説明

血中グルコース濃度のレシオメトリック測定のための光学系及び方法

グルコースの検出、さらに特定的には実時間グルコースモニタリングに関する新規の光学デバイス、方法及び系が、本明細書中に開示される。さらに特定的には、種々のハードウェア及び方法手段が、光学系の人工産物に関する光学的グルコース測定値のレシオメトリック補正のために開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
好ましい実施の形態において、本発明は、血中グルコースの検出、さらに特定的には潜在的な光学系の人工物のための光学的グルコース測定値のレシオメトリック補正に関する。
【背景技術】
【0002】
高血糖症及びインスリン抵抗性は、過去に糖尿病を有したことがない場合でも、重篤な患者において一般的である。これらの状況では、重篤患者の体内でグルコースレベルが高まり、それにより患者の器官が損傷される危険性が増大する。さらに、インスリン療法に伴う血中グルコースレベルの正常化はこのような患者に関する予後を改善し、それにより死亡率を低減するということを複数の研究が示している。
【0003】
さらに近年の科学的証拠は、入院集中治療室(ICU)患者の臨床結果の劇的改善が正常範囲への血中グルコースの厳重な治療的制御に起因し得るということを裏付けている。これらの研究は、ICU患者の「厳重な血糖症制御」(TGC)が、死亡率を40%ほど低減させ、そして合併症の率を有意に下げる可能性が有ることを示す。これらの状況では、ICU環境の難しい要求を満たすように特に設計された即時的な装置において血糖を正確に、好都合に且つ継続的にモニタリングすることが必要である。ジョン・ホプキンス大学の研究者は、TGCが150000人という多数の命を救い、そして年間180億ドルという巨額の米国の医療費を低減する可能性が有ると概算している。
【0004】
TGCの実施は、患者の血中グルコースレベルの継続的且つ正確なモニタリングを要する。したがって、ICU患者の要求を満たすように適合されるリアルタイムなグルコースモニタリング・システムが必要性とされる。
【発明の概要】
【0005】
光学系及び方法の種々の実施の形態が、血中グルコース濃度を確定するために本明細書中で開示される。種々の実施の形態は、少なくとも2つの特徴を共有する。第一に、それらは、励起光シグナルで化学表示器系を励起し、そして表示器系の放出光シグナルを測定することを包含し、この場合、励起時に表示器系により発生される放出光シグナルが血中グルコース濃度と関連づけられるように、表示器系はグルコース結合部分に操作可能に結合されるフルオロフォアを含む。第二に、それらは、血中グルコース濃度とは関係がない光学系自体から得られる潜在的人工産物及びエラーに関して、上記表示器系からの血中グルコース濃度測定値を補正することを包含する。補正は、レシオメトリック分析により実施される。さらに特定的には、放出光シグナルと光学系を介して伝播する第二の光シグナル、例えば励起光シグナル又は別個の参照光シグナルとの比が、光学系の任意の非グルコース関連の寄与を補正するために用いられる。本明細書中に開示される種々のハードウェア実施の形態及び方法のすべてが、血中グルコース濃度の光学的確定及びレシオメトリック補正を提供するように設計される。多数の実施の形態のさらに詳細な説明は、添付の図面及び詳細な説明に見出され得る。
【0006】
血中グルコース濃度を確定するための光学デバイスが本発明の好ましい態様に従って開示される。このデバイスは、血管内に置かれるような大きさに作られる光ファイバーセンサーであって、励起光源と光学的に接続され、そしてグルコース結合部分に操作可能に結合されたフルオロフォアを含む表示器系を含む、センサー(ここで、励起光シグナルの少なくとも一部の吸収時に、表示器系は血中グルコース濃度に関連した強度を有する放出光シグナルを放出する);並びに少なくとも光ファイバーセンサーと操作可能に接続される
感光性モジュール(ここで、感光性モジュールは放出光シグナル及び少なくとも第二の光シグナルを検出し、第二の光シグナルは励起光源又は任意の参照光源から得られる)を包含する。
【0007】
好ましい実施の形態では、光学デバイスは、放出光シグナル及び少なくとも第二の光シグナルのレシオメトリック分析を実施して、それにより血中グルコース濃度と関係がない発光シグナル強度における変化を実質的に補償することにより血管中の血中グルコース濃度を確定するように設計されたデータ処理デバイスをさらに包含する。
【0008】
或る実施の形態では、血中グルコース濃度を確定するための光学デバイスは、参照光シグナルを放出する参照光源を包含する。血中グルコース濃度を確定するための光学デバイスは、励起光シグナル及び参照光シグナルを光ファイバーセンサーに送達するように設計された少なくとも1つの光学モジュールも包含し得る。光学モジュールは、各光源のためのコリメータレンズ、干渉フィルター及び/又は焦点レンズを包含し得る。
【0009】
血中グルコース濃度を確定するための光学デバイスは、少なくとも励起光シグナルから高モード光を除去するように設計されたモード混合スクランブラーもさらに包含し得る。光学デバイスにおいてフルオロフォアが励起光シグナルにより励起され、そして少なくとも第一の放出光シグナル及び第二の放出光シグナルを放出し、第一の放出光シグナル及び第二の放出光シグナルがグルコース濃度に関連し、そして第一の放出光シグナル及び第二の放出光シグナルの比がpH非感受性である。
【0010】
光学デバイスは、第一励起光源とは異なる波長で励起光シグナルを放出する第二励起光源も包含し得る。この実施の形態では、フルオロフォアは第一の励起光シグナル及び第二の励起光シグナルにより励起され、そして単一放出光を放出し得る。
【0011】
或る特定の実施の形態では、光学デバイスにおいて、感光性モジュール(又は検出系)が光ファイバーセンサーから少なくとも放出光シグナル及び励起光シグナルを受信するように設計されたビームスプリッターを包含し、ビームスプリッターが光の第一部分を反射するように設計され、そして光の第二部分にビームスプリッターを通過させるように設計される。或る特定の実施の形態では、感光性モジュール(又は検出系)が少なくとも第一検出器、第二検出器、第一増幅器、第二増幅器並びに第一アナログ−デジタル変換器及び第二アナログ−デジタル変換器を包含する。他の実施の形態では、感光性モジュール(又は検出系)がマイクロ分光計又は分光計を包含する。
【0012】
光学デバイスにおいて光ファイバーセンサーが第二フルオロフォアも含むことができ、励起光シグナルの少なくとも一部の吸収時に、第二フルオロフォアが血中pH及びグルコース濃度に対して非感受性の強度を有する第二の放出光シグナルを放出する。光学デバイスにおいて光ファイバーセンサーが染料に埋め込まれる第二光ファイバーも含むことができ、励起光シグナルによる励起時に染料が第二の放出光を放出する。光ファイバーセンサーが励起光シグナルによる励起時に第二の放出光を放出する染料被覆表面をも包含し得る。
【0013】
或る特定の実施の形態では、血中グルコース濃度を確定するための光学デバイスが、励起光シグナルを放出する励起光源;血管内に置かれるような大きさに作られる光ファイバーセンサーであって、励起光源と光学的に接続され、そしてグルコース結合部分に操作可能に結合されたフルオロフォアを含む表示器系を含む、センサー(ここで、励起光シグナルの少なくとも一部の吸収時に、表示器系は血中グルコース濃度に関連した強度を有する放出光シグナルを放出する);並びに少なくともセンサーと操作可能に接続される検出系(ここで、検出系は放出光シグナル及び少なくとも第二の光シグナルを検出するための手
段を包含し、第二の光シグナルは励起光源又は任意の参照光源から得られる)を包含する。放出光シグナル及び少なくとも第二の光シグナルを検出するための手段がマイクロ分光計を包含し得る。他の実施の形態では、放出光シグナル及び少なくとも第二の光シグナルを検出するための手段が少なくとも2つの光検出器を包含する。
【0014】
検出系と連通しているデータ処理デバイスも包含することができ、データ処理デバイスが放出光シグナル及び第二の光シグナルのレシオメトリック分析を実施することにより血中グルコース濃度と関係がない光学デバイスの人工産物に関して実質的に補正された血中グルコース濃度を確定する。
【0015】
或る特定の実施の形態では、血中グルコース濃度を確定するための光学系が、励起光シグナルを放出する励起光源;血管内に置かれるような大きさに作られる光ファイバーセンサーであって、励起光源と光学的に接続され、そしてグルコース結合部分に操作可能に結合されたフルオロフォアを含む表示器系を含む、センサー(ここで、励起光シグナルの少なくとも一部の吸収時に、表示器系は血中グルコース濃度に関連した強度を有する放出光シグナルを放出する);光ファイバーセンサーに励起光シグナルを、そして光ファイバーセンサーから検出器系に放出光シグナルを送達するように設計された少なくとも1つの光学モジュール(ここで、検出系は放出光シグナル及び少なくとも第二の光シグナルを検出するための手段を包含し、第二の光シグナルは励起光源又は光学的参照光源から得られる);並びに検出系からデータを受信するように設計されたコンピューター系であって、グルコース濃度と関係がない光学的人工産物を実質的に排除するためにデータに関するレシオメトリック計算を実施するように設計されるコンピューター系(ここで、コンピューター系はユーザーにデータを出力するためのモニター、コンピューター系中に付加的データをユーザーに入力させるための入力デバイス、レシオメトリック計算を実施するためのプロセッサー、データを保存するための保存デバイス、及び記憶装置を包含する)を包含する。
【0016】
或る特定の実施の形態では、放出光シグナル及び少なくとも第二の光シグナルを検出するための手段がマイクロ分光計を包含する。放出光シグナル及び少なくとも第二の光シグナルを検出するための手段が少なくとも2つの光検出器も包含し得る。
【0017】
血中グルコース濃度と関係がない光学的人工産物に関して血中グルコース濃度の光学的測定値を補正するためのレシオメトリック方法が、本発明のさらなる態様に従って開示される。該方法は、
(1)励起光シグナルを放出する励起光源;血管内に置かれるような大きさに作られる光ファイバーセンサーであって、励起光源と光学的に接続され、そしてグルコース結合部分に操作可能に結合されたフルオロフォアを含む表示器系を含む、センサー(ここで、励起光シグナルの少なくとも一部の吸収時に、表示器系は血中グルコース濃度に関連した強度を有する放出光シグナルを放出する);並びに少なくとも光ファイバーセンサーと操作可能に接続される感光性モジュール(ここで、感光性モジュールは放出光シグナル及び少なくとも第二の光シグナルを検出し、第二の光シグナルは励起光源又は任意の参照光源から得られる)を包含する光学デバイスを提供する工程;
(2)血管内に光ファイバーセンサーを配置する工程;
(3)励起光源を作動させ、それにより表示器系を励起して、そして光学的参照光源を任意に作動する工程;
(4)放出光シグナル及び第二の光シグナルを検出する工程;並びに
(5)血中グルコース濃度を補正する工程であって、(i)放出光シグナル対第二の光シグナルの比を算定すること;そして(ii)放出光シグナル対第二の光シグナルの比を血中グルコース濃度に相関させる所定関数と比とを比較することを含む、血中グルコース濃度を補正する工程
を包含する。
【0018】
使い捨て型光ファイバーグルコースセンサーが、近位末端領域及び遠位末端領域を有する細長い部材を包含し、細長い部材の近位末端領域が励起光源及び検出器を包含する光学デバイスと光学的に連結されるために設計され;そして細長い部材の遠位末端領域が血管内に置かれるような大きさに作られて、その中に配置されたキャビティ並びに反射面を包含し、ここで、励起光源からの励起光シグナルによる励起時に、表示器系が血中グルコース濃度に関連した強度を有する放出光シグナルを放出するように、キャビティは、血管中のグルコースを透過するように設計されたヒドロゲル内に固定化されるグルコース結合部分と操作可能に結合されるフルオロフォアを含む表示器系を収容し、反射面が光学デバイスを通る放出光シグナル及び励起光シグナルを反射するように設計され、キャビティが幾何学的設計を包含する。反射面が鏡である請求項31に記載の使い捨て型光ファイバーグルコースセンサー。
【0019】
使い捨て型光ファイバーグルコースセンサーにおいて、ヒドロゲルがグルコースの通過を可能にし、結合部分の通過を遮断する半透性膜により閉じ込められる。さらに、特許請求の範囲で記載の使い捨て型光ファイバーグルコースセンサーにおいて、キャビティの設計が細長い部材における複数の穴を包含し得る。或る特定の実施の形態において、複数の穴が細長い部材の長さ方向の接線に対して垂直に配置され、そして複数の穴が水平に均一間隔を置いて配置され、細長い部材の側面周囲を均一に回転する。複数の穴が細長い部材方向の接線に対して或る角度で配置され、そして複数の穴が水平に均一間隔を置いて配置され、細長い部材の側面周囲を均一に回転する。
【0020】
一実施の形態では、使い捨て型光ファイバーグルコースセンサーにおいて、キャビティの設計が細長い部材の長さ方向に溝を包含する。溝が細長い部材の中心に延びる深さも包含し得る。他の実施の形態では、溝が細長い部材の長さの周囲を渦巻き旋回する。キャビティの設計が細長い部材から分断された複数の区分も包含し得る。区分が細長い部材の中心に延びる三角楔形領域を形成し、そして区分が水平に均一間隔を置いて配置され、細長い部材の側面周囲を均一に回転し得る。
【0021】
この要約の目的のために、本発明の或る態様、利点及び新規の特徴が本明細書中に記載される。このような利点(必ずしもすべてではない)は本発明の任意の特定の実施の形態に従って達成され得ると理解されるべきである。したがって、例えば本発明は、本明細書中で教示されるような一利点又は利点群を達成するが、本明細書中で教示されるか又は示唆され得るような他の利点を必ずしも達成しないやり方で具体化又は実行され得ると当業者は理解する。
【0022】
本発明の上記のそして他の特徴、態様及び利点を、種々の実施形態の図面を参照しながら以下で詳細に記載するが、これらは本発明を例証するように意図されており、本発明を限定するものではない。図面は、以下の図を包含する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1A】モード・ストリッピングスクランブラーを包含するグルコース測定系の一実施形態を示す。
【図1B】1つの参照光及び1つの励起光を伴うモード・ストリッピングスクランブラーを包含するグルコース測定系の一実施形態を示す。
【図1C】らせん配置を形成する一連の穴を含むグルコースセンサー実施形態を示す。
【図1D】例えば或る角度で開けられるか又は形成される一連の穴を含むグルコースセンサー実施形態を示す。
【図1E】少なくとも1つの渦巻き状の溝を含むグルコースセンサーの一実施形態である。
【図1F】一連の三角形楔形切取り部分を含むグルコースセンサー実施形態を表す。
【図2A】グルコースセンサーに光を送る3つの光源を伴うビームスプリッターを包含するグルコース測定系の一実施形態を示す。
【図2B】グルコースセンサーに光を送る2つの光源を伴うビームスプリッターを包含するグルコース測定系の一実施形態を表す。
【図2C】グルコースセンサーに光を送る1つの励起光源及び1つの参照光源を伴うビームスプリッターを包含するグルコース測定系の一実施形態である。
【図3A】2つの励起光源及び1つのマイクロ分光計及び/又は分光計を包含するグルコース測定系の一実施形態を示す。
【図3B】2つの励起光源及び2つの検出器を包含するグルコース測定系の一実施形態である。
【図3C】2つの励起光源及び2つの検出器及び1つのビームスプリッターを包含するグルコース測定系の一実施形態を示す。
【図4】1つの励起光源、単一エキサイター−二重エミッターフルオロフォア系、及び1つのマイクロ分光計及び/又は分光計を包含するグルコース測定系の一実施形態を表す。
【図5A】1つの励起光源、2つのフルオロフォア系、及び1つのマイクロ分光計及び/又は分光計を包含するグルコース測定系の一実施形態を表す図である。
【図5B】2つの励起光源、2つのフルオロフォア系、及び1つのマイクロ分光計及び/又は分光計を包含するグルコース測定系の一実施形態を表す図である。
【図5C】2つの励起光源、2つのフルオロフォア系、2つの検出器、及び二分岐光ファイバー線を包含するグルコース測定系の一実施形態を表す図である。
【図6A】2つの励起光源、2つのフルオロフォア系、2つの検出器、及び1つのビームスプリッターを包含するグルコース測定系の一実施形態を表す図である。
【図6B】ファイバーが空間フィルターとして作用する、2つの励起光源を包含するグルコース測定系の一実施形態を表す図である。
【図7】グルコースセンサーに結合される着色光ファイバーを包含するグルコース測定系の一実施形態を示す。
【図8】溶液中のHPTS−CysMA/3,3’−oBBVのスターン−ボルマークエンチングの一実施形態を表す。
【図9】溶液中のHPTS−CysMA/3,3’−oBBVのグルコース応答を示す。
【図10】ヒドロゲル中のHPTS−CysMA/3,3’−oBBVのグルコース応答を表す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
或る実施形態では、光学的グルコース測定系は、グルコース感知化学表示器系を用いてグルコース濃度レベルを測定する。このような表示器系は好ましくは、グルコース結合部分と操作可能に結合されるフルオロフォアを含む。好ましくはグルコース結合部分は、フルオロフォアに関して消光剤として作用する(例えば、それがフルオロフォアと会合する場合、励起光に応答するフルオロフォアの蛍光放出シグナルを抑制する)。好ましい実施形態では、グルコース結合部分がグルコースと結合すると(例えばグルコース濃度が上がると)、それはフルオロフォアから解離し、これは次に、励起時に蛍光放出シグナルを生じる。したがってこのような実施形態では、グルコース濃度が高いほど、結合部分により結合されるグルコースが多く、クエンチングが少なく、そして励起時のフルオロフォアの蛍光強度が高くなる。
【0025】
光学的グルコース測定系は、或る実施形態では、このようなフルオロフォア−消光剤表
示器系の使用により、静脈内において実時間でのグルコース濃度を測定する。グルコース感知表示器系は、ヒドロゲル中に固定され得る。ヒドロゲルの少なくとも一部が血液と接触している間、光がヒドロゲルを通って送られ得るように、ヒドロゲルは光ファイバー中に挿入され得る。ヒドロゲルは、好ましくは、血液及び分析物、特にグルコースに浸透される。光ファイバーはヒドロゲルと一緒に、哺乳類(ヒト又は動物)血管中に置かれるグルコースセンサーを包含し得る。或る実施形態では、光は光源からグルコースセンサーに送られる。光源は、光学的励起シグナルを放出する発光ダイオードであり得る。フルオロフォアが放出波長で発光するように、光学的励起シグナルはグルコースの存在下でフルオロフォア系を励起し得る。或る実施形態では、フルオロフォア系は、血管中の血中グルコース濃度に関連した強度を有する一次波長で発光シグナルを放出するように設計され得る。少なくとも1つの検出器を包含し得る感光性モジュール(又は検出器系)により光が検出されるように、光はグルコースセンサーから外に向けられ得る。検出器は光を測定可能なシグナルに変換し得る任意の構成成分を包含し、例としては、光電子増倍管、光ダイオード、又はダイオードアレイ等が挙げられるが、これらに限定されない。放出波長の強度は、或る実施形態では、血中に存在するグルコース濃度に関連するため、少なくとも1つの検出器は放出波長の強度を測定するように設計され得る。或る実施形態では、感光性モジュール(又は検出系)は、干渉フィルター、増幅器、及び/又はアナログ−デジタル変換器を包含する。感光性モジュール(又は検出系)は、マイクロ分光計、又は分光計等も包含し得る。
【0026】
種々の非グルコース関連因子は、放出波長の強度の測定を行うことができるが、測定誤差を生じる。或る実施形態では、測定誤差は排除されるか、又は或る種のシグナルの比を用いることにより実質的に排除されるか若しくは低減される。排除され得る測定誤差としては、光源(複数可)から発生される光の強度における変化、光ファイバーとの光の結合効率、光ファイバーの曲げ及びその結果として生じるファイバーからの光の損失における変化、例えば温度又は年齢又は使用持続期間のための検出回路の感度における変化が挙げられるが、これらに限定されない。或る実施形態では、或る種のシグナルの比は、光源強度、光ファイバーとの光源の結合効率、又は光ファイバーの曲げにおける変化等により影響されない。或る種のシグナルの比は、放出シグナル対励起シグナルの比であり得る。或る特定の実施形態では、或る種のシグナルの比は、放出シグナル対二次光学シグナルの比である。二次シグナルは、光学系を介して、センサー及び表示器系を介して送られ、そして少なくとも一部は、センサーから感光性モジュール(又は検出系)に反射する。代替的には、二次シグナルは、別個の参照光、例えば赤色光(表示器系により吸収されない)により発生され得る。二次シグナルは、異なる波長での二次放出シグナルとして或る種のフルオロフォアにより発生され得る(この強度はグルコースとは無関係である)。光学系により伝播する任意の光は、グルコース濃度により変更され得ないか、又は励起光である。グルコース濃度により変更されない光は感光性系(又は検出系)により検出され得るし、そして第二の光シグナル又は参照光シグナルとして用いられ得る。
【0027】
本明細書中の開示から、その他の測定誤差源は或る種のシグナルの或る比を用いることによっても排除され得るということが当業者に明らかになる。
【実施例】
【0028】
実施例1
ビームスプリッターを伴わず、フルオロフォアに蛍光させない参照光を用いる系
図1Aを参照すると、上記開示は、少なくとも3つの光源を包含する或る実施形態に当てはまる。図1Bを参照すると、上記開示は、2つの光源を包含する或る実施形態に当てはまる。或る実施形態では、光源101は発光ダイオード(LED)である。しかしながら他の型の光源も用いられ得る。光源101Aのうちの1つは参照光(例えば赤色)であり、一方、他の2つの光源(101B及び101C)は異なる波長を有する励起光である
(例えば青色1及び青色2)。或る特定の実施形態では、光は、コリメータレンズ102A〜コリメータレンズ102C、干渉フィルター103A〜C、及び/又は焦点レンズ104A〜Cを包含する光学モジュールを介して光源101A〜Cの各々から送られる。所望の帯スペクトル外の光を干渉フィルター103が最適に遮断するため、干渉フィルター103に衝突するか、又はそれを通して伝わるか、又はそれに達する光は、好ましくは、或る程度の視準内に入る。コリメータレンズ102は非球面レンズであり得るが、他の型のコリメータレンズも用いられ得る。干渉フィルターは、他の型のフィルター、例えばラッテン・フィルターに置き替えられ得る。
【0029】
干渉フィルター103は、光源101から送られる各光のスペクトルの一部を遮断し得る。或る実施形態では、干渉フィルター103は、フルオロフォア系から発生される放出波長と重複するスペクトルの一部を遮断する。例えば或る系が青色励起光を用いて緑色発光を生じる場合には、干渉フィルターは好ましくは青色励起の帯域を狭めるために用いられるが、これは青色励起光が青色及び緑色の光の両方を含み得るためである。励起光からの緑色光はフルオロフォアの緑色発光シグナルに付加してより大きい強度の緑色光を生じるため、緑色光を含む非濾過励起青色光は不正確な緑色発光シグナルを生じ得る。
【0030】
干渉フィルター103は、或る点を越えたすべての波長を遮断するショートパスフィルターであり得る。干渉フィルター103は、特定帯域の波長をフィルターに通過させるだけのバンドパスフィルターであり得る。或る実施形態では励起光101B及び励起光101Cは同様の波長を有するため、或る特定の実施形態では、系100は、バンドパスフィルターである干渉フィルター102B及び干渉フィルター102Cを用いる。2つのバンドパスフィルターの使用は、2つの励起光間の周波数重複を回避し、それにより2つの別個の帯域を有する2つの励起光を生じ得る。
【0031】
干渉フィルター103の使用は、励起波長及び放出波長間の波長重複を回避し得る。或る実施形態では、干渉フィルター103A〜干渉フィルター103Cから得られる光は、焦点レンズ104A〜焦点レンズ104Cを通して送られ得る。焦点レンズ104A〜焦点レンズ104Cは、それぞれの光ファイバー105A〜光ファイバー105Cに光を向ける。光ファイバー線105は、各々、単一ファイバー又はファイバーの束を含み得る。ファイバー束の使用は、ファイバーが単一ファイバー108と繋がる場合、デッドスペースの量を低減し得る。或る実施形態では、光ファイバー線105の各々は、一緒に束ねられてファイバー束106を形成するファイバーの束を包含する。ファイバー束106は、単一の光ファイバー線108に接続され得る。
【0032】
光ファイバー線108の横断面を横切って為される測定は、光の不均一分布を示し得る。例えばファイバーのいくつかの領域は、ファイバーの他の領域より暗いことがある。或る実施形態では、光ファイバーを横切ってより均一に光が送られるように、モード混合スクランブラー109は光を分配するために用いられる。モード混合スクランブラー109は、ファイバーを下行する光により高いモード光を失うように設計され得る。或る実施形態では、より高いモード光は、大きい入射角で伝播する光である。或る実施形態では、臨界角より大きい入射角を有するより高いモード光は、光ファイバーから出る。モード混合スクランブラー109は、より低い臨界角を有する光ファイバーを作製するために特定半径を取り囲んで湾曲されるファイバーの長さであり得る。モード混合スクランブラー109を通して送られる光は、ファイバー中をまっすぐ移動する傾向がある低モード光を生じ得る。単一光ファイバー108は、別の光ファイバー線110と接続され得る。光ファイバー線110は、ファイバーの束又は単一ファイバーであり得る。
【0033】
この実施形態では、感光性モジュール(又は検出系)は2つの検出器112、121を包含する。光ファイバー108を通って移動する光の一部は光ファイバー線110を通し
て送られ、そして第一検出器112を包含する感光性モジュール(又は検出系)を用いて測定され得る。或る実施形態では、第一検出器112から作り出されるシグナルは、増幅器113により増幅され得る。増幅シグナルは、アナログデジタル変換器114により、アナログシグナルからデジタルシグナルに変換され得る。或る実施形態では、デジタルシグナルは、保存及びレシオメトリック処理のためにデータ処理デバイス124に送られる。データ処理デバイス124は、当該技術分野で既知の任意の型の任意のデータ処理デバイス、例えばマイクロプロセッサー、組込みプロセッサー、マルチプロセッサー、汎用コンピューター、専用プロセッサー、計算デバイス、デジタルシグナルプロセッサー、マイクロコントローラー、プログラム可能なゲートアレイ又はその任意の組合せであり得る。或る実施形態では、単一の光ファイバー108は別の光ファイバー線111に接続される。光ファイバー線111は、ファイバー束115又は単一ファイバーであり得る。
【0034】
光ファイバー線108を通って移動する光の一部は、光ファイバー線111を通ってグルコースセンサー117に送られ得る。或る実施形態では、ライン111の横断面は、第一末端117Aでグルコースセンサー117に接続する前に、より大きい単一ファイバー115B周囲に配置されるファイバー束115Aを含む。グルコースセンサー117は、光ファイバーであり得る。或る実施形態では、グルコースセンサーは、グルコースセンサー117の第二末端に鏡又は反射面117Bを有する。グルコースセンサーのフルオロフォア系は、光ファイバー中の穴又はキャビティ116内に存在するヒドロゲル内に埋め込まれるか、固定されるか、又はそうでなければそれと会合され得る。フルオロフォア系は、グルコースが存在する場合、そしてフルオロフォアが励起光101B、励起光101Cにより励起される場合、蛍光を放出し得る。或る実施形態では、フルオロフォア系は、二重エキサイター−単一エミッター染料(例えば、2つの異なる励起光に応答して単一放出ピークを生じる染料)を含む。もちろん、他のフルオロフォア系(例えばとりわけ、単一励起−単一放出、二重励起−二重放出及び単一励起−二重放出)が用いられ得る。
【0035】
放出強度は、グルコース濃度と直接関連し得る(即ち、グルコースの濃度が高いほど、フルオロフォア系により放出される光の強度は強い)。或る実施形態では、放出強度はグルコース濃度と反比例の関係を示す(即ち、グルコース濃度が高いほど、フルオロフォア系により放出される光の強度は弱い)。励起波長及び放出波長の一部は、光ファイバー線118に送られ得る。光ファイバー線118は、単一ファイバー線(横断面119で示されている)、又は光ファイバーの束(示されていない)であり得る。光ファイバー線118により送られる光は、干渉フィルター120を通して濾過され得る。干渉フィルター120は、光源101B及び光源101Cから発生される励起光を遮断し得る。
【0036】
残存する光スペクトルは、フルオロフォアレポーターからの放出波長並びに光源101Aからの参照光を含む。或る実施形態では、残存する光スペクトルは、第二検出器121を含む感光性モジュール(又は検出系)を用いて測定される。第二検出器121により生じるシグナルは、増幅器122により増幅され得る。増幅シグナルは、アナログ−デジタル変換器123によりアナログシグナルからデジタルシグナルに変換され得る。或る特定の実施形態では、得られるデジタルシグナルは、保存及びレシオメトリック処理のためにコンピューター124に送られる。
【0037】
光学的グルコース測定系100は、光源101から光をパルス照射するように設計され得る。例えば系100は、参照光源101Aから1秒間光を送り、次に1秒間待って、その後、第一励起光源101Bから1秒間光を送り、次に1秒間待って、その後、第二励起光源101Cから1秒間光を送って、次に1秒間待った後、この光パルスパターンを反復する。或る実施形態では、系100が分断されるまで、このような光パルスパターンを継続的に反復する。パルス周波数及び持続時間は、当業者に理解されるように、所望の作用によって大いに変わり得る。
【0038】
周囲光は、放出波長の強度に影響を及ぼし得る。或る実施形態では、光学的グルコース測定系100は、光源101の1つが作動している場合、系100における光強度の一次測定を行ない、次に光源101のすべてが作動していない場合、系における光強度の二次測定を行なうことにより、周囲光作用を計上する。周囲光作用は、一次測定値から二次測定値を差し引くことにより排除され得る。
【0039】
光ファイバー線の曲げは、放出波長の強度に影響を及ぼす。ファイバーの曲げは、光ファイバー線からの光損失を生じ得る。或る実施形態では、温度変化は、系100の検出器及び増幅器の性能に影響を及ぼし、それにより、検出される放出波長の強度に影響を及ぼす。グルコース濃度の変化に関連しない放出波長強度に影響を及ぼす因子が存在し得る。ファイバーの曲げ、温度変化並びに放出波長強度に対するその他の非グルコース関連作用を計上するために、系100は、或る実施形態では、レシオメトリック計算を用いて非グルコース関連強度変化を排除するように設計される。
【0040】
第二検出器121は、感知キャビティ116においてフルオロフォア系から放出される放出波長を測定するように設計され得る。或る実施形態では、検出器121は、光源101Aから発生される参照光を測定する。ファイバーの曲げ、温度変化、並びにその他の非グルコース関連因子は、参照光及び放出光波長の強度に同じように影響を及ぼし、それによりレシオメトリック計算によって光強度に対する非グルコース関連作用が排除され得る。用いられるレシオメトリック計算は、測定放出波長を測定参照光で割ることを包含し、この場合、両測定は第二検出器121で行なわれる。測定放出波長対測定参照光の比は、この比を存在するグルコースの量と相関させる所定関数と相互参照し得る。或る実施形態では、測定放出波長対測定参照光の比は、グルコース濃度が変化する場合にのみ変わる。
【0041】
光源101Aから放出される参照光は、系100における種々の因子により影響を及ぼされ得るが、一方、例えば光源101Bから放出される一次励起光には影響を及ぼさない。系100は、第一検出器112で長時間これらの光を定期的に測定することにより、参照光と励起光との間のこのような異なる変化を計上し得る。或る実施形態では、定期的測定値と各光の一次測定値とを比較する比を求める、例えば0秒時点での参照光を1秒時点での参照光で割る。類似の比は、励起光に関して作り出され得る。例えば参照光比が1でない場合には、グルコース濃度を確定する前に計上するべき変化が参照光において生じた。例えば参照光に対する変化が第一検出器112で検出された場合には、第二検出器121で測定される参照光はこの変化を計上するように調整されるべきである。例えば第一検出器112での参照光測定値が増大した場合には、第二検出器121で測定される参照光は低減されなければならない。或る実施形態では、低減は、第二検出器121での測定参照光に以下の:(時点=0での参照光/時点=1での参照光)を掛けることにより確定され、この場合、参照光測定は第一検出器112から為された。一次励起光及び二次励起光が参照光の代わりに測定されること以外は同一のレシオメトリック計算が、第二検出器121で検出される放出波長に関して成し遂げられ得る。
【0042】
全シグナルにおける変化%が本質的に同一であるように、放出シグナル及び参照シグナルは種々の因子により影響を及ぼされ得る。或る実施形態では、これらの変化は、前に記載されたように長時間に亘って変化に関して調整された後、放出シグナルと参照シグナルとの比を得ることにより補正され得る。このような因子の例としてはファイバーからの光の損失を生じ得るファイバー曲げが挙げられるが、これに限定されない。
【0043】
或る実施形態では、グルコース感知化学物質は、キャビティ116中のヒドロゲル内に固定される。図1Cを参照すると、或る特定の実施形態では、グルコースセンサー117は光ファイバーの側面を通して真直ぐ穿孔される一連の穴を有する固体光ファイバーであ
る。穴は、ヒドロゲル116で充填され得る。グルコースセンサー117を通して穿孔され得る一連の穴は、いくつかの実施形態では、水平方向に均一間隔に配置され、そしてグルコースセンサー117の側面周囲を一様に回転して、渦巻き又はらせん配置を形成する。一連の穴は、グルコースセンサーの直径を通しても穿孔され得る。図1Dを参照すると、或る実施形態では、グルコースセンサーは、或る角度でファイバーの側面を通して穿孔される一連の穴を有する固体光ファイバーである。ヒドロゲル116で充填され得る或る角度で穿孔された一連の穴は、いくつかの実施形態では、水平方向に均一間隔に配置され、そしてグルコースセンサー117の側面周囲を一様に回転する。図1Eを参照すると、或る実施形態では、光ファイバーは、光ファイバーの長さ方向に溝を包含し、この場合、溝はヒドロゲル116で充填される。溝の深さは、光ファイバーの中心に延び得る。或る実施形態では、溝は光ファイバー周囲を渦巻状に進む。溝は、光ファイバー周囲を渦巻状に進んで、少なくとも一回転を完了するように設計され得る。或る実施形態では、溝は光ファイバー周囲を渦巻状に進み、光ファイバー周囲を多重回転する。
【0044】
図1Fを参照すると、或る実施形態では、グルコースセンサー117はファイバーから出る三角楔形切口を有する固体光ファイバーである。三角楔形領域は、ヒドロゲル116で充填され得る。三角楔形切取り部分は、水平方向に均一間隔に配置され、そしてグルコースセンサー117の側面周囲に存在し得る。或る実施形態では、グルコースセンサー117中を移動する光は全て、ヒドロゲルを充填された少なくとも1つの穴又は溝を通して送られる。
【0045】
ヒドロゲルは、複数のフルオロフォア系と会合され得る。フルオロフォア系は、グルコース受容体部位を有する消光剤を含み得る。グルコース受容体と結合するグルコースが存在しない場合、消光剤は、染料が励起光により励起される場合にフルオロフォア系が光を放出するのを防止し得る。或る実施形態では、グルコース受容体と結合するグルコースが存在する場合、消光剤は、励起光により染料が励起される場合にフルオロフォア系に光を放出させる。
【0046】
異なる励起波長(酸形態のフルオロフォアを励起するものもあれば、塩基形態のフルオロフォアを励起するものもある)が異なる放出シグナルを生じるように、フルオロフォア系により生じる発光は溶液(例えば血液)のpHに伴って変わり得る。好ましい実施形態では、酸形態のフルオロフォアからの放出シグナルと塩基形態のフルオロフォアからの放出シグナルとの比は、血液のpHレベルに関連する。干渉フィルターは、確実に2つの励起光が1つの形態(酸形態又は塩基形態)のフルオロフォアのみを励起させるために用いられ得る。
【0047】
実施例2
ビームスプリッター及びフルオロフォアに蛍光放出させない参照光源、例えば赤色光源を用いる系
図2Aを参照すると、或る実施形態では、光学的グルコース測定系100は、フルオロフォアの使用により血管内で実時間でグルコース濃度を測定する。或る実施形態では、光学的グルコース測定系200は、図2Aに示されているように、少なくとも3つの光源を包含する。光源101は発光ダイオードであり得る。しかしながら他の型の光源も用いられ得る。或る実施形態では、光源201Aのうちの1つは参照光(例えば赤色)であり、一方、他の2つの光源201B、光源201Cは異なる波長を有する励起光である(例えば青色1及び青色2)。光学的グルコース測定系200は、図1Aを参照しながら上記したように、光源201からの光をパルス照射するように設計され得る。
【0048】
或る実施形態では、光は、コリメータレンズ202、干渉フィルター203、及び/又は焦点レンズ204を包含する光学モジュールを介して光源201の各々から送られる。
その結果生じる実質的に視準化された光は、各光のスペクトルの一部を遮断する干渉フィルター203を通して送られ得る。干渉フィルター203は、グルコース感知フルオロフォア系208(図1Aを参照しながら上記したようにヒドロゲル116に対応する)から発生される放出波長と重複するスペクトルの一部を遮断し得る。
【0049】
干渉フィルター203からの得られた光は、焦点レンズ204を通して送られ得る。焦点レンズ204は、光ファイバー線205に光を向けるように設計され得る。光ファイバー線205は、各々、単一ファイバー又はファイバーの束を含み得る。ファイバー束の使用は、ファイバーが単一ファイバー206と繋がる場合、デッドスペースの量を低減し得る。或る実施形態では、光ファイバー線205の各々は、一緒に束ねられてファイバー束206を形成するファイバーの束を包含する。ファイバー束206は、光ファイバー線205に取り囲まれた単一の光ファイバー210を包含し得る。光ファイバー線210は、光ファイバー線の束を包含し得る。
【0050】
ファイバー束206は、グルコースセンサー207の第一末端に接続するように設計され得る。グルコースセンサー207は、図1C、図1D、図1E及び図1Fを参照して上記したようにヒドロゲル208をさらに含む単一の光ファイバー207Aを包含し得る。グルコースセンサー207は、グルコースセンサー207の第二末端に取り付けられる鏡又は反射面209を包含し得る。或る実施形態では、ヒドロゲル208は、グルコースが存在する場合、そして染料が励起光201B、励起光201Cにより励起される場合、蛍光を放出するフルオロフォア系を含む。フルオロフォア系は、単一エキサイター−単一エミッター染料を含み得る。或る実施形態では、フルオロフォア系は、単一エキサイター−二重エミッター染料を含む。フルオロフォア系は、二重エキサイター−単一エミッター染料を含み得る。或る実施形態では、フルオロフォア系は、二重エキサイター−二重エミッター染料を含む。
【0051】
励起光は、光源201B、光源201Cから発生されるように設計され、そして光源201Aから発生される参照光はグルコースセンサーに送られる。或る実施形態では、励起光は、グルコースが存在する場合、フルオロフォア系を励起する。励起光、参照光及び放出光は、鏡又は反射面209で反射されて、光ファイバー線210に入る。或る実施形態では、励起光、参照光及び放出光は、光ファイバー線210に送られる。
【0052】
光ファイバー210により送られる光は、コリメータレンズ211を通して送られ得る。或る実施形態では、得られる光は実質的に視準され、そしてビームスプリッター212に送られる。ビームスプリッター212は、実質的に全ての励起光を送出しながら、実質的に全ての放出光、そして実質的に全ての参照光を反射するように設計され得る。
【0053】
ビームスプリッター212は、実質的に45度の角度で作業するように意図され得る干渉フィルターであり得る。或る実施形態では、ビームスプリッター212は、或る波長を有する光を反射し、全ての他の光をビームスプリッター212に通過させるコーティングを有するガラス表面である。ビームスプリッターは、コリメータレンズ211から移動する光の方向に対して実質的に45度の角度で配置され得る。或る実施形態では、ビームスプリッター212は、放出光の全て並びに参照光の一部を反射する。ビームスプリッター212は、励起光及び参照光の残りの部分を送出し得るか、又はそれらをビームスプリッター212に通過させ得る。参照光は、或るスペクトル帯幅を有し得る。或る実施形態では、ビームスプリッター212は、参照光におけるスペクトルシフトのための強度変化を最小限にするために、参照光が最大振幅となる点の近くの波長で参照スペクトル帯の光を分割する。
【0054】
この実施形態では、感光性モジュール(又は検出器系)は、2つの検出器215A、検
出器215Bを包含する。ビームスプリッター212により反射され得る放出光並びに参照光の一部は、第一検出器215Aを含む感光性モジュール(又は検出器系)を用いて測定され得る。或る実施形態では、検出器215Aにより得られるシグナルは、増幅器216Aにより増幅される。増幅シグナルは、アナログ−デジタル変換器217Aによりアナログからデジタルに変換され得る。デジタルシグナルは、保存及びレシオメトリック処理のためにコンピューター218に送られ得る。或る実施形態では、ビームスプリッター212を通って送られる励起光並びに参照光の一部は、第二検出器215Bにより測定される。検出器215Bにより得られるシグナルは、増幅器216Bにより増幅され得る。或る実施形態では、増幅シグナルは、アナログ−デジタル変換器217Bによりアナログからデジタルに変換され得る。デジタルシグナルは、保存及びレシオメトリック処理のためにコンピューター218に送られる。
【0055】
光学的グルコース測定系200は、放出光と励起光との比を得ることにより、血中のグルコース濃度を確定し得るが、この場合、放出光は第一検出器215で測定され、そして励起光は第二検出器216で測定される。或る実施形態では、放出光対励起光の比は、この比を血中グルコース濃度と相関させる所定関数と相互参照される。放出光対励起光の比は、グルコース比として既知である。グルコース比は、或る実施形態では、光源強度、光ファイバーへの光源の結合効率、又は光ファイバーの曲げ等における変化により影響され得ない。或る実施形態では、放出光と励起光との比は、グルコース濃度が変化する場合のみ変わる。
【0056】
検出器215、検出器216及び増幅器215A、増幅器216Aは、測定される光強度に変動を生じる種々の因子、例えば温度により影響を及ぼされ得る。2つの検出器215、検出器216及び2つの増幅器215A、増幅器216Aにより生じるこれらの変動は、第一検出器215で測定される参照光と第二検出器216で測定される参照光との比を得ることにより除外され得るか、又は実質的に除外され得る。或る実施形態では、上記の比は、第一検出器系215と第二検出器系216との間の差を比較する。
【0057】
光学的グルコース測定系200は、0時点での第一検出器215で測定される参照光と第二検出器216で測定される参照光との比を確定し得るし、そしてこの比はその後の期間に得られる測定値と比較するための参照比として用いられる。或る実施形態では、参照比とその後の比との間の差は、検出器系のうちの1つにおいて変化が起きていることを示す。例えば上記の比は0時点では1/1であるが、一方、その比は1時点では1/10である。この実施例では、第二検出器216は、ゼロ時点で測定されたシグナルの10倍のシグナルを測定しているため、2つの比は等しくなく、したがって、この差異を計上するために、1時点での上記の比の逆数、具体的には10/1という比が、グルコース比に対して乗じられる。
【0058】
実施例3
ビームスプリッターを用いるが、非蛍光発光性(例えば赤色)参照光源を用いない系
図2Bを参照すると、或る実施形態は、少なくとも3つの光源201B、光源201C、光源201D(例えば青色1、青色2及び青色3)を包含する。第一励起光201B及び第二励起光201Cは、コリメータレンズ202B、コリメータレンズ202C、及び干渉フィルター203B、干渉フィルター203C、及び焦点レンズ204B、焦点レンズ204Cを通して送られ得る。或る実施形態では、光源201B、光源201Cからの光は光ファイバー線205B、光ファイバー線205Cを通して送られるが、この場合、光ファイバー線は、上記の理由のために単一光ファイバー又はファイバーの束を包含し得る。
【0059】
光ファイバー線205B、光ファイバー線205Cは光ファイバー線210を取り囲み
得るが、これは図206Aで示される。或る実施形態では、光ファイバー線210は、単一光ファイバー又は光ファイバー線の束を含み得る。光ファイバー線205B、光ファイバー線205C及び光ファイバー線210は、グルコースセンサー207の第一末端と接続し得るが、この場合、励起光はヒドロゲル208を通して輝き、それによりヒドロゲル208中に固定されたフルオロフォア系を励起し得る。或る実施形態では、鏡209はグルコースセンサー207の第二末端に取り付けられる。放出光及び励起光は、鏡又は反射面209で反射されて、光ファイバー線210に入る。光ファイバー線210により送られる光は、コリメータレンズ211に向けられ得る。図2Aを参照しながら上記したように、或る実施形態では、コリメータレンズ211から得られる光は、光を反射するか又は光をビームスプリッター212に通過させるビームスプリッター212に達する。図2Aを参照しながら上記したように、波長が検出及び測定される。図2Aを参照しながら上記したように、反射光(放出光)と伝送光(励起光)との比は、血中グルコース濃度に関連し得る。或る実施形態では、上記の比はグルコース比として既知である。
【0060】
図2Aを参照しながら上記した実施形態と同様に、グルコース比はレシオメトリック計算により調整され得る。上記図2Aに記載されているように、図2Bに示された実施形態は、異なるやり方で種々の因子により影響を及ぼされ得る2つの検出器を含む感光性モジュール(又は検出系)を包含する。したがってレシオメトリック計算を用いて、非グルコース関連光強度変化を除外し得る。或る実施形態では、第三光源201Dは、レシオメトリック計算に用いられる参照シグナルを提供するために用いられ得る。
【0061】
光源201Dにより発生される光は、コリメータレンズ202Dを通して送られ得る。或る実施形態では、焦点レンズ204Dは、得られる光をコリメータレンズ202Dから光ファイバー210(コリメータレンズ211を通して光を送る)に集める。光源201Dにより発生される光は、異なる波長の2つの色を含み得る。2つの色は、励起光及び放出波長と同一であり得る。例えば励起光が青色で、放出波長が緑色である系では、光源201Dにより発生される光は、青色光及び緑色光の両方を含む青色光である。或る実施形態では、ビームスプリッター212は、青色光をレンズに通過させながら、緑色光を反射する。反射緑色光は検出器215Aで測定され、そして伝送光は検出器215Bで測定される。
【0062】
レシオメトリック計算は、ゼロ時点での反射光と伝送光との比を得ることにより実施され得るが、この場合、この比は参照比として用いられる。或る実施形態では、上記比はその後の時点で得られ、そして参照比と比較される。その後の比が参照比と等しくない場合、図2Aを参照しながら上記したように、その後の比の逆数がグルコース比に乗算され得る。
【0063】
実施例4
ビームスプリッターがビーム分割偏光板と置き換えられる系
或る実施形態では、上記のようなビームスプリッター212を、感光性モジュール中の第一検出器215Aに対してs偏光を反射する一方でビームスプリッター212を通して感光性モジュール中の第二検出器215Bにp偏光を通過させるビームスプリッターと置き換えることにより、上記の系は改良され得る。或る実施形態では、干渉フィルターは全ての励起光を遮断する第一検出器212の前に配置され、その後、第一検出器215Aに残りの光(放出光及び参照光)を送る。干渉フィルターが、全ての放出光を遮断する第二検出器215Bの前に配置された後、第二検出器215Bに残りの光(励起光及び参照光)を送り得る。この系の欠点は、放出シグナル及び励起シグナルのいくつかが十分に測定されていないという点である。
【0064】
上記の系は、図2Aを参照すると、図2Cに示されているように、2つだけの光源20
1A、光源201B、並びにコリメータレンズ、干渉フィルター及び焦点レンズを含む対応する光学モジュールを包含するように、又は4つ以上の光源(図示されていない)を包含するように改良され得る。図2A及び図2B及び図2Cを参照しながら上記した系は、或る実施形態では、第一検出器215Aでの参照光の飽和を補償するために参照光を部分的に吸収する塗料で鏡209を部分的に被覆することにより改良され得る。
【0065】
実施例5
種々のシグナル間の大きい強度差を扱う方法を記述する
図2A及び図2B及び図2Cを参照しながら上記した系は、励起光の量に比して相対的に少量の放出光を生じる。これらの異なるシグナル強度を補償するために、或る実施形態では、第一増幅器216Aに関する増幅器利得は、第二増幅器216B6に関する増幅器利得より高く設定され得る。或る実施形態では、増幅器216での高利得増幅を補償するため、ビームスプリッター212は、ビームスプリッターを通してより多くの参照光を送るよう設計される。増幅器216Aでの高利得増幅を補償するため、上記のようなビームスプリッター212を調整する代わりに、干渉フィルターを用いて、第一検出器215Aに送られる参照光の一部を遮断し得る。
【0066】
実施例6
ビームスプリッターの代わりに分光計を用いる系
図3Aを参照すると、或る実施形態は少なくとも2つの光源を包含する。或る実施形態では、光源301は、コリメータレンズ302、干渉フィルター303、及び/又は焦点レンズ304を含む光学モジュールを通して送られる励起光を発生する。コリメータレンズ302から得られる光は、干渉フィルター303に送られ得る。干渉フィルター303からから得られる光は、焦点レンズ304により光ファイバー線305に集められ得る。或る実施形態では、光ファイバー線は、光ファイバー309を取り囲む単一ファイバー又はファイバーの束であり得る。光ファイバー線309は、単一ファイバー又はファイバーの束であり得る。光ファイバー線305、光ファイバー線309は、接合点306で一緒に束ねることができ、グルコースセンサー307で接続される。図3Aを参照しながら上記したように、グルコースセンサー307はヒドロゲル307Aを含み得る。
【0067】
放出光及び励起光は、図2を参照しながら上記したように、グルコースセンサーから光ファイバー線309に送られ得る。或る実施形態では、光ファイバー線309は、グルコース測定系300における全光スペクトルを測定するマイクロ分光計310を含む感光性モジュールに接続される。放出光と対応する励起光との比は、図2を参照しながら上記したようなグルコースの濃度に関連し得る。図2を参照しながら上記したように、一次励起光により作り出される放出光(例えば酸形態)と二次励起光により作り出される放出光(例えば塩基形態)との比は、試験溶液、例えば血液中のpHレベルに関連し得る。
【0068】
マイクロ分光計は、Boehringer Ingelheimにより製造されたUV/VISマイクロ分光計モジュールであり得る。任意のマイクロ分光計が用いられ得る。代替的には、マイクロ分光計は、他の分光計、例えばOcean Optic Inc.により製造されたもの等と置換され得る。
【0069】
上記した或る実施形態では、レシオメトリック計算は種々の光強度の測定を要する。これらの測定は、特定波長又は波長帯域でのピーク振幅を測定することにより確定され得る。これらの測定は、例えばマイクロ分光計からの出力を用いる場合、2つの特定波長間の曲線下面積を計算することにより確定され得る。
【0070】
マイクロ分光計及び/又は分光計の使用は、異なるフルオロフォア系が用いられる場合、グルコース測定系300を容易に変更させ得る。例えば系300が緑色放出波長を放出
するフルオロフォア系を用いて製造される場合、そして後の研究及び開発が赤色放出波長を放出するフルオロフォア系がグルコース濃度検出時により良好であることを示す場合には、このような状況では、グルコースセンサー及びレシオメトリック計算を実施するためのソフトウェアを取り替える必要があるだけである。このような一例では、干渉フィルター又はビームスプリッターを変える必要はない。
【0071】
実施例7
マイクロ分光計を用いない系 − ビームスプリッター又は2つの検出器に直接進む少なくとも2つのファイバーを用いる
図3Aを参照しながら上記した系は、図3Bに示したように2つの干渉フィルター312A、干渉フィルター312B、及び2つの検出器313A、検出器313Bを含む感光性モジュールを包含することにより改良され得る。或る実施形態では、実質的に放出光の半分及び励起光の半分がグルコースセンサーから光ファイバー線309に送られ、そして残りの放出光及び励起光がグルコースセンサーから光ファイバー線309Aに送られる。干渉フィルター312Aは、励起光を遮断し、そして放出光を検出器313A(ここで放出光が測定される)に通すように設計され得る。検出器313Aにより得られるシグナルは、増幅器314Aにより増幅され、そしてアナログ−デジタル変換器315Aによりデジタルシグナルに変換されて、コンピューター316に送られ得る。干渉フィルター312Bは、放出光を遮断し、そして励起光を検出器313B(ここで励起光が測定される)に通すように設計され得る。或る実施形態では、検出器313Bにより得られるシグナルは、増幅器314Bにより増幅され、そしてアナログ−デジタル変換器315Bによりデジタルシグナルに変換されて、コンピューター316に送られ得る。図1Aに言及している上記開示と同様に、レシオメトリック計算を用いて、測定放出光及び測定励起光の強度に影響を及ぼしている非グルコース関連因子を実質的に除外するか又は低減し得る。或る実施形態では、測定放出光を測定励起光で割るが、この場合、このような計算は、光の強度に影響を及ぼしている非グルコース関連因子を実質的に除外するか又は低減する。代替的には、二分岐ファイバー309、二分岐ファイバー309Aは、例えば図3Cに示したように、単一ファイバー又はファイバー束309、及びビームスプリッター315で置換され得る。
【0072】
実施例8
単一エキサイター−二重エミッターフルオロフォアと一緒に分光計を用いる系
図3Aを参照しながら上記した系は、1つだけの光源、及び単一エキサイター、二重エミッターフルオロフォア系であるフルオロフォア系を包含することにより改良され得る。図4を参照すると、或る実施形態では、単一の光源401により発生される光は、上記のように、コリメータレンズ402、干渉フィルター403、及び/又は焦点レンズ404を包含する光学モジュールを介して送られる。得られた光は、干渉フィルター403を通して濾過され得る。得られた光は、焦点レンズ404により、単一ファイバー又はファイバーの束である光ファイバー線405に集められ得る。光ファイバー線405は、両光ファイバー線がグルコースセンサー407の第一末端に接続する場合、光ファイバー線410を取り囲み得る。或る実施形態では、鏡又は反射面409は、グルコースセンサー407の第二末端に取り付けられる。光ファイバー線410は、単一ファイバー又はファイバーの束であり得る。グルコースセンサーは、2つの放出波長、即ち第一放出波長及び第二放出波長を生じるフルオロフォア系をさらに含むヒドロゲルを含み得る。或る実施形態では、フルオロフォア系は、光源401により発生される光により励起される。或る実施形態では、光ファイバー線410は、グルコース測定系400における全光スペクトルを測定するマイクロ分光計411を含む感光性モジュールに接続される。マイクロ分光計411からのデータは、処理のためにコンピューター412に送られ得る。マイクロ分光計411は、励起光強度及び両放出光強度を同時に系400に測定させ得る。図1Aに言及している上記開示と同様に、レシオメトリック計算を用いて、測定放出光及び測定励起光の
強度に影響を及ぼす非グルコース関連因子を実質的に除外するか又は低減する。測定放出光を測定励起光で割るが、この場合、このような計算は、光の強度に影響を及ぼしている非グルコース関連因子を実質的に除外するか又は低減する。
【0073】
一次放出波長は、血中の酸の濃度と関連し得る。或る実施形態では、二次放出波長は血中の塩基の濃度と関連する。一次放出光と第二の放出光との強度の比は、血液のpHレベルと関連し得る。図2を参照しながら上記したように、一次放出光と励起光との比は、血中のグルコース濃度と関連し得る。図2を参照しながら上記したように、第二の放出光と励起光との比は、血中のグルコース濃度と関連し得る。
【0074】
実施例9
同一ゲル中の2つのフルオロフォア(一方はグルコース及びpH表示器として、他方は参照として)を用いる系
図3A、図3B、図3C及び図4を参照しながら上記した系は、図5A、図5B、図5C及び図6Aに示したように、ヒドロゲル509、ヒドロゲル510中に2つのフルオロフォア系を固定することにより、そしてグルコースセンサー508の第二末端に鏡又は他の反射面を取り付けない(例えば図5A、図5B、図5C及び図6Aにおける鏡又は反射面511はこれらの上記実施形態における特徴でない)ことにより、改良され得る。或る実施形態において図5A、図5B、図5C及び図6Aを参照すると、グルコースセンサー508に送られる光の一部は、反射してファイバー512に入る。グルコースセンサー508に送られる光の別の部分は、グルコースセンサー508を通して送られて、血流中に入り得る。血流中に送られる光の一部は、血中の種々の粒子に反射して、グルコースセンサー508中に戻る。したがって、励起シグナル及び放出シグナルの強度、並びに励起シグナル及び放出シグナルの比は、グルコースにおける変化以外の種々のパラメータ(例えばグルコースセンサー508に再進入する種々の程度の励起光)に応答して長時間に亘って変化している。或る実施形態では、これらの変化は、第二フルオロフォア系により作り出される参照光を用いることにより計上される。
【0075】
図5Aを参照すると、例えば第一フルオロフォアが単一エキサイター、二重エミッターである或る実施形態では、第一フルオロフォア系は、図4を参照しながら上記したように、グルコース及びpHと関連する一次励起光に応答した一次放出光及び第二の放出光の強度を生じる。図5B、図5C及び図6Aを参照すると、例えば第一フルオロフォアが二重エキサイター、単一エミッターである或る実施形態では、第一フルオロフォア系は、図3A、図3B及び図3Cを参照しながら上記したように、グルコース及びpHと関連する一次光及び二次光に応答した一次放出光及び第二の放出光の強度を生じる。第二フルオロフォア系は、グルコース濃度変化又はpHレベル変化に伴って変化しない三次放出波長を生じ得るし、そしてそれは、第一フルオロフォア系と同一の励起波長のうちの少なくとも1つで励起する。三次放出波長は、参照光として用いられ得る。一次放出光と参照光との比は、グルコースと関連し、そして光源強度変化、結合効率及びファイバー曲げとは無関係であるレシオメトリック補正比を生じ得る。或る実施形態では、第二の放出光と参照光との比は、グルコースと関連し、そして光源強度変化、結合効率及びファイバー曲げとは無関係であるレシオメトリック補正比を生じる。これら2つの比の比は、pHと関連し、そして光源強度、結合効率、ファイバー曲げ及び第一フルオロフォアの濃度とは無関係である。或る実施形態では、図5A、図5B、図5C及び図6Aを参照しながら上記した系は、グルコースセンサー508の第二末端に取り付けられた鏡511を含む。
【0076】
実施例10
上記の2つのフルオロフォア系の使用がファイバー中の穴及び鏡の必要性を除外するために用いられ得る系
図5A、図5B、図5C及び図6Aを参照しながら上記した系は、グルコースセンサー
の第二末端での鏡並びにセンサー中の穴(509及び510)を排除するように、そして管状透過性膜、又は図5A、図5B、図5C及び図6Aを参照しながら上記したような2つのフルオロフォア系を含むファイバーの末端に均一ヒドロゲル混合物を含有し、取り付けるいくつかの他の手段を包含するように改良され得る。或る実施形態では、管状透過性膜又は容器手段は、均一ヒドロゲル混合物を含有するためのレセプタクル又はポーチ又はサックに類似している。代替的には、グルコースセンサーファイバー508の末端は、ファイバーの末端内に形成されるキャビティ又はレセプタクルも包含し得るが、この場合、キャビティ又はレセプタクルはヒドロゲル混合物を含有するよう設計される。
【0077】
実施例11
第二フルオロフォアがゲル中に存在しないが、鏡上に被覆され、そして鏡がファイバーの末端に埋め込まれる系。これは、ファイバーの末端に埋め込まれていることにより血液から単離されるため、第二フルオロフォアをpH及び他の分析物に対して感受性にさせる(即ち、多数のフルオロフォアを選択させる)
図5A、図5B、図5C及び図6Aを参照すると、或る実施形態では、上記系は、第二染料で少なくとも部分的に被覆される鏡511を包含するように改良される。第二染料は、図5A、図5B、図5C及び図6Aを参照しながら上記したような参照染料であり得る。前に記載されたように、第二染料は、好ましくは、血液に曝露されるヒドロゲル中に固定される場合、血中のグルコース及びpHレベルの変化に感受性ではない。血液への第二染料の曝露を回避するために、或る実施形態では、鏡511が、第二染料で少なくとも部分的に被覆され、そしてファイバーの末端に埋め込まれる。この実施形態では、グルコース、pH又は任意の他の血液成分に対する第二染料の固有の非感受性は必要とされない。
【0078】
実施例12
実施例11と同様であるが、参照フルオロフォアで被覆された鏡の代わりに、第一光ファイバーの末端に取り付けられる第二光ファイバー中にフルオロフォアが埋め込まれる系
図5A、図5B、図5C及び図6Aを参照しながら上記した系は、第二ファイバーを包含するように改良され得る。例えば図7を参照すると、或る実施形態では、第二ファイバー610はグルコースセンサーの第二末端に取り付けられ、この場合、第二ファイバーはフルオロフォアに埋め込まれる。光が第二ファイバーを通して示される場合、ファイバーは二次放出波長を放出するように設計され得る。第二ファイバーは疎水性であり、そしてこのようなものとして埋め込まれたフルオロフォアは、血中での変化、例えばpH又はグルコース濃度の変化に曝露されない。埋め込まれた染料は、図5A、図5B、図5C及び図6Aを参照しながら上記したような参照染料であり得る。この実施形態では、グルコース、pH又は任意の他の血液成分に対する第二染料の固有の非感受性は必要とされ得ない。
【0079】
実施例15
分光計が、順次3つまでの異なる波長帯域の別個の検出を可能にする2つのビームスプリッターに置き替えられる系。例えば単一エキサイター及び二重エミッターフルオロフォアを用いて、放出シグナル及び励起シグナルがともに測定され得る。2フルオロフォア系を用いる場合も、放出シグナル及び励起シグナルがともに測定され得る
図4、図5A及び図7を参照しながら上記した系は、図2A及び図2Bを参照しながら上記したようなビームスプリッターでマイクロ分光計又は分光計を置換し得る。図4、図5A及び図7を参照しながら上記した系は、例えば第一ビームスプリッターが励起光を第一検出器に反射し、次に第二ビームスプリッターが放出波長を第二検出器に反射する一方で、残りの波長全て(例えば二次放出波長又は参照光)を2つのビームスプリッターに通して三次検出器に進行させるように、感光性モジュール中のマイクロ分光計(又は分光計)を2つのビームスプリッターに置換し得る。或る実施形態では、レシオメトリック計算は上記のように用いられる。
【0080】
実施例16
光が限定入射角範囲内でフィルターを通過してファイバーに入るようにするためだけに、光ファイバーの空間濾過特質、具体的には開口数を用いることにより視準レンズ及び焦点レンズがともに排除され得る系
上記の系の全てを参照すると、或る実施形態では、光源から送られる光は、グルコースセンサーを通して送られる前にコリメータレンズ、干渉フィルター及び焦点レンズから成る光学モジュールを通して移動しない。その代わりに、例えば図6Bに示すように、光学モジュールは干渉フィルター303A及び干渉フィルター303Bのみを含み、これらは、放出波長と重複するスペクトルの一部を遮断し、光源と光ファイバーとの間に配置される。コリメータ及び焦点レンズはこの実施形態には用いられない。このような実施形態では、光ファイバー自体は、空間フィルターとして用いられる。光源は、空間フィルターとして作用する光ファイバーに取り付けられる干渉フィルターに取り付けられ得る(図6Bに示されている)。或る受光角又は開口数を有する光ファイバーを選択することにより、光ファイバーは、光ファイバーに進入する光の角度を制限する。空間フィルターとしての光ファイバーの使用は、いくつかの理由のために有益である。コリメータレンズ、焦点レンズ及びこれらの構成成分を収容するためのハウジングの使用とは対照的に、空間フィルターとして光ファイバーのみを使用する場合には、組み立てられる部品が少なくなる。空間フィルターとしての光ファイバーの使用はまた、コリメータレンズ及び焦点レンズを使用するよりも掛かる経費が少なくてすむ。空間フィルターとして光ファイバーを用いることによりファイバーに結合される光の量は、コリメータレンズ及び焦点レンズを用いることによりファイバーに結合される光の量と実質的に同一である。
【0081】
上記の系の全てを参照すると、或る実施形態では、干渉フィルターは他の型のフィルター、例えばラッテン・フィルターと取り替えられ得る。
【0082】
表示器系(本明細書中ではフロオロフォア系とも呼ばれる)は、消光剤と操作可能に結合されるフルオロフォアを含み得る。或る実施形態では、フルオロフォア系は、ビオロゲンによる消光に対して感受性のフルオロフォア、グルコース濃度に依存する消光効力を有するビオロゲン消光剤、及びグルコース透過性ポリマーを包含するポリマーマトリックスを含み、この場合、上記マトリックスはin vivoで血液と接触する。好ましくはフルオロフォアは蛍光有機染料であり、消光剤はボロン酸官能基化ビオロゲンであり、そしてマトリックスはヒドロゲルである。
【0083】
フルオロフォア
「フルオロフォア」は、特定波長での光に照らされた場合、より長い波長での光を放出する、即ちそれが蛍光発光する物質を指す。フルオロフォアとしては有機染料、有機金属化合物、金属キレート化合物、蛍光共役ポリマー、量子ドット又はナノ粒子、並びに上記のものの組合せが挙げられるが、これらに限定されない。フルオロフォアは、ポリマーに結合される別個の部分又は置換基であり得る。
【0084】
好ましい実施形態に用いられ得るフルオロフォアは、約400nm以上の波長の光により励起され、励起及び放出波長が少なくとも10nmだけ分離可能であるのに十分に大きいストークスシフトを有する。いくつかの実施形態では、励起及び放出波長間の分離は約30nm以上であり得る。これらのフルオロフォアは、好ましくは、電子受容体分子、例えばビオロゲンによる消光に対して感受性であり、そして光退色に対して抵抗性である。それらはさらにまた、好ましくは、光酸化、加水分解及び生分解に対して安定である。
【0085】
いくつかの実施形態では、フルオロフォアは離散的化合物であり得る。
【0086】
いくつかの実施形態では、フルオロフォアは、約10000ダルトン以上の分子量を有し、染料−ポリマー単位を構成する水溶性又は水分散性ポリマー中のペンダント基又は鎖単位であり得る。一実施形態では、このような染料−ポリマー単位はさらにまた、水不溶性ポリマーマトリックスM1と非共有的に会合され、そしてポリマーマトリックスM1(ここで、M1は分析物溶液に透過性であるか、又はそれと接触する)内に物理的に固定される。別の実施形態では、染料−ポリマー単位上の染料は負に荷電され、そして染料−ポリマー単位は陽イオン性水溶性ポリマーとの複合体として固定され得るが、この場合、上記複合体は、分析物溶液に透過性であるか又はそれと接触する。一実施形態では、染料は、ヒドロキシピレン・トリスルホン酸の高分子誘導体の1つであり得る。高分子染料は、水溶性、水膨潤性又は水分散性であり得る。いくつかの実施形態では、高分子染料はさらにまた架橋され得る。好ましい実施形態では、染料は負電荷を有する。
【0087】
他の実施形態では、染料分子は、水不溶性ポリマーマトリックスM1と共有結合され得るが、この場合、上記M1は分析物溶液に透過性であるか又はそれと接触する。M1と結合される染料分子は、構造M1−L1−染料を構成し得る。L1は、感知部分をポリマー又はマトリックスに共有的に接続する加水分解的に安定な共有結合リンカーである。L1の例としては、スルホンアミド(−SO2NH−)、アミド−(C=O)N−、エステル−(C=O)−O−、エーテル−O−、スルフィド−S−、スルホン(−SO2−)、フェニレン−C64−、ウレタン−NH(C=O)−O−、尿素−NH(C=O)NH−、チオ尿素−NH(C=S)−NH−、アミド−(C=O)NH−、アミン−NR−(ここで、Rは1〜6個の炭素原子を有するアルキルと定義される)等、又はその組合せから選択される1つ又は複数の二価結合基で任意に末端化されるか又はそれらにより中断される低級アルキレン(例えばC1〜C8アルキレン)が挙げられる。一実施形態では、染料は、スルホンアミド官能基を介してポリマーマトリックスに結合される。
【0088】
いくつかの実施形態では、有用な染料としては、ピラニン誘導体(例えばヒドロキシピレントリスルホンアミド誘導体等)が挙げられるが、これは以下の式を有する:
【0089】
【化1】

【0090】
(式中、R1、R2、R3は各々−NHR4であり、R4は−CH2CH2(−OCH2CH2−)n1であって;ここで、X1は−OH、−OCH3COOH、−CONH2、−SO3H、−NH2又はOMeであり;そしてnは約70〜10000である)。一実施形態では、染料はスルホンアミド官能基を介してポリマーに結合され得る。他の実施形態では、染料はヒドロキシピレントリスルホン酸の高分子誘導体のうちの1つであり得る。
【0091】
いくつかの実施形態では、蛍光染料は、8−ヒドロキシピレン−1,3,6−トリスルホネート(HPTS)であり得る。対イオンは、H+又は任意の他の陽イオンであり得る。HPTSは、約450nm及び約405nmの2つの励起波長を示し、これは、酸及び
その共役塩基の吸収波長に対応する。励起波長におけるシフトは、HPTS上のヒドロキシル基のpH依存性イオン化のためである。pHが増大すると、HPTSは、約450nmでの吸光度の増大、並びに約420nmより低い吸光度の低減を示す。吸収極大でのpH依存性シフトは、生理学的範囲での二重励起レシオメトリック検出を可能にする。この染料は500ダルトン未満の分子量を有し、したがってそれはポリマーマトリックス内に留まらないが、それは陰イオン排除膜とともに用いられ得る。
【0092】
【化2】

(HPTSのNa+塩−「ピラニン」)
【0093】
別の実施形態では、蛍光染料は8−アセトキシ−ピレン−1,3,6−N,N’,N’’−トリス−(メタクリルプロピルアミドスルホンアミド)(アセトキシ−HPTS−MA)であり得る:
【0094】
【化3】

【0095】
陰イオン基を有さないアセトキシ−HPTS−MA(上記)のような染料は、ビオロゲン消光剤、特に単一ボロン酸部分のみを有するビオロゲン消光剤と操作可能に結合される場合、非常に強力なグルコース応答を示し得ない、ということが注目される。
【0096】
別の実施形態では、蛍光染料は8−ヒドロキシ−ピレン−1,3,6−N,N’,N’’−トリス−(カルボキシプロピルアミドスルホンアミド)(HPTS−CO2)であり得る:
【0097】
【化4】

【0098】
別の実施形態では、蛍光染料は8−ヒドロキシ−ピレン−1,3,6−N,N’,N’’−トリス−(メトキシポリエトキシエチル(〜125)スルホンアミド)(HPTS−PEG)であり得る:
【0099】
【化5】

【0100】
陰イオン基を有さないHPTS−PEG(上記)のような染料は、ビオロゲン消光剤、特に単一ボロン酸部分のみを有するビオロゲン消光剤と操作可能に結合される場合、非常に強力なグルコース応答を示し得ない、ということが注目される。
【0101】
離散的化合物としての代表的染料は、8−アセトキシピレン−1,3,6−トリスルホニルクロリド(HPTS−Cl)をアミノ酸、例えばアミノ酪酸と反応させることにより形成されるトリス付加物である。ポリマーに結合され、そして1つ又は複数の陰イオン基を保有するヒドロキシピレントリスルホンアミド染料、例えば8−ヒドロキシピレン−1−N−(メタクリルアミドプロピルスルホンアミド)−N’,N’’−3,6−ビス(カルボキシプロピルスルホンアミド) HPTS−CO2−MAとHEMA、PEGMA等とのコポリマーが最も好ましい。
【0102】
別の実施形態では、蛍光染料はHPTS−TriCys−MAであり得る:
【0103】
【化6】

【0104】
この染料は、ボロン酸を含む消光剤、例えば3,3’−oBBVとともに用いられ得る。
【0105】
もちろん、いくつかの実施形態では、HPTSコア上のCys−MA以外の置換は、該置換が負に帯電し、且つ重合性基を有する限り、本発明の態様と一致する。システインのL又はD立体異性体が用いられ得る。いくつかの実施形態では、スルホン酸のうちの1又は2つのみが置換され得る。同様に、上記のHPTS−CysMAに対する変形形態では、NBu4+と並んで他の対イオン、例えば正荷電金属、例えばNa+が用いられ得る。他の変形形態では、スルホン酸基は、例えばリン酸基、カルボン酸基等の官能基と取り替えられ得る。
【0106】
別の適切な染料はHPTS−LysMAであって、これは以下のように図示される:
【0107】
【化7】

【0108】
他の例としては、8−アセトキシピレン−1,3,6−N,N’,N’’−トリス(メタクリルアミドプロピルスルホンアミド)とHEMA、PEGMA又は他の親水性コモノマーとの水溶性コポリマーとが挙げられる。染料中のフェノール置換基は、重合完了後に加水分解により除去され得るブロッキング基によって重合中に保護される。このような適切なブロッキング基、例えばアセトキシ、トリフルオロアセトキシ等は、当該技術分野で
よく知られている。
【0109】
蛍光染料、例えばHPTS及びその誘導体は既知であり、そして多くが分析物検出に用いられてきた。例えば米国特許第6,653,141号、同第6,627,177号、同第5,512,246号、同第5,137,833号、同第6,800,451号、同第6,794,195号、同第6,804,544号、同第6,002,954号、同第6,319,540号、同第6,766,183号、同第5,503,770号及び同第5,763,238号;並びに同時係属中の米国特許出願第11/296,898号、同第11/671,880号、同第11/782,553号及び同第60/954,204号(これらの記載内容は参照により本明細書中に援用される)を参照のこと。
【0110】
SNARF及びSNAFL染料(Molecular Probes)も、本発明の態様に従って有用なフルオロフォアであり得る。SNARF−1及びSNAFL−1の構造を以下に示す:
【0111】
【化8】

【0112】
付加的には、波長−レシオメトリック及び比色的に、pHに伴うスペクトルシフト及び強度変化を示す6−アミノキノリニウム及びボロン酸部分の両方を基礎にした一組の異性体水溶性蛍光プローブは、本発明のいくつかの実施形態に従って有用であり得る(例えばBadugu, R. et al. 2005 Talanta 65(3): 762-768;及びBadugu, R. et al. 2005 Bioorg. Med. Chem. 13(1): 113-119参照)(これらの記載内容は参照により本明細書中に援用される)。
【0113】
pH及び糖類感受性であり得る蛍光染料の別の例は、テトラキス(4−スルホフェニル)ポルフィン(TSPP)(以下に示す)である。TSPPは、ポルフィリン環が或る金属イオン、例えば第二鉄イオンと反応し得る血中では最適に働かず、非蛍光性になる。
【0114】
【化9】

【0115】
本発明のセンサーにおけるpH及びグルコースの同時確定のために有用であり得るpH感受性蛍光表示器のさらなる例は、米国特許第2005/0233465号及び米国特許第2005/0090014号(これらの記載内容は各々、参照により本明細書中に援用される)に記載されている。
【0116】
分析物結合部分 − 消光剤
本発明の広範な態様に従って、分析物結合部分は、分析物結合の量に関連したやり方で、分析物と結合することができ且つフルオロフォアの見掛けの濃度(例えば放出シグナル強度の変化として検出される)を調整することができる少なくとも二重の機能性を提供する。好ましい実施形態では、分析物結合部分は、消光剤と会合される。「消光剤」は、その存在下で、フルオロフォアの放出を低減する化合物を指す。消光剤(Q)は、離散的化合物、例えば、第二の離散的化合物に、又は重合性化合物に転化可能である反応性中間体から選択されるか、或いはQは、上記反応性中間体又は重合性化合物から調製されるポリマー中のペンダント基又は鎖単位であって、このポリマーは水溶性又は水分散性であるか、或いは不溶性ポリマーであり、上記ポリマーは任意に架橋される。
【0117】
一例では、実施形態におけるグルコース認識を提供する部分は、芳香族ボロン酸である。ボロン酸は、共役窒素含有複素環式芳香族ビス−オニウム構造(例えばビオロゲン)と共有結合する。「ビオロゲン」は、一般的に、窒素含有共役N−置換複素環式芳香族ビス−オニウム塩の基本構造を有する化合物、例えば2,2’−、3,3’−又は4,4’−N,N’ビス−(ベンジル)ビピリジウム二ハロゲン化物(即ち二塩化物、臭化物、塩化物)等を指す。ビオロゲンは、置換フェナントロリン化合物も包含する。ボロン酸置換消光剤は、好ましくは約4〜9のpKaを有し、そして約6.8〜7.8のpHの水性媒質中でグルコースと可逆的に反応して、ボロン酸エステルを形成する。反応の程度は、媒質中のグルコース濃度に関連する。ボロン酸エステルの形成は、ビオロゲンによるフルオロフォアの消光を減少させて、グルコース濃度に応じた蛍光の増大を引き起こす。有用なビス−オニウム塩は分析物溶液と相溶性であり、そして検出されるべき分析物の存在下で染料の蛍光放出における検出可能な変化を生じ得る。
【0118】
本発明の実施形態におけるビス−オニウム塩は、共役複素環式芳香族二窒素化合物から調製される。共役複素環式芳香族二窒素化合物は、ジピリジル、ジピリジルエチレン、ジピリジルフェニレン、フェナントロリン及びジアザフルオレンから選択され、この場合、
窒素原子は異なる芳香族環中に存在し、そしてオニウム塩を形成し得る。両方の窒素が置換され得る上記共役複素環式芳香族二窒素化合物の異性体は全て、本発明において有用である、と理解される。一実施形態では、消光剤は、3,3’−ジピリジル、4,4’−ジピリジル及び4,7−フェナントロリンに由来するビス−オニウム塩のうちの1つであり得る。
【0119】
いくつかの実施形態では、ビオロゲン−ボロン酸付加物は約400ダルトン以上の分子量を有する離散的化合物であり得る。他の実施形態では、それは、約10000ダルトンより大きい分子量を有する水溶性又は水分散性ポリマーのペンダント基又は鎖単位でもあり得る。一実施形態では、消光剤−ポリマー単位はポリマーマトリックスと非共有的に会合され得るし、そしてその中に物理的に固定される。さらに別の実施形態では、消光剤−ポリマー単位は、負電荷水溶性ポリマーとの複合体として固定され得る。
【0120】
他の実施形態では、ビオロゲン−ボロン酸部分は、平衡を確立させるのに十分に分析物(例えばグルコース)に対して透過性である架橋親水性ポリマー又はヒドロゲル中のペンダント基又は鎖単位であり得る。
【0121】
他の実施形態では、消光剤は、構造M2−L2−Qにより表わされ得る第2の水不溶性ポリマーマトリックスM2と共有結合し得る。L2は、低級アルキレン(例えばC1〜C8アルキレン)、スルホンアミド、アミド、第四級アンモニウム、ピリジニウム、エステル、エーテル、スルフィド、スルホン、フェニレン、尿素、チオ尿素、ウレタン、アミン及びその組合せから成る群から選択されるリンカーである。消光剤は、いくつかの実施形態では、1つ又は2つの部位でM2に連結され得る。
【0122】
高分子消光剤前駆体に関しては、ボロン酸部分及び重合性基又はカップリング基であり得る反応性基を、ヘテロ芳香族中心位置基中の2つの異なる窒素と結合するために、多くの選択肢が利用可能である。これらは以下のものである:
a)第1の芳香族部分上の反応性基は1つの窒素と結合され、そして少なくとも1つの−B(OH)2基を含有する第二芳香族基は第二窒素と結合される;
b)1つ又は複数のボロン酸基は、1つの窒素と結合される第一芳香族部分と結合され、そして1つのボロン酸及び反応性基は第二窒素と結合される第二芳香族基に結合される;
c)1つのボロン酸基及び反応性基は1つの窒素と結合される第一芳香族部分と結合され、そしてボロン酸基及び反応性基は第二窒素と結合される第二芳香族部分と結合される;そして
d)1つのボロン酸は各窒素と結合され、そして反応性基はヘテロ芳香族環と結合される。
【0123】
好ましい実施形態は、2つのボロン酸部分及び1つの重合性基又はカップリング基を含み、この場合、芳香族基は窒素と結合されるベンジル置換基であり、そしてボロン酸基はベンジル環と結合され、オルト−、メタ又はパラ−位であり得る。
【0124】
いくつかの実施形態では、in vitro感知のために有用な離散的化合物としてのボロン酸置換ビオロゲンは、以下の式のうちの1つにより表され得る:
【0125】
【化10】

【0126】
(式中、n=1〜3であり、Xはハロゲンであり、且つY1及びY2は、独立して、フェニルボロン酸(o−、m−又はp−異性体)及びナフチルボロン酸から選択される)。別の実施形態では、消光剤は、ビオロゲンの複素環上の置換基としてボロン酸基を含み得る。
【0127】
TSPPとともに用いられる特定の例は、m−BBVである:
【0128】
【化11】

【0129】
センサーの製造に適した消光剤前駆体は、以下のものから選択され得る:
【0130】
【化12A】

【化12B】

【化12C】

【0131】
本発明の好ましい態様に従って、消光剤前駆体3,3’−oBBVは、HPTS−LysMA又はHPTS−CysMAとともに用いられて、ヒドロゲルを作製し得る。
【0132】
好ましい消光剤は、ベンジルボロン酸基を用いて窒素上で、重合性基又はカップリング基を用いてジピリジル環上の他の位置で置換される3,3’−ジピリジルに由来するビオロゲンを含む前駆体から調製される。代表的ビオロゲンとしては以下のものが挙げられる:
【0133】
【化13】

【0134】
(式中、Lは、L1又はL2であり、且つ連結基であり;
Zは、反応性基であり;且つ
R’は、ベンジル環上のオルト−、メタ−又はパラ−位における−B(OH)2であり、そしてR’’はH−であり;或いは任意にR’’は、本明細書中で定義されるようなカップリング基、又はボロン酸の酸性を改質するために特定的に用いられる置換基、例え
ばフルオロ−又はメトキシ−である)。
【0135】
Lは、ビオロゲンをポリマー又はマトリックスに結合するために用いられる反応性基に感知部分を共有結合する二価部分である。Lの例としては、直接結合、或いは1〜8個の炭素原子を有し、任意にスルホンアミド(−SO2NH−)、アミド−(C=O)N−、エステル−(C=O)−O−、エーテル−O−、スルフィド−S−、スルホン(−SO2−)、フェニレン−C64−、ウレタン−NH(C=O)−O−、尿素−NH(C=O)NH−、チオ尿素−NH(C=S)−NH−、アミド−(C=O)NH−、アミン−NR−(ここで、Rは1〜6個の炭素原子を有するアルキルと定義される)等から選択される1つ又は複数の二価結合基で末端化されるか又はそれにより中断される低級アルキレンから各々独立して選択されるものが挙げられる。
【0136】
Zは、メタクリルアミド−、アクリルアミド−、メタクリロイル−、アクリロイル−、又はスチリル−(これらに限定されない)から選択される重合可能なエチレン性不飽和基であり、或いは任意にZは、ポリマー又はマトリックスとともに共有結合を形成し得る反応性官能基である。このような基としては、−Br、−OH、−SH、−CO2H及び−NH2が挙げられるが、これらに限定されない。
【0137】
ボロン酸置換ポリビオロゲンは、別のクラスの好ましい消光剤である。ポリビオロゲンという用語は、以下のものを包含する:連結基により互いに共有結合される2つ以上のビオロゲンから成る離散的化合物、鎖中のビオロゲン反復単位から成るポリマー、鎖にぶら下がったビオロゲン基を有するポリマー、好ましくはビオロゲン末端基を含めたビオロゲン単位から成るデンドリマー、好ましくはビオロゲン末端基を含めたビオロゲン単位から成るオリゴマー、並びにその組合せ。ビオロゲン基単体が小量成分を成すポリマーは含まれない。好ましい消光剤は、センサーの一部として機能するのに十分にグルコースに対して透過性である水溶性又は水分散性ポリマー、或いは架橋親水性ポリマー、或いはヒドロゲルである。代替的には、ポリビオロゲンボロン酸は、不活性基質に直接結合され得る。
【0138】
ビオロゲン反復単位から成るポリマーとしてのポリビオロゲン消光剤は、次式を有する:
【0139】
【化14】

【0140】
別の実施形態では、ポリビオロゲンボロン酸付加物は、2つ以上のビオロゲン/ボロン酸中間体を共有的に連結することにより形成される。架橋基は、典型的には、各ビオロゲン中の1つの窒素に、或いは各ビオロゲンの芳香族環中の炭素に結合される小型二価ラジカルであるか、或いは1つの結合は1つのビオロゲン中の環炭素に対し、且つ別のビオロゲン中の窒素に対するものであってもよい。2つ以上のボロン酸基は、ポリビオロゲンと結合される。任意に、ポリビオロゲンボロン酸付加物は、ビオロゲンに又は架橋基に直接
結合する重合性基又はカップリング基で置換される。好ましくはポリビオロゲン部分は、このような基を1つだけ含む。好ましくは架橋基は、グルコースとのボロン酸の協同的結合を増強するために選択される。
【0141】
カップリング部分は上記のような連結基であるが、但し、連結基は任意に、ボロン酸、重合性基、付加的カップリング基でさらに置換されるか、或いはビオロゲンが鎖単位、ペンダント基又はその任意の組合せであるポリマー鎖中の一セグメントである。
【0142】
グルコース結合消光剤が知られており、多くは分析物検出に用いられてきた。例えば米国特許第6,653,141号、同第6,627,177号、並びに同時係属中の米国特許出願第11/296,898号、同第11/671,880号、同第11/782,553号、同第60/915,372号及び同第60/949,145号(これらの記載内容は各々、参照により本明細書中に援用される)を参照のこと。
【0143】
固定化手段−例えばヒドロゲル
in vitroで用いられる実施形態に関しては、感知構成成分が個々の(別個の)構成成分として用いられる。分析物、染料及び消光剤を液体溶液中で一緒に混合し、蛍光強度変化を測定し、構成成分を廃棄する。滲出を防止するために構成成分を閉じ込めるために用いられ得る高分子マトリックスは、存在する必要がない。
【0144】
in vivo適用に関しては、センサーは、1つ又は複数のポリヒドロキシル有機化合物を含有する生理学的流体の移動流中で用いられるか、或いは上記化合物を含有する筋肉のような組織中に埋め込まれる。したがって、センサー部分は何れもセンサーアセンブリーから抜け出さないことが好ましい。したがって、in vivoでの使用に関しては、感知構成成分は、好ましくは、有機ポリマー感知アセンブリーの一部である。可溶性染料及び消光剤は、分析物の通過を可能にするが感知部分の通過を遮断する半透膜により限定され得る。これは、感知部分として、分析物分子より実質的に大きい可溶性分子(分析物の分子量より少なくとも2倍の、或いは1000倍より大きい、好ましくは5000倍より大きい分子量)を用い且つ感知部分が定量的に保持されるよう、2つの間の特定分子量カットオフを有する透析又は限外濾過膜のような選択的半透性膜を用いることにより、実現され得る。
【0145】
好ましくは感知部分は、グルコースに対して自由に透過可能である不溶性ポリマーマトリックス中に固定される。ポリマーマトリックスは、有機、無機ポリマー又はそのポリマーの組合せから成る。マトリックスは、生体適合性物質で構成され得る。代替的には、マトリックスは、対象の分析物に対して透過性である第二生体適合性ポリマーで被覆される。
【0146】
ポリマーマトリックスの機能は、フルオロフォア及び消光剤部分を一緒に保持し、固定する一方で、同時に、分析物と接触させ、そして分析物をボロン酸と結合することである。この作用を達成するために、マトリックスは、密接に関連して、マトリックス及び分析物溶液間に高表面積界面を確立することにより、媒質中で不溶性でなければならない。例えば超薄皮膜又は微小孔支持マトリックスが用いられる。代替的には、マトリックスは分析物溶液中で膨潤性であり、例えばヒドロゲルマトリックスは水性系のために用いられる。いくつかの例では、感知ポリマーは、表面、例えば光導管の表面に結合されるか、又は微小孔膜中に含浸される。全ての場合に、2つの相間で平衡が確立されるよう、マトリックスは結合部位への分析物の輸送を妨げてはならない。超薄皮膜、微小孔ポリマー、微小孔ゾル−ゲル及びヒドロゲルを調製するための技法は、当該技術分野で確立されている。有用なマトリックスは全て、分析物透過性であると定義される。
【0147】
ヒドロゲルポリマーは、いくつかの実施形態で用いられる。ヒドロゲルという用語は、本明細書中で用いる場合、実質的に膨潤性であるが、水中に溶解しないポリマーを指す。このようなヒドロゲルは、線状、分枝鎖、又は網状ポリマー、或いは高分子電解質複合体であり得るが、但し、それらは可溶性又は滲出可能分画を含有しない。典型的には、ヒドロゲル網状構造は架橋工程により調製され、これは、それらが膨潤性であるがしかし水性媒質中に溶解しないよう、水溶性ポリマーに関して実施される。代替的には、ヒドロゲルポリマーは、水膨潤性網状ポリマーを得るために、親水性及び架橋モノマーの混合物を共重合することにより調製される。このようなポリマーは、付加又は縮合重合により、或いは組合せ法により形成される。これらの場合、感知部分は、網状構造形成モノマーと組合せてモノマー誘導体を用いる共重合により、ポリマー中に組入れられる。代替的には、反応性部分は、後重合反応を用いてすでに調製されたマトリックスと結合される。上記の感知部分は、ポリマー鎖又は鎖に結合されたペンダント基中の単位である。
【0148】
本発明において有用なヒドロゲルは、モノリス型ポリマー、例えば染料及び消光剤がともに共有結合される単一網状構造、又は多成分ヒドロゲルでもある。多成分ヒドロゲルとしては、相互侵入網目、高分子電解質複合体、並びにヒドロゲルマトリックス及び交互ミクロ層アセンブリー中の二次ポリマーの分散を含む水膨潤性複合体を得るための2つ以上のポリマーの種々の他の配合物が挙げられる。
【0149】
モノリス型ヒドロゲルは、典型的には、親水性モノマーの混合物のフリーラジカル共重合により形成され、例としてはHEMA、PEGMA、メタクリル酸、ヒドロキシエチルアクリレート、N−ビニルピロリドン、アクリルアミド、N,N’−ジメチルアクリルアミド等が挙げられるが、これらに限定されず、イオン性モノマーとしては、メタクリロイルアミノプロピル トリメチルアンモニウムクロリド、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド、ビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロリド、ナトリウムスルホプロピルメタクリレート等が挙げられ、架橋剤としては、エチレンジメタクリレート、PEGDMA、トリメチロールプロパントリアクリレート等が挙げられる。モノマーの比は、当該技術分野で十分に確立された原則を用いて、透過性、膨潤指数及びゲル強度を含めた網目特性を最適化するよう選択される。一実施形態では、染料部分は、染料分子のエチレン性不飽和誘導体、例えば8−アセトキシピレン−1,3,6−N,N’,N’’−トリス(メタクリルアミノプロピルスルホンアミド)より得られ、消光剤部分は、エチレン性不飽和ビオロゲン、例えば4−N−(ベンジル−3−ボロン酸)−4’−N’−(ベンジル−4エテニル)−ジピリジニウム二ハロゲン化物(m−SBBV)より得られ、そしてマトリックスはHEMA及びPEGDMAから作られる。染料の濃度は、放出強度を最適にするよう選択される。消光剤対染料の比は、所望の測定可能シグナルを生じるのに十分な消光を提供するよう調整される。
【0150】
いくつかの実施形態では、モノリス型ヒドロゲルは縮合重合により形成される。例えばアセトキシピレントリスルホニルクロリドを、余分量のPEGジアミンと反応させて、非反応ジアミン中に溶解されたトリス−(アミノPEG)付加物を得る。余分量のトリメソイルクロリド及び酸受容体の溶液を4−N−(ベンジル−3−ボロン酸)−4’−N’−(2ヒドロキシエチル)ビピリジニウム二ハロゲン化物と反応させて、ビオロゲンの酸塩化物機能性エステルを得る。例えば一方の混合物の薄い皮膜を成形し、そしてそれを他方に浸漬することにより、2つの反応性混合物を互いに接触させて、反応させ、ヒドロゲルを得る。
【0151】
他の実施形態では、染料が一成分中に組入れられ、そして消光剤が別の成分中に組入れられる多成分ヒドロゲルが、本発明のセンサーの製造のために好ましい。さらに、これらの系は、任意に分子インプリントされて、成分間の相互反応を増強し、そして他のポリヒドロキシ分析物を上回るグルコースに対する選択性を提供する。好ましくは多成分系は、
相互侵入ポリマー網目(IPN)又は半相互侵入ポリマー網目(半IPN)である。
【0152】
IPNポリマーは、典型的には、逐次重合により作られる。先ず、消光剤を含む網目が形成される。次に網目は、染料モノマーを含むモノマーの混合物で膨潤され、そして二次重合が実行されて、IPNヒドロゲルを得る。
【0153】
消光剤モノマーを含めたモノマーの混合物中に染料部分を含有する可溶性ポリマーを溶解することにより、且つフルオロフォアを用いた複合体形成を通して、半IPNヒドロゲルを形成する。いくつかの実施形態では、ポリヒドロキシル化合物を自由に透過可能である不溶性ポリマーマトリックスにより、感知部分を固定する。ヒドロゲル系に関する付加的詳細は、米国特許公開第2004/0028612号及び同第2006/0083688号(これらの記載内容は参照により本明細書中に援用される)に開示されている。
【0154】
ポリマーマトリックスは、有機、無機ポリマー又はそのポリマーの組合せで構成される。マトリックスは、生体適合性物質から成る。代替的には、マトリックスは、対象の分析物に対して透過性である第二生体適合性ポリマーで被覆される。ポリマーマトリックスの機能は、蛍光染料及び消光剤部分を一緒に保持し、固定する一方で、同時に、分析物(例えばポリヒドロキシル化合物、H+及びOH―)と接触させ、そしてポリヒドロキシル化合物をボロン酸と結合することである。したがってマトリックスは、密接に関連して、マトリックス及び分析物溶液間に高表面積界面を確立することにより、媒質中で不溶性である。2つの相間で平衡が確立され得るよう、マトリックスはさらにまた結合部位への分析物の輸送を妨げない。一実施形態では、超薄皮膜又は微小孔支持マトリックスが用いられ得る。別の実施形態では、分析物溶液中で膨潤性であるマトリックス(例えばヒドロゲルマトリックス)が、水性系のために用いられ得る。いくつかの実施形態では、感知ポリマーは、表面、例えば光導管の表面に結合されるか、又は微小孔膜中に含浸される。超薄皮膜、微小孔ポリマー、微小孔ゾル−ゲル及びヒドロゲルを調製するための技法は、従来技術で確立されている。
【0155】
好ましい一実施形態では、ボロン酸置換ビオロゲンは、蛍光染料と共有結合され得る。付加物は、重合性化合物又はポリマー中の一単位であり得る。例えばこのような一付加物は、先ず、ベンジル−3−ボロン酸基を一方の窒素に結合し、そしてアミノエチル基を他の窒素原子に結合することにより4,4’−ジピリジルから非対称ビオロゲンを形成することにより調製され得る。ビオロゲンは、先ず、1:1モル比で8−アセトキシ−ピレン−1,3,6−トリスルホニルクロリドと順次縮合され、その後、余分量のPEGジアミンと反応されて、プレポリマー混合物を得る。副産物である酸を捕捉するために、酸受容体が両方の工程に含まれる。ポリイソシアネートとの反応によりプレポリマー混合物を架橋して、ヒドロゲルを得る。生成物を塩基で処理して、アセトキシ・ブロッキング基を除去する。さらなる使用の前に、脱イオン水を用いた網羅的抽出により、不完全反応生成物及び非反応出発物質をヒドロゲルから濾し取る。生成物は、本明細書中に記載したような感知構成成分として用いられる場合、グルコースに対して応答性である。
【0156】
代替的には、このような付加物は、エチレン性不飽和モノマー誘導体である。例えばジメチルビス−ブロモメチルベンゼンボロネートを、余分量の4,4’−ジピリジルと反応させて、半ビオロゲン付加物を形成する。余分量のジピリジルを除去後、付加物をさらに余分量のブロモエチルアミン塩酸塩と反応させて、ビス−ビオロゲン付加物を形成する。この付加物を、酸受容体の存在下で1:1モル比で8−アセトキシピレン−トリススルホニルクロリドとの反応と、その後の余分量のアミノプロピルメタクリルアミドとの反応により、ピラニン染料とカップリングさせる。最後に、任意の残留アミノ基をメタクリロールクロリドと反応させ得る。精製後、染料/ビオロゲンモノマーをHEMA及びPEGDMAと共重合させて、ヒドロゲルを得る。
【0157】
固定手段、例えばヒドロゲルが知られており、そして多くが分析物検出に用いられてきた。例えば米国特許第6,653,141号、同第6,627,177号並びに同時係属中の米国特許出願第11/296,898号、同第11/671,880号及び同第11/782,553号(これらの記載内容は各々、参照により本明細書中に援用される)を参照のこと。
【0158】
溶液実施例
HPTS−CysMAの溶液(pH7.4 PBS中1×10-5M)に、漸増量の3,3’−oBBV(MeOH中30mM)を付加し、各付加後に、蛍光放出を測定した。図8は、3,3’−oBBVの付加時の相対的放出変化(スターン・ボルマー曲線)を提示するが、これは、3,3’−oBBVによるHPTS−CysMAの消光を示す。蛍光計設定は、以下の通りであった:1%減衰、ex スリット 8nm、em スリット 12nm、486nm ex λ、537nm em λ。
【0159】
HPTS−CysMA(1×10-5M)及び3,3’−oBBV(3×10-3M)を、pH7.4 PBS中のグルコース(31250mg/dL)のストック溶液で滴定し、グルコースの各付加後に蛍光放出を測定した。グルコース付加時の相対変化を、図9に示す。
【0160】
ヒドロゲル実施例
HPTS−CysMA(2mg)、3,3’−oBBV(15mg)、N,N’−ジメチルアクリルアミド(400mg)、N,N’−メチレンビスアクリルアミド(8mg)、HCl(1M溶液 10μL)及びVA−044(1mg)を水中に溶解し、容量フラスコ中で1mLに希釈した。溶液を凍結−ポンプ−解凍(3×)して、0.005インチ
ポリイミドスペーサーを含有する鋳型に注入し、55℃で16時間重合した。その結果生じた皮膜をpH7.4リン酸塩緩衝液中に入れて、漸増量のグルコース(0、50、100、200、400mg/dL)を用いてフローセル配置で試験した。グルコース付加時の相対蛍光変化を、図10に示す。蛍光計設定は、以下の通りであった:ex スリット 8nm、em スリット 3.5nm、515nm カットオフ・フィルター、486nm ex λ、532nm em λ。
【0161】
系情報
例えば或る実施形態では、上記開示に記述した実施例、系及び方法は、一部又は全部が、演算装置で実行中のソフトウェアで具体的に例示され得る。演算装置の構成要素及びモジュールで提供される機能は、1つ又は複数の構成要素及び/又はモジュールを含み得る。例えば演算装置は、多数の中央演算処理装置(CPU)及び大容量記憶装置(例えば一連のサーバーで履行され得る)を含み得る。
【0162】
概して、「モジュール」という用語は、本明細書中で用いる場合(上記の光学的及び感光性モジュールに関連して用いられる場合を除く)、ハードウェア又はファームウェアで具体化されるロジックを指すか、或いは、おそらくはエントリーポイント及びエグジットポイントを有し、プログラミング言語、例えばJava、C又はC++で書かれたソフトウェアの命令の集合を指す。ソフトウェアモジュールは、実行可能プログラムに編集され、リンクされて、ダイナミックリンクライブラリーでインストールされるか、或いはインタプリタ型プログラミング言語、例えばBASIC、Perl、Lua又はPythonで書かれ得る。ソフトウェアモジュールは他のモジュールから又はそれ自体から呼出可能であり、且つ/又は検出事象又は割り込みに応答して引き出され得る、と理解される。ソフトウェアの命令は、ファームウェアで、例えばEPROMで具体化され得る。ハードウェアモジュールは、接続ロジックユニット、例えばゲート及びフリップ−フロップから成
り、且つ/又はプログラム可能ユニット、例えばプログラム可能ゲート・アレイ又はプロセッサーから成る、とさらに理解される。本明細書中に記載されるモジュールは、好ましくはソフトウェアモジュールとして履行されるが、ハードウェア又はファームウェアで表され得る。一般的に、本明細書中に記載されるモジュールは、それらの物理的編成又は保存にもかかわらず、他のモジュールと組合されるか又はサブモジュールに細分され得るロジックモジュールを指す。
【0163】
或る実施形態では、演算装置は、信用データ及び/又は非信用データを含めた情報を保存する1つ又は複数のデータベースと連通する。このデータベース(単数又は複数)は、関係データベース、例えばSybase、Oracle、CodeBase及びマイクロソフト(登録商標)SQLサーバー、並びにその他の型のデータベース、例えばフラットファイル・データベース、実体関連データベース、オブジェクト指向データベース及び/又は履歴データベースを用いて履行され得る。
【0164】
或る実施形態では、演算装置は、IBM、マッキントッシュ又はリナックス/ユニックス互換性である。或る実施形態では、演算装置は、例えばサーバー、ラップトップ・コンピューター、携帯電話、個人用携帯情報端末、キオスク、又はオーディオ・プレイヤーを包含する。或る実施形態では、演算装置は、1つ又は複数のCPUを包含し、これは各々、マイクロプロセッサーを含む。演算装置は、1つ又は複数の記憶装置、例えば情報の一時的保存のためのランダムアクセス記憶装置(RAM)、並びに情報の恒久的保存のための読取り専用記憶装置(ROM)、そして1つ又は複数の大容量記憶装置、例えばハードドライブ、ディスケット又は光媒体保存装置をさらに包含する。或る実施形態では、演算のモジュールは、標準型伝送路系、例えば周辺部品相互接続(PCI)、マイクロチャンネル、SCSI、工業標準アーキテクチャー(ISA)及び拡張型ISA(EISA)アーキテクチャーを用いる伝送路系を介して連通する。或る実施形態では、演算装置の構成要素は、ネットワーク、例えば安全であり得るローカルエリア・ネットワークを介して連通する。
【0165】
演算は一般的に、オペレーティングシステム・ソフトウェア、例えばユニックス、VxWorks、ウィンドウズ95、ウィンドウズ98、ウィンドウズNT、ウィンドウズ2000、ウィンドウズXP、ウィンドウズ・ビスタ、リナックス、サンOS、ソラリス、パームOS、ブラックベリーOS又はその他の互換性オペレーティングシステム又は実時間オペレーティングシステムにより制御され、調和的に働く。他の実施形態では、演算装置は、専有オペレーティングシステムにより制御され得る。慣用的オペレーティングシステムは、実行のためのコンピュータープロセスを制御し、予定し、記憶管理を実施し、ファイルシステム、ネットワーキング及びI/Oサービスを提供し、そしてユーザー・インターフェース、例えばとりわけグラフィカルユーザーインターフェース(「GUI」)を提供する。
【0166】
演算装置は、1つ又は複数の一般に利用可能な入力/出力(I/O)装置及びインターフェース、例えばキーボード、マウス、タッチパッド、マイクロホン及びプリンターを包含し得る。したがって或る実施形態では、演算装置はキーボード及びマウス入力装置を用いて制御され得るが、一方、別の実施形態では、ユーザーは、マイクロホンを介して演算装置に音声指令を提供し得る。或る実施形態では、I/O装置及びインターフェースは、ユーザーへのデータの視覚的提示を可能にする1つ又は複数のディスプレイ装置、例えばモニターを包含する。さらに特定的には、ディスプレイ装置は、例えばGUI、アプリケーション・ソフトウェアデータの提示及びマルチメディア提示を提供する。演算装置は、1つ又は複数のマルチメディア、例えばスピーカー、ビデオカード、グラフィックスアクセラレーター及びマイクロホンも例えば包含し得る。
【0167】
或る実施形態では、I/O装置及びインターフェースは、種々の外部装置との連通インターフェースを提供する。例えば演算装置は、有線、無線又は有線と無線の組合せのコミュニケーション・リンクを介して、1つ又は複数のネットワーク、例えば1つ又は複数ののLAN、WAN、バーチャル・プライベート・ネットワーク(VPN)又はインターネットの任意の組合せと連通するよう設計され得る。ネットワークは、有線又は無線コミュニケーション・リンクを介して、種々の演算装置及び/又はその他の電子装置と連通する。
【0168】
或る実施形態及び実施例に関して上記で本発明を説明してきたが、他の実施形態は、本明細書中の開示から当業者に明らかになる。さらに、記載実施形態は例として示しただけであって、本発明の範囲を限定するものではない。実際、本明細書中に記載された新規の方法及び系は、本発明の精神を逸脱しない限り、種々のその他の形態で具体化され得る。したがって、その他の組合せ、省略、置換及び修正は、本明細書中の開示にかんがみて、当業者には明らかである。したがって本発明は、実施例又は好ましい実施形態に限定されるよう意図されるものではない。添付の特許請求の範囲は例示的特許請求の範囲を提供し、それらの等価物は、本発明の範囲及び精神に含まれるような形態又は修正を網羅するよう意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
血中グルコース濃度を確定する光学デバイスであって、
励起光シグナルを放出する励起光源を含み、
励起光源と光学的に接続され、そして、グルコース結合部分に操作可能に結合されたフルオロフォアを含む表示器系を含む、血管内に置かれるような大きさの光ファイバーセンサーを含み、
ここで、前記励起光シグナルの少なくとも一部の吸収時に、該表示器系は前記血中グルコース濃度に関連した強度を有する放出光シグナルを放出し、
さらに
少なくとも光ファイバーセンサーと操作可能に接続される感光性モジュールを含み、
ここで、該感光性モジュールは放出光シグナル及び少なくとも第二の光シグナルを検出し、該第二の光シグナルは励起光源又は任意の参照光源から得られる、
光学デバイス。
【請求項2】
前記放出光シグナル及び前記少なくとも第二の光シグナルのレシオメトリック分析を実施して、それにより血中グルコース濃度と関係がない発光シグナル強度における変化を実質的に補償することにより血管中の血中グルコース濃度を確定するように設計されたデータ処理デバイスをさらに包含する、請求項1に記載の光学デバイス。
【請求項3】
前記第二の光シグナルが前記励起光源から得られる、請求項1に記載の光学デバイス。
【請求項4】
前記第二の光シグナルが参照光シグナルを放出する任意の参照光源から得られる、請求項1に記載の光学デバイス。
【請求項5】
前記励起光シグナル及び前記参照光シグナルを前記光ファイバーセンサーに送達するように設計された少なくとも1つの光学モジュールをさらに包含する、請求項4に記載の光学デバイス。
【請求項6】
前記光学モジュールがコリメータレンズを包含する、請求項5に記載の光学デバイス。
【請求項7】
前記光学モジュールが干渉フィルターを包含する、請求項5に記載の光学デバイス。
【請求項8】
前記光学モジュールが焦点レンズを包含する、請求項5に記載の光学デバイス。
【請求項9】
少なくとも前記励起光シグナルから高モード光を除去するように設計されたモード混合スクランブラーをさらに包含する、請求項1に記載の光学デバイス。
【請求項10】
前記フルオロフォアが励起光シグナルにより励起され、そして少なくとも第一の放出光シグナル及び第二の放出光シグナルを放出し、前記第一の放出光シグナル及び第二の放出光シグナルがグルコース濃度に関連し、そして前記第一の放出光シグナル及び第二の放出光シグナルの比がグルコース非感受性及びpH感受性である、請求項1に記載の光学デバイス。
【請求項11】
前記第一励起光源とは異なる波長で第二の励起光シグナルを放出する第二励起光源をさらに包含する、請求項1に記載の光学デバイス。
【請求項12】
前記フルオロフォアが前記一次光シグナル及び第二の光シグナルにより励起され、そして第一の励起光シグナル及び第二の励起光シグナルを同一波長で放出する、請求項11に記載の光学デバイス。
【請求項13】
前記フルオロフォアが前記第一の光シグナル及び第二の光シグナルにより励起され、そして第一の励起光シグナル及び第二の励起光シグナルを同一波長で放出し、該第一の及び第二の光シグナルがグルコース濃度と関連し、そして前記第一の放出光シグナル及び第二の放出光シグナルの比がグルコース非感受性及びpH感受性である、請求項1に記載の光学デバイス。
【請求項14】
前記感光性モジュールが前記光ファイバーセンサーから少なくとも前記放出光シグナル及び前記励起光シグナルを受信するように設計されたビームスプリッターを包含し、該ビームスプリッターが光の第一部分を反射するように設計され、そして光の第二部分に該ビームスプリッターを通過させるように設計された、請求項1に記載の光学デバイス。
【請求項15】
前記感光性モジュールが少なくとも第一検出器、第二検出器、第一増幅器、第二増幅器並びに第一アナログ−デジタル変換器及び第二アナログ−デジタル変換器を包含する、請求項1に記載の光学デバイス。
【請求項16】
前記感光性モジュールがマイクロ分光計を包含する、請求項1に記載の光学デバイス。
【請求項17】
前記光ファイバーセンサーが第二フルオロフォアをさらに含み、前記励起光シグナルの少なくとも一部の吸収時に、該第二フルオロフォアが少なくとも血中pH及びグルコース濃度に対して非感受性の強度を有する第二の放出光シグナルを放出する、請求項1に記載の光学デバイス。
【請求項18】
前記光ファイバーセンサーが染料に埋め込まれる第二ファイバーをさらに含み、前記励起光シグナルによる励起時に該染料が第二の放出光を放出する、請求項1に記載の光学デバイス。
【請求項19】
前記光ファイバーセンサーが前記励起光シグナルによる励起時に第二の放出光を放出する染料被覆表面をさらに包含する、請求項1に記載の光学デバイス。
【請求項20】
血中グルコース濃度を確定するための光学デバイスであって、
励起光シグナルを放出する励起光源を含み、
血管内に置かれるような大きさの光ファイバーセンサーであって、前記励起光源と光学的に接続され、そしてグルコース結合部分に操作可能に結合されたフルオロフォアを含む表示器系を含む、ファイバーセンサーを含み、
ここで、前記励起光シグナルの少なくとも一部の吸収時に、該表示器系は前記血中グルコース濃度に関連した強度を有する放出光シグナルを放出し、さらに
少なくとも前記センサーと操作可能に接続される検出系を含み、
ここで、該検出系は前記放出光シグナル及び少なくとも第二の光シグナルを検出するための手段を包含し、該第二の光シグナルは前記励起光源又は任意の参照光源から得られる、光学デバイス。
【請求項21】
前記放出光シグナル及び少なくとも第二の光シグナルを検出するための前記手段がマイクロ分光計を包含する、請求項20に記載の光学デバイス。
【請求項22】
前記放出光シグナル及び少なくとも第二の光シグナルを検出するための前記手段が少なくとも2つの光検出器を包含する、請求項20に記載の光学デバイス。
【請求項23】
前記検出系と連通しているデータ処理デバイスをさらに包含し、該データ処理デバイスが前記放出光シグナル及び前記第二の光シグナルのレシオメトリック分析を実施すること
により前記血中グルコース濃度と関係がない前記光学デバイスの人工産物に関して実質的に補正された該血中グルコース濃度を確定する、請求項20に記載の光学デバイス。
【請求項24】
血中グルコース濃度と関係がない光学的人工産物に関して該血中グルコース濃度の光学的測定値を補正するためのレシオメトリック方法であって、
請求項1に記載の光学デバイスを提供すること;
血管内に前記光ファイバーセンサーを配置すること;
前記励起光源を作動させ、それにより前記表示器系を励起して、そして前記光学的参照光源を任意に作動すること;
前記放出光シグナル及び前記第二の光シグナルを検出すること;並びに
血中グルコース濃度を補正することであって、
前記放出光シグナル対前記第二の光シグナルの比を算定すること;そして
放出光シグナル対第二の光シグナルの比を血中グルコース濃度に相関させる所定関数と前記比とを比較することによって、
血中グルコース濃度を補正すること;
を包含する、方法。
【請求項25】
血中グルコース濃度を確定するための光学系であって、
励起光シグナルを放出する励起光源を含み、
血管内に置かれるような大きさに作られる光ファイバーセンサーであって、前記励起光源と光学的に接続され、そしてグルコース結合部分に操作可能に結合されたフルオロフォアを含む表示器系を含む、光ファイバーセンサーを含み、
ここで、前記励起光シグナルの少なくとも一部の吸収時に、該表示器系は前記血中グルコース濃度に関連した強度を有する放出光シグナルを放出し、
前記光ファイバーセンサーに前記励起光シグナルを、そして該光ファイバーセンサーから検出器系に前記放出光シグナルを送達するように設計された少なくとも1つの光学モジュールを含み、
ここで、該検出系は該放出光シグナル及び少なくとも第二の光シグナルを検出するための手段を包含し、該第二の光シグナルは前記励起光源又は光学的参照光源から得られ、
並びに
前記検出系からデータを受信するように設計されたコンピューター系であって、グルコース濃度と関係がない光学的人工産物を実質的に排除するためにデータに関するレシオメトリック計算を実施するように設計されるコンピューター系を含み、
ここで、該コンピューター系はユーザーにデータを出力するためのモニター、該コンピューター系中に付加的データをユーザーに入力させるための入力デバイス、レシオメトリック計算を実施するためのプロセッサー、データを保存するための保存デバイス、及び記憶装置を包含する、光学系。
【請求項26】
前記放出光シグナル及び少なくとも第二の光シグナルを検出するための手段がマイクロ分光計を包含する、請求項25に記載の光学系。
【請求項27】
前記手段が少なくとも2つの光検出器を包含する、請求項25に記載の光学系。
【請求項28】
近位末端領域及び遠位末端領域を有する細長い部材を包含する使い捨て型光ファイバーグルコースセンサーであって、
前記細長い部材の前記近位末端領域が励起光源及び検出器を包含する光学デバイスと光学的に連結されるために設計され;そして
前記細長い部材の前記遠位末端領域が血管内に置かれるような大きさに作られて、その中に配置されたキャビティ及び反射面を包含し、ここで、前記励起光源からの励起光シグナルによる励起時に、表示器系が血中グルコース濃度に関連した強度を有する放出光シグ
ナルを放出するように、前記キャビティは、血管中のグルコースを透過するヒドロゲル内に固定化されるグルコース結合部分と操作可能に結合されるフルオロフォアを含む該表示器系を収容する、使い捨て型光ファイバーグルコースセンサー。
【請求項29】
前記反射面が前記光学デバイスを通る前記放出光シグナル及び前記励起光シグナルを反射するように設計される、請求項28に記載の使い捨て型光ファイバーグルコースセンサー。
【請求項30】
前記キャビティが幾何学的設計を包含する、請求項28に記載の使い捨て型光ファイバーグルコースセンサー。
【請求項31】
前記反射面が鏡である、請求項28に記載の使い捨て型光ファイバーグルコースセンサー。
【請求項32】
前記ヒドロゲルがグルコースの通過を可能にし、前記表示器系の通過を遮断する半透性膜により閉じ込められる、請求項28に記載の使い捨て型光ファイバーグルコースセンサー。
【請求項33】
前記キャビティの設計が前記細長い部材に複数の穴を包含する、請求項30に記載の使い捨て型光ファイバーグルコースセンサー。
【請求項34】
前記複数の穴が前記細長い部材の長さ方向の接線に対して垂直に配置され、そして前記複数の穴が水平に均一間隔を置いて配置され、該細長い部材の側面周囲を均一に回転する、請求項33に記載の使い捨て型光ファイバーグルコースセンサー。
【請求項35】
前記複数の穴が前記細長い部材の長さ方向の接線に対して或る角度で配置され、そして前記複数の穴が水平に均一間隔を置いて配置され、該細長い部材の側面周囲を均一に回転する、請求項33に記載の使い捨て型光ファイバーグルコースセンサー。
【請求項36】
前記キャビティの設計が前記細長い部材の長さ方向に溝を包含する、請求項30に記載の使い捨て型光ファイバーグルコースセンサー。
【請求項37】
前記溝が前記細長い部材の中心に延びる深さを包含する、請求項36に記載の使い捨て型光ファイバーグルコースセンサー。
【請求項38】
前記溝が前記細長い部材の長さの周囲を渦巻き旋回する、請求項36に記載の使い捨て型光ファイバーグルコースセンサー。
【請求項39】
前記キャビティの設計が前記細長い部材から分断された複数の区分を包含する、請求項30に記載の使い捨て型光ファイバーグルコースセンサー。
【請求項40】
前記区分が前記細長い部材の中心に延びる三角楔形領域を形成し、そして該区分が水平に均一間隔を置いて配置され、該細長い部材の側面周囲を均一に回転する、請求項39に記載の使い捨て型光ファイバーグルコースセンサー。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図1E】
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【図1F】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2010−517693(P2010−517693A)
【公表日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−549225(P2009−549225)
【出願日】平成20年2月6日(2008.2.6)
【国際出願番号】PCT/US2008/053226
【国際公開番号】WO2008/098087
【国際公開日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.JAVA
2.リナックス
3.ウィンドウズ
【出願人】(505370235)グルメトリクス, インコーポレイテッド (4)
【Fターム(参考)】