酸素原子を介してペルフルオロアルキル基またはペルフルオロアルキレン基、および、アルキル基またはアルキレン基が結合している化合物である。(X1212)非分離型ハイドロフルオロエーテルとは、部分的にフッ素化されたアルキル基またはアルキレン基を含むハイドロフルオロエーテルである。
【0051】
(X1211)分離型ハイドロフルオロエーテルとしては、以下の化合物が挙げられる。
CF3 CF2 CF2 OCH3
(CF32 CFOCH3
CF3 CF2 CF2 OCH2 CH3
CF3 CF2 CF2 CF2 OCH3
(CF32 CFCF2 OCH3
(CF33 COCH3
CF3 CF2 CF2 CF2 OCH2 CH3
(CF3 )CFCF2 OCH2 CH3
(CF33 COCH2 CH3
CF3CF2CF(OCH3 )CF(CF32
CF3CF2CF(OCH2 CH3 )CF(CF32
511OCH2 CH3
CF3 CF2 CF(OCH3 )CF(CF32
CF3 CF2 CF2 CF(OCH2 CH3 )CF(CF32
CH3 O(CF24 OCH3
CH3 OCF2 CF2 OCH2 CH3
37 OCF(CF3 )CF2 OCH3
F(CF2n OCH3 (nは6〜10である。)等。
【0052】
(X1212)非分離型ハイドロフルオロエーテルとしては、以下の化合物が挙げられる。
CHF2 OCF2 OCHF2
CH2 FCF2 OCHF2
CF3 CF2 CF2 OCH2 F、
CF3 CF2 OCH2 CHF2
CHF2 CF2 OCH2 CF3
CHF2 CF2 CH2 OCF3
CF3 CF2 CH2 OCHF2
CHF2 CF2 OCH2 CHF2
CF3 CH2 OCF2 CH2 F、
CF3 CH2 OCF2 CHF2
CHF2 CF2 CF2 OCH3
CHF2 CF2 CH2 OCH3
CF3 CF2 CF2 OCH2 CF3
CF3 CF2 CH2 OCF2 CF3
CF3 CF2 CF2 OCH2 CHF2
CF3 CF2 CH2 OCF2 CHF2
CHF2 CF2 CH2 OCF2 CF3
CHF2 CF2 CH2 OCF2 CHF2
CF3 CHFCF2 CH2 OCF3
CF3 CHFCF2 CH2 OCHF2
CF3 CF2 CF2 CH2 OCH3
(CF32 CHCF2 OCH3
CF3 CF2 CF2 OCH2 CF2 CF3
CF3 CF2 CF2 OCH2 CF2 CHF2
CF3 CF2 CF2 CF2 OCF2 CHF2
CF3 (CF25 OCHF2
CHF2 OCF2 CF2 OCHF2
CHF2 OCF2 OCF2 CF2 OCHF2
CHF2 OCF2 OCF2 OCF2 OCHF2 等。
【0053】
(X2)炭化水素としては、(X21)脂肪族炭化水素、(X22)脂環式炭化水素、(X23)芳香族炭化水素等が挙げられる。
(X21)脂肪族炭化水素としては、ペンタン、2−メチルブタン、3−メチルペンタン、ヘキサン、2,2−ジメチルブタン、2,3−ジメチルブタン、ヘプタン、オクタン、2,2,4−トリメチルペンタン、2,2,3−トリメチルヘキサン、デカン、ウンデカン、ドデカン、2,2,4,6,6−ペンタメチルヘプタン、トリデカン、テトラデカン、ヘキサデカン等が挙げられる。
(X22)脂環式炭化水素としては、シクロペンタン、メチルシクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン等が挙げられる。
(X23)芳香族炭化水素としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等が挙げられる。
【0054】
(X3)ケトンとしては、アセトン、メチルエチルケトン、2−ペンタノン、3−ペンタノン、2−ヘキサノン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン等が挙げられる。
(X4)エステルとしては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プチル、プロピオン酸メチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ペンチル等が挙げられる。
(X5)エーテルとしては、ジイソプロピルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、シクロペンチルメチルエーテル等が挙げられる。
【0055】
撥油性共重合体を製造する場合、溶媒としては、溶解性の点から、(X111)ハイドロクロロフルオロカーボン、(X112)ハイドロフルオロカーボン、(X121)ハイドロフルオロエーテル、(X3)ケトン、(X4)エステル、(X5)エーテルが好ましく、CH3 CCl2 F、CHCl2 CF2 CF3 、CHClFCF2 CClF2 、CH2 FCF2 OCHF2 、CF3 CF2 CF2 OCH2 F、CF3 CF2 OCH2 CHF2 、CHF2 CF2 OCH2 CF3 、CHF2 CF2 CH2 OCF3 、CF3 CF2 CH2 OCHF2 、CHF2 CF2 OCH2 CHF2 、CF3 CH2 OCF2 CH2 F、CF3 CH2 OCF2 CHF2 、CHF2 CF2 CF2 OCH3 、CF3 CF2 CF(OCH3 )CF(CF32 、CF3 (CF24 CHF2 、CF3 (CF24 CH2 F、CF3 (CF25 OCH3 、CF3 CF2 CF2 CF2 CF2 CF2 CH2 CH3 、1,1,2,2,3,3,4-ヘプタフルオロシクロペンタン、アセトン、メチルエチルケトン、3−ペンタノン、シクロペンタノン、酢酸エチル、酢酸ブチル、テトラヒドロフラン、シクロペンチルメチルエーテルがより好ましい。該溶媒であると、重合体の溶解性と溶液状での保存安定性に優れる。溶媒は、単独でも2種以上の混合溶媒でもよい。
撥油性共重合体を製造する場合に、重合溶媒中でモノマーを重合反応させることにより、生成した撥油性共重合体と重合溶媒を含む反応溶液が得られる。
【0056】
<撥油性処理液>
撥油性共重合体は、該撥油性共重合体と含フッ素溶媒を含有する撥油性処理液の形態で、撥油膜を形成する用途に用いることが好ましい。
該含フッ素溶媒としては、上記重合溶媒の例として挙げた(X111)ハイドロクロロフルオロカーボン、(X112)ハイドロフルオロカーボン、(X113)含フッ素アルコール、(X121)ハイドロフルオロエーテル、およびペルフルオロカーボンを好適に用いることができる。
これらの中でより好ましいものは、上記に挙げた重合溶媒としてより好ましいものと同じである。またペルフルオロカーボンも好ましい。
撥油性処理液に含フッ素溶媒を含有させると、撥油性共重合体の溶解性に優れ、撥油性処理液の保存安定性に優れる。含フッ素溶媒は、単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
【0057】
撥油性処理液は、重合反応後に得られた反応溶液を、含フッ素溶媒で希釈することにより得ることができる。反応溶液中の重合溶媒と、希釈に用いる含フッ素溶媒とは同じであってもよく異なっていてもよい。
または、重合反応後に得られた反応溶液から、いったん再沈等で撥油性共重合体を回収し、これを含フッ素溶媒を含む溶媒に再溶解する方法で撥油性処理液を調製してもよい。
【0058】
撥油性処理液における溶媒の含有割合は、撥油性処理液の100質量%に対して、80〜99.9質量%が好ましく、90〜99.9質量%がより好ましい。該範囲内であると、撥油性処理液の保存安定性に優れ、1度の塗工で膜を形成できる点で好ましい。
撥油性処理液中の溶媒には、含フッ素溶媒以外の他の溶媒が含まれていてもよい。撥油性処理液中の溶媒のうち含フッ素溶媒の占める割合は60質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましく、100質量%が最も好ましい。
【0059】
<撥油膜>
撥油性共重合体を用いて撥油膜を形成する際、具体的には、撥油性処理液を基材に塗布し、溶媒を蒸発させて膜を形成する。塗布方法としては、スプレー、ディップ、刷毛塗り、ポッティング、スピン等が挙げられる。
また、スプレー缶のような携帯型の塗装剤またはインクに撥油性処理液を混ぜて、基板に塗布してもよい。
【0060】
撥油膜を形成する際に、撥油性処理液中の溶媒を乾燥させるとともに、膜の硬化を促進させるために加熱することが好ましい。加熱の温度は70〜180℃が好ましく、80〜150℃がより好ましい。加熱の時間は30分間以上が好ましい。繰り返し単位(D)がブロック化されたイソシアネート基を有する場合は、該ブロック化剤が解離する温度以上に加熱する。
加熱条件を上記の範囲とすると、官能基の硬化性に優れ、膜が良好に硬化し、基材との化学結合、アンカー結合が促進され、撥油性に優れる撥油膜が得られる。
【0061】
撥油性処理液を用いて形成された撥油膜は、膜形成成分である撥油性共重合体が蛍光発光性官能基を備えており視認性に優れている。
例えば、撥油性共重合体中の蛍光発光性官能基が感度を有する波長の光線を撥油膜に照射して、該蛍光発光性官能基を蛍光発光させることにより、視認性が得られる。
【0062】
特に、撥油性共重合体にポリフルオロアルキル基を有する繰り返し単位(A)、蛍光発光性官能基を有する繰り返し単位(B)、および極性基を有する繰り返し単位(C)を含有させると、基板との密着性が良好な撥油膜が得られる。
また、撥油性共重合体において、繰り返し単位(C)の一部または全部を水酸基を有する繰り返し単位とし、さらにイソシアネート基またはブロック化されたイソシアネート基を有する繰り返し単位(D)を導入することにより、膜形成時に繰り返し単位(C)と繰り返し単位(D)とを架橋させて、より溶剤が染み込み難い膜とし、耐久性をさらに向上させることができる。
また、撥油性共重合体に、さらに炭素数10以上の直鎖アルキル基を有する繰り返し単位(E)を導入すると、膜の動的撥油性が向上する。動的撥油性が高いと、例えば有機溶剤に漬けて引き上げた場合に有機溶剤が滑り落ちやすく膜の上に残り難い、といった利点が得られる。
【0063】
<用途>
撥油性処理液からなる膜は、例えば以下の用途に好適である。
軸受けのオイルシール;LEDバックライト冷却用ファンモータFDBオイルシール;プリント基板のオイル拡散防止;半導体基板またはウェハー等の半導体の工程内製品の防湿、防汚、耐食;マイクロベアリングの潤滑グリース漏出防止;マイクロモーター潤滑剤オイルの拡散防止;時計部品のオイル拡散防止;各種レンズ摺動部のオイル拡散防止;磁気ヘッドの汚れ付着防止;フラックス這い上がり防止;HDDボイスコイルモータの潤滑;顕微鏡レンズの防汚、防湿;鏡の防汚;ディスプレイ画面の防汚;露光マスクやフォトマスクの防汚、防湿、離型;眼鏡レンズの防汚、防湿;カメラ用レンズの防汚、防湿;窓材等の光学部品の防汚、耐食、防湿;カメラまたは携帯電話等の差圧調整用フィルターの防汚、撥油;掃除機用のエアフィルター濾材の防汚;車載用通気性フィルター等の通気性フィルターの撥油、防汚;ロールベルト、プリンターロール、回転ローラー、モーターファン等回転部品の潤滑、防汚、撥油、防水;マイクロリアクター流路、スライド式バブル装置、モールド等のデバイスの防汚、防水、離型、表面改質;レンジフード、ガスコンロ、ガスレンジ油飛散防止シート等のキッチン周り用品の防汚、撥油、防水;排ガスフィルターの撥油、防汚;リード線の防湿、防錆;ベアリング、歯車の撥油、防汚;塗工ヘッドのノズルの防汚、撥油、防水;筆記用具用部材の防汚、撥油;カーペットの撥水撥油、防汚;フィラメントの防錆、防水;衣料品の撥水撥油;ショーウィンドウの防汚、撥油;インクジェット用紙の撥油;化粧品の表面改質;インクジェットノズルの防汚、撥油;金属プレートの防汚、撥油;食用包装材封止材の撥水撥油;インジケーターの防汚;燃料電池用分離膜の撥油、防汚;絶縁スペーサーの撥油;フィルムグローブの防汚、防水;燃料タンクの防汚、撥油;墓石または石碑等の石材の防汚、撥水撥油;壁材、建築材料、木材、タイル等の防汚、撥水撥油。
【実施例】
【0064】
以下本発明について、実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらに限定されない。
[実施例1]
<2−(2−メタクリロイルオキシフェニル)ベンゾオキサゾールの合成例>
2−(2−メタクリロイルオキシフェニル)ベンゾオキサゾールは式(I)のRがメチル基である化合物に該当する。
まず、撹拌機、滴下ロートを備えた反応器(内容積50mL、ガラス製)に、2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾオキサゾール(3.01g)、酸捕捉剤としてトリエチルアミン(2.16g)、重合禁止剤としてヒドロキノン(0.01g)、および溶媒としてジクロロメタン(20mL)を投入して撹拌した。つづいて反応器を氷浴に入れて内温が10℃以下になるようにメタクリル酸クロリド(1.90g)を滴下し、さらに3時間攪拌した。
得られた反応粗液を分液ロートに移し、水20mLで2回洗浄した。ジクロロメタン層の溶媒を減圧留去して粗生成物を得た。これをシリカゲルカラムにより精製し、2−(2−メタクリロイルオキシフェニル)ベンゾオキサゾールの2.16gを得た。収率は54%であった。H−NMRおよびFT−IRの測定結果を以下に示す。
H−NMR(溶媒:CDCl)δ(ppm):2.17(3H、s、−CH)、5.83(1H、s、transC=CH)、6.46(1H、s、cisC=CH)、7.26−8.34(8H、m、Ar−H)。
FT−IR(KBr)ν(cm−1):1731(C=O)。
また可視紫外吸収スペクトル(溶媒:ジクロロペンタフルオロプロパン)を測定したところ、波長294nmに吸収ピークが認められた。
【0065】
[製造例1〜7:撥油性処理液の調製]
実施例1で得られた化合物[I]、および表1に示すモノマーA’、C’〜E’を用いて撥油性共重合体を製造し、該撥油性共重合体を含む撥油性処理液を調製した。
すなわち、30mLのガラス製重合用アンプルに、表2に示す仕込み量の各モノマー、開始剤としてジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)の0.12g、溶媒としてHCFCFOCHCF(旭硝子株式会社製、商品名AE−3000。)の14gを入れた。アンプル内部のガスを窒素ガスで置換した後、密閉し、60℃の湯浴中で16時間保持し、共重合体を含む反応溶液を得た。得られた反応溶液を上記AE−3000で希釈して共重合体の濃度が0.5質量%の撥油性処理液1〜7を得た。
各撥油性処理液中の撥油性共重合体の質量平均分子量(MW)を表2に合わせて示す。
【0066】
【表1】

【0067】
表1に示したモノマーA’は、ペルフルオロヘキシルエチルメタクリレートである。
モノマーC’において、M1はα−メタクリロキシ−γ−ブチロラクトン(GBLMA)、M3は2−ヒドロキシエチルメタクリレート、M4は4−ヒドロキシブチルアクリレート、M5は1,4−シクロヘキサンジメタノールモノアクリレートである。
モノマーD’は、イソシアネート基が3,5−ジメチルピラゾールでブロック化された2−イソシアネートエチルメタクリレートである。
モノマーE’は、ステアリルメタクリレートである。
【0068】
【表2】

【0069】
製造例1〜7で得られた撥油性処理液1〜7をそれぞれ用いて撥油膜を形成し、該撥油膜の視認性および撥油性の耐久性評価を、以下に示す方法に従って行った。評価結果を表3に示す。
【0070】
[SUS試験板の作成]
洗浄済みのSUS板を基材として用い、その上に撥油性処理液をスピンコート法にて、500rpmの条件で20秒間塗布した。この後、120℃にて60分間加熱処理して撥油膜を形成し、SUS試験板を得た。
[樹脂試験板の作成]
洗浄済みの樹脂フィルム(液晶ポリマーフィルム、製品名:べクスター、クラレ社製)をガラス板上に貼り付けたものを基材とした。該基材の樹脂フィルム上に撥油性処理液をスピンコート法にて、500rpmの条件で20秒間塗布した後、120℃にて60分間加熱処理して撥油膜を形成し、樹脂試験板を得た。
【0071】
[初期視認性の評価]
SUS試験板および樹脂試験板のそれぞれにブラックライト(300〜400nmの波長を含み、中心波長が365nmであるブラックライト)を照射して、撥油膜の発色を目視にて観察した。結果を下記の評価基準で示す。SUS試験板と樹脂試験板とで結果に差はなかった。
◎:蛍光灯下、発色が明確に観察される。
○:暗室で発色が明確に観察される。
△:暗室で発色がわずかに観察される。
×:暗室で発色が全く観察されない。
【0072】
[初期撥油性の評価]
SUS試験板および樹脂試験板のそれぞれについて、撥油膜上に約1μLのn−ヘキサデカンを滴下し、その接触角を測定することにより初期撥油性を評価した。接触角の測定結果を下記の評価基準で示す。SUS試験板と樹脂試験板とで結果に差はなかった。
接触角の測定は、協和界面科学社製(商品名:CA−A)を用い、25℃の条件下、液滴法で行った(以下、同様。)。
◎:66°以上。
○:61°以上、66°未満。
△:51°以上、61°未満。
×:51°未満。
【0073】
[耐溶剤試験]
SUS試験板および樹脂試験板のそれぞれについて、撥油膜上に有機溶剤を1滴載せ、10秒後に不織布(製品名:クリーンワイパー、クラレ社製)で拭き取った。有機溶剤としては、メチルエチルケトン(MEK)、キシレン、イソプロピルアルコール(IPA)の3種を用い、それぞれについて評価を行った。
[耐溶剤試験後の視認性評価]
上記耐溶剤試験の前後における撥油膜の状態を目視にて観察した。また、試験前後に、それぞれブラックライト(波長365nm)を照射して撥油膜の発色を目視にて観察した。結果を下記の評価基準で示す。SUS試験板と樹脂試験板とで結果に差はなかった。
◎:試験前後で膜に変化がなく視認性が維持される。
○:液滴の痕跡が残るが拭いた痕跡は残らない。視認性は維持される。
△:液滴の痕跡および拭いた痕跡が残るが、視認性は維持される。
×:液滴の痕跡および拭いた痕跡が残り、かつ視認性が減衰する。
【0074】
[耐溶剤試験後の撥油性評価]
上記耐溶剤試験後のSUS試験板および樹脂試験板のそれぞれについて、撥油膜上に約1μLのn−ヘキサデカンを滴下し、その接触角を測定した。評価基準は初期撥油性と同じである。SUS試験板と樹脂試験板とで結果に差はなかった。
【0075】
【表3】

【0076】
製造例1〜7のいずれにおいても初期視認性および初期撥油性は良好であった。製造例1においては耐溶剤試験後の視認性の低下が比較的大きかったが、製造例2〜7では溶剤と接触した後も良好な視認性および撥油性が得られ、撥油膜の耐久性が良好であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(I)で表される蛍光発光性化合物[I]。
【化1】

(式中、Rは水素原子またはメチル基である。)
【請求項2】
下記式(I)で表される化合物[I]に基づく繰り返し単位を0.1質量%以上100質量%以下含むことを特徴とする蛍光発光性重合体。
【化2】

(式中、Rは水素原子またはメチル基である。)
【請求項3】
前記化合物[I]に基づく繰り返し単位を0.1質量%以上50質量%未満、およびポリフルオロアルキル基を有する(メタ)アクリレートに基づく繰り返し単位を50質量%以上99.9質量%未満含む、請求項2に記載の蛍光発光性重合体。
【請求項4】
重合開始剤の存在下、溶媒中にて、下記式(I)で表される蛍光発光性化合物[I]を含むモノマー原料を重合させる工程を有することを特徴とする蛍光発光性重合体の製造方法。
【化3】

(式中、Rは水素原子またはメチル基である。)
【請求項5】
前記モノマー原料が、さらにポリフルオロアルキル基を有する(メタ)アクリレートを含む、請求項4に記載の蛍光発光性重合体の製造方法。

【公開番号】特開2009−67713(P2009−67713A)
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−236617(P2007−236617)
【出願日】平成19年9月12日(2007.9.12)
【出願人】(000000044)旭硝子株式会社 (2,665)
【Fターム(参考)】