説明

血圧情報測定装置用カフおよびこれを備えた血圧情報測定装置

【課題】脈波等の血圧情報を高精度に測定することができる血圧情報測定装置用カフを提供する。
【解決手段】血圧情報測定装置用カフ20Aは、大容量の血圧値測定用空気袋23と、小容量の脈波測定用空気袋24とを備えており、被装着部位に巻き付けられた装着状態において略環状の形態をとる。血圧値測定用空気袋23は、装着状態において径方向外側に位置し、内部に第1膨縮空間23d1を有する幅広の第1袋体23Aと、装着状態において第1袋体23Aよりも径方向内側に位置し、内部に第2膨縮空間23d2を有する幅狭の第2袋体23Bとを含んでいる。第1膨縮空間23d1と第2膨縮空間23d2とは、連通孔を介して連通している。脈波測定用空気袋24は、装着状態において第1袋体23Aよりも径方向内側に位置し、第2袋体23Bが位置しない部分において血圧値測定用空気袋23に積層されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血圧情報を測定するために生体に装着して使用される血圧情報測定装置用カフおよびこれを備えた血圧情報測定装置に関し、特に、血圧情報として脈波を測定することが可能に構成された血圧情報測定装置およびこれに具備される血圧情報測定装置用カフに関する。
【背景技術】
【0002】
血圧情報を測定することは、被験者の健康状態を知る上で非常に重要なことである。近年においては、従来から健康管理の代表的な指標として広くその有用性が認められている収縮期血圧値(以下、最高血圧)、拡張期血圧値(以下、最低血圧)等を測定することに限られず、脈波を測定することによって心臓負荷や動脈硬化度等を捉える試みがなされている。
【0003】
血圧情報測定装置は、測定した血圧情報に基づいてこれら健康管理のための指標を得るための装置であり、循環器系疾患の早期発見や予防、治療等の分野においてさらなる活用が期待されている。なお、血圧情報には、最高血圧、最低血圧、平均血圧、脈波、脈拍、動脈硬化度を示す各種指標等、循環器系の種々の情報が広く含まれる。
【0004】
一般に、血圧情報の測定には、血圧情報測定装置用カフ(以下、単にカフとも称する)が利用される。ここで、カフとは、内空を有する流体袋を含む帯状または環状の構造物であって身体の一部に装着が可能なものを意味し、気体や液体等の流体を上記内空に注入することによって流体袋を膨張および収縮させて血圧情報の測定に利用されるもののことを指す。なお、カフは、腕帯あるいはマンシェットとも呼ばれる。
【0005】
従来、動脈硬化度を示す指標を取得することが可能に構成された血圧情報測定装置として、心臓から駆出された脈波の伝搬速度(以下、PWV:Pulse Wave Velocity)が動脈硬化が進行するほどに速くなることを利用し、測定した脈波に基づいてPWVを算出して動脈硬化度を示す指標を取得するものが知られている。この種の血圧情報測定装置としては、たとえば特開2009−284965号公報(特許文献1)や特開2009−284966号公報(特許文献2)に開示のものがある。
【0006】
上記特許文献1および2に開示の血圧情報測定装置にあっては、単一のカフが上腕に装着され、当該カフに1つの大容量の血圧値測定用空気袋と1つの小容量の脈波測定用空気袋とが内包され、装着状態において脈波測定用空気袋が被装着部位の中枢側に配置されるようにするとともに血圧値測定用空気袋が被装着部位の末梢側に配置されるようにし、血圧値測定用空気袋にて血圧値を測定するとともに、当該血圧値測定用空気袋を用いて動脈を阻血した状態を維持して脈波測定用空気袋を用いて脈波を測定し、測定した脈波に含まれる駆出波成分のピーク値と反射波成分のピーク値とが出現する時間差と、心臓(より具体的には鎖骨下動脈分岐部)から腸骨動脈分岐部までの間の動脈長さとに基づいてPWVを算出し、算出されたPWVに基づいて動脈硬化度を示す指標が取得されるように構成されている。
【0007】
ここで、駆出波とは、心臓から脈波測定用空気袋が装着された部分の動脈に直接伝播される脈波のことであり、反射波とは、上記駆出波が腸骨動脈分岐部において反射して脈波測定用空気袋が装着された部分の動脈に伝播される脈波のことである。
【0008】
当該特許文献1および2に開示の血圧情報測定装置にあっては、単一のカフが上腕に装着され、かつ当該単一のカフに1つの血圧値測定用空気袋と1つの脈波測定用空気袋が内包される構成であるため、装置を小型に構成することができ、また血圧値測定用空気袋を動脈を阻血するためのカフとしても利用する構成であるため、末梢側を阻血した状態で脈波の測定を行なうことができ、検出される脈波に被装着部位よりも末梢側に位置する動脈からの反射波が重畳するおそれもなく、高精度にPWVを測定することが可能になる。
【0009】
なお、上記特許文献1および2には、上述したPWVに基づいて動脈硬化度を示す指標を取得する以外にも、測定した脈波に含まれる駆出波成分の振幅と反射波成分の振幅との差や比に基づいて動脈硬化度を示す指標を直接取得することができることも記載されている。
【0010】
また、従来、より精緻に脈波を測定して血圧値や動脈硬化度を示す指標等を取得することを目的として、2つ以上の空気袋を備えた構成のカフが提案されている。当該2つ以上の空気袋を備えた構成のカフが開示された文献としては、たとえば、特開2000−79101号公報(特許文献3)、特開2005−185295号公報(特許文献4)、特開2007−44362号公報(特許文献5)、特開2008−307181号公報(特許文献6)等がある。
【0011】
これら特許文献3ないし6に開示の如くの2つ以上の空気袋を備えたカフにあっては、脈波を高精度に測定するために、幅広でかつ大容量の阻血用空気袋と幅狭でかつ小容量の脈波測定用空気袋とが厚み方向に積層されることにより、装着状態において脈波測定用空気袋が阻血用空気袋によって覆われる構成が主として採用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2009−284965号公報
【特許文献2】特開2009−284966号公報
【特許文献3】特開2000−79101号公報
【特許文献4】特開2005−185295号公報
【特許文献5】特開2007−44362号公報
【特許文献6】特開2008−307181号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、上記特許文献3ないし6に開示の如くの構成を採用した場合には、装着状態において阻血用空気袋と被装着部位との間に、一部において脈波測定用空気袋が位置し、一部において脈波測定用空気袋が位置しないこととなるため、空気袋が膨張した状態において空気袋全体として見た場合にこれが歪に膨らむことになり、阻血用空気袋による動脈の阻血がカフの幅方向において不均一になってしまうおそれがある。このような阻血用空気袋による動脈の阻血の不均一が生じた場合には、脈波の測定精度が大幅に低下することになってしまい、高精度に脈波を測定することができない問題が生じてしまう。
【0014】
また、当該阻血用空気袋を上記特許文献1および2に開示の如くの血圧値測定用空気袋として使用することを想定した場合にも、上述した動脈の阻血の不均一が生じることにより、測定される血圧値についてもその測定精度が大幅に低下することになってしまい、高精度に血圧値を測定することができない問題が生じてしまう。
【0015】
したがって、本発明は、上述した問題を解決すべくなされたものであり、脈波等の血圧情報を高精度に測定することができる血圧情報測定装置用カフおよびこれを備えた血圧情報測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明に基づく血圧情報測定装置用カフは、流体が出入りすることによって膨縮する大容量の第1流体袋および小容量の第2流体袋を備えており、被装着部位に巻き付けられた装着状態において略環状の形態をとるものである。上記第1流体袋は、上記装着状態において径方向外側に位置し、内部に第1膨縮空間を有する幅広の第1袋体と、上記装着状態において上記第1袋体よりも径方向内側に位置し、内部に第2膨縮空間を有する幅狭の第2袋体とを含んでいる。上記第1膨縮空間と上記第2膨縮空間とは、上記第1袋体と上記第2袋体との間に設けられた連通孔を介して連通している。上記第2流体袋は、上記装着状態において上記第1袋体よりも径方向内側に位置し、上記第2袋体が位置しない部分において上記第1流体袋に積層されている。
【0017】
上記本発明に基づく血圧情報測定装置用カフにあっては、上記第1袋体が、上記装着状態において径方向外側に位置する外側シート部材および径方向内側に位置する内側シート部材を有していることが好ましく、その場合に、上記第2袋体が、上記第1袋体の上記内側シート部材に単層のシート部材を重ね合わせ、その周縁を上記内側シート部材に接合することによって形成されていることが好ましい。また、その場合には、上記内側シート部材の上記第2膨縮空間に面する部分に上記連通孔が設けられていることが好ましい。
【0018】
上記本発明に基づく血圧情報測定装置用カフにあっては、上記第2袋体の一部となる上記単層のシート部材が、上記第1袋体の上記内側シート部材よりも高伸縮性であることが好ましい。
【0019】
上記本発明に基づく血圧情報測定装置用カフにあっては、上記第2流体袋が、上記装着状態において径方向外側に位置する外側シート部材および径方向内側に位置する内側シート部材を有していることが好ましく、その場合に、上記第2流体袋の上記内側シート部材が、上記第1流体袋の上記内側シート部材よりも高伸縮性であることが好ましい。
【0020】
上記本発明に基づく血圧情報測定装置用カフにあっては、上記第2流体袋が、上記第1袋体の幅方向の一端部に沿って延在して設けられていることが好ましい。
【0021】
上記本発明に基づく血圧情報測定装置用カフは、さらに、上記第1袋体に生じる振動が上記第2流体袋に伝播することを防止するとともに、上記第2流体袋に生じる振動が上記第1袋体に伝播することを防止する振動遮断部材を備えていることが好ましく、その場合に、上記振動遮断部材が、上記第1袋体と上記第2流体袋との間に介装されていることが好ましい。
【0022】
本発明に基づく血圧情報測定装置は、上述した上記本発明に基づく血圧情報測定装置用カフと、上記第1流体袋の内圧を検出する第1圧力検出部と、上記第2流体袋の内圧を検出する第2圧力検出部と、上記第1圧力検出部によって検出された圧力に基づいて血圧値を取得する血圧値取得部と、上記第2圧力検出部によって検出された圧力に基づいて脈波を取得する脈波取得部とを備えてなるものである。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、脈波等の血圧情報を高精度に測定することができる血圧情報測定装置用カフおよびこれを備えた血圧情報測定装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施の形態1における血圧情報測定装置の外観構造を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態1における血圧情報測定装置用カフを外周面側から見た場合の展開図である。
【図3】本発明の実施の形態1における血圧情報測定装置用カフに内包される空気袋を内周面側から見た場合の展開図である。
【図4】本発明の実施の形態1における血圧情報測定装置用カフを軸方向と直交する平面に沿って切断した場合の断面図である。
【図5】本発明の実施の形態1における血圧情報測定装置用カフを軸方向と直交する平面に沿って切断した場合の断面図である。
【図6】本発明の実施の形態1における血圧情報測定装置用カフを軸方向と平行な平面に沿って切断した場合の断面図である。
【図7】本発明の実施の形態1における血圧情報測定装置の機能ブロックの構成を示す図である。
【図8】本発明の実施の形態1における血圧情報測定装置の測定動作を示すフローチャートである。
【図9】本発明の実施の形態1における血圧情報測定装置用カフを上腕に巻き付けた装着状態を示す模式図である。
【図10】本発明の実施の形態1における血圧情報測定装置の測定動作中における脈波測定用空気袋の内圧の変化および血圧値測定用空気袋の内圧の変化を示すグラフである。
【図11】本発明の実施の形態2における血圧情報測定装置の外観構造を示す斜視図である。
【図12】本発明の実施の形態2における血圧情報測定装置の外観構造を示す斜視図である。
【図13】本発明の実施の形態2における血圧情報測定装置用カフを軸方向と直交する平面に沿って切断した場合の断面図である。
【図14】本発明の実施の形態2における血圧情報測定装置用カフを軸方向と直交する平面に沿って切断した場合の断面図である。
【図15】本発明の実施の形態2における血圧情報測定装置用カフを軸方向と平行な平面に沿って切断した場合の断面図である。
【図16】本発明の実施の形態2における血圧情報測定装置の機能ブロックの構成を示す図である。
【図17】本発明の実施の形態2における血圧情報測定装置の測定動作を示すフローチャートである。
【図18】本発明の実施の形態2における血圧情報測定装置用カフを上腕に装着した装着状態を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態について、図を参照して詳細に説明する。以下に示す実施の形態においては、本発明が適用された血圧情報測定装置として、最高血圧および最低血圧を測定してこれを表示する機能と、脈波を測定して動脈硬化度を示す指標を取得してこれを表示する機能とを兼ね備えた血圧情報測定装置を例示して説明を行なう。なお、以下に示す実施の形態においては、同一のまたは共通する部分について図中同一の符号を付し、その説明は個別には繰り返さない。
【0026】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における血圧情報測定装置の外観構造を示す斜視図であり、図2は、本発明の実施の形態1における血圧情報測定装置用カフを外周面側から見た場合の展開図である。図3は、図1に示すカフに内包される空気袋を内周面側から見た場合の展開図である。また、図4および図5は、図1に示すカフを軸方向と直交する平面に沿って切断した場合の断面図であり、図6は、図1に示すカフを軸方向と平行な平面に沿って切断した場合の断面図である。ここで、図4は、後述する脈波測定用空気袋を含まない部分における断面であり、カフの展開状態を表わした図2に示すIV−IV線に沿った断面を含むものである。また、図5および図6に示す断面は、後述する脈波測定用空気袋を含む部分における断面であり、それぞれカフの展開状態を表わした図2に示すV−V線およびVI−VI線に沿った断面を含むものである。まず、これら図1ないし図6を参照して、本実施の形態における血圧情報測定装置およびこれに具備された血圧情報測定装置用カフの構造について説明する。
【0027】
図1に示すように、血圧情報測定装置1Aは、本体10と、カフ20Aと、エア管70とを備えている。本体10は、箱状のケーシング11を有しており、その上面に表示部42および操作部43が設けられている。本体10は、測定時においてテーブル等の載置面に載置されて使用される。カフ20Aは、被装着部位としての上腕に巻き付けが可能な帯状の形態を有しており、外装カバー21によって覆われている。カフ20Aは、測定時において上腕に巻き付けられることで装着されて使用される。なお、エア管70は、分離されて構成された本体10とカフ20Aとを接続しており、可撓性を有するチューブにて構成されている。
【0028】
図2ないし図6に示すように、カフ20Aは、上述した外装カバー21と、第1流体袋としての大容量の血圧値測定用空気袋23と、第2流体袋としての小容量の脈波測定用空気袋24と、湾曲弾性板としてのカーラ26と、振動遮断部材としてのクッション材27とを主として備えている。
【0029】
図1、図4ないし図6に示すように、外装カバー21は、カフ20Aが上腕に巻き付けられた装着状態において径方向外側に位置することとなる外側カバー21aと、カフ20Aが上腕に巻き付けられた装着状態において上腕の表面に接触することとなる内側カバー21bとが重ね合わされてそれらの周縁が接合(たとえば縫合や溶着等)されることによって袋状に形成されている。外装カバー21の内部の空間には、上述した脈波測定用空気袋24、クッション材27、血圧値測定用空気袋23およびカーラ26がこの順番で内側から順に積層されて収容されている。
【0030】
外装カバー21の長手方向(すなわち上腕に対する巻き付け方向)の一方端寄りの外周面および他方端寄りの内周面には、それぞれ面ファスナ21A,21Bが設けられている。ここで、面ファスナ21Aは、たとえばフックファスナからなり、面ファスナ21Bは、たとえばループファスナからなる。これら面ファスナ21A,21Bは、外装カバー21が上腕に巻き付けられて当該外装カバー21の上記一方端寄りの部分と上記他方端寄りの部分とが上腕の表面上において重ね合わされることにより係止する。これにより、外装カバー21が上腕に対して固定されることになり、カフ20Aが上腕に固定的に装着されることになる。
【0031】
外装カバー21のうち、内側カバー21bとしては、血圧値測定用空気袋23および脈波測定用空気袋24の膨張によって上腕に加えられる圧迫力が当該内側カバー21bによって阻害されないように、十分に伸縮性に富んだ部材が好適に利用される。一方、外装カバー21のうち、外側カバー21aとしては、血圧値測定用空気袋23および脈波測定用空気袋24が径方向外側に向かって膨張することを抑制するために、内側カバー21bに比して伸縮性に乏しい部材が利用される。このような観点から、外装カバー21としては、伸縮性の大小を比較的容易に調整することができるポリアミド(PA)、ポリエステル等の合成繊維からなる布地等が利用される。
【0032】
図2および図3に示すように、血圧値測定用空気袋23および脈波測定用空気袋24は、これらを構成する各種部材が互いに接合(たとえば溶着等)されることにより、積層された状態で一体化された空気袋として構成されている。これら血圧値測定用空気袋23および脈波測定用空気袋24が一体化されることで構成された空気袋は、展開した状態において平面視略矩形状の帯状の形状を有しており、これが上述した外装カバー21の内部に略環状に湾曲した状態で収容されることになる。
【0033】
図3ないし図6に示すように、血圧値測定用空気袋23は、たとえば樹脂シートを用いて形成された袋状の部材からなり、装着状態において径方向外側に位置することとなる外側シート部材23aと、装着状態において外側シート部材23aよりも径方向内側に位置することとなる内側シート部材23bと、装着状態において内側シート部材23bよりもさらに径方向内側に位置する最内側シート部材23cとを有している。血圧値測定用空気袋23は、その厚み方向に沿って第1袋体23Aおよび第2袋体23Bが積層された構成を有している。
【0034】
具体的には、第1袋体23Aは、幅広の外側シート部材23aと幅広の内側シート部材23bとが重ね合わされてそれらの周縁が図3に示す溶着ライン23e1に沿って溶着されることによって袋状に形成されており、これら外側シート部材23aおよび内側シート部材23bによって規定される第1膨縮空間23d1をその内部に有している。第2袋体23Bは、幅広の内側シート部材23bに幅狭の単層のシート部材である最内側シート部材23cを重ね合わせ、最内側シート部材23cの周縁が図3に示す溶着ライン23e2に沿って内側シート部材23bに溶着されることによって袋状に形成されており、これら内側シート部材23bおよび最内側シート部材23cによって規定される第2膨縮空間23d2をその内部に有している。
【0035】
また、図3および図4に示すように、内側シート部材23bの所定位置には、連通孔23b1が設けられており、当該連通孔23b1を介して上述した第1膨縮空間23d1と第2膨縮空間23d2とが連通している。これにより、第1袋体23Aに設けられた第1膨縮空間23d1と第2袋体23Bに設けられた第2膨縮空間23d2によって、血圧値測定用空気袋23の膨縮空間23dが構成されることになる。
【0036】
血圧値測定用空気袋23の内部に形成された上記膨縮空間23dは、上述したエア管70とこれに接続されたエア管71(図3および図7参照)とを介して後述する加圧ポンプ31Aおよび排気弁32A(図7参照)に接続されており、これら加圧ポンプ31Aおよび排気弁32Aよってその加減圧が行なわれる。なお、上腕に加えられる圧迫力を適正化するために、血圧値測定用空気袋23としては、その幅方向の端部に襠が形成されてなるものを使用してもよい。
【0037】
図3、図5および図6に示すように、脈波測定用空気袋24は、たとえば樹脂シートを用いて形成された袋状の部材からなり、装着状態において径方向外側に位置することとなる外側シート部材24aと、装着状態において径方向内側に位置することとなる内側シート部材24bとを有している。具体的には、脈波測定用空気袋24は、外側シート部材24aと内側シート部材24bとが重ね合わされてそれらの周縁が図3に示す溶着ライン24eに沿って溶着されることによって袋状に形成されており、これら外側シート部材24aおよび内側シート部材24bによって規定される膨縮空間24dをその内部に有している。
【0038】
脈波測定用空気袋24の内部に形成された上記膨縮空間24dは、上述したエア管70とこれに接続されたエア管72(図3および図7参照)を介して後述する加圧ポンプ31Aおよび排気弁32A(図7参照)に接続されており、これら加圧ポンプ31Aおよび排気弁32Aよってその加減圧が行なわれる。なお、上腕に加えられる圧迫力を適正化するために、脈波測定用空気袋24としては、その幅方向の端部に襠が形成されてなるものを使用してもよい。
【0039】
なお、上述した血圧値測定用空気袋23および脈波測定用空気袋24を構成する樹脂シートの材質としては、伸縮性に富んでおり溶着後において内部に形成された膨縮空間23d,24dからの漏気がないものであればどのようなものでも利用可能である。このような観点から、樹脂シートの好適な材質としては、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、軟質塩化ビニル(PVC)、ポリウレタン(PU)、ポリアミド(PA)等が挙げられる。
【0040】
ここで、図2および図6に示すように、血圧値測定用空気袋23の幅広の第1袋体23Aは、カフ20Aの幅方向において実質的に全体にわたって位置するように配置されている。したがって、第1袋体23Aは、装着状態において被装着部位である上腕の中枢側および末梢側を含む全体にわたって巻き付けられることになる。
【0041】
また、脈波測定用空気袋24は、カフ20Aの幅方向における一端部側のみに位置するように配置されている。脈波測定用空気袋24が配置された側に位置するカフ20Aの幅方向の上記一端部は、装着状態において中枢側に配置される端部であり、そのため脈波測定用空気袋24は、装着状態において被装着部位である上腕の中枢側のみに巻き付けられることになる。なお、脈波測定用空気袋24は、装着状態において血圧値測定用空気袋23の第1袋体23Aの内側に位置するように当該第1袋体23Aに積層されて配置されているため、血圧値測定用空気袋23は、カフ20Aの幅方向の上記一端部側において脈波測定用空気袋24の外側を覆うことにもなる。
【0042】
また、血圧値測定用空気袋23の幅狭の第2袋体23Bは、カフ20Aの幅方向における他端部側のみに位置するように配置されている。第2袋体23Bが配置された側に位置するカフ20Aの幅方向の上記他端部は、装着状態において末梢側に配置される端部であり、そのため第2袋体23Bは、装着場において被装着部位である上腕の末梢側に巻き付けられることになる。
【0043】
脈波測定用空気袋24は、血圧値測定用空気袋23よりも小容量であり、好適には、脈波測定用空気袋24の空気容量は、血圧値測定用空気袋23の空気容量の1/5以下とされる。一例として、脈波測定用空気袋24の大きさは、概ね20mm×200mm程度であり、血圧値測定用空気袋23の大きさは、概ね90mm〜105mm×200mm程度である。
【0044】
図3、図5および図6に示すように、クッション材27は、積層して配置された血圧値測定用空気袋23の第1袋体23Aと脈波測定用空気袋24との間に介装されている。当該クッション材27は、これら血圧値測定用空気袋23の第1袋体23Aおよび脈波測定用空気袋24に生じる振動が相互に伝わないようにするためのものであり、たとえばウレタンシート等が好適に利用される。このクッション材27の大きさは、脈波測定用空気袋24と同じ大きさかあるいは脈波測定用空気袋24よりも僅かに大きい大きさとされる。
【0045】
なお、クッション材27の脈波測定用空気袋24への組付けと、クッション材27の血圧値測定用空気袋23への組付けとは、たとえば両面テープを用いた接着等によって行なわれる。これにより、血圧値測定用空気袋23と脈波測定用空気袋24との一体化が、クッション材27を介して行なわれることになる。
【0046】
図3ないし図6に示すように、カーラ26は、環状に巻き回されることによって径方向に弾性変形可能に構成された可撓性の部材からなり、周方向の所定位置に軸方向に沿って延びる切れ目を有している。この切れ目により、カーラ26は、外力が加えられることによって径方向に伸縮自在に弾性変形する。すなわち、外力が作用することによってカーラ26は径方向に変形するが、外力の作用がなくなった場合には元の状態へと復元する。これにより、カーラ26は、装着状態において自身の環状形態を維持することによって上腕に沿うように宛がわれる。
【0047】
このカーラ26は、被験者自身によってカフ20Aを上腕に装着し易くするためのものであるとともに、カフ20Aが上腕に巻き付けられた装着状態において血圧値測定用空気袋23および脈波測定用空気袋24を上腕側に向けて付勢するためのものである。なお、カーラ26は、十分な弾性力を発現するように、たとえばポリプロピレン(PP)等の樹脂部材にて形成される。
【0048】
図7は、図1に示す血圧情報測定装置の機能ブロックの構成を示す図である。次に、この図7を参照して、本実施の形態における血圧情報測定装置の機能ブロックの構成について説明する。
【0049】
図7に示すように、血圧情報測定装置1Aは、上述した血圧値測定用空気袋23、脈波測定用空気袋24、表示部42、操作部43およびエア管70に加え、第1圧力検出部としての圧力センサ33A、第2圧力検出部としての圧力センサ33B、加減圧手段30Aとしての加圧ポンプ31Aおよび排気弁32A、制御部としてのCPU40、記憶手段としてのメモリ部41、オリフィス50およびエア管71,72を主として有している。
【0050】
加減圧手段30Aとしての加圧ポンプ31Aおよび排気弁32Aは、血圧値測定用空気袋23および脈波測定用空気袋24およびを加減圧するためのものである。加圧ポンプ31Aは、CPU40からの指令を受けた加圧ポンプ駆動回路36Aによってその駆動が制御され、血圧値測定用空気袋23および脈波測定用空気袋24に圧縮空気を導入することでこれら血圧値測定用空気袋23および脈波測定用空気袋24を加圧する。排気弁32Aは、CPU40からの指令を受けた排気弁駆動回路37Aによってその駆動が制御され、閉状態において血圧値測定用空気袋23および脈波測定用空気袋24の内圧を維持し、開状態において血圧値測定用空気袋23および脈波測定用空気袋24内の空気を排出することでこれら血圧値測定用空気袋23および脈波測定用空気袋24を減圧する。
【0051】
圧力センサ33Aは、血圧値測定用空気袋23の内圧を検出するためのものである。圧力センサ33Aは、血圧値測定用空気袋23の内圧を検出し、検出した内圧に応じた信号を増幅器38Aに対して出力する。増幅器38Aは、圧力センサ33Aから入力された信号を増幅し、増幅後の信号をA/D(Analog/Digital)変換器39Aに対して出力する。A/D変換器39Aは、増幅器38Aから入力された増幅後の信号をアナログ信号からデジタル信号に変換し、変換後のデジタル信号をCPU40に対して出力する。
【0052】
圧力センサ33Bは、脈波測定用空気袋24の内圧を検出するためのものである。圧力センサ33Bは、脈波測定用空気袋24の内圧を検出し、検出した内圧に応じた信号を増幅器38Bに対して出力する。増幅器38Bは、圧力センサ33Bから入力された信号を増幅し、増幅後の信号をA/D変換器39Bに対して出力する。A/D変換器39Bは、増幅器38Bから入力された増幅後の信号をアナログ信号からデジタル信号に変換し、変換後のデジタル信号をCPU40に対して出力する。
【0053】
エア管71は、本体10とカフ20Aとを接続するエア管70に接続されており、血圧値測定用空気袋23と、加圧ポンプ31A、排気弁32Aおよび圧力センサ33Aとを主として接続している。一方、エア管72は、本体10とカフ20Aとを接続するエア管70に接続されており、脈波測定用空気袋24と、加圧ポンプ31A、排気弁32Aおよび圧力センサ33Bとを主として接続している。
【0054】
オリフィス50は、エア管72の所定位置に設けられており、脈波測定時に生じる脈波測定用空気袋24の微小な内圧変動が血圧値測定用空気袋23に伝播することで脈波測定の感度が低下することを防止するためのものである。
【0055】
操作部43は、使用者の操作を受け付けてこれをCPU40に対して出力するためのものであり、たとえば押しボタン等によって構成される。表示部42は、血圧情報測定装置1Aの動作状態を表示したり、測定後においてCPU40から出力される血圧値の測定結果および動脈硬化度を示す指標の測定結果等の情報を表示したりするためのものであり、たとえばLCD(Liquid Crystal Display)にて構成される。メモリ部41は、CPU40で実行されるプログラムを記憶したり、上記測定結果等の情報を記憶したりするためのものであり、たとえばRAM(Random-Access Memory)やROM(Read-Only Memory)等によって構成される。
【0056】
CPU40は、血圧情報測定装置1Aの全体の動作を制御するものであり、操作部43およびメモリ部41からの入力を受け付けたり、表示部42およびメモリ部41に対して各種情報を出力したりする。また、CPU40は、圧力センサ33A,33Bにて検出された圧力の情報の入力を受け付けたり、加圧ポンプ31Aおよび排気弁32Aを駆動するための信号を生成してこれを出力したりする。さらには、CPU40は、圧力センサ33Aから入力された圧力の情報に基づいて血圧値を測定する血圧値測定部として機能するとともに、圧力センサ33Bから入力された圧力の情報に基づいて脈波を測定する脈波測定部として機能し、加えて、測定した脈波に基づいて動脈硬化度を示す指標を取得する指標取得部としても機能する。
【0057】
CPU40にて血圧値を算出する具体的な手法については、既知のオシロメトリック方式の血圧値算出手法等が適用できるため、その説明はここでは省略する。また、CPU40にて動脈硬化度を示す指標を算出する具体的な手法としては、得られた脈波波形のTr(traveling time to reflected wave:ΔTpとも表わされる)に基づいて算出する手法、得られた脈波波形のAI(Augmentation Index)に基づいて算出する手法等、既知の手法が適用できるため、その説明はここでは省略する。
【0058】
図8は、図1に示す血圧情報測定装置の測定動作を示すフローチャートであり、図9は、図1に示すカフを上腕に装着した装着状態を示す模式図である。また、図10は、図1に示す血圧情報測定装置の測定動作中における血圧値測定用空気袋および脈波測定用空気袋の内圧変化を示すグラフである。ここで、図10(A)は、血圧値測定用空気袋の膨縮空間の圧力(内圧P1)の経時的な変化を示しており、図10(B)は、脈波測定用空気袋の膨縮空間の圧力(内圧P2)の経時的な変化を示している。次に、これら図8ないし図10を参照して、本実施の形態における血圧情報測定装置の測定動作、カフの装着状態、血圧値測定用空気袋および脈波測定用空気袋の測定動作中における圧力変化等について説明する。なお、図8に示すフローチャートに従った測定動作を実行するためのプログラムは、図7に示したメモリ部41に予め記憶されているものであり、CPU40がメモリ部41からこのプログラムを読み出して実行することにより当該フローチャートに示す測定動作が実現される。
【0059】
血圧情報測定装置1Aを使用して各種血圧情報を測定するに際しては、まず、図9に示すように、カフ20Aを被験者の左手100の上腕101に装着する。このとき、図示するように、脈波測定用空気袋24が、カフ20Aの被装着部位の中枢側(すなわち上腕101の肩側)に位置するようにカフ20Aを装着する。次に、本体10の操作部43を被験者等が操作することにより、血圧情報測定装置1Aが測定動作を開始する。
【0060】
図8に示すように、測定動作の開始の指令をCPU40が受け付けると、CPU40は、各部の初期化を行なう(ステップS101)。具体的には、CPU40は、排気弁32Aを閉塞する。
【0061】
次に、CPU40は、加圧ポンプ31Aを駆動することにより、血圧値測定用空気袋23および脈波測定用空気袋24の加圧を開始する(ステップS102)。これにより、図10(A)および図10(B)に示すように、血圧値測定用空気袋23の内圧P1および脈波測定用空気袋24の内圧P2は、加圧ポンプ31Aを駆動させた時刻t1においてそれぞれ上昇を始めることになる。この加圧過程において、CPU40は、最高血圧(SYS)および最低血圧(DIA)等の血圧値を算出するための圧力情報を取得する。具体的には、CPU40は、圧力センサ33Aから入力される圧力信号に基づいて当該圧力情報を取得する。
【0062】
次に、図8に示すように、CPU40は、血圧値の測定が終了したか否かを判断し(ステップS103)、血圧値の測定が終了したと判断した場合(ステップS103においてYESの場合)に、脈波の測定を開始する(ステップS104)。具体的には、CPU40は、加圧ポンプ31Aの駆動を停止する。これにより、図10(A)および図10(B)に示すように、血圧値測定用空気袋23の内圧P1および脈波測定用空気袋24の内圧P2は、加圧ポンプ31Aの駆動を停止した時刻t2においてそれぞれ最高血圧よりも高い圧力に維持され、上腕の被装着部位において動脈が阻血されることになる。この時刻t2以降においては、阻血された動脈の中枢側端部に隣接する部分の動脈から皮下組織を介して伝播された脈波が、小容量の脈波測定用空気袋24において鋭敏に観察されるようになり、CPU40は、圧力センサ33Bから入力される信号に基づいて脈波を取得する。
【0063】
次に、図8に示すように、CPU40は、脈波の測定が終了したか否かを判断し(ステップS105)、脈波の測定が終了したと判断した場合(ステップS105においてYESの場合)に、停止動作に移行する(ステップS106)。具体的には、CPU40は、停止動作に移行した場合に排気弁32Aを開放する。これにより、図10(A)および図10(B)に示すように、血圧値測定用空気袋23の内圧P1および脈波測定用空気袋24の内圧P2は、排気弁32Aを開放した時刻t3においてそれぞれ下降を始め、大気圧に復帰する。
【0064】
次に、図8に示すように、CPU40は、血圧値の算出および脈波解析を行なう(ステップS107)。具体的には、CPU40は、取得した上記圧力情報および上記脈波に基づいて、最高血圧(SYS)、最低血圧(DIA)および動脈硬化度を示す指標をそれぞれ算出する。
【0065】
次に、CPU40は、算出した最高血圧、最低血圧および動脈硬化度を示す指標を表示部42において表示する(ステップS108)。その際、CPU40は、当該測定結果をメモリ部41に対して出力してメモリ部41にこれを記憶させてもよい。当該測定結果が表示された後は、被験者の上腕からカフ20Aを取り外す。以上により、一連の測定動作は終了し、本実施の形態における血圧情報測定装置1Aを使用しての各種血圧情報の測定が完了する。
【0066】
以上において説明した本発明の実施の形態における血圧情報測定装置用カフ20Aおよびこれを備えた血圧情報測定装置1Aにあっては、装着状態において血圧値測定用空気袋23の第1袋体23Aよりも径方向内側に血圧値測定用空気袋23の第2袋体23Bが配置されるように、血圧値測定用空気袋23が第1袋体23Aと第2袋体23Bとの積層体にて構成されるとともに、装着状態において血圧値測定用空気袋23の径方向内側であってかつ第2袋体23Bが位置しない部分に脈波測定用空気袋24が配置されるように、血圧値測定用空気袋23の第1袋体23Aと脈波測定用空気袋24とが積層されている。
【0067】
そのため、装着状態において血圧値測定用空気袋23の第1袋体23Aと被装着部位である上腕との間に、一部において脈波測定用空気袋24が位置し、残る部分において血圧値測定用空気袋23の第2袋体23Bが位置することになり、測定時において空気袋全体として見た場合にこれが歪に膨らむことが防止され、ほぼ均等に膨らむことになる。そのため血圧値測定時および脈波測定時のいずれの状態においても、空気袋による動脈の阻血の均一化がカフ20Aの幅方向において実現できることになり、血圧値および脈波の測定精度が高精度に維持できることになる。したがって、上記構成を採用することにより、血圧情報を高精度に測定することが可能な血圧情報測定装置用カフおよびこれを備えた血圧情報測定装置とすることができる。
【0068】
また、以上において説明した本発明の実施の形態における血圧情報測定装置用カフ20Aおよびこれを備えた血圧情報測定装置1Aにあっては、単層のシート部材である最内側シート部材23cを第1袋体23Aを構成する内側シート部材23bに溶着することで第2袋体23Bを形成し、これにより積層構造の血圧値測定用空気袋23を構成することとしているため、血圧値測定用空気袋23を容易にかつ安価に製造することが可能である。したがって、上記構成を採用することにより、血圧情報を高精度に測定することが可能な血圧情報測定装置用カフおよびこれを備えた血圧情報測定装置を容易にかつ安価に製造することもできる。
【0069】
また、以上において説明した本発明の実施の形態における血圧情報測定装置用カフ20Aおよびこれを備えた血圧情報測定装置1Aにおいて、血圧値測定用空気袋23の最内側シート部材23cおよび/または脈波測定用空気袋24の内側シート部材24bを血圧値測定用空気袋23の内側シート部材23bよりも高伸縮性の樹脂シートを用いて製作すれば、測定時において血圧値測定用空気袋23の第1袋体23Aと被装着部位である上腕との間の隙間の空間がより確実に血圧値測定用空気袋23の第2袋体23Bおよび/または脈波測定用空気袋24によって充填されることになり、空気袋による動脈の阻血の均一化がより促進されることになる。したがって、当該構成を採用すれば、血圧情報をより高精度に測定することが可能な血圧情報測定装置用カフおよびこれを備えた血圧情報測定装置とすることができる。
【0070】
(実施の形態2)
図11および図12は、本発明の実施の形態2における血圧情報測定装置の外観構造を示す斜視図である。また、図13および図14は、図11および図12に示すカフを軸方向と直交する平面に沿って切断した場合の断面図であり、図15は、図11および図12に示すカフを軸方向と平行な平面に沿って切断した場合の断面図である。ここで、図13に示す断面は、後述する脈波測定用空気袋を含まない部分における断面であり、図14および図15に示す断面は、後述する脈波測定用空気袋を含む部分における断面である。まず、これら図11ないし図15を参照して、本実施の形態における血圧情報測定装置およびこれに具備された血圧情報測定装置用カフの構造について説明する。
【0071】
図11および図12に示すように、血圧情報測定装置1Bは、本体10と、カフ20Bとを備えている。本体10は、箱状のケーシング11を有しており、その上面に表示部42および操作部43が設けられている。また、表示部42および操作部43に隣接する部分の本体10の上面には、被験者が測定姿勢をとった際に肘を載置するための肘置き12が設けられている。この肘置き12は、たとえばケーシング11の上面に凹部を設けることによって構成されている。本体10は、測定時においてテーブル等の載置面に載置されて使用される。カフ20Bは、被装着部位としての上腕が挿入可能な環状の形態を有しており、外装カバー22によって覆われている。カフ20Bは、ヒンジ等によって本体10に対して図12中に示す矢印A方向に回動可能に連結されており、測定時において上腕が挿入されることで当該上腕に装着されて使用される。なお、カフ20Bの外周面の所定位置には、本体10に対して回動可能に連結されたカフ20Bの回動操作を容易にするための把手22cと、非使用状態において本体10にロックされたカフ20Bの開錠を可能にする開錠ボタン22dが設けられている。
【0072】
図13ないし図15に示すように、カフ20Bは、上述した外装カバー22と、第1流体袋としての大容量の血圧値測定用空気袋23と、第2流体袋としての小容量の脈波測定用空気袋24と、さらに第3流体袋としての大容量の巻き付け用空気袋25と、湾曲弾性板としてのカーラ26と、振動遮断部材としてのクッション材27とを主として備えている。
【0073】
図11ないし図15に示すように、外装カバー22は、カフ20Bが上腕に装着された装着状態において径方向外側に位置することとなる外側シェル22aと、カフ20Bが上腕に装着された装着状態において上腕の表面に接触することとなる内側カバー22bとを含んでおり、内側カバー22bの周縁が外側シェル22aの周縁に固定されることで略円筒状の内部空間を有するように構成されている。この外装カバー22の内部空間には、脈波測定用空気袋24、クッション材27、血圧値測定用空気袋23、カーラ26および巻き付け用空気袋25がこの順番で内側から順に積層されて収容されている。
【0074】
外装カバー22のうち、内側カバー22bとしては、血圧値測定用空気袋23および脈波測定用空気袋24の膨張によって上腕に加えられる圧迫力が当該内側カバー21aによって阻害されないように、十分に伸縮性に富んだ部材が好適に利用される。このような観点から、内側カバー22bとしては、ポリアミド(PA)、ポリエステル等の合成繊維からなる布地等が利用される。一方、外装カバー22のうち、外側シェル22aは、巻き付け用空気袋25が径方向外側に向かって膨張することを抑制するために、たとえばABS樹脂等の硬質の樹脂部材にて構成される。
【0075】
図13ないし図15に示すように、血圧値測定用空気袋23および脈波測定用空気袋24ならびにクッション材27の形状、材質および配置位置等は、上述した本発明の実施の形態1における血圧情報測定装置1Aの場合と同様である。また、カーラ26については、血圧値測定用空気袋23に直接接触するように配置されていない点、および、その周方向における両端が外力が作用していない状態において重なるように形成されている点においてのみ相違している。なお、カーラ26の周方向における両端が重なっている理由は、縮径時においてその両端がぶつかることによってその縮径が阻害されないようにするためである。
【0076】
巻き付け用空気袋25は、たとえば樹脂シートを用いて形成された袋状の部材からなり、径方向外側に位置する外側シート部材25aと、径方向内側に位置する内側シート部材25bとを有している。具体的には、巻き付け用空気袋25は、外側シート部材25aと内側シート部材25bとが重ね合わされてそれらの周縁が溶着されることによって袋状に形成されており、これら外側シート部材25aおよび内側シート部材25bによって規定される膨縮空間25dをその内部に有している。
【0077】
巻き付け用空気袋25の内部に形成された上記膨縮空間25dは、エア管73(図16参照)を介して後述する加圧ポンプ31Cおよび排気弁32C(図16参照)に接続されており、これら加圧ポンプ31Cおよび排気弁32Cよってその加減圧が行なわれる。なお、巻き付け用空気袋25の膨縮空間25dは、図示する断面において周方向に均等に6つの空間に区画して分割されているが、これら空間は互いに連通しており、上述した加圧ポンプ31Cおよび排気弁32Cによって同時に均等に加減圧される。
【0078】
なお、上述した巻き付け用空気袋25を構成する樹脂シートの材質としては、伸縮性に富んでおり溶着後において内部に形成された膨縮空間25dからの漏気がないものであればどのようなものでも利用可能である。このような観点から、樹脂シートの好適な材質としては、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、軟質塩化ビニル(PVC)、ポリウレタン(PU)、ポリアミド(PA)等が挙げられる。
【0079】
血圧値測定用空気袋23の外周面は、湾曲状の樹脂プレート23fによって覆われている。当該樹脂プレート23fは、比較的剛性の小さい血圧値測定用空気袋23の形状を湾曲状に維持するためのものであり、血圧値測定用空気袋23に固定されている。また、血圧値測定用空気袋23の一方の径方向端部は、滑り板23gによって覆われている。当該滑り板23gは、測定時において血圧値測定用空気袋23の他方の径方向端部が当該一方の径方向端部にスムーズに乗り上げるようにするための部材であり、比較的硬質な部材にて構成されている。
【0080】
また、カーラ26は、第1収容袋28に収容されており、巻き付け用空気袋25は、第2収容袋29に収容されている。これら第1収容袋28および第2収容袋29は、カーラ26の滑りを向上させるための低摩擦部材に相当し、その材質としては、たとえば布地等が利用される。第1収容袋28と第2収容袋29とは、径方向に沿って積層されており、第1収容袋28が内側に第2収容袋29が外側に配置されている。
【0081】
第1収容袋28は、径方向外側に位置する外側布部材28aと、径方向内側に位置する内側布部材28bとを有しており、内部にカーラ26が収容される収容空間を含んでいる。第2収容袋29は、径方向外側に位置する外側布部材29aと、径方向内側に位置する内側布部材29bとを有しており、内部に巻き付け用空気袋25が収容される収容空間を含んでいる。
【0082】
これにより、樹脂プレート23fとカーラ26との間には、樹脂プレート23fの外周面を覆うように第1収容袋28の内側布部材28bが介装されることになり、カーラ26と巻き付け用空気袋25との間には、カーラ26の外周面を覆うように第1収容袋28の外側布部材28aが、また巻き付け用空気袋25の内周面を覆うように第2収容袋29の内側布部材29bが介装されることになる。なお、第2収容袋29の外側布部材29aは、外側シェル22aと巻き付け用空気袋25との間に介装されている。
【0083】
このように構成することにより、樹脂プレート23fと第1収容袋28とが摺動可能に接触するとともに、第1収容袋28とカーラ26とが摺動可能に接触することになり、樹脂プレート23fとカーラ26とが直接接触するように配置された場合に生じる摩擦抵抗の低減が図られる。また、このように構成することにより、第1収容袋28と第2収容袋29とが摺動可能に接触することになり、カーラ26と巻き付け用空気袋25とが直接接触するように配置された場合に生じる摩擦抵抗の低減が図られる。
【0084】
図16は、図11および図12に示す血圧情報測定装置の機能ブロックの構成を示す図である。次に、この図16を参照して、本実施の形態における血圧情報測定装置の機能ブロックの構成について説明する。
【0085】
図16に示すように、血圧情報測定装置1Bは、上述した血圧値測定用空気袋23、脈波測定用空気袋24、巻き付け用空気袋25、表示部42および操作部43に加え、第1圧力検出手段としての圧力センサ33A、第2圧力検出部としての圧力センサ33B、加減圧手段30Aとしての加圧ポンプ31Aおよび排気弁32A、第3圧力検出手段としての圧力センサ33C、付加加減圧手段30Cとしての加圧ポンプ31Cおよび排気弁32C、制御部としてのCPU40、記憶手段としてのメモリ部41、オリフィス50およびエア管71〜73を主として有している。
【0086】
このうち、血圧値測定用空気袋23、脈波測定用空気袋24、圧力センサ33A,33B、加減圧手段30A、表示部42、操作部43、オリフィス50およびエア管71,72の構成や機能等については、上述した本発明の実施の形態1における血圧情報測定装置1Aの場合と同様である。ただし、本実施の形態における血圧情報測定装置1Bにあっては、本体10とカフ20Bとが一体化された構成であるため、エア管71,72がそれぞれ直接圧力センサ33A,33B、加減圧手段30Aおよびオリフィス50に接続されている。
【0087】
付加加減圧手段30Cとしての加圧ポンプ31Cおよび排気弁32Cは、巻き付け用空気袋25を加減圧するためのものである。加圧ポンプ31Cは、CPU40からの指令を受けた加圧ポンプ駆動回路36Cによってその駆動が制御され、巻き付け用空気袋25に圧縮空気を導入することで巻き付け用空気袋25を加圧する。排気弁32Cは、CPU40からの指令を受けた排気弁駆動回路37Cによってその駆動が制御され、閉状態において巻き付け用空気袋25の内圧を維持し、開状態において巻き付け用空気袋25内の空気を排出することで巻き付け用空気袋25を減圧する。
【0088】
圧力センサ33Cは、巻き付け用空気袋25の内圧を検出するためのものである。圧力センサ33Cは、巻き付け用空気袋25の内圧を検出し、検出した内圧に応じた信号を増幅器38Cに対して出力する。増幅器38Cは、圧力センサ33Cから入力された信号を増幅し、増幅後の信号をA/D変換器39Cに対して出力する。A/D変換器39Cは、増幅器38Cから入力された増幅後の信号をアナログ信号からデジタル信号に変換し、変換後のデジタル信号をCPU40に対して出力する。
【0089】
エア管73は、巻き付け用空気袋25と、加圧ポンプ31C、排気弁32Cおよび圧力センサ33Cとを接続している。
【0090】
また、CPU40は、上述した本発明の実施の形態1における機能に加え、圧力センサ33Cにて検出された圧力の情報の入力を受け付けたり、加圧ポンプ31Cおよび排気弁32Cを駆動するための信号を生成してこれを出力したりする。
【0091】
図17は、図11および図12に示す血圧情報測定装置の測定動作を示すフローチャートであり、図18は、図11および図12に示すカフを上腕に装着した装着状態を示す模式図である。次に、これら図17および図18を参照して、本実施の形態における血圧情報測定装置の測定動作、カフの装着状態等について説明する。なお、図17に示すフローチャートに従った測定動作を実行するためのプログラムは、図16に示したメモリ部41に予め記憶されているものであり、CPU40がメモリ部41からこのプログラムを読み出して実行することにより当該フローチャートに示す測定動作が実現される。
【0092】
血圧情報測定装置1Bを使用して各種血圧情報を測定するに際しては、まず、図18に示すように、本体10上に位置するカフ20Bを回動させて当該カフ20Bを手前に倒し、カフ20Bに設けられた中空部に被験者の左手100を挿入し、当該挿入した左手100の肘を本体10に設けられた肘置き12に載置することで上腕101がカフ20Bの中空部内に位置するようにする。このとき、図示するように、脈波測定用空気袋24は、上腕101の中枢側(すなわち上腕101の肩側)に対応して位置することになる。次に、本体10の操作部43を被験者等が操作することにより、血圧情報測定装置1Bが測定動作を開始する。
【0093】
図17に示すように、測定動作の開始の指令をCPU40が受け付けると、CPU40は、各部の初期化を行なう(ステップS201)。具体的には、CPU40は、排気弁32Aおよび排気弁32Cを閉塞する。
【0094】
次に、CPU40は、加圧ポンプ31Cを駆動することにより、巻き付け用空気袋25の加圧を開始する(ステップS202)。
【0095】
次に、CPU40は、巻き付け用空気袋25の加圧が完了してカフ20Bの上腕に対する巻き付けが終了したか否かを判断し(ステップS203)、巻き付けが完了したと判断した場合(ステップS203においてYESの場合)に、加圧ポンプ31Cの駆動を停止し、加圧ポンプ31Aを駆動することにより、血圧値測定用空気袋23および脈波測定用空気袋24の加圧を開始する(ステップS204)。これにより、血圧値測定用空気袋23および脈波測定用空気袋24の内圧は、それぞれ上昇を始めることになる。この加圧過程において、CPU40は、最高血圧および最低血圧等の血圧値を算出するための圧力情報を取得する。具体的には、CPU40は、圧力センサ33Aから入力される圧力信号に基づいて当該圧力情報を取得する。
【0096】
次に、CPU40は、血圧値の測定が終了したか否かを判断し(ステップS205)、血圧値の測定が終了したと判断した場合(ステップS205においてYESの場合)に、脈波の測定を開始する(ステップS206)。具体的には、CPU40は、加圧ポンプ31Aの駆動を停止する。これにより、血圧値測定用空気袋23の内圧および脈波測定用空気袋24の内圧は、加圧ポンプ31Aの駆動を停止した時点でそれぞれ最高血圧よりも高い圧力に維持され、上腕の被装着部位において動脈が阻血されることになる。これ以降、阻血された動脈の中枢側端部に隣接する部分の動脈から皮下組織を介して伝播された脈波が、小容量の脈波測定用空気袋24において鋭敏に観察されるようになり、CPU40は、圧力センサ33Bから入力される信号に基づいて脈波を取得する。
【0097】
次に、CPU40は、脈波の測定が終了したか否かを判断し(ステップS207)、脈波の測定が終了したと判断した場合(ステップS207においてYESの場合)に、停止動作に移行する(ステップS208)。具体的には、CPU40は、停止動作に移行した場合に排気弁32Aおよび排気弁32Cを開放する。これにより、血圧値測定用空気袋23の内圧、脈波測定用空気袋24の内圧、および、巻き付け用空気袋25の内圧は、排気弁32Aおよび排気弁32Cを開放した時点においてそれぞれ下降を始め、大気圧に復帰する。
【0098】
次に、CPU40は、血圧値の算出および脈波解析を行なう(ステップS209)。具体的には、CPU40は、取得した上記圧力情報および上記脈波に基づいて、最高血圧、最低血圧および動脈硬化度を示す指標をそれぞれ算出する。
【0099】
次に、CPU40は、算出した最高血圧、最低血圧および動脈硬化度を示す指標を表示部42において表示する(ステップS210)。その際、CPU40は、当該測定結果をメモリ部41に対して出力してメモリ部41にこれを記憶させてもよい。当該測定結果が表示された後は、被験者はカフ20Bの中空部から上腕を引き抜く。以上により、一連の測定動作は終了し、本実施の形態における血圧情報測定装置1Bを使用しての各種血圧情報の測定が完了する。
【0100】
以上において説明した本実施の形態における血圧情報測定装置用カフ20Bおよびこれを備えた血圧情報測定装置1Bにあっても、カフ20Bの外装カバー22の内部に収容された血圧値測定用空気袋23および脈波測定用空気袋24等が上述した本発明の実施の形態における血圧情報測定装置用カフ20Aおよびこれを備えた血圧情報測定装置1Aと同様であるため、上述した本発明の実施の形態1において説明した効果と同様の効果が得られる。すなわち、上記構成を採用することにより、血圧情報を高精度に測定することが可能な血圧情報測定装置用カフおよびこれを備えた血圧情報測定装置とすることができる。
【0101】
なお、上述した本発明の実施の形態1および2においては、外装カバーに湾曲弾性板としてのカーラが内包された構成の血圧情報測定装置用カフおよびそれを備えた血圧情報測定装置を例示して説明を行なったが、当然にカーラを具備していない血圧情報測定装置用カフおよびそれを備えた血圧情報測定装置に本発明を適用することも可能である。
【0102】
また、上述した本発明の実施の形態2においては、血圧値測定用空気袋および脈波値測定用空気袋を上腕に対して付勢する手段として湾曲弾性板であるカーラを圧迫する巻き付け用空気袋を採用した場合を例示して説明を行なったが、上記付勢手段としては、この他にも、ベルト巻取り機構等、各種の手段を採用することができる。
【0103】
また、上述した本発明の実施の形態1および2においては、カフが装着される被装着部位として上腕が企図された血圧情報測定装置用カフおよびこれを備えた血圧情報測定装置に本発明を適用した場合を例示して説明を行なったが、身体の四肢のうちから選択されるいずれかの肢体に装着されて使用されることが企図された血圧情報測定装置用カフおよびこれを備えた血圧情報測定装置であれば、どのようなものにも本発明を適用することができる。
【0104】
さらには、上述した本発明の実施の形態1および2においては、最高血圧、最低血圧、動脈硬化度を示す指標等が取得可能な血圧情報測定装置およびこれに具備される血圧情報測定装置に本発明を適用した場合を例示して説明を行なったが、上記以外の血圧情報を取得するものであっても当然に本発明を適用することが可能であり、また血圧値を取得することなく脈波のみを測定するものや、当該測定された脈波に基づいて他の血圧情報を算出するものにも当然に本発明を適用することが可能である。
【0105】
このように、今回開示した上記各実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではない。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲によって画定され、また特許請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものである。
【符号の説明】
【0106】
1A,1B 血圧情報測定装置、10 本体、11 ケーシング、12 肘置き、20A,20B 血圧情報測定装置用カフ、21 外装カバー、21A,21B 面ファスナ、21a 外側カバー、21b 内側カバー、22 外装カバー、22a 外側シェル、22b 内側カバー、22c 把手、22d 開錠ボタン、23 血圧値測定用空気袋、23A 第1袋体、23B 第2袋体、23a 外側シート部材、23b 内側シート部材、23b1 連通孔、23c 最内側シート部材、23d 膨縮空間、23d1 第1膨縮空間、23d2 第2膨縮空間、23e1,23e2 溶着ライン、23f 樹脂プレート、23g 滑り板、24 脈波測定用空気袋、24a 外側シート部材、24b 内側シート部材、24d 膨縮空間、24e 溶着ライン、25 巻き付け用空気袋、25a 外側シート部材、25b 内側シート部材、25d 膨縮空間、26 カーラ、27 クッション材、28 第1収容袋、28a 外側布部材、28b 内側布部材、29 第2収容袋、29a 外側布部材、29b 内側布部材、30A 加減圧手段、30C 付加加減圧手段、31A,31C 加圧ポンプ、32A,32C 排気弁、33A〜33C 圧力センサ、36A,36C 加圧ポンプ駆動回路、37A,37C 排気弁駆動回路、38A〜38C 増幅器、39A〜39C A/D変換器、40 CPU、41 メモリ部、42 表示部、43 操作部、50 オリフィス、70〜73 エア管、100 左手、101 上腕。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体が出入りすることによって膨縮する大容量の第1流体袋および小容量の第2流体袋を備え、被装着部位に巻き付けられた装着状態において略環状の形態をとる血圧情報測定装置用カフであって、
前記第1流体袋は、前記装着状態において径方向外側に位置し、内部に第1膨縮空間を有する幅広の第1袋体と、前記装着状態において前記第1袋体よりも径方向内側に位置し、内部に第2膨縮空間を有する幅狭の第2袋体とを含み、
前記第1膨縮空間と前記第2膨縮空間とは、前記第1袋体と前記第2袋体との間に設けられた連通孔を介して連通し、
前記第2流体袋は、前記装着状態において前記第1袋体よりも径方向内側に位置し、前記第2袋体が位置しない部分において前記第1流体袋に積層されている、血圧情報測定装置用カフ。
【請求項2】
前記第1袋体は、前記装着状態において径方向外側に位置する外側シート部材および径方向内側に位置する内側シート部材を有し、
前記第2袋体は、前記第1袋体の前記内側シート部材に単層のシート部材を重ね合わせ、その周縁を前記内側シート部材に接合することによって形成され、
前記内側シート部材の前記第2膨縮空間に面する部分に前記連通孔が設けられている、請求項1に記載の血圧情報測定装置用カフ。
【請求項3】
前記第2袋体の一部となる前記単層のシート部材が、前記第1袋体の前記内側シート部材よりも高伸縮性である、請求項2に記載の血圧情報測定装置用カフ。
【請求項4】
前記第2流体袋は、前記装着状態において径方向外側に位置する外側シート部材および径方向内側に位置する内側シート部材を有し、
前記第2流体袋の前記内側シート部材が、前記第1流体袋の前記内側シート部材よりも高伸縮性である、請求項2または3に記載の血圧情報測定装置用カフ。
【請求項5】
前記第2流体袋が、前記第1袋体の幅方向の一端部に沿って延在して設けられている、請求項1から4のいずれかに記載の血圧情報測定装置用カフ。
【請求項6】
前記第1袋体に生じる振動が前記第2流体袋に伝播することを防止するとともに、前記第2流体袋に生じる振動が前記第1袋体に伝播することを防止する振動遮断部材をさらに備え、
前記振動遮断部材が、前記第1袋体と前記第2流体袋との間に介装されている、請求項1から5のいずれかに記載の血圧情報測定装置用カフ。
【請求項7】
請求項1から6のいずれかに記載の血圧情報測定装置用カフと、
前記第1流体袋の内圧を検出する第1圧力検出部と、
前記第2流体袋の内圧を検出する第2圧力検出部と、
前記第1圧力検出部によって検出された圧力に基づいて血圧値を取得する血圧値取得部と、
前記第2圧力検出部によって検出された圧力に基づいて脈波を取得する脈波取得部とを備えた、血圧情報測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2012−200410(P2012−200410A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−67788(P2011−67788)
【出願日】平成23年3月25日(2011.3.25)
【出願人】(503246015)オムロンヘルスケア株式会社 (584)
【Fターム(参考)】