説明

螺旋状組立工具

【課題】関節形成術で使用するための、義肢の第1の構成要素をその義肢の第2の構成要素に組み付ける組立工具を提供する。
【解決手段】この工具は、第1の構成要素に動作可能に結合された第1の部材を含み、第1の部材の長手軸線を画定する。第2の部材が第2の構成要素に動作可能に結合され、第2の部材の長手軸線を画定する。ワッシャシステムが第2の部材に結合される。駆動機構がワッシャシステムに結合され、そのため、駆動機構が作動されるとき、ワッシャシステムが、第2の部材の長手軸線を中心として回転し、第2の部材の長手軸線に沿って拡張するようになっており、そのような運動により、更に、第2の部材が第2の部材の長手軸線に沿って第1の部材に対して移動されるようになる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広義には整形外科学の分野に関し、より具体的には関節形成術で使用するための移植片に関する。
【背景技術】
【0002】
変形性関節症及びリウマチ性関節炎によって生じる疼痛及び不動性を患う患者には、関節置換手術という選択肢がある。関節置換手術は極めて一般的であり、それにより、他の方法では不可能となる場合にも、多数の人々が適切に動作することが可能となっている。人工関節は一般に、既存の骨に固定される、金属、セラミック及び/又はプラスチックの構成要素から構成される。
【0003】
そのような関節置換手術は、関節形成術としても知られている。関節形成術は、疾患及び/又は損傷した関節を人工関節と置換する周知の外科手技である。通常の関節全置換術において、関節に隣接する骨の端部又は遠位部分が切除されるか、あるいは、骨の遠位部の一部分が除去され、人工関節がそこに固定される。
【0004】
人工骨などの移植可能な物品を製造するための多数の設計及び方法が知られている。そのような人工骨は、肘、尻、膝及び肩などの人工関節の構成要素を含む。
【0005】
関節置換手技を実施する間、一般に、義肢の選択においてある程度の柔軟性を外科医に与えることが必要である。特に、義肢が移植される骨の解剖学的構造は、患者によって幾分か異なり得るものである。そのような変動は、例えば患者の年齢、体の大きさ、及び性別に起因し得るものである。例えば、大腿義足の場合、患者の大腿骨は相対的に長いか、あるいは相対的に短く、そのため、それぞれ相対的に長いステム又は短いステムを含む大腿義足を使用することが必要となり得る。更に、相対的に長いステム長さの使用が必要となるときなど、ある場合には、ステムはまた、患者の大腿管の解剖学的構造に適合させるために、曲げられなければならない。
【0006】
このように、様々な形状と大きさの義肢が必要とされており、したがって、一体型義肢の使用に関して多数の問題が生じる。例えば、病院又は外科センターは、外傷の状況及び修復手術など、特定の状況に必要となる義肢の必須の組み合わせを有するために、比較的大規模な義肢の在庫を維持しなければならない。更に、ステムの曲がりは、患者の大腿骨の骨髄内管の曲がりに適合しなければならないので、義肢の上部部分の回転による位置決めが制限され、それにより、上部部分を、したがって義肢のヘッドを正確に配置することが非常に困難となる。加えて、患者の解剖学的構造の左及び右側の対応する骨(例えば、左及び右大腿骨)は反対方向に曲がっていることがあるので、骨ステムの前傾をもたらすためには、義肢の(左)及び(右)への変形をもたらすことが必要となり、それにより、維持しなければならない義肢の在庫が更に増加することになる。
【0007】
これらの欠点及び他の欠点の結果として、多数のモジュール式義肢が設計されてきた。その名前が示す通り、モジュール式義肢は、モジュール形式で構成されるものであり、そのため、義肢の個々の要素又は形状は、所与の患者の解剖学的構造の要求に適合するように選択され得る。例えば、所与の患者の解剖学的構造の要求に適合する組立て体を作製するために、多数の遠位側のステム構成要素のいずれか1つに組み付けられ得る近位側のネック構成要素を含むモジュール式義肢が設計されてきた。そのような設計により、遠位側のステム構成要素を選択し、その後に、患者の解剖学的構造に適合する位置にて患者の骨に移植することができ、その一方でまた、近位側のネック構成要素を、限られた程度で、患者の骨盤に対して個別に位置決めすることも可能となる。
【0008】
モジュール式義肢を使用する結果として生じる1つの問題は、構成要素を互いに対してロックすることである。特に、近位側のネック構成要素を遠位側のステム構成要素に、再現可能に堅固にロックすることは、それら2つの構成要素が患者への移植の後に分離するのを防止するために重要である。堅固にロックすることの必要性は、その設計が体重負荷で確実にロックするものでない場合、特に不可欠である。したがって、モジュール式義肢の構成要素を互いにロックするために、これまでにも多数のロック機構が設計されてきた。例えば、遠位側のネック構成要素によって画定される穴の中に受容される、上方に延びるポストを有する遠位側のステム構成要素を含めるように、多数のモジュール式義肢が、これまでにも設計されてきた。ねじ又はボルトなどの比較的長い締結具が、ポストを穴に固定するために利用されている。モジュール式構成要素を固定する他の方法には、ある構成要素を他の構成要素に押し付けることが含まれる。この方法は、非常に多様な結果をもたらす。
【0009】
モジュール式ステムの現行の設計には、モジュール連結で2つの構成要素間のテーパ嵌合を利用する設計が含まれる。例えば、近位側本体は、遠位側ステム上の外部テーパと嵌合する内部テーパを含んでもよい。そのようなテーパ連結部は、付加的な固定手段、例えばねじ連結と共に使用されてもよく、また単独で使用されてもよい。テーパ連結部が安定であることが重要である。例えば、このテーパ連結部がステムの動作に伴う力に耐え得るように、テーパ連結部を適切に固定するために、適量の力がテーパ連結部に加えられなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
モジュール式人工関節の構成要素を装置に付加しようという現行の試みは、いくつかの問題を伴う。例えば、その装置では、構成要素をしっかりとロックするのに十分な機械的利益が得られないことがある。更に、構成要素をロックするのに有用な人間工学は、最適でないことがある。したがって、上述の問題のうちの少なくともいくつかを軽減することが可能な組立工具を提供することが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一実施形態によれば、関節形成術で使用するための、義肢の第1の構成要素をその義肢の第2の構成要素に組み付ける組立工具が提供される。この工具は、第1の構成要素と動作可能に結合された第1の部材を含む。第1の部材は、第1の部材の長手軸線を画定する。第2の部材が第2の構成要素に動作可能に結合され、第2の部材の長手軸線を画定する。また、ワッシャシステムが含められ、第2の部材に結合される。駆動機構がワッシャシステムに結合され、そのため、駆動機構が作動されるとき、ワッシャシステムが、第2の部材の長手軸線を中心として回転し、第2の部材の長手軸線に沿って拡張するようになっており、そのような運動により、更に、第2の部材が第2の部材の長手軸線に沿って第1の部材に対して移動されるようになる。
【0012】
本発明の別の実施形態によれば、関節形成術で使用するための、義肢の第1の構成要素をその義肢の第2の構成要素に組み付ける方法が提供される。この方法は、第1の部材と第2の部材とを有する組立工具を使用することを含む。第2の部材は、第2の部材の長手軸線を画定する。組立工具はまた、第2の部材に結合されたワッシャシステムと、そのワッシャシステムに結合された駆動機構とを含む。義肢の第1の構成要素は、義肢の第2の構成要素に挿入される。組立工具の第2の部材は、義肢の第2の構成要素に固定される。駆動機構が作動されて、第2の部材が、第2の部材の長手軸線に沿って第1の部材に対して移動される。
【0013】
本発明の更に別の実施形態によれば、関節形成術で使用するための、義肢の第1の構成要素をその義肢の第2の構成要素に組み付ける組立工具が提供される。この工具は、第1の構成要素と動作可能に結合された第1の部材を含む。第1の部材は、第1の部材の長手軸線を画定する。第2の部材は、第2の構成要素と動作可能に結合される。第2の部材は第2の部材の長手軸線を画定し、引張ロッドを含む。駆動機構が第2の部材に結合され、そのため、駆動機構が作動され、所定の負荷に達すると、引張部材が破断する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
本発明及びその利点をより完全に理解するために、ここで添付の図面と共に以下の説明を参照することにする。
【図1】本発明の一実施形態による組立工具の透視斜視図。
【図2】モジュール式移植片に結合された図1の組立工具の透視図。
【図3】図2の拡大透視図。
【図4】本発明の一実施形態による組立工具の斜視図。
【図5】図1のワッシャ組立体の斜視図。
【図6】回転位置にある図5のワッシャ組立体の斜視図。
【図7】図1の組立工具の引張ロッドアセンブリの破断図。
【図7a】本発明の一実施形態によるワッシャシステム及びプルロッドの拡大図。
【図8】本発明の一実施形態による組立工具を使用するための方法の流れ図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施形態及びその利点は、以下の説明及び図面を参照することにより最良に理解される。以下の説明及び図面において、同様の参照符号が、図面の同様の部分及び対応する部分に対して用いられている。
【0016】
図1は、本発明の一実施形態による組立工具10の斜視図である。組立工具10は、第1の部材12と第2の部材14とを含む。第2の部材14に、ワッシャシステム16が結合されている。駆動機構18が、ワッシャシステム16に結合されている。第1の部材12は第1の部材の長手軸線20を有し、第2の部材14は第2の部材の長手軸線22を有している。図示の実施形態において、第1の部材の長手軸線20と第2の部材の長手軸線22は一致している。他の実施形態において、2つの軸線20、22は平行であってもよく、あるいは互いにある角度をなして食い違っていてもよい。駆動機構18が作動されると、駆動機構18は、第2の部材の長手軸線22を中心としてワッシャシステム16を回転させる。図示の実施形態において、駆動機構は、第2の部材の長手軸線22を中心としてラチェットで駆動されるハンドルである。しかしながら、他の実施形態において、この駆動機構は、長手ハンドルであっても、電源に接続するハドソン接続(Hudson connection)であっても、第2の部材の長手軸線22を中心としてワッシャシステム16を回転させる他の既知の駆動機構であってよい。
【0017】
ここで図2を参照すると、モジュール式移植片23に結合された組立工具10の透視図が示されている。図示のように、モジュール式移植片23は、第1の構成要素24(又は近位側の構成要素若しくはネック構成要素)と、第2の構成要素26(又は遠位側の構成要素若しくはステム構成要素)とを含む。組立工具10の第1の部材12は、ネック構成要素24の近位端部30と当接する遠位端部28を含む。他の実施形態において、他の連結手段が使用されてもよい。例えば、遠位端部28は、ネック構成要素24の近位端部30のねじ付き端部と係合するねじ山を含んでもよい。別法として、連結手段は、格納式のボタン/凹部システムであっても、スロット付きI字型凹部とロッドのシステムであっても、アンダーカットであっても、展開式コレットシステム(expandable collet system)であっても、任意の他の既知の係合システムであってもよい。
【0018】
図3に示すように、第2の部材14の遠位端部32は、ステム構成要素26の近位端部34と係合する。この実施形態において、第2の部材14の遠位端部32は、ねじ切りされており、ステム構成要素26の近位端部34のねじ穴の内部に嵌合する。別法として、第2の部材14の遠位端部32がねじ穴を有してもよく、また、ステム構成要素の近位端部34がねじ切りされてもよい。他の実施形態において、各部品を連結する他の既知の手段が使用されてもよい。例えば、展開式コレットが使用されてもよい。別法として、連結手段は、格納式のボタン/凹部システムであっても、アンダーカットであっても、スロット付きI字型凹部とロッドのシステムであっても、展開式コレットシステムであっても、任意の他の既知の係合システムであってもよい。
【0019】
第2の部材14はまた、近位端部36(図2)を含む。近位端部36はノブ68(図4)を含む。ノブ68はねじ付き遠位端部32に結合されており、そのため、ノブ68が第2の部材の長手軸線22を中心として回転されると、ねじ付き遠位端部32がステム構成要素26のねじ穴近位端部34の中へねじ込まれるようになっている。
【0020】
ここで図4〜6を参照して、ワッシャシステム16について説明することにする。ワッシャシステム16は、第1の螺旋状ワッシャ40と第2の螺旋状ワッシャ42とを含む。第1の螺旋状ワッシャ40は、駆動機構18に結合されており、第1の螺旋状傾斜路44を含み、第2の螺旋状ワッシャ42は、第2の部材14及び第1の螺旋状ワッシャ40に結合されており、第2の螺旋状傾斜路46を含む(図5)。第1の螺旋状傾斜路44は、第2の螺旋状傾斜路46と当接する。ワッシャシステム16は、全体的な初期高さhを有する。第1の螺旋状傾斜路44が第2の螺旋状傾斜路46に対して回転されると、これらの傾斜路は互いに係合して、第1の螺旋状ワッシャ40と第2の螺旋状ワッシャ42との間に間隙48を生じる。間隙48は距離Dをなす。図5及び6に示すように、ワッシャ40、42は、互いに対して面一となることで開始する。しかしながら、第1の螺旋状ワッシャ40が回転されると、螺旋状傾斜路44、46は回転されて、2つのワッシャ40、42の高さを拡大させる。間隙48の距離Dは依然として同じである。図6において、ワッシャシステム16の全体的な高さはここではHであり、このHはhよりも大きなものである。この高さの変化は、互いに係合する対向する螺旋状傾斜路44、46によって発生され、可変高さを有するワッシャシステム16が得られる。
【0021】
図4に示すように、第1のワッシャ40は、螺旋状傾斜路44の反対側にあるラチェット端部50を含む。第1のワッシャ40は、ラチェットワッシャ52に結合されている。ラチェットワッシャ52は、ハンドル18に連結されている。ラチェットワッシャ52の一方の側54はラチェットで駆動され、第1のワッシャのラチェット端部50と噛み合う。ハンドル18が旋回されると、ラチェットワッシャ52上のラチェットと第1の螺旋状ワッシャ40上のラチェットが互いに係合して、第1の螺旋状ワッシャ40を回転させる。第2の螺旋状ワッシャ42は固定されているため、2つの螺旋状傾斜路44、46は係合し、第1の螺旋状ワッシャ40を、第2の螺旋状ワッシャ42に対して(高さDだけ)上昇させる。
【0022】
ここでも図4を、更には図7を参照すると、第2の部材14は犠牲部材56を含み、犠牲部材56は、この場合、引張ロッド又はシャーピンである。引張ロッド56は、意図的な弱点又は破断点58を含む。破断点58は、特定の引張力以下の力のみを許容することができる。その負荷(又は引張力)に達した後、破断点58が破断し、2つの別々の片60、62が残る。図4に示すように、引張ロッド56は、第2の部材14の上部64を第2の部材14の下部66に連結している。ハンドル18が旋回され、第2の部材14のねじ付き遠位端部32が、ステム構成要素26の近位端部34のねじ穴の中にねじ込まれると、引張力が生じる。
【0023】
上述のように、第2の部材14の上部64の頂部にノブ68がある。ノブ68は、まず第2の部材14のねじ付き端部32をステム構成要素26にねじ込むように旋回される。
【0024】
ノブ68は、いくつかの既知の方法で第1の螺旋状ワッシャ40に結合される。図7aに示す一実施形態において、ノブ68は、ショルダー68bを有するプルロッド68aを含む。ショルダー68bは、第1の螺旋状ワッシャ40内のカウンタボア40aに結合されており、そのため、第1の螺旋状ワッシャ40が回転し、長手軸線22に沿って上方に移動するとき、ノブ68もまた上方に移動するようになっている。この実施形態において、軸受69がショルダー68bとカウンタボア40aとの間に配置されている。図示の軸受69は、転がり軸受であり、プルロッド68aで(したがって犠牲部材56で)感じられる摩擦及びねじり力を低減するものである。犠牲部材56で感じられる摩擦力とねじり力を低減することにより、犠牲部材56が破断する線形の力は、より一貫したものに保たれる。他の実施形態において、他の種類の軸受が使用されてもよい。いくつかの実施形態において、軸受69が使用されなくてもよく、ショルダー68bがカウンタボア40aに直接、当接する。
【0025】
上述のように、第1の螺旋状ワッシャ40が回転し、長手軸線22に沿って上方に移動するとき、ノブ68もまた上方に移動する。ノブ68とねじ付き端部32は互いに結合されており、ねじ付き端部はステム構成要素内に固定されているため、ノブ68の運動により、第2の部材14に沿って引張力が生じる。引張力がある力(又は負荷)に達すると、引張ロッド56は破断点58にて破断する。大きな騒音が聞こえ、ノブ68も解放される。引張ロッド56の破断は、十分な力が加えられたことをユーザーに合図するものであるため、重要である。この実施形態において、引張ロッド56は、所定の力で破断するように固定される。いくつかの実施形態において、その力は、約8896N(2000lbf)〜約11121N(2500lbf)、好ましくは約10008N(2250lbf)である。いくつかの実施形態において、ノブ68はまた、第1のワッシャ40のラチェット端部50からラチェットワッシャ52を解除するために使用されてもよい。
【0026】
図7に示すように、引張ロッド56の2つの半部60、62はそれぞれ、第2の部材14のスロット付き開口部70、72に嵌合される。スリーブ74は引張ロッド56の周りに嵌合する。図示のように、第1の半部60及び第2の半部62はそれぞれ、外向きに延びるリブ76、78を含む。リブ76、78はそれぞれ、スリーブ74の溝80a、80b内に嵌合する。リブ76、78はまた、溝80a、80bの縁部82、84と係合する。引張ロッド56が破断しても、第1の半部60と第2の半部62はいずれも、スリーブ74内に依然として収容されている。第1の半部60と第2の半部62が、もはや互いに直接連結していなくても、一方が回転するともう一方が回転されることになる。ノブ68が回転されるとき、スロット付き開口部70は回転する。この回転により、引張ロッド56の第1の半部60が回転されることになる。第1の半部60が回転するとき、第1の半部60はスリーブ74の縁部82と係合して、スリーブ74を回転させる。スリーブ74が回転するとき、縁部84は第2の半部62と係合して、第2の半部62を回転させる。回転する第2の半部62は、スロット付き開口部72と係合して、第2の部材14の下部部分66を回転させ、ステム構成要素26からねじ付き端部32を解放する。別の実施形態において、引張ロッド56の2つの半部60、62は互いにキー締めされており、そのため、半部60、62が破断した後も、依然として互いに結合されるようになっている。その場合、一方の半部が回転すると、他方の半部もまた強制的に回転される。
【0027】
上記の実施形態において、引張ロッド56は第2の部材によって保持される。しかしながら、他の実施形態において、引張ロッド56は第1の部材によって保持されてもよい。また、任意の既知の収容方法が用いられてよい。別法として、引張ロッド56は収容される必要がない。
【0028】
いくつかの実施形態において、犠牲部材56は引張ロッドでなくてもよいが、ねじり部材であることが可能である。長手軸線に対して負荷が加えられると、ねじり部材は回転力を受ける(例えば、ねじりバネ)。ねじりバネは、ある力で破断するように弱化されることができる。他の実施形態において、犠牲部材56は、軸方向とねじり方向の双方において破壊するように設計されることができる。
【0029】
一般に、組立工具10は、ステンレス鋼で作製されてもよい。いくつかの実施形態において、引張ロッド56は440Cステンレス鋼で作製されるが、他の全ての構成要素は17−4ステンレス鋼で作製される。他の実施形態において、組立工具10はプラスチックから作製され、ワッシャシステム16と引張ロッド56のみステンレス鋼で作製されてもよい。他の実施形態において、他の金属が使用されてもよい。引張ロッド56は、プラスチック、セラミック、又は他のポリマーで作製され得る。他の実施形態において、スリーブ74はまた、プラスチック又は他のポリマーで作製され得る。他の実施形態において、組立工具10は、全体として、単一の複合材料から作製されてもよい。いくつかの実施形態において、引張ロッド56は、シャーピンを有する小さな取付具であってもよい。
【0030】
いくつかの実施形態において、第1の部材12の遠位端部28は、ネック構成要素24の近位端部上に模様を生じるくぼみを含むことができる。ロックウェル硬さ試験機で生じるものに似たこれらの模様は、モジュール式構造に加えられた力に直接相関するものとして役立つ。28上の球状くぼみは、器具と移植片との方向付けにかかわらず、使用ごとに3つの模様が生じるように配置(打刻)されることができる。くぼみの物理的大きさは、近位側本体の材料硬さに基づいて予め決められる。他の寸法の(球状以外の)くぼみが使用されることも可能である。別法として、3つ以外の個数のくぼみが使用されてもよい。
【0031】
いくつかの実施形態において、ラチェットワッシャ52を第1のワッシャ40のラチェット端部50に係合した状態に保つために、波形バネ又は他の種類のバネなどの付勢機構が使用されてもよい。ラチェットで駆動された後に第1のワッシャ40をバネで戻すために、他のバネが装置内で使用されてもよい。いくつかの実施形態において、そのバネは定荷重バネであってもよい。
【0032】
ここで図8を参照すると、組立工具10を使用する方法を説明する流れ図が示されている。図示のように、工程s100にて、近位側構成要素は、ステム構成要素に挿入される。次いで、工程s102にて、第2の部材の遠位端部が、ステム構成要素の開口部の中に挿入される。これが達成されると、第1の部材の遠位端部は、第1の構成要素の近位端部と当接する。工程s104にて、ノブが回転されて、第2の部材の遠位端部がステム構成要素の中にねじ込まれる。次いで駆動機構が旋回されて、上述のように、ノブが上方に移動される(工程s106)。所定の力が加えられると、引張ロッドが破断し、適切な力が加えられたことが示唆される(工程s108)。工程s110にて、ノブが回転されて、ステム構成要素からねじ付き遠位端部が解放され、組立工具が近位側構成要素及びステム構成要素から取り外される(工程s112)。
【0033】
本発明及びその利点について詳細に説明してきたが、様々な変更、代用、及び修正が、添付の特許請求の範囲で定義する本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなくなされ得ることを理解されたい。
【0034】
〔実施の態様〕
(1) 関節形成術で使用するための、義肢の第1の構成要素を該義肢の第2の構成要素に組み付ける組立工具であって、
前記第1の構成要素と動作可能に結合された第1の部材であって、第1の部材の長手軸線を画定する、第1の部材と、
前記第2の構成要素と動作可能に結合された第2の部材であって、第2の部材の長手軸線を画定する、第2の部材と、
前記第2の部材に結合されたワッシャシステムと、
ワッシャシステムに結合された駆動機構であって、前記駆動機構が作動されるとき、前記ワッシャシステムは、前記第2の部材の長手軸線を中心として回転し、前記第2の部材の長手軸線に沿って拡張するようになっており、そのような運動により、更に、前記第2の部材が、前記第2の部材の長手軸線に沿って前記第1の部材に対して移動される、駆動機構と、を備える、組立工具。
(2) 前記ワッシャシステムは、
前記ハンドルに結合された第1の螺旋状ワッシャと、
前記第2の部材及び前記第1の螺旋状ワッシャに結合された第2の螺旋状ワッシャであって、前記ハンドルが回転されるとき、前記第1の螺旋状ワッシャは、前記第2の螺旋状ワッシャに対して回転し、前記第2の部材の長手軸線に沿って前記第2の螺旋状ワッシャに対して移動する、第2の螺旋状ワッシャと、を備える、実施態様1に記載の組立工具。
(3) 前記第1の螺旋状ワッシャは第1の螺旋状傾斜路を含み、前記第2の螺旋状ワッシャは、前記第1の螺旋状傾斜路に対向する第2の螺旋状傾斜路を含み、前記第1の螺旋状傾斜路は、前記第2の螺旋状傾斜路に係合し、そのため、前記第1の螺旋状ワッシャが前記第2の螺旋状ワッシャに対して回転するとき、前記第1の螺旋状傾斜路と第2の螺旋状傾斜路が係合して、前記第2の長手軸線に沿って前記第1の螺旋状ワッシャを前記第2の螺旋状ワッシャに対して移動させるようになっている、実施態様2に記載の組立工具。
(4) 前記駆動機構はハンドルであり、前記第1の螺旋状ワッシャは2つの側、つまり螺旋状傾斜路側と、ラチェット側と、を有し、前記ハンドルはラチェットを有するワッシャに連結され、前記ラチェットは前記第1の螺旋状ワッシャの前記ラチェット側と係合する、実施態様1に記載の組立工具。
(5) 前記第2の部材は、所定の負荷を受けると破断するように寸法と形状を定められた引張ロッドを含む、実施態様1に記載の組立工具。
(6) 前記第1の部材は、前記ワッシャシステムに結合するように適合された構成要素を含み、前記工具は、前記第1の部材の前記構成要素と前記ワッシャシステムとの間の軸受を更に備える、実施態様1に記載の組立工具。
(7) 関節形成術で使用するための、義肢の第1の構成要素を該義肢の第2の構成要素に組み付ける方法であって、
第1の部材と、第2の部材の長手軸線を画定する第2の部材と、前記第2の部材に結合されたワッシャシステムと、前記ワッシャシステムに結合された駆動機構と、を有する組立工具を使用することと、
前記義肢の前記第1の構成要素を前記義肢の前記第2の構成要素に挿入することと、
前記組立工具の前記第2の部材を前記義肢の前記第2の構成要素に固定することと、
前記駆動機構を作動させて、前記第2の部材の長手軸線に沿って前記第2の部材を前記第1の部材に対して移動させることと、を含む、方法。
(8) 前記第2の部材は遠位側のねじ付き端部を含み、前記第2の部材を前記第2の構成要素に固定することは、前記第2の部材の前記遠位側のねじ付き端部を前記第2の構成要素のねじ付き開口部の中にねじ込むことを含む、実施態様7に記載の方法。
(9) 前記第2の部材はノブを含み、前記遠位側のねじ付き端部をねじ込むことは、前記ノブを時計回りに回転させることを含む、実施態様8に記載の方法。
(10) 前記第2の構成要素の前記ねじ付き開口部から前記遠位側のねじ付き端部を解放することであって、前記ノブを反時計回りに回転させることによって生じる、解放すること、を更に含む、実施態様9に記載の方法。
【0035】
(11) 前記ワッシャシステムは、前記ハンドルに結合された第1の螺旋状ワッシャと、前記第2の部材に、また前記第1の螺旋状ワッシャに結合された第2の螺旋状ワッシャと、を備え、前記ハンドルを回転させることは、前記第2の螺旋状ワッシャに対して前記第1の螺旋状ワッシャを回転させることを含み、前記第1の螺旋状ワッシャは、前記第2の部材の長手軸線に沿って前記第2の螺旋状ワッシャに対して移動する、実施態様7に記載の方法。
(12) 前記第1の螺旋状ワッシャは第1の螺旋状傾斜路を含み、前記第2の螺旋状ワッシャは第2の螺旋状傾斜路を含み、前記ハンドルを回転させることにより、前記第1の螺旋状傾斜路が前記第2の螺旋状傾斜路と係合して、前記第1の螺旋状ワッシャが、前記第2の長手軸線に沿って前記第2の螺旋状ワッシャに対して移動することになる、実施態様11に記載の方法。
(13) 前記第2の部材は引張ロッドを含み、前記方法は、前記駆動機構を所定の力に達するまで作動させることを更に含み、前記引張ロッドは、前記所定の力が達成されると破断する、実施態様7に記載の方法。
(14) 前記第1及び第2のステム構成要素から前記組立工具を取り外すことを更に含む、実施態様7に記載の方法。
(15) 関節形成術で使用するための、義肢の第1の構成要素を該義肢の第2の構成要素に組み付ける組立工具であって、
前記第1の構成要素と動作可能に結合された第1の部材であって、第1の部材の長手軸線を画定する、第1の部材と、
前記第2の構成要素と動作可能に結合された第2の部材であって、第2の部材の長手軸線を画定し、犠牲部材を含む、第2の部材と、
前記第2の部材に結合された駆動機構であって、前記駆動機構が作動され、所定の負荷に達すると、前記犠牲部材が破断するようになっている、駆動機構と、を備える、組立工具。
(16) 前記犠牲部材は、引張ロッド又はねじり部材のいずれかである、実施態様15に記載の組立工具。
(17) 前記犠牲部材は引張ロッドであり、前記引張ロッドは第1の部と第2の部とを有し、前記第1の部と第2の部は破断点にて接合されている、実施態様15に記載の組立工具。
(18) 前記第1及び第2の部はスリーブ内に収容されており、前記引張ロッドが破断した後も、前記第1の部と第2の部が前記スリーブによって依然として回転可能に結合されるようになっている、実施態様17に記載の組立工具。
(19) 前記第2の部材及び前記ハンドルに結合されたワッシャシステムであって、前記ハンドルが前記第2の部材の長手軸線を中心として回転されるとき、前記ワッシャシステムが前記第2の部材の長手軸線に沿って拡大するようになっている、ワッシャシステム、を更に備える、実施態様15に記載の組立工具。
(20) 前記ワッシャシステムは、第1の螺旋状ワッシャと第2の螺旋状ワッシャとを備える、実施態様19に記載の組立工具。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
関節形成術で使用するための、義肢の第1の構成要素を該義肢の第2の構成要素に組み付ける組立工具であって、
前記第1の構成要素と動作可能に結合された第1の部材であって、第1の部材の長手軸線を画定する、第1の部材と、
前記第2の構成要素と動作可能に結合された第2の部材であって、第2の部材の長手軸線を画定する、第2の部材と、
前記第2の部材に結合されたワッシャシステムと、
ワッシャシステムに結合された駆動機構であって、前記駆動機構が作動されるとき、前記ワッシャシステムは、前記第2の部材の長手軸線を中心として回転し、前記第2の部材の長手軸線に沿って拡張するようになっており、そのような運動により、更に、前記第2の部材が、前記第2の部材の長手軸線に沿って前記第1の部材に対して移動される、駆動機構と、を備える、組立工具。
【請求項2】
前記ワッシャシステムは、
前記ハンドルに結合された第1の螺旋状ワッシャと、
前記第2の部材及び前記第1の螺旋状ワッシャに結合された第2の螺旋状ワッシャであって、前記ハンドルが回転されるとき、前記第1の螺旋状ワッシャは、前記第2の螺旋状ワッシャに対して回転し、前記第2の部材の長手軸線に沿って前記第2の螺旋状ワッシャに対して移動する、第2の螺旋状ワッシャと、を備える、請求項1に記載の組立工具。
【請求項3】
前記第1の螺旋状ワッシャは第1の螺旋状傾斜路を含み、前記第2の螺旋状ワッシャは、前記第1の螺旋状傾斜路に対向する第2の螺旋状傾斜路を含み、前記第1の螺旋状傾斜路は、前記第2の螺旋状傾斜路に係合し、そのため、前記第1の螺旋状ワッシャが前記第2の螺旋状ワッシャに対して回転するとき、前記第1の螺旋状傾斜路と第2の螺旋状傾斜路が係合して、前記第2の長手軸線に沿って前記第1の螺旋状ワッシャを前記第2の螺旋状ワッシャに対して移動させるようになっている、請求項2に記載の組立工具。
【請求項4】
前記駆動機構はハンドルであり、前記第1の螺旋状ワッシャは2つの側、つまり螺旋状傾斜路側と、ラチェット側と、を有し、前記ハンドルはラチェットを有するワッシャに連結され、前記ラチェットは前記第1の螺旋状ワッシャの前記ラチェット側と係合する、請求項1に記載の組立工具。
【請求項5】
前記第2の部材は、所定の負荷を受けると破断するように寸法と形状を定められた引張ロッドを含む、請求項1に記載の組立工具。
【請求項6】
前記第1の部材は、前記ワッシャシステムに結合するように適合された構成要素を含み、前記工具は、前記第1の部材の前記構成要素と前記ワッシャシステムとの間の軸受を更に備える、請求項1に記載の組立工具。
【請求項7】
関節形成術で使用するための、義肢の第1の構成要素を該義肢の第2の構成要素に組み付ける方法であって、
第1の部材と、第2の部材の長手軸線を画定する第2の部材と、前記第2の部材に結合されたワッシャシステムと、前記ワッシャシステムに結合された駆動機構と、を有する組立工具を使用することと、
前記義肢の前記第1の構成要素を前記義肢の前記第2の構成要素に挿入することと、
前記組立工具の前記第2の部材を前記義肢の前記第2の構成要素に固定することと、
前記駆動機構を作動させて、前記第2の部材の長手軸線に沿って前記第2の部材を前記第1の部材に対して移動させることと、を含む、方法。
【請求項8】
前記第2の部材は遠位側のねじ付き端部を含み、前記第2の部材を前記第2の構成要素に固定することは、前記第2の部材の前記遠位側のねじ付き端部を前記第2の構成要素のねじ付き開口部の中にねじ込むことを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記第2の部材はノブを含み、前記遠位側のねじ付き端部をねじ込むことは、前記ノブを時計回りに回転させることを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記第2の構成要素の前記ねじ付き開口部から前記遠位側のねじ付き端部を解放することであって、前記ノブを反時計回りに回転させることによって生じる、解放すること、を更に含む、請求項9に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図7a】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−460(P2012−460A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−132097(P2011−132097)
【出願日】平成23年6月14日(2011.6.14)
【出願人】(501384115)デピュイ・プロダクツ・インコーポレイテッド (216)
【Fターム(参考)】