説明

蛍光管及び蛍光管の製造方法

【課題】 管径の細い蛍光管を実現する蛍光管及び蛍光管の製造方法を提供する。
【解決手段】 ガラス管2の両端部の各電極3,4に2本以上のリード線5,6,11,12が接続され、ガラス管2が6.5mm以下の一様な管径とされている蛍光管1を構成する。また、蛍光管1を製造する際に、電極から延びる2本以上のリード線に、2個のガラスビーズが固着され、リード線に水銀アマルガムが溶接された電極構体を使用し、内側のガラスビーズをガラス管に溶着させて電極構体を仮止めし、水銀アマルガムを加熱して水銀を蒸発させ、外側のガラスビーズをガラス管に溶着させてガラス管内を封止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱陰極管等の蛍光管及び蛍光管の製造方法に係わる。
【背景技術】
【0002】
従来から、光源用として、蛍光体を利用した蛍光管が用いられている。
特に、熱陰極型の蛍光管は、発光効率が高く輝度も高いことから、照明に用いられる他に、液晶ディスプレイのバックライトとしても用いられる。
熱陰極型の蛍光管は、ガラス管の両端部に電極を備え、ガラス管内の空間にアルゴン等のガスと水銀が封入されると共に、ガラス管の内面に蛍光体が塗布された構成である(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】特開平5−251042号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の蛍光管の一端部の概略構成図を図9に示す。
従来の蛍光管では、製造時に排気管を使用して、蛍光管の内部を排気しているため、図9に示すように、完成した蛍光管101に排気管102が残っている。
【0005】
さらに、コイル等の電極103に接続されるリード線104は、排気管102とは別に設ける必要があることから、蛍光管101の径Dを細くすることができない。
そのため、バックライトのうち、狭額縁タイプには使用することができない。
【0006】
さらにまた、排気管102の径dが、蛍光管101の径Dと比較してかなり小さいため(D>d)、蛍光管102が細くなると、排気のコンダクタンスが極端に悪くなったり、排気管102が使用できなくなったりする場合がある。
【0007】
上述した問題の解決のために、本発明においては、管径の細い蛍光管を実現する蛍光管及び蛍光管の製造方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の蛍光管は、ガラス管の両端部にそれぞれ電極を備え、各電極に2本以上のリード線が接続され、ガラス管が6.5mm以下の一様な管径とされているものである。
【0009】
上述の本発明によれば、ガラス管が一様な管径とされていることにより、ガラス管の端部に排気管がないため、細い管径とすることが可能になる。また、蛍光管の無効発光長を少なくすることができる。
そして、ガラス管の管径が6.5mm以下と細いため、細い蛍光管を構成することができる。
【0010】
本発明の蛍光管の製造方法は、電極に2本以上のリード線が接続され、電極から延びる2本以上のリード線に、このリード線に沿う方向に並んで2個のガラスビーズが固着された電極構体を使用し、2個のガラスビーズの間のリード線のうち、少なくとも1本に水銀アマルガムを溶接し、電極構体のリード線をガラス管に挿入した後に、ガラス管内を排気し、2個のガラスビーズのうち、ガラス管の端部に近いガラスビーズをガラス管に溶着させてガラス管内を封止し、水銀アマルガムを加熱して水銀を蒸発させ、2個のガラスビーズのうち、ガラス管の内部に近いガラスビーズをガラス管に溶着させてガラス管内を封止するものである。
【0011】
上述の本発明によれば、電極から延びる2本以上のリード線に、このリード線に沿う方向に並んで2個のガラスビーズが固着された電極構体を使用し、電極構体のリード線をガラス管に挿入した後に、ガラス管内を排気するため、排気管を設けなくてもガラス管の内部の排気を行うことができる。
また、2個のガラスビーズのうち、ガラス管の端部に近いガラスビーズをガラス管に溶着させてガラス管内を封止し、水銀アマルガムを加熱して水銀を蒸発させるため、この状態では、封止された空間内に水銀アマルガムがある。これにより、蒸発した水銀は、もう一方のガラスビーズとガラス管との隙間からガラス管の内部に入り込むが、外部には漏れ出ることがない。
さらに、2個のガラスビーズのうち、ガラス管の内部に近いガラスビーズをガラス管に溶着させて、ガラス管内を封止することにより、ガラス管を確実に封止することができる。
【発明の効果】
【0012】
上述の本発明の蛍光管によれば、排気管による凸部がなく、蛍光管の無効発光長を少なくでき、バックライトに用いた場合にも無効発光長を少なくできる。
また、排気管がないため、排気効率の低下もなく、蛍光管の製造の際に、短い時間で排気を行うことができ、生産性が良くなる。
そして、蛍光管の管径を低減することができる。
【0013】
また、本発明の製造方法によれば、排気管を設けなくても排気を行うことができるため、管径の細い蛍光管を製造することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の一実施の形態として、蛍光管の概略構成図を図1に示す。
この蛍光管1は、細長いガラス管2の両端部にそれぞれ電極3,4が設けられ、右端部の電極3に接続された2本のリード線5,6と、左端部の電極4に接続された2本のリード線11,12とが、ガラス管2の外まで延びている。
ガラス管2の内面には、蛍光体層2A(図2参照)が形成されている。
また、ガラス管2の内部には、アルゴンArやネオンNe等の希ガスと発光物質である水銀Hgが封入されている。
両電極3,4には、電子放射性物質が被覆されている。
【0015】
また、図1の蛍光管1の左端部の電極4付近の拡大図を図2に示す。
電極4は、コイル部8Aとこのコイル部8Aから繋がる第1のリード部8B及び第2のリード部8Cとから成るヒータ8を備える。ヒータ8は、タングステン(W)或いはレニウムタングステン(Re−W)等の線材から構成される。
ヒータ8は、線材を螺旋状に巻いたものを、線材同士が互いに接触しないように更に二重或いは三重の螺旋状に巻いて略円筒型のコイル部8Aを形成し、コイル部8Aの後端から2本のリード部8B,8Cが延びる形状となっている。
【0016】
また、ヒータ8は、電子放射性物質、例えば、バリウムBa、ストロンチウムSr、カルシウムCaから成る3元アルカリ土類金属酸化物により被覆されている。
なお、電子放射性物質としては、その他の物質、例えば二元のバリウム酸化物を用いてもよい。
【0017】
ヒータ8を二重又は三重の螺旋構造としたことにより、コイル部8Aを形成するために長い線材が必要となることから、コイル部8Aの表面積を増加させることができるため、コイル部8Aに塗布される電子放射性物質の量を増やすことができ、電極4の寿命を延ばすことが可能となる。
ヒータ8を形成する線材としては、25μm〜70μm程度の直径のものが用いられるが、二重の螺旋構造とした場合の巻きやすさと、強度を両立できる太さとしては、例えば、45μm〜55μm程度の直径が望ましい。
【0018】
電極4は、ヒータ8を支持する第1のヒータタブ9Aと、第2のヒータタブ9Bとを備える。第1のヒータタブ9Aには、ヒータ8の第1のリード部8Bの後端側が、溶接により接続される。第2のヒータタブ9Bには、ヒータ8の第2のリード部8Cの後端側が、溶接により接続される。
第1のヒータタブ9A及び第2のヒータタブ9Bは、例えば、ステンレス(SUS304)等の板材から成る。
【0019】
電極4は、第1のヒータタブ9Aと第2のヒータタブ9Bを介して、リード線11,12にそれぞれ接続されている。リード線11,12は互いが略平行で、ガラス管2の端部を外部から内部へと貫通している。
リード線11のガラス管2の内部へ延びている部分の先端側に、第1のヒータタブ9Aが溶接により接続されている。リード線12のガラス管2の内部へ延びている部分の先端側に、第2のヒータタブ9Bが溶接により接続されている。
このように、リード線11,12に支持される電極4は、ヒータ8のコイル部8Aがガラス管2の管軸に沿った縦型の配置となっている。このため、放電によって生じるイオンは、主にコイル部8Aの先端に衝突することになり、コイル部8Aの側面では、イオンの衝突による電子放射性物質の飛散が発生しにくい。
また、電極4は、コイル部8Aの後端側から延びる2本のリード部8B,8Cでヒータ8を導入線に支持しているので、ヒータ8にはテンションがかからないことから、断線が発生しにくい。
【0020】
さらに、電極4にスリーブ7を備えていることにより、電子放射性物質の飛散や蒸発を防いでいる。スリーブ7は飛散防止部材の一例で、ニッケルNi、モリブデンMo等により構成され、両端が開口した円筒形状を有している。
スリーブ7は、内側にヒータ8のコイル部8Aが略平行となる向きで挿入され、スリーブリード10によって第1のヒータタブ9Aに取り付けられている。これにより、スリーブ7はコイル部8Aの先端側と後端側を開放した形態でコイル部8Aの周囲を覆っている。
スリープリード10は、第1のヒータタブ9A及び第2のヒータタブ9Bと同様に、例えば、ステンレスSUS304)で構成される。また、スリープリード10は第2のヒータタブ9Bに固定してもよい。
【0021】
ここで、スリーブ7の内径は、ヒータ8のコイル部8Aの外径より大きく、スリーブ7の内側にヒータ8のコイル部8Aを略平行となる向きで挿入したときに、スリーブ7にコイル部8Aが接触しないように構成される。
また、スリーブ7の外径がガラス管2の内径より小さく、スリーブ7とガラス管2が接触しないように構成される。
さらに、スリーブ7の開口端面より、コイル部8Aの先端部が突出しない位置関係となるように、スリーブ7が取り付けられている。なお、スリーブ7とヒータ8の位置関係は、スリーブ7の開口端面よりコイル部8Aの先端部が内側に入り込んでいる位置関係が望ましいが、スリーブ7の開口端面とコイル部8Aの先端部が同一面に位置していても良い。
また、スリーブ7の長さはコイル部8Aの長さより長くなっており、コイル部8Aの側面全体がスリーブ7で覆われている。
【0022】
ガラス管2の内面の蛍光体層2Aの塗布範囲は、電極4のスリーブ7の開口端面より若干外側となる位置までとしている。この蛍光体層2Aの塗布範囲が、蛍光管1の発光部分となる。
【0023】
本実施の形態の蛍光管1は、特に、ガラス管2の管径が一様であり、かつガラス管2の管径が6.5mm以下である構成となっている。
これにより、ガラス管2の端部に排気管がなく、細い管径とすることが可能になる。また、蛍光管1の無効発光長を少なくすることができる。
【0024】
そして、ガラス管2の管径が6.5mm以下と細いため、細い蛍光管1を構成することができる。
より好ましくは、ガラス管2の管径を2mm〜3mm程度と細くする。
【0025】
次に、本実施の形態の蛍光管1の動作について説明する。
まず、各電極3,4に例えば5V程度の電圧を印加し、ヒータ8で電子放射性物質を加熱する。そして、リード線5,6及び11,12を通じて、両電極3,4の間に高周波で例えば300Vの電圧を印加する。これにより、電子放射性物質から電子が放出され、電極3,4間にアーク放電が発生する。なお、電極3,4間にアーク放電が発生した後は、電極3,4間に例えば100V程度の電圧を印加すると共に、各電極3,4に例えば2V程度の電圧を印加するような制御を行う。
電子放射性物質から放出され加速された電子は、水銀原子に衝突し、水銀原子を励起する。励起された水銀原子は紫外線を放出する。この紫外線が蛍光体層2Aの蛍光体により可視光に変換されて、蛍光管1が発光する。
【0026】
放電中に生じたイオンは、電極3,4に衝突し、電子放射性物質を飛散させる要因となるが、コイル部8Aがガラス管2の管軸に沿った縦方向に配置されるので、イオンは主にコイル部8Aの先端部に衝突する。このため、コイル部8Aの側面の大部分では電子放射性物質の飛散が抑えられる。
また、コイル部8Aがスリーブ7に挿入され、スリーブ7の開口端面がコイル部8Aの先端部より突出していることから、コイル部8Aの先端部へのイオンの衝突も低減される。これにより、長期間にわたって電子放射性物質の枯渇を抑えることができる。
従って、電極3,4は、長期間にわたり電子を放出することができるため、電極3,4の寿命を延ばすことができる。
【0027】
さらに、スリーブ7を備えない場合には、蒸発した電子放射性物質がガラス管2の内面に蒸着する。
これに対して、本実施の形態では、コイル部8Aがスリーブ7に挿入されているため、ヒータ8から蒸発した電子放射性物質がスリーブ7の内面に蒸着される。そして、ヒータ8が加熱されることにより、スリーブ7も加熱され、スリーブ7に付着している電子放射性物質からも電子が放出される。よって、電極3,4の寿命を延ばすことができる。
このように電極3,4の寿命を延ばすことができるため、蛍光管1の長寿命化を図ることができる。
【0028】
また、ヒータ8がスリーブ7に挿入されていることにより、熱輻射によって低電圧で所望の温度まで加熱することができる。例えば、予熱時に印加する電圧を、例えば、5V程度から3V程度までに下げることができる。
【0029】
次に、本発明の蛍光管の製造方法の実施の形態として、図1に示した蛍光管1を製造する方法を説明する。
【0030】
ここでは、図3に示す構成の電極構体20を用いる。
この電極構体20は、電極4に接続された2本のリード線11,12に、2個のガラスビーズ13,14が溶着された構成となっている。
2個のガラスビーズ13,14は、2本のリード線11,12に沿った方向に並んで、溶着されている。
また、リード線11,12同士は、接触しないように一定の間隔を有している。
さらに、一方のリード線11の2個のガラスビーズ13,14の間に、水銀アマルガム15が溶接されている。
【0031】
続いて、図4A〜図4Gを参照して、この電極構体20の作製方法を説明する。なお、図4A〜図4Gでは、リード線11,12の一端側に接続された電極4は、図示を省略している。
【0032】
まず、図4Aに示すように、一端側に電極4(図3参照)が接続され、一定の間隔をあけた2本のリード線11,12に、円柱形のガラス管21を通す。
次に、図4Bに示すように、ガラス管21を加熱22してリード線11,12に溶着させることにより、図4Cに示すように、2本のリード線11,12に溶着された第1のガラスビーズ13を形成する。
【0033】
続いて、図4Dに示すように、最初に溶着させた第1のガラスビーズ13から一定の間隔をあけた箇所のリード線11,12に、ガラス管23を通す。
次に、図4Eに示すように、ガラス管23を加熱24してリード線11,12に溶着させることにより、図4Fに示すように、2本のリード線11,12に溶着された第2のガラスビーズ14を形成する。
【0034】
その後、図4Gに示すように、片方のリード線11の2個のガラスビーズ13,14の間に、水銀アマルガム15を溶接または取り付ける。このとき、水銀アマルガム15が、もう片方のリード線12に接触しないようにする。
このようにして、図3に示した電極構体20を作製することができる。
【0035】
続いて、図3に示した電極構体20を使用して、図1に示した蛍光管を製造する方法を説明する。
【0036】
まず、図5Aに示すように、すでに一端側に電極3及びリード線5,6を取り付けて封止したガラス管2に対して、電極構体20をガラス管2の他端側から挿入する。この状態の外観を図5Bに示す。
そして、電極構体20の2個のガラスビーズ13,14のうち、ガラス管2の内部側のガラスビーズ14とガラス管2とを溶着させて仮止めすることにより、電極構体20が落ちないようにする。
【0037】
次に、図5Cに示すように、2本の通電電極26と排気口27とを備えた給電装置25を用意して、この給電装置25をガラス管2の開口端部に装着して、ガラス管2を気密シールする。また、2本のリード線11,12を、給電装置25の通電電極26に接触させて導通をとる。
【0038】
次に、図6Dに示すように、給電装置25の排気口27に、排気装置28を取り付けて、ガラス管2内の排気を行う。
そして、一定の真空度が得られた時点で、図6Eに示すように通電電極26に通電させる。これにより、リード線11,12に取り付けた電極の電子放射性物質を活性化させる。このとき、先にガラス管2の一端側に取り付けられた電極3に対しても、リード線5,6に通電して、電極3の電子放射性物質を活性化させる。
なお、通電電極26に通電させる代わりに、電極3,4に対して高周波加熱を行ってもよい。
【0039】
電子放射性物質の活性化が終了した後、図7Fに示すように、給電装置25に近い側(ガラス管2の端部側)のガラスビーズ13と、ガラス管2とを、加熱31により溶着してガラス管2内を封止する。
その後、排気装置28及び給電装置25を取り外す。
【0040】
次に、図7Gに示すように、高周波加熱32によって水銀アマルガム15を加熱して、水銀を蒸発させる。これにより、仮止めされたガラスビーズ14とガラス管2との隙間を通過して、ガラス管2の内部に水銀が拡散する。
このとき、ガラスビーズ13とガラス管2とが溶着されてガラス管2内が封止されているため、ガラス管2の外部に水銀が漏れ出すことはない。
【0041】
続いて、図7Hに示すように、ガラス管の内部側のガラスビーズ14とガラス管2とを加熱33により溶着して、ガラス管2の内部を封止する。
最後に、図8Iに示すように、このガラスビーズ14を溶着して封止した箇所34から端部側を切断する。
このようにして、図8Jに示すように、図1の蛍光管1を製造することができる。
【0042】
上述した製造方法によれば、電極4から延びる2本のリード線11,12に、このリード線に沿う方向に並んで2個のガラスビーズ13,14が固着された電極構体20を使用し、電極構体20のリード線11,12をガラス管2に挿入した後に、ガラス管2内を排気するため、排気管を設けなくてもガラス管2の内部の排気を行うことができる。
【0043】
従って、排気管のない、管径の細い蛍光管1を製造することが可能になる。
【0044】
また、2個のガラスビーズ13,14のうち、ガラス管2の端部側のガラスビーズ13をガラス管2に溶着させてガラス管2内を封止し、水銀アマルガム15を加熱して水銀を蒸発させるため、この状態では、封止された空間内に水銀アマルガム15がある。
これにより、蒸発した水銀は、もう一方のガラスビーズ14とガラス管2との隙間からガラス管2の内部に入り込むが、ガラス管2の外部には漏れ出ることがない。
【0045】
さらに、2個のガラスビーズ13,14のうち、ガラス管2の内部側のガラスビーズ14をガラス管2に溶着させて、ガラス管2内を封止することにより、ガラス管2を確実に封止することができる。
【0046】
また、図5Cに示した通電電極26を有する給電装置25を使用することにより、従来のCCFL(冷陰極管)で使用されている、排気装置28等の製造装置を流用することができる。
【0047】
なお、上述した製造方法に対して、リード線に溶着されたガラスビーズが1個だけである電極構体を用いて、これをガラス管に仮止めして排気を行った後、図3のガラスビーズ13を溶着させる代わりに、リード線を直接ガラス管と溶着させて、水銀拡散後にガラスビーズとガラス管と封止する方法も考えられるが、この方法では、ガラス管の内部の充分な気密性を保てない。
【0048】
上述の実施の形態では、電極4及びリード線11,12を図2に示した構成としたが、本発明に係る蛍光管は、図2に示した構成に限らず、従来公知の様々な構成を採用することができる。また、本発明は、図2に示した電極を備えた構成(熱陰極管)に限らず、冷陰極管等にも適用することができる。
【0049】
また、電極に接続されるリード線の数は3本以上であってもよく、また水銀アマルガムが溶接されるリード線の数も2本以上であってもよい。
【0050】
本発明は、上述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲でその他様々な構成が取り得る。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の一実施の形態の蛍光管の概略構成図である。
【図2】図1の左端部の電極付近の拡大図である。
【図3】図1の蛍光管の製造に用いる電極構体の概略構成図である。
【図4】A〜G 図3のガラスビーズ付きのリード線を作製する方法を説明する図である。
【図5】A〜C 図1の蛍光管の製造方法を示す工程図である。
【図6】D、E 図1の蛍光管の製造方法を示す工程図である。
【図7】F〜H 図1の蛍光管の製造方法を示す工程図である。
【図8】I、J 図1の蛍光管の製造方法を示す工程図である。
【図9】従来の蛍光管の一端部の概略構成図である。
【符号の説明】
【0052】
1 蛍光管、2 ガラス管、3,4 電極、5,6,11,12 リード線、7 スリーブ、8 ヒータ、13,14 ガラスビーズ、15 水銀アマルガム、20 電極構体、25 給電装置、26 通電電極、27 排気口、28 排気装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス管の両端部にそれぞれ電極を備え、
各前記電極に、2本以上のリード線が接続され、
前記ガラス管が、6.5mm以下の一様な管径とされている
ことを特徴とする蛍光管。
【請求項2】
電極に2本以上のリード線が接続され、前記電極から延びる前記2本以上のリード線に、前記リード線に沿う方向に並んで2個のガラスビーズが固着された電極構体を使用し、
前記2個のガラスビーズの間の前記リード線のうち、少なくとも1本に水銀アマルガムを溶接し、
前記電極構体の前記リード線をガラス管に挿入した後に、前記ガラス管内を排気し、
前記2個のガラスビーズのうち、前記ガラス管の端部に近いガラスビーズを前記ガラス管に溶着させて、前記ガラス管内を封止し、
前記水銀アマルガムを加熱して、水銀を蒸発させ、
前記2個のガラスビーズのうち、前記ガラス管の内部に近いガラスビーズを前記ガラス管に溶着させて、前記ガラス管内を封止する
ことを特徴とする蛍光管の製造方法。
【請求項3】
前記電極が電子放射性物質を含んで成り、前記ガラス管内を排気する際に、前記リード線を通じて前記電極に通電することにより、或いは、前記電極に対して高周波加熱を行うことにより、前記電極の前記電子放射性物質を活性化させることを特徴とする請求項2に記載の蛍光管の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2006−278018(P2006−278018A)
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−92152(P2005−92152)
【出願日】平成17年3月28日(2005.3.28)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】