説明

血液分離装置

【課題】溶血を引き起こすことなく、血液から血漿もしくは血清を濾過により速やかに分離することができ、濾過効率に優れ、濾液の回収量を多くすることを可能とする、血液分離装置を提供する。
【解決手段】分離装置本体2の内部空間Aに、血液濾過材5,6が配置されており、血液濾過材5,6と、分離装置本体2の入り口3との間に血液を通過させる多数の貫通孔を有し、該貫通孔が入り口3側から血液濾過材5,6側に向かって延びており、血液濾過材表面において均一に血液を浸透させることを可能とする血液浸透制御部材7が配置されている、血液分離装置1。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全血から、血漿もしくは血清を容易に分離することを可能とする血液分離装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、臨床検査等において血清もしくは血漿を得るには遠心分離法が広く用いられていた。しかしながら、遠心分離法を用いる場合、高価な遠心分離機を必要とし、かつ分離に比較的長い時間を要するという問題があった。
【0003】
他方、上記のような血液の分離を容易とし、かつ分離により得られた血清を用いて直ちに検査もしくは測定を可能とするドライケミストリーと称されている技術が知られている。ここでは、ガラス繊維などの極細繊維からなる血清分離フィルタ層の下側に、反応層が積層されて、小型のプレート状の形状とされている。上記血清分離フィルタ層上に微量の血液を滴下すると、血液分離フィルタ層において血清が分離される。そして、下方に位置している反応層で血清が反応し、発色し、これを分光光度計で測定することができる。
【0004】
しかしながら、液状の試薬を用いた一般の生化学分析や免疫分析に比べて測定し得る項目が限られるという問題があった。さらに、一つの検査項目に1つのプレートを用いるため、様々な検査項目についての検査を行うには、多数のプレートを用意しなければならなかった。そのため、血液の分離から測定までの合計の時間を十分に短縮することはできなかった。また、上記プレートが比較的高価であるため、広く普及するには至っていないのが実情であった。
【0005】
他方、下記の特許文献1や特許文献2には、ホルダー状の装置本体内に、平膜状の血液濾過材が挟み込まれており、出口側から吸引することにより濾液を回収することを可能とする血液分離装置が開示されている。しかしながら、血液濾過材への血液が比較的早く浸透する系では、血液濾過材の一部に部分的に血液が浸透しやすく、残りの部分において血液が浸透し難い。従って、濾過効率が十分でなく、短時間で、多くの血漿や血清を得ることができなかった。さらに、血液濾過材における血液の浸透が不均一であるため、血液濾過材において、血液分離に使用される部分の面積が小さくならざるを得なかった。加えて、より多くの血漿もしくは血清を得ようとして、あるいは濾過を短時間で行おうとして、吸引圧を高くした場合には、赤血球が破壊し、溶血が生じるという問題があった。
【特許文献1】特開2001−324500号公報
【特許文献2】特開平9−196911号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のように、従来の遠心分離機を用いない血液分離装置では、血液濾過材において、血液が不均一に浸透する結果、十分な量の血漿もしくは血清を速やかに得ることはできず、また溶血が生じるおそれがあった。
【0007】
本発明の目的は、上述した従来技術の欠点を解消し、全血試料から血漿もしくは血清を速やかにかつ簡便に分離することができ、分離された血漿や血清をそのまま検体として検査機器に供給でき、しかも分離に際しての溶血が生じ難い、血液分離装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、血液が供給される入り口と、血液から分離して得られた血漿もしくは血清が取り出される出口と、入り口と出口との間に設けられた内部空間とを有する分離装置本体と、分離装置本体の内部空間内に配置され、入り口から供給された血液を濾過して血漿もしくは血清を分離する血液濾過材と、分離装置本体の内部空間において、血液濾過材よりも入り口側に配置されており、かつ、血液を通過させる複数の貫通孔を有し、該貫通孔は入り口側から血液濾過材側に向かって延びており、血液濾過材表面において均一に血液を浸透させることを可能とする血液浸透制御部材とを備えることを特徴とする、血液分離装置が提供される。
【0009】
本発明に係る血液分離装置では、好ましくは、上記血液浸透制御部材が、分離装置本体の内部空間内において、血液濾過材の入り口側表面に対向するように配置されている。この場合には、血液濾過材の入り口側表面に対向するように血液浸透制御部材が配置されているので、血液浸透制御部材の貫通孔を通過してきた血液が、血液濾過材の入り口側表面により一層均一に供給される。
【0010】
特に、本発明においては、より好ましくは、上記血液浸透制御部材が、板状の部材からなり、血液濾過材の入り口側表面に接触するように配置されており、かつ、血液浸透制御部材の外周縁が、分離装置本体の内周縁に接触するように配置されている。この場合には、血液浸透制御部材が板状の部材からなり、血液濾過材の入り口側表面に接触するように配置されているので、入り口から供給された血液が、血液浸透制御部材の貫通孔を通った後、血液濾過材の血液浸透制御部材に接触されている表面のほぼ全面に広がり、血液濾過材に均一に供給されることになる。しかも、血液浸透制御部材の外周縁が、分離装置本体の内周縁に接するように配置されているので、血液浸透制御部材の外周縁の外側から血液が回り込んで血液濾過材への血液の供給が不均一になるおそれも少ない。
【0011】
本発明の血液分離装置では、上記血液浸透制御部材の貫通孔の孔径が、好ましくは0.2mm〜5mm、より好ましくは0.5mm〜3mmの範囲であり、血液浸透制御部材の開口比率が、好ましくは0.08%〜70%、より好ましくは0.4%〜45%の範囲にある。血液浸透制御部材の貫通孔の孔径及び開効率が上記範囲にある場合には、血液浸透制御部材において、貫通孔から血液が速やかにかつ血液浸透制御部材の複数の貫通孔から均一に血液濾過材側に供給されることになる。
【0012】
本発明に係る血液分離装置では、より好ましくは、分離装置本体の内部空間において、血液浸透制御部材の入り口側に、所定量の血液を保持する空間としての血液溜部が設けられる。この場合には、血液浸透制御部材の前段に、上記血液溜部が設けられているので、所定量の血液を速やかにかつ均一に血液浸透制御部材に供給することができ、即ち、血液を血液濾過材表面により一層確実に均一に浸透させることができるようになる。特に、血液溜部の体積が0.1cm〜10cmの範囲にある場合には、所定量の血液を供給しても血液濾過材表面での血液の広がりが不均一になるのを防止することができるので、十分量の血液の濾過を確実に行うことができ、即ち、十分量の血漿もしくは血清を得ることができ、また、濾過効率も高くすることができる。
【0013】
本発明に係る血液分離装置では、好ましくは、上記血液濾過材は多数の細孔を有するものであり、該細孔の最も小さい部分の平均流量細孔径が、0.27〜2μmの範囲にあるのがより好ましい。最も小さい部分の平均流量細孔径が上記範囲にある血液濾過材を用いることで、分離をより一層速やかに行うことができ、かつ目詰まりも生じ難くなる。
【0014】
本発明では、好ましくは、分離装置本体の入り口及び出口の少なくとも一方に、ゴム弾性材料よりなる栓体を刺通可能な中空針が連結されている。従って、例えば採血管などのゴム弾性材料よりなる栓体で封止された血液供給容器に収容された血液を本発明の血液分離装置に供給する場合、血液供給容器の栓体に血液分離装置の入り口側中空針を刺通することで、血液供給容器内と血液分離装置内とを容易に連結することができ、血液供給容器に収容されている血液を速やかに血液分離装置内に導くことができる。また、血液分離装置の出口側においても、ゴム弾性材料よりなる栓体で閉栓された採血管や検査容器などの濾液収納容器の栓体に血液分離装置の出口側中空針を刺通することで、濾液収納容器内と血液分離装置内とを容易に連結することができ、血液分離装置で分離された血清もしくは血漿を速やかに濾液収納容器内に導くことができる。
【0015】
また、本発明に係る血液分離装置は、血液供給容器を血液分離装置の入り口に導くためのガイドを入り口側に、または血漿もしくは血清を収納する濾液収納容器を血液分離装置の出口に導くためのガイドを出口側に備えていてもよい。この場合には、ガイドを利用して血液供給容器や濾液収納容器を速やかに血液分離装置にセットすることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る血液分離装置では、分離装置本体内に血液濾過材が設けられており、かつ分離装置本体の入り口と血液濾過材との間に、血液を通過させ得る多数の貫通孔を有し、貫通孔が入り口側から血液濾過材側に向かって延びている血液浸透制御部材が配置されており、該血液浸透制御部材の多数の貫通孔に分かれて血液が通過し、血液濾過材表面に供給される。従って、血液濾過材表面に均一に血液が供給されるので、血液濾過材表面において均一に血液が浸透し、全血試料から血漿もしくは血清を速やかにかつ容易に分離することができるとともに、分離速度を高めることができるとともに、より多くの血漿もしくは血清を得ることができる。しかも、分離に際し、吸引圧力を高めずとも、速やかにかつより多くの血漿もしくは血清を得ることができるので、溶血も生じ難い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面を参照しつつ本発明の具体的な実施形態を説明することにより、本発明を明らかにする。
【0018】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る血液分離装置の正面断面図であり、図2は、第1の実施形態で用いられる血液浸透制御部材の平面図である。
【0019】
血液分離装置1は、円板状の内部空間Aが設けられた分離装置本体2を有する。分離装置本体2は、内部空間Aに連なる入り口3と、内部空間Aに連なる出口4とを有する。そして、本実施形態では、上記分離装置本体2は、円板状のベース部材2aと、ベース部材2aに対して結合されたケース部材2bとを有する。ケース部材2bは、内部空間Aを形成するための凹部を下面に有する。該凹部により内部空間Aが形成されるように、ケース部材2bの下面側からベース部材2aが接合されている。
【0020】
なお、分離装置本体2の形状はこのような円板状のベース部材2aと凹部を有するケース部材2bとを接合した構造に限定されず、入り口及び出口を有し、かつ、内部に血液濾過材及び血液浸透制御部材を配置して血液の濾過を行い得る内部空間を有する限り、様々な形状に変形することができる。例えば、上記分離装置本体2は、管状容器のような形態であってもよい。
【0021】
分離装置本体2を構成しているベース部材2a及びケース部材2bは、合成樹脂や金属などの適宜の材料により形成され得る。
【0022】
上記内部空間Aの平面形状は特に限定されないが、好ましくは円形とされており、該内部空間A内には、血液濾過材として第1の血液濾過材5と第1の血液濾過材5上に配置された第2の血液濾過材6とが配置されており、さらに、第2の血液濾過材6上に血液浸透制御部材7が配置されている。
【0023】
本実施形態では、血液濾過材としての第1の血液濾過材5及び第2の血液濾過材6により血液から血漿もしくは血清が分離されるように濾過が行われるが、それに先立ち、血液は血液浸透制御部材7に接触される。
【0024】
血液浸透制御部材7は、血液濾過材5,6よりも入り口3側に配置されている。本実施形態では、血液浸透制御部材7は、図2に示すように、平面形状が円形の膜状部材により形成されている。血液浸透制御部材7は、第2の血液濾過材6の上面において均一に血液を浸透させるために設けられている。このような機能を果たす限り、血液浸透制御部材7を構成する材料は特に限定されず、例えば、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリアセタール、フッ素樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、塩化ビニル樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)、アクリル樹脂などの各種合成樹脂により構成することができる。また、血液浸透制御部材7は、必要に応じて撥水処理などの表面処理が施されていてもよい。
【0025】
図2に示すように、血液浸透制御部材7は、多数の貫通孔7aを有する。貫通孔7aにより、血液が血液浸透制御部材7の上面側(入り口3側)から下面側(第2の血液濾過材6側)に導かれる。血液浸透制御部材7は、第2の血液濾過材6に血液を均一に浸透させるために、第2の血液濾過材6の上面において血液が均一に広がることを可能とするように構成されている。従って、血液浸透制御部材7は、それ自体が血液を吸収あるいは濾過しない材料で構成されており、本実施形態では、上記多数の貫通孔7aを経由してのみ血液が血液浸透制御部材7の上面側から下面側に移動するように構成されている。そして、貫通孔7aは複数設けられているが、通過した血液が第2の血液濾過材6上に均一に広がるように、血液浸透制御部材7の全面にわたりほぼ均一に多数設けられている。従って、血液浸透制御部材7の上面に血液が供給されると、血液は多数の貫通孔7aを通り、第2の血液濾過材6の上面のほぼ全面にわたり均一に供給されることになる。
【0026】
血液浸透制御部材7が配置されていない場合には、血液を例えば吸引により第2の血液濾過材6に浸透させるに際し、血液が第2の血液濾過材6の上面に接触した部分から優先的に血液が第2の血液濾過材6内に侵入していくため、第2の血液濾過材6の上面において血液が均一に広がらず、第2の血液濾過材6において部分的に濾過が行われることになる。従って、前述したように、濾過効率が悪化したり、濾液の回収量が減少するおそれがある。加えて、第2の血液濾過材6の単位面積当たりに付加される圧力が高くなるため、溶血のおそれがある。
【0027】
これに対して、本実施形態では、血液浸透制御部材7が、第2の血液濾過材6の上面に配置されているため、血液が、血液浸透制御部材7の上面の一部に付与されたとしても、血液浸透制御部材7の上面において広がり、設けられている多数の貫通孔7aを経由して下方に移動するため、血液が第2の血液濾過材6の上面において均一に広がり、しかる後、第2の血液濾過材6のほぼ全領域において濾過が進行する。よって、濾過効率を高めることができ、濾液の回収率を高めることができ、しかも溶血も生じ難い。
【0028】
上記のような機能を果たすためには、貫通孔7aの孔径は、0.2mm〜5mmであることが好ましく、より好ましくは0.5mm〜3mmである。また、血液浸透制御部材7の開口比率は0.08%〜70%であることが好ましく、より好ましくは0.4%〜45%である。
【0029】
上記貫通孔7aの孔径が0.2mmよりも小さい場合には、血液が第2の血液濾過材6側に移動し難くなり、濾過に際しての圧力を必要以上に高める必要が生じることがあり、その結果血液中の血球に過剰な圧力が加わり、溶血する可能性がある。他方、5mmを超えると、貫通孔7aから血液が第2の血液濾過材6側に速やか流れすぎ、第2の血液濾過材6の上面において血液を均一に広げ得ないことがある。
【0030】
上記血液浸透制御部材7の開口比率が0.08%未満では、濾過効率が低くなるおそれがあり、70%を超えると、血液が血液浸透制御部材7からただちに第2の血液濾過材6に進行し、第2の血液濾過材6の上面において、血液が十分に均一に広がらず、部分的に濾過が行われてしまうおそれがある。
【0031】
開口率(%)=(下面表面における貫通孔の面積の合計(cm)/貫通孔が形成されていないと仮定した場合の血液浸透制御部材の平面積(cm))×100により算出した。上記血液浸透制御部材7の上面側(入り口3側)には、血液溜部8が設けられている。すなわち、内部空間Aは、内部に第1の血液濾過材5、第2の血液濾過材6及び血液浸透抑制部材7が配置された場合に血液溜部8が残存するような大きさとされている。この血液溜部8の体積は、0.1cm〜10cmの範囲であることが好ましい。血液溜部8を設けることにより、所定量の血液を血液浸透制御部材7上に均一にかつ確実に供給することができる。そして、血液溜部の体積が0.1cm未満の場合には、供給された血液が、血液浸透制御部材7上に均一に広がることができず、広がりが不均一にある可能性があり、即ち、血液が均一に血液濾過材に浸透せず、濾液の回収効率が低下することがある。また、血液溜部8の体積が10cmを超えると、血液を供給した後でも血液溜部8に残存する空間部分が多くなり、そのため血液を血液濾過材に通すための加圧力或いは吸引力が過剰に必要となり、血液中の血球にも過剰な圧力が加わり、溶血するおそれがある。また、供給する血液量を増大させ、血液を供給した後の血液溜部8に残存する空間部分を少なくしようとすると、供給する血液量が必要以上に多くなってしまう他、濾過時間が長くなることがある。
【0032】
血液濾過材として、本実施形態では、上記のように第1の血液濾過材5と第2の血液濾過材6とが積層されたものを用いている。もっとも、血液濾過材は、単一の血液濾過材層により構成されていてもよい。
【0033】
上記血液濾過材5,6を構成する材料については特に限定されず、血球成分よりも、血漿もしくは血清を速やかに移動させ得る適宜のフィルタ材料を用いることができる。このようなフィルタ材料としては、血球成分よりも血漿もしくは血清を速やかに移動させ得る孔径と、実用可能な濾過時間を確保し得る孔の数、すなわち、空隙率と、血液の濾過の過程において血漿もしくは血清の移動を物理的あるいは化学的に阻害しない形状を有する任意のフィルタ材料を用いることができる。
【0034】
上記フィルタ材料を構成する材料についても特に限定されず、ガラス、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン(PS)、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリプロピレン(PP)、フッ化エチレン樹脂、ポリカーボネート、アクリル樹脂などの各種合成樹脂、セルロースなどを挙げることができる。
【0035】
血液濾過材の厚みについても特に限定されないが、分離に際してトラップされる血液量がさほど多くないことが望ましいため、第1,第2の血液濾過材5,6の厚みは、それぞれ、5μm〜5mm程度とすることが望ましい。
【0036】
なお、本実施形態では、第2の血液濾過材6の後段に、第1の血液濾過材5が配置されており、2種類の血液濾過材が用いられている。これは、第2の血液濾過材6として、上記のようなフィルタ材料を用い、第1の血液濾過材5として血球を濾過させない貫通孔を有する血球停止膜を用いていることによる。
【0037】
すなわち、上記第2の血液濾過材6は、血球成分に比べて血漿もしくは血清を速やかに移動させ得る上記フィルタ材料により構成されており、第1の血液濾過材5は、同様の機能を有するが、さらに、赤血球や白血球などの血球成分の通過を確実に防止するための孔を有する膜により形成されている。より具体的には、第1の血液濾過材5は、赤血球や白血球などの血球成分を通過させない貫通孔を有する血球停止膜、あるいは血球成分を通過させない多数の貫通孔が設けられている多孔性材料により形成されている。この場合、流路の最も小さい部分における平均流量細孔径は、0.27μm〜2μmであることが望ましい。0.27μmよりも小さいと、血球やタンパク質による目詰まりが生じやすくなり、濾過が停止するおそれがある。逆に、2μmよりも大きくなると、赤血球が通過してしまい、分離精度が低下するおそれがある。
【0038】
なお、上記平均流量細孔径は、JIS K 3832に準拠したバブルポイント法により測定した孔径である。
【0039】
上記血液濾過材は第1,第2の血液濾過材5,6が積層されてなるが、本発明においては、血液濾過材は前述したように単一の血液濾過材層により形成されていてもよい。いずれの場合においても、血漿あるいは血清などの検体の回収効率を高めるため、あるいはタンパク質の吸着を抑制するためには、血液濾過材表面が親水化処理されていることが望ましい。このような親水化処理としては、例えばポリエーテル系やシリコン系などの潤滑剤、ポリビニルアルコールやポリビニルピロリドンなどの親水性高分子類、さらには天然の親水性高分子類、高分子界面活性剤等を被覆などにより表面に存在させる方法が挙げられる。また、第1,第2の血液濾過材の表面は、酸化剤による化学処理、プラズマ処理などにより親水化処理がされていてもよい。
【0040】
本実施形態の血液分離装置1では、血液溜部8に通ずる入り口3が上方に設けられている。より具体的には、分離装置本体2の上面から上方に突出した筒状部2cが中空とされており、該筒状部2cの中空部分により入り口3が構成されている。そして、本実施形態では、この入り口3に、中空針9が液密的かつ気密的に固定されている。すなわち、中空針9は、入り口3に液密的かつ気密的に嵌合する中空針支持部9aを有する。中空針支持部9aは筒状の形状を有し、入り口3の内周面に液密的かつ気密的に固定されるように、入り口3に圧入されている。この中空針支持部9aと一体に設けられた中空針9は、その針先9bが上方に設けられたガイド10内に延ばされている。ガイド10は、筒状の形状を有し、上方に開口10aを有する。この開口10aから、血液供給容器である採血管などを挿入することが可能とされており、かつ筒状の採血管を、中空針9側に確実に導くために、筒状のガイド10が分離装置本体2に固定されている。
【0041】
他方、出口4は、ベース部材2aの下面に突出するように設けられた筒状部2dの中空部として設けられている。この出口4にも、第2の中空針11の中空針支持部11aが液密的かつ気密的に固定されている。中空針支持部11aは筒状の形状を有し、中空針11と一体に構成されている。そして、中空針11もまた、第2のガイド12内に延ばされている。第2のガイド12は筒状の形状を有し、中空針11が挿入されている側とは反対側に、開口12aを有する。開口12aから、血漿もしくは血清などの濾液を採取する濾液収納容器が挿入され得る。この濾液収納容器の挿入に際して、濾液収納容器を中空針11側に確実に導くために、筒状のガイド12が設けられている。
【0042】
上記のように、ガイド10,12は、血液供給容器や濾液収納容器を導くために設けられているものであるため、その内面の形状は、用意される血液供給容器や、濾液収納容器の形状に応じて適宜変形され得る。なお、中空針9,11は、金属もしくは合成樹脂などの適宜の材料により形成され得る。ガイド10,12についても、合成樹脂や金属などの適宜の材料により形成され得るが、外部から血液供給容器や採取容器内の状態を目視により確認し得るため、透明な材料でガイド10,12を形成することが好ましい。
【0043】
次に、上記実施形態の血液分離装置1の使用方法を、図3及び図4を参照して説明する。
【0044】
図3に示すように、血液分離装置1のガイド10内に、血液供給容器としての、例えば採血管13を挿入する。採血管13は、筒状の採血管本体13aと、採血管本体13aの一端の開口を閉成するように設けられたゴム弾性材料からなる栓体13bとを有する。採血管13内には、血液16が採取されている。血液から血漿もしくは血清を分離するに際しては、図3に示すように、採血管13を上下転倒し、栓体13b側からガイド10内に挿入する。ガイド10が筒状の形状を有するため、筒状の採血管13が速やかにその長さ方向に移動され、栓体13bが、中空針9により刺通される。他方、下方の筒状のガイド12内には、血清もしくは血漿を収納するための濾液収納容器としての、例えば筒状の採血管15を挿入する。この場合においても、ガイド12が筒状の形状を有するため、筒状の採血管15が速やかにガイド12内に導かれる。採血管15は、有底の管状容器である採血管本体15aと、採血管本体15aの一端開口を閉成するように設けられており、ゴム弾性材料からなる栓体15bとを有する。この栓体15bが、中空針11により刺通される。尚、採血管15内は、予め、減圧されている。
【0045】
図3に示すように、上方においては、ガイド10内に血液供給容器としての採血管13を挿入し、中空針9により栓体13bを刺通し、下方においては、ガイド12内に濾液収納容器としての採血管15を挿入し、栓体15bに中空針11を刺通させることにより、採血管13内、分離装置本体2の内部空間A及び採血管15内が連通されることになる。そして、圧力差により、血液16が、採血管13内から内部空間A側に移動する。その結果、図4に示すように、血液16が内部空間Aの血液溜部8に一端供給され、その状態において、血液が血液浸透制御部材7の上面に均一に広がる。血液浸透制御部材7は、それ自体血液を吸収しないため、血液浸透制御部材7の上面において広がった血液は、血液浸透制御部材7の貫通孔7a(図2参照)が設けられている部分から下方に移動し、第2の血液濾過材6の上面に達する。多数の貫通孔7aは血液浸透制御部材7の全面にわたり均一に分散されているので、第2の血液濾過材6の上面には血液が全面にわたり均一に広がり、供給されることになる。従って、血液は、第2の血液濾過材6の上面においてほぼ全面において均一に浸透し始め、第1,第2の血液濾過材5,6のほぼ全域を利用して濾過が進行することとなる。従って、濾過が速やかに進行し、濾過効率を高めることができると共に、図4の下方に示されている濾液としての血漿もしくは血清17の回収効率も高めることが可能となる。しかも、第1,第2の血液濾過材5,6のほぼ全域において濾過が進行するため、単位面積当たりに付加される吸引圧力が高くなり難く、従って、溶血も生じ難い。
【0046】
上記第1の実施形態では、第2の血液濾過材6が、分離装置本体2の内周面に接触するように配置されており、それによって、血液が第2の血液濾過材6の周縁部からもれて第2の血液濾過材6で濾過されることなく通過し、第2の血液濾過材6の下面側に移動することが防止されている。もっとも、血液濾過材6の下面側に直接回り込むのを防止する構造は、上記分離装置本体2のように、血液濾過材6の外周面を分離装置本体2の内周面に接触させる方法の他、図8に示すように、第2の血液濾過材6の外周縁近傍において、第2の血液濾過材6或いは第1の血液濾過材5及び第2の血液濾過材6の両方を、両面から分離装置本体2を構成する2つの部材により挟み込む方法としてもよい。このように血液濾過材を分離装置本体を構成する部材に挟み込むことにより、血液が血液濾過材の周縁部からもれて血液濾過材を通過することなく下面側に移動するのをより確実に防止することができる。このような構造としては、例えばメンブランフィルタを挟み込むホルダーのような構造が挙げられる。
【0047】
図5は、本発明の第2の実施形態に係る血液分離装置21を示す部分切欠正面断面図である。
【0048】
本発明の血液分離装置は、様々に変形することができる。第2の実施形態の血液分離装置21は、出口及び入り口の形状及び中空針の固定形状等が異なることを除いては、第1の実施形態の血液分離装置1とほぼ同様に構成されている。従って、同一部分については、同一の参照番号を付することにより、その説明を省略する。
【0049】
第2の実施形態の血液分離装置21では、分離装置本体2の上面において、ケース部材2bの中央に貫通孔2eが設けられており、該貫通孔2eにより入り口3が構成されている。該貫通孔2eに、中空針22が挿入され、液密的かつ気密的に固定されている。他方、分離装置本体2のベース部材2aの中央にも、貫通孔2fが形成され、該貫通孔2fにより出口4が構成されている。この貫通孔2fに、第2の中空針23が挿入され、液密的かつ気密的に固定されている。中空針22,23は、第1の実施形態で用いた中空針9,11と同様の材料で構成され得る。
【0050】
また、第2の実施形態では、分離装置本体2の上面に、すなわちケース部材2bの上面に、筒状のガイド24が固定されている。同様に、分離装置本体2の下面には、筒状のガイド25が固定されている。
【0051】
上記ガイド24,25は、前述した筒状のガイド10,12と同様の材料で構成され得る。
【0052】
第2の実施形態の血液分離装置21の使用方法を、図6及び図7を参照して説明する。すなわち、図6に示すように、採血管13をガイド24内に挿入し、栓体13bに中空針22を刺通させる。また、ガイド25に、採血管15を挿入し、栓体15bに、中空針23を刺通させる。その結果、採血管13内、内部空間A及び採血管15内が連通され、濾過が進行することとなる。すなわち、図7に示すように、血液16が血液溜部8に供給され、第1の実施形態の場合と同様に、血液浸透制御部材7の多数の貫通孔7aを経由して、第2の血液濾過材6の上面において均一に血液が広がり、第1,第2の血液濾過材5,6により濾過が進む。そして、濾液としての血漿もしくは血清17が、採血管15に採取される。
【0053】
なお、第1,第2の実施形態の血液分離装置1,21では、分離装置本体2に、予め中空針やガイドが固定されて一体化されていたが、本発明の血液分離装置では、中空針やガイドは必ずしも一体化されておらずともよい。すなわち、入り口3及び出口4を有する分離装置本体2内に、上記血液浸透制御部材7及び血液濾過材を収納した構造を有する限り、溶血をほとんど生じさせることなく、血液を速やかに濾過させることができる。よって、上記中空針に代えて、入り口や出口に液密的かつ気密的に結合し得る接続手段を用い、血液供給容器や濾液収納容器と接合すればよい。
【0054】
もっとも、第1,第2の実施形態のように、中空針などの接続部材と、ガイドとを予め一体化しておけば、他の部材を接続することなく、速やかに濾過を行い得るため、中空針及びガイドを分離装置本体に予め結合した構造とすることが好ましい。
【0055】
次に、具体的な実験例につき説明する。
【0056】
(実施例1)
以下の構成にて、図1に示される第1の実施態様である血液分離装置を作成した。
【0057】
分離装置本体2をポリカーボネートで(具体的な樹脂名が必要)構成するベース部材2a及びケース部材2bを用意した。ベース部材2aは出口4を有しており、ケース部材2bは入り口3を有している。また、ベース部材2a及びケース部材2bは、接合して分離装置本体2とした際に、その内部空間Aの平面形状が面積16cmの円形となるようになされている。
【0058】
また、ポリカーボネートからなる平面形状が面積16cmの円形である円盤状の部材に、孔径0.2mmの貫通孔が、開口比率が0.08%になるように円盤状の部材の上面から下面にむかって全体にわたって均一に設けられている血液浸透制御部材7を用意した。
【0059】
さらに、0.3mmの厚みを有し、平面形状が面積16cmの円形である血球停止膜(第1の血液濾過材5)と、厚みが1.3mmであり、平面形状が面積16cmの円形であるガラス繊維濾紙(第2の血液濾過材6)とが積層された血液濾過材を用意した。
【0060】
しかる後、血球停止膜(第1の血液濾過材5)、ガラス繊維濾紙(第2の血液濾過材6)及び血液浸透制御部材7がこの順になるようにベース部材2a上に載置し、これらがケース部材2bの凹部内に収まるようにベース部材2aにケース部材2bを接合し、血液分離装置1を作製した。得られた血液分離装置1において、分離装置本体2の内部空間Aには、入り口側からみて上述した血液浸透制御部材7、ガラス繊維濾紙(第2の血液濾過材6)及び血球停止膜(第1の血液濾過材5)がこの順に配置されており、血液浸透制御部材7の入り口側には、空間である血液溜部を形成されていた。尚、血液溜部8の体積は3.8cmであった。
【0061】
また、この分離装置本体2には、予め中空針9,11及びガイド10,12が固定され、一体化されている。
【0062】
得られた血液分離装置1を用い、図3及び図4に示すようにして血液の分離を行った。まず、血液分離装置1のガイド10に、ヘマトクリット値45%の保存血液16が4500μL採取されている採血管13を挿入して中空針9で採血管13の栓体13bを刺通し、他方、減圧度―75kPaの圧力に減圧された採血管15をガイド12に挿入して中空針11で採血管15の栓体15bを刺通した。この時、採血管13内と血液分離装置1の内部空間Aと減圧された採血管15内とが連通したため、圧力差により血液の濾過が開始したその後、この状態で3分間放置し、それによって、採血管15内に120μLの血漿17を回収することができた。溶血の有無を確認したところ、溶血は見られなかった。また、一般には検査を行うためには最低100μL程度の血漿を必要とするところ、検査に必要とされる血漿を十分量得ることができた。
【0063】
(実施例2〜6、比較例1〜3)
血液浸透制御部材7における貫通孔の孔径及び開口比率を下記の表1に示すように変更したことを除いては、実施例1と同様にして血液分離装置を得た。尚、比較例3では血液浸透制御部材7を用いなかった。
【0064】
また、得られた血液分離装置を用い、実施例1と同様にして血液の分離を行った。下記の表1に、溶血の有無及び回収された血漿の量を示す。
【0065】
比較例1及び2で得られた血液分離装置では、血液浸透制御部材を通過した血液がガラス繊維濾紙(第2の血液濾過材6)表面において均一に広がらず、血液がガラス繊維濾紙に部分的に含浸してしまい、十分な量の血漿を回収することができなかった。
【0066】
また、比較例3で得られた血液分離装置では、血液浸透制御部材7を配置しなかったため、血液がガラス繊維濾紙(第2の血液濾過材6)の一部に優先的に浸透してしまい、濾過効率が悪く、実質的に、血漿を回収することができなかった。
【0067】
これに対して、実施例2〜6で得られた血液分離装置は、血液浸透制御部材を通過した血液がガラス繊維濾紙(第2の血液濾過材6)表面において均一に広がり、十分な量の血漿を回収することができた。特に、実施例2〜5で得られた血液分離装置は、血漿回収量が200μL以上と非常に多く、濾過効率に非常に優れている。
【0068】
なお、血液浸透制御部材7を用いた場合、血液浸透制御部材7の孔径及び開口率の如何に関わらず、得られた血漿中において溶血は認められなかった。
【0069】
(実施例7〜9、比較例4)
血液溜部の体積を下記の表1に示すように変更したことを除いては、実施例3と同様にして血液分離装置を得た。
【0070】
また、得られた血液分離装置を用い、実施例3と同様にして、血液の分離を行った。下記の表1に、溶血の有無及び回収された血漿の量を示す。
【0071】
【表1】

【0072】
表1から明らかなように、比較例4で得られた血液分離装置は、血液溜部の体積を0cmであったため、血液が血液浸透制御部材上部で撥水してしまい、血液浸透制御部材を血液が均一に通過せず、即ち、血液がガラス繊維濾紙(第2の血液濾過材6)表面において均一に広がらず、血液がガラス繊維濾紙に部分的に含浸し、血漿を回収することができなかった。これに対して、実施例7〜9で得られた血液分離装置では、血液溜部を設けることにより、十分な量の血漿を回収することができた。特に、血液溜部の体積が2.5cmの場合や、3.8cmである場合には、血漿回収量が480μL及び500μLと非常に多く、濾過効率に優れていることが確かめられている。一方、血液溜部の体積が10cmを超える場合では、血液を供給した後でも血液溜部8に残存する空間部分が多くなり、そのため血液を血液濾過材に通すための加圧力或いは吸引力が過剰に必要となり、血液中の血球にも過剰な圧力が加わり、溶血するおそれがある。また、供給する血液量を増大させ、血液を供給した後の血液溜部8に残存する空間部分を少なくしようとすると、供給する血液量が必要以上に多くなってしまう他、濾過時間が長くなることがある。
【0073】
従って、血液溜部の体積を0.1cm〜10cmとすることで、血漿回収量を大きくし、効率よく得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明の第1の実施形態の血液分離装置の正面断面図。
【図2】第1の実施形態で用いられている血液浸透制御部材の平面図
【図3】第1の実施形態の血液分離装置を用いて血液の分離を開始する工程を説明するための正面断面図。
【図4】第1の実施形態の血液分離装置を用いて血液を濾過している工程を示す正面断面図。
【図5】本発明の第2の実施形態に係る血液分離装置の部分切欠正面断面図。
【図6】第2の実施形態の血液分離装置を用いて血液の分離を開始する工程を説明するための正面断面図。
【図7】図1に示した血液分離装置を用いて血液を濾過している工程を示す正面断面図。
【図8】本発明に係る血液分離装置の変形例を説明するための表面断面図。
【符号の説明】
【0075】
1…血液分離装置
2…分離装置本体
2a…ベース部材
2b…ケース部材
2c…突出部
2d…突出部
2e…貫通孔
2f…貫通孔
3…入り口
4…出口
A…内部空間
5…第1の血液濾過材
6…第2の血液濾過材
7…血液浸透制御部材
7a…貫通孔
8…血液溜部
9…中空針
10…ガイド
10a…開口
11…中空針
12…ガイド
12a…開口
21…血液分離装置
22…中空針
23…中空針
24…ガイド
25…ガイド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
血液が供給される入り口と、血液から分離して得られた血漿もしくは血清が取り出される出口と、入り口と出口との間に設けられた内部空間とを有する分離装置本体と、
分離装置本体の内部空間内に配置され、入り口から供給された血液を濾過して血漿もしくは血清を分離する血液濾過材と、
分離装置本体の内部空間内において、血液濾過材よりも入り口側に配置されており、かつ、血液を通過させる複数の貫通孔を有し、該貫通孔は入り口側から血液濾過材側に向かって延びており、血液濾過材表面において均一に血液を浸透させることを可能とする血液浸透制御部材とを備えることを特徴とする、血液分離装置。
【請求項2】
血液浸透制御部材が、血液濾過材の入り口側表面に対向するように配置されている、請求項1に記載の血液分離装置。
【請求項3】
血液浸透制御部材が、板状の部材からなり、血液濾過材の入り口側表面に接触するように配置されており、かつ、血液浸透制御部材の外周縁が、分離装置本体の内周縁に接触するように配置されている、請求項1または2に記載の血液分離装置。
【請求項4】
血液浸透制御部材の貫通孔の孔径が0.2mm〜5mm、血液浸透制御部材の開口比率が0.08%〜70%の範囲にある、請求項1〜3のいずれか1項に記載の血液分離装置。
【請求項5】
分離装置本体の内部空間内において、血液浸透制御部材の入り口側に、所定量の血液を保持する空間としての血液溜部が設けられている、請求項1〜4のいずれか1項に記載の血液分離装置。
【請求項6】
血液溜部の体積が0.1cm〜10cmの範囲とされている、請求項5に記載の血液分離装置。
【請求項7】
分離装置本体の入り口及び出口の少なくとも一方に連結されており、ゴム弾性材料よりなる栓体を刺通可能な中空針をさらに備える、請求項1〜6のいずれか1項に記載の血液分離装置。
【請求項8】
分離装置本体の入り口側において、血液を供給する容器を入り口に導くためのガイドが固定されている、請求項1〜7のいずれか1項に記載の血液分離装置。
【請求項9】
分離装置本体の出口側において、得られた血漿もしくは血清を収納するための容器を出口に導くためのガイドが設けられている、請求項1〜8のいずれか1項に記載の血液分離装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−304016(P2007−304016A)
【公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−134290(P2006−134290)
【出願日】平成18年5月12日(2006.5.12)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】