蛍光観察装置
【課題】蛍光の褪色による観察精度の低下を抑制しつつ、広ダイナミックレンジで撮像対象を観察することができる蛍光観察装置を提供する。
【解決手段】レーザ光を照射するレーザ光源1と、レーザ光源1から照射されるレーザ光の強度を調節するレーザ制御部11と、レーザ制御部11により調節されたレーザ光を標本上に照射する照射光学系41と、標本15上において発生した蛍光を検出する検出光学系42と、検出光学系42により検出された蛍光から標本15の画像を生成する画像生成部31と、画像生成部31により生成された複数の画像を合成する画像合成部33と、レーザ制御部11によりレーザ光の強度を高強度から低強度の順に調節させて、画像生成部31により蛍光強度の異なる複数の画像を生成させ、画像合成部33により複数の画像を合成させる制御装置3とを備える蛍光観察装置51を採用する。
【解決手段】レーザ光を照射するレーザ光源1と、レーザ光源1から照射されるレーザ光の強度を調節するレーザ制御部11と、レーザ制御部11により調節されたレーザ光を標本上に照射する照射光学系41と、標本15上において発生した蛍光を検出する検出光学系42と、検出光学系42により検出された蛍光から標本15の画像を生成する画像生成部31と、画像生成部31により生成された複数の画像を合成する画像合成部33と、レーザ制御部11によりレーザ光の強度を高強度から低強度の順に調節させて、画像生成部31により蛍光強度の異なる複数の画像を生成させ、画像合成部33により複数の画像を合成させる制御装置3とを備える蛍光観察装置51を採用する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば細胞等を観察するための蛍光観察装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
細胞等を観察する観察装置において、撮像対象の視野内における高輝度領域と低輝度領域との輝度差が大きい場合、高輝度領域が飽和しないように、レーザ光の強度や露出時間や検出感度を調整すると、低輝度領域の明るさが不十分となる。一方、低輝度領域の明るさが十分になるように、レーザ光の強度や露出時間や検出感度を調整すると、高輝度領域の明るさが飽和する現象が発生する。これは、撮像対象のダイナミックレンジが検出装置よりも大きいために発生する問題である。
【0003】
この問題に対し、露光時間を変更して明るさの異なる複数の画像を取得し、これらの画像を合成することで、広ダイナミックレンジで撮像対象を観察することを図った観察装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−301332号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示されている観察装置では、例えば蛍光顕微鏡を用いて蛍光物質で染色した細胞を観察する場合、露光時間が長くなると蛍光が褪色してしまい、細胞の観察精度が低下するという不都合がある。
【0006】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、蛍光の褪色による観察精度の低下を抑制しつつ、広ダイナミックレンジで撮像対象を観察することができる蛍光観察装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を採用する。
本発明は、励起光を照射する励起光源と、該励起光源から照射される励起光の強度を調節する調光手段と、該調光手段により調節された励起光を標本上に照射する照射光学系と、標本上において発生した蛍光を検出する検出光学系と、該検出光学系により検出された蛍光から標本の画像を生成する画像生成部と、該画像生成部により生成された複数の画像を合成する画像合成部と、前記調光手段により励起光の強度を高強度から低強度の順に調節させて、前記画像生成部により蛍光強度の異なる複数の画像を生成させ、前記画像合成部により前記複数の画像を合成させる制御部とを備える蛍光観察装置である。
【0008】
本発明によれば、励起光源により照射された励起光が、照射光学系により標本上に照射され、標本上において発生した蛍光が、検出光学系により検出される。そして、検出された蛍光から、画像生成部により標本の画像が生成され、生成された複数の画像が画像合成部により合成される。
【0009】
この場合において、制御部により制御されて、調光手段により励起光の強度が高強度から低強度の順に調節され、画像生成部により蛍光強度の異なる複数の画像が生成される。このように生成された蛍光強度の異なる複数の画像は、画像合成部により合成される。
【0010】
このようにすることで、広いダイナミックレンジの標本の画像(合成画像)を取得することができ、標本の高輝度領域と低輝度領域の両方を精度よく観察することができる。また、励起光の強度を高強度から低強度の順に調節することで、蛍光が褪色してしまう前に標本の細部についての画像を取得することができ、この画像を合成に用いることで、標本の観察精度を向上することができる。
【0011】
上記発明において、前記検出光学系が、蛍光の検出感度および/または露光時間を調節可能であることとしてもよい。
このようにすることで、検出光学系により蛍光の検出感度および/または露光時間を調節することによって、画像生成部により生成される画像の蛍光強度の範囲を広げることができる。このような広範囲な蛍光強度の画像を画像合成部により合成することで、標本の画像(合成画像)のダイナミックレンジをさらに広げることができる。
【0012】
上記発明において、前記調光手段により調光された励起光を標本上で走査する走査手段を備え、前記画像生成部が、該走査手段による走査位置と前記検出光学系により検出された蛍光とを対応づけて標本の画像を生成することとしてもよい。
このようにすることで、画像生成部により、走査手段による走査位置と検出光学系により検出された蛍光とを対応づけて、詳細な標本の画像を生成することができる。このような詳細な画像から合成画像を生成することで、標本の観察精度を向上することができる。
【0013】
上記発明において、標本を前記照射光学系の光軸に直交する方向に移動させるステージを備え、前記画像生成部が、該ステージの位置と前記検出光学系により検出された蛍光とを対応づけて標本の画像を生成することとしてもよい。
このようにすることで、画像生成部により、ステージの位置と検出光学系により検出された蛍光とを対応づけて、標本の画像を容易に生成することができ、装置構成を簡略化することができる。なお、ステージを照射光学系の光軸に沿う方向に移動可能な構成とすることで、標本の3次元画像を生成することができる。
【0014】
上記発明において、前記照射光学系が、標本を互いに異なる複数の領域に分けるとともに、これら領域に励起光を順次照射して、前記調光手段が、前記照射光学系が全ての領域に励起光の照射を終了した時点で、励起光の強度を低強度に切り替えることとしてもよい。
【0015】
このようにすることで、互いに異なる複数の領域に対して照射光学系により励起光が順次照射され、これら全ての領域に励起光の照射を終了した時点で、調光手段により励起光の強度が低強度に切り替えられる。これにより、複数の領域のうち或る領域において、一度励起光が照射されてから、その強度が低強度に切り替えられて再び照射されるまでに、タイムラグが生じることとなる。このタイムラグの間に、前述の或る領域において、蛍光物質の拡散現象が生じるため、蛍光がより鮮明な画像を取得することができる。このような鮮明な画像から合成画像を生成することで、標本の観察精度を向上することができる。
【0016】
上記発明において、前記画像生成部により生成された各前記領域の画像が所定の輝度値の範囲内であることを判定する判定部を備え、該判定部により所定の輝度値の範囲外と判定された領域の画像について、前記調光手段により励起光の強度を調節して前記画像生成部により再度画像を生成することとしてもよい。
【0017】
このようにすることで、複数の領域のうち、所定の輝度値の範囲外と判定された領域の画像については、調光手段により励起光の強度が調節されて再度画像が取得される。これにより、標本の全ての領域について適切な輝度を有する画像を取得することができ、これら画像を合成することで、標本の観察精度を向上することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、蛍光の褪色による観察精度の低下を抑制しつつ、広ダイナミックレンジで撮像対象を観察することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】第1の実施形態に係る蛍光観察装置の概略構成図である。
【図2】図1の蛍光観察装置における画像合成時の動作を説明する図である。
【図3】図1の蛍光観察装置により実行される処理を示すフローチャートである。
【図4】図1の蛍光観察装置の効果を説明する図であり、(a)は撮像初期の画像、(b)は撮像後期の画像、(c)は合成画像をそれぞれ表わしている。
【図5】従来の蛍光観察装置の画像合成を説明する図であり、(a)は撮像初期の画像、(b)は撮像後期の画像、(c)は合成画像をそれぞれ表わしている。
【図6】第2の実施形態に係る蛍光観察装置におけるレーザ強度と撮像枚数との関係を示すグラフである。
【図7】第2の実施形態に係る蛍光観察装置における光検出器の検出感度と撮像枚数との関係を示すグラフである。
【図8】第2の実施形態に係る蛍光観察装置により実行される処理を示すフローチャートである。
【図9】第3の実施形態に係る蛍光観察装置により実行される処理を示すフローチャートである。
【図10】第4の実施形態に係る蛍光観察装置の画像取得時の動作を説明する図であり、(a)は撮像初期の画像、(b)は撮像中期の画像、(c)は撮像後期の画像をそれぞれ表わしている。
【図11】第4の実施形態に係る蛍光観察装置により生成された合成画像を示す図である(飽和領域の置き換え前)。
【図12】第4の実施形態に係る蛍光観察装置により生成された合成画像を示す図である(飽和領域の置き換え後)。
【図13】第4の実施形態に係る蛍光観察装置により実行される処理を示すフローチャートである。
【図14】第4の実施形態に係る蛍光観察装置により実行される処理を示すフローチャートである。
【図15】第1の変形例に係る蛍光観察装置の概略構成図である。
【図16】第2の変形例に係る蛍光観察装置の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態に係る蛍光観察装置51について、図面を参照して以下に説明する。
本実施形態に係る蛍光観察装置51は、レーザ走査型顕微鏡であり、図1に示すように、レーザ光を照射するレーザ光源(励起光源)1と、標本15を載置するXYZステージ16と、レーザ光源1からのレーザ光を標本15に照射する照射光学系41と、標本15からの光を検出する検出光学系42と、これらを制御するとともに画像を生成する制御装置3と、制御装置3により生成された画像を表示する画像表示部4とを主な構成要素として備えている。
【0021】
標本15は、例えば細胞群であり、その内の観察対象とする細胞に特異的に付着または発現する蛍光物質が投与されている。
レーザ光源1は、標本15中の蛍光物質を励起させる励起光を発し、レーザ制御部(調光手段)11により制御されるようになっている。具体的には、レーザ制御部11は、制御装置3からの指令に基づいて、レーザ光源1から発せられるレーザ光の強度を調節するようになっている。
【0022】
XYZステージ16は、標本15を載置するとともに、後述する対物レンズ14に対して、対物レンズ14の光軸に沿う方向(Z方向)および対物レンズ14の光軸に直交する方向(XY方向)に相対移動できるようになっている。このような構成とすることで、標本15におけるレーザ光の焦点位置を3次元方向(XYZ方向)に変化させ、その焦点位置からの蛍光を検出することで、標本15の3次元画像を生成することができるようになっている。
【0023】
照射光学系41は、レーザ光源1からのレーザ光を標本15に照射する光学系であり、ダイクロイックミラー8と、走査光学ユニット(走査手段)9と、リレーレンズ10と、ミラー12と、結像レンズ13と、対物レンズ14とを備えている。
検出光学系42は、標本15からの蛍光を検出する光学系であり、測光フィルタユニット7と、レンズ6と、ピンホール5と、光検出器2と、検出器制御部21とを備えている。
【0024】
対物レンズ14は、標本15(XYZステージ16)に対向して配置されている。対物レンズ14は、レーザ光源1から発せられたレーザ光を標本15に照射するとともに、標本15からの光を集めるようになっている。ここで、レーザ光が標本15に照射されることで、レーザ光の焦点位置において標本15内の蛍光物質が励起されて蛍光が発生する。したがって、対物レンズ14は、標本15からの光として、標本15から発生した蛍光を集めるようになっている。
【0025】
ダイクロイックミラー8は、レーザ光源1からのレーザ光を透過する一方、対物レンズ14により集められた標本15からの蛍光を光検出器2に向けて反射するようになっている。これにより、ダイクロイックミラー8は、レーザ光源1からのレーザ光と、標本15からの蛍光とを分岐するようになっている。
【0026】
走査光学ユニット9は、一対のガルバノミラー91,92を有しており、これらガルバノミラー91,92の揺動角度を変化させ、ラスタスキャン方式で駆動されるようになっている。これにより、レーザ光源1からのレーザ光を標本15上において2次元的(XY方向)に走査させることができるようになっている。
【0027】
測光フィルタユニット7は、ダイクロイックミラー8により反射された標本15からの光のうち、蛍光以外の光(例えばレーザ光源1からのレーザ光)を遮断するようになっている。
レンズ6は、測光フィルタユニット7を通過してきた標本15からの蛍光をピンホール5に集光するようになっている。
【0028】
ピンホール5は、標本Aにおけるレーザ光の焦点位置から発生した蛍光のみを通過させるようになっている。すなわち、対物レンズ14により集められた蛍光は、ピンホール5を通過することによりレーザ光の焦点位置(測定点)から光軸方向にずれた位置からの光がカットされる。これにより、光軸方向に焦点位置と同一な面からの蛍光だけを光検出器2に入射させるようになっている。
【0029】
光検出器2は、例えば光電子増倍管(Photomultiplier Tube)であり、検出した標本15からの蛍光を光電変換して、得られた電気信号を制御装置3に出力するようになっている。
光検出器2は、検出器制御部21により制御されるようになっている。具体的には、検出器制御部21は、制御装置3からの指令に基づいて、光検出器2の検出感度と露光時間を調節するようになっている。なお、光検出器2の検出感度と露光時間は、両方を同時に調節することとしてもよく、いずれか一方のみを調節することとしてもよい。
【0030】
制御装置3は、画像生成部31と、メモリ32と、画像合成部33とを機能として備えている。
画像生成部31は、光検出器2から出力された電気信号を取り込んで、標本15の画像を生成するようになっている。具体的には、画像生成部31は、光検出器2により検出された標本15からの蛍光の強度と、走査光学ユニット9による標本15における走査位置とを対応付けて、標本15の蛍光画像を生成する。
【0031】
メモリ32には、標本15の蛍光画像を取得するための各種の条件や、各種の処理を行うためのプログラム等が記録されている。
画像合成部33は、画像生成部31により生成された複数の画像を合成するようになっている。
【0032】
また、制御装置3は、前述の各部を制御するようになっている。具体的には、制御装置3は、レーザ制御部11を制御して、レーザ光源1から発するレーザ光の強度を高強度から低強度の順に調節させる。また、制御装置3は、上記のようにレーザ光の強度を調節させていく際に、画像生成部31により蛍光強度の異なる複数の画像を生成させる。そして、制御装置3は、このように生成された蛍光強度の異なる複数の画像を画像合成部33により合成させる。
【0033】
上記の制御装置3による制御について、具体例を挙げて以下に説明する。
図2に示すように、制御装置3は、レーザ光源1から発するレーザ光が30%、25%、20%、15%、10%の強度となるように、レーザ光の強度を高強度から低強度の順に調節させ、画像生成部31により蛍光強度の異なる5枚の画像を生成させる。そして、制御装置3は、このように生成された蛍光強度の異なる5枚の画像を画像合成部33により合成させる。
このようにすることで、広ダイナミックレンジの標本15の画像(合成画像)を取得することができ、標本15の高輝度領域と低輝度領域の両方を精度よく観察することができる。
【0034】
上記構成を有する蛍光観察装置51の作用について以下に説明する。
レーザ光源1を作動させると、レーザ光源1から射出されたレーザ光は、照射光学系41に導光される。照射光学系41に導光されたレーザ光は、ダイクロイックミラー8を透過して、走査光学ユニット9により標本15上において2次元的に走査され、対物レンズ14により標本15上に照射される。
【0035】
標本15では、レーザ光の焦点位置において蛍光物質が励起されて蛍光が発生する。標本15において発生した蛍光は、対物レンズ14により集められ、走査光学ユニット9を通過して、ダイクロイックミラー8により反射される。反射された標本15からの蛍光は、測定フィルタユニット7およびレンズ6を透過し、ピンホール5を通過してきた蛍光だけが光検出器2により検出される。
【0036】
光検出器2では標本15からの蛍光が光電変換され、制御装置3に出力される。制御装置3では、光検出器2から出力された蛍光の強度情報と、走査光学ユニット9によるレーザ光の走査位置とから、標本15の2次元的な蛍光画像が生成される。
【0037】
上記のように生成される複数の標本15の蛍光画像が、画像合成部33により合成され、その合成画像が画像表示部4に表示される。
上記の画像合成時における詳細な処理について、図3に示すフローチャートに従って以下に説明する。
【0038】
まず、画像の明るさが上限値と下限値との略中央付近になるように、基準とするリファレンス画像を撮像する(ステップS1)。なお、リファレンス画像は、画像内において観察対象(細胞)を認識できればよい。したがって、リファレンス画像を取得する際には、蛍光の褪色を抑えるために極力低い強度のレーザ光を照射して撮像することが好ましい。
【0039】
次に、上記のリファレンス画像の撮像条件(例えば、レーザ光の強度、露光時間、光検出器の感度)を最適条件として記憶する(ステップS2)。
次に、レーザ光の変化量、すなわち、レーザ光の強度を低下させていく際の調節範囲を指定する(ステップS3)。この際に指定する変化量として、例えば、具体的に調節範囲の上限値と下限値とを指定してもよく、リファレンス画像を取得した際のレーザ光の強度に対する比率として指定してもよい。
【0040】
次に、ユーザにより撮像開始ボタン(図示略)が押されると(ステップS4)、レーザ光の強度が指定した調節範囲における最大強度となるように、レーザ光源1を制御する(ステップS5)。
【0041】
この撮像条件において撮像が行われ(ステップS6)、予め設定された規定回数、すなわち、合成する画像の枚数分撮像されたか否かが判断される(ステップS7)。
ステップS7において規定回数まで達してない場合には、レーザ光の変化量を規定回数で除算した数値、すなわち、レーザ光の強度を低下させていく際における1回の調節量の分だけ、レーザ光の強度を低下させ(ステップS8)、再度撮像を行う(ステップS6)。これにより、蛍光強度の異なる複数の画像が取得される。
【0042】
そして、ステップS7において、規定回数の撮像が完了した場合には、ステップS6において撮像された蛍光強度の異なる複数(規定回数分)の画像が、画像合成部33により合成される(ステップS9)。これにより、広ダイナミックレンジな標本15の画像(合成画像)が取得される。
【0043】
ここで、レーザ光の強度を高強度から低強度の順に調節させることの効果について、図4および図5を用いて以下に説明する。
図4は、本実施形態に係る画像取得方法、すなわち、レーザ光の強度を高強度から低強度の順に調節させて合成画像を生成する方法を示している。一方、図5は、比較例として示す従来の画像取得方法、すなわち、レーザ光の強度を低強度から高強度の順に調節させて合成画像を生成する方法を表わしている。また、図4および図5において、(a)は撮像初期の画像、(b)は撮像後期の画像、(c)は合成画像をそれぞれ表わしている。
【0044】
本実施形態に係る画像取得方法によれば、撮像初期においてはレーザ光は高強度であるため、図4(a)に示すように、観察対象である細胞の低輝度領域Lまで鮮明に撮像することができる。ただし、細胞の高輝度領域Hについては明るさが飽和してしまっている。そして、撮像後期においてはレーザ光は低強度であるため、あるいは蛍光が褪色しているため、図4(b)に示すように、細胞の低輝度領域Lについては撮像できないものの、細胞の高輝度領域Hについては鮮明に撮像することができる。
【0045】
このように取得された、図4(a)に示す細胞の低輝度領域Lが鮮明に撮像された画像と、図4(b)に示す細胞の高輝度領域Hが鮮明に撮像された画像とを合成することで、図4(c)に示すように、細胞の低輝度領域から高輝度領域まで鮮明に撮像された広いダイナミックレンジの画像を取得することができる。
【0046】
これに対して、従来の画像取得方法によれば、撮像初期においてはレーザ光は低強度であるため、図5(a)に示すように、観察対象である細胞の高輝度領域Hについては鮮明に撮像することができるものの、細胞の低輝度領域Lについては強度不十分のため鮮明な画像を得ることができない。そして、撮像後期においてレーザ光を高強度としても、細胞の低輝度領域については蛍光が褪色しているため、図5(b)に示すように、細胞の低輝度領域については撮像できない。
【0047】
このように取得された、図5(a)に示す画像と、図5(b)に示す画像とを合成しても、図5(c)に示すように、細胞の低輝度領域Lについては不鮮明な画像しか取得することができない。
上述のように、レーザ光の強度を調節する順序によって取得できる画像の画質が大きく異なり、本実施形態に係る画像取得方法によって初めて、蛍光観察装置において広いダイナミックレンジで鮮明な画像を取得することができる。
【0048】
以上のように、本実施形態に係る蛍光観察装置51によれば、レーザ制御部11によりレーザ光の強度が高強度から低強度の順に調節され、画像生成部31により蛍光強度の異なる複数の画像が生成される。このように生成された蛍光強度の異なる複数の画像は、画像合成部33により合成される。
【0049】
このようにすることで、広いダイナミックレンジの標本15の画像(合成画像)を取得することができ、標本15の高輝度領域と低輝度領域の両方を精度よく観察することができる。また、レーザ光の強度を高強度から低強度の順に調節することで、蛍光が褪色してしまう前に標本15の細部についての画像を取得することができ、この画像を合成に用いることで、標本15の観察精度を向上することができる。
【0050】
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態に係る蛍光観察装置について、主に図6から図8を参照して以下に説明する。以下、本実施形態に係る蛍光観察装置について、前述の実施形態に係る蛍光観察装置51と共通する部分については同一の符号を付して説明を省略するとともに、前述の実施形態に係る蛍光観察装置51と異なる部分について主に説明する。
【0051】
本実施形態に係る蛍光観察装置は、前述の実施形態に係る蛍光観察装置51と同様にレーザ光源1からのレーザ光の強度を高強度から低強度の順に調節することに加えて、光検出器2の検出感度を調節する。
具体的には、図6に示すようにレーザ光の強度を高強度から低強度の順に調節するに伴って、図7に示すように検出器制御部21により光検出器2の検出感度を高感度から低感度の順に調節する。
【0052】
本実施形態に係る蛍光観察装置の画像合成時における詳細な処理について、図8に示すフローチャートに従って以下に説明する。なお、図3に示すフローチャートと同様の処理については同一の符号を付して説明を簡略化する。
まず、画像の明るさが上限値と下限値との略中央付近になるように、基準とするリファレンス画像を撮像する(ステップS1)。
【0053】
次に、上記のリファレンス画像の撮像条件(例えば、レーザ光の強度、露光時間、光検出器の感度)を最適条件として記憶する(ステップS2)。
次に、レーザ光の変化量、すなわち、レーザ光の強度を低下させていく際の調節範囲を指定する(ステップS3)。
次に、ゲインの変化量、すなわち、光検出器2の検出感度を低下させていく際の調節範囲を指定する(ステップS11)。
【0054】
次に、ユーザにより撮像開始ボタン(図示略)が押されると(ステップS4)、レーザ光の強度が指定した調節範囲における最大強度となるように、レーザ光源1を制御する(ステップS5)。
次に、光検出器2の検出感度が指定した調節範囲における最大感度となるように、光検出器2を制御する(ステップS12)。
【0055】
この撮像条件において撮像が行われ(ステップS6)、予め設定された規定回数、すなわち、合成する画像の枚数分撮像されたか否かが判断される(ステップS7)。
ステップS7において規定回数まで達してない場合には、レーザ光の変化量を規定回数で除算した数値、すなわち、レーザ光の強度を低下させていく際における1回の調節量の分だけ、レーザ光の強度を低下させる(ステップS8)。そして、ゲインの変化量を規定回数で除算した数値、すなわち、光検出器2の検出感度を低下させていく際における1回の調節量の分だけ、光検出器2の検出感度を低下させる(ステップS13)。
そして、この撮像条件において再度撮像を行う(ステップS6)。これにより、蛍光強度の異なる複数の画像が取得される。
【0056】
そして、ステップS7において、規定回数の撮像が完了した場合には、ステップS6において撮像された蛍光強度の異なる複数(規定回数分)の画像が、画像合成部33により合成される(ステップS9)。これにより、広ダイナミックレンジな標本15の画像(合成画像)が取得される。
【0057】
本実施形態に係る蛍光観察装置によれば、光検出器2の検出感度を調節することによって、画像生成部31により生成される画像の蛍光強度の範囲を広げることができる。このような広範囲な蛍光強度の画像を画像合成部33により合成することで、標本15の画像(合成画像)のダイナミックレンジをさらに広げることができる。
【0058】
なお、本実施形態に係る蛍光観察装置において、光検出器2の検出感度を調節することとして説明したが、これに代えて、光検出器2の露光時間を同様に調節することとしてもよい。また、光検出器2の検出感度および露光時間を同時に調節することとしてもよい。このようにすることで、本実施形態に係る蛍光観察装置と同様に、画像生成部31により生成される画像の蛍光強度の範囲を広げることができ、標本15の画像(合成画像)のダイナミックレンジをさらに広げることができる。
【0059】
[第3の実施形態]
次に、本発明の第3の実施形態に係る蛍光観察装置について、主に図9を参照して以下に説明する。以下、本実施形態に係る蛍光観察装置について、前述の実施形態に係る蛍光観察装置と共通する部分については同一の符号を付して説明を省略するとともに、前述の実施形態に係る蛍光観察装置と異なる部分について主に説明する。
【0060】
本実施形態に係る蛍光観察装置は、XYZステージ16を3次元方向(XYZ方向)に移動させることで、標本15の3次元画像を生成する。
以下、本実施形態に係る蛍光観察装置の画像合成時における詳細な処理について、図9に示すフローチャートに従って説明する。
【0061】
まず、レーザ光源1のレーザ光の強度を強めに設定する(ステップS21)。
次に、XYZステージ16を移動させ(ステップS22)、光検出器2により検出された標本15からの蛍光強度とXYZステージ16の位置(対物レンズ14の焦点位置)とを対応付けることで、標本15の画像を取得する(ステップS23)。
【0062】
次に、ステップS22において決定したXYZステージ16の位置における全平面の撮像が完了したか否かが判断される(ステップS24)。ステップS24において未完了の場合には、次の移動先(XY平面)が決定され(ステップS25)、決定された位置にXYZステージ16を移動させ(ステップS22)、標本15の画像を取得する(ステップS23)。
【0063】
ステップS24において全平面の撮像が完了した場合には、これら全平面について、予め設定された規定回数、すなわち、合成する画像の枚数分撮像されたか否かが判断される(ステップS26)。ステップS26において規定回数まで達してない場合には、レーザ光の強度を弱く調節して(ステップS27)、XYZステージ16の移動先がXY平面の開始位置、すなわちステップS22におけるXYZステージ16の初期位置に決定される(ステップS28)。そして、決定された位置にXYZステージ16を移動させ(ステップS22)、標本15の画像を取得する(ステップS23)。これにより、蛍光強度の異なる複数の画像が取得される。
【0064】
上記のようにして、ステップS26において規定回数の撮像が完了した場合には、ステップS23において撮像された蛍光強度の異なる複数(規定回数分)の画像が、画像合成部33により合成される(ステップS29)。これにより、広ダイナミックレンジな標本15の画像(合成画像)が取得される。
【0065】
次に、Z方向について全数の画像取得が完了したか否かが判断される(ステップS30)。ステップS30において、未完了の場合には、XYZステージ16をZ方向に移動させ、XYZステージ16のZ位置を次の平面(スライス)へ移動させて(ステップS31)、ステップS28に戻り、以降の処理をZ方向について全数の画像取得を完了するまで繰り返す。
【0066】
本実施形態に係る蛍光観察装置によれば、画像生成部31により、XYZステージ16の位置と光検出器2により検出された標本15からの蛍光強度とを対応づけて、標本15の画像を容易に生成することができる。この場合において、XYZステージ16を対物レンズ14の光軸に沿う方向(Z方向)に移動させることで、標本15の3次元画像を生成することができる。
【0067】
[第4の実施形態]
次に、本発明の第4の実施形態に係る蛍光観察装置について、主に図10から図14を参照して以下に説明する。以下、本実施形態に係る蛍光観察装置について、前述の実施形態に係る蛍光観察装置と共通する部分については同一の符号を付して説明を省略するとともに、前述の実施形態に係る蛍光観察装置と異なる部分について主に説明する。
【0068】
本実施形態に係る蛍光観察装置は、標本15を互いに異なる複数の領域に分けるとともに、これら領域にレーザ光を順次照射して、これら領域の画像を生成する。そして、全ての領域についてレーザ光の照射を終了した時点で、レーザ光の強度を低強度に切り替えて、これら領域の画像を再び取得する。
【0069】
具体的には、図10(a)から図10(c)に示すように、標本15を3×3の計9つの領域に分割する。
このように分割された領域に対して、まず、図10(a)に示すように、高強度のレーザ光を照射して、これら領域の画像を取得する。そして、全ての領域についてレーザ光の照射を終了した時点で、図10(b)に示すように、レーザ光の強度を低強度に切り替えて、これら領域の画像を再び取得する。同様に、全ての領域についてレーザ光の照射を終了した時点で、図10(c)に示すように、レーザ光の強度を低強度に切り替えて、これら領域の画像を再び取得する。
【0070】
この場合において、制御装置(判定部)3は、画像生成部31により生成された各領域の画像が所定の輝度値の範囲内であることを判定する。そして、所定の輝度値の範囲外と判定された領域の画像については、レーザ制御部11によりレーザ光の強度を調節して再撮影を行う。
【0071】
具体的には、図11に示すように、標本15の合成画像において、明るさの飽和した領域Aが発生した場合には、レーザ光の強度を低く調節して再撮影を行う。そして、図12に示すように、再撮影により生成された領域Bの合成画像を、領域Aの合成画像と置き換えて、標本15全体の合成画像として生成する。
【0072】
以下、本実施形態に係る蛍光観察装置の画像合成時における詳細な処理について、図13および図14に示すフローチャートに従って説明する。
まず、XYZステージ16を移動させ(ステップS41)、レーザ光源1のレーザ光の強度や光検出器2の露出時間および検出感度を強めに設定する(ステップS42)。
【0073】
このような撮影条件において、光検出器2により検出された標本15からの蛍光強度とXYZステージ16の位置(対物レンズ14の焦点位置)とを対応付けることで、標本15の画像を取得する(ステップS43)。この際、前述のように、標本15を互いに異なる複数の領域に分けるとともに、これら領域にレーザ光を順次照射して、これら領域の画像を生成する。
【0074】
次に、全ての領域について、予め設定された規定回数、すなわち、合成する画像の枚数分撮像されたか否かが判断される(ステップS44)。
ステップS44において規定回数まで達してない場合には、レーザ光源1のレーザ光の強度や光検出器2の露出時間および検出感度を弱く再設定して(ステップS42)、再度標本15の撮像を行う(ステップS43)。これにより、蛍光強度の異なる複数の画像が取得される。
【0075】
そして、ステップS44において、規定回数の撮像が完了した場合には、ステップS43において撮像された蛍光強度の異なる複数(規定回数分)の画像が、画像合成部33により合成される(ステップS45)。これにより、広ダイナミックレンジな標本15の画像(合成画像)が取得される。
【0076】
次に、上記のように生成された標本15の合成画像を構成する全ての領域について、輝度値等が予め設定された条件内に入っているか否かが判断される(ステップS46)。
ステップS46において、輝度値等が予め設定された条件内に入っていない領域がある場合には、その領域のXYZ方向の位置や輝度値等の情報を失敗画像リストに追加する(ステップS47)。そして、次の移動先が決定され(ステップS48)、決定された位置にXYZステージ16を移動させ(ステップS41)、前述のように標本15の合成画像を生成する(ステップS42〜S45)。
【0077】
ステップS46において、全ての領域について輝度値等が予め設定された条件内に入っている場合には、全ての位置での撮像が完了したか否かが判断される(ステップS49)。全ての位置での撮像が未完了の場合には、次の移動先が決定され(ステップS48)、決定された位置にXYZステージ16を移動させ(ステップS41)、前述のように標本15の合成画像を生成する(ステップS42〜S45)。
【0078】
ステップS49において、全ての位置での撮像が完了した場合には、前述の失敗画像リストが空か否かが判断される(ステップS50)。
失敗画像リストが空ではない場合、すなわち失敗画像リストに登録された領域がある場合には、失敗画像リストの先頭データを参照し、その位置をXYZステージ16の移動先として決定する(ステップS51)。
【0079】
次に、失敗画像を撮像した時点から予め規定された時間(拡散時間)が経過したかが判断される(ステップS52)。この拡散時間の間に、蛍光物質の拡散現象が生じることで、褪色した蛍光の強度が回復することが期待される。
次に、失敗画像リストに登録された輝度情報を参照し、レーザ光源1のレーザ光の強度が決定される(ステップS53)。
【0080】
このように決定された撮影条件において、XYZステージ16を移動させ(ステップS54)、レーザ光源1のレーザ光の強度や光検出器2の露出時間および検出感度を設定し(ステップS55)、標本15の画像を取得する(ステップS56)。
そして、失敗画像リストの先頭データを削除して(ステップS57)、ステップS50に戻り、失敗画像リストが空になるまで前述のステップS51〜S57までの処理を繰り返す。
【0081】
本実施形態に係る蛍光観察装置によれば、互いに異なる複数の領域に対して照射光学系41によりレーザ光が順次照射され、これら全ての領域にレーザ光の照射を終了した時点で、レーザ制御部11によりレーザ光の強度が低強度に切り替えられる。これにより、複数の領域のうち或る領域において、一度レーザ光が照射されてから、その強度が低強度に切り替えられて再び照射されるまでに、タイムラグが生じることとなる。このタイムラグの間に、前述の或る領域において、蛍光物質の拡散現象が生じるため、蛍光がより鮮明な画像を取得することができる。このような鮮明な画像から合成画像を生成することで、標本15の観察精度を向上することができる。
【0082】
また、制御装置3が、画像生成部31により生成された各領域の画像が所定の輝度値の範囲内であることを判定することで、複数の領域のうち、所定の輝度値の範囲外と判定された領域の画像については、レーザ制御部11によりレーザ光の強度が調節されて再度画像が取得される。これにより、標本15の全ての領域について適切な輝度を有する画像を取得することができ、これら画像を合成することで、鮮明な標本15の合成画像を得ることができ、標本15の観察精度を向上することができる。
【0083】
[第1の変形例]
なお、上記の各実施形態に係る蛍光観察装置の第1の変形例として、図15に示す構成としてもよい。
本変形例に係る蛍光観察装置52は、レーザ光源1(図1参照)に代えて、水銀ランプ100および回転NDフィルタ101を備えている。
【0084】
回転NDフィルタ101は、複数の減光フィルタ(図示略)と、該減光フィルタを回転させる回転機構(図示略)とを有しており、制御装置3により指定された減光フィルタを水銀ランプ100の射出光軸上に配置するようになっている。これにより、回転NDフィルタ101は、水銀ランプ100からの光の強度を調節できるようになっている。
【0085】
また、照射光学系41において走査光学ユニット9(図1参照)を省略するとともに、検出光学系42において、光検出器2(図1参照)に代えて、CCD103を備えている。また、ミラー12を水銀ランプ100からの光を反射する一方、標本15からの蛍光を透過するダイクロイックミラーとし、ミラー12とCCD103との間にレンズ102を備えている。
【0086】
上記構成を有する本変形例に係る蛍光観察装置52によれば、前述の各実施形態に係る蛍光観察装置と同様に、蛍光の褪色による観察精度の低下を抑制しつつ、広ダイナミックレンジで標本15を観察することができるという効果を奏する。
【0087】
[第2の変形例]
また、上記の各実施形態に係る蛍光観察装置の第2の変形例として、図16に示すように、レーザ光源1(図1参照)に代えて、LED105を備えることとしてもよい。その他の相違点(ミラー12、CCD103、レンズ102)については、前述の第1の変形例と同様である。
【0088】
上記構成を有する本変形例に係る蛍光観察装置53によれば、前述の第1の変形例に係る蛍光観察装置52と同様に、蛍光の褪色による観察精度の低下を抑制しつつ、広ダイナミックレンジで標本15を観察することができるという効果を奏する。
【0089】
以上、本発明の各実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。例えば、本発明を上記の各実施形態および変形例に適用したものに限定されることなく、これらの実施形態および変形例を適宜組み合わせた実施形態に適用してもよく、特に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0090】
1 レーザ光源(励起光源)
2 光検出器
3 制御装置(制御部、判定部)
4 画像表示部
8 ダイクロイックミラー
9 走査光学ユニット(走査手段)
11 レーザ制御部(調光手段)
14 対物レンズ
15 標本
16 XYZステージ(ステージ)
21 検出器制御部
31 画像生成部
32 メモリ
33 画像合成部
41 照射光学系
42 検出光学系
51,52,53 蛍光観察装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば細胞等を観察するための蛍光観察装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
細胞等を観察する観察装置において、撮像対象の視野内における高輝度領域と低輝度領域との輝度差が大きい場合、高輝度領域が飽和しないように、レーザ光の強度や露出時間や検出感度を調整すると、低輝度領域の明るさが不十分となる。一方、低輝度領域の明るさが十分になるように、レーザ光の強度や露出時間や検出感度を調整すると、高輝度領域の明るさが飽和する現象が発生する。これは、撮像対象のダイナミックレンジが検出装置よりも大きいために発生する問題である。
【0003】
この問題に対し、露光時間を変更して明るさの異なる複数の画像を取得し、これらの画像を合成することで、広ダイナミックレンジで撮像対象を観察することを図った観察装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−301332号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示されている観察装置では、例えば蛍光顕微鏡を用いて蛍光物質で染色した細胞を観察する場合、露光時間が長くなると蛍光が褪色してしまい、細胞の観察精度が低下するという不都合がある。
【0006】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、蛍光の褪色による観察精度の低下を抑制しつつ、広ダイナミックレンジで撮像対象を観察することができる蛍光観察装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を採用する。
本発明は、励起光を照射する励起光源と、該励起光源から照射される励起光の強度を調節する調光手段と、該調光手段により調節された励起光を標本上に照射する照射光学系と、標本上において発生した蛍光を検出する検出光学系と、該検出光学系により検出された蛍光から標本の画像を生成する画像生成部と、該画像生成部により生成された複数の画像を合成する画像合成部と、前記調光手段により励起光の強度を高強度から低強度の順に調節させて、前記画像生成部により蛍光強度の異なる複数の画像を生成させ、前記画像合成部により前記複数の画像を合成させる制御部とを備える蛍光観察装置である。
【0008】
本発明によれば、励起光源により照射された励起光が、照射光学系により標本上に照射され、標本上において発生した蛍光が、検出光学系により検出される。そして、検出された蛍光から、画像生成部により標本の画像が生成され、生成された複数の画像が画像合成部により合成される。
【0009】
この場合において、制御部により制御されて、調光手段により励起光の強度が高強度から低強度の順に調節され、画像生成部により蛍光強度の異なる複数の画像が生成される。このように生成された蛍光強度の異なる複数の画像は、画像合成部により合成される。
【0010】
このようにすることで、広いダイナミックレンジの標本の画像(合成画像)を取得することができ、標本の高輝度領域と低輝度領域の両方を精度よく観察することができる。また、励起光の強度を高強度から低強度の順に調節することで、蛍光が褪色してしまう前に標本の細部についての画像を取得することができ、この画像を合成に用いることで、標本の観察精度を向上することができる。
【0011】
上記発明において、前記検出光学系が、蛍光の検出感度および/または露光時間を調節可能であることとしてもよい。
このようにすることで、検出光学系により蛍光の検出感度および/または露光時間を調節することによって、画像生成部により生成される画像の蛍光強度の範囲を広げることができる。このような広範囲な蛍光強度の画像を画像合成部により合成することで、標本の画像(合成画像)のダイナミックレンジをさらに広げることができる。
【0012】
上記発明において、前記調光手段により調光された励起光を標本上で走査する走査手段を備え、前記画像生成部が、該走査手段による走査位置と前記検出光学系により検出された蛍光とを対応づけて標本の画像を生成することとしてもよい。
このようにすることで、画像生成部により、走査手段による走査位置と検出光学系により検出された蛍光とを対応づけて、詳細な標本の画像を生成することができる。このような詳細な画像から合成画像を生成することで、標本の観察精度を向上することができる。
【0013】
上記発明において、標本を前記照射光学系の光軸に直交する方向に移動させるステージを備え、前記画像生成部が、該ステージの位置と前記検出光学系により検出された蛍光とを対応づけて標本の画像を生成することとしてもよい。
このようにすることで、画像生成部により、ステージの位置と検出光学系により検出された蛍光とを対応づけて、標本の画像を容易に生成することができ、装置構成を簡略化することができる。なお、ステージを照射光学系の光軸に沿う方向に移動可能な構成とすることで、標本の3次元画像を生成することができる。
【0014】
上記発明において、前記照射光学系が、標本を互いに異なる複数の領域に分けるとともに、これら領域に励起光を順次照射して、前記調光手段が、前記照射光学系が全ての領域に励起光の照射を終了した時点で、励起光の強度を低強度に切り替えることとしてもよい。
【0015】
このようにすることで、互いに異なる複数の領域に対して照射光学系により励起光が順次照射され、これら全ての領域に励起光の照射を終了した時点で、調光手段により励起光の強度が低強度に切り替えられる。これにより、複数の領域のうち或る領域において、一度励起光が照射されてから、その強度が低強度に切り替えられて再び照射されるまでに、タイムラグが生じることとなる。このタイムラグの間に、前述の或る領域において、蛍光物質の拡散現象が生じるため、蛍光がより鮮明な画像を取得することができる。このような鮮明な画像から合成画像を生成することで、標本の観察精度を向上することができる。
【0016】
上記発明において、前記画像生成部により生成された各前記領域の画像が所定の輝度値の範囲内であることを判定する判定部を備え、該判定部により所定の輝度値の範囲外と判定された領域の画像について、前記調光手段により励起光の強度を調節して前記画像生成部により再度画像を生成することとしてもよい。
【0017】
このようにすることで、複数の領域のうち、所定の輝度値の範囲外と判定された領域の画像については、調光手段により励起光の強度が調節されて再度画像が取得される。これにより、標本の全ての領域について適切な輝度を有する画像を取得することができ、これら画像を合成することで、標本の観察精度を向上することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、蛍光の褪色による観察精度の低下を抑制しつつ、広ダイナミックレンジで撮像対象を観察することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】第1の実施形態に係る蛍光観察装置の概略構成図である。
【図2】図1の蛍光観察装置における画像合成時の動作を説明する図である。
【図3】図1の蛍光観察装置により実行される処理を示すフローチャートである。
【図4】図1の蛍光観察装置の効果を説明する図であり、(a)は撮像初期の画像、(b)は撮像後期の画像、(c)は合成画像をそれぞれ表わしている。
【図5】従来の蛍光観察装置の画像合成を説明する図であり、(a)は撮像初期の画像、(b)は撮像後期の画像、(c)は合成画像をそれぞれ表わしている。
【図6】第2の実施形態に係る蛍光観察装置におけるレーザ強度と撮像枚数との関係を示すグラフである。
【図7】第2の実施形態に係る蛍光観察装置における光検出器の検出感度と撮像枚数との関係を示すグラフである。
【図8】第2の実施形態に係る蛍光観察装置により実行される処理を示すフローチャートである。
【図9】第3の実施形態に係る蛍光観察装置により実行される処理を示すフローチャートである。
【図10】第4の実施形態に係る蛍光観察装置の画像取得時の動作を説明する図であり、(a)は撮像初期の画像、(b)は撮像中期の画像、(c)は撮像後期の画像をそれぞれ表わしている。
【図11】第4の実施形態に係る蛍光観察装置により生成された合成画像を示す図である(飽和領域の置き換え前)。
【図12】第4の実施形態に係る蛍光観察装置により生成された合成画像を示す図である(飽和領域の置き換え後)。
【図13】第4の実施形態に係る蛍光観察装置により実行される処理を示すフローチャートである。
【図14】第4の実施形態に係る蛍光観察装置により実行される処理を示すフローチャートである。
【図15】第1の変形例に係る蛍光観察装置の概略構成図である。
【図16】第2の変形例に係る蛍光観察装置の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態に係る蛍光観察装置51について、図面を参照して以下に説明する。
本実施形態に係る蛍光観察装置51は、レーザ走査型顕微鏡であり、図1に示すように、レーザ光を照射するレーザ光源(励起光源)1と、標本15を載置するXYZステージ16と、レーザ光源1からのレーザ光を標本15に照射する照射光学系41と、標本15からの光を検出する検出光学系42と、これらを制御するとともに画像を生成する制御装置3と、制御装置3により生成された画像を表示する画像表示部4とを主な構成要素として備えている。
【0021】
標本15は、例えば細胞群であり、その内の観察対象とする細胞に特異的に付着または発現する蛍光物質が投与されている。
レーザ光源1は、標本15中の蛍光物質を励起させる励起光を発し、レーザ制御部(調光手段)11により制御されるようになっている。具体的には、レーザ制御部11は、制御装置3からの指令に基づいて、レーザ光源1から発せられるレーザ光の強度を調節するようになっている。
【0022】
XYZステージ16は、標本15を載置するとともに、後述する対物レンズ14に対して、対物レンズ14の光軸に沿う方向(Z方向)および対物レンズ14の光軸に直交する方向(XY方向)に相対移動できるようになっている。このような構成とすることで、標本15におけるレーザ光の焦点位置を3次元方向(XYZ方向)に変化させ、その焦点位置からの蛍光を検出することで、標本15の3次元画像を生成することができるようになっている。
【0023】
照射光学系41は、レーザ光源1からのレーザ光を標本15に照射する光学系であり、ダイクロイックミラー8と、走査光学ユニット(走査手段)9と、リレーレンズ10と、ミラー12と、結像レンズ13と、対物レンズ14とを備えている。
検出光学系42は、標本15からの蛍光を検出する光学系であり、測光フィルタユニット7と、レンズ6と、ピンホール5と、光検出器2と、検出器制御部21とを備えている。
【0024】
対物レンズ14は、標本15(XYZステージ16)に対向して配置されている。対物レンズ14は、レーザ光源1から発せられたレーザ光を標本15に照射するとともに、標本15からの光を集めるようになっている。ここで、レーザ光が標本15に照射されることで、レーザ光の焦点位置において標本15内の蛍光物質が励起されて蛍光が発生する。したがって、対物レンズ14は、標本15からの光として、標本15から発生した蛍光を集めるようになっている。
【0025】
ダイクロイックミラー8は、レーザ光源1からのレーザ光を透過する一方、対物レンズ14により集められた標本15からの蛍光を光検出器2に向けて反射するようになっている。これにより、ダイクロイックミラー8は、レーザ光源1からのレーザ光と、標本15からの蛍光とを分岐するようになっている。
【0026】
走査光学ユニット9は、一対のガルバノミラー91,92を有しており、これらガルバノミラー91,92の揺動角度を変化させ、ラスタスキャン方式で駆動されるようになっている。これにより、レーザ光源1からのレーザ光を標本15上において2次元的(XY方向)に走査させることができるようになっている。
【0027】
測光フィルタユニット7は、ダイクロイックミラー8により反射された標本15からの光のうち、蛍光以外の光(例えばレーザ光源1からのレーザ光)を遮断するようになっている。
レンズ6は、測光フィルタユニット7を通過してきた標本15からの蛍光をピンホール5に集光するようになっている。
【0028】
ピンホール5は、標本Aにおけるレーザ光の焦点位置から発生した蛍光のみを通過させるようになっている。すなわち、対物レンズ14により集められた蛍光は、ピンホール5を通過することによりレーザ光の焦点位置(測定点)から光軸方向にずれた位置からの光がカットされる。これにより、光軸方向に焦点位置と同一な面からの蛍光だけを光検出器2に入射させるようになっている。
【0029】
光検出器2は、例えば光電子増倍管(Photomultiplier Tube)であり、検出した標本15からの蛍光を光電変換して、得られた電気信号を制御装置3に出力するようになっている。
光検出器2は、検出器制御部21により制御されるようになっている。具体的には、検出器制御部21は、制御装置3からの指令に基づいて、光検出器2の検出感度と露光時間を調節するようになっている。なお、光検出器2の検出感度と露光時間は、両方を同時に調節することとしてもよく、いずれか一方のみを調節することとしてもよい。
【0030】
制御装置3は、画像生成部31と、メモリ32と、画像合成部33とを機能として備えている。
画像生成部31は、光検出器2から出力された電気信号を取り込んで、標本15の画像を生成するようになっている。具体的には、画像生成部31は、光検出器2により検出された標本15からの蛍光の強度と、走査光学ユニット9による標本15における走査位置とを対応付けて、標本15の蛍光画像を生成する。
【0031】
メモリ32には、標本15の蛍光画像を取得するための各種の条件や、各種の処理を行うためのプログラム等が記録されている。
画像合成部33は、画像生成部31により生成された複数の画像を合成するようになっている。
【0032】
また、制御装置3は、前述の各部を制御するようになっている。具体的には、制御装置3は、レーザ制御部11を制御して、レーザ光源1から発するレーザ光の強度を高強度から低強度の順に調節させる。また、制御装置3は、上記のようにレーザ光の強度を調節させていく際に、画像生成部31により蛍光強度の異なる複数の画像を生成させる。そして、制御装置3は、このように生成された蛍光強度の異なる複数の画像を画像合成部33により合成させる。
【0033】
上記の制御装置3による制御について、具体例を挙げて以下に説明する。
図2に示すように、制御装置3は、レーザ光源1から発するレーザ光が30%、25%、20%、15%、10%の強度となるように、レーザ光の強度を高強度から低強度の順に調節させ、画像生成部31により蛍光強度の異なる5枚の画像を生成させる。そして、制御装置3は、このように生成された蛍光強度の異なる5枚の画像を画像合成部33により合成させる。
このようにすることで、広ダイナミックレンジの標本15の画像(合成画像)を取得することができ、標本15の高輝度領域と低輝度領域の両方を精度よく観察することができる。
【0034】
上記構成を有する蛍光観察装置51の作用について以下に説明する。
レーザ光源1を作動させると、レーザ光源1から射出されたレーザ光は、照射光学系41に導光される。照射光学系41に導光されたレーザ光は、ダイクロイックミラー8を透過して、走査光学ユニット9により標本15上において2次元的に走査され、対物レンズ14により標本15上に照射される。
【0035】
標本15では、レーザ光の焦点位置において蛍光物質が励起されて蛍光が発生する。標本15において発生した蛍光は、対物レンズ14により集められ、走査光学ユニット9を通過して、ダイクロイックミラー8により反射される。反射された標本15からの蛍光は、測定フィルタユニット7およびレンズ6を透過し、ピンホール5を通過してきた蛍光だけが光検出器2により検出される。
【0036】
光検出器2では標本15からの蛍光が光電変換され、制御装置3に出力される。制御装置3では、光検出器2から出力された蛍光の強度情報と、走査光学ユニット9によるレーザ光の走査位置とから、標本15の2次元的な蛍光画像が生成される。
【0037】
上記のように生成される複数の標本15の蛍光画像が、画像合成部33により合成され、その合成画像が画像表示部4に表示される。
上記の画像合成時における詳細な処理について、図3に示すフローチャートに従って以下に説明する。
【0038】
まず、画像の明るさが上限値と下限値との略中央付近になるように、基準とするリファレンス画像を撮像する(ステップS1)。なお、リファレンス画像は、画像内において観察対象(細胞)を認識できればよい。したがって、リファレンス画像を取得する際には、蛍光の褪色を抑えるために極力低い強度のレーザ光を照射して撮像することが好ましい。
【0039】
次に、上記のリファレンス画像の撮像条件(例えば、レーザ光の強度、露光時間、光検出器の感度)を最適条件として記憶する(ステップS2)。
次に、レーザ光の変化量、すなわち、レーザ光の強度を低下させていく際の調節範囲を指定する(ステップS3)。この際に指定する変化量として、例えば、具体的に調節範囲の上限値と下限値とを指定してもよく、リファレンス画像を取得した際のレーザ光の強度に対する比率として指定してもよい。
【0040】
次に、ユーザにより撮像開始ボタン(図示略)が押されると(ステップS4)、レーザ光の強度が指定した調節範囲における最大強度となるように、レーザ光源1を制御する(ステップS5)。
【0041】
この撮像条件において撮像が行われ(ステップS6)、予め設定された規定回数、すなわち、合成する画像の枚数分撮像されたか否かが判断される(ステップS7)。
ステップS7において規定回数まで達してない場合には、レーザ光の変化量を規定回数で除算した数値、すなわち、レーザ光の強度を低下させていく際における1回の調節量の分だけ、レーザ光の強度を低下させ(ステップS8)、再度撮像を行う(ステップS6)。これにより、蛍光強度の異なる複数の画像が取得される。
【0042】
そして、ステップS7において、規定回数の撮像が完了した場合には、ステップS6において撮像された蛍光強度の異なる複数(規定回数分)の画像が、画像合成部33により合成される(ステップS9)。これにより、広ダイナミックレンジな標本15の画像(合成画像)が取得される。
【0043】
ここで、レーザ光の強度を高強度から低強度の順に調節させることの効果について、図4および図5を用いて以下に説明する。
図4は、本実施形態に係る画像取得方法、すなわち、レーザ光の強度を高強度から低強度の順に調節させて合成画像を生成する方法を示している。一方、図5は、比較例として示す従来の画像取得方法、すなわち、レーザ光の強度を低強度から高強度の順に調節させて合成画像を生成する方法を表わしている。また、図4および図5において、(a)は撮像初期の画像、(b)は撮像後期の画像、(c)は合成画像をそれぞれ表わしている。
【0044】
本実施形態に係る画像取得方法によれば、撮像初期においてはレーザ光は高強度であるため、図4(a)に示すように、観察対象である細胞の低輝度領域Lまで鮮明に撮像することができる。ただし、細胞の高輝度領域Hについては明るさが飽和してしまっている。そして、撮像後期においてはレーザ光は低強度であるため、あるいは蛍光が褪色しているため、図4(b)に示すように、細胞の低輝度領域Lについては撮像できないものの、細胞の高輝度領域Hについては鮮明に撮像することができる。
【0045】
このように取得された、図4(a)に示す細胞の低輝度領域Lが鮮明に撮像された画像と、図4(b)に示す細胞の高輝度領域Hが鮮明に撮像された画像とを合成することで、図4(c)に示すように、細胞の低輝度領域から高輝度領域まで鮮明に撮像された広いダイナミックレンジの画像を取得することができる。
【0046】
これに対して、従来の画像取得方法によれば、撮像初期においてはレーザ光は低強度であるため、図5(a)に示すように、観察対象である細胞の高輝度領域Hについては鮮明に撮像することができるものの、細胞の低輝度領域Lについては強度不十分のため鮮明な画像を得ることができない。そして、撮像後期においてレーザ光を高強度としても、細胞の低輝度領域については蛍光が褪色しているため、図5(b)に示すように、細胞の低輝度領域については撮像できない。
【0047】
このように取得された、図5(a)に示す画像と、図5(b)に示す画像とを合成しても、図5(c)に示すように、細胞の低輝度領域Lについては不鮮明な画像しか取得することができない。
上述のように、レーザ光の強度を調節する順序によって取得できる画像の画質が大きく異なり、本実施形態に係る画像取得方法によって初めて、蛍光観察装置において広いダイナミックレンジで鮮明な画像を取得することができる。
【0048】
以上のように、本実施形態に係る蛍光観察装置51によれば、レーザ制御部11によりレーザ光の強度が高強度から低強度の順に調節され、画像生成部31により蛍光強度の異なる複数の画像が生成される。このように生成された蛍光強度の異なる複数の画像は、画像合成部33により合成される。
【0049】
このようにすることで、広いダイナミックレンジの標本15の画像(合成画像)を取得することができ、標本15の高輝度領域と低輝度領域の両方を精度よく観察することができる。また、レーザ光の強度を高強度から低強度の順に調節することで、蛍光が褪色してしまう前に標本15の細部についての画像を取得することができ、この画像を合成に用いることで、標本15の観察精度を向上することができる。
【0050】
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態に係る蛍光観察装置について、主に図6から図8を参照して以下に説明する。以下、本実施形態に係る蛍光観察装置について、前述の実施形態に係る蛍光観察装置51と共通する部分については同一の符号を付して説明を省略するとともに、前述の実施形態に係る蛍光観察装置51と異なる部分について主に説明する。
【0051】
本実施形態に係る蛍光観察装置は、前述の実施形態に係る蛍光観察装置51と同様にレーザ光源1からのレーザ光の強度を高強度から低強度の順に調節することに加えて、光検出器2の検出感度を調節する。
具体的には、図6に示すようにレーザ光の強度を高強度から低強度の順に調節するに伴って、図7に示すように検出器制御部21により光検出器2の検出感度を高感度から低感度の順に調節する。
【0052】
本実施形態に係る蛍光観察装置の画像合成時における詳細な処理について、図8に示すフローチャートに従って以下に説明する。なお、図3に示すフローチャートと同様の処理については同一の符号を付して説明を簡略化する。
まず、画像の明るさが上限値と下限値との略中央付近になるように、基準とするリファレンス画像を撮像する(ステップS1)。
【0053】
次に、上記のリファレンス画像の撮像条件(例えば、レーザ光の強度、露光時間、光検出器の感度)を最適条件として記憶する(ステップS2)。
次に、レーザ光の変化量、すなわち、レーザ光の強度を低下させていく際の調節範囲を指定する(ステップS3)。
次に、ゲインの変化量、すなわち、光検出器2の検出感度を低下させていく際の調節範囲を指定する(ステップS11)。
【0054】
次に、ユーザにより撮像開始ボタン(図示略)が押されると(ステップS4)、レーザ光の強度が指定した調節範囲における最大強度となるように、レーザ光源1を制御する(ステップS5)。
次に、光検出器2の検出感度が指定した調節範囲における最大感度となるように、光検出器2を制御する(ステップS12)。
【0055】
この撮像条件において撮像が行われ(ステップS6)、予め設定された規定回数、すなわち、合成する画像の枚数分撮像されたか否かが判断される(ステップS7)。
ステップS7において規定回数まで達してない場合には、レーザ光の変化量を規定回数で除算した数値、すなわち、レーザ光の強度を低下させていく際における1回の調節量の分だけ、レーザ光の強度を低下させる(ステップS8)。そして、ゲインの変化量を規定回数で除算した数値、すなわち、光検出器2の検出感度を低下させていく際における1回の調節量の分だけ、光検出器2の検出感度を低下させる(ステップS13)。
そして、この撮像条件において再度撮像を行う(ステップS6)。これにより、蛍光強度の異なる複数の画像が取得される。
【0056】
そして、ステップS7において、規定回数の撮像が完了した場合には、ステップS6において撮像された蛍光強度の異なる複数(規定回数分)の画像が、画像合成部33により合成される(ステップS9)。これにより、広ダイナミックレンジな標本15の画像(合成画像)が取得される。
【0057】
本実施形態に係る蛍光観察装置によれば、光検出器2の検出感度を調節することによって、画像生成部31により生成される画像の蛍光強度の範囲を広げることができる。このような広範囲な蛍光強度の画像を画像合成部33により合成することで、標本15の画像(合成画像)のダイナミックレンジをさらに広げることができる。
【0058】
なお、本実施形態に係る蛍光観察装置において、光検出器2の検出感度を調節することとして説明したが、これに代えて、光検出器2の露光時間を同様に調節することとしてもよい。また、光検出器2の検出感度および露光時間を同時に調節することとしてもよい。このようにすることで、本実施形態に係る蛍光観察装置と同様に、画像生成部31により生成される画像の蛍光強度の範囲を広げることができ、標本15の画像(合成画像)のダイナミックレンジをさらに広げることができる。
【0059】
[第3の実施形態]
次に、本発明の第3の実施形態に係る蛍光観察装置について、主に図9を参照して以下に説明する。以下、本実施形態に係る蛍光観察装置について、前述の実施形態に係る蛍光観察装置と共通する部分については同一の符号を付して説明を省略するとともに、前述の実施形態に係る蛍光観察装置と異なる部分について主に説明する。
【0060】
本実施形態に係る蛍光観察装置は、XYZステージ16を3次元方向(XYZ方向)に移動させることで、標本15の3次元画像を生成する。
以下、本実施形態に係る蛍光観察装置の画像合成時における詳細な処理について、図9に示すフローチャートに従って説明する。
【0061】
まず、レーザ光源1のレーザ光の強度を強めに設定する(ステップS21)。
次に、XYZステージ16を移動させ(ステップS22)、光検出器2により検出された標本15からの蛍光強度とXYZステージ16の位置(対物レンズ14の焦点位置)とを対応付けることで、標本15の画像を取得する(ステップS23)。
【0062】
次に、ステップS22において決定したXYZステージ16の位置における全平面の撮像が完了したか否かが判断される(ステップS24)。ステップS24において未完了の場合には、次の移動先(XY平面)が決定され(ステップS25)、決定された位置にXYZステージ16を移動させ(ステップS22)、標本15の画像を取得する(ステップS23)。
【0063】
ステップS24において全平面の撮像が完了した場合には、これら全平面について、予め設定された規定回数、すなわち、合成する画像の枚数分撮像されたか否かが判断される(ステップS26)。ステップS26において規定回数まで達してない場合には、レーザ光の強度を弱く調節して(ステップS27)、XYZステージ16の移動先がXY平面の開始位置、すなわちステップS22におけるXYZステージ16の初期位置に決定される(ステップS28)。そして、決定された位置にXYZステージ16を移動させ(ステップS22)、標本15の画像を取得する(ステップS23)。これにより、蛍光強度の異なる複数の画像が取得される。
【0064】
上記のようにして、ステップS26において規定回数の撮像が完了した場合には、ステップS23において撮像された蛍光強度の異なる複数(規定回数分)の画像が、画像合成部33により合成される(ステップS29)。これにより、広ダイナミックレンジな標本15の画像(合成画像)が取得される。
【0065】
次に、Z方向について全数の画像取得が完了したか否かが判断される(ステップS30)。ステップS30において、未完了の場合には、XYZステージ16をZ方向に移動させ、XYZステージ16のZ位置を次の平面(スライス)へ移動させて(ステップS31)、ステップS28に戻り、以降の処理をZ方向について全数の画像取得を完了するまで繰り返す。
【0066】
本実施形態に係る蛍光観察装置によれば、画像生成部31により、XYZステージ16の位置と光検出器2により検出された標本15からの蛍光強度とを対応づけて、標本15の画像を容易に生成することができる。この場合において、XYZステージ16を対物レンズ14の光軸に沿う方向(Z方向)に移動させることで、標本15の3次元画像を生成することができる。
【0067】
[第4の実施形態]
次に、本発明の第4の実施形態に係る蛍光観察装置について、主に図10から図14を参照して以下に説明する。以下、本実施形態に係る蛍光観察装置について、前述の実施形態に係る蛍光観察装置と共通する部分については同一の符号を付して説明を省略するとともに、前述の実施形態に係る蛍光観察装置と異なる部分について主に説明する。
【0068】
本実施形態に係る蛍光観察装置は、標本15を互いに異なる複数の領域に分けるとともに、これら領域にレーザ光を順次照射して、これら領域の画像を生成する。そして、全ての領域についてレーザ光の照射を終了した時点で、レーザ光の強度を低強度に切り替えて、これら領域の画像を再び取得する。
【0069】
具体的には、図10(a)から図10(c)に示すように、標本15を3×3の計9つの領域に分割する。
このように分割された領域に対して、まず、図10(a)に示すように、高強度のレーザ光を照射して、これら領域の画像を取得する。そして、全ての領域についてレーザ光の照射を終了した時点で、図10(b)に示すように、レーザ光の強度を低強度に切り替えて、これら領域の画像を再び取得する。同様に、全ての領域についてレーザ光の照射を終了した時点で、図10(c)に示すように、レーザ光の強度を低強度に切り替えて、これら領域の画像を再び取得する。
【0070】
この場合において、制御装置(判定部)3は、画像生成部31により生成された各領域の画像が所定の輝度値の範囲内であることを判定する。そして、所定の輝度値の範囲外と判定された領域の画像については、レーザ制御部11によりレーザ光の強度を調節して再撮影を行う。
【0071】
具体的には、図11に示すように、標本15の合成画像において、明るさの飽和した領域Aが発生した場合には、レーザ光の強度を低く調節して再撮影を行う。そして、図12に示すように、再撮影により生成された領域Bの合成画像を、領域Aの合成画像と置き換えて、標本15全体の合成画像として生成する。
【0072】
以下、本実施形態に係る蛍光観察装置の画像合成時における詳細な処理について、図13および図14に示すフローチャートに従って説明する。
まず、XYZステージ16を移動させ(ステップS41)、レーザ光源1のレーザ光の強度や光検出器2の露出時間および検出感度を強めに設定する(ステップS42)。
【0073】
このような撮影条件において、光検出器2により検出された標本15からの蛍光強度とXYZステージ16の位置(対物レンズ14の焦点位置)とを対応付けることで、標本15の画像を取得する(ステップS43)。この際、前述のように、標本15を互いに異なる複数の領域に分けるとともに、これら領域にレーザ光を順次照射して、これら領域の画像を生成する。
【0074】
次に、全ての領域について、予め設定された規定回数、すなわち、合成する画像の枚数分撮像されたか否かが判断される(ステップS44)。
ステップS44において規定回数まで達してない場合には、レーザ光源1のレーザ光の強度や光検出器2の露出時間および検出感度を弱く再設定して(ステップS42)、再度標本15の撮像を行う(ステップS43)。これにより、蛍光強度の異なる複数の画像が取得される。
【0075】
そして、ステップS44において、規定回数の撮像が完了した場合には、ステップS43において撮像された蛍光強度の異なる複数(規定回数分)の画像が、画像合成部33により合成される(ステップS45)。これにより、広ダイナミックレンジな標本15の画像(合成画像)が取得される。
【0076】
次に、上記のように生成された標本15の合成画像を構成する全ての領域について、輝度値等が予め設定された条件内に入っているか否かが判断される(ステップS46)。
ステップS46において、輝度値等が予め設定された条件内に入っていない領域がある場合には、その領域のXYZ方向の位置や輝度値等の情報を失敗画像リストに追加する(ステップS47)。そして、次の移動先が決定され(ステップS48)、決定された位置にXYZステージ16を移動させ(ステップS41)、前述のように標本15の合成画像を生成する(ステップS42〜S45)。
【0077】
ステップS46において、全ての領域について輝度値等が予め設定された条件内に入っている場合には、全ての位置での撮像が完了したか否かが判断される(ステップS49)。全ての位置での撮像が未完了の場合には、次の移動先が決定され(ステップS48)、決定された位置にXYZステージ16を移動させ(ステップS41)、前述のように標本15の合成画像を生成する(ステップS42〜S45)。
【0078】
ステップS49において、全ての位置での撮像が完了した場合には、前述の失敗画像リストが空か否かが判断される(ステップS50)。
失敗画像リストが空ではない場合、すなわち失敗画像リストに登録された領域がある場合には、失敗画像リストの先頭データを参照し、その位置をXYZステージ16の移動先として決定する(ステップS51)。
【0079】
次に、失敗画像を撮像した時点から予め規定された時間(拡散時間)が経過したかが判断される(ステップS52)。この拡散時間の間に、蛍光物質の拡散現象が生じることで、褪色した蛍光の強度が回復することが期待される。
次に、失敗画像リストに登録された輝度情報を参照し、レーザ光源1のレーザ光の強度が決定される(ステップS53)。
【0080】
このように決定された撮影条件において、XYZステージ16を移動させ(ステップS54)、レーザ光源1のレーザ光の強度や光検出器2の露出時間および検出感度を設定し(ステップS55)、標本15の画像を取得する(ステップS56)。
そして、失敗画像リストの先頭データを削除して(ステップS57)、ステップS50に戻り、失敗画像リストが空になるまで前述のステップS51〜S57までの処理を繰り返す。
【0081】
本実施形態に係る蛍光観察装置によれば、互いに異なる複数の領域に対して照射光学系41によりレーザ光が順次照射され、これら全ての領域にレーザ光の照射を終了した時点で、レーザ制御部11によりレーザ光の強度が低強度に切り替えられる。これにより、複数の領域のうち或る領域において、一度レーザ光が照射されてから、その強度が低強度に切り替えられて再び照射されるまでに、タイムラグが生じることとなる。このタイムラグの間に、前述の或る領域において、蛍光物質の拡散現象が生じるため、蛍光がより鮮明な画像を取得することができる。このような鮮明な画像から合成画像を生成することで、標本15の観察精度を向上することができる。
【0082】
また、制御装置3が、画像生成部31により生成された各領域の画像が所定の輝度値の範囲内であることを判定することで、複数の領域のうち、所定の輝度値の範囲外と判定された領域の画像については、レーザ制御部11によりレーザ光の強度が調節されて再度画像が取得される。これにより、標本15の全ての領域について適切な輝度を有する画像を取得することができ、これら画像を合成することで、鮮明な標本15の合成画像を得ることができ、標本15の観察精度を向上することができる。
【0083】
[第1の変形例]
なお、上記の各実施形態に係る蛍光観察装置の第1の変形例として、図15に示す構成としてもよい。
本変形例に係る蛍光観察装置52は、レーザ光源1(図1参照)に代えて、水銀ランプ100および回転NDフィルタ101を備えている。
【0084】
回転NDフィルタ101は、複数の減光フィルタ(図示略)と、該減光フィルタを回転させる回転機構(図示略)とを有しており、制御装置3により指定された減光フィルタを水銀ランプ100の射出光軸上に配置するようになっている。これにより、回転NDフィルタ101は、水銀ランプ100からの光の強度を調節できるようになっている。
【0085】
また、照射光学系41において走査光学ユニット9(図1参照)を省略するとともに、検出光学系42において、光検出器2(図1参照)に代えて、CCD103を備えている。また、ミラー12を水銀ランプ100からの光を反射する一方、標本15からの蛍光を透過するダイクロイックミラーとし、ミラー12とCCD103との間にレンズ102を備えている。
【0086】
上記構成を有する本変形例に係る蛍光観察装置52によれば、前述の各実施形態に係る蛍光観察装置と同様に、蛍光の褪色による観察精度の低下を抑制しつつ、広ダイナミックレンジで標本15を観察することができるという効果を奏する。
【0087】
[第2の変形例]
また、上記の各実施形態に係る蛍光観察装置の第2の変形例として、図16に示すように、レーザ光源1(図1参照)に代えて、LED105を備えることとしてもよい。その他の相違点(ミラー12、CCD103、レンズ102)については、前述の第1の変形例と同様である。
【0088】
上記構成を有する本変形例に係る蛍光観察装置53によれば、前述の第1の変形例に係る蛍光観察装置52と同様に、蛍光の褪色による観察精度の低下を抑制しつつ、広ダイナミックレンジで標本15を観察することができるという効果を奏する。
【0089】
以上、本発明の各実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。例えば、本発明を上記の各実施形態および変形例に適用したものに限定されることなく、これらの実施形態および変形例を適宜組み合わせた実施形態に適用してもよく、特に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0090】
1 レーザ光源(励起光源)
2 光検出器
3 制御装置(制御部、判定部)
4 画像表示部
8 ダイクロイックミラー
9 走査光学ユニット(走査手段)
11 レーザ制御部(調光手段)
14 対物レンズ
15 標本
16 XYZステージ(ステージ)
21 検出器制御部
31 画像生成部
32 メモリ
33 画像合成部
41 照射光学系
42 検出光学系
51,52,53 蛍光観察装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
励起光を照射する励起光源と、
該励起光源から照射される励起光の強度を調節する調光手段と、
該調光手段により調節された励起光を標本上に照射する照射光学系と、
標本上において発生した蛍光を検出する検出光学系と、
該検出光学系により検出された蛍光から標本の画像を生成する画像生成部と、
該画像生成部により生成された複数の画像を合成する画像合成部と、
前記調光手段により励起光の強度を高強度から低強度の順に調節させて、前記画像生成部により蛍光強度の異なる複数の画像を生成させ、前記画像合成部により前記複数の画像を合成させる制御部とを備える蛍光観察装置。
【請求項2】
前記検出光学系が、蛍光の検出感度および/または露光時間を調節可能である請求項1に記載の蛍光観察装置。
【請求項3】
前記調光手段により調光された励起光を標本上で走査する走査手段を備え、
前記画像生成部が、該走査手段による走査位置と前記検出光学系により検出された蛍光とを対応づけて標本の画像を生成する請求項1に記載の蛍光観察装置。
【請求項4】
標本を前記照射光学系の光軸に直交する方向に移動させるステージを備え、
前記画像生成部が、該ステージの位置と前記検出光学系により検出された蛍光とを対応づけて標本の画像を生成する請求項1に記載の蛍光観察装置。
【請求項5】
前記照射光学系が、標本を互いに異なる複数の領域に分けるとともに、これら領域に励起光を順次照射して、
前記調光手段が、前記照射光学系が全ての領域に励起光の照射を終了した時点で、励起光の強度を低強度に切り替える請求項1に記載の蛍光観察装置。
【請求項6】
前記画像生成部により生成された各前記領域の画像が所定の輝度値の範囲内であることを判定する判定部を備え、
該判定部により所定の輝度値の範囲外と判定された領域の画像について、前記調光手段により励起光の強度を調節して前記画像生成部により再度画像を生成する請求項5に記載の蛍光観察装置。
【請求項1】
励起光を照射する励起光源と、
該励起光源から照射される励起光の強度を調節する調光手段と、
該調光手段により調節された励起光を標本上に照射する照射光学系と、
標本上において発生した蛍光を検出する検出光学系と、
該検出光学系により検出された蛍光から標本の画像を生成する画像生成部と、
該画像生成部により生成された複数の画像を合成する画像合成部と、
前記調光手段により励起光の強度を高強度から低強度の順に調節させて、前記画像生成部により蛍光強度の異なる複数の画像を生成させ、前記画像合成部により前記複数の画像を合成させる制御部とを備える蛍光観察装置。
【請求項2】
前記検出光学系が、蛍光の検出感度および/または露光時間を調節可能である請求項1に記載の蛍光観察装置。
【請求項3】
前記調光手段により調光された励起光を標本上で走査する走査手段を備え、
前記画像生成部が、該走査手段による走査位置と前記検出光学系により検出された蛍光とを対応づけて標本の画像を生成する請求項1に記載の蛍光観察装置。
【請求項4】
標本を前記照射光学系の光軸に直交する方向に移動させるステージを備え、
前記画像生成部が、該ステージの位置と前記検出光学系により検出された蛍光とを対応づけて標本の画像を生成する請求項1に記載の蛍光観察装置。
【請求項5】
前記照射光学系が、標本を互いに異なる複数の領域に分けるとともに、これら領域に励起光を順次照射して、
前記調光手段が、前記照射光学系が全ての領域に励起光の照射を終了した時点で、励起光の強度を低強度に切り替える請求項1に記載の蛍光観察装置。
【請求項6】
前記画像生成部により生成された各前記領域の画像が所定の輝度値の範囲内であることを判定する判定部を備え、
該判定部により所定の輝度値の範囲外と判定された領域の画像について、前記調光手段により励起光の強度を調節して前記画像生成部により再度画像を生成する請求項5に記載の蛍光観察装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2012−128354(P2012−128354A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−282047(P2010−282047)
【出願日】平成22年12月17日(2010.12.17)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月17日(2010.12.17)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】
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