説明

血小板の機能を監視するための方法及びデバイス

【課題】血小板の機能を監視する方法を提供する。更に、本方法を実施するためのデバイス及び物品を提供する。
【解決手段】本方法は、哺乳類から取り出した血液を、ばねを備えた通路に通してばねと接触させ、通路内に血小板の塊を発生する工程と、通路内の血液の流れ又は血液の組成を監視し、血小板の塊の形成を検出する工程とを含む。別の態様では、本方法は、哺乳類から取り出した血液を、障害又は凹凸を備えた二つ又はそれ以上の通路に通して障害又は凹凸のところの通路の壁と接触させ、二つ又はそれ以上の通路内に血小板の塊を発生する工程と、通路内の血液の流れ又は血液の組成を監視し、血小板の塊の形成を検出する工程とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血小板の機能を監視するための方法及びデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
血小板は、主に止血に役立つ核のない細胞である。血液の血小板は、大きさが約3μmであり、血液の流れの中を円盤状の細胞として循環し、組織が傷ついた場合や異物に露呈された場合のいずれかで活性化し、傷ついた場所や異物の場所で凝集体を形成する生理学的変化を生じる。血液の血小板は、全血1μl当たり約250000個乃至350000個が循環する。血小板は、活性化されたとき、形状が円盤状から球状に変化し、仮足延長部を形成する。
【0003】
出血の停止の開始に対する通常の血小板の応答は、形状を変化し、表面に付着し、更に多くの血小板を自触媒作用で補充するように作用する血小板間成分を放出する。追加の血小板の補充により、血小板のプラグ即ち凝集体の塊が形成する。凝集体の塊は、僅か3μmの大きさの単一の血小板から、mm単位の大きさの塊まで展開する。血小板の塊は、更に補充し、血清凝固蛋白とともに参加する。血清凝固蛋白には、13種類の酵素及びコファクターが関連した反応が次々に作用し、これにより血清フィブリンを活性化し、フィブリン凝血塊を形成する。
【0004】
ここで、止血(出血停止)が生理学的にどのように生じるのかを簡単に説明するのが有用である。通常の無傷の内皮は、血小板の付着を開始したり支持したりしない(しかし、特定の血管疾患では、血小板が無傷の内皮に付着することがある)。しかしながら、血管が傷つくと、内皮表面及びその下のコラーゲンが露呈する。血管が傷ついた後、血小板がコラーゲン等の付着性の蛋白質に、血小板表面の特定の糖蛋白質を介して付着する。この付着に続き、又はこの付着にともなって、血小板が活性化し、血小板の形状が円盤状から球状に変化し、仮足を延ばす。このとき、血小板の放出反応も起る。血小板は、細胞質本体内に蓄えられた生物学的に活性の化合物を放出し、この化合物が血小板の活性を刺激し、又は他の凝血反応が起る。こうした化合物には、ADP、セロトニン、トロンボキサンA2、及びウィルブランド因子が含まれる。トロンボキサンA2は、血小板の分泌及び凝集の蛋白質誘導剤である。これは、シクロオキシゲナーゼという酵素によって形成される。これは、とりわけ、アスピリンによって阻害される。
【0005】
活性化に続き、血小板表面の糖蛋白質IIb及びIIIa(GPIIbIIIa)受容器が、比較的不活性のコンフォメーションから活性化した形態にコンフォメーション変化する。GPIIbIIIa受容器は、更に多くの血小板の付着を媒介する。これは、血小板間の架橋リガンドとして役立つ循環している血清蛋白質フィブリノゲンに付着することによって行われる。血小板が付着し凝集することによって、一次止血を形成する。
【0006】
二次止血は、フィブリン凝血塊を形成することによって血小板の塊を安定化させる。フィブリン凝血塊は血清蛋白質を含む一連の反応の最終生成物である。このプロセスは、血液凝固として周知である。血清蛋白質のうち、凝血因子II、VII、IX、X、XI、及びXIIの活性形態が含まれる(活性形態は、ローマ数字の後に「a」を付ける(例えば因子IIa))。これらの蛋白質の活性形態は、セリンプロテアーゼである。
【0007】
フィブリンは、大きな循環血清蛋白質であるフィブリノゲンから特定の蛋白分解によって形成される。このプロセスでは、蛋白質トロンビン(第IIa因子)が消費される。次に、フィブリンモノマーが自然に会合し、ポリマーを形成し、血小板プラグを緩く強化する。次いで、フィブリンポリマーが特定の酵素によって架橋する。フィブリンポリマーは更に、赤血球及び白血球を捕捉し、完成した凝血塊を形成する。
【0008】
通常の止血状態では、出血している人は、血小板が形状を変化し、付着し、拡がり、化学的メッセンジャー及び活性剤を放出し、凝集し、フィブリンで組み立てられることによる恩恵を被る。この一連の反応により、受傷箇所で出血を停止し、傷を治癒するプロセスを開始する。
【0009】
しかし、血小板の活性化及び凝血塊の形成により、心血管異常を生じる場合がある。例えば、脚の静脈での凝血塊の形成や、深静脈血栓症として周知の状態は、凝血塊が塞栓症を引き起こし、その結果、凝血塊が肺や脳に詰まり、肺塞栓症や卒中と関連した状態をもたらす危険がある。人によっては、この他の箇所での血小板の活性化及びフィブリンの形成により凝集体や小さな凝血塊が動脈循環に生じ、これにより塞栓症や卒中を引き起こす場合がある。
【0010】
年齢、遺伝学的、及び生活習慣による危険因子に加え、血流中に埋め込んだ医療デバイスもまた、凝血塊の形成及び塞栓症の大きな危険を患者にもたらす。米国では、毎年約50万個の心臓弁が埋め込まれている。生物学的材料の発展により、血栓症(凝血塊の形成)の危険が幾分低下したけれども、機械的心臓弁を持つ全ての患者は、凝血塊の形成、塞栓症、及び卒中の危険が高い。
【0011】
循環系に配置される別の種類のデバイスは動脈ステントである。この動脈ステントは、血小板が活性化する危険を患者に与える。動脈ステントは、心臓組織に酸素を提供するため、詰まった冠状動脈及び頸動脈に置かれる。これらのステントは、代表的には、直径が約5mmであり、ステンレス鋼又は他の材料から形成される。異物が血流中に導入されるため、血小板が活性化されて、ステントを装着した血管の壁に付着する場合がある。これは、ステントを装着した血管の再閉塞(再狭窄)につながる。これは、動脈ステントを装着した患者の非常に大きな危険である。ステントを装着した人の0.5%乃至8%が最初の28日で再狭窄を発生することが報告されている。塞栓症及び再狭窄の危険を減少しようとする努力において、心臓弁や動脈ステントを装着する患者には、一般的には、術前、術中、及び術後に抗凝血剤や血小板阻害剤が投与される。
【0012】
現在の血小板阻害剤は、以下の三つの群に分けられる。即ち、(1)血小板シクロオキシゲナーゼ酵素を阻害し、かくしてトロンボキサンA2の発生を減少する、アスピリンと関連した薬物、(2)活性プロセスに含まれる血小板の表面の膜の受容器をブロックする、ADP受容器阻害剤、及び(3)血小板表面のGPIIbIIIa受容器をブロックする、単クローン性抗体に分けられる。GPIIbIIIa受容器は、凝集及びフィブリン凝血塊の形成の両方に含まれる血清凝固因子即ちフィブリノゲンを結合する。これらの三つのアプローチは、全て、血小板の活性化を低減する上で有効である。しかしながら、全ての患者について、介入が不十分である。アスピリンは、最も安価である。しかし、人によって、適切な投与量が予想不能に異なり、長期に亘ってアスピリン治療を受けている人の最大30%は、血小板の付着の阻害を達成しない。ADP阻害剤は、アスピリンよりも高価であるが、一般的に受け入れられている。しかしながら、アスピリンと同様に、治療に必要な投与量及び持続時間が異なり、この薬物が体内に存在する患者での血小板の付着特性は大幅に異なる。GPIIbIIIa阻害剤は、血小板を最大に阻害すると論じられているが、非常に高価であり、しかも患者によって投与量及び有効性が異なるという欠点がある。この他の薬剤治療が出てきているが、これらもまた、他のアプローチで見られるように患者によって異なるであろう。
【0013】
血小板を阻害するための適正な投与量及び薬剤治療の決定を誤ると、費用が大幅に嵩んだり、不必要な罹患率や死亡率をもたらす。例えば、抗GPIIbIIIa薬の患者は、ステント装着後の最初の28日間に5.8%乃至11.2%が不都合な反応を生じる。こうした不都合な反応は、死亡、心筋梗塞、又は血管形成術を緊急に再度実施することと定義される。この危険は、患者を薬物で治療していない場合に更に高くなる(N.Engl.Med.,330:956−961,1994;N.Engl.Med.,336:1689−96A,1997;Lancet,349:1429−35,1997参照)。かくして、抗血小板薬は、患者によって大幅に異なり、多くの患者が、幾つかの抗血小板薬に対して治療抵抗性である。特定の患者についての抗血小板薬の適切な投与量を決定できるように、及び特定の患者が一つの抗血小板薬に対して治療抵抗性であるが他の抗血小板薬に応答するかどうかを医師が決定できるように、血小板の機能を監視するための方法が必要とされている。
【0014】
血小板の機能を監視するためのデバイス及び方法が、WO2004/024026A2に記載されている。この公開されたPCT出願は、2005年3月10日に出願された米国特許出願第11/077,191号に延長されている。同特許出願に触れたことにより、この特許出願に開示された内容は本明細書中に含まれたものとする。
【0015】
血小板の付着及び凝集が阻害されたかどうかを特定的に決定するための信頼性のあるポイント−オブ−ケア (point of care)方法は、現在、存在しない。かくして、血小板の機能を計測するための、及び好ましくは、血小板機能の計測の部分として血小板の付着及び凝集を計測するための方法及びデバイスが必要とされている。血小板の機能を計測する必要は、動脈ステント又は他の心血管デバイスを装着した患者で、及び、不都合な心血管疾患の危険のある人々で特に急務である。このような方法により、医師は、心血管デバイスを埋め込む前に、危険のある患者で血小板の機能が実際に阻害されたことを確認し、薬理学的パラメータを調節することができ、これにより、血小板が凝血塊の形成を開始することと関連した不都合な事態が起る危険を低減する。
【0016】
血小板の機能を監視する別の必要は、血小板輸血で生じる。出血の危険がある患者をサポートするため、血小板を集めて血小板輸血で使用する。しかしながら、血小板の貯蔵には、全血又は他の構成要素の貯蔵では見られない問題点がある。全血、赤血球細胞、及び白血球細胞は4℃で数週間に亘って貯蔵される。しかしながら、血小板は、低温貯蔵では凝集し、沈降してしまう。従って、血小板を貯蔵する標準的な手段は、室温でゆっくりと攪拌しながら貯蔵することである。こうした条件でも、血小板は約5日間で機能を失ってしまう。かくして、貯蔵された血小板が、患者に輸血する上で適当な活性を備えているかどうかを確認するため、血小板の機能を監視するための方法及びデバイスが必要とされるのである。
【0017】
血小板の機能を監視する別の必要が、更に、医学的又は歯科的手術を受ける患者について、術中の過剰出血の危険を評価するために存在する。
血小板の機能を監視する更に別の必要が、心臓発作や卒中の危険を低減するため、アスピリンを摂取している患者に存在する。人によってはアスピリンが有効でなく、こうした人々は死亡、卒中、又は心臓発作の危険が、アスピリンによって血小板の反応性が低減する人々よりも高いということを示す研究が既になされている。ガム等の、「心血管疾患の安定した患者間のアスピリン抵抗の自然の歴史の予測盲決定法」J.Am.Coll.Cardiol.,41(6):961−5(2003)を参照されたい。
【特許文献1】WO2004/024026A2
【特許文献2】米国特許出願第11/077,191号
【非特許文献1】N.Engl.Med.,330:956−961,1994
【非特許文献2】N.Engl.Med.,336:1689−96A,1997
【非特許文献3】Lancet,349:1429−35,1997
【非特許文献4】J.Am.Coll.Cardiol.,41(6):961−5(2003)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
従って、血小板の機能を計測する方法が必要とされている。好ましくは、この方法は、血小板の付着及び凝集を監視する。好ましくは、この方法は、血小板の機能を、特に、血液の凝固等の凝血塊の他の特徴とは別に監視する。好ましくは、この方法は、安価である。好ましくは、この方法は、任意の特定の化学的血小板活性剤又は一群の化学的血小板活性剤によって、血小板の活性に左右されない。好ましくは、方法は、未処理の全血に使用してもよく、結果を手早く出すことができる(例えば、枕元で、医師の来訪中に、又は医療手順中に使用して結果をほぼ直ちに出すことができる)。血小板の機能を監視するために使用されるデバイスもまた必要である。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明は、血小板の機能を監視する方法において、哺乳類から取り出した血液を、ばねを備えた通路に通してばねと接触させ、通路内に血小板の塊を発生する工程と、通路内の血液の流れ又は組成を監視し、血小板の塊の形成を検出する工程とを含む、方法を提供する。
【0020】
本発明は、血小板の機能を監視する方法において、哺乳類から取り出した血液を、障害又は凹凸を備えた二つ又はそれ以上の通路に通して障害又は凹凸のところの通路の壁と接触させ、二つ又はそれ以上の通路内に血小板の塊を発生する工程と、通路内の血液の流れ又は組成を監視し、血小板の塊の形成を検出する工程とを含む、方法を提供する。
【0021】
本発明は、更に、血小板の機能を監視するためのデバイスにおいて、通路を形成する流体密材料と、通路を通して血液を圧送するため、通路と機能的に関連したポンプと、通路内のばねであって、血液が通路を通して圧送されてばねと接触したとき、ばねに又はばねの近くに血小板の塊が形成されるように構成されたばねと、通路を通る血液の流れを検出し、血小板の塊の形成を検出する検出器とを含む、デバイスを提供する。
【0022】
本発明は、血小板の機能を監視するためのデバイスにおいて、通路を形成する流体密材料と、通路を通して血液を圧送するため、通路と機能的に関連したポンプと、通路内のばねであって、血液が通路を通して圧送されてばねと接触したとき、ばねに又はばねの近くに血小板の塊が形成されるように構成されたばねと、通路内の血液の組成を検出し、血小板の塊の形成を検出する検出器とを含む、デバイスを提供する。
【0023】
本発明は、血小板の機能を監視するためのデバイスにおいて、二つ又はそれ以上の通路を形成する流体密材料と、通路を通して血液を圧送するため、通路と機能的に関連した二つ又はそれ以上のポンプとを含み、二つ又はそれ以上の通路は、障害又は凹凸を有し、これらの障害又は凹凸は、血液が通路を通して圧送されて障害又は凹凸のところの通路の壁と接触したとき、凹凸のところの又は凹凸の近くの通路の壁に、障害のところに又は障害の近くに血小板の塊が形成されるように構成されており、更に、通路を通る血液の流れを検出し、血小板の塊の形成を検出する検出器を含む、デバイスを提供する。
【0024】
本発明は、血小板の機能を監視するためのデバイスにおいて、二つ又はそれ以上の通路を形成する流体密材料と、通路を通して血液を圧送するため、通路と機能的に関連した二つ又はそれ以上のポンプとを含み、二つ又はそれ以上の通路は、障害又は凹凸を有し、これらの障害又は凹凸は、血液が通路を通して圧送されて障害又は凹凸のところの通路の壁と接触したとき、凹凸のところの又は凹凸の近くの通路の壁に、障害のところに又は障害の近くに血小板の塊が形成されるように構成されており、更に、通路内の血液の組成を検出し、血小板の塊の形成を検出する検出器を含む、デバイスを提供する。
【0025】
本発明は、血小板の機能を監視するためのデバイスで使用するための物品において、通路を形成する流体密材料と、通路内のばねとを含み、該ばねは、血液が通路を通して圧送されてばねと接触したとき、ばねに又はばねの近くに血小板の塊が形成されるように構成されている、物品を提供する。
【0026】
本発明は、血小板の機能を監視するためのデバイスで使用するための物品において、障害又は凹凸を含む二つ又はそれ以上の通路を形成する流体密材料を含み、障害又は凹凸は、血液が二つ又はそれ以上の通路を通して圧送されて、障害又は凹凸のところの通路の壁と接触したとき、血小板の塊が、障害のところに又は障害の近くに、又は凹凸のところの又は凹凸の近くの通路の壁に形成されるように構成されている、物品を提供する。
【0027】
本発明の追加の特徴及び利点を以下に説明する。本発明は、部分的には、以下の説明から明らかになるであろう。本発明の目的及び他の利点は、本明細書及び特許請求の範囲に特定的に指摘した、血小板の機能を監視するための方法及びデバイスによって実現されるであろう。
【0028】
以上の一般的な説明及び以下の詳細な説明の両方例示であって説明を目的とするものであり、特許請求の範囲に記載した発明の更なる説明を提供しようとするものではないということは理解されるべきである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
本発明は、血小板の機能を監視する方法を提供する。この方法は、哺乳類から取り出した血液を、ばねを備えた通路に通してばねと接触させ、通路内に血小板の塊を発生する工程と、通路内の血液の流れ及び組成を監視し、血小板の塊の形成を検出する工程とを含む。一実施例では、血小板の塊を形成する時間の量を計測する。ばねは、ベリリウム銅、金メッキしたベリリウム銅、又はステンレス鋼で形成できる。一実施例では、ばねは、不動態化したステンレス鋼で形成される。別の実施例では、ばねは通路に対して横方向に取り付けられている。
【0030】
一実施例では、通路内での血液の流れを監視する。血液の流れは、通路内の血液の圧力を監視することによって監視できる。圧力は、圧力トランスジューサーで監視できる。流れは、光学的に、例えば発光ダイオード及び光検出器で監視できる。一実施例では、通路内の血液の組成を監視する。
【0031】
一実施例では、通路及び血液は追加の抗凝血剤を含まない。別の実施例では、通路は、血小板を活性化する追加の生物学的薬剤を含まない。別の実施例では、血液は、血小板を活性化する追加の生物学的薬剤を含まない。一実施例では、通路及び血液は、血小板を活性化する追加の化学的薬剤を含まない。一実施例では、取り出した血液に生物学的薬剤も化学的薬剤も追加しない。
【0032】
一実施例では、哺乳類の身体から取り出される血液は、0.4mlよりも少量である。別の実施例では、通路を通過する血液は、20μlよりも少量である。一実施例では、血液は通路を双方向に通過する。
【0033】
一実施例では、血液は全血である。別の実施例では、血液は分画血であってもよい。一実施例では、哺乳類を抗血小板剤で処理する。抗血小板剤は、シクロオキシゲナーゼ阻害剤、ADP阻害剤、GPIIbIIIa阻害剤、又はこれらの組み合わせであってもよい。一実施例では、形成される血小板の塊は、通常の凝血塊と比較してフィブリンの含有量が大幅に低下している。
【0034】
本発明は、哺乳類から取り出した血液を、障害又は凹凸を備えた二つ又はそれ以上の通路に通し、障害又は凹凸のところの通路の壁と接触させ、二つ又はそれ以上の通路内に血小板の塊を発生する工程と、通路内の血液の流れ又は組成を監視し、血小板の塊の形成を検出する工程を含む、血小板の機能を監視する方法を提供する。一実施例では、血小板の塊を形成する時間の量を計測する。一実施例では、二つ又はそれ以上の通路での血小板の塊の形成を同時に検出する。
【0035】
一実施例では、二つ又はそれ以上の通路は、ばね、線細工ばね、金網、織布、オリフィスが設けられた薄板金、薄板金賦形体、ポリマー繊維、天然繊維、セルロース繊維、金属ワイヤ、縫糸ストランド、レーザーエッチングした又は型成形したプラスチック賦形体、ガラス賦形体又はガラスビーズから選択された障害を含む。一実施例では、障害はばねである。一実施例では、ばねは、ベリリウム銅、金メッキしたベリリウム銅、又はステンレス鋼で形成されている。別の実施例では、ばねは、不動態化したステンレス鋼で形成されている。別の実施例では、ばねは通路に対して横方向に取り付けられている。
【0036】
一実施例では、二つ又はそれ以上の通路内の血液の流れを監視する。一実施例では、二つ又はそれ以上の通路内の血液の圧力を監視することによって、血液の流れを監視する。一実施例では、圧力は、圧力トランスジューサーで監視できる。一実施例では、流れは、光学的に監視される。一実施例では、流れは、例えば発光ダイオード及び光検出器で監視できる。
【0037】
一実施例では、二つ又はそれ以上の通路内の通路内の血液の組成を監視する。別の実施例では、通路及び血液は、追加の抗凝血剤を含まない。一実施例では、通路は、血小板を活性化する追加の生物学的薬剤を含まない。別の実施例では、血液は、血小板を活性化する追加の生物学的薬剤を含まない。一実施例では、通路及び血液は、血小板を活性化する追加の化学的薬剤を含まない。別の実施例では、取り出した血液に生物学的薬剤も化学的薬剤も追加しない。
【0038】
一実施例では、哺乳類の身体から取り出される血液は、0.4mlよりも少量である。別の実施例では、二つ又はそれ以上の通路を通過する血液は、50μlよりも少量である。一実施例では、少なくとも15μlの血液が各通路を通過する。一実施例では、血液は、二つ又はそれ以上の通路を双方向に通過する。
【0039】
一実施例では、血液は全血である。別の実施例では、血液は分画血である。
一実施例では、哺乳類を抗血小板剤で処理する。別の実施例では、抗血小板剤は、シクロオキシゲナーゼ阻害剤、ADP阻害剤、GPIIbIIIa阻害剤、又はこれらの組み合わせであってもよい。一実施例では、形成される血小板の塊は、通常の凝血塊と比較してフィブリンの含有量が大幅に低い。
【0040】
本発明は、通路を形成する流体密材料と、通路を通して血液を圧送するため、通路と機能的に関連したポンプと、通路内のばねであって、血液が通路を通して圧送されてばねと接触したとき、ばねに又はばねの近くに血小板の塊が形成されるように構成されたばねと、通路を通る血液の流れを検出し、血小板の塊の形成を検出するための検出器とを含む、血小板の機能を監視するためのデバイスを提供する。
【0041】
本発明は、二つ又はそれ以上の通路を形成する流体密材料と、通路を通して血液を圧送するため、通路と機能的に関連した二つ又はそれ以上のポンプとを含み、二つ又はそれ以上の通路は、障害又は凹凸を有し、これらの障害又は凹凸は、血液が通路を通して圧送されて障害又は凹凸のところの通路の壁と接触したとき、凹凸のところ、又はその近くの通路の壁に、又は障害のところに又はその近くに血小板の塊が形成されるように構成されており、更に、通路を通る血液の流れを検出し、血小板の塊の形成を検出するための検出器とを含む、血小板の機能を監視するためのデバイスを提供する。
【0042】
本発明は、二つ又はそれ以上の通路を形成する流体密材料と、通路を通して血液を圧送するため、通路と機能的に関連した二つ又はそれ以上のポンプとを含み、二つ又はそれ以上の通路は、障害又は凹凸を有し、これらの障害又は凹凸は、血液が通路を通して圧送されて障害又は凹凸のところの通路の壁と接触したとき、凹凸のところの又はその近くの通路の壁に、又は障害のところに又はその近くに血小板の塊が形成されるように構成されており、更に、通路内の血液の組成を検出し、血小板の塊の形成を検出するための検出器とを含む、血小板の機能を監視するためのデバイスを提供する。
【0043】
本発明は、血小板の機能を監視するためのデバイスで使用するための物品を提供する。この物品は、通路を形成する流体密材料と、通路内のばねとを含み、このばねは、血液が通路を通して圧送されてばねと接触したとき、ばねに又はばねの近くに血小板の塊が形成されるように形成されている。ばねは、ベリリウム銅、金メッキしたベリリウム銅、又はステンレス鋼で形成できる。ばねは、不動態化したステンレス鋼で形成できる。ばねは、通路に対して横方向に取り付けることができる。ばねの長さは、0.025cm乃至0.15cmであってもよい。
【0044】
本発明は、二つ又はそれ以上の通路を形成する流体密材料を含む、血小板の機能を監視するためのデバイスで使用するための物品を提供する。二つ又はそれ以上の通路は、障害又は凹凸を有し、これらの障害又は凹凸は、血液がこれらの通路を通して圧送されて障害又は凹凸のところの通路の壁と接触したとき、血小板の塊が障害のところに又はその近くに、又は凹凸のところに又はその近くの通路の壁上に形成されるように構成されている。一実施例では、二つ又はそれ以上の通路は、ばね、線細工ばね、金網、織布、オリフィスが設けられた薄板金、薄板金賦形体、ポリマー繊維、天然繊維、セルロース繊維、金属線、縫糸ストランド、レーザーエッチングを施した又は型成形したプラスチック賦形体、ガラス賦形体又はガラスビーズから選択された障害を含む。ばねは、ベリリウム銅、金メッキしたベリリウム銅、又はステンレス鋼で形成できる。一実施例では、ばねは、不動態化したステンレス鋼で形成される。別の実施例では、ばねは、通路に対して横方向に取り付けられる。一実施例では、ばねの長さは、0.025cm乃至0.15cmである。
【0045】
本発明は、血小板の付着、及び好ましくは血小板の凝集によって明らかにされた血小板の機能を評価するための方法及びデバイスを提供する。この方法では、カテーテル等の通路を通して血液を引き出し、カテーテル内に配置したワイヤ等の通路内の障害又は凹凸に通すか或いは当てる。血小板は、障害に、又は障害又は凹凸の近くの通路の壁に付着し、凝集し、血小板の塊を形成する。通路内の障害又は凹凸を通過すること又はこれらと接触することと関連した剪断力が血小板を活性化し、障害の異質の材料又は通路の壁に付着し、凝集するものと考えられている。血小板の塊が形成されたとき、通路の内腔を塞ぎ、流れを停止するか或いは減速する。内腔が部分的に又は完全に塞がる時間を血小板の塊の形成時間として記録する。
【0046】
血小板の活性により血小板の塊が最終的に形成されるため、血小板の塊の形成は、血小板の付着を含む血小板の全ての活性の機能で決まり、血小板の塊が約15μmよりも厚い場合には、血小板が凝集する。(血小板の塊が約15μmよりも厚い場合には、塊は、表面への血小板の付着により形成された一つ以上の血小板層を含み、別の言い方をすると、血小板同士の凝集によって形成された塊を含む。)これは、生化学物質の放出等の血小板の特異的活性のみを計測する、又は血小板の付着のみに依拠し、凝集を用いない幾つかの現在の血小板試験とは対照的である。本発明の方法では、血小板の塊は、フィブリン又は赤血球又は白血球をほとんど又は全く含まないということがわかっている。かくして、少なくとも幾つかの実施例では、本発明の方法は、凝血反応とは別個に、特に血小板の機能を計測する。
【0047】
化学的血小板活性剤又は生物学的血小板活性剤を、血液又は本方法用の通路に追加する必要はないが、幾つかの実施例では、随意に追加してもよい。かくして、本方法は、特定の生物学的活性剤又は特定の活性剤群に対する血小板の応答に左右されない。本方法は迅速であり、未処理の全血を使用できる。従って、本方法は、医師の訪問中又は介入的手順中に患者の枕元で採取した少量の血液試料で、結果を迅速に且つ安価に出すことができる。
[定義]
「血小板の機能」という用語は、基材に付着し、形状を変化し、化学的メッセンジャー即ち血小板の細胞質中の凝固因子を放出し、及び/又は他の血小板と凝集する血小板に関する。「血小板を活性化する生物学的薬剤又は化学的薬剤」という用語は、血小板との接触時に血小板を誘導し、血小板の任意の機能を実行させる(血小板を剪断力又は任意の他の機械的活性剤に露呈する必要なしに)物質に関する。
【0048】
「血小板を活性化する生物学的薬剤」という用語は、哺乳類の身体で通常見られる、血小板を活性化させる生物学的役割を持つ、コラーゲン、ADP、トロンビン、トロンボキサンA2、セロトニン、及びエピネフリン等の薬剤に関する。
【0049】
「血小板を活性化する化学的薬剤」という用語は、哺乳類の生物学的薬剤以外の血小板を活性化する化合物に関する。これには、例えば、非生物学的合成化合物、血小板を活性化する生物学的薬剤の誘導体、又は血小板を活性化する、植物や微生物でみられる生物学的薬剤が含まれる。
【0050】
「追加の生物学的薬剤又は化学的薬剤」という用語は、身体から取り出した後に血液に加える化合物又は物質に関する。「通路内の追加の薬剤」という用語は、血液を通路に加える前に通路に置いた又は組み込んだ薬剤に関する。この薬剤は、例えば、通路の壁に付着してもよいし、通路内の障害に付着してもよい。
【0051】
「障害」という用語は、通路を部分的に又は完全に閉塞する物体に関する。好ましくは、障害は、通路を部分的に閉塞する。障害の例には、(a)通路の一部を占有するワイヤ等のプラグ(好ましくは、プラグと通路の壁との間に空間を残す)、(b)フィルタ又はスクリーン、(c)繊維、(d)ばねが含まれる。
【0052】
本明細書中で使用されているように、通路内の障害、即ち「プラグ」は、中実の非孔質の物体であり、通路を部分的に又は完全に閉塞する。プラグは、例えば円形、正方形、又は矩形等の任意の断面を備えていてもよく、例えばプラスチックや金属等の任意の非孔質材料で形成されていてもよい。
【0053】
「血液」という用語は、本明細書中で使用されているように、全血、又は血小板を含む血液画分に関する。好ましくは、血液を哺乳類から取り出した後、本発明の方法で、処理を全く行わずに、及び薬剤(例えば、抗凝血剤又は血小板活性剤)を全く加えることなく通路に通す。しかしながら、本方法は、精製血小板についても、血小板分即ち含有血小板量を増大した任意の血液画分についても使用できる。従って、「血液」という用語は、血小板含有血漿、精製血小板、又は血小板を含む任意の血液画分を含む。「全血」という用語は、分画を行っていない血液に関する。
【0054】
「血小板の塊」という用語は、本明細書中で使用されているように、主に血小板である任意の塊に関する。塊は、更に、フィブリン及び他の細胞を含んでいてもよい。好ましくは、自然の凝血塊と比較してフィブリンの含有量が低く、他の細胞の含有量が低い。血小板の塊の厚さは、一つ又はそれ以上の寸法が約15μmよりも小さくてもよく、例えば5個又はそれよりも少数の血小板の一つの層を含み、血小板同士をほとんど又は全く凝集させることなく、血小板の付着によって形成される。しかしながら、好ましくは、血小板の塊は、全ての寸法で約15μmよりも厚い。「血小板栓子」という用語は、本明細書中で使用されているように、「血小板の塊」という用語と相互交換的に使用される。
【0055】
本発明は、哺乳類の身体から取り出した血液を通路に通して通路内の障害又は凹凸と接触させ、通路内に血小板の塊を発生する工程と、通路内の血液の流れ又は血液の組成を監視する工程とを含む方法で血小板の機能を監視する方法を提供する。血小板の塊の形成により、通路内の血液の流れ又は血液の組成が変化し、流れ又は組成の変化を検出する。
【0056】
本発明のデバイスでは、異物材料(即ち、自然の血管の内皮以外の任意の材料)で形成された流体密壁110によって形成された通路100を血液が通過する。図1A参照。好ましくは、異質材料は非生物学的材料である。例えば、任意の種類のプラスチック、ガラス、ゴム、テフロン、又は金属であってもよい。通路内には障害又は凹凸が設けられている。障害120が設けられた通路を図1Aに示す。障害もまた、好ましくは、異物材料で形成される。多孔質であっても非孔質であってもよい。通路の壁と同じ材料であってもよいし異なる材料であってもよい。
【0057】
通路を通して血液を圧送し、障害又は凹凸のところの通路の壁と接触させる。障害又は凹凸は、通路を通過する流体に対し、高剪断領域及び低剪断領域を形成する。高剪断領域は血小板を活性化し、低剪断領域は血小板を付着させて血小板の塊を形成できると考えられる。好ましくは、血小板の塊が形成されて血液の通過を妨げるまで、血液を障害又は凹凸を通して圧送する。
【0058】
しかしながら、血液が障害又は凹凸を通過できない場合、障害は、全体として通路を閉塞してもよく、凹凸は、通路の閉鎖端であってもよい。こうした場合には、血小板の塊の形成が検出されるまで、閉塞している障害又は凹凸に対して血液を前後に通過させることができる。
【0059】
障害の一例は、図1Aに示すように、ワイヤ120である。障害は、好ましくは、通路を部分的にしか閉塞していない。好ましくは、障害は、障害と通路の壁との間に少なくとも約20μmの隙間を残す。従って、この場合、通路を完全に閉塞するためには、血小板の塊は少なくとも約20μmの厚さでなければならない。この大きさの塊を形成するため、血小板は、表面に付着するだけであってはならず、更に、互いに凝集しなければならない。かくして、方法は、付着活性及び凝集活性の両方を示す血小板の能力を試験する。
【0060】
血液が障害120を越えて圧送されるとき、血小板の塊が障害上又は障害の近くに形成される。血小板の塊は、代表的には、ワイヤ障害の端部上等の低剪断位置に形成される。血小板の機能は、通路が部分的に又は完全に閉塞するまでの時間を計測することによって監視できる。通路の閉塞は、任意の適当な手段によって検出できる。例えば、発光ダイオード及び結合検出器を通路の一つの箇所の前後に配置し、赤血球がその箇所を通過することを検出する。圧力トランスジューサーを使用し、血液を圧送するのに必要な圧力を監視してもよい。通路を分光光度計の光路を横切るように配置してもよい。その結果、分光光度計は、(a)赤血球が光路を横切ること、(b)血小板栓子が形成されることが予想される場所を通過するように光路を位置決めした場合、血小板栓子の発生に従った血小板栓子の箇所での散乱の増大及び/又は色の変化、又は(c)血小板栓子の形成と関連した血小板栓子の外側の血液の色の変化を検出する。血液が点Aから点Bまで通過するのに要する時間を計測してもよい。血小板の塊が形成されるに従って、血液全体、又は血小板の塊のところ又はこの塊の近くの微小環境のいずれかで変化する特定の生化学的物質の濃度を計測するのに化学的センサを使用してもよい。当該技術分野で周知のセンサ及び方法で、例えば、pH、Mg++濃度、K+濃度、Na+濃度、O2濃度、又はCO2濃度、を監視してもよい。
【0061】
通路及び障害又は凹凸の寸法は、任意の適当な寸法であってよく、即ち血小板の塊が形成されるまで、血液が通路を自由に通過できるのに十分に広幅であり、血小板の塊が形成されたとき、通路の閉塞を検出できるのに十分に狭幅である。例えば、通路は、直径が1mm又はそれ以下であってもよく、又は1cm以上であってもよい。通路のワイヤ障害は、例えば約50μmの隙間を通路の壁内に残す。この他の大きな又は小さな大きさ及び寸法の隙間も可能である。
【0062】
血液は、通路を通して双方向に圧送してもよいし、一方向に圧送してもよい。血液を双方向に圧送すること、即ち障害又は凹凸を越えて前後に圧送することには、使用される血液の容積を小さくできるという利点がある。更に双方向流では、限られた量の血液で血小板の塊の形成時間を計測できる。両端が開放した直線状通路を通して血液を一方向に流す場合には、血小板の塊の形成時間が比較的長いため、比較的多くの血液を必要とする。血液を必要な回数だけループをなして循環させることができる閉ループを通して血液を一方向に圧送することにより、双方向流と同じ利点が得られる。即ち、少量の血液を使用でき、長い栓子形成時間を計測できる。
【0063】
かくして、本発明のデバイス及び方法の幾つかの実施例により、血小板の活性を監視するのに小容積で血液を使用できる。詳細には、幾つかの実施例では、約2mlよりも少量の、約1mlよりも少量の、約0.4mlよりも少量の、約0.2mlよりも少量の、約0.1mlよりも少量の、又は50μlよりも少量の血液が使用される。幾つかの実施例では、10μl乃至40μlを使用する。幾つかの実施例では、20μlを使用する。幾つかの実施例では、例えば指を刺すことによって形成した液滴を使用できる。
【0064】
障害又は凹凸の特定の実施例を図1A乃至図1Fに示す。図1Aは、障害としてワイヤ120を示す。ワイヤ120は、通路の中央に配置されていてもよいし、中央からずらして配置されていてもよい。通路100及びワイヤ120のいずれか又は両方が、非円形の断面を備えていてもよい。この実施例では、ワイヤ120の代わりに、任意の非孔質材料でできたプラグを使用してもよい。ワイヤは任意の長さを備えていてもよく、その幅よりも短くてもよい。障害は、図1Bに示すように、多数のワイヤ又はプラグ121であってもよい。
【0065】
通路は、障害でなく、又は障害に加えて凹凸を備えていてもよい。凹凸は、血小板の塊の形成を可能にする上で適当な、任意の角度、狭窄部、拡張部、又は湾曲を通路内に備えていてもよい。例えば、凹凸は、図1Cに示すように、通路の壁の段部130であってもよい。通路の小径区分は、大径区分と中心が同じであってもよいし、食い違っていてもよい。凹凸は、図1Dに示すように通路の狭窄区分131であってもよい。凹凸は、更に、通路100の拡張部132であってもよい(図1E参照)。
【0066】
適当な障害の別の例は、挿入した整流子122であってもよい(図1F参照)。整流子は、例えば、フィルタメンブレン、単一の又は複数のフィルタ、ワイヤ、又はリボン、又は織製した又は編成した布片であってもよい。
【0067】
適当な障害の別の例は、ばね123(図1G参照)である。ばねは、ベリリウム銅、金メッキしたベリリウム銅、ステンレス鋼、等の任意の適当な金属で形成されていてもよい。
【0068】
複数の障害又は凹凸、又は障害及び凹凸の両方の組み合わせを使用してもよい。本発明の通路の断面は、円形、正方形、又は任意の他の形状であってもよい。通路は、湾曲していてもよいし、直線状であってもよい。適当な時間内に血小板の塊を形成する任意の流れパターンを使用できる。
【0069】
例えば、定常一方向流又は振動双方向流を使用できる。振動双方向流に関し、振動パターンは、正弦波パターン、鋸歯状波パターン、矩形波パターン、非対称鋸歯状波パターン、台形パターン、非対称台形パターン、又は他のパターンであってもよい。一方向流では、パルス成分を定常流に被せてもよく、パルス成分は、上述のパターンのうちの任意のパターンを備えていてもよい。血小板の塊が形成開始後に外れてしまう危険を低減するため、流れパターンを時間に関して変化させてもよいし、計測された抵抗に関して変化させてもよい。剪断によって活性化された血小板が凝集できるように、停止時間(流れがない)を導入してもよい。説明した流れパターンを得るため、好ましくは、ポンプを使用して所定量の血液を所定流量(この流量は、上文中に説明したように、時間に従って変化してもよい)で所定の剪断速度で通路内に及び通路を通して導入する。
【0070】
血小板の機能を監視するためのデバイスで使用するための物品の一実施例は、通路が形成された精密成形したプラスチック片で形成されている。物品は、血液を受け入れるための、通路と関連した穴を備えていてもよい。通路の端部は、圧力を発生することなく、血液を自由に流すことができるように、空気中に開放していてもよい。通路は、一実施例では、直径が1mmであり、長さが数cmであり、数mmの長さのステンレス鋼製ワイヤプラグが通路の一つの壁に固定されている。ワイヤプラグと通路の他方の壁との間の隙間は、例えば約50μmであってもよい。
【0071】
流れ検出デバイスが、通路と関連した双方向ポンプを含み、発光ダイオード及び結合検出器が通路の一端の両側に配置されている場合、物品は、流れ検出デバイス内に配置されていてもよい。検出器は、血液が前後に圧送されるとき、血小板の塊が形成して血液の通過を阻止するまで、血液の通過及び次いで空気の通過を検出する。物品は、使い捨てにできるように、安価なプラスチックで形成されていてもよい。
【0072】
本発明の利点の一つは、血小板を活性化する生物学的薬剤又は化学的薬剤を、血液又は圧送時に血液が通過する通路に追加しなくてもよいということである。かくして本発明の幾つかの実施例では、通路は、(血液を加える前には)血小板を活性化する追加の生物学的薬剤を含まない。血液もまた、随意であるが、血小板を活性化する追加の生物学的薬剤を含まない。幾つかの実施例では、通路及び血液の両方が、血小板を活性化する追加の生物学的薬剤を含まない。幾つかの実施例では通路及び血液のいずれか又は両方が、血小板を活性化する追加の化学的薬剤を含まない。幾つかの実施例では、通路は、血小板が自然に付着する生物学的構成要素を含まない。特定の実施例では、通路は、コラーゲン、ADP、エピネフリン又はその誘導体を含まない。幾つかの実施例では、取り出した血液に生物学的薬剤又は化学的薬剤を追加しない。例えば、幾つかの実施例では、取り出した血液に抗凝血剤を追加しない。幾つかの実施例では、通路及び血液は抗凝血剤を含まない。
【0073】
しかしながら、方法は、随意であるが、血小板を活性化する追加の薬剤を使用することを含む。薬剤は、血液を哺乳類の身体から取り出した後に血液に加えてもよく、又はデバイスの通路に加えてもよく、及びかくして血液が通路を通過するときに血液に加えてもよい。例えば、通路の壁又は障害の壁に薬剤をコーティングしてもよい。
【0074】
障害がフィルタである場合には、フィルタに薬剤を染み込ませてもよい。使用できる薬剤には、トロンボキサンA2が含まれる。アスピリンは、主にトロンボキサンA2の生産を阻害することによって血小板の機能を阻害するものと考えられており、そのため、アスピリン治療の有効性の試験の幾つかの実施例では、トロンボキサンA2を血液又は通路に加えるのが有用である。詳細には、血小板の塊の形成時間を、トロンボキサンA2を血液又は通路に加えた場合と加えない場合とで比較するのが有用である。
【0075】
幾つかの実施例では、取り出した血液又は通路に加えることができる他の薬剤には、任意の血小板活性剤が含まれる。これらには、ADP、コラーゲン、トロンビン、及びセロトニンが含まれる。血小板活性剤ではないが栓子の形成に有用な他の化合物を加えてもよい。これらの化合物には、フフィブリノゲン、フィブリン、及びウィルブランド因子が含まれる。
【0076】
本発明は、ADP阻害剤による治療を受けている患者の血小板の機能の監視に使用できる。これらの薬物には、クロピドゲレル(RLAVIX)及びチクロピジンが含まれる。ADP阻害剤による治療を受けている患者の場合には、取り出した血液や通路に血小板活性剤を加える場合、ADPは追加の薬剤として有用である。詳細には、血液又は通路にADPを加えた場合と加えない場合とで血小板の塊の形成時間を比較するのが有用である。
【0077】
本発明は、更に、GPIIbIIIa阻害剤による治療を受けている患者の血小板の機能の監視に使用できる。GPIIbIIIa阻害剤には、チロフィバン(tirofiban)、エプチフィバチド(eptifibatide)、及びアブシクシマブ(abciximab)が含まれる。GPIIbIIIa阻害剤による治療を受けている患者の場合には、取り出した血液又は通路に血小板活性剤を加える場合には、フィブリノゲンが好ましい薬剤である。これは、GPIIbIIIaレセプターに結合するためである。
【0078】
血小板の機能は、(a)血小板を活性化する生物学的又は化学的薬剤が血液及び通路に加えられていない場合、哺乳類から取り出した血液を、障害又は凹凸を含む通路に通し、障害又は凹凸のところの通路の壁と接触させ、通路内に血小板の塊を発生し、通路内の血液の流れ又は組成を監視し、血小板の塊の形成時間を決定する工程と、(b)血小板を活性化する生物学的又は化学的薬剤が血液及び通路に加えられている場合、哺乳類から取り出した血液を、障害又は凹凸を含む通路に通し、障害又は凹凸のところの通路の壁と接触させ、通路内に血小板の塊を発生し、通路内の血液の流れ又は組成を監視し、血小板の塊の形成時間を決定する工程と、(c)血小板の塊の形成時間を比較する工程とを含む方法を使用して監視できる。血小板を活性化する生物学的又は化学的薬剤は、例えばトロンボキサンA2、ADP、又はフィブリノゲンであってもよい。
【0079】
本発明の幾つかの実施例で形成された血小板の塊は、フィブリン又は赤血球又は白血球をほとんど含まないということがわかっている。かくして、幾つかの実施例では、血小板の塊は、自然の凝血塊と比較してフィブリンの含有量が大幅に低い。例えば、血小板の塊は、末梢血管系の自然の凝血塊で見られる単位塊当たりのフィブリンの約50%以下、約30%以下、約10%以下、約5%以下しか含まない。他の実施例では、血小板の塊は、赤血球又は白血球の含有量が大幅に低い(例えば、末梢血流の自然の凝血塊で見られる赤血球又は白血球の約50%以下、約30%以下、約10%以下、約5%以下しか含まないか或いは、赤血球又は白血球を検出できない)。
【0080】
本発明の幾つかの実施例では、血液は、通路内の障害又は凹凸を通過する(例えばこれを越えて圧送される。
血小板の塊の形成は、通路内の血液の流れ又は組成を監視することによって検出できる。幾つかの実施例では、流れを監視する。流れは、例えば、通路内の血液の圧力を監視することによって監視してもよいし、光学的に監視してもよい。圧力は、圧力トランスジューサーによって監視してもよい。光学的監視は、例えば、LED及び結合光検出器によって行うことができる。光学的監視又は他の方法は、血液が通路内を所定距離移動する時間を計測するのに使用できる。流れは、更に、流量計又は押し退け容積、並びに当業者に周知の他の手段によって行ってもよい。
【0081】
幾つかの実施例では、通路内の血液の組成を監視する。例えば、LED及び分光光度計によって血小板の塊の形成又は大きさを直接監視してもよい。血液の化学的組成を監視してもよい。例えば、pH、又はO2、CO2、Mg++、K+の濃度を監視してもよい。これは、これらが血小板の塊の形成と関連しているためである。
【0082】
幾つかの実施例では、通路は障害を含む。障害は、例えばプラグであってもよい。プラグは、金属ワイヤ、プラスチック、セラミック、ガラス、又は任意の非孔質物質であってもよい。プラスチックは、通路を完全に閉塞していてもよいし、部分的に閉塞していてもよい。
【0083】
幾つかの実施例では、血小板の塊は、全ての寸法に厚さを形成する。即ち、方法のこれらの実施例は、血小板の付着に加えて血小板が凝集するのである。かくして、幾つかの実施例では、血小板の塊の全ての方向での厚さは、少なくとも約20μmであり、少なくとも約30μmであり、少なくとも約40μmであり、少なくとも約50μmであり、少なくとも約70μmであり、少なくとも約100μmである。
【0084】
本発明の幾つかの実施例では、通路は、血小板が自然に付着する生物学的構成要素を含まない。幾つかの実施例では、通路は、コラーゲン、ADP、エピネフリン、又はその誘導体を含まない。幾つかの実施例では、通路及び血液は、追加の抗凝血剤を含まない。
【0085】
方法の幾つかの実施例では、方法は、更に、血小板活性剤を血液に追加する工程を含む。幾つかの実施例では、通路は、血小板活性剤を含む。血小板活性剤は、例えば、トロンボキサンA2であってもよい。
【0086】
本発明の方法及びデバイスの幾つかの実施例では、血小板を、機械的な力によって、少なくとも部分的に活性化する。幾つかの実施例では、血小板を専ら機械的な力によって活性化する。本発明の方法では、血小板は、高い剪断力によって活性化され、剪断力が低い箇所に付着するものと考えられる。しかしながら、通路の寸法を変化させることによって、血液の圧送によって発生した流れの速度を変化させることによって、及び通路の壁及び何らかの障害の材料(例えば材料の付着性)を変化させることによって、広範な剪断力を使用できる。血小板の塊の形成を検出する様々なデバイスでの最大剪断速度は、少なくとも、50(/s)乃至5000(/s)の範囲内にある。
【0087】
幾つかの実施例では、哺乳類の身体から取り出される血液の量は、0.4ml以下、0.2ml以下、0.1ml以下、50μl以下である。幾つかの実施例では、これよりも少量の血液が通路に移送される。
【0088】
本発明の幾つかの実施例では、血液は、通路を双方向に通過する。他の実施例では、通路の少なくとも一部がループ(即ち、円形、楕円形、正方形、又はその他の形状の閉回路)をなしており、血液がループを双方向に通過する。
【0089】
本発明の幾つかの実施例では、血液は全血である。幾つかの実施例では、取り出した血液を、本発明の方法及びデバイスで使用する前に分画する。
本発明のデバイス及び物品の幾つかの実施例では、デバイス又は物品は、通路と関連した穴を形成する流体密材料で形成されている。
【0090】
本発明のデバイスの幾つかの実施例では、デバイスは、血小板を活性化する生物学的薬剤なしで作動する。幾つかの実施例では、デバイスは、血小板を活性化する化学的薬剤なしで作動する。
【0091】
本発明のデバイス及び物品の幾つかの実施例では、通路内の障害は、通路を通して血液を圧送し、障害と接触させたとき、フィブリンを実質的に含有しない全ての寸法での厚さが少なくとも約20μmの血小板の塊が、障害に又は障害の近くに形成するように配置される。
【0092】
本発明のデバイス及び物品の幾つかの実施例では、通路内の凹凸は、通路を通して血液を圧送して通路の壁と凹凸のところで接触させたとき、フィブリンを実質的に含有しない全ての寸法での厚さが少なくとも約20μmの血小板の塊が、通路の壁に凹凸のところに又は凹凸の近くに形成するように配置される。
【0093】
幾つかの実施例では、血流は障害又は凹凸を通過し、障害又は凹凸は、直径又は幅が少なくとも20μmの通路を障害又は凹凸のところに残す。例えば、プラグと通路の壁との間の隙間は、これらの実施例において、少なくとも20μmである。別の例について、通路を狭める凹凸のところの通路の狭窄箇所での通路の直径又は幅は、これらの実施例において、少なくとも20μmである。血小板の栓子が形成し、これが通路のこの箇所を充填したとき、通路が閉塞し、これを通路内の血液の流れの変化として検出する。かくして、この方法は、厚さが少なくとも20μmの血小板栓子の形成を検出する。別の実施例では、障害又は凹凸は、直径又は幅が少なくとも50μm、20μm乃至100μm、又は20μm乃至200μmの通路を障害又は凹凸のところに残す。
【0094】
本発明の幾つかの実施例では、血小板の機能の監視が行われる哺乳類は、抗血小板剤による治療を受けている。特定の実施例では、抗血小板剤には、シクロオキシゲナーゼ阻害剤(例えば、アスピリン又は他のサリチル酸塩)、ADP阻害剤、GPIIbIIIa阻害剤、又はこれらの組み合わせが含まれる。
【0095】
本発明の方法及びデバイスの幾つかの使用が存在する。方法及びデバイスは、抗血小板剤による治療を受けている患者での抗血小板剤の有効性を監視するのに使用できる。こうした患者には、介入的心カテーテル法によって治療を受けている患者が含まれる。この治療には、血管造影、血管形成術、及びステント配置が含まれる。更に、この方法は、人工心臓弁を装着した患者での抗血小板剤の有効性を監視するのに使用できる。
【0096】
方法及びデバイスは、過度の血小板活性による冠状動脈血栓症(心臓発作)、肺動脈塞栓症、卒中、又は深静脈血栓症等の心血管の重大事が起らないようにするため、アスピリン又は他の抗血小板剤を摂取した患者でのアスピリン又は他の抗血小板剤の有効性を監視するのに使用できる。
【0097】
方法及びデバイスは、過剰出血の危険について患者を試験するのに使用できる。この試験は、例えば、手術や歯科治療前に行う必要がある。例えば、方法は、抜歯や親知らずを抜く前に過剰出血の危険を確認するために患者に行われる。患者に過剰出血の危険があることが確認された場合には、輸血や血小板輸血を行うことができる設定で手術を行うといった適当な予防措置を講じることができる。
【0098】
方法は、更に、肝機能の監視に使用できる。肝機能が低下している場合には、脾臓を通る血流が増大する。脾臓は、通常は、古くなった機能していない血小板を破壊し、次いで、良好な血小板の遊離を開始し、血小板の数を減少する。血小板の機能の低下は、血小板数の減少によるため、本発明の方法は、血小板の機能低下を検出することによって、血小板の低下を検出する迅速な方法を提供する。従って、A型肝炎、B型肝炎、C型肝炎、肝硬変、及びアルコール中毒による肝臓の損傷を含む肝臓疾患についてスクリーニングを行うのに使用できる。
[血小板反応性試験(PRT)及びカートリッジ]
PRT試験は、少量(20μl)の全血試料を使用して血小板ゲル形成体を活性化し、血小板の薬物治療が行われていない場合の適正な血小板機能を確認するのを補助するため、及び血小板の薬物治療が行われている場合の阻害された血小板機能を確認するために使用される。試験は、チャンネルの制限部を通して少量の血液を流すことによって血小板ゲルを形成し、これらのゲルを、血小板が体内で活性化され且つ集められるのと同様の方法で、狭窄領域で捕捉する。
【0099】
カートリッジは、単チャンネルであって、好ましくは20μlの血液を使用してもよく、又は2チャンネルであって、好ましくは40μlの血液を使用してもよい。カートリッジは、一般的なプラスチック材料から射出成形される。一般的な75mmの毛管を受け入れる構造を持つように設計される。この毛管は、一般的な接着剤を使用してカートリッジに結合される。主チャンネルは、深さが約0.051cm(約0.020インチ)であり、幅が0.089cm(0.035インチ)である。主チャンネルを使用し、血液試料を主チャンネル全長内に配置された制限領域に輸送する。制限領域は、血液試料中に剪断応力を発生するのに使用され、この剪断応力により、血小板を活性化し、制限領域内に血小板のゲルを形成する。短い(0.076cm(0.030インチ))及び長い(1.02cm(0.400インチ))制限チャンネル長、並びに広幅(最大0.033cm(0.013インチ)のチャンネル幅、及び深い(0.046cm(0.018インチ))制限チャンネル深さが使用されたが、結果は一致しない。現在の好ましい制限チャンネル領域は、深さが0.025mm (0.010インチ)、幅が0.025mm (0.010インチ)、長さが0.20cm(0.080インチ)である。
【0100】
ポリカーボネート、ポリエステル、アクリル系誘導体、及びポリスチレンを含む幾つかの異なるカートリッジ材料を試したが、顕著な相違は見られなかった。現在のカートリッジ設計は、ポリスチレンをベース材料として使用する。
【0101】
チャンネルによる制限が血小板を活性化するため、形成された血小板ゲル凝血塊の形成物を集めるための血小板トラップが必要とされている。血小板トラップは、長さが0.20cm(0.080インチ)の制限領域内に配置される。トラップは、その軸線をチャンネル軸線に対して垂直に又は斜めにして配向されていてもよく、カートリッジ表面に対し、平行、垂直、又はこれらの間の所定の角度で配向されていてもよい。トラップは、ばね、線細工ばね、金網、織布、オリフィスが設けられた薄板金、薄板金賦形体、ポリマー繊維、天然繊維、セルロース繊維、金属ワイヤ、縫糸ストランド、レーザーエッチングした又は型成形したプラスチック賦形体、ガラス賦形体又はガラスビーズの形態をとってもよい。化学エッチング、コーティング、界面活性剤による洗浄、及び表面を正に帯電させるといった表面の変更をトラップとして使用してもよい。
【0102】
ポリプロピレン、絹、羊腸糸、ポリエステル、綿、レーヨン、酢酸セルロース、ステンレス鋼ワイヤ、亜鉛ワイヤ、ベリリウム銅ワイヤ、銅ワイヤ、銅−ニッケルワイヤ、タングステンワイヤ、金メッキしたタングステンワイヤ、及びプラチナワイヤを含む様々な繊維をチャンネルに亘って拡げた。繊維ストランドの有効性には小さい微妙な変化があるけれども、繊維の直径は、最も大きな影響を及ぼすものと考えられる。繊維の好ましい直径は、0.0025cm乃至0.0076cm(0.001インチ乃至0.003インチ)である。非常に良好に作用する直径は、0.0030cm乃至0.0046cm(0.0012インチ乃至0.0018インチ)である。最も好ましい直径は、0.0038cm(0.0015インチ)である。幾つかの設計形体が開発されてきた。こうした設計形体には、中央に一つの繊維の形体、チャンネル端部に一つの繊維の形体、繊維フィンガを形成するように切断した繊維をチャンネルに入れた形体、十字状繊維の形体、ループに形成した繊維の形体、ダイアゴナル繊維の形体、チャンネルのベースから突き出した一つの繊維の形体が含まれる。最終的には、チャンネルの制限部内に位置決めされた繊維が非常に重要であり、繊維をチャンネルの制限部の中央に近付ければ近付ける程、得られる結果が一定になるということがわかった。機能的及び製造上の問題点を生じる事態を避けるため、最も好ましい実施例は、ばねをその軸線を垂直又は水平にしてチャンネルを横切って配置する工程を含むと決定された。
【0103】
ベリリウム銅、金メッキしたベリリウム銅、又はステンレス鋼を含む幾つかの異なるばね材料を試した。性能上、特に大きな相違は見られなかったが、ワイヤの公称直径が0.0038cm(0.0015インチ)の不動態化したステンレス鋼が最もよく作用した。ばねの外径、長さ、及びピッチが性能に大きな影響を及ぼす。外径が0.025cm(0.010インチ)のばねは制限チャンネル深さにぴったりと適合する。ばねの直径がチャンネルの深さよりも0.0025cm(0.001インチ)小さい場合には、ばねは、気泡を最も捕捉しやすい。
【0104】
好ましい実施例では、ばねをチャンネルに食い込ませるか或いは軽く圧縮嵌めする。これを行うため、ばねがその軸線を中心として捩じれないようにコイルの二端を保持する小さな凹所領域を持つようにチャンネルを変更する。これは、ばねの凹所領域の二つの端部間に軽く圧縮嵌めする上で、ばねの長さが十分でなければならないということを意味する。ばねが短過ぎる場合には、ばねがチャンネル内で捩じれて短絡経路を形成し、血液が血小板トラップを迂回してしまう。最も良好に作用する現在のばね長は、0.034cm(0.0135インチ)のばね凹所長に対し、0.041cm乃至0.046cm(0.016インチ乃至0.018インチ)である。ばねピッチ及び総コイル数もまた、重要である。ばねワイヤ間の隙間が小さ過ぎる場合には、ばねは、アスピリンを服用している人とアスピリンを服用していない人との間の適切な弁別を提供しない。ばねのピッチが一貫していない場合には、血液はばねを通って均等に流れず、これにより性能に悪影響が及ぼされる。機能する一つのばね設計は、総コイル数が4.5個、有効コイル数が2.5個、公称ピッチが0.012cm(0.0045インチ)であり、ばねの凹所の長さは0.038cm(0.015インチ)である。現在のばね設計は、総コイル数が4.0個、有効コイル数が2.0個、公称ピッチが0.013cm(0.0053インチ)の場合に最もよく機能する。
【0105】
かくして、好ましいばねは、ワイヤの公称直径が0.0038cm(0.0015インチ)、ばねの外径が0.027cm(0.0105インチ)、及び長さが0.041cm乃至0.046cm(0.016インチ乃至0.018インチ)の不動態化したステンレス鋼製ワイヤで形成されている。好ましいばねは、総コイル数が4.0個、有効コイル数が2.0個、そして公称ピッチが0.013cm(0.0053インチ)である。
【0106】
血小板の機能を監視するための本発明のデバイスの一例を図2及び図3に示す。カートリッジ150は、毛管入口160を有し、この入口は、血液を充填した毛管を受け入れることができる。血液を充填した毛管を毛管ポート200に取り付けることができる。導管230が毛管ポート200から接続部270まで延びており、接続部270は、導管250と、通路240、260とに分かれる。導管250及び通路240、260は、溢流ウェル280を含む。導管250及び通路240、260は、夫々、ポート180、170、190まで延びている。通路240及び260は、血小板ゲル形成部分210及び220を含む。これらの血小板ゲル形成部分は、制限部340、細管330、ばねハウジング310、及びばね320を含む。図4を参照されたい。カートリッジ150は、タブ290と、穴300とを含む。
【0107】
使用に当たっては、カートリッジを機器400に固定し、33℃で3分乃至5分間予熱する。図6及び図7を参照されたい。次いで、カートリッジを機器400から取り出し、チクッと刺すことによって対象物から予め取り出した40μlの血液を、毛管ポート200に既に結合してある毛管370に入れる。図5を参照されたい。次いで、カートリッジ150を再び機器400に入れる。機器400を33℃に維持する。好ましい実施例では、カートリッジ150にはバーコードが付けてあり、これを機器400が読み取る。機器400は、カートリッジ150が、予熱工程後2分以上機器の外にあった場合には、カートリッジ150を排除する。
【0108】
双方向ポンプ350、351が、ポート170、190の夫々に取り付けられている。これらの双方向ポンプ350、351は、通路240、260内の圧力を計測するため、圧力トランスジューサー360、361に連結されている。ポンプ350、351は、ステッパモータで駆動するダイヤフラムポンプであってもよい。ソレノイドバルブ375がポート180に取り付けてある。
【0109】
カートリッジ150は、以下のように、血液で充填される。ソレノイドバルブ375を閉鎖する。ポンプ351を切り、ポンプ350を始動する。血液は、通路導管240に流入し、血液が所定の箇所に達したとき、ソレノイドバルブ375を開放し、その結果、通路240内の血液の後側に気泡を引き入れる。次いで、ポンプ350を停止し、ソレノイドバルブ375を閉鎖する。ポンプ351を始動し、血液が通路260に流入する。血液が通路260内の所定の箇所に達したとき、ソレノイドバルブ375を開放し、通路260内の血液の後側に気泡を引き入れる。次いで、ソレノイドバルブ375を閉鎖し、双方向ポンプ350及び351の方向を逆転し、幾らかの空気を毛管370に向かって圧送する。このとき、通路240、260の各々に約15μl乃至20μlの血液が存在する。各通路内の血液の量は異なっていてもよい。
【0110】
次に、ソレノイドバルブ375を開放し、双方向ポンプ350、351は、同時に、血液を、通路240及び260内で所定の箇所間で前後にサイクルさせる。ゲルが形成し、ポンプ350、351は最終点に達するまで作動する。最終点は、圧力、例えば圧力が倍になったときに基づいてもよく、又は流れに対する抵抗(圧力を速度で除した値)、例えば流れに対する抵抗が、流れに対する初期抵抗の倍になったときに基づいてもよい。最終点に達するのに要する時間が、血小板反応時間である。
【0111】
機器400は、通路240及び260内の血液から決定された血小板反応時間の平均を報告する。代表的な血小板反応時間は、10秒乃至400秒である。通路240及び260内の血液から決定された二つの血小板反応時間が大幅に異なっている場合には、機器400は、試験が無効であると表示する。
【0112】
機器400は、その内部のダイオードアレイによって、通路240及び260に進入する血液の量を確認する。
血小板の機能を監視するための本発明のデバイスの別の例を図10及び図11に示す。カートリッジ150’は毛管入口160’を有し、この毛管入口160’は、毛管ポート200’内に結合された毛管を受け入れることができる。導管230が毛管ポート200’から接続部270’まで延びており、接続部270’は通路240’、260’に枝分かれする。これらの通路240’、260’は、溢流ウェル280’を含む。導管250’及び通路240’、260’は、夫々、ポート180’、170’、190’まで延びている。導管250’及びポート180’は現在のカートリッジ内に保持されているが、導管250’が接続部270’に接続されていないため、現在機能しない。通路240’及び260’は、血小板ゲル形成部分210’及び220’を含む。これらの血小板ゲル形成部分210’及び220’は、制限部340’、細管330’、ばねハウジング310’、及びばね320’を含む。図12を参照されたい。カートリッジ150’は、タブ290’と、穴300’とを含む。
【0113】
使用に当たっては、カートリッジを機器400に固定し、30℃で4分間予熱する。図6及び図7を参照されたい。次いで、カートリッジを機器400から取り出し、チクッと刺すことによって対象物から予め取り出した40μlの血液を、毛管ポート200’に既に結合してある毛管370’に毛管作用で入れる。図13を参照されたい。次いで、カートリッジ150’を再び機器400に入れる。カートリッジを機器に戻したとき、ソレノイドバルブ375’を開放し、血液が毛管の端部の外に出ないようにする。機器400は、30℃に維持される。好ましい実施例では、カートリッジ150’にはバーコードが付けてあり、これを機器400が読み取る。機器400は、カートリッジ150’が、予熱工程後2分以上機器の外にあった場合、又はカートリッジが予め加熱されたものでない場合には、カートリッジ150’を排除する。
【0114】
双方向ポンプ350’、351’が、ポート170’、190’の夫々に取り付けられている。これらの双方向ポンプ350’、351’は、通路240’、260’内の圧力を計測するため、圧力トランスジューサー360’、361’に連結されている。ポンプ350’、351’は、ステッパモータで駆動するダイヤフラムポンプであってもよい。ソレノイドバルブ375’が、ポンプ350’をポート170’に連結するライン(図示せず)、又はポンプ351’をポート190’に連結するライン(図示してある)のいずれかに取り付けられる。ポート180’にはキャップが設けられている。
【0115】
カートリッジ150’は、以下のように、血液で充填される。ソレノイドバルブ375’を閉鎖する。ポンプ351’及びポンプ350’を始動する。血液は、通路導管240’及び260’に流入する。現在、通路240’及び260’の各々に約15μl乃至20μlの血液が存在する。ポンプが同じ流量で作動している場合には、各チャンネル内の血液の容積は同じであるが、流量を変化させることによって、各通路内の血液の量を異ならせてもよい。
【0116】
次に、双方向ポンプ350’、351’が、同時に、血液を通路240’及び260’内で所定の箇所間で前後にサイクルさせる。ゲルが形成し、ポンプ350’、351’は最終点に達するまで作動する。最終点は、圧力、例えば圧力が倍になった場合又は圧力が9mmHg等の所定値に達した場合に基づいてもよく、又は、別の態様では、流れに対する抵抗(圧力を速度で除した値)、例えば流れに対する抵抗が、流れに対する初期抵抗の倍になったときに基づいてもよい。最終点に達するのに要する時間が、血小板反応時間である。
【0117】
機器400は、通路240’及び260’内の血液から決定された血小板反応時間の平均を報告する。代表的な血小板反応時間は、10秒乃至400秒である。通路240’及び260’内の血液から決定された二つの血小板反応時間が大幅に異なっている場合には、機器400は、試験が無効であると表示する。
【0118】
機器400は、その内部のダイオードアレイを使用して各血液スラッグ(slug)の長さを計測することによって、通路240’及び260’に進入した血液の量を確認できる。
以下の例は、本発明を例示するものであって、その範囲を限定しようとするものではない。以下に示すデータは、図2乃至図7と関連して上文中に説明したカートリッジ及び方法によって、不動態化したステンレス鋼製ワイヤでできたばねを使用して得たものである。ばねのワイヤは、公称直径が0.0038cm(0.0015インチ)、外径が0.025cm(0.010インチ)、及び長さが0.041cm乃至0.046cm(0.016インチ乃至0.018インチ)である。ばねは、総コイル数が4.5個、有効コイル数が2.5個、そして公称ピッチが0.012cm(0.0045インチ)であり、長さが0.038cm(0.015インチ)のばね凹所に配置される。
[PRT対コラーゲン凝集検出試験]
この実験では、試験カートリッジは、上文中に説明したのと同じ構造の単一の通路を持つが、一つの通路しか使用しない。圧力が一定のポンプを使用し、ソレノイドバルブを含むシステムを使用して通路の両端に圧力を交互に加えることによって、血液を通路内で前後に圧送した。アスピリンを服用していない人達については、PRT試験は、100秒以下で結果が得られた。アスピリンを服用すると、PRTは、多くの志願者について、150秒以上に増大した。人間の志願者についての我々の最も最近の研究では、5人の志願者が参加し、アスピリンの服用前に試験を行った。一時間後、アスピリンを服用し、その後、アスピリンを一日一回一週間に亘って服用するように依頼した。志願者達を4日後及び7日後に再び試験した。PRT試験を複数回実施し、時間を平均し、その結果を、コラーゲンを作用物質として使用する従来の全血凝集検出試験と比較した。コラーゲンに対する応答が、アスピリンに応答する人とアスピリンに応答しない人との間で異なることが示されたため、コラーゲンを選択した。3人の志願者だけで行った予備的研究では、最も適当なコラーゲン濃度は2μg/mlであることが示された。そのため、これが使用した濃度である。試験は、100秒で打ち切った、そのため、100秒以上行ったRPTを100秒と報告した。
【0119】
予備的研究及び志願者の研究から収集した全てのデータを、ベキ法則傾向ラインとともに図8(PRT対コラーゲン)に示す。これは小規模な実験であるけれども、これは、非常に重大な結果である。これは、指をチクッと刺して得られた血液試料について行った2分間の試験が、静脈穿刺によって得られた試料について行った従来の凝集検出試験の結果と相関することが示されたためである。更に、この凝集検出試験は、アスピリンに応答した患者を確認するための、カワサキ等の「低投与量のアスピリンに対する個人の抵抗における、コラーゲンに対する血小板の感受性の上昇」 “卒中”31(3):591−5(2000)という文献で使用された試験の一つである。
[PRT対尿11−ジヒドロトロンボキサンB2]
我々は、初期の研究において、PRTで得られた結果を、尿中のトロンボキサンのレベルを決定するために外部委託研究所に試料を送ることによって得られた結果と比較した。
【0120】
エイケルブーム等は、全てがアスピリンを服用していた976人の患者を研究することによって報告した、「アスピリン抵抗性トロンボキサン生合成、及び心血管の重大事の危険が大きい患者の心筋梗塞、卒中、又は心血管死 の危険」“循環”105(14):1650−5(2002)において、血小板が活性化されたときに発生する生化学物質であるトロンボキサンA2の代謝物である11−ジヒドロトロンボキサンB2のレベルを計測 した。5年に亘る追跡調査中、このマーカーのレベルが高い患者は、卒中、心筋梗塞、及び心血管を原因とする、死亡を含む心血管の重大事が生じる割合が高かった。図9は、平均的なRPTの結果を、計測されたトロンボキサン代謝物のレベルについて、5人の異なるドナーについての結果と比較する。ここでも、100秒以上のRPTの値は、100秒として報告してある。データに合わせて直線が引いた。図9でわかるように、RPTは、臨床的結論を予想することが示された試験と相関する。かくして、RPTは、臨床的結論を予想することができる。
【0121】
以上の説明は、本発明の実施例を説明することを目的としたものであって、本発明の範囲を限定しようとするものではない。血小板の機能を監視するための方法及びデバイスに、本発明の精神又は範囲から逸脱することなく、様々な変形及び変更を行うことができるということは当業者には明らかであろう。かくして、本発明は、特許請求の範囲及びその等価物の範囲内の本発明の変形及び変更を含もうとするものである。
【図面の簡単な説明】
【0122】
【図1】図1A乃至図1Gは、様々な種類の障害及び凹凸が通路内に設けられた、血液を通すための通路を示す図である。
【図2】図2は、本発明のデバイスの斜視図である。
【図3】図3は、図1のデバイスの平面図である。
【図4】図4は、図1のデバイスの詳細図である。
【図5】図5は、概略に示す他のデバイスに取り付けた、図1のデバイスの平面図である。
【図6】図6は、本発明のデバイスの斜視図である。
【図7】図7は、本発明のデバイスの斜視図である。
【図8】図8は、本発明と関連した現在のデータを示すグラフである。
【図9】図9は、本発明と関連した現在のデータを示すグラフである。
【図10】図10は、本発明の別のデバイスの斜視図である。
【図11】図11は、図10のデバイスの平面図である。
【図12】図12は、図10のデバイスの詳細図である。
【図13】図13は、概略に示す他のデバイスに取り付けた、図10のデバイスの平面図である。
【符号の説明】
【0123】
100 通路
110 流体密壁
120 障害
122 整流子
123 ばね
132 拡張部
150 カートリッジ
160 毛管入口
170、180、190 ポート
200 毛管ポート
210、220 血小板ゲル形成部分
230 導管
240 通路
250 導管
260 通路
270 接続部
280 溢流ウェル
290 タブ
300 穴
310 ばねハウジング
320 ばね
330 細管
340 制限部
350、351 双方向ポンプ
360、361 圧力トランスジューサー
370 毛管
375 ソレノイドバルブ
400 機器
【図1A】

【図1B】

【図1C】

【図1D】

【図1E】

【図1F】

【図1G】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
血小板の機能を監視する方法において、
哺乳類から取り出した血液を、ばねを備えた通路に通して前記ばねと接触させ、前記通路内に血小板の塊を発生する工程と、
前記通路内の血液の流れ又は組成を監視し、血小板の塊の形成を検出する工程とを含む、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、
血小板の塊を形成する時間の量を計測する、方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法において、
前記ばねは、ベリリウム銅、金メッキしたベリリウム銅、又はステンレス鋼で形成されている、方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法において、
前記ばねは、不動態化したステンレス鋼でできている、方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法において、
前記ばねは、前記通路に対して横方向に取り付けられている、方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法において、
前記通路内の血液の前記流れを監視する、方法。
【請求項7】
請求項6に記載の方法において、
前記通路内の血液の圧力を監視することによって前記流れを監視する、方法。
【請求項8】
請求項10に記載の方法において、
前記圧力を圧力トランスジューサーで監視する、方法。
【請求項9】
請求項6に記載の方法において、
前記流れを光学的に監視する、方法。
【請求項10】
請求項9に記載の方法において、
前記流れを発光ダイオード及び光検出器で監視する、方法。
【請求項11】
請求項1に記載の方法において、
前記通路内の血液の前記組成を監視する、方法。
【請求項12】
請求項1に記載の方法において、
前記通路及び血液は、追加の抗凝血剤を含まない、方法。
【請求項13】
請求項1に記載の方法において、
前記通路は、血小板を活性化する追加の生物学的薬剤を含まない、方法。
【請求項14】
請求項1に記載の方法において、
血液は、血小板を活性化する追加の生物学的薬剤を含まない、方法。
【請求項15】
請求項1に記載の方法において、
前記通路及び血液は、血小板を活性化する追加の化学的薬剤を含まない、方法。
【請求項16】
請求項1に記載の方法において、
取り出した血液に生物学的薬剤又は化学的薬剤を追加しない、方法。
【請求項17】
請求項1に記載の方法において、
0.4mlよりも少量の血液を前記哺乳類の身体から取り出す、方法。
【請求項18】
請求項1に記載の方法において、
20μlよりも少量の血液が前記通路を通過する、方法。
【請求項19】
請求項1に記載の方法において、
血液は前記通路を双方向に通過する、方法。
【請求項20】
請求項1に記載の方法において、
血液は全血である、方法。
【請求項21】
請求項1に記載の方法において、
血液は分画血である、方法。
【請求項22】
請求項1に記載の方法において、
前記哺乳類を抗血小板剤で処理する、方法。
【請求項23】
請求項22に記載の方法において、
前記抗血小板剤は、シクロオキシゲナーゼ阻害剤、ADP阻害剤、GPIIbIIIa阻害剤、又はこれらの組み合わせを含む、方法。
【請求項24】
請求項1に記載の方法において、
形成される前記血小板の塊は、通常の凝血塊と比較してフィブリンの含有量が大幅に低い、方法。
【請求項25】
血小板の機能を監視する方法において、
哺乳類から取り出した血液を、障害又は凹凸を備えた二つ又はそれ以上の通路に通して前記障害又は前記凹凸のところの前記通路の壁と接触させ、前記二つ又はそれ以上の通路内に血小板の塊を発生する工程と、
前記通路内の血液の流れ又は組成を監視し、血小板の塊の形成を検出する工程とを含む、方法。
【請求項26】
請求項25に記載の方法において、
血小板の塊を形成する時間の量を計測する、方法。
【請求項27】
請求項25に記載の方法において、
前記二つ又はそれ以上の通路での前記血小板の塊の形成を同時に検出する、方法。
【請求項28】
請求項25に記載の方法において、
前記二つ又はそれ以上の通路は、ばね、線細工ばね、金網、織布、オリフィスが設けられた薄板金、薄板金賦形体、ポリマー繊維、天然繊維、セルロース繊維、金属ワイヤ、縫糸ストランド、レーザーエッチングした又は型成形したプラスチック賦形体、ガラス賦形体又はガラスビーズから選択された障害を含む、方法。
【請求項29】
請求項28に記載の方法において、
前記障害はばねである、方法。
【請求項30】
請求項29に記載の方法において、
前記ばねは、ベリリウム銅、金メッキしたベリリウム銅、又はステンレス鋼で形成されている、方法。
【請求項31】
請求項29に記載の方法において、
前記ばねは、不動態化したステンレス鋼でできている、方法。
【請求項32】
請求項29に記載の方法において、
前記ばねは、前記通路に対して横方向に取り付けられている、方法。
【請求項33】
請求項25に記載の方法において、
前記二つ又はそれ以上の通路内の血液の流れを監視する、方法。
【請求項34】
請求項33に記載の方法において、
前記二つ又はそれ以上の通路内の血液の圧力を監視することによって前記流れを監視する、方法。
【請求項35】
請求項34に記載の方法において、
前記圧力を圧力トランスジューサーで監視する、方法。
【請求項36】
請求項33に記載の方法において、
前記流れを光学的に監視する、方法。
【請求項37】
請求項36に記載の方法において、
前記流れを発光ダイオード及び光検出器で監視する、方法。
【請求項38】
請求項25に記載の方法において、
前記二つ又はそれ以上の通路内の血液の前記組成を監視する、方法。
【請求項39】
請求項25に記載の方法において、
前記通路及び血液は、追加の抗凝血剤を含まない、方法。
【請求項40】
請求項25に記載の方法において、
前記通路は、血小板を活性化する追加の生物学的薬剤を含まない、方法。
【請求項41】
請求項25に記載の方法において、
血液は、血小板を活性化する追加の生物学的薬剤を含まない、方法。
【請求項42】
請求項25に記載の方法において、
前記通路及び血液は、血小板を活性化する追加の化学的薬剤を含まない、方法。
【請求項43】
請求項25に記載の方法において、
取り出した血液に生物学的薬剤又は化学的薬剤を追加しない、方法。
【請求項44】
請求項25に記載の方法において、
0.4mlよりも少量の血液を前記哺乳類の身体から取り出す、方法。
【請求項45】
請求項25に記載の方法において、
50μlよりも少量の血液が前記二つ又はそれ以上の通路を通過する、方法。
【請求項46】
請求項25に記載の方法において、
血液は前記二つ又はそれ以上の通路を双方向に通過する、方法。
【請求項47】
請求項25に記載の方法において、
血液は全血である、方法。
【請求項48】
請求項25に記載の方法において、
血液は分画血である、方法。
【請求項49】
請求項25に記載の方法において、
前記哺乳類を抗血小板剤で処理する、方法。
【請求項50】
請求項49に記載の方法において、
前記抗血小板剤は、シクロオキシゲナーゼ阻害剤、ADP阻害剤、GPIIbIIIa阻害剤、又はこれらの組み合わせを含む、方法。
【請求項51】
請求項25に記載の方法において、
形成される前記血小板の塊は、通常の凝血塊と比較してフィブリンの含有量が大幅に低い、方法。
【請求項52】
血小板の機能を監視するためのデバイスにおいて、
通路を形成する流体密材料と、
前記通路を通して血液を圧送するため、前記通路と機能的に関連したポンプと、
前記通路内のばねであって、血液が前記通路を通して圧送されて前記ばねと接触したとき、前記ばねに又は前記ばねの近くに血小板の塊が形成されるように構成されたばねと、
前記通路を通る血液の流れを検出し、前記血小板の塊の形成を検出する検出器とを含む、デバイス。
【請求項53】
血小板の機能を監視するためのデバイスにおいて、
二つ又はそれ以上の通路を形成する流体密材料と、
前記通路を通して血液を圧送するため、前記通路と機能的に関連した二つ又はそれ以上のポンプとを含み、
前記二つ又はそれ以上の通路は、障害又は凹凸を有し、これらの障害又は凹凸は、血液が前記通路を通して圧送されて前記障害又は前記凹凸のところの通路の壁と接触したとき、前記凹凸のところの又は前記凹凸の近くの前記通路の前記壁に、もしくは前記障害のところに又は前記障害の近くに血小板の塊が形成されるように構成されており、更に、
前記通路を通る血液の流れを検出し、前記血小板の塊の形成を検出する検出器を含む、デバイス。
【請求項54】
血小板の機能を監視するためのデバイスにおいて、
二つ又はそれ以上の通路を形成する流体密材料と、
前記通路を通して血液を圧送するため、前記通路と機能的に関連した二つ又はそれ以上のポンプとを含み、
前記二つ又はそれ以上の通路は、障害又は凹凸を有し、これらの障害又は凹凸は、血液が前記通路を通して圧送されて前記障害又は前記凹凸のところの通路の壁と接触したとき、前記凹凸のところの又は前記凹凸の近くの前記通路の前記壁に、もしくは前記障害のところに又は前記障害の近くに血小板の塊が形成されるように構成されており、更に、
前記通路内の血液の組成を検出し、前記血小板の塊の形成を検出する検出器を含む、デバイス。
【請求項55】
血小板の機能を監視するためのデバイスで使用するための物品において、
通路を形成する流体密材料と、
前記通路内のばねとを含み、該ばねは、血液が前記通路を通して圧送されて前記ばねと接触したとき、前記ばねに又は前記ばねの近くに血小板の塊が形成されるように構成されている、物品。
【請求項56】
請求項55に記載の物品において、
前記ばねは、ベリリウム銅、金メッキしたベリリウム銅、又はステンレス鋼で形成されている、物品。
【請求項57】
請求項55に記載の物品において、
前記ばねは、不動態化したステンレス鋼でできている、物品。
【請求項58】
請求項55に記載の物品において、
前記ばねは、前記通路に対して横方向に取り付けられている、物品。
【請求項59】
請求項55に記載の物品において、
前記ばねの長さは、0.025cm乃至0.15cmである、物品。
【請求項60】
血小板の機能を監視するためのデバイスで使用するための物品において、
障害又は凹凸を含む二つ又はそれ以上の通路を形成する流体密材料を含み、
前記障害又は凹凸は、血液が前記二つ又はそれ以上の通路を通して圧送されて、前記障害又は前記凹凸のところの前記通路の前記壁と接触したとき、血小板の塊が、前記障害のところに又は前記障害の近くに、又は前記凹凸のところの又は前記凹凸の近くの前記通路の前記壁に形成されるように構成されている、物品。
【請求項61】
請求項60に記載の物品において、
前記二つ又はそれ以上の通路は、ばね、線細工ばね、金網、織布、オリフィスが設けられた薄板金、薄板金賦形体、ポリマー繊維、天然繊維、セルロース繊維、金属ワイヤ、縫糸ストランド、レーザーエッチングした又は型成形したプラスチック賦形体、ガラス賦形体又はガラスビーズから選択された障害を含む、物品。
【請求項62】
請求項60に記載の物品において、
前記障害はばねである、物品。
【請求項63】
請求項62に記載の物品において、
前記ばねは、ベリリウム銅、金メッキしたベリリウム銅、又はステンレス鋼で形成されている、物品。
【請求項64】
請求項62に記載の物品において、
前記ばねは、不動態化したステンレス鋼でできている、物品。
【請求項65】
請求項62に記載の物品において、
前記ばねは、前記通路に対して横方向に取り付けられている、物品。
【請求項66】
請求項62に記載の物品において、
前記ばねの前記長さは、0.025cm乃至0.15cmである、物品。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公表番号】特表2008−539438(P2008−539438A)
【公表日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−509024(P2008−509024)
【出願日】平成18年4月24日(2006.4.24)
【国際出願番号】PCT/US2006/015565
【国際公開番号】WO2006/116361
【国際公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(505090388)プラコア・インコーポレーテッド (1)
【Fターム(参考)】