説明

血圧情報測定装置用カフおよびこれを備えた血圧情報測定装置

【課題】使用者が特別な注意を払わずとも自然にカフを正しく装着することができる血圧計用カフを提供する。
【解決手段】血圧計用カフ100Aは、帯状の形態を有し、上腕220に巻き付けられて使用されるものであって、空気袋と外装カバー110とを備えている。空気袋は、上腕220を圧迫するためのものであり、外装カバー110は、空気袋を内包する柔軟性を呈した部材にて構成される。装着状態において上腕220の末梢側に配置されるべき外装カバー110の端部には、錘部160が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血圧情報の測定に際して上腕に装着されて使用される血圧情報測定装置用カフおよびこれを備えた血圧情報測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
血圧情報を測定することは、健康状態を知る上で非常に重要なことである。近年においては、たとえば脳卒中や心不全、心筋梗塞等の心血管系疾患のリスク解析に資する代表的な指標としてその有用性が広く認められている最高血圧、最低血圧等を測定することに限られず、脈波を測定すること等によって心臓負荷や動脈硬化度等を捉える試み等もなされている。
【0003】
血圧情報測定装置は、これら血圧情報を測定するための装置であり、循環器系疾患の早期発見や予防、治療等の分野においてさらなる活用が期待されている。なお、血圧情報には、最高血圧、最低血圧、平均血圧、脈波、脈拍、動脈硬化度を示す各種指標等、循環器系の種々の情報が広く含まれる。
【0004】
特に、家庭において血圧情報を測定することは、安定した環境下で毎日同じ時刻に長期間にわたって継続的にその測定が行なえるため、医療の現場においても家庭での血圧情報の測定を重視する傾向にある。たとえば、家庭での最高血圧および最低血圧の測定(以下、血圧測定)は、心血管系疾患の予測に非常に有用であることが判明しており、家庭用の血圧計が近年広く普及している。
【0005】
一般に、血圧情報の測定には、血圧情報測定装置用カフ(以下、単にカフとも称する)が利用される。ここで、カフとは、内空を有する流体袋を含む帯状または筒状の構造物であって生体の一部に装着が可能なものを意味し、気体や液体等の流体を上記内空に注入することによって流体袋を膨張させて動脈を圧迫することで血圧情報の測定に利用されるもののことを指す。
【0006】
血圧情報をより高精度に測定するためには、カフが正しく上腕に装着されていることが必要である。通常、カフに内包された流体袋は、上腕に装着された状態においてその巻き付け方向の中央部において最も大きく膨張するため、当該部分が動脈の圧迫に最も寄与することになる。そのため、血圧情報測定装置は、カフの上記部分が上腕を走行する動脈の直上に配置されることを前提にその設計がなされている場合が多い。したがって、上腕に対するカフの装着位置や向きが予定されたものと違った場合には、動脈を十分に圧迫することができず、血圧情報の測定精度が低下してしまうことになる。
【0007】
上述した家庭用の血圧計においては、使用者の殆どが医療従事者ではないため、必ずしもカフの装着が適正に行なわれないことが問題となる。そのため、カフが正しく上腕に装着されるように様々な工夫が従来なされている。
【0008】
たとえば、実開昭60−81506号公報(特許文献1)には、上腕に装着されるカフと血圧計本体とを一体化し、カフが装着される腕の肘に宛がわれるべき位置決め用の凹部を血圧計本体の所定位置に設けることにより、カフの装着が正しく促されるように構成された血圧計が開示されている。
【0009】
また、特開2007−275483号公報(特許文献2)には、カフが装着される腕の肘や脇等によって挟み込まれるべき仮保持用の突出舌片を上腕に装着されるカフに設けることにより、カフの装着が正しく促されるように構成された血圧計用カフが開示されている。
【0010】
さらには、特開2007−275484号公報(特許文献3)には、流体袋の所定位置に位置決め用の目印を設けるとともに、当該位置決め用の目印が外部から視認可能となるように上腕に装着されるカフに窓部を設けることにより、カフの装着が正しく促されるように構成された血圧計用カフが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】実開昭60−81506号公報
【特許文献2】特開2007−275483号公報
【特許文献3】特開2007−275484号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、上記特許文献1ないし3に開示された血圧計または血圧計用カフは、いずれも血圧計本体やカフに位置決め用の凹所や目印あるいは仮保持用の突出舌片等の視認可能な特徴部位を設けた構成のものであり、当該特徴部位が設けられた意味を理解してはじめてカフの装着が正しく促されるものである。したがって、使用者によってはその意味が理解できず、これを利用して正しくカフが装着できないケースもあり、根本的な意味においてその解決が完全に図られているとは言えない状況にある。
【0013】
したがって、本発明は、上述した問題点を解決すべくなされたものであり、使用者が特別な注意を払わずとも自然にカフを正しく装着することができる血圧情報測定装置用カフおよびこれを備えた血圧情報測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の第1の局面に基づく血圧情報測定装置用カフは、帯状の形態を有し、上腕に巻き付けられて使用されるものであって、流体袋と帯状外装体とを備えている。上記流体袋は、上腕を圧迫するためのものであり、上記帯状外装体は、上記流体袋を内包し、柔軟性を呈している。装着状態において上腕の末梢側に配置されるべき上記帯状外装体の端部には、錘部が設けられている。
【0015】
上記本発明の第1の局面に基づく血圧情報測定装置用カフにあっては、上記錘部が、上記帯状外装体の長手方向に沿って延在して設けられていることが好ましく、その場合に、上記錘部が、任意の形状に変形することが可能であることが好ましい。
【0016】
上記本発明の第1の局面に基づく血圧情報測定装置用カフにあっては、上記錘部が、上記帯状外装体の長手方向に沿って断続的に複数設けられていてもよい。
【0017】
本発明の第2の局面に基づく血圧情報測定装置用カフは、筒状の形態を有し、上腕が挿入されて使用されるものであって、流体袋と筒状外装体とを備えている。上記流体袋は、上腕を圧迫するためのものであり、上記筒状外装体は、上記流体袋を内包し、その外周部が非柔軟性を呈している。装着状態において上腕の末梢側に配置されるべき上記筒状外装体の軸方向端部には、錘部が設けられている。
【0018】
上記本発明の第2の局面に基づく血圧情報測定装置用カフにあっては、上記錘部が、上記筒状外装体の周方向に沿って延在して設けられていることが好ましい。
【0019】
上記本発明の第2の局面に基づく血圧情報測定装置用カフにあっては、上記錘部が、上記筒状外装体の周方向に沿って断続的に複数設けられていてもよい。
【0020】
本発明の第3の局面に基づく血圧情報測定装置用カフは、筒状の形態を有し、上腕が挿入されて使用されるものであって、流体袋と筒状外装体とを備えている。上記流体袋は、上腕を圧迫するためのものであり、上記筒状外装体は、上記流体袋を内包し、その外周部が非柔軟性を呈している。上記筒状外装体をその軸線を含む平面で二分した場合に、装着状態において鉛直下方に配置されるべき上記筒状外装体の下部側部分には、錘部が設けられている。
【0021】
上記本発明の第3の局面に基づく血圧情報測定装置用カフにあっては、上記錘部が、上記筒状外装体の軸方向に沿って延在して設けられていることが好ましい。
【0022】
上記本発明の第3の局面に基づく血圧情報測定装置用カフにあっては、上記錘部が、上記筒状外装体の軸方向に沿って断続的に複数設けられていてもよい。
【0023】
上記本発明の第3の局面に基づく血圧情報測定装置用カフにあっては、装着状態において鉛直上方に配置されるべき上記筒状外装体の上部側部分に、把手部、操作部および表示部のうちの少なくともいずれかが設けられていることが好ましい。
【0024】
本発明の第4の局面に基づく血圧情報測定装置用カフは、筒状の形態を有し、上腕が挿入されて使用されるものであって、流体袋と筒状外装体とを備えている。上記流体袋は、上腕を圧迫するためのものであり、上記筒状外装体は、上記流体袋を内包し、その外周部が非柔軟性を呈している。上記筒状外装体をその軸線を含む平面で二分した場合に、装着状態において鉛直下方に配置されるべき上記筒状外装体の下部側部分であってかつ上腕の末梢側に配置されるべき軸方向端部には、錘部が設けられている。
【0025】
本発明に基づく血圧情報測定装置は、上述したいずれかの血圧情報測定装置用カフを備えている。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、使用者が特別な注意を払わずとも自然にカフを正しく装着することができる血圧情報測定装置用カフおよびこれを備えた血圧情報測定装置とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施の形態1における血圧計用カフおよびこれを備えた血圧計の概略斜視図である。
【図2】図1に示す血圧計の機能ブロックの構成を示す図である。
【図3】図1に示す血圧計用カフの模式展開図である。
【図4】図1に示す血圧計用カフの模式断面図である。
【図5】図1に示す血圧計用カフを上腕に装着した状態を示す図である。
【図6】図1に示す血圧計の制御部の動作フローを示す図である。
【図7】本発明の実施の形態1に従った変形例に係る血圧計用カフの模式展開図である。
【図8】本発明の実施の形態2における血圧計用カフの概略斜視図である。
【図9】図8に示す血圧計用カフの模式展開図である。
【図10】図8に示す血圧計用カフの模式断面図である。
【図11】図8に示す血圧計用カフを上腕に装着した状態を示す図である。
【図12】本発明の実施の形態3における血圧計用カフおよびこれを備えた血圧計の概略斜視図である。
【図13】図12に示す血圧計の機能ブロックの構成を示す図である。
【図14】図12に示す血圧計用カフの模式断面図である。
【図15】図12に示す血圧計用カフを上腕に装着した状態を示す図である。
【図16】図12に示す血圧計の制御部の動作フローを示す図である。
【図17】本発明の実施の形態3に従った変形例に係る血圧計用カフの概略斜視図である。
【図18】本発明の実施の形態4における血圧計用カフの概略斜視図である。
【図19】図18に示す血圧計用カフの模式断面図である。
【図20】図18に示す血圧計用カフを上腕に装着した状態を示す図である。
【図21】本発明の実施の形態4に従った第1変形例に係る血圧計用カフの概略斜視図である。
【図22】本発明の実施の形態4に従った第2変形例に係る血圧計用カフの概略斜視図である。
【図23】本発明の実施の形態4に従った第3変形例に係る血圧計用カフの概略斜視図である。
【図24】本発明の実施の形態4に従った第4変形例に係る血圧計用カフの概略斜視図である。
【図25】本発明の実施の形態4に従った第5変形例に係る血圧計用カフの概略斜視図である。
【図26】本発明の実施の形態4に従った第6変形例に係る血圧計用カフの概略斜視図である。
【図27】本発明の実施の形態5における血圧計用カフの概略斜視図である。
【図28】本発明の実施の形態5に従った変形例に係る血圧計用カフの概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施の形態について、図を参照して詳細に説明する。以下に示す実施の形態においては、血圧情報測定装置用カフおよびこれを備えた血圧情報測定装置として、上腕に装着されて使用される血圧計用カフおよびこれを備えた血圧計を例示して説明を行なう。なお、以下に示す実施の形態においては、同一または共通する部分に図中同一の符号を付し、その説明は繰り返さない。
【0029】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における血圧計用カフおよびこれを備えた血圧計の概略斜視図である。また、図2は、図1に示す血圧計の機能ブロックの構成を示す図である。まず、これら図1および図2を参照して、本発明の実施の形態1における血圧計1Aの外観構造および機能ブロックの構成について説明する。
【0030】
図1に示すように、本実施の形態における血圧計1Aは、本体10Aと、カフ100Aと、エア管50とを備えている。本体10Aは、箱状の筐体を有しており、その上面に表示部21および操作部23が設けられている。本体10Aは、測定時においてテーブル等の載置面に載置されて使用される。カフ100Aは、帯状外装体としての外装カバー110と、リング状部材115と、測定用空気袋130(図2ないし図4参照)とを主として有しており、全体として帯状の形態を有している。カフ100Aは、測定時において上腕に巻き付けられて装着されることで使用される。エア管50は、分離して構成された本体10Aとカフ100Aとを接続している。
【0031】
図2に示すように、本体10Aは、上述した表示部21および操作部23に加え、制御部20と、メモリ部22と、電源部24と、加圧ポンプ31と、排気弁32と、圧力センサ33と、加圧ポンプ駆動回路34と、排気弁駆動回路35と、発振回路36とを有している。加圧ポンプ31、排気弁32および圧力センサ33は、血圧計1Aに具備される測定用エア系コンポーネント30に相当し、特に加圧ポンプ31および排気弁32は、測定用空気袋130を膨張および収縮させるための膨縮機構に相当する。
【0032】
測定用空気袋130は、装着状態において上腕を圧迫するための流体袋であり、その内部に内空としての膨縮空間133(図4参照)を有している。測定用空気袋130は、上述したエア管50を介して上述した測定用エア系コンポーネント30である加圧ポンプ31、排気弁32および圧力センサ33のそれぞれに接続されている。
【0033】
制御部20は、たとえばCPU(Central Processing Unit)にて構成され、血圧計1Aの全体を制御するための手段である。メモリ部22は、たとえばROM(Read-Only Memory)やRAM(Random-Access Memory)にて構成され、血圧測定のための処理手順を制御部20等に実行させるためのプログラムを記憶したり、測定結果等を記憶したりするための手段である。表示部21は、たとえばLCD(Liquid Crystal Display)にて構成され、測定結果等を表示するための手段である。操作部23は、使用者による操作を受付けてこの外部からの命令を制御部20や電源部24に入力するための手段である。電源部24は、制御部20に電源としての電力を供給するための手段である。
【0034】
制御部20は、加圧ポンプ31および排気弁32を駆動するための制御信号を加圧ポンプ駆動回路34および排気弁駆動回路35にそれぞれ入力したり、測定結果としての血圧値をメモリ部22や表示部21に入力したりする。また、制御部20は、圧力センサ33によって検出された圧力値に基づいて使用者の血圧値を取得する血圧情報取得部(不図示)を含んでおり、この血圧情報取得部によって取得された血圧値が、測定結果として上述したメモリ部22や表示部21に入力される。なお、血圧計1Aは、測定結果としての血圧値を外部の機器(たとえばPC(Personal Computer)やプリンタ等)に出力する出力部を別途有していてもよい。出力部としては、たとえばシリアル通信回線や各種の記録媒体への書き込み装置等が利用可能である。
【0035】
加圧ポンプ駆動回路34は、制御部20から入力された制御信号に基づいて加圧ポンプ31の動作を制御する。排気弁駆動回路35は、制御部20から入力された制御信号に基づいて排気弁32の開閉動作を制御する。加圧ポンプ31は、測定用空気袋130の膨縮空間133に空気を供給することにより測定用空気袋130の内部の圧力(以下、「カフ圧」とも称する)を加圧するためのものであり、その動作が上述した加圧ポンプ駆動回路34によって制御される。排気弁32は、測定用空気袋130の内部の圧力を維持したり、測定用空気袋130の膨縮空間133を外部に開放してカフ圧を減圧したりするためのものであり、その動作が上述した排気弁駆動回路35によって制御される。圧力センサ33は、静電容量型のセンサであり、測定用空気袋130の内部の圧力に応じてその静電容量が変化する。発振回路36は、圧力センサ33の静電容量に応じた発振周波数の信号を生成し、生成した信号を制御部20に入力する。
【0036】
図3は、図1に示す血圧計用カフの模式展開図であり、図4は、模式断面図である。次に、これら図3および図4を参照して、本実施の形態における血圧計用カフ100Aの具体的な構造について説明する。
【0037】
図3および図4に示すように、本実施の形態における血圧計用カフ100Aは、エア管50に接続された測定用空気袋130と、この測定用空気袋130を内包する帯状外装体としての外装カバー110とを有している。図3に示すように、カフ100Aを展開した状態においては、測定用空気袋130が平面視略矩形状の外形を有しており、外装カバー110がこの測定用空気袋130を内包する平面視略矩形状の外形を有している。
【0038】
図4に示すように、測定用空気袋130は、好適には樹脂シートを用いて形成された袋状の部材からなる。具体的には、測定用空気袋130は、カフ100Aを上腕に巻き付けた状態において上腕側に位置することとなる内側シート部材131と、カフ100Aを上腕に巻き付けた状態において内側シート部材131の外側に位置することとなる外側シート部材132とを有しており、内部に上述した膨縮空間133を有している。測定用空気袋130は、内側シート部材131と外側シート部材132とが重ね合わされてその周縁が溶着されることによって袋状に形成されている。
【0039】
測定用空気袋130を構成する樹脂シートとしては、伸縮性に富んでおり溶着後において膨縮空間133からの漏気がない材質のものであればどのようなものでも利用が可能である。このような観点から、樹脂シートとしては、たとえばエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)樹脂や、軟質塩化ビニル(PVC)樹脂、ポリウレタン(PU)樹脂、ポリアミド(PA)樹脂等からなるものが好適に利用できる。
【0040】
また、図4に示すように、外装カバー110は、カフ100Aを上腕に巻き付けた状態において上腕側に位置することとなる内側カバー部材111と、カフ100Aを上腕に巻き付けた状態において内側カバー部材111の外側に位置することとなる外側カバー部材112とを有しており、内部に上述した測定用空気袋130等を収容するための収容空間を有している。外装カバー110は、内側カバー部材111と外側カバー部材112とが重ね合わされてその周縁が結合されることによって袋状に形成されている。
【0041】
外装カバー110は、柔軟性を呈しており、好適にはポリアミド(PA)樹脂やポリエステル樹脂等の合成繊維からなる布地によって構成される。また、上述した内側カバー部材111と外側カバー部材112との結合には、たとえば溶着や縫合等が利用される。ここで、図3においては、当該結合部位を符号113にて示している。なお、内側カバー部材111は、伸縮性に優れた部材にて構成されていることが好ましく、外側カバー部材112は、上記内側カバー部材111よりも伸縮性に乏しい部材にて構成されていることが好ましい。
【0042】
図3に示すように、外装カバー110の長手方向の一方端には、リング状部材115が取り付けられている。リング状部材115は、カフ100Aの上腕への巻き付け固定の際に補助具として機能するものであり、外装カバー110の長手方向の他方端がこのリング状部材115に挿入されて折り返されることにより、カフ100Aの上腕への巻き付けが可能となる。
【0043】
また、図3に示すように、外装カバー110の上記他方端近傍の外周面には、面ファスナ114が設けられている。面ファスナ114は、カフ100Aを上腕に装着した状態において、外装カバー110の外周面の所定位置に係止されることで、カフ100Aの上腕に対する巻き付け状態を維持するための係止手段として機能するものである。
【0044】
図3および図4に示すように、本実施の形態における血圧計用カフ100Aにあっては、装着状態において上腕の末梢側に配置されることとなる外装カバー110の末梢側端部の近傍に、錘部160が設けられている。当該錘部160は、外装カバー110の長手方向に沿って延在して設けられており、好適には任意の形状に変形することが可能な自在変形部材にて構成される。
【0045】
錘部160は、カフ100Aを構成する他の部材よりも比重の大きい重み部材を含んでいる。重み部材としては、上述した自在変形性を確保するために、液体、軟性固体、固体粒子の集合物、またはこれらの混合物が利用され、好適には水等の液体や軟性金属の成形品、砂や金属等の固体粒子(粉体)の集合物、またはこれらの混合物等が利用される。なお、液体や固定粒子の集合物を重み部材として利用する場合には、これら重み部材を封入体にて封入することが好ましい。
【0046】
なお、錘部160の外装カバー110に対する固定方法としては、特に制限されるものではなく、図4に示すように、外装カバー110の収容空間内に錘部160を配置してこれを外装カバー110に固定することとしてよいし、外装カバー110の外部に錘部160を配置してこれを外装カバーに固定することとしてもよい。また、錘部160は、直接外装カバー110に固定してもよいし、外装カバー110にポケット部を設けて当該ポケット部内に挿入配置されていてもよい。
【0047】
図5は、図1に示す血圧計用カフを上腕に装着した状態を示す図である。次に、この図5を参照して、本実施の形態における血圧計用カフ100Aを実際に血圧測定のために上腕に装着した状態について説明する。
【0048】
図5に示すように、本実施の形態における血圧計用カフ100Aは、使用者200のたとえば左腕210の上腕220に装着された状態で使用される。当該装着状態においては、外装カバー110のリング状部材115によって折り返された部分が外装カバー110の上腕に巻き付けられた部分に面ファスナ114によって固定されることでカフ100Aの巻き付け状態が維持されており、これによりカフ100Aが上腕220に固定的に装着されている。
【0049】
その際、外装カバー110の錘部160が設けられた末梢側端部が、上腕220の肘側の位置に配置されることになり、外装カバー110の錘部160が設けられていない中枢側端部が、上腕220の肩側の位置に配置されることになる。本実施の形態における血圧計1Aにあっては、当該装着状態において、後述する図6に示した処理手順が実行されることで血圧測定が行なわれる。
【0050】
図6は、本実施の形態における血圧計の処理の流れを示すフローチャートである。次に、この図6を参照して、本実施の形態における血圧計1Aの処理の流れについて説明する。なお、このフローチャートに従うプログラムは、メモリ部22に予め記憶されており、制御部20がメモリ部22からこのプログラムを読み出して実行することにより、その処理が実行されるものである。
【0051】
血圧値を測定する際には、使用者は予めカフ100Aを上腕に巻き付けて装着し、この状態において本体10Aに設けられた操作部23を操作して血圧計1Aの電源をオンにする。これにより、電源部24から制御部20に対して電源としての電力が供給されて制御部20が駆動する。図6に示すように、制御部20は、その駆動後において、まず血圧計1Aの初期化を行なう(ステップS101)。
【0052】
次に、制御部20は、使用者の測定開始の指示を待ち、使用者が測定開始の指示を操作部23を操作することによって与えた場合に、排気弁32を閉塞させるとともに加圧ポンプ31の駆動を開始し、測定用空気袋130のカフ圧を徐々に上昇させる(ステップS102)。
【0053】
この測定用空気袋130を加圧する過程において、制御部20は、公知の手順で最高血圧および最低血圧を算出する(ステップS103)。具体的には、制御部20は、測定用空気袋130のカフ圧を加圧する過程において発振回路36から得られる発振周波数よりカフ圧を取得し、取得したカフ圧に重畳した脈波情報を抽出する。そして、制御部20は、抽出された脈波情報に基づいて血圧値を算出する。
【0054】
ステップS103において血圧値が算出されると、制御部20は、排気弁32を開放することで測定用空気袋130の膨縮空間133内の空気を完全に排気し(ステップS104)、測定結果としての血圧値を表示部21に表示するとともに、当該血圧値をメモリ部22に格納する(ステップS105)。
【0055】
その後、制御部20は、使用者の電源オフの指令を待ってその動作を終了する。なお、以上において説明した測定方式は、測定用空気袋130の加圧時に脈波を検出するいわゆる加圧測定方式に基づいたものであるが、測定用空気袋130の減圧時に脈波を検出するいわゆる減圧測定方式を採用することも当然に可能である。
【0056】
以上において説明した本実施の形態における血圧計用カフ100Aおよびこれを備えた血圧計1Aにあっては、カフ100Aの所定位置に錘部160を設けることによってカフ100Aに所定の重量配分が付与されている。したがって、カフ100Aの装着に際して使用者200がカフ100Aを手で持った際に、使用者200がカフ100Aの重量の偏りを感じることにより、正しいカフ100Aの装着方向に使用者200が誘導されることになり、向きを誤って使用者200がカフ100Aを装着することが未然に防止できることになる。
【0057】
したがって、上記構成を採用することにより、視認可能な特徴部位をカフに設けた場合とは異なり、使用者が特別の注意を払わずとも自然にカフの誤装着の防止が図られることになり、正しいカフの装着が促されて高精度の血圧測定が実現可能となる。
【0058】
図7は、本実施の形態に従った変形例に係る血圧計用カフの模式展開図である。次に、この図7を参照して、本実施の形態に従った変形例に係る血圧計用カフ100Bについて説明する。
【0059】
図7に示すように、本変形例に係る血圧計用カフ100Bにあっては、上述した本実施の形態における血圧計用カフ100Aの場合と同様に、装着状態において上腕の末梢側に配置されることとなる外装カバー110の末梢側端部の近傍に、錘部160が設けられている。ここで、本変形例に係る血圧計用カフ100Bにあっては、当該錘部160が外装カバー110の長手方向に沿って断続的に複数設けられている。
【0060】
本変形例に係る血圧計用カフ100Bにあっては、錘部160に含まれる重み部材として、上述した液体、軟性固体、固体粒子の集合物、またはこれらの混合物の他にも、非軟性固体の利用が可能であり、好適には非軟性金属の成形品等が利用できる。これは、錘部160を複数の部材に分割して配置することで、カフ100Bを上腕に巻き付けて装着させる際に、カフ100Bの変形が錘部160によって殆ど阻害されないようにすることができるためであり、このように構成することによって上述した本実施の形態における血圧計用カフ100Aとした場合と同様の効果を得ることができる。
【0061】
(実施の形態2)
図8は、本発明の実施の形態2における血圧計用カフの概略斜視図である。また、図9は、図8に示す血圧計用カフの模式展開図であり、図10は、模式断面図である。次に、これら図8および図9を参照して、本発明の実施の形態2における血圧計用カフ100Cの具体的な構造について説明する。なお、本実施の形態における血圧計用カフ100Cは、上述した本発明の実施の形態1における血圧計用カフ100Aと代替可能に上述した本発明の実施の形態1における血圧計1Aに具備可能なものである。
【0062】
図8ないし図10に示すように、本実施の形態における血圧計用カフ100Cは、外装カバー110と、カーラ140と、測定用空気袋130とを主として有しており、帯状かつ環状の形態を有している。カフ100Cは、測定時において上腕に巻き付けて装着されることで使用される。
【0063】
図9および図10に示すように、本実施の形態における血圧計用カフ100Cにあっては、上述したカーラ140が外装カバー110の内部であってかつ測定用空気袋130の外側の位置に配置されている。カーラ140は、径方向に弾性変形可能に構成された可撓性の部材からなり、外力が加えられていない状態において環状の形態を有する湾曲弾性板にて構成されている。カーラ140は、測定用空気袋130の外周面に図示しない両面テープ等の接着部材を介して接着固定されており、自身の環状形態を維持することによって上腕に沿うように構成されている。
【0064】
図9に示すように、カフ100Cを展開した状態においては、カーラ140が平面視略矩形状の形状を有しており、測定用空気袋130を覆うように外装カバー110の収容空間に収容されている。なお、外装カバー110の面ファスナ114が設けられていない側の一方端には、カーラ140は達していない。
【0065】
このカーラ140は、使用者自身によってカフ100Cを上腕に装着し易くするためのものであるとともに、カフ100Cの上腕への装着状態において測定用空気袋130を上腕側に向けて付勢するためのものである。そのため、本実施の形態における血圧計用カフ100Cにおいては、上述したリング状部材115を設けずとも、カフ100Cを容易に上腕に装着することが可能である。なお、カーラ140は、十分な弾性力を発現するように、好適にはポリプロピレン(PP)樹脂等からなる部材にて構成される。
【0066】
ここで、図9および図10に示すように、本実施の形態における血圧計用カフ100Cにあっても、装着状態において上腕の末梢側に配置されることとなる外装カバー110の末梢側端部の近傍に、錘部160が設けられている。当該錘部160は、外装カバー110の長手方向に沿って延在して設けられるように上述したカーラ140に接着等によって固定されており、好適には任意の形状に変形することが可能な自在変形部材にて構成される。
【0067】
図11は、図8に示す血圧計用カフを上腕に装着した状態を示す図である。次に、この図11を参照して、本実施の形態における血圧計用カフ100Cを実際に血圧測定のために上腕に装着した状態について説明する。
【0068】
図11に示すように、本実施の形態における血圧計用カフ100Cは、使用者200のたとえば左腕210の上腕220に装着された状態で使用される。当該装着状態においては、外装カバー110のカーラ140が収容されていない部分が外装カバー110のカーラ140が収容された部分でありかつ上腕に巻き付けられた部分に面ファスナ114によって固定されることでカフ100Cの巻き付け状態が維持されており、これによりカフ100Cが上腕220に固定的に装着されている。
【0069】
その際、外装カバー110の錘部160が設けられた末梢側端部が、上腕220の肘側の位置に配置されることになり、外装カバー110の錘部160が設けられていない中枢側端部が、上腕220の肩側の位置に配置されることになる。
【0070】
以上において説明した本実施の形態における血圧計用カフ100Cおよびこれを備えた血圧計1Aにあっては、カフ100Cの所定位置に錘部160を設けることによってカフ100Cに所定の重量配分が付与されている。したがって、カフ100Cの装着に際して使用者200がカフ100Cを手で持った際に、使用者200がカフ100Cの重量の偏りを感じることにより、正しいカフ100Cの装着方向に使用者200が誘導されることになり、向きを誤って使用者200がカフ100Cを装着することが未然に防止できることになる。
【0071】
したがって、上記構成を採用することにより、視認可能な特徴部位をカフに設けた場合とは異なり、使用者が特別の注意を払わずとも自然にカフの誤装着の防止が図られることになり、正しいカフの装着が促されて高精度の血圧測定が実現可能となる。
【0072】
なお、本実施の形態の如くカーラを備えた血圧計用カフとする場合にも、上述した本発明の実施の形態に従った変形例の如く、錘部を分割して配置することも当然に可能である。
【0073】
(実施の形態3)
図12は、本発明の実施の形態3における血圧計用カフおよびこれを備えた血圧計の概略斜視図である。また、図13は、図12に示す血圧計の機能ブロックの構成を示す図である。次に、これら図12および図13を参照して、本発明の実施の形態3における血圧計1Bの外観構造および機能ブロックの構成について説明する。
【0074】
図12に示すように、本実施の形態における血圧計1Bは、本体10Bと、カフ100Dと、エア管50,51とを備えている。本体10Bの外観は、上述した本発明の実施の形態1におけるそれと同様である。カフ100Dは、筒状外装体としての外装カバー120と、測定用空気袋130および固定用空気袋150(図13および図14参照)と、カーラ140(図13および図14参照)とを主として有しており、全体として筒状の形態を有している。カフ100Dは、測定時においてその内部に形成された中空部123に上腕が挿入されて装着されることで使用され、その外周面の所定位置に把手部124を有している。
【0075】
図13に示すように、本体10Bは、上述した本発明の実施の形態1における血圧計1Aの本体10Aに具備されていた構成に加え、さらに加圧ポンプ41と、排気弁42と、圧力センサ43と、加圧ポンプ駆動回路44と、排気弁駆動回路45と、発振回路46とを有している。加圧ポンプ41、排気弁42および圧力センサ43は、血圧計1Bに具備される固定用エア系コンポーネント40に相当し、特に加圧ポンプ41および排気弁42は、固定用空気袋150を膨張および収縮させるための膨縮機構に相当する。
【0076】
固定用空気袋150は、カーラ140を圧迫することでカーラ140および測定用空気袋130を上腕に固定するための流体袋であり、その内部に内空としての膨縮空間153(図14参照)を有している。固定用空気袋150は、上述したエア管51を介して上述した固定用エア系コンポーネント40である加圧ポンプ41、排気弁42および圧力センサ43のそれぞれに接続されている。
【0077】
制御部20は、上述した本発明の実施の形態1において説明した機能に加え、加圧ポンプ41および排気弁42を駆動するための制御信号を加圧ポンプ駆動回路44および排気弁駆動回路45にそれぞれ入力したり、圧力センサ43によって検出された圧力値に基づいてカーラ140の上腕に対する固定状態を判別したりする機能をさらに備えている。
【0078】
加圧ポンプ駆動回路44は、制御部20から入力された制御信号に基づいて加圧ポンプ41の動作を制御する。排気弁駆動回路45は、制御部20から入力された制御信号に基づいて排気弁42の開閉動作を制御する。加圧ポンプ41は、固定用空気袋150の膨縮空間153に空気を供給することにより固定用空気袋150の内部の圧力を加圧するためのものであり、その動作が上述した加圧ポンプ駆動回路44によって制御される。排気弁42は、固定用空気袋150の内部の圧力を維持したり、固定用空気袋150の膨縮空間153を外部に開放して内圧を減圧したりするためのものであり、その動作が上述した排気弁駆動回路45によって制御される。圧力センサ43は、静電容量型のセンサであり、固定用空気袋150の内部の圧力に応じ応じてその静電容量が変化する。発振回路46は、圧力センサ43の静電容量に応じた発振周波数の信号を生成し、生成した信号を制御部20に入力する。
【0079】
図14は、図12に示す血圧計用カフの模式断面図である。次に、この図14と上述した図12とを参照して、本実施の形態における血圧計用カフ100Dの具体的な構造について説明する。
【0080】
図12および図14に示すように、本実施の形態における血圧計用カフ100Dは、エア管50に接続された測定用空気袋130およびエア管51に接続された固定用空気袋150と、カーラ140と、これら測定用空気袋130、固定用空気袋150およびカーラ140を内包する筒状外装体としての外装カバー120とを有している。測定用空気袋130、固定用空気袋150およびカーラ140は、展開した状態においていずれも平面視略矩形状の形状を有しており、これらが重ね合わされて環状形態とされて筒状外装体としての外装カバー120の内部に収容されている。
【0081】
図14に示すように、固定用空気袋150は、好適には樹脂シートを用いて形成された袋状の部材からなる。具体的には、固定用空気袋150は、カフ100Dが上腕に装着された状態において上腕側に位置することとなる内側シート部材151と、カフ100Dが上腕に装着された状態において内側シート部材151の外側に位置することとなる外側シート部材152とを有しており、内部に上述した膨縮空間153を有している。固定用空気袋150は、内側シート部材151と外側シート部材152とが重ね合わされてその周縁が溶着されることによって袋状に形成されている。
【0082】
固定用空気袋150を構成する樹脂シートとしては、伸縮性に富んでおり溶着後において膨縮空間153からの漏気がない材質のものであればどのようなものでも利用が可能である。このような観点から、樹脂シートとしては、たとえばエチレン−酢酸ビニル(EVA)共重合体樹脂や、軟質塩化ビニル(PVC)樹脂、ポリウレタン(PU)樹脂、ポリアミド(PA)樹脂等からなるものが好適に利用できる。
【0083】
また、図12および図14に示すように、外装カバー120は、上腕が挿入される中空部123側に位置するカバー部材121と、当該カバー部材121の外側に位置するシェル122とを有しており、内部に上述した測定用空気袋130等を収容するための収容空間を有している。外装カバー120は、筒状の形態を有するシェル122の内周面の周縁にカバー部材121の周縁が固定されることで構成されている。
【0084】
シェル122は、非柔軟性を呈する硬質の部材にて構成されており、好適にはアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)共重合体樹脂等からなる部材にて構成される。一方、カバー部材121は、柔軟性を呈しており、好適にはポリアミド(PA)樹脂やポリエステル樹脂等の合成繊維からなる布地によって構成される。以上により、外装カバー120は、少なくともその外周部が非柔軟性を呈するように構成されている。なお、カバー部材121は、伸縮性に優れた部材にて構成されていることが好ましい。
【0085】
なお、測定用空気袋130の形状や材質は、基本的に上述した本発明の実施の形態1におけるそれと同様であり、カーラ140の形状や材質は、基本的に上述した本発明の実施の形態2におけるそれと同様である。ただし、本実施の形態におけるカフ100Dにあっては、カーラ140と固定用空気袋150との間のすべりをよくするために、これらカーラ140と固定用空気袋150との間に低摩擦部材としてのシート状の布材141が配置されている。
【0086】
図12および図14に示すように、本実施の形態における血圧計用カフ100Dにあっては、装着状態において上腕の末梢側に配置されることとなる外装カバー120の軸方向端部の近傍に、錘部160が設けられている。当該錘部160は、外装カバー120の周方向に沿って延在して設けられており、環状の形状を有している。
【0087】
錘部160は、カフ100Dを構成する他の部材よりも比重の大きい重み部材を含んでいる。重み部材としては、液体、軟性固体、非軟性固定、固体粒子の集合物、またはこれらの混合物が利用され、好適には水等の液体や軟性金属または非軟性金属の成形品、砂や金属等の固体粒子(粉体)の集合物、またはこれらの混合物等が利用される。なお、液体や固定粒子の集合物を重み部材として利用する場合には、これら重み部材を封入体にて封入することが好ましい。
【0088】
なお、錘部160の外装カバー120に対する設置方法としては、特に制限されるものではなく、図14に示すように、シェル122の一部が錘部160にて構成されるようにしてもよいし、シェル122の内周面または外周面に錘部160を配置してもよいし、シェル122の内部に錘部160を埋設することとしてもよい。また、錘部160をカバー部材121やカーラ140に取り付けることとしてもよい。
【0089】
図15は、図12に示す血圧計用カフを上腕に装着した状態を示す図である。次に、この図15を参照して、本実施の形態における血圧計用カフ100Dを実際に血圧測定のために上腕に装着した状態について説明する。
【0090】
図15に示すように、本実施の形態における血圧計用カフ100Dは、使用者200のたとえば左腕210の上腕220に装着された状態で使用される。装着に際しては、右手でカフ100Dに設けられた把手部124を把持し、その状態で筒状の形態を有するカフ100Dの中空部123に左腕210の上腕220を挿入し、その後、本体10Bに設けられた操作部23を操作することで測定ボタンを押下することにより、後述する図16に示した処理手順が実行されることでカフ100Dの上腕220への固定が行なわれ、さらにその後に血圧測定が行なわれる。
【0091】
ここで、カフ100Dを上腕220に宛がった状態においては、外装カバー120の錘部160が設けられた軸方向端部が、上腕220の肘側(すなわち末梢側)の位置に配置されることになり、外装カバー120の錘部160が設けられていない軸方向端部が、上腕220の肩側(すなわち中枢側)の位置に配置されることになる。
【0092】
図16は、本実施の形態における血圧計の処理の流れを示すフローチャートである。次に、この図16を参照して、本実施の形態における血圧計1Bの処理の流れについて説明する。なお、このフローチャートに従うプログラムは、メモリ部22に予め記憶されており、制御部20がメモリ部22からこのプログラムを読み出して実行することにより、その処理が実行されるものである。
【0093】
血圧値を測定する際には、使用者は予めカフ100Dに上腕を挿入し、この状態において本体10Bに設けられた操作部23を操作して血圧計1Bの電源をオンにする。これにより、電源部24から制御部20に対して電源としての電力が供給されて制御部20が駆動する。図16に示すように、制御部20は、その駆動後において、まず血圧計1Bの初期化を行なう(ステップS201)。
【0094】
次に、制御部20は、使用者の測定開始の指示を待ち、使用者が測定開始の指示を操作部23を操作することによって与えた場合に、排気弁42を閉塞させるとともに加圧ポンプ41の駆動を開始し、固定用空気袋150の内圧が所定値になるまでこれを上昇させる(ステップS202)。
【0095】
次に、制御部20は、固定用空気袋150の内圧が所定値に達した時点で排気弁32を閉塞させるとともに、測定用空気袋130のカフ圧を徐々に上昇させる(ステップS203)。
【0096】
この測定用空気袋130を加圧する過程において、制御部20は、公知の手順で最高血圧および最低血圧を算出する(ステップS204)。なお、その具体的な動作は、上述した本発明の実施の形態1における場合と同様である。
【0097】
ステップS204において血圧値が算出されると、制御部20は、排気弁42を開放することで固定用空気袋150の膨縮空間153内の空気を完全に排気するとともに、排気弁32を開放することで測定用空気袋130の膨縮空間133内の空気を完全に排気し(ステップS205)、測定結果としての血圧値を表示部21に表示するとともに、当該血圧値をメモリ部22に格納する(ステップS206)。
【0098】
その後、制御部20は、使用者の電源オフの指令を待ってその動作を終了する。なお、以上において説明した測定方式は、測定用空気袋130の加圧時に脈波を検出するいわゆる加圧測定方式に基づいたものであるが、測定用空気袋130の減圧時に脈波を検出するいわゆる減圧測定方式を採用することも当然に可能である。
【0099】
以上において説明した本実施の形態における血圧計用カフ100Dおよびこれを備えた血圧計1Bにあっては、カフ100Dの所定位置に錘部160を設けることによってカフ100Dに所定の重量配分が付与されている。したがって、カフ100Dの装着に際して使用者200がカフ100Dを手で持った際に、使用者200がカフ100Dの重量の偏りを感じることにより、正しいカフ100Dの装着方向に使用者200が誘導されることになり、向きを誤って使用者200がカフ100Dを装着することが未然に防止できることになる。
【0100】
したがって、上記構成を採用することにより、視認可能な特徴部位をカフに設けた場合とは異なり、使用者が特別の注意を払わずとも自然にカフの誤装着の防止が図られることになり、正しいカフの装着が促されて高精度の血圧測定が実現可能となる。
【0101】
図17は、本実施の形態に従った変形例に係る血圧計用カフの概略斜視図である。次に、この図17を参照して、本実施の形態に従った変形例に係る血圧計用カフ100Eについて説明する。
【0102】
図17に示すように、本変形例に係る血圧計用カフ100Eにあっては、上述した本実施の形態における血圧計用カフ100Dの場合と同様に、装着状態において上腕の末梢側に配置されることとなる外装カバー120の軸方向端部の近傍に、錘部160が設けられている。ここで、本変形例に係る血圧計用カフ100Eにあっては、当該錘部160が、外装カバー120の周方向に沿って断続的に複数設けられている。このように構成することにより、上述した本実施の形態における血圧計用カフ100Dとした場合と同様の効果を得ることができる。
【0103】
(実施の形態4)
図18は、本発明の実施の形態4における血圧計用カフの概略斜視図である。また、図19は、図18に示す血圧計用カフの模式断面図である。次に、これら図18および図19を参照して、本発明の実施の形態4における血圧計用カフ100Fの具体的な構造について説明する。なお、本実施の形態における血圧計用カフ100Fは、上述した本発明の実施の形態3における血圧計用カフ100Dと代替可能に上述した本発明の実施の形態3における血圧計1Bに具備可能なものである。
【0104】
図18および図19に示すように、本実施の形態における血圧計用カフ100Fにあっては、外装カバー120をその軸線を含む平面で二分した場合に、装着状態において鉛直下方に配置されることとなる外装カバー120の下部側部分のうちの最も鉛直下方に位置する周方向下端部の近傍に、錘部160が設けられている。当該錘部160は、外装カバー120の軸方向に沿って延在して設けられている。ここで、装着状態において鉛直上方に配置されることとなる外装カバー120の上部側部分のうちの最も鉛直上方に位置する周方向上端部の近傍には、把手部124が設けられているため、これら錘部160と把手部124とは、中空部123を挟んで上下に正対した位置に設けられることになる。
【0105】
錘部160は、カフ100Fを構成する他の部材よりも比重の大きい重み部材を含んでいる。重み部材としては、液体、軟性固体、非軟性固定、固体粒子の集合物、またはこれらの混合物が利用され、好適には水等の液体や軟性金属または非軟性金属の成形品、砂や金属等の固体粒子(粉体)の集合物、またはこれらの混合物等が利用される。なお、液体や固定粒子の集合物を重み部材として利用する場合には、これら重み部材を封入体にて封入することが好ましい。
【0106】
なお、錘部160の外装カバー120に対する設置方法としては、特に制限されるものではなく、図19に示すように、シェル122の一部が錘部160にて構成されるようにしてもよいし、シェル122の内周面または外周面に錘部160を配置してもよいし、シェル122の内部に錘部160を埋設することとしてもよい。
【0107】
図20は、図18に示す血圧計用カフを上腕に装着した状態を示す図である。次に、この図20を参照して、本実施の形態における血圧計用カフ100Fを実際に血圧測定のために上腕に装着した状態について説明する。
【0108】
図20に示すように、本実施の形態における血圧計用カフ100Fは、使用者200のたとえば左腕210の上腕220に装着された状態で使用される。装着に際しては、右手でカフ100Fに設けられた把手部124を把持し、その状態で筒状の形態を有するカフ100Fの中空部123に左腕210の上腕220を挿入し、その後、本体10Bに設けられた操作部23を操作することで測定ボタンを押下することにより、上述した図16に示した処理手順が実行されることでカフ100Fの上腕220への固定が行なわれ、さらにその後に血圧測定が行なわれる。
【0109】
ここで、カフ100Fを上腕220に宛がった状態においては、外装カバー120の錘部160が設けられた周方向下端部が、上腕220の鉛直下方の位置に配置されることになり、外装カバー120の把手部124が設けられた周方向上端部が、上腕220の鉛直上方の位置に配置されることになる。
【0110】
以上において説明した本実施の形態における血圧計用カフ100Fおよびこれを備えた血圧計1Bにあっては、カフ100Fの所定位置に錘部160を設けることによってカフ100Fに所定の重量配分が付与されている。したがって、カフ100Fの装着に際して使用者200がカフ100Fを手で持った際に、使用者200がカフ100Fの重量の偏りを感じることにより、カフ100Fの上下の向きが正しく配置された状態(すなわち、カフ100Fの周方向における装着位置の位置決めが行なわれた状態)での装着が誘導されることになり、向きを誤って使用者がカフ100Fを装着することが未然に防止できることになる。
【0111】
したがって、上記構成を採用することにより、視認可能な特徴部位をカフに設けた場合とは異なり、使用者が特別の注意を払わずとも自然にカフの誤装着の防止が図られることになり、正しいカフの装着が促されて高精度の血圧測定が実現可能となる。
【0112】
なお、本実施の形態における血圧計用カフ100Fにあっては、装着状態において上腕の鉛直上方の位置に配置されることとなる外装カバー120の周方向上端部の近傍に把手部124が設けられているが、把手部124の配設位置は、外装カバー120の周方向上端部に限られるものではなく、外装カバー120の上部側部分に含まれる位置(すなわち上半分のいずれかの位置)であれば、どの位置に設けられていてもよい。
【0113】
図21は、本実施の形態に従った第1変形例に係る血圧計用カフの概略斜視図である。次に、この図21を参照して、本実施の形態に従った第1変形例に係る血圧計用カフ100Gについて説明する。
【0114】
図21に示すように、本第1変形例に係る血圧計用カフ100Gにあっては、上述した本実施の形態における血圧計用カフ100Fの場合と同様に、外装カバー120をその軸線を含む平面で二分した場合に、装着状態において鉛直下方に配置されることとなる外装カバー120の下部側部分のうちの最も鉛直下方に位置する周方向下端部の近傍に、錘部160が設けられている。ここで、本第1変形例に係る血圧計用カフ100Gにあっては、当該錘部160が、外装カバー120の軸方向に沿って断続的に複数設けられている。このように構成することにより、上述した本実施の形態における血圧計用カフ100Fとした場合と同様の効果を得ることができる。
【0115】
図22は、本実施の形態に従った第2変形例に係る血圧計用カフの概略斜視図である。次に、この図22を参照して、本実施の形態に従った第2変形例に係る血圧計用カフ100Hについて説明する。
【0116】
図22に示すように、本第2変形例に係る血圧計用カフ100Hにあっては、上述した本実施の形態における血圧計用カフ100Fの場合と同様に、外装カバー120をその軸線を含む平面で二分した場合に、装着状態において鉛直下方に配置されることとなる外装カバー120の下部側部分のうちの最も鉛直下方に位置する周方向下端部の近傍に、錘部160が設けられている。ここで、本第2変形例に係る血圧計用カフ100Hにあっては、当該錘部160が、電源部24としての電池によって構成されている。すなわち、通常、電池は、カフ100Hを構成する他の部材よりも比重の大きい重み部材となり得るため、当該電池を錘部160として使用することにより、別途重み部材を設けて錘部を構成する必要がなくなり、省スペース化の点で有利となる。したがって、このように構成した場合にも、上述した本実施の形態における血圧計用カフ100Fとした場合と同様の効果を得ることができる。
【0117】
なお、本第2変形例の如く、電源部24である電池をカフ100Hに設けることとした場合には、当該電池から供給される電力を本体10Bに伝送することが必要となるため、カフ100Hと本体10Bとが図示する如くの接続ケーブル60にて結線されることとなる。ただし、本体10Bを設けずにこれをカフ100Hに一体化させた場合には、エア管50,51を設けることが不要になることに加え、当該接続ケーブル60による結線も当然に不要になる。
【0118】
図23は、本実施の形態に従った第3変形例に係る血圧計用カフの概略斜視図である。次に、この図23を参照して、本実施の形態に従った第3変形例に係る血圧計用カフ100Iについて説明する。
【0119】
図23に示すように、本第3変形例に係る血圧計用カフ100Iにあっては、上述した本実施の形態における血圧計用カフ100Fの場合と同様に、外装カバー120をその軸線を含む平面で二分した場合に、装着状態において鉛直下方に配置されることとなる外装カバー120の下部側部分のうちの最も鉛直下方に位置する周方向下端部の近傍に、錘部160が設けられている。ここで、本第3変形例に係る血圧計用カフ100Iにあっては、当該錘部160が、加圧ポンプ31,41によって構成されている。すなわち、通常、加圧ポンプ31,41は、カフ100Iを構成する他の部材よりも比重の大きい重み部材となり得るため、当該加圧ポンプ31,41を錘部160として使用することにより、別途重み部材を設けて錘部を構成する必要がなくなり、省スペース化の点で有利となる。したがって、このように構成した場合にも、上述した本実施の形態における血圧計用カフ100Fとした場合と同様の効果を得ることができる。
【0120】
なお、本第3変形例の如く、加圧ポンプ31,41をカフ100Iに設けることとした場合には、さらに排気弁32,42および圧力センサ33,43をカフ100Iに設けることで図示する如くエア管50,51を設けることが不要になるが、当該加圧ポンプ31,41を駆動させるための制御信号を本体10Bからカフ100Iに伝送すること等が必要となるため、カフ100Iと本体10Bとが図示する如くの接続ケーブル60にて結線されることとなる。ただし、本体10Bを設けずにこれをカフ100Iに一体化させた場合には、当該接続ケーブル60による結線も当然に不要になる。
【0121】
図24は、本実施の形態に従った第4変形例に係る血圧計用カフの概略斜視図である。次に、この図24を参照して、本実施の形態に従った第4変形例に係る血圧計用カフ100Jについて説明する。
【0122】
図24に示すように、本第4変形例に係る血圧計用カフ100Jにあっては、上述した本実施の形態における血圧計用カフ100Fの場合と同様に、外装カバー120をその軸線を含む平面で二分した場合に、装着状態において鉛直下方に配置されることとなる外装カバー120の下部側部分のうちの最も鉛直下方に位置する周方向下端部の近傍に、錘部160が設けられている。ここで、本第4変形例に係る血圧計用カフ100Jにあっては、装着状態において鉛直上方に配置されることとなる外装カバー120の上部側部分のうちの最も鉛直上方に位置する周方向上端部の近傍に、把手部124に代えて操作部23が設けられている。このように構成した場合にも、上述した本実施の形態における血圧計用カフ100Fとした場合と同様の効果を得ることができる。
【0123】
なお、本第4変形例の如く、操作部23をカフ100Jに設けることとした場合には、操作部23の操作に応じた信号をカフ100Jから本体10Bに伝送することが必要となるため、カフ100Jと本体10Bとが図示する如くの接続ケーブル60にて結線されることとなる。ただし、本体10Bを設けずにこれをカフ100Jに一体化させた場合には、当該接続ケーブル60による結線も当然に不要になる。
【0124】
図25は、本実施の形態に従った第5変形例に係る血圧計用カフの概略斜視図である。次に、この図25を参照して、本実施の形態に従った第5変形例に係る血圧計用カフ100Kについて説明する。
【0125】
図25に示すように、本第5変形例に係る血圧計用カフ100Kにあっては、上述した本実施の形態における血圧計用カフ100Fの場合と同様に、外装カバー120をその軸線を含む平面で二分した場合に、装着状態において鉛直下方に配置されることとなる外装カバー120の下部側部分のうちの最も鉛直下方に位置する周方向下端部の近傍に、錘部160が設けられている。ここで、本第5変形例に係る血圧計用カフ100Kにあっては、装着状態において鉛直上方に配置されることとなる外装カバー120の上部側部分のうちの最も鉛直上方に位置する周方向上端部の近傍に、把手部124に代えて表示部21が設けられている。このように構成した場合にも、上述した本実施の形態における血圧計用カフ100Fとした場合と同様の効果を得ることができる。
【0126】
なお、本第5変形例の如く、表示部21をカフ100Kに設けることとした場合には、表示部21を駆動させるための制御信号を本体10Bからカフ100Kに伝送することが必要となるため、カフ100Kと本体10Bとが図示する如くの接続ケーブル60にて結線されることとなる。ただし、本体10Bを設けずにこれをカフ100Kに一体化させた場合には、当該接続ケーブル60による結線も当然に不要になる。
【0127】
図26は、本実施の形態に従った第6変形例に係る血圧計用カフの概略斜視図である。次に、この図26を参照して、本実施の形態に従った第6変形例に係る血圧計用カフ100Lについて説明する。
【0128】
図26に示すように、本第6変形例に係る血圧計用カフ100Lにあっては、外装カバー120をその軸線を含む平面で二分した場合に、装着状態において鉛直下方に配置されることとなる外装カバー120の下部側部分に、錘部160が設けられている。ここで、本第6変形例に係る血圧計用カフ100Lにあっては、当該錘部160が、外装カバー120の下部側部分のすべての位置に設けられている。このように構成することにより、上述した本実施の形態における血圧計用カフ100Fとした場合と同様の効果を得ることができる。
【0129】
(実施の形態5)
図27は、本発明の実施の形態5における血圧計用カフの概略斜視図である。次に、この図27を参照して、本発明の実施の形態5における血圧計用カフ100Mの具体的な構造について説明する。なお、本実施の形態における血圧計用カフ100Mは、上述した本発明の実施の形態3における血圧計用カフ100Dと代替可能に上述した本発明の実施の形態3における血圧計1Bに具備可能なものである。
【0130】
図27に示すように、本実施の形態における血圧計用カフ100Mにあっては、外装カバー120をその軸線を含む平面で二分した場合に、装着状態において鉛直下方に配置されることとなる外装カバー120の下部側部分であってかつ上腕の末梢側に配置されるべき軸方向端部の近傍に、錘部160が設けられている。当該錘部160は、外装カバー120の周方向に沿って延在して設けられており、半円環状の形状を有している。
【0131】
錘部160は、カフ100Mを構成する他の部材よりも比重の大きい重み部材を含んでいる。重み部材としては、液体、軟性固体、非軟性固定、固体粒子の集合物、またはこれらの混合物が利用され、好適には水等の液体や軟性金属または非軟性金属の成形品、砂や金属等の固体粒子(粉体)の集合物、またはこれらの混合物等が利用される。なお、液体や固定粒子の集合物を重み部材として利用する場合には、これら重み部材を封入体にて封入することが好ましい。
【0132】
なお、錘部160の外装カバー120に対する設置方法としては、特に制限されるものではなく、シェル122の一部が錘部160にて構成されるようにしてもよいし、シェル122の内周面または外周面に錘部160を配置してもよいし、シェル122の内部に錘部160を埋設することとしてもよい。
【0133】
以上において説明した本実施の形態における血圧計用カフ100Mおよびこれを備えた血圧計1Bにあっては、カフ100Mの所定位置に錘部160を設けることによってカフ100Mに所定の重量配分が付与されている。したがって、カフ100Mの装着に際して使用者200がカフ100Mを手で持った際に、使用者200がカフ100Fの重量の偏りを感じることにより、カフ100Mの上下の向きおよび前後の向きが正しく配置された状態での装着が誘導されることになり、向きを誤って使用者200がカフ100Mを装着することが未然に防止できることになる。
【0134】
したがって、上記構成を採用することにより、視認可能な特徴部位をカフに設けた場合とは異なり、使用者が特別の注意を払わずとも自然にカフの誤装着の防止が図られることになり、正しいカフの装着が促されて高精度の血圧測定が実現可能となる。
【0135】
図28は、本実施の形態に従った変形例に係る血圧計用カフの概略斜視図である。次に、この図28を参照して、本実施の形態に従った変形例に係る血圧計用カフ100Nについて説明する。
【0136】
図28に示すように、本変形例に係る血圧計用カフ100Nにあっては、上述した本実施の形態における血圧計用カフ100Mの場合と同様に、外装カバー120をその軸線を含む平面で二分した場合に、装着状態において鉛直下方に配置されることとなる外装カバー120の下部側部分であってかつ上腕の末梢側に配置されるべき軸方向端部の近傍に、錘部160が設けられている。ただし、当該錘部160は、外装カバー120の周方向に沿って延在しておらず、局所的に配置されている。このように構成した場合にも、錘部160に十分な重みを付与することにより、上述した本実施の形態における血圧計用カフ100Mとした場合と同様の効果を得ることができる。
【0137】
以上において説明した本発明の実施の形態1ないし5およびその変形例において示した特徴的な構成は、本願発明の目的に照らして許容される範囲で当然にその組み合わせが可能である。
【0138】
また、以上において説明した本発明の実施の形態1ないし5およびその変形例においては、最高血圧および最低血圧が測定可能な血圧計およびこれに具備される血圧計用カフに本発明を適用した場合を例示して説明を行なったが、最高血圧および最低血圧以外の他の血圧情報(たとえば、平均血圧、脈波、脈拍、AI(Augmentation Index)値等)が測定可能な血圧情報測定装置およびこれに具備される血圧情報測定装置用カフに本発明を適用することも当然に可能である。
【0139】
このように、今回開示した上記各実施の形態およびその変形例はすべての点で例示であって、制限的なものではない。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲によって画定され、また特許請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものである。
【符号の説明】
【0140】
1A,1B 血圧計、10A,10B 本体、20 制御部、21 表示部、22 メモリ部、23 操作部、24 電源部、30 測定用エア系コンポーネント、31 加圧ポンプ、32 排気弁、33 圧力センサ、34 加圧ポンプ駆動回路、35 排気弁駆動回路、36 発振回路、40 固定用エア系コンポーネント、41 加圧ポンプ、42 排気弁、43 圧力センサ、44 加圧ポンプ駆動回路、45 排気弁駆動回路、46 発振回路、50,51 エア管、60 接続ケーブル、100A〜100N 血圧計用カフ、110 外装カバー、111 内側カバー部材、112 外側カバー部材、113 結合部位、114 面ファスナ、115 リング状部材、120 外装カバー、121 カバー部材、122 シェル、123 中空部、124 把手部、130 測定用空気袋、131 内側シート部材、132 外側シート部材、133 膨縮空間、140 カーラ、141 布材、150 固定用空気袋、151 内側シート部材、152 外側シート部材、153 膨縮空間、160 錘部、200 使用者、210 左腕、220 上腕。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状の形態を有し、上腕に巻き付けられて使用される血圧情報測定装置用カフであって、
上腕を圧迫するための流体袋と、
前記流体袋を内包し、柔軟性を呈する帯状外装体とを備え、
装着状態において上腕の末梢側に配置されるべき前記帯状外装体の端部に、錘部が設けられている、血圧情報測定装置用カフ。
【請求項2】
前記錘部は、前記帯状外装体の長手方向に沿って延在して設けられ、任意の形状に変形することが可能である、請求項1に記載の血圧情報測定装置用カフ。
【請求項3】
前記錘部は、前記帯状外装体の長手方向に沿って断続的に複数設けられている、請求項1に記載の血圧情報測定装置用カフ。
【請求項4】
筒状の形態を有し、上腕が挿入されて使用される血圧情報測定装置用カフであって、
上腕を圧迫するための流体袋と、
前記流体袋を内包し、その外周部が非柔軟性を呈する筒状外装体とを備え、
装着状態において上腕の末梢側に配置されるべき前記筒状外装体の軸方向端部に、錘部が設けられている、血圧情報測定装置用カフ。
【請求項5】
前記錘部は、前記筒状外装体の周方向に沿って延在して設けられている、請求項4に記載の血圧情報測定装置用カフ。
【請求項6】
前記錘部は、前記筒状外装体の周方向に沿って断続的に複数設けられている、請求項4に記載の血圧情報測定装置用カフ。
【請求項7】
筒状の形態を有し、上腕が挿入されて使用される血圧情報測定装置用カフであって、
上腕を圧迫するための流体袋と、
前記流体袋を内包し、その外周部が非柔軟性を呈する筒状外装体とを備え、
前記筒状外装体をその軸線を含む平面で二分した場合に、装着状態において鉛直下方に配置されるべき前記筒状外装体の下部側部分に、錘部が設けられている、血圧情報測定装置用カフ。
【請求項8】
前記錘部は、前記筒状外装体の軸方向に沿って延在して設けられている、請求項7に記載の血圧情報測定装置用カフ。
【請求項9】
前記錘部は、前記筒状外装体の軸方向に沿って断続的に複数設けられている、請求項7に記載の血圧情報測定装置用カフ。
【請求項10】
装着状態において鉛直上方に配置されるべき前記筒状外装体の上部側部分に、把手部、操作部および表示部のうちの少なくともいずれかが設けられている、請求項7から9のいずれかに記載の血圧情報測定装置用カフ。
【請求項11】
筒状の形態を有し、上腕が挿入されて使用される血圧情報測定装置用カフであって、
上腕を圧迫するための流体袋と、
前記流体袋を内包し、その外周部が非柔軟性を呈する筒状外装体とを備え、
前記筒状外装体をその軸線を含む平面で二分した場合に、装着状態において鉛直下方に配置されるべき前記筒状外装体の下部側部分であってかつ上腕の末梢側に配置されるべき軸方向端部に、錘部が設けられている、血圧情報測定装置用カフ。
【請求項12】
請求項1から11のいずれかに記載の血圧情報測定装置用カフを備えた、血圧情報測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【公開番号】特開2012−200508(P2012−200508A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−69937(P2011−69937)
【出願日】平成23年3月28日(2011.3.28)
【出願人】(503246015)オムロンヘルスケア株式会社 (584)
【Fターム(参考)】