説明

血液リザーバ

【課題】貯留された血液の循環に際して体内に空気が循環されることがなく、貯留槽に流入した血液中の気泡を容易に除去可能な血液リザーバを提供すること。
【解決手段】体外循環回路に用いられる血液リザーバ1であって、血液を貯留する貯留部Aが形成されたリザーバ本体10と、前記貯留部Aに接続され前記血液が流入する流入部26と、前記貯留部Aに接続され前記血液が流出する流出部27と、前記貯留部Aに連結され前記血液中の気泡を除去する気泡除去機構20とを備え、前記リザーバ本体10は、筒状に形成されたシリンダ11と、前記シリンダ11内に配置され前記貯留部Aの容積を可変とするピストン部材16とを有していることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、人工心肺システム等の体外循環回路に用いられ、患者の大静脈等から脱血した血液や術野から出血した血液を患者に返血するための血液リザーバに関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、開心術を行なう場合には、患者の大静脈や左心室から脱血した血液を、体外循環回路を循環させて人工心肺で酸素化したうえで動脈に還流させている。また、大静脈や左心室から脱血した血液に加えて、術野から出血した血液を体外循環回路に設けられた血液リザーバに貯留して、その後酸素化したうえで患者体内に還流させるようになっている。
このような体外循環回路において、脱血した血液は、一旦血液リザーバに貯留され、その後、送血ポンプを用いて流量コントロールしながら返血されている。
【0003】
このように血液を貯留する血液リザーバに関する技術として、開放型のオープンハードシェルリザーバに関する技術が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
このような開放型のオープンハードシェルリザーバは、貯留する血液量の変化に容易に対応可能であるが、血液が大気に対して開放され空気との接触面を有しているために、リザーバ内の液位が低下すると、血液とともに空気が患者体内に移送される可能性があり、空気が患者体内に移送されないようにするためにリザーバの下流側の接続チューブを鉗子等で挟んで血液量を管理する必要がある。
【0004】
この血液量を調整する操作は秒刻みで行なわれる高度で熟練が必要な操作であるうえ、熟練者にとっても困難をともなうものである。
一方、貯留される血液が空気と接触しないために血液量が変化しても空気が移送されない血液リザーバとして、例えば、ポリエチレン等の可撓性を有する材料により形成されたシート状の密封袋からなる閉鎖型の血液リザーバに関する技術がある。
【特許文献1】特開2000−210381号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、シート状の密封袋からなる血液リザーバは、形状が保持し難いために血液リザーバとしての容量が調整しにくく、貯留された血液を送血ポンプで吸引して患者体内に還流させる場合には送血ポンプの吸引力により血液リザーバ内の血液が陰圧となるために貯留する血液量の調整が非常に困難であるという問題があった。
【0006】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、血液が空気と接触することがない閉鎖型体外循環回路に用いることが可能であり、貯留される血液量の調整と血液中の気泡除去が容易な血液リザーバを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記のような課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、体外循環回路に用いられる血液リザーバであって、血液を貯留する貯留部が形成されたリザーバ本体と、前記貯留部に接続され前記血液が流入する流入部と、前記貯留部に接続され前記血液が流出する流出部と、前記貯留部に連結され前記血液中の気泡を除去する気泡除去機構とを備え、前記リザーバ本体は、筒状に形成された筒状部材と、前記筒状部材内に配置され前記筒状部材内を長手方向に移動して前記貯留部の容積を可変とするピストン部材とを有していることを特徴とする。
【0008】
この発明に係る血液リザーバによれば、ピストン部材が、筒状部材の長手方向に移動することにより血液を貯留する貯留部の容積が調整自在とされている。
また、貯留部に気泡除去機構が連結されているので、血液リザーバにて貯留部内に流入する血液の気泡を容易に除去することが可能であり、その結果、体外循環回路に別個の気泡除去装置を設ける必要がなく、体外循環回路を簡単な構造として、かつ小型化することができる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1記載の血液リザーバであって、前記気泡除去機構は、略円錐形状の気泡溜り部を有する筐体と、前記筐体内に配置され円筒形状のメッシュ状部材と、前記気泡溜り部に設けられ前記メッシュ状部材で捕捉された気泡を排出する排出口とを備え、前記流入部の開口部は、導入された前記血液が前記メッシュ状部材に沿った螺旋状の流れを生じるように配置されていることを特徴とする。
【0010】
この発明に係る血液リザーバによれば、気泡除去機構が円筒形状のメッシュ状部材により構成されているので、メッシュ状部材により血液中の気泡が捕捉される。
また、流入部の開口部がメッシュ状部材内に螺旋状の流れを生じるように配置されているので、血液が遠心力によりメッシュ状部材の外に移動しやすい一方で気泡はメッシュ状部材で捕捉されやすいため、血液と気泡が容易に分離される。
また、気泡を排出する排出口か設けられているので、気泡溜り部に溜まった気泡を血液リザーバ外に容易に排出することができる。
【発明の効果】
【0011】
この発明に係る血液リザーバによれば、ハードシェルタイプの血液リザーバを用いた閉鎖型人工心肺回路を容易に構成することが可能であり、患者体内への空気の流入を防止しつつ貯留される血液量を容易に調整することが可能である。
また、体外循環回路の構造を簡素化して、かつ小型化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、この発明の第1の実施形態について、図面を参照して説明する。
図1、図2は、この発明に係る血液リザーバを示す図であり、符号1は血液リザーバを、符号10はリザーバ本体を、符号20は気泡除去機構を示している。
また、図3は、この血液リザーバ1が用いられる体外循環回路100の例の概略を示す図である。
【0013】
血液リザーバ1は、リザーバ本体10と、気泡除去機構20とを備えており、例えば、図3に示すような体外循環回路100に接続可能とされて、患者Kの大静脈から脱血して体外循環回路100を循環する血液を貯留して、貯留した血液が送血ポンプにより患者Kの大動脈に還流するようになっている。図3においては、左心室からの脱血及び術野から出血による血液の血液リザーバ1への移送経路は省略している。
【0014】
リザーバ本体10は、円筒形状に形成されたシリンダ(筒状部材)11と、ピストン機構15とを備え、ピストン機構15を構成するピストン部材16がシリンダ11の長手方向にシリンダ内を移動可能とされている。
シリンダ11は、例えば、ポリカーボネード樹脂等の透明な材料により形成され、大気圧や取扱い中の外力により変形しない程度の強度を有するいわゆるハードシェルとされている。
【0015】
ピストン機構15は、ピストン部材16と、ピストンロッド17とを備え、ピストン部材16はシリンダ11の内径よりわずかに小径の円板からなり、その厚さ方向のほぼ中央には環状溝16Aが形成され、その環状溝16Aに環状シール部材16Sが装着されて、シリンダ11の貯留部Aの気密が保持されるようになっている。
【0016】
ピストンロッド17は、先端側(ピストン部材16側)がピストン部材16の貯留部Aとは反対側の面に形成された円形凹部16Bに配置され、押さえ部材18によりピストン部材16に対して回転自在に取り付けられている。
また、ピストンロッド17の軸部には、雄ネジ17Aが形成され、その雄ネジ17Aは、シリンダ11の後方側に設けられた蓋部材19に形成された雌ネジ19Aと螺合されている。
また、ピストンロッド17の後方側には、ピストンロッド17を進退するための回転操作を容易に行うためのハンドル17Bが設けられている。
【0017】
気泡除去機構20は、筐体21と、筐体21の内部に配置された気泡分離部材22と、排出バルブ25とを備えており、流入部26を介して気泡分離部材22内部に流入した血液が気泡分離部材22により気泡と分離され、気泡が除去された血液が流出部27から流出するようになっている。
筐体21は、血液から分離された気泡が貯留される気泡溜り部Bを画成する円錐形状部21Aと、気泡分離部材22の外周を取り囲む円筒形状部21Bとを備えており、この実施の形態において、円筒形状部21Bはシリンダ11と一体に形成されている。
【0018】
気泡分離部材22は、図2に示すように、円板形状部22Aと、メッシュ状部材23とを備えており、この実施の形態において、メッシュ状部材23は、第1のメッシュ状部材23Aと、第2のメッシュ状部材23Bとから構成されている。
【0019】
第1のメッシュ状部材23Aと、第1のメッシュ状部材23Aは、それぞれ、例えば、ポリエチレン等の樹脂からなるメッシュ(網)が円筒形状に形成された周壁部を有して構成されており、第1のメッシュ状部材23Aと第1のメッシュ状部材23Aとは、第1のメッシュ状部材23Aを内側として円板形状部22Aに同心状に立設されている。
【0020】
第1のメッシュ状部材23Aと、第2のメッシュ状部材23Bは、円板形状部22Aの反対側に位置する先端が円錐状の内面に沿って形成されており、第1のメッシュ状部材23Aの先端は第2のメッシュ状部材23Bの先端よりも高く形成され、第1のメッシュ状部材23A及び第2のメッシュ状部材23Bの先端と、円錐形状部21Aの内面との間には間隙が形成されていて、この間隙を血液が移動することができるようになっている。
【0021】
第1のメッシュ状部材23Aと、第2のメッシュ状部材23Bとが径方向に2重に配置されることにより、第1のメッシュ状部材23Aの内方から第1のメッシュ状部材23Aと第2のメッシュ状部材23Bの間に移動した血液が、さらに第2のメッシュ状部材23Bを通過することにより、血液中の気泡がさらに分離可能とされている。
【0022】
円板形状部22Aは、気泡除去機構20の貯留部A側に配置され、気泡除去機構20の内部と貯留部Aを円板形状部22Aに形成された複数の円形の貫通孔22Bを通じて血液が流通可能に、貯留部Aと連結されている。
排出バルブ25は、円錐形状部21Aに設けられ、気泡溜り部Bと外部とを連通する排出口25Aを開閉自在とするものであり、排出バルブ25を緩めた場合に気泡溜まりB内の気泡が排出口25Aを通じて血液リザーバ1の外部に排出されるようになっている。
【0023】
流入部26は、気泡除去機構20内の開口部26Aが第1のメッシュ状部材23Aの内方に配置され、開口部26Aは第1のメッシュ状部材23Aを構成する円筒形状の中心軸線から外れて第1のメッシュ状部材23Aの内周面に沿う側に配置して開口されている。
流出部27は、第2のメッシュ状部材23Bの外方、円筒形状部21Bの内方に開口されている。
【0024】
血液リザーバ1が接続される体外循環回路100は、例えば、図3に示したように、上流側が患者Kの心臓の大静脈に接続され、脱血管101と、血液リザーバ1と、送血ポンプ102と、熱交換器103と、人工肺104と、動脈フィルタ105とがこの順序にて管路110を介して接続され、人工肺104により酸素化された血液が動脈フィルタ105及び送血管106を介して患者Kの大動脈に還流するようになっている。この体外循環回路100に接続された血液リザーバ1は、排出バルブ25を上方に向けて配置され、捕捉された気泡が円錐形状部21A内方の気泡溜り部Bに集まりやすいようになっている。
【0025】
次に、血液リザーバ1の作用について説明する。
〔血液リザーバ1内の血液の流れ〕
(1)体外循環回路100に血液リザーバ1を接続して、送血ポンプ102を起動する。
送血ポンプ102が起動されると、流入部26から血液リザーバ1の内部に血液が流入する。
(2)血液リザーバ1に流入した血液は、開口部26Aから第1のメッシュ状部材23A内に放出されて、第1のメッシュ状部材23A内の内周面に沿って螺旋状の流れを生じる。
(3)第1のメッシュ状部材23A内を螺旋状に移動する血液は、遠心力によりその一部が第1のメッシュ状部材23A周壁部のメッシュを通じて第1のメッシュ状部材23Aと第2のメッシュ状部材23Bの間に移動する。
このとき、血液中に含まれていた気泡は遠心力による作用が小さいため第1のメッシュ状部材23A周壁部のメッシュにより捕捉される。
(4)第1のメッシュ状部材23Aの外方に流出しなかった血液は、第1のメッシュ状部材23A内を円錐形状部21Aの上方に向かって移動し、第1のメッシュ状部材23A及び第2のメッシュ状部材23Bの上方を越えて、第2のメッシュ状部材23Bの外方を流出部27の開口部に向かって移動し流出部27から流出される。
(5)第1のメッシュ状部材23Aを通じて第1のメッシュ状部材23Aと第2のメッシュ状部材23Bの間に移動した血液は、その一部が第2のメッシュ状部材23B周壁部のメッシュを通じて第2のメッシュ状部材23Aの外方に流出し、流出部27の開口部に向かって移動し流出部27から流出される。
このとき、血液中に含まれていた気泡は第2のメッシュ状部材23B周壁部のメッシュにより捕捉される。
(6)第2のメッシュ状部材23Bの外方に流出しなかった血液は、第2のメッシュ状部材23B内を円錐形状部21Aの上方に向かって移動し、第2のメッシュ状部材23Bの上方を越えて流出部27の開口部に向かって移動し流出部27から流出される。
(7)この第1のメッシュ状部材23A内及び第2のメッシュ状部材23B内を開口部26Aから円錐形状部21Aの上方に向かって螺旋状に移動した血液に含まれた気泡は、血液が移動する間に、又は気泡溜り部Bで滞留する間に気泡同士が集合して大きくなり、血液と分離される。
(8)血液から分離されて気泡溜り部Bに溜まった気泡は、排出バルブ25を緩めることにより排出口25Aから排出される。
【0026】
〔貯留部Aの容積調整〕
次に、貯留部Aの容積調整について説明する。
(1)血液リザーバ1に貯留する血液量を増加させる必要が生じたら、ピストンロッド17のハンドル17Bをピストン部材16が後退する方向に回転させてピストン部材16を後退させて貯留部Aの容積を大きくする。
このとき、ピストン部材16の後退に応じて、流入部26を通じて貯留部A内に容積変化に対応した量の血液が流入する。
(2)また、血液リザーバ1に貯留する血液量を減少させる場合には、ピストン部材16が前進する方向にハンドル17Bを回転させてピストン部材16を前進させ、貯留部Aの容積を小さくする。
このとき、ピストン部材16の前進に応じて、流出部27を通じて貯留部Aから容積変化に対応した量の血液が流出する。
【0027】
第1の実施形態に係る血液リザーバ1によれば、ハードシェルタイプのリザーバを用いて閉鎖型体外循環回路100を容易に構成することが可能であり、患者体内への空気の流入を防止することができる。
また、閉鎖型体外循環回路を構成する血液リザーバでありながら貯留される血液量を容易に調整することが可能である。
また、ピストン部材16が、ハンドル17Bを回転させることによりシリンダ11の長手方向に容易に移動するので、貯留部Aの容積を容易かつ短時間に調整することができる。
【0028】
また、貯留部Aに気泡除去機構20が連結されているので、血液リザーバ1にて貯留部A内に流入する血液の気泡を容易に除去することができ、体外循環回路100に別個の気泡除去装置を設ける必要がなくなるために体外循環回路100を簡単な構造として、かつ小型化することができる。
【0029】
また、気泡除去機構20がメッシュ状部材23により構成されているので、メッシュ状部材23により血液中の気泡を効率的に捕捉することができる。
また、流入部26の開口部26Aがメッシュ状部材23内に螺旋状の流れを生じるように配置されているので、遠心力により気泡を効率的に血液から分離、除去することができる。
また、捕捉した気泡を排出するための排出口25Aか設けられているので、気泡溜り部Bに溜まった気泡を血液リザーバ1外に容易に排出することができる。
【0030】
図4は、この発明の第2の実施形態に係る血液リザーバ1Aを示す図である。
第2の実施形態に係る血液リザーバ1Aが第1の実施形態にかかる血液リザーバ1と異なるのは、血液リザーバ1Aが、ピストンロッド17と、蓋部材19に代えて、軸部に雄ネジが形成されていないピストンロッド31と、ピストンロッド31を挿入する孔に雌ネジが形成されていない蓋部材19により構成され、ピストンロッド31が、固定部材33に回動自在に支持されたレバー34と相対移動可能に接続部35において接続されている点である。
【0031】
かかる構成により、レバー34をリザーバ本体10側に回動させると血液リザーバ1Aの貯留部Aの容積が小さくなり、レバー34をリザーバ本体10から離間する側に回動させると血液リザーバ1Aの貯留部Aの容積が大きくなるようになっている。
その他は、第1の実施形態に係る血液リザーバ1と同様であるので同じ符号を付して説明を省略する。
第2の実施形態に係る血液リザーバ1Aによれば、ピストン部材16の移動がレバー34により行われるので、血液リザーバ1Aの貯留部Aの容積を容易かつ短時間で調整することができる。
【0032】
図5は、この発明の第3の実施形態に係る血液リザーバ1Bを示す図である。
第3の実施形態に係る血液リザーバ1Bが、第1の実施形態にかかる血液リザーバ1と異なるのは、血液リザーバ1Bを構成するピストンロッド17に代えてピストンロッド41により構成し、ハンドル17Bによる回転ではなく、モータ42の回転力をモータ42の出力軸に設けたギア43と、ギア43と係合するギア44を介してピストンロッド41に伝達するように構成されている点である。
【0033】
この実施の形態において、ギア44は、回転軸部に形成された孔に雌ネジ44Aが形成され、この雌ネジ44Aがピストンロッド41の雄ネジ41Aと係合しモータ42の回転をピストンロッド41の軸方向の移動に変換するようになっている。
かかる構成により、モータ42を駆動してギア43、ギア44を回転させることによりピストンロッド41が軸方向に移動して貯留部Aの容積を調整することが可能とされている。
その他は、第1の実施形態に係る血液リザーバ1と同様であるので同じ符号を付して説明を省略する。
第3の実施形態に係る血液リザーバ1Bによれば、ピストン部材16の移動がモータ42により行われるので、血液リザーバ1Bの貯留部Aの容積を短時間で正確に調整することができる。
【0034】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、上記実施の形態においては、シリンダ11及びピストン部材16の移動方向に直交する断面が円形状の場合について説明したが、シリンダ及びピストンの移動方向に直交する断面を、例えば、多角形、楕円形状の他、円形状以外の形状とすることが可能である。
【0035】
また、シリンダ11が透明材料であるポリカーボネード樹脂により形成される場合について説明したが、シリンダ11を形成する材料をポリカーボネード樹脂以外の透明材料とし、又は光が透過しない材料とすることも可能である。
【0036】
また、上記実施の形態においては、気泡除去機構20が、メッシュ状部材23により構成される場合について説明したが、メッシュ状部材以外の構造による気泡除去機構を用いてもよく、又メッシュ状部材23からなる気泡除去部材を用いる場合であっても、メッシュ状部材23A、23Bを2重構造とすることなく、例えば、一重構造のメッシュ状部材や他の構造部材と組み合わせた構造の気泡除去部材としてもよい。
【0037】
また、上記実施の形態においては、ピストンロッド17、31、41が、それぞれハンドル17B、レバー34、モータ42により駆動されてピストン部材16を移動させる場合について説明したが、これら以外の手段によって貯留部Aの容積を調整する構成としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る血液リザーバを示す縦断面図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る気泡除去機構を円錐形状部を取り外して見た平面図である。
【図3】本発明に係る血液リザーバを用いる体外循環回路の一例を示す概略図である。
【図4】本発明の第2の実施形態に係る血液リザーバの概略構成を示す図である。
【図5】本発明の第3の実施形態に係る血液リザーバの概略構成を示す図である。
【符号の説明】
【0039】
K 患者
A 貯留部
B 気泡溜まり
1 血液リザーバ
10 リザーバ本体
11 シリンダ(筒状部材)
16 ピストン部材
20 気泡除去機構
21 筐体
23A 第1のメッシュ状部材
23B 第2のメッシュ状部材
25A 排出口
26 流入部
26A 開口部
27 流出部
100 体外循環回路




【特許請求の範囲】
【請求項1】
体外循環回路に用いられる血液リザーバであって、
血液を貯留する貯留部が形成されたリザーバ本体と、
前記貯留部に接続され前記血液が流入する流入部と、
前記貯留部に接続され前記血液が流出する流出部と、
前記貯留部に連結され前記血液中の気泡を除去する気泡除去機構とを備え、
前記リザーバ本体は、
筒状に形成された筒状部材と、
前記筒状部材内に配置され前記筒状部材内を長手方向に移動して前記貯留部の容積を可変とするピストン部材とを有していることを特徴とする血液リザーバ。
【請求項2】
請求項1記載の血液リザーバであって、
前記気泡除去機構は、
略円錐形状の気泡溜り部を有する筐体と、
前記筐体内に配置され円筒形状のメッシュ状部材と、
前記気泡溜り部に設けられ前記メッシュ状部材で捕捉された気泡を排出する排出口とを備え、
前記流入部の開口部は、
導入された前記血液が前記メッシュ状部材に沿った螺旋状の流れを生じるように配置されていることを特徴とする血液リザーバ。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−45260(P2009−45260A)
【公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−214543(P2007−214543)
【出願日】平成19年8月21日(2007.8.21)
【出願人】(000200677)泉工医科工業株式会社 (56)
【Fターム(参考)】